JP2006133334A - 凹部付き部材、凸部付き部材の製造方法、凸部付き部材、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ - Google Patents

凹部付き部材、凸部付き部材の製造方法、凸部付き部材、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ Download PDF

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Abstract

【課題】 所望の形状の凸部を有する凸部付き部材の製造に好適に用いることができる凹部付き部材を提供すること、所望の形状の凸部を有する凸部付き部材を容易かつ確実に製造することができる凸部付き部材の製造方法を提供すること、前記凸部付き部材を提供すること、また、前記凸部付き部材を備えた透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタを提供すること。
【解決手段】 本発明の凹部付き部材(マイクロレンズ基板製造用凹部付き部材)6は、多数の第1の凹部(マイクロレンズ形成用凹部)61と第2の凹部62とを有している。第2の凹部62は、第1の凹部61が形成されている第1の領域67よりも外側であって、マイクロレンズ基板1の非有効レンズ領域に対応する領域(第2の領域68)に設けられている。第2の凹部62の深さは、第1の凹部61の深さよりも浅いものである。また、第1の凹部61は、縦幅が横幅よりも大きい扁平形状を有している。
【選択図】 図5

Description

本発明は、凹部付き部材、凸部付き部材の製造方法、凸部付き部材、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタに関するものである。
近年、リア型プロジェクタは、ホームシアター用モニター、大画面テレビ等に好適なディスプレイとして、需要が高まりつつある。
リア型プロジェクタに用いられる透過型スクリーンには、一般に、複数個のレンズを備えたレンズ基板が用いられている。従来、レンズ基板としては、レンチキュラレンズを備えたレンチキュラレンズ基板が一般的に用いられてきた。このようなレンチキュラレンズ基板を備えた従来のリア型プロジェクタでは、左右の視野角が大きいが、上下の視野角が小さい(視野角に偏りがある)という問題があった。このような問題を解決する目的で、光学的に凹または凸の回転対称な形状のマイクロレンズが形成されたマイクロレンズシート(マイクロレンズ基板)を用いる試みがあった(例えば、特許文献1参照)。
そして、上記のようなレンズ基板(特に、マイクロレンズ基板)は、従来、複数のレンズ形成用の凹部を有する凹部付き基板に、未硬化の樹脂を供給し、凹部付き基板の表面形状を転写させる方法(例えば、2P法等)を用いて製造されていた(例えば、特許文献2参照)。
しかし、上記のような方法では、硬化した樹脂を凹部付き基板から離型させるのが困難であるという問題がある。また、このような問題は、レンズとしてマイクロレンズを備えたレンズ基板(マイクロレンズ基板)を製造する場合や、形成すべきレンズの大きさが小さい場合(レンズが微細なものである場合)、数が多い場合、形成すべきレンズが高密度(例えば、1000個/cm以上)である場合、製造すべきレンズ基板が大面積(例えば、対角線長が60cm以上の基板)である場合等に、より一層顕著なものとなる。これは、凹部付き基板の表面に形成された微細なパターンがアンカー効果により互いに食いついた状態になるためであると考えられる。また、凹部付き基板を製造されたレンズ基板から、無理に剥離させようとすると、凹部付き部材や、転写により形成された凸部(凸レンズにカケ等の欠陥を生じるという問題があった。そして、上記のようなことから、レンズ基板の歩留りが著しく低下するという問題があった。
特開2000−131506号公報(特許請求の範囲) 特開2003−279949号公報(段落番号0167〜0173)
本発明の目的は、所望の形状の凸部を有する凸部付き部材の製造に好適に用いることができる凹部付き部材を提供すること、所望の形状の凸部を有する凸部付き部材を容易かつ確実に製造することができる凸部付き部材の製造方法を提供すること、前記凸部付き部材を提供すること、また、前記凸部付き部材を備えた透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタを提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の凹部付き部材は、多数の凸部を有する凸部付き部材の製造に用いる凹部付き部材であって、
前記凸部の形成に用いられる第1の凹部と、
複数個の前記第1の凹部が設けられた領域外に設けられた、前記第1の凹部よりも深さの浅い第2の凹部とを有することを特徴とする。
これにより、所望の形状の凸部を有する凸部付き部材の製造に好適に用いることができる凹部付き部材を提供することができる。より詳しく説明すると、凸部付き部材の製造において、凸部付き部材を凹部付き部材から剥離する際に、凹部付き部材や、形成される凸部にカケ等の欠陥が生じるのを効果的に防止することができる。
本発明の凹部付き部材では、前記凸部付き部材は、前記凸部としてマイクロレンズを備えたマイクロレンズ基板であることが好ましい。
これにより、例えば、凹部付き部材を用いて製造される凸部付き部材を透過型スクリーン、リア型プロジェクタの構成部品(マイクロレンズ基板)として好適に用いることができる。また、従来の方法においては、製造すべき凸部付き部材がマイクロレンズ基板である場合、特に、凹部付き部材や、形成すべき凸部(マイクロレンズ)のカケ等の不都合を生じ易かったが、本発明によれば、マイクロレンズ基板の製造においても、種々の問題の発生を効果的に防止することができる。すなわち、マイクロレンズ基板の製造に適用した場合に、本発明による効果は特に顕著なものとして発揮される。
本発明の凹部付き部材では、前記第1の凹部の深さは、8〜500μmであることが好ましい。
これにより、凸部付き部材の製造において、凸部付き部材を凹部付き部材から剥離する際に、凹部付き部材や、形成される凸部にカケ等の欠陥が生じるのをより効果的に防止することができる。また、例えば、凸部付き部材をレンズ基板(マイクロレンズ基板)として用いた場合に、視野角特性を特に優れたものとすることができる。
本発明の凹部付き部材では、前記第2の凹部の深さは、5〜400μmであることが好ましい。
これにより、凸部付き部材の製造において、凸部付き部材を凹部付き部材から剥離する際に、凹部付き部材や、形成される凸部にカケ等の欠陥が生じるのをさらに効果的に防止することができる。
本発明の凹部付き部材では、前記第1の凹部の深さをD[μm]、前記第2の凹部の深さをD[μm]としたとき、3≦D−D≦495の関係を満足することが好ましい。
これにより、凸部付き部材の製造において、凸部付き部材を凹部付き部材から剥離する際に、凹部付き部材や、形成される凸部にカケ等の欠陥が生じるのをさらに効果的に防止することができる。
本発明の凹部付き部材では、前記第1の凹部は、凹部付き部材を平面視したときの縦幅が横幅よりも大きい扁平形状を有していることが好ましい。
これにより、凸部付き部材の製造において、凸部付き部材を凹部付き部材から剥離する際に、凹部付き部材や、形成される凸部にカケ等の欠陥が生じるのをさらに効果的に防止することができる。また、例えば、凸部付き部材をレンズ基板(マイクロレンズ基板)として用いた場合に、光の干渉によるモアレの発生をより効果的に防止するとともに、視野角特性を特に優れたものとすることができる。
本発明の凹部付き部材では、透明性を有する材料で構成されたものであることが好ましい。
これにより、例えば、凹部付き部材を、マイクロレンズ基板の製造に用いる場合に、凹部付き部材を凸部付き部材から取り外すことなく、ブラックマトリックスの形成等の工程を好適に行うことができる。その結果、製造されるマイクロレンズ基板の光の利用効率を特に優れたものとすることができる。
本発明の凹部付き部材では、前記第1の凹部は、短軸方向の長さをL[μm]、長軸方向の長さをL[μm]としたとき、0.10≦L/L≦0.99の関係を満足することが好ましい。
これにより、凸部付き部材の製造において、凸部付き部材を凹部付き部材から剥離する際に、凹部付き部材や、形成される凸部にカケ等の欠陥が生じるのをさらに効果的に防止することができる。また、例えば、凸部付き部材をレンズ基板(マイクロレンズ基板)として用いた場合に、光の干渉によるモアレの発生をより効果的に防止するとともに、視野角特性を特に優れたものとすることができる。
本発明の凸部付き部材の製造方法は、本発明の凹部付き部材を用いたことを特徴とする。
これにより、所望の形状の凸部を有する凸部付き部材を容易かつ確実に製造することができる凸部付き部材の製造方法を提供することができる。より詳しく説明すると、凸部付き部材を凹部付き部材から剥離する際に、凹部付き部材や、形成される凸部にカケ等の欠陥が生じるのを効果的に防止しつつ、凸部付き部材を製造することができる。
本発明の凸部付き部材の製造方法では、前記凹部付き部材の凹部が形成された面に、流動性を有する樹脂を供給する工程と、
前記樹脂を固化させ、固化物とする工程と、
前記固化物を前記凹部付き部材から剥離する工程とを有することが好ましい。
これにより、凸部付き部材を凹部付き部材から剥離する際に、凹部付き部材や、形成される凸部にカケ等の欠陥が生じるのをより効果的に防止しつつ、凸部付き部材を製造することができる。
本発明の凸部付き部材の製造方法では、前記固化物を前記凹部付き部材から剥離する工程は、前記固化物を、前記第2の凹部から剥離した後に、前記第1の凹部から剥離するようにして行うことが好ましい。
これにより、凸部付き部材を凹部付き部材から剥離する際に、凹部付き部材や、形成される凸部にカケ等の欠陥が生じるのをさらに効果的に防止しつつ、凸部付き部材を製造することができる。
本発明の凸部付き部材は、本発明の方法を用いて製造されたことを特徴とする。
これにより、所望の形状の凸部を有する(凹部付き部材の表面形状が忠実に転写された)凸部付き部材を提供することができる。
本発明の凸部付き部材では、透明性を有する材料で構成されたものであることが好ましい。
これにより、例えば、凸部付き部材を透過型スクリーン、リア型プロジェクタの構成部品(レンズ基板)として好適に用いることができる。
本発明の透過型スクリーンは、本発明の凸部付き部材を備えたことを特徴とする。
これにより、レンズの欠陥による画像の問題の発生が効果的に防止された透過型スクリーンを提供することができる。
本発明のリア型プロジェクタは、本発明の透過型スクリーンを備えたことを特徴とする。
これにより、レンズの欠陥による画像の問題の発生が効果的に防止されたリア型プロジェクタを提供することができる。
以下、本発明の、凹部付き部材、凸部付き部材の製造方法、凸部付き部材、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタについて、添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
なお、本発明において、「基板」とは、実質的に可撓性を有さない、比較的肉厚の大きいものから、シート状のものや、フィルム状のもの等の含む概念のことを指す。
本発明の凹部付き部材および凸部付き部材の用途は、特に限定されないが、本実施形態では、主に、凸部付き部材を透過型スクリーン、リア型プロジェクタを構成するマイクロレンズ基板(凸レンズ基板)として用い、凹部付き部材を前記のようなマイクロレンズ基板を製造するための型(マイクロレンズ基板製造用凹部付き部材)として用いるものとして説明する。
まず、本発明の凹部付き部材および凸部付き部材の製造方法についての説明に先立ち、本発明を適用して製造されたマイクロレンズ基板(凸部付き部材)および透過型スクリーンの構成について説明する。
図1は、本発明のマイクロレンズ基板(凸部付き部材)の好適な実施形態を示す模式的な縦断面図、図2は、図1に示すマイクロレンズ基板の平面図、図3は、図1に示すマイクロレンズ基板を備えた、本発明の透過型スクリーンの好適な実施形態を示す模式的な縦断面図である。なお、以下の説明では、図1、図3中の左側を「(光の)入射側」、右側を「(光の)出射側」と言う。また、本発明においては、特に断りのない限り、「(光の)入射側」、「(光の)出射側」とは、それぞれ、画像光(映像光)を得るための光の「入射側」、「出射側」のことを指し、外光等の「入射側」、「出射側」のことを指すものではない。
マイクロレンズ基板(凸部付き部材)1は、後述する透過型スクリーン10を構成する部材であり、図1に示すように、所定のパターンで配列された複数個のマイクロレンズ(凸部)21を備えた基板本体2と、遮光性を有する材料で構成されたブラックマトリックス(遮光層)3とを備えている。また、マイクロレンズ基板1の光の入射側(すなわち、マイクロレンズ21の光の入射側)には、着色部(外光吸収部)22が設けられている。
基板本体2は、通常、透明性を有する材料で構成される。
基板本体2の構成材料は、特に限定されないが、主として樹脂材料で構成され、所定の屈折率を有する透明な材料で構成されている。
基板本体2の具体的な構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド(例:ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6−12、ナイロン6−66)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば、ブレンド樹脂、ポリマーアロイ、積層体等として)用いることができる。
基板本体2を構成する樹脂材料は、一般に、各種気体(マイクロレンズ基板1が用いられる雰囲気)より大きな絶対屈折率を有するものであるが、絶対屈折率の具体的な値は、1.2〜1.9であるのが好ましく、1.35〜1.75であるのがより好ましく、1.45〜1.60であるのがさらに好ましい。樹脂材料の絶対屈折率が前記範囲内の値であると、光(入射光)の利用効率を特に優れたものとしつつ、視野角特性を特に優れたものとすることができる。
マイクロレンズ基板1は、光の入射する面側に凸面を有する凸レンズとしてのマイクロレンズ21を複数個備えている。
