JP2013160951A - 光制御シート、これを備えた透過型スクリーン、および背面投射型表示装置 - Google Patents

光制御シート、これを備えた透過型スクリーン、および背面投射型表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、光制御シートの映像光出射面の少なくとも一部が250mm以上1500mm以下の曲率半径を有する場合においても、異物の付着による光制御シートの品質不良を低減でき、製造工程における搬送制御系の負担を低減でき、良好な映像を表示できる光制御シート、これを備えた透過型スクリーン、および背面投射型表示装置を提供するものである。
【解決手段】 前記光制御シートの一部を構成する単位光透過部を、15%以上50%以下の伸び率を有する光透過性樹脂から形成し、前記光透過性樹脂のJIS Z0237に準拠した方法におけるプローブタックが185Pa以上375Pa以下の範囲とすることにより、上記課題を解決する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、光制御シート、これを備えた透過型スクリーン、および背面投射型表示装置に関する。
映像光をスクリーンの背面側から投射して表示する背面投射型表示装置においては、投射された映像光を透過して映像を表示させる透過型スクリーンが用いられている。このような透過型スクリーンとしては、様々な構造のものが提案されており、例えば、複数の単位光透過部と、単位光透過部と交互に配置された複数の帯状の単位光吸収部とを有する光制御シートを備えたものが提案されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
ここで、前記単位光透過部は、透過型スクリーンの背面側から投射された映像光を透過する機能等を有するものであり、前記単位光吸収部は、二重像の原因となる迷光や外光等を吸収してコントラストを向上させる機能等を有するものである。
そして、コントラストの向上等のためには、前記単位光吸収部の断面形状が、透過型スクリーンの背面側に向かって尖ったV字状の溝のような形状、または台形状の溝のような形状であることが、好ましい。
一方で、例えば自動車等の分野においては、意匠性が非常に重要視される。現在、このような分野に適用される背面投射型表示装置には、単に映像を表示する機能が期待されているだけでなく、意匠面におけるシステム全体との調和も要求されている。そして、このような意匠性の観点から、曲面形状を有する透過型スクリーンの開発が望まれている。
特開2003−50307号公報 特開2003−57416号公報
上述のように透過型スクリーンを曲面形状に形成する場合、光制御シートを構成する単位光透過部と単位光吸収部との間にクラックが発生してしまい、外観が損なわれるおそれがある。そして、クラックが発生すると、映像光を透過型スクリーンに投影したとき、クラック部分がスジとして表示されてしまい、良好な映像を表示することが困難となるおそれがある。
ここで、上記のクラックに対しては、単位光透過部を構成する樹脂、および、単位光吸収部を構成する樹脂に延伸性を付与することで解決可能なことが判明した。
しかしながら、上述のような延伸性を付与するにつれ、表面に発現するタック性が大きくなることも明らかとなった。
前記タック性、特に、前記単位光透過部の表面のタック性が増大してしまうと、例えば、単位光透過部を形成した帯状の光制御シートが搬送ロールにとられ、ばたつくことにより、光制御シートに異物が付着し、品質不良が発生するという問題を生じるおそれがある。
また、搬送される帯状の光制御シートの張力が不安定になり、搬送制御系の負担が大きくなるという問題や、前記単位光透過部間に設けられた溝への前記単位光吸収部を構成する樹脂の充填が不安定になり、その結果、単位光吸収部としての機能が劣化し、透過型スクリーンのコントラストが低下して良好な映像を表示できないという問題が生じるおそれもある。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、光制御シートの映像光出射面の少なくとも一部が250mm以上1500mm以下の曲率半径を有する場合においても、異物の付着による光制御シートの品質不良を低減でき、製造工程における搬送制御系の負担を低減でき、良好な映像を表示できる光制御シート、これを備えた透過型スクリーン、および背面投射型表示装置を提供することである。
すなわち、本発明の請求項1に係る発明は、映像光源から投射された映像光を透過して観察者側に出射する透過型スクリーンに用いられる光制御シートであって、前記光制御シートは、映像光出射面の少なくとも一部が250mm以上1500mm以下の曲率半径を有するように曲っており、前記映像光出射面の一部を構成する複数の単位光透過部と、前記映像光出射面の一部を構成し、前記単位光透過部と交互に配置され、80μm以上150μm以下の高さを有する複数の単位光吸収部と、を備えており、前記単位光吸収部が光吸収材を含有する樹脂からなり、前記光吸収材を含有する樹脂の伸び率が15%以上40%以下であり、前記単位光透過部が15%以上50%以下の伸び率を有する光透過性樹脂からなり、前記光透過性樹脂のJIS Z0237に準拠した方法におけるプローブタックが185Pa以上375Pa以下であることを特徴とする光制御シートである。
また、本発明の請求項2に係る発明は、映像光源から投射された映像光を透過して観察者側に出射する透過型スクリーンであって、請求項1に記載の光制御シートと、前記光制御シートの映像光出射側に配置された光拡散層とを有する積層体を備え、前記積層体全体が曲面をなすように曲っていることを特徴とする透過型スクリーンである。
また、本発明の請求項3に係る発明は、前記積層体全体が三次元曲面をなすように曲がっていることを特徴とする請求項2に記載の透過型スクリーンである。
また、本発明の請求項4に係る発明は、前記積層体よりも前記映像光源側に配置された、フレネルレンズ部を有するフレネルレンズシートをさらに備え、前記フレネルレンズシートが曲面をなすように曲っていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の透過型スクリーンである。
また、本発明の請求項5に係る発明は、前記単位光透過部および前記単位光吸収部が、前記透過型スクリーンの横方向に延在していることを特徴とする請求項4に記載の透過型スクリーンである。
また、本発明の請求項6に係る発明は、前記フレネルレンズ部が、前記フレネルレンズシートのフレネルレンズ部形成面の中心に対して前記透過型スクリーンの縦方向下側に偏心した位置に光学中心を有することを特徴とする請求項4に記載の透過型スクリーンである。
また、本発明の請求項7に係る発明は、前記単位光透過部および前記単位光吸収部が、前記フレネルレンズ部形成面の中心と前記フレネルレンズ部の光学中心とを結ぶ方向と略平行であり、かつ、前記映像光出射面に沿った第1の方向に交互に並べて配置されるとともに、前記第1の方向と略直交し、かつ、前記映像光出射面に沿った第2の方向に延在していることを特徴とする請求項6に記載の透過型スクリーンである。
また、本発明の請求項8に係る発明は、請求項2乃至請求項7のいずれか1項に記載の透過型スクリーンと、前記透過型スクリーンの背面側に配置され、前記透過型スクリーンに映像光を投射する映像光源と、を備えることを特徴とする背面投射型表示装置である。
また、本発明の請求項9に係る発明は、前記透過型スクリーンに赤外光を投射する赤外光源と、前記赤外光を検出可能な赤外光検出器と、をさらに備えることを特徴とする請求項8に記載の背面投射型表示装置である。
