JP6421571B2 - 反射スクリーン、映像表示システム - Google Patents
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そして、このような短焦点型の映像投射装置によって投射された映像光を良好に表示するために、単位レンズが複数配列されて形成されたリニアフレネルレンズ形状やサーキュラーフレネルレンズ形状を有するレンズ層の表面に反射層を形成した反射スクリーン等が様々に開発されている(例えば、特許文献1参照)。
ここで、レンズ層にリニアフレネルレンズ形状を適用し、巻き取られた基材上にレンズ層を順次成形する、いわゆるロール搬送方式によってレンズ層を形成し、製造効率を向上させ、製造コストを安価にすることも可能であるが、この場合、サーキュラーフレネルレンズ形状に比して反射スクリーンのスクリーン面内の輝度分布が不均一になってしまう問題が生じてしまう。
請求項1の発明は、映像源(LS)から投射された映像光を反射して画面に表示する反射スクリーン(20)であって、前記映像源側とは反対の背面側に、レンズ面(232)及び非レンズ面(233)を有した単位レンズ(231)が複数配列されたレンズ層(23)と、少なくとも前記レンズ面(232)に形成され、光を反射する反射層(22)とを備え、前記単位レンズは、底面及び4つの三角形状の斜面から構成され、前記底面に対向する頂点が前記映像源側に凹となる四角錐状の窪みを有し、前記底面を形成する4辺がそれぞれ、スクリーン面に平行な面内において画面左右方向に対して傾斜しており、前記レンズ面は、4つの前記斜面のうち、画面上下方向の上方又は下方側に位置する2つの斜面であり、前記非レンズ面は、4つの前記斜面のうち、画面上下方向の下方又は上方側に位置する2つの斜面であること、を特徴とする反射スクリーンである。
請求項2の発明は、請求項1に記載の反射スクリーン(20)において、前記単位レンズ(231)は、前記四角錐状の前記底面が、ひし形形状に形成されており、前記レンズ層(23)の背面側に網目状に配列されていること、を特徴とする反射スクリーンである。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の反射スクリーン(20)と、前記反射スクリーンに映像光を投射する映像源(LS)と、を備える映像表示システム(1)である。
なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張している。
また、板、シート等の言葉を使用しているが、これらは、一般的な使い方として、厚さの厚い順に、板、シート、フィルムの順で使用されており、本明細書中でもそれに倣って使用している。しかし、このような使い分けには、技術的な意味は無いので、これらの文言は、適宜置き換えることができるものとする。
さらに、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用してよい。
図1は、本実施形態の映像表示システム1を説明する図である。図1(a)は、映像表示システム1の斜視図であり、図1(b)は、映像表示システム1の側面図である。
映像表示システム1は、反射スクリーン20を備える反射スクリーンユニット10と、映像源LS等とを有している。本実施形態の映像表示システム1は、映像源LSから投影された映像光Lを反射スクリーン20が反射して、その画面上に映像を表示する。
この映像表示システム1は、例えば、映像光Lを映像源LSから投射するフロントプロジェクションテレビシステム等として用いることが可能である。
なお、スクリーン面とは、この反射スクリーン20全体として見たときにおける、反射スクリーン20の平面方向となる面を示すものである。
この映像源LSは、反射スクリーン20の画面に直交する方向(反射スクリーン20の厚み方向)における反射スクリーン20との距離が、従来の汎用プロジェクタに比べて大幅に近い位置から映像光Lを投射できる。即ち、映像源LSは、従来の汎用プロジェクタに比べて、反射スクリーン20までの投射距離が短く、映像光Lの反射スクリーン20のスクリーン面に対する入射角度も大きい。
