JP2007193058A - レンズ基板、レンズ基板の製造方法、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ - Google Patents

レンズ基板、レンズ基板の製造方法、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ Download PDF

Info

Publication number
JP2007193058A
JP2007193058A JP2006010523A JP2006010523A JP2007193058A JP 2007193058 A JP2007193058 A JP 2007193058A JP 2006010523 A JP2006010523 A JP 2006010523A JP 2006010523 A JP2006010523 A JP 2006010523A JP 2007193058 A JP2007193058 A JP 2007193058A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substrate
lens
microlens
light
manufacturing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006010523A
Other languages
English (en)
Inventor
Nobuo Shimizu
信雄 清水
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2006010523A priority Critical patent/JP2007193058A/ja
Publication of JP2007193058A publication Critical patent/JP2007193058A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Overhead Projectors And Projection Screens (AREA)
  • Projection Apparatus (AREA)

Abstract

【課題】光学特性に優れた大型のレンズ基板と、前記レンズ基板を容易かつ確実に製造する製造方法と前記レンズ基板を備えた透過型スクリーン、リア型プロジェクタを提供する。
【解決手段】多数のレンズ部21を有する基板ユニット28を所定位置で切断する切断工程と、切断工程で切断された基板ユニット28を複数接合して基板本体2を得る接合工程と、基板本体2のレンズ部21が設けられた側とは反対の面側に、セルフアライメントにより開口部31を有する遮光膜3を形成する遮光膜形成工程とを有し、遮光膜形成工程において、少なくとも、平面視したときの複数の基板ユニット28の接合面29上に前記遮光膜3を形成する。
【選択図】図2

