JP2007283539A - 多層樹脂成形品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】接着層を備えていなくても樹脂フィルムと樹脂成形品との間が良好に密着し、かつ、外観、耐擦傷性、耐候性などの他の特性にも優れた多層樹脂成形品の製造。
【解決手段】金型内にアクリル樹脂フィルムを配置するとともに成形樹脂を射出して、アクリル樹脂フィルムと成形樹脂とを一体化する射出工程を有する多層樹脂成形品の製造方法において、前記射出工程を次の4式すべてを満たす条件下で行う。T≧80℃、T≧90℃、T+T≧315℃、T−50℃≦T<T(式中、T、Tはアクリル樹脂フィルムの熱変形温度(℃)、成形樹脂の熱変形温度(℃)をそれぞれ示し、T、Tは、成形樹脂と接する側のアクリル樹脂フィルムの射出工程での表面温度(℃)、射出工程での成形樹脂温度(℃)を示す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、金型内にアクリル樹脂フィルムを配置するとともに成形樹脂を射出して、アクリル樹脂フィルムと成形樹脂とを一体化する多層樹脂成形品の製造方法に関する。
例えばヘッドランプ、テールランプ、バンパーなどの自動車外装部品、コンソールボックス、センタークラスター、スイッチベースなどの自動車内装部品、携帯電話の筐体などの通信機器部品、建材などは、樹脂成形品の表面に絵柄などが設けられ、意匠性が付与されている場合が多い。このように意匠性を付与する方法としては、パッド印刷法、曲面シルク印刷法、静電印刷法などで樹脂成形品の表面に直に絵柄を印刷する直刷り法や、熱転写法や水転写法などにより絵柄を設ける転写法などがある。ところが、直刷り法は樹脂成形品が複雑な立体形状である場合などには適した方法ではなく、高度な意匠性の付与は困難であるし、転写法には、比較的コストが高いという問題がある。また、スプレー塗装などにより、樹脂成形品の表面を塗装する場合もあるが、この方法では、塗装スペースが必要で工程数が多いとともに、溶剤による作業環境や地球環境への影響が懸念される。
そのため、複雑な立体形状の樹脂成形品にも低コストで意匠性を付与でき、環境面からも好ましい方法として、射出成形用の金型内に、絵柄などがあらかじめ印刷された樹脂フィルム(シート)を配置するとともに樹脂成形品を形成するための成形樹脂を射出して、樹脂フィルムと成形樹脂とを一体化させる方法の採用が多くなってきている(例えば、特許文献1参照。)。この際、樹脂フィルムは、あらかじめ真空成形などにより立体形状に成形されてから金型内に配置される場合(インサート成形)と、成形されずに配置される場合(インモールド成形)がある。
このような方法で使用される樹脂フィルムとしては、ポリ塩化ビニルフィルムやポリエステルフィルムなどに比べて、透明性、印刷性、耐候性、深み感、高級感、伸度などの特性に優れることから、アクリル樹脂フィルムが多用されている。アクリル樹脂フィルムは、上述したように、あらかじめ絵柄などが印刷されてから使用される場合と、樹脂成形品の色調を生かしつつこれを保護する目的で、透明なまま使用される場合とがあり、例えば特許文献2には、ポリ塩化ビニルやポリカーボネート樹脂などの表面保護に使用されることが記載されている(例えば、特許文献2、3参照。)。
このように樹脂成形品の表面に樹脂フィルムが設けられた多層樹脂成形品には、外観が優れていることなどに加えて、耐擦傷性が良好であることが求められる場合が多い。
例えば、その用途が建材用途である場合には、窓等の開口部、サッシ、玄関引き戸、玄関ドア等、擦傷の可能性の高い部位へも使用できるものであることが望ましく、そのため、表面に設けられるアクリル樹脂フィルムには、その鉛筆硬度が2B以上であることが求められる。また、車輌用途として各種メーターのカバー、ヘッドランプやテールランプのカバー、各種ミラー等に使用される際においても、砂塵やごみによる耐擦傷性が低い場合には、経時的な外観低下が懸念されるとともに、透明性が低下してレンズカバーとしての機能を果たさなくなるおそれがあるため、やはり良好な耐擦傷性が求められる。
耐擦傷性を高めるためには、例えば、特許文献4に開示されているように、予め架橋した表面硬度の高い樹脂フィルムを選択し、これを樹脂成形品の表面に設ける方法が考えられるが、このような樹脂フィルムは成形が困難であり、立体形状の樹脂成形品の表面に積層することは困難であった。
そこで、本発明者らは、先に、側鎖に脂環式エポキシ基またはラジカル重合性不飽和基を有する樹脂と、無機微粒子と、光重合開始剤とを含む組成物を積層したアクリル樹脂フィルムを提案した(例えば、特許文献5参照)。この光硬化性を有するアクリル樹脂フィルムによれば、光硬化前は優れた成形性を有していて、樹脂成形品と良好に一体化することが可能で、かつ、光硬化後には耐擦傷性をはじめとする優れた表面特性を発現するため、耐擦傷性が要求される用途に好適に使用できる。
ところが、このアクリル樹脂フィルムを備えた多層樹脂成形品は、多層樹脂成形品内外の温度差が大きくなる部位(例えば、サンルーフのように直射日光に曝される部位、ヘッドランプやテールランプのような光源のある部位)に長期にわたって使用されたり、落下などによる衝撃が加わりやすい用途(例えば、携帯電話の筐体などの通信機器部品)に使用されたりすると、アクリル樹脂フィルムが樹脂成形品から剥離してしまうことがあった。このような問題を解決する方法としては、樹脂成形品とアクリル樹脂フィルムとの間に、密着性向上のための接着層を設ける方法や、アクリル樹脂フィルムにおける樹脂成形品との接触面をコロナ放電で表面処理する方法などもあるが、これらの方法を採用すると工程が煩雑になり、コストも高くなる。
そこで、例えば特許文献6には、樹脂フィルムの熱変形温度に応じて、金型表面温度を特定に制御することにより、樹脂成形品と樹脂フィルムとの密着性を改善しようとする方法が開示されている。
また、特許文献7〜9には、樹脂成形品と樹脂フィルムとの密着性改善以外の問題を解決することを目的として、金型温度の制御や、樹脂フィルムのガラス転移温度、成形樹脂の射出温度、樹脂フィルムの厚みなどに着目した技術が開示されている。
特公昭50−19132号公報 特開昭50−84678号公報 特許第3142774号公報 特公昭59−45502号公報 特開2002−80550号公報 特開平9−52247号公報 特開2002−18893号公報 特開平10−278069号公報 特許第2725735号公報
しかしながら、特許文献6に記載の方法では、金型表面温度は樹脂フィルムの軟化点か成形樹脂の軟化点かのどちらか高いほうの温度以上であることが条件となっていて、この条件下でアクリル樹脂フィルムと成形樹脂とを一体化しようとすると、アクリル樹脂フィルムの可塑化が進行してしまい、密着性改善効果は得られたとしても、多層樹脂成形品の表面にシワや気泡を生じ、外観が低下する場合がある。