本発明によれば、光制御シートの単位光透過部が、15%以上50%以下の伸び率を有する光透過性樹脂からなり、光制御シートの単位光吸収部が、光吸収材を含有する樹脂からなり、前記光吸収材を含有する樹脂が、15%以上40%以下の伸び率を有しているため、光制御シートの映像光出射面の少なくとも一部が250mm以上1500mm以下の曲率半径を有するように光制御シートを曲面成形した場合であっても、単位光透過部と単位光吸収部との間におけるクラックの発生を抑制することができる。それゆえ、本発明に係る光制御シートにおいては、外観が損なわれることはなく、本発明に係る光制御シートを備えた透過型スクリーンにおいては、良好な映像を表示することができる。
また、本発明によれば、光制御シートの単位光透過部を構成する光透過性樹脂のJIS Z0237に準拠した方法におけるプローブタックが、185Pa以上375Pa以下であるため、上記のような伸び率を、前記光透過性樹脂、および、前記光吸収材を含有する樹脂に付与した場合であっても、異物の付着による光制御シートの品質不良の発生を低減でき、製造工程における搬送制御系の負担を低減することができ、さらに、前記単位光吸収部を構成する樹脂の充填を安定させることができる。
そのため、本発明に係る光制御シートを備えた透過型スクリーンは、コントラストに優れたものとなり、良好な映像を表示することができる。
第1の実施形態に係る透過型スクリーンの模式的な斜視図である。 第1の実施形態に係る透過型スクリーンの概略構成図である。 図2のI−I線に沿って透過型スクリーンを切断したときの断面図である。 図2に示されるフレネルレンズシートの概略斜視図である。 図2に示されるフレネルレンズシートを映像光出射側から見たときのフレネルレンズシートの平面図である。 第1の実施形態に係る他の態様のフレネルレンズシートを示す図である。 図2に示される光制御シートの概略斜視図である。 図7のII−II線に沿って光制御シートを切断したときの断面図である。 第1の実施形態に係る透過型スクリーンの製造工程を模式的に示した図である。 第1の実施形態に係る透過型スクリーンの製造工程を模式的に示した図である。 第1の実施形態に係る透過型スクリーンの製造工程を模式的に示した図である。 第1の実施形態に係る背面投射型表示装置の模式的な断面図である。 第2の実施形態に係る透過型スクリーンの製造工程を模式的に示した図である。 第3の実施形態に係るタッチパネル機能を有する背面投射型表示装置の模式的な断面図である。 第3の実施形態に係るタッチパネル機能を有する背面投射型表示装置を上方から見た図である。
(第1の実施形態)
<光制御シートおよび透過型スクリーン>
先ず、本発明の第1の実施形態に係る光制御シートおよび透過型スクリーンについて、図面を参照しながら説明する。図1は本実施形態に係る透過型スクリーンの模式的な斜視図であり、図2は本実施形態に係る透過型スクリーンの概略構成図であり、図3は図2のI−I線に沿って透過型スクリーンを切断したときの断面図である。図4は図2に示されるフレネルレンズシートの概略斜視図であり、図5は図2に示されるフレネルレンズシートを映像光出射側から見たときのフレネルレンズシートの平面図である。図6は本実施形態に係る他の態様のフレネルレンズシートを示す図であり、図7は図2に示される光制御シートの概略斜視図であり、図8は図7のII−II線に沿って光制御シートを切断したときの断面図である。
図1および図2に示される透過型スクリーン10は、フレネルレンズシート20と、フレネルレンズシート20の映像光出射側に配置された積層体30とを備えている。
図1および図2に示されるフレネルレンズシート20および積層体30は、曲面をなすように曲がったものである。その曲率半径は用途によって適宜選択されるが、フレネルレンズシート20および積層体30の全体は、少なくとも一部が250mm以上1500mm以下の曲率半径を有するように曲っていることが好ましい。
また、フレネルレンズシート20および積層体30は、二次元曲面または三次元曲面をなすように曲がっている。好ましくは、フレネルレンズシート20および積層体30は、図1および図2に示されるように三次元曲面をなすように曲がっている。
ここで、本明細書において、「二次元曲面」とは単一の軸を中心として二次元的に曲がったもの、或いは、互いに平行な複数の軸を中心として異なる曲率で二次元的に曲がったものを意味し、また「三次元曲面」とは互いに対して傾斜した複数の軸をそれぞれ中心として、部分的または全体的に曲がっていることを意味するものとする。
本実施形態においては、図1に示すように、フレネルレンズシート20および積層体30は、概ね、一方の対角線と平行で透過型スクリーン10の背面側(映像光入射側)に位置する第1の軸A1を中心とした方向d1に曲がるとともに、他方の対角線と平行で透過型スクリーン10の背面側(映像光入射側)に位置する第2の軸A2を中心とした方向d2にも曲がっている。この結果、透過型スクリーン10は観察者側へ凸となるように曲がっており、透過型スクリーン10の平面形状をなす矩形状の一対の対角線が交わる中央位置Pにおいて、透過型スクリーン10の映像光出射面10a(表示面)は観察者側に最も突出している。
なお、図1に示される透過型スクリーン10は、観察者側へ凸となるように曲がったものであるが、本発明に係る透過型スクリーンは、これに限らず、観察者側へ凹、すなわち背面側へ凸となるように曲がっていてもよく、また観察者側へ凸となるように曲がった部分と、背面側へ凸となるように曲がった部分とを組み合わせた形状となっていてもよい。
<フレネルレンズシート>
図2および図3に示されるフレネルレンズシート20は、基部21と、基部21の表面に形成されたフレネルレンズ部22を備えている。
フレネルレンズ部22は、映像光源(図示せず)から発散光束として透過型スクリーン10に投射される映像光の進行方向を偏向させる機能を有している。具体的には、図3に示すように、フレネルレンズ部22は、発散光束として入射した映像光L1を、映像光入射側から映像光出射側へ向けて進む平行光束、例えば正面方向Nへ進む平行光束に変換する。このようにフレネルレンズ部22を用いて映像光をいったん平行光化させておくことにより、観察者に観察される映像、とりわけ、観察者によって斜め方向から観察される映像の明るさの面内ばらつきを効果的に緩和させることができる。
本実施形態では、図4および図5に示すように、フレネルレンズ部22は、いわゆるサーキュラーフレネルレンズとして構成されている。ただし、これに限られず、いわゆるリニアフレネルレンズとして構成されていてもよい。リニアフレネルレンズでは、複数の単位レンズの各々が直線状に延び、かつ、複数の単位レンズがその長手方向と交差する配列方向に配列されるようになる。
フレネルレンズ部22は、図5に示されるようにフレネルレンズシート20のフレネルレンズ部形成面20aの中心O1に対して偏心した位置に光学中心O2を有することが好ましい。具体的には、フレネルレンズ部22は、光学中心O2を中心とする同心円弧状または同心円状の複数の単位プリズム23から構成されている。
ここで、上記「フレネルレンズ部形成面」とは、フレネルレンズシートにおけるフレネルレンズ部が形成されている面であり、フレネルレンズシートが屈折型のフレネルレンズシートの場合には、フレネルレンズ部形成面は映像光出射側に位置し、フレネルレンズシートが後述する全反射型のフレネルレンズシートの場合には、フレネルレンズ部形成面は映像光入射側に位置している。
図5に示されるフレネルレンズ部22の光学中心O2は、フレネルレンズシート20から外れた位置に存在する。例えば、映像光源(図示せず)が透過型スクリーン10よりも下方に配置される場合には、光学中心O2は、フレネルレンズシート20外であってフレネルレンズ部形成面20aの中心O1に対して透過型スクリーン10の縦方向下側の位置に存在する。
なお、上記では、光学中心O2は、フレネルレンズシート20から外れた位置に存在しているが、フレネルレンズシート20内に存在していてもよい。
ここで、本明細書においては、透過型スクリーン10の「縦方向」とは、観察者が透過型スクリーン10を正面から見たとき、観察者の上下方向を意味するものとし、また透過型スクリーン10の「横方向」とは、観察者が透過型スクリーン10を正面から見たとき、観察者の左右方向を意味するものとする。