Description

本発明は、レンズ基板、レンズ基板の製造方法、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタに関するものである。
近年、リア型プロジェクタは、ホームシアター用モニター、大画面テレビ等に好適なディスプレイとして、需要が高まりつつある。
リア型プロジェクタに用いられる透過型スクリーンには、レンチキュラレンズを備えたレンズ基板(レンチキュラレンズ基板)を備えたものが一般的に用いられている。
このようなレンズ基板は、一般に、ロール状の金型を用いて、フィルム状のベース部材上に樹脂材料をラミネート成形し、これを硬化させる方法を用いて製造されている(例えば、特許文献1参照)。このような方法では、長尺な成形体を得、その後、必要な長さに切断してレンズ基板を得る。
一方、近年、ディスプレイの大型化が急激に進行しているが、これに対応するためには、上記のような方法では、金型を製造すべきディスプレイの大きさに応じて作り直す必要があった。すなわち、上記のような方法では、切断する長さを調節することにより、レンズ基板の長さは変更できるものの、一般に、ディスプレイのアスペクト比は、固有の値(従来からのテレビ放送等では4:3、ハイビジョン放送等では16:9)であるため、大きさ(型)の異なるレンズ基板の製造には対応することが困難であった。また、予め大型の金型を用意しておき、これにより製造された成形体を、縦横方向に、それぞれ必要な大きさに切断して所望の大きさのレンズ基板を製造することも考えられるが、金型の製造コストは、製造する金型の大きさにともなって急激に上昇するため、コスト面で非常に不利である。また、大型の金型を製造した場合、金型の各部位での形状のばらつきを抑制するのが困難となり、製造するレンズ基板の品質の安定性の観点からも好ましくない。
また、視野角特性の観点等から、従来のレンチキュラレンズに代わり、マイクロレンズを用いたレンズ基板(マイクロレンズ基板)が、近年注目されているが、このようなレンズ基板では、上記のような金型を用いた方法による大型化への対応が特に困難である。
特開平11−125704号公報
本発明の目的は、光学特性に優れた大型のレンズ基板を提供すること、前記レンズ基板を容易かつ確実に製造する製造方法を提供すること、また、前記レンズ基板を備えた透過型スクリーン、リア型プロジェクタを提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のレンズ基板は、多数のレンズ部を有する基板本体と、
前記基板本体の前記レンズ部が設けられた側とは反対の面側に設けられ、前記レンズ部の焦点に対応する部位に開口部を有する遮光膜とを有するレンズ基板であって、
前記基板本体は、多数のレンズ部を有する基板ユニットが複数接合されてなり、平面視したときに、少なくとも、複数の前記基板ユニットの接合面上に前記遮光膜が設けられていることを特徴とする。
これにより、光学特性に優れた大型のレンズ基板を提供することができる。
本発明のレンズ基板では、前記接合面は、前記基板ユニットの主面に対して、所定の角度θだけ傾斜していることが好ましい。
これにより、レンズ基板の機械的強度をより優れたものとすることができるとともに、レンズ基板を用いて表示される画像において、接合面による影響をより確実に排除することができる。また、レンズ基板の製造時においては、基板ユニットの接合をより効率良く行うことができる。
本発明のレンズ基板では、前記角度θが、0.1〜60°であることが好ましい。
これにより、レンズ基板の機械的強度を特に優れたものとすることができるとともに、レンズ基板を用いて表示される画像において、接合面による影響をより確実に排除することができる。また、遮光膜の開口部を比較的広く形成することができ、光の利用効率を向上することができる。また、レンズ基板の製造時においては、基板ユニットの接合を特に効率良く行うことができる。
本発明のレンズ基板は、前記レンズ部としてマイクロレンズを備えたマイクロレンズ基板であることが好ましい。
これにより、視野角特性を優れたものとすることができる。
本発明のレンズ基板では、前記レンズ部は、前記基板ユニットを平面視した際に、正方格子形状または千鳥格子状に配されたものであることが好ましい。
これにより、視野角特性をより優れたものとすることができるとともに、レンズ基板の製造時においては、基板ユニットの切断や接合をより効率よく行うことができる。特に、レンズ部が、千鳥格子状に配されたものであると、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止することができる。
本発明のレンズ基板の製造方法は、多数のレンズ部を有するレンズ基板を製造する方法であって、
多数のレンズ部を有する基板ユニットを所定位置で切断する切断工程と、
前記切断工程で切断された前記基板ユニットを複数接合して前記基板本体を得る接合工程と、前記基板本体の前記レンズ部が設けられた側とは反対の面側に、セルフアライメントにより開口部を有する遮光膜を形成する遮光膜形成工程とを有し、
前記遮光膜形成工程において、少なくとも、平面視したときの複数の前記基板ユニットの接合面上に前記遮光膜を形成することを特徴とする。
これにより、光学特性に優れた大型のレンズ基板を、容易かつ確実に製造することができるレンズ基板の製造方法を提供することができる。
本発明のレンズ基板の製造方法では、前記接合面は、前記基板ユニットの主面に対して、所定の角度θだけ傾斜していることが好ましい。
これにより、基板ユニットの接合をより効率よく行うことができる。また、製造されるレンズ基板の機械的強度をより優れたものとすることができるとともに、レンズ基板を用いて表示される画像において、接合面による影響をより確実に排除することができる。
本発明のレンズ基板の製造方法では、前記角度θが、0.1〜60°であることが好ましい。
これにより、基板ユニットの接合を特に効率よく行うことができる。また、製造されるレンズ基板の機械的強度を特に優れたものとすることができるとともに、レンズ基板を用いて表示される画像において、接合面による影響をより確実に排除することができる。また、遮光膜の開口部を比較的広く形成することができ、光の利用効率を向上することができる。
本発明のレンズ基板の製造方法では、前記レンズ基板は、前記レンズ部としてマイクロレンズを備えたマイクロレンズ基板であることが好ましい。
これにより、視野角特性を優れたものとすることができる。また、レンズ部としてマイクロレンズを備えたマイクロレンズ基板については、従来の製造方法では、大型の物を得るのが困難であったが、本発明では、優れた光学特性を有する大型のマイクロレンズ基板を好適に想像することができる。すなわち、本発明の効果は、マイクロレンズ基板の製造に適用した場合に、より顕著に発揮される。
本発明のレンズ基板の製造方法では、前記レンズ部は、前記基板ユニットを平面視した際に、正方格子形状または千鳥格子状に配されたものであることが好ましい。
これにより、基板ユニットの切断や接合をより効率よく行うことができる。また、得られるレンズ基板においては、視野角特性をより優れたものとすることができる。特に、レンズ部が、千鳥格子状に配されたものであると、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止することができる。
本発明のレンズ基板の製造方法では、前記切断面の表面粗さRaが、0.002〜1.0μmであることが好ましい。
これにより、基板ユニットの接合をより効率よく行うことができるとともに、製造されるレンズ基板の機械的強度を特に優れたものとすることができる。また、レンズ基板についての光の透過率を十分に高いものとすることができる。
本発明のレンズ基板の製造方法では、前記接合工程は、レーザ光の照射により行うことが好ましい。
これにより、基板ユニットの接合をより効率よく行うことができるとともに、製造されるレンズ基板の機械的強度を特に優れたものとすることができる。また、レンズ基板についての光の透過率を十分に高いものとすることができる。
本発明の透過型スクリーンは、本発明のレンズ基板を備えたことを特徴とする。
これにより、光学特性に優れた大型の透過型スクリーンを提供することができる。
本発明の透過型スクリーンは、本発明の方法を用いて製造されたレンズ基板を備えたことを特徴とする。
これにより、光学特性に優れた大型の透過型スクリーンを提供することができる。
本発明のリア型プロジェクタは、本発明の透過型スクリーンを備えたことを特徴とする。
これにより、光学特性に優れた大型の透過型スクリーンを備えたリア型プロジェクタを提供することができる。
以下、本発明のレンズ基板、レンズ基板の製造方法、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタについて、添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
なお、本発明において、「基板」とは、実質的に可撓性を有さない、比較的肉厚の大きいものから、シート状のものや、フィルム状のもの等の含む概念のことを指す。
本発明のレンズ基板の用途は、特に限定されないが、以下の説明では、レンズ基板を、主に、透過型スクリーン、リア型プロジェクタを構成する部材として用いるものとして説明する。また、以下の説明では、レンズ基板の一例として、マイクロレンズ基板について代表的に説明する。
まず、本発明のレンズ基板の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明のレンズ基板(マイクロレンズ基板)の実施形態を示す模式的な縦断面図、図2は、本発明のレンズ基板(マイクロレンズ基板)の第1実施形態の平面図である。なお、以下の説明では、図1中の左側を「(光の)入射側」、右側を「(光の)出射側」と言う。また、本発明においては、特に断りのない限り、「(光の)入射側」、「(光の)出射側」とは、それぞれ、画像光(映像光)を得るための光の「入射側」、「出射側」のことを指し、外光等の「入射側」、「出射側」のことを指すものではない。
また、基板本体、基板ユニットは、実際には多数のマイクロレンズを有するものであるが、ここでは、説明をわかりやすくするために、その一部分を強調して示した。
マイクロレンズ基板(レンズ基板)1は、後述する透過型スクリーン10を構成する部材であり、図1に示すように、所定のパターンで配列された複数個のマイクロレンズ(レンズ部)21を備えた基板本体2と、ブラックマトリックス(遮光膜)3と、入射した光を乱反射させることにより拡散させる機能を有する拡散部4とを備えている。また、マイクロレンズ基板1の光の入射側(すなわち、マイクロレンズ21の光の入射側)には、着色部(外光吸収部)22が設けられている。
基板本体2は、通常、主として光透過性を有する材料で構成される。
基板本体2の構成材料としては、例えば、各種樹脂材料、各種ガラス材料等を用いることができるが、基板本体2の生産性や、後述するブラックマトリックス3との密着性等の観点から、樹脂材料が好ましい。
基板本体2を構成する樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド(例:ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6−12、ナイロン6−66)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば、ブレンド樹脂、ポリマーアロイ、積層体等として)用いることができる。
基板本体2の構成材料(固化した状態の材料)は、一般に、各種気体(マイクロレンズ基板1が用いられる雰囲気)より大きな絶対屈折率を有するものであるが、絶対屈折率の具体的な値は、1.35〜1.9であるのが好ましく、1.40〜1.75であるのがより好ましい。基板本体2の構成材料の絶対屈折率が前記範囲内の値であると、光(入射光)の利用効率を特に優れたものとしつつ、視野角特性を特に優れたものとすることができる。
特に、基板本体2は、後述するように(後述するような方法により)、小型の基板ユニット28が複数枚接合されてなるものである。このため、大型の透過型スクリーン(例えば、有効表示領域の対角線長が101.6cm以上の透過型スクリーン)等に好適に適用することができるとともに、大型のマイクロレンズ基板1を高い歩留りで安価に製造することができる。
マイクロレンズ基板1は、光の入射する面側に凸面を有する凸レンズとしてのマイクロレンズ(レンズ部)21を複数個備えている。
本実施形態において、マイクロレンズ(レンズ部)21は、マイクロレンズ基板1を平面視した際に略円形状を有している。マイクロレンズ21がこのような形状を有することにより、視野角特性を優れたものとすることができる。特に、水平方向および鉛直方向の視野角特性をともに優れたものとすることができる。
平面視したときのマイクロレンズ21の直径Xは、10〜500μmであるのが好ましく、30〜300μmであるのがより好ましく、50〜100μmであるのがさらに好ましい。マイクロレンズ21の直径が前記範囲内の値であると、スクリーンに投影される画像において十分な解像度を得ることができるとともに、マイクロレンズ基板1(透過型スクリーン10)の生産性を高めることができる。
また、マイクロレンズ21の曲率半径は、7.5〜375μmであるのが好ましく、22.5〜225μmであるのがより好ましく、35〜75μmであるのがさらに好ましい。マイクロレンズ21の曲率半径が前記範囲内の値であると、視野角特性をより優れたものとすることができる。特に、水平方向および鉛直方向の視野角特性をともに優れたものとすることができる。
また、マイクロレンズ21の高さは、7.5〜375μmであるのが好ましく、22.5〜225μmであるのがより好ましく、35〜75μmであるのがさらに好ましい。マイクロレンズ21の高さが前記範囲内の値であると、光の利用効率および視野角特性を、より優れたものとすることができる。
また、これら複数個のマイクロレンズ21は、正方格子状に配列している。これにより、視野角特性をより優れたものとすることができる。また、マイクロレンズ基板1の製造時においては、基板ユニット28の切断や接合をより効率よく行うことができる。
また、マイクロレンズ基板1を光の入射面側(図2で示した方向)から平面視したときの、マイクロレンズ21が設けられている有効領域において、マイクロレンズ21の占有率は、90〜99.5%であるのが好ましい。マイクロレンズ21の占有率が前記範囲内の値であると、光利用効率をさらに向上させることができ、投影させる画像の輝度、コントラストを特に優れたものとすることができる。
また、各マイクロレンズ21は、入射側に突出した凸レンズとして設けられており、焦点fが、基板本体2の出射側の表面付近、ブラックマトリックス(遮光膜)3の開口部31の近傍に位置するように設計されている。すなわち、マイクロレンズ基板1に対して、ほぼ垂直な方向から入射した平行光La(後述するフレネルレンズ部5からの平行光La)は、マイクロレンズ基板1の各マイクロレンズ21によって集光され、基板本体2の出射側の表面付近、ブラックマトリックス3の開口部31近傍で焦点fを結ぶ。このように、基板本体2の出射側の表面付近、ブラックマトリックス3の開口部31の近傍でマイクロレンズ21が焦点を結ぶことにより、光の利用効率を特に優れたものとすることができる。その結果、マイクロレンズ基板1を透過した光により形成される画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。
また、前述したように、マイクロレンズ基板1の光の入射側(すなわち、マイクロレンズ21の光の入射側)には、着色部22が設けられている。着色部22は、入射側から入射した光を十分に透過することができるとともに、外光(例えば、光の出射側等から不本意に入射した外光等)が、出射側に反射するのを防止する機能を有する。このような着色部22を有することにより、コントラストに優れた画像を得ることができる。特に、着色部22を有するとともに、後述するようなブラックマトリックス3を有することにより、これらの機能が相乗的に作用し合い、表示される画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。
特に、本実施形態において、着色部(染色部)22は、後に詳述するように、基板本体2に着色液(特に、組成に特徴を有する着色液)を付与することにより形成されたものである。より詳しく説明すると、着色部22は、後に詳述するような着色液を基板本体2に付与することにより、着色剤が基板本体2(マイクロレンズ21)の内部に含浸して形成されたものである。着色部22がこのようにして形成されたもの(染色により形成されたもの)であると、基板本体上に着色部を積層(外付け)した場合に比べて、着色部の密着性が高くなる。その結果、例えば、界面付近での屈折率の変化等によるマイクロレンズ基板の光学特性への悪影響の発生をより確実に防止することができる。
また、着色部22は、基板本体2に着色液を付与することにより形成されたものであるため、各部位での厚さのばらつき(特に、基板本体の表面形状に対応しない厚さのばらつき)が小さい。これにより、投射される画像において、色ムラ等の不都合が発生するのをより確実に防止することができる。
また、着色部22は、着色剤を含む材料で構成されているものの、通常、その主成分は、基板本体2(マイクロレンズ21)の主成分と同一である。したがって、着色部22と、それ以外の非着色部との境界付近での急激な屈折率の変化等が生じ難い。したがって、マイクロレンズ基板1全体としての光学特性を設計し易く、また、マイクロレンズ基板1としての光学特性は安定し、信頼性の高いものとなる。
着色部22の色は、特に限定されないが、青色を基調とし、赤色あるいは茶色あるいは黄色を混色した着色剤を用い、外観としては無彩色で黒色であり、光源の光の三原色のバランスを制御する特定の波長の光を選択的に吸収または透過するものであるのが好ましい。これにより、外光の反射を防止し、マイクロレンズ基板を透過した光により形成される画像の色調を正確に表現し、さらに色座標が広く(色調の表現の幅が十分に広く)、より深い黒を表現できることで、結果的にコントラストを特に優れたものとすることができる。
また、基板本体2の光の出射側の面には、ブラックマトリックス(遮光膜)3が設けられている。
ブラックマトリックス3は、遮光性を有する材料で構成され、膜状に形成されたものである。このようなブラックマトリックス3を有することにより、当該ブラックマトリックス3に、外光(投影画像を形成する上で好ましくない外光)を吸収させることができ、スクリーンに投影される画像を、コントラストに優れたものとすることができる。特に、前述したような着色部22を有するとともに、ブラックマトリックス3を有することにより、マイクロレンズ基板1による画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。
また、後に詳述するように、ブラックマトリックス3は、基板本体2を構成する複数の基板ユニット28の接合面29上にも設けられている。その結果、基板ユニット28の境界部に起因する画像への悪影響(例えば、境界部に対応する位置への暗い筋の出現等)をなくし、高品位の画像を表示することができる。
このようなブラックマトリックス3は、各マイクロレンズ21を透過した光の光路上に開口部31を有している。これにより、各マイクロレンズ21で集光された光を、効率良く、ブラックマトリックス3の開口部31を通過させることができる。その結果、マイクロレンズ基板1の光利用効率を高いものとすることができる。
開口部31は、後に詳述するように(後に詳述するような方法により)、ブラックマトリックス3の開口部31以外の部位で外光の反射を効果的に防止しつつ、画像形成用の光がブラックマトリックス3により吸収、反射されるのを十分に防止するような大きさで設けられている。
ブラックマトリックス3の開口部31は、いかなる形状のものであってもよいが、平面視したときの形状が略円形であるのが好ましい。開口部31が略円形である場合、開口部31の大きさは、特に限定されないが、その直径が、5〜100μmであるのが好ましく、15〜90μmであるのがより好ましく、20〜70μmであるのがさらに好ましい。これにより、スクリーンに投影される画像を、よりコントラストに優れたものとすることができる。
また、ブラックマトリックス3の厚さ(平均厚さ)は、0.3〜8μmであるのが好ましく、0.8〜7μmであるのがより好ましく、1.4〜6μmであるのがさらに好ましい。ブラックマトリックス3の厚さが前記範囲内の値であると、ブラックマトリックス3の不本意な剥離、クラック等をより確実に防止しつつ、ブラックマトリックス3としての機能(すなわち、画像のコントラストを向上させる機能)をより効果的に発揮させることができ、例えば、マイクロレンズ基板1を備えた透過型スクリーン10において、投影される画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。
また、平面視したときの開口部31のブラックマトリックス3に対する面積比(開口率)は、5〜50%であるのが好ましく、10〜35%であるのがより好ましく、15〜25%であるのがさらに好ましい。開口率が前記範囲内の値であると、外光(例えば、光の入射側とは反対側から不本意に入射した外光等)が、出射側に反射するのを十分に低く抑えることができ、光の利用効率を特に優れたものとしつつ、映り込みを防止して、得られる画像のコントラストを特に優れたものとすることができるとともに、マイクロレンズ基板1の視野角特性を特に優れたものとすることができる。これに対し、開口率が前記下限値未満であると、光の利用効率、視野角特性を十分に優れたものとするのが困難となる可能性がある。また、開口率が前記上限値を越えると、外光反射を十分に低く抑えることが困難となり、映り込みを防止して、得られる画像のコントラストを十分に優れたものとするのが困難となる可能性がある。
また、マイクロレンズ基板1の光の出射側の面には、拡散部4が設けられている。拡散部4は、入射した光(入射光)を乱反射させることにより拡散させる機能を有するものである。このような拡散部4を有することにより、視野角特性を優れたものとすることができる。また、拡散部4は、ブラックマトリックス3より光の出射側に設けられた領域を有するものである。このような構成であることにより、拡散部4に入射した光を、出射側(光の入射側とは反対側の方向)に効率よく向かわせることができ、透過型スクリーン10の視野角特性を特に優れたものにすることができる(スクリーンに投影される画像を好適に視認することができる視野角を特に大きいものとすることができる)。本実施形態では、拡散部4は、光透過性に優れた実質的に透明な材料(例えば、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂等)中に、拡散材が分散した構成になっている。拡散材としては、例えば、微粒子状(ビーズ状)のシリカ、ガラス、樹脂等を用いることができる。拡散材の平均粒径は、特に限定されないが、1〜50μmであるのが好ましく、2〜10μmであるのがより好ましい。