以下の説明中において、画面上下方向、画面左右方向、厚み方向とは、特に断りが無い場合、この反射スクリーン20の使用状態における画面上下方向(鉛直方向)、画面左右方向(水平方向)、厚み方向(奥行き方向)であるとする。
この反射スクリーン20は、例えば、対角80インチや100インチ、120インチ等の大きな画面(表示領域)を有している。
反射スクリーン20は、薄く、それ単独では平面性を維持するだけの十分な剛性を有していない場合が多い。そのため、反射スクリーン20は、支持板30に一体に接合される形態とすることにより、その画面の平面性を維持している。
図2では、反射スクリーン20の観察画面(表示領域)の幾何学的中心(画面中央)となる点A(図1(a)、(b)参照)を通り、画面上下方向に平行であって、スクリーン面に垂直(厚み方向に平行)な断面の一部を拡大して示している。
反射スクリーン20は、図2に示すように、その厚み方向において、映像源側(観察者側)から順に、表面層25、基材層24、レンズ層23、反射層22、保護層21等を備えている。
基材層24は、拡散材を含有する光拡散層241と、顔料や染料等の着色材を含有する着色層242とを有している。本実施形態の基材層24は、光拡散層241と着色層242とが共押出成形されることにより、一体に積層されて形成されている。
本実施形態では、図2に示すように、基材層24において、光拡散層241が背面側であり、着色層242が映像源側に位置する例を示したが、これに限らず、光拡散層241が映像源側に位置し、着色層242が背面側に位置する形態としてもよい。
光拡散層241の母材となる樹脂は、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂や、PC(ポリカーボネート)樹脂、MS(メチルメタクリレート・スチレン)樹脂、MBS(メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン)樹脂、TAC(トリアセチルセルロース)樹脂、PEN(ポリエチレンナフタレート)樹脂、アクリル系樹脂等が好適に用いられる。
光拡散層241の厚さは、反射スクリーン20の画面サイズ等にも依るが、約50〜1000μmとすることが好ましい。光拡散層241は、そのヘイズ値が、85〜99%の範囲であることが望ましい。
着色層242の着色剤としては、グレー系や黒色系等の暗色系の染料や顔料等や、カーボンブラック、グラファイト、黒色酸化鉄等の金属塩等が好適に用いられる。
着色層242の母材となる樹脂は、PET樹脂や、PC樹脂、MS樹脂、MBS樹脂、TAC樹脂、PEN樹脂、アクリル系樹脂等を用いることができる。
着色層242は、反射スクリーン20の画面サイズ等にも依るが、その厚さを約30〜2000μmとすることが好ましい。
図3(a)は、レンズ層23を背面側の正面方向から観察した様子を示しており、理解を容易にするために、反射層22や保護層21等は省略して示している。図3(b)は、図2に示す断面の一部をさらに拡大して示し、映像源側に位置する基材層24や、表面層25は省略して示している。
図4は、本実施形態のレンズ層23の詳細を説明する図である。図4(a)は、図3(a)のa部詳細を示す図である。また、図4(b)〜図4(e)は、それぞれ、図4(a)のb−b断面図、c−c断面図、d−d断面図、e−e断面図を示す。なお、図4の各図は、基材層24や表面層25、反射層22、保護層21を省略して示している。
単位レンズ231は、図4に示すように、ひし形形状の底面及び4つの三角形状の斜面から構成され、底面に対向する頂点(以下、頭頂部vという)が観察者側に凹となる四角錐状の窪みを有しており、この四角錐状の1つの窪みを形成する部位を1つの単位レンズ231としている。すなわち、図3(b)に示す断面においては、単位レンズ231の最も背面側に位置する部位tと、隣接する単位レンズ231の部位tとの間で1つの単位レンズが構成される。そのため、四角錐状の窪みの底面を構成する4辺が、単位レンズ231の上記窪みの開口部となり、四角錐状の上記頭頂部vが、窪みの最も深い部位となる。
