JP2007047216A - レンズ基板の製造方法、レンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ - Google Patents

レンズ基板の製造方法、レンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ Download PDF

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Abstract

【課題】光の利用効率に優れるとともに、コントラストに優れた画像の表示に好適に用いることができるレンズ基板を製造すること、また、前記レンズ基板を備えた透過型スクリーン、および、リア型プロジェクタを提供すること。
【解決手段】レンズ基板10の製造方法は、多数個のレンズ部11を備えた基板本体のレンズ面とは反対の面側に、親油性の第1の材料で構成された第1の膜2を形成する第1の膜形成工程と、前記レンズ面側から光を入射し、前記第1の膜に開口部21を形成する開口部形成工程と、前記開口部に親水性材料を付与し、親水性部を形成する親水性部形成工程と、前記基板本体の前記レンズ面とは反対の面側に、有色で親油性の第2の材料を付与し、前記第1の膜上に第2の膜3を形成する第2の膜形成工程と、前記親水性部を除去する親水性部除去工程とを有している。
【選択図】図1

Description

本発明は、レンズ基板の製造方法、レンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタに関するものである。
近年、リア型プロジェクタは、ホームシアター用モニター、大画面テレビ等に好適なディスプレイとして、需要が高まりつつある。
リア型プロジェクタに用いられる透過型スクリーンには、レンチキュラレンズ等のレンズ部を備えたレンズ基板(レンズシート)が一般的に用いられている。
リア型プロジェクタに用いられる透過型スクリーンにおいては、表示画像のコントラストを向上させる目的で、レンズ基板のレンズ部による集光部以外の部位に、遮光部を設けることがある。
このような遮光部の形成方法としては、例えば、レンチキュラレンズシートのレンチキュラレンズ(レンズ部)を有しない面に、銀塩乳剤層を形成し、その後、レンチキュラレンズによる集光を利用して、銀塩乳剤層のレンチキュラレンズの集光部に相当する部分を露光し、露光後、銀塩乳剤層を現像処理する方法がある(例えば、特許文献1参照)。このような処理を施すことにより、銀塩乳剤層のうち集光部に対応する部位が光透過性部分であり、銀塩乳剤層のその他の部位が遮光性部分(遮光部)である遮光性層(遮光層)が形成される。しかしながら、このような方法では、最終的なレンズシートにおいても、レンズ部が穂埋められた面とは反対の面側の全面に感光性材料で構成された層(感光性材料層)が存在している。すなわち、遮光性層の光透過性部分にも銀塩乳剤が残っている。このような材料が光の透過部に存在していると、経時的に光透過性部分の材料が変色(着色)し、投影される画像の輝度(明るさ)が低下したり、画像に不本意な着色がされてしまう等の問題があった。
また、感光性材料を用いることなく遮光層を形成する方法、例えば、レンズ基板のレンズが設けられた面とは反対の面側の全面に、遮光性の材料(露光等により着色されるものではなく、元々有色である材料)で構成された膜を形成し、レンズにより収束した光により、前記膜のうちレンズの集光部に対応する部位を物理的に除去する方法も考えられる。しかしながら、このような方法では、膜を物理的に除去する必要があるため、特許文献1に記載された方法等に比べ、光透過性部分(開口部)を形成するのに、比較的大きなエネルギが必要となる。
また、レンズにより収束した光(レンズの実質的な焦点での光を含む)は、一般に、所定の大きさを有するスポットとなるが、このスポットの各部位における光の強度は、一定ではなく、スポットの中心部から周縁部に向かってその強度が低下するような強度分布を有している。したがって、レンズにより収束した光を用いて開口部を形成した場合、前記スポットの周縁部付近の光を開口部の形成に利用することができない。このため、最終的なレンズ基板において、レンズ基板に入射した光のうち一部(前記スポットの周縁部に相当する部位の成分)は、画像形成用に利用することができない。すなわち、上記のようにして形成した遮光層を有するレンズ基板では、光の利用効率が低いものになってしまう。このように、光の利用効率が低いと画像の輝度(明るさ)を高めるのが困難であり、また、画像のコントラストを向上させる上でも不利である。
一方、上記スポットの周縁部の光も開口部の形成に利用しようとした場合、開口部を形成する際の入射光の強度を特に強いものとしなければならない。このような場合、前記スポットの中心付近でのエネルギ強度が高くなり過ぎ、レンズ基板の材料の劣化等を引き起こす可能性がある。
また、膜に対して確実に開口部を形成するために、前記膜の厚さを十分に薄くすることも考えられるが、このような場合、十分な遮光性が得られず、投影される画像のコントラストを十分に優れたものとすることができない。
特開2002−258410号公報
本発明の目的は、光の利用効率に優れるとともに、コントラストに優れた画像の表示に好適に用いることができるレンズ基板を製造すること、また、前記レンズ基板を備えた透過型スクリーン、および、リア型プロジェクタを提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のレンズ基板の製造方法は、多数個のレンズ部を備えた基板本体の前記レンズ部のレンズ面とは反対の面側に、親油性の第1の材料で構成された第1の膜を形成する第1の膜形成工程と、
前記基板本体の前記レンズ面側から光を入射し、前記第1の膜に開口部を形成する開口部形成工程と、
前記基板本体の前記第1の膜が設けられた面側に親水性材料を付与し、前記開口部内に親水性部を形成する親水性部形成工程と、
前記基板本体の前記レンズ面とは反対の面側に、有色で親油性の第2の材料を付与し、前記第1の膜上に第2の膜を形成する第2の膜形成工程とを有することを特徴とする。
これにより、光の利用効率に優れるとともに、コントラストに優れた画像の表示に好適に用いることができるレンズ基板を製造することができる。
本発明のレンズ基板の製造方法では、前記第2の膜形成工程の後に、前記親水性部を除去する親水性部除去工程を有することが好ましい。
これにより、レンズ基板の光の透過性を特に優れたものとすることができ、光の利用効率を特に優れたものとすることができる。
本発明のレンズ基板の製造方法では、前記基板本体は、主としてスチレン−メチルメタクリレート共重合体で構成されたものであることが好ましい。
これにより、基板本体の光の透明性を特に優れたものとすることができ、光の利用効率を特に優れたものとすることができるとともに、基板本体と第1の膜との密着性を特に優れたものとすることができ、レンズ基板の耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。また、親水性部を構成する親水性材料との親和性を最適なものとすることができ、好適な形状の第2の膜を、より確実に形成することができる。
本発明のレンズ基板の製造方法では、前記第1の膜の厚さは、1〜10μmであることが好ましい。
これにより、第1の膜の密着性を十分に優れたものとするとともに、開口部形成工程において、好適な形状の開口部をより確実に形成することができる。
本発明のレンズ基板の製造方法では、前記第2の膜の厚さは、0.1〜1μmであることが好ましい。
これにより、画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。そして、本発明によれば、このような比較的厚い遮光膜(遮光性を有する膜)を容易かつ確実に形成することができる。
本発明のレンズ基板の製造方法では、前記開口部の幅は、3〜10μmであることが好ましい。
これにより、好適な形状の親水性部をより確実に形成することができ、その結果、より好適な形状の第2の膜をより確実に形成することができる。また、形成される画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。
本発明のレンズ基板の製造方法では、前記レンズ部の表面付近に着色部を形成する工程を有することが好ましい。
これにより、第2の膜を備えることによる効果と、着色部を備えることによる効果とが相乗的に作用し合い、形成される画像(投影画像)のコントラストを特に優れたものとすることができる。
本発明のレンズ基板の製造方法では、前記レンズ部は、マイクロレンズであることが好ましい。
これにより、視野角特性を特に優れたものとする(上下方向および左右方向の視野角特性をいずれも特に優れたものとする)ことができる。
本発明のレンズ基板は、本発明の方法を用いて製造されたことを特徴とする。
これにより、光の利用効率に優れるとともに、コントラストに優れた画像の表示に好適に用いることができるレンズ基板を提供することができる。
本発明のレンズ基板では、レンズ部として凸レンズを有し、当該凸レンズの頂部付近に所定濃度で着色された着色部としての第1の領域を有し、前記凸レンズのレンズ面側の前記第1の領域以外の部位に前記第1の領域よりも着色濃度の低い第2の領域を有することが好ましい。
これにより、よりコントラストに優れた画像を表示することができる。また、視野角特性が特に優れたものとなる。
本発明の透過型スクリーンは、本発明のレンズ基板を備えたことを特徴とする。
これにより、光の利用効率に優れるとともに、コントラストに優れた画像を好適に表示することができる透過型スクリーンを提供することができる。
本発明のリア型プロジェクタは、本発明の透過型スクリーンを備えたことを特徴とする。
これにより、光の利用効率に優れるとともに、コントラストに優れた画像を好適に表示することができるリア型プロジェクタを提供することができる。
以下、本発明について、添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
なお、本発明において、「基板」とは、実質的に可撓性を有さない、比較的肉厚の大きいものから、シート状のものや、フィルム状のもの等の含む概念のことを指す。
本発明のレンズ基板の用途は、特に限定されないが、本実施形態では、レンズ基板を、主に、透過型スクリーン、リア型プロジェクタを構成する部材として用いるものとして説明する。
また、本発明において、レンズ基板は、多数個のレンズ部(レンズ)を有するものであればよく、例えば、マイクロレンズを備えたマイクロレンズ基板、レンチキュラレンズを備えたレンチキュラレンズ基板、マイクロレンズとレンチキュラレンズとを備えたレンズ基板等が挙げられるが、以下の説明では、多数個のマイクロレンズを備えたマイクロレンズ基板について代表的に説明する。
<第1実施形態>
以下、本発明のレンズ基板の製造方法、レンズ基板、透過型スクリーンの第1実施形態について説明する。
[マイクロレンズ基板(レンズ基板)]
まず、本実施形態のレンズ基板(マイクロレンズ基板)について説明する。
図1は、本発明のレンズ基板(マイクロレンズ基板)の第1実施形態を示す模式的な縦断面図、図2は、図1に示すレンズ基板の平面図である。なお、以下の説明では、図1中の左側を「(光の)入射側」、右側を「(光の)出射側」と言う。また、本発明においては、特に断りのない限り、「(光の)入射側」、「(光の)出射側」とは、それぞれ、画像光(映像光)を得るための光の「入射側」、「出射側」のことを指し、外光等の「入射側」、「出射側」のことを指すものではない。
マイクロレンズ基板(レンズ基板)1は、複数個のマイクロレンズ(レンズ部)11を備えた基板本体1と、基板本体1のマイクロレンズ11のレンズ面とは反対側の表面に設けられた第1の膜2と、第1の膜2の表面に設けられた第2の膜3とを有している。
マイクロレンズ11は、マイクロレンズ基板10に入射した光を集光する(収束させる)機能を有するものである。このようなマイクロレンズ11を有することにより、例えば、マイクロレンズ基板10に入射した光を、一旦収束させ、その後、拡散させてマイクロレンズ基板10から出射させることができ、視野角特性に優れた画像を形成することができる。
また、本実施形態において、マイクロレンズ11は、マイクロレンズ基板10(基板本体1)を平面視した際の縦幅(鉛直方向の幅)が横幅(水平方向の幅)よりも小さい扁平形状(略楕円形、略俵形)を有している。マイクロレンズ11がこのような形状を有することにより、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止しつつ、視野角特性を特に優れたものとすることができる。特に、水平方向および鉛直方向の視野角特性をともに優れたものとすることができる。また、投影される画像の輝度をより高いものとすることができる。
平面視したときのマイクロレンズ11の短軸方向(縦方向)の長さをX[μm]、長軸方向(横方向)の長さをY[μm]としたとき、0.10≦X/Y≦0.99の関係を満足するのが好ましく、0.50≦X/Y≦0.95の関係を満足するのがより好ましく、0.75≦X/Y≦0.90の関係を満足するのがさらに好ましい。上記のような関係を満足することにより、上述したような効果がさらに顕著なものとなる。
平面視したときのマイクロレンズ11の短軸方向の長さ(マイクロレンズ11の幅)は、10〜100μmであるのが好ましく、30〜95μmであるのがより好ましく、50〜75μmであるのがさらに好ましく、54〜72μmであるのがもっとも好ましい。マイクロレンズ11の短軸方向の長さ(マイクロレンズ11の幅)が前記範囲内の値であると、マイクロレンズ基板10の視野角特性、投影される画像のコントラスト、輝度を特に優れたものとしつつ、投影される画像において十分な解像度を得ることができる。また、マイクロレンズ11の短軸方向の長さ(マイクロレンズ11の幅)が前記範囲内の値であると、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止することができるとともに、マイクロレンズ基板10の生産性をさらに高めることができる。
また、平面視したときのマイクロレンズ11の長軸方向の長さは、15〜100μmであるのが好ましく、45〜95μmであるのがより好ましく、60〜75μmであるのがさらに好ましい。マイクロレンズ11の長軸方向の長さが前記範囲内の値であると、マイクロレンズ基板10の視野角特性、投影される画像のコントラスト、輝度を特に優れたものとしつつ、投影される画像において十分な解像度を得ることができる。また、マイクロレンズ11の長軸方向の長さが前記範囲内の値であると、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止することができるとともに、マイクロレンズ基板10の生産性をさらに高めることができる。
また、マイクロレンズ11の曲率半径は、7.5〜375μmであるのが好ましく、22.5〜225μmであるのがより好ましく、35〜75μmであるのがさらに好ましい。マイクロレンズ11の曲率半径が前記範囲内の値であると、視野角特性を特に優れたものとすることができる。特に、水平方向および鉛直方向の視野角特性をともに優れたものとすることができる。なお、マイクロレンズ11は、短軸方向についての曲率半径と、長軸方向の曲率半径が異なるものであってもよいが、このような場合、短軸方向の曲率半径が上記の範囲内の値であるのが好ましい。
