JP6144731B2 - 偏光板 - Google Patents

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Description

本発明は、偏光フィルム及びそれを含む偏光板に関する。
偏光板は、液晶表示装置を代表とする画像表示装置等に広く用いられている。偏光板としては、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素等の二色性色素を吸着配向させてなる偏光フィルムの片面又は両面に保護フィルムを貼合した構成のものが一般的である。近年、画像表示装置のモバイル機器や薄型テレビ等への展開に伴い、偏光板、ひいては偏光フィルムの薄膜化が益々求められている。
特開2013−182162号公報(特許文献1)には、偏光フィルム(偏光子層)の厚みが10μm以下である偏光板の製造方法が記載されている。
特開2013−182162号公報
偏光フィルムは、その厚みが小さくなるほど表面から侵入する水分の影響が大きくなって、湿熱環境下に置いたときや温水に暴露又は浸漬したときに、偏光特性の低下や色抜けなどの特性劣化を生じやすい傾向にある。なお本明細書においては、湿熱環境下に置かれることによる特性劣化に対する耐性を「耐湿熱性」といい、温水暴露又は浸漬による特性劣化に対する耐性を「耐温水性」といい、これらを総称して「耐水性」という。
特許文献1に記載の発明においては、偏光フィルムに貼合される保護フィルムに透湿度の低いものを用いることによって偏光板の耐湿熱性を向上させている。しかし、この手段の場合、使用する保護フィルムの材質や厚みに制限が生じる。
本発明の目的は、偏光フィルムそれ自体の耐水性を向上させることにある。また本発明の他の目的は、耐水性に優れる偏光板を提供することにある。
本発明は、以下に示す偏光フィルム及び偏光板を提供する。
[1] 視感度補正単体透過率Ty〔%〕に対するヨウ素元素含有率WI〔重量%〕の比WI/Tyが0.145以上である、偏光フィルム。
[2] 前記WI/Tyが0.5以下である、[1]に記載の偏光フィルム。
[3] 厚みが10μm以下である、[1]又は[2]に記載の偏光フィルム。
[4] ポリビニルアルコール系樹脂を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の偏光フィルム。
[5] 前記Tyが40〜47%である、[1]〜[4]のいずれかに記載の偏光フィルム。
[6] [1]〜[5]のいずれかに記載の偏光フィルムと、
前記偏光フィルムの少なくとも一方の面上に積層される保護フィルムと、
を含む、偏光板。
本発明によれば、耐水性に優れる偏光フィルム及び偏光板を提供することができる。
本発明に係る偏光板の層構成の一例を示す概略断面図である。 本発明に係る偏光板の層構成の他の一例を示す概略断面図である。 本発明に係る偏光板の製造方法の好ましい一例を示すフローチャートである。 樹脂層形成工程で得られる積層フィルムの層構成の一例を示す概略断面図である。 延伸工程で得られる延伸フィルムの層構成の一例を示す概略断面図である。 染色工程で得られる偏光性積層フィルムの層構成の一例を示す概略断面図である。 第1貼合工程で得られる貼合フィルムの層構成の一例を示す概略断面図である。
<偏光フィルム>
本発明に係る偏光フィルムは、視感度補正単体透過率Tyに対するヨウ素元素含有率WIの比WI/Tyが0.145以上であることを特徴とする。WI/Tyが0.145以上である本発明の偏光フィルムは耐水性(耐湿熱性及び耐温水性)に優れており、湿熱環境下に置いたときや温水に暴露又は浸漬したときでも、偏光特性の低下や色抜けなどの特性劣化を生じにくい。本発明に係る偏光フィルムを用いれば、それ自体が耐水性に優れていることから、透湿度の低いフィルムを用いるなど、それに貼合される保護フィルムの材質や厚みに制限を受けることなく、耐水性に優れた偏光板を提供することができる。
I/Tyを0.145以上とすることの技術的意義について以下説明する。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素を吸着配向させてなる偏光フィルムにおいては、ポリビニルアルコール系樹脂とヨウ素とが錯体(以下、「PVA−ヨウ素錯体」という。)を形成し、これが吸収二色性を示すことで偏光性能を発現することが従来知られている。偏光フィルムにはPVA−ヨウ素錯体を形成していないヨウ素も存在するのであるが、このようなヨウ素は可視域にあまり吸収を持たないため偏光性能にあまり寄与しない。とりわけヨウ化物イオン(I-)の状態で存在するヨウ素は可視域に吸収がないため、それ自身は偏光フィルムの偏光性能には全く寄与せず、また偏光フィルムの見た目(色相)にも全く寄与しない。
