JP2007163797A - レンズ基板の製造方法、レンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ - Google Patents

レンズ基板の製造方法、レンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ Download PDF

Info

Publication number
JP2007163797A
JP2007163797A JP2005359485A JP2005359485A JP2007163797A JP 2007163797 A JP2007163797 A JP 2007163797A JP 2005359485 A JP2005359485 A JP 2005359485A JP 2005359485 A JP2005359485 A JP 2005359485A JP 2007163797 A JP2007163797 A JP 2007163797A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substrate
lens
forming
lens substrate
light
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005359485A
Other languages
English (en)
Inventor
Hidekatsu Otani
英勝 大谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2005359485A priority Critical patent/JP2007163797A/ja
Publication of JP2007163797A publication Critical patent/JP2007163797A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Overhead Projectors And Projection Screens (AREA)

Abstract

【課題】コントラストに優れるとともに輝点の発生が抑制された、優れた画像を表示することができるレンズ基板を提供すること、当該レンズ基板を効率良く製造することができる製造方法を提供すること、また、前記レンズ基板を備えた透過型スクリーン、リア型プロジェクタを提供すること。
【解決手段】本発明のレンズ基板の製造方法は、基板本体の光の出射側に、エネルギ線硬化性の粘着剤で構成された粘着層を形成する工程と、基板本体の凸レンズ側からエネルギ線を照射し、凸レンズで集光されたエネルギ線を用いて、粘着層のエネルギ線が集光された部位の粘着剤を硬化させ、非粘着部を形成する工程と、粘着層上に遮光層形成用層を形成する工程と、非粘着部に対応する部位の遮光層形成用層を除去し、開口部を形成する工程とを有し、粘着層のエネルギ線が集光した部位の硬化状態を検知し、エネルギ線の照射の終了時を判断することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、レンズ基板の製造方法、レンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタに関するものである。
近年、リア型プロジェクタは、ホームシアター用モニター、大画面テレビ等に好適なディスプレイとして、需要が高まりつつある。
リア型プロジェクタに用いられる透過型スクリーンには、レンチキュラレンズ(レンズ部)を備えたレンズ基板が一般的に用いられている。そして、このようなレンズ基板(レンズシート)でにおいて、画像のコントラストを向上させる目的で、レンズ部が設けられた側とは反対側に遮光性層が設けられている。
このようなレンズ基板(レンズシート)の製造においては、一般的に、レンズ部での集光を利用して、開口部(光透過性部分)を有する遮光性層が形成されている(例えば、特許文献1参照)。このような方法で、遮光性層を形成することにより、レンズ部の焦点に対応する部位に開口部(光透過性部分)を形成することができるため、コントラストの向上を図る上で有利である。
ところで、このようなレンズ基板を製造する際、一般に、レンズ部に対応する凹部を有する成形型が用いられるが、成形型の不良等により、形成されるレンズ基板に、形成されるべきレンズが形成されていない領域が存在したり、他のレンズと比べて小さいレンズが形成される場合等がある。このようなレンズ部の不良が存在すると、上記のような遮光性層の形成方法を適用した場合に、入射した光の強度や照射時間等によっては、遮光性層の、レンズ部が設けられていない部位に対応する部位に、開口部が形成されてしまう場合があった。このような開口部が形成されると、透過型スクリーン等において、レンズ部により屈折しない光が、直進光として観察者側に出射してしまう。このような直進光は、スクリーン上において、輝点(白点)として認識され、表示される画像に著しい悪影響を与える。
一方、近年のディスプレイ、スクリーンの大型化等に伴い、大型のレンズ基板が求められているが、このような大型のレンズ基板の製造に用いる成形型において、上記のような不良の発生を防止するのは、極めて困難であった。また、大型のレンズ基板製造用の成形型において、上記のような欠陥のないものを製造しようとした場合、その歩留りは、非常に悪く、レンズ基板の生産性、製造コストに大きな影響を与えてしまう。
特開2004−347768号公報
本発明の目的は、コントラストに優れるとともに輝点の発生が抑制された、優れた画像を表示することができるレンズ基板を提供すること、当該レンズ基板を効率良く製造することができる製造方法を提供すること、また、前記レンズ基板を備えた透過型スクリーン、リア型プロジェクタを提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のレンズ基板の製造方法は、多数の凸レンズを有する基板本体と、遮光性を有する材料で構成され、開口部を有する遮光層とを有するレンズ基板を製造する方法であって、
前記基板本体を準備する基板本体準備工程と、
前記基板本体の前記凸レンズが設けられた側とは反対の面側に、主としてエネルギ線硬化性の粘着剤で構成された粘着層を形成する粘着層形成工程と、
前記基板本体の前記凸レンズが設けられた側からエネルギ線を照射し、前記凸レンズで集光された前記エネルギ線を用いて、前記粘着層の前記エネルギ線が集光された部位の前記粘着剤を硬化させ、非粘着部を形成する露光工程と、
前記粘着層上に遮光層形成用層を形成する工程と、
前記非粘着部に対応する部位の前記遮光層形成用層を除去し、前記開口部を形成する開口部形成工程とを有し、
前記露光工程において、前記粘着層の前記エネルギ線が集光した部位の硬化状態を検知し、前記エネルギ線の照射の終了時を判断することを特徴とする。
これにより、コントラストに優れるとともに輝点の発生が抑制された、優れた画像を表示することができるレンズ基板を効率良く製造することができる製造方法を提供することができる。
本発明のレンズ基板の製造方法では、前記粘着層の前記エネルギ線が集光した部位の色の変化を観察することにより、前記硬化状態を検知することが好ましい。
これにより、粘着層のエネルギ線が集光した部位の硬化状態を容易に検知することができ、容易にエネルギ線の照射の終了時を判断することができる。
本発明のレンズ基板の製造方法では、前記粘着層は、エネルギ線照射によって色が変化する材料を含むものであることが好ましい。
これにより、粘着層のエネルギ線が集光した部位の硬化状態を容易に検知することができ、容易にエネルギ線の照射の終了時を判断することができる。
本発明のレンズ基板の製造方法では、前記露光工程において、前記粘着層上に、エネルギ線照射によって色が変化する材料を含む感光性膜を設け、該感光性膜における前記粘着層の前記エネルギ線が集光した部位に対応する部位の色の変化を観察することにより、前記硬化状態を検知することが好ましい。
これにより、より簡便にかつ確実に遮光層を形成することができる。また、遮光層を保持する粘着層中にエネルギ線照射によって色が変化する材料が含まれていないため、粘着層の耐久性が向上し、得られるレンズ基板の信頼性をさらに向上させることができる。
本発明のレンズ基板の製造方法では、エネルギ線照射によって色が変化する材料は、フォトクロミック化合物であることが好ましい。
これにより、粘着層の機能を損なうことなく、粘着剤の硬化状態を好適に検知することができる。
本発明のレンズ基板の製造方法では、前記エネルギ線は、紫外線であることが好ましい。
これにより、簡易な設備で、より容易にレンズ基板を製造することができる。また、粘着剤の選択の自由度が増すとともに、レンズ基板を製造する際に用いる装置等の部材に対する悪影響の発生をより効果的に防止することができる。
本発明のレンズ基板の製造方法では、前記レンズ基板は、前記凸レンズとしてマイクロレンズを備えたマイクロレンズ基板であることが好ましい。
これにより、各方向(例えば、縦方向および横方向)での視野角特性を特に優れたものとすることができる。また、マイクロレンズ基板の製造においては、レンズ部の不良を生じ易く、これにより、表示される画像において直進光による輝点等が特に発生し易かったが、本発明によれば、マイクロレンズ基板においても、輝点の発生を十分に防止することができる。したがって、マイクロレンズ基板の製造に本発明を適用することにより、その効果はより顕著に発揮される。
本発明のレンズ基板は、本発明の方法を用いて製造されたことを特徴とする。
これにより、コントラストに優れるとともに輝点の発生が抑制された、優れた画像を表示することができるレンズ基板を提供することができる。
本発明の透過型スクリーンは、本発明のレンズ基板を備えたことを特徴とする。
これにより、コントラストに優れるとともに輝点の発生が抑制された、優れた画像を表示することができる透過型スクリーンを提供することができる。
本発明のリア型プロジェクタは、本発明の透過型スクリーンを備えたことを特徴とする。
これにより、コントラストに優れるとともに輝点の発生が抑制された、優れた画像を表示することができるリア型プロジェクタを提供することができる。
以下、本発明のレンズ基板の製造方法、レンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタについて、添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
なお、本発明において、「基板」とは、実質的に可撓性を有さない、比較的肉厚の大きいものから、シート状のものや、フィルム状のもの等の含む概念のことを指す。
本発明のレンズ基板の用途は、特に限定されないが、以下の説明では、レンズ基板を、主に、透過型スクリーン、リア型プロジェクタを構成する部材として用いるものとして説明する。
《レンズ基板および透過型スクリーン》
まず、本発明のレンズ基板の製造方法の説明に先立ち、本発明のレンズ基板(凸レンズ基板)および透過型スクリーンの構成について説明する。
