JP4687468B2 - マイクロレンズ基板の製造方法、マイクロレンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ - Google Patents
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Description
リア型プロジェクタに用いられる透過型スクリーンには、レンチキュラレンズを備えたレンズ基板(レンチキュラレンズ基板)を備えたものが一般的に用いられている。このようなレンチキュラレンズ基板を備えた透過型スクリーンでは、左右の視野角が大きいが上下の視野角が小さい(視野角に偏りがある)という問題があった。
このようなレンズ基板(レンズアレイシート、レンズシート)の製造方法としては、多数の凹部が設けられたガラス基板の凹部が設けられた面に未硬化の樹脂を供給し、該樹脂を硬化させることにより、前記凹部内に充填された樹脂によりマイクロレンズを形成する方法が用いられている(例えば、特許文献1参照)。そして、上記のようなレンズ基板では、マイクロレンズの焦点距離が数十μmと短いため、より薄型のマイクロレンズ基板を得るために、例えばフォトポリマー法(2P法)等により、レンズ形状をフィルム材に転写することが行われている。
本発明のマイクロレンズ基板の製造方法は、多数のマイクロレンズを有する基板本体を備えたマイクロレンズ基板を製造する方法であって、
製造すべき前記基板本体の前記マイクロレンズが設けられた面側の反転形状を有する成形型の面上に、流動性を有する組成物を付与する組成物付与工程と、
前記成形型上に付与された前記組成物上にシート材を載置した状態で、押圧することにより前記組成物と前記シート材とを密着させる押圧工程と、
前記組成物を固化させる固化工程とを有し、
前記シート材は、平面視した際に前記マイクロレンズが形成されるべき領域である有効領域であって、前記組成物と接触する側の面の前記マイクロレンズの集光部以外の部位に、互いに略平行に設けられた複数の溝が設けられたものであることを特徴とする。
これにより、気泡の混入が防止され、不本意な厚さのばらつきが抑制されたマイクロレンズ基板を効率良く製造することができるマイクロレンズ基板の製造方法を提供することができる。
また、製造されるマイクロレンズ基板において、組成物の固化物と、シート材との界面での画像形成用の光の不本意な屈折等が発生するのを確実に防止することができ、マイクロレンズ基板の光学特性をより確実にコントロールすることができる。
これにより、マイクロレンズ基板の光学特性を特に優れたものとすることができる。
本発明のマイクロレンズ基板の製造方法では、前記溝の深さが、10〜200μmであることが好ましい。
これにより、押圧工程において、成形型上に付与された組成物をより均等に延ばすことができ、製造されるマイクロレンズ基板において不本意な厚さのばらつきが発生するのをより効果的に防止することができるとともに、組成物とシート材との間に気泡等が残存するのをより効果的に防止することができる。
これにより、押圧工程において、成形型上に付与された組成物をより均等に延ばすことができ、製造されるマイクロレンズ基板において不本意な厚さのばらつきが発生するのをより効果的に防止することができるとともに、組成物とシート材との間に気泡等が残存するのをより効果的に防止することができる。
これにより、溝をガス流路としてより効果的に機能させることができ、組成物とシート材との間のガスをより効率良く排除することができ、マイクロレンズ基板の生産性を特に優れたものとすることができるとともに、製造されるマイクロレンズ基板の信頼性を特に優れたものとすることができる。
これにより、押圧工程において、成形型上に付与された組成物をより均等に延ばすことができ、製造されるマイクロレンズ基板において不本意な厚さのばらつきが発生するのをより効果的に防止することができるとともに、組成物とシート材との間に気泡等が残存するのをより効果的に防止することができる。
これにより、気泡の混入が防止され、不本意な厚さのばらつきが抑制されたマイクロレンズ基板を提供することができる。
これにより、画像を表示した際における色ムラ等の不都合の発生が十分に防止された透過型スクリーンを提供することができる。