また、拡散部4の厚さは、特に限定されないが、0.05〜5mmであるのが好ましく、0.7〜4mmであるのがより好ましく、1.0〜3mmであるのがさらに好ましい。拡散部4の厚さが前記範囲内の値であると、光の利用効率を十分に高いものとしつつ、視野角特性を特に優れたものとすることができる。これに対し、拡散部4の厚さが前記下限値未満であると、拡散部4を設けることによる効果が十分に発揮されない可能性がある。また、拡散部4の厚さが前記上限値を超えると、光(光子)と拡散材とが衝突する確率(頻度)が急激に高くなる傾向を示し、消光が起こり易く、また、光拡散部内に入射した光(光子)が、再び入射側に戻る可能性も高くなる。その結果、光の利用効率を十分に高めるのが困難になる可能性がある。
マイクロレンズ基板(レンズ基板)1は、後に詳述するような方法で製造されたものであり、光の利用効率に優れている。マイクロレンズ基板1の光の利用効率(マイクロレンズ基板1の入射面側から入射する光の光量に対する、出射面側から出射する光の光量の割合)は、65%以上であるのが好ましく、75%以上であるのがより好ましく、85%以上であるのがさらに好ましい。
次に、前述したマイクロレンズ基板1の製造方法の一例(第1実施形態)について説明する。
図3は、マイクロレンズ基板の製造に用いる凹部付き部材を示す模式的な縦断面図、図4は、図3に示す凹部付き部材の製造方法を示す模式的な縦断面図、図5〜図7は、本発明のレンズ基板(マイクロレンズ基板)の製造方法の一例(第1実施形態)を示す模式的な縦断面図、図8は、本発明のレンズ基板(マイクロレンズ基板)の製造方法の一例(第1実施形態)での切断工程を示す模式的な平面図である。なお、以下の説明では、図5〜図8中の下側を「(光の)入射側」、図4〜図7の上側を「(光の)出射側」と言う。
また、凹部付き部材の製造においては、実際には基板上に多数の凹部(マイクロレンズ形成用凹部)を形成し、マイクロレンズ基板(基板ユニット、基板本体)の製造においては、実際には多数の凸部(凸レンズ)を形成するが、ここでは、説明をわかりやすくするために、その一部分を強調して示した。
まず、マイクロレンズ基板の製造方法の説明に先立ち、マイクロレンズ基板の製造に用いる凹部付き部材(凹部付き基板)の構成およびその製造方法について説明する。
凹部付き部材(凹部付き基板)6は、いかなる材料で構成されたものであってもよいが、たわみを生じ難く、傷つき難い材料で構成されたものであるのが好ましい。凹部付き部材6の構成材料としては、例えば、各種ガラス材料、各種樹脂材料等が挙げられる。ガラス材料としては、例えば、ソーダガラス、結晶性ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス等が挙げられ、また、樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド(例:ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6−12、ナイロン6−66)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等の各種樹脂材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。この中でも、凹部付き部材6の構成材料としては、ガラス材料が好ましく、ソーダガラス、結晶性ガラス(例えば、ネオセラム等)、無アルカリガラスがより好ましい。このような材料は、一般に、形状の安定性に優れている。このため、凹部付き部材6が有する凹部61の形状の安定性(信頼性)や、当該凹部61を用いて形成されるマイクロレンズ21の寸法精度等を特に優れたものとすることができ、レンズ基板としての光学特性を特に信頼性の高いものとすることができる。また、ガラス材料は、一般に、形状の安定性に優れているため、後に詳述するマイクロレンズ基板1の製造方法において、製造された基板ユニット28の取り扱い性が向上する。また、ソーダガラス、結晶性ガラス、無アルカリガラスは、加工が容易であるとともに、比較的安価であり、製造コストの面からも有利である。
凹部付き部材(凹部付き基板)6は、マイクロレンズ21の配列方式に対応する方式(転写された位置関係)で配列した、複数個の凹部(マイクロレンズ形成用凹部)61を備えている。そして、これらの凹部61は、マイクロレンズ21が凸部であるのに対し凹部である以外は、マイクロレンズ21に対応する形状(転写された形状である以外は実質的に同一の形状)、寸法を有している。
なお、例えば、基板本体2(基板ユニット28)の構成材料が収縮し易いものである場合(基板本体2を構成する組成物が固化等により収縮する場合)、その収縮率等を考慮し、マイクロレンズ21と凹部61とについて、これらの間で、形状(寸法)、占有率等が異なるようにしてもよい。
また、凹部付き部材6は比較的小型のものであるのが好ましい。これにより、凹部付き部材6を用いて製造される基板ユニット28の各部位における表面形状の不本意なばらつき、光学特性のばらつき等を効果的に防止することができる。また、凹部付き部材6を用いて製造された基板ユニット28を基板ユニット28から除去する際に、基板ユニット28や凹部付き基板6に欠損(割れ、かけ等)が生じるのを効果的に防止することができる。
凹部付き部材6の大きさとしては、縦:20〜100cm×横:20〜100cm×厚さ:0.3〜2.0cm程度であるのが好ましく、縦:30〜60cm×横:30〜60cm×厚さ:0.4〜1.5cm程度であるのがより好ましい。凹部付き部材6の大きさが小さ過ぎると、1枚のマイクロレンズ基板1を製造するのに用いる基板ユニット28の数が増え、マイクロレンズ基板1の生産性が低下する傾向を示す。一方、凹部付き部材6の大きさが大きすぎると、上述したような効果が十分に発揮されない可能性がある。
次に、凹部付き部材の製造方法について、図4を参照しながら説明する。なお、実際には基板上に多数の凹部(マイクロレンズ形成用凹部)を形成するが、ここでは、説明をわかりやすくするために、その一部分を強調して示した。
まず、凹部付き部材6を製造するに際し、基板7を用意する。
この基板7は、厚さが均一で、たわみや傷のないものが好適に用いられる。また、基板7は、洗浄等により、その表面が清浄化されているものが好ましい。
<A1>用意した基板7の表面に、多数個の初期孔(開口部)82を有するマスク8を形成するとともに、基板7の裏面(マスク8が形成される面と反対側の面)に裏面保護膜89を形成する(マスキング工程、図4(a)、図4(b)参照)。
特に、本実施形態では、まず、図4(a)に示すように、用意した基板7の裏面に裏面保護膜89を形成するとともに、基板7の表面にマスク形成用膜81を形成し(マスク形成用膜形成工程)、その後、図4(b)に示すように、マスク形成用膜81に初期孔82を形成すること(初期孔形成工程)によりマスク8を得る。マスク形成用膜81および裏面保護膜89は同時に形成することもできる。
マスク形成用膜81は、レーザ光の照射等により、後述する初期孔82を形成することができるとともに、後述するエッチング工程におけるエッチングに対する耐性を有するものが好ましい。換言すれば、マスク形成用膜81(マスク8)は、エッチングレートが、基板7と略等しいか、または、基板7に比べて小さくなるように構成されるのが好ましい。
かかる観点からは、マスク形成用膜81(マスク8)を構成する材料としては、例えばCr、Au、Ni、Ti、Pt等の金属やこれらから選択される2種以上を含む合金、前記金属の酸化物(金属酸化物)、シリコン、樹脂等が挙げられる。
また、マスク形成用膜81(マスク8)は、例えば、実質的に均一な組成を有するものであってもよいし、異なる複数の層を有する積層体等であってもよい。
上記のように、マスク形成用膜81(マスク8)の構成は、特に限定されるものではないが、主としてクロムで構成される層と、主として酸化クロムで構成される層とを有する積層体であるのが好ましい。このような構成のマスク形成用膜81は、後述するようなレーザ光の照射等により、所望の形状の開口部を容易かつ確実に形成することができるものであり、また、このような構成のマスク形成用膜81を用いて得られるマスク8は、様々な組成のエッチング液に対して優れた安定性を有している(後述するエッチング工程において基板7をより確実に保護することができる)。また、基板7がガラスで構成されたものであり、かつマスク形成用膜81(マスク8)が上記のような構成のものであると、例えば、後述するエッチング工程において、エッチング液として一水素二フッ化アンモニウムを含む液体を好適に用いることができる。一水素二フッ化アンモニウムは毒劇物ではないため、作業中の人体や環境への影響をより確実に防止することができる。また、上記のような構成のマスク形成用膜81(マスク8)は、マスクの内部応力を効率良く緩和することができ、基板7との密着性(特に、エッチング工程における密着性)に特に優れている。このようなことから、上記のような構成のマスク形成用膜81(マスク8)を用いることにより、所望の形状の凹部61を容易かつ確実に形成することができる。
マスク形成用膜81の形成方法は特に限定されないが、マスク形成用膜81(マスク8)をクロム(Cr)、金(Au)等の金属材料(合金を含む)や金属酸化物(例えば酸化クロム)、またはこれらの複合材料(例えば、金属材料で構成された金属層と、金属酸化物で構成された金属酸化物層とを有する積層体等)で構成されたものとする場合、マスク形成用膜81は、例えば、蒸着法やスパッタリング法等により、好適に形成することができる。また、マスク形成用膜81(マスク8)をシリコンで構成されたものとする場合、マスク形成用膜81は、例えば、スパッタリング法やCVD法等により、好適に形成することができる。
マスク形成用膜81(マスク8)の厚さは、マスク形成用膜81(マスク8)を構成する材料によっても異なるが、0.01〜2.0μm程度が好ましく、0.01〜0.3μm程度がより好ましい。厚さが前記下限値未満であると、マスク形成用膜81の構成材料等によっては、後述する初期孔形成工程(開口部形成工程)において形成される初期孔82の形状が歪んでしまう可能性がある。また、後述するエッチング工程でウェットエッチングを施す際に、基板7のマスクした部分を十分に保護できない可能性がある。一方、上限値を超えると、マスク形成用膜81の構成材料等によっては、後述する初期孔形成工程において、貫通する初期孔82を形成するのが困難になるほか、マスク形成用膜81(マスク8)の内部応力によりマスク形成用膜81(マスク8)が剥がれ易くなる場合がある。
裏面保護膜89は、次工程以降で基板7の裏面を保護するためのものである。この裏面保護膜89により、基板7の裏面の侵食、劣化等が好適に防止される。この裏面保護膜89は、例えば、マスク形成用膜81(マスク8)と同様の構成を有している。このため、裏面保護膜89は、マスク形成用膜81の形成と同時に、マスク形成用膜81と同様に設けることができる。
次に、図4(b)に示すように、マスク形成用膜81に、複数個の初期孔(開口部)82を形成し、マスク8を得る(初期孔形成工程)。本工程で形成される初期孔82は、後述するエッチングの際のマスク開口として機能するものである。
初期孔82の形成方法は、特に限定されないが、レーザ光の照射による方法であるのが好ましい。これにより、所望のパターンに配列した所望の形状の初期孔82を容易かつ精確に形成することができる。その結果、凹部61の形状、配列方式等をより確実に制御することができる。また、初期孔82をレーザの照射により形成することにより、凹部付き部材を生産性良く製造することができる。特に、大面積の基板にも簡単に凹部を形成することができる。また、レーザ光の照射でマスク形成用膜81に初期孔82を形成することで、従来のようなフォトリソグラフィ法によってレジスト膜に開口部を形成する場合に比べて、簡単かつ安価に開口部(初期孔82)を形成することができる。
また、レーザ光の照射により初期孔82を形成する場合、使用するレーザ光の種類は、特に限定されないが、ルビーレーザ、半導体レーザ、YAGレーザ、フェムト秒レーザ、ガラスレーザ、YVOレーザ、Ne−Heレーザ、Arレーザ、COレーザ、エキシマレーザ等が挙げられる。また、各レーザのSHG、THG、FHG等の波長を使っても良い。
本工程で形成する初期孔82は、その形状、大きさは特に限定されないが、略円形で、その直径が、0.5〜30μmであるのが好ましく、1.0〜10μmであるのがより好ましく、1.5〜5μmであるのがさらに好ましい。初期孔82の直径が前記範囲内の値であると、後述するエッチング工程において、前述したような形状の凹部61を確実に形成することができる。
<A2>次に、図4(c)に示すように、初期孔82が設けられたマスク8を用いて基板7にエッチングを施し、基板7上に多数の凹部61を形成する(エッチング工程)。
エッチングの方法は、特に限定されず、例えば、ウェットエッチング、ドライエッチング等が挙げられる。以下の説明では、ウェットエッチングを用いる場合を例に挙げて説明する。
初期孔82が設けられたマスク8で被覆された基板7に対して、エッチング(ウェットエッチング)を施すことにより、図4(c)に示すように、基板7は、マスク8が存在しない部分(マスク8の初期孔82に対応する部位)より食刻され、基板7上に多数の凹部61が形成される。上述したように、マスク8に設けられた初期孔82が正方格子状の配置であるため、形成される凹部61は、基板7の表面に正方格子状に配置されたものとなる。
また、ウェットエッチング法を用いると、凹部61を好適に形成できる。そして、エッチング液として、例えば、一水素二フッ化アンモニウムを含むエッチング液を用いると、基板7をより選択的に食刻することができ、凹部61を好適に形成することができる。
マスク8(マスク形成用膜81)が主としてクロム、酸化クロムで構成されたものである場合、フッ酸系エッチング液としては、一水素二フッ化アンモニウムを含む液体が特に好適である。一水素二フッ化アンモニウム溶液は毒劇物ではないため、作業中の人体や環境への影響を防止することができる。また、エッチング液として、一水素二フッ化アンモニウムを用いる場合、該エッチング液中には、例えば、過酸化水素および/または硫酸が含まれていてもよい。これにより、エッチングスピートをより速くすることができる。
また、ウェットエッチングによれば、ドライエッチングに比べて簡単な装置で処理を行うことができ、さらに、一度に多くの基板に対して処理を行うことができる。これにより生産性が向上し、安価に凹部付き部材6を提供することができる。
<A3>次に、図4(d)に示すように、マスク8を除去する(マスク除去工程)。また、この際、マスク8の除去とともに、裏面保護膜89も除去することにより、凹部付き部材6が得られる。
マスク8が、前述したような主としてクロムで構成される層と、主として酸化クロムで構成される層とを有する積層体である場合、マスク8の除去は、例えば、硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸とを含む混合物を用いたエッチングにより好適に行うことができる。
また、例えば、凹部付き部材6の凹部61が設けられている面側に、離型処理を施してもよい。これにより、後に詳述するマイクロレンズ基板1の製造方法において、基板ユニット28が有するマイクロレンズ21にカケ等の欠陥が生じるのを十分に防止しつつ、凹部付き部材6を容易に取り外すことができ、結果として、最終的なマイクロレンズ基板1において、マイクロレンズ21の欠陥を防止することができる。離型処理としては、アルキルポリシロキサン等のシリコーン系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂等の離型性を有する物質で構成される被膜の形成、ヘキサメチルジシラザン([(CHSi]NH)等のシリル化剤による表面処理、フッ素系ガスによる表面処理等が挙げられる。
以上により、図4(d)および図3に示すように、基板7上に多数の凹部61が正方格子状に設けられた凹部付き部材6が得られる。
基板7上に正方格子状に配された複数個の凹部61を形成する方法は、特に限定されるものではないが、上述したような方法(レーザ光の照射によりマスク形成用膜81に初期孔82を形成してマスク8を得、その後、そのマスク8を用いてエッチングを行うことにより、基板7上に凹部61を形成する方法)により形成した場合、以下のような効果が得られる。
すなわち、レーザ光の照射によりマスク形成用膜81に初期孔82を形成することで、従来のようなフォトリソグラフィ法によって開口部を形成する場合に比べて簡単かつ安価に、所定パターンで開口部(初期孔82)を有するマスクを得ることができる。これにより生産性が向上し、安価に凹部付き部材6を提供することができる。
また、初期孔82の形成をレーザの照射により行う場合、形成される初期孔82の形状、大きさ、配列等を、容易かつ確実に管理することができる。
次に、上述した凹部付き部材6を用いて、マイクロレンズ基板1を製造する方法について説明する。
<B1>まず、凹部付き部材6の凹部61が設けられた側の面に、流動性を有する状態の組成物23(例えば、軟化状態の樹脂材料、未重合(未硬化)の樹脂材料)を付与する(組成物付与工程。図5(a)参照)。
<B2>次に、凹部付き部材6上に付与された組成物23上に、シート材(基材フィルム)24を載せ、このシート材24を介して、組成物23を押圧する(押圧工程。図5(b)参照)。
シート材24は、組成物23(固化後の組成物23)と同程度の屈折率を有する材料で構成されているのが好ましく、より具体的には、シート材24の構成材料の絶対屈折率と固化後の組成物23の絶対屈折率との差の絶対値が、0.20以下であるのが好ましく、0.10以下であるのがより好ましく、0.02以下であるのがさらに好ましい。シート材24は、いかなる材料で構成されたものであってもよいが、ポリエチレンテレフタレートやポリカーボネートで構成されたものであるのが好ましい。また、シート材24は、比較的厚いものを用いてもよいし、実質的に可撓性を有さないものを用いてもよい。
なお、平板11による押圧は、例えば、凹部付き部材6と、シート材24との間に、スペーサーを配した状態で、行ってもよい。これにより、形成される基板ユニット28の厚さをより確実に制御することができる。また、スペーサーを用いる場合、組成物23を固化する際に、凹部付き部材6とシート材24との間にスペーサーが配されていればよく、スペーサーを供給するタイミングは特に限定されない。例えば、凹部付き部材6の凹部61が設けられた側の面に、付与する組成物23として予めスペーサーが分散されたものを用いてもよいし、凹部付き部材6上にスペーサーを配した状態で組成物23を付与してもよいし、組成物23の供給後にスペーサーを付与してもよい。
スペーサーを用いる場合、当該スペーサーは、固化後の組成物23と同程度の屈折率を有する材料で構成されているのが好ましく、より具体的には、スペーサーの構成材料の絶対屈折率と固化後の組成物23の絶対屈折率との差の絶対値が、0.20以下であるのが好ましく、0.10以下であるのがより好ましく、0.02以下であるのがさらに好ましく、固化後の組成物23とスペーサーとが同一の材料で構成されたものであるのが最も好ましい。
スペーサーの形状は、特に限定されないが、略球状、略円柱状であるのが好ましい。スペーサーがこのような形状のものである場合、その直径は、10〜300μmであるのが好ましく、30〜200μmであるのがより好ましく、30〜170μmであるのがさらに好ましい。
<B3>次に、組成物23を固化(ただし、硬化(重合)を含む)させ、マイクロレンズ21を備えた基板ユニット28を得る(固化工程。図5(c)参照)。
組成物23の固化を硬化(重合)により行う場合、その方法としては、例えば、紫外線等の光の照射、電子線の照射、加熱等の方法が挙げられる。
このようにして得られる基板ユニット28は、製造すべきマイクロレンズ基板1(基板本体2)に対して小さいものであり、後に詳述するように、1枚のマイクロレンズ基板1(基板本体2)は、複数の基板ユニット28を用いて製造されるものである。
ところで、従来の方法により、レンズ基板(基板本体)を成型する場合、凹部付き部材が大型であると、組成物(樹脂材料)の加圧時に気泡が残留したり、組成物が均等に延ばされず部分的に厚くなったりするなどの問題が発生する。その結果、得られる樹脂層の厚さにムラが生じてしまう。なお、樹脂層の厚さが不均一であると、レンズ部の焦点位置にばらつきが発生し、また、色ムラや透過率ムラが発生するなど、均一な表示が得られず光学特性に悪影響を与えてしまう可能性がある。
これに対し、本発明では、後に詳述するように、小型の凹部付き部材6を用いて基板ユニット28を作製し、複数の基板ユニット28を接合して大型の基板本体2としているので、上記のような問題の発生を抑えることができ、その結果、色ムラや透過率ムラが抑えられ、コントラストに優れた画像を表示することができる。また、小型の凹部付き部材6を用いて製造された基板ユニット28を複数用いて、1枚のマイクロレンズ基板1(基板本体2)を製造するため、得られる1枚のマイクロレンズ基板1(基板本体2)は、各部位での光学特性のばらつきが小さく、安定した品質のマイクロレンズ基板1を提供することができる。
また、凹部付き部材において、大型の凹部付き部材を製造するにはコスト高になるが、本方法によれば、凹部付き部材が小型のものでよいため、コストを抑えることができる。
また、小型の基板ユニットを複数接合することで、製造すべきレンズ基板の大きさに対応する大型の凹部付き部材を用いてレンズ基板を製造する場合に比べて、歩留まりが良く、コストを抑えることができる。
<B4>次に、形成された基板ユニット28から、凹部付き部材6および平板11を取り外す(押圧部材・凹部付き部材除去工程。図5(d)参照)。
本工程で除去された凹部付き部材6および平板11は、基板ユニット28、マイクロレンズ基板1の製造に繰り返し使用することができる。これにより、製造されるマイクロレンズ基板1の品質の安定性を高めることができるとともに、製造コスト面でも有利となる。
