JP6045622B2 - ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの製造方法、偏光フィルム及び偏光板 - Google Patents
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Description
前記ポリビニルアルコール系樹脂の4重量%水溶液の粘度P(mPa・s)と、前記ポリビニル系樹脂フィルムの結晶長周期L(nm)とが、下記式(1)の関係を満たす、ポリビニルアルコール系樹脂フィルム。
〔2〕 〔1〕に記載のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを延伸および染色して得られる偏光フィルム。
なお、4重量%水溶液は、上記偏光フィルムを80℃90%RHの環境下に7日間保管した後に調整したものである。
前記偏光板から単離した前記偏光フィルムの4重量%水溶液の粘度P’(mPa・s)と、前記偏光板から単離した前記偏光フィルムの吸収軸方向の長周期L’(nm)とが、下記式(2)の関係を満たす、偏光板。
なお、偏光フィルムの4重量%水溶液は、偏光板から単離した偏光フィルムを80℃90%RHの環境下に7日間保管した後に調整したものである。
本発明に係るポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、偏光フィルムの製造に用いられるものであって、ポリビニルアルコール系樹脂を含有する溶液(以下、「原料液」ともいう)を用いて製膜して得られる。
〔a〕 原料液を用いて、例えば、溶融押出法、溶剤キャスト法などの公知の方法により、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを単層フィルムとして作製する方法。
〔b〕 基材フィルム上に原料液を塗工し乾燥させることによってポリビニルアルコール系樹脂フィルムを作製する方法。
4%重量水溶液の粘度Pの測定は、コーンプレート型の回転粘度計を用いて測定することができる。まず、初めにポリビニルアルコール系樹脂を24時間程度十分に真空乾燥して水分を除去した後、溶解後の重量%が4重量%になるように精密天秤で秤量する。その後、所定量の純水を加えて90℃以上に加熱して1時間以上十分に溶解させる。この時、水分が蒸発して固形分量が目標からずれないようにする必要がある。得られた溶液を室温に戻して安定化させた後、24時間程度静置して泡を抜く。泡があると粘度が正しく測定出来ないため、泡が抜けたことを確認してから、円錐形の平板回転粘度計(コーンプレート型)にて粘度Pを測定する。また、測定する水溶液の固形分測定を行い、4重量%からズレていないかを確認する必要があるが、あらかじめ乾燥させた容器に5mlほど水溶液を測りとり、水溶液の重量を測定後、105℃で2時間乾燥、冷却した後、のこった樹脂の重量を測定する。この残った樹脂の重量を採取した水溶液に含まれる固形分として計算し、これが4.0重量%になっていることを確認する。固形分量が目標よりもズレる場合には、固形分量の異なる複数の水溶液を用意し、横軸に固形分量、縦軸に粘度を対数プロットし、これの近似線(直線)から4.0重量%での粘度Pを読み取る方法が用いられる。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの作製に用いられるポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化したものを用いることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体が例示される。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有するアクリルアミド類等が挙げられる。
ケン化度(モル%)=100×(水酸基の数)÷(水酸基の数+酢酸基の数)
で定義される。ケン化度は、JIS K 6726(1994)に準拠して求めることができる。ケン化度が高いほど、水酸基の割合が高いことを示しており、従って結晶化を阻害する酢酸基の割合が低いことを示している。
本発明の偏光フィルムは、上述のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを用いて製造されたものであることが好ましい。上述のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを用いることにより、高い膜強度の偏光フィルムを得ることができる。
本発明の偏光フィルムは、上述のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを延伸及び染色して、上記式(2)の関係を満たす偏光フィルムを作製することができる。上記式(2)の関係を満たすことにより、高い膜強度の偏光フィルムを得ることができる。