このように光学中心O2が偏心したフレネルレンズ部22を形成することにより、フレネルレンズシート20と映像光源との距離を短くした場合であっても、映像光を、映像光入射側から映像光出射側へ向けて進む平行光束、例えば図1に示される正面方向Nへ進む平行光束に変換することができる。
なお、上記においては、光学中心O2がフレネルレンズ部形成面20aの中心O1に対して偏心したフレネルレンズ部22を用いた実施形態について説明しているが、本発明においては、光学中心がフレネルレンズ部形成面の中心に対して偏心していないフレネルレンズ部を用いることも可能である。
また、上記においては、フレネルレンズシート20が、いわゆる屈折型のフレネルレンズである例について説明しているが、本発明においては、これに限られず、全反射型のフレネルレンズシートを用いることも可能である。
全反射型のフレネルレンズシート24は、図6に示されるように、入射する映像光を屈折させる屈折面25aと、屈折面25aで屈折された映像光の少なくとも一部を全反射させて、映像光出射側に向ける全反射面25bとを有する複数の単位プリズム25を備えたものである。全反射型のフレネルレンズシート24を用いた場合には、さらに映像光源とフレネルレンズシート24との距離を縮めることができるので、より薄型の背面投射型表示装置を提供することができる。
また、図2〜図4に示されるようにフレネルレンズシート20は、基部21よりも映像光入射側にフレネルレンズシート20を補強するための入射側透明基材26を有していてもよい。入射側透明基材26と基部21は、粘着剤や紫外線硬化型接着剤のような接着剤等からなる接合層(図示せず)を介して互いに接合されている。
入射側透明基材26は、フレネルレンズシート20と同様に、曲面をなすように曲がったものである。入射側透明基材26としては、例えばアクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル−スチレン共重合体樹脂等の透明樹脂からなる基材が挙げられる。
入射側透明基材26の厚みは、1.0mm〜4.0mmであることが好ましく、1.5mm〜2.0mmであることがより好ましい。入射側透明基材26の厚みが1.0mm未満であると、補強部材としての機能を十分に果たすことができないおそれがあるからであり、また4.0mmを超えると、次に説明する理由から二重像が観察者に認識されやすくなるからである。すなわち、フレネルレンズシートの厚みが厚い場合には、フレネルレンズシートの厚みが薄い場合に比べてフレネルレンズシートから出射される映像光と迷光との距離が大きくなり、この距離が大きくなると、観察者に二重像として認識されやすくなる。したがって、フレネルレンズシート20が同じ厚さであったとしても、入射側透明基材26の厚さが厚い場合には、観察者に二重像が認識されやすくなる。
<積層体>
積層体30の構成としては、例えば、図2および図3に示されるように、映像光入射側から映像光出射側に向けて、順に、透明基材35、接合層40、光制御シート45、接合層50、光拡散層55、および表面層60を有しているものが挙げられる。
なお、本発明においては、積層体30は、光制御シート45および光拡散層55を有していればよく、透明基材35、接合層40、50および表面層60を有していなくともよい。
<透明基材>
上記の透明基材35は、透過型スクリーン10の剛性を高めるものである。ここで、フレネルレンズシート20の入射側透明基材26の厚みを厚くして、透過型スクリーン10の剛性を高めることも可能であるが、入射側透明基材26の厚みを厚くした場合には、観察者に二重像が認識されやすくなる。したがって、入射側透明基材26の厚みを厚くして透過型スクリーン10の剛性を高めるよりも、透明基材35を配置して透過型スクリーン10の剛性を高めた方が、観察者に二重像が認識されにくくなるので、効果的である。また、透明基材35を配置することにより透過型スクリーン10の剛性を高めることができるので、入射側透明基材26の厚みをより薄くすることができ、二重像がさらに認識されにくくなる。
透明基材35の厚みは、1.5mm以上であることが好ましく、3mm以上であることがより好ましい。透明基材35の厚みが1.5mm未満であると、透過型スクリーン10の剛性を高めるという機能を十分に果たすことができないおそれがあるからである。
透明基材35としては、例えばアクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル−スチレン共重合体樹脂等の透明樹脂からなる基材が挙げられる。
<光制御シート>
光制御シート45は、透明基材35の映像光出射側(観察者側)に配置されている。この光制御シート45は、光制御シート45に入射した映像光を透過するものであるとともに、二重像の原因となる迷光や外光等を吸収するためのものである。光制御シート45は、用途によって異なるが、意匠性を向上させる観点から、図7および図8に示される映像光出射面45aの少なくとも一部が250mm以上1500mm以下の曲率半径を有するものである。
図3、図7および図8に示されるように光制御シート45は、基材部46と、基材部46上に形成され、入射した映像光を透過する複数の単位光透過部47と、前記複数の単位光透過部47間に形成され、迷光を吸収する複数の単位光吸収部48とを備えている。
基材部46は、図8に示されるように光制御シート45の映像光入射面45bを構成するものである。単位光透過部47および単位光吸収部48は、図8に示されるようにそれぞれ光制御シート45の映像光出射面45aを構成するものであり、映像光出射面45aに沿って配置されている。また、単位光透過部47および単位光吸収部48は、図7に示されるように透過型スクリーン10の横方向に延在しており、透過型スクリーン10の縦方向に交互に配置されている。
また、光制御シート45とフレネルレンズシート20との配置関係においては、単位光透過部47および単位光吸収部48は、フレネルレンズ部形成面20aの中心O1とフレネルレンズ部22の光学中心O2とを結ぶ方向と略平行でありかつ映像光出射面45aに沿った第1の方向に交互に並べて配置されている。この場合、単位光透過部47および単位光吸収部48は、第1の方向と略直交しかつ映像光出射面45aに沿った第2の方向に延在している。ここで、図1等においては、「第1の方向」と「縦方向」および「第2の方向」と「横方向」が一致しているが、「第1の方向」と「第2の方向」は光制御シート45とフレネルレンズシート20との配置関係を表すためのものであり、必ずしも「第1の方向」と「縦方向」および「第2の方向」と「横方向」は一致していなくともよい。
基材部46は、単位光透過部47や単位光吸収部48を形成するためのベースとなる層である。
基材部46としては、透明樹脂フィルム、透明樹脂板、透明樹脂シートや透明ガラスを用いることができる。透明樹脂フィルムとしては、トリアセテートセルロース(TAC)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系フィルム、ジアセチルセルロースフィルム、アセテートブチレートセルロースフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリアクリル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリルロニトリルフィルム等を好適に使用できるが、これらの中でも、ポリエステル系フィルムが好ましく用いられる。ポリエステル系フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートの他、ポリブチレンテレフタレート、ポリナフタレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等が挙げられる。
<単位光透過部>
単位光透過部47は、光制御シート45の厚さ方向の断面形状が略台形となっている。この台形は、映像光出射面45aが上底であり、映像光入射側が上底より長さが長い下底とするものである。