<B5>次に、上記のようにして得られた基板ユニット28を、切断する(切断工程。図6(e)および図8参照)。
本工程は、いかなる方法で行ってもよいが、ダイヤモンドブレードを高速で回転させて切断する方法(第1の方法)、多光子吸収を起こさせるように、基板ユニット28内部で焦点を結ぶように、レーザ光(特に、近赤外レーザ)を照射する方法(第2の方法)、レーザ光の照射により基板ユニット28を溶融切断する方法(第3の方法)等が挙げられる。中でも、第1の方法、第2の方法を用いるのが好ましい。このような方法を用いることにより、基板ユニット28の構成材料の劣化、マイクロレンズ21の破損等をより確実に防止しつつ、精確な切断を行うことができる。特に、第2の方法を用いた場合、極めて精確な切断を行うことができる。
本工程において、第1の方法を用いる場合、厚さが10〜500μmのダイヤモンドブレードを用いるのが好ましい。これにより、基板ユニット28の構成材料の劣化、マイクロレンズ21の破損等をより確実に防止しつつ、極めて精確な切断を効率良く行うことができる。
また、第1の方法を用いる場合、切削くずの除去等のために、切断部付近に水を供給しつつ行うのが好ましい。
また、本工程において、第2の方法を用いる場合、発塵が極めて少ないため、洗浄水等を用いる必要がなく、マイクロレンズ基板1の生産性を特に優れたものとすることができる。
切断は、通常、マイクロレンズ21の光学特性を損なわないように、マイクロレンズ21が設けられた面側において、マイクロレンズ21の周縁部付近に切断面281が存在するように行う。すなわち、切断は、マイクロレンズ21が設けられた面側において、隣接するマイクロレンズ21の頂部同士の中間点付近に切断面281が存在するように行う。本実施形態では、図8(a)中のA−Aで示す線に沿って、基板ユニット28を切断する。
基板ユニット28の切断面は、例えば、基板ユニット28の主面に対して垂直なものであってもよいが、本実施形態では、図6(e)に示すように、基板ユニット28の主面に対して所定の角度θだけ傾斜している。これにより、後の工程において、基板ユニット28の接合をより効率よく行うことができる。また、製造されるマイクロレンズ基板1の機械的強度をより優れたものとすることができるとともに、マイクロレンズ基板1を用いて表示される画像において、接合面29(切断面281)による影響をより確実に排除することができる。
また、必要に応じて、例えば、切断後の基板ユニット28の切断面281を、研削、研磨してもよい。
基板ユニット28の主面の垂線(法線)と切断面のなす角(傾斜角)θは、0.1〜60°であるのが好ましく、20〜50°であるのがより好ましい。角度θが前記範囲内の値であると、後述する工程において、基板ユニット28の接合を特に効率よく行うことができる。また、製造されるマイクロレンズ基板1の機械的強度を特に優れたものとすることができるとともに、マイクロレンズ基板1を用いて表示される画像において、接合面29(切断面281)による影響をより確実に排除することができる。また、ブラックマトリックス3の開口部31を比較的広く形成することができ、光の利用効率を向上することができる。
切断面281(接合面29)の表面粗さRaは、0.002〜1.0μmであるのが好ましく、0.02〜0.5μmであるのがより好ましく、0.05〜0.1μmであるのがさらに好ましい。切断面281(接合面29)の表面粗さRaが前記範囲内の値であると、後述する工程において、基板ユニット28の接合をより効率よく行うことができるとともに、製造されるマイクロレンズ基板1の機械的強度を特に優れたものとすることができる。また、マイクロレンズ基板1についての光の透過率を特に高いものとすることができる。
<B6>次に、複数の基板ユニット28を2次元的に配置(タイリング)し、接合して基板本体2を得る(接合工程。図6(f)、図6(g)参照)。本工程により、隣接する基板ユニット28の切断面281同士が接合し、接合面29となる。
複数の基板ユニット28の接合方法は、特に限定されないが、例えば、接着剤による接合や、加熱溶融による接合等が挙げられる。
複数の基板ユニット28を接着剤により接合する場合、例えば、基板ユニット28の切断面281に、液状で、エネルギー線硬化性樹脂(例えば、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂(紫外線硬化性樹脂)を含む材料で構成される接着剤を付与して貼り合わせ、その後、前記接着剤を硬化させ、基板ユニット28を接着固定する方法を用いることができる。このような場合、接着剤は、硬化後において、透明性を有するものであるのが好ましい。
また、接着剤は、基板ユニット28の構成材料と同程度の屈折率を有する材料で構成されたものであるのが好ましく、より具体的には、硬化後の接着剤の絶対屈折率と、基板ユニット28の構成材料の絶対屈折率との差の絶対値が、0.20以下であるのが好ましく、0.10以下であるのがより好ましく、0.02以下であるのがさらに好ましい。
また、図示のように、切断面281付近にレーザ光Lbを照射すること等により、切断面281付近を局所的に加熱、溶融させ、その後、固化させることで接合してもよい(図6(f)参照)。又、接合面に施した接着剤を、レーザで加熱して硬化接着しても良い。ちなみに、レーザの種類は、紫外線レーザで、エキシマレーザ及びヤグレーザの第3、第4高調波、及び炭酸ガスレーザを使っても良い。このようにして、基板ユニット28を接合することにより、基板本体2を、実質的に基板ユニット28の構成材料のみで構成されたものとすることができ、最終的に得られるマイクロレンズ基板1の光学特性等の信頼性を特に優れたものすることができる。
特に、本実施形態では、基板ユニット28の切断面281(接合面29)が、基板ユニット28の主面に対して所定の角度θだけ傾斜しているため、上述したような接合をより効率よく行うことができる。
なお、複数の基板ユニット28を接合した後、必要に応じて、製造すべきマイクロレンズ基板1に対応する大きさとなるように、不要部を切断等により除去してもよい(不要部除去工程)。
<B7>次に、上記のようにして作製された基板本体2の出射側表面に、ブラックマトリックス(遮光膜)3を形成する。
特に、本実施形態では、ブラックマトリックス3の形成を、基板本体2にてセルフアライメント法(基板本体2が有するマイクロレンズ21の集光機能を利用して開口部31に対応する部位を形成する方法)により行う。これにより、マイクロレンズ21の集光部に対応する部位に選択的に開口部31を有するブラックマトリックス3を形成するとともに、複数の基板ユニット28の接合面29を含む領域上にもブラックマトリックス3を容易かつ確実に形成することができる。その結果、基板ユニット28の境界部(接合面29)に起因する画像への悪影響(例えば、境界部に対応する位置への暗いすじの出現等)を防止し、高コントラストで高品位の画像を表示することができるマイクロレンズ基板1を提供することができる。
また、本実施形態では、遮光膜の形成を、基板本体に遮光膜形成用材料を付与する工程(遮光膜形成用材料付与工程)と、当該遮光膜形成用材料に光を照射する処理を施し、開口部を形成する工程(開口部形成工程)とを経て行う。遮光膜形成用材料としては、開口部を形成しうるものであればいかなるものであってもよいが、感光性を有する成分を含むものであるのが好ましい。これにより、容易かつ確実に好適な形状の開口部を形成することができる。以下の説明では、主に、遮光膜形成用材料として、ポジ型のフォトポリマー32を用いるものとして説明する。
まず、図6(h)に示すように、基板本体2の出射側表面に、遮光性を有するポジ型のフォトポリマー(遮光膜形成用材料)32を付与する(遮光膜形成用材料付与工程)。基板本体2表面へのフォトポリマー32の付与方法としては、例えば、ディップコート、ドクターブレード、スピンコート、刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、ロールコーター等の各種塗布法等を用いることができる。フォトポリマー32は、遮光性を有する樹脂材料で構成されたものであってもよいし、(遮光性の低い)樹脂材料に、遮光性の材料が分散または溶解したものであってもよい。フォトポリマー32の付与後、必要に応じて、例えば、プレベーク処理等の熱処理を施してもよい。
<B8>次に、基板本体2に光(露光用光)Lcを照射する。
照射された光(露光用光)Lcはマイクロレンズ21に入射することにより屈折し、集光する。そして、集光されることにより、光度(光束)の大きくなった光が照射された部位のフォトポリマー32が露光され、それ以外の部分のフォトポリマー32は露光されないか、または露光量が少なくなり、光度(光束)の大きくなった光が照射された部位のフォトポリマー32のみが感光する。
基板本体2に照射する光(露光用光)Lcは、特に限定されないが、平行光であるのが好ましい。これにより、形成すべき開口部31の大きさ、ブラックマトリックス3の開口率等をより確実に制御することができ、より確実に、表示される画像のコントラスト、視野角特性を、いずれも、特に優れたものとすることができる。
上記のような方法等により光Lcを照射した後、現像を行う。ここで、このフォトポリマー32はポジ型のフォトポリマーであるので、集光された光が照射された部位のフォトポリマー32が現像により溶解、除去される。その結果、図7(i)に示すように、開口部31を有するブラックマトリックス3が形成される。現像の方法は、フォトポリマー32の組成等により異なるが、例えば、KOH水溶液等のアルカリ性溶液を用いて行うことができる。
本実施形態のように、フォトポリマーにマイクロレンズによって集光させた光(露光用光)を照射しブラックマトリックス(開口部を有する遮光膜)を形成することにより、例えばフォトリソグラフィ技術を使用するのに比べて、簡易な工程でブラックマトリックスを形成することができる。
なお、現像後、必要に応じて、例えば、ポストベーク処理等の熱処理を施してもよい。
また、上記の説明では、(<B7>、<B8>において、)遮光膜形成用材料として、ポジ型のフォトポリマーを用いて遮光膜(ブラックマトリックス3)を形成するものとして説明したが、フォトポリマー以外の材料を用いてもよい。例えば、遮光膜形成用材料としては、銀塩感光材料等の反転現像材料を用いてもよい。銀塩感光材料(反転現像材料)を用いた場合、上記のような露光後、一旦、露光部分のみが脱塩されるような処理を施し、その後さらに、全面露光し現像する方法を用いることにより、最初の露光部分を光透過性の非遮光部とし、それ以外の部位を遮光部(遮光領域)とすることができる。また、遮光膜の形成には、感光性材料を用いなくてもよい。例えば、感光性材料以外の遮光膜形成用材料で構成された膜を基板本体上に成膜した後、光(エネルギー線)を照射することにより、レンズ部により集光され、エネルギー密度が高くなった光で、遮光膜形成用材料で構成された膜の一部を弾き飛ばしたり、蒸発させること等により、開口部を有する遮光膜としてもよい。
また、遮光膜の形成は、上述した例に限定されず、例えば、ポジ型の感光性粘着剤を基板本体上に付与した後、光を照射する処理を施し、感光部の粘着性を低下させ、感光部以外の部位上に、遮光性材料を付与することにより、開口部を有する遮光膜としてもよい。
また、上記のような遮光膜形成用材料の付与、光の照射(露光)等の一連の処理を、繰り返し行ってもよい。これにより、遮光膜(ブラックマトリックス)をより厚いものとして形成することができ、コントラストの更なる向上を図ることができる。
また、上記の説明では、基板本体2の表面(光の出射面側の表面)に、直接、遮光膜形成用材料(フォトポリマー)を付与するものとして説明したが、遮光膜形成用材料は、基板本体2の表面に直接付与されるものでなくてもよい。例えば、基板本体2の表面(光の出射面側の表面)に、露光後に、十分な遮光性を発揮しない感光性材料の付与、現像等の一連の処理を行った後に、上記のような遮光膜形成用材料を用いた処理を行ってもよい。これにより、遮光膜(ブラックマトリックス)をより厚いものとして形成することができる。
<B9>次に、図7(j)に示すように、基板本体2のブラックマトリックス3が設けられた面側に、拡散部4を形成する(拡散部形成工程)。
拡散部4は、例えば、予め、板状に成形された拡散板を接合したり、拡散材を含み、流動性を有する拡散部形成用材料を付与した後に、当該材料を固化させること等により形成することができる。
拡散部形成用材料の付与方法としては、例えば、ドクターブレード、スピンコート、刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、ロールコーター等の各種塗布法や、基板本体2を拡散部形成用材料中に浸漬するディッピング等の方法が挙げられる。
<B10>その後、基板本体2のマイクロレンズ21が設けられた面側に、着色液を付与することにより、着色部22を形成し、マイクロレンズ基板1を得る(着色部形成工程。図7(k)参照)。
着色液は、いかなるものであってもよいが、本実施形態では、着色剤とベンジルアルコールとを含むものである。このような着色液を用いることにより、基板本体2の着色を容易かつ確実に行うことができる。特に、アクリル系樹脂のように、従来、着色が困難であった材料で構成された基板本体2に対しても、容易かつ確実に着色を施すことができる。これは、以下のような理由によるものであると考えられる。
すなわち、ベンジルアルコールを含む着色液を用いることにより、着色液中のベンジルアルコールが基板本体2中に侵入、拡散し、基板本体2を構成する分子の結合(分子間結合)を緩め、着色剤が侵入するための空間を確保する。そして、ベンジルアルコールと着色剤が置換することにより、前記空間(着色剤のための座席(着色座席)に例えることができる)に着色剤が保持され、基板本体2が着色される。
また、上記のような着色液を用いることにより、均一な厚さの着色部を容易かつ確実に形成することができる。特に、着色に供される基板本体(ワーク)が、その表面にマイクロレンズのような微細な構造を有するもの(二次元方向への凹凸の周期がいずれも小さいもの)、また、着色されるべき領域が大面積のものであっても、均一な厚さで(色ムラなく)着色部を形成することができる。
着色液の付与方法としては、例えば、ドクターブレード、スピンコート、刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、捺染、ロールコーター等の各種塗布法や、基板本体2を着色液中に浸漬するディッピング等の方法が挙げられるが、中でも、ディッピング(特に、浸染)が好ましい。これにより、容易かつ確実に着色部22(特に、均一な厚さの着色部22)を形成することができる。また、特に、着色液の付与を浸染により行う場合、着色液が付与される基板本体2が、アクリル系樹脂のような、従来の方法では、着色するのが困難であった材料で構成されたものであっても、容易かつ確実に着色することができる。これは、浸染に用いることができる染料が、アクリル系樹脂等が有するエステル基(エステル結合)との親和性が高いためであると考えられる。
着色液を付与する工程は、着色液および/または基板本体2を、30〜100℃とした状態で行うのが好ましい。これにより、着色部22を形成すべき基板本体2に対する悪影響の発生(例えば、基板の構成材料の劣化等)を十分に防止しつつ、効率良く着色部22を形成することができる。
また、着色液を付与する工程は、例えば、雰囲気圧を高めた状態(加圧した状態)で行ってもよい。これにより、着色液の基板本体2内部への侵入を促進することができ、結果として、着色部22を短時間で効率良く形成することができる。
なお、着色液の付与は、必要に応じて(例えば、形成すべき着色部22の厚さが比較的大きい場合等においては)、複数回繰り返し行ってもよい。
また、着色液の付与後、必要に応じて、加熱、冷却等の熱処理、光照射、雰囲気の加圧、減圧等の処理を施してもよい。これにより、着色部22の定着(安定化)を促進することができる。
以下、本工程で用いる着色液についてより詳細に説明する。
着色液中におけるベンジルアルコールの含有率は、特に限定されないが、0.01〜10.0wt%であるのが好ましく、0.05〜8.0wt%であるのがより好ましく、0.1〜5.0wt%であるのがさらに好ましい。ベンジルアルコールの含有率が上記範囲内の値であると、着色部22を形成すべき基板本体2に対する悪影響の発生(例えば、基板本体2の構成材料の劣化等)をより効果的に防止しつつ、容易かつ確実に好適な着色部22を形成することができる。
着色液中に含まれる着色剤は、各種染料、各種顔料等、いかなるものであってもよいが、染料であるのが好ましく、分散染料および/またはカチオン系染料であるのがより好ましく、分散染料であるのがさらに好ましい。これにより、着色部22を形成すべき基板本体2に対する悪影響の発生(例えば、基板本体2の構成材料の劣化等)を十分に防止しつつ、効率良く着色部22を形成することができる。特に、着色液が付与される基板本体2が、アクリル系樹脂のような、従来の方法では、着色するのが困難であった材料で構成されたものであっても、容易かつ確実に着色することができる。これは、上記のような着色剤が、アクリル系樹脂等が有するエステル基(エステル結合)を染着座席とするために、より着色しやすいためであると考えられる。
また、本実施形態で用いる着色液は、少なくとも、着色剤およびベンジルアルコールを含むものであるが、さらに界面活性剤を含むものであるのが好ましい。これにより、着色剤をベンジルアルコールの存在下においても、安定的に、均一に分散させることができ、着色液が付与される基板本体2が、アクリル系樹脂のような、従来の方法では、着色するのが困難であった材料で構成されたものであっても、容易かつ確実に着色することができる。界面活性剤としては、例えば、非イオン系(ノニオン系)、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。非イオン系(ノニオン系)界面活性剤としては、例えば、エーテル系界面活性剤、エステル系界面活性剤、エーテルエステル系界面活性剤、含窒素系界面活性剤等が挙げられ、より具体的には、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等が挙げられる。また、アニオン系界面活性剤としては、例えば、各種ロジン、各種カルボン酸塩、各種硫酸エステル塩、各種スルホン酸塩、各種リン酸エステル塩等が挙げられ、より具体的には、ガムロジン、重合ロジン、不均一化ロジン、マレイン化ロジン、フマール化ロジン、マレイン化ロジンペンタエステル、マレイン化ロジングリセリンエステル、トリステアリン酸塩(例えば、アルミニウム塩等の金属塩等)、ジステアリン酸塩(例えば、アルミニウム塩、バリウム塩等の金属塩等)、ステアリン酸塩(例えば、カルシウム塩、鉛塩、亜鉛塩等の金属塩等)、リノレン酸塩(例えば、コバルト塩、マンガン塩、鉛塩、亜鉛塩等の金属塩等)、オクタン酸塩(例えば、アルミニウム塩、カルシウム塩、コバルト塩等の金属塩等)、オレイン酸塩(例えば、カルシウム塩、コバルト塩等の金属塩等)、パルミチン酸塩(例えば、亜鉛塩等の金属塩等)、ナフテン酸塩(例えば、カルシウム塩、コバルト塩、マンガン塩、鉛塩、亜鉛塩等の金属塩等)、レジン酸塩(例えば、カルシウム塩、コバルト塩、マンガン鉛塩、亜鉛塩等の金属塩等)、ポリアクリル酸塩(例えば、ナトリウム塩等の金属塩等)、ポリメタクリル酸塩(例えば、ナトリウム塩等の金属塩等)、ポリマレイン酸塩(例えば、ナトリウム塩等の金属塩等)、アクリル酸−マレイン酸共重合体塩(例えば、ナトリウム塩等の金属塩等)、セルロース、ドデシルベンゼンスルホン酸塩(例えば、ナトリウム塩)、アルキルスルホン酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩(例えば、ナトリウム塩等の金属塩等)、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩(例えば、ナトリウム塩等の金属塩等)等が挙げられる。また、カチオン系界面活性剤としては、例えば、1級アンモニウム塩、2級アンモニウム塩、3級アンモニウム塩、4級アンモニウム塩等の各種アンモニウム塩等が挙げられ、より具体的には、(モノ)アルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、トリアルキルアミン塩、テトラアルキルアミン塩、ベンザルコニウム塩、アルキルピリジウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。また、両性界面活性剤としては、例えば、カルボキシベタイン、スルホベタイン等の各種ベタイン、各種アミノカルボン酸、各種リン酸エステル塩等が挙げられる。
また、例えば、着色液中には、ベンゾフェノン系化合物およびベンゾトリアゾール系化合物から選択される少なくとも1種の化合物が含まれていてもよい。これにより、上述したような効果がより顕著なものとして発揮される。より具体的には、例えば、基板本体2の着色をさらに容易かつ確実に行うことができ、特に、アクリル系樹脂のように、従来の着色方法では着色が困難であった材料で構成された基板本体2に対しても、容易かつ確実に着色を施すことができる。また、本工程での処理温度をより低いものとした場合であっても、短時間で効率良く好適な着色部22を形成することができる。これは、ベンゾフェノン系化合物およびベンゾトリアゾール系化合物から選択される少なくとも1種の化合物と、ベンジルアルコールとを併用することにより、ベンゾフェノン系化合物およびベンゾトリアゾール系化合物から選択される少なくとも1種の化合物と、ベンジルアルコールとが相補的に作用し合い、その結果として、これらを併用することによる顕著な効果(相乗的な効果)が発揮されるものであると考えられる。より具体的には、以下のような理由(メカニズム)によるものであると考えられる。
すなわち、まず第一に、着色液中のベンジルアルコールが基板本体2を構成する樹脂の分子の結合を緩め、他の分子が入りこむための空間を確保する。第二にベンゾフェノン系化合物およびベンゾトリアゾール系化合物から選択される少なくとも1種の化合物が、着色剤に優先して、この空間に侵入し深く拡散する。これは、ベンゾフェノン系化合物およびベンゾトリアゾール系化合物が、ベンジルアルコールと同様に、基板本体2を構成する樹脂の分子の結合を緩め、他の分子が入りこむための空間を確保する働きがあり、このためベンジルアルコールにより確保された空間を利用して、さらに深く、広く、その空間を広げる作用があることによる。なお着色剤にはこの働きがない。第三に、第二の作用と併行して着色剤が前記空間に入りこみ、保持される。あるいは一部、ベンゾフェノン系化合物およびベンゾトリアゾール系化合物と置換する。このように、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物を、ベンジルアルコールと併用することにより、着色剤が基板本体2中に、効率良く、さらに深く、比較的短時間で拡散でき、均一に着色することが可能となる。