図1は、本発明のレンズ基板(マイクロレンズ基板)の好適な実施形態を示す模式的な縦断面図、図2は、図1に示すレンズ基板(マイクロレンズ基板)の平面図、図3は、図1に示すレンズ基板(マイクロレンズ基板)を備えた、本発明の透過型スクリーンの好適な実施形態を示す模式的な縦断面図である。なお、以下の説明では、図1、図3中の左側を「(光の)入射側」、右側を「(光の)出射側」と言う。また、本発明においては、特に断りのない限り、「(光の)入射側」、「(光の)出射側」とは、それぞれ、画像光(映像光)を得るための光の「入射側」、「出射側」のことを指し、外光等の「入射側」、「出射側」のことを指すものではない。
マイクロレンズ基板(レンズ基板)1は、後述する透過型スクリーン10を構成する部材であり、図1に示すように、所定のパターンで配列された複数個のマイクロレンズ(凸レンズ)21を備えた基板本体(補正基板本体)2と、遮光性を有する材料で構成されたブラックマトリックス(遮光層)3とを備えている。
基板本体2は、通常、透明性を有する材料で構成される。
基板本体2の構成材料は、特に限定されないが、主として樹脂材料で構成され、所定の屈折率を有する透明な材料で構成されている。
基板本体2を構成する樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド(例:ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6−12、ナイロン6−66)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば、ブレンド樹脂、ポリマーアロイ、積層体等として)用いることができる。
基板本体2の構成材料(固化した状態の材料)は、一般に、各種気体(マイクロレンズ基板1が用いられる雰囲気)より大きな絶対屈折率を有するものであるが、絶対屈折率の具体的な値は、1.4〜1.58であるのが好ましく、1.5〜1.56であるのがより好ましい。基板本体2の構成材料の絶対屈折率が前記範囲内の値であると、光(入射光)の利用効率を特に優れたものとしつつ、視野角特性を特に優れたものとすることができる。
マイクロレンズ基板1は、光の入射する面側に凸面を有する凸レンズとしてのマイクロレンズ21を複数個備えている。
本実施形態において、マイクロレンズ(凸レンズ)21は、マイクロレンズ基板1を平面視した際の縦幅(鉛直方向の幅)が横幅(水平方向の幅)よりも小さい扁平形状(略楕円形、略俵形)を有している。マイクロレンズ21がこのような形状を有することにより、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止しつつ、視野角特性を特に優れたものとすることができる。特に、水平方向および鉛直方向の視野角特性をともに優れたものとすることができる。
平面視したときのマイクロレンズ21の短軸方向(縦方向)の長さをL[μm]、長軸方向(横方向)の長さをL[μm]としたとき、0.50≦L/L≦0.99の関係を満足するのが好ましく、0.60≦L/L≦0.90の関係を満足するのがより好ましく、0.65≦L/L≦0.80の関係を満足するのがさらに好ましい。上記のような関係を満足することにより、上述したような効果がさらに顕著なものとなる。
平面視したときのマイクロレンズ21の短軸方向の長さ(マイクロレンズ21の縦幅)は、10〜200μmであるのが好ましく、30〜150μmであるのがより好ましく、50〜100μmであるのがさらに好ましい。マイクロレンズ21の短軸方向の長さが前記範囲内の値であると、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止しつつ、スクリーンに投影される画像において十分な解像度を得ることができるとともに、マイクロレンズ基板1(透過型スクリーン10)の生産性をさらに高めることができる。
また、平面視したときのマイクロレンズ21の長軸方向の長さ(マイクロレンズ21の横幅)は、15〜250μmであるのが好ましく、45〜200μmであるのがより好ましく、70〜150μmであるのがさらに好ましい。マイクロレンズ21の短軸方向の長さが前記範囲内の値であると、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止しつつ、スクリーンに投影される画像において十分な解像度を得ることができるとともに、マイクロレンズ基板1(透過型スクリーン10)の生産性をさらに高めることができる。
また、マイクロレンズ21の曲率半径は、7.5〜125μmであるのが好ましく、15〜90μmであるのがより好ましく、30〜60μmであるのがさらに好ましい。マイクロレンズ21の曲率半径が前記範囲内の値であると、視野角特性を特に優れたものとすることができる。特に、水平方向および鉛直方向の視野角特性をともに優れたものとすることができる。なお、マイクロレンズ21は、短軸方向についての曲率半径と、長軸方向の曲率半径が異なるものであってもよいが、このような場合、長軸方向の曲率半径が上記の範囲内の値であるのが好ましい。
また、マイクロレンズ21の高さは、7.5〜125μmであるのが好ましく、15〜90μmであるのがより好ましく、30〜60μmであるのがさらに好ましい。マイクロレンズ21の高さが前記範囲内の値であると、光の利用効率および視野角特性を、特に優れたものとすることができる。
また、これら複数個のマイクロレンズ21は、千鳥状(千鳥格子状)に配列している。このようにマイクロレンズ21が配列することにより、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止することができる。これに対し、例えば、マイクロレンズが正方格子状等に配列したものであると、マイクロレンズ21の大きさ等によっては、モアレ等の不都合の発生を十分に防止することが困難となる場合がある。また、マイクロレンズをランダムに配した場合、マイクロレンズ21の大きさ等によっては、マイクロレンズが形成されている有効領域におけるマイクロレンズの占有率を十分に高めるのが困難となり、マイクロレンズ基板の光の透過率(光の利用効率)を十分に高めるのが困難となり、得られる画像が暗いものとなる可能性がある。
上記のように、本実施形態において、マイクロレンズ21は、マイクロレンズ基板1を平面視したときに、千鳥格子状に配列しているが、複数のマイクロレンズ21で構成される第1の行25と、それに隣接する第2の行26とが、縦方向(マイクロレンズ21の短軸方向)に半ピッチ分だけずれているのが好ましい。これにより、光の干渉によるモアレの発生等をより効果的に防止するとともに、かつ、視野角特性を特に優れたものとすることができる。
なお、マイクロレンズ21の配列方式は、上記のようなものに限定されず、例えば、正方格子状の配列であっても、光学的にランダムな配列(マイクロレンズ基板1の主面側から平面視したときに、各マイクロレンズ21が互いにランダムな位置関係となるように配されたもの)であってもよい。
また、マイクロレンズ基板1を光の入射面側(図2で示した方向)から平面視したときの、マイクロレンズ21が形成されている有効領域において、マイクロレンズ21の占有率は、95〜100%であるのが好ましい。マイクロレンズ21の占有率が前記範囲内の値であると、光利用効率をさらに向上させることができ、投影させる画像の輝度、コントラストを特に優れたものとすることができる。
上記のように、マイクロレンズの形状や配列方式等を厳密に規定することにより、光の干渉によるモアレの発生を効果的に防止しつつ、視野角特性等を特に優れたものとすることができる。特に、マイクロレンズの形状や配列方式等を上記のように厳密に規定することにより、上記のような形状、配列方式のマイクロレンズを有することによる効果と、後に詳述するようなブラックマトリックス3を有することによる効果とが相乗的に作用し合い、特に優れた効果(例えば、特に優れた視野角特性、光利用効率等)が得られる。
また、各マイクロレンズ21は、入射側に突出した凸レンズとして形成されており、焦点fが、後述するブラックマトリックス(遮光層)3に設けられた開口部(非遮光部)31の近傍に位置するように設計されている。すなわち、マイクロレンズ基板1に対して、ほぼ垂直な方向から入射した平行光La(後述するフレネルレンズ部6からの平行光La)は、マイクロレンズ基板1の各マイクロレンズ21によって集光され、ブラックマトリックス3の開口部31近傍で焦点fを結ぶ。このように、ブラックマトリックス3の開口部31の近傍でマイクロレンズ21が焦点を結ぶことにより、光の利用効率を特に優れたものとすることができる。その結果、マイクロレンズ基板を透過した光により形成される画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。
また、基板本体2の光の出射側の面には、粘着層7を介して、ブラックマトリックス3が設けられている。ブラックマトリックス3は、遮光性を有する材料で構成され、膜状に形成されたものである。このようなブラックマトリックス3を有することにより、当該ブラックマトリックス3に、外光(投影画像を形成する上で好ましくない外光)を吸収させることができ、スクリーンに投影される画像を、コントラストに優れたものとすることができる。なお、粘着層7の構成材料等については、後に詳述する。
このようなブラックマトリックス3は、各マイクロレンズ21を透過した光の光路上に開口部31を有している。これにより、各マイクロレンズ21で集光された光を、効率良く、ブラックマトリックス3の開口部31を通過させることができる。その結果、マイクロレンズ基板1の光利用効率を高いものとすることができる。
開口部31は、ブラックマトリックス3の開口部31以外の部位で外光の反射を効果的に防止しつつ、画像形成用の光がブラックマトリックス3により吸収、反射されるのを十分に防止するような大きさで設けられている。なお、本発明において、「開口部」とは、遮光性を有する遮光層において、光が透過することができる部位を指し、実質的に着色されていない材料(光透過性を有する材料)で充填されているような部位等も含む概念である。
ブラックマトリックス3は、後に詳述するように(後に詳述するような方法により)、レンズに対応しない部位に開口部が形成されるのが防止されている。これにより、マイクロレンズ基板1の視野角特性、光の利用効率を特に優れたものとすることができるとともに、投影される画像のコントラストをより高いものとすることができる。
ブラックマトリックス3の開口部31は、いかなる形状のものであってもよいが、平面視したときの形状が略円形であるのが好ましい。開口部31が略円形である場合、開口部31の大きさは、特に限定されないが、その直径が、5〜80μmであるのが好ましく、15〜60μmであるのがより好ましく、20〜50μmであるのがさらに好ましい。これにより、スクリーンに投影される画像を、よりコントラストに優れたものとすることができる。
また、ブラックマトリックス3の厚さ(平均厚さ)は、0.3〜8μmであるのが好ましく、0.6〜5μmであるのがより好ましく、0.8〜1.5μmであるのがさらに好ましい。ブラックマトリックス3の厚さが前記範囲内の値であると、ブラックマトリックス3の不本意な剥離、クラック等をより確実に防止しつつ、ブラックマトリックス3としての機能(すなわち、画像のコントラストを向上させる機能)をより効果的に発揮させることができ、例えば、マイクロレンズ基板1を備えた透過型スクリーン10において、投影される画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。