また、特許文献7〜9に記載の条件を採用したとしても、樹脂成形品とアクリル樹脂フィルムとの間の密着性を接着層なしで向上させることはできない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、接着層を備えていなくても樹脂フィルムと樹脂成形品との間が良好に密着し、かつ、外観、耐擦傷性、耐候性などの他の特性にも優れた多層樹脂成形品の製造を課題とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、アクリル樹脂フィルムと成形樹脂とをある特定の成形条件下で一体化させることにより、アクリル樹脂フィルムと、成形樹脂からなる樹脂成形品との密着性が極めて優れ、外観、耐擦傷性、耐候性などの他の特性も良好な多層樹脂成形品が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の多層樹脂成形品の製造方法は、金型内にアクリル樹脂フィルムを配置するとともに成形樹脂を射出して、アクリル樹脂フィルムと成形樹脂とを一体化する射出工程を有する多層樹脂成形品の製造方法において、前記射出工程を下記式(1)〜(4)のすべてを満たす条件下で行うことを特徴とする。
≧80℃ ・・・(1)
≧90℃ ・・・(2)
+T≧315℃ ・・・(3)
−50℃≦T<T・・・(4)
(上記式(1)〜(4)中、T、Tは、ASTM D648(0.455MPa条件下)に基づくアクリル樹脂フィルムの熱変形温度(℃)、成形樹脂の熱変形温度(℃)をそれぞれ示し、T、Tは、成形樹脂と接する側のアクリル樹脂フィルムの射出工程での表面温度(℃)、射出工程での成形樹脂温度(℃)をそれぞれ示す。)
本発明によれば、接着層を備えていなくても樹脂フィルムと樹脂成形品との間が良好に密着し、かつ、外観、耐擦傷性、耐候性などの他の特性にも優れた多層樹脂成形品を製造できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、金型内にアクリル樹脂フィルムを配置するとともに成形樹脂を射出して、アクリル樹脂フィルムと成形樹脂とを一体化する射出工程を有する多層樹脂成形品の製造方法、すなわち、インサート成形法やインモールド成形法において、射出工程を下記式(1)〜(4)のすべてを満たす条件下で行うものである。
≧80℃ ・・・(1)
≧90℃ ・・・(2)
+T≧315℃ ・・・(3)
−50℃≦T<T・・・(4)
上記式(1)〜(4)中、T、Tは、ASTM D648(0.455MPa条件下)に基づくアクリル樹脂フィルムの熱変形温度(℃)、成形樹脂の熱変形温度(℃)をそれぞれ示す。また、Tは、成形樹脂と接する側のアクリル樹脂フィルムの射出工程での表面温度(℃)を示し、Tは、射出工程での成形樹脂温度(℃)、すなわち溶融状態にある成形樹脂温度(℃)を示す。
なお、Tは、サーモラベルを金型内のアクリル樹脂フィルムの成形樹脂が接する側に貼り付け、成形樹脂を射出した後、サーモラベルを確認することにより測定できる。また、Tは、金型温度を変化させることにより、コントロールできる。
ここで、式(1)の条件を満たさない場合、すなわち、使用するアクリル樹脂フィルムの熱変形温度(T)が80℃未満である場合、成形樹脂とアクリル樹脂フィルムとの密着性は良好となるが、アクリル樹脂フィルムの表面硬度が不十分となり、耐擦傷性の優れた多層樹脂成形品が得られない。
また、式(2)の条件を満たさない場合、すなわち、使用する成形樹脂の熱変形温度(T)が90℃未満である場合、得られた多層樹脂成形品は、太陽光やランプ等の光源より加熱される部位(自動車のサンルーフ、ヘッドランプ、テールランプなど)に使用されると変形する可能性があり、耐候性が劣る。
式(3)の条件を満たさない場合、すなわち、射出工程時において、成形樹脂と接する側のアクリル樹脂フィルムの表面温度(T)と成形樹脂温度(T)との合計が315℃未満の場合、アクリル樹脂フィルムと成形樹脂からなる樹脂成形品との密着性が低下する。
より好ましくは下記式(5)の条件であり、さらに好ましくは下記式(6)の条件である。
+T≧330℃ ・・・(5)
410℃≧T+T≧330℃ ・・・(6)
式(4)の条件を満たさず、成形樹脂と接する側のアクリル樹脂フィルムの表面温度(T)がアクリル樹脂フィルムの熱変形温度(T)より50℃低い温度未満の場合には、アクリル樹脂フィルムと成形樹脂からなる樹脂成形品との密着が低下する。一方、射出工程において成形樹脂と接する側のアクリル樹脂フィルムの表面温度(T)がアクリル樹脂フィルムの熱変形温度(T)より高いと、アクリル樹脂フィルムが軟化状態となり、成形樹脂を射出する際の射出圧力や熱の影響により損傷しやすく、得られた多層樹脂成形品の表面にシワやブツが発生し、外観が低下する場合がある。また、アクリル樹脂フィルムが金型に貼りついてしまい、多層樹脂成形品の取り出しが困難となる場合もある。
式(1)〜(4)のすべてを満たす条件下で射出工程を行うことにより、接着層を設けなくても樹脂フィルムと樹脂成形品との間が良好に密着し、外観、耐擦傷性、耐候性にも優れた多層樹脂成形品が得られる。また、金型としては、一般の射出成形(インモールド成形、インサート成形を含む)に使用可能な一般の金型をいずれも使用できる。
上記条件を満たす限り、アクリル樹脂フィルムや成形樹脂としては、いかなるものも使用できるが、以下に好ましいアクリル樹脂フィルムおよび成形樹脂について説明する。
アクリル樹脂フィルムとしては、Tが80℃以上であり、その主成分がアクリル樹脂からなるフィルム状のものであれば、単層でも多層でもよい。
アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸やその誘導体を主成分とする単量体から製造されたものを使用できるが、特に、架橋ゴム成分を含有するアクリル樹脂を採用すると、透明性、耐候性、フィルム成形性に優れたアクリル樹脂フィルムが得られる点で好ましい。このようなアクリル樹脂フィルムの具体例としては、下記(a)〜(d)のものが挙げられる。
なお、本明細書において主成分とは、50質量%以上のことを指し、好ましくは70質量%以上のことを指す。
(a)特許第3142774号公報に開示のアクリル積層射出成形品用アクリルフィルム。すなわち、
下記に示される熱可塑性重合体(I)0〜10質量部、ゴム含有重合体(II)5.5〜25質量部および熱可塑性重合体(III)65〜94.5質量部からなり、(I)、(II)および(III)の合計が100質量部であり、ゴム含有重合体(II)中の弾性共重合体の割合が(I)、(II)および(III)の合計の5〜18質量%であるアクリル積層射出成形品用アクリルフィルム。
熱可塑性重合体(I):メタクリル酸メチル50〜100質量%と、これと共重合可能な他のビニル単量体の少なくとも1種0〜50質量%とからなり、重合体の還元粘度(重合体0.1gをクロロホルム100mLに溶解し、25℃で測定)が0.2L/gを超える熱可塑性重合体。
ゴム含有重合体(II):アクリル酸アルキルエステル50〜99.9質量%、他の共重合性ビニル単量体の0〜49.9質量%および共重合性の架橋性単量体0.1〜10質量%からなる弾性共重合体100質量部に、メタクリル酸エステル50〜100質量%と、これと共重合可能なビニル系単量体0〜50質量%とからなる単量体またはその混合物10〜400質量部が結合されている重合体であり、かつその粒径が0.2〜0.4μmであるゴム含有共重合体。