(1)偏光板の層構成
図1は、本発明に係る偏光板の層構成の一例を示す概略断面図である。図1に示される偏光板1のように本発明の偏光板は、偏光フィルム5と、その一方の面上に積層される第1保護フィルム10とを備える片面保護フィルム付偏光板であることができる。第1保護フィルム10は、第1接着剤層15を介して偏光フィルム5上に積層することができる。
本発明に係る偏光板は、偏光フィルム5として、上述の本発明に係る偏光フィルムを含む。従って、偏光フィルム5の詳細については、上述の記載が引用される。なお、上述の通り、偏光板を構成する偏光フィルム5として上記式(2)の関係を満たす偏光フィルムが用いられることが好ましい。また、偏光板から単離した偏光フィルム5についても上記(2)の関係を満たすことが好ましい。この場合、粘度P’の測定に用いられる4重量%水溶液は、偏光板から剥離した偏光フィルムを80℃90%RHの環境下に7日間保管した後に調整したものである。なお、偏光板を構成する前の偏光フィルムの粘度P’及び吸収軸方向の長周期L’と、これを用いて偏光板を構成しその後偏光板から単離した偏光フィルムの粘度P’及び吸収軸方向の長周期L’は、ほぼ同じ値になる。
第1保護フィルム10は、透光性を有する(好ましくは光学的に透明な)熱可塑性樹脂、例えば、鎖状ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂等)、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂等)のようなポリオレフィン系樹脂;セルローストリアセテート、セルロースジアセテートのようなセルロースエステル系樹脂;ポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;(メタ)アクリル系樹脂;ポリスチレン系樹脂;又はこれらの混合物、共重合物等からなるフィルムであることができる。
第1接着剤層15は、偏光フィルム5の一方の面に第1保護フィルム10を接着固定するための層である。第1接着剤層15を形成する接着剤は、紫外線、可視光、電子線、X線のような活性エネルギー線の照射によって硬化する硬化性化合物を含有する活性エネルギー線硬化性接着剤や、ポリビニルアルコール系樹脂のような接着剤成分を水に溶解又は分散させた水系接着剤であることができる。
図2に示される両面保護フィルム付偏光板2が有する第2保護フィルム20は、第1保護フィルム10と同様、上で例示した熱可塑性樹脂からなるフィルムであることができ、位相差フィルム、輝度向上フィルムのような光学機能を併せ持つ保護フィルムであってもよい。第2保護フィルム20が有し得る表面処理層及びフィルムの厚み等については、第1保護フィルム10について述べた上の記載が引用される。第1保護フィルム10と第2保護フィルム20とは、互いに同種の樹脂からなる保護フィルムであってもよいし、異種の樹脂からなる保護フィルムであってもよい。
第2接着剤層25は、偏光フィルム5の他方の面に第2保護フィルム20を接着固定するための層である。第2接着剤層25の詳細については、上述の第1接着剤層15についての記載が引用される。第2接着剤層25を形成する接着剤は、第1接着剤層15を形成する接着剤と同じ組成を有していてもよいし異なる組成を有していてもよい。
図1に示される片面保護フィルム付偏光板1における偏光フィルム5上、又は図2に示される両面保護フィルム付偏光板2における第1保護フィルム10若しくは第2保護フィルム20上に、偏光板を他の部材(例えば液晶表示装置に適用する場合における液晶セル)に貼合するための粘着剤層を積層してもよい。粘着剤層を形成する粘着剤は通常、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、シリコーン系樹脂等をベースポリマーとし、そこに、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物のような架橋剤を加えた粘着剤組成物からなる。さらに微粒子を含有させて光散乱性を示す粘着剤層とすることもできる。粘着剤層の厚みは通常、1〜40μmであり、好ましくは3〜25μmである。
本発明に係る偏光板は、その第1及び/又は第2保護フィルム10,20や偏光フィルム5上に積層される他の光学層をさらに含むことができる。他の光学層としては、ある種の偏光光を透過し、それと逆の性質を示す偏光光を反射する反射型偏光フィルム;表面に凹凸形状を有する防眩機能付フィルム;表面反射防止機能付フィルム;表面に反射機能を有する反射フィルム;反射機能と透過機能とを併せ持つ半透過反射フィルム;視野角補償フィルム等が挙げられる。
本発明のポリビニルアルコール系樹脂フィルム、偏光フィルム及び偏光板は、図3に示される方法によって好適に製造することができる。図3に示される製造方法は、下記工程:
(1)基材フィルムの少なくとも一方の面にポリビニルアルコール系樹脂を含有する塗工液(原料液)を塗工した後、乾燥させることによりポリビニルアルコール系樹脂フィルムを形成して積層フィルムを得る樹脂層形成工程S10、
(2)積層フィルムを延伸して基材フィルム上に延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを有する延伸フィルムを得る延伸工程S20、
(3)延伸フィルムのポリビニルアルコール系樹脂フィルムをヨウ素で染色して偏光フィルム(偏光子層)を形成することにより偏光性積層フィルムを得る染色工程S30、
(4)偏光性積層フィルムの偏光フィルム上に保護フィルムを貼合して貼合フィルムを得る第1貼合工程S40、
(5)貼合フィルムから基材フィルムを剥離除去して片面保護フィルム付偏光板を得る剥離工程S50、
をこの順で含む。
(6)片面保護フィルム付偏光板の偏光フィルム面に保護フィルムを貼合する第2貼合工程S60、
を含む。
図4を参照して本工程は、基材フィルム30の少なくとも一方の面にポリビニルアルコール系樹脂フィルム6を形成して積層フィルム100を得る工程である。このポリビニルアルコール系樹脂フィルム6は、延伸工程S20を経てポリビニルアルコール系樹脂フィルム6’となり、さらに染色工程S30を経て偏光フィルム5となる層である。ポリビニルアルコール系樹脂フィルム6は、ポリビニルアルコール系樹脂を含有する塗工液を基材フィルム30の片面又は両面に塗工し、塗工層を乾燥させることにより形成することができる。このような塗工によりポリビニルアルコール系樹脂層を形成する方法は、薄膜の偏光フィルム5を得やすい点で有利である。
図5を参照して本工程は、基材フィルム30及びポリビニルアルコール系樹脂フィルム6からなる積層フィルム100を延伸して、延伸された基材フィルム30’上に、延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルム6’を有する延伸フィルム200を得る工程である。延伸処理は通常、一軸延伸である。
図6を参照して本工程は、延伸フィルム200のポリビニルアルコール系樹脂フィルム6’をヨウ素で染色してこれを吸着配向させ、偏光フィルム5とする工程である。本工程を経て基材フィルム30’の片面又は両面に偏光フィルム5が積層された偏光性積層フィルム300が得られる。
図7を参照して本工程は、偏光性積層フィルム300の偏光フィルム5上、すなわち、偏光フィルム5の基材フィルム30’側とは反対側の面に接着剤層を介して保護フィルムを貼合することで貼合フィルム400を得る工程である。図7には第1接着剤層15を介して第1保護フィルム10を貼合する例を示しているが、両面保護フィルム付偏光板2を製造する場合には、第2接着剤層25を介して第2保護フィルム20を貼合するようにしてもよい。第1接着剤層15や第2接着剤層25を形成する接着剤については上述のとおりである。
本工程は、貼合フィルム400から基材フィルム30’を剥離除去する工程である。この工程を経て、図1と同様の片面保護フィルム付偏光板が得られる。偏光性積層フィルム300が基材フィルム30’の両面に偏光フィルム5を有し、これら両方の偏光フィルム5に保護フィルムを貼合した場合には、この剥離工程S50により、1枚の偏光性積層フィルム300から2枚の片面保護フィルム付偏光板が得られる。
本工程は、片面保護フィルム付偏光板の偏光フィルム5上、すなわち第1貼合工程S40にて貼合した保護フィルムとは反対側の面に、さらに保護フィルムを貼合し、図2に示される構成の両面保護フィルム付偏光板2を得る工程である。第1貼合工程S40にて第1保護フィルム10が貼合される場合には、本工程にて第2保護フィルム20が貼合され、第1貼合工程S40にて第2保護フィルム20が貼合される場合には、本工程にて第1保護フィルム10が貼合される。第2接着剤層25を介した第2保護フィルム20の貼合は、第1保護フィルム10の貼合と同様にして行うことができる。
(1)プライマー層形成工程
ポリビニルアルコール粉末(日本合成化学工業(株)製の「Z−200」、平均重合度1100、ケン化度99.5モル%)を95℃の熱水に溶解し、濃度3重量%のポリビニルアルコール水溶液を調製した。得られた水溶液に架橋剤(田岡化学工業(株)製の「スミレーズレジン650」)をポリビニルアルコール粉末6重量部に対して5重量部の割合で混合して、プライマー層形成用塗工液を得た。
4重量%水溶液の粘度が80mPa・secであるポリビニルアルコール系樹脂粉末を95℃の熱水に溶解し、濃度7.5重量%のポリビニルアルコール水溶液を調製し、これをポリビニルアルコール系樹脂層形成用塗工液とした。