本発明の透過型スクリーンでは、光の出射側にフレネルレンズが設けられたフレネルレンズ部と、
前記フレネルレンズ部の光の出射側に配置された前記マイクロレンズ基板とを備えたことが好ましい。
これにより、画像を表示した際における色ムラ等の不都合の発生が十分に防止された透過型スクリーンを提供することができる。
本発明のリア型プロジェクタは、本発明の透過型スクリーンを備えたことを特徴とする。
これにより、画像を表示した際における色ムラ等の不都合の発生が十分に防止されたリア型プロジェクタを提供することができる。
なお、本発明において、「基板」とは、実質的に可撓性を有さない、比較的肉厚の大きいものから、シート状のものや、フィルム状のもの等の含む概念のことを指す。
まず、本発明のマイクロレンズ基板および透過型スクリーンの構成について説明する。
図1は、本発明のマイクロレンズ基板の好適な実施形態を示す模式的な縦断面図、図2は、図1に示すマイクロレンズ基板の平面図、図3は、図1に示すマイクロレンズ基板を備えた、本発明の透過型スクリーンの好適な実施形態を示す模式的な縦断面図である。なお、以下の説明では、図1、図3中の左側を「(光の)入射側」、右側を「(光の)出射側」と言う。また、本発明においては、特に断りのない限り、「(光の)入射側」、「(光の)出射側」とは、それぞれ、画像光(映像光)を得るための光の「入射側」、「出射側」のことを指し、外光等の「入射側」、「出射側」のことを指すものではない。
基板本体2は、通常、主として光透過性を有する材料で構成される。
基板本体2の構成材料としては、例えば、各種樹脂材料、各種ガラス材料等を用いることができるが、基板本体2の生産性や、後述するブラックマトリックス3との密着性等の観点から、樹脂材料が好ましい。
また、基板本体2の不本意な厚さのばらつきが抑制されているため、基板本体2が備えている各マイクロレンズ21の焦点距離を均一なものとすることができ、後述するような方法により、ブラックマトリックス3の開口部31の大きさのばらつきを防止することができ、画像を表示した際における色ムラ等の発生をより確実に防止することができる。
本実施形態において、マイクロレンズ21は、マイクロレンズ基板1を平面視した際の縦幅(鉛直方向の幅)が横幅(水平方向の幅)よりも小さい扁平形状(略楕円形、略俵形)を有している。マイクロレンズ21がこのような形状を有することにより、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止しつつ、視野角特性を特に優れたものとすることができる。特に、水平方向および鉛直方向の視野角特性をともに優れたものとすることができる。
また、これら複数個のマイクロレンズ21は、千鳥状(千鳥格子状)に配列している。このようにマイクロレンズ21が配列することにより、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止することができる。これに対し、例えば、マイクロレンズが正方格子状等に配列したものであると、マイクロレンズ21の大きさ等によっては、モアレ等の不都合の発生を十分に防止することが困難となる場合がある。また、マイクロレンズをランダムに配した場合、マイクロレンズ21の大きさ等によっては、マイクロレンズが設けられている有効領域におけるマイクロレンズの占有率を十分に高めるのが困難となり、マイクロレンズ基板の光の透過率(光の利用効率)を十分に高めるのが困難となり、得られる画像が暗いものとなる可能性がある。
なお、マイクロレンズ21の配列方式は、上記のようなものに限定されず、例えば、正方格子状の配列であっても、光学的にランダムな配列(マイクロレンズ基板1の主面側から平面視したときに、各マイクロレンズ21が互いにランダムな位置関係となるように配されたもの)であってもよい。
ブラックマトリックス3は、遮光性を有する材料で構成され、膜状に形成されたものである。このようなブラックマトリックス3を有することにより、当該ブラックマトリックス3に、外光(投影画像を形成する上で好ましくない外光)を吸収させることができ、スクリーンに投影される画像を、コントラストに優れたものとすることができる。
開口部31は、後に詳述するように(後に詳述するような方法により)、ブラックマトリックス3の開口部31以外の部位で外光の反射を効果的に防止しつつ、画像形成用の光がブラックマトリックス3により吸収、反射されるのを十分に防止するような大きさで設けられている。