また、単位レンズ231は、図3(a)に示すように、上記底面を構成する4辺がそれぞれ、スクリーン面と平行な面内において、画面左右方向に対して所定の角度(γ)で傾斜している。本実施形態では、単位レンズ231は、四角錐状の窪みの底面を構成する4辺と画面左右方向とがなす角度が18度になるように形成されている。
本実施形態では、反射スクリーン20の下方側に配置された映像源LSから投射される映像光を観察者側に反射させるので、1つの単位レンズ231においては、レンズ面232が非レンズ面233よりも画面上下方向の下方側に位置している。すなわち、レンズ面232は、単位レンズ231の4つの斜面のうち、画面上下方向の下方側に位置する2つの斜面であり、非レンズ面233は、単位レンズ231の4つの斜面のうち、画面上下方向の上方側に位置する2つの斜面である。
また、単位レンズ231の四角錐状の底面を構成する一辺と、隣接する単位レンズの底面を構成する一辺とが互いに接して配置される方向を単位レンズ231の配列方向とした場合において、この配列方向において互いに隣接する単位レンズ231の配列ピッチPは、図4(a)に示すようにPであり、四角錐状の底面を構成する辺の長さに等しい。
本実施形態では、角度α、β、単位レンズ231の高さの差h、配列ピッチP、配列角度γは、それぞれ一定に形成されており、その配列ピッチPが100μm、αが16度、βが90度、配列角度γ=18度に形成されている。
なお、図2〜図5等においては、単位レンズの形状の理解を容易にするために、角度βは、90°未満の形状として図示している。
また、単位レンズ231は、これに限定されるものでなく、反射スクリーンのスクリーン面の位置に応じて、角度α、βや、配列角度γが変動するように形成されていてもよい。この場合、角度αは、0.5°〜35°の範囲内であることが望ましく、また、角度βは、65°〜100°の範囲内であることが望ましい。配列角度γは、所望する映像光の反射特性に応じて適宜設定することができる。
本実施形態の反射層22は、図2や図3(b)に示すように、レンズ面232に形成されているが、非レンズ面233には形成されていない。なお、反射層22は、光を反射しない程度の薄さであれば、非レンズ面233の少なくとも一部に形成された形態としてもよい。
反射層22は、光を反射するために十分な厚さであれば、その材料等に応じて厚さを自由に設定してよい。
この保護層21は、反射スクリーン20の裏面を傷等から保護したり、反射層22を剥離や破損、酸化等の劣化から保護したりする機能を有している。また、保護層21は、光を吸収する作用を有しており、反射スクリーン20への背面側からの外光の入射を防止する機能を有する。さらに、保護層21は、耐熱性、耐寒性等の耐候性を有することがより好ましい。
本実施形態では、保護層21を形成する材料としては、例えば、酸化防止剤等が添加された黒色のエポキシ樹脂等を用いることができる。
本実施形態の表面層25は、ハードコート機能及び防眩機能を有しており、基材層24の映像源側の表面に、ハードコート機能を有する紫外線硬化型樹脂(例えば、ウレタンアクリレート)等の電離放射線硬化型樹脂を塗膜の膜厚約10〜100μmとなるように塗布し、微細な凹凸形状(マット形状)をその樹脂膜表面に転写する等して硬化させ、表面に微細凹凸形状が賦形されて形成されている。本実施形態では、表面層25は、その表面の表面粗さが0.1〜3μmの範囲であり、ヘイズ値が5〜20%の範囲で形成されている。
また、表面層25は、反射防止機能や紫外線吸収機能、防汚機能や帯電防止機能等を有する層を、表面層25と基材層24との間に、さらに別層として設けてもよい。
さらに、表面層25は、基材層24とは別層であって不図示の粘着材等により基材層24に接合される形態としてもよいし、基材層24の着色層242側(映像源側)の面に直接形成してもよい。
図2に示すように、映像源LSから投影された大部分の映像光Lは、反射スクリーン20の下方から入射し、表面層25及び基材層24を透過してレンズ層23の単位レンズ231へ入射する。