単位光透過部47は、15%以上50%以下、好ましくは20%以上50%以下の伸び率を有する光透過性樹脂からなるものである。この数値範囲としたのは、光透過性樹脂の伸び率が15%未満であると、単位光透過部と単位光吸収部との間におけるクラックの発生を抑制することができないおそれがあるからである。また、光透過性樹脂の伸び率が50%を超えると、製造上の問題が生じるおそれがあるからである。すなわち、単位光透過部は、単位光透過部の形状に対応する溝を有する金型に光透過部用組成物を供給し、硬化させて、光透過性樹脂を得ることにより形成することが可能であるが、光透過性樹脂の伸び率が50%を超えると、金型から単位光透過部を引き剥がす際に剥がし難くなる。
ここで、本明細書における「伸び率」とは、測定対象となる樹脂を用いて、長さ10cm、幅1cm、厚さ150μmの短冊状のフィルム試片を作製し、そのフィルム試片を、引張り試験機を用いて、100℃おいて、長さ方向に引張速度200mm/分で引張り、フィルム試片が破断したときの伸び率(%)を意味する。具体的には、伸び率(%)は、以下の式によって求める。
伸び率(%)=(破断時のフィルム試片長さ−試験前のフィルム試片長さ(10cm))/試験前のフィルム試片長さ(10cm))×100
光透過性樹脂としては、例えば、電子線、紫外線等の電離放射線により硬化する特徴を有する電離放射線硬化型樹脂組成物等の硬化物が挙げられる。
電離放射線硬化型樹脂組成物に含まれるベース樹脂としては、比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジェン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物の(メタ)アルリレート等が挙げられる。これらの中でもウレタン樹脂のアクリレート(ウレタンアクリレート)やエポキシ樹脂のアクリレート(エポキシアクリレート)が好ましい。また、電離放射線硬化型樹脂組成物には、(メタ)アクリレートモノマー等の反応性希釈剤を含んでいてもよい。また、電離放射線硬化型樹脂組成物を紫外線硬化型樹脂組成物とする場合には、組成物中に重合開始剤や光増感剤等を混合する。
伸び率が15%以上50%以下の光透過性樹脂は、光透過性樹脂の架橋度を変えることにより得られる。具体的には、伸び率が15%以上50%以下の光透過性樹脂は、従来の単位光透過部を構成する光透過性樹脂よりも架橋度を低くすることにより得ることができる。架橋度は、架橋剤、重合開始剤、およびベース樹脂等を調製することによって、変えることができる。
また、本発明においては、単位光透過部47を構成する前記光透過性樹脂のJIS Z0237に準拠した方法におけるプローブタックが、185Pa以上375Pa以下の範囲である。
この数値範囲としたのは、前記光透過性樹脂のプローブタックの値が、185Pa未満であると、前記光透過性樹脂に上記の伸び率を付与することが困難になり、また、前記光透過性樹脂のプローブタックの値が、375Paを超えると、上述の異物混入等の問題が生じるおそれがあるからである。
なお、「タック(tack)」とは、「粘着力(adhesion)」、「保持力(holding power)」とともに、粘着剤の実用特性を表現する物性値であり、上記の「粘着力」が恒久の接着性の指針とされるのに対し、「タック」は瞬間的な接着性の指針となるものである。
「タック」の測定方法としては、傾斜式ボールタック試験法がJIS Z0237に採用されており、JIS Z0237の規定に関連する事項を補足するものとして、ローリングボールタック試験法とプローブタック試験法が採用されている。
プローブタック試験法とは、金属等からなる円柱プローブの底面を、試験片の粘着面に一定の圧力で押し当てた後これを引き離す際に要する力を測定する方法である。
本明細書における「プローブタック」とは、上記のJIS Z0237に準拠したプローブタック試験法により求めた値であり、より、具体的には、材質がステンレスであって、底面の直径が5mmのプローブを用い、プローブ加圧力を100gf、プローブ押し込み速度を120mm/分、プローブ保持時間を0.1秒、プローブ引き離し速度を600mm/minの条件で測定して得られた40℃環境下の値である。
上記プローブタックが185Pa以上375Pa以下の光透過性樹脂は、例えば、光透過性樹脂の架橋度を変えることにより得られる。具体的には、従来の単位光透過部を構成する光透過性樹脂よりも架橋度を低くすることにより得ることができる。架橋度は、架橋剤、重合開始剤、およびベース樹脂等を調製することによって、変えることができる。
<単位光吸収部>
単位光吸収部48は、図8に示されるように80μm以上150μm以下の高さHを有する。また、単位光吸収部48は、単位光吸収部48が隣り合う単位光透過部47により形成される、断面形状がV字状の溝、または台形状の溝に形成されていることが好ましい。すなわち、断面形状がV字状の溝の場合には、単位光吸収部48は光制御シート45の厚さ方向の断面形状が映像光出射面45aを底辺とする略三角形となっており、断面形状が台形状の溝の場合には、光制御シート45の映像光入射側を上底としかつ光制御シート45の映像光出射面45aを下底とするものである。ここで、「下底」の長さは「上底」の長さより長いものとする。
単位光吸収部48は、光吸収材等を含有する樹脂から構成することが可能である。この樹脂としては、電離放射線硬化型樹脂組成物の硬化物が挙げられる。この電離放射線硬化型樹脂組成物としては、上記単位光透過部47を形成するための電離放射線硬化型樹脂組成物と同様のものが使用できる。
光吸収材は、可視光である外光や迷光を吸収する機能を有すればよく、光吸収材としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト、黒色酸化鉄等の金属塩等、顔料または染料、顔料または染料で着色された樹脂粒子等が挙げられる。
光吸収材が顔料または染料で着色された樹脂粒子である場合、樹脂粒子としては、メラミンビーズ、アクリルビーズ、アクリル−スチレンビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズ、ポリスチレンビーズ等のプラスチックビーズが挙げられる、これらの中でもアクリルビーズが好ましい。
本発明において、単位光吸収部48を構成する光吸収材等を含有する樹脂は、光吸収材等を含有する状態で、15%以上40%以下、好ましくは20%以上40%以下の伸び率を有することが好ましい。これは、単位光透過部と単位光吸収部との間におけるクラックの発生をより確実に抑制するためである。なお、単位光吸収部48を構成する光吸収材等を含有する樹脂の伸び率が15%未満であると、単位光透過部と単位光吸収部との間におけるクラックの発生をより確実に抑制することができないおそれがある。また、上述したように単位光透過部47を構成する光透過性樹脂の伸び率が15%以上50%以下となっているので、単位光吸収部48を構成する光吸収材等を含有する樹脂の伸び率が40%を超えると、光制御シートが柔らかくなりすぎてしまい、光制御シート全体として所望の硬さが得られないおそれがある。
なお、上述の光透過性樹脂と同様に、光吸収材等を含有する樹脂の伸び率を15%以上40%以下に調整するには、光吸収材等を含有する樹脂の架橋度を変えることで調整できる。
また、単位光吸収部48を構成する光吸収材等を含有する樹脂は、光吸収材等を含有する状態で、1700mPa・s以上3500mPa・s以下の粘度を有することが好ましい。
粘度が1700mPa・s未満の場合には、単位光吸収部48となる前記V字状または台形状の溝に前記電離放射線硬化型樹脂組成物を含む溶剤を充填する際に、バンク(液盛り)を良好に形成できないおそれがある。
一方、粘度が3500mPa・sを超える場合には、前記V字状または台形状の溝の深部(先端部)にまで前記電離放射線硬化型樹脂組成物が充填されにくくなり、形成される光吸収の形状が不完全なものとなるおそれがある。そして、光吸収部が十分に外光や迷光を吸収できなくなり、コントラストが低下してしまうおそれがある。
