JP2007298919A - 再帰反射素子層保護用着色シートおよび再帰反射シート - Google Patents

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Abstract

【課題】長期間に亘り耐候性を維持でき、かつ耐擦傷性も付与された再帰反射シート、および該シートを得ることができる再帰反射素子層保護用着色シートを提供する。
【解決手段】着色剤を含有する着色層2と、着色層2の片面に積層された保護層3とを有する再帰反射素子層保護用着色シート1;および再帰反射素子層保護用着色シート1と、再帰反射素子層34とを有し、再帰反射素子層保護用着色シート1が、着色層2が再帰反射素子層34側となるように、再帰反射素子層34上に積層されている再帰反射シート30。
【選択図】図4

Description

本発明は、再帰反射素子層保護用着色シートおよび該着色シートが再帰反射素子層上に積層された再帰反射シートに関する。
入射した光を光源方向に向けて反射させる再帰反射シートは、従来からよく知られており、その再帰反射性、夜間における優れた視認性を利用して種々の分野で使用されている。例えば、再帰反射シートを用いた道路標識、工事標識等は、夜間等において、走行する車輌等のヘッドライト等の光源からの光を光源方向、即ち走行する車輌の方向へ向けて反射させ、標識の視認者である車輌の運転者に対し優れた視認性を提供し、明確な情報伝達を可能にするという優れた特性を有している。
道路標識、工事標識等として用いられる再帰反射シートは、視認性を良好にするために着色されている。着色された再帰反射シートを得る方法としては、再帰反射シートの表面を印刷によって着色する方法、着色フィルムを再帰反射シートの表面に積層する方法がある。これらの方法のうち、再帰反射シートの視認性や製造コストを考慮すると、後者の方法が好ましい。
着色フィルムとしては、アクリル樹脂フィルムを製造する際に特定の着色剤を練り込んで着色した着色アクリル樹脂フィルムが提案されている(特許文献1〜6参照)。
該着色アクリル樹脂フィルムは、色度座標が特定の範囲内になるようにアクリル樹脂フィルムに特定の着色剤を練り込んで着色したフィルムであり、再帰反射シートとして使用した際に必要となる色相および反射性能を満足するというものである。
しかしながら、長期に亘り屋外で使用した場合、着色剤が変退色することがある。特に、揮発性の高い有機染料を練り込んだ着色フィルムは、長期に亘り屋外で使用した場合、有機染料が揮発し、再帰反射シートとして必要となる色相を維持できない等の問題が起こりやすい。また、長期に亘り屋外で使用する場合、様々な傷付き要因にさらされると、外観が悪化し、再帰反射シートに必要な反射性能を維持できないことがある。
なお、表面に保護層を設けた再帰反射シートとしては、以下のものが提案されている。
(1)再帰反射素子層および表面保護層を有し、いずれかの層が特定の蛍光染料を含有する、蛍光色の耐候持続性に優れた蛍光性再帰反射シート(特許文献7)。
(2)再帰反射素子層上に、ヒドロキシ官能性アクリルポリオールおよび多官能性イソシアネートの混合物を含有するトップコートを設けた、耐擦傷性が付与された再帰反射シート(特許文献8)。
(1)の再帰反射シートは、耐候性に優れた特定の蛍光染料を用いることによって、再帰反射シートの蛍光色の耐候持続性を改善しているものである。特許文献7には、再帰反射素子層上に着色層を設け、さらにその上に保護層を設けることについての記載はない。
(2)の再帰反射シートもまた、再帰反射素子層上に着色層を設け、さらにその上に保護層を設ける構成とはされていない。また、特許文献8に記載のトップコートは、表面硬度が高いため、エンボス加工等の二次工程を経て製造されるカプセルレンズ型再帰反射シートまたはプリズム型再帰反射シートのトップコートとした場合、エンボス加工時にトップコートが割れる等の問題がある。
特開2005−8845号公報 特開2005−8846号公報 特開2005−112982号公報 特開2005−126517号公報 特開2005−154720号公報 特開2005−162934号公報 特開2001−296413号公報 特公平05−64106号公報
よって、本発明の目的は、長期間に亘り耐候性を維持でき、かつ耐擦傷性も付与された再帰反射シートを得ることができる再帰反射素子層保護用着色シート、および長期間に亘り耐候性を維持でき、かつ耐擦傷性に優れた再帰反射シートを提供することにある。
本発明の再帰反射素子層保護用着色シートは、着色剤を含有する着色層と、該着色層の片面に積層された保護層とを有することを特徴とする。
本発明の再帰反射シートは、本発明の再帰反射素子層保護用着色シートと、再帰反射素子層とを有し、前記再帰反射素子層保護用着色シートが、着色層が再帰反射素子層側となるように、再帰反射素子層上に積層されていることを特徴とする。
本発明の再帰反射素子層保護用着色シートによれば、長期間に亘り耐候性を維持でき、かつ耐擦傷性も付与された再帰反射シートを得ることができる。
本発明の再帰反射シートは、長期間に亘り耐候性を維持でき、かつ耐擦傷性に優れる。
<再帰反射素子層保護用着色シート>
図1は、本発明の再帰反射素子層保護用着色シートの一例を示す概略断面図である。再帰反射素子層保護用着色シート1は、着色剤を含有する着色層2と、該着色層2の片面に積層された保護層3とを有する積層シートである。
(着色層)
着色層は、樹脂に着色剤を含有させた層である。
樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられ、透明性の点で、アクリル樹脂が好ましく、成形性の点で、架橋ゴム成分を有するアクリル樹脂、例えば、特開2005−112982号公報、特開2005−162934号公報に記載のゴム含有多段重合体、熱可塑性重合体がより好ましい。