熱可塑性重合体(III):炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸エステル50〜100質量%と、アクリル酸エステル0〜50質量%と、これと共重合可能な他のビニル単量体の少なくとも1種0〜49質量%とからなり、重合体の還元粘度(重合体0.1gをクロロホルム100mLに溶解し、25℃で測定)が0.1L/g以下である熱可塑性重合体。
(b)特許第3287315号公報に開示の射出成形同時貼合用アクリルフィルムまたはシート。すなわち、
メタクリル酸メチル単位50〜99質量%とアクリル酸アルキルエステル単位50〜1質量%からなるガラス転移温度が40〜105℃のアクリル系樹脂95〜50質量%に、最内層がメタクリル酸メチルを主成分とする硬質の重合体、中間層がアルキル基の炭素数が4〜8のアクリル酸アルキルエステルと多官能単量体の共重合体からなる軟質のゴム弾性体、最外層がメタクリル酸メチルを主成分とする硬質の重合体からなる3層構造アクリル系重合体5〜50質量%を分散した樹脂組成物からなる射出成形同時貼合用アクリルフィルムまたはシート。
(c)特許第3479645号公報に開示の塗装代替用アクリル樹脂フィルム。すなわち、
以下に示される熱可塑性重合体(I)75〜94.5質量部およびゴム含有重合体(II)5.5〜25質量部を含んでなり、ゴム含有重合体(II)中の最内層重合体(II−A)およびゴム重合体(II−B)からなる弾性重合体((II−A)+(II−B))の量が5〜18質量部[成分(I)および成分(II)の合計100質量部]であることを特徴とする塗装代替用アクリル樹脂フィルム。
ただし、熱可塑性重合体(I)は、メタクリル酸アルキルエステル50〜100質量%と、アクリル酸アルキルエステル0〜50質量%と、これらと共重合可能な他のビニル単量体0〜49質量%とからなり、重合体の還元粘度(重合体0.1gをクロロホルム100mLに溶解し、25℃で測定)が0.1L/g以下である熱可塑性重合体である。
また、ゴム含有重合体(II)は、最内層が、メタクリル酸アルキルエステルおよびアクリル酸アルキルエステルを含む単量体を重合して得たガラス転移温度が0℃以上25℃未満である最内層重合体(II−A)からなり、中間層が、アクリル酸アルキルエステルを含む単量体を重合して得たガラス転移温度が0℃未満であるゴム重合体(II−B)からなり、最外層が、メタクリル酸アルキルエステルを含む単量体を重合して得た最外層重合体(II−C)からなる、3層構造を有する平均粒子径0.2〜0.4μmのゴム含有重合体である。
(d)特開2005−163003号公報に開示の多層構造重合体(I)からなるアクリル樹脂フィルム状物。すなわち、
下記の単量体成分から構成される、(1)最内層重合体(I−A)と、(2)ガラス転移温度が25〜100℃であり、前記最内層重合体(I−A)とは異なる組成の中間層重合体(I−B)と、(3)最外層重合体(I−C)と、がこの順に積層されてなる多層構造重合体(I)。ただし、
(1)最内層重合体(I−A)を構成するための単量体成分
(I−A1)アクリル酸アルキルエステル 50〜99.9質量%
(I−A2)メタクリル酸アルキルエステル 0〜49.9質量%
(I−A3)共重合可能な二重結合を有する他の単量体 0〜20質量%
(I−A4)多官能性単量体 0〜10質量%
(I−A5)グラフト交叉剤 0.1〜10質量%
(2)中間層重合体(I−B)を構成するための単量体成分
(I−B1)アクリル酸アルキルエステル 9.9〜90質量%
(I−B2)メタクリル酸アルキルエステル 9.9〜90質量%
(I−B3)共重合可能な二重結合を有する他の単量体 0〜20質量%
(I−B4)多官能性単量体 0〜10質量%
(I−B5)グラフト交叉剤 0.1〜10質量%
(3)最外層重合体(I−C)を構成するための単量体成分
(I−C1)メタクリル酸アルキルエステル 80〜100質量%
(I−C2)アクリル酸アルキルエステル 0〜20質量%
(I−C3)共重合可能な二重結合を有する他の単量体 0〜20質量%
架橋ゴム成分を含むアクリル樹脂フィルムの市販品としては、アクリプレンHBX−N47(三菱レイヨン株式会社製)が挙げられる。
また、アクリル樹脂フィルムの厚みは、10〜500μmが好ましく、より好ましくは10〜300μmである。10μm以上であると、得られる多層樹脂成形品の外観は十分な深みを有するものとなる。また、このような厚みであると、アクリル樹脂フィルムが複雑な形状に成形される際に延伸されても、十分に対応可能である。また、500μm以下であれば、適度な剛性を備え、ラミネート性、二次加工性も良好なアクリル樹脂フィルムを安定に製膜できるとともに、単位面積あたりの質量も適度で、コスト面での不都合もない。
また、アクリル樹脂フィルムとしては、必要に応じて艶消し処理や着色加工したものを用いてもよい。さらに、アクリル樹脂フィルムは、例えば、シリカ、球状アルミナ、鱗片状アルミナ等の減摩剤、安定剤、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス等の滑剤、加工助剤、可塑剤、耐衝撃剤、発泡剤、充填剤、抗菌剤、防カビ剤、離型剤、帯電防止剤、顔料、染料等の着色剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、微粒子酸化セリウム系等の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系ラジカル補足剤等の光安定剤等などの配合剤を含んでいてもよい。特に成形樹脂の保護の点では、耐候性を付与するために、紫外線吸収剤を含有することが好ましい。紫外線吸収剤としては、その分子量が300以上のものが好ましく、より好ましくは400以上である。分子量が300以上の紫外線吸収剤を使用すると、射出工程中、金型内を減圧したり加圧したりする場合における紫外線吸収剤の揮発を抑制でき、このような揮発による金型汚れ等を防止できる。また、分子量が高い紫外線吸収剤ほど、一般に、アクリル樹脂フィルムからの長期的なブリードアウトが起こりにくく、紫外線吸収性能が長期間持続する点でも好ましい。
さらに、アクリル樹脂フィルムは、成形樹脂と接しない側の表面に、特定の機能を発現する表層を備えたものを使用してもよい。
このような表層としては、アクリル樹脂フィルムに帯電防止機能、意匠性を付与することを目的とした従来公知の帯電防止剤、艶消し剤等を含む層が挙げられる。
また、このような表層としては、アクリル樹脂フィルムに耐擦傷性を付与するための層も挙げられ、このような層としては公知のハードコート剤を含む層の他、光硬化性樹脂組成物からなる層が好ましいものとして挙げられる。光硬化性樹脂組成物からなる層(以下、光硬化性層という。)を表層として備えたアクリル樹脂フィルム使用する場合には、射出工程により成形樹脂とこのアクリル樹脂フィルムとを一体化した後、光硬化性層を光照射して架橋反応を進行させる。その結果、光硬化性層は高い表面硬度を発揮し、それにより優れた耐擦傷性を多層樹脂成形品に付与することができる。
光硬化性樹脂組成物は、分子内に2つ以上の光重合性基を有する化合物を含み、光照射により架橋反応が進行する樹脂組成物であり、光重合性基としては、ビニル基や(メタ)アクリル基等の光ラジカル重合機構で反応するラジカル重合性不飽和基や、脂環式エポキシ基等の光カチオン重合機構で反応する官能基が挙げられる。