なお、本明細書において、「粘度」とは、JIS K7117−1に準拠した方法に従って、B型粘度計を用いて25℃の環境下にて測定した値を意味するものとする。
また、単位光吸収部48を構成する光吸収材等を含有する樹脂は、光吸収材等を含有する状態で、その表面張力が、単位光透過部47を構成する光透過性樹脂の表面張力よりも小さいことが好ましい。
単位光吸収部48を構成する光吸収材等を含有する樹脂の表面張力が、単位光透過部47を構成する光透過性樹脂の表面張力よりも大きい場合には、塗れ性が悪化して、前記V字状または台形状の溝への充填が不良となるおそれがあるからである。
なお、本明細書において、「表面張力」とは、Wilhelmy法(プレート法)により25℃で測定された値を意味し、測定する組成物(液体)中に、釣り下げた測定子(プレート)を浸した際の、測定子が組成物中に引き込まれる力を測定し、下記式により算出される。
P=mg+Lγ・cosθ−shρg
(式中、Pは測定子が組成物中に引き込まれる力を表し、m、L、sおよびhは、それぞれ、測定子の質量、周知長、断面積、および測定子が組成物中に沈んだ深さを表し、gは重力加速度を表し、γは表面張力を表し、θは測定子と組成物との接触角を表し、ρは組成物の密度を表す。)
<光拡散層>
光拡散層55は、光制御シート45の映像光出射側(観察者側)に配置されている。光制御シート45から出射した映像光を等方的に拡散させるためのものである。
光拡散層55の厚みは、0.05mm〜2.0mmであることが好ましく、0.1mm〜1.5mmであることがより好ましい。光拡散層55の厚みが0.05mm未満であると、光拡散効果が十分に得られないおそれがあるからであり、また2.0mmを超えると透過型スクリーン10に映し出される映像がぼやけてしまい、解像性に劣る映像となってしまうおそれがあるからである。
光拡散層55は、光透過性樹脂に光拡散粒子を含有させたものから構成することが可能である。光拡散層55は、例えば、光透過性樹脂と光拡散粒子との間の屈折率差に起因して、または、光拡散粒子自体が有する反射性に起因して、映像光を等方的に拡散する機能を発現する。光拡散層55の光拡散能によって、光制御シートを透過した映像光が拡散され、観察者は、光拡散層55の光拡散能に応じた視野角の範囲内で映像を観察することができる。
光透過性樹脂としては、例えば、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体(MBS)、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等が挙げられる。
光拡散粒子としては、プラスチックビーズ等の有機フィラーが好適であり、特に透明度が高いものが好ましい。プラスチックビーズとしては、メラミンビーズ、アクリルビーズ、アクリル−スチレンビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズ、ポリスチレンビーズ、塩化ビニルビーズ等が挙げられ、これらの中でもアクリルビーズが好ましい。また、プラスチックビーズのみならず、シリコンビーズ等も使用することも可能である。さらに、プラスチックビーズとシリコンビーズ等を併用することも可能である。
<表面層>
表面層60は、光拡散層55より観察面側に設けられる層であり、ハードコート機能、防眩機能、反射防止機能、帯電防止機能、紫外線吸収機能および防汚機能の少なくともいずれかの機能を有する層である。本実施形態では、表面層60は、ハードコート機能を有する層(ハードコート層)となっている。ハードコート層は、透明性を有し、JISK5600−5−4(1994)で規定される鉛筆硬度試験で「HB」以上の硬度を示すものである。
<透過型スクリーンの製造方法>
このような透過型スクリーン10は、例えば、以下のような製造方法により作製することが可能である。図9(a)〜図11は本実施形態に係る透過型スクリーンの製造工程を示した図である。
まず、フレネルレンズシート20を用意する。フレネルレンズシート20は、例えば以下のようにして得ることができる。すなわち、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル−スチレン共重合体樹脂等の透明樹脂からなる基部21と金型との間に紫外線硬化型樹脂組成物等の電離放射線硬化型樹脂組成物を充填し、電離放射線を照射して電離放射線硬化型樹脂組成物を硬化させることによってフレネルレンズ部22を形成する。
そして、基部21の映像光入射面に入射側透明基材26を粘着剤または紫外線硬化型接着剤のような接着剤からなる接合層(図示せず)を用いて接合し、入射側透明基材26を背面側に有するフレネルレンズシート20を形成する(図9(a))。
フレネルレンズシート20を作製した後、フレネルレンズシート20を加熱して、軟化させ、例えばフレネルレンズ部22側が凸となるように、かつフレネルレンズシート20の少なくとも一部が250mm以上1500mm以下の曲率半径を有するように曲面成形する(図9(b))。
具体的には、フレネルレンズシート20を構成する樹脂のガラス転移温度以上の温度にフレネルレンズシート20を加熱して、軟化させる。より具体的には、60〜250℃、好ましくは70〜200℃に加熱して、軟化させる。
そして、この軟化したフレネルレンズシート20を、少なくとも一部が250mm以上1500mm以下の曲率半径を有する型面(図示せず)に、例えば気体圧力を用いた加圧により、非接触で、フレネルレンズシート20を押し付け、あるいは、押圧部材を用いて、フレネルレンズシート20を押し付ける。この曲面成形中、好ましくは、フレネルレンズシート20と型面との間の雰囲気が減圧した状態に保たれ、より好ましくは概ね真空状態に保たれる。これにより、フレネルレンズシート20の少なくとも一部が250mm以上1500mm以下の曲率半径を有するフレネルレンズシート20を得ることができる。
なお、上記では、フレネルレンズ部22側が凸となるようにフレネルレンズシート20を曲面成形しているが、これに限らず、フレネルレンズ部22側が凹となるように、すなわち入射側透明基材26側が凸となるようにフレネルレンズシート20を曲面成形してもよく、またフレネルレンズ部22側が凸となる部分とフレネルレンズ部22側が凹となる部分とを組み合わせた形状となるようにフレネルレンズシート20を曲面成形してもよい。
一方で、透明基材35、光制御シート45、および光拡散層55を用意する。光制御シート45は、例えば、以下の方法によって作製することができる。すなわち、単位光透過部47の形に対応した形の複数の溝を有する金型(図示せず)にシート状の基材部46を送り込み、金型と基材部46との間に、硬化後の状態での伸び率が15%以上50%以下となる電離放射線硬化型樹脂組成物等の光透過部用組成物を供給し、基材部46と金型との間に光透過部用組成物を充填する。その後、電離放射線を照射し、光透過部用組成物を硬化させて、基材部46上に単位光透過部47を形成する。
単位光透過部47を形成した後、単位光透過部47を金型から引き抜き、そして、複数の単位光透過部47間の溝に、光吸収材を含有する電離放射線硬化型樹脂組成物等の光吸収部用組成物を充填し、余剰の組成物をドクターブレード等によって掻き取る。
なお、光制御シート45の映像光出射面45aの少なくとも一部が250mm以上1500mm以下の曲率半径を有するように光制御シート45を曲面成形する場合には、硬化後の状態での伸び率が15%以上40%以下となる光吸収部用組成物を用いることが好ましい。
その後、電離放射線により光吸収部用組成物を硬化させて、単位光透過部47間に単位光吸収部48を形成する。これにより、光制御シート45が作製される。
光拡散層55は、例えば、押出し成形装置を用いて、光拡散粒子を含有する透明樹脂を板状に押出しすることにより作製することができる。また、光拡散層55に使用される透明樹脂および光拡散粒子は、上記で説明したので、説明を省略するものとする。