また、マイクロレンズ11の高さ(凸部としてのマイクロレンズ11の高さ)は、7.5〜375μmであるのが好ましく、22.5〜225μmであるのがより好ましく、35〜75μmであるのがさらに好ましい。マイクロレンズ11の高さが前記範囲内の値であると、視野角特性を、特に優れたものとすることができる。
また、これら複数個のマイクロレンズ11は、千鳥状(千鳥格子状)に配列している。このようにマイクロレンズ11が配列することにより、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止することができる。これに対し、例えば、マイクロレンズが正方格子状等に配列したものであると、マイクロレンズ11の大きさ等によっては、モアレ等の不都合の発生を十分に防止することが困難となる場合がある。また、マイクロレンズをランダムに配した場合、マイクロレンズ11の大きさ等によっては、マイクロレンズが形成されている有効領域におけるマイクロレンズの占有率を十分に高めるのが困難となり、マイクロレンズ基板の光の透過率(光の利用効率)を十分に高めるのが困難となり、得られる画像が暗いものとなる可能性がある。
上記のように、本実施形態において、マイクロレンズ11は、マイクロレンズ基板10を平面視したときに、千鳥格子状に配列しているが、複数のマイクロレンズ11で構成される第1の行15と、それに隣接する第2の行16とが、縦方向に半ピッチ分だけずれているのが好ましい。これにより、光の干渉によるモアレの発生等をより効果的に防止するとともに、かつ、視野角特性を特に優れたものとすることができる。
また、マイクロレンズ基板10を光の入射面側(図2で示した方向)から平面視したときの、マイクロレンズ11が形成されている有効領域において、マイクロレンズ11の占有率は、90%以上であるのが好ましく、96%以上であるのがより好ましく、97%以上であるのがさらに好ましい。マイクロレンズ11の占有率が90%以上であると、光利用効率をさらに向上させることができ、投影させる画像の輝度、コントラストを特に優れたものとすることができる。なお、マイクロレンズ11の占有率は、平面視したときのマイクロレンズ11の中心113と、当該マイクロレンズ11に隣接する、マイクロレンズ11が形成されていない部位の中心部とを結ぶ線分において、マイクロレンズ11が形成されている部位の長さL[μm]と、前記線分の長さL[μm]との比率(L/L×100[%])として求めることができる(図2参照)。
上記のように、マイクロレンズの形状や配列方式等を厳密に規定することにより、光の干渉によるモアレの発生を効果的に防止しつつ、視野角特性等を特に優れたものとすることができる。
基板本体1は、通常、主として透明性を有する材料で構成される。
基板本体1の構成材料は、特に限定されないが、通常、基板本体1は、主として樹脂材料やガラス材料(いずれも、通常、光の屈折率が空気よりも大きい)で構成され、所定の屈折率を有する透明な材料で構成されている。
基板本体1の具体的な構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド(例:ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6−12、ナイロン6−66)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、スチレン−メチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等の各種樹脂材料や、ソーダガラス、結晶性ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス等が挙げられる。中でも、透明性、加工性等の観点から、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アクリル系樹脂、スチレン−メチルメタクリレート共重合体が好ましく、特にスチレン−メチルメタクリレート共重合体がより好ましい。スチレン−メチルメタクリレート共重合体は、優れた透明性を有し、かつ、耐熱性、耐光性、加工性、成形した際の寸法精度、形状の安定性、機械的強度等にも優れ、また、最適な屈折率を有している。また、基板本体1が主としてスチレン−メチルメタクリレート共重合体で構成されたものであると、基板本体1の光の透明性を特に優れたものとすることができ、光の利用効率を特に優れたものとすることができるとともに、基板本体1と第1の膜2との密着性を特に優れたものとすることができ、マイクロレンズ基板10の耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。また、基板本体1が主としてスチレン−メチルメタクリレート共重合体で構成されたものであると、後述する製造方法において、基板本体1と親水性部4を構成する親水性材料との親和性を最適なものとすることができ、好適な形状の第2の膜3を、より確実に形成することができる。
基板本体1を構成する材料(固化した状態の材料)は、一般に、各種気体(マイクロレンズ基板10が用いられる雰囲気)より大きな絶対屈折率を有するものであるが、絶対屈折率の具体的な値は、1.45以上であるのが好ましく、1.46〜1.75であるのがより好ましく、1.47〜1.70であるのがさらに好ましく、1.48〜1.60であるのがもっとも好ましい。基板本体1の構成材料の絶対屈折率が前記範囲内の値であると、光(入射光)の利用効率を特に優れたものとしつつ、視野角特性を特に優れたものとすることができる。
基板本体1のマイクロレンズ11が設けられた面とは反対側の面、すなわち、基板本体1の光の出射面側には、第1の膜2が設けられている。第1の膜2には、基板本体1を透過した光(マイクロレンズ11により収束した光)の光路上に、開口部21が設けられている。
第1の膜2は、親油性の材料で構成されたものである。本発明において、親油性の材料とは、水に対する親和性よりも、水に対する溶解度が小さい液体(例えば、25℃における水100gに対する溶解度が10g以下の液体)に対する親和性の方が高い材料のことを指すが、具体的には、当該材料で構成した表面が平滑な膜(例えば、表面粗さRaが10μm以下の膜)に対する水の接触角が30°以上となるものであるのが好ましく、40°以上となるものであるのがさらに好ましい。このような材料で構成された第1の膜2は、基板本体1との密着性に優れている。また、第1の膜2は、基板本体1の構成材料よりも親油性の高い材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、後述するような製造方法において、第1の膜を好適に形成することができるとともに、親水性部4も好適に形成することができる。
第1の膜2の構成材料としては、例えば、東京応化工業株式会社製OFPR800-LB、PMER P-LA900PM、PMER P-CA1000PM等の非水系ポジ型レジスト等が挙げられ、中でも、第1の膜2の構成材料としては、OFPR800-LBが好ましい。第1の膜2が主としてOFPR800-LBで構成されたものであると、第1の膜2の基板本体1や第2の膜3に対する密着性を特に優れたものとすることができ、最終的なマイクロレンズ基板10の耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。また、第1の膜2が主としてOFPR800-LBで構成されたものであると、後述するマイクロレンズ基板(レンズ基板)10の製造方法において、第1の膜2と親水性材料(親水性部)との親和性を特に低いものとすることができ、親水性部が第1の膜2上に形成されるのをより効果的に防止することができ、好適な形状の親水性部をより確実に形成することができる。その結果、第2の膜3をより好適に形成することができる。
第1の膜2の厚さ(平均厚さ)は、特に限定されないが、0.1〜100μmであるのが好ましく、0.5〜50μmであるのがより好ましく、1〜10μmであるのがさらに好ましい。第1の膜2の厚さが前記範囲内の値であると、第1の膜2の基板本体1や第2の膜3に対する密着性を特に優れたものとすることができる。また、後述するようなマイクロレンズ基板10の製造方法の開口部形成工程において、好適な形状の開口部21をより確実に形成することができる。
第1の膜2の表面、すなわち、第1の膜2の基板本体と対向する面とは反対側の面には、第2の膜3が設けられている。第2の膜3には、基板本体1を透過した光(マイクロレンズ11により収束した光)の光路上に、開口部31が設けられている。
第2の膜(ブラックマトリックス)3は、有色で遮光性を有する材料で構成されたものであり、外光の反射を防止する遮光膜として機能するものである。このような第2の膜を有することにより、投影される画像のコントラストも向上を図ることができる。
また、第2の膜3は、親油性の材料で構成されたものである。一方、前述したように、第1の膜2も親油性の材料で構成されたものである。したがって、このような材料で構成された第2の膜3は、第1の膜2との密着性に優れており、マイクロレンズ基板10全体としては、基板本体1、第1の膜2、第2の膜3の密着性に優れている。これにより、マイクロレンズ基板10は、耐久性、信頼性に優れたものとなる。また、第2の膜3が親油性の材料で構成されたもの(第1の膜2との親和性が高く、後述する親水性部4との親和性の低い材料で構成されたもの)であるため、後述するような方法により第2の膜3を形成した際に、図示のように、第2の膜3をテーパ状の開口部31を有するものとして好適に形成することができる。これにより、画像形成用の光が第2の膜3により吸収されるのを効果的に防止しつつ、外光の反射による投影画像のコントラストの低下をより効果的に防止することができる。その結果、投影される画像のコントラストは特に優れたものとなる。
第2の膜3は、全体として有色のものであれば良く、例えば、有色の成分(例えば、各種顔料、各種染料、クロム等の金属材料、酸化クロム等の金属酸化物等)と、実質的に無色(透明)の成分とを含むものであってもよい。
第2の膜3の構成材料(主成分)としては、例えば、グラビアインク、フレキソインク、スクリーンインク、オフセットインク、凸版インク等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、第2の膜3の構成材料としては、凸版インクが好ましい。第2の膜3が主として凸版インクで構成されたものであると、第2の膜3の第1の膜2に対する密着性を特に優れたものとすることができ、最終的なマイクロレンズ基板10の耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。また、第2の膜3が主として凸版インクで構成されたものであると、後述するマイクロレンズ基板(レンズ基板)10の製造方法において、第2の膜3と親水性材料(親水性部)との親和性を特に低いものとすることができ、第2の膜3をより好適な形状のものとして形成することができる。
第2の膜3の厚さ(平均厚さ)は、特に限定されないが、0.05〜2μmであるのが好ましく、0.08〜1.5μmであるのがより好ましく、0.1〜1μmであるのがさらに好ましい。第2の膜3の厚さが前記範囲内の値であると、第2の膜3と第1の膜2との密着性を十分に優れたものとしつつ、第2の膜3が遮光膜としての機能をより効果的に発揮することができ、画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。
マイクロレンズ基板10の光の利用効率(マイクロレンズ基板10の入射面側から入射する光の光量に対する、出射面側から出射する光の光量の割合)は、60%以上であるのが好ましく、70%以上であるのがより好ましく、80〜95%であるのがさらに好ましい。これにより、特に高い輝度の画像を投射することができ、得られる画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。
上記のようなマイクロレンズ基板10は、以下に述べるような方法により、好適に製造することができる。
[マイクロレンズ基板の製造方法]
本実施形態の製造方法では、マイクロレンズ11に対応する形状の凹部を有する凹部付き基板(マイクロレンズ形成用凹部付き基板)6を用いて、基板本体1を製造する工程(基板本体製造工程)と、当該基板本体1のマイクロレンズ11のレンズ面とは反対の面側に、親油性の第1の材料で構成された第1の膜2を形成する第1の膜形成工程と、基板本体1のレンズ面側(マイクロレンズ11が設けられた面側)から光を入射し、第1の膜2に開口部21を形成する開口部形成工程と、基板本体1の第1の膜2が設けられた面側に親水性材料を付与し、開口部21内に親水性部4を形成する親水性部形成工程と、基板本体1のレンズ面とは反対の面側に、有色で親油性の第2の材料を付与し、第1の膜2上に第2の膜3を形成する第2の膜形成工程と、親水性部4を除去する親水性部除去工程とを有する。
まず、本実施形態の製造方法において用いる凹部付き基板(マイクロレンズ形成用凹部付き基板)6、および、その製造方法について説明する。
図3は、マイクロレンズ基板の製造に用いる凹部付き基板を示す模式的な縦断面図、図4は、図3に示す凹部付き基板の製造方法を示す模式的な縦断面図である。なお、凹部付き基板の製造においては、実際には基板上に多数の凹部(マイクロレンズ形成用凹部)を形成し、マイクロレンズ基板の製造においては、実際には基板上に多数のマイクロレンズ(凸レンズ)を形成するが、ここでは、説明をわかりやすくするために、その一部分を強調して示した。
凹部付き基板(マイクロレンズ形成用凹部付き基板)6は、いかなる材料で構成されたものであってもよいが、たわみを生じ難く、傷つき難い材料で構成されたものであるのが好ましい。凹部付き基板6の構成材料としては、例えば、ソーダガラス、結晶性ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス等が挙げられる。中でも、凹部付き基板6の構成材料としては、ソーダガラス、結晶性ガラス(例えば、ネオセラム等)、無アルカリガラスが好ましい。ソーダガラス、結晶性ガラス、無アルカリガラスは、加工が容易であるとともに、比較的安価であり、製造コストの面からも有利である。
凹部付き基板(マイクロレンズ形成用凹部付き基板)6は、マイクロレンズ11の配列方式に対応する方式(転写された位置関係)で配列した、複数個の凹部(マイクロレンズ形成用凹部)61を備えている。そして、これらの凹部61は、マイクロレンズ11が凸部であるのに対し凹部である以外は、マイクロレンズ11に対応する形状(転写された形状である以外は実質的に同一の形状)、寸法を有している。
より詳しく説明すると、本実施形態において、凹部(マイクロレンズ形成用凹部)61は、凹部付き基板6を平面視した際の縦幅(鉛直方向の幅)が横幅(水平方向の幅)よりも小さい扁平形状(略楕円形、略俵形)を有している。凹部61がこのような形状を有することにより、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止しつつ、視野角特性を特に優れたものとすることができるマイクロレンズ基板10の製造に好適に用いることができる。
