JP4655910B2 - マイクロレンズ基板の製造方法、マイクロレンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ - Google Patents

マイクロレンズ基板の製造方法、マイクロレンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ Download PDF

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Description

本発明は、マイクロレンズ基板の製造方法、マイクロレンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタに関するものである。
近年、リア型プロジェクタは、ホームシアター用モニター、大画面テレビ等に好適なディスプレイとして、需要が高まりつつある。
リア型プロジェクタに用いられる透過型スクリーンには、レンチキュラレンズを備えたレンチキュラレンズ基板や、マイクロレンズを備えたマイクロレンズ基板のような、多数のレンズを備えたレンズ基板が用いられている。このようなレンズ基板を備えることにより、レンズ基板に入射した光を(一旦集光させた後に)拡散させることができ、その結果、視野角特性が向上し、透過型スクリーンの正面に対して斜め方向からでも表示された画像を視認することができる。
従来、このようなレンズ基板は、レンズ基板のレンズ面に対応する凹凸形状を有する成形型の表面に流動性を有する樹脂材料を付与した後、この表面にシート材を載置し、その後、前記樹脂材料を硬化させて、成形型の表面形状が転写された樹脂層を、シート材上に転写することにより、シート材と樹脂層との接合体として得る方法を用いて製造されていた(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、上記のような方法を採用した場合、以下のような問題点があった。すなわち、上記のような方法では、成形型上の樹脂材料が流動性を有しているため、シート材を載置すると、シート材の表面にうねりを生じてしまう。このようなうねりを生じると、レンズ基板の厚さのばらつき(レンズ面の凹凸を無視した場合の厚さのばらつき)が大きくなる。このような厚さのばらつきは、各レンズ部の焦点距離のばらつき等を発生させる要因となり、レンズ基板の光学特性上好ましくない。また、シート材として、比較的厚く、形状の安定性に優れたものを用いることにより、上記のような厚さのばらつきを抑制することも考えられるが、このような場合、レンズ基板の厚さが厚いものとなってしまい、これにより、製造すべきレンズ基板のレンズ部の焦点距離を長くしなければならず、その結果、得られるレンズ基板において、十分な視野角特性が得られない等の問題が発生する。
特開2000−321675号公報
本発明の目的は、不本意な厚さのばらつきが抑制され、光学特性に優れたマイクロレンズ基板を提供すること、前記マイクロレンズ基板を製造することができるマイクロレンズ基板の製造方法を提供すること、また、前記マイクロレンズ基板を備えた透過型スクリーン、リア型プロジェクタを提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のマイクロレンズ基板の製造方法は、多数の凹部を有する凹部付き基板を用いて、前記凹部に対応する形状の多数の凸レンズとしてマイクロレンズを備えたマイクロレンズ基板を製造する方法であって、
光を透過する材料で構成されたシート材と、前記凹部付き基板とで、流動性を有する樹脂材料を挟持し、前記凹部内に前記樹脂材料を充填する工程と、
前記樹脂材料を固化させ、前記凹部付き基板を取り外す工程とを有し、
前記凹部付き基板は、前記凹部が設けられている側の面に、前記凹部が設けられていない、面積が1000μm 〜5000μm の平坦部を複数有し、
前記凹部が設けられている有効領域における、複数の前記平坦部の占める割合が、2〜5%であり、
前記凹部内に前記樹脂材料を充填する前記工程において、平坦で、かつ、硬質な表面を有する定盤上に、前記シート材を載置した状態で、前記樹脂材料を挟持することを特徴とする。
これにより、不本意な厚さのばらつきが抑制され、光学特性に優れたマイクロレンズ基板を製造することができるマイクロレンズ基板の製造方法を提供することができる。
本発明のマイクロレンズ基板の製造方法では、前記シート材の平均厚さが、30〜200μmであることが好ましい。
このように、比較的薄いシート材を用いた場合であっても、シート材の表面におけるうねり等を十分に防止することができる。また、このように、比較的薄いシート材を用いることにより、マイクロレンズ基板の薄型化を図ることができ、特に優れた光学特性(例えば、視野角特性等)を有するマイクロレンズ基板を提供することができる
本発明のマイクロレンズ基板の製造方法では、前記定盤表面の表面粗さRaが、0.5μm以下であることが好ましい。
これにより、シート材のたわみ等の発生をより効果的に防止することができる。
本発明のマイクロレンズ基板の製造方法では、前記定盤の硬度が、300以上であることが好ましい。
これにより、シート材のたわみ等の発生をより効果的に防止することができる。
本発明のマイクロレンズ基板の製造方法では、1つの前記平坦部の面積をS[μm]、前記凹部を平面視した際の面積をS[μm]としたとき、0.2≦S/S≦1の関係を満足することが好ましい。
これにより、シート材のたわみをより効果的に防止することができ、均一な厚みを有するマイクロレンズ基板を得ることが可能となる。
本発明のマイクロレンズ基板は、本発明の方法を用いて製造されたことを特徴とする。
これにより、たわみがなく、厚さが均一なマイクロレンズ基板を提供することができる。
本発明の透過型スクリーンは、光の出射側にフレネルレンズが形成されたフレネルレンズ部と、
前記フレネルレンズ部の光の出射側に配置された本発明のマイクロレンズ基板とを備えたことを特徴とする。
これにより、好適な画像を表示することができる透過型スクリーンを提供することができる。
本発明のリア型プロジェクタは、本発明の透過型スクリーンを備えたことを特徴とする。
これにより、好適な画像を表示することができるリア型プロジェクタを提供することができる。
以下、本発明のレンズ基板の製造方法、レンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタについて、添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
なお、本発明において、「基板」とは、実質的に可撓性を有さない、比較的肉厚の大きいものから、比較的肉厚が小さく可撓性に富む(変形自在な)フィルム状(シート状)のもの等を含む概念である。
本発明のレンズ基板の用途は、特に限定されないが、以下の説明では、レンズ基板を、主に、透過型スクリーン、リア型プロジェクタを構成する部材として用いるものとして説明する。
まず、本発明のレンズ基板の製造方法の説明に先立ち、本発明のレンズ基板(凸レンズ基板)および透過型スクリーンの構成について説明する。
図1は、本発明のレンズ基板(マイクロレンズ基板)の好適な実施形態を示す模式的な縦断面図、図2は、図1に示すレンズ基板(マイクロレンズ基板)の平面図、図3は、図1に示すレンズ基板(マイクロレンズ基板)を備えた、本発明の透過型スクリーンの好適な実施形態を示す模式的な縦断面図である。なお、以下の説明では、図1、図3中の左側を「(光の)入射側」、右側を「(光の)出射側」と言う。また、本発明においては、特に断りのない限り、「(光の)入射側」、「(光の)出射側」とは、それぞれ、画像光(映像光)を得るための光の「入射側」、「出射側」のことを指し、外光等の「入射側」、「出射側」のことを指すものではない。
マイクロレンズ基板(レンズ基板)1は、後述する透過型スクリーン10を構成する部材であり、図1に示すように、所定のパターンで配列された複数個のマイクロレンズ(凸レンズ)21を備えた基板本体2と、遮光性を有する材料で構成されたブラックマトリックス(遮光層)3と、入射した光を乱反射させることにより拡散させる機能を有する拡散部4とを備えている。
また、マイクロレンズ基板1は、後に詳述するような方法により製造されたものであり、不本意な厚さのばらつきが抑制されており、基板本体2の出射面側(マイクロレンズ21が設けられた側とは反対の面側)の平坦度の高いものである。このため、マイクロレンズ基板1は、優れた光学特性を有している。
図中、Tで表される基板本体2の厚さ(マイクロレンズ(凸レンズ)21の厚さを除く厚さ(基板本体2のブランク厚さ))は、比較的薄いものであるのが好ましく、100μm以下であるのが好ましく、80μm以下であるのがより好ましい。このように、基板本体2の厚さが十分に小さいものであると、マイクロレンズ(凸レンズ)21の曲率半径を比較的小さいものとした場合であっても、マイクロレンズ21の焦点を基板本体2の出射側の正面付近で結ばせることができるため、ブラックマトリックス(遮光部)3の開口部を比較的小さいものとすることができ、その結果、マイクロレンズ基板1の視野角特性を優れたものとしつつ、非常に優れたコントラストの画像を表示することができる。このように比較的薄い基板本体2は、後に詳述するような本発明の方法により、好適に製造することができる。
基板本体2の出射側の面は、うねりが抑制され平坦な面となっている。より具体的には、基板本体2の厚みばらつき標準偏差は、0.7μm以下であるのが好ましい。これにより、各マイクロレンズの焦点距離のばらつきが抑制され、マイクロレンズ基板1全体としての光学特性は特に優れたものとなる。
基板本体2は、シート材28と、該シート材28上に配され、複数個のマイクロレンズが形成された樹脂層29とで構成されている。
シート材28および樹脂層29は、通常、透明性を有する材料で構成される。
シート材28は、通常、主として樹脂材料で構成されている。
シート材28を構成する樹脂材料としては、例えば、酢酸セルロースやプロピルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等が用いられる。その中でも、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが好適である。