マイクロレンズ21は、マイクロレンズ基板1を平面視した際の縦幅が横幅よりも大きい扁平形状(ただし、略楕円形状、略俵形を含み、更に略円の上下をカットした形状を含む)を有している。マイクロレンズ21がこのような形状を有することにより、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止しつつ、視野角特性を特に優れたものとすることができる。特に、水平方向および鉛直方向の視野角特性をともに優れたものとすることができる。
平面視したときのマイクロレンズ21の短軸方向(横方向)の長さ(ピッチ)をL[μm]、長軸方向(縦方向)の長さ(ピッチ)をL[μm]としたとき、0.10≦L/L≦0.99の関係を満足するのが好ましく、0.5≦L/L≦0.95の関係を満足するのがより好ましく、0.6≦L/L≦0.8の関係を満足するのがさらに好ましい。上記のような関係を満足することにより、上述したような効果がさらに顕著なものとなる。
平面視したときのマイクロレンズ21の短軸方向の長さ(ピッチ)は、10〜500μmであるのが好ましく、30〜300μmであるのがより好ましく、50〜100μmであるのがさらに好ましい。マイクロレンズ21の短軸方向の長さが前記範囲内の値であると、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止しつつ、スクリーンに投影される画像において十分な解像度を得ることができるとともに、マイクロレンズ基板1(透過型スクリーン10)の生産性をさらに高めることができる。
また、平面視したときのマイクロレンズ21の長軸方向の長さ(ピッチ)は、15〜700μmであるのが好ましく、40〜400μmであるのがより好ましく、70〜150μmであるのがさらに好ましい。マイクロレンズ21の短軸方向の長さが前記範囲内の値であると、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止しつつ、スクリーンに投影される画像において十分な解像度を得ることができるとともに、マイクロレンズ基板1(透過型スクリーン10)の生産性をさらに高めることができる。
また、マイクロレンズ21の短軸方向方向についての曲率半径(以下、単に「マイクロレンズ21の曲率半径」とも言う)は、5〜250μmであるのが好ましく、15〜150μmであるのがより好ましく、25〜50μmであるのがさらに好ましい。マイクロレンズ21の曲率半径が前記範囲内の値であると、視野角特性を特に優れたものとすることができる。特に、水平方向および鉛直方向の視野角特性をともに優れたものとすることができる。
また、マイクロレンズ21の高さをH[μm]、マイクロレンズ21の短軸方向の長さをL[μm]としたとき、0.20≦L/H≦2.40の関係を満足するのが好ましく、0.5≦L/H≦1.9の関係を満足するのが好ましく、0.9≦L/H≦1.4の関係を満足するのがさらに好ましい。このような関係を満足することにより、光の干渉によるモアレの発生を効果的に防止しつつ、視野角特性を特に優れたものとすることができる。
また、これら複数個のマイクロレンズ21は、千鳥格子状に配列している。このようにマイクロレンズ21が配列することにより、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止することができる。これに対し、例えば、マイクロレンズが正方格子状等に配列したものであると、モアレ等の不都合の発生を十分に防止することが困難となる。また、マイクロレンズをランダムに配した場合、マイクロレンズが形成されている有効領域におけるマイクロレンズの占有率を十分に高めるのが困難となり、マイクロレンズ基板の光の透過率(光の利用効率)を十分に高めるのが困難となり、得られる画像が暗いものとなる。
上記のように、本実施形態において、マイクロレンズ21は、マイクロレンズ基板1を平面視したときに、千鳥格子状に配列しているが、複数のマイクロレンズ21で構成される第1の行25と、それに隣接する第2の行26とが、横方向に半ピッチ分だけずれているのが好ましい。これにより、光の干渉によるモアレの発生等をより効果的に防止するとともに、かつ、視野角特性を特に優れたものとすることができる。
上記のように、マイクロレンズ(凸部)の形状や配列方式、占有率等を厳密に規定することにより、光の干渉によるモアレの発生を効果的に防止しつつ、視野角特性を特に優れたものとすることができる。
また、各マイクロレンズ21は、入射側に突出した凸レンズとして形成されており、焦点fが、ブラックマトリックス(遮光層)3に設けられた開口部31の近傍に位置するように設計されている。すなわち、マイクロレンズ基板1に対して、ほぼ垂直な方向から入射した平行光La(後述するフレネルレンズ部5からの平行光La)は、マイクロレンズ基板1の各マイクロレンズ21によって集光され、ブラックマトリックス3の開口部31近傍で焦点fを結ぶ。このように、ブラックマトリックス3の開口部31の近傍でマイクロレンズ21が焦点を結ぶことにより、光の利用効率を特に優れたものとすることができる。また、開口部31の近傍でマイクロレンズ21が焦点を結ぶことにより、開口部31の面積を小さくすることができる。すなわち、マイクロレンズ基板1を平面視したときの、ブラックマトリックス3(開口部31以外の領域)で覆われた面積の割合を大きくすることができる。その結果、マイクロレンズ基板を透過した光により形成される画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。
また、マイクロレンズ基板1を光の入射面側(図2で示した方向)から平面視したときの、マイクロレンズ21が形成されている有効レンズ領域において、マイクロレンズ21の占有率は、90%以上であるのが好ましく、96%以上であるのがより好ましく、97〜99.5%であるのがさらに好ましい。マイクロレンズ21の占有率が90%以上であると、マイクロレンズ21以外を通過する直進光をより少なくすることができ、光利用効率をさらに向上させることができる。なお、マイクロレンズ21の占有率は、平面視したときのマイクロレンズ21の中心(頂部の中心)211と、当該マイクロレンズ21に隣接する、マイクロレンズ21が形成されていない部位の中心部とを結ぶ線分において、マイクロレンズ21が形成されている部位の長さL[μm]と、前記線分の長さL[μm]との比率(L/L×100[%])として求めることができる(図2参照)。
なお、上記のようなマイクロレンズ21が設けられた有効レンズ領域外には、通常、後に詳述する凹部付き部材6の第2の凹部62に対応する凸部が設けられた領域が存在するが、このような凸部(第2の凹部62に対応する凸部)は、後述するような製造方法により、基板本体2を得た後、研削、研磨等の方法により除去されてもよいし、また、第2の凹部62に対応する凸部が形成された領域は、切断等により除去されてもよい。言い換えると、マイクロレンズ基板1は、第2の凹部62に対応する凸部を備えていなくてもよい。
また、前述したように、マイクロレンズ基板1の光の入射側(すなわち、マイクロレンズ21の光の入射側)には、着色部22が設けられている。着色部22は、入射側から入射した光を十分に透過することができるとともに、外光(例えば、光の出射側等から不本意に入射した外光等)が、出射側に反射するのを防止する機能を有する。このような着色部を有することにより、コントラストに優れた画像を得ることができる。
特に、本実施形態において、着色部22は、後に詳述するように、基板本体2に着色液(特に、組成に特徴を有する着色液)を付与することにより形成されたものである。より詳しく説明すると、着色部22は、後に詳述するような着色液を基板本体2に付与することにより、着色剤が基板本体2(マイクロレンズ21)の内部に含浸して形成されたものである。着色部22がこのようにして形成されたものであると、基板本体上に着色層を積層(外付け)した場合に比べて、着色層の密着性が高くなる。その結果、例えば、界面付近での屈折率の変化等によるマイクロレンズ基板の光学特性への悪影響の発生をより確実に防止することができる。
また、着色部22は、基板本体2に着色液を付与することにより形成されたものであるため、各部位での厚さのばらつき(特に、基板本体の表面形状に対応しない厚さのばらつき)が小さい。これにより、投射される画像において、色ムラ等の不都合が発生するのをより確実に防止することができる。
また、着色部22は、着色剤を含む材料で構成されているものの、通常、その主成分は、基板本体2(マイクロレンズ21)の主成分と同一である。したがって、着色部22と、それ以外の非着色部との境界付近での急激な屈折率の変化等が生じ難い。したがって、マイクロレンズ基板1全体としての光学特性を設計し易く、また、マイクロレンズ基板1としての光学特性は安定し、信頼性の高いものとなる。
着色部22の濃度は、特に限定されないが、分光透過率に基づいたY値(D65/2°視野)で20〜85%であるのが好ましく、35〜70%であるのがより好ましく、35〜70%であるのがさらに好ましい。着色部22の濃度が前記範囲内の値であると、マイクロレンズ基板を透過した光により形成される画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。これに対し、着色部22の濃度が前記下限値未満であると、入射光の透過率が低下し、得られる画像において十分な輝度が得られず、結果として、画像のコントラストが不十分となる可能性がある。また、着色部22の濃度が前記上限値を超えると、外光(光の入射側とは反対側から入射する外光)の反射を十分に防止することが困難となり、明室において光源を全消灯させた際の、黒表示の表面輝度の増加量(黒輝度)が大きくなるため、画像のコントラストを向上させるという効果が十分に得られない可能性がある。
着色部22の色は、特に限定されないが、青色を基調とし、赤色あるいは茶色あるいは黄色を混色した着色剤を用い、外観としては無彩色で黒色であり、光源の光の三原色のバランスを制御する特定の波長の光を選択的に吸収または透過するものであるのが好ましい。これにより、外光の反射を防止し、マイクロレンズ基板を透過した光により形成される画像の色調を正確に表現し、さらに色座標が広く(色調の表現の幅が十分に広く)、より深い黒を表現できることで、結果的にコントラストを特に優れたものとすることができる。
また、マイクロレンズ基板1の光の出射側の面には、ブラックマトリックス3が設けられている。ブラックマトリックス3は、遮光性を有する材料で構成され、層状に形成されたものである。このようなブラックマトリックス3を有することにより、当該ブラックマトリックス3に、外光(投影画像を形成する上で好ましくない外光)を吸収させることができ、スクリーンに投影される画像を、コントラストに優れたものとすることができる。特に、前述したような着色部22を有するとともに、ブラックマトリックス3を有することにより、マイクロレンズ基板1による画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。
このようなブラックマトリックス3は、各マイクロレンズ21を透過した光の光路上に開口部31を有している。これにより、各マイクロレンズ21で集光された光を、効率良く、ブラックマトリックス3の開口部31を通過させることができる。その結果、マイクロレンズ基板1の光利用効率を高いものとすることができる。
また、ブラックマトリックス3の厚さ(平均厚さ)は、0.01〜5μmであるのが好ましく、0.01〜3μmであるのがより好ましく、0.03〜1μmであるのがさらに好ましい。ブラックマトリックス3の厚さが前記範囲内の値であると、ブラックマトリックス3の不本意な剥離、クラック等をより確実に防止しつつ、ブラックマトリックス3としての機能をより効果的に発揮させることができ、例えば、マイクロレンズ基板1を備えた透過型スクリーン10において、投影される画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。
次に、上述したようなマイクロレンズ基板1を備えた透過型スクリーン10について説明する。
図3に示すように、透過型スクリーン10は、フレネルレンズ部5と、前述したマイクロレンズ基板1とを備えている。フレネルレンズ部5は、光(画像光)の入射側に設置されており、フレネルレンズ部5を透過した光が、マイクロレンズ基板1に入射する構成になっている。
フレネルレンズ部5は、出射側表面に、ほぼ同心円状に形成されたプリズム形状のフレネルレンズ51を有している。このフレネルレンズ部5は、投射レンズ(図示せず)からの画像光を屈折させ、マイクロレンズ基板1の主面の垂直方向に平行な平行光Laにするものである。
以上のように構成された透過型スクリーン10では、投射レンズからの映像光が、フレネルレンズ部5によって屈折し、平行光Laとなる。そして、この平行光Laは、マイクロレンズ基板1の着色部が形成された面側からに入射し、各マイクロレンズ21によって集光し、焦点を結んだ後に拡散する。
このとき、マイクロレンズ基板1に入射した光は、十分な透過率でマイクロレンズ基板1を透過する。開口部31を通過した光は、拡散し、観察者に平面画像として観測される。
次に、上述したマイクロレンズ基板(凸部付き部材)1の製造に好適に用いることができる本発明の凹部付き部材(マイクロレンズ基板製造用凹部付き部材)、および、その製造方法について説明する。
図4は、マイクロレンズ基板の製造に用いる本発明の凹部付き部材の第1実施形態を示す模式的な平面図、図5(a)は、図4に示す凹部付き部材の部分拡大図であり、図5(b)は模式的な縦断面図である。図6、図7は、図4、図5に示す凹部付き部材の製造方法を示す模式的な縦断面図である。なお、凹部付き部材の製造においては、実際には基板上に多数の凹部を形成し、マイクロレンズ基板の製造においては、実際には基板上に多数の凸部を形成するが、ここでは、説明をわかりやすくするために、その一部分を強調して示した。
まず、マイクロレンズ基板(凸部付き部材)の製造に用いる凹部付き部材(マイクロレンズ基板製造用凹部付き部材)の構成について説明する。
凹部付き部材(マイクロレンズ基板製造用凹部付き部材)6は、例えば、各種金属材料、各種ガラス材料、各種樹脂材料等、いかなる材料で構成されたものであってもよい。
凹部付き部材6が、形状の安定性に優れた材料で構成される場合、第1の凹部61の形状の安定性(信頼性)や、当該第1の凹部61を用いて形成されるマイクロレンズ21の寸法精度等を特に優れたものとすることができ、レンズ基板としての光学特性を特に信頼性の高いものとすることができる。このような形状の安定性に優れる材料としては、例えば、各種金属材料、各種ガラス材料等が挙げられる。