ベンゾフェノン系化合物としては、下記式(I)またはこれに対応する他の限界構造式で示されるようなベンゾフェノン骨格を有する化合物、あるいはこれらの互変異性体(以下、単に「式(I)で示されるベンゾフェノン骨格を有する化合物」という)、または、その誘導体(例えば、付加反応生成物、置換反応生成物、還元反応生成物、酸化反応生成物等)を用いることができる。
Figure 2007193058
このような化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクチルベンゾフェノン、4−ベンジルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、ベンゾフェノンアニル、ベンゾフェノンオキシム、ベンゾフェノンクロリド(α,α’−ジクロルジフェニルメタン)等が挙げられる。中でも、上記式(I)で表されるベンゾフェノン骨格を有する化合物であるのが好ましく、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンがより好ましい。このようなベンゾフェノン系化合物を用いることにより、前述したような効果はさらに顕著なものとして現れる。なお、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンの構造式(化学式)を、ぞれぞれ、下記式(II)、式(III)として示す。
Figure 2007193058
Figure 2007193058
また、ベンゾトリアゾール系化合物としては、下記式(IV)またはこれに対応する他の限界構造式で表されるようなベンゾトリアゾール骨格を有する化合物、あるいはこれらの互変異性体(以下、単に「式(IV)で示されるベンゾトリアゾール骨格を有する化合物」という)、または、その誘導体(例えば、付加反応生成物、置換反応生成物、還元反応生成物、酸化反応生成物等)を用いることができる。
Figure 2007193058
このような化合物としては、例えば、ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。中でも、上記式(IV)で表されるベンゾトリアゾール骨格を有する化合物であるのが好ましく、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールがより好ましい。このようなベンゾトリアゾール系化合物を用いることにより、前述したような効果はさらに顕著なものとして現れる。なお、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールの構造式(化学式)を、ぞれぞれ、下記式(V)、式(VI)として示す。
Figure 2007193058
Figure 2007193058
着色液中には、上記のようなベンゾフェノン系化合物およびベンゾトリアゾール系化合物から選択される少なくとも1種の化合物が含まれていればよいが、2種以上の化合物(特に、1種以上のベンゾフェノン系化合物と、1種以上のベンゾトリアゾール系化合物)が含まれていてもよい。これにより、これらの化合物同士が相補的に作用し合うとともに、これらの化合物がベンジルアルコールと相補的に作用し合うことにより、前述したような効果はさらに顕著なものとして現れる。
また、上記のようなベンゾフェノン系化合物およびベンゾトリアゾール系化合物から選択される少なくとも1種の化合物とベンジルアルコールを含む前処理液に浸漬した後、前記着色液に浸漬しても同様の効果が得られる。
着色液または前処理液がベンゾフェノン系化合物およびベンゾトリアゾール系化合物から選択される少なくとも1種の化合物を含むものである場合、着色液または前処理液中におけるベンゾフェノン系化合物およびベンゾトリアゾール系化合物の含有率の総和は、特に限定されないが、0.001〜10.0wt%であるのが好ましく、0.005〜5.0wt%であるのがより好ましく、0.01〜3.0wt%であるのがさらに好ましい。ベンゾフェノン系化合物およびベンゾトリアゾール系化合物の含有率の総和が上記範囲内の値であると、着色部22を形成すべき基板本体2に対する悪影響の発生(例えば、基板本体2の構成材料の劣化等)をより効果的に防止しつつ、容易かつ確実に好適な着色部22を形成することができる。
また、着色液または前処理液中における、ベンジルアルコールの含有率をX[wt%]、ベンゾフェノン系化合物およびベンゾトリアゾール系化合物の含有率の総和をY[wt%]としたとき、0.001≦X/Y≦10000の関係を満足するのが好ましく、0.05≦X/Y≦1000の関係を満足するのがより好ましく、0.25≦X/Y≦500の関係を満足するのがさらに好ましい。上記のような関係を満足することにより、ベンゾフェノン系化合物および/またはベンゾトリアゾール系化合物と、ベンジルアルコールとを併用することによる相乗効果がより顕著に発揮され、着色部22を形成すべき基板本体2に対する悪影響の発生(例えば、基板本体2の構成材料の劣化等)をより効果的に防止しつつ、容易かつ確実に、また高速に好適な着色部22を形成することができる。
次に、本発明のレンズ基板、レンズ基板の製造方法の第2実施形態について説明する。
図9は、本発明のレンズ基板(マイクロレンズ基板)の第2実施形態の平面図、図10〜図12は、本発明のレンズ基板(マイクロレンズ基板)の製造方法の一例(第2実施形態)を示す模式的な縦断面図、図13は、マイクロレンズ基板の製造に用いるロール型(凹部付き部材)を示す模式的な斜視図、図14は、本発明のレンズ基板(マイクロレンズ基板)の製造方法の一例(第2実施形態)での切断工程を示す模式的な平面図である。なお、以下の説明では、図10〜図12中の上側を「上」、下側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言う。
以下、第2実施形態のレンズ基板、レンズ基板の製造方法について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項の説明については、その説明を省略する。
図9に示すように、本実施形態のマイクロレンズ基板(レンズ基板)1においては、マイクロレンズ21は、マイクロレンズ基板1を平面視した際の縦幅(鉛直方向の幅)が横幅(水平方向の幅)よりも小さい扁平形状(略楕円形、略俵形)を有している。マイクロレンズ21がこのような形状を有することにより、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止しつつ、視野角特性を特に優れたものとすることができる。特に、水平方向および鉛直方向の視野角特性をともに優れたものとすることができる。
平面視したときのマイクロレンズ21の短軸方向(縦方向)の長さをL[μm]、長軸方向(横方向)の長さをL[μm]としたとき、0.10≦L/L≦0.99の関係を満足するのが好ましく、0.50≦L/L≦0.95の関係を満足するのがより好ましく、0.60≦L/L≦0.80の関係を満足するのがさらに好ましい。上記のような関係を満足することにより、上述したような効果がさらに顕著なものとなる。
平面視したときのマイクロレンズ21の短軸方向の長さ(マイクロレンズ21の縦幅)は、10〜500μmであるのが好ましく、30〜300μmであるのがより好ましく、50〜100μmであるのがさらに好ましい。マイクロレンズ21の短軸方向の長さが前記範囲内の値であると、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止しつつ、スクリーンに投影される画像において十分な解像度を得ることができるとともに、マイクロレンズ基板1(透過型スクリーン10)の生産性をさらに高めることができる。
また、平面視したときのマイクロレンズ21の長軸方向の長さ(マイクロレンズ21の横幅)は、15〜750μmであるのが好ましく、45〜450μmであるのがより好ましく、70〜150μmであるのがさらに好ましい。マイクロレンズ21の短軸方向の長さが前記範囲内の値であると、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止しつつ、スクリーンに投影される画像において十分な解像度を得ることができるとともに、マイクロレンズ基板1(透過型スクリーン10)の生産性をさらに高めることができる。
また、マイクロレンズ21の曲率半径は、7.5〜375μmであるのが好ましく、22.5〜225μmであるのがより好ましく、35〜75μmであるのがさらに好ましい。マイクロレンズ21の曲率半径が前記範囲内の値であると、視野角特性を特に優れたものとすることができる。特に、水平方向および鉛直方向の視野角特性をともに優れたものとすることができる。なお、マイクロレンズ21は、短軸方向についての曲率半径と、長軸方向の曲率半径が異なるものであってもよいが、このような場合、長軸方向の曲率半径が上記の範囲内の値であるのが好ましい。
また、マイクロレンズ21の高さは、7.5〜375μmであるのが好ましく、22.5〜225μmであるのがより好ましく、35〜75μmであるのがさらに好ましい。マイクロレンズ21の高さが前記範囲内の値であると、光の利用効率および視野角特性を、特に優れたものとすることができる。
また、これら複数個のマイクロレンズ21は、千鳥状(千鳥格子状)に配列している。このようにマイクロレンズ21が配列することにより、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止することができる。
上記のように、本実施形態において、マイクロレンズ21は、マイクロレンズ基板1を平面視したときに、千鳥格子状に配列しているが、複数のマイクロレンズ21で構成される第1の行25と、それに隣接する第2の行26とが、縦方向に半ピッチ分だけずれているのが好ましい。これにより、光の干渉によるモアレの発生等をより効果的に防止するとともに、かつ、視野角特性を特に優れたものとすることができる。
なお、マイクロレンズ21の配列方式は、上記のようなものに限定されず、例えば、正方格子状の配列であっても、光学的にランダムな配列(マイクロレンズ基板1の主面側から平面視したときに、各マイクロレンズ21が互いにランダムな位置関係となるように配されたもの)であってもよい。
また、マイクロレンズ基板1を光の入射面側(図9で示した方向)から平面視したときの、マイクロレンズ21が設けられている有効領域において、マイクロレンズ21の占有率は、90〜99.5%であるのが好ましい。マイクロレンズ21の占有率が前記範囲内の値であると、光利用効率をさらに向上させることができ、投影させる画像の輝度、コントラストを特に優れたものとすることができる。
上記のように、マイクロレンズの形状や配列方式等を厳密に規定することにより、光の干渉によるモアレの発生を効果的に防止しつつ、視野角特性等を特に優れたものとすることができる。特に、マイクロレンズの形状や配列方式等を上記のように厳密に規定することにより、上記のような形状、配列方式のマイクロレンズを有することによる効果と、ブラックマトリックス3を有することによる効果とが相乗的に作用し合い、特に優れた効果(例えば、特に優れた視野角特性、光利用効率等)が得られる。
なお、本実施形態のマイクロレンズ基板1についての縦断面図は、前述した第1実施形態のマイクロレンズ基板1と同様に、図1に示すようなものとなる。
次に、図9に示すマイクロレンズ基板1の製造方法について説明する。
まず、本実施形態のレンズ基板(マイクロレンズ基板)の製造方法を説明するに先立ち、レンズ基板の製造に使用されるレンズ基板製造装置の一例について説明する。
レンズ基板製造装置100(以下、単に製造装置100ともいう)は、図10に示すように、基材搬送手段110と、組成物供給手段120と、ロール型(凹部付き部材)130と、組成物硬化手段140とを有している。
基材搬送手段110は、シート材24を支持し搬送する。図示の構成では、基材搬送手段110は、シート材24を製造装置100の右から左へ搬送するよう構成されている。また、基材搬送手段110は、シート材24と組成物23とを圧着する際に、シート材24が撓みのない状態、すなわち、適度に張った状態を保つよう構成されている。例えば、ロール状に巻かれたシート材24を適度な張力がかかるように、所定の速度で繰り出すように構成されている。また、基材搬送手段110は、少なくとも組成物に光等を照射する部分において、光透過性を有する材料から構成されていることが好ましい。
組成物供給手段120は、基材搬送手段110によって搬送されるシート材24上に、流動性を有する状態の組成物23(例えば、軟化状態の樹脂材料、未重合(未硬化)の樹脂材料)を供給する。
ロール型130は、ロール形状をなしており、軸132を中心に回転可能となっている。また、ロール型130は、図10に示すように、その表面に多数の凹部131を有している。この凹部131は、マイクロレンズ(レンズ部)21を形成するためのものであり、形成すべきマイクロレンズ(レンズ部)21に対応した形状を有している。
より詳しく説明すると、本実施形態において、凹部(マイクロレンズ形成用凹部)131は、凹部付き部材6を平面視した際の縦幅(鉛直方向の幅)が横幅(水平方向の幅)よりも小さい扁平形状(略楕円形、略俵形)を有している。
ロール型130は、組成物供給手段120によってシート材24上に供給された組成物23を押圧して、ロール型130の表面形状を組成物23に転写する機能を有するとともに、シート材24と組成物23とを圧着させる機能を有している。
また、本実施形態では、図13に示すように、凹部131の長軸方向が、ロール型130の軸方向とほぼ同一である。言い換えると、凹部131の短軸方向が、ロール型130の回転方向とほぼ同一である。これにより、マイクロレンズ基板1の製造方法において、基板本体2となるべき組成物23とロール型130との剥離において、形成されたマイクロレンズ21に欠陥が生じるのをより確実に防止することができる。凹部131の長軸方向とロール型130の軸方向とのなす角は、0〜10°であるのが好ましく、0〜7°であるのがより好ましく、0〜5°であるのがさらに好ましい。これにより、上記のような効果は更に顕著なものとして現れる。
このようなロール型130を構成する材料としては、特に限定されず、例えば、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、亜鉛、錫、銀、金、鉛、マグネシウム、チタン、ジルコニア、タングステン、モリブデン、コバルト等の他、ステンレス、42ニッケル−鉄合金、真鍮、ジュラルミン等の各種金属材料等が挙げられる。
このようなロール型130は、例えば、前述したような材料で構成された円柱形状の基材に、マスクを用いて、エッチングを施すことにより形成されるものであってもよいし、前記基材の表面に、プレス、研削、研磨等により凹部を形成したものであってもよいし、また、例えば、平板状の基材に凸部を形成し、これを母型として所望の厚さの金属層(例えば、Ni等)をメッキにて形成し、これを母型から剥離し、円柱状の基材の表面に巻き付けたものであってもよい。
組成物硬化手段140は、組成物23に対して、例えば、紫外線等の光の照射、電子線の照射、加熱等をすることにより、組成物23を固化(ただし、硬化(重合)を含む)させる。
次に、本実施形態のレンズ基板の製造方法について説明する。
<B1’>まず、図10に示すように、基材搬送手段110上に載置され搬送されてくるシート材(基材フィルム)24上に、組成物供給手段120により、流動性を有する状態の組成物23(例えば、軟化状態の樹脂材料、未重合(未硬化)の樹脂材料)を供給する。
<B2’>次に、図11に示すように、ロール型130の回転およびシート材24の搬送にともない、ロール型130で組成物23を押圧する(組成物付与工程、押圧工程)。
ロール型130で組成物23を押圧することで、組成物23にロール型130の周面の形状が転写され、ロール型130の凹部131に対応した形状のレンズ形状(マイクロレンズ形状)が形成される。同時に、組成物23は、シート材24と圧着される。
なお、組成物23をシート材24に圧着させる際に、シート材24は撓みのない状態で圧着させるのが好ましい。これにより、得られるマイクロレンズ基板1のソリやヒケ等を効果的に防止することができる。
<B3’>次に、組成物硬化手段140により、組成物23を固化(ただし、硬化(重合)を含む)させ、マイクロレンズ21を備えた基板ユニット28を得る(固化工程)。
例えば、搬送手段110の下側から組成物23に紫外線を照射することにより、組成物23を固化させて基板ユニット28を得る(図11参照)。
<B4’>次に、図12に示すように、ロール型130の回転およびシート材24の搬送にともない、マイクロレンズ21が形成された基板ユニット28から、ロール型130が取り除かれる(凹部付き部材除去工程)。
なお、引き続き、シート材24の搬送とともにロール型130が回転し、順次、組成物23とシート材24とが圧着される。それに伴い、組成物23にロール型130の周面の形状が、順次転写され、ロール型130の凹部131に対応した形状の、多数のマイクロレンズ21が形成されていく。そして、ロール型130の回転にともない、形成されたマイクロレンズ21から、ロール型130が取り除かれる。
このようにして、長尺な成形体としての基板ユニット28が形成される。そして、これを所定の長さに切断することにより、マイクロレンズ基板1(基板本体2)製造用の基板ユニット28とすることができる。
以上のようにして、複数のマイクロレンズ21を有する基板ユニット28が得られる。
<B5’>次に、上記のようにして得られた基板ユニット28を、図14(a)中B−Bで示す線に沿って切断する(切断工程)。
本工程は、前述した第1実施形態での<B5>と同様にして行うことができる。
<B6’>次に、複数の基板ユニット28を配置し、接合して基板本体2を得る(接合工程。図14(b)参照)。本工程により、隣接する基板ユニット28の切断面281同士が接合し、接合面29となる。
なお、複数の基板ユニット28の配置は、前述した第1実施形態と同様に、2次元的に行うものであってもよいが、前記工程<B4’>、<B5’>で、基板ユニット28の切断長さを任意に調節することができるため、本実施形態では、基板ユニット28を1次元的に配置して、基板本体2を製造することができる。これにより、1枚の基板本体2あたりの接合部を比較的少ないものとすることができ、マイクロレンズ基板1の生産性が特に優れたものとなる。
<B7’>前述した第1実施形態での<B7>と同様。
<B8’>前述した第1実施形態での<B8>と同様。
<B9’>前述した第1実施形態での<B9>と同様。
<B10’>前述した第1実施形態での<B10>と同様。これにより、マイクロレンズ基板1が得られる。
次に、上述したようなマイクロレンズ基板1を備えた透過型スクリーン10について説明する。
図15は、図1に示すマイクロレンズ基板(レンズ基板)を備えた、本発明の透過型スクリーンの好適な実施形態を示す模式的な縦断面図である。
図15に示すように、透過型スクリーン10は、フレネルレンズ部5と、前述したマイクロレンズ基板1とを備えている。フレネルレンズ部5は、光(画像光)の入射側に設置されており、フレネルレンズ部5を透過した光が、マイクロレンズ基板1に入射する構成になっている。
フレネルレンズ部5は、出射側表面に、ほぼ同心円状に形成されたプリズム形状のフレネルレンズ51を有している。このフレネルレンズ部5は、投射レンズ(図示せず)からの画像光を屈折させ、マイクロレンズ基板1の主面の垂直方向に平行な平行光Laにするものである。
以上のように構成された透過型スクリーン10では、投射レンズからの映像光が、フレネルレンズ部5によって屈折し、平行光Laとなる。そして、この平行光Laは、マイクロレンズ基板1の着色部が設けられた面側から入射し、各マイクロレンズ21によって集光し、焦点を結んだ後に拡散する。開口部31を通過した光は、拡散し、観察者に平面画像として観測される。
以下、前記透過型スクリーンを用いたリア型プロジェクタについて説明する。
図16は、本発明のリア型プロジェクタの構成を模式的に示す図である。
同図に示すように、リア型プロジェクタ300は、投写光学ユニット310と、導光ミラー320と、透過型スクリーン10とが筐体340に配置された構成を有している。
そして、このリア型プロジェクタ300は、上記のような透過型スクリーン10を備えているので、基板ユニットの境界部に起因する映像の継ぎ目(例えば、境界部に対応する位置への暗い筋の出現等)がなく、コントラストに優れた画像を得ることができる。
以上、本発明について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、レンズ基板(マイクロレンズ基板)、透過型スクリーン、リア型プロジェクタを構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成を追加してもよい。
また、レンズ基板(マイクロレンズ基板)の製造方法においては、任意の工程を追加してもよい。
また、レンズ基板の製造方法における各工程の順序は、前述したようなものに限定されず、必要に応じて、その順序を変更してもよい。
また、前述した第1実施形態では、凹部付き部材の表面に組成物を付与するものとして説明したが、例えば、平板の表面(または平板上に載置されたシート材)に組成物を付与し、これを凹部付き部材で押圧することにより、レンズ基板を製造してもよい。
また、前述した実施形態では、ブラックマトリックス(遮光膜)を形成する際に、凹部付き部材を取り外した状態で光(露光用光)を照射するものとして説明したが、凹部付き部材が基板本体に取り付けられた状態で、ブラックマトリックスを形成してもよい。すなわち、遮光膜形成用材料に光を照射する際に、凹部付き部材を介して光を照射してもよい。
また、前述した実施形態では、凹部付き部材を除去するものとして説明したが、凹部付き部材は、必ずしも除去しなくてもよい。すなわち、凹部付き部材は、マイクロレンズ基板の一部を構成するものであってもよい。