また、平面視したときの開口部31のブラックマトリックス3に対する面積比(開口率)は、60〜97%であるのが好ましく、70〜95%であるのがより好ましく、75〜90%であるのがさらに好ましい。開口率が前記範囲内の値であると、外光(例えば、光の入射側とは反対側から不本意に入射した外光等)が、出射側に反射するのを十分に低く抑えることができ、光の利用効率を特に優れたものとしつつ、映り込みを防止して、得られる画像のコントラストを特に優れたものとすることができるとともに、マイクロレンズ基板1の視野角特性を特に優れたものとすることができる。これに対し、開口率が前記下限値未満であると、光の利用効率、視野角特性を十分に優れたものとするのが困難となる可能性がある。また、開口率が前記上限値を越えると、外光反射を十分に低く抑えることが困難となり、映り込みを防止して、得られる画像のコントラストを十分に優れたものとするのが困難となる可能性がある。
また、マイクロレンズ基板1の光の出射側の面には、拡散部4が設けられている。拡散部4は、入射した光(入射光)を乱反射させることにより拡散させる機能を有するものである。このような拡散部4を有することにより、視野角特性を特に優れたものとすることができる。また、拡散部4を有することにより、光を乱反射させることができるため、表示される画像における輝点の発生をさらに効果的に防止することができる。また、拡散部4は、ブラックマトリックス3より光の出射側に形成された領域を有するものである。このような構成であることにより、拡散部4に入射した光を、出射側(光の入射側とは反対側の方向)に効率よく向かわせることができ、光の利用効率が低下するのを効果的に防止しつつ、透過型スクリーン10の視野角特性を特に優れたものにすることができる(スクリーンに投影される画像を好適に視認することができる視野角を特に大きいものとすることができる)。本実施形態では、拡散部4は、光透過性に優れた実質的に透明な材料(例えば、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂等)中に、拡散材が分散した構成になっている。拡散材としては、例えば、微粒子状(ビーズ状)のシリカ、ガラス、樹脂等を用いることができる。拡散材の平均粒径は、特に限定されないが、1〜50μmであるのが好ましく、2〜10μmであるのがより好ましい。
また、拡散部4の厚さは、特に限定されないが、0.5〜10mmであるのが好ましく、0.7〜5mmであるのがより好ましく、1.0〜2mmであるのがさらに好ましい。拡散部4の厚さが前記範囲内の値であると、光の利用効率を十分に高いものとしつつ、視野角特性を特に優れたものとすることができる。これに対し、拡散部4の厚さが前記下限値未満であると、拡散部4を設けることによる効果が十分に発揮されない可能性がある。また、拡散部4の厚さが前記上限値を超えると、光(光子)と拡散材とが衝突する確率(頻度)が急激に高くなる傾向を示し、消光が起こり易く、また、拡散部内に入射した光(光子)が、再び入射側に戻る可能性も高くなる。その結果、光の利用効率を十分に高めるのが困難になる可能性がある。
次に、上述したようなマイクロレンズ基板1を備えた透過型スクリーン10について説明する。
図3に示すように、透過型スクリーン10は、フレネルレンズ部5と、前述したマイクロレンズ基板1とを備えている。フレネルレンズ部5は、光(画像光)の入射側に設置されており、フレネルレンズ部5を透過した光が、マイクロレンズ基板1に入射する構成になっている。
フレネルレンズ部5は、出射側表面に、ほぼ同心円状に形成されたプリズム形状のフレネルレンズ51を有している。このフレネルレンズ部5は、投射レンズ(図示せず)からの画像光を屈折させ、マイクロレンズ基板1の主面の垂直方向に平行な平行光Laにするものである。
以上のように構成された透過型スクリーン10では、投射レンズからの映像光が、フレネルレンズ部5によって屈折し、平行光Laとなる。そして、この平行光Laは、マイクロレンズ基板1のマイクロレンズ21が形成された面側から入射し、各マイクロレンズ21によって集光し、焦点を結んだ後に拡散する。開口部31を通過した光は、拡散し、観察者に平面画像として観測される。
《レンズ基板の製造方法の第1実施形態》
次に、前述したマイクロレンズ基板1の製造方法の第1実施形態について説明する。
図4は、レンズ基板の製造に用いる凹部付き部材を示す模式的な縦断面図、図5は、図4に示す凹部付き部材の製造方法を示す模式的な縦断面図、図6、7は、本発明のレンズ基板の製造工程の第1実施形態を示す模式的な縦断面図である。
また、凹部付き部材の製造においては、実際には基板上に多数の凹部(マイクロレンズ用凹部)を形成し、マイクロレンズ基板(基板本体)の製造においては、実際には多数の凸部(凸レンズ)を形成するが、ここでは、説明をわかりやすくするために、その一部分を強調して示した。
まず、レンズ基板の製造に用いる凹部付き部材の構成およびその製造方法について説明する。
凹部付き部材6は、いかなる材料で構成されたものであってもよいが、たわみを生じ難く、傷つき難い材料で構成されたものであるのが好ましい。凹部付き部材6の構成材料としては、例えば、各種ガラス材料、各種樹脂材料等が挙げられる。ガラス材料としては、例えば、ソーダガラス、結晶性ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス等が挙げられ、また、樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド(例:ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6−12、ナイロン6−66)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等の各種樹脂材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。この中でも、凹部付き部材6の構成材料としては、ガラス材料が好ましく、ソーダガラス、結晶性ガラス(例えば、ネオセラム等)、無アルカリガラスがより好ましい。このような材料は、一般に、形状の安定性に優れている。また、ソーダガラス、結晶性ガラス、無アルカリガラスは、加工が容易であるとともに、比較的安価であり、製造コストの面からも有利である。
凹部付き部材6は、マイクロレンズ21の配列方式に対応する方式(転写された位置関係)で配列した、複数個の凹部61を備えている。そして、これらの凹部61は、マイクロレンズ21が凸部であるのに対し凹部である以外は、マイクロレンズ21に対応する形状(転写された形状である以外は実質的に同一の形状)、寸法を有している。
より詳しく説明すると、本実施形態において、凹部61は、凹部付き部材6を平面視した際の縦幅(鉛直方向の幅)が横幅(水平方向の幅)よりも小さい扁平形状(略楕円形、略俵形)を有している。凹部61がこのような形状を有することにより、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止しつつ、視野角特性を特に優れたものとすることができるマイクロレンズ基板1の製造に好適に用いることができる。
また、平面視したときの凹部61の短軸方向(縦方向)の長さをL[μm]、長軸方向(横方向)の長さをL[μm]としたとき、0.50≦L/L≦0.99の関係を満足するのが好ましく、0.60≦L/L≦0.90の関係を満足するのがより好ましく、0.65≦L/L≦0.80の関係を満足するのがさらに好ましい。上記のような関係を満足することにより、上述したような効果がさらに顕著なものとなる。
また、平面視したときの凹部61の短軸方向の長さは、10〜200μmであるのが好ましく、30〜150μmであるのがより好ましく、50〜100μmであるのがさらに好ましい。凹部61の短軸方向の長さが前記範囲内の値であると、製造されるマイクロレンズ基板1の視野角特性、およびマイクロレンズ基板1により投影される画像のコントラスト、輝度を特に優れたものとしつつ、投影される画像において十分な解像度を得ることができる。また、凹部61の短軸方向の長さが前記範囲内の値であると、製造されるマイクロレンズ基板1を用いた際に、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止することができるとともに、マイクロレンズ基板1(凹部付き部材6)の生産性をさらに高めることができる。
また、平面視したときの凹部61の長軸方向の長さは、15〜250μmであるのが好ましく、45〜200μmであるのがより好ましく、70〜150μmであるのがさらに好ましい。凹部61の長軸方向の長さが前記範囲内の値であると、製造されるマイクロレンズ基板1の視野角特性、およびマイクロレンズ基板1により投影される画像のコントラスト、輝度を特に優れたものとしつつ、投影される画像において十分な解像度を得ることができる。また、凹部61の長軸方向の長さが前記範囲内の値であると、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止することができるとともに、マイクロレンズ基板1(凹部付き部材6)の生産性をさらに高めることができる。
また、凹部61の曲率半径は、7.5〜125μmであるのが好ましく、15〜90μmであるのがより好ましく、30〜60μmであるのがさらに好ましい。凹部61の曲率半径が前記範囲内の値であると、得られるマイクロレンズ基板1の視野角特性を特に優れたものとすることができる。特に、水平方向および鉛直方向の視野角特性をともに優れたものとすることができる。なお、凹部61は、短軸方向についての曲率半径と、長軸方向の曲率半径が異なるものであってもよいが、このような場合、長軸方向の曲率半径が上記の範囲内の値であるのが好ましい。
また、凹部61の深さは、7.5〜125μmであるのが好ましく、15〜90μmであるのがより好ましく、30〜60μmであるのがさらに好ましい。凹部61の深さが前記範囲内の値であると、得られるマイクロレンズ基板1の視野角特性を、特に優れたものとすることができる。
また、これら複数個の凹部61は、千鳥状(千鳥格子状)に配列している。このように凹部61が配列することにより、得られるマイクロレンズ基板1を用いた際に、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止することができる。これに対し、例えば、凹部が正方格子状等に配列したものであると、凹部の大きさ等によっては、モアレ等の不都合の発生を十分に防止することが困難となる。また、凹部をランダムに配した場合、凹部の大きさ等によっては、凹部が形成されている有効領域における凹部の占有率を十分に高めるのが困難となり、マイクロレンズ基板の光の透過率(光の利用効率)を十分に高めるのが困難となり、得られる画像が暗いものとなる可能性がある。