図3に示すように、透過型スクリーン10は、フレネルレンズ部5と、前述したマイクロレンズ基板1とを備えている。フレネルレンズ部5は、光(画像光)の入射側に設置されており、フレネルレンズ部5を透過した光が、マイクロレンズ基板1に入射する構成になっている。
以上のように構成された透過型スクリーン10では、投射レンズからの映像光が、フレネルレンズ部5によって屈折し、平行光Laとなる。そして、この平行光Laは、マイクロレンズ基板1のマイクロレンズ21が設けられた面側から入射し、各マイクロレンズ21によって集光し、焦点を結んだ後に拡散する。開口部31を通過した光は、拡散し、観察者に平面画像として観測される。
図4は、マイクロレンズ基板の製造に用いる凹部付き部材(成形型)を示す模式的な縦断面図、図5は、図4に示す凹部付き部材の製造方法を示す模式的な縦断面図である。図6、図7は、図1に示すマイクロレンズ基板の製造方法の一例を示す模式的な縦断面図、図8、図9、図10は、基板本体に光を照射する際の光の入射方向(フォトポリマーを露光する際の光の照射方法)を説明するための図である。なお、以下の説明では、図5〜図7中の下側、図8〜図10中の上側を「(光の)入射側」、図5〜図7の上側、図8〜図10中の下側を「(光の)出射側」と言う。また、凹部付き部材の製造においては、実際には基板上に多数の凹部(マイクロレンズ用凹部)を形成し、マイクロレンズ基板(基板本体)の製造においては、実際には多数の凸部(凸レンズ)を形成するが、ここでは、説明をわかりやすくするために、その一部分を強調して示した。
凹部付き部材(成形型)6は、いかなる材料で構成されたものであってもよいが、たわみを生じ難く、傷つき難い材料で構成されたものであるのが好ましい。凹部付き部材6の構成材料としては、例えば、各種ガラス材料、各種樹脂材料等が挙げられる。ガラス材料としては、例えば、ソーダガラス、結晶性ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス等が挙げられ、また、樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド(例:ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6−12、ナイロン6−66)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等の各種樹脂材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。この中でも、凹部付き部材6の構成材料としては、ガラス材料が好ましく、ソーダガラス、結晶性ガラス(例えば、ネオセラム等)、無アルカリガラスがより好ましい。このような材料は、一般に、形状の安定性に優れている。このため、凹部付き部材6が有する凹部61の形状の安定性(信頼性)や、当該凹部61を用いて形成されるマイクロレンズ21の寸法精度等を特に優れたものとすることができ、マイクロレンズ基板としての光学特性を特に信頼性の高いものとすることができる。また、ガラス材料は、一般に、形状の安定性に優れているため、後に詳述するマイクロレンズ基板1の製造方法において、製造された基板本体2の取り扱い性が向上する。また、ソーダガラス、結晶性ガラス、無アルカリガラスは、加工が容易であるとともに、比較的安価であり、製造コストの面からも有利である。
より詳しく説明すると、本実施形態において、凹部61は、凹部付き部材6を平面視した際の縦幅(鉛直方向の幅)が横幅(水平方向の幅)よりも小さい扁平形状(略楕円形、略俵形)を有している。凹部61がこのような形状を有することにより、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止しつつ、視野角特性を特に優れたものとすることができるマイクロレンズ基板1の製造に好適に用いることができる。