また、凹部付き部材6が、透明性を有する材料で構成される場合、後述するようなマイクロレンズ基板1の製造方法において、凹部付き部材6を基板本体2に密着させた状態で(凹部付き部材6を基板本体2から取り外すことなく)、ブラックマトリックス3を形成することができる。これにより、基板本体2の取り扱い性が向上し、ブラックマトリックス3を好適に形成することができる。このような透明性を有する材料としては、例えば、各種樹脂材料、各種ガラス材料等が挙げられる。
凹部付き部材(マイクロレンズ基板製造用凹部付き部材)6は、マイクロレンズ基板(凸部付き部材)1を構成するマイクロレンズ21(凸部)に対応する形状を有し、かつ、前記マイクロレンズ21の配列方式に対応する方式で配列した、複数個の第1の凹部(マイクロレンズ形成用凹部)61を備えており、これらの第1の凹部61は、通常、マイクロレンズ21と、実質的に同一の(マイクロレンズが凸部であるのに対し凹部であり、かつ、転写された形状、位置関係である以外は同一の)形状(寸法)、配列方式を有している。
より詳しく説明すると、第1の凹部(マイクロレンズ形成用凹部)61は、凹部付き部材(マイクロレンズ基板製造用凹部付き部材)6を平面視した際の縦幅が横幅よりも大きい扁平形状(ただし、略楕円形状、略俵形を含み、更に略円の上下をカットした形状を含む)を有している。第1の凹部61がこのような形状を有することにより、凸部付き部材としてのマイクロレンズ基板1(基板本体2)の製造において、凸部付き部材(基板本体2)を凹部付き部材6から剥離する際に、凹部付き部材6や、形成されるマイクロレンズ21にカケ等の欠陥が生じるのをより効果的に防止することができる。また、製造されるマイクロレンズ基板1においては、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止しつつ、視野角特性を特に優れたものとすることができるマイクロレンズ基板1の製造に好適に用いることができる。
また、平面視したときの第1の凹部61の短軸方向(横方向)の長さ(ピッチ)をL[μm]、長軸方向(縦方向)の長さ(ピッチ)をL[μm]としたとき、0.10≦L/L≦0.99の関係を満足するのが好ましく、0.5≦L/L≦0.95の関係を満足するのがより好ましく、0.6≦L/L≦0.8の関係を満足するのがさらに好ましい。上記のような関係を満足することにより、上述したような効果がさらに顕著なものとなる。
また、平面視したときの第1の凹部61の短軸方向の長さ(ピッチ)は、10〜500μmであるのが好ましく、30〜300μmであるのがより好ましく、50〜100μmであるのがさらに好ましい。第1の凹部61の短軸方向の長さが前記範囲内の値であると、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止しつつ、スクリーンに投影される画像において十分な解像度を得ることができるとともに、マイクロレンズ基板1(凹部付き部材6)の生産性をさらに高めることができる。
また、平面視したときの第1の凹部61の長軸方向の長さ(ピッチ)は、15〜700μmであるのが好ましく、40〜400μmであるのがより好ましく、70〜150μmであるのがさらに好ましい。第1の凹部61の短軸方向の長さが前記範囲内の値であると、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止しつつ、スクリーンに投影される画像において十分な解像度を得ることができるとともに、マイクロレンズ基板1(凹部付き部材6)の生産性をさらに高めることができる。
また、第1の凹部61の短軸方向方向についての曲率半径(以下、単に「第1の凹部61の曲率半径」とも言う)は、5〜250μmであるのが好ましく、15〜150μmであるのがより好ましく、25〜50μmであるのがさらに好ましい。第1の凹部61の曲率半径が前記範囲内の値であると、視野角特性を特に優れたものとすることができる。特に、水平方向および鉛直方向の視野角特性をともに優れたものとすることができる。
また、第1の凹部61の深さは、8〜500μmであるのが好ましく、15〜150μmであるのがより好ましく、25〜50μmであるのがさらに好ましい。第1の凹部61の深さが前記範囲内の値であると、凸部付き部材としてのマイクロレンズ基板1(基板本体2)の製造において、凸部付き部材(基板本体2)を凹部付き部材6から剥離する際に、凹部付き部材6や、形成されるマイクロレンズ21にカケ等の欠陥が生じるのをより効果的に防止することができる。また、製造されるマイクロレンズ基板1の視野角特性を特に優れたものとすることができる。
また、第1の凹部61の深さをD[μm]、第1の凹部61の短軸方向の長さをL[μm]としたとき、0.20≦L/D≦2.40の関係を満足するのが好ましく、0.5≦L/D≦1.9の関係を満足するのがより好ましく、0.9≦L/D≦1.4の関係を満足するのがさらに好ましい。このような関係を満足することにより、光の干渉によるモアレの発生を効果的に防止しつつ、視野角特性を特に優れたものとすることができる。
また、(マイクロレンズ基板1の有効レンズ領域に対応する領域)における第1の凹部61の密度は、特に限定されないが、1000〜50万個/cmであるのが好ましく、5000〜20万個/cmであるのがより好ましく、1万〜10万個/cmであるのがさらに好ましい。第1の凹部61の密度が前記範囲内の値であると、凹部付き部材6を用いて製造されるマイクロレンズ基板1において、十分に解像度の高い画像を得ることができるとともに、後述するようなマイクロレンズ基板1の製造方法において、凹部付き部材6やマイクロレンズ21にカケ等の欠損が生じるのをより効果的に防止することができる。
また、これら複数個の第1の凹部61は、千鳥格子状に配列している。このように第1の凹部61が配列することにより、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止することができる。これに対し、例えば、第1の凹部61が正方格子状等に配列したものであると、モアレ等の不都合の発生を十分に防止することが困難となる。また、第1の凹部61をランダムに配した場合、第1の凹部61が形成されている有効レンズ領域における第1の凹部61の占有率を十分に高めるのが困難となり、マイクロレンズ基板(凸部付き部材)の光の透過率(光の利用効率)を十分に高めるのが困難となり、得られる画像が暗いものとなる。
また、上記のように、本実施形態において、第1の凹部61は、凹部付き部材6を平面視したときに、千鳥格子状に配列しているが、複数の第1の凹部61で構成される第1の行と、それに隣接する第2の行とが、横方向に半ピッチ分だけずれているのが好ましい。これにより、凸部付き部材としてのマイクロレンズ基板1(基板本体2)の製造において、凸部付き部材(基板本体2)を凹部付き部材6から剥離する際に、凹部付き部材6や、形成されるマイクロレンズ21にカケ等の欠陥が生じるのをより効果的に防止することができる。また、製造されるマイクロレンズ基板1においては、光の干渉によるモアレの発生等をより効果的に防止するとともに、かつ、視野角特性を特に優れたものとすることができる。
ところで、多数の凹部を有する凹部付き部材を用いて、これらに対応する凸部(凸レンズ)を有する凸部付き部材を製造する場合、凸部付き部材を凹部付き部材から剥離するのが困難であるという問題があった。これは、凹部付き部材の表面に形成された微細なパターンがアンカー効果により互いに食いついた状態になるためであると考えられる。また、凹部付き部材を製造された凸部付き部材から、無理に剥離させようとすると、凹部付き部材や、転写により形成された凸部(凸レンズ)にカケ等の欠陥を生じるという問題があった。そして、上記のようなことから、凸部付き部材の歩留りが著しく低下するという問題があった。また、上記のような問題は、凹部付き部材を繰り返し用いることにより、さらに発生し易くなる傾向があった。そこで、上記のような問題を解決する目的で、本発明者は、鋭意研究を行った。その結果、凸部付き部材を凹部付き部材から剥離する場合、凹部付き部材、凸部付き部材にかかる応力は、剥離の初期の段階(より詳しくは、複数の、凹部とこれに対応する凸部との組み合わせにおいて、初期の段階で剥離される組み合わせの剥離が進行する段階)において大きくなり、一旦、剥離(凹部と当該凹部内に形成された凸部との剥離)が進行すると低下することを見出し、さらに、形成すべき凸部に対応する凹部(第1の凹部)が設けられた領域(第1の領域、有効領域)外に、前記凹部(第1の凹部)よりも深さの浅い凹部(第2の凹部)を設けることにより、凹部付き部材、形成すべき凸部に欠陥が生じるのを効果的に防止できること、特に、凹部付き部材を繰り返し用いた場合であっても、上記のような問題が発生するのを効果的に防止できることを見出した。
そして、本実施形態においても、凹部付き部材(マイクロレンズ基板製造用凹部付き部材)6は、上述したような第1の凹部61に加えて、第1の凹部61が設けられた領域(マイクロレンズ基板1の有効レンズ領域に対応する第1の領域67)外(第1の領域67よりも外側)に、複数の第2の凹部62を有している。より具体的には、凹部付き部材6と基板本体(凸部付き部材)2との剥離開始側において、第1の凹部61が設けられた第1の領域67よりも端部側に第2の凹部62が設けられた第2の領域68が設けられている。
このように、第1の凹部61が設けられた第1の領域67よりも、剥離開始側に第2の凹部62(第2の領域68)を設けることにより、剥離の際、凹部付き部材6および形成された基板本体2にかかる応力を当該第2の凹部62の形成領域(マイクロレンズ基板1の非有効レンズ領域に対応する部位に設けられた第2の領域68)で吸収させることができる。これにより、第1の凹部61の形成領域(第1の領域67)およびマイクロレンズ基板1の有効レンズ領域において、剥離の際にかかる応力が緩和されたものとなり、比較的小さな力で、剥離を安定して行うことができ、凹部付き部材6や基板本体2の凹凸パターンに欠陥を生じるのを効果的に防止することができる。その結果、凹部付き部材6の寿命を長いものとすることができる。また、本発明の凹部付き部材6を用いることで、マイクロレンズ基板1(基板本体2)を安定して製造することができ、生産性を高めることができる。そして本発明の凹部付き部材6を用いて製造された本発明のマイクロレンズ基板(凸部付き部材)1は、凹凸パターンの欠け等の欠陥が効果的に防止され、優れた品質(特に優れた光学特性)を有するものとなる。また、マイクロレンズ基板1の生産性を向上させることができる。
第2の凹部62の深さは、第1の凹部61の深さより浅いものであればよく、その具体的な値は、特に限定されないが、5〜400μmであるのが好ましく、15〜150μmであるのがより好ましく、25〜50μmであるのがさらに好ましい。第2の凹部62の深さが前記範囲内の値であると、凸部付き部材としてのマイクロレンズ基板1(基板本体2)の製造において、凸部付き部材(基板本体2)を凹部付き部材6から剥離する際に、凹部付き部材6や、形成されるマイクロレンズ21にカケ等の欠陥が生じるのをさらに効果的に防止することができる。
また、第1の凹部61の深さをD[μm]、第2の凹部62の深さをD[μm]としたとき、3≦D−D≦495の関係を満足するのが好ましく、5≦D−D≦200の関係を満足するのがより好ましく、10≦D−D≦50の関係を満足するのがさらに好ましい。このような関係を満足することにより、凸部付き部材としてのマイクロレンズ基板1(基板本体2)の製造において、凸部付き部材(基板本体2)を凹部付き部材6から剥離する際に、凹部付き部材6や、形成されるマイクロレンズ21にカケ等の欠陥が生じるのをさらに効果的に防止することができる。
また、本実施形態において、第2の凹部62は、第1の凹部61よりも、平面視したときの大きさ(凹部付き部材6を平面視したときの大きさ)が小さい。このように、第2の凹部62が、第1の凹部61よりも小さいことにより、剥離の際、凹部付き部材6、基板本体2にかかる応力を第2の凹部62付近で効率良く吸収させることができ、前述したような効果をさらに顕著なものとして発揮させることができる。また、第2の凹部62の大きさが比較的浅いものであると、第2の凹部62付近に係る応力も小さくすることができる。したがって、凹部付き部材6(特に、第2の凹部62付近)の形状の安定性を特に優れたものとすることができ、結果として、凹部付き部材6の耐久性を特に優れたものとすることができる。また、マイクロレンズ基板1の生産性も向上する。
また、本実施形態において、第2の凹部62は、その形成領域である第2の領域68における密度(凹部付き部材6を平面視したときの単位面積あたりの個数)が、第1の領域67における第1の凹部61の密度より低いものである。このような第2の凹部62(第2の領域67)が設けられることにより、前述したような効果をより顕著なものとして発揮させることができるとともに、第2の凹部62の形状の安定性も向上し、凹部付き部材6の耐久性が特に優れたものとなり、マイクロレンズ基板1の歩留り向上にも寄与することができる。
第2の領域68における第2の凹部62の密度は、特に限定されないが、1000〜50万個/cmであるのが好ましく、5000〜20万個/cmであるのがより好ましく、1万〜10万個/cmであるのがさらに好ましい。第2の凹部62の密度が前記範囲内の値であると、前述したような効果をさらに顕著なものとして発揮させることができるとともに、第2の凹部62の形状の安定性も向上し、凹部付き部材6の耐久性が特に優れたものとなる。
また、第1の領域68における第1の凹部61の密度をd[個/cm]、第2の領域68における第2の凹部62の密度をd[個/cm]としたとき、0.01≦d/d≦100の関係を満足するのが好ましく、0.05≦d/d≦50の関係を満足するのがより好ましく、0.1≦d/d≦10の関係を満足するのがさらに好ましい。このような関係を満足することにより、前述したような効果をさらに顕著なものとして発揮させることができるとともに、第2の凹部62の形状の安定性も向上し、凹部付き部材6の耐久性が特に優れたものとなる。
また、本実施形態においては、第2の凹部は、第1の凹部61が形成されている側(第1の領域67側)から、凹部付き部材6の端部に向かって、第2の凹部62の密度が、次第に疎になるように設けられている。これにより、前述したような効果をさらに顕著なものとして発揮させることができるとともに、第2の凹部62の形状の安定性も向上し、凹部付き部材6の耐久性が特に優れたものとなる。