また、分子内に2つ以上の光重合性基を有する化合物としては、単量体、オリゴマーなどの低分子量体や、樹脂のような高分子量体などその分子量に制限はなく、これらのうちの1種以上を使用できるが、好ましくは、側鎖に光重合性基を有する熱可塑性樹脂を採用する。さらには、光硬化性樹脂組成物が、このような熱可塑性樹脂以外の架橋性化合物を実質的に含有しないことが好ましい。
このような光硬化性樹脂組成物からなる光硬化性層を有するアクリル樹脂フィルムは、非常に優れたタックフリー性、成形性、保存安定性などの特性を併せ持つため、これを使用することで良好な多層樹脂成形品が得られやすい。一方、分子内に2つ以上の光重合性基を有する化合物として、単量体、オリゴマーなどの低分子量体を採用した際には、タックフリー性、成形性、保存安定性などの特性を併せ持つアクリル樹脂フィルムは得られにくい。単量体、オリゴマーなどの低分子量体を採用し、かつ、これらの特性に優れたアクリル樹脂フィルムを得るためには、射出工程前に光硬化性層の架橋反応を適度に進行させておく方法もある。しかしながら、実際には、架橋反応の進行度合いを管理することは困難であり、架橋反応が進行し過ぎると成形性が低下し、一方、架橋反応の進行が不足すると光硬化性層にタックが生じ、射出工程においてアクリル樹脂フィルムが金型に貼り付く等の不具合を生じてしまう。
さらに、特に光硬化性樹脂組成物は、40℃において液体状の架橋性モノマー、オリゴマーや、分子量2000以下の低分子量の架橋性モノマー、オリゴマーは実質的に含有しない方が好ましい。これらが含まれる光硬化性樹脂組成物からなる光硬化性層を備えたアクリル樹脂フィルムは、長期間の保管時や射出工程で加熱された際に、光硬化性層の表面が粘着性を有するようになり、ロール巻き出し時におけるブロッキングや、射出工程における金型汚染等の問題を引き起こすことがある。より好ましい光硬化性樹脂組成物は、50℃において液体状の架橋性モノマー、オリゴマーを実質的に含有しないものである、さらには、60℃において液体状の架橋性モノマー、オリゴマーを実質的に含有しないものが好ましい。
なお、ある物質を実質的に含有しないということは、その物質に起因した特性が光硬化性樹脂組成物の特性として発現しないことを指す。
側鎖に光重合性基を有する熱可塑性樹脂は、光重合性基を有する単量体を熱可塑性樹脂に(共)重合する方法や、水酸基、エポキシ基、カルボキシル基等の第一の官能基を側鎖に有するポリマーと、第一官能基との反応性を備えた第二の官能基と光重合性基とを備えた化合物とを反応させる方法などの公知の方法により合成できる。
ここで熱可塑性樹脂の側鎖の光重合性基量は、光重合性基当量(光重合性基1個あたりの平均分子量)が、仕込み値からの計算値で平均3000g/mol以下であることが耐水性、耐油性、耐薬品性、耐擦傷性の観点から好ましい。さらに好ましい範囲は、平均1200g/mol以下であり、最も好ましい範囲は平均800g/mol以下である。このように、架橋に関与する光重合性基を熱可塑性樹脂中に複数導入することにより、低分子量の光硬化性樹脂組成物を使用する必要がない。よって、長期間の保管時や射出工程で加熱された際にも、表面が粘着性を呈しないアクリル樹脂フィルムを得ることができる。
ここで使用される熱可塑性樹脂の種類としては、太陽光などに含まれる紫外線により劣化しにくい光硬化性層を形成しやすいため、アクリル樹脂が好ましい。
また、熱可塑性樹脂は、その数平均分子量が5000〜2500000の範囲のものが好ましく、より好ましくは10000〜1000000である。数平均分子量が5000以上であると、アクリル樹脂フィルムの射出工程における金型離型性が良好となるとともに、光照射により架橋反応を終了させた後の多層樹脂成形品の耐薬品性、耐擦傷性などがより優れる。
また、熱可塑性樹脂は、そのガラス転移温度が25〜175℃のものが好ましく、より好ましくは30〜150℃である。ガラス転移温度が25℃以上であると、アクリル樹脂フィルムの射出工程における金型離型性が良好となるとともに、光照射により架橋反応を終了させた後の多層樹脂成形品の硬度、耐薬品性、耐擦傷性などが優れる。また、175℃以下であると、アクリル樹脂フィルムの取り扱い性も良好となる。
光硬化性樹脂組成物には、多層樹脂成形品の耐擦傷性などを向上させる目的で無機微粒子を添加してもよい。
無機微粒子としては、光硬化性樹脂組成物の透明性に影響を与えないものが好適に使用でき、コロイダルシリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化スズ、異種元素ドープ酸化スズ(ATO等)、酸化インジウム、異種元素ドープ酸化インジウム(ITO等)、酸化カドミウム、酸化アンチモン等のうち1種以上を使用できる。なかでも、入手の容易さや価格面、得られる光硬化性樹脂組成物の光線透過率や耐薬品性、耐擦傷性の観点から、コロイダルシリカが特に好ましい。
無機微粒子の粒子径は、光硬化性膜の光線透過率の観点から、200nm以下が好ましく、より好ましくは100nm以下、さらに好ましくは50nm以下である。
無機微粒子の添加量は、分子内に2つ以上の光重合性基を有する化合物100質量部に対して、5〜400質量部の範囲が好ましく、10〜200質量部の範囲が特に好ましい。このような添加量であれば、無機微粒子の添加効果が十分に発現するとともに、無機微粒子の添加が光硬化性樹脂組成物の保存安定性の低下や、アクリル樹脂フィルムの成形性低下を引き起こすおそれもない。
無機微粒子としては、各種のシラン化合物によって、予め表面処理されたものを用いてもよい。表面処理された無機微粒子を使用すると、光硬化性樹脂組成物の保存安定性をより高めるとともに、得られる多層樹脂成形品の耐薬品性、耐擦傷性、耐候性もより良好となる。
光硬化性樹脂組成物には、光重合開始剤を添加してもよい。光重合開始剤としては、光照射によってラジカルを発生させる光ラジカル重合開始剤や酸を生成する光カチオン重合開始剤が挙げられ、公知のものを使用できる。
さらに光硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、増感剤、変性用樹脂、染料、顔料およびレベリング剤やハジキ防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化安定剤等の添加剤を配合できる。
光硬化性層の厚みは、0.3〜50μmの範囲が好ましく、1〜30μmの範囲がさらに好ましい。このような厚みであれば、十分な耐薬品性や耐擦傷性を発揮する光硬化層を形成でき、また、光照射により架橋反応を確実に終了させることができ、架橋反応が完遂しないことによる耐水性、耐候性、耐薬品性等の特性低下が起こることもない。
光硬化層を架橋させるために照射する光としては、電子線、紫外線、γ線等を挙げることができる。照射条件は、光硬化性樹脂組成物層の光硬化特性に応じて決定すればよいが、照射量は、通常500〜10000mJ/cm程度である。これによって、光硬化性樹脂組成物が硬化した硬質の被膜を表面に備えた多層樹脂成形品を得ることができる。