着色剤としては、バインダー樹脂に着色剤成分を配合した着色剤マスターバッチ、分散剤と着色剤成分とを配合したドライカラーが挙げられる。
着色剤マスターバッチとは、バインダー樹脂に着色剤成分を高濃度に配合した着色剤であり、形態としてはペレット状、軟らかい板状のもの等が挙げられる。また、バインダー樹脂としては、前記樹脂と同種または類似の樹脂が好ましい。
ドライカラーとは、着色剤成分に適当な分散剤を添加して機械的に微粉末状にした着色剤である。分散剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等が挙げられる。分散剤は、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
着色剤成分としては、アンスラキノン系、アゾ系、キナクリドン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、ペリレン系、ペリノン系、チオインジゴ系、キノフタロン系、フタロシアニン系、縮合多環状、カーボンブラック等の着色剤が挙げられる。着色剤成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
着色剤成分としては、再帰反射素子層保護用着色シートに必要とされる透明性、鮮明性の点で、以下のものが好ましい。
黄の場合、CI Solvent Yellow 163が好ましい。CI Solvent Yellow 163は、大日精化工業(株)製「DYMIC MBR D−05 エロー」、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製「ORACET Yellow GHS」として工業的に入手可能である。
青の場合、CI Pigment Blue 15:6が好ましい。CI Pigment Blue 15:6は、大日精化工業(株)製「DYMIC MBR 652」として工業的に入手可能である。
緑の場合、フタロシアニン系着色剤が好ましく、CI Pigment Green 7がより好ましい。CI Pigment Green 7は、大日精化工業(株)製「DYMIC MBR 510」として工業的に入手可能である。
赤の場合、CI Disperse Red 22、Solvent Red 52、Solvent Red 135、Solvent Red 179等が好ましく、耐候性の点で、CI Disperse Red 22等が特に好ましい。
着色層には、必要に応じて、安定剤、滑剤、加工助剤、可塑剤、耐衝撃助剤、発砲剤、充填剤、抗菌剤、防カビ剤、離型剤、帯電防止剤、艶消剤、紫外線吸収剤等の公知の添加剤を添加してもよい。再帰反射シートに耐候性を付与するために、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系等の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系ラジカル補足剤等の光安定剤を添加することが特に好ましい。
添加剤の添加方法としては、シート状の着色層を形成する成形機に、樹脂、着色剤とともに添加剤を供給する方法;あらかじめ、樹脂に添加剤を添加した混合物を各種混練機にて混練混合する方法が挙げられる。混練機としては、公知の単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロール混練機等が挙げられる。
着色層の形成方法としては、公知の溶液流延法、Tダイ法、インフレーション法等の溶融押出法等が挙げられ、経済性の点で、Tダイ法が好ましい。
着色層が二層以上の多層構造の場合、共押出成形方法、ラミネート方法等により着色層を形成してもよい。
着色層の厚さは、10〜500μmが好ましい。該範囲であれば、適度な剛性を有することになり、ラミネート性、二次加工性が良好となる。着色層の厚さは、15〜200μmがより好ましく、30〜200μmがさらに好ましい。
(保護層)
保護層は、着色層に含まれる着色剤の劣化を抑制する層である。
保護層の材料としては、樹脂が好ましく、架橋性樹脂組成物または硬質熱可塑性樹脂が特に好ましい。
架橋性樹脂組成物:
架橋性樹脂組成物は、熱または光により架橋反応が進行する樹脂組成物である。架橋性樹脂組成物としては、再帰反射シーの透明性を損なわなければ、公知の樹脂組成物を用いることができる。
架橋性樹脂組成物としては、熱架橋性、光架橋性のいずれの樹脂組成物を用いることができ、架橋性樹脂組成物の架橋反応を完遂させるまでの反応時間が短い点から、光架橋性樹脂組成物が好ましい。
光架橋性樹脂組成物は、分子内に2個以上の光重合性官能基を有し、かつ光重合反応により硬化し架橋体を形成する化合物を含有する樹脂組成物である。
光重合性官能基としては、エチレン性不飽和基(ビニル基、(メタ)アクリロイル基等。)等の光ラジカル重合機構で反応する官能基、脂環式エポキシ基等の光カチオン重合機構で反応する官能基等が挙げられる。
分子内に2個以上の光重合性官能基を有する化合物は、単量体、オリゴマー等の低分子量体であってもよく、樹脂等の高分子量体であってもよい。該化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
保護層には、取り扱い性、保存安定性、成形性の点から、架橋反応が完遂していない状態で、表面にタックがなく、かつ着色層の伸びに追従できることが求められる。低分子量体を含む光架橋性樹脂組成物の架橋反応を適度に進行させることで、上記要求性能を満たすことが可能な場合もあるが、架橋反応の進行の程度を完全に管理することは困難であり、架橋反応が進行し過ぎると成形性が低下し、架橋反応の進行が不足すると、タックが生じ、再帰反射シートの製造時において不具合を生じてしまう。