また、これら複数個の凹部61は、千鳥状(千鳥格子状)に配列している。このように凹部61が配列することにより、製造されるマイクロレンズ基板1を用いた際に、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止することができる。これに対し、例えば、凹部が正方格子状等に配列したものであると、凹部(マイクロレンズ)の大きさ等によっては、モアレ等の不都合の発生を十分に防止することが困難となる。また、凹部をランダムに配した場合、凹部(マイクロレンズ)の大きさ等によっては、凹部が設けられている有効領域における凹部の占有率を十分に高めるのが困難となり、マイクロレンズ基板の光の透過率(光の利用効率)を十分に高めるのが困難となり、得られる画像が暗いものとなる可能性がある。
まず、凹部付き部材6を製造するに際し、基板7を用意する。
この基板7は、厚さが均一で、たわみや傷のないものが好適に用いられる。また、基板7は、洗浄等により、その表面が清浄化されているものが好ましい。
特に、本実施形態では、まず、図5(a)に示すように、用意した基板7の裏面に裏面保護膜89を形成するとともに、基板7の表面にマスク形成用膜81を形成し(マスク形成用膜形成工程)、その後、図5(b)に示すように、マスク形成用膜81に初期孔82を形成すること(初期孔形成工程)によりマスク8を得る。マスク形成用膜81および裏面保護膜89は同時に形成することもできる。
また、マスク形成用膜81(マスク8)は、例えば、実質的に均一な組成を有するものであってもよいし、異なる複数の層を有する積層体等であってもよい。
初期孔82の形成方法は、特に限定されないが、レーザ光の照射による方法であるのが好ましい。これにより、所望のパターンに配列した所望の形状の初期孔82を容易かつ精確に形成することができる。その結果、凹部61の形状、配列方式等をより確実に制御することができる。また、初期孔82をレーザの照射により形成することにより、凹部付き部材を生産性良く製造することができる。特に、大面積の基板にも簡単に凹部を形成することができる。また、レーザ光の照射でマスク形成用膜81に初期孔82を形成することで、従来のようなフォトリソグラフィ法によってレジスト膜に開口部を形成する場合に比べて、簡単かつ安価に開口部(初期孔82)を形成することができる。
エッチングの方法は、特に限定されず、例えば、ウェットエッチング、ドライエッチング等が挙げられる。以下の説明では、ウェットエッチングを用いる場合を例に挙げて説明する。
また、ウェットエッチング法を用いると、凹部61を好適に形成できる。そして、エッチング液として、例えば、一水素二フッ化アンモニウムを含むエッチング液を用いると、基板7をより選択的に食刻することができ、凹部61を好適に形成することができる。
また、ウェットエッチングによれば、ドライエッチングに比べて簡単な装置で処理を行うことができ、さらに、一度に多くの基板に対して処理を行うことができる。これにより生産性が向上し、安価に凹部付き部材6を提供することができる。
マスク8が、前述したような主としてクロムで構成される層と、主として酸化クロムで構成される層とを有する積層体である場合、マスク8の除去は、例えば、硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸とを含む混合物を用いたエッチングにより好適に行うことができる。
基板7上に千鳥状に配された複数個の凹部61を形成する方法は、特に限定されるものではないが、上述したような方法(レーザ光の照射によりマスク形成用膜81に初期孔82を形成してマスク8を得、その後、そのマスク8を用いてエッチングを行うことにより、基板7上に凹部61を形成する方法)により形成した場合、以下のような効果が得られる。
また、上述したような方法によれば、大型の基板に対する処理も容易に行うことができる。大型の基板(凹部付き部材、マイクロレンズ基板)を製造する場合に、従来のように複数の基板を貼り合わせる必要がなくなり、貼り合わせの継ぎ目をなくすことができる。これにより高品質で大型の基板(凹部付き部材、マイクロレンズ基板)を簡便な方法で安価に製造することができる。
また、初期孔82の形成をレーザの照射により行う場合、形成される初期孔82の形状、大きさ、配列等を、容易かつ確実に管理することができる。
<B1>まず、凹部付き部材6の凹部61が設けられた側の面に、流動性を有する状態の組成物23(例えば、軟化状態の樹脂材料、未重合(未硬化)の樹脂材料)を付与する(組成物付与工程。図6(a)参照)。