また、シート材28は、その表面粗さRaが、0.3μm以下のものであるのが好ましく、0.01〜0.1μmであるのがより好ましい。これにより、後述するようなレンズ基板の製造方法において、定盤との密着性が向上し、シート材のたわみ等の発生をより効果的に防止することができる。
樹脂層29は、通常、主として樹脂材料で構成されている。
樹脂層29を構成する樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド(例:ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6−12、ナイロン6−66)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば、ブレンド樹脂、ポリマーアロイ、積層体等として)用いることができる。
基板本体2を構成する樹脂材料(固化した状態の樹脂材料)は、一般に、各種気体(マイクロレンズ基板1が用いられる雰囲気)より大きな絶対屈折率を有するものであるが、絶対屈折率の具体的な値は、1.35〜1.9であるのが好ましく、1.40〜1.75であるのがより好ましい。樹脂材料の絶対屈折率が前記範囲内の値であると、光(入射光)の利用効率を特に優れたものとしつつ、視野角特性を特に優れたものとすることができる。
マイクロレンズ基板1は、光の入射する面側に凸面を有する凸レンズとしてのマイクロレンズ21を複数個備えている。
本実施形態において、マイクロレンズ21は、マイクロレンズ基板1を平面視した際の縦幅(鉛直方向の幅)が横幅(水平方向の幅)よりも小さい扁平形状(略楕円形、略俵形)を有している。マイクロレンズ21がこのような形状を有することにより、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止しつつ、視野角特性を特に優れたものとすることができる。特に、水平方向および鉛直方向の視野角特性をともに優れたものとすることができる。
平面視したときのマイクロレンズ21の短軸方向(縦方向)の長さをL[μm]、長軸方向(横方向)の長さをL[μm]としたとき、0.10≦L/L≦0.99の関係を満足するのが好ましく、0.50≦L/L≦0.95の関係を満足するのがより好ましく、0.60≦L/L≦0.80の関係を満足するのがさらに好ましい。上記のような関係を満足することにより、上述したような効果がさらに顕著なものとなる。
平面視したときのマイクロレンズ21の短軸方向の長さ(マイクロレンズ21の縦幅)は、10〜500μmであるのが好ましく、30〜300μmであるのがより好ましく、50〜100μmであるのがさらに好ましい。マイクロレンズ21の短軸方向の長さが前記範囲内の値であると、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止しつつ、スクリーンに投影される画像において十分な解像度を得ることができるとともに、マイクロレンズ基板1(透過型スクリーン10)の生産性をさらに高めることができる。
また、平面視したときのマイクロレンズ21の長軸方向の長さ(マイクロレンズ21の横幅)は、15〜750μmであるのが好ましく、45〜450μmであるのがより好ましく、70〜150μmであるのがさらに好ましい。マイクロレンズ21の短軸方向の長さが前記範囲内の値であると、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止しつつ、スクリーンに投影される画像において十分な解像度を得ることができるとともに、マイクロレンズ基板1(透過型スクリーン10)の生産性をさらに高めることができる。
また、マイクロレンズ(レンズ部)21の曲率半径は、7.5〜375μmであるのが好ましく、22.5〜225μmであるのがより好ましく、35〜75μmであるのがさらに好ましい。マイクロレンズ21の曲率半径が前記範囲内の値であると、視野角特性を特に優れたものとすることができる。特に、水平方向および鉛直方向の視野角特性をともに優れたものとすることができる。なお、マイクロレンズ21は、短軸方向についての曲率半径と、長軸方向の曲率半径が異なるものであってもよいが、このような場合、長軸方向の曲率半径が上記の範囲内の値であるのが好ましい。
また、マイクロレンズ21の高さは、5〜250μmであるのが好ましく、15〜150μmであるのがより好ましく、25〜100μmであるのがさらに好ましい。マイクロレンズ21の高さが前記範囲内の値であると、光の利用効率および視野角特性を、特に優れたものとすることができる。
また、マイクロレンズ21の高さをH[μm]、マイクロレンズ21の短軸方向の長さをS[μm]としたとき、0.90≦S/H≦1.9の関係を満足するのが好ましく、1.0≦S/H≦1.8の関係を満足するのがより好ましく、1.2≦S/H≦1.6の関係を満足するのがさらに好ましい。このような関係を満足することにより、光の干渉によるモアレの発生を効果的に防止しつつ、視野角特性を特に優れたものとすることができる。
また、これら複数個のマイクロレンズ21は、千鳥格子状に配列している。このようにマイクロレンズ21が配列することにより、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止することができる。これに対し、例えば、マイクロレンズが正方格子状等に配列したものであると、モアレ等の不都合の発生を十分に防止することが困難となる。また、マイクロレンズをランダムに配した場合、マイクロレンズが形成されている有効領域におけるマイクロレンズの占有率を十分に高めるのが困難となり、マイクロレンズ基板の光の透過率(光の利用効率)を十分に高めるのが困難となり、得られる画像が暗いものとなる。
上記のように、マイクロレンズ21は、マイクロレンズ基板1を平面視したときに、千鳥格子状に配列しているが、複数のマイクロレンズ21で構成される第1の行25と、それに隣接する第2の行26とが、横方向に半ピッチ分だけずれているのが好ましい。これにより、光の干渉によるモアレの発生等をより効果的に防止するとともに、かつ、視野角特性を特に優れたものとすることができる。
また、マイクロレンズ基板1を光の入射面側(図1で示した方向)から平面視したときの、マイクロレンズ21が形成されている有効領域において、マイクロレンズ21の占有率は、95%以上であるのが好ましく、97%以上であるのがより好ましい。マイクロレンズ21の占有率が90%以上であると、マイクロレンズ21以外を通過する直進光をより少なくすることができ、光利用効率をさらに向上させることができる。
なお、マイクロレンズ21の配列方式は、上記のようなものに限定されず、例えば、正方格子状の配列であっても、光学的にランダムな配列(マイクロレンズ基板1の主面側から平面視したときに、各マイクロレンズ21が互いにランダムな位置関係となるように配されたもの)であってもよい。
上記のように、マイクロレンズの形状や配列方式、占有率等を厳密に規定することにより、光の干渉によるモアレの発生を効果的に防止しつつ、視野角特性を特に優れたものとすることができる。
また、各マイクロレンズ21は、入射側に突出した凸レンズとして形成されており、焦点fが、ブラックマトリックス(遮光層)3に設けられた開口部(非遮光部)31の近傍に位置するように設計されている。すなわち、マイクロレンズ基板1に対して、ほぼ垂直な方向から入射した平行光La(後述するフレネルレンズ部5からの平行光La)は、マイクロレンズ基板1の各マイクロレンズ21によって集光され、ブラックマトリックス3の開口部31近傍で焦点fを結ぶ。このように、ブラックマトリックス3の開口部31の近傍でマイクロレンズ21が焦点を結ぶことにより、光の利用効率を特に優れたものとすることができる。また、開口部31の近傍でマイクロレンズ21が焦点を結ぶことにより、開口部31の面積を小さくすることができる。すなわち、マイクロレンズ基板1を平面視したときの、ブラックマトリックス3(開口部31以外の領域)で覆われた面積の割合を大きくすることができる。その結果、マイクロレンズ基板を透過した光により形成される画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。
また、基板本体2の光の出射側の面には、ブラックマトリックス3が設けられている。ブラックマトリックス3は、遮光性を有する材料で構成され、層状に形成されたものである。このようなブラックマトリックス3を有することにより、当該ブラックマトリックス3に、外光(投影画像を形成する上で好ましくない外光)を吸収させることができ、スクリーンに投影される画像を、コントラストに優れたものとすることができる。
このようなブラックマトリックス3は、各マイクロレンズ21を透過した光の光路上に開口部31を有している。これにより、各マイクロレンズ21で集光された光を、効率良く、ブラックマトリックス3の開口部31を通過させることができる。その結果、マイクロレンズ基板1の光利用効率を高いものとすることができる。
ところで、後に詳述する本発明のレンズ基板の製造方法によれば、基板本体の厚さの不本意なばらつきを抑制することができる。このため、各凸レンズ(マイクロレンズ)の焦点距離のばらつきを抑制することができ、その結果、後述するような方法で、遮光部(ブラックマトリックス)に開口部を形成した場合、遮光部に設けられる開口部の大きさのばらつきを抑制することができる。これにより、輝度ムラの少ない好適な画像を表示することができる。
また、開口部31は、ブラックマトリックス3の開口部31以外の部位で外光の反射を効果的に防止しつつ、画像形成用の光がブラックマトリックス3により吸収、反射されるのを十分に防止するような大きさで設けられている。
ブラックマトリックス3の開口部31は、いかなる形状のものであってもよいが、平面視したときの形状が略円形であるのが好ましい。開口部31が略円形である場合、開口部31の大きさは、特に限定されないが、その直径が、5〜100μmであるのが好ましく、15〜90μmであるのがより好ましく、20〜70μmであるのがさらに好ましい。これにより、スクリーンに投影される画像を、よりコントラストに優れたものとすることができる。