以上の点から、光架橋性樹脂組成物は、分子内に2個以上の光重合性官能基を有する化合物として、側鎖に光重合性官能基を有する熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。側鎖に光重合性官能基を有する熱可塑性樹脂を含むことにより、低分子量の架橋性化合物を含ませる必要がなくなり、長期間の保管時や加熱時にタックを生じることなく、硬化物性を向上できる。
よって、光架橋性樹脂組成物は、側鎖に光重合性官能基を有する熱可塑性樹脂以外の架橋性化合物を実質的に含有しないことが好ましい。この場合、耐磨耗性、成形性、保存安定性を兼ね備えた保護層を形成できる。
特に、光架橋性樹脂組成物は、40℃において液体状の架橋性単量体またはオリゴマー、分子量2000以下の架橋性単量体またはオリゴマーは実質的に含有しないことが好ましい。該架橋性単量体またはオリゴマーを含有する場合、長期間の保管時や加熱時にタックが生じるため、再帰反射シートの製造時に、製造装置等を汚染する等の問題を生じることがある。光架橋性樹脂組成物は、50℃において液体状の架橋性単量体またはオリゴマーを実質的に含有しないことがより好ましく、60℃において液体状の架橋性単量体またはオリゴマーを実質的に含有しないことがさらに好ましい。
熱可塑性樹脂の側鎖に光重合性官能基を導入する方法としては、光重合性基を有する単量体を(共)重合する方法;水酸基、エポキシ基、カルボキシル基等の第1の官能基を側鎖に有するポリマーと、該官能基と反応する第2の官能基および光重合性基を有する化合物とを反応させる方法等の公知の方法が挙げられる。
側鎖に光重合性官能基を有する熱可塑性樹脂の光重合性官能基の量は、耐擦傷性、耐磨耗性向上の点から、二重結合当量(側鎖のラジカル重合性不飽和基1個あたりの平均分子量)または脂環式エポキシ当量(側鎖の脂環式エポキシ基1個あたりの平均分子量)として、3000g/mol以下が好ましく、1200g/mol以下がより好ましく、800g/mol以下が特に好ましい。二重結合当量および脂環式エポキシ当量は、側鎖に光重合性官能基を有する熱可塑性樹脂の原料である単量体の仕込み量から計算で求める。
側鎖に光重合性官能基を有する熱可塑性樹脂の数平均分子量は、再帰反射シートの表面硬度の点から、5,000以上が好ましく、10,000以上がより好ましい。また、合成の容易さ、再帰反射シートの外観、および着色層との密着性の点から、2,500,000以下が好ましく、1,000,000以下がより好ましい。
側鎖に光重合性官能基を有する熱可塑性樹脂のガラス転移温度は、再帰反射シートの表面硬度の点から、25℃以上が好ましく、30℃以上がより好ましい。また、再帰反射素子層保護用着色シートの取り扱い性の点から、175℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましい。
側鎖に光重合性官能基を有する熱可塑性樹脂のガラス転移温度を考慮すると、該樹脂の原料としては、ホモポリマーにした場合に高いガラス転移温度を有するものとなる単量体を用いることが好ましい。さらに、側鎖に光重合性官能基を有する熱可塑性樹脂の耐候性向上の点からは、単量体として(メタ)アクリレート類を主成分として用いることが好ましい。
光架橋性樹脂組成物には、光重合開始剤が含有されていてもよい。光重合開始剤としては、光照射によってラジカルが発生する光ラジカル重合開始剤、光照射によって酸が発生する光カチオン重合開始剤が挙げられる。光重合開始剤としては、公知のものを用いればよい。
光架橋性樹脂組成物には、さらに耐擦傷性や耐磨耗性を向上させる目的で、無機微粒子を添加してもよい。無機微粒子としては、光架橋性樹脂組成物が透明となるものであればよく、その種類、粒子径、形態は特に制限されない。
無機微粒子としては、例えば、コロイダルシリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化スズ、異種元素ドープ酸化スズ(ATO等)、酸化インジウム、異種元素ドープ酸化インジウム(ITO等)、酸化カドミウム、酸化アンチモン等が挙げられ、入手の容易さ、価格、保護層の透明性、耐磨耗性の点から、コロイダルシリカが特に好ましい。無機微粒子は、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
コロイダルシリカの形態としては、水性分散液、有機溶媒分散液が挙げられ、光架橋性樹脂組成物中に均一かつ安定に分散できる点で、有機溶媒分散液が好ましい。
無機微粒子は、シラン化合物によって、あらかじめ表面が処理されたものであってもよい。表面処理された無機微粒子を用いることによって、光架橋性樹脂組成物の保存安定性がさらに良好となり、また、得られる再帰反射素子層保護用着色シートの表面硬度および耐候性も良好となる。
無機微粒子の粒子径は、保護層の透明性の点から、200nm以下が好ましく、100nm以下がより好ましく、50nm以下がさらに好ましい。
無機微粒子の添加量は、側鎖に光重合性官能基を有する熱可塑性樹脂の固形分100質量部に対して、無機微粒子固形分で5〜400質量部が好ましい。添加量の下限は、10質量部が好ましい。添加量の上限は、200質量部が好ましい。無機微粒子の添加量が5質量部未満では、耐磨耗性向上効果が認められないことがあり、添加量が400質量部を超えると、光架橋性樹脂組成物の保存安定性が低下するばかりか、保護層の成形性が低下することがある。