偏光フィルムの偏光性能についてより詳しく説明すると、偏光性能は通常、「視感度補正単体透過率Ty」、「視感度補正偏光度Py」と呼ばれる2つのパラメーターで評価される。これらのパラメーターはそれぞれ、人間の目の感度が最も高い550nm付近の重み付けが最も大きくなるように補正を行った可視域(波長380〜780nm)における透過率、偏光度である。波長380nm未満の光は人間の目には視認できないため、Ty及びPyにおいては考慮されない。従って、例えば、およそ200〜230nmの波長域に吸収帯を有するヨウ化物イオン(I-)はそれ自身、偏光フィルムのTy及びPy、すなわち偏光性能に影響を及ぼさない。
上記のような理由から、従来では、偏光フィルム及びそれを用いた偏光板の偏光性能を評価・解析するにあたって、PVA−ヨウ素錯体を形成していないヨウ素、とりわけヨウ化物イオン(I-)が議論されることはなかった。しかしながら、このような従来の技術常識にもかかわらず、本発明者らは、鋭意検討の結果、偏光フィルム及びそれを用いた偏光板の耐水性向上のためには、PVA−ヨウ素錯体だけではなく、Ty及びPyには現れないヨウ化物イオン(I-)を考慮することが肝要であることを見出し、より具体的には以下の事項を見出した。
a)偏光フィルム中においてヨウ化物イオンは、PVA−ヨウ素錯体の形成に大きく影響しており、経験的に、偏光フィルム中では下記式(1):
Figure 0006144731
の平衡が成り立っている。
b)偏光フィルムや偏光板を湿熱環境下に置いた場合や温水に暴露又は浸漬した場合には、偏光フィルムからヨウ化物イオン(I-)が抜けやすいところ、ヨウ化物イオン(I-)の抜けによって上記式(1)の平衡が左に傾き、PVA−I3錯体が減少しやすい。これにより、短波長(青色)側の吸収帯を形成するPVA−I3錯体が少なくなるので、偏光フィルムや偏光板は青色を吸収しにくくなり、色抜け(青抜け)が生じる。また、PVA−I3錯体が少なくなることで青抜けが生じると、これに伴って偏光度も低下する。なお、上記式(1)の平衡が左に傾くと、長波長(赤色)側の吸収帯を形成するPVA−I5錯体は増加する傾向にある。
c)偏光フィルムにおいて、「PVA−ヨウ素錯体の含有量」に対して「ヨウ化物イオンの含有量」を過剰にしておくことにより、上記式(1)の平衡をあらかじめ右に傾いた状態にしておくことができるので、ヨウ化物イオン(I-)の抜けが少々生じても上記式(1)の平衡が簡単には左側に傾きにくくなり、PVA−I3錯体の含有量を十分な量で安定化させることができる。これにより青抜け及び偏光度の低下を抑制することができる。
視感度補正単体透過率Tyに対するヨウ素元素含有率WIの比であるWI/Tyというパラメーターの導出は、以上のような検討結果に基づいている。すなわち、まず上記c)に記載の「PVA−ヨウ素錯体の含有量」は、「Ty」に対応付けることができる。これは、可視域の吸収帯を形成するPVA−ヨウ素錯体の含有量はTyに比例するからである。また、上記c)に記載の「ヨウ化物イオンの含有量」を「PVA−ヨウ素錯体の含有量」に対して過剰に存在させるためには、偏光フィルムに含まれる「全ヨウ素原子量」を「PVA−ヨウ素錯体の含有量」に対して多くすればよいから、「ヨウ化物イオンの含有量」は、「全ヨウ素原子量」に対応付けることができる。ここでいう「全ヨウ素原子量」は、上述の「ヨウ素元素含有率WI」と同義である。よって、「PVA−ヨウ素錯体の含有量」に対する「ヨウ化物イオンの含有量」は、「Ty」に対する「ヨウ素元素含有率WI」、WI/Tyに置き換えることができる。
以上のとおり、偏光フィルム及び偏光板の耐水性を向上させるためには、「ヨウ素元素含有率WI」自体を大きくすることではなく、WI/Tyを大きくすることが必要である。検討の結果、偏光フィルム及び偏光板の耐水性を向上させるためには、WI/Tyを0.145以上まで大きくする必要があることが明らかとなっている。0.145未満では耐水性の向上効果が認められない。耐水性向上の観点から、WI/Tyは、好ましくは0.150以上である。
一方、WI/Tyの上限値は特に制限されないが、これがあまりに大きく、その結果、ヨウ化物イオン(I-)の含有量があまりに大きくなると、PVA−I3錯体とPVA−I5錯体との量バランスが歪み(すなわち、上記式(1)の平衡が右に傾きすぎ、長波長(赤色)側の吸収帯を形成するPVA−I5錯体の量が不足して)、偏光フィルム及び偏光板の初期色相をニュートラルに保てなくなる。従ってWI/Tyは、0.5以下であることが好ましく、0.4以下であることがより好ましい。