シート材24は、組成物23(固化後の組成物23)と同程度の屈折率を有する材料で構成されているのが好ましく、より具体的には、シート材24の構成材料の絶対屈折率と固化後の組成物23の絶対屈折率との差の絶対値が、0.20以下であるのが好ましく、0.10以下であるのがより好ましく、0.02以下であるのがさらに好ましい。シート材24は、いかなる材料で構成されたものであってもよいが、ポリエチレンテレフタレートやポリカーボネートで構成されたものであるのが好ましい。また、シート材24は、比較的厚いものを用いてもよいし、実質的に可撓性を有さないものを用いてもよい。
また、押圧工程は、減圧雰囲気下で行うものであってもよい。これにより、溝25をガス流路としてより効果的に機能させることができ、組成物23とシート材24との間のガスをより効率良く排除することができ、マイクロレンズ基板1の生産性を特に優れたものとすることができるとともに、製造されるマイクロレンズ基板1の信頼性を特に優れたものとすることができる。
スペーサーの形状は、特に限定されないが、略球状、略円柱状であるのが好ましい。スペーサーがこのような形状のものである場合、その直径は、10〜300μmであるのが好ましく、30〜200μmであるのがより好ましく、30〜170μmであるのがさらに好ましい。
組成物23の固化を硬化(重合)により行う場合、その方法としては、例えば、紫外線等の光の照射、電子線の照射、加熱等の方法が挙げられる。
上記のように、シート材24には溝24が設けられているため、溝を有さないシート材を用いた場合に比べて、組成物23の固化物とシート材24との接触面積は、大きくなる。このため、製造される基板本体2において、組成物23の固化物とシート材24との密着性は優れたものとなり、基板本体2の耐久性、信頼性は特に優れたものとなる。
また、必要に応じて組成物23および/またはシート材24の中には、光源からの入射光を拡散させるために、あらかじめ拡散材として例えばポリスチレンビーズ、ガラスビーズ、有機架橋ポリマーなどを混ぜても良い。ここで拡散材は組成物23および/またはシート材24全体に混入しても良いし、一部にのみ混入しても良い。
本工程で除去された凹部付き部材6は、マイクロレンズ基板1の製造に繰り返し使用することができる。これにより、製造されるマイクロレンズ基板1の品質の安定性を高めることができるとともに、製造コスト面でも有利となる。
本実施形態では、遮光膜の形成を、基板本体に遮光膜形成用材料を付与する工程(遮光膜形成用材料付与工程)と、当該遮光膜形成用材料に光を照射する処理を施し、開口部を形成する工程(開口部形成工程)とを経て行う。遮光膜形成用材料としては、開口部を形成しうるものであればいかなるものであってもよいが、感光性を有する成分を含むものであるのが好ましい。これにより、容易かつ確実に好適な形状の開口部を形成することができる。以下の説明では、主に、遮光膜形成用材料として、ポジ型のフォトポリマー32を用いるものとして説明する。
照射された光(露光用光)Lbはマイクロレンズ21に入射することにより屈折し、集光する。そして、集光されることにより、光度(光束)の大きくなった光が照射された部位のフォトポリマー32が露光され、それ以外の部分のフォトポリマー32は露光されないか、または露光量が少なくなり、光度(光束)の大きくなった光が照射された部位のフォトポリマー32のみが感光する。
また、開口部形成用の光(露光用光)Lbは一方向からだけではなく、基板本体2に対し複数の方向から入射させるのが好ましい。これにより、より広い領域に効率良く十分な光度(光束)の光を照射することができ、必要十分な大きさの開口部31をより効率良く形成することができる。
基板本体側を動かす具体的な方法としては、例えば、図9に模式的に示すように、少なくとも、互いに直交する4方向に、それぞれ角度θずつ基板本体2を傾ける方法が挙げられる。
このように、基板本体2を動かすことにより、例えば、得られるマイクロレンズ基板1を各方向(左右方向および上下方向)での視野角特性が特に優れたものとすることができる。