また、アクリル樹脂フィルムは、意匠性向上のために印刷などで形成される絵柄層を有していてもよい。絵柄層は、好ましくは、アクリル樹脂フィルム中において成形樹脂と直に接しない位置に配置される。このように配置されると、絵柄への成形樹脂の熱による影響が低減され好ましい。
このようなアクリル樹脂フィルムに一体化させる成形樹脂としては、アクリル樹脂フィルムと溶融接着が可能で、Tが90℃以上のものであれば、特に制限されないが、接着性の点で、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)からなる群より選ばれる1種以上を主成分として含有するものが好ましい。
アクリル樹脂としては、例えば、ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体(MS樹脂など)などが挙げられる。これらのなかでは、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのアルキル基の炭素数が1〜6のポリ(メタ)アクリル酸アルキルが好ましく、特にメタクリル酸メチルを主成分(50〜100質量%、好ましくは70〜100質量%程度)とするメタクリル酸メチル系樹脂が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂には、ビスフェノール類(ビスフェノールAなど)をベースとする芳香族ポリカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートなどの脂肪族ポリカーボネートなどが含まれる。このようなものとしては、例えば、商品名「レキサンLS−2」日本ジーイープラスチック株式会社製、商品名「パンライトL1225Z」、帝人化成株式会社製などとして入手できる。
ABS樹脂には、アクリロニトリル、ブタジエンおよびスチレンの共重合体を含むものであればどのようなものであってもよく、公知のABS樹脂であってよい。例えば、アクリロニトリル、ブタジエンおよびスチレンとこれら以外のモノマー(例えばメタクリル酸メチル又はメタクリル酸エチル等)との共重合体を含む樹脂であってもよい。また、共重合体は、グラフト共重合体であってもよいし、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体のいずれであってもよい。さらに、ABS樹脂を構成する各単位の比率も特に制限されない。
また、これら成形樹脂を使用するにあたっては、その成形後の収縮率をアクリル樹脂フィルムの収縮率に近似させるように組成を調整するなどし、多層樹脂成形品の反りやアクリル樹脂フィルムの剥がれ等の不具合を解消するようにしてもよい。
以上説明したような多層樹脂成形品の製造方法によれば、金型内に上述のアクリル樹脂フィルムを配置するとともに上述の成形樹脂を射出して、アクリル樹脂フィルムと成形樹脂とを一体化する射出工程を上記式(1)〜(4)のすべてを満たす条件下で行うので、接着層を備えていなくても樹脂フィルムと樹脂成形品との間が良好に密着し、かつ、外観、耐擦傷性、耐候性などの他の特性にも優れた多層樹脂成形品を製造できる。また、このような方法は、比較的低コストであるとともに、スプレー塗装など成形後に塗装する方法に比べて、塗料を用いないために塗装スペースが不要であり工程数も少なく、溶剤による作業環境や地球環境への影響が少ない。また、生産歩留まりが良好な点でも好ましい。
また、上述したようにアクリル樹脂フィルムとして、その表層に光硬化性層を備えたものを使用した場合には、射出工程の後に、光硬化性層を光照射して架橋反応を進行させることによって、より高い表面硬度とそれに起因する優れた耐擦傷性を多層樹脂成形品に付与することができる。
よって、このような製造方法によれば、例えば、ウェザーストリップ、バンパー、バンパーガード、サイドマッドガード、ボディーパネル、スポイラー、フロントグリル、ストラットマウント、ホイールキャップ、センターピラー、ドアミラー、センターオーナメント、サイドモール、ドアモール、ウインドモール等、窓、ヘッドランプカバー、テールランプカバー、風防部品等の自動車外装用途、インストルメントパネル、コンソールボックス、メーターカバー、ドアロックペゼル、ステアリングホイール、パワーウィンドウスイッチベース、センタークラスター、ダッシュボード等の自動車内装用途、AV機器や家具製品のフロントパネル、ボタン、エンブレム、表面化粧材等の用途、携帯電話等のハウジング、表示窓、ボタン等の用途、さらには家具用外装材用途、壁面、天井、床等の建築用内装材用途、サイディング等の外壁、塀、屋根、門扉、破風板等の建築用外装材用途、窓枠、扉、手すり、敷居、鴨居等の家具類の表面化粧材用途、各種ディスプレイ、レンズ、ミラー、ゴーグル、窓ガラス等の光学部材用途、電車、航空機、船舶等の自動車以外の各種乗り物の内外装用途、瓶、化粧品容器、小物入れ等の各種包装容器および材料、景品や小物等の雑貨等のその他各種用途の多層樹脂成形品を好適に製造できる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。なお、例中、「部」は「質量部」を意味する。また、実施例中の略号は以下のとおりである。
メチルメタクリレート MMA
メチルアクリレート MA
エチルアクリレート EA
ブチルアクリレート n−BA
スチレン St
アリルメタクリレート AMA
1,3−ブチレングリコールジメタクリレート 1,3−BD
t−ブチルハイドロパーオキサイド t−BH
クメンハイドロパーオキサイド CHP
n−オクチルメルカプタン n−OM
メチルエチルケトン MEK
グリシジルメタクリレート GMA
アゾビスイソブチロニトリル AIBN
ハイドロキノンモノメチルエーテル MEHQ
トリフェニルホスフィン TPP
アクリル酸 AA
ラウリルパーオキサイド LPO
ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート SFS
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム EDTA
グリセリンモノステアレート
(理研ビタミン株式会社製リケマールS−100A) S100A
モノ−n−ドデシルオキシテトラオキシエチレンリン酸ナトリウム
(フォスファノールRS−610NA、東邦化学株式会社製) 乳化剤
a)架橋ゴム含有重合体(I)の製造
窒素雰囲気下、還流冷却器付き反応容器に脱イオン水244部を入れ、80℃に昇温し、以下に示す(イ)を添加し、撹拌を行いながら以下に示す原料(ロ)(第1内層重合体(I−A1)の原料)の混合物の1/15を仕込み、15分保持した。その後、残りの原料(ロ)を水に対する単量体混合物の増加率8%/時間で連続的に添加した。その後1時間保持して、第1内層重合体(I−A1)のラテックスを得た。
続いて、このラテックスにSFS0.6部を加え、15分保持し、窒素雰囲気下80℃で撹拌を行いながら、以下に示す原料(ハ)(第2内層重合体(I−A2)の原料)を水に対する単量体混合物の増加率4%/時間で連続的に添加した。その後2時間保持して、第2内層重合体(I−A2)の重合を行うことにより、内層体重合体((I−A1)+(I−A2))のラテックスを得た。