第2の凹部62の形状(凹部付き部材6を平面視した得の形状)としては、特に限定されるものではないが、例えば、円形状、縦幅が横幅よりも大きい扁平形状、横幅が縦幅よりも大きい扁平形状等が挙げられる。
第2の領域68における第2の凹部62の数は特に限定されないが、第2の凹部62が列状(剥離方向に対して略垂直方向の列状)に設けられたものである場合、第2の凹部62は、10〜5万列程度設けられているのが好ましく、500〜1万列程度設けられているのがより好ましく、2000〜5000列程度設けられているのがさらに好ましい。これにより、マイクロレンズ基板1の非有効レンズ領域が必要以上に大きくなるのを防ぎつつ、上述したような効果を十分に顕著なものとして発揮させることができるとともに、第2の凹部62の形状の安定性も向上し、凹部付き部材6の耐久性が特に優れたものとなる。
また、第2の凹部62が列状(剥離方向に対して略垂直方向の列状)に設けられたものである場合、隣接する列のピッチ(平均)は、特に限定されないが、例えば、20〜1000μmであるのが好ましく、30〜700μmであるのがより好ましく、50〜500μmであるのがさらに好ましい。隣接する列のピッチが前記範囲内の値であると、前述したような効果をさらに顕著なものとして発揮させることができるとともに、第2の凹部62の形状の安定性も向上し、凹部付き部材6の耐久性が特に優れたものとなる。
第2の領域68の剥離方向についての長さ(図4中Lで示す長さ)は、特に限定されないが、例えば、20〜500μmであるのが好ましく、30〜350μmであるのがより好ましく、50〜200μmであるのがさらに好ましい。第2の領域68の剥離方向についての長さが前記範囲内の値であると、マイクロレンズ基板1の非有効レンズ領域が必要以上に大きくなるのを防ぎつつ、上述したような効果を十分に顕著なものとして発揮させることができるとともに、凹部付き部材6の耐久性を特に優れたものとすることができる。
上記のように、凹部付き部材(マイクロレンズ基板製造用凹部付き部材)6からマイクロレンズ基板(凸部付き部材)1を剥離する際に、部材にかかる応力が第2の凹部62付近で吸収され、第1の凹部61、マイクロレンズ21の形成領域における凹凸パターンの破壊が防止される。したがって、凹部付き部材6は、長寿命で、取り扱い性に優れている。
さらに、凹部付き部材6を成形型として用いることで、凹凸の破壊やばらつきの発生を効果的に防止し、凹凸パターンが忠実に転写され、光学特性に優れたマイクロレンズ基板(凸部付き部材)1を得ることができる。また、このようなマイクロレンズ基板(凸部付き部材)1を備えた透過型スクリーン、リア型プロジェクタは、高画質の画像を安定的に表示することができるものとなる。
なお、上記の説明では、第1の凹部61が、マイクロレンズ基板(凸部付き部材)1を構成する凸部(マイクロレンズ21)と、実質的に同一の形状(寸法)、配列方式を有しているものとして説明したが、例えば、マイクロレンズ基板(凸部付き部材)1の基板本体2の構成材料が収縮し易いものである場合(基板本体2を構成する樹脂材料が固化等により収縮する場合)、その収縮率等を考慮し、マイクロレンズ基板1を構成するマイクロレンズ(凸部)21と、凹部付き部材(マイクロレンズ基板製造用凹部付き部材)6を構成する第1の凹部61とについて、これらの間で、形状(寸法)、占有率等が異なるようにしてもよい。また、このような場合、従来の方法(従来の凹部付き基板を用いた方法)では、凹部付き基板やマイクロレンズ基板におけるカケ等の不都合がより発生し易かったが、本発明においては、このような場合であっても、上記のような不都合の発生を効果的に防止することができる。
次に、凹部付き部材6の製造方法について、図6、図7を参照しつつ説明する。なお、実際には基板上に多数の凹部を形成するが、ここでは、説明をわかりやすくするために、その一部分を強調して示した。
まず、凹部付き部材6を製造するに際し、基板7を用意する。
この基板7は、厚さが均一で、たわみや傷のないものが好適に用いられる。また、基板7は、洗浄等により、その表面が清浄化されているものが好ましい。
基板7の材料としてはソーダガラス、結晶性ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス等が挙げられるが、中でも、ソーダガラス、結晶性ガラス(例えば、ネオセラム等)、無アルカリガラスが好ましい。ソーダガラス、結晶性ガラス、無アルカリガラスは、加工が容易であるとともに、比較的安価であり、製造コストの面からも有利である。
<A1>図6(a)に示すように、用意した基板7の表面に、マスク形成用膜85を形成する(被覆工程)。このマスク形成用膜85は、後の工程において開口部(初期孔)が形成されることにより、マスクとして機能するものである。また、これとともに、基板7の裏面(マスク形成用膜85を形成する面と反対側の面)に裏面保護膜89を形成する。もちろん、マスク形成用膜85および裏面保護膜89は同時に形成することもできる。
マスク形成用膜85(マスク8)の構成材料は、特に限定されず、例えば、Cr、Au、Ni、Ti、Pt等の金属やこれらから選択される2種以上を含む合金、前記金属の酸化物(金属酸化物)、シリコン、樹脂等が挙げられる。
また、マスク形成用膜85(マスク8)は、例えば、実質的に均一な組成を有するものであってもよいし、異なる複数の層を有する積層体等であってもよい。
上記のように、マスク形成用膜85(マスク8)の構成は、特に限定されるものではないが、主としてCrで構成される層と、主として酸化Crで構成される層とを有する積層体であるのが好ましい。このような構成のマスク形成用膜85(マスク8)は、様々な組成のエッチング液に対して優れた安定性を有している(後述するエッチング工程において基板7をより確実に保護することができる)とともに、後述するようなレーザ光の照射等により、所望の形状の開口部を容易かつ確実に形成することができる。また、マスク形成用膜85(マスク8)が上記のような構成のものであると、例えば、後述するエッチング工程において、エッチング液として一水素二フッ化アンモニウムを含む液体を好適に用いることができる。一水素二フッ化アンモニウムは毒劇物ではないため、作業中の人体や環境への影響をより確実に防止することができる。また、上記のような構成のマスク形成用膜85(マスク8)は、マスク形成用膜(マスク)の内部応力を効率良く緩和することができ、基板7との密着性(特に、エッチング工程における密着性)に特に優れている。このようなことから、上記のような構成のマスク形成用膜85(マスク8)を用いることにより、所望の形状の第1の凹部61を容易かつ確実に形成することができる。
マスク形成用膜85の形成方法は特に限定されないが、マスク形成用膜85をCr、Au等の金属材料(合金を含む)や金属酸化物(例えば酸化Cr)で構成されたものとする場合、マスク形成用膜85は、例えば、蒸着法やスパッタリング法等により、好適に形成することができる。また、マスク形成用膜85をシリコンで構成されたものとする場合、マスク形成用膜85は、例えば、スパッタリング法やCVD法等により、好適に形成することができる。
マスク形成用膜85(マスク8)の厚さは、マスク形成用膜85を構成する材料によっても異なるが、0.01〜2.0μm程度が好ましく、0.03〜0.2μm程度がより好ましい。厚さが前記下限値未満であると、マスク形成用膜85の構成材料等によっては、後述する初期孔形成工程(開口部形成工程)において形成される初期孔(特に、第1の初期孔81)の形状が歪んでしまう可能性がある。また、後述するエッチング工程でウェットエッチングを施す際に、基板7のマスクした部分を十分に保護できない可能性がある。一方、上限値を超えると、マスク形成用膜85(マスク8)の構成材料等によっては、後述する初期孔形成工程(開口部形成工程)において、貫通する初期孔を形成するのが困難になるほか、マスク8の内部応力によりマスク8が剥がれ易くなる場合がある。
裏面保護膜89は、次工程以降で基板7の裏面を保護するためのものである。この裏面保護膜89により、基板7の裏面の侵食、劣化等が好適に防止される。この裏面保護膜89は、例えば、マスク形成用膜85と同様の構成を有している。このため、裏面保護膜89は、マスク形成用膜85の形成と同時に、マスク形成用膜85と同様に設けることができる。
<A2>次に、図6(b)に示すように、マスク形成用膜85に、後述するエッチングの際のマスク開口となる、複数個の第1の初期孔81および複数個の第2の初期孔82を形成する(初期孔形成工程)。これにより、所定の開口パターンを有するマスク8が得られる。
第1の初期孔81および第2の初期孔82の形成方法は、特に限定されないが、レーザ光の照射による方法であるのが好ましい。これにより、所望のパターンに配列した所望の形状の第1の初期孔81および第2の初期孔82を容易かつ精確に形成することができる。その結果、凹部(第1の凹部61および第2の凹部62)の形状、配列方式等をより確実に制御することができる。また、第1の初期孔81および第2の初期孔82をレーザの照射により形成することにより、凹部付き部材6を生産性良く製造することができる。特に、大面積の基板にも簡単に凹部を形成することができる。また、レーザ光の照射により初期孔(第1の初期孔81、第2の初期孔82)を形成する場合、その照射条件を制御することにより、後述するような初期凹部(特に、第2の初期孔82に対応する部位における初期凹部)を形成することなく初期孔(第1の初期孔81、第2の初期孔82)を形成したり、初期孔(第1の初期孔81、第2の初期孔82)とともに、形状、大きさ、深さのばらつきの小さい初期凹部(初期凹部71)を、容易かつ確実に形成することができる。また、レーザ光の照射でマスク形成用膜85に初期孔(第1の初期孔81、第2の初期孔82)を形成することで、従来のようなフォトリソグラフィ法によって開口部を形成する場合に比べて、簡単かつ安価にマスク形成用膜85に開口部(第1の初期孔81、第2の初期孔82)を形成することができる。
また、レーザ光の照射により第1の初期孔81および第2の初期孔82を形成する場合、使用するレーザ光の種類は、特に限定されないが、ルビーレーザ、半導体レーザ、YAGレーザ、フェムト秒レーザ、ガラスレーザ、YVOレーザ、Ne−Heレーザ、Arレーザ、COレーザ、エキシマレーザ等が挙げられる。また、各レーザのSHG、THG、FHG等の波長を使っても良い。
マスク形成用膜85に第1の初期孔81および第2の初期孔82を形成するとき、図6(b)に示すように、マスク形成用膜85だけでなく基板7の表面の一部も同時に除去し、初期凹部71を形成してもよい。これにより、後述するエッチング工程でエッチングを施す際に、エッチング液との接触面積が大きくなり、侵食を好適に開始することができる。また、この初期凹部71の深さの調整により、第1の凹部61の深さ(レンズの最大厚さ)および第2の凹部62の深さを調整することもできる。特に、本実施形態においては、図示のように、第1の凹部61(第1の初期孔81)に対応する部位のみに初期凹部71を形成し、第2の凹部62(第2の初期孔82)に対応する部位のみには初期凹部を形成していない。これにより、第1の凹部61の深さと、第2の凹部62の深さとの差を、容易かつ確実に比較的大きなものとすることができる。このような初期凹部の形成、非形成は、レーザ光の照射条件を制御することにより、容易かつ確実に管理することができる。
初期凹部71の深さは、特に限定されないが、5μm以下とするのが好ましく、0.1〜0.5μm程度とするのがより好ましい。なお、第1の初期孔81、第2の初期孔82の形成をレーザの照射により行う場合、第1の初期孔81とともに形成される複数個の初期凹部71について、深さのばらつきをより確実に小さくすることができる。これにより、凹部付き部材6を構成する各第1の凹部61の深さのばらつきも小さくなり、最終的に得られるマイクロレンズ基板1の各マイクロレンズ21の大きさ、形状のばらつきも小さくなる。その結果、各マイクロレンズ21の大きさ、焦点距離、レンズ厚さのばらつきを特に小さくさせることができる。
本工程で形成する初期孔81は、その形状、大きさは特に限定されないが、略円形で、その直径が、0.8〜20μmであるのが好ましく、1.0〜10μmであるのがより好ましく、1.5〜4μmであるのがさらに好ましい。初期孔81の直径が前記範囲内の値であると、後述するエッチング工程において、前述したような形状の第1の凹部61を確実に形成することができる。ただし、初期孔81が、略楕円形のように扁平形状のものである場合、短軸方向の長さを、直径の値として代用することができる。すなわち、本工程で形成する初期孔81が扁平形状のものである場合、初期孔81の幅(短軸方向の長さ)は、特に限定されないが、0.8〜20μmであるのが好ましく、1.0〜10μmであるのがより好ましく、1.5〜4μmであるのがさらに好ましい。初期孔81の幅が前記範囲内の値であると、後述するエッチング工程において、前述したような形状の凹部61を確実に形成することができる。
また、本工程で形成する初期孔81が扁平形状のものである場合、初期孔81の長さ(長軸方向の長さ)は、0.9〜50μmであるのが好ましく、1.5〜20μmであるのがより好ましく、2.0〜15μmであるのがさらに好ましい。初期孔81の長さが前記範囲内の値であると、後述するエッチング工程において、前述したような形状の凹部61をより確実に形成することができる。
また、被覆されたマスク形成用膜85に対してレーザ光の照射で第1の初期孔81、第2の初期孔82を形成するだけでなく、例えば、基板7にマスク形成用膜85(マスク8)を被覆する際に、予め基板7上に所定パターンで異物を配しておき、その上にマスク形成用膜85を被覆することでマスク形成用膜85に積極的に欠陥を形成し、当該欠陥を第1の初期孔81、第2の初期孔82としてもよい。
なお、図示の構成では、初期凹部は、第1の凹部(第1の初期孔)に対応する部位のみに形成するものとして説明したが、第2の凹部(第2の初期孔)に対応する部位にも初期凹部を形成してもよい。このような場合、第1の凹部(第1の初期孔)に対応する部位の初期凹部と、第2の凹部(第2の初期孔)に対応する部位の初期凹部とで、その深さ、形状等を異なるものとしてもよい。例えば、第2の凹部に対応する部位の初期凹部の深さを、第1の凹部に対応する部位の初期凹部の深さよりも浅くしてもよい。
<A3>次に、図6(c)に示すように、マスク8上の第2の初期孔82が設けられた領域(第2の領域68に対応する領域)に、耐エッチング性を有するシール部材(テープ)88を密着させる(貼着する)。
<A4>次に、基板7のエッチングを行う(エッチング工程)。