図10に示す例では、基板本体2の主面の法線と軸90の長手方向とのなす角が、所定の角度θを維持するように、基板本体2を、軸90上でこまのように回転させる構成になっている。言い換えると、図10に示す例では、軸90の延長線が基板本体2の表面(入射面)に接触する部位における基板本体の主面の法線が、軸90を中心とした円錐の周面を形成するように、基板本体が回転する。このような構成であることにより、例えば、光(露光用光)Lbの入射方向に対して、基板本体2の主面の法線が角度θだけ傾斜した状態を維持しつつ、光Lbの入射方向を経時的に変化させることができる。これにより、表示される画像のコントラスト、視野角特性のいずれもが、特に優れたマイクロレンズ基板1を生産性良く製造することができる。
なお、現像後、必要に応じて、例えば、ポストベーク処理等の熱処理を施してもよい。
また、上記のような遮光膜形成用材料の付与、光の照射(露光)等の一連の処理を、繰り返し行ってもよい。これにより、遮光膜(ブラックマトリックス)をより厚いものとして形成することができ、コントラストの更なる向上を図ることができる。
拡散部4は、例えば、予め、板状に成形された拡散板を接合したり、拡散材を含み、流動性を有する拡散部形成用材料を付与した後に、当該材料を固化させること等により形成することができる。
拡散部形成用材料の付与方法としては、例えば、ドクターブレード、スピンコート、刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、ロールコーター等の各種塗布法や、基板本体2を拡散部形成用材料中に浸漬するディッピング等の方法が挙げられる。
図11は、本発明のリア型プロジェクタの構成を模式的に示す図である。
同図に示すように、リア型プロジェクタ300は、投写光学ユニット310と、導光ミラー320と、透過型スクリーン10とが筐体340に配置された構成を有している。
そして、このリア型プロジェクタ300は、上記のような透過型スクリーン10を備えているので、色ムラ、輝度ムラが防止され、コントラストに優れた画像を得ることができる。
以上、本発明について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
また、マイクロレンズ基板の製造方法においては、任意の工程を追加してもよい。
また、マイクロレンズ基板の製造方法における各工程の順序は、前述したようなものに限定されず、必要に応じて、その順序を変更してもよい。
また、前述した実施形態では、板状の凹部付き部材(凹部付き基板)を用いて、基板本体を製造するものとして説明したが、基板本体は、例えば、ロール状の凹部付き部材を用いて製造してもよい。
また、前述した実施形態では、マイクロレンズ基板が、層状の拡散部を有するものとして説明したが、拡散部の形状はこれに限定されるものではない。例えば、拡散部は、ブラックマトリックスの開口部に対応する部位に凸状に設けられたものであってもよい。このような場合であっても、前述したような効果が得られる。また、このような拡散部を形成することにより、ブラックマトリックスの開口部以外の部位での外光の反射をより効果的に防止することができるため、得られる画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。
また、マイクロレンズ基板を構成する基板本体は、マイクロレンズが設けられた側の表面付近に、染色により形成された着色部を有するものであってもよい。
また、前述した実施形態では、マイクロレンズ基板は、透過型スクリーン、リア型プロジェクタを構成する部材であるものとして説明したが、本発明のマイクロレンズ基板の用途は、前記のようなものに限定されず、いかなるものであってもよい。例えば、本発明のマイクロレンズ基板は、拡散板、ブラックマトリックススクリーン、投射型表示装置(フロントプロジェクタ)のスクリーン(フロントプロジェクションスクリーン)、投射型表示装置(フロントプロジェクタ)の液晶ライトバルブの構成部材等に適用されるものであってもよい。
(実施例1)
以下のように、マイクロレンズ形成用の凹部を備えた凹部付き部材を製造した。
まず、基板として、横1.2m×縦0.7m角、厚さ4.8mmのソーダガラス基板を用意した。
その後、純水洗浄およびN2ガスを用いた乾燥(純水の除去)を行った。
次に、このソーダガラス基板上に、スパッタリング法にて、クロム/酸化クロムの積層体(クロムの外表面側に酸化クロムが積層された積層体)を形成した。すなわち、ソーダガラス基板の表面に、クロム/酸化クロムの積層体で構成されたマスク形成用膜および裏面保護膜を形成した。クロム層の厚さは0.03μm、酸化クロム層の厚さは0.01μmであった。