そして、このように用意した透明基材35、光制御シート45、および光拡散層55をこの順で積層し、積層体80を形成する(図10(a))。なお、これらのシートおよび層を積層する際に、透明基材35と光制御シート45、および光制御シート45と光拡散層55とを、粘着剤または紫外線硬化型接着剤のような接着剤からなる接合層40、50を用いて接合する。
積層体80を作製した後、積層体80を加熱して、軟化させ、光拡散層55側が凸となるように、かつ光制御シート45の映像光出射面45aの少なくとも一部が250mm以上1500mm以下の曲率半径を有するように曲面成形する(図10(b))。
具体的には、積層体80を透明基材35のガラス転移温度以上に加熱して、軟化させる。より、具体的には60〜250℃、好ましくは80〜200℃に加熱して、軟化させる。そして、この軟化した積層体80を、少なくとも一部が250mm以上1500mm以下の曲率半径を有する型面に、例えば気体圧力を用いた加圧により、非接触で積層体80を押し付け、あるいは、押圧部材を用いて積層体80を押し付ける。この曲面成形中、好ましくは、積層体と型面との間の雰囲気が減圧した状態に保たれ、より好ましくは概ね真空状態に保たれる。これにより、積層体80を曲面成形できる。
積層体80を曲面成形した後、光拡散層55上に表面層60を形成して、積層体30を形成する(図10(c))。表面層60として、ハードコート層を形成する場合においては、電離放射線硬化型樹脂組成物を含むハードコート層用組成物を塗布し、乾燥させ、紫外線等の電離放射線により硬化させる。これにより、光拡散層55上に表面層60としてのハードコート層が形成される。なお、ハードコート層は、予め半硬化させたハードコート層を形成しておき、このハードコート層を光拡散層上に載せ、その後硬化させて形成することも可能である。また、熱硬化性塗料を塗布し、加熱乾燥し、硬化させてハードコート層を形成することも可能である。
そして、最後に、曲面成形された積層体30を、曲面成形されたフレネルレンズシート20の映像光出射側に配置する(図11)。なお、この状態においては、透明基材35がフレネルレンズシート20のフレネルレンズ部22側となっており、表面層60が観察者側となっている。これにより、図1に示される透過型スクリーン10が完成する。
<背面投射型表示装置>
透過型スクリーン10は、背面投射型表示装置に組み込んで使用することができる。このような背面投射型表示装置としては、例えば、車載用や船舶用の背面投射型表示装置等が挙げられる。
以下、透過型スクリーン10を組み込んだ背面投射型表示装置について説明する。図12は本実施形態に係る背面投射型表示装置の模式的な断面図である。図12に示されるように背面投射型表示装置70は、例えば、透過型スクリーン10、透過型スクリーン10を支持する例えば筐体のようなスクリーン支持体71、および透過型スクリーン10に映像光を投射する映像光源72を備えている。
本実施形態では、透過型スクリーン10は、透過型スクリーン10が縦方向となるようにスクリーン支持体71に支持されている。とりわけ、透過型スクリーン10の映像光出射面10aのうちの最も観察者側に突出した位置(本実施形態では、透過型スクリーン10の中央位置Pに相当)における法線方向に直交する面(すなわち、最も観察者側に突出した位置での接面)が、略鉛直方向と平行となっている。
映像光源72は、透過型スクリーン10の背面側に配置されている。図12に示される映像光源72は、透過型スクリーン10よりも下方に配置されており、ミラー等を使用せずに透過型スクリーン10に対し映像光を投射するように構成されている。なお、ミラー等を介して透過型スクリーン10に映像光を投射してもよい。
この場合、透過型スクリーン10は、単位光透過部47および単位光吸収部48の延在方向が横方向となり、かつフレネルレンズ部22の光学中心O2がフレネルレンズ部形成面20aの中心O1より縦方向下側となるように配置されている。
なお、図12においては、映像光源72が透過型スクリーン10より下方に配置されているが、映像光源72は透過型スクリーン10よりも上方に配置されていてもよい。この場合、透過型スクリーン10は、単位光透過部47および単位光吸収部48の延在方向が横方向となり、かつフレネルレンズ部22の光学中心O2がフレネルレンズ部形成面20aの中心O1より縦方向上側となるように配置される。
映像光源72は、照射領域がしだいに広がっていく発散光束(拡大投影された光束)として透過型スクリーン10の映像光入射面10bの全域に映像光を照射する。このような映像光源72としては、公知の光源、例えばLEDやレーザを利用したピコプロジェクタ等の小型の光源が挙げられる。
このような背面投射型表示装置70においては、映像光源72から映像光が発せられると、図12に示されるように映像光は、発散光束として、透過型スクリーン10の映像光入射面10bの全域に投射される。そして、図3に示されるように透過型スクリーン10の映像光入射面10bに投射された映像光L1は、入射側透明基材26を透過して、フレネルレンズシート20に入射する。そして、フレネルレンズ部22によって、映像光L1は正面方向Nに向く光に変換される。正面方向Nに向く光となった映像光L1は、透明基材35を介して光制御シート45に入射し、単位光透過部47を介して光制御シート45から出射する。光制御シート45から出射した映像光L1は、光拡散層55で拡散されて、表面層60を介して、透過型スクリーン10の映像光出射面10aから出射する。
このような背面投射型表示装置70においては、映像光は、フレネルレンズシート20によっていったん正面方向Nに向く光に変換された後に光拡散層55で拡散されるので、各方向から表示された映像を観察した場合、明るさの面内ばらつきが緩和された高品質の映像を提供できる。
また、映像光のみならず、図3に示されるように迷光L2もフレネルレンズシート20から出射し、光制御シート45に入射するが、迷光L2は正面方向Nに向く略平行な光とはなっていないので、迷光L2は単位光吸収部48で吸収される。また、外光L3も、光制御シート45の単位光吸収部48によって、吸収される。
本実施形態によれば、光制御シートの単位光透過部が、15%以上50%以下の伸び率を有する光透過性樹脂からなり、光制御シートの単位光吸収部が、光吸収材を含有する樹脂からなり、前記光吸収材を含有する樹脂が、15%以上40%以下の伸び率を有しているため、光制御シートの映像光出射面の少なくとも一部が250mm以上1500mm以下の曲率半径を有するように光制御シートを曲面成形した場合であっても、曲面成形時に、単位光透過部47を構成する光透過性樹脂、および単位光吸収部48を構成する光吸収材を含有する樹脂が延伸することにより、単位光透過部と単位光吸収部との間におけるクラックの発生を抑制することができる。
それゆえ、本発明に係る光制御シートにおいては、外観が損なわれることはなく、本発明に係る光制御シートを備えた透過型スクリーンにおいては、良好な映像を表示することができる。
また、本実施形態によれば、フレネルレンズシート20および積層体30が曲面をなすように曲がっているので、外観が損なわれることなく、意匠性を向上させることができる。
また、本実施形態によれば、単位光透過部と単位光吸収部との間におけるクラックの発生を抑制することができるので、歩留まりを向上させることができるとともに、曲面形状の自由度を向上させることができる。
また、積層体80を曲面成形する前に光拡散層55上に表面層60を形成した場合には、積層体80を曲面成形する際に表面層60が割れてしまうおそれがある。
これに対し、本実施形態においては積層体80を曲面成形した後に光拡散層55上に表面層60を形成しているので、表面層60の割れを防止することができる。
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態においては、透過型スクリーンを、第1の実施形態とは異なる方法によって製造した例について説明する。図13(a)〜図13(c)は、第2の実施形態に係る透過型スクリーンの製造工程を模式的に示した図である。