また、平面視したときの凹部61の短軸方向(縦方向)の長さをX[μm]、長軸方向(横方向)の長さをY[μm]としたとき、0.10≦X/Y≦0.99の関係を満足するのが好ましく、0.50≦X/Y≦0.95の関係を満足するのがより好ましく、0.75≦X/Y≦0.90の関係を満足するのがさらに好ましい。上記のような関係を満足することにより、上述したような効果がさらに顕著なものとなる。
また、平面視したときの凹部61の短軸方向の長さ(凹部61の幅)は、10〜100μmであるのが好ましく、30〜95μmであるのがより好ましく、50〜75μmであるのがさらに好ましく、54〜72μmであるのがもっとも好ましい。凹部61の短軸方向の長さが前記範囲内の値であると、製造されるマイクロレンズ基板10の視野角特性、およびマイクロレンズ基板10により投影される画像のコントラスト、輝度を特に優れたものとしつつ、投影される画像において十分な解像度を得ることができる。また、凹部61の短軸方向の長さが前記範囲内の値であると、製造されるマイクロレンズ基板10を用いた際に、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止することができるとともに、マイクロレンズ基板10(凹部付き基板6)の生産性をさらに高めることができる。
また、平面視したときの凹部61の長軸方向の長さは、15〜100μmであるのが好ましく、45〜95μmであるのがより好ましく、60〜75μmであるのがさらに好ましい。凹部61の長軸方向の長さが前記範囲内の値であると、製造されるマイクロレンズ基板10の視野角特性、およびマイクロレンズ基板10により投影される画像のコントラスト、輝度を特に優れたものとしつつ、投影される画像において十分な解像度を得ることができる。また、凹部61の長軸方向の長さが前記範囲内の値であると、製造されるマイクロレンズ基板10を用いた際に、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止することができるとともに、マイクロレンズ基板10(凹部付き基板6)の生産性をさらに高めることができる。
また、凹部61の曲率半径は、7.5〜375μmであるのが好ましく、22.5〜225μmであるのがより好ましく、35〜75μmであるのがさらに好ましい。凹部61の曲率半径が前記範囲内の値であると、製造されるマイクロレンズ基板10の視野角特性を特に優れたものとすることができる。特に、水平方向および鉛直方向の視野角特性をともに優れたものとすることができる。なお、凹部61は、短軸方向についての曲率半径と、長軸方向の曲率半径が異なるものであってもよいが、このような場合、短軸方向の曲率半径が上記の範囲内の値であるのが好ましい。
また、凹部61の深さは、7.5〜375μmであるのが好ましく、22.5〜225μmであるのがより好ましく、35〜75μmであるのがさらに好ましい。凹部61の深さが前記範囲内の値であると、製造されるマイクロレンズ基板10の視野角特性を、特に優れたものとすることができる。
また、これら複数個の凹部61は、千鳥格子状に配列している。このように凹部61が配列することにより、製造されるマイクロレンズ基板10を用いた際に、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止することができる。これに対し、例えば、凹部が正方格子状等に配列したものであると、凹部(マイクロレンズ)の大きさ等によっては、モアレ等の不都合の発生を十分に防止することが困難となる。また、凹部をランダムに配した場合、凹部(マイクロレンズ)の大きさ等によっては、凹部が形成されている有効領域における凹部の占有率を十分に高めるのが困難となり、マイクロレンズ基板の光の透過率(光の利用効率)を十分に高めるのが困難となり、得られる画像が暗いものとなる可能性がある。
また、上記のように、凹部61は、凹部付き基板6を平面視したときに、千鳥格子状に配列しているが、複数の凹部61で構成される第1の行と、それに隣接する第2の行とが、縦方向に半ピッチ分だけずれているのが好ましい。これにより、製造されるマイクロレンズ基板10を用いた際に、光の干渉によるモアレの発生等をより効果的に防止することができるとともに、かつ、視野角特性を特に優れたものとすることができる。
なお、上記の説明では、凹部61が、凹と凸の関係である以外は、マイクロレンズ11と、実質的に同一の形状(寸法)、配列方式を有しているものとして説明したが、例えば、基板本体1の構成材料が収縮し易いものである場合(基板本体1を構成する組成物が固化等により収縮する場合)、その収縮率等を考慮し、マイクロレンズ11と凹部61とについて、これらの間で、形状(寸法)、占有率等が異なるようにしてもよい。
次に、凹部付き基板の製造方法について、図4を参照しながら説明する。なお、実際には基板上に多数のマイクロレンズ形成用凹部を形成するが、ここでは、説明をわかりやすくするために、その一部分を強調して示した。
まず、凹部付き基板6を製造するに際し、基板7を用意する。
この基板7は、厚さが均一で、たわみや傷のないものが好適に用いられる。また、基板7は、洗浄等により、その表面が清浄化されているものが好ましい。
<A1>用意した基板7の表面に、多数個の初期孔(開口部)81を有するマスク8を形成するとともに、基板7の裏面(マスク8が形成される面と反対側の面)に裏面保護膜89を形成する(マスキング工程、図4(a)、図4(b)参照)。
特に、本実施形態では、まず、図4(a)に示すように、用意した基板7の裏面に裏面保護膜89を形成するとともに、基板7の表面にマスク形成用膜5を形成し(マスク形成用膜形成工程)、その後、図4(b)に示すように、マスク形成用膜5に初期孔81を形成すること(初期孔形成工程)によりマスク8を得る。マスク形成用膜5および裏面保護膜89は同時に形成することもできる。
マスク形成用膜5は、レーザ光の照射等により、後述する初期孔81を形成することができるとともに、後述するエッチング工程におけるエッチングに対する耐性を有するものが好ましい。換言すれば、マスク形成用膜5(マスク8)は、エッチングレートが、基板7と略等しいか、または、基板7に比べて小さくなるように構成されるのが好ましい。
かかる観点からは、マスク形成用膜5(マスク8)を構成する材料としては、例えばCr、Au、Ni、Ti、Pt等の金属やこれらから選択される2種以上を含む合金、前記金属の酸化物(金属酸化物)、シリコン、樹脂等が挙げられる。
また、マスク形成用膜5(マスク8)は、例えば、実質的に均一な組成を有するものであってもよいし、異なる複数の層を有する積層体等であってもよい。
上記のように、マスク形成用膜5(マスク8)の構成は、特に限定されるものではないが、主としてクロムで構成される層と、主として酸化クロムで構成される層とを有する積層体であるのが好ましい。このような構成のマスク形成用膜5は、後述するようなレーザ光の照射等により、所望の形状の開口部を容易かつ確実に形成することができるものであり、また、このような構成のマスク形成用膜5を用いて得られるマスク8は、様々な組成のエッチング液に対して優れた安定性を有している(後述するエッチング工程において基板7をより確実に保護することができる)。また、マスク形成用膜5(マスク8)のが上記のような構成のものであると、例えば、後述するエッチング工程において、エッチング液として一水素二フッ化アンモニウムを含む液体を好適に用いることができる。一水素二フッ化アンモニウムは毒劇物ではないため、作業中の人体や環境への影響をより確実に防止することができる。また、上記のような構成のマスク形成用膜5(マスク8)は、マスクの内部応力を効率良く緩和することができ、基板7との密着性(特に、エッチング工程における密着性)に特に優れている。このようなことから、上記のような構成のマスク形成用膜5(マスク8)を用いることにより、所望の形状の凹部61を容易かつ確実に形成することができる。
マスク形成用膜5の形成方法は特に限定されないが、マスク形成用膜5(マスク8)をクロム(Cr)、金(Au)等の金属材料(合金を含む)や金属酸化物(例えば酸化クロム)で構成されたものとする場合、マスク形成用膜5は、例えば、蒸着法やスパッタリング法等により、好適に形成することができる。また、マスク形成用膜5(マスク8)をシリコンで構成されたものとする場合、マスク形成用膜5は、例えば、スパッタリング法やCVD法等により、好適に形成することができる。
マスク形成用膜5(マスク8)の厚さは、マスク形成用膜5(マスク8)を構成する材料によっても異なるが、0.01〜2.0μm程度が好ましく、0.03〜0.2μm程度がより好ましい。厚さが前記下限値未満であると、マスク形成用膜5の構成材料等によっては、後述する初期孔形成工程(開口部形成工程)において形成される初期孔81の形状が歪んでしまう可能性がある。また、後述するエッチング工程でウェットエッチングを施す際に、基板7のマスクした部分を十分に保護できない可能性がある。一方、上限値を超えると、マスク形成用膜5の構成材料等によっては、後述する初期孔形成工程において、貫通する初期孔81を形成するのが困難になるほか、マスク形成用膜5(マスク8)の内部応力によりマスク形成用膜5(マスク8)が剥がれ易くなる場合がある。
裏面保護膜89は、次工程以降で基板7の裏面を保護するためのものである。この裏面保護膜89により、基板7の裏面の侵食、劣化等が好適に防止される。この裏面保護膜89は、例えば、マスク形成用膜5(マスク8)と同様の構成を有している。このため、裏面保護膜89は、マスク形成用膜5の形成と同時に、マスク形成用膜5と同様に設けることができる。
次に、図4(b)に示すように、マスク形成用膜5に、複数個の初期孔(開口部)81を形成し、マスク8を得る(初期孔形成工程)。本工程で形成される初期孔81は、後述するエッチングの際のマスク開口として機能するものである。
初期孔81の形成方法は、特に限定されないが、レーザ光の照射による方法であるのが好ましい。これにより、所望のパターンに配列した所望の形状の初期孔81を容易かつ精確に形成することができる。その結果、凹部61の形状、配列方式等をより確実に制御することができる。また、初期孔81をレーザの照射により形成することにより、凹部付き基板を生産性良く製造することができる。特に、大面積の基板にも簡単に凹部を形成することができる。また、レーザ光の照射により初期孔81を形成する場合、その照射条件を制御することにより、後述するような初期凹部71を形成することなく初期孔81のみを形成したり、初期孔81とともに、形状、大きさ、深さのばらつきの小さい初期凹部71を、容易かつ確実に形成することができる。また、レーザ光の照射でマスク形成用膜5に初期孔81を形成することで、従来のようなフォトリソグラフィ法によってレジスト膜に開口部を形成する場合に比べて、簡単かつ安価に開口部(初期孔81)を形成することができる。
また、レーザ光の照射により初期孔81を形成する場合、使用するレーザ光の種類は、特に限定されないが、ルビーレーザ、半導体レーザ、YAGレーザ、フェムト秒レーザ、ガラスレーザ、YVOレーザ、Ne−Heレーザ、Arレーザ、COレーザ、エキシマレーザ等が挙げられる。また、各レーザのSHG、THG、FHG等の波長を使っても良い。
マスク形成用膜5に初期孔81を形成するとき、図4(b)に示すように、マスク形成用膜5だけでなく基板7の表面の一部も同時に除去し、初期凹部71を形成してもよい。これにより、後述するエッチング工程でエッチングを施す際に、エッチング液との接触面積が大きくなり、侵食を好適に開始することができる。また、この初期凹部71の深さの調整により、凹部61の深さ(レンズの最大厚さ)を調整することもできる。初期凹部71の深さは、特に限定されないが、5μm以下とするのが好ましく、0.1〜0.5μm程度とするのがより好ましい。なお、初期孔81の形成をレーザの照射により行う場合、初期孔81とともに形成される複数個の初期凹部71について、深さのばらつきをより確実に小さくすることができる。これにより、凹部付き基板6を構成する各凹部61の深さのばらつきも小さくなり、最終的に得られるマイクロレンズ基板10の各マイクロレンズ11の大きさ、形状のばらつきも小さくなる。その結果、各マイクロレンズ11の直径、焦点距離、レンズ厚さのばらつきを特に小さくさせることができる。
本工程で形成する初期孔81は、その形状、大きさは特に限定されないが、略円形で、その直径が、0.8〜20μmであるのが好ましく、1.0〜10μmであるのがより好ましく、1.5〜4μmであるのがさらに好ましい。初期孔81の直径が前記範囲内の値であると、後述するエッチング工程において、前述したような形状の凹部61を確実に形成することができる。ただし、初期孔81が、略楕円形のように扁平形状のものである場合、短軸方向の長さを、直径の値として代用することができる。すなわち、本工程で形成する初期孔81が扁平形状のものである場合、初期孔81の幅(短軸方向の長さ)は、特に限定されないが、0.8〜20μmであるのが好ましく、1.0〜10μmであるのがより好ましく、1.5〜4μmであるのがさらに好ましい。初期孔81の幅が前記範囲内の値であると、後述するエッチング工程において、前述したような形状の凹部61を確実に形成することができる。
また、本工程で形成する初期孔81が扁平形状のものである場合、初期孔81の長さ(長軸方向の長さ)は、0.9〜30μmであるのが好ましく、1.5〜15μmであるのがより好ましく、2.0〜6μmであるのがさらに好ましい。初期孔81の長さが前記範囲内の値であると、後述するエッチング工程において、前述したような形状の凹部61をより確実に形成することができる。
また、マスク形成用膜5に対してレーザ光の照射で初期孔81を形成するだけでなく、例えば、基板7にマスク形成用膜5を形成する際に、予め基板7上に所定パターンで異物を配しておき、その上にマスク形成用膜5を形成することでマスク形成用膜5に積極的に欠陥を形成し、当該欠陥を初期孔81としてもよい。
<A2>次に、図4(c)に示すように、初期孔81が形成されたマスク8を用いて基板7にエッチングを施し、基板7上に多数の凹部61を形成する(エッチング工程)。
エッチングの方法は、特に限定されず、例えば、ウェットエッチング、ドライエッチング等が挙げられる。以下の説明では、ウェットエッチングを用いる場合を例に挙げて説明する。
初期孔81が形成されたマスク8で被覆された基板7に対して、エッチング(ウェットエッチング)を施すことにより、図4(c)に示すように、基板7は、マスク8が存在しない部分より食刻され、基板7上に多数の凹部61が形成される。上述したように、マスク8に形成された初期孔81が千鳥状(千鳥格子状)の配置であるため、形成される凹部61は、基板7の表面に千鳥状(千鳥格子状)に配置されたものとなる。
また、本実施形態では、前記工程<A1>でマスク形成用膜5に初期孔81を形成した際(マスク8を形成した際)に、基板7の表面に初期凹部71を形成している。これにより、エッチングの際、エッチング液との接触面積が大きくなり、侵食を好適に開始することができる。
また、ウェットエッチング法を用いると、凹部61を好適に形成できる。そして、エッチング液として、例えば、一水素二フッ化アンモニウムを含むエッチング液を用いると、基板7をより選択的に食刻することができ、凹部61を好適に形成することができる。
マスク8(マスク形成用膜5)が主としてクロムで構成されたものである場合、フッ酸系エッチング液としては、一水素二フッ化アンモニウムを含む液体が特に好適である。一水素二フッ化アンモニウム溶液は毒劇物ではないため、作業中の人体や環境への影響を防止することができる。また、エッチング液として、一水素二フッ化アンモニウムを用いる場合、該エッチング液中には、例えば、過酸化水素が含まれていてもよい。これにより、エッチングスピートをより速くすることができる。