また、開口部31の直径(開口部31の形状が異形状である場合には、その最大長さ)の標準偏差は、1.5μm以下であるのが好ましく、1.2μm以下であるのがより好ましい。これにより、表示される画像の輝度ムラをより効果的に防止することができる。
また、ブラックマトリックス3の厚さ(平均厚さ)は、0.3〜8μmであるのが好ましく、0.8〜7μmであるのがより好ましく、1.4〜6μmであるのがさらに好ましい。ブラックマトリックス3の厚さが前記範囲内の値であると、ブラックマトリックス3の不本意な剥離、クラック等をより確実に防止しつつ、ブラックマトリックス3としての機能(すなわち、画像のコントラストを向上させる機能)をより効果的に発揮させることができ、例えば、マイクロレンズ基板1を備えた透過型スクリーン10において、投影される画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。
また、平面視したときの開口部31のブラックマトリックス3に対する面積比(開口率)は、5〜30%であるのが好ましく、10〜20%であるのがより好ましく、10〜15%であるのがさらに好ましい。開口率が前記範囲内の値であると、外光(例えば、光の入射側とは反対側から不本意に入射した外光等)が、出射側に反射するのを十分に低く抑えることができ、光の利用効率を特に優れたものとしつつ、映り込みを防止して、得られる画像のコントラストを特に優れたものとすることができるとともに、マイクロレンズ基板1の視野角特性を特に優れたものとすることができる。これに対し、開口率が前記下限値未満であると、光の利用効率、視野角特性を十分に優れたものとするのが困難となる可能性がある。また、開口率が前記上限値を越えると、外光反射を十分に低く抑えることが困難となり、映り込みを防止して、得られる画像のコントラストを十分に優れたものとするのが困難となる可能性がある。
また、マイクロレンズ基板1の光の出射側の面には、拡散部4が設けられている。拡散部4は、入射した光(入射光)を乱反射させることにより拡散させる機能を有するものである。このような拡散部4を有することにより、視野角特性を優れたものとすることができる。また、拡散部4は、ブラックマトリックス3より光の出射側に形成された領域を有するものである。このような構成であることにより、拡散部4に入射した光を、出射側(光の入射側とは反対側の方向)に効率よく向かわせることができ、透過型スクリーン10の視野角特性を特に優れたものにすることができる(スクリーンに投影される画像を好適に視認することができる視野角を特に大きいものとすることができる)。本実施形態では、拡散部4は、光透過性に優れた実質的に透明な材料(例えば、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂等)中に、拡散材が分散した構成になっている。拡散材としては、例えば、微粒子状(ビーズ状)のシリカ、ガラス、樹脂等を用いることができる。拡散材の平均粒径は、特に限定されないが、1〜50μmであるのが好ましく、2〜10μmであるのがより好ましい。
また、拡散部4の厚さは、特に限定されないが、0.05〜5mmであるのが好ましく、0.7〜4mmであるのがより好ましく、1.0〜3mmであるのがさらに好ましい。拡散部4の厚さが前記範囲内の値であると、光の利用効率を十分に高いものとしつつ、視野角特性を特に優れたものとすることができる。これに対し、拡散部4の厚さが前記下限値未満であると、拡散部4を設けることによる効果が十分に発揮されない可能性がある。また、拡散部4の厚さが前記上限値を超えると、光(光子)と拡散材とが衝突する確率(頻度)が急激に高くなる傾向を示し、消光が起こり易く、また、光拡散部内に入射した光(光子)が、再び入射側に戻る可能性も高くなる。その結果、光の利用効率を十分に高めるのが困難になる可能性がある。
本発明のレンズ基板は、後に詳述するような方法で製造されたものであるため、基板本体2の厚みが均一であり、マイクロレンズ21の焦点のズレがない。その結果、ブラックマトリックスの形成不良やムラ等を効果的に防止することができ、光の利用効率を優れたものとすることができる。
マイクロレンズ基板1の光の利用効率(マイクロレンズ基板1の入射面側から入射する光の光量に対する、出射面側から出射する光の光量の割合)は、70%以上であるのが好ましく、80%以上であるのがより好ましく、85%以上であるのがさらに好ましい。これにより、より明るい画像を好適に表示することができる。
次に、上述したようなマイクロレンズ基板1を備えた透過型スクリーン10について説明する。
図3に示すように、透過型スクリーン10は、フレネルレンズ部5と、前述したマイクロレンズ基板1とを備えている。フレネルレンズ部5は、光(画像光)の入射側に設置されており、フレネルレンズ部5を透過した光が、マイクロレンズ基板1に入射する構成になっている。
フレネルレンズ部5は、出射側表面に、ほぼ同心円状に形成されたプリズム形状のフレネルレンズ51を有している。このフレネルレンズ部5は、投射レンズ(図示せず)からの画像光を屈折させ、マイクロレンズ基板1の主面の垂直方向に平行な平行光Laにするものである。
以上のように構成された透過型スクリーン10では、投射レンズからの映像光が、フレネルレンズ部5によって屈折し、平行光Laとなる。そして、この平行光Laは、マイクロレンズ基板1のマイクロレンズ21が形成された面側からに入射し、各マイクロレンズ21によって集光し、焦点を結んだ後に拡散する。このとき、マイクロレンズ基板1に入射した光は、十分な透過率でマイクロレンズ基板1を透過する。開口部31を通過した光は、拡散し、観察者に平面画像として観測される。
次に、本発明のレンズ基板の製造方法について、前述したマイクロレンズ基板を例に説明する。
図4は、マイクロレンズ基板(レンズ基板)の製造に用いる凹部付き基板を示す模式的な縦断面図、図5は、図4に示す凹部付き基板の部分平面図、図6は、図4に示す凹部付き基板の製造方法を示す模式的な縦断面図である。なお、凹部付き基板の製造においては、実際には基板上に多数の凹部(マイクロレンズ形成用凹部)を形成し、マイクロレンズ基板の製造においては、実際には基板上に多数のマイクロレンズ(凸レンズ)を形成するが、ここでは、説明をわかりやすくするために、その一部分を強調して示した。
凹部付き基板(レンズ形成用凹部付き基板)6は、いかなる材料で構成されたものであってもよいが、たわみを生じ難く、傷つき難い材料で構成されたものであるのが好ましい。凹部付き基板6の構成材料としては、例えば、各種ガラス材料、各種樹脂材料等が挙げられる。ガラス材料としては、例えば、ソーダガラス、結晶性ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス等が挙げられ、また、樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド(例:ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6−12、ナイロン6−66)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等の各種樹脂材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。この中でも、凹部付き基板6の構成材料としては、ガラス材料が好ましく、ソーダガラス、結晶性ガラス(例えば、ネオセラム等)、無アルカリガラスがより好ましい。このような材料は、一般に、形状の安定性に優れている。このため、凹部付き基板6が有する凹部61の形状の安定性(信頼性)や、当該凹部61を用いて形成されるマイクロレンズ21の寸法精度等を特に優れたものとすることができ、レンズ基板としての光学特性を特に信頼性の高いものとすることができる。また、ガラス材料は、一般に、形状の安定性に優れているため、後に詳述するマイクロレンズ基板1の製造方法において、製造された基板本体2の取り扱い性が向上する。また、ソーダガラス、結晶性ガラス、無アルカリガラスは、加工が容易であるとともに、比較的安価であり、製造コストの面からも有利である。
また、マイクロレンズ基板1の製造において、後に説明するような方法(凹部付き基板6を介して、基板本体2に光を入射させ、マイクロレンズ(レンズ部)21により集光した光を遮光膜形成用材料32に照射する方法)により、ブラックマトリックス3を形成する場合、凹部付き基板6は、各種気体(例えば、空気、各種不活性ガス等)よりも大きな屈折率(絶対屈折率)を有し、かつ、基材本体2の構成材料(固化した状態の構成材料)よりも小さい屈折率(絶対屈折率)を有する材料で構成されたものである。これにより、後に詳述するように、最適な光度分布の光を遮光膜形成用材料32に照射することができ、これにより、最適な大きさの開口部31を、より効率良く形成することができる。また、このような場合、凹部付き基板6の構成材料の絶対屈折率は、基板本体2の構成材料(固化した状態の材料)の絶対屈折率よりも小さければ特に限定されないが、1.2〜1.8であるのが好ましく、1.35〜1.65であるのがより好ましい。凹部付き基板6の構成材料の絶対屈折率が前記範囲内の値であると、前述したような効果がさらに顕著なものとして発揮される。ところで、上述したようなガラス材料は、一般に、優れた透明性を有し、光の透過率に優れるとともに、一般に、上記範囲の屈折率を有しているものが多い。このような観点からも、凹部付き基板6の構成材料としては、ガラス材料が好ましい。また、基板本体2の構成材料(固化した状態の材料)の絶対屈折率をn、凹部付き基板6の構成材料の絶対屈折率をnとしたとき、0.01<n−n<0.8の関係を満足するのが好ましく、0.01<n−n<0.4の関係を満足するのがより好ましく、0.01<n−n<0.25の関係を満足するのがさらに好ましい。このような関係を満足することにより、後に詳述するように、最適な光度分布の光を遮光膜形成用材料32に照射することができ、これにより、最適な大きさの開口部31を、より効率良く形成することができる。