ここで、単位レンズ231は、上述したように背面側に四角錐状の窪みが形成されており、四角錐状の4つの斜面のうち、下方側2つの斜面がレンズ面232であるので、単位レンズ231に入射した映像光を、このレンズ面232によって画面左右方向の右方向及び左方向に反射する。具体的には、反射スクリーン20の画面左右方向の左側端部近傍においては、映像光Lは、スクリーン面の法線方向に対して左側に傾斜した状態で、レンズ面232に入射する。そして、その大部分は、四角錐状の4つの斜面のうちの左下側の斜面に入射して、スクリーン面の法線方向に略平行になって観察者側へと反射する。同様に、反射スクリーン20の画面左右方向の右側端部近傍においては、スクリーン面の法線方向に対して右側に傾斜した映像光Lが、反射層22に入射し、その大部分が、四角錐状の4つの斜面のうちの右下側の斜面に入射して、スクリーン面の法線方向に略平行になって観察者側へと反射する。
これにより、本実施形態の反射スクリーン20は、スクリーン面内の輝度分布を均一にすることができる。
なお、レンズ面232において反射した映像光は、その全てが画面左右方向の右方向又は左方向へ向けてスクリーン面から出射されるのではなく、その映像光の一部は、基材層24に設けられた光拡散層241によって拡散して、スクリーン面の法線方向(正面方向)にも反射されることとなる。
そして、一部の外光G1は、非レンズ面233へ入射して、保護層21によって吸収される。また、一部の外光G2は、レンズ面232で反射して、主として反射スクリーン20の下方側へ向かうので、観察者O側には直接届かず、また、届いた場合にもその光量は、映像光Lに比べて大幅に少ない。さらに、一部の外光は、反射スクリーン20に入射して、着色層242に吸収される。従って、反射スクリーン20では、外光G1、G2等による映像のコントラスト低下を抑制できる。
以上のことから、本実施形態の反射スクリーン20によれば、明室環境下であっても、コントラストが高く明るく良好な映像を表示できる。
図5は、本実施形態の反射スクリーン20の製造方法を説明する図である。
ここで、図5の各図は、反射スクリーンの厚み方向に平行であって、画面上下方向に平行な断面を示す。
図5(a)に示すように、拡散材を含有する樹脂と着色材を含有する樹脂とを、それぞれ所定の厚さで共押出成形することにより、光拡散層241及び着色層242を一体に成形し、基材層24を形成する。ここでは、基材層24は、ウェブ状であるとする。
なお、表面層25上に不図示のマスキング材を剥離可能に貼合して、次工程に流してもよい。このマスキング材としては、例えば、透明又は略透明なシート状の部材を用いることができ、以降の製造過程における表面層25の表面の汚れや傷つきを防止する機能を有している。
具体的には、レンズ層23は、基材層24の表面層25が形成される面とは反対側の面(本実施形態では、光拡散層241側の面)に、アクリル系の紫外線硬化型樹脂を塗布し、単位レンズ231を賦形するロール版によって押圧し、紫外線を照射して硬化させた後に剥離ロールによってロール版から離型する等により、形成される。
ここで、レンズ層23に形成される単位レンズの四角錐状の窪みは、外周側面にこの窪みに対応する凹凸形状が形成されたロール版(図6参照)を用いることによって、形成されている。
仮に、サーキュラーフレネルレンズ形状を有したレンズ層をロール搬送方式によって製造しようとする場合、サーキュラーフレネルレンズ形状に対応する形状をロール版の外周側面上に形成する必要がある。ここで、このサーキュラーフレネルレンズ形状は、フレネルセンターを中心として同心円状に単位レンズが複数形成されているので、この形状に対応する形状を、ロール版の外周側面上に形成するのは、非常に困難となる。
また、サーキュラーフレネルレンズ形状に対応する形状をロール版の外周側面に形成しようとした場合、反射スクリーンの画面左右方向、画面上下方向の寸法に応じて、ロール版の外形寸法(外周の長さ、軸方向の寸法)が決定されてしまう。そのため、大型サイズ(例えば、対角100インチサイズ)の反射スクリーンのレンズ層を形成する場合においては、ロール版の外形寸法が大きくなりすぎてしまい、一般に使用されているUV成形装置に収まらず、レンズ層の成形ができなくなったり、UV成形装置を改造する必要が生じてしまったりしてしまう。したがって、サーキュラーフレネルレンズ形状を有したレンズ層は、上述したように、主に枚葉成形により製造されている。