光架橋性樹脂組成物には、必要に応じて、増感剤、変性用樹脂、染料、顔料、レベリング剤、ハジキ防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化安定剤等の添加剤を添加してもよい。
架橋性樹脂組成物からなる保護層の厚さは、0.3〜50μmが好ましく、1〜30μmがより好ましい。保護層の厚さが0.3μm未満では、架橋性樹脂組成物の架橋反応を完遂させても耐擦傷性が低下することがある。保護層の厚さが50μmを超えると、架橋反応が完遂せず、耐候性が低下することがある。
架橋性樹脂組成物からなる保護層は、例えば、架橋性樹脂組成物を有機溶媒等の溶剤に充分に攪拌溶解させた架橋性キャスト液組成物を、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法等の公知の印刷方法;ブレードコート法、ロッドコート法、ロールドクターコート法、ナイフコート法、コンマコート法、リバースロールコート法、トランスファーロールコート法、キスロールコート法、カーテンコート法、ディップコート法等の公知のコート方法により、着色層上に塗工し、溶剤除去のための加熱乾燥を行うことによって形成できる。
光架橋性樹脂組成物からなる保護層の場合、塗工によって保護層を形成した後に、架橋反応を進行させるために光照射を行う。照射する光としては、電子線、紫外線、γ線等が挙げられる。照射条件は、光架橋性樹脂組成物の光架橋特性に応じて決定すればよく、照射量は、通常100〜10000mJ/cm2 程度である。光照射によって、光架橋性樹脂組成物が架橋して硬質の保護膜が表面に形成された再帰反射シートを得ることができる。本発明の再帰反射素子層保護用着色シートによれば、再帰反射素子層上に積層した後に、光架橋して硬質の保護層を形成できるため、本発明の再帰反射素子層保護用着色シートは、再帰反射シートを製造しやすい点で優れており、工業的利用価値が極めて高い。
硬質熱可塑性樹脂:
硬質熱可塑性樹脂としては、再帰反射素子層保護用着色シートの透明性の点から、アクリル樹脂を主成分とするものが好ましい。
アクリル樹脂としては、耐候性、耐衝撃性の点から、ゴム含有多段重合体、熱可塑性重合体を含有するアクリル樹脂組成物が好ましい。
ゴム含有多段重合体としては、特開2005−112982号公報、特開2005−162934号公報に記載のゴム含有多段重合体が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタクリレート単位50〜100質量部およびこれと共重合可能な他の単量体単位0〜50質量部からなり、重合体の還元粘度が0.1L/g以下の重合体が好ましい。還元粘度は、重合体0.1gをクロロホルム100mLに溶解し、25℃で測定する。
保護層が硬質熱可塑性樹脂からなる場合、再帰反射素子層保護用着色シートの製造方法としては、着色層および保護層をそれぞれシート状に成形した後、これらを積層する方法;シート状に成形された着色層上に硬質熱可塑性樹脂を溶融押出し積層する方法;着色層および保護層の樹脂を同時に溶融押出しながら積層する方法;シート状に成形された着色層上に硬質熱可塑性樹脂を塗布して積層する方法等が挙げられる。
シート状の着色層および保護層を積層する方法としては、ドライラミネート法、ウェットラミネート法、ホットメルトラミネート法等が挙げられる。熱融着可能であれば、加熱プレスラミネート法で積層してもよい。
シート状に成形された着色層上に硬質熱可塑性樹脂を溶融押出し積層する方法としては、Tダイ等でシート状に溶融押出しながらラミネートする押出ラミネート法等が挙げられる。
着色層および保護層の樹脂を同時に溶融押出しながら積層する方法としては、共押出成形法が挙げられる。共押出成形法としては、フィードブロック法、多数マニホールド法等でダイ内で接着する方法、一つのダイに複数のダイリップを設け、ダイ外で接着する方法等が挙げられる。
シート状に成形された着色層上に硬質熱可塑性樹脂を塗布して積層する方法としては、硬質熱可塑性樹脂を有機溶媒等の溶媒に溶かした溶液を、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法等の公知の印刷方法;ブレードコート法、ロッドコート法等の公知のコート法により着色層上に塗工し、溶剤除去のための加熱乾燥を行う方法が挙げられる。
これらのうち、経済的な点から、Tダイを用いた共押出成形法が好ましい。
以上説明した本発明の再帰反射素子層保護用着色シートにあっては、着色層の片面に保護層が積層されているため、長期間に亘り耐候性を維持できる。よって、長期に亘り屋外で使用した場合であっても、再帰反射シートとして必要となる色相を維持できる。
また、着色層の片面に保護層が積層されているため、耐擦傷性に優れる。よって、表面が傷付きにくく、再帰反射シートに必要な反射性能を維持できる。
<再帰反射シート>
再帰反射シートとしては、封入レンズ型再帰反射シート、カプセルレンズ型再帰反射シート、プリズム型再帰反射シート等が知られている。これら再帰反射シートは、主に、道路標識、表示板、視認性を目的とした安全器具等に使用される。
本発明の再帰反射シートは、これら再帰反射シートの再帰反射素子層上に、本発明の再帰反射素子層保護用着色シートを、着色層が再帰反射素子層側となるように積層したものである。
図2は、本発明の再帰反射シートの一例を示す概略断面図である。再帰反射シート10は、樹脂層11内に複数の球状レンズ12が等間隔に整列した状態で封入され、かつ球状レンズ12の下方に球状レンズ12に対応した半球形の反射膜13が連続して設けられた再帰反射素子層14と、再帰反射素子層14上に積層された再帰反射素子層保護用着色シート1とを有する、封入レンズ型再帰反射シートである。