このラテックスに、引き続いてSFS0.4部を加え、15分保持し、窒素雰囲気下80℃で撹拌を行いながら、以下に示す原料(ニ)(最外層重合体(I−B)の原料)を水に対する単量体混合物の増加率10%/時間で連続的に添加した。その後1時間保持して、最外層重合体(I−B)の重合を行うことにより、架橋ゴム含有重合体(I)のラテックスを得た。この重合体(I)の平均粒子径は0.28μmであった。この架橋ゴム含有重合体(I)のラテックスに対して、酢酸カルシウムを用いて凝析、凝集、固化反応を行い、ろ過、水洗後乾燥して架橋ゴム含有重合体(I)を得た。
原料(イ)
SFS 0.6部
硫酸第一鉄 0.0001部
EDTA 0.0003部
原料(ロ)
MMA 18.0部
n−BA 20.0部
St 2.0部
AMA 0.15部
1,3−BD 1.2部
t−BH 0.18部
乳化剤 0.75部
原料(ハ)
n−BA 50.0部
St 10.0部
AMA 0.4部
1,3−BD 0.14部
t−BH 0.2部
乳化剤 0.6部
原料(ニ)
MMA 57.0部
MA 3.0部
n−OM 0.3部
t−BH 0.06部
b)架橋ゴム含有重合体(II)の合成
攪拌機を備えた容器に脱イオン水10.8部を仕込んだ後、MMA0.3部、n−BA4.5部、1,3−BD0.2部、AMA0.05部およびCHP0.025部からなる単量体成分を投入し、室温下にて攪拌混合した。ついで、攪拌しながら、乳化剤1.3部を上記容器内に投入し、攪拌を20分間継続して乳化液を調製した。
つぎに、冷却器付き重合容器内に脱イオン水139.2部を投入し、75℃に昇温した。さらに、イオン交換水5部にSFS0.20部、硫酸第一鉄0.0001部およびEDTA0.0003部を加えて調製した混合物を重合容器内に一度に投入した。ついで、窒素下で攪拌しながら、調製した乳化液を8分間にわたって重合容器に滴下した後、15分間反応を継続させ、弾性重合体の第1段階目の重合を完結した(II−A−1)。続いて、MMA9.6部、n−BA14.4部、1,3−BD1.0部およびAMA0.25部からなる単量体成分を、CHP0.016部と共に、90分間にわたって重合容器に滴下した後、60分間反応を継続させ、弾性重合体の二段目重合体の重合を完結させ(II−A−2)、弾性重合体(II−A)を得た。
続いて、MMA6部、MA4部およびAMA0.075部からなる単量体成分を、CHP0.0125部と共に、45分間にわたって重合容器に滴下した後、60分間反応を継続させ、中間重合体(II−B)を形成させた。
続いて、MMA57部、MA3部、n−OM0.264部およびt−BH0.075部からなる単量体成分を140分間にわたって重合容器に滴下した後、60分間反応を継続させ、硬質重合体(II−C)を形成して、架橋ゴム含有重合体(II)の重合体ラテックスを得た。硬質重合体(II−C)単独のTgは99℃であった。また、重合後に測定した架橋ゴム含有重合体(II)の質量平均粒子径は0.11μmであった。
得られた架橋ゴム含有重合体(II)の重合体ラテックスを、濾材としてSUS製のメッシュ(平均目開き:62μm)を取り付けた振動型濾過装置を用いて濾過した後、酢酸カルシウム3.5部を含む水溶液中で塩析させ、水洗して回収した後、乾燥し、粉体状の架橋ゴム含有重合体(II)を得た。架橋ゴム含有重合体(II)のゲル含有率は、70%であった。
c)架橋ゴム含有重合体(III)の合成
攪拌機を備えた容器にイオン交換水8.5部を仕込んだ後、MMA0.3部、n−BA4.5部、1,3−BD0.2部、AMA0.05部、CHP0.025部からなる第1の単量体混合物を投入し、攪拌混合した。次いで、乳化剤1.3部を攪拌しながら上記容器に投入し、再度20分間攪拌を継続し、乳化液(N−1)を調製した。得られた乳化液中の分散相の平均粒子径は、10μmであった。
次に、冷却器付き反応容器内にイオン交換水186.5部を投入し、これを70℃に昇温し、さらに、イオン交換水5部にSFS0.20部、硫酸第一鉄0.0001部、EDTA0.0003部を加えて調製した混合物を一括投入した。次いで、窒素下で撹拌しながら、乳化液(N−1)を8分間かけて反応容器に滴下した後、15分間反応を継続させて最内重合体を得た。
続いて、MMA1.5部、n−BA22.5部、1,3−BD1.0部、AMA0.25部からなる第2の単量体混合物をCHP0.016部と共に90分間かけて反応容器に添加した後、60分間反応を継続させて架橋弾性重合体を含む二層架橋ゴム弾性体を得た。
続いて、MMA6.0部、n−BA4.0部、AMA0.075部、及びCHP0.0125部の第3の単量体混合物を45分間かけて反応容器に滴下した後、60分間反応を継続させて中間重合体を形成させた。
次いで、MMA55.2部、n−BA4.8部、n−OM0.19部、及びt−BH0.08部からなる第4の単量体混合物を140分間かけて反応容器に滴下した後、60分間反応を継続させて最外層重合体を形成して多層構造を有する架橋ゴム含有重合体(III)のラテックスを得た。得られたラテックスの質量平均粒子径は、0.12μmであった。
得られた架橋ゴム含有重合体(III)のラテックスを、酢酸カルシウム3部含有する水溶液中に投入して塩析させ、水洗し、分離回収後、乾燥して粉体状の架橋ゴム含有重合体(III)を得た。架橋ゴム含有重合体(III)のゲル含有率は、60%であった。
d)熱可塑性重合体(IV)の製造
(i)分散安定剤であるアニオン系高分子化合物水溶液(A1)の製造
攪拌機を備えた重合装置に、メタクリル酸2−スルホエチルナトリウム58質量部、メタクリル酸カリウム水溶液(メタクリル酸カリウム分30質量%)31質量部、メタクリル酸メチル11質量部からなる単量体混合物と、脱イオン水900質量部とを加えて攪拌溶解させた。その後、窒素雰囲気下で混合物を攪拌しながら60℃まで昇温し、6時間攪拌しつつ60℃で保持させてアニオン系高分子化合物水溶液を得た。この際、温度が50℃に到達した後、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.1質量部を添加し、更に別に計量したメタクリル酸メチル11質量部を75分間かけて、上記の反応系に連続的に滴下した。
上記した製造方法により得られたアニオン系高分子化合物水溶液を、(A1)とする。
(ii)分散安定剤であるアニオン系高分子化合物水溶液(A2)の製造
攪拌機を備えた重合装置に、水酸化カリウム水溶液(水酸化カリウム分17.1質量%)68質量部、メタクリル酸メチル32質量部を加えてなる混合物を攪拌する。ケン化反応終了後、混合物の温度を80℃まで昇温し、4時間攪拌しつつ80℃で保持させてアニオン系高分子化合物水溶液を得た。この際、温度が72℃に到達した後、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.1質量部を添加した。その後、攪拌機を備えた重合装置内に脱イオン水1000質量部を分割投入すると同時に、攪拌機を備えた容器にアニオン系高分子化合物水溶液を移液・回収した。上記した製造方法により得られたアニオン系高分子化合物水溶液を、(A2)とする。
(iii)懸濁重合方法