まず、第1の実施形態と同様に、入射側透明基材26を背面側に有するフレネルレンズシート20を用意する。また、第1の実施形態と同様に、透明基材35、光制御シート45、および光拡散層55を用意し、これらをこの順で積層して、積層体80を形成する。
その後、積層体80がフレネルレンズシート20の映像光出射側に配置されるようにフレネルレンズシート20と積層体80とを積層する(図13(a))。積層された状態では、透明基材35がフレネルレンズシート20のフレネルレンズ部22側となっており、積層体80の光拡散層55が観察者側となっている。
フレネルレンズシート20と積層体80とを積層した後、これらを加熱して、軟化させ、光拡散層55側が凸となるように、かつ光制御シート45の映像光出射面45aの少なくとも一部が250mm以上1500mm以下の曲率半径を有するように、フレネルレンズシート20および積層体80を曲面成形する(図13(b))。
フレネルレンズシート20と積層体80を曲面成形した後、光拡散層55上に表面層60を形成して、積層体30を形成する(図13(c))。これにより、図1に示される透過型スクリーン10が完成する。
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態においては、透過型スクリーンを、タッチパネル機能を有する背面投射型表示装置に組み込んだ例について説明する。図14は本実施形態に係るタッチパネル機能を有する背面投射型表示装置の模式的な断面図であり、図15は本実施形態に係るタッチパネル機能を有する背面投射型表示装置を上方から見た図である。なお、図14および図15中において、第1の実施形態と同様の符号を付している部材等は、第1の実施形態で説明した部材等と同様のものであるので、説明を省略する。
図14に示されるように背面投射型表示装置90は、例えば、透過型スクリーン10、筐体のような透過型スクリーン10を支持するスクリーン支持体71、透過型スクリーン10に映像光を投射する映像光源72を備えている。さらに、この背面投射型表示装置90は、図14および図15に示されるように、透過型スクリーン10に赤外光を投射する赤外光源91と、赤外光を検出可能なCCDカメラ等の赤外光検出器92等を備えている。赤外光源91および赤外光検出器92は、透過型スクリーン10の背面側に配置されている。
赤外光源91から発せられた赤外光は、透過型スクリーン10を透過する。これにより、透過型スクリーン10に例えば指や専用のペン等が触れた場合には、赤外光は指等により反射されるので、赤外光検出器92で指の位置情報を検出することができる。これにより、タッチパネル機能を実現することができる。
なお、本発明は、上記実施の形態の記載内容に限定されるものではなく、構造や材質、各部材の配置等は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
本発明を詳細に説明するために、以下に実施例を挙げて説明する。
(実施例1)
まず、フレネルレンズシートを用意した。フレネルレンズシートの入射側透明基材としては、厚みが1.3mmのアクリル板を使用した。フレネルレンズシートのフレネルレンズ部としては、ウレタンアクリレートを含む紫外線硬化型樹脂組成物の硬化物から構成されており、単位プリズムのピッチが105μmのものを使用した。
そして、このフレネルレンズシートを80℃に加熱し、軟化させるとともに真空成形により曲面成形した。なお、曲面成形は、曲率半径が1000mmとなるように行われた。
一方で、透明基材、光制御シート、および光拡散層を用意した。透明基材としては、厚みが3mmのアクリル板を使用した。
光制御シートとしては、ポリカーボネート(PC)フィルム上に形成された単位光透過部および単位光吸収部を備え、かつ厚みが0.3mmのものを使用した。
単位光透過部を構成する光透過性樹脂は、42.4%の伸び率を有するものであり、単位光吸収部を構成する光吸収材としての着色粒子を含有する樹脂は、着色粒子を含有する状態で、30.5%の伸び率を有するものであった。
また、単位光吸収部を構成する光吸収材としての着色粒子を含有する樹脂は、着色粒子を含有する状態で、2000mPa・sの粘度を有するものであった。
また、単位光透過部を構成する光透過性樹脂の表面張力は36mN/mであり、単位光吸収部を構成する光吸収材としての着色粒子を含有する樹脂は、着色粒子を含有する状態で、その表面張力が30mN/mであった。
また、単位光透過部の屈折率は1.550であり、単位光吸収部の屈折率は1.490であった。単位光吸収部の高さは150μmであった。単位光吸収部の幅は映像光出射面において30μmであり、単位光吸収部における映像光入射側の先端部の幅は6μmであり、単位光吸収部における映像光出射側の底部のピッチは60μmであった。さらに、ポリカーボネートフィルムの法線と単位光吸収部の斜面とによって形成される角度は4.5°であった。
また、単位光透過部を構成する光透過性樹脂のプローブタックの値は、下記の表1に示すように、25℃環境下で187Paであり、40℃環境下で325Paであった。
本発明に係る光制御シートは、具体的には、以下のようにして作製された。
まず、単位光透過部の形に対応した形の複数の溝を有する金型にシート状のポリカーボネートフィルムを送り込み、金型とポリカーボネートフィルムとの間に、ウレタンアクリレート等を含む紫外線硬化型樹脂組成物を供給し、ポリカーボネートと金型との間に前記紫外線硬化型樹脂組成物を充填した。
その後、紫外線を照射し、紫外線硬化型樹脂組成物を硬化させて、ポリカーボネート上に光透過性樹脂からなる単位光透過部を形成した。
単位光透過部を形成した後、単位光透過部を金型から引き抜き、続いて、複数の単位光透過部間の溝に、着色粒子を含有するウレタンアクリレート等を含む紫外線硬化型樹脂組成物を充填し、余剰の組成物をドクターブレードによって掻き取った。
その後、紫外線により前記着色粒子を含有する紫外線硬化型樹脂組成物を硬化させて、単位光透過部間に着色粒子を含有する樹脂からなる単位光吸収部を形成した。
光拡散層としては、屈折率1.550のメチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体(MBS)樹脂中に、光拡散粒子として、屈折率1.500および平均粒径10μmのアクリル系ビーズと、屈折率1.420および平均粒径2μmのシリコン系ビーズとを含有させたものから構成され、かつ厚みが0.14mmのものを使用した。なお、光拡散層の各成分の割合は、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体樹脂50重量%、アクリル系ビーズ40重量%、シリコン系ビーズ10重量%であった。
透明基材等を用意した後、透明基材、光制御シート、および光拡散層をこの順で積層し、積層体を形成した。ここで、透明基材等を積層する際、透明基材と光制御シートとの間、および光制御シートと光拡散層との間を、紫外線硬化型接着剤により接着した。
そして、この積層体を140℃に加熱し、軟化させるとともに型を用いた真空成形により曲面成形した。なお、曲面成形は、光制御シートの映像光出射面の曲率半径が1000mmとなるように行われた。
積層体を曲面成形した後、積層体の表面に、アクリルウレタン系熱硬化塗料を塗布し、加熱により乾燥させた後、ハードコート層を形成した。最後に、積層体をフレネルレンズシートの映像光出射側に配置して、本発明に係る透過型スクリーンを作製した。
(比較例1)
単位光透過部を構成する光透過性樹脂のプローブタックの値が、下記の表1に示すように、25℃環境下で274Paであり、40℃環境下で748Paであること以外は、実施例1と同様にして、比較例1の光制御シート、および透過型スクリーンを作製した。
(粘着性の評価)