また、上記のように、凹部61は、凹部付き部材6を平面視したときに、千鳥格子状に配列しているが、複数の凹部61で構成される第1の行と、それに隣接する第2の行とが、縦方向(凹部61の短軸方向)に半ピッチ分だけずれているのが好ましい。これにより、製造されるマイクロレンズ基板1を用いた際に、光の干渉によるモアレの発生等をより効果的に防止することができるとともに、かつ、視野角特性を特に優れたものとすることができる。
次に、凹部付き部材の製造方法について、図5を参照しながら説明する。なお、実際には基板上に多数の凹部(マイクロレンズ形成用凹部)を形成するが、ここでは、説明をわかりやすくするために、その一部分を強調して示した。
<A1>まず、凹部付き部材6を製造するに際し、基板60を用意する。
この基板60は、厚さが均一で、たわみや傷のないものが好適に用いられる。また、基板60は、洗浄等により、その表面が清浄化されているものが好ましい。
<A2>用意した基板60の表面に、多数個の初期孔(開口部)81を有するマスク8を形成するとともに、基板60の裏面(マスク8が形成される面と反対側の面)に裏面保護膜89を形成する(マスキング工程、図5(a)、図5(b)参照)。
特に、本実施形態では、まず、図5(a)に示すように、用意した基板60の裏面に裏面保護膜89を形成するとともに、基板60の表面にマスク形成用膜80を形成し(マスク形成用膜形成工程)、その後、図5(b)に示すように、マスク形成用膜80に初期孔81を形成すること(初期孔形成工程)によりマスク8を得る。マスク形成用膜80および裏面保護膜89は同時に形成することもできる。
マスク形成用膜80は、レーザ光の照射等により、後述する初期孔81を形成することができるとともに、後述するエッチング工程におけるエッチングに対する耐性を有するものが好ましい。換言すれば、マスク形成用膜80(マスク8)は、エッチングレートが、基板60と略等しいか、または、基板60に比べて小さくなるように構成されるのが好ましい。
かかる観点からは、マスク形成用膜80(マスク8)を構成する材料としては、例えばCr、Au、Ni、Ti、Pt等の金属やこれらから選択される2種以上を含む合金、前記金属の酸化物(金属酸化物)、シリコン、樹脂等が挙げられる。
また、マスク形成用膜80(マスク8)は、例えば、実質的に均一な組成を有するものであってもよいし、異なる複数の層を有する積層体等であってもよい。
上記のように、マスク形成用膜80(マスク8)の構成は、特に限定されるものではないが、主としてクロムで構成される層と、主として酸化クロムで構成される層とを有する積層体であるのが好ましい。このような構成のマスク形成用膜80は、後述するようなレーザ光の照射等により、所望の形状の開口部を容易かつ確実に形成することができるものであり、また、このような構成のマスク形成用膜80を用いて得られるマスク8は、様々な組成のエッチング液に対して優れた安定性を有している(後述するエッチング工程において基板60をより確実に保護することができる)。また、基板60がガラス材料で構成されたものであり、かつマスク形成用膜80(マスク8)が上記のような構成のものであると、例えば、後述するエッチング工程において、エッチング液として一水素二フッ化アンモニウムを含む液体を好適に用いることができる。一水素二フッ化アンモニウムは毒劇物ではないため、作業中の人体や環境への影響をより確実に防止することができる。また、上記のような構成のマスク形成用膜80(マスク8)は、マスクの内部応力を効率良く緩和することができ、基板60との密着性(特に、エッチング工程における密着性)に特に優れている。このようなことから、上記のような構成のマスク形成用膜80(マスク8)を用いることにより、所望の形状の凹部61を容易かつ確実に形成することができる。
マスク形成用膜80の形成方法は特に限定されないが、マスク形成用膜80(マスク8)をクロム(Cr)、金(Au)等の金属材料(合金を含む)や金属酸化物(例えば酸化クロム)、またはこれらの複合材料(例えば、金属材料で構成された金属層と、金属酸化物で構成された金属酸化物層とを有する積層体等)で構成されたものとする場合、マスク形成用膜80は、例えば、蒸着法やスパッタリング法等により、好適に形成することができる。また、マスク形成用膜80(マスク8)をシリコンで構成されたものとする場合、マスク形成用膜80は、例えば、スパッタリング法やCVD法等により、好適に形成することができる。
マスク形成用膜80(マスク8)の厚さは、マスク形成用膜80(マスク8)を構成する材料によっても異なるが、0.01〜2.0μm程度が好ましく、0.01〜0.3μm程度がより好ましい。厚さが前記下限値未満であると、マスク形成用膜80の構成材料等によっては、後述する初期孔形成工程(開口部形成工程)において形成される初期孔81の形状が歪んでしまう可能性がある。また、後述するエッチング工程でウェットエッチングを施す際に、基板60のマスクした部分を十分に保護できない可能性がある。一方、上限値を超えると、マスク形成用膜80の構成材料等によっては、後述する初期孔形成工程において、貫通する初期孔81を形成するのが困難になるほか、マスク形成用膜80(マスク8)の内部応力によりマスク形成用膜80(マスク8)が剥がれ易くなる場合がある。
裏面保護膜89は、次工程以降で基板60の裏面を保護するためのものである。この裏面保護膜89により、基板60の裏面の侵食、劣化等が好適に防止される。この裏面保護膜89は、例えば、マスク形成用膜80(マスク8)と同様の構成を有している。このため、裏面保護膜89は、マスク形成用膜80の形成と同時に、マスク形成用膜80と同様に設けることができる。
<A3>次に、図5(b)に示すように、マスク形成用膜80に、複数個の初期孔(開口部)81を形成し、マスク8を得る(初期孔形成工程)。本工程で形成される初期孔81は、後述するエッチングの際のマスク開口として機能するものである。
初期孔81の形成方法は、特に限定されないが、レーザ光の照射による方法であるのが好ましい。これにより、所望のパターンに配列した所望の形状の初期孔81を容易かつ精確に形成することができる。その結果、凹部61の形状、配列方式等をより確実に制御することができる。また、初期孔81をレーザの照射により形成することにより、凹部付き部材を生産性良く製造することができる。特に、大面積の基板にも簡単に凹部を形成することができる。また、レーザ光の照射でマスク形成用膜80に初期孔81を形成することで、従来のようなフォトリソグラフィ法によってレジスト膜に開口部を形成する場合に比べて、簡単かつ安価に開口部(初期孔81)を形成することができる。
また、レーザ光の照射により初期孔81を形成する場合、使用するレーザ光の種類は、特に限定されないが、ルビーレーザ、半導体レーザ、YAGレーザ、フェムト秒レーザ、ガラスレーザ、YVOレーザ、Ne−Heレーザ、Arレーザ、COレーザ、エキシマレーザ等が挙げられる。また、各レーザのSHG、THG、FHG等の波長を使っても良い。
本工程で形成する初期孔81は、その形状、大きさは特に限定されないが、略円形で、その直径が、0.5〜30μmであるのが好ましく、1.0〜10μmであるのがより好ましく、1.5〜5μmであるのがさらに好ましい。初期孔81の直径が前記範囲内の値であると、後述するエッチング工程において、前述したような形状の凹部61を確実に形成することができる。ただし、初期孔81が、略楕円形のように扁平形状のものである場合、短軸方向の長さを、直径の値として代用することができる。すなわち、本工程で形成する初期孔81が扁平形状のものである場合、初期孔81の幅(短軸方向の長さ)は、特に限定されないが、0.8〜30μmであるのが好ましく、1.0〜10μmであるのがより好ましく、1.5〜5μmであるのがさらに好ましい。初期孔81の幅が前記範囲内の値であると、後述するエッチング工程において、前述したような形状の凹部61を確実に形成することができる。
また、本工程で形成する初期孔81が扁平形状のものである場合、初期孔81の長さ(長軸方向の長さ)は、0.5〜30μmであるのが好ましく、1.0〜15μmであるのがより好ましく、1.5〜10μmであるのがさらに好ましい。初期孔81の長さが前記範囲内の値であると、後述するエッチング工程において、前述したような形状の凹部61をより確実に形成することができる。
<A4>次に、図5(c)に示すように、初期孔81が形成されたマスク8を用いて基板60にエッチングを施し、基板60上に多数の凹部61を形成する(エッチング工程)。
エッチングの方法は、特に限定されず、例えば、ウェットエッチング、ドライエッチング等が挙げられる。以下の説明では、ウェットエッチングを用いる場合を例に挙げて説明する。
初期孔81が形成されたマスク8で被覆された基板60に対して、エッチング(ウェットエッチング)を施すことにより、図5(c)に示すように、基板60は、マスク8が存在しない部分(マスク8の初期孔81に対応する部位)より食刻され、基板60上に多数の凹部61が形成される。上述したように、マスク8に形成された初期孔81が千鳥状(千鳥格子状)の配置であるため、形成される凹部61は、基板60の表面に千鳥状(千鳥格子状)に配置されたものとなる。
また、ウェットエッチング法を用いると、凹部61を好適に形成できる。そして、エッチング液として、例えば、一水素二フッ化アンモニウムを含むエッチング液を用いると、基板60をより選択的に食刻することができ、凹部61を好適に形成することができる。
マスク8(マスク形成用膜80)が主としてクロム、酸化クロムで構成されたものである場合、フッ酸系エッチング液としては、一水素二フッ化アンモニウムを含む液体が特に好適である。一水素二フッ化アンモニウム溶液は毒劇物ではないため、作業中の人体や環境への影響を防止することができる。また、エッチング液として、一水素二フッ化アンモニウムを用いる場合、該エッチング液中には、例えば、過酸化水素および/または硫酸が含まれていてもよい。これにより、エッチングスピートをより速くすることができる。
また、ウェットエッチングによれば、ドライエッチングに比べて簡単な装置で処理を行うことができ、さらに、一度に多くの基板に対して処理を行うことができる。これにより生産性が向上し、安価に凹部付き部材6を提供することができる。
<A5>次に、図5(d)に示すように、マスク8を除去する(マスク除去工程)。また、この際、マスク8の除去とともに、裏面保護膜89も除去する。
マスク8が、前述したような主としてクロムで構成される層と、主として酸化クロムで構成される層とを有する積層体である場合、マスク8の除去は、例えば、硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸とを含む混合物を用いたエッチングにより好適に行うことができる。
以上のようにして、基板60上に多数の凹部61が千鳥状に形成された凹部付き部材6が得られる。
基板60上に千鳥状に配された複数個の凹部61を形成する方法は、特に限定されるものではないが、上述したような方法(レーザ光の照射によりマスク形成用膜80に初期孔81を形成してマスク8を得、その後、そのマスク8を用いてエッチングを行うことにより、基板60上に凹部61を形成する方法)により形成した場合、以下のような効果が得られる。