攪拌機を備えた内容積10リットルのセパラブルフラスコに、脱イオン水6000mlを入れ、分散安定剤として上記(i)で得られたアニオン系高分子化合物水溶液(A1)4g、上記(ii)で得られたアニオン系高分子化合物水溶液(A2)1g、分散安定助剤として硫酸ナトリウム9gを加え攪拌・溶解させた。また、攪拌機を備えた別容器に用意した、MMA2700g、MA300gの単量体混合物に、重合開始剤としてAIBN3g、連鎖移動剤としてn−OM6.6g、離型剤としてS100A6gを加え、攪拌・溶解させた。この単量体混合物を前記攪拌機を備えた内容積10Lのセパラブルフラスコに投入し、窒素置換しながら攪拌機の回転数300rpmで15分間攪拌した。その後、80℃に加温して重合を開始させ、重合発熱ピーク終了後、95℃で60分間の熱処理を行い、重合を完結させた。
この懸濁重合方法で得られた重合体含有水溶液を脱水、水洗、乾燥した後、粉体状の熱可塑性重合体(IV)を回収した。この熱可塑性重合体(IV)を0.1gクロロホルム100mlに溶解し、25℃で還元粘度を測定した結果、0.06リットル/gであった。
e)熱可塑性重合体(V)の製造
上記d)の熱可塑性重合体(IV)の製造方法のうち、MMA2940g、MA60gに変更した以外は、同様の懸濁重合方法で実施した。この熱可塑性重合体(V)を0.1gをクロロホルム100mlに溶解し、25℃で還元粘度を測定した結果、0.06リットル/gであった。
Figure 2007283539
[アクリル樹脂フィルム(A、B、C)の製造と熱変形温度(HDT)の測定]
上述のようにして得られた架橋ゴム含有重合体(I)、(II)、(III)と熱可塑性重合体(IV)、(V)と配合剤AおよびBとを表2に示す割合でヘンシェルミキサーにより混合した。
得られた混合物を脱気式二軸押出機にて、シリンダー温度230℃に加熱した脱気式押出機(池貝鉄工(株)製PCM−30)に供給し、混練してアクリル樹脂組成物のペレットを得た。
ついで、得られたペレットを80℃で一昼夜乾燥し、300mm巾のTダイを取り付けた40mmφのノンベントスクリュー型押出機(L/D=26)を用いて、シリンダー温度180〜240℃、Tダイ温度240℃の条件で、125μm厚みのアクリル樹脂フィルム(A、B、C)を製膜した。
得られたアクリル樹脂フィルム(A、B、C)のHDTを次のようにして測定した結果を表2に示す。
HDT:各ペレットを射出成形にてASTM D648に基づく熱変形温度測定試片に成形し、60℃で4時間アニール後、低荷重(0.455MPa)でASTM D648に従って測定した。
Figure 2007283539
また、成形樹脂としては、表3に示す成形樹脂(VI、VII、VIII、IX、X)を採用し、アクリル樹脂フィルムと同様の測定方法で各HDTを測定した。HDTも表3に示す。
Figure 2007283539
[実施例1]
表4に示すように、アクリル樹脂フィルムとしてアクリル樹脂フィルムA、成形樹脂としてポリメタクリレート樹脂(VII)を用いて射出工程を行い、多層樹脂成形品を製造した。
具体的には、真空引き機能を有する金型(成形品形状:縦150mm×横120mm×厚み2mm、深さ10mmの箱型、ゲート位置:成形品中央に1箇所と、中央ゲートの上下(成形品縦方向)40mmの位置に各1箇所の計3箇所、ゲート形状:直径1mmのピンポイントゲート)を用いて、J85ELII型射出成形機(商品名;日本製鋼所社製)およびホットパックシステム(日本写真印刷社製)を組み合わせたインモールド成形装置により、インモールド成形(フィルム真空成形条件:ヒーター温度260℃、加熱時間15秒、ヒーターとフィルムの距離15mm、射出成形条件:シリンダー〜ノズル温度255℃、射出速度100mm/sec、射出圧力70MPa、アクリル樹脂フィルムの表面温度(T)60℃、金型のキャビティー側に接する向きに真空成形し、成形樹脂を射出した。)を行った。
そして、得られた多層樹脂成形品について、次に示す各評価を実施した。結果を表4に示す。
(密着性)
JIS K 5400に準じて、成形樹脂とアクリル樹脂フィルムとの界面に達する切込みをカッターで入れて、1mm×1mmの碁盤目を100マス作製し、ニチバン製セロテープ(登録商標)を圧着後、90度の角度に剥離した。
○:外観変化なし
△:碁盤目周囲の剥離、もしくは碁盤目剥離少し有り
×:碁盤目周囲の剥離、および/もしくは碁盤目剥離が著しい
(鉛筆硬度試験)
JIS K 5400に準じて、鉛筆としてユニ(三菱鉛筆株式会社製;商品名)を使用して評価した。
(耐候性)
ソサエティ オブ オートモーティブ エンジニヤーズ(Society of Automotive Engineers) SAE J1885試験法に準じて、アトラス製ウェザオメータCi35Aキセノン−アーク耐候試験機中で、ブラックパネル温度89℃、340nm、0.55W/m2 及び相対湿度50%の環境下にて2000時間照射し曝露した前後の外観変化を目視にて評価した。
○:良好
×:劣化、退色、成形品の変形
(外観)
作製した樹脂成形品の表面外観について、シワやクラックの有無などを観察した。
[実施例2〜5]
使用したアクリル樹脂フィルムおよび成形樹脂の種類と、射出工程の条件を表4に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、多層樹脂成形品を得て、実施例1と同様に評価した。ただし、射出工程の条件のうち、射出圧力を実施例3では80MPaとし、実施例4では140MPaとした。結果を表4に示す。
そして、得られた各多層樹脂成形品について、実施例1と同様に評価した。結果を表4に示す。
[比較例1〜7]
使用したアクリル樹脂フィルムおよび成形樹脂の種類と、射出工程の条件を表4に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、多層樹脂成形品を得て、実施例1と同様に評価した。結果を表4に示す。
Figure 2007283539
表4に示すように、各実施例で得られた多層樹脂成形品は、全評価で良好な結果が得られた。実施例1、4、5のものでは、その外観は優れた透明性も有していた。また、各実施例のものは、すべて鉛筆硬度は2H以上であり、車輌用途、建材、家電、家具用途等に適用できる表面硬度(耐擦傷性)を有していた。
一方、式(1)を満足しない比較例1では、透明性に優れ、密着性も良い成形品がえられたものの、鉛筆硬度が3Bであり、車輌用途、建材、家電、家具用途等には適さないレベルであった。
式(2)を満足しない比較例2では、透明性に優れ、密着性、表面硬度の良い多層樹脂成形品が得られたものの、耐候性試験後の多層樹脂成形品は、アクリル樹脂フィルムを貼り合わせた側にそり、車輌用途、建材、家電、家具用途等には適さないレベルであった。
式(3)を満足しない比較例3、6、7、式(4)を満足しない比較例4、5は、いずれも密着性あるいは外観の点で不十分であった。
[実施例6]
(1)側鎖に光重合性官能基を有するアクリル樹脂Dの合成
窒素導入口、攪拌機、コンデンサーおよび温度計を備えた1Lの4つ口フラスコに、MEK50部を入れ、80℃に昇温した。窒素雰囲気下でMMA79.9部、GMA20.1部およびAIBN0.5部の混合物を3時間かけて滴下した。その後、MEK80部とAIBN0.2部の混合物を加え、重合させた。4時間後、MEK74.4部、MEHQ0.5部、TPP2.5部およびAA10.1部を加え、空気を吹き込みながら80℃で30時間攪拌した。その後、冷却した後、反応物をフラスコより取り出し、側鎖に光重合性官能基を有する熱可塑性樹脂Dの溶液を得た。