上記の実施例1と比較例1において作製した光制御シートの単位光透過部を構成する光透過性樹脂のプローブタック測定値を表1に示す。
ここで、「プローブタック」の値は、レスカ社製タッキング試験機(TAC−II)を用いて、JIS Z0237に準拠した条件で測定した。測定条件を下記に示す。
<測定条件>
プローブの材質:ステンレス
プローブの底面の直径:5mm
プローブ加圧力:100gf
プローブ押し込み速度:120mm/分
プローブ保持時間:0.1秒
プローブ引き離し速度:600mm/min
温度:25℃および40℃
Figure 2013160951
また、上記の実施例1と比較例1において作製した光制御シートの「ばたつき」、「ブロッキング」、「異物付着」についての評価結果を表2に示す。
ここで、「ブロッキング」とは、ロール状に巻き取られた光制御シート同士が密着してしまう現象のことである。
上記の「ばたつき」、「ブロッキング」は、製造工程の目視観察により、その有無および程度を評価し、「異物付着」は光学的検査により、その数の程度を評価した。
Figure 2013160951
実施例1の光透過性樹脂においては、表1に示すように、40℃環境下におけるプローブタックは325Paであって、この値は185Pa以上375Pa以下の範囲にあり、実施例の光制御シートにおいては、表2に示すように、「ばたつき」は無く、「ブロッキング」は少なく、「異物付着」も少ないものであった。
一方、比較例1の光透過性樹脂においては、表1に示すように、40℃環境下におけるプローブタックは748Paであって、この値は185Pa以上375Pa以下の範囲になく、比較例の光制御シートにおいては、表2に示すように、「ばたつき」が有り、「ブロッキング」は多く、「異物付着」も多いものであった。
すなわち、本発明においては、光制御シートの単位光透過部を構成する光透過性樹脂のJIS Z0237に準拠した方法におけるプローブタックが、185Pa以上375Pa以下であるため、上記のような伸び率を、前記光透過性樹脂、および、前記光吸収材を含有する樹脂に付与した場合であっても、異物の付着による光制御シートの品質不良の発生を低減でき、製造工程における搬送制御系の負担を低減することができることが確認された。
(充填性の評価)
上記において作製した光制御シートにおける、複数の単位光透過部間の溝への、着色粒子を含有する紫外線硬化型樹脂組成物の充填性を評価した。
ここで、充填性の評価は、走査型電子顕微鏡(SEM)により、作製した光制御シートの切断面を観察し、前記溝の断面積に対する単位光吸収部(着色粒子を含有する組成物が実際に充填された部分)の面積の割合を充填率として評価した。
結果、本発明に係る光制御シートにおいては、単位光透過部を構成する樹脂(光透過性樹脂)、および、単位光吸収部を構成する樹脂(着色粒子を含有する樹脂)に、上記のような伸び率を付与した場合であっても、前記複数の単位光透過部間の溝への、前記単位光吸収部を構成する樹脂の充填率は98%以上と高いものであった。
すなわち、本発明においては、上記の効果に加えて、前記単位光吸収部を構成する樹脂の充填を安定させることができることが確認された。そして、本発明に係る光制御シートを備えた透過型スクリーンは、コントラストに優れたものであり、良好な映像を表示することができるものであった。
(クラックの有無)
また、上記において作製した透過型スクリーンを用いて、95℃の環境下で1週間放置する耐久性試験を行い、試験後の透過型スクリーンの光制御シートにクラックが生じているか否かを評価した。なお、クラックが生じているか否かの判断は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、作製した光制御シートの切断面を観察することにより行った。
結果、本発明に係る透過型スクリーンの光制御シートは、放置後1週間経過しても、単位光透過部と単位光吸収部との間にクラックが発生していないことが確認された。
すなわち、本発明に係る光制御シートにおいては、上記のような曲面成形をした場合であってもクラックの発生により外観が損なわれることはなく、本発明に係る光制御シートを備えた透過型スクリーンにおいては、良好な映像を表示することができるものであった。
10・・・透過型スクリーン
10a・・・映像光出射面
10b・・・映像光入射面
20・・・フレネルレンズシート
20a・・・フレネルレンズ部形成面
21・・・基部
22・・・フレネルレンズ部
23・・・単位プリズム
26・・・入射側透明基材
30・・・積層体
35・・・透明基材
40、50・・・接合層
45・・・光制御シート
45a・・・映像光出射面
45b・・・映像光入射面
46・・・基材部
47・・・単位光透過部
48・・・単位光吸収部
55・・・光拡散層
60・・・表面層
70、90・・・背面投射型表示装置
72・・・映像光源
80・・・積層体
91・・・赤外光源
92・・・赤外光検出器

Claims (9)

  1. 映像光源から投射された映像光を透過して観察者側に出射する透過型スクリーンに用いられる光制御シートであって、
    前記光制御シートは、映像光出射面の少なくとも一部が250mm以上1500mm以下の曲率半径を有するように曲っており、
    前記映像光出射面の一部を構成する複数の単位光透過部と、
    前記映像光出射面の一部を構成し、前記単位光透過部と交互に配置され、80μm以上150μm以下の高さを有する複数の単位光吸収部と、
    を備えており、
    前記単位光吸収部が光吸収材を含有する樹脂からなり、
    前記光吸収材を含有する樹脂の伸び率が15%以上40%以下であり、
    前記単位光透過部が15%以上50%以下の伸び率を有する光透過性樹脂からなり、
    前記光透過性樹脂のJIS Z0237に準拠した方法におけるプローブタックが185Pa以上375Pa以下であることを特徴とする光制御シート。
  2. 映像光源から投射された映像光を透過して観察者側に出射する透過型スクリーンであって、
    請求項1に記載の光制御シートと、前記光制御シートの映像光出射側に配置された光拡散層とを有する積層体を備え、
    前記積層体全体が曲面をなすように曲っていることを特徴とする透過型スクリーン。
  3. 前記積層体全体が三次元曲面をなすように曲がっていることを特徴とする請求項2に記載の透過型スクリーン。
  4. 前記積層体よりも前記映像光源側に配置された、フレネルレンズ部を有するフレネルレンズシートをさらに備え、前記フレネルレンズシートが曲面をなすように曲っていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の透過型スクリーン。
  5. 前記単位光透過部および前記単位光吸収部が、前記透過型スクリーンの横方向に延在していることを特徴とする請求項4に記載の透過型スクリーン。
  6. 前記フレネルレンズ部が、前記フレネルレンズシートのフレネルレンズ部形成面の中心に対して前記透過型スクリーンの縦方向下側に偏心した位置に光学中心を有することを特徴とする請求項4に記載の透過型スクリーン。
  7. 前記単位光透過部および前記単位光吸収部が、前記フレネルレンズ部形成面の中心と前記フレネルレンズ部の光学中心とを結ぶ方向と略平行であり、かつ、前記映像光出射面に沿った第1の方向に交互に並べて配置されるとともに、前記第1の方向と略直交し、かつ、前記映像光出射面に沿った第2の方向に延在していることを特徴とする請求項6に記載の透過型スクリーン。
  8. 請求項2乃至請求項7のいずれか1項に記載の透過型スクリーンと、前記透過型スクリーンの背面側に配置され、前記透過型スクリーンに映像光を投射する映像光源と、を備えることを特徴とする背面投射型表示装置。
  9. 前記透過型スクリーンに赤外光を投射する赤外光源と、前記赤外光を検出可能な赤外光検出器と、をさらに備えることを特徴とする請求項8に記載の背面投射型表示装置。
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