また、前述した実施形態では、マイクロレンズ基板(レンズ基板)が、層状の拡散部を有するものとして説明したが、拡散部の形状はこれに限定されるものではない。例えば、拡散部は、ブラックマトリックスの開口部に対応する部位に凸状に設けられたものであってもよい。このような場合であっても、前述したような効果が得られる。また、このような拡散部を形成することにより、ブラックマトリックスの開口部以外の部位での外光の反射をより効果的に防止することができるため、得られる画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。また、マイクロレンズ基板は、前述したような拡散部を備えていなくてもよい。
また、前述した実施形態では、基板本体が染色により設けられた着色部を有するものとして説明したが、基板本体はこのような着色部を有していないものであってもよい。
また、前述した実施形態では、マイクロレンズが、平面視で略円形状のレンズが正方格子上に配列されているものや、平面視で扁平形状のレンズが千鳥格子状に配列されているものとして説明したが、マイクロレンズの形状、配列はこれに限定されるものではない。例えば、略円形状のレンズが千鳥格子状に配列されたものや、扁平形状のレンズが正方格子上に配列されたものであってもよい。
また、前述した実施形態では、レンズ基板がマイクロレンズを備えるマイクロレンズ基板であるものとして説明したが、本発明において、レンズ基板は、例えば、レンズ部としてレンチキュラレンズを備えるレンチキュラレンズ基板等であってもよい。
また、前述した実施形態では、レンズ基板を構成する基板本体が凸レンズとしてのレンズ部を備えるものであり、成形型として、凸レンズに対応する形状の凹部を備えた凹部付き部材を用いるものとして説明したが、基板本体は凹レンズとしてのレンズ部を備えるものであってもよい。このような場合、成形型としては、凹レンズに対応する形状の凸部を備えた凸部付き部材を用いることができる。
また、前述した実施形態では、透過型スクリーンが、マイクロレンズ基板とフレネルレンズとを備えるものとして説明したが、本発明の透過型スクリーンは、必ずしも、フレネルレンズを備えたものでなくてもよい。例えば、本発明の透過型スクリーンは、実質的に、本発明のレンズ基板のみで構成されたものであってもよい。
また、前述した実施形態では、レンズ基板は、透過型スクリーン、リア型プロジェクタを構成する部材であるものとして説明したが、本発明のレンズ基板の用途は、前記のようなものに限定されず、いかなるものであってもよい。例えば、本発明のレンズ基板は、拡散板、ブラックマトリックススクリーン、投射型表示装置(フロントプロジェクタ)のスクリーン(フロントプロジェクションスクリーン)、投射型表示装置(フロントプロジェクタ)の液晶ライトバルブの構成部材等に適用されるものであってもよい。
[マイクロレンズ基板および透過型スクリーンの作製]
(実施例1)
以下のように、マイクロレンズ形成用の凹部を備えた凹部付き部材を製造した。
まず、基板として、横30cm×縦30cm角、厚さ4.8mmのソーダガラス基板を用意した。
このソーダガラス基板を、4wt%の一水素二フッ化アンモニウムと、8wt%の過酸化水素とを含む洗浄液に浸漬して6μmエッチングを行い、その表面を清浄化した。
その後、純水洗浄およびNガスを用いた乾燥(純水の除去)を行った。
次に、このソーダガラス基板上に、スパッタリング法にて、クロム/酸化クロムの積層体(クロムの外表面側に酸化クロムが積層された積層体)を形成した。すなわち、ソーダガラス基板の表面に、クロム/酸化クロムの積層体で構成されたマスク形成用膜および裏面保護膜を形成した。クロム層の厚さは0.03μm、酸化クロム層の厚さは0.01μmであった。
次に、マスク形成用膜に対してレーザ加工を行い、マスク形成用膜の中央部25cm×27cmの範囲に多数の初期孔を形成し、マスクとした。
なお、レーザ加工は、エキシマレーザを用いて、エネルギー密度1.2J/cm、加工点でのビーム直径2μm、走査速度0.1m/秒という条件で行った。
これにより、マスク形成用膜の上記範囲全面に亘って、略円形の初期孔が、正方格子状に配されたパターンで形成された。初期孔の直径は2μmであった。
次に、ソーダガラス基板にウェットエッチングを施し、ソーダガラス基板上に多数の平面視したときの形状が略円形状の凹部(マイクロレンズ形成用凹部)を形成した。形成された多数の凹部は、互いにほぼ同一の形状を有していた。形成された凹部の直径は54μm、曲率半径は40μm、深さは40μmであった。また、凹部が形成されている有効領域における凹部の占有率は97.0%であった。
なお、ウェットエッチングは、エッチング液として、4wt%の一水素二フッ化アンモニウムと、8wt%の過酸化水素とを含む水溶液を用い、浸漬時間は2.0時間とした。
次に、硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸との混合物を用いてエッチングすることにより、マスクおよび裏面保護膜を除去した。
次に、純水洗浄およびNガスを用いた乾燥(純水の除去)を行った。
その後、基板の凹部が形成されている面側に、ヘキサメチルジシラザンによる気相表面処理(シリル化処理)を行い、離型処理部を形成した。
これにより、ソーダガラス基板上に、マイクロレンズ形成用の多数の凹部が正方格子状に配列された凹部付き部材を得た。
次に、凹部付き部材の凹部が形成された側の面に、未重合(未硬化)のアクリル系樹脂(PMMA樹脂(メタクリル樹脂))で構成された組成物を付与し、その上に、ポリエチレンテレフタレート(PET)で構成されたシート材(厚さ:0.75mm)を付与した。シート材を構成するポリエチレンテレフタレートの屈折率(絶対屈折率n)は、1.656であった。
次に、ソーダガラスで構成された平板で、シート材を介して、前記組成物を押圧した。この際、シート材と組成物との間に、空気が侵入しないようにした。
その後、平板で押圧した状態で、組成物に紫外線を照射することにより、組成物を完全に硬化させ、基板ユニットを得た。得られた基板ユニットは、凹部付き部材が有する凹部に対応する形状のマイクロレンズを有するものであった。形成されたマイクロレンズは、略円形状なすものであり、直径が72μm、曲率半径が36μm、高さが36μmであった。また、マイクロレンズが形成されている有効領域におけるマイクロレンズの占有率は97.0%であった。また、形成された硬化部を構成する材料の屈折率(絶対屈折率n)は、1.557であった。
次に、基板ユニットから平板および凹部付き部材を取り除いた。
次に、基板ユニットを平面視したときの4辺において、レンズが形成されている有効領域の一番端に設けられているレンズ列を切断により除去した(切断工程)。本工程は、基板ユニットの垂線方向(法線方向)から45°傾斜した方向から、基板ユニット内部で焦点を結ぶように、近赤外レーザを照射することにより行った。その結果、多光子吸収を起こし、基板ユニットの一部が切断除去された。このとき、基板ユニットの主面の垂線(法線)と切断面のなす角(傾斜角)θは45°であった。また、切断面の表面粗さRaは、0.2μmであった。
以上のようにして得られた基板ユニットを縦方向に3列、横方向に5列(合計15枚)並べて接合した。なお、接合は、接合部分にレーザ光(エキシマレーザ)を照射すること行った。
これにより基板本体(縦75cm×横135cm)を得た。
次に、基板本体の出射側(マイクロレンズが形成されている面とは反対側の面)表面に、遮光性材料(カーボンブラック)が添加されたポジ型のフォトポリマー(PC405G:JSR株式会社製)を、ロールコーターにより付与した。フォトポリマー(遮光膜形成用材料)中における遮光性材料の含有量は、20wt%であった。
次に、90℃×30分のプレベーク処理を施した。
次に、基板本体のマイクロレンズが形成されている面側から、60mJ/cmの平行光としての紫外線を照射した。その結果、照射した紫外線は、各マイクロレンズで集光され、集光された紫外線が照射された部位のフォトポリマーを選択的に露光した。
その後、0.5wt%のKOH水溶液を用いて、40秒の現像処理を施した。
その後、純水洗浄およびNガスを用いた乾燥(純水の除去)を行い、さらに、200℃×30分のポストベーク処理を施した。これにより、各マイクロレンズに対応した開口部を有するブラックマトリックスが形成された。開口部は、略円形であり、その直径は30μmであった。また、形成されたブラックマトリックスの厚さは5.0μmであった。
次に、基板本体のブラックマトリックスが形成された面側に、拡散部を形成した。拡散部の形成は、アクリル系樹脂中に、拡散材(平均粒径8μmのシリカ粒子)が分散した構成の拡散板を熱融着により接合することにより行った。なお、拡散部の厚さは、2.0mmであった。
その後、基板本体に対して、浸染により着色液を付与した。このとき、マイクロレンズが形成された面側全体が着色液に接触し、かつ、ブラックマトリックス、拡散部が形成された面側には着色液が接触しないようにした。また、着色液を付与する際の基板本体および着色液の温度は、90℃に調整した。また、着色液付与時には、雰囲気の圧力が120kPaとなるように加圧した。着色液としては、分散染料(Blue(双葉産業製)):2重量部、分散染料(Red(双葉産業製)):0.1重量部、分散染料(Yellow(双葉産業製)):0.05重量部、ベンジルアルコール:10重量部、界面活性剤:2重量部、純水:1000重量部の混合物を用いた。
上記のような条件で、基板本体と着色液とを20分間接触させた後、着色液が貯留された槽から、基板本体を取り出し、十分に水洗した後、乾燥させた。
その後、純水洗浄およびNガスを用いた乾燥(純水の除去)を行うことにより、着色部が形成された、図1、図2に示すようなマイクロレンズ基板を得た。
以上のようにして製造されたマイクロレンズ基板と、押出成形により作製したフレネルレンズ部とを組み立てることにより、図15に示すような透過型スクリーンを得た。
(実施例2〜4)
切断工程の条件を変更することにより、角度θ、切断面の表面粗さRaを表1に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にしてマイクロレンズ基板、透過型スクリーンを製造した。
(実施例5)
切断工程を、ダイヤモンドブレードを高速で回転させて切断する方法により行った以外は、前記実施例1と同様にしてマイクロレンズ基板、透過型スクリーンを製造した。
ダイヤモンドブレードとしては、厚さが350μmのものを用いた。また、切断工程は、切断部付近に水を供給しつつ行った。
(実施例6〜8)
切断工程の条件を変更することにより、角度θ、切断面の表面粗さRaを表1に示すように変更した以外は、前記実施例5と同様にしてマイクロレンズ基板、透過型スクリーンを製造した。
(実施例9)
まず、図10に示したようなロール型を備えた製造装置を用意し、基板ユニットを作製した。
ロール型としては、多数の平面視したときの形状が扁平形状(略楕円形状)の凹部(マイクロレンズ形成用凹部)が、千鳥状に配されたパターンで形成されたものを用いた。凹部の短軸方向の長さ(ピッチ)は54μm、長軸方向の長さは72μm、曲率半径は40μm、深さは40μmであった。また、凹部が形成されている有効領域における凹部の占有率は99.0%であった。また、ロール型の幅(ロール型の軸方向の長さ)は30cmであった。
まず、図10に示すように、基材搬送手段上に載置され搬送されてくるシート材(ポリエチレンテレフタレート(PET)製、幅:40cm、厚さ:0.75mm)上に、組成物供給手段により、未重合(未硬化)のアクリル系樹脂(PMMA樹脂(メタクリル樹脂))で構成された組成物を供給した。シート材を構成するポリエチレンテレフタレートの屈折率(絶対屈折率n)は、1.656であった。
次に、図11に示すように、ロール型の回転およびシート材の搬送にともない、ロール型で組成物を押圧した。ロール型で組成物を押圧することで、組成物にロール型の周面の形状が転写され、ロール型の凹部に対応した形状のレンズ形状(マイクロレンズ形状)が形成され、これと同時に、組成物は、シート材と圧着された。この際、ロール状に巻かれたシート材を適度な張力がかかるように、所定の速度で繰り出すことにより、シート材に撓みのない状態で組成物と圧着させた。
次に、ロール型により成形された組成物が圧着され、搬送されてきたシート材に対し、紫外線照射手段(組成物硬化手段)から紫外線を照射することにより、組成物を固化させた。
そして、搬送されてくる長尺のシート材に対し、上記のような組成物の付与・圧着、組成物の固化を連続的に行うことにより、長尺の基板ユニットを得た。そして、順次製造されてくる長尺の基板ユニットを所定の長さ(26cm)に切断し、26cm×26cmの基板ユニットを得た。
上記のようにして得られた基板ユニットは、ロール型が有する凹部に対応する形状のマイクロレンズを有するものであった。形成されたマイクロレンズは、扁平形状(略楕円形状)をなすものであり、千鳥状に配されたパターンで形成されたものであった。長軸方向の長さが72μm、曲率半径が36μm、高さが36μmであった。また、マイクロレンズが形成されている有効領域におけるマイクロレンズの占有率は99.0%であった。また、形成された硬化部を構成する材料の屈折率(絶対屈折率n)は、1.557であった。
次に、基板ユニットを平面視したときの幅方向の2辺において、レンズが形成されている有効領域の端部付近に設けられているレンズ列を切断により除去した(切断工程)。本工程は、基板ユニットの垂線方向(法線方向)から45°傾斜した方向から、基板ユニット内部で焦点を結ぶように、近赤外レーザを照射することにより行った。その結果、多光子吸収を起こし、基板ユニットの一部が切断除去された。このとき、基板ユニットの主面の垂線(法線)と切断面のなす角(傾斜角)θは45°であった。また、切断面の表面粗さRaは、0.2μmであった。
以上のようにして得られた基板ユニットを横方向に7枚並べて接合した。なお、接合は、接合部分にレーザ光(ヤグの第3高調波レーザ)を照射すること行った。
これにより基板本体(縦104cm×横182cm)を得た。
上記のようにして得られた基板本体を用いて、前記実施例1と同様にしてブラックマトリックス、拡散部、着色部を形成することにより、マイクロレンズ基板を得た。
その後、前記実施例1と同様にして、マイクロレンズ基板と、押出成形により作製したフレネルレンズ部とを組み立てることにより、図15に示すような透過型スクリーンを得た。
(実施例10〜12)
切断工程の条件を変更することにより、角度θ、切断面の表面粗さRaを表1に示すように変更した以外は、前記実施例9と同様にしてマイクロレンズ基板、透過型スクリーンを製造した。
(実施例13)
切断工程を、ダイヤモンドブレードを高速で回転させて切断する方法により行った以外は、前記実施例9と同様にしてマイクロレンズ基板、透過型スクリーンを製造した。
ダイヤモンドブレードとしては、厚さが350μmのものを用いた。また、切断工程は、切断部付近に水を供給しつつ行った。
(実施例14〜16)
切断工程の条件を変更することにより、角度θ、切断面の表面粗さRaを表1に示すように変更した以外は、前記実施例13と同様にしてマイクロレンズ基板、透過型スクリーンを製造した。
(比較例1)
本比較例では、基板ユニットを接合することなく、凹部付き部材を用いて目的とする大きさの基板本体を直接製造した以外は、前記実施例1と同様にしてマイクロレンズ基板、透過型スクリーンを製造した。すなわち、基板本体の製造を以下のようにして行った以外は、前記実施例1と同様にしてマイクロレンズ基板、透過型スクリーンを製造した。
まず、製造すべき基板本体の大きさと同じ寸法(横75cm×縦135cm角)とした以外は、前記実施例1と同様にして凹部付き部材を製造した。
次に、この凹部付き部材を用いて、前記実施例1と同様にして、組成物の付与、シート材の載置、シート材を介した組成物の押圧、および、組成物の硬化を行い、基板本体を得た。
そして、その後、上記のようにして得られた基板本体を用いて、前記実施例1と同様にしてブラックマトリックス、拡散部、着色部を形成することにより、マイクロレンズ基板を得た。なお、本比較例では、製造された基板本体からの凹部付き部材の除去が極めて困難であった。これは、凹部付き部材として大型のものを用いたため、凹部付き部材と製造された基板本体(微小な凹凸を有する基板本体)との接触面積が大きくなり、アンカー効果が顕著に現れたためであると考えられる。また、基板本体からの凹部付き部材の除去は、極めて慎重に行ったが、凹部付き部材の除去の際に、製造された基板本体が有するマイクロレンズの一部にかけを生じてしまった。
(比較例2)
基板ユニットの接合を、ブラックマトリックス形成用のフォトポリマーに対する撥液性を有する接着剤(セメダイン社製、セメダインスーパーX)を用いて行った以外は、前記実施例7と同様にして、マイクロレンズ基板、透過型スクリーンを製造した。本比較例で得られたマイクロレンズ基板は、接合部上にブラックマトリックスが形成されていなかった。
前記各実施例および各比較例について、複数の基板ユニットの接合条件(切断面(接合面)の角度θ、切断面の表面粗さ)等を表1にまとめて示す。
Figure 2007193058
[透過率の評価]
前記各実施例および各比較例の透過型スクリーンについて、透過率の評価を行った。
透過率の評価は、分光光度計(大塚電子株式会社製、瞬間マルチ測光システム「MCPD−1000(28C)」)を用い、マイクロレンズ基板のマイクロレンズ形成領域に対し、波長400nmの光の透過率を測定した。
その結果を以下の5段階の基準に従い評価した。
◎◎:透過率が90%以上。
◎:透過率が80%以上90%未満。
○:透過率が70%以上80%未満。
△:透過率が60%以上70%未満。
×:透過率が60%未満。
[リア型プロジェクタの作製]
前記各実施例および各比較例の透過型スクリーンを用いて、図16に示すようなリア型プロジェクタを、それぞれ作製した。
[色ムラ、輝度ムラの評価]
前記各実施例および各比較例のリア型プロジェクタの透過型スクリーンにサンプル画像を表示させた。表示された画像について、色ムラ、輝度ムラ(暗いすじや、明るいすじ等を含む)の発生状況を以下の4段階の基準に従い評価した。
◎:色ムラ、輝度ムラが全く認められない。
○:色ムラ、輝度ムラがほとんど認められない。
△:色ムラ、輝度ムラがわずかに認められる。
×:色ムラ、輝度ムラが顕著に認められる。
[コントラストの評価]
前記各実施例および各比較例のリア型プロジェクタについて、コントラストの評価を行った。
コントラスト(CNT)として、暗室において413lxの全白光が入射した時の白表示の正面輝度(白輝度)LW[cd/m]と、明室において光源を全消灯した時の黒表示の正面輝度の増加量(黒輝度増加量)LB[cd/m]との比LW/LBを求めた。なお、黒輝度増加量は、暗室の黒表示の輝度に対する増加量をいう。また、明室での測定は、外光照度が約185lxの環境下で行った。暗室での測定は、外光照度が0.1lx以下の環境下で行った。
[視野角の測定]
前記各実施例および各比較例のリア型プロジェクタの透過型スクリーンにサンプル画像を表示させた状態で、鉛直方向(上下方向)および水平方向(左右方向)での視野角の測定を行った。
視野角の測定は、変角光度計(ゴニオフォトメータ)で、1度間隔で測定するという条件で行った。
[回折光の評価]
前記各実施例および各比較例のリア型プロジェクタの透過型スクリーンにサンプル画像を表示させた。表示された画像について、回折光(モアレを含む)の発生状況を以下の4段階の基準に従い評価した。
◎:回折光が全く認められない。
○:回折光がほとんど認められない。
△:回折光がわずかに認められる。
×:回折光が顕著に認められる。
これらの結果を表2にまとめて示す。
Figure 2007193058
表2から明らかなように、本発明では、いずれも、高い透過率を有するとともに、色ムラ、輝度ムラの発生が抑制された画像を表示することができた。また、本発明では、高コントラストで、視野角特性に優れていた。すなわち、本発明では、優れた画像を安定的に表示することができた。これに対し、比較例では、満足な結果が得られなかった。
本発明のレンズ基板(マイクロレンズ基板)の好適な実施形態を示す模式的な縦断面図である。 本発明のレンズ基板(マイクロレンズ基板)の第1実施形態の平面図である。 マイクロレンズ基板の製造に用いる凹部付き部材を示す模式的な縦断面図である。 図3に示す凹部付き部材の製造方法を示す模式的な縦断面図である。 本発明のレンズ基板(マイクロレンズ基板)の製造方法の一例(第1実施形態)を示す模式的な縦断面図である。 本発明のレンズ基板(マイクロレンズ基板)の製造方法の一例(第1実施形態)を示す模式的な縦断面図である。 本発明のレンズ基板(マイクロレンズ基板)の製造方法の一例(第1実施形態)を示す模式的な縦断面図である。 本発明のレンズ基板(マイクロレンズ基板)の製造方法の一例(第1実施形態)での切断工程を示す模式的な平面図である。 本発明のレンズ基板(マイクロレンズ基板)の第2実施形態の平面図である。 本発明のレンズ基板(マイクロレンズ基板)の製造方法の他の一例(第2実施形態)を示す模式的な縦断面図である。 本発明のレンズ基板(マイクロレンズ基板)の製造方法の他の一例(第2実施形態)を示す模式的な縦断面図である。 本発明のレンズ基板(マイクロレンズ基板)の製造方法の他の一例(第2実施形態)を示す模式的な縦断面図である。 マイクロレンズ基板の製造に用いるロール型(凹部付き部材)を示す模式的な斜視図である。 本発明のレンズ基板(マイクロレンズ基板)の製造方法の一例(第2実施形態)での切断工程を示す模式的な平面図である。 図1に示すマイクロレンズ基板(レンズ基板)を備えた、本発明の透過型スクリーンの好適な実施形態を示す模式的な縦断面図である。 本発明の透過型スクリーンを適用したリア型プロジェクタを模式的に示す図である。
符号の説明
1…マイクロレンズ基板(レンズ基板) 2…基板本体 21…マイクロレンズ(レンズ部) 22…着色部 23…組成物 24…シート材(基材フィルム) 25…第1の行 26…第2の行 28…基板ユニット 281…切断面 29…接合面 3…ブラックマトリックス(遮光膜) 31…開口部 32…フォトポリマー 4…拡散部 5…フレネルレンズ部 51…フレネルレンズ 6…凹部付き部材(凹部付き基板) 61…凹部(マイクロレンズ形成用凹部) 7…基板 8…マスク 81…マスク形成用膜 82…初期孔(開口部) 89…裏面保護膜 11…平板 100…レンズ基板製造装置 110…基材搬送手段 120…組成物供給手段 130…ロール型(凹部付き部材) 131…凹部 132…軸 140…組成物硬化手段 10…透過型スクリーン 300…リア型プロジェクタ 310…投写光学ユニット 320…導光ミラー 340…筐体 La…光(平行光) Lb…光(レーザ光) Lc…光(露光用光)