凹部付き基板(レンズ形成用凹部付き基板)6は、マイクロレンズ21の配列方式に対応する方式(転写された位置関係)で配列した、複数個の凹部(マイクロレンズ形成用凹部)61を備えている。そして、これらの凹部61は、マイクロレンズ21が凸部であるのに対し凹部である以外は、マイクロレンズ21に対応する形状(転写された形状である以外は実質的に同一の形状)、寸法を有している。
より詳しく説明すると、本実施形態において、凹部(マイクロレンズ形成用凹部)61は、凹部付き基板6を平面視した際の縦幅(鉛直方向の幅)が横幅(水平方向の幅)よりも小さい扁平形状(略楕円形、略俵形)を有している。凹部61がこのような形状を有することにより、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止しつつ、視野角特性を特に優れたものとすることができるマイクロレンズ基板1の製造に好適に用いることができる。
また、平面視したときの凹部61の短軸方向(縦方向)の長さをL[μm]、長軸方向(横方向)の長さをL[μm]としたとき、0.10≦L/L≦0.99の関係を満足するのが好ましく、0.50≦L/L≦0.95の関係を満足するのがより好ましく、0.60≦L/L≦0.80の関係を満足するのがさらに好ましい。上記のような関係を満足することにより、上述したような効果がさらに顕著なものとなる。
また、平面視したときの凹部61の短軸方向の長さは、10〜500μmであるのが好ましく、30〜300μmであるのがより好ましく、50〜100μmであるのがさらに好ましい。凹部61の短軸方向の長さが前記範囲内の値であると、製造されるマイクロレンズ基板1の視野角特性、およびマイクロレンズ基板1により投影される画像のコントラスト、輝度を特に優れたものとしつつ、投影される画像において十分な解像度を得ることができる。また、凹部61の短軸方向の長さが前記範囲内の値であると、製造されるマイクロレンズ基板1を用いた際に、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止することができるとともに、マイクロレンズ基板1(凹部付き基板6)の生産性をさらに高めることができる。
また、平面視したときの凹部61の長軸方向の長さは、15〜750μmであるのが好ましく、45〜450μmであるのがより好ましく、70〜150μmであるのがさらに好ましい。凹部61の長軸方向の長さが前記範囲内の値であると、製造されるマイクロレンズ基板1の視野角特性、およびマイクロレンズ基板1により投影される画像のコントラスト、輝度を特に優れたものとしつつ、投影される画像において十分な解像度を得ることができる。また、凹部61の長軸方向の長さが前記範囲内の値であると、製造されるマイクロレンズ基板1を用いた際に、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止することができるとともに、マイクロレンズ基板1(凹部付き基板6)の生産性をさらに高めることができる。
また、凹部61の曲率半径は、7.5〜375μmであるのが好ましく、22.5〜225μmであるのがより好ましく、35〜75μmであるのがさらに好ましい。凹部61の曲率半径が前記範囲内の値であると、製造されるマイクロレンズ基板1の視野角特性を特に優れたものとすることができる。特に、水平方向および鉛直方向の視野角特性をともに優れたものとすることができる。なお、凹部61は、短軸方向についての曲率半径と、長軸方向の曲率半径が異なるものであってもよいが、このような場合、長軸方向の曲率半径が上記の範囲内の値であるのが好ましい。
また、凹部61の深さは、7.5〜375μmであるのが好ましく、22.5〜225μmであるのがより好ましく、35〜75μmであるのがさらに好ましい。凹部61の深さが前記範囲内の値であると、製造されるマイクロレンズ基板1の視野角特性を、特に優れたものとすることができる。
また、これら複数個の凹部61は、千鳥状(千鳥格子状)に配列している。このように凹部61が配列することにより、製造されるマイクロレンズ基板1を用いた際に、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止することができる。これに対し、例えば、凹部が正方格子状等に配列したものであると、凹部(マイクロレンズ)の大きさ等によっては、モアレ等の不都合の発生を十分に防止することが困難となる。また、凹部をランダムに配した場合、凹部(マイクロレンズ)の大きさ等によっては、凹部が形成されている有効領域における凹部の占有率を十分に高めるのが困難となり、マイクロレンズ基板の光の透過率(光の利用効率)を十分に高めるのが困難となり、得られる画像が暗いものとなる可能性がある。
また、上記のように、凹部61は、凹部付き基板6を平面視したときに、千鳥格子状に配列しているが、複数の凹部61で構成される第1の行と、それに隣接する第2の行とが、横方向に半ピッチ分だけずれているのが好ましい。これにより、光の干渉によるモアレの発生等をより効果的に防止するとともに、かつ、視野角特性を特に優れたものとすることができる。
なお、上記の説明では、凹部61が、マイクロレンズ基板1を構成するマイクロレンズ21と、実質的に同一の形状(寸法)、配列方式を有しているものとして説明したが、例えば、マイクロレンズ基板1の基板本体2の構成材料が収縮し易いものである場合(基板本体2を構成する樹脂材料が固化等により収縮する場合)、その収縮率等を考慮し、マイクロレンズ基板1を構成するマイクロレンズ21と、凹部付き基板(マイクロレンズ形成用凹部付き基板)6を構成する凹部61とについて、これらの間で、形状(寸法)、占有率等が異なるようにしてもよい。
また、凹部付き基板6は、前述した凹部61が設けられている側の面に、図4、図5に示すように、前述したような凹部61が形成されていない、面積が1000μm以上の平坦部62を複数有している。この複数の平坦部62は、後述するような基板7の平坦面に由来する部位で、略等しい高さに設けられている。
特に、本発明では、面積が1000μm以上の平坦部が、凹部が設けられている有効領域に、所定の割合で存在する点に特徴を有している。すなわち、凹部が設けられている有効領域における複数の平坦部の占める割合が2〜5%である点に特徴を有している。凹部付き基板がこのような平坦部を有することにより、後述するような2P法によってレンズ基板を製造する場合において、凹部付き基板とシート材とで樹脂材料を挟持した際に、シート材が凹部付き基板の平坦部で止まり、厚さが規制される。その結果、不本意な厚さのばらつきが抑制され、光学特性に優れたレンズ基板を得ることができる。また、得られるレンズ基板は、厚さのばらつきが抑制されているので、レンズの焦点位置のズレがなく、例えば、後述するような方法によりブラックマトリックスを形成した場合、ブラックマトリックスの開口ムラ等を防止することができ、レンズ基板を用いて得られる画像のコントラストをより優れたものとするとともに、光の利用効率、視野角特性をさらに向上させることができる。
これに対して、このような平坦部がないと、得られるレンズ基板の厚さにばらつきが生じてしまう。すなわち、平坦部がない場合、凹部付き基板とシート材とで樹脂材料を挟持した際に、シート材は、凹部付き基板の凹部の縁部で止まるが、凹部の縁部の高さを均一なものとするのは困難であるため、シート材がたわみ、得られるレンズ基板の厚さにばらつきが生じてしまう。
このように本発明では、凹部が設けられている有効領域における複数の平坦部の占める割合が2〜5%であるが、3〜5%であるのが好ましく、4〜5%であるのがより好ましい。これにより、本発明の効果がより顕著なものとすることができる。これに対して、平坦部の占める割合が前記下限値未満であると、得られるレンズ基板の厚さのばらつきを十分に抑制するのが困難である。一方、平坦部の占める割合が前記上限値を超えると、最終的に得られるレンズ基板を用いて表示される画像にムラ等が生じる可能性がある。
また、本発明では、1つの平坦部の面積が、1000μm以上であるが、1300〜5000μmであるのが好ましく、1500〜4000μmであるのがより好ましい。これにより、本発明の効果がより顕著なものとなる。また、1つの平坦部の面積が前記下限値未満であると、凹部付き基板とシート材とで樹脂材料を挟持した際に、平坦部においてシート材を止めることができない。また、シート材を傷つける可能性がある。
また、1つの平坦部62の面積をS[μm]、凹部61(平坦部62に隣接していない凹部61)を平面視した際の面積をS[μm]としたとき、0.2≦S/S≦1の関係を満足するのが好ましく、0.3≦S/S≦0.7の関係を満足するのがより好ましい。このような関係を満足することにより、後述するシート材28のたわみをより効果的に防止することができ、均一な厚みを有するマイクロレンズ基板1を得ることができる。
次に、前述した凹部付き基板の製造方法について、図6を参照しながら説明する。なお、実際には基板上に多数のマイクロレンズ形成用凹部を形成するが、ここでは、説明をわかりやすくするために、その一部分を強調して示した。
まず、凹部付き基板6を製造するに際し、基板7を用意する。
この基板7は、厚さが均一で、たわみや傷のないものが好適に用いられる。また、基板7は、洗浄等により、その表面が清浄化されているものが好ましい。
<A1>用意した基板7の表面に、多数個の初期孔(開口部)81を有するマスク8を形成するとともに、基板7の裏面(マスク8が形成される面と反対側の面)に裏面保護膜89を形成する(マスキング工程、図6(a)、図6(b)参照)。
特に、本実施形態では、まず、図6(a)に示すように、用意した基板7の裏面に裏面保護膜89を形成するとともに、基板7の表面にマスク形成用膜9を形成し(マスク形成用膜形成工程)、その後、図6(b)に示すように、マスク形成用膜9に初期孔81を所定のパターンで形成すること(初期孔形成工程)によりマスク8を得る。なお、マスク形成用膜9および裏面保護膜89は同時に形成することもできる。
マスク形成用膜9は、レーザ光の照射等により、後述する初期孔81を形成することができるとともに、後述するエッチング工程におけるエッチングに対する耐性を有するものが好ましい。換言すれば、マスク形成用膜9(マスク8)は、エッチングレートが、基板7と略等しいか、または、基板7に比べて小さくなるように構成されるのが好ましい。