また、ウェットエッチングによれば、ドライエッチングに比べて簡単な装置で処理を行うことができ、さらに、一度に多くの基板に対して処理を行うことができる。これにより生産性が向上し、安価に凹部付き基板6を提供することができる。
<A3>次に、図4(d)に示すように、マスク8を除去する(マスク除去工程)。また、この際、マスク8の除去とともに、裏面保護膜89も除去することにより、凹部付き基板6が得られる。
マスク8が、前述したような主としてクロムで構成される層と、主として酸化クロムで構成される層とを有する積層体である場合、マスク8の除去は、例えば、硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸とを含む混合物を用いたエッチングにより行うことができる。
また、例えば、凹部付き基板6の凹部61が設けられている面側に、離型処理を施してもよい。これにより、後に詳述するマイクロレンズ基板10の製造方法において、基板本体1が有するマイクロレンズ11にカケ等の欠陥が生じるのを十分に防止しつつ、凹部付き基板6を容易に取り外すことができ、結果として、最終的なマイクロレンズ基板10において、マイクロレンズ11の欠陥を防止することができる。離型処理としては、アルキルポリシロキサン等のシリコーン系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂等の離型性を有する物質で構成される被膜の形成、ヘキサメチルジシラザン([(CHSi]NH)等のシリル化剤による表面処理、フッ素系ガスによる表面処理等が挙げられる。
以上により、図4(d)および図3に示すように、基板7上に多数の凹部61が千鳥状に形成された凹部付き基板6が得られる。
基板7上に千鳥状に配された複数個の凹部61を形成する方法は、特に限定されないが、上述したような方法(レーザ光の照射によりマスク形成用膜5に初期孔81を形成してマスク8を得、その後、そのマスク8を用いてエッチングを行うことにより、基板7上に凹部61を形成する方法)により形成した場合、以下のような効果が得られる。
すなわち、レーザ光の照射によりマスク形成用膜5に初期孔81を形成することで、従来のようなフォトリソグラフィ法によって開口部を形成する場合に比べて簡単かつ安価に、所定パターンで開口部(初期孔81)を有するマスクを得ることができる。これにより生産性が向上し、安価に凹部付き基板6を提供することができる。
また、上述したような方法によれば、大型の基板に対する処理も容易に行うことができる。大型の基板を製造する場合に、従来のように複数の基板を貼り合わせる必要がなくなり、貼り合わせの継ぎ目をなくすことができる。これにより高品質で大型の凹部付き基板(マイクロレンズ基板)を簡便な方法で安価に製造することができる。
また、初期孔81の形成をレーザの照射により行う場合、形成される初期孔81の形状、大きさ、配列等を、容易かつ確実に管理することができる。
次に、上述した凹部付き基板6を用いて、マイクロレンズ基板10を製造する方法について説明する。
図5、図6、図7は、図1に示すマイクロレンズ基板の製造方法の一例を示す模式的な縦断面図である。なお、以下の説明では、図5、図6、図7中の下側を「(光の)入射側」、上側を「(光の)出射側」と言う。
<B1>まず、図5(a)に示すように、凹部付き基板6の凹部61が形成された側の面に、流動性を有する状態の組成物18(例えば、軟化状態の樹脂材料、未重合(未硬化)の樹脂材料)を付与し、組成物18を平板50で押圧する。特に、本実施形態では、凹部付き基板6と、平板50との間に、スペーサー19を配した状態で、組成物18を押圧する。これにより、形成される基板本体1の厚さをより確実に制御することができ、最終的に得られるマイクロレンズ基板10での、マイクロレンズ11の焦点の位置をより確実に制御することができ、色ムラ等の不都合の発生をより効果的に防止することができる。
スペーサー19は、組成物18(固化後の組成物18)と同程度の屈折率を有する材料で構成されている。このような材料で構成されたスペーサー19を用いることにより、凹部付き基板6の凹部61が形成された部位にスペーサー19が配された場合であっても、スペーサー19が得られるマイクロレンズ基板10の光学特性に悪影響を及ぼすのを効果的に防止することができる。これにより、凹部付き基板6の主面(凹部が形成された面側)の有効領域のほぼ全体にわたって、比較的多くのスペーサー19を配することが可能となり、結果として、凹部付き基板6、平板50のたわみ等による影響を効果的に排除し、得られるマイクロレンズ基板10の厚さをより確実に制御することができる。
上述したように、スペーサー19は、組成物18(固化後の組成物18)と同程度の屈折率を有する材料で構成されているが、より具体的には、スペーサー19の構成材料の絶対屈折率と固化後の組成物18の絶対屈折率との差の絶対値が、0.20以下であるのが好ましく、0.10以下であるのがより好ましく、0.02以下であるのがさらに好ましく、固化後の組成物18とスペーサー19とが同一の材料で構成されたものであるのが最も好ましい。
スペーサー19の形状は、特に限定されないが、略球状、略円柱状であるのが好ましい。スペーサー19がこのような形状のものである場合、その直径は、10〜300μmであるのが好ましく、30〜200μmであるのがより好ましく、30〜170μmであるのがさらに好ましい。
なお、上記のようにスペーサー19を用いる場合、組成物18を固化する際に、凹部付き基板6と平板50との間にスペーサー19が配されていればよく、スペーサー19を供給するタイミングは特に限定されない。例えば、凹部付き基板6の凹部61が形成された側の面に、付与する樹脂として予めスペーサー19が分散された組成物18を用いてもよいし、凹部付き基板6上にスペーサー19を配した状態で組成物18を付与してもよいし、組成物18の供給後にスペーサー19を付与してもよい。
また、平板50は、組成物18を押圧する側の面に、前述したような離型処理が施されたものであってもよい。これにより、後述する工程において、平板50を効率良く基板本体1の表面から取り除くことができる。
<B2>次に、組成物18を固化(ただし、硬化(重合)を含む)させ、マイクロレンズ11を備えた基板本体1を得る(図5(b)参照)。
組成物18の固化を硬化(重合)により行う場合、その方法としては、例えば、紫外線等の光の照射、電子線の照射、加熱等の方法が挙げられる。
<B3>次に、基板本体1から、平板50および凹部付き基板6を取り除く(図5(c)参照)。
<B4>次に、図6(d)に示すように、基板本体1のマイクロレンズ11のレンズ面とは反対の面側に、親油性の第1の材料で構成された第1の膜2を形成する(第1の膜形成工程)。
第1の材料は、通常、第1の膜2の構成材料および/またはその前駆体(例えば、第1の膜2の構成材料に対応するモノマー、ダイマー、トリマー、オリゴマー、プレポリマー等)を含むものである。また、第1の材料は、溶媒、分散媒等の液状媒体を含むものであってもよい。これにより、第1の材料の流動性が向上し、比較的薄く均一な厚さの第1の膜2を、容易かつ確実に形成することができる。液状媒体としては、例えば、一般に溶媒(溶剤)として用いられるものを用いることができる。このような材料としては、例えば、二硫化炭素、四塩化炭素等の無機溶媒や、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、2−ヘプタノン等のケトン系溶媒、ペンタノール、n−ヘキサノール、1−オクタノール、2−オクタノール等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル、アニソール等のエーテル系溶媒、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン、オクタン、イソプレン等の脂肪族炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒、フラン、チオフェン等の芳香族複素環化合物系溶媒、クロロホルム等のハロゲン化合物系溶媒、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、アクリル酸エチル等のエステル系溶媒、アクリロニトリル等のニトリル系溶媒、ニトロメタン、ニトロエタン等のニトロ系溶媒等の有機溶媒等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。このような液状媒体は、後述する開口部形成工程に先立ち、除去されるものであってもよい。
第1の膜2は、第1の材料を付与することにより形成することができる。なお、第1の材料の付与後、必要に応じて加熱処理、冷却処理、減圧処理等の処理を施してもよい。第1の膜2の形成方法(第1の材料の付与方法)としては、例えば、ディップコート、ドクターブレード、スピンコート、刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、ロールコーター等の各種塗布法、蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等の気相成膜法、電解めっき、無電解めっき等の湿式めっき法等を適用することができる。また、第1の膜2は、基板本体1の表面付近の一部を変質すること等により形成してもよい。
本工程で形成される第1の膜2の厚さ(平均厚さ)は、前述したように、0.1〜100μmであるのが好ましく、0.5〜50μmであるのがより好ましく、1〜10μmであるのがさらに好ましい。このように、本工程で形成される第1の膜2の厚さは、比較的小さいものである。
<B5>次に、図6(e)に示すように、基板本体1のレンズ面側(マイクロレンズ11が設けられた面側)からレーザ光を入射し、第1の膜2に開口部21を形成する(開口部形成工程)。
基板本体1に、入射側表面に対して垂直方向のレーザ光Lbを照射すると、照射されたレーザ光Lbはマイクロレンズ11に入射することにより屈折し、集光する。そして、集光されることにより高エネルギになったレーザ光が照射された部位の第1の膜2が除去され、基板本体1の入射面側(マイクロレンズ11のレンズ面側)から入射した光の光路上に、開口部21が形成される。
前述したように、第1の膜2は比較的薄いものである。したがって、マイクロレンズ11により収束した光の強度が比較的弱いもの(特に、収束した光のスポットの周縁部付近での強度が弱いもの)であっても、確実に第1の膜2に開口部を形成することができる。したがって、最終的なマイクロレンズ基板10の第1の膜2が設けられた断面においては、実質的に、開口部21以外の部位に画像形成用の光(入射光)が入射しないような大きさの開口部21を形成することができる。また、本工程で形成される開口部21は、光を照射し、(比較的膜厚の小さい)第1の膜2の一部を除去することにより形成するものであるため、必要以上に大きくなることが好適に防止されている。したがって、後の工程で形成する第2の膜(ブラックマトリックス)3の開口部が必要以上に大きくなることが防止され、その結果、マイクロレンズ基板10を用いて形成される画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。
また、前述したように、第1の膜2は、通常、比較的薄いものであるため、本工程で照射する光(レーザ光)の照射強度が比較的弱いものであっても、確実に所望の部位に所望の大きさの開口部を形成することができる。したがって、本発明によれば、簡易な装置で好適にレンズ基板を製造することができる。また、照射強度が比較的弱い光であっても好適に利用することができるため、製造工程における基板本体の構成材料の劣化等を効果的に防止することができる。その結果、最終的に得られるレンズ基板の耐久性、信頼性は、特に優れたものとなる。
開口部21の形成に用いる光は、いかなるものであってもよいが、本実施形態では、レーザ光を用いている。レーザ光は、一般に、周波数、位相が揃った光であるため、第1の膜2、基板本体1の構成材料等に応じて、レーザ光の種類を選択することにより、容易に、基板本体1や第1の膜2の残存させるべき部位に対する悪影響の発生を、より確実に防止することができる。
本工程で用いるレーザ光の種類は、特に限定されないが、例えば、ルビーレーザ、半導体レーザ、YAGレーザ、フェムト秒レーザ、ガラスレーザ、YVOレーザ、Ne−Heレーザ、Arレーザ、COレーザ、エキシマレーザ等が挙げられる。また、各レーザのSHG、THG、FHG等の波長を使っても良い。
基板本体1に入射させるレーザ光Lbのエネルギ密度は、特に限定されないが、1〜500J/cmであるのが好ましく、2〜300J/cmであるのがより好ましく、3〜45J/cmであるのがさらに好ましい。これにより、基板本体1や第1の膜2の残存させるべき部位に対する悪影響の発生をより確実に防止しつつ、好適に開口部21を形成することができる。
本工程で形成される開口部21の幅は、1〜50μmであるのが好ましく、2〜30μmであるのがより好ましく、3〜10μmであるのがさらに好ましい。開口部21の幅が前記範囲内の値であると、後の工程において、好適な形状の親水性部4をより確実に形成することができ、その結果、より好適な形状の第2の膜3をより確実に形成することができる。また、マイクロレンズ基板10を用いて形成される画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。
<B6>次に、基板本体1の第1の膜2が設けられた面側に親水性材料を付与する。
親水性材料は、親水性を有するものである。本発明において、親水性材料とは、水に対する溶解度が小さい液体(例えば、25℃における水100gに対する溶解度が10g以下の液体)に対する親和性よりも、水に対する親和性の方が高い材料のことを指すが、具体的には、当該材料で構成した表面が平滑な膜(例えば、表面粗さRaが10μm以下の膜)に対する水の接触角が30°以下となるものであるのが好ましく、20°以下となるものであるのがさらに好ましい。
このような親水性材料を基板本体1の第1の膜2が設けられた面側に付与することにより、親水性材料は、第1の膜2で被覆されていない基板本体1の表面、すなわち、第1の膜2の開口部21内に侵入し、親水性部2を形成する(図6(f)参照)。
親水性材料は、第1の膜2の開口部21付近に選択的に付与するものであってもよいし、基板本体1の第1の膜2で被覆された面側のほぼ全体に付与するものであってもよい。このような場合であっても、第1の膜2と親水性材料との親和性が低いものであるため、親水性材料は、第1の膜2との接触を避けるように(基板本体1に接触するように)、開口部21内に集まり、親水性部4は、開口部21内に選択的に形成される。
親水性材料の付与方法(親水性部4の形成方法)としては、例えば、ディップコート、ドクターブレード、スピンコート、刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、ロールコーター等の各種塗布法、蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等の気相成膜法、電解めっき、無電解めっき等の湿式めっき法等を適用することができる。