エッチングの方法は、特に限定されず、例えば、ウェットエッチング、ドライエッチング等が挙げられる。以下の説明では、ウェットエッチングを用いる場合を例に挙げて説明する。
まず、第1の初期孔81および第2の初期孔82を有するマスク8およびシール部材88で被覆された基板7に対して、エッチング(ウェットエッチング)を施す。これにより、図6(d)に示すように、基板7の第1の初期孔81(マスク8の第1の初期孔81)に対応する部位においては食刻が進行し、シール部材88で覆われた部分は食刻されない。
そして、エッチング途中でシール部材88を除去する。これにより、シール部材88で覆われていた、基板7の第2の初期孔82(マスク8の第2の初期孔82)に対応する部位においても食刻が開始されることとなり、図7(e)に示すように、第1の凹部61と、当該第1の凹部61の深さよりも浅い深さの第2の凹部62とが形成される。
上述したように、本実施形態においては、マスク8に設けられた第1の初期孔81が千鳥状(千鳥格子状)の配置であるため、形成される第1の凹部61は、基板7の表面に千鳥状(千鳥格子状)に配置されたものとなる。また、マスク8に設けられた第2の初期孔82が、第1の初期孔81に比べて低密度であり、基板7の外側に向かうにつれて次第に疎となる配置であるため、形成される第2の凹部62は、第1の凹部61に比べて低密度であり、基板7の外側に向かうにつれて次第に疎となる配置となる。
また、本実施形態では、工程<A2>でマスク形成用膜85に第1の初期孔81および第2の初期孔82を形成した際に、基板7の表面に初期凹部71を形成している。これにより、エッチングの際、エッチング液との接触面積が大きくなり、侵食を好適に開始することができる。
また、ウェットエッチング法を用いると、第1の凹部61および第2の凹部62を好適に形成できる。そして、エッチング液として、例えば、一水素二フッ化アンモニウムを含むエッチング液を用いると、基板7をより選択的に食刻することができ、第1の凹部61および第2の凹部62を好適に形成することができる。
マスク8が主としてCrで構成されたものである場合、フッ酸系エッチング液としては、一水素二フッ化アンモニウムを含む液体が特に好適である。一水素二フッ化アンモニウム溶液は毒劇物ではないため、作業中の人体や環境への影響を防止することができる。また、エッチング液として、一水素二フッ化アンモニウムを用いる場合、該エッチング液中には、例えば、過酸化水素が含まれていてもよい。これにより、エッチングスピートをより速くすることができる。
また、ウェットエッチングによれば、ドライエッチングに比べて簡単な装置で処理を行うことができ、さらに、一度に多くの基板に対して処理を行うことができる。これにより生産性が向上し、安価に凹部付き部材6を提供することができる。
<A5>次に、図7(f)に示すように、マスク8を除去する(マスク除去工程)。また、この際、マスク8の除去とともに、裏面保護膜89も除去する。
マスク8が、前述したような主としてCrで構成される層と、主として酸化Crで構成される層とを有する積層体である場合、マスク8の除去は、例えば、硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸とを含む混合物を用いたエッチングにより行うことができる。
以上により、図7(f)、図4および図5に示すように、基板7上に多数の第1の凹部61が千鳥格子状に形成されるとともに、当該第1の凹部61の形成領域外に、多数の第2の凹部62が形成された凹部付き部材6が得られる。
基板7上に複数個の第1の凹部61および第2の凹部62を形成する方法は、特に限定されないが、上述したような方法(レーザ光の照射によりマスク形成用膜85に第1の初期孔81および第2の初期孔82を形成することによりマスク8を得、その後、そのマスク8を用いてエッチングを行うことにより、基板7上に第1の凹部61および第2の凹部62を形成する方法)により形成した場合、以下のような効果が得られる。
すなわち、レーザ光の照射によりマスク形成用膜85に第1の初期孔81および第2の初期孔82を形成する(マスク8を得る)ことで、従来のようなフォトリソグラフィ法によって開口部を形成する場合に比べて簡単かつ安価に所定パターンで開口部(第1の初期孔81および第2の初期孔82)を形成することができる。これにより生産性が向上し、安価に凹部付き部材6を提供することができる。
また、上述したような方法によれば、大型の基板に対する処理も容易に行うことができる。大型の基板を製造する場合に、従来のように複数の基板を貼り合わせる必要がなくなり、貼り合わせの継ぎ目をなくすことができる。これにより高品質で大型の凹部付き部材(マイクロレンズ基板)を簡便な方法で安価に製造することができる。
また、第1の初期孔81および第2の初期孔82の形成をレーザの照射により行う場合、形成される第1の初期孔81および第2の初期孔82の形状、大きさ、配列等を、容易かつ確実に管理することができる。
また、エッチング工程において、シール部材88を用いることにより、互いに深さの異なる第1の凹部61と第2の凹部62とを、容易かつ確実に形成することができる。また、形成される第1の凹部61および第2の凹部62の深さを容易かつ確実に制御することができる。
次に、上述した凹部付き部材6を用いて、マイクロレンズ基板(凸部付き部材)1を製造する方法について説明する。
図8〜図11は、図1に示すマイクロレンズ基板の製造方法の一例を示す模式的な縦断面図である。なお、以下の説明では、図8〜図11中の下側を「(光の)入射側」、上側を「(光の)出射側」と言う。
<B1>まず、図8(a)に示すように、凹部付き部材6の凹部(第1の凹部61、第2の凹部62)が形成された面側に、流動性を有する状態の樹脂23(例えば、軟化状態の樹脂23、未重合(未硬化)の樹脂23)を付与し、樹脂23を平板11で押圧する。特に、本実施形態では、凹部付き部材6と、平板11との間に、スペーサー20を配した状態で、樹脂23を押圧する。これにより、形成されるマイクロレンズ基板1の厚さをより確実に制御することができ、最終的に得られるマイクロレンズ基板1での、マイクロレンズ21の焦点の位置をより確実に制御することができ、色ムラ等の不都合の発生をより効果的に防止することができる。
スペーサー20は、樹脂23(固化後の樹脂23)と同程度の屈折率を有する材料で構成されている。このような材料で構成されたスペーサー20を用いることにより、凹部付き部材6の第1の凹部61が形成された部位にスペーサー20が配された場合であっても、スペーサー20が得られるマイクロレンズ基板1の光学特性に悪影響を及ぼすのを効果的に防止することができる。これにより、凹部付き部材6の主面(凹部が形成された面側)の広い領域に、比較的多くのスペーサー20を配することが可能となり、結果として、凹部付き部材6、平板11のたわみ等による影響を効果的に排除し、得られるマイクロレンズ基板1の厚さをより確実に制御することができる。
上述したように、スペーサー20は、樹脂23(固化後の樹脂23)と同程度の屈折率を有する材料で構成されているが、より具体的には、スペーサー20の構成材料の絶対屈折率と固化後の樹脂23の絶対屈折率との差の絶対値が、0.20以下であるのが好ましく、0.10以下であるのがより好ましく、0.02以下であるのがさらに好ましく、固化後の樹脂23とスペーサー20とが同一の材料で構成されたものであるのが最も好ましい。
スペーサー20の形状は、特に限定されないが、略球状、略円柱状であるのが好ましい。スペーサー20がこのような形状のものである場合、その直径は、10〜300μmであるのが好ましく、30〜200μmであるのがより好ましく、30〜170μmであるのがさらに好ましい。
なお、上記のようにスペーサー20を用いる場合、樹脂23を固化する際に、凹部付き部材6と平板11との間にスペーサー20が配されていればよく、スペーサー20を供給するタイミングは特に限定されない。例えば、凹部付き部材6の第1の凹部61が形成された側の面に、付与する樹脂として予めスペーサー20が分散された樹脂23を用いてもよいし、凹部付き部材6上にスペーサー20を配した状態で樹脂23を付与してもよいし、樹脂23の供給後にスペーサー20を付与してもよい。
樹脂23は、通常、前述した基板本体2の構成材料に対応する材料で構成されたものである。また、樹脂23中には、必要に応じて、例えば、重合開始剤、硬化阻害防止剤(例えば、アミン系化合物等)、分散媒、溶媒、拡散材(例えば、微粒子状(ビーズ状)のガラス、シリカ、無機系酸化物、無機系炭酸化物、無機系硫酸化物、有機系樹脂等)、紫外線吸収剤、光安定剤、界面活性剤、消泡剤、帯電防止剤、酸化防止剤、難燃剤等が含まれていてもよい。例えば、樹脂23が、拡散材を含むものである場合、マイクロレンズ基板1を後述する透過型スクリーンに適用した場合等における、視野角特性を特に優れたものとすることができる。また、拡散板等の構成を省略しても視野角特性を優れたものとすることができるので、例えば、透過型スクリーンの薄型化、リア型プロジェクタの薄型化を図ることができる。
また、本実施形態では、凹部付き部材6に樹脂23を付与する際に、凹部付き部材6の端部には、剥離補助用の着脱可能な治具69が配されており、当該治具69上にも、樹脂23が供給される。
このように、凹部付き部材6上への樹脂23の供給時に、治具69を用いることにより、後述する工程(凹部付き部材6から基板本体2を剥離する工程)に際して、治具69を取り除くと、形成された基板本体2の端部付近を確実に把持することができる。その結果、凹部付き部材6から基板本体2を剥離する工程において、第2の凹部62およびこれに対応する基板本体2側の凸部付近に比較的大きな応力が加わるのを効果的に防止することができ、基板本体(凸部付き部材)2の剥離をより円滑に開始、進行させることができるとともに、第2の凹部62の形状の安定性を特に優れたものとすることができ、凹部付き部材6の耐久性を向上させることができる。
この治具69は、いかなる材料で構成されたものであってもよいが、樹脂23(流動性を有する状態で付与された後に固化した樹脂23)との密着性が、凹部付き部材6と樹脂23との密着性以下のものであるのが好ましい。
また、治具69の幅(基板本体2の剥離方向についての長さであり、図8(a)中Lで示される長さ)は、特に限定されないが、例えば、0.5〜200mmであるのが好ましく、5〜100mmであるのがより好ましく、10〜50mmであるのがさらに好ましくい。治具69の幅が前記範囲内の値であることにより、マイクロレンズ基板1の非有効レンズ領域が必要以上に大きくなるのを防ぎつつ、上述したような効果を十分に顕著なものとして発揮させることができるとともに、第2の凹部62の形状の安定性も向上し、凹部付き部材6の耐久性がさらに向上する。
また、凹部付き部材6の凹部(第1の凹部61、第2の凹部62)が形成されている側の面や、平板の樹脂23を押圧する側の面には、離型処理が施されていてもよい。これにより、後述する工程において、凹部付き部材6や平板11から、マイクロレンズ基板1(基板本体2)を容易かつ確実に分離(剥離)することができる。離型処理としては、フッ素含有有機ケイ素化合物、アルキルポリシロキサン等のシリコーン系化合物、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系化合物、アルキル4級アンモニウム塩等の離型性を有する物質で構成される被膜の形成、ヘキサメチルジシラザン([(CHSi]NH)等のシリル化剤による表面処理、フッ素系ガスによる表面処理等が挙げられる。
<B2>次に、樹脂23を固化(ただし、硬化(重合)を含む)させ、その後、平板11を取り除く(図8(b)参照)。これにより、第1の凹部61に充填された樹脂で構成され、凸レンズとして機能するマイクロレンズ21(特に、上述したような形状、配列等の条件を満足するマイクロレンズ21)を備えた基板本体2が得られる。樹脂23の固化により、マイクロレンズ21とともに、第2の凹部62に対応する凸部が形成される。この凸部は、最終的なマイクロレンズ基板1からは、除去されるものであってもよい。また、レンズとしての機能を有するものであってもよい。
樹脂23の固化を硬化(重合)により行う場合、その方法としては、例えば、紫外線等の光の照射、電子線の照射、加熱等の方法が挙げられる。
なお、硬化後の樹脂23の硬度が、ショアD80〜20であるのが好ましく、ショアD60〜30であるのがより好ましい。樹脂の硬度が前記範囲であることより、凸部付き部材(基板本体2)が十分な硬度を有するものとなり、型としての凹部付き部材6から剥離する際の応力増大を抑えることができるほか、基板本体2の凹凸パターンの安定性(形状の安定性)が特に優れたものとなる。
<B3>次に、上記のようにして作製された基板本体2の出射側表面に、ブラックマトリックス3を形成する。
まず、図8(c)に示すように、基板本体2の出射側表面に、遮光性を有するポジ型のフォトポリマー32を付与する。基板本体2表面へのフォトポリマー32の付与方法としては、例えば、ディップコート、ドクターブレード、スピンコート、刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、ロールコーター等の各種塗布法等を用いることができる。フォトポリマー32は、遮光性を有する樹脂で構成されたものであってもよいし、(遮光性の低い)樹脂材料に、遮光性の材料が分散または溶解したものであってもよい。フォトポリマー32の付与後、必要に応じて、例えば、プレベーク処理等の熱処理を施してもよい。
<B4>次に、図9(d)に示すように、基板本体2に、入射側表面に対して垂直方向の露光用光Lbを照射する。照射された露光用光Lbは各マイクロレンズ21を通過することによって集光する。これにより、マイクロレンズ21の焦点f近傍の(集光された光が入射した部位の)フォトポリマー32が露光され、それ以外の部分のフォトポリマー32は露光されないか、または露光量が少なくなり、焦点f近傍のフォトポリマー32のみが感光する。
その後、現像を行う。ここで、このフォトポリマー32はポジ型のフォトポリマーであるので、感光した焦点f近傍のフォトポリマー32が現像により溶解、除去される。その結果、図9(e)に示すように、マイクロレンズ21の光軸Lに対応する部分に開口部31が形成されたブラックマトリックス3が形成される。現像の方法は、フォトポリマー32の組成等により異なるが、例えば、KOH水溶液等のアルカリ性溶液を用いて行うことができる。