これに対して、本実施形態のレンズ層23を形成するロール版は、サーキュラーフレネルレンズ形状を形成するロール版に比して、容易に製造することができ(詳細は後述する)、また、ロール版の外形寸法の制約も少なくすることができる。これにより、本実施形態のレンズ層23は、ロール搬送方式によって複数の単位レンズ231を連続的に順次形成することができ、レンズ層23の製造効率を向上させるとともに、製造コストを安価にすることができる。
光反射材料が含有された塗料を塗布することによって形成されるようにしてもよい。
続いて、図5(e)に示すように、反射層22が形成されたレンズ層23の背面側の面に、暗色系材料が含有されたウレタン系樹脂を塗布する等して保護層21を形成し、所定の形状に裁断する。以上により、表面層25、基材層24、レンズ層23、反射層22、保護層21が順次積層された反射スクリーン20が完成する。
図6は、レンズ層23を成形するロール版Rを示す図である。図6(a)は、ロール版Rの全体を示す斜視図であり、図6(b)は、図6(a)のb部詳細図を示す。図6(c)及び図6(d)は、それぞれ図6(b)のc−c断面図、d−d断面図を示す。
図7は、レンズ層23を成形するロール版Rの製造方法の例を説明する図である。図7(a)及び図7(b)は、ロール体R’の溝(凹凸形状S)が形成される過程を示す図である。
図6及び図7において、ロール版R(ロール体R’)の軸方向をX方向とし、ロール版R(ロール体R’)の一端側を+X側、他端側を−X側とし、X方向と直交する方向をそれぞれY方向、Z方向とする。また、図6(b)〜図6(d)に示す凹凸形状Sは、理解を容易にするために平面状に形成されているように図示しているが、実際にはロール版の外周側面に沿うようにして形成されているものである。
この凹凸形状Sの四角錐状の底面は、図6(b)に示すように、ひし形形状であり、底面を構成する4辺がそれぞれ、ロール版の外周側面内において、X軸周りの周方向に対して配列角度γ’で傾斜しており、この配列角度γ’は、上述の単位レンズ231の配列角度γと等しい(γ’=γ)。
また、四角錐状の底面に対向する頭頂部v’は、このロール版Rの最も外周側に位置する部位であり、上述の単位レンズ231の四角錐状の窪みの頭頂部vに対応する。この頭頂部v’と底面との高さの差h’は、上述の単位レンズ231の高さの差hと等しい(h’=h)。さらに、このロール版Rの凹凸形状のピッチP’は、この四角錐状の底面を構成する各辺の長さに等しく、上述の単位レンズ231の配列ピッチPにも等しい(P’=P)。
このロール版Rは、ロール版Rの母材となるロール体R’を回転させながら、バイトTを押し付けて、ロール体R’の外周側面上に凹凸形状Sが形成されることによって製造される。
具体的には、図7(a)に示すように、ロール体R’を所定の方向に回転させて、バイトTをロール体R’の外周側面に押し付ける。このとき、バイトTは、ロール体R’の軸方向(−X側から+X側)に移動させながら、ロール体R’の外周側面に押し付ける。これにより、ロール体R’の外周側面には、軸(X方向)周りの周方向に対して配列角度γ’だけ傾斜した溝S1が螺旋状に形成される。
ここで、バイトTの先端には、単位レンズ231のレンズ面232に対応する切削面と、非レンズ面233に対応する切削面とが1面ずつ形成されており、このバイトTによって形成される溝S1は、図7(a)の拡大図に示すように、X方向周りの周方向に垂直な面における断面が、略三角形状に形成される。
この溝S2と上述の溝S1とが互いに交差した状態でロール体R’の外周側面に形成されることによって、ロール体R’の外周側面には、網目状に隙間なく隣接した四角錐状の凹凸形状Sが形成されることとなり、図6(a)に示すロール版Rが完成する。このように、ロール版Rは、回転するロール体R’にバイトTにより溝S1及び溝S2の加工を施すことによって製造されるので、上述のサーキュラーフレネルレンズ形状を成形するロール版を製造する場合に比して、ロール版をより容易に製造することができる。