親水性材料としては、例えば、水性インク、ゲルインク、顔料インク等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、第1の膜2の構成材料としては、水性インクが好ましい。このような材料は、第1の膜2の構成材料、第2の材料との親和性が特に低いものであるため、本工程において、容易かつ確実により好適な形状の親水性部4を形成することができるとともに、後述する第2の膜形成工程において、容易かつ確実により好適な形状の第2の膜3を形成することができる。また、このような材料は、基板本体1の構成材料(特に、スチレン−メチルメタクリレート共重合体)に対して適度な親和性を有しているため、開口部21内に、好適な形状の親水性部4をより確実に形成することができる。
親水性部4の厚さ(高さ)は、特に限定されないが、1〜100μmであるのが好ましく、2〜50μmであるのがより好ましく、3〜10μmであるのがさらに好ましい。親水性部4の厚さ(高さ)が前記範囲内の値であると、後の第2の膜形成工程において、好適な形状の第2の膜2をより確実に形成することができる。
<B7>次に、第1の膜2の表面に、有色で親油性の第2の材料を付与する。
第2の材料は、親油性を有するものであるため、(親水性を有する材料で構成された親水性部4上ではなく、)親油性を有する材料で構成された第1の膜2の表面に密着し、第1の膜2の表面(開口部21を除く部分の表面)に、選択的に第2の膜3が形成される(図7(g)参照)。
このように、本発明のレンズ基板の製造方法は、第2の材料の、第1の膜の構成材料に対する親和性と、親水性部の構成材料に対する親和性との違いを利用して、遮光性を有する第2の膜(遮光膜)を形成する点に特徴を有する。これにより、最終的に得られるレンズ基板を用いた際に、遮光膜による外光の反射等を効果的に防止しつつ、画像形成用の光を効率良く光の出射側に透過させることができる(遮光膜により画像形成用の光が吸収されるのを効果的に防止することができる)。その結果、高輝度で高コントラストの画像を投影することができる。
特に、本発明では、第1の膜を比較的薄いものとして形成した場合であっても、比較的厚みの大きい第2の膜(遮光膜)を好適に形成することができる。したがって、画像形成用の光の透過率を十分に高いものとしつつ、第2の膜による外光の吸収の効率を特に優れたものとすることができる。その結果、特に優れたコントラストの画像を投影することができる。
第2の材料は、通常、第2の膜3の構成材料および/またはその前駆体(例えば、第2の膜3の構成材料に対応するモノマー、ダイマー、トリマー、オリゴマー、プレポリマー等)を含むものである。また、第2の材料は、溶媒、分散媒等の液状媒体を含むものであってもよい。これにより、第2の材料の流動性を好適に調節することができ、均一な厚さの第2の膜3を、容易かつ確実に形成することができる。液状媒体としては、例えば、第1の材料の構成材料として説明した液状媒体を用いることができる。このような液状媒体は、後述する親水性部除去工程に先立ち、除去されるものであってもよい。
第2の膜3は、第2の材料を付与することにより形成することができる。なお、第2の材料の付与後、必要に応じて加熱処理、冷却処理、減圧処理等の処理を施してもよい。第2の膜3の形成方法(第2の材料の付与方法)としては、例えば、ディップコート、ドクターブレード、スピンコート、刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、ロールコーター等の各種塗布法、蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等の気相成膜法、電解めっき、無電解めっき等の湿式めっき法等を適用することができる。
本工程で形成される第2の膜3の厚さ(平均厚さ)は、前述したように、1〜100μmであるのが好ましく、2〜50μmであるのがより好ましく、3〜10μmであるのがさらに好ましい。このように、本発明によれば、比較的厚みの大きい第2の膜(遮光膜)であっても容易かつ確実に形成することができる。
<B8>次に、図7(h)に示すように、親水性部4を除去する(親水性部除去工程)。これにより、マイクロレンズ基板10が得られる。このように、親水性部4を除去することにより、マイクロレンズ基板10の光の透過性を特に優れたものとすることができ、光の利用効率を特に優れたものとすることができる。
親水性部4の除去は、例えば、水性の液体(例えば、水、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、アセトン等のケトン系溶媒等)による洗浄や、加熱処理等により行うことができる。
[透過型スクリーン]
次に、上述したようなマイクロレンズ基板10を備えた透過型スクリーン100について説明する。
図8は、図1に示すマイクロレンズ基板を備えた、本発明の透過型スクリーンの好適な実施形態(第1実施形態)を示す模式的な縦断面図である。なお、以下の説明では、図8中の左側を「(光の)入射側」、右側を「(光の)出射側」と言う。
図8に示すように、透過型スクリーン100は、フレネルレンズ基板30と、前述したマイクロレンズ基板10とを備えている。フレネルレンズ基板30は、光(画像光)の入射側に設置されており、フレネルレンズ基板30を透過した光が、マイクロレンズ基板10に入射する構成になっている。
フレネルレンズ基板30は、出射側表面に、ほぼ同心円状に形成されたプリズム形状のフレネルレンズ301を有している。このフレネルレンズ基板30は、投射レンズ(図示せず)からの画像光を屈折させ、マイクロレンズ基板10の主面の垂直方向に平行な平行光Laにするものである。
以上のように構成された透過型スクリーン100では、投射レンズからの映像光が、フレネルレンズ基板30によって屈折し、平行光Laとなる。そして、この平行光Laは、マイクロレンズ基板10のマイクロレンズ11が設けられた面側からに入射し、各マイクロレンズ11によって集光し、その後拡散する。このとき、マイクロレンズ基板10に入射した光は、十分な透過率でマイクロレンズ基板10を透過し、観察者に平面画像として観測される。
<第2実施形態>
次に、本発明のレンズ基板の製造方法、レンズ基板、透過型スクリーンの第2実施形態について説明する。以下の説明では、前述した第1の実施形態との違いを中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
[マイクロレンズ基板(レンズ基板)、透過型スクリーン]
まず、本実施形態のレンズ基板(マイクロレンズ基板)について説明する。
図9は、本発明のレンズ基板(マイクロレンズ基板)の第2実施形態を示す模式的な縦断面図、図10は、図9に示すマイクロレンズ基板を備えた、本発明の透過型スクリーンの好適な実施形態(第2実施形態)を示す模式的な縦断面図である。なお、以下の説明では、図9、図10中の左側を「(光の)入射側」、右側を「(光の)出射側」と言う。
図9に示すように、本実施形態のマイクロレンズ基板10は、マイクロレンズ11の表面付近に、所定濃度で着色された第1の領域111と、当該第1の領域111よりも着色濃度の低い第2の領域112とを有している。そして、第1の領域111は、マイクロレンズ(凸レンズ)11の頂部付近に設けられている。
このように、本実施形態において、マイクロレンズ基板10は、凸レンズとしてのマイクロレンズ11の頂部付近に第1の領域111を有し、かつ、マイクロレンズ11の表面付近の第1の領域111以外の部位に第1の領域111よりも着色濃度の低い第2の領域112を有している。このような構成を有することにより、視野角特性に優れるとともに、高コントラストで高輝度の画像を表示することができること、特に、前述したような第2の膜3を有するとともに、第1の領域111、第2の領域112を有することにより、これらが相乗的に作用し合い、特に優れた効果が得られることを、本発明者は見出した。上記のような優れた効果が得られるのは、以下のような理由によるものであると考えられる。
すなわち、凸レンズとしてのマイクロレンズ11の頂部付近に、所定濃度で着色された第1の領域111を有することにより、光の入射側(図9、図10中左側)から入射した光の透過率を十分に高いものとしつつ、光の出射側(図9、図10中右側)等から入射した外光が、マイクロレンズ基板10において反射するのを効果的に防止することができる。特に、所定濃度で着色された第1の領域111をマイクロレンズ11の頂部付近に有しており、マイクロレンズ11の表面付近の第1の領域111以外の部位に、第1の領域111よりも着色濃度の低い第2の領域112を有しているため、第2の領域112に対応する部位(マイクロレンズ11の周縁部付近の領域)から入射した光は特に高い透過率でマイクロレンズ基板10を透過させることができ、マイクロレンズ基板10全体としての光の透過率を特に優れたものとすることができる一方で、第1の領域111に対応する部位(マイクロレンズ11の頂部付近の領域)から入射した光は、十分な透過率で透過することはできるものの、第1の領域111において適度に吸収される。その結果、マイクロレンズ基板10から出射する光は、より均一性の高い強度分布を有するものとなる。すなわち、マイクロレンズ基板10は、視野角特性に優れたものとなる。
また、光の出射側からレンズ基板に外光(不本意な外光)が入射した場合、一般に、凸レンズの頂部付近に対応する部位で反射した成分(光)が、画像のコントラストの低下に大きな影響を与え易いのに対し、凸レンズの周縁部付近に入射した成分(光)は、画像のコントラストの低下に与える影響は小さい。すなわち、凸レンズの頂部付近に対応する部位に入射した外光は、外光が入射してきた側の方向に反射され易いのに対し、凸レンズの周縁部付近に入射した外光は、外光が入射してきた側とは異なる方向に反射され易く観察者が観察する画像に対して悪影響を与え難い。また、凸レンズの周縁部付近に入射した外光は、外光が入射してきた側とは異なる方向に反射され易いため、凸レンズの頂部付近に入射した光に比べて、再び凸レンズのレンズ面に向かって屈折する確率が高い。このような反射・屈折を繰り返すことにより、外光の強度が減衰する。そして、本実施形態では、頂部付近に所定の濃度で着色された第1の領域111を有しているため、反射した光が凸レンズとしてのマイクロレンズ11の第1の領域111に入射した場合、光の強度の減衰の度合いは特に大きなものとなる。
上記のようなことから、本実施形態においては、投影画像の形成に利用すべき光(入射光)の透過率を十分に高いものとしつつ、外光の反射による画像のコントラストの低下をより効果的に防止することができ、高輝度で、コントラストが特に高く、高輝度の画像を得ることができるとともに、視野角特性にも優れたものとなる。
特に、本実施形態においては、レンズ基板は、レンズ部(凸レンズ)としてマイクロレンズを備えたマイクロレンズ基板10である。したがって、本実施形態では、レンズ部としてマイクロレンズを有することによる効果と、第1の領域および第2の領域を有することによる効果とが相乗的に作用し合い、特に優れた効果(例えば、特に優れた視野角特性)が得られる。
第1の領域111は、マイクロレンズ11の頂部付近に設けられたものであれば、いかなるものであってもよいが、以下のような条件を満足するものであるのが好ましい。
マイクロレンズ基板10を平面視したときの第1の領域111の幅は、5〜50μmであるのが好ましく、8〜45μmであるのがより好ましく、10〜30μmであるのがさらに好ましい。第1の領域111の幅が前記範囲内の値であると、投影される画像の輝度を十分に優れた(高い)ものとしつつ、マイクロレンズ基板10の視野角特性、および、投影される画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。
また、マイクロレンズ基板10を平面視したときのマイクロレンズ11の幅をW[μm]、マイクロレンズ基板10を平面視したときの第1の領域111の幅をW[μm]としたとき、0.1≦W/W≦0.9の関係を満足するのが好ましく、0.15≦W/W≦0.75の関係を満足するのがより好ましく、0.2≦W/W≦0.5の関係を満足するのがさらに好ましい。このような関係を満足することにより、投影される画像の輝度を十分に優れた(高い)ものとしつつ、マイクロレンズ基板10の視野角特性、および、投影される画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。
また、マイクロレンズ基板10を平面視したとき、1個のマイクロレンズ11が占める面積をS[μm]、マイクロレンズ11が有する第1の領域111が占める面積をS[μm]としたとき、0.01≦S/S≦0.90の関係を満足するのが好ましく、0.05≦S/S≦0.75の関係を満足するのがより好ましく、0.1≦S/S≦0.5の関係を満足するのがさらに好ましい。このような関係を満足することにより、投影される画像の輝度を十分に優れた(高い)ものとしつつ、マイクロレンズ基板10の視野角特性、および、投影される画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。
また、第1の領域111の厚さは、特に限定されないが、1〜20μmであるのが好ましく、1.5〜15μmであるのがより好ましく、2〜8μmであるのがさらに好ましい。第1の領域111の厚さが前記範囲内の値であると、入射側からの光の透過率を十分に高いものとしつつ、出射側から入射した外光の反射をより効果的に防止することができる。
第1の領域111の色は、特に限定されないが、外観としては無彩色で黒色であり、光源の光の三原色のバランスを制御する特定の波長の光を選択的に吸収または透過するものであるのが好ましい。これにより、外光の反射を防止し、マイクロレンズ基板10を透過した光により形成される画像の色調を正確に表現し、さらに色座標が広く(色調の表現の幅が十分に広く)、より深い黒を表現できることで、結果的にコントラストを特に優れたものとすることができる。
また、第1の領域111における着色濃度は、各部位で実質的に均一なものであってもよいし、各部位で異なるものであってもよいが、実質的に均一なものであるのが好ましい。
第1の領域111は、所定濃度に着色されたものであればいかなるものであってもよいが、通常、顔料、染料等の着色剤で着色されたものである。このような着色剤としては、例えば、各種染料、各種顔料等を使用することができる。このような顔料、染料としては、例えば、カーボンブラック、スピリットブラック、ランプブラック(C.I.No.77266)、マグネタイト、チタンブラック、黄鉛、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、クロムイエロー、ベンジジンイエロー、キノリンイエロー、タートラジンレーキ、赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、ウオッチングレッドカルシウム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、群青、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、カルコオイルブルー、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、ファイナルイエローグリーンG、ローダミン6G、キナクリドン、ローズベンガル(C.I.No.45432)、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダントレッド30、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー15、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー5:1、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー162、ニグロシン染料(C.I.No.50415B)、金属錯塩染料、シリカ、酸化アルミニウム、マグネタイト、マグヘマイト、各種フェライト類、酸化第二銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物や、Fe、Co、Niのような磁性金属を含む磁性材料等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上述したように、マイクロレンズ基板10は、マイクロレンズ11が設けられた面側の第1の領域111以外の部位に、第1の領域111よりも着色濃度の低い第2の領域112を有している。