このように、本実施形態の製造方法では、フォトポリマーにマイクロレンズによって集光させた露光用光を照射することにより、ブラックマトリックスを形成するので、例えばフォトリソグラフィ技術を使用するのに比べて、簡易な工程でブラックマトリックスを形成することができる。
また、現像後、必要に応じて、例えば、ポストベーク処理等の熱処理を施してもよい。
<B5>次に、基板本体(凸部付き部材)2を、凹部付き部材6から取り外す。
まず、図10(f)に示すように、凹部付き部材6から治具69を取り外しつつ、基板本体2からも治具69を剥離する。これにより基板本体2の端部は、凹部付き部材6から剥離されたと同様の状態になる。
このように、治具69を用いることにより、形成された基板本体2の端部付近を確実に把持することができる。その結果、第2の凹部62およびこれに対応する基板本体2側の凸部付近に比較的大きな応力が加わるのを効果的に防止することができ、また、第1の凹部61およびこれに対応するマイクロレンズ21付近に比較的大きな応力が加わるのを効果的に防止することができ、基板本体(凸部付き部材)2の剥離をより円滑に開始、進行させることができる。また、第2の凹部62の形状の安定性を特に優れたものとすることができ、凹部付き部材6の耐久性を向上させることができる。
剥離の際には、図10(g)に示すように、基板本体2を曲げる(湾曲させる)。
また、基板本体2を凹部付き部材6から剥離する際、剥離の方向は、凹部付き部材6において第1の凹部61の短径方向である。これにより、剥離の際に凹部付き部材6および基板本体2にかかる応力をさらに小さくすることができ、凹凸パターンの欠陥を防止することができる。
さらに、基板本体2を凹部付き部材6から剥離する際、ほぼ一定の速度で、連続して(中断することなく)剥離するのが好ましい。これにより、より安定した剥離が可能となる。また、剥離時に休み(剥離の中断)があると、剥離再開時に、凹部付き部材6、基板本体2に加わる応力が増大することとなり、上記のような効果が十分に発揮されない可能性がある。
上述したように、凹部付き部材6には、第2の凹部62が設けられているため、凹部付き部材6からの基板本体2の剥離を、比較的小さな力で、容易かつ確実に(凹凸パターンにカケ等の欠陥が生じるのを十分に防止しつつ)行うことができる。
剥離の速度は、特に限定されないが、例えば、0.1〜500mm/秒であるのが好ましく、1〜100mm/秒であるのがより好ましく、10〜50mm/秒であるのがさらに好ましい。剥離速度が前記範囲内の値であると、剥離をより安定して行うことができる。これに対し、剥離速度が前記下限値未満であると、剥離に時間がかかり、生産性の面で不利となる可能性がある。一方、剥離速度が前記上限値を超えると、凹部付き部材6、基板本体2にかかる応力が増大し、上記のような効果が十分に発揮されない可能性がある。
剥離の際の力(引っ張り強さ)は、特に限定されないが、例えば、5g/cm〜1kg/cm(幅)であるのが好ましく、8g/cm〜700g/cm(幅)であるのがより好ましく、10g/cm〜500g/cm(幅)であるのがさらに好ましい。剥離の際の力(引っ張り強さ)が前記範囲であることにより、剥離を安定して行うことができる。これに対し、剥離の際の力(引っ張り強さ)が前記下限値未満であると、剥離に時間がかかり、生産性の面で不利となる可能性がある。一方、剥離の際の力(引っ張り強さ)が前記上限値を超えると、凹部付き部材6、基板本体2にかかる応力が増大し、上記のような効果が十分に発揮されない可能性がある。
これにより、図11(h)に示すようなブラックマトリックス3が設けられた基板本体(凸部付き部材)2が得られる。
<B6>その後、凹部付き部材6から取り外された基板本体2に対して着色液を付与することにより、着色部22を形成し、マイクロレンズ基板1を得る(図11(i)参照)。
着色液は、いかなるものであってもよいが、本実施形態では、着色剤とベンジルアルコールとを含むものである。このような着色液を用いることにより、基板本体の着色を容易かつ確実に行うことができることを本発明者は見出した。特に、アクリル系樹脂のように、従来、着色が困難であった材料で構成された基板本体に対しても、容易かつ確実に着色を施すことができる。これは、以下のような理由によるものであると考えられる。
すなわち、ベンジルアルコールを含む着色液を用いることにより、着色液中のベンジルアルコールが基板本体中に侵入、拡散し、基板本体を構成する分子の結合(分子間結合)を緩め、着色剤が侵入するための空間を確保する。そして、ベンジルアルコールと着色剤が置換することにより、前記空間(着色剤のための座席(着色座席)に例えることができる)に着色剤が保持され、基板本体が着色される。
また、上記のような着色液を用いることにより、均一な厚さの着色部を容易かつ確実に形成することができる。特に、着色に供される基板本体(ワーク)が、その表面にマイクロレンズのような微細な構造を有するもの(二次元方向への凹凸の周期がいずれも小さいもの)、また、着色されるべき領域が大面積のものであっても、均一な厚さで(色ムラなく)着色部を形成することができる。
着色液の付与方法としては、例えば、ドクターブレード、スピンコート、刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、捺染、ロールコーター等の各種塗布法や、基板本体2を着色液中に浸漬するディッピング等の方法が挙げられるが、中でも、ディッピング(特に、浸染)が好ましい。これにより、容易かつ確実に着色部22(特に、均一な厚さの着色部22)を形成することができる。また、特に、着色液の付与を浸染により行う場合、着色液が付与される基板本体2が、アクリル系樹脂のような、従来の方法では、着色するのが困難であった材料で構成されたものであっても、容易かつ確実に着色することができる。これは、浸染に用いることができる染料が、アクリル系樹脂等が有するエステル基(エステル結合)との親和性が高いためであると考えられる。
着色液を付与する工程は、着色液および/または基板本体2を、60〜100℃とした状態で行うのが好ましい。これにより、着色部22を形成すべき基板本体2に対する悪影響の発生(例えば、基板の構成材料の劣化等)を十分に防止しつつ、効率良く着色部22を形成することができる。
また、着色液を付与する工程は、例えば、雰囲気圧を高めた状態(加圧した状態)で行ってもよい。これにより、着色液の基板本体内部への侵入を促進することができ、結果として、着色部22を短時間で効率良く形成することができる。
なお、着色液の付与は、必要に応じて(例えば、形成すべき着色部22の厚さが比較的大きい場合等においては)、複数回繰り返し行ってもよい。
また、着色液の付与後、必要に応じて、加熱、冷却等の熱処理、光照射、雰囲気の減圧等の処理を施してもよい。これにより、着色部22の定着(安定化)を促進することができる。
以下、本工程で用いる着色液について、より詳細に説明する。
着色液中におけるベンジルアルコールの含有率は、特に限定されないが、0.01〜10.0wt%であるのが好ましく、0.05〜8.0wt%であるのがより好ましく、0.1〜5.0wt%であるのがさらに好ましい。ベンジルアルコールの含有率が上記範囲内の値であると、着色部22を形成すべき基板本体に対する悪影響の発生(例えば、基板の構成材料の劣化等)をより効果的に防止しつつ、容易かつ確実に好適な着色部22を形成することができる。
着色液中に含まれる着色剤は、各種染料、各種顔料等、いかなるものであってもよいが、染料であるのが好ましく、分散染料および/またはカチオン系染料であるのがより好ましく、分散染料であるのがさらに好ましい。これにより、着色部を形成すべき基板本体に対する悪影響の発生(例えば、基板の構成材料の劣化等)を十分に防止しつつ、効率良く着色部を形成することができる。特に、着色液が付与される基板本体2が、アクリル系樹脂のような、従来の方法では、着色するのが困難であった材料で構成されたものであっても、容易かつ確実に着色することができる。これは、上記のような着色剤が、アクリル系樹脂等が有するエステル基(エステル結合)を染着座席とするために、より着色しやすいためであると考えられる。
前述したように、本実施形態で用いる着色液は、少なくとも、着色剤およびベンジルアルコールを含むものであるが、さらに、ベンゾフェノン系化合物およびベンゾトリアゾール系化合物から選択される少なくとも1種の化合物を含むものであるのが好ましい。これにより、着色部を形成すべき基板本体に対する悪影響の発生(例えば、基板の構成材料の劣化等)をより効果的に防止しつつ、さらに効率良く着色部を形成することができる。これは、以下のような理由によるものであると考えられる。
すなわち、ベンゾフェノン系化合物およびベンゾトリアゾール系化合物から選択される少なくとも1種の化合物と、ベンジルアルコールとを含む着色液(以下、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンジルアルコールを総称して、「添加物」ともいう)を用いることにより、着色液中の添加物が基板本体中に侵入、拡散し、基板本体を構成する分子の結合(分子間結合)を緩め、着色剤が侵入するための空間を確保する。そして、添加物と着色剤が置換することにより、前記空間(着色剤のための座席(着色座席)に例えることができる)に着色剤が保持され、基板本体が着色される。これは、ベンゾフェノン系化合物およびベンゾトリアゾール系化合物から選択される少なくとも1種の化合物と、ベンジルアルコールとを併用することにより、これらが相補的に作用し合い、着色液による着色を良好なものとするためであると考えられる。
ベンゾフェノン系化合物としては、ベンゾフェノン骨格を有する化合物、あるいはこれらの互変異性体、または、その誘導体(例えば、付加反応生成物、置換反応生成物、還元反応生成物、酸化反応生成物等)を用いることができる。
このような化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクチルベンゾフェノン、4−ベンジルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、ベンゾフェノンアニル、ベンゾフェノンオキシム、ベンゾフェノンクロリド(α,α’−ジクロルジフェニルメタン)等が挙げられる。中でも、ベンゾフェノン骨格を有する化合物であるのが好ましく、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンがより好ましい。このようなベンゾフェノン系化合物を用いることにより、前述したような効果はさらに顕著なものとして現れる。
また、ベンゾトリアゾール系化合物としては、ベンゾトリアゾール骨格を有する化合物、あるいはこれらの互変異性体、または、その誘導体(例えば、付加反応生成物、置換反応生成物、還元反応生成物、酸化反応生成物等)を用いることができる。
このような化合物としては、例えば、ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。中でも、ベンゾトリアゾール骨格を有する化合物であるのが好ましく、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールがより好ましい。このようなベンゾトリアゾール系化合物を用いることにより、前述したような効果はさらに顕著なものとして現れる。
着色液中にベンゾフェノン系化合物および/またはベンゾトリアゾール系化合物が含まれる場合、着色液中における、ベンゾフェノン系化合物およびベンゾトリアゾール系化合物の含有率の総和は、特に限定されないが、0.001〜10.0wt%であるのが好ましく、0.005〜5.0wt%であるのがより好ましく、0.01〜3.0wt%であるのがさらに好ましい。ベンゾフェノン系化合物およびベンゾトリアゾール系化合物の含有率の総和が上記範囲内の値であると、着色部22を形成すべき基板本体に対する悪影響の発生(例えば、基板の構成材料の劣化等)をより効果的に防止しつつ、容易かつ確実に好適な着色部22を形成することができる。
また、着色液中にベンゾフェノン系化合物および/またはベンゾトリアゾール系化合物が含まれる場合、着色液中における、ベンジルアルコールの含有率をX[wt%]、ベンゾフェノン系化合物およびベンゾトリアゾール系化合物の含有率の総和をY[wt%]としたとき、0.001≦X/Y≦10000の関係を満足するのが好ましく、0.05≦X/Y≦1000の関係を満足するのがより好ましく、0.25≦X/Y≦500の関係を満足するのがさらに好ましい。上記のような関係を満足することにより、ベンゾフェノン系化合物および/またはベンゾトリアゾール系化合物と、ベンジルアルコールとを併用することによる相乗効果がより顕著に発揮され、着色部22を形成すべき基板本体に対する悪影響の発生(例えば、基板の構成材料の劣化等)をより効果的に防止しつつ、容易かつ確実に好適な着色部22を形成することができる。
また、着色液は、さらに界面活性剤を含むものであるのが好ましい。これにより、着色剤をベンジルアルコールの存在下においても、安定的に、均一に分散させることができ、着色液が付与される基板本体2が、アクリル系樹脂のような、従来の方法では、着色するのが困難であった材料で構成されたものであっても、容易かつ確実に着色することができる。界面活性剤としては、例えば、非イオン系(ノニオン系)、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。非イオン系(ノニオン系)界面活性剤としては、例えば、エーテル系界面活性剤、エステル系界面活性剤、エーテルエステル系界面活性剤、含窒素系界面活性剤等が挙げられ、より具体的には、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等が挙げられる。また、アニオン系界面活性剤としては、例えば、各種ロジン、各種カルボン酸塩、各種硫酸エステル塩、各種スルホン酸塩、各種リン酸エステル塩等が挙げられ、より具体的には、ガムロジン、重合ロジン、不均一化ロジン、マレイン化ロジン、フマール化ロジン、マレイン化ロジンペンタエステル、マレイン化ロジングリセリンエステル、トリステアリン酸塩(例えば、アルミニウム塩等の金属塩等)、ジステアリン酸塩(例えば、アルミニウム塩、バリウム塩等の金属塩等)、ステアリン酸塩(例えば、カルシウム塩、鉛塩、亜鉛塩等の金属塩等)、リノレン酸塩(例えば、コバルト塩、マンガン塩、鉛塩、亜鉛塩等の金属塩等)、オクタン酸塩(例えば、アルミニウム塩、カルシウム塩、コバルト塩等の金属塩等)、オレイン酸塩(例えば、カルシウム塩、コバルト塩等の金属塩等)、パルミチン酸塩(例えば、亜鉛塩等の金属塩等)、ナフテン酸塩(例えば、カルシウム塩、コバルト塩、マンガン塩、鉛塩、亜鉛塩等の金属塩等)、レジン酸塩(例えば、カルシウム塩、コバルト塩、マンガン鉛塩、亜鉛塩等の金属塩等)、ポリアクリル酸塩(例えば、ナトリウム塩等の金属塩等)、ポリメタクリル酸塩(例えば、ナトリウム塩等の金属塩等)、ポリマレイン酸塩(例えば、ナトリウム塩等の金属塩等)、アクリル酸−マレイン酸共重合体塩(例えば、ナトリウム塩等の金属塩等)、セルロース、ドデシルベンゼンスルホン酸塩(例えば、ナトリウム塩)、アルキルスルホン酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩(例えば、ナトリウム塩等の金属塩等)、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩(例えば、ナトリウム塩等の金属塩等)等が挙げられる。また、カチオン系界面活性剤としては、例えば、1級アンモニウム塩、2級アンモニウム塩、3級アンモニウム塩、4級アンモニウム塩等の各種アンモニウム塩等が挙げられ、より具体的には、(モノ)アルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、トリアルキルアミン塩、テトラアルキルアミン塩、ベンザルコニウム塩、アルキルピリジウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。また、両性界面活性剤としては、例えば、カルボキシベタイン、スルホベタイン等の各種ベタイン、各種アミノカルボン酸、各種リン酸エステル塩等が挙げられる。