すなわち、レーザ光の照射によりマスク形成用膜80に初期孔81を形成することで、従来のようなフォトリソグラフィ法によって開口部を形成する場合に比べて簡単かつ安価に、所定パターンで開口部(初期孔81)を有するマスクを得ることができる。これにより生産性が向上し、安価に凹部付き部材6を提供することができる。
また、上述したような方法によれば、大型の基板に対する処理も容易に行うことができる。大型の基板(凹部付き部材、レンズ基板)を製造する場合に、従来のように複数の基板を貼り合わせる必要がなくなり、貼り合わせの継ぎ目をなくすことができる。これにより高品質で大型の基板(凹部付き部材、レンズ基板)を簡便な方法で安価に製造することができる。
また、初期孔81の形成をレーザの照射により行う場合、形成される初期孔81の形状、大きさ、配列等を、容易かつ確実に管理することができる。
なお、凹部付き部材6に対しては、例えば、前述したような離型処理部を形成する目的で、離型処理を施してもよい。離型処理としては、例えば、アルキルポリシロキサン等のシリコーン系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂等の離型性を有する物質で構成される被膜の形成、ヘキサメチルジシラザン([(CHSi]NH)等のシリル化剤による表面処理、フッ素系ガスによる表面処理等が挙げられる。
ところで、上記のようにして得られる凹部付き部材6は、多数個の凹部61を形成するものであるため、凹部61を形成すべき部位に、目的とする(所望の形状の)凹部が形成されていない場合がある。すなわち、図に示したように、凹部61が設けられるべき部位に、形成すべき凹部61よりも小さい凹部61’が形成されてしまう場合がある。このような場合、上記のような部位の周囲に、平坦部62が存在する。このような凹部付き部材を用いて製造される基板本体2は、後述するように対応する部位に平坦部22が形成されたものとなる。このような平坦部を有する基板本体を用いてマイクロレンズ基板(レンズ基板)を製造する場合、後に詳述するような方法でブラックマトリックスを形成する際に、平坦部においてエネルギ線が集光されず、平行光となってしまう。このため、エネルギ線の照射時間や照射量等によっては、不本意な位置に開口部が形成されるといった問題があった。上記のような平坦部は、例えば、凹部付き部材の製造時において、マスク形成用膜の初期孔を形成すべき部位に初期孔を確実に形成することができなかったり、エッチングの際等に、マスクの初期孔近傍に汚れが付着した場合等に発生する。マスクの形成条件、エッチング条件を最適化することにより、上記のような不良の発生の抑制を試みることはできるが、大型のレンズ基板(例えば、対角線長が100cm以上のレンズ基板)の製造に用いる凹部付き部材においては、上記のような不良の発生を完全に防止することは極めて困難である。
しかしながら、本発明のレンズ基板の製造方法を適用することにより、不本意な位置に開口部が形成されるのを防止することができる。
以下、上記のような凹部付き部材6を用いて基板本体2を形成する方法(基板本体準備工程)の一例について説明する。
<B1>まず、凹部付き部材6の用意する。
<B2>次に、図6(a)に示すように、凹部付き部材6の凹部61が形成された側の面に、流動性を有する状態の組成物23(例えば、軟化状態の樹脂材料、未重合(未硬化)の樹脂材料)を付与し(組成物付与工程)、その上に、基材フィルム24を載せ、この基材フィルム24を介して、組成物23を平板(押圧部材)11で押圧する(押圧工程)。
基材フィルム24は、組成物23(固化後の組成物23)と同程度の屈折率を有する材料で構成されているのが好ましく、より具体的には、基材フィルム24の構成材料の絶対屈折率と固化後の組成物23の絶対屈折率との差の絶対値が、0.20以下であるのが好ましく、0.10以下であるのがより好ましく、0.02以下であるのがさらに好ましい。基材フィルム24は、いかなる材料で構成されたものであってもよいが、ポリエチレンテレフタレートで構成されたものであるのが好ましい。また、基材フィルム24は、比較的厚いものを用いてもよいし、実質的に可撓性を有さないものを用いてもよい。
なお、平板11による押圧は、例えば、凹部付き部材6と、基材フィルム24との間に、スペーサーを配した状態で、行ってもよい。これにより、形成される基板本体2の厚さをより確実に制御することができる。また、スペーサーを用いる場合、組成物23を固化する際に、凹部付き部材6と基材フィルム24との間にスペーサーが配されていればよく、スペーサーを供給するタイミングは特に限定されない。例えば、凹部付き部材6の凹部61が形成された側の面に、付与する樹脂として予めスペーサーが分散された組成物23を用いてもよいし、凹部付き部材6上にスペーサーを配した状態で組成物23を付与してもよいし、組成物23の供給後にスペーサーを付与してもよい。
スペーサーを用いる場合、当該スペーサーは、固化後の組成物23と同程度の屈折率を有する材料で構成されているのが好ましく、より具体的には、スペーサーの構成材料の絶対屈折率と固化後の組成物23の絶対屈折率との差の絶対値が、0.20以下であるのが好ましく、0.10以下であるのがより好ましく、0.02以下であるのがさらに好ましく、固化後の組成物23とスペーサーとが同一の材料で構成されたものであるのが最も好ましい。
スペーサーの形状は、特に限定されないが、略球状、略円柱状であるのが好ましい。スペーサーがこのような形状のものである場合、その直径は、10〜300μmであるのが好ましく、30〜200μmであるのがより好ましく、30〜170μmであるのがさらに好ましい。
<B3>次に、組成物23を固化(ただし、硬化(重合)を含む)させ、凹部61に対応するマイクロレンズ21を備えた基板本体2を得る(固化工程。図6(b)参照)。本実施形態では、基板本体2は、組成物23の固化物と基材フィルム24との接合体として得られる。また、得られる基板本体2には、凹部付き部材6の凹部61’に対応する部位に、小さい凸レンズ21’が形成される。また、得られる基板本体2には、凹部付き部材6の平坦部62に対応する部位に、平坦部22が形成される。
組成物23の固化を硬化(重合)により行う場合、その方法としては、例えば、紫外線等の光の照射、電子線の照射、加熱等の方法が挙げられる。
なおここで、必要に応じて組成物23および/または基材フィルム24の中には、光源からの入射光を拡散させるために、あらかじめ拡散材として例えばポリスチレンビーズ、ガラスビーズ、有機架橋ポリマーなどを混ぜてもよい。ここで拡散材は組成物23および/または基材フィルム24全体に混入してもよいし、一部にのみ混入してもよい。
<B4>次に、形成された基板本体2から、平板11および凹部付き部材6を取り除く(押圧部材・凹部付き部材除去工程。図6(c)参照)。取り外された平板11、凹部付き部材6は、基板本体2(マイクロレンズ基板1)の製造に繰り返し使用することができる。
次に、上記のようにして得られた基板本体2を用いてマイクロレンズ基板を形成する。
本発明のレンズ基板の製造方法は、前述したような基板本体の出射面側に、主としてエネルギ線硬化性の粘着剤で構成された粘着層を形成する粘着層形成工程と、基板本体の凸レンズが設けられた側からエネルギ線を照射し、凸レンズで集光されたエネルギ線が照射された部位の粘着剤を硬化させて、非粘着部を形成する露光工程と、粘着層上にブラックマトリックス(遮光層)形成用層を形成する工程と、非粘着部に対応する部位のブラックマトリックス形成用層を除去して開口部を形成し、ブラックマトリックスを形成する開口部形成工程とを有する。
<C1>まず、上記のようにして作製された基板本体2の出射側表面に、主としてエネルギ線硬化性の粘着剤で構成された粘着層7を形成する(粘着層形成工程。図6(d)参照)。
この粘着層7は、後述するブラックマトリックス3を基板本体2の出射面側に保持する機能を有している。
本実施形態において、粘着層7中には、エネルギ線照射によって色が変化する材料(感光性材料)が含まれている。
ところで、従来、後述するようにエネルギ線照射によって非粘着部を形成する場合に、基板本体に上述したような平坦部(凸レンズ)があると、エネルギ線照射の終了時が明確でないため、集光されないエネルギ線によって不本意な位置に非粘着部が形成されてしまい、不本意な位置に開口部が形成されたブラックマトリックスが形成されてしまうといった問題があった。また、エネルギ線の照射時間や照射量を予め調整しておくことも考えられるが、基板の大きさや種類等によってエネルギ線照射の終了時が異なり、厳密にエネルギ線照射の終了時を判断するのが困難であった。また、このような不本意な位置に開口部があると、該開口部においては、レンズ部のような集光機能がないため、入射光は直進光として出射し、観察者面側(透過型スクリーン上)において、輝点として認識され、表示される画像に著しい悪影響を及ぼす。
これに対して、本発明では、エネルギ線を照射しながら、粘着層のエネルギ線が集光した部位の硬化状態を検知し、エネルギ線の照射終了時を判断することにより、不本意な位置に非粘着部が形成されるのを防止することができる。言い換えると、エネルギ線が集光した部位は、エネルギ線の強度が高いため、集光されないエネルギ線が照射された部位よりも早く硬化することを利用し、その硬化状態を検知することにより、不本意な位置に非粘着部が形成されるのを防止することができる。その結果、ブラックマトリックス形成用層の不本意な位置に開口部が形成されるのを防止することができ、コントラストに優れるとともに輝点の発生が抑制された、優れた画像を表示することができるレンズ基板を得ることができる。
本実施形態では、粘着層7中に、エネルギ線照射によって色が変化する材料を含ませることにより、後述するようなエネルギ線を照射した際に、色の変化によって粘着層7を構成する粘着剤の硬化状態を検査することができる。すなわち、エネルギ線が集光された部位は、エネルギ線の強度が高いため、早く色の変化が起こり、この色の変化度合いを観察することにより、粘着層7を構成する粘着剤の硬化状態を検知することができる。
このようなエネルギ線の照射によって色の変化する材料(感光性材料)としては、特に限定されないが、フォトクロミック化合物を用いるのが好ましい。これにより、粘着層7の機能を損なうことなく、粘着剤の硬化状態を好適に検知することができる。
フォトクロミック化合物としては、例えば、アゾベンゼン、スピロベンゾピラン、フリルフルギド、ジアリールエテン等が挙げられる。上述した中でも、ジアリールエテンは、熱安定性が特に高いことから好適に用いることができる。
粘着層7中に含まれる感光性材料の含有量は、30〜80wt%であるのが好ましく、50〜60wt%であるのがより好ましい。感光性材料の含有量が前記下限値未満であると、感光性材料の種類等によっては色の変化を明確に観察するのが困難となる場合がある。また、感光性材料の含有量が前記上限値を超えると、感光性材料の種類等によっては、粘着層7の機能が十分に発揮されない可能性がある。
粘着層7を構成するエネルギ線硬化性の粘着剤は、主として、粘着性樹脂、エネルギ線重合性化合物から構成される。
粘着性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