かかる観点からは、マスク形成用膜9(マスク8)を構成する材料としては、例えばCr、Au、Ni、Ti、Pt等の金属やこれらから選択される2種以上を含む合金、前記金属の酸化物(金属酸化物)、シリコン、樹脂等が挙げられる。
また、マスク形成用膜9(マスク8)は、例えば、実質的に均一な組成を有するものであってもよいし、異なる複数の層を有する積層体等であってもよい。
上記のように、マスク形成用膜9(マスク8)の構成は、特に限定されるものではないが、主としてクロムで構成される層と、主として酸化クロムで構成される層とを有する積層体であるのが好ましい。このような構成のマスク形成用膜9は、後述するようなレーザ光の照射等により、所望の形状の開口部を容易かつ確実に形成することができるものであり、また、このような構成のマスク形成用膜9を用いて得られるマスク8は、様々な組成のエッチング液に対して優れた安定性を有している(後述するエッチング工程において基板7をより確実に保護することができる)。また、基板7がガラスで構成されたものであり、かつマスク形成用膜9(マスク8)が上記のような構成のものであると、例えば、後述するエッチング工程において、エッチング液として一水素二フッ化アンモニウムを含む液体を好適に用いることができる。一水素二フッ化アンモニウムは毒劇物ではないため、作業中の人体や環境への影響をより確実に防止することができる。また、上記のような構成のマスク形成用膜9(マスク8)は、マスクの内部応力を効率良く緩和することができ、基板7との密着性(特に、エッチング工程における密着性)に特に優れている。このようなことから、上記のような構成のマスク形成用膜9(マスク8)を用いることにより、所望の形状の凹部61を容易かつ確実に形成することができる。
マスク形成用膜9の形成方法は特に限定されないが、マスク形成用膜9(マスク8)をクロム(Cr)、金(Au)等の金属材料(合金を含む)や金属酸化物(例えば酸化クロム)、またはこれらの複合材料(例えば、金属材料で構成された金属層と、金属酸化物で構成された金属酸化物層とを有する積層体等)で構成されたものとする場合、マスク形成用膜9は、例えば、蒸着法やスパッタリング法等により、好適に形成することができる。また、マスク形成用膜9(マスク8)をシリコンで構成されたものとする場合、マスク形成用膜9は、例えば、スパッタリング法やCVD法等により、好適に形成することができる。
マスク形成用膜9(マスク8)の厚さは、マスク形成用膜9(マスク8)を構成する材料によっても異なるが、0.01〜2.0μm程度が好ましく、0.01〜0.3μm程度がより好ましい。厚さが前記下限値未満であると、マスク形成用膜9の構成材料等によっては、後述する初期孔形成工程(開口部形成工程)において形成される初期孔81の形状が歪んでしまう可能性がある。また、後述するエッチング工程でウェットエッチングを施す際に、基板7のマスクした部分を十分に保護できない可能性がある。一方、上限値を超えると、マスク形成用膜9の構成材料等によっては、後述する初期孔形成工程において、貫通する初期孔81を形成するのが困難になるほか、マスク形成用膜9(マスク8)の内部応力によりマスク形成用膜9(マスク8)が剥がれ易くなる場合がある。
裏面保護膜89は、次工程以降で基板7の裏面を保護するためのものである。この裏面保護膜89により、基板7の裏面の侵食、劣化等が好適に防止される。この裏面保護膜89は、例えば、マスク形成用膜9(マスク8)と同様の構成を有している。このため、裏面保護膜89は、マスク形成用膜9の形成と同時に、マスク形成用膜9と同様に設けることができる。
次に、図6(b)に示すように、マスク形成用膜9に、複数個の初期孔(開口部)81を所定の間隔(パターン)で形成し、マスク8を得る(初期孔形成工程)。本工程で形成される初期孔81は、後述するエッチングの際のマスク開口として機能するものである。なお、初期孔81を形成する際に、図6(b)に示すように、初期孔81が所定の間隔で形成されていない領域82を形成する。これにより、後述するエッチング工程において、当該部分に平坦部62が形成される。
初期孔81の形成方法は、特に限定されないが、レーザ光の照射による方法であるのが好ましい。これにより、所望のパターンに配列した所望の形状の初期孔81を容易かつ精確に形成することができる。その結果、凹部61の形状、配列方式等をより確実に制御することができる。また、初期孔81をレーザの照射により形成することにより、凹部付き部材を生産性良く製造することができる。特に、大面積の基板にも簡単に凹部を形成することができる。また、レーザ光の照射でマスク形成用膜9に初期孔81を形成することで、従来のようなフォトリソグラフィ法によってレジスト膜に開口部を形成する場合に比べて、簡単かつ安価に開口部(初期孔81)を形成することができる。
また、レーザ光の照射により初期孔81を形成する場合、使用するレーザ光の種類は、特に限定されないが、ルビーレーザ、半導体レーザ、YAGレーザ、フェムト秒レーザ、ガラスレーザ、YVOレーザ、Ne−Heレーザ、Arレーザ、COレーザ、エキシマレーザ等が挙げられる。また、各レーザのSHG、THG、FHG等の波長を使っても良い。
本工程で形成する初期孔81は、その形状、大きさは特に限定されないが、略円形で、その直径が、0.5〜30μmであるのが好ましく、1.0〜10μmであるのがより好ましく、1.5〜5μmであるのがさらに好ましい。初期孔81の直径が前記範囲内の値であると、後述するエッチング工程において、前述したような形状の凹部61を確実に形成することができる。ただし、初期孔81が、略楕円形のように扁平形状のものである場合、短軸方向の長さを、直径の値として代用することができる。すなわち、本工程で形成する初期孔81が扁平形状のものである場合、初期孔81の幅(短軸方向の長さ)は、特に限定されないが、0.8〜30μmであるのが好ましく、1.0〜10μmであるのがより好ましく、1.5〜5μmであるのがさらに好ましい。初期孔81の幅が前記範囲内の値であると、後述するエッチング工程において、前述したような形状の凹部61を確実に形成することができる。
また、本工程で形成する初期孔81が扁平形状のものである場合、初期孔81の長さ(長軸方向の長さ)は、0.5〜30μmであるのが好ましく、1.0〜15μmであるのがより好ましく、1.5〜10μmであるのがさらに好ましい。初期孔81の長さが前記範囲内の値であると、後述するエッチング工程において、前述したような形状の凹部61をより確実に形成することができる。
<A2>次に、図6(c)に示すように、初期孔81が形成されたマスク8を用いて基板7にエッチングを施し、基板7上に多数の凹部61を形成するとともに、多数の平坦部62を形成する(エッチング工程)。
エッチングの方法は、特に限定されず、例えば、ウェットエッチング、ドライエッチング等が挙げられる。以下の説明では、ウェットエッチングを用いる場合を例に挙げて説明する。
初期孔81が形成されたマスク8で被覆された基板7に対して、エッチング(ウェットエッチング)を施すことにより、図6(c)に示すように、基板7は、マスク8が存在しない部分(マスク8の初期孔81に対応する部位)より食刻され、基板7上に多数の凹部61が形成される。それとともに、初期孔81が所定の間隔で形成されていない領域82に該当する部位に、平坦部62が形成される。
また、上述したように、マスク8に形成された初期孔81が千鳥状(千鳥格子状)の配置であるため、形成される凹部61は、基板7の表面に千鳥状(千鳥格子状)に配置されたものとなる。
また、ウェットエッチング法を用いると、凹部61を好適に形成できる。そして、エッチング液として、例えば、一水素二フッ化アンモニウムを含むエッチング液を用いると、基板7をより選択的に食刻することができ、凹部61を好適に形成することができる。
マスク8(マスク形成用膜9)が主としてクロム、酸化クロムで構成されたものである場合、フッ酸系エッチング液としては、一水素二フッ化アンモニウムを含む液体が特に好適である。一水素二フッ化アンモニウム溶液は毒劇物ではないため、作業中の人体や環境への影響を防止することができる。また、エッチング液として、一水素二フッ化アンモニウムを用いる場合、該エッチング液中には、例えば、過酸化水素および/または硫酸が含まれていてもよい。これにより、エッチングスピートをより速くすることができる。
また、ウェットエッチングによれば、ドライエッチングに比べて簡単な装置で処理を行うことができ、さらに、一度に多くの基板に対して処理を行うことができる。これにより生産性が向上し、安価に凹部付き基板6を提供することができる。
また、ウェットエッチングによれば、ドライエッチングに比べて簡単な装置で処理を行うことができ、さらに、一度に多くの基板に対して処理を行うことができる。これにより生産性が向上し、安価に凹部付き基板6を提供することができる。
<A3>次に、図6(d)に示すように、マスク8を除去する(マスク除去工程)。また、この際、マスク8の除去とともに、裏面保護膜89も除去する。
マスク8が、前述したような主としてクロムで構成される層と、主として酸化クロムで構成される層とを有する積層体である場合、マスク8の除去は、例えば、硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸とを含む混合物を用いたエッチングにより好適に行うことができる。
以上により、図6(d)、図4および図5に示すように、基板7上に多数の凹部61が千鳥状に形成され、複数の平坦部62を有する凹部付き基板6が得られる。
基板7上に千鳥状に配された複数個の凹部61を形成する方法は、特に限定されるものではないが、上述したような方法(レーザ光の照射によりマスク形成用膜9に初期孔81を形成してマスク8を得、その後、そのマスク8を用いてエッチングを行うことにより、基板7上に凹部61を形成する方法)により形成した場合、以下のような効果が得られる。
すなわち、レーザ光の照射によりマスク形成用膜9に初期孔81を形成することで、従来のようなフォトリソグラフィ法によって開口部を形成する場合に比べて簡単かつ安価に、所定パターンで開口部(初期孔81)を有するマスクを得ることができる。これにより生産性が向上し、安価に凹部付き基板6を提供することができる。