Claims (15)

  1. 多数のレンズ部を有する基板本体と、
    前記基板本体の前記レンズ部が設けられた側とは反対の面側に設けられ、前記レンズ部の焦点に対応する部位に開口部を有する遮光膜とを有するレンズ基板であって、
    前記基板本体は、多数のレンズ部を有する基板ユニットが複数接合されてなり、平面視したときに、少なくとも、複数の前記基板ユニットの接合面上に前記遮光膜が設けられていることを特徴とするレンズ基板。
  2. 前記接合面は、前記基板ユニットの主面に対して、所定の角度θだけ傾斜している請求項1に記載のレンズ基板。
  3. 前記角度θが、0.1〜60°である請求項2に記載のレンズ基板。
  4. レンズ基板は、前記レンズ部としてマイクロレンズを備えたマイクロレンズ基板である請求項1ないし3のいずれかに記載のレンズ基板。
  5. 前記レンズ部は、前記基板ユニットを平面視した際に、正方格子形状または千鳥格子状に配されたものである請求項4に記載のレンズ基板。
  6. 多数のレンズ部を有するレンズ基板を製造する方法であって、
    多数のレンズ部を有する基板ユニットを所定位置で切断する切断工程と、
    前記切断工程で切断された前記基板ユニットを複数接合して前記基板本体を得る接合工程と、前記基板本体の前記レンズ部が設けられた側とは反対の面側に、セルフアライメントにより開口部を有する遮光膜を形成する遮光膜形成工程とを有し、
    前記遮光膜形成工程において、少なくとも、平面視したときの複数の前記基板ユニットの接合面上に前記遮光膜を形成することを特徴とするレンズ基板の製造方法。
  7. 前記接合面は、前記基板ユニットの主面に対して、所定の角度θだけ傾斜している請求項6に記載のレンズ基板の製造方法。
  8. 前記角度θが、0.1〜60°である請求項7に記載のレンズ基板の製造方法。
  9. 前記レンズ基板は、前記レンズ部としてマイクロレンズを備えたマイクロレンズ基板である請求項6ないし8のいずれかに記載のレンズ基板の製造方法。
  10. 前記レンズ部は、前記基板ユニットを平面視した際に、正方格子形状または千鳥格子状に配されたものである請求項9に記載のレンズ基板の製造方法。
  11. 前記切断面の表面粗さRaが、0.002〜1.0μmである請求項6ないし10のいずれかに記載のレンズ基板の製造方法。
  12. 前記接合工程は、レーザ光の照射により行う請求項6ないし11のいずれかに記載のレンズ基板の製造方法。
  13. 請求項1ないし5のいずれかに記載のレンズ基板を備えたことを特徴とする透過型スクリーン。
  14. 請求項6ないし12のいずれかに記載の方法を用いて製造されたレンズ基板を備えたことを特徴とする透過型スクリーン。
  15. 請求項13または14に記載の透過型スクリーンを備えたことを特徴とするリア型プロジェクタ。
JP2006010523A 2006-01-18 2006-01-18 レンズ基板、レンズ基板の製造方法、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ Pending JP2007193058A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006010523A JP2007193058A (ja) 2006-01-18 2006-01-18 レンズ基板、レンズ基板の製造方法、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006010523A JP2007193058A (ja) 2006-01-18 2006-01-18 レンズ基板、レンズ基板の製造方法、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007193058A true JP2007193058A (ja) 2007-08-02