図3は、本発明の再帰反射シートの他の例を示す概略断面図である。再帰反射シート20は、樹脂層21表面に複数の球状レンズ22が等間隔に整列した状態で半分埋設され、かつ球状レンズ22の埋設部分の表面に反射膜23が形成された再帰反射素子層24と、再帰反射素子層24上に積層された再帰反射素子層保護用着色シート1とを有し、再帰反射素子層24と再帰反射素子層保護用着色シート1との間には空気層25が形成された、カプセルレンズ型再帰反射シートである。
図4は、本発明の再帰反射シートの他の例を示す概略断面図である。再帰反射シート30は、表面に複数の凸条31を有する支持層32と、支持層32側に複数のプリズム33が形成された再帰反射素子層34と、再帰反射素子層34上に積層された再帰反射素子層保護用着色シート1とを有し、支持層32と再帰反射素子層34との間には空気層35が形成された、プリズム型再帰反射シートである。
本発明の再帰反射シートは、例えばプリズム型再帰反射シートの場合、以下のようにして製造される。
プリズムが形成されていない再帰反射素子層上に再帰反射素子層保護用着色シートを、着色層が再帰反射素子層側となるように積層し、再帰反射素子層の裏面にエンボス加工によってプリズムを形成する方法。
保護層が架橋性樹脂組成物からなる層の場合、(1)再帰反射素子層の裏面にエンボス加工によってプリズムを形成した後、保護層の架橋反応を完遂させる方法、(2)再帰反射素子層上に再帰反射素子層保護用着色シートを積層し、保護層の架橋反応を完遂させた後に、再帰反射素子層の裏面にエンボス加工によってプリズムを形成する方法がある。(2)の方法では、エンボス加工中に保護層に割れが発生する場合がある。このため、(1)の方法が好ましい。
以上説明した本発明の再帰反射シートにあっては、再帰反射素子層上に、本発明の再帰反射素子層保護用着色シートを、着色層が再帰反射素子層側となるように積層しているため、長期間に亘り耐候性を維持でき、かつ耐擦傷性に優れる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。なお、実施例中、「部」は「質量部」を意味する。また、実施例中の略号は以下のとおりである。
Figure 2007298919
また、各物性の測定および評価は、以下のように行った。
(重合率)
単量体の重合率は、樹脂溶液の固形分量を求め、単量体の仕込み量に対する樹脂溶液の固形分量の割合を計算して求めた。
(固形分量)
樹脂溶液の固形分量は、樹脂溶液を乾燥機で乾燥させて、乾燥後の質量を測定して求めた。
(数平均分子量)
樹脂の数平均分子量は、樹脂0.06gをテトラヒドロフラン25mLに溶解させて、GPC分析装置(島津製作所社製、LC−6A)を用いて下記条件で測定した。
カラム:KF−802.5、KF−804、KF−805(昭和電工社製)、
移動相:テトラヒドロフラン(流速0.8mL/分)、
カラムオーブン:40℃、
検出器:RID−6A(島津製作所社製)。
(ガラス転移温度)
樹脂のガラス転移温度は、DSC(セイコーインスツルメント社製、DSC6200)を用いて測定した。
(二重結合当量)
合成例1における樹脂の二重結合当量は、以下の式より求めた。
樹脂の二重結合当量=(MMA量+GMA量+AA量)×72.06/AA量。
72.06は、AAの分子量である。
(脂環式エポキシ当量)
樹脂の脂環式エポキシ当量は、以下の式より求めた。
樹脂の脂環式エポキシ当量=(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート量)×196。
196は、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレートの分子量である。
(平均粒子径)
ラテックス中の重合体、または乳化液中の分散相の平均粒子径は、自動色液中粒子検出器(リオン株式会社製、KL−01)を用いて測定した。
(ゲル含有率)
重合体のゲル含有率は、樹脂溶液のアセトン不溶分の質量を測定して求めた。
<プレス成形品の評価>
(ヘイズ)
ASTM D1003に準じて、ヘイズメーターを用いてヘイズを測定した。
(耐磨耗性)
テーバー磨耗試験(片側500g荷重、CS−10F磨耗輪を用い、回転速度60rpm、試験回数100回で試験を実施)後のヘイズをヘイズメーターで測定した。そして(試験後のヘイズ)−(試験前のヘイズ)で表される数値を耐磨耗性(%)として示した。
(耐候性)
サンシャインウエザーメーター(スガ試験機製)を用い、乾燥102分、雨18分のサイクルで3000時間または5000時間曝露試験したときの外観を目視評価した。
○:良好、
△:若干変退色あり、
×:変退色あり。
<エンボス加工品の評価>
(加工性)
エンボス加工後の外観を目視評価した。
○:良好、
×:割れ等により外観悪化。
〔合成例1〕
側鎖に光重合性官能基を有するアクリル樹脂Aの合成:
窒素導入口、攪拌機、コンデンサーおよび温度計を備えた1Lの4つ口フラスコに、MEK50部を入れ、80℃に昇温した。窒素雰囲気下でMMA79.9部、GMA20.1部およびAIBN0.5部の混合物を3時間かけて滴下した。その後、MEK80部とAIBN0.2部の混合物を加え、重合させた。4時間後、MEK74.4部、MEHQ0.5部、TPP2.5部およびAA10.1部を加え、空気を吹き込みながら80℃で30時間攪拌した。その後、冷却した後、反応物をフラスコより取り出し、側鎖に光重合性官能基を有するアクリル樹脂Aの溶液を得た。
側鎖に光重合性官能基を有するアクリル樹脂Aにおける単量体の重合率は99.5%以上であり、樹脂溶液の固形分量は約35質量%であり、数平均分子量は約3万であり、ガラス転移温度は約105℃であり、二重結合当量(側鎖のラジカル重合性不飽和基1個あたりの平均分子量)は788g/molであった。