また、エネルギ線重合性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートあるいは1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート等が挙げられる。
粘着剤の硬化に用いられるエネルギ線の種類としては、例えば、可視光線、紫外線、赤外線、電子線、γ線等が挙げられる。これらの中でも、紫外線を用いるのが好ましい。これにより、簡易な設備で、より容易にレンズ基板を製造することができる。また、粘着剤の選択の自由度が増すとともに、レンズ基板を製造する際に用いる装置等の部材に対する悪影響の発生をより効果的に防止することができる。
上述したような粘着層7は、例えば、例えば、ディップコート、ドクターブレード、スピンコート、刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、ロールコーター等の各種塗布法等により形成することができる。
<C2>次に、図7(e)に示すように、基板本体2に、入射側表面に対して垂直方向のエネルギ線Lbを照射する(露光工程)。照射されたエネルギ線Lbはマイクロレンズ21に入射することにより屈折し、集光する。そして、集光されることにより、エネルギ強度の大きくなったエネルギ線が照射された部位の粘着層7中の粘着剤が硬化し、非粘着部71を形成する。このとき、粘着層7の集光部位における色の変化を、CCDカメラK1で観察し、色の変化が確認された時点で、エネルギ線の照射を終了する。なお、エネルギ線が集光しない平坦部22を透過したエネルギ線は、エネルギ強度が低いものである。したがって、粘着層7に照射された場合であっても、上記のような時点で照射を終了しているので、照射部位の粘着剤は、ほとんど硬化しないか、硬化したとしても粘着力が損なわれない。その結果、不本意な位置に非粘着部が形成されるのを防止することができ、後述するブラックマトリックス形成用層32の不本意な位置に開口部が形成されるのを防止することができる。
<C3>次に、前述したようにエネルギ線を照射したブラックマトリックス(遮光層)形成用層32を形成する。
本実施形態では、図7(f)に示すように、基材33と、基材33上に設けられたブラックマトリックス形成用材料で構成されたブラックマトリックス形成用層32とを有する転写シート30を、前述した粘着層7とブラックマトリックス形成用層32とが対向するように貼り合わせることにより、粘着層7上にブラックマトリックス形成用層32を形成する(遮光層形成用層形成工程)。このような転写シート30を用いることにより、ブラックマトリックス形成用層32およびブラックマトリックス3を容易に形成することができる。
ブラックマトリックス形成用材料としては、例えば、有色の無機顔料、有機顔料、カーボン、染料等を分散した樹脂材料等を用いることができる。
また、基材33としては、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、セロハン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ナイロン、ポリイミド、ポリ塩化ビニリデン、アイオノマー等のプラスチックフィルム等が挙げられる。
<C4>次に、図7(g)に示すように、ブラックマトリックス形成用層32に、開口部31を形成し、ブラックマトリックス(遮光層)3を形成する(開口部形成工程)。
本実施形態では、基材33を除去することにより、開口部31を形成する。すなわち、基材33を除去することにより、粘着層7の粘着性が維持されている部位と接しているブラックマトリックス形成用層32はそのまま粘着層7上に保持され、非粘着部71と接しているブラックマトリックス形成用層32は、基材33とともに除去される。これにより、開口部31が形成され、それとともに、ブラックマトリックス3が形成される。このような方法を用いることにより、容易にかつ確実にブラックマトリックス3を形成することができる。
<C5>次に、基板本体2のブラックマトリックス3が設けられた面側に、拡散部4を形成し、マイクロレンズ基板1を得る(図7(h)、図1参照)。
拡散部4は、例えば、予め、板状に成形された拡散板を接合したり、拡散材を含み、流動性を有する拡散部形成用材料を付与した後に、当該材料を固化させること等により形成することができる。
拡散部形成用材料の付与方法としては、例えば、ドクターブレード、スピンコート、刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、ロールコーター等の各種塗布法や、基板本体2を拡散部形成用材料中に浸漬するディッピング等の方法が挙げられる。
《レンズ基板の製造方法の第2実施形態》
以下、本発明のレンズ基板の製造方法の第2の実施形態について説明する。なお、以下の説明では、上述した第1実施形態と異なる部分を中心に説明し、同様の部分はその説明を省略する。
図8は、本発明のレンズ基板の製造工程の第2実施形態を示す模式的な縦断面図である。
本実施形態では、粘着層7中に、エネルギ線の照射によって色の変化する材料を含ませず、粘着層7上に、上述したようなエネルギ線の照射によって色の変化する材料を含む感光性膜を形成する点で、前述した第1実施形態と異なっている。
まず、前述した第1実施形態と同様にして基板本体2を準備する(基板本体準備工程)。
<C1’>次に、図8(d’)に示すように、(エネルギ線の照射によって色の変化する材料を含まない)粘着層7を形成する。
<C2’>次に、図8(e’)に示すように、上記粘着層7上に、前述したようなエネルギ線の照射によって色の変化する材料を含む感光性膜9を形成する。
感光性膜9の粘着層7側の面には離型処理が施されており、感光性膜9を粘着層7から容易に剥離できるよう構成されている。
<C3’>次に、図8(e’)に示すように、基板本体2に、入射側表面に対して垂直方向のエネルギ線Lbを照射する(露光工程)。この際、粘着層7の集光部位に対応する部位の感光性膜9の色の変化をCCDカメラK1により観察し、色の変化が確認された時点で、エネルギ線の照射を終了する。
エネルギ線照射終了後、感光性膜9を除去する(図8(f’)参照)。
<C4’>次に、前述した第1実施形態と同様にして、ブラックマトリックス形成用層32を形成する(図8(g’)参照)。
<C5’>次に、前述した第1実施形態と同様にして、ブラックマトリックス形成用層32に開口部31を形成する(図8(h’)参照)。これにより、基板本体2の出射面側にブラックマトリックス3が形成される。
<C6’>次に、前述した第1実施形態と同様にして、拡散部4を形成し、マイクロレンズ基板1を得る(図8(i’)、図1参照)。
このような方法を用いることにより、より簡便にかつ確実にブラックマトリックス3を形成することができる。また、ブラックマトリックス3を保持する粘着層7中にエネルギ線照射によって色が変化する材料が含まれていないため、粘着層7の耐久性が向上し、得られるマイクロレンズ基板(レンズ基板)1の信頼性をさらに向上させることができる。
以下、前記透過型スクリーンを用いたリア型プロジェクタについて説明する。
図9は、本発明のリア型プロジェクタの構成を模式的に示す図である。
同図に示すように、リア型プロジェクタ300は、投写光学ユニット310と、導光ミラー320と、透過型スクリーン10とが筐体340に配置された構成を有している。
そして、このリア型プロジェクタ300は、上記のような透過型スクリーン10を備えているので、コントラストに優れるとともに輝点の発生が抑制された、優れた画像を表示することができる。また、視野角特性、光利用効率等も特に優れたにも優れている。
また、特に、前述したマイクロレンズ基板1では、楕円形状のマイクロレンズ21が千鳥状(千鳥格子状)に配されているので、リア型プロジェクタ300では、モアレ等の問題が特に発生し難い。
以上、本発明について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、凹部付き部材、レンズ基板(マイクロレンズ基板)、透過型スクリーン、リア型プロジェクタを構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成を追加してもよい。例えば、レンズ基板は、その表面付近に、所定の濃度で着色された着色部を有するものであってもよい。これにより、表示される画像のコントラストをさらに優れたものとすることができる。
また、レンズ基板(マイクロレンズ基板)の製造方法においては、任意の工程を追加してもよい。
また、レンズ基板の製造方法における各工程の順序は、前述したようなものに限定されず、必要に応じて、その順序を変更してもよい。
また、前述した実施形態では、凹部付き部材の表面に組成物を付与するものとして説明したが、例えば、平板の表面(または平板上に載置された基材フィルム)に組成物を付与し、これを凹部付き部材で押圧することにより、マイクロレンズ基板を製造してもよい。
また、前述した実施形態では、CCDカメラを用いて色の変化を観察する場合について説明したが、これに限定されず、例えば、吸光光度計、色差計等を用いて検知してもよい。
また、前述した実施形態では、色の変化を観察することにより、粘着層の硬化状態を検知するものとして説明したが、これに限定されず、例えば、粘着層の表面弾性を測定することにより行ってもよい。
また、前述した実施形態では、マイクロレンズ基板が、層状の拡散部を有するものとして説明したが、拡散部の形状はこれに限定されるものではない。例えば、拡散部は、ブラックマトリックスの開口部に対応する部位に凸状に設けられたものであってもよい。このような場合であっても、前述したような効果が得られる。また、このような拡散部を形成することにより、ブラックマトリックスの開口部以外の部位での外光の反射をより効果的に防止することができるため、得られる画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。また、マイクロレンズ基板は、前述したような拡散部を備えていなくてもよい。このような場合、光の利用効率を特に優れたものとすることができる。
また、前述した実施形態では、レンズ基板がマイクロレンズを備えるマイクロレンズ基板であるものとして説明したが、本発明において、レンズ基板は、例えば、レンチキュラレンズ基板等であってもよい。
また、前述した実施形態では、透過型スクリーンが、マイクロレンズ基板とフレネルレンズ部とを備えるものとして説明したが、本発明の透過型スクリーンは、必ずしも、フレネルレンズ部を備えたものでなくてもよい。例えば、本発明の透過型スクリーンは、実質的に、本発明のマイクロレンズ基板のみで構成されたものであってもよい。
また、前述した実施形態では、レンズ基板は、透過型スクリーン、リア型プロジェクタを構成する部材であるものとして説明したが、本発明のレンズ基板の用途は、前記のようなものに限定されず、いかなるものであってもよい。例えば、本発明のレンズ基板は、拡散板、ブラックマトリックススクリーン、投射型表示装置(フロントプロジェクタ)のスクリーン(フロントプロジェクションスクリーン)、投射型表示装置(フロントプロジェクタ)の液晶ライトバルブの構成部材等に適用されるものであってもよい。
(実施例1)