上記(2)で作製した積層フィルムに対し、フローティングの縦一軸延伸装置を用いて(空中延伸)、空中延伸時の最大温度150℃で5.3倍の自由端一軸延伸を実施し、基材フィルム上に延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムが設けられた延伸フィルムを得た。延伸後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムの厚みは5.1μmであった。
上記(3)で作製した延伸積層フィルムを、ヨウ素とヨウ化カリウムとを含む30℃の染色水溶液(水100重量部あたりヨウ素を0.6重量部、ヨウ化カリウムを10.0重量部含む。)に180秒ほど浸漬して染色した後、10℃の純水で余分な染色水溶液を洗い流した。
上記(4)で作製した偏光性積層フィルムの偏光フィルム上に、紫外線硬化性接着剤(ADEKA(株)製の「KR−75T」)からなる接着剤層を介して、貼合面にコロナ処理を施した保護フィルム〔環状シクロオレフィンからなる保護フィルム(日本ゼオン(株)製の「ZF14」)〕を貼合した。次いで、高圧水銀ランプを用いて紫外線を照射することにより接着剤層を硬化させて、保護フィルム/接着剤層/偏光フィルム/基材フィルムの層構成からなる貼合フィルムを得た(第1貼合工程)。その後、得られた貼合フィルムから基材フィルムを剥離除去して、片面保護フィルム付偏光板を得た(剥離工程)。
上記(5)で作製した片面保護フィルム付偏光板の基材フィルムを剥離した偏光フィルムの面にも貼合面にコロナ処理を施した保護フィルム〔環状シクロオレフィンからなる保護フィルム(日本ゼオン(株)製の「ZF14」)〕を貼合して、両面保護フィルム付偏光板を得た(第2貼合工程)。
実施例2〜7及び比較例1〜5は、上記(2)の工程で用いたポリビニルアルコール系樹脂粉末の4重量%水溶液の粘度が表1に示す値であり、また、上記(2)の工程における乾燥速度を適宜調整することでポリビニルアルコール系樹脂フィルムの結晶長周期を表1に示す値となるようにした点以外は、実施例1と同様の方法でポリビニルアルコール系樹脂フィルム、偏光フィルム、両面保護フィルム付偏光板を得た。
上記(2)で得られたポリビニルアルコール系樹脂フィルムの結晶長周期Lを透過法のX線小角散乱測定により求めた。小角散乱X線解析装置(Bruker AXS社製の"NANO−STAR")を用いて、線源にCu−Kα(波長0.154nm)を用いた。カメラ長を1060nmに調整し、検出器には2次元のPSPC(位置敏感型比例計数管検出器)を用いた。測定は室温、真空雰囲気下で行い、露光時間を30分とした。まず初めにサンプルを設置せずにバックグラウンド測定を行い、得られた2次元の散乱データを全周方向に積分し、1次元プロファイルを得た。次に、積層フィルムから基材フィルムを剥離して得られたポリビニルアルコール系樹脂フィルム64枚を縦方向をそろえて重ねて評価用サンプルとした。評価用サンプルの測定後にも同様に全周方向に積分して1次元プロファイルを得た。バックグラウンド測定時の透過光強度と評価用サンプル測定時の透過光強度から評価用サンプルの透過率を算出し、これを考慮した上で、評価用サンプルの1次元プロファイルから、バックグラウンドの1次元プロファイルを差し引いて評価用サンプルの1次元散乱プロファイルとした。回折角(2θ)で約1.1度付近に周期構造に起因するピークが見られ、これをブラッグの式より周期長に換算した。かかる周期長をポリビニルアルコール系樹脂の結晶長周期Lとした。結果を表1に示す。
上記(4)で得られた偏光性積層フィルムから基材フィルムを剥離し、偏光フィルムを取り出して評価用サンプルを得た。まず、評価用サンプルの偏光フィルムの厚みを接触式膜厚計(ニコン(株)製の商品名”DIGIMICRO MH−15M”)で測定した。その後、先端径1mmφ、0.5Rのニードルを装着したカトーテック(株)製のハンディー圧縮試験機”KES−G5 ニードル貫通力測定仕様”を使用し、温度23±3℃の環境下、突刺し速度0.33cm/秒の測定条件下で偏光フィルムへの突刺しを行い、偏光フィルムを貫通したときのニードルにかかった力を測定した。この測定を評価サンプル12枚に対して行い、その平均値をそのサンプルの測定値とした。かかる測定値を偏光フィルムの厚みで除することにより単位厚み当たりの突刺強度を算出した。結果を表1に示す。
上記(6)で得られた両面保護フィルム付偏光板の第2貼合工程で貼合した保護フィルムの表面にコロナ処理を施した後、アクリル系粘着剤(リンテック(株)製の「P−3132」)を貼合した。得られた粘着剤層付偏光板を、対角5インチサイズの偏光板チップに裁断し、この偏光板チップについて、その粘着剤層を用いてガラスに貼合し、評価用サンプルを得た。その後、(株)エスペック製の冷熱衝撃試験器(TSA−301L−W)にて、低温側−40℃で30分間保持した後、高温側85℃で30分間保持することを1サイクルとし、これを150サイクル行なうヒートショック試験を行なった。ヒートショック試験中、常温にさらすことはしなかった。