〔合成例2〕
側鎖に光重合性官能基を有するアクリル樹脂Bの合成:
窒素導入口、撹拌機、コンデンサーおよび温度計を備えた1Lの4つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート100部、MEK60部およびAIBN0.3部を入れ、撹拌しながら湯浴の温度を75℃に上げ、その温度で2時間重合させた。ついで、AIBN0.7部を1時間おきに5回に分けて添加した後、フラスコ内温を溶剤の沸点まで上昇させ、その温度でさらに2時間重合させた。その後、フラスコ内温度が50℃以下になってから、MEK90部を添加して反応物をフラスコより取り出し、側鎖に光重合性官能基を有するアクリル樹脂Bの溶液を得た。
側鎖に光重合性官能基を有するアクリル樹脂Bにおける単量体の重合率は99.5%以上であり、樹脂溶液の固形分量は約40質量%であり、数平均分子量は約1.2万であり、ガラス転移温度は約73℃であり、脂環式エポキシ当量(側鎖の脂環式エポキシ基1個あたりの平均分子量)は196g/molであった。
〔調製例1〕
表面処理コロイダルシリカS1の調製:
攪拌機、コンデンサーおよび温度計を備えたフラスコに、IPA−ST(日産化学工業(株)製、イソプロパノール分散コロイダルシリカゾル、シリカ粒子径=15nm)1モル部(固形分換算)、KBM503(信越化学工業(株)製、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、分子量=248)0.1モル部(固形分換算)、および水0.3モル部を入れ、攪拌しながら湯浴の温度を75℃に上げ、その温度で2時間反応させることにより、イソプロパノール中に分散され、表面がシラン化合物で処理されたコロイダルシリカを得た。ついで、イソプロパノールを留去した後、トルエンを添加することを繰り返し、完全にイソプロパノールをトルエンに置換することにより、トルエン中に分散され、表面がシラン化合物で処理されたコロイダルシリカS1を得た。
〔調製例2〕
光架橋性キャスト液組成物の調製:
側鎖に光架橋性官能基を有するアクリル樹脂Aの溶液、側鎖に光架橋性官能基を有するアクリル樹脂Bの溶液、表面処理コロイダルシリカS1、および表2の化合物を用いて、表2の組成を有する光硬化性キャスト液組成物1、2を調製した。
Figure 2007298919
表中、数値は固形分換算の質量部であり、光重合開始剤Aは、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンであり、光重合開始剤Bは、トリフェニルスルホニウム6フッ化アンチモネートである。
〔合成例3〕
ゴム含有多段重合体(I)の合成:
窒素雰囲気下、還流冷却器付き反応容器に脱イオン水244部を入れ、80℃に昇温し、SFS0.6部、硫酸第一鉄0.00012部、EDTA0.0003部を添加し、撹拌を行いながら、MMA18.0部、BA20.0部、St2.0部、AMA0.15部、1,3BD1.2部、tBH0.18部、乳化剤(1)0.75部の単量体混合物の1/15を仕込み、15分保持した。その後、残りの単量体混合物を、水に対する単量体混合物の増加率8%/時間で連続的に添加した。その後1時間保持して、第1内層重合体(I−A1)のラテックスを得た。
ついで、このラテックスにSFS0.6部を加え、15分保持し、窒素雰囲気下80℃で撹拌を行いながら、BA50.0部、St10.0部、AMA0.4部、1,3BD0.14部、tBH0.2部、乳化剤(1)0.6部の単量体混合物を、水に対する単量体混合物の増加率4%/時間で連続的に添加した。その後2時間保持して、第2内層重合体(I−A2)の重合を行うことにより、内層体重合体((I−A1)+(I−A2))のラテックスを得た。
ついで、このラテックスにSFS0.4部を加え、15分保持し、窒素雰囲気下80℃で撹拌を行いながら、MMA57.0部、MA3.0部、nOM0.3部、tBH0.06部の単量体混合物を、水に対する単量体混合物の増加率10%/時間で連続的に添加した。その後1時間保持して、最外層重合体(I−B)の重合を行うことにより、ゴム含有多段重合体(I)のラテックスを得た。ラテックス中のゴム含有多段重合体(I)の平均粒子径は0.28μmであった。このゴム含有多段重合体(I)のラテックスに対して、酢酸カルシウムを用いて凝析、凝集、固化反応を行い、固化物をろ過、水洗した後、乾燥してゴム含有多段重合体(I)を得た。
〔合成例4〕
ゴム含有多段重合体(II)の合成:
攪拌機を備えた容器にイオン交換水8.5部を仕込んだ後、MMA0.3部、BA4.5部、1,3BD0.2部、AMA0.05部、CHP0.025部からなる第1の単量体混合物を投入し、攪拌混合した。ついで、乳化剤(1)1.3部を攪拌しながら上記容器に投入し、再度20分間攪拌を継続し、乳化液(N−1)を調製した。得られた乳化液中の分散相の平均粒子径は、10μmであった。
ついで、冷却器付き反応容器内にイオン交換水186.5部を投入し、これを70℃に昇温し、さらに、イオン交換水5部にソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.20部、硫酸第一鉄0.0001部、EDTA0.0003部を加えて調製した混合物を一括投入した。ついで、窒素下で撹拌しながら、乳化液(N−1)を8分間かけて反応容器に滴下した後、15分間反応を継続させて最内重合体を得た。
ついで、MMA1.5部、BA22.5部、1,3BD1.0部、AMA0.25部からなる第2の単量体混合物をCHP0.016部とともに90分間かけて反応容器に添加した後、60分間反応を継続させて架橋弾性重合体を含む二層架橋ゴム弾性体を得た。