なお、レーザ加工は、エキシマレーザを用いて、エネルギー密度1.2J/cm2、加工点でのビーム直径2μm、走査速度0.1m/秒という条件で行った。
これにより、マスク形成用膜の上記範囲全面に亘って、略円形の初期孔が、千鳥状に配されたパターンで形成された。初期孔の直径は2μmであった。
なお、ウェットエッチングは、エッチング液として、4wt%の一水素二フッ化アンモニウムと、8wt%の過酸化水素とを含む水溶液を用い、浸漬時間は2.0時間とした。
次に、純水洗浄およびN2ガスを用いた乾燥(純水の除去)を行った。
その後、基板の凹部が形成されている面側に、ヘキサメチルジシラザンによる気相表面処理(シリル化処理)を行い、離型処理部を形成した。
これにより、ソーダガラス基板上に、マイクロレンズ形成用の多数の凹部が千鳥状に配列された凹部付き部材を得た。
次に、凹部付き部材上に付与された組成物の上に、ポリエチレンテレフタレート(PET)で構成されたシート材(厚さ:0.075mm)を載せた。シート材としては、組成物と対向する側の面に多数の溝が形成されたものを用いた。シート材が有する溝は、互いに平行であり、断面形状が半円形状、開口幅が30μm、深さが15μm、ピッチが60μmのものであった。また、シート材の溝が設けられた面における溝が占める投影面積の割合は、50%であった。また、シート材を構成するポリエチレンテレフタレートの屈折率(絶対屈折率n1)は、1.656であった。また、シート材は、溝の長手方向が凹部付き部材の凹部の短軸方向と平行となるように載置した。また、シート材は、溝が、形成されるマイクロレンズの集光部以外の部位に存在するものとなるように載置した。次に、シート材上に、ソーダガラスで構成された平板を載置し、加圧ローラーで、平板、シート材を介して、前記組成物を押圧した(押圧工程)。この際、加圧ローラーの回転方向が、シート材に設けられた溝の長手方向と平行となるようにした。また、この際、基板本体の製造装置内の圧力が、雰囲気圧が10Paとなるようにした。
次に、基板本体の出射側(マイクロレンズが形成されている面とは反対側の面)表面に、遮光性材料(カーボンブラック)が添加されたポジ型のフォトポリマー(PC405G:JSR株式会社製)を、ロールコーターにより付与した。フォトポリマー(遮光膜形成用材料)中における遮光性材料の含有量は、20wt%であった。
次に、基板本体のマイクロレンズが形成されている面側から、60mJ/cm2の平行光としての紫外線を照射した。このとき、図9に示すように、基板本体の4つの辺に対応する4方向について、基板本体の主面の法線方向が、基板本体への光の入射方向が所定角度(θ=7°)だけ傾斜するように、基板本体を動かしつつ、紫外線の照射を行った。
その後、0.5wt%のKOH水溶液を用いて、40秒の現像処理を施した。
その後、純水洗浄およびN2ガスを用いた乾燥(純水の除去)を行い、さらに、200℃×30分のポストベーク処理を施した。これにより、各マイクロレンズに対応した開口部を有するブラックマトリックスが形成された。開口部の直径は35μmであった。また、形成されたブラックマトリックスの厚さは5.0μmであった。
以上のようにして製造されたマイクロレンズ基板と、押出成形により作製したフレネルレンズ部とを組み立てることにより、図3に示すような透過型スクリーンを得た。
シート材が有する溝についての条件(形成方向、断面形状、開口幅、深さ、ピッチ、面積率)を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてマイクロレンズ基板、透過型スクリーンを製造した。
(実施例7)
押圧工程を、大気圧下で行った以外は、実施例1と同様にしてマイクロレンズ基板、透過型スクリーンを製造した。
基板本体を作製する際に、溝の形成されていないシート材を用いた以外は、実施例7と同様にしてマイクロレンズ基板、透過型スクリーンを製造した。
前記各実施例について、シート材が有する溝についての条件(形成方向、断面形状、開口幅、深さ、ピッチ、面積率)を表1にまとめて示す。なお、表1中、「形成方法」については、凹部の長軸方向に対する溝の長手方向の向きを示した。
前記各実施例および比較例の透過型スクリーンについて、透過率の評価を行った。