以下のように、凹部を備えた凹部付き部材を製造した。
まず、基板として、横1.2m×縦0.7m角、厚さ4.8mmのソーダガラス基板(絶対屈折率n:1.50)を用意した。
このソーダガラス基板を、4wt%の一水素二フッ化アンモニウムと、8wt%の過酸化水素とを含む洗浄液に浸漬して6μmエッチングを行い、その表面を清浄化した。
その後、純水洗浄およびNガスを用いた乾燥(純水の除去)を行った。
次に、このソーダガラス基板上に、スパッタリング法にて、クロム/酸化クロムの積層体(クロムの外表面側に酸化クロムが積層された積層体)を形成した。すなわち、ソーダガラス基板の表面に、クロム/酸化クロムの積層体で構成されたマスク形成用膜および裏面保護膜を形成した。クロム層の厚さは0.03μm、酸化クロム層の厚さは0.01μmであった。
次に、マスク形成用膜に対してレーザ加工を行い、マスク形成用膜の中央部113cm×65cmの範囲に多数の初期孔を形成し、マスクとした。
なお、レーザ加工は、エキシマレーザを用いて、エネルギー密度1.2J/cm、加工点でのビーム直径2μm、走査速度0.1m/秒という条件で行った。
これにより、マスク形成用膜の上記範囲全面に亘って、略円形の初期孔が、千鳥状に配されたパターンで形成された。初期孔の直径は2μmであった。
次に、ソーダガラス基板にウェットエッチングを施し、ソーダガラス基板上に多数の平面視したときの形状が扁平形状(略楕円形状)の凹部(マイクロレンズ形成用凹部)を形成した。形成された凹部は、球面をなすものであり、その短軸方向の長さ(ピッチ)は54μm、長軸方向の長さは72μm、曲率半径は38μm、深さは38μmであった。また、凹部が形成されている有効領域における凹部の占有率は98%であった。
なお、ウェットエッチングは、エッチング液として、4wt%の一水素二フッ化アンモニウムと、8wt%の過酸化水素とを含む水溶液を用い、浸漬時間は2.0時間とした。
次に、硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸との混合物を用いてエッチングすることにより、マスクおよび裏面保護膜を除去した。
次に、純水洗浄およびNガスを用いた乾燥(純水の除去)を行った。
その後、基板の凹部が形成されている面側に、ヘキサメチルジシラザンによる気相表面処理(シリル化処理)を行い、離型処理部を形成した。
これにより、ソーダガラス基板上に、マイクロレンズ形成用の多数の凹部が千鳥状に配列された凹部付き部材を得た。
次に、凹部付き部材の凹部が形成された側の面に、未重合(未硬化)のアクリル系樹脂(PMMA樹脂(メタクリル樹脂))で構成された組成物を付与し、その上に、ポリエチレンテレフタレート(PET)で構成された基材フィルム(厚さ:50mm)を載せた。基材フィルムを構成するポリエチレンテレフタレートの屈折率(絶対屈折率n)は、1.57であった。
次に、ソーダガラスで構成された平板で、基材フィルムを介して、前記組成物を押圧した。この際、基材フィルムと組成物との間に、空気が侵入しないようにした。
その後、平板で押圧した状態で、組成物に紫外線を照射することにより、組成物を完全に硬化させ、基板本体を得た。得られた基板本体は、凹部付き部材が有する凹部に対応する形状のマイクロレンズを有するものであった。形成されたマイクロレンズは、扁平形状(略楕円形状)をなすものであり、短軸方向の長さ(ピッチ)が54μm、長軸方向の長さが72μm、曲率半径が38μm、高さが38μmであった。また、マイクロレンズが形成されている有効領域におけるマイクロレンズの占有率は100%であった。また、形成された硬化部を構成する材料の屈折率(絶対屈折率n)は、1.56であった。
次に、基板本体から平板および凹部付き部材を取り除いた。
次に、基板本体上に、エネルギ線照射によって色が変化する材料(感光性材料)を含む粘着剤を塗布し、粘着層を形成した。なお、粘着層を構成する粘着剤として、粘着性樹脂としてのアクリル系樹脂(PMMA樹脂(メタクリル樹脂)):120重量部と、紫外線重合性化合物としてのポリエチレングリコールジアクリレート:150重量部、感光性材料としてのフォトクロミック化合物:80重量部を含むものを用いた。また、形成された粘着層の平均厚さは、50μmであった。
次に、マイクロレンズが形成されている側の面から、60mJ/cmの平行光としての紫外線を照射した。照射された紫外線は、各マイクロレンズで集光され、集光された紫外線が照射された部位の粘着剤を露光・硬化させ、非粘着部を形成した。なお、紫外線を照射しつつ、粘着層の紫外線が集光した部位をCCDカメラで観察し、当該部位が、白色から青色に変化した時点で、紫外線の照射を終了した。紫外線の照射時間は、7秒であった。その結果、粘着層の、集光された紫外線が照射された部位に、選択的に非粘着部が形成された。
次に、プラスチックフィルム上に、フォトポリマーにカーボンを分散して得られたブラックマトリックス形成用材料で構成された層を有する転写シートを用意した。
転写シートのブラックマトリックス形成用材料で構成された層と、粘着層とが対向するように、転写シートと粘着層とを貼り合わせ、粘着層上にブラックマトリックス形成用層を形成した。
次に、転写シートのプラスチックフィルムを剥離した。そして、プラスチックフィルムの剥離と共に、非粘着部に対応する部位のブラックマトリックス形成用層が除去され、各マイクロレンズに対応した開口部を有するブラックマトリックスが形成された。開口部は、略円形であり、その直径は30μmであった。また、形成された開口部の直径の標準偏差は、1.03μmであった。また、形成されたブラックマトリックスの厚さは1.2μmであった。また、形成されたブラックマトリックスは、その開口部が、光の出射側に向かって断面積が大きくなるようなテーパ状をなすものであった。また、平面視したときの開口部のブラックマトリックスに対する面積率(開口率)は、18%であった。
次に、基板本体のブラックマトリックスが形成された面側に、拡散部を形成し、マイクロレンズ基板を得た。拡散部の形成は、アクリル系樹脂中に、拡散材(平均粒径8μmのシリカ粒子)が分散した構成の拡散板を熱融着により接合することにより行った。なお、拡散部の厚さは、2.0mmであった。
以上のようにして製造されたマイクロレンズ基板と、押出成形により作製したフレネルレンズ部とを組み立てることにより、図3に示すような透過型スクリーンを得た。
(実施例2、3)
凹部付き部材を形成する際の形成される初期孔の形状、エッチング液への浸漬時間を変更することにより、凹部付き部材の凹部の形状、配列パターンを変更し、これにより、マイクロレンズ基板に形成されるマイクロレンズの形状、配列パターン等を表1に示すようにし、粘着層の平均厚さを表1に示したようにした以外は前記実施例1と同様にしてマイクロレンズ基板、透過型スクリーンを製造した。
(実施例4)
前記実施例1と同様にして基板本体を作製した。
次に、基板本体上に、粘着剤を塗布し、粘着層を形成した。なお、粘着層を構成する粘着剤として、粘着性樹脂としてのアクリル系樹脂(PMMA樹脂(メタクリル樹脂)):120重量部と、紫外線重合性化合物としてのポリエチレングリコールジアクリレート:150重量部を含むものを用いた。また、形成された粘着層の平均厚さは、50μmであった。
次に、形成した粘着層上に、フォトクロミック化合物を含有する感光性フィルム(感光性膜)を貼着させた。なお、感光性フィルムとして、粘着層と接する面に、離型処理を施したものを用いた。
次に、マイクロレンズが形成されている側の面から、60mJ/cmの平行光としての紫外線を照射した。照射された紫外線は、各マイクロレンズで集光され、集光された紫外線が照射された部位の粘着剤を露光・硬化させ、非粘着部を形成した。なお、紫外線を照射しつつ、感光性フィルムの紫外線が集光した部位をCCDカメラで観察し、当該部位が、白色から青色に変化した時点で、紫外線の照射を終了した。紫外線の照射時間は、8秒であった。その結果、粘着層の、集光された紫外線が照射された部位に、選択的に非粘着部が形成された。
次に、感光フィルムを除去した後、前述した実施例1と同様にしてブラックマトリックス、拡散部を形成し、マイクロレンズ基板を得た。
以上のようにして製造されたマイクロレンズ基板と、押出成形により作製したフレネルレンズ部とを組み立てることにより、図3に示すような透過型スクリーンを得た。
(実施例5、6)
凹部付き部材を形成する際の形成される初期孔の形状、エッチング液への浸漬時間を変更することにより、凹部付き部材の凹部の形状、配列パターンを変更し、これにより、マイクロレンズ基板に形成されるマイクロレンズの形状、配列パターン等を表1に示すようにし、粘着層の平均厚さを表1に示したようにした以外は前記実施例4と同様にしてマイクロレンズ基板、透過型スクリーンを製造した。
(比較例)
感光性フィルムの貼着およびCCDカメラでの観察を行わず、紫外線を10秒間照射した以外は、前記実施例4と同様にしてマイクロレンズ基板、透過型スクリーンを製造した。
各実施例および比較例について、製造に用いた凹部付き部材の構成や、マイクロレンズ基板の構成を表1にまとめて示す。
Figure 2007163797
[リア型プロジェクタの作製]
前記各実施例および比較例の透過型スクリーンを用いて、図9に示すようなリア型プロジェクタを、それぞれ作製した。
[輝点の発生]
前記各実施例および比較例のリア型プロジェクタの透過型スクリーンにサンプル画像を表示させ、表示された画像において、輝点の発生状態を以下の5段階の基準に従い評価した。
A:輝点が存在しない、または目視で確認できない。
B:スクリーンの一部に、輝点が少数存在し、わずかに確認することができる。
C:スクリーンの一部に、輝点が存在し、目視ではっきりと確認できる。
D:スクリーン全体に、輝点が少数存在し、目視ではっきりと確認できる。
E:スクリーン全体に、輝点が多数存在し、目視ではっきりと確認できる。
[コントラストの評価]
前記各実施例および比較例のリア型プロジェクタについて、コントラストの評価を行った。
コントラスト(CNT)として、明室において373lxの全白光が入射した時の白表示の正面輝度(白輝度)LW[cd/m]と、明室において光源を全消灯した時の黒表示の正面輝度LB[cd/m]との比LW/LBを求めた。なお、黒輝度増加量は、暗室の黒表示の輝度に対する増加量をいう。また、明室での測定は、外光照度が約82lxの環境下で行った。暗室での測定は、外光照度が0.1lx以下の環境下で行った。
[視野角の測定]
前記各実施例および比較例のリア型プロジェクタの透過型スクリーンにサンプル画像を表示させた状態で、鉛直方向(上下方向)および水平方向(左右方向)での視野角の測定を行った。
視野角の測定は、変角光度計(ゴニオフォトメータ)で、1度間隔で測定するという条件で行った。
これらの結果を表2にまとめて示す。
Figure 2007163797
表2から明らかなように、本発明では、いずれも、輝点の発生が十分に防止され、かつ、高コントラストの画像を表示することができた。また、視野角特性にも優れていた。これに対し、比較例では、満足な結果が得られなかった。