第2の領域112は、マイクロレンズ11が設けられた面側に設けられるものであればよいが、マイクロレンズ11の表面付近の第1の領域111を除く部位のほぼ全体に設けられたものであるのが好ましい。これにより、マイクロレンズ基板10の視野角特性、および、投影される画像のコントラスト、輝度を特に優れたものとすることができる。
第2の領域112は、第1の領域111よりも着色濃度の低いものであればよいが、実質的に着色剤を含んでいないものであるのが好ましい。すなわち、第1の領域111が着色部として設けられているのに対し、第2の領域112は非着色部として設けられているのが好ましい。これにより、投影される画像のコントラストを十分に優れた(高い)ものとしつつ、マイクロレンズ基板10の視野角特性、および、投影される画像の輝度を特に優れたものとすることができる。
また、第2の領域112における着色濃度は、各部位で実質的に均一なものであってもよいし、各部位で異なるものであってもよいが、実質的に均一なものであるのが好ましい。
そして、本実施形態の透過型スクリーンは、レンズ基板として、上記のようなマイクロレンズ基板10(第2実施形態のレンズ基板)を備えたものである以外は、前記実施形態と同様である(図10参照)。
[マイクロレンズ基板の製造方法]
次に、本実施形態のマイクロレンズ基板10の製造方法について説明する。
図11、図12は、図9に示すマイクロレンズ基板の製造方法の一例を示す模式的な縦断面図である。なお、以下の説明では、図11、図12中の下側を「(光の)入射側」、上側を「(光の)出射側」と言う。
本実施形態の製造方法では、マイクロレンズ11に対応する形状の凹部を有する凹部付き基板(マイクロレンズ形成用凹部付き基板)6を用いて、基板本体1を製造する工程(基板本体製造工程)と、当該基板本体1のマイクロレンズ11のレンズ面とは反対の面側に、親油性の第1の材料で構成された第1の膜2を形成する第1の膜形成工程と、基板本体1のレンズ面側(マイクロレンズ11が設けられた面側)から光を入射し、第1の膜2に開口部21を形成する開口部形成工程と、基板本体1の第1の膜2が設けられた面側に親水性材料を付与し、開口部21内に親水性部4を形成する親水性部形成工程と、基板本体1のレンズ面とは反対の面側に、有色で親油性の第2の材料を付与し、第1の膜2上に第2の膜3を形成する第2の膜形成工程と、マイクロレンズ11の頂部付近に選択的に着色液を付与することにより、マイクロレンズの頂部付近に第1の領域111を形成し、マイクロレンズ11が設けられた面側の第1の領域111以外の部位を第2の領域112とする着色工程と、親水性部4を除去する親水性部除去工程とを有する。すなわち、着色工程を有する以外は、前述した実施形態と同様である。
<B1’>前述した<B1>と同様(図5(a)参照)。
<B2’>前述した<B2>と同様(図5(b)参照)。
<B3’>前述した<B3>と同様(図5(c)参照)。
<B4’>前述した<B4>と同様(図6(d)参照)。
<B5’>前述した<B5>と同様(図6(e)参照)。
<B6’>前述した<B6>と同様(図6(f)参照)。
<B7’>前述した<B7>と同様(図11(g)参照)。
<B8’>基板本体1のマイクロレンズ11の頂部付近に選択的に着色液を付与することにより、第1の領域111と第2の領域112とを有するマイクロレンズ11を備えたマイクロレンズ基板10を得る。
本実施形態では、第1の領域の形成を以下のようにして行う。
まず、基板本体1のマイクロレンズ11が設けられた面側にマスク9を形成する(図11(h)参照)。マスク9は、マイクロレンズ11の頂部付近(第1の領域111に対応する部位)に開口部を有するものであり、マイクロレンズ11の頂部付近(第1の領域111に対応する部位)以外の部位(第2の領域112に対応する部位)を被覆するものである。このようなマスク9は、例えば、基板本体1のマイクロレンズ11が形成された面側にレジスト材料(フォトレジスト)を付与し、その後、マスク9に対応するパターンの露光用マスクを用いてレジスト材料を露光し、不要部(例えば、レジスト材料としてポジ型レジストを用いた場合における露光部)を除去することにより形成することができる。
その後、基板本体1にマスク9で被覆された面側に、着色液を付与する。これにより、マイクロレンズ11の開口部に対応する部位が所定の濃度に着色される(図11(i)参照)。その結果、所定濃度に着色された第1の領域111と、第2の領域112とを有するマイクロレンズ11を備えたマイクロレンズ基板10が得られる。このように、基板本体1をマスク9で被覆した状態で着色液を付与することにより、容易かつ確実に、好適な第1の領域111、第2の領域112を形成することができ、製造されるマイクロレンズ基板10の視野角特性等を特に優れたものとすることができる。また、本実施形態では、本工程(着色工程)を、親水性部4が設けられた状態で行うため、基板本体1の出射側の表面付近が不本意に着色されるのを効果的に防止することができる。すなわち、親水性部4を、基板本体1を保護するためのマスクとしても利用することができる。また、基板本体1が主としてスチレン−メチルメタクリレート共重合体で構成されたものであると、比較的温和な条件で、好適な第1の領域111を容易かつ確実に形成することができる。
着色液の付与方法としては、例えば、ドクターブレード、スピンコート、刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、ロールコーター、捺染等の各種塗布法や、基板本体1を着色液中に浸漬するディッピング等の方法が挙げられるが、中でも、ディッピング(特に、浸染)が好ましい。これにより、容易かつ確実に第1の領域111(特に、均一な着色濃度の第1の領域111)を形成することができる。
着色液を付与する際には、例えば、着色液および/または基板本体1を、加熱(加温)してもよい。これにより、着色速度を上げ、効率良く第1の領域111を形成することができる。
また、着色液を付与する工程は、例えば、雰囲気圧を高めた状態(加圧した状態)で行ってもよい。これにより、着色液の基板本体1内部への侵入を促進することができ、結果として、第1の領域111を短時間で効率良く形成することができる。
なお、着色液の付与は、必要に応じて(例えば、形成すべき第1の領域111の濃度を濃くしたい場合等においては)、複数回繰り返し行ってもよい。
また、着色液の付与後、必要に応じて、加熱、冷却等の熱処理、光照射、雰囲気の加圧、減圧等の処理を施してもよい。これにより、第1の領域111の定着(安定化)を促進することができる。
着色液としては、通常、顔料、染料等の着色剤を含むものを用いる。
本工程で用いる着色液は、特に限定されないが、アルキルエーテル硫酸ナトリウムを含むものであるのが好ましい。着色液がアルキルエーテル硫酸ナトリウムを含むものであると、容易かつ確実に、好適な第1の領域111、第2の領域112を形成することができ、製造されるマイクロレンズ基板10の視野角特性等を特に優れたものとすることができる。特に、このような効果は、基板本体1が主としてスチレン−メチルメタクリレート共重合体で構成されたものである場合に、より顕著なものとなる。
着色液中におけるアルキルエーテル硫酸ナトリウムの含有率は、特に限定されないが、0.001〜0.1wt%であるのが好ましく、0.002〜0.05wt%であるのがより好ましく、0.005〜0.01wt%であるのがさらに好ましい。アルキルエーテル硫酸ナトリウムの含有率が上記範囲内の値であると、短時間で、容易かつ確実に好適な第1の領域111を形成することができる。
また、着色液は、さらに界面活性剤を含むものであるのが好ましい。これにより、着色剤を、安定的に、均一に分散させることができる。界面活性剤としては、例えば、非イオン系(ノニオン系)、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。非イオン系(ノニオン系)界面活性剤としては、例えば、エーテル系界面活性剤、エステル系界面活性剤、エーテルエステル系界面活性剤、含窒素系界面活性剤等が挙げられ、より具体的には、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等が挙げられる。また、アニオン系界面活性剤としては、例えば、各種ロジン、各種カルボン酸塩、各種硫酸エステル塩、各種スルホン酸塩、各種リン酸エステル塩等が挙げられ、より具体的には、ガムロジン、重合ロジン、不均一化ロジン、マレイン化ロジン、フマール化ロジン、マレイン化ロジンペンタエステル、マレイン化ロジングリセリンエステル、トリステアリン酸塩(例えば、アルミニウム塩等の金属塩等)、ジステアリン酸塩(例えば、アルミニウム塩、バリウム塩等の金属塩等)、ステアリン酸塩(例えば、カルシウム塩、鉛塩、亜鉛塩等の金属塩等)、リノレン酸塩(例えば、コバルト塩、マンガン塩、鉛塩、亜鉛塩等の金属塩等)、オクタン酸塩(例えば、アルミニウム塩、カルシウム塩、コバルト塩等の金属塩等)、オレイン酸塩(例えば、カルシウム塩、コバルト塩等の金属塩等)、パルミチン酸塩(例えば、亜鉛塩等の金属塩等)、ナフテン酸塩(例えば、カルシウム塩、コバルト塩、マンガン塩、鉛塩、亜鉛塩等の金属塩等)、レジン酸塩(例えば、カルシウム塩、コバルト塩、マンガン鉛塩、亜鉛塩等の金属塩等)、ポリアクリル酸塩(例えば、ナトリウム塩等の金属塩等)、ポリメタクリル酸塩(例えば、ナトリウム塩等の金属塩等)、ポリマレイン酸塩(例えば、ナトリウム塩等の金属塩等)、アクリル酸−マレイン酸共重合体塩(例えば、ナトリウム塩等の金属塩等)、セルロース、ドデシルベンゼンスルホン酸塩(例えば、ナトリウム塩)、アルキルスルホン酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩(例えば、ナトリウム塩等の金属塩等)、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩(例えば、ナトリウム塩等の金属塩等)等が挙げられる。また、カチオン系界面活性剤としては、例えば、1級アンモニウム塩、2級アンモニウム塩、3級アンモニウム塩、4級アンモニウム塩等の各種アンモニウム塩等が挙げられ、より具体的には、(モノ)アルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、トリアルキルアミン塩、テトラアルキルアミン塩、ベンザルコニウム塩、アルキルピリジウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。また、両性界面活性剤としては、例えば、カルボキシベタイン、スルホベタイン等の各種ベタイン、各種アミノカルボン酸、各種リン酸エステル塩等が挙げられる。
また、着色液としては、例えば、着色剤とベンジルアルコールとを含むものを用いてもよい。このような着色液を用いることにより、基板本体1の着色を容易かつ確実に行うことができる。特に、アクリル系樹脂のように、従来の着色方法では着色が困難であった材料で構成された基板本体に対しても、容易かつ確実に着色を施すことができる。これは、以下のような理由によるものであると考えられる。
すなわち、ベンジルアルコールを含む着色液を用いることにより、着色液中のベンジルアルコールが基板本体中に深く侵入、拡散し、基板本体を構成する分子の結合(分子間結合)を緩め、着色剤が侵入するための空間を確保する。そして、ベンジルアルコールにより確保された空間に着色剤が容易に、深く入りこむことにより、前記空間(着色剤のための座席(着色座席)に例えることができる)に着色剤が保持され、基板本体が着色され、また容易に脱離しない。
また、上記のような着色液を用いることにより、均一な濃度の着色部を容易かつ確実に形成することができる。特に、着色に供される基板本体(ワーク)が、その表面にマイクロレンズのような微細な構造を有するもの(二次元方向への凹凸の周期がいずれも小さいもの)、また、着色されるべき領域が大面積のものであっても、ベンジルアルコールが樹脂の分子の結合そのものを緩めることができるため、均一な濃度で(透過率のムラなく)着色部を形成することができる。なお、ここで、アクリル系樹脂に対して、ベンジルアルコールは特に前述の着色座席を確保する働きが強い。このために着色剤をより効率的に基板本体に取りこむことが可能となる。
着色液中におけるベンジルアルコールの含有率は、特に限定されないが、0.01〜10.0wt%であるのが好ましく、0.05〜8.0wt%であるのがより好ましく、0.1〜5.0wt%であるのがさらに好ましい。ベンジルアルコールの含有率が上記範囲内の値であると、第1の領域111を形成すべき基板本体1に対する悪影響の発生(例えば、基板本体1の構成材料の劣化等)をより効果的に防止しつつ、容易かつ確実に好適な第1の領域111を形成することができる。
<B9’>次に、図12(j)に示すように、親水性部4を除去する(親水性部除去工程)。親水性部4の除去は、前述した実施形態と同様にして行うことができる。
<B10’>その後、図12(k)に示すように、マスク9を除去する。マスク9の除去は、例えば、マスク9を溶解し得る液体を用いることにより、好適に行うことができる。
[リア型プロジェクタ]
以下、前記透過型スクリーンを用いたリア型プロジェクタについて説明する。
図13は、本発明のリア型プロジェクタの構成を模式的に示す図である。
同図に示すように、リア型プロジェクタ1000は、投写光学ユニット500と、導光ミラー600と、透過型スクリーン100とが筐体700に配置された構成を有している。
そして、このリア型プロジェクタ1000は、上記のような透過型スクリーン100を備えているので、高輝度でコントラストに優れた画像を得ることができる。さらに、上記のようなマイクロレンズ基板10(透過型スクリーン100)を備えているので、視野角特性等も特に優れたものとなる。
また、特に、前述したマイクロレンズ基板10では、楕円形状のマイクロレンズ11が千鳥状(千鳥格子状)に配されているので、リア型プロジェクタ1000では、モアレ等の問題が特に発生し難い。
以上、本発明について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、マイクロレンズ基板(レンズ基板)、透過型スクリーン、リア型プロジェクタを構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。