偏光フィルムのヨウ素元素含有率WIは、単位重量あたりの偏光フィルムに含まれるヨウ素元素の全重量として定義され、具体的には、下記式(2):
I〔重量%〕={ヨウ素元素の全重量〔mg〕/偏光フィルムの重量〔mg〕}×100
によって求められる。偏光フィルムに含まれるヨウ素元素の全重量は、JIS K 0127:2013に準拠する燃焼−イオンクロマトグラフィーによって求められる。この方法は、偏光フィルム試料を酸素を含む燃焼ガス中で燃焼させることにより発生したガスを吸収液に捕集した後、イオンクロマトグラフィーにて定量する方法である。偏光フィルム(測定サンプル)の燃料前処理は、同JIS規格の6.3.5に従う。なお、上記式における「偏光フィルムの重量」は、ヨウ素元素含有率WIが1%以上である場合には10〜20mgとされ、1%未満である場合には100mg以上とされる。
I/Tyを0.145〜0.5の範囲とするために、偏光フィルムのヨウ素元素含有率WIは、5〜15であることが好ましく、6〜10であることがより好ましい。
偏光フィルムの視感度補正単体透過率Tyは、当該偏光フィルムやこれを含む偏光板が適用される液晶表示装置等の画像表示装置において通常求められる値であることができ、具体的には40〜47%の範囲内であることが好ましい。Tyは、より好ましくは41〜45%の範囲内であり、この場合、TyとPyとのバランスがより良好となる。Tyが高すぎるとPyが低下して画像表示装置の表示品位が低下する。Tyが過度に低い場合、画像表示装置の輝度が低下して表示品位が低下するか、又は輝度を十分に高くするために投入電力を大きくする必要が生じる。
なお、偏光フィルムの耐水性を向上させるための他の手段として、例えばヨウ素の吸着量を高め、Tyを小さくすることが考えられる。しかしこの方法は、上述のように輝度を低下させてしまう。一方、本発明によれば、十分に高いTyを維持しながら偏光フィルムの耐水性を向上させることができる。
偏光フィルムの視感度補正偏光度Pyは、99.9%以上であることが好ましく、99.95%以上であることがより好ましい。耐水性試験(耐湿熱性試験又は耐温水性試験)後のPyは、当該試験後においても画像表示装置の表示品位を維持する観点から、98.0%以上であることが好ましい。
偏光フィルムのTy及びPyは、それが単体として存在する場合(単独で存在する場合)には、それ自体を測定サンプルとして測定される。一方、偏光フィルム上に保護フィルムが貼合された偏光板として存在する場合には、偏光板から保護フィルム及び接着剤層を除去し、偏光板に含まれる偏光フィルムを単離して、これを測定サンプルとするか、又は偏光板自体を測定サンプルとしてTy及びPyを測定し、これらを偏光フィルムのTy及びPyとする。偏光板を測定サンプルとして測定されるTy及びPyと、単離した偏光フィルムを測定サンプルとして測定されるTy及びPyとは実質的に同じである。
本発明に係る偏光フィルムは、二色性色素としてヨウ素を吸着配向させたものであり、好ましくはポリビニルアルコール系樹脂を含むもの、より具体的には、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂で構成されるフィルム(ポリビニルアルコール系樹脂フィルム)にヨウ素を吸着配向させたものである。
偏光フィルムの厚みは例えば30μm以下、さらには20μm以下であることができるが、偏光板の薄型化の観点から10μm以下であることが好ましく、8μm以下であることがより好ましい。偏光フィルムの厚みは、通常2μm以上である。厚みが小さいほど耐水性が低下しやすいが、本発明によれば、厚みが10μm以下であっても耐水性の良好な偏光フィルムを提供することができる。
偏光フィルムを構成するポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化したものを用いることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体が例示される。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有するアクリルアミド類等が挙げられる。
上記ポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが偏光フィルムを構成する。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は特に限定されるものではなく、公知の方法で製膜することができるが、厚みの小さい偏光フィルムが得られやすく、工程中における薄膜の偏光フィルムの取扱性にも優れることから、ポリビニルアルコール系樹脂の溶液を基材フィルム上に塗工して製膜する方法が好ましい。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、80.0〜100.0モル%の範囲であることができるが、好ましくは90.0〜99.5モル%の範囲であり、より好ましくは94.0〜99.0モル%の範囲である。ケン化度が80.0モル%未満であると、得られる偏光フィルムの耐水性が低下しやすい。ケン化度が99.5モル%を超えるポリビニルアルコール系樹脂を使用した場合、染色速度が遅くなり、生産性が低下するとともに十分な偏光性能を有する偏光フィルムが得られないことがある。