以下、前記透過型スクリーンを用いたリア型プロジェクタについて説明する。
図12は、本発明のリア型プロジェクタの構成を模式的に示す図である。
同図に示すように、リア型プロジェクタ300は、投写光学ユニット310と、導光ミラー320と、透過型スクリーン10とが筐体340に配置された構成を有している。
そして、このリア型プロジェクタ300は、上記のような透過型スクリーン10を備えているので、コントラストに優れた画像を得ることができる。さらに、本実施形態では、上記のような構成を有しているので、視野角特性、光利用効率等も特に優れたものとなる。
また、特に、前述したマイクロレンズ基板1では、楕円形状のマイクロレンズ21が千鳥状(千鳥格子状)に配されているので、リア型プロジェクタ300では、モアレ等の問題が特に発生し難い。
以上、本発明の凹部付き部材、凸部付き部材の製造方法、凸部付き部材、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタについて、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、マイクロレンズ基板、透過型スクリーン、リア型プロジェクタを構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。
また、前述した実施形態では、スペーサーとして、樹脂(固化後の樹脂)と同程度の屈折率を有するものを用いるものとして説明したが、スペーサーは、実質的に、凹部付き部材の凹部が形成されていない領域のみ(非有効レンズ領域)に配されるものである場合、樹脂(固化後の樹脂)と同程度の屈折率を有するものでなくてもよい。また、マイクロレンズ基板(凸部付き部材)の製造に際して、上記のようなスペーサーは必ずしも用いなくてもよい。
また、前述した実施形態では、凹部付き部材の表面に樹脂を付与するものとして説明したが、例えば、平板の表面に樹脂を付与し、これを凹部付き部材で押圧することにより、マイクロレンズ基板(凸部付き部材)を製造してもよい。
また、前述した第1実施形態では、凹部付き部材の製造方法の初期孔形成工程において、第1の初期孔81および第2の初期孔82とともに、基板7に初期凹部71を形成するものとして説明したが、このような初期凹部71は形成されなくてもよい。第1の初期孔81および第2の初期孔82の形成条件(例えば、レーザのエネルギー強度、ビーム径、照射時間等)を適宜調整することにより、所望の形状の初期凹部71を形成したり、初期凹部71が形成されないように第1の初期孔81および第2の初期孔82のみを選択的に形成することができる。
また、前述した実施形態では、透過型スクリーンが、マイクロレンズ基板(凸部付き部材)とフレネルレンズとを備えるものとして説明したが、本発明の透過型スクリーンは、必ずしも、フレネルレンズを備えたものでなくてもよい。例えば、本発明の透過型スクリーンは、実質的に、本発明の凸部付き部材(マイクロレンズ基板)のみで構成されたものであってもよい。
また、前述した実施形態では、シール部材を用い、エッチングの途中で、このシール部材を剥離することにより、深さの異なる第1の凹部と第2の凹部とを形成するものとして説明したが、第1の凹部、第2の凹部の形成方法は、このような方法に限定されるものではない。例えば、第2の初期孔の表面付近にエッチング可能な被膜(シール部材)を被覆し、かつ、第1の初期孔の表面付近には前記被膜を被覆しない状態でエッチングを行うことにより、互いに深さの異なる第1の凹部と第2の凹部とを好適に形成することができる。また、上述したようなシール部材を用いなくても、初期孔形成工程において、第1の凹部に対応する部位には、比較的深い所期凹部を形成しておき、第2の凹部に対応する部位には、初期凹部を形成しない(または、第1の凹部に対応する部位に形成する凹部より浅い凹部を形成する)ことや、マスクが有する初期孔(開口部)の大きさを異なるものとすること等によっても、互いに深さの異なる第1の凹部と第2の凹部とを好適に形成することができる。
また、前述した実施形態では、第2の凹部は、第1の凹部よりも密度の低いもの、第1の凹部よりも大きさの小さいものとして説明したが、第2の凹部は、その深さが第1の凹部の深さより浅いものであればいかなるものであってもよく、その形状、大きさ、配置、密度等は限定されない。
また、前述した実施形態では、マイクロレンズ基板(凸部付き部材)におけるマイクロレンズ(第1の凹部に対応する凸部)、凹部付き部材における第1の凹部は、扁平形状を有し、千鳥格子状に配列されたものとして説明したが、これらの形状、配列パターンは、いかなるものであってもよく、例えば、ランダムに配されたものであってもよい。
また、前述した実施形態では、第1の領域は第1の凹部のみで構成され、かつ、第2の領域は第2の凹部のみで構成されるものとして説明したが、第1の凹部と第2の凹部とが混在する領域が存在してもよい。
また、前述した実施形態では、マイクロレンズ、第1の凹部は、平面視したときの縦幅が横幅よりも大きい扁平形状を有するものとして説明したが、マイクロレンズ、第1の凹部の形状は、特に限定されず、例えば、略円形状、略六角形状、横幅が縦幅よりも大きい扁平形状等、いかなる形状であってもよい。
また、前述した実施形態では、第1の凹部に対応する凸部がマイクロレンズとして機能するものとして説明したが、例えば、第1の凹部に対応する凸部は、レンチキュラレンズとして機能するもの等、いかなるものであってもよい。
また、前述した実施形態では、第2の領域が、凹部付き部材の左右の端部付近に設けられるものとして説明したが、第2の領域は、凹部付き部材の少なくとも一部に設けられていればよく、例えば、凹部付き部材の一端側(例えば、図2中での右側または左側)のみに設けられるものであってもよいし、凹部付き部材の縁部付近全体に設けられるものであってもよい。
また、前述した実施形態では、凹部付き部材、凸部付き部材が板状(シート状、フィルム状等を含む)の部材(基板)であるものとして説明したが、凹部付き部材、凸部付き部材の形状はいかなるものであっても良い。例えば、凹部付き部材は、ロール状をなすものであってもよい。
また、本発明の凸部付き部材は、本発明の凹部付き部材を用いて製造されるものであればいかなるものであってもよく、前述したような方法で製造されたものに限定されない。
また、前述した実施形態では、凸部付き部材は、透過型スクリーン、リア型プロジェクタを構成する部材であり、凹部付き部材は、凸部付き部材の製造用の型として用いられるものとして説明したが、本発明の凹部付き部材、凸部付き部材の用途は、前記のようなものに限定されず、いかなるものであってもよい。例えば、本発明の凸部付き部材は、拡散板、ブラックマトリックススクリーン、投射型表示装置(フロントプロジェクタ)のスクリーン(フロントプロジェクションスクリーン)、投射型表示装置(フロントプロジェクタ)の液晶ライトバルブの構成部材等に適用されるものであってもよい。
また、前述した実施形態では、凸部付き部材(マイクロレンズ基板)は、凹部付き部材から取り外して用いられるものとして説明したが、凹部付き部材は製造された凸部付き部材から取り外されることなく用いられるもの(特に、透過型スクリーン、リア型プロジェクタ等の光学製品の構成部品として用いられるもの)であってもよい。
[凹部付き部材、凸部付き部材および透過型スクリーンの作製]
(実施例1)
以下のように、マイクロレンズ形成用の凹部を備えた凹部付き部材を製造した。
まず、基板として、横1.2m×縦0.7m角、厚さ4.8mmのソーダガラス基板を用意した。
このソーダガラス基板を、4wt%の一水素二フッ化アンモニウムと、8wt%の過酸化水素とを含む洗浄液に浸漬して6μmエッチングを行い、その表面を清浄化した。
その後、純水洗浄およびNガスを用いた乾燥(純水の除去)を行った。
次に、このソーダガラス基板上に、スパッタリング法にて、Cr/酸化Crの積層体(Crの外表面側に酸化Crが積層された積層体)を形成した。すなわち、ソーダガラス基板の表面に、Cr/酸化Crの積層体で構成されたマスク形成用膜および裏面保護膜を形成した。Cr層の厚さは0.02μm、酸化Cr層の厚さは0.02μmであった。
次に、マスク形成用膜に対してレーザ加工を行い、マスク形成用膜の中央部113cm×65cmの範囲に多数の第1の初期孔を千鳥状に形成し、また、これと同時に、第1の初期孔が形成された領域の外側で、基板の長手方向側の両端部付近の10cm×65cmの範囲に多数の第2の初期孔を形成し、マスクを得た。第1の初期孔の平均幅は2.0μmであり、平均長さは2.2μmであった。また、第2の初期孔の平均幅は2.0μmであり、平均長さは2.2μmであった。
なお、レーザ加工は、YAGレーザを用いて、ビーム径3μm、走査速度0.1m/秒という条件で行った。また、第1の初期孔を形成する際においては、エネルギー強度が1mWとなるように、また、第2の初期孔を形成する際には、エネルギー強度が1mJとなるように制御した。
また、前記第1の初期孔が形成された領域の外側に、第2の初期孔は、基板の端部側に向かうに従い、次第にその密度が疎となるように配されたパターンで形成した。
また、この際、第1の初期孔が形成された部位において、ソーダガラス基板の表面に深さ0.005μmの凹部および変質層も形成した。
次に、マスク上の第2の初期孔が設けられた領域(第2の領域に対応する領域)に、耐エッチング性を有するシール部材(テープ)を密着させた(貼着した)。シール部材としては、ポリエチレンテレフタレートで構成された基部と、粘着材で構成された粘着剤層とを有する粘着テープを用いた。
次に、マスク、裏面保護膜およびシール部材が付されたソーダガラス基板にウェットエッチングを施した。そして、このウェットエッチングの途中で、シール部材を剥離することにより、第2の初期孔を露出させ、エッチング液と接触させた。
このようなエッチングを行うことにより、ソーダガラス基板上に多数の平面視したときの形状が扁平形状(略楕円形状)の第1の凹部(マイクロレンズ形成用凹部)および第2の凹部を形成した。形成された多数の第1の凹部は、互いにほぼ同一の形状を有していた。形成された第1の凹部の短軸方向の長さは54μm、長軸方向の長さは72μm、曲率半径は37.0μm、深さは36.5μmであった。また、第1の凹部が形成されている有効領域における第1の凹部の密度は2.6万個/cmであった。また、形成された多数の第2の凹部は、互いにほぼ同一の形状を有していた。形成された第2の凹部の直径は47.0μm、深さは23.5μmであった。第2の凹部が形成されている領域における第2の凹部の密度は1.0万個/cmであった。また、第2の領域における第2の凹部の列数は、7000であった。また、第2の領域における隣接する列のピッチ(平均値)は、100μmであった。また、第2の領域の剥離方向についての長さは、50mmであった。
なお、ウェットエッチングは、エッチング液として、4wt%の一水素二フッ化アンモニウムと、8wt%の過酸化水素とを含む水溶液を用い、浸漬時間は2.5時間とした。
次に、硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸との混合物を用いてエッチングすることにより、マスクおよび裏面保護膜を除去した。
その後、純水洗浄およびNガスを用いた乾燥(純水の除去)を行った。
これにより、図4に示すような、ソーダガラス基板上に、マイクロレンズ形成用の多数の第1の凹部が千鳥状に配列され、さらに、前記第1の凹部が形成された領域(第1の領域)の外側で、基板の長手方向側の両端部付近に、第2の凹部が外側に向かうにつれて次第に疎となるように配列された領域(第2の領域)を有する凹部付き部材を得た。得られた凹部付き部材を平面視したときに、第1の凹部が形成されている有効領域(第1の領域)における第1の凹部の占有率は100%、第2の凹部が形成されている領域(第2の領域)における第2の凹部の占有率は50%であった。
次に、上記のようにして得られた凹部付き部材の凹部が形成された側の面に、離型剤(GF−6110)を付与し、さらに、未重合(未硬化)のアクリル系樹脂(PMMA樹脂(メタクリル樹脂))を付与した。この際、アクリル系樹脂(PMMA樹脂(メタクリル樹脂))の硬化物で構成された略球形状のスペーサー(直径20μm)を、凹部付き部材のほぼ全面に配しておいた。また、スペーサーは、1個/cmの割合で配した。
このとき、基板本体の一端部には、後に凸部付き部材(硬化後の樹脂)を剥離する際に、剥離を補助する治具が配されており、当該治具上にも上記樹脂を供給した(図8〜図10参照)。この治具の幅は、20mmであった。
次に、ソーダガラスで構成された平板で、前記アクリル系樹脂を押圧した。この際、平板とアクリル系樹脂との間に、空気が侵入しないようにした。また、平板としては、アクリル系樹脂を押圧する側の面に離型剤(GF−6110)が塗布されたものを用いた。