また、前述した実施形態では、親水性部を除去することにより、最終的なレンズ基板を得るものとして説明したが、親水成分を除去する工程は省略してもよい。すなわち、親水性部は、レンズ基板の一部を構成するものであってもよい。
また、前述した実施形態では、レンズ基板を構成するレンズ部が凸レンズであるものとして説明したが、レンズ部は凹レンズであってもよい。
また、前述した実施形態では、スペーサーとして、樹脂(固化後の樹脂)と同程度の屈折率を有するものを用いるものとして説明したが、スペーサーは、実質的に、凹部付き基板の凹部が形成されていない領域のみ(非有効領域)に配されるものである場合、樹脂(固化後の樹脂)と同程度の屈折率を有するものでなくてもよい。また、レンズ基板の製造に際して、上記のようなスペーサーは必ずしも用いなくてもよい。
また、前述した実施形態では、凹部付き基板の表面に組成物を付与するものとして説明したが、例えば、平板の表面に組成物を付与し、これを凹部付き基板で押圧することにより、レンズ基板を製造してもよい。
また、前述した実施形態では、凹部付き基板の製造方法の初期孔形成工程において、初期孔81とともに、基板7に初期凹部71を形成するものとして説明したが、このような初期凹部71は形成されなくてもよい。初期孔81の形成条件(例えば、レーザのエネルギ強度、ビーム径、照射時間等)を適宜調整することにより、所望の形状の初期凹部71を形成したり、初期凹部71が形成されないように初期孔81のみを選択的に形成することができる。
また、前述した実施形態では、レンズ基板の製造において、凹部付き基板、平板を除去するものとして、凹部付き基板は必ずしも除去しなくてもよい。言い換えると、凹部付き基板、平板は、レンズ基板の一部を構成するものであってもよい。
また、前述した第2実施形態では、マスクをフォトリソグラフィ法により形成するものとして説明したが、マスクの形成方法はこのような方法に限定されるものではない。例えば、基板本体の凸レンズが設けられた面側に、流動性を有するマスク材料を付与した後、凸レンズの頂部付近に付着したマスク材料を拭き取り、その後、マスク材料を固化させることにより、マスクを形成してもよい。これにより、より簡便にマスクを形成することができる。
また、前述した第2実施形態では、マスクで被覆した状態の基板本体に対して、着色液を付与することにより、第1の領域(着色部)を形成するものとして説明したが、着色液を付与する工程において、必ずしもマスクで被覆する必要はない。
また、第1の領域(着色部)は、前述したような着色液の付与により形成したものでなくてもよい。例えば、実質的に無色の基板または比較的低い濃度で着色した基板を用意し、当該基板に所定の濃度で着色された組成物(基板よりも高い濃度で着色された組成物)を付与し、当該組成物を固化させ、前記基板に接合することにより、第1の領域を形成してもよい。すなわち、第1の領域は、着色液による染色等により形成されたものに限らず、外付けにより形成されたものであってもよい。
また、前述した第2実施形態では、レンズ基板は、凸レンズ側(凸レンズの凸面側)において、第1の領域以外の部位全体が、第2の領域であるものとして説明したが、凸レンズ側には、第1の領域、第2の領域以外の領域を有するものであってもよい。例えば、レンズ基板を構成する凸レンズ−凸レンズ間に、第2の領域よりも着色濃度の高い第3の領域を有していてもよい。これにより、例えば、第3の領域をブラックマトリックス、ブラックストライプのような遮光部として機能させることができ、投影される画像のコントラストの更なる向上を図ることができる。このような第3の領域は、例えば、凸レンズ面側の実質的にレンズ部として機能しない部位(平坦部)に設けられるものであってもよい。
また、前述した第2実施形態では、凸レンズのレンズ面側の表面付近に、互いに着色濃度の異なる第1の領域と第2の領域とを有するものとして説明したが、レンズ基板は、均一な着色濃度の着色部を有するものであってもよい。
また、前述した実施形態では、透過型スクリーンが、マイクロレンズ基板とフレネルレンズ基板とを備えるものとして説明したが、本発明の透過型スクリーンは、必ずしも、フレネルレンズ基板を備えたものでなくてもよい。例えば、本発明の透過型スクリーンは、実質的に、本発明のマイクロレンズ基板(レンズ基板)のみで構成されたものであってもよい。
また、前述した実施形態では、マイクロレンズ基板におけるマイクロレンズ、および、凹部付き基板における凹部は、千鳥状に配列したものとして説明したが、マイクロレンズ、凹部の配列はいかなるものであってもよく、例えば、正方格子状、ハニカム状に配列したものであってもよい。また、マイクロレンズ、凹部は、ランダムに形成されたものであってもよい。
前述した実施形態では、レンズ基板として、多数個のマイクロレンズを備えたマイクロレンズ基板について説明したが、本発明において、レンズ基板は、マイクロレンズ基板に限定されず、例えば、レンチキュラレンズを備えたレンチキュラレンズ基板であってもよいし、マイクロレンズとレンチキュラレンズとを備えたレンズ基板であってもよい。
また、本発明のレンズ基板、透過型スクリーンは、レンズ部を透過した光を拡散させる機能を有する拡散部、拡散板を有するものであってもよい。このような構成であると、例えば、透過型スクリーン、リア型プロジェクタの視野角特性をさらに優れたものとすることができる。
また、前述した実施形態では、レンズ基板は、透過型スクリーン、リア型プロジェクタを構成する部材であるものとして説明したが、本発明のレンズ基板の用途は、前記のようなものに限定されず、いかなるものであってもよい。例えば、本発明のレンズ基板は、拡散板、投射型表示装置(フロントプロジェクタ)のスクリーン(フロントプロジェクションスクリーン)、投射型表示装置(フロントプロジェクタ)の液晶ライトバルブの構成部材等に適用されるものであってもよい。
[マイクロレンズ基板および透過型スクリーンの作製]
(実施例1)
以下のように、マイクロレンズ形成用の凹部を備えた凹部付き基板を製造した。
まず、基板として、横1.2m×縦0.7m角、厚さ4.8mmのソーダガラス基板(絶対屈折率n:1.50)を用意した。
このソーダガラス基板を、4wt%の一水素二フッ化アンモニウムと、8wt%の過酸化水素とを含む洗浄液に浸漬して6μmエッチングを行い、その表面を清浄化した。
その後、純水洗浄およびNガスを用いた乾燥(純水の除去)を行った。
次に、このソーダガラス基板上に、スパッタリング法にて、クロム/酸化クロムの積層体(クロムの外表面側に酸化クロムが積層された積層体)を形成した。すなわち、ソーダガラス基板の表面に、クロム/酸化クロムの積層体で構成されたのマスク形成用膜および裏面保護膜を形成した。クロム層の厚さは0.03μm、酸化クロム層の厚さは0.01μmであった。
次に、マスク形成用膜に対してレーザ加工を行い、マスク形成用膜の中央部113cm×65cmの範囲に多数の初期孔を形成し、マスクとした。
なお、レーザ加工は、エキシマレーザを用いて、エネルギ密度1.2J/cm、加工点でのビーム直径2μm、走査速度0.1m/秒という条件で行った。
これにより、マスク形成用膜の上記範囲全面に亘って、所定の長さを有する初期孔が、千鳥状に配されたパターンで形成された。初期孔の平均幅は2μmであり、平均長さは2μmであった。
また、この際、ソーダガラス基板の表面に深さ50Åの凹部および変質層(初期凹部)も形成した。
次に、ソーダガラス基板にウェットエッチングを施し、ソーダガラス基板上に多数の平面視したときの形状が扁平形状(略楕円形状)の凹部(マイクロレンズ形成用凹部)を形成した。形成された多数の凹部は、互いにほぼ同一の形状を有していた。形成された凹部の短軸方向の長さ(ピッチ)は56μm、長軸方向の長さは64μm、曲率半径は36μm、深さは36μmであった。また、凹部が形成されている有効領域における凹部の占有率は100%であった。
なお、ウェットエッチングは、エッチング液として、4wt%の一水素二フッ化アンモニウムと、8wt%の過酸化水素とを含む水溶液を用い、浸漬時間は2.0時間とした。
次に、硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸との混合物を用いてエッチングすることにより、マスクおよび裏面保護膜を除去した。
次に、純水洗浄およびNガスを用いた乾燥(純水の除去)を行った。
その後、基板の凹部が形成されている面側に、ヘキサメチルジシラザンによる気相表面処理(シリル化処理)を行い、離型処理部を形成した。
これにより、図2に示すような、ソーダガラス基板上に、マイクロレンズ形成用の多数の凹部が千鳥状に配列された凹部付き基板を得た。得られた凹部付き基板を平面視したときに、凹部が形成されている有効領域において、凹部が占める面積の割合が97%であった。
次に、凹部付き基板の凹部が形成された側の面に、未重合(未硬化)のスチレン−メチルメタクリレート共重合体で構成された組成物を付与した。この際、スチレン−メチルメタクリレート共重合体の硬化物で構成された略球形状のスペーサー(直径50μm)を、凹部付き基板のほぼ全面に配しておいた。また、スペーサーは、約3個/cmの割合で配した。
次に、ソーダガラスで構成された平板で、前記アクリル系樹脂を押圧した。この際、平板と組成物との間に、空気が侵入しないようにした。また、平板としては、組成物を押圧する側の面に、ヘキサメチルジシラザンによる気相表面処理(離型処理)が施されたものを用いた。
その後、120℃に加熱することにより、組成物を硬化させ、多数個のマイクロレンズを備えた基板本体を得た。得られた基板本体(硬化後の組成物)の屈折率nは、1.557であった。また、得られた基板本体の樹脂層(マイクロレンズを除く部分)の厚さは50μmであった。また、扁平形状(略楕円形状)のマイクロレンズは、その短軸方向の長さ(直径)が56μm、長軸方向の長さが64μm、曲率半径が36μm、高さが36μmであった。また、マイクロレンズが形成されている有効領域におけるマイクロレンズの占有率は100%であった。
次に、基板本体から、平板、凹部付き基板を取り外した。
次に、基板本体のマイクロレンズのレンズ面とは反対の面側に、親油性の第1の材料をスピンコートにより付与した。その後、加熱により材料を硬化し、第1の膜を形成した。第1の材料としては、非水系ポジ型レジスト(東京応化工業株式会社製:OFPR800-LB)を用いた。
次に、基板本体のレンズ面側からレーザ光を入射し、第1の膜に開口部を形成した。レーザ光としては、エネルギ密度が1.2J/cmのエキシマレーザを用いた。本工程で形成された開口部の幅(直径)は3μmであった。
次に、基板本体の第1の膜が設けられた面側に、親水性材料を刷毛塗りにより付与した。親水性材料としては、水性インクを用いた。
これにより、親水性材料は、第1の膜で被覆されていない基板本体の表面、すなわち、第1の膜の開口部内に侵入した。
次に、第1の膜の表面に、有色で親油性の第2の材料をスピンコートにより付与し、第1の膜上(第1の膜の開口部を除く部分の表面上)に第2の膜(ブラックマトリックス)を形成した。第2の材料としては、凸版インクを用いた。
次に、水洗により、親水性部を除去し、図1、図2に示すようなマイクロレンズ基板を得た。
その後、上記のようにして製造されたマイクロレンズ基板と、押出成形により作製したフレネルレンズ基板とを組み立てることにより、図8に示すような透過型スクリーンを得た。
(実施例2、3)
凹部付き基板を形成する際のレーザ光の照射条件(形成される初期孔の形状、初期凹部の深さ)、エッチング液への浸漬時間を調整することにより、凹部付き基板の凹部の形状、配列パターンを表1に示すようなものにするとともに、第1の膜、親水性部、第2の膜の形成条件を変更することにより、第1の膜、親水性部、第2の膜の形状等を表1に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にしてマイクロレンズ基板、透過型スクリーンを製造した。
(実施例4)
以下のように、マイクロレンズ形成用の凹部を備えた凹部付き基板を製造した。
まず、基板として、横1.2m×縦0.7m角、厚さ4.8mmのソーダガラス基板(絶対屈折率n:1.50)を用意した。
このソーダガラス基板を、4wt%の一水素二フッ化アンモニウムと、8wt%の過酸化水素とを含む洗浄液に浸漬して6μmエッチングを行い、その表面を清浄化した。
その後、純水洗浄およびNガスを用いた乾燥(純水の除去)を行った。
次に、このソーダガラス基板上に、スパッタリング法にて、クロム/酸化クロムの積層体(クロムの外表面側に酸化クロムが積層された積層体)を形成した。すなわち、ソーダガラス基板の表面に、クロム/酸化クロムの積層体で構成されたのマスク形成用膜および裏面保護膜を形成した。クロム層の厚さは0.03μm、酸化クロム層の厚さは0.01μmであった。
次に、マスク形成用膜に対してレーザ加工を行い、マスク形成用膜の中央部113cm×65cmの範囲に多数の初期孔を形成し、マスクとした。
なお、レーザ加工は、エキシマレーザを用いて、エネルギ密度1.2J/cm、加工点でのビーム直径2μm、走査速度0.1m/秒という条件で行った。
これにより、マスク形成用膜の上記範囲全面に亘って、所定の長さを有する初期孔が、千鳥状に配されたパターンで形成された。初期孔の平均幅は2μmであり、平均長さは2μmであった。
また、この際、ソーダガラス基板の表面に深さ50Åの凹部および変質層(初期凹部)も形成した。
次に、ソーダガラス基板にウェットエッチングを施し、ソーダガラス基板上に多数の平面視したときの形状が扁平形状(略楕円形状)の凹部(マイクロレンズ形成用凹部)を形成した。形成された多数の凹部は、互いにほぼ同一の形状を有していた。形成された凹部の短軸方向の長さ(ピッチ)は56μm、長軸方向の長さは64μm、曲率半径は36μm、深さは36μmであった。また、凹部が形成されている有効領域における凹部の占有率は100%であった。
なお、ウェットエッチングは、エッチング液として、4wt%の一水素二フッ化アンモニウムと、8wt%の過酸化水素とを含む水溶液を用い、浸漬時間は2.0時間とした。
次に、硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸との混合物を用いてエッチングすることにより、マスクおよび裏面保護膜を除去した。
次に、純水洗浄およびNガスを用いた乾燥(純水の除去)を行った。
その後、基板の凹部が形成されている面側に、ヘキサメチルジシラザンによる気相表面処理(シリル化処理)を行い、離型処理部を形成した。
これにより、図2に示すような、ソーダガラス基板上に、マイクロレンズ形成用の多数の凹部が千鳥状に配列された凹部付き基板を得た。得られた凹部付き基板を平面視したときに、凹部が形成されている有効領域において、凹部が占める面積の割合が97%であった。
次に、凹部付き基板の凹部が形成された側の面に、未重合(未硬化)のスチレン−メチルメタクリレート共重合体で構成された組成物を付与した。この際、スチレン−メチルメタクリレート共重合体の硬化物で構成された略球形状のスペーサー(直径50μm)を、凹部付き基板のほぼ全面に配しておいた。また、スペーサーは、約3個/cmの割合で配した。
次に、ソーダガラスで構成された平板で、前記アクリル系樹脂を押圧した。この際、平板と組成物との間に、空気が侵入しないようにした。また、平板としては、組成物を押圧する側の面に、ヘキサメチルジシラザンによる気相表面処理(離型処理)が施されたものを用いた。