透過率の評価は、分光光度計(大塚電子株式会社製、瞬間マルチ測光システム「MCPD−1000(28C)」)を用い、マイクロレンズ基板のマイクロレンズ形成領域に対し、波長400nmの光の透過率を測定した。
◎:透過率が90%以上。
○:透過率が80%以上90%未満。
△:透過率が70%以上80%未満。
×:透過率が70%未満。
前記各実施例および比較例の透過型スクリーンを用いて、図11に示すようなリア型プロジェクタを、それぞれ作製した。
[色ムラ、輝度ムラの評価]
前記各実施例および比較例のリア型プロジェクタの透過型スクリーンにサンプル画像を表示させた。表示された画像について、色ムラ、輝度ムラの発生状況を以下の4段階の基準に従い評価した。
◎:色ムラ、輝度ムラが全く認められない。
○:色ムラ、輝度ムラがほとんど認められない。
△:色ムラ、輝度ムラがわずかに認められる。
×:色ムラ、輝度ムラが顕著に認められる。
前記各実施例および比較例のリア型プロジェクタについて、コントラストの評価を行った。
コントラスト(CNT)として、暗室において413lxの全白光が入射した時の白表示の正面輝度(白輝度)LW[cd/m2]と、明室において光源を全消灯した時の黒表示の正面輝度の増加量(黒輝度増加量)LB[cd/m2]との比LW/LBを求めた。なお、黒輝度増加量は、暗室の黒表示の輝度に対する増加量をいう。また、明室での測定は、外光照度が約185lxの環境下で行った。暗室での測定は、外光照度が0.1lx以下の環境下で行った。
前記各実施例および比較例のリア型プロジェクタの透過型スクリーンにサンプル画像を表示させた状態で、鉛直方向(上下方向)および水平方向(左右方向)での視野角の測定を行った。
視野角の測定は、変角光度計(ゴニオフォトメータ)で、1度間隔で測定するという条件で行った。
前記各実施例および比較例のリア型プロジェクタの透過型スクリーンにサンプル画像を表示させた。表示された画像について、回折光(モアレを含む)の発生状況を以下の4段階の基準に従い評価した。
◎:回折光が全く認められない。
○:回折光がほとんど認められない。
△:回折光がわずかに認められる。
×:回折光が顕著に認められる。
これらの結果を表2にまとめて示す。
Claims (10)
- 多数のマイクロレンズを有する基板本体を備えたマイクロレンズ基板を製造する方法であって、
製造すべき前記基板本体の前記マイクロレンズが設けられた面側の反転形状を有する成形型の面上に、流動性を有する組成物を付与する組成物付与工程と、
前記成形型上に付与された前記組成物上にシート材を載置した状態で、押圧することにより前記組成物と前記シート材とを密着させる押圧工程と、
前記組成物を固化させる固化工程とを有し、
前記シート材は、平面視した際に前記マイクロレンズが形成されるべき領域である有効領域であって、前記組成物と接触する側の面の前記マイクロレンズの集光部以外の部位に、互いに略平行に設けられた複数の溝が設けられたものであることを特徴とするマイクロレンズ基板の製造方法。 - 前記シート材の構成材料の絶対屈折率と、前記組成物の固化物の絶対屈折率との差の絶対値が、0.20以下である請求項1に記載のマイクロレンズ基板の製造方法。
- 前記溝の深さが、10〜200μmである請求項1または2に記載のマイクロレンズ基板の製造方法。
- 前記溝の幅が、10〜200μmである請求項1ないし3のいずれかに記載のマイクロレンズ基板の製造方法。
- 前記押圧工程は、減圧雰囲気下で行うものである請求項1ないし4のいずれかに記載のマイクロレンズ基板の製造方法。
- 隣接する前記溝間のピッチは、30〜40μmである請求項5に記載のマイクロレンズ基板の製造方法。
- 請求項1ないし6のいずれかに記載の方法により製造されたことを特徴とするマイクロレンズ基板。
- 請求項7に記載のマイクロレンズ基板を備えたことを特徴とする透過型スクリーン。
- 光の出射側にフレネルレンズが設けられたフレネルレンズ部と、
前記フレネルレンズ部の光の出射側に配置された前記マイクロレンズ基板とを備えた請求項8に記載の透過型スクリーン。 - 請求項8または9に記載の透過型スクリーンを備えたことを特徴とするリア型プロジェクタ。
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