Family

ID=38448811

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006010523A Pending JP2007193058A (ja) 2006-01-18 2006-01-18 レンズ基板、レンズ基板の製造方法、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007193058A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016209351A (ja) * 2015-05-11 2016-12-15 大日本印刷株式会社 遊技機
JP2018120240A (ja) * 2015-10-08 2018-08-02 大日本印刷株式会社 スクリーン及び表示装置

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0580420A (ja) * 1991-09-20 1993-04-02 Dainippon Printing Co Ltd レンチキユラーレンズシートの接合構造と接合方法
JPH0682917A (ja) * 1992-08-28 1994-03-25 Dainippon Printing Co Ltd 透過型スクリーン及びその製造方法
JPH0678901U (ja) * 1993-04-15 1994-11-04 スタンレー電気株式会社 アウターレンズ
JPH06342187A (ja) * 1993-05-31 1994-12-13 Kuraray Co Ltd レンズシート
JP2000112036A (ja) * 1998-08-03 2000-04-21 Dainippon Printing Co Ltd レンチキュラ―レンズシ―ト及び透過型スクリ―ン
JP2002258019A (ja) * 2000-12-26 2002-09-11 Olympus Optical Co Ltd 光学シート、光学シート製造システム、光学シート切断装置
JP2004361750A (ja) * 2003-06-05 2004-12-24 Seiko Epson Corp 着色層の形成方法、マイクロレンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0580420A (ja) * 1991-09-20 1993-04-02 Dainippon Printing Co Ltd レンチキユラーレンズシートの接合構造と接合方法
JPH0682917A (ja) * 1992-08-28 1994-03-25 Dainippon Printing Co Ltd 透過型スクリーン及びその製造方法
JPH0678901U (ja) * 1993-04-15 1994-11-04 スタンレー電気株式会社 アウターレンズ
JPH06342187A (ja) * 1993-05-31 1994-12-13 Kuraray Co Ltd レンズシート
JP2000112036A (ja) * 1998-08-03 2000-04-21 Dainippon Printing Co Ltd レンチキュラ―レンズシ―ト及び透過型スクリ―ン
JP2002258019A (ja) * 2000-12-26 2002-09-11 Olympus Optical Co Ltd 光学シート、光学シート製造システム、光学シート切断装置
JP2004361750A (ja) * 2003-06-05 2004-12-24 Seiko Epson Corp 着色層の形成方法、マイクロレンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016209351A (ja) * 2015-05-11 2016-12-15 大日本印刷株式会社 遊技機
JP2018120240A (ja) * 2015-10-08 2018-08-02 大日本印刷株式会社 スクリーン及び表示装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4561726B2 (ja) 凹部付き部材の製造方法およびレンズ基板の製造方法
JP2006154757A (ja) マイクロレンズ基板の製造方法、マイクロレンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ
JP2006116826A (ja) マイクロレンズ基板製造用成形型、マイクロレンズ基板の製造方法、マイクロレンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ
JP2006146180A (ja) 凹部付き基板の製造方法、凹部付き基板、マイクロレンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ
KR100670989B1 (ko) 오목부를 갖는 부재, 볼록부를 갖는 부재의 제조 방법,투과형 스크린, 및 리어형 프로젝션
JP4114656B2 (ja) レンズ基板、レンズ基板の製造方法、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ
JP2006106359A (ja) レンズ基板の製造方法、レンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ
JP2006126751A (ja) 凹部付き部材、凸部付き部材の製造方法、凸部付き部材、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ
JP2006133334A (ja) 凹部付き部材、凸部付き部材の製造方法、凸部付き部材、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ
JP2007193058A (ja) レンズ基板、レンズ基板の製造方法、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ
JP4654792B2 (ja) レンズ基板の製造方法、レンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ
JP4655910B2 (ja) マイクロレンズ基板の製造方法、マイクロレンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ
JP2006142587A (ja) 凸部付き部材の製造方法、凸部付き部材、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ
JP2007203674A (ja) レンズ基板の製造方法、レンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ
JP4687468B2 (ja) マイクロレンズ基板の製造方法、マイクロレンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ
JP5003069B2 (ja) レンズ基板形成用型の製造方法
JP2007160575A (ja) レンズ基板の製造方法、レンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ
JP4876519B2 (ja) レンズ基板の製造方法、レンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ
JP4650131B2 (ja) レンズ基板およびリア型プロジェクタ
JP2007163797A (ja) レンズ基板の製造方法、レンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ
JP2007008052A (ja) レンズ基板の製造方法、レンズ基板およびリア型プロジェクタ
JP2007121336A (ja) レンズ基板の製造方法、レンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ
JP2007025441A (ja) レンズ基板、レンズ基板の製造方法、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ
JP2007010803A (ja) 透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ
JP2007003955A (ja) レンズ基板、レンズ基板の製造方法、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080512

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100810

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100817

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101008

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101026

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101222

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110125