その後、120℃に加熱することにより、組成物を硬化させ、多数個のマイクロレンズを備えた基板本体を得た。得られた基板本体(硬化後の組成物)の屈折率nは、1.557であった。また、得られた基板本体の樹脂層(マイクロレンズを除く部分)の厚さは50μmであった。また、扁平形状(略楕円形状)のマイクロレンズは、その短軸方向の長さ(直径)が56μm、長軸方向の長さが64μm、曲率半径が36μm、高さが36μmであった。また、マイクロレンズが形成されている有効領域におけるマイクロレンズの占有率は100%であった。
次に、基板本体から、平板、凹部付き基板を取り外した。
次に、基板本体のマイクロレンズのレンズ面とは反対の面側に、親油性の第1の材料をスピンコートにより付与した。その後、加熱により第1の材料を硬化し、第1の膜を形成した。第1の材料としては、非水系ポジ型レジスト(東京応化工業株式会社製:OFPR800-LB)を用いた。
次に、基板本体のレンズ面側からレーザ光を入射し、第1の膜に開口部を形成した。レーザ光としては、エネルギ密度が1.2J/cmのエキシマレーザを用いた。本工程で形成された開口部の幅(直径)は3μmであった。
次に、基板本体の第1の膜が設けられた面側に、親水性材料を刷毛塗りにより付与した。これにより、親水性材料は、第1の膜で被覆されていない基板本体の表面、すなわち、第1の膜の開口部内に侵入した。親水性材料としては、水性インクを用いた。
次に、第1の膜の表面に、有色で親油性の第2の材料をスピンコートにより付与した。第2の材料としては、凸版インクを用いた。
次に、基板本体のマイクロレンズが形成された面側にレジスト材料(ポジ型レジスト)を付与し、その後、露光用マスクを用いてレジスト材料を露光した。その後、露光部の溶剤により除去することにより、マイクロレンズの頂部付近に開口部を有するマスクが得られた。
その後、基板本体のマスクで被覆された面側に、70℃の着色液を付与することにより、着色された第1の領域を形成し、マイクロレンズ側の他の領域を第2の領域とし、マイクロレンズ基板を得た。第1の領域は、マイクロレンズ基板を平面視した際に、直径(幅)が30μmの略円形状をなすものであった。また、第1の領域の厚さは、8μmであった。また、第2の領域は、実質的に着色剤を含まないものであった。
なお、本工程において、着色液としては、着色剤(染料のBlue(双葉産業製)、Red(双葉産業製)およびYellow(双葉産業製))と、アルキルエーテル硫酸ナトリウムと、ベンジルアルコールとを含む液体を用いた。着色液中におけるアルキルエーテル硫酸ナトリウムの含有率は、0.005wt%であった。
次に、水洗により、親水性部を除去した。
その後、モノエタノールアミンを用いてマスクを除去することにより、図9、図2に示すようなマイクロレンズ基板を得た。
その後、上記のようにして製造されたマイクロレンズ基板と、押出成形により作製したフレネルレンズ基板とを組み立てることにより、図10に示すような透過型スクリーンを得た。
(実施例5、6)
凹部付き基板を形成する際のレーザ光の照射条件(形成される初期孔の形状、初期凹部の深さ)、エッチング液への浸漬時間を調整することにより、凹部付き基板の凹部の形状、配列パターンを表1に示すようなものにするとともに、第1の膜、親水性部、第2の膜の形成条件を変更することにより、第1の膜、親水性部、第2の膜の形状等を表1に示すように変更し、さらに、露光用マスクのパターン、着色液の付与条件(接触時間、着色液組成等)を変更することにより、マイクロレンズの形状、第1の領域の形状等を表1に示すように変更した以外は、前記実施例6と同様にしてマイクロレンズ基板、透過型スクリーンを製造した。
上記の実施例1〜6で形成した第1の膜、第2の膜は、いずれも、表面が平滑な膜としたときにおける、25℃での水との接触角が40°以上であった。また、実施例1〜6で形成した親水性部は、いずれも、表面が平滑な膜としたときにおける、25℃での水との接触角が20°以下であった。
(比較例1)
まず、前記実施例1と同様にして基板本体を製造し、その後、当該基板本体から、平板、凹部付き基板を取り外した。
次に、ポジ型銀塩フィルム(富士写真フィルム(株)製、デュープリケイティングフィルム「DC」)を準備し、その非乳剤面を市販の漂白剤(花王(株)製、「キッチンハイター」)の原液を布にしみ込ませたもので擦り、ハレーション防止層を除去した後、基板本体のレンズ面とは反対側の面に、透明粘着剤(厚さ:10μm)塗付した後、塗付面に、ハレーション防止層を除去したポジ型感光フィルムの非乳剤面側が接するようにして、ラミネーターを用いて貼り合せ、基板本体と銀塩フィルムとからなる複合体を得た。
得られた複合体に対し、平行光フレネルプリンタ(ウシオユーテック社製、フィルムFL−3R−X)を使用し、レンズ面より密着面露光を行った。積算露光量は約1.2mJ/cmとした。
露光後の複合体に対し、現像液(富士写真フィルム(株)製、「ND」)を用い、液温度:35℃、現像時間:30秒の条件で現像し、その後、水に浸漬して停止を行い、さらに、定着液(富士写真フィルム(株)製、「NF」)を用い、液温度:30℃、浸漬時間:30秒で定着を行ない、定着後、40℃の温水で1分間浸漬洗浄し、洗浄後、45℃の風を60秒間あてて、乾燥させることにより、遮光膜(ブラックマトリックス)を有するマイクロレンズ基板を得た。
その後、上記のようにして得られたマイクロレンズ基板を用いた以外は、前記実施例1と同様にして透過型スクリーンを製造した。
(比較例2)
まず、前記実施例1と同様にして基板本体を製造した。
次に、平板を取り除いた。
次に、基板本体の出射側(マイクロレンズが形成されている面とは反対側の面)表面に、黒色顔料を含む有色の遮光膜形成用材料を、ロールコーターにより付与した(遮光膜形成用材料付与工程)。遮光膜形成用材料としては、10wt%の黒色顔料と、20wt%のダンマル樹脂と、70wt%のキシレン(液性媒体)とを含む混合物を用いた。
その後、基板本体に付与された遮光膜形成用材料からキシレンを除去することにより、基板本体の出射側の全面を被覆する膜を形成した。形成された膜の平均厚さは、5μmであった。
次に、凹部付き基板を、遮光膜形成用材料が付与された基板から取り外した。
次に、基板本体のマイクロレンズが形成されている側の面から、基板本体の入射側表面に対して垂直方向のレーザ光を照射した。これにより、レーザ光は、マイクロレンズにより集光され、前記膜のうち、マイクロレンズの集光部付近が除去され、基板本体上に、多数個の開口部を有するブラックマトリックスが被覆されたマイクロレンズ基板が得られた。
その後、上記のようにして得られたマイクロレンズ基板を用いた以外は、前記実施例1と同様にして透過型スクリーンを製造した。
(比較例3)
基板本体のレンズ面の全面に均一な着色濃度の着色部を形成した以外は、前記比較例2と同様にしてマイクロレンズ基板、透過型スクリーンを製造した。
前記各実施例および各比較例について、マイクロレンズ基板の製造に用いた凹部付き基板が有する凹部の形状、配列パターン、製造されたマイクロレンズ基板が有するマイクロレンズの形状、配列パターン、第1の膜、第2の膜(ブラックマトリックス)の構成、第1の領域、第2の領域の構成、1個のマイクロレンズの面積に対する1個の第1の領域の面積の比率(S/S)、マイクロレンズ基板の製造時に形成した親水性部の厚さ(高さ)等を表1にまとめて示す。
Figure 2007047216
[画像の輝度(光の利用効率)の評価]
前記各実施例および各比較例の透過型スクリーンについて、画像の輝度(光の利用効率)の評価を行った。
画像の輝度(光の利用効率)の評価は、A(=300)[cd/m]の白色光を入射させた際、透過型スクリーンの光の出射面側で測定される光の輝度B[cd/m]の比率(B/A)を求めることにより行った。B/Aの値が大きいほど、光の利用効率が優れているといえる。
[リア型プロジェクタの作製]
前記各実施例および各比較例の透過型スクリーンを用いて、図13に示すようなリア型プロジェクタを、それぞれ作製した。
[コントラストの評価]
前記各実施例および各比較例のリア型プロジェクタについて、コントラストの評価を行った。
コントラスト(CNT)として、暗室において413lxの全白光が入射した時の白表示の正面輝度(白輝度)LW[cd/m]と、明室において光源を全消灯した時の黒表示の正面輝度の増加量(黒輝度増加量)LB[cd/m]との比LW/LBを求めた。なお、黒輝度増加量は、暗室の黒表示の輝度に対する増加量をいう。また、明室での測定は、外光照度が約185lxの環境下で行った。暗室での測定は、外光照度が0.1lx以下の環境下で行った。
[視野角の測定]
前記各実施例および各比較例のリア型プロジェクタの透過型スクリーンにサンプル画像を表示させた状態で、鉛直方向および水平方向のそれぞれについての視野角の測定を行った。
視野角の測定は、変角光度計(ゴニオフォトメータ)で、5度間隔で測定するという条件で行った。
[回折光、モアレ、色ムラの評価]
前記各実施例および各比較例のリア型プロジェクタの透過型スクリーンにサンプル画像を表示させた。表示された画像について、回折光、モアレ、色ムラの発生状況を以下の4段階の基準に従い評価した。
◎:回折光、モアレ、色ムラが全く認められない。
○:回折光、モアレ、色ムラがほとんど認められない。
△:回折光、モアレ、色ムラのうち少なくとも一つがわずかに認められる。
×:回折光、モアレ、色ムラのうち少なくとも一つが顕著に認められる。
[耐久性の評価]
前記各実施例および各比較例のリア型プロジェクタについて、以下のようにして耐久性の評価を行った。
まず、製造直後の各リア型プロジェクタについて、暗室において1000lxの全白光が入射した時の白表示の正面輝度(白輝度)LW[cd/m]を測定した。
そして、上記のような1000lxの全白光の入射を100時間連続して行った時点での白表示の正面輝度(白輝度)LW[cd/m]を同様に測定した。
各リア型プロジェクタについて、LW/LWの値を求め、耐久性を評価した。LW/LWの値が大きいほど耐久性に優れているといえる。
これらの結果を表2にまとめて示す。
Figure 2007047216
表2から明らかなように、本発明では、いずれも、高輝度の画像が得られる(光の利用効率に優れる)とともに、優れたコントラストが得られ、また、視野角特性にも優れていた。また、本発明では、長時間画像を表示しつづけても画質の劣化が少なかった。すなわち、本発明では、レンズ基板、透過型スクリーン、リア型プロジェクタの耐久性に優れていた。また、本発明では、回折光、モアレ、色ムラのない優れた画像を表示することができた。すなわち、本発明では、優れた画像を安定的に表示することができた。これに対し、比較例では、満足な結果が得られなかった。
本発明のマイクロレンズ基板(レンズ基板)の第1実施形態を示す模式的な縦断面図である。 図1に示すマイクロレンズ基板の平面図である。 マイクロレンズ基板の製造に用いる凹部付き基板を示す模式的な縦断面図である。 図3に示す凹部付き基板の製造方法を示す模式的な縦断面図である。 図1に示すマイクロレンズ基板の製造方法の一例を示す模式的な縦断面図である。 図1に示すマイクロレンズ基板の製造方法の一例を示す模式的な縦断面図である。 図1に示すマイクロレンズ基板の製造方法の一例を示す模式的な縦断面図である。 図1に示すマイクロレンズ基板(レンズ基板)を備えた、本発明の透過型スクリーンの第1実施形態を示す模式的な縦断面図である。 本発明のマイクロレンズ基板(レンズ基板)の第2実施形態を示す模式的な縦断面図である。 図9に示すマイクロレンズ基板(レンズ基板)を備えた、本発明の透過型スクリーンの第2実施形態を示す模式的な縦断面図である。 図9に示すマイクロレンズ基板の製造方法の一例を示す模式的な縦断面図である。 図9に示すマイクロレンズ基板の製造方法の一例を示す模式的な縦断面図である。 本発明の透過型スクリーンを適用したリア型プロジェクタを模式的に示す図である。
符号の説明
10…マイクロレンズ基板(レンズ基板) 1…基板本体 11…マイクロレンズ(レンズ部) 111…第1の領域(着色部) 112…第2の領域(非着色部) 113…中心 15…第1の行 16…第2の行 18…組成物 19…スペーサー 2…第1の膜 21…開口部 3…第2の膜(ブラックマトリックス) 31…開口部 4…親水性部 5…マスク形成用膜 6…凹部付き基板(マイクロレンズ形成用凹部付き基板) 61…凹部(マイクロレンズ形成用凹部) 7…基板 71…初期凹部 8…マスク 81…初期孔(開口部) 89…裏面保護膜 9…マスク 30…フレネルレンズ基板 301…フレネルレンズ 50…平板 100…透過型スクリーン 500…投写光学ユニット 600…導光ミラー 700…筐体 1000…リア型プロジェクタ

Claims (12)

  1. 多数個のレンズ部を備えた基板本体の前記レンズ部のレンズ面とは反対の面側に、親油性の第1の材料で構成された第1の膜を形成する第1の膜形成工程と、
    前記基板本体の前記レンズ面側から光を入射し、前記第1の膜に開口部を形成する開口部形成工程と、
    前記基板本体の前記第1の膜が設けられた面側に親水性材料を付与し、前記開口部内に親水性部を形成する親水性部形成工程と、
    前記基板本体の前記レンズ面とは反対の面側に、有色で親油性の第2の材料を付与し、前記第1の膜上に第2の膜を形成する第2の膜形成工程とを有することを特徴とするレンズ基板の製造方法。
  2. 前記第2の膜形成工程の後に、前記親水性部を除去する親水性部除去工程を有する請求項1に記載のレンズ基板の製造方法。
  3. 前記基板本体は、主としてスチレン−メチルメタクリレート共重合体で構成されたものである請求項1または2に記載のレンズ基板の製造方法。
  4. 前記第1の膜の厚さは、1〜10μmである請求項1ないし3のいずれかに記載のレンズ基板の製造方法。
  5. 前記第2の膜の厚さは、0.1〜1μmである請求項1ないし4のいずれかに記載のレンズ基板の製造方法。
  6. 前記開口部の幅は、3〜10μmである請求項1ないし5のいずれかに記載のレンズ基板の製造方法。
  7. 前記レンズ部の表面付近に着色部を形成する工程を有する請求項1ないし6のいずれかに記載のレンズ基板の製造方法。
  8. 前記レンズ部は、マイクロレンズである請求項1ないし7のいずれかに記載のレンズ基板の製造方法。
  9. 請求項1ないし8のいずれかに記載の方法を用いて製造されたことを特徴とするレンズ基板。
  10. レンズ部として凸レンズを有し、当該凸レンズの頂部付近に所定濃度で着色された着色部としての第1の領域を有し、前記凸レンズのレンズ面側の前記第1の領域以外の部位に前記第1の領域よりも着色濃度の低い第2の領域を有する請求項9に記載のレンズ基板。
  11. 請求項9または10に記載のレンズ基板を備えたことを特徴とする透過型スクリーン。
  12. 請求項11に記載の透過型スクリーンを備えたことを特徴とするリア型プロジェクタ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008225169A (ja) * 2007-03-14 2008-09-25 Saitama Univ 幾何学パターン形成方法
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