上記(6)で得られた両面保護フィルム付偏光板から、シクロヘキサンを用いて2枚の保護フィルムを溶解除去して偏光フィルムを単離した。得られた偏光フィルム64枚を吸収軸方向(縦方向)をそろえて重ねて評価用サンプルとした。かかる評価用サンプルについて、上述のポリビニルアルコール系樹脂フィルムの結晶長周期の測定と同様の方法で、X線小角散乱測定で測定を実施した。ただし、露光時間は60分とした。得られた2次元の散乱パターンは、吸収軸方向から20度傾いた位置に周期長ピークが検出された。吸収軸方向の1次元散乱プロファイルを得るために、吸収軸方向±5度の範囲の散乱を積分してプロファイルを得た。また、バックグラウンドの補正を実施するために、評価用サンプルを設置しない状態での測定も実施し、同じ角度範囲を積分して吸収軸方向のプロファイルを得た。これらを透過率を考慮して差し引きして、評価用サンプルの吸収軸方向の1次元プロファイルを得た。かかるプロファイルに基づいて、ブラッグの式より周期長に換算した。かかる周期長を、偏光フィルムの吸収軸方向の長周期L’とした。結果を表1に示す。
上記(6)で得られた両面保護フィルム付偏光板から、シクロヘキサンを用いて2枚の保護フィルムを溶解除去して偏光フィルムを単離した。単離した偏光フィルムを80℃90%RHに調湿したオーブン内に吊り下げ、7日間ほど湿熱処理した。これによりヨウ素及びホウ酸が除去されて透明なフィルムが得られた。得られた透明なフィルムを溶解して4重量%水溶液を調整し、その粘度P’を測定した。粘度P’の測定方法は上述の通りである。結果を表1に示す。
図8は、実施例1〜7(突刺強度が5.0g/μm以上であり、ヒートショック試験で偏光フィルムの外観不具合が観察されていない試験例)及び比較例1〜5(突刺強度が5.0g/μm未満であり、ヒートショック試験で外観不具合が観察されている試験例)のポリビニルアルコール系樹脂フィルムについて、粘度Pを横軸とし、結晶長周期Lを縦軸としてプロットしたグラフを示す。図8において、実施例1〜7は「○」でプロットし、比較例1〜5は「×」でプロットした。図8から、L=6.7909×ln(P)−17.337の曲線が実施例及び比較例の境界線として適切であることを確認することができる。
Claims (10)
- ポリビニルアルコール系樹脂を含有する溶液を用いて製膜するポリビニルアルコール系樹脂フィルムの製造方法であって、
前記ポリビニルアルコール系樹脂の4重量%水溶液の粘度P(mPa・s)と、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの真空雰囲気下で測定した結晶長周期L(nm)とが、下記式(1)の関係を満たすように製膜する工程を含む、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの製造方法。
L<6.7909×ln(P)−17.337 ・・・(1) - 前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの厚みが30μm以下である、請求項1に記載のポリビニルアルコール系樹脂フィルムの製造方法。
- 請求項1又は2に記載の製造方法によりポリビニルアルコール系樹脂フィルムを得る工程、
前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを延伸する工程および染色する工程を含む、偏光フィルムの製造方法。 - 単位厚み当たりの突刺強度が5.0g/μm以上である、請求項3に記載の偏光フィルムの製造方法。
- 前記偏光フィルムの厚みが10μm以下である、請求項3又は4に記載の偏光フィルムの製造方法。
- 4重量%水溶液の粘度P’(mPa・s)と、真空雰囲気下で測定した吸収軸方向の長周期L’(nm)とが、下記式(2)の関係を満たす、偏光フィルム。
L’<14.3×ln(P’)−43.9 ・・・(2) - 単位厚み当たりの突刺強度が5.0g/μm以上である、請求項6に記載の偏光フィルム。
- 前記偏光フィルムの厚みが10μm以下である、請求項6又は7に記載の偏光フィルム。
- 偏光フィルムと、前記偏光フィルムの少なくとも一方の面上に積層される保護フィルムとを含む偏光板であって、
前記偏光板から単離した前記偏光フィルムの4重量%水溶液の粘度P’(mPa・s)と、前記偏光板から単離した前記偏光フィルムの真空雰囲気下で測定した吸収軸方向の長周期L’(nm)とが、下記式(2)の関係を満たす、偏光板。
L’<14.3×ln(P’)−43.9 ・・・(2) - 前記偏光フィルムの厚みが10μm以下である、請求項9に記載の偏光板。
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