ついで、MMA6.0部、BA4.0部、AMA0.075部、およびCHP0.0125部の第3の単量体混合物を45分間かけて反応容器に滴下した後、60分間反応を継続させて中間重合体を形成させた。
ついで、MMA55.2部、BA4.8部、nOM0.19部、およびtBH0.08部からなる第4の単量体混合物を140分間かけて反応容器に滴下した後、60分間反応を継続させて最外層重合体を形成して多層構造を有するゴム含有多段重合体(II)のラテックスを得た。ラテックス中のゴム含有多段重合体(II)の質量平均粒子径は、0.12μmであった。
ゴム含有多段重合体(II)のラテックスを、酢酸カルシウム3部含有する水溶液に投入してゴム含有多段重合体(II)を塩析させ、水洗し、分離回収した後、乾燥して粉体状のゴム含有多段重合体(II)を得た。ゴム含有多段重合体(II)のゲル含有率は、60%であった。
〔合成例5〕
ゴム含有多段重合体(III)の合成:
攪拌機を備えた容器にイオン交換水10.8部を仕込んだ後、MMA0.3部、BA4.5部、1,3BD0.2部、AMA0.05部、CHP0.025部からなる第1の単量体混合物を投入し、攪拌混合した。ついで、乳化剤(1)1.3部を攪拌しながら上記容器に投入し、再度20分間攪拌を継続し、乳化液(N−2)を調製した。得られた乳化液中の分散相の平均粒子径は、10μmであった。
ついでに、冷却器付き反応容器内にイオン交換水139.2部を投入し、これを75℃に昇温し、さらに、イオン交換水5部にソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.20部、硫酸第一鉄0.0001部、EDTA0.0003部を加えて調製した混合物を一括投入した。ついで、窒素下で撹拌しながら、乳化液(N−2)を8分間かけて反応容器に滴下した後、15分間反応を継続させて最内重合体を得た。
ついで、MMA9.5部、BA14.25部、1,3BD1.0部、AMA0.25部からなる第2の単量体混合物をCHP0.016部とともに90分間かけて反応容器に添加した後、60分間反応を継続させて架橋弾性重合体を含む二層架橋ゴム弾性体を得た。
ついで、MMA5.96部、MA3.97部、AMA0.07部、およびCHP0.0125部の第3の単量体混合物を45分間かけて反応容器に滴下した後、60分間反応を継続させて中間重合体を形成させた。
ついで、MMA57.0部、MA3.0部、nOM0.264部、およびtBH0.075部からなる第4の単量体混合物を140分間かけて反応容器に滴下した後、60分間反応を継続させて最外層重合体を形成して多層構造を有するゴム含有多段重合体(III)のラテックスを得た。ラテックス中のゴム含有多段重合体(III)の質量平均粒子径は、0.11μmであった。
ゴム含有多段重合体(III)のラテックスを、酢酸カルシウム3.5部含有する水溶液中に投入してゴム含有多段重合体(III)を塩析させ、水洗し、分離回収した後、乾燥して粉体状のゴム含有多段重合体(III)を得た。ゴム含有多段重合体(III)のゲル含有率は、70%であった。
〔合成例6〕
ゴム含有多段重合体(IV)の合成:
冷却器付き反応容器内にイオン交換水195部を投入し、これを70℃に昇温し、さらに、イオン交換水5部にソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.10部、硫酸第一鉄0.0001部、EDTA0.0003部を加えて調製した混合物を一括投入した。ついで、窒素下で撹拌しながら、MMA2.3部、BA2.13部、ST0.37部、1,3BD0.2部、CHP0.01部からなる第1の単量体混合物および乳化剤(1)1.3部からなる混合物を8分間かけて反応容器に添加した後、15分間反応を継続させて最内重合体を得た。
ついで、BA24.54部、ST4.26部、BD1.2部、AMA0.225部からなる第2の単量体混合物をCHP0.03部とともに90分間かけて反応容器に滴下した後、60分間反応を継続させて架橋弾性重合体を含む第一中間層重合体を形成させた。
ついで、MMA6.0部、BA3.28部、ST0.72部、AMA0.15部、およびCHP0.02部の第3の単量体混合物を30分間かけて反応容器に滴下した後、60分間反応を継続させて第2中間重合体を形成させた。
ついで、MMA52.25部、BA2.26部、ST0.49部、nOM0.193部、およびtBH0.055部からなる第4の単量体混合物を130分間かけて反応容器に滴下した後、60分間反応を継続させて最外層重合体を形成して多層構造を有するゴム含有多段重合体(IV)のラテックスを得た。ラテックス中のゴム含有多段重合体(IV)の質量平均粒子径は、0.09μmであった。
ゴム含有多段重合体(IV)のラテックスを、酢酸カルシウム3部含有する水溶液中に投入してゴム含有多段重合体(IV)を塩析させ、水洗し、分離回収した後、乾燥して粉体状のゴム含有多段重合体(IV)を得た。ゴム含有多段重合体(IV)のゲル含有率は、60%であった。
熱可塑性重合体(V):
熱可塑性重合体(V)としては、アクリペットVH(三菱レイヨン(株)製、還元粘度0.059L/g)を用いた。
熱可塑性重合体(VI):
熱可塑性重合体(VI)としては、アクリペットMD(三菱レイヨン(株)製、還元粘度0.057L/g)を用いた。
〔調製例3〕
アクリル樹脂組成物の調製:
ゴム含有多段重合体(I)〜(IV)、熱可塑性重合体(V)、(VI)、表3に示す化合物を、表3に示す割合でヘンシェルミキサーにより混合した。ついで、この混合物を脱気式二軸押出機を用いて、シリンダー温度230℃で溶融混練し、アクリル樹脂組成物1〜6のペレットを得た。
Figure 2007298919