本発明のレンズ基板(マイクロレンズ基板)の好適な実施形態を示す模式的な縦断面図である。 図1に示すマイクロレンズ基板の平面図である。 図1に示すマイクロレンズ基板(レンズ基板)を備えた、本発明の透過型スクリーンの好適な実施形態を示す模式的な縦断面図である。 レンズ基板の製造に用いる凹部付き部材を示す模式的な縦断面図である。 図4に示す凹部付き部材の製造方法を示す模式的な縦断面図である。 本発明のレンズ基板の製造工程の第1実施形態を示す模式的な縦断面図である。 本発明のレンズ基板の製造工程の第1実施形態を示す模式的な縦断面図である。 本発明のレンズ基板の製造工程の第2実施形態を示す模式的な縦断面図である。 本発明のリア型プロジェクタの構成を模式的に示す図である。
符号の説明
1…マイクロレンズ基板(レンズ基板) 2…基板本体(補正基板本体) 21…マイクロレンズ(凸レンズ) 21’…凸レンズ 22…平坦部 23…組成物 24…基材フィルム 25…第1の行 26…第2の行 3…ブラックマトリックス(遮光層) 30…転写シート 31…開口部 32…遮光層形成用層 33…基材 4…拡散部 5…フレネルレンズ部 51…フレネルレンズ 60…基板 6…凹部付き部材(マイクロレンズ形成用凹部付き部材) 61…凹部(マイクロレンズ形成用凹部) 61’…凹部 62…平坦部 7…粘着層 8…マスク 81…初期孔 89…裏面保護膜 80…マスク形成用膜 9…感光性膜 11…平板 10…透過型スクリーン K1…CCDカメラ 300…リア型プロジェクタ 310…投写光学ユニット 320…導光ミラー 340…筐体

Claims (10)

  1. 多数の凸レンズを有する基板本体と、遮光性を有する材料で構成され、開口部を有する遮光層とを有するレンズ基板を製造する方法であって、
    前記基板本体を準備する基板本体準備工程と、
    前記基板本体の前記凸レンズが設けられた側とは反対の面側に、主としてエネルギ線硬化性の粘着剤で構成された粘着層を形成する粘着層形成工程と、
    前記基板本体の前記凸レンズが設けられた側からエネルギ線を照射し、前記凸レンズで集光された前記エネルギ線を用いて、前記粘着層の前記エネルギ線が集光された部位の前記粘着剤を硬化させ、非粘着部を形成する露光工程と、
    前記粘着層上に遮光層形成用層を形成する工程と、
    前記非粘着部に対応する部位の前記遮光層形成用層を除去し、前記開口部を形成する開口部形成工程とを有し、
    前記露光工程において、前記粘着層の前記エネルギ線が集光した部位の硬化状態を検知し、前記エネルギ線の照射の終了時を判断することを特徴とするレンズ基板の製造方法。
  2. 前記粘着層の前記エネルギ線が集光した部位の色の変化を観察することにより、前記硬化状態を検知する請求項1に記載のレンズ基板の製造方法。
  3. 前記粘着層は、エネルギ線照射によって色が変化する材料を含むものである請求項2に記載のレンズ基板の製造方法。
  4. 前記露光工程において、前記粘着層上に、エネルギ線照射によって色が変化する材料を含む感光性膜を設け、該感光性膜における前記粘着層の前記エネルギ線が集光した部位に対応する部位の色の変化を観察することにより、前記硬化状態を検知する請求項1に記載のレンズ基板の製造方法。
  5. エネルギ線照射によって色が変化する材料は、フォトクロミック化合物である請求項3または4に記載のレンズ基板の製造方法。
  6. 前記エネルギ線は、紫外線である請求項1ないし5のいずれかに記載のレンズ基板の製造方法。
  7. 前記レンズ基板は、前記凸レンズとしてマイクロレンズを備えたマイクロレンズ基板である請求項1ないし6のいずれかに記載のレンズ基板の製造方法。
  8. 請求項1ないし7のいずれかに記載の方法を用いて製造されたことを特徴とするレンズ基板。
  9. 請求項8に記載のレンズ基板を備えたことを特徴とする透過型スクリーン。
  10. 請求項9に記載の透過型スクリーンを備えたことを特徴とするリア型プロジェクタ。
JP2005359485A 2005-12-13 2005-12-13 レンズ基板の製造方法、レンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ Pending JP2007163797A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005359485A JP2007163797A (ja) 2005-12-13 2005-12-13 レンズ基板の製造方法、レンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005359485A JP2007163797A (ja) 2005-12-13 2005-12-13 レンズ基板の製造方法、レンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007163797A true JP2007163797A (ja) 2007-06-28

Family

ID=38246755

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005359485A Pending JP2007163797A (ja) 2005-12-13 2005-12-13 レンズ基板の製造方法、レンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007163797A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010085847A (ja) * 2008-10-01 2010-04-15 Toppan Printing Co Ltd 光学部品、バックライトユニット及び表示装置
JP2013182264A (ja) * 2012-03-05 2013-09-12 Dainippon Printing Co Ltd 透過型スクリーンの製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010085847A (ja) * 2008-10-01 2010-04-15 Toppan Printing Co Ltd 光学部品、バックライトユニット及び表示装置
JP2013182264A (ja) * 2012-03-05 2013-09-12 Dainippon Printing Co Ltd 透過型スクリーンの製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20060087742A1 (en) Method of manufacturing a microlens substrate, a substrate with concave portions, a microlens substrate, a transmission screen, and a rear projection
JP2006154768A (ja) 凹部付き部材、凸部付き部材の製造方法、凸部付き部材、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ
JP2006146180A (ja) 凹部付き基板の製造方法、凹部付き基板、マイクロレンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ
JP2006106359A (ja) レンズ基板の製造方法、レンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ
JP2006126751A (ja) 凹部付き部材、凸部付き部材の製造方法、凸部付き部材、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ
JP2006133334A (ja) 凹部付き部材、凸部付き部材の製造方法、凸部付き部材、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ
JP4655910B2 (ja) マイクロレンズ基板の製造方法、マイクロレンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ
JP2007163797A (ja) レンズ基板の製造方法、レンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ
JP2006259644A (ja) 反射型スクリーン
JP5003069B2 (ja) レンズ基板形成用型の製造方法
JP2007136797A (ja) レンズ基板形成用型の製造方法、レンズ基板形成用型、レンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ
JP2007199212A (ja) マイクロレンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ
JP4687468B2 (ja) マイクロレンズ基板の製造方法、マイクロレンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ
JP2006142587A (ja) 凸部付き部材の製造方法、凸部付き部材、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ
JP4259277B2 (ja) 拡散部付きレンズ基板の製造方法、拡散部付きレンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ
JP2007133271A (ja) レンズ基板、レンズ基板の製造方法、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ
JP2007187759A (ja) マイクロレンズ基板の製造方法、マイクロレンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ
JP2006259643A (ja) 反射型スクリーン
JP2007160575A (ja) レンズ基板の製造方法、レンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ
JP4650131B2 (ja) レンズ基板およびリア型プロジェクタ
JP2007144899A (ja) 凹部付き基板の製造方法、凹部付き基板、マイクロレンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ
JP2007010803A (ja) 透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ
JP4984510B2 (ja) レンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ
JP2007203674A (ja) レンズ基板の製造方法、レンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ
JP2006323113A (ja) レンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