その後、加熱することにより、アクリル系樹脂を硬化させ、基板本体を得た。得られた基板本体(硬化後の樹脂)の屈折率は、1.50であった。また、得られた基板本体の樹脂層(マイクロレンズを除く部分)の厚さは22μmであった。また、扁平形状(略楕円形状)のマイクロレンズは、その短軸方向の長さが54μm、長軸方向の長さが72μm、曲率半径が37.5μm、高さが36.0μmであった。また、マイクロレンズが形成されている有効レンズ領域におけるマイクロレンズの占有率は100%であった。また、硬化後のアクリル系樹脂の硬度は、ショアD54であった。
次に、平板を取り除いた。
次に、基板本体の出射側(マイクロレンズが形成されている面とは反対側の面)表面に、遮光性材料(カーボンブラック)が添加されたポジ型のフォトポリマー(PC405G:JSR株式会社製)を、ロールコーターにより付与した。フォトポリマー中における遮光性材料の含有量は、20wt%であった。
次に、90℃×30分のプレベーク処理を施した。
次に、凹部付き部材の凹部が形成されている側の面とは反対側の面から、80mJ/cmの平行光としての紫外線を照射した。これにより、照射した紫外線は、各マイクロレンズで集光され、各マイクロレンズの焦点f(ブラックマトリックスの厚さ方向の中心付近)近傍のフォトポリマーを選択的に露光した。
その後、0.5wt%のKOH水溶液を用いて、40秒の現像処理を施した。
その後、純水洗浄およびNガスを用いた乾燥(純水の除去)を行い、さらに、200℃×30分のポストベーク処理を施した。これにより、各マイクロレンズに対応した開口部を有するブラックマトリックスが形成された。形成されたブラックマトリックスの厚さは5μmであった。
その後、以下のようにして、基板本体を、凹部付き部材から取り外した。
まず、治具を、凹部付き部材から取り外しつつ、形成された基板本体からも剥離した。その後、基板本体側を湾曲させるように引っ張り、所定の一定の速度で連続して(休むことなく)剥離した。剥離の方向は、第1の凹部の短径の方向(基板本体の長手方向)とした。
このときの引っ張り強さは80g/cm(幅)、剥離速度は20mm/秒とした。
その後、凹部付き部材から剥離された基板本体に対して、浸染により着色液を付与した。このとき、マイクロレンズが形成された面側全体が着色液に接触し、かつ、ブラックマトリックスが形成された面側には着色液が接触しないようにした。また、着色液を付与する際の基板本体および着色液の温度は、90℃に調整した。また、着色液付与時には、雰囲気の圧力が120kPaとなるように加圧した。着色液としては、分散染料(Blue(双葉産業製)):2重量部、分散染料(Red(双葉産業製)):0.1重量部、分散染料(Yellow(双葉産業製)):0.05重量部、ベンジルアルコール:10重量部、界面活性剤:2重量部、純水:1000重量部の混合物を用いた。
上記のような条件で、基板本体と着色液とを20分間接触させた後、着色液が貯留された槽から、基板本体を取り出し、十分に水洗した後、乾燥させた。
その後、純水洗浄およびNガスを用いた乾燥(純水の除去)を行うことにより、着色部が形成されたマイクロレンズ基板を得た。形成された着色部の濃度は、85%であった。
また、上記の凹部付き部材を用いて、上記と同様な操作を繰り返し行うことにより、合計100枚のマイクロレンズ基板を製造した。
そして1枚目のマイクロレンズ基板および100枚目のマイクロレンズ基板を用いて、それぞれ、図3に示すような透過型スクリーンを得た。
(実施例2〜5)
マスク(マスク形成用膜)の構成、レーザ光の照射条件(形成される初期孔の形状、初期凹部の深さ)、エッチング液への浸漬時間等を変更することにより、凹部付き部材が有する第1の凹部、第2の凹部の形状、配列パターン等を表1に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にして凹部付き部材、マイクロレンズ基板、透過型スクリーンを製造した。
(実施例6)
凹部付き部材の剥離開始側端部に、剥離補助用の治具を配さなかった以外は、前記実施例1と同様にして凹部付き部材、マイクロレンズ基板、透過型スクリーンを製造した。
(比較例1)
凹部付き部材の製造において、第2の凹部を形成しなかった以外は、前記実施例1と同様にして凹部付き部材、マイクロレンズ基板、透過型スクリーンを製造した。
(比較例2)
着色部を形成しなかった以外は、前記比較例1と同様にして凹部付き部材、マイクロレンズ基板、透過型スクリーンを製造した。
(比較例3)
レーザ光の照射条件(形成される初期孔の形状、初期凹部の深さ)、エッチング液への浸漬時間等を変更することにより、凹部付き部材が有する第1の凹部、第2の凹部の形状、配列パターン等を表1に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にして凹部付き部材、マイクロレンズ基板、透過型スクリーンを製造した。
前記各実施例および各比較例について、凹部付き部材を製造する際に用いたマスクの構成、製造された凹部付き部材が有する凹部(第1の凹部、第2の凹部)の形状、配列パターン、製造されたマイクロレンズ基板が有するマイクロレンズの形状、配列パターン、マイクロレンズ基板(基板本体)の生産性等を表1にまとめて示す。
Figure 2006133334
表1から明らかなように、本発明では、生産性良くマイクロレンズ基板を製造することができたのに対し、比較例では、マイクロレンズ基板の生産性が著しく悪かった。より詳しく説明すると、本発明では、凹部付き部材から基板本体を剥離する操作を容易かつ確実に行うことができたのに対し、比較例では、凹部付き部材からの基板本体の剥離が困難であり、剥離には、本発明に比べて大きな力が必要であった。
[リア型プロジェクタの作製]
前記各実施例および各比較例の透過型スクリーンを用いて、図12に示すようなリア型プロジェクタを、それぞれ作製した。
[凹部付き部材の耐久性評価]
前記各実施例および各比較例の凹部付き部材について、100枚のマイクロレンズ基板の製造を行った後の(基板本体の剥離を100回繰り返し行った後の)凹部付き部材について、凹部(第1の凹部、第2の凹部)が形成された側の面を、顕微鏡を用いて観察した。基板表面の凹凸パターンの状態について以下の4段階の基準に従い評価した。
◎:凹凸パターンの欠けが全く認められない。
○:凹凸パターンの欠けがほとんど認められない。
△:凹凸パターンの欠けがわずかに認められる。
×:凹凸パターンの欠けが顕著に認められる。
[ドット抜け等の評価]
前記各実施例および各比較例のリア型プロジェクタの透過型スクリーンにサンプル画像を表示させた。表示された画像について、ドット抜け、明るさのムラの発生状況を以下の4段階の基準に従い評価した。
◎:ドット抜け、明るさのムラが全く認められない。
○:ドット抜け、明るさのムラがほとんど認められない。
△:ドット抜け、明るさのムラのうち少なくとも一つがわずかに認められる。
×:ドット抜け、明るさのムラのうち少なくとも一つが顕著に認められる。
[回折光、モアレ、色ムラの評価]
前記各実施例および各比較例のリア型プロジェクタの透過型スクリーンにサンプル画像を表示させた。表示された画像について、回折光、モアレ、色ムラの発生状況を以下の4段階の基準に従い評価した。
◎:回折光、モアレ、色ムラが全く認められない。
○:回折光、モアレ、色ムラがほとんど認められない。
△:回折光、モアレ、色ムラのうち少なくとも一つがわずかに認められる。
×:回折光、モアレ、色ムラのうち少なくとも一つが顕著に認められる。
[コントラストの評価]
前記各実施例および各比較例のリア型プロジェクタについて、コントラストの評価を行った。
コントラスト(CNT)として、暗室において413lxの全白光が入射した時の白表示の正面輝度(白輝度)LW[cd/m]と、明室において光源を全消灯した時の黒表示の正面輝度の増加量(黒輝度増加量)LB[cd/m]との比LW/LBを求めた。なお、黒輝度増加量は、暗室の黒表示の輝度に対する増加量をいう。また、明室での測定は、外光照度が約185lxの環境下で行った。暗室での測定は、外光照度が0.1lx以下の環境下で行った。
LW/LBで表されるコントラストについて、以下の4段階の基準に従い評価した。
◎:LW/LBで表されるコントラストが500以上。
○:LW/LBで表されるコントラストが400以上500未満。
△:LW/LBで表されるコントラストが300以上400未満。
×:LW/LBで表されるコントラストが300未満。
[視野角の測定]
前記各実施例および各比較例のリア型プロジェクタの透過型スクリーンにサンプル画像を表示させた状態で、鉛直方向および水平方向での視野角の測定を行った。
視野角の測定は、変角光度計(ゴニオフォトメータ)で、1度間隔で測定するという条件で行った。
これらの結果を表2にまとめて示す。
Figure 2006133334
表2から明らかなように、本発明では、基板本体(凸部付き部材)の製造(剥離)を繰り返し行った後でも、凹部付き部材において凹凸パターンの欠陥は認められなかった。また、本発明では、ドット抜け、明るさのムラ、回折光、モアレ、色ムラ等のない優れた画質の画像が得られた。また、本発明では、優れたコントラストが得られ、また、視野角特性にも優れていた。すなわち、本発明では、優れた画像を安定的に表示することができた。特に、凹部付き部材を繰り返し使用した後に製造されたマイクロレンズ基板を備えた透過型スクリーン、リア型プロジェクタにおいても、優れた結果が得られた。
これに対し、比較例では、凸部付き部材の製造(剥離)を繰り返し行った凹部付き部材では凹凸パターンの破壊がみられ、得られた凸部付き部材を用いて製造された透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタでも満足な結果が得られなかった。これは、凹部付き部材において、カケ等の凹凸パターンの欠陥が発生することにより、製造されたマイクロレンズ基板においても、所望の形状のマイクロレンズを形成することができなかったり、基板本体を凹部付き部材から剥離する際に、マイクロレンズにカケ等の欠陥が生じてしまったためであると考えられる。
本発明のマイクロレンズ基板(凸部付き部材)の好適な実施形態を示す模式的な縦断面図である。 図1に示すマイクロレンズ基板の平面図である。 図1に示すマイクロレンズ基板を備えた、本発明の透過型スクリーンの好適な実施形態を示す模式的な縦断面図である。 本発明の凹部付き部材の第1実施形態を示す模式的な平面図である。 図4に示す凹部付き部材の部分拡大図および縦断面図である。 図4、図5に示す凹部付き部材の製造方法を示す模式的な縦断面図である。 図4、図5に示す凹部付き部材の製造方法を示す模式的な縦断面図である。 図1に示すレンズ基板(マイクロレンズ基板)の製造方法の一例を示す模式的な縦断面図である。 図1に示すレンズ基板(マイクロレンズ基板)の製造方法の一例を示す模式的な縦断面図である。 図1に示すレンズ基板(マイクロレンズ基板)の製造方法の一例を示す模式的な縦断面図である。 図1に示すレンズ基板(マイクロレンズ基板)の製造方法の一例を示す模式的な縦断面図である。 本発明の透過型スクリーンを適用したリア型プロジェクタを模式的に示す図である。
符号の説明
1…マイクロレンズ基板(凸部付き部材) 2…基板本体(凸部付き部材) 21…マイクロレンズ(凸部) 211…中心 22…着色部(外光吸収部) 23…樹脂 25…第1の行 26…第2の行 3…ブラックマトリックス(遮光層) 31…開口部 32…フォトポリマー 5…フレネルレンズ部 51…フレネルレンズ 6…凹部付き部材(マイクロレンズ基板製造用凹部付き部材) 61…第1の凹部(マイクロレンズ形成用凹部) 62…第2の凹部 67…第1の領域(有効領域) 68…第2の領域 69…治具 7…基板 71…初期凹部 8…マスク 81…第1の初期孔(開口部) 82…第2の初期孔(開口部) 85…マスク形成用膜 88…シール部材(テープ) 89…裏面保護膜 11…平板 10…透過型スクリーン 20…スペーサー 300…リア型プロジェクタ 310…投写光学ユニット 320…導光ミラー 340…筐体

Claims (15)

  1. 多数の凸部を有する凸部付き部材の製造に用いる凹部付き部材であって、
    前記凸部の形成に用いられる第1の凹部と、
    複数個の前記第1の凹部が設けられた領域外に設けられた、前記第1の凹部よりも深さの浅い第2の凹部とを有することを特徴とする凹部付き部材。
  2. 前記凸部付き部材は、前記凸部としてマイクロレンズを備えたマイクロレンズ基板である請求項1に記載の凹部付き部材。
  3. 前記第1の凹部の深さは、8〜500μmである請求項1または2に記載の凹部付き部材。
  4. 前記第2の凹部の深さは、5〜400μmである請求項1ないし3のいずれかに記載の凹部付き部材。
  5. 前記第1の凹部の深さをD[μm]、前記第2の凹部の深さをD[μm]としたとき、3≦D−D≦495の関係を満足する請求項1ないし4のいずれかに記載の凹部付き部材。
  6. 前記第1の凹部は、凹部付き部材を平面視したときの縦幅が横幅よりも大きい扁平形状を有している請求項1ないし5のいずれかに記載の凹部付き部材。
  7. 透明性を有する材料で構成されたものである請求項1ないし6のいずれかに記載の凹部付き部材。
  8. 前記第1の凹部は、短軸方向の長さをL[μm]、長軸方向の長さをL[μm]としたとき、0.10≦L/L≦0.99の関係を満足する請求項1ないし7のいずれかに記載の凹部付き部材。
  9. 請求項1ないし8のいずれかに記載の凹部付き部材を用いたことを特徴とする凸部付き部材の製造方法。
  10. 前記凹部付き部材の凹部が形成された面に、流動性を有する樹脂を供給する工程と、
    前記樹脂を固化させ、固化物とする工程と、
    前記固化物を前記凹部付き部材から剥離する工程とを有する請求項9に記載の凸部付き部材の製造方法。
  11. 前記固化物を前記凹部付き部材から剥離する工程は、前記固化物を、前記第2の凹部から剥離した後に、前記第1の凹部から剥離するようにして行う請求項10に記載の凸部付き部材の製造方法。
  12. 請求項9ないし11のいずれかに記載の方法を用いて製造されたことを特徴とする凸部付き部材。
  13. 透明性を有する材料で構成されたものである請求項12に記載の凸部付き部材。
  14. 請求項12または13に記載の凸部付き部材を備えたことを特徴とする透過型スクリーン。
  15. 請求項14に記載の透過型スクリーンを備えたことを特徴とするリア型プロジェクタ。

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