側鎖に光重合性官能基を有する熱可塑性樹脂Dにおける単量体の重合率は99.5%以上であり、ポリマー固形分量は約35質量%、数平均分子量は約3万、ガラス転移温度は約105℃、二重結合当量は平均788g/molであった。
なお、数平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィーで光屈折法により測定した。この際、分子量測定のリファレンスとして測定するサンプルの分子量が内挿できるように、ポリスチレン系標準物質を使用して検量線を作成した。
(2)側鎖に光重合性官能基を有するアクリル樹脂Eの合成
窒素導入口、撹拌機、コンデンサーおよび温度計を備えた1Lの4つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート100部、MEK60部およびAIBN0.3部を入れ、撹拌しながら湯浴の温度を75℃に上げ、その温度で2時間重合させた。次いで、AIBN0.7部を1時間おきに5回に分けて添加した後、フラスコ内温を溶剤の沸点まで上昇させてその温度でさらに2時間重合させた。その後、フラスコ内温度が50℃以下になってから、MEK90部を添加して重合反応物をフラスコより取り出し、側鎖に光重合性官能基を有するアクリル樹脂Eの溶液を得た。
側鎖に光重合性官能基を有するアクリル樹脂Eにおける単量体の重合率は99.5%以上であり、ポリマー固形分量は約40質量%、数平均分子量は約1.2万、ガラス転移温度は約73℃、脂環式エポキシ当量(側鎖脂環式エポキシ基1個あたりの平均分子量)は平均196g/molであった。
(3)コロイダルシリカの表面処理(表面処理コロイダルシリカS1の調製)
攪拌機、コンデンサーおよび温度計を備えたフラスコに、表5に記載の成分を入れ、攪拌しながら湯浴の温度を75℃に上げ、その温度で2時間反応させることにより、イソプロパノール中に分散され、表面がシラン化合物で処理されたコロイダルシリカを得た。続いて、イソプロパノールを留去した後にトルエン(沸点110.6℃)を添加することを繰り返し、完全にイソプロパノールをトルエンに置換することにより、トルエン中に分散され、表面がシラン化合物で処理されたコロイダルシリカS1を得た。コロイダルシリカS1が分散したトルエン溶液の固形分は63質量%であった。
Figure 2007283539
表中の数値は固形分換算のモル部である。
1)IPA−ST:イソプロパノール分散コロイダルシリカゾル(日産化学工業株式会社製)、シリカ粒子径=15nm
2)KBM503:γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製)、分子量=248
(4)光硬化性樹脂成物1、2の調製
表6に示すように、先に合成した側鎖に光重合性官能基を有する熱可塑性樹脂D、Eと、表面処理コロイダルシリカS1と、光重合開始剤A、Bを用いて、表6の組成を有する光硬化性樹脂組成物1、2を調製した。
Figure 2007283539
表中の数値は固形分換算の質量部である。
1)1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(日本チバガイギー株式会社製、イルガキュア184)
2)トリフェニルスルホニウム6フッ化アンチモネート
(5)光硬化性層の形成と多層樹脂成形品の製造
光硬化性樹脂組成物1をプロペラ型ミキサーで撹拌し、アクリル樹脂フィルムA上にコンマロールコーターにて塗工幅600mmで塗工を行った。引き続いて表7の温度条件に設定したトンネル型乾燥炉(巾800mm、高さ100mm、長さ8m、4つの乾燥ゾーン(1ゾーンの長さ2m)に分割、シートの動きに対して向流になるように熱風を送り込む方式)の中を、3m/分の速度で通過させて溶剤を揮発させ、厚さ8μmの光硬化性層を形成した。この時の各乾燥ゾーンの滞在時間は表7に示したとおりである。その後、幅550mmにスリットして20mの長さにABS製コアにロール状に巻き取った。
このように光硬化性樹脂組成物1が形成されたアクリル樹脂フィルムAを用い、成形樹脂としては表8に示すものを用い、表8に示す条件下で実施例1と同様に射出工程を行って多層樹脂成形品を得た。
次いで、取り出した多層樹脂成形品に紫外線照射装置(アイグラフィックス株式会社製、ECS401G、空冷式高圧水銀ランプ(オゾンタイプ)、赤外線カットフィルター未装着、冷却用空気の送風なし)により、積算光量700mJ/cm2、照度200mW/cm2の条件で紫外線を照射した後、実施例1と同様に評価した。結果を表8に示す。
Figure 2007283539
[実施例7]
アクリル樹脂フィルムAに光硬化性樹脂組成物2を積層した以外は、実施例6と同様にして多層樹脂成形品を得て、同様に評価した。結果を表8に示す。
各試験では良好な結果が得られた。特に多層樹脂成形品は優れた透明性を備え、表面硬度は2H以上あり、車輌用途、建材、家電、家具用途等に適用できる表面硬度を有していた。
Figure 2007283539
各試験では良好な結果が得られた。特に多層樹脂成形品は優れた透明性を備え、鉛筆硬度は2H以上あり、車輌用途、建材、家電、家具用途等に適用できる表面硬度(耐擦傷性)を有していた。

Claims (1)

  1. 金型内にアクリル樹脂フィルムを配置するとともに成形樹脂を射出して、アクリル樹脂フィルムと成形樹脂とを一体化する射出工程を有する多層樹脂成形品の製造方法において、
    前記射出工程を下記式(1)〜(4)のすべてを満たす条件下で行うことを特徴とする多層樹脂成形品の製造方法。
    ≧80℃ ・・・(1)
    ≧90℃ ・・・(2)
    +T≧315℃ ・・・(3)
    −50℃≦T<T・・・(4)
    (上記式(1)〜(4)中、T、Tは、ASTM D648(0.455MPa条件下)に基づくアクリル樹脂フィルムの熱変形温度(℃)、成形樹脂の熱変形温度(℃)をそれぞれ示し、T、Tは、成形樹脂と接する側のアクリル樹脂フィルムの射出工程での表面温度(℃)、射出工程での成形樹脂温度(℃)を示す。)

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JP2011083961A (ja) * 2009-10-15 2011-04-28 Ono Sangyo Kk 樹脂成形品およびその製造方法
US8304462B2 (en) 2008-07-11 2012-11-06 Rohm And Haas Company Process for making polymer composites having thermoplastic properties
JP2018165017A (ja) * 2017-03-28 2018-10-25 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 フィルム積層体の製造方法

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