次に、実施例及び比較例の反射スクリーンを製造して、各反射スクリーンのスクリーン面内の輝度分布の均一性について評価した。その評価結果を表1に示す。
実施例1及び実施例2の反射スクリーンは、上述の実施形態の反射スクリーンに基づくものである。
実施例1の反射スクリーンは、レンズ面の角度αが16°、非レンズ面の角度βが90°、単位レンズの配列角度γが18°に形成されている。
実施例2の反射スクリーンは、レンズ面の角度αが20°、非レンズ面の角度βが90°、単位レンズの配列角度γが30°に形成されている。
これに対して、実施例1の反射スクリーンに映像光を投射したところ、反射スクリーンに表示される画像全体の輝度がほぼ均一であったので、実施例1の反射スクリーンの面内均一性の評価は「○」となった。
また、実施例2の反射スクリーンに映像光を投射したところ、反射スクリーンに表示される画像全体の輝度が均一であったので、実施例2の反射スクリーンの面内均一性の評価は「◎」となった。
以上より、実施例1及び実施例2の反射スクリーンは、比較例の反射スクリーンに比して、スクリーン面内の輝度分布が均一になることが確認された。
また、本実施形態の反射スクリーン20は、レンズ層がリニアフレネルレンズ形状に形成されているので、ロール搬送の方式により、順次、複数の反射スクリーンを製造することができ、反射スクリーン20の製造効率を向上させるとともに、製造コストを安価にすることができる。
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)上述の実施形態において、単位レンズ231の角度α、β、レンズ高さh、配列ピッチP、配列角度γは、それぞれ一定である例で説明したが、これに限定されるものでない。例えば、反射スクリーンの画面左右方向の位置に応じて、角度α、β、レンズ高さh、配列ピッチP、配列角度γが変動するようにして単位レンズを形成してもよい。
また、基材層24は、着色層242のみを備え、着色層242が着色剤に加えてさらに光拡散材を含有する形態としてもよい。
さらに、光拡散層241と着色層242とは、別々に成形された光拡散層241と着色層242とを粘着剤等で接合して基材層24としてもよい。
この場合、反射スクリーンは、上述の実施形態とは画面上下方向を逆にして使用する必要がある。すなわち、レンズ面232は、単位レンズ231の4つの斜面のうち、画面上下方向の上方側に位置する2つの斜面となり、非レンズ面233は、単位レンズ231の4つの斜面のうち、画面上下方向の下方側に位置する2つの斜面となる。
20 反射スクリーン
21 保護層
22 反射層
23 レンズ層
231 単位レンズ
232 レンズ面
233 非レンズ面
24 基材層
25 表面層
LS 映像源
Claims (3)
- 映像源から投射された映像光を反射して画面に表示する反射スクリーンであって、
前記映像源側とは反対の背面側に、レンズ面及び非レンズ面を有した単位レンズが複数配列されたレンズ層と、
少なくとも前記レンズ面に形成され、光を反射する反射層とを備え、
前記単位レンズは、底面及び4つの三角形状の斜面から構成され、前記底面に対向する頂点が前記映像源側に凹となる四角錐状の窪みを有し、前記底面を形成する4辺がそれぞれ、スクリーン面に平行な面内において画面左右方向に対して傾斜しており、
前記レンズ面は、4つの前記斜面のうち、画面上下方向の上方又は下方側に位置する2つの斜面であり、
前記非レンズ面は、4つの前記斜面のうち、画面上下方向の下方又は上方側に位置する2つの斜面であること、
を特徴とする反射スクリーン。 - 請求項1に記載の反射スクリーンにおいて、
前記単位レンズは、前記四角錐状の前記底面が、ひし形形状に形成されており、前記レンズ層の背面側に網目状に配列されていること、
を特徴とする反射スクリーン。 - 請求項1又は請求項2に記載の反射スクリーンと、
前記反射スクリーンに映像光を投射する映像源と、
を備える映像表示システム。
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