表中、添加剤Aは、旭電化(株)製「アデカスタブLA−31RG」であり、添加剤Bは、旭電化(株)製「アデカスタブLA−67」であり、着色剤は、大日精化工業(株)製「ダイミックカラーMBR 421」である。
〔製造例1〕
着色層(着色シート)の製造:
アクリル樹脂組成物1〜4のペレットを、40mmφ一軸押出機、65mmφ一軸押出機、フィードブロック型ダイスを用いて、シリンダー温度180〜240℃、Tダイ温度240℃で押出成形し、着色シート1〜4を得た。
〔実施例1〕
光架橋性キャスト液組成物1をプロペラ型ミキサーで撹拌しながら、着色シート1上にコンマロールコーターにて塗工幅200mmで塗工した。
ついで、表4の温度条件に設定したトンネル型乾燥炉(幅800mm、高さ100mm、長さ8m、4つの乾燥ゾーン(1ゾーンの長さ2m)に分割、着色シートの動きに対して向流になるように熱風を送り込む方式)の中を、5m/分の速度で通過させて溶剤を揮発させ、厚さ8μmの保護層を形成し、再帰反射素子層保護用着色シートを得た。このときの各乾燥ゾーンの滞在時間を表4に示す。
Figure 2007298919
ついで、再帰反射素子層保護用着色シートの着色層側に、厚さ2mmの市販のアクリル樹脂シート(三菱レイヨン(株)製、商品名:アクリライトL)を熱プレスラミネートし、プレス成形品を得た。
ついで、紫外線照射装置を用いて、700mJ/cm2 の紫外線を照射して、光架橋性樹脂組成物を架橋させ、プレス成形品を得た。該プレス成形品について評価を行った。結果を表5に示す。
また、再帰反射素子層保護用着色シートの着色層側に、厚さ200μmのポリカーボネート樹脂を熱ラミネートし、ラミネートシートを得た。ついで、ラミネートシートと厚さ40μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを、線幅0.3mmの網目状凸彫刻を施した表面温度約190℃の金属ロールと表面温度約60℃のゴムロールとの間に、保護層側がゴムロールと接触するように、加圧しながら通過させてエンボス加工を行った。エンボス加工品について評価を行った。結果を表5に示す。
〔実施例2〜5〕
光架橋性キャスト液組成物および着色シートを表5に示すものに変更した以外は、実施例1と同様にしてプレス成形品およびエンボス加工品を得て、評価を行った。結果を表5に示す。
〔比較例1〕
保護層を設けない以外は、実施例2と同様にしてプレス成形品およびエンボス加工品を得て、評価を行った。結果を表5に示す。
〔比較例2〕
保護層を設けない以外は、実施例4と同様にしてプレス成形品およびエンボス加工品を得て、評価を行った。結果を表5に示す。
〔実施例6〕
アクリルポリオール1の75部、アクリルポリオール2の25部、および脂肪族多官能性イソシアネート(1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート)の100部を混合して架橋性キャスト液組成物3を調製した。
該架橋性キャスト液組成物3を用いた以外は、実施例2と同様にしてプレス成形品およびエンボス加工品を得て、評価を行った。結果を表5に示す。
アクリルポリオール1:MMA21.4部、BA51.4部、ヒドロキシルアクリル酸プロピル27.2部の共重合体。
アクリルポリオール2:MMA40.5部、BA47.3部、ヒドロキシルアクリル酸エチル12.0部の共重合体。
Figure 2007298919
〔実施例7、8〕
製造例1で得たアクリル樹脂組成物3、5、6のペレットを用意した。これらペレットを、表6に層構成にて、40mmφ一軸押出機、65mmφ一軸押出機、フィードブロック型ダイスを用いて、シリンダー温度180〜240℃、Tダイ温度240℃で共押出成形し、アクリル樹脂第1層(着色層)の厚さが10μm、アクリル樹脂第2層(保護層)の厚さが115μm、合計の厚さ125μmの再帰反射素子層保護用着色シートを得た。
ついで、実施例1と同様にしてプレス成形品およびエンボス加工品を得て、評価を行った。結果を表6に示す。
Figure 2007298919
本発明の再帰反射素子層保護用着色シートは、看板、道路標識等に使用される再帰反射シートの表皮材とし有用である。特に、長期に亘り屋外で使用する場合、着色剤の変退色等の問題がなく、また耐擦傷性を有するため、本発明の再帰反射素子層保護用着色シートは工業的に利用価値が高い。
本発明の再帰反射素子層保護用着色シートの一例を示す概略断面図である。 本発明の再帰反射シートの一例を示す概略断面図である。 本発明の再帰反射シートの他の例を示す概略断面図である。 本発明の再帰反射シートの他の例を示す概略断面図である。
符号の説明
1 再帰反射素子層保護用着色シート
2 着色層
3 保護層
10 再帰反射シート
14 再帰反射素子層
20 再帰反射シート
24 再帰反射素子層
30 再帰反射シート
34 再帰反射素子層

Claims (2)

  1. 着色剤を含有する着色層と、
    該着色層の片面に積層された保護層と
    を有する、再帰反射素子層保護用着色シート。
  2. 請求項1記載の再帰反射素子層保護用着色シートと、
    再帰反射素子層とを有し、
    前記再帰反射素子層保護用着色シートが、着色層が再帰反射素子層側となるように、再帰反射素子層上に積層されている、再帰反射シート。
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JP2013160951A (ja) * 2012-02-06 2013-08-19 Dainippon Printing Co Ltd 光制御シート、これを備えた透過型スクリーン、および背面投射型表示装置

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