また、上述したような方法によれば、大型の基板に対する処理も容易に行うことができる。大型の基板(凹部付き部材、レンズ基板)を製造する場合に、従来のように複数の基板を貼り合わせる必要がなくなり、貼り合わせの継ぎ目をなくすことができる。これにより高品質で大型の基板(凹部付き基板、レンズ基板)を簡便な方法で安価に製造することができる。
また、初期孔81の形成をレーザの照射により行う場合、形成される初期孔81の形状、大きさ、配列等を、容易かつ確実に管理することができる。
なお、凹部付き基板6に対しては、例えば、離型処理を施してもよい。離型処理としては、例えば、アルキルポリシロキサン等のシリコーン系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂等の離型性を有する物質で構成される被膜の形成、ヘキサメチルジシラザン([(CHSi]NH)等のシリル化剤による表面処理、フッ素系ガスによる表面処理等が挙げられる。
次に、上述した凹部付き基板6を用いて、マイクロレンズ基板1を製造する方法について説明する。
図7、図8および図9は、図1に示すマイクロレンズ基板の製造方法の一例を示す模式的な縦断面図である。なお、以下の説明では、図7、図8および図9中の下側を「(光の)入射側」、上側を「(光の)出射側」と言う。
<B1>まず、図7(a)に示すように、凹部付き基板6の凹部61が形成された側の面に、流動性を有する状態の樹脂材料23を付与する。
<B2>次に、その上に、シート材28を載せ、このシート材28を介して、樹脂材料23を定盤90で押圧する(図7(b)、図7(c)参照)。すなわち、シート材28と凹部付き基板6とで、樹脂材料23を挟持し、凹部61内に樹脂材料23を充填する。なお、定盤とは、表面の平面度が高く、硬質な板状の部材のことをいう。
押圧は、シート材28が、平坦部62と接するまで行う。平坦部62は、前述したように均一な高さに設けられているので、シート材28がたわむのを防止することができ、最終的に得られるマイクロレンズ基板1の厚さを均一なものとすることができる。
特に、本実施形態では、図7(b)に示すように、シート材28を定盤90に載置(密着)させた状態で、シート材28と凹部付き基板6とで、樹脂材料23を挟持する。定盤90の表面は平坦性が非常に高いので、シート材28と定盤90との間に空気等の気体が入りにくく、その結果、シート材が大気圧によって押され、シート材と定盤との密着性が高いものとなる。また、定盤90は、硬質なので、外圧等による変形がなく、表面の平坦性が保たれている。したがって、平坦部62にシート材28が接した際に、定盤90は変形することなく、シート材28を支えるため、シート材がたわむのをより効果的に防止することができ、得られるレンズ基板(基板本体)の不本意な厚さのばらつきをより効果的に防止することができる。
定盤90を構成する材料としては、硬質で、定盤90表面に平坦性を付与できるものであれば、特に限定されず、例えば、ガラス材、石材等が挙げられる。
ガラス材としては、例えば、ソーダガラス、結晶性ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス等が挙げられる。これらガラス材料は、形状の安定性に優れているため、定盤90を構成する材料として好適に用いることができる。また、マイクロレンズ基板1の製造方法において、樹脂材料23として紫外線硬化樹脂を用い、該樹脂材料23に紫外線等を照射して固化させる場合、定盤90側からも紫外線等を照射することが可能となる。
石材としては、特に限定されないが、ベルファストブラック、ラステンバーグ、クルヌールおよびインディアンブラックのいずれかであるのが好ましい。このような石材は、その上面が高い平面度を有し、環境温度変化に対する安定性、振動に対する減衰性、経年変化(劣化)に対する安定性、薬液に対する耐食性等の各種の特性に優れている。これにより、上記の各特性をより優れたものとすることができる。
前記定盤90の硬度は、300以上であることが好ましく、500以上であることがより好ましい。定盤90の硬度を前記範囲とすることにより、たわみがなく、均一な厚みを有する基板本体2をより容易に得ることが可能となる。これに対し、定盤90の硬度が前記下限値未満であると、シート材28の平均厚さやシート材を構成する材料等によっては、たわみの発生を十分に防止することが困難となり、その結果、基板本体2の厚みが不均一となり、マイクロレンズ21の焦点位置のずれや、色ムラ等の不都合が発生する可能性がある。
前記定盤90の表面粗さRaは、0.5μm以下であることが好ましく、0.3μm以下であることがより好ましい。これにより、シート材28のたわみ等の発生をより効果的に防止することができる。これに対し、定盤90の表面粗さRaが前記上限値を超えると、シート材28の平均厚さやシート材を構成する材料等によっては、定盤90の微細な凹凸等による基板本体2表面への影響を無視できなくなる場合がある。
シート材28の平均厚さは、30〜200μmであることが好ましく、30〜100μmであることがより好ましい。このように、比較的薄いシート材28を用いた場合であっても、シート材28の表面におけるうねり等を十分に防止することができる。また、このように、比較的薄いシート材を用いることにより、レンズ基板の薄型化を図ることができ、特に優れた光学特性(例えば、視野角特性等)を有するレンズ基板を提供することができる。
なお、定盤90にシート材28を載置する際に、シート材28に張力をかけてもよい。これにより、シート材28がたわむのをより確実に防止することができ、その結果、基板本体2の厚さをより均一なものとすることができる。
前記張力は、1〜30kg/cmであることが好ましく、5〜10kg/cmであることがより好ましい。これにより、シート材28の破断等を効果的に防止しつつ、シート材28がたわむのをより効果的に防止することができる。その結果、基板本体2の厚さをさらに均一なものとすることができる。
<B3>次に、図8(d)に示すように、樹脂材料23を固化(ただし、硬化(重合)を含む)させ、樹脂層29を形成する。
樹脂材料23の固化を硬化(重合)により行う場合、その方法としては、例えば、紫外線等の光の照射、電子線の照射、加熱等の方法が挙げられる。
これにより、凹部61に充填された樹脂材料で構成され、凸レンズとして機能するマイクロレンズ21(特に、上述したような形状、配列等の条件を満足するマイクロレンズ21)を備えた基板本体2が得られる。
樹脂材料23として紫外線硬化樹脂を用い、該樹脂材料23に紫外線等を照射して固化させる場合、その照射方法としては特に限定されるものではない。例えば、図8(d)に示すように、定盤90にガラス材等、光透過性の材料を用いた場合、該定盤90が配された側から、樹脂材料23に紫外線を照射することができる。
<B4>次に、図8(e)に示すように、基板本体2を、凹部付き基板6および定盤90から取り外す。
また、凹部付き基板6を取り外すことにより、入射光Laを効率良く屈折させることができ、マイクロレンズ基板1の視野角特性を特に優れたものとすることができる。また、取り外された凹部付き基板6を、基板本体2(マイクロレンズ基板1)の製造に繰り返し使用することができ、製造コスト面や製造される基板本体2(マイクロレンズ基板1)の品質の安定性を高める上でも有利である。
以上のようにして得られる基板本体2は、たわみがなく均一な厚さを有するものとなる。その結果、マイクロレンズ21の焦点位置のズレがなく、マイクロレンズ基板1を用いて得られる画像のコントラストをより優れたものとするとともに、光の利用効率、視野角特性を優れたものとすることが可能となる。
<B5>次に、上記のようにして作製された基板本体2の出射側表面に、ブラックマトリックス(遮光層)3を形成する。
本実施形態では、遮光層の形成を、基板本体に遮光膜形成用材料を付与し、当該遮光膜形成用材料を露光する処理を用いて行う。遮光膜形成用材料としては、感光性を有する成分を含むものであればいかなるものであってもよいが、以下の説明では、主に、遮光膜形成用材料32として、ポジ型のフォトポリマー32を用いるものとして説明する。
まず、図9(f)に示すように、基板本体2の出射側表面に、遮光性を有するポジ型のフォトポリマー(遮光膜形成用材料)32を付与する(遮光膜形成用材料付与工程)。基板本体2表面へのフォトポリマー32の付与方法としては、例えば、ディップコート、ドクターブレード、スピンコート、刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、ロールコーター等の各種塗布法等を用いることができる。フォトポリマー32は、遮光性を有する樹脂で構成されたものであってもよいし、(遮光性の低い)樹脂材料に、遮光性の材料が分散または溶解したものであってもよい。フォトポリマー32の付与後、必要に応じて、例えば、プレベーク処理等の熱処理を施してもよい。
<B6>次に、図8(g)に示すように、基板本体2に、入射側表面に対して垂直方向の露光用光Lbを照射する。照射された露光用光Lbはマイクロレンズ21に入射することにより屈折し、集光する。そして、集光されることにより、光度(光束)の大きくなった光が照射された部位のフォトポリマー32が露光され、それ以外の部分のフォトポリマー32は露光されないか、または露光量が少なくなり、光度(光束)の大きくなった光が照射された部位のフォトポリマー32のみが感光する。特に、凹部付き基板6の平坦部62に対応する部位では、マイクロレンズが形成されないため、集光せずに、フォトポリマー32は、感光されず、開口部が形成されない。その結果、この部位を入射した光は外部に出ることなく、得られる画像に輝点が発生するのを効果的に防止することができる。
その後、現像を行う。ここで、このフォトポリマー32はポジ型のフォトポリマーであるので、感光した焦点f近傍のフォトポリマー32が現像により溶解、除去される。その結果、図9(h)に示すように、マイクロレンズ21の光軸Lに対応する部分に開口部31が形成されたブラックマトリックス3が形成される。現像の方法は、フォトポリマー32の組成等により異なるが、例えば、KOH水溶液等のアルカリ性溶液を用いて行うことができる。