ケン化度とは、ポリビニルアルコール系樹脂の原料であるポリ酢酸ビニル系樹脂に含まれる酢酸基(アセトキシ基:−OCOCH3)がケン化工程により水酸基に変化した割合をユニット比(モル%)で表したものであり、下記式:
ケン化度(モル%)=100×(水酸基の数)÷(水酸基の数+酢酸基の数)
で定義される。ケン化度は、JIS K 6726(1994)に準拠して求めることができる。ケン化度が高いほど、水酸基の割合が高いことを示しており、従って結晶化を阻害する酢酸基の割合が低いことを示している。
ポリビニルアルコール系樹脂は、一部が変性されている変性ポリビニルアルコールであってもよい。例えば、ポリビニルアルコール系樹脂をエチレン、プロピレン等のオレフィン;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸;不飽和カルボン酸のアルキルエステル、(メタ)アクリルアミド等で変性したものが挙げられる。変性の割合は30モル%未満であることが好ましく、10%未満であることがより好ましい。30モル%を超える変性を行った場合には、二色性色素を吸着しにくくなり、十分な偏光性能を有する偏光フィルム5が得られにくい傾向がある。なお、本明細書において「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルからなる群より選択される少なくとも一方を意味する。「(メタ)アクリロイル」などについても同様である。
ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は、好ましくは100〜10000であり、より好ましくは1500〜8000であり、さらに好ましくは2000〜5000である。ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度もJIS K 6726(1994)に準拠して求めることができる。
<偏光板>
(1)偏光板の層構成
図1は、本発明に係る偏光板の層構成の一例を示す概略断面図である。図1に示される偏光板1のように本発明の偏光板は、偏光フィルム5と、その一方の面上に積層される第1保護フィルム10とを備える片面保護フィルム付偏光板であることができる。第1保護フィルム10は、第1接着剤層15を介して偏光フィルム5上に積層することができる。
また本発明に係る偏光板は、偏光フィルム5の他方の面に保護フィルムをさらに貼合したものであってもよく、具体的には、図2に示される偏光板2のように、偏光フィルム5と、その一方の面上に積層される第1保護フィルム10と、他方の面上に積層される第2保護フィルム20とを備える両面保護フィルム付偏光板であることもできる。第2保護フィルム20は、第2接着剤層25を介して偏光フィルム5上に積層することができる。
本発明に係る偏光板は、液晶表示装置のような画像表示装置に組み込まれるとき、液晶セルのような画像表示素子の視認(前面)側に配置される偏光板であってもよいし、画像表示素子の背面側(例えば液晶表示装置のバックライト側)に配置される偏光板であってもよい。
(2)偏光フィルム
本発明に係る偏光板は、偏光フィルム5として、上述の本発明に係る偏光フィルムを含む。従って、偏光フィルム5の詳細については、上述の記載が引用される。偏光板に含まれる偏光フィルム5のヨウ素元素含有率WIは、偏光板から保護フィルム及び接着剤層を除去することによって単離された偏光フィルム5について測定される。
(3)第1保護フィルム
第1保護フィルム10は、透光性を有する(好ましくは光学的に透明な)熱可塑性樹脂、例えば、鎖状ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂等)、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂等)のようなポリオレフィン系樹脂;セルローストリアセテート、セルロースジアセテートのようなセルロースエステル系樹脂;ポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;(メタ)アクリル系樹脂;ポリスチレン系樹脂