このように、フォトポリマーにマイクロレンズによって集光させた露光用光を照射しブラックマトリックスを形成することにより、例えばフォトリソグラフィ技術を使用するのに比べて、簡易な工程でブラックマトリックスを形成することができる。
特に、本発明では、基板本体が上述したような方法で作製されているので、均一な厚みを有するものであるため、マイクロレンズ21によって集光させた露光用光を照射してブラックマトリックスを形成する際に、焦点位置がずれることがなくなり、開口部面積のばらつき等の形成不良をなくすことができる。その結果、マイクロレンズ基板1を用いて得られる画像のコントラストをより優れたものとするとともに、光の利用効率、視野角特性をさらに向上させることができる。
なお、現像後、必要に応じて、例えば、ポストベーク処理等の熱処理を施してもよい。
また、上記の説明では、(<B5>、<B6>において、)遮光膜形成用材料として、ポジ型のフォトポリマーを用いて遮光層(ブラックマトリックス3)を形成するものとして説明したが、フォトポリマー以外の材料を用いてもよい。例えば、遮光膜形成用材料としては、銀塩感光材料等の反転現像材料を用いてもよい。銀塩感光材料(反転現像材料)を用いた場合、上記のような露光後、一旦、露光部分のみが脱塩されるような処理を施し、その後さらに、全面露光し現像する方法を用いることにより、最初の露光部分を光透過性の非遮光部とし、それ以外の部位を遮光部(遮光領域)とすることができる。
また、上記のような遮光膜形成用材料の付与、露光の一連の処理を、繰り返し行ってもよい。これにより、遮光層(ブラックマトリックス)をより厚いものとして形成することができ、コントラストの更なる向上を図ることができる。
また、上記の説明では、基板本体2の表面(光の出射面側の表面)に、直接、遮光膜形成用材料を付与するものとして説明したが、遮光膜形成用材料は、基板本体2の表面に直接付与されるものでなくてもよい。例えば、基板本体2の表面(光の出射面側の表面)に、露光後に、十分な遮光性を発揮しない感光性材料の付与、現像等の一連の処理を行った後に、上記のような遮光膜形成用材料を用いた処理を行ってもよい。これにより、遮光層(ブラックマトリックス)をより厚いものとして形成することができ、コントラストの更なる向上を図ることができる。
<B7>次に、基板本体2のブラックマトリックス3が設けられた面側に、拡散部4を形成し、マイクロレンズ基板1を得る(図9(i)参照)。
拡散部4は、例えば、予め、板状に成形された拡散板を接合したり、拡散材を含み、流動性を有する拡散部形成用材料を付与した後に、当該材料を固化させること等により形成することができる。
拡散部形成用材料の付与方法としては、例えば、ドクターブレード、スピンコート、刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、ロールコーター等の各種塗布法や、基板本体2を拡散部形成用材料中に浸漬するディッピング等の方法が挙げられる。
以下、前記透過型スクリーンを用いたリア型プロジェクタについて説明する。
図10は、本発明のリア型プロジェクタの構成を模式的に示す図である。
同図に示すように、リア型プロジェクタ300は、投写光学ユニット310と、導光ミラー320と、透過型スクリーン10とが筐体340に配置された構成を有している。
そして、このリア型プロジェクタ300は、上記のような透過型スクリーン10を備えているので、コントラストに優れた画像を得ることができる。さらに、本実施形態では、上記のような構成を有しているので、視野角特性、光利用効率等も特に優れたものとなる。
特に、前述したマイクロレンズ基板1では、基板本体2が、たわみがなく均一な厚さを有しているので、マイクロレンズ21の焦点位置のズレがない。これによりリア型プロジェクタ300では、得られる画像のコントラストがより優れたものとなるとともに、光の利用効率、視野角特性がさらに向上したものとなる。
また、前述したマイクロレンズ基板1では、楕円形状のマイクロレンズ21が千鳥状(千鳥格子状)に配されているので、リア型プロジェクタ300では、モアレ等の問題が特に発生し難い。
以上、本発明のレンズ基板の製造方法、レンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタについて、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、レンズ基板(マイクロレンズ基板)、透過型スクリーン、リア型プロジェクタを構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。
また、前述した実施形態では、定盤を用いて樹脂材料を押圧するものとして説明したが、定盤でなくてもよい。
また、前述した実施形態では、レンズ基板がマイクロレンズを備えるマイクロレンズ基板であるものとして説明したが、本発明において、レンズ基板は、例えば、レンチキュラレンズ基板等であってもよい。
また、前述した実施形態では、レンズ基板が、層状の拡散部を有するものとして説明したが、拡散部の形状はこれに限定されるものではない。例えば、拡散部は、ブラックマトリックスの開口部に対応する部位に凸状にもうけらたものであってもよい。このような場合であっても、前述したような効果が得られる。また、このような拡散部を形成することにより、ブラックマトリックスの開口部以外の部位での外光の反射をより効果的に防止することができるため、得られる画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。また、レンズ基板は、前述したような拡散部を備えていなくてもよい。
また、前述した実施形態では、透過型スクリーンが、レンズ基板とフレネルレンズとを備えるものとして説明したが、本発明の透過型スクリーンは、必ずしも、フレネルレンズを備えたものでなくてもよい。例えば、本発明の透過型スクリーンは、実質的に、本発明のレンズ基板のみで構成されたものであってもよいし、凹部付き基板のみで構成されたものであってもよい。
また、本発明における平坦部の形状は、前述した実施形態で示した形状に限定されない。平坦部62の形状は、例えば、図11に示すように直線状に形成されたものであってもよい。
また、前述した実施形態では、レンズ基板は、透過型スクリーン、リア型プロジェクタを構成する部材であるものとして説明したが、本発明のレンズ基板の用途は、前記のようなものに限定されず、いかなるものであってもよい。例えば、本発明のレンズ基板は、拡散板、ブラックマトリックススクリーン、投射型表示装置(フロントプロジェクタ)のスクリーン(フロントプロジェクションスクリーン)、投射型表示装置(フロントプロジェクタ)の液晶ライトバルブの構成部材等に適用されるものであってもよい。
[マイクロレンズ基板および透過型スクリーンの作製]
(実施例1)
以下のように、マイクロレンズ形成用の凹部を備えた凹部付き基板を製造した。
まず、基板として、横1.2m×縦0.7m角、厚さ4.8mmのソーダガラス基板(絶対屈折率n:1.50)を用意した。
このソーダガラス基板を、4wt%の一水素二フッ化アンモニウムと、8wt%の過酸化水素とを含む洗浄液に浸漬して6μmエッチングを行い、その表面を清浄化した。
その後、純水洗浄およびNガスを用いた乾燥(純水の除去)を行った。
次に、このソーダガラス基板上に、スパッタリング法にて、Cr/酸化Crの積層体(Crの外表面側に酸化Crが積層された積層体)を形成した。すなわち、ソーダガラス基板の表面に、Cr/酸化Crの積層体で構成されたのマスク形成用膜および裏面保護膜を形成した。Cr層の厚さは0.03μm、酸化Cr層の厚さは0.01μmであった。
次に、マスク形成用膜に対してレーザ加工を行い、マスクの中央部113cm×65cmの範囲に多数の初期孔を開け、マスクを形成した。なお、この際、平坦部を形成するために、所定間隔で初期孔を形成しない領域を設けた。
なお、レーザ加工は、YAGレーザを用いて、エネルギー強度1mW、ビーム径3μm、走査速度0.1m/秒という条件で行った。
これにより、マスクの上記範囲全面に亘って、所定の長さを有する初期孔が、千鳥状に配されたパターンで形成された。初期孔の平均幅は2μmであり、平均長さは2μmであった。
次に、ソーダガラス基板にウェットエッチングを施し、ソーダガラス基板上に多数の平面視したときの形状が扁平形状(略楕円形状)の凹部(マイクロレンズ形成用凹部)および平坦部を形成した。形成された多数の凹部は、互いにほぼ同一の形状を有していた。形成された凹部の短軸方向の長さ(ピッチ)は54μm、長軸方向の長さは82μm、曲率半径は38μm、深さは37μmであった。また、凹部(平坦部に隣接していない凹部)を平面視した際の面積Sは、3888μmであった。また、凹部が形成されている有効領域における凹部の占有率は97%であった。また、平坦部は、図5に示すような形状で、凹部が形成されている有効領域に均一に形成されていた。また、平坦部1つの面積Sは、2498μmであった。また、凹部が形成されている有効領域における複数の平坦部の占める割合は、3%であった。
なお、ウェットエッチングは、エッチング液として、4wt%の一水素二フッ化アンモニウムと、8wt%の過酸化水素とを含む水溶液を用い、浸漬時間は2.0時間とした。
次に、硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸との混合物を用いてエッチングすることにより、マスクおよび裏面保護膜を除去した。
次に、純水洗浄およびNガスを用いた乾燥(純水の除去)を行った。
その後、基板の凹部が形成されている面側に、ヘキサメチルジシラザンによる気相表面処理(シリル化処理)を行い、離型処理を施した。
これにより、図4、図5に示すような、ソーダガラス基板上に、マイクロレンズ形成用の多数の凹部が千鳥状に配列された凹部付き基板(離型シートが貼着された状態の凹部付き基板)を得た。
次に、得られた凹部付き基板の凹部が形成されている側の面を上方に向けて平坦な面上に置き、凹部が形成されている側の面に、未重合(未硬化)のアクリル系樹脂(PMMA樹脂(メタクリル樹脂))を付与した。
一方、石英ガラスで構成された定盤上に、厚さ75μmのPETフィルムを載置した。この定盤の硬度は800であり、表面粗さRaは0.05μmであった。なお、PETフィルムには、5kg/cmの張力をかけて、定盤上に載置した。
次に、定盤に載置された状態のPETフィルムで、前記アクリル系樹脂を、PETフィルムが平坦部と接するまで押圧し、凹部内にアクリル系樹脂を充填した。
その後、定盤側から、紫外線を照射することにより、アクリル系樹脂を硬化させた。
次に、凹部付き基板および定盤を取り除き、基板本体を得た。
得られた基板本体(硬化後の樹脂)の屈折率nは、1.51であった。また、得られた基板本体の樹脂層(マイクロレンズを除く部分)の厚さは78μmであった。また、扁平形状(略楕円形状)のマイクロレンズは、その短軸方向の長さ(直径)が54μm、長軸方向の長さが82μm、曲率半径が37.5μm、高さが37μmであった。また、マイクロレンズが形成されている有効領域におけるマイクロレンズの占有率は97%であった。また、基板本体の厚みばらつき標準偏差は、0.5μmであった。
次に、基板本体の出射側(マイクロレンズが形成されている面とは反対側の面)表面に、遮光性材料(カーボンブラック)が添加されたポジ型のフォトポリマー(PC405G:JSR株式会社製)を、ロールコーターにより付与した。フォトポリマー中における遮光性材料の含有量は、20wt%であった。
次に、マイクロレンズが形成されている側の面から、60mJ/cmの平行光としての紫外線を照射した。
その結果、照射した紫外線は、各マイクロレンズで集光され、集光された紫外線が照射された部位のフォトポリマーを選択的に露光した。
その後、0.5wt%のKOH水溶液を用いて、40秒の現像処理を施した。
その後、純水洗浄およびNガスを用いた乾燥(純水の除去)を行った。これにより、各マイクロレンズに対応した開口部を有するブラックマトリックスが形成された。開口部は、略円形であり、その直径は30μmであった。また、形成された開口部の直径の標準偏差は、1.03μmであった。また、形成されたブラックマトリックスの厚さは1.5μmであった。また、形成されたブラックマトリックスは、その開口部が、光の出射側に向かって断面積が大きくなるようなテーパ状をなすものであった。また、平面視したときの開口部のブラックマトリックスに対する面積率(開口率)は、13%であった。
次に、基板本体のブラックマトリックスが形成された面側に、拡散部を形成し、マイクロレンズ基板を得た。拡散部の形成は、アクリル系樹脂中に、拡散材(平均粒径8μmのシリカ粒子)が分散した構成の拡散板を熱融着により接合することにより行った。なお、拡散部の厚さは、2.0mmであった。
以上のようにして製造されたマイクロレンズ基板と、押出成形により作製したフレネルレンズ部とを組み立てることにより、図3に示すような透過型スクリーンを得た。
(実施例2〜3)
凹部付き基板の製造において、初期孔のパターンを変更することで、凹部が形成されている有効領域における複数の平坦部の占める割合、および、1つの平坦部の面積を表1に変更した以外は、前記実施例1と同様にしてマイクロレンズ基板、透過型スクリーンを製造した。
(実施例4)
定盤として、ソーダガラスで構成された表面粗さRa:0.1μm、強度:200のものを用いた以外は、前記実施例1と同様にして透過型スクリーンを製造した。
(比較例)
凹部付き基板の製造において、初期孔のパターンを変更することで、平坦部を設けなかった以外は、前記実施例1と同様にしてマイクロレンズ基板、透過型スクリーンを製造した。
各実施例および比較例について、凹部付き基板の凹部が形成されている有効領域における凹部および複数の平坦部の占める割合(占有率)、1つの平坦部の面積や、マイクロレンズ基板における基板本体の厚みばらつき標準偏差、ブラックマトリックスの開口部の直径の標準偏差等を表1にまとめて示す。
Figure 0004655910
[たわみの評価]
前記各実施例および比較例で得られた基板本体について、たわみの発生状況を以下の4段階の基準に従い評価した。
◎:たわみが全く認められない。
○:たわみがほとんど認められない。
△:たわみがわずかに認められる。
×:たわみが顕著に認められる。
[光の利用効率の評価]
前記各実施例および各比較例の透過型スクリーンについて、光の利用効率の評価を行った。
光の利用効率の評価は、A(=300)[cd/m]の白色光を入射させた際、透過型スクリーンの光の出射面側で測定される光の輝度B[cd/m]の比率(B/A)を求めることにより行った。B/Aの値が大きいほど、光の利用効率が優れているといえる。
[リア型プロジェクタの作製]
前記各実施例および各比較例の透過型スクリーンを用いて、図10に示すようなリア型プロジェクタを、それぞれ作製した。
[コントラストの評価]
前記各実施例および各比較例のリア型プロジェクタについて、コントラストの評価を行った。
コントラスト(CNT)として、暗室において413lxの全白光が入射した時の白表示の正面輝度(白輝度)LW[cd/m]と、明室において光源を全消灯した時の黒表示の正面輝度の増加量(黒輝度増加量)LB[cd/m]との比LW/LBを求めた。なお、黒輝度増加量は、暗室の黒表示の輝度に対する増加量をいう。また、明室での測定は、外光照度が約185lxの環境下で行った。暗室での測定は、外光照度が0.1lx以下の環境下で行った。
[視野角の測定]
前記各実施例および各比較例のリア型プロジェクタの透過型スクリーンにサンプル画像を表示させた状態で、鉛直方向および水平方向での視野角の測定を行った。
視野角の測定は、変角光度計(ゴニオフォトメータ)で、1度間隔で測定するという条件で行った。
[輝度ムラ(色ムラ)の評価]
前記各実施例のリア型プロジェクタの透過型スクリーンのY値(D65/2°視野)を面内20ポイント測定し、その透過率の最大値と最小値の差ΔT(Y)(%)を、輝度ムラ(色ムラ)と定義し、輝度ムラ(色ムラ)の発生状況を以下の4段階の基準に従い評価した。
◎:ΔT(Y)(%)3%未満。
○:ΔT(Y)(%)3%以上5%未満。
△:ΔT(Y)(%)5%以上10%未満。
×:ΔT(Y)(%)10%以上。
これらの結果を表2にまとめて示す。
Figure 0004655910
表2から明らかなように、本発明では、たわみがなく、厚さが均一なマイクロレンズ基板を得ることができた。また、本発明では、いずれも、光の利用効率に優れるとともに、優れたコントラストが得られ、また、視野角特性にも優れていた。また、本発明では、回折光、モアレ、色ムラのない優れた画像を表示することができた。すなわち、本発明では、優れた画像を安定的に表示することができた。これに対し、比較例では、マイクロレンズ基板にたわみが発生し、満足な結果が得られなかった。
本発明のレンズ基板の好適な実施形態を示す模式的な縦断面図である。 図1に示すレンズ基板の平面図である。 図1に示すレンズ基板を備えた、本発明の透過型スクリーンの好適な実施形態を示す模式的な縦断面図である。 本発明の凹部付き基板を示す模式的な縦断面図である。 図4に示す凹部付き基板の部分平面図である。 図4に示す凹部付き基板の製造方法を示す模式的な縦断面図である。 図1に示すレンズ基板の製造方法の一例を示す模式的な縦断面図である。 図1に示すレンズ基板の製造方法の一例を示す模式的な縦断面図である。 図1に示すレンズ基板の製造方法の一例を示す模式的な縦断面図である。 本発明の透過型スクリーンを適用したリア型プロジェクタを模式的に示す図である。 凹部付き基板の他の一例を示す部分平面図である。
符号の説明
1…マイクロレンズ基板(レンズ基板) 2…基板本体 21…マイクロレンズ(凸レンズ) 23…樹脂材料 25…第1の行 26…第2の行 28…シート材 29…樹脂層 3…ブラックマトリックス(遮光層) 31…開口部 32…フォトポリマー 4…拡散部 5…フレネルレンズ部 51…フレネルレンズ 6…凹部付き基板(マイクロレンズ形成用凹部付き基板) 61…凹部(マイクロレンズ形成用凹部) 62…平坦部 7…基板 8…マスク 81…初期孔(開口部) 82…領域 89…裏面保護膜 9…マスク形成用膜 90…定盤 10…透過型スクリーン 300…リア型プロジェクタ 310…投写光学ユニット 320…導光ミラー 340…筐体

Claims (8)

  1. 多数の凹部を有する凹部付き基板を用いて、前記凹部に対応する形状の多数の凸レンズとしてマイクロレンズを備えたマイクロレンズ基板を製造する方法であって、
    光を透過する材料で構成されたシート材と、前記凹部付き基板とで、流動性を有する樹脂材料を挟持し、前記凹部内に前記樹脂材料を充填する工程と、
    前記樹脂材料を固化させ、前記凹部付き基板を取り外す工程とを有し、
    前記凹部付き基板は、前記凹部が設けられている側の面に、前記凹部が設けられていない、面積が1000μm 〜5000μm の平坦部を複数有し、
    前記凹部が設けられている有効領域における、複数の前記平坦部の占める割合が、2〜5%であり、
    前記凹部内に前記樹脂材料を充填する前記工程において、平坦で、かつ、硬質な表面を有する定盤上に、前記シート材を載置した状態で、前記樹脂材料を挟持することを特徴とするマイクロレンズ基板の製造方法。
  2. 前記シート材の平均厚さが、30〜200μmである請求項1に記載のマイクロレンズ基板の製造方法。
  3. 前記定盤表面の表面粗さRaが、0.5μm以下である請求項1または2に記載のマイクロレンズ基板の製造方法。
  4. 前記定盤の硬度が、300以上である請求項1ないし3のいずれかに記載のマイクロレンズ基板の製造方法。
  5. 1つの前記平坦部の面積をS[μm]、前記凹部を平面視した際の面積をS[μm]としたとき、0.2≦S/S≦1の関係を満足する請求項1ないし4のいずれかに記載のマイクロレンズ基板の製造方法。
  6. 請求項1ないしのいずれかに記載の方法を用いて製造されたことを特徴とするマイクロレンズ基板。
  7. 光の出射側にフレネルレンズが形成されたフレネルレンズ部と、
    前記フレネルレンズ部の光の出射側に配置された請求項に記載のマイクロレンズ基板とを備えたことを特徴とする透過型スクリーン。
  8. 請求項に記載の透過型スクリーンを備えたことを特徴とするリア型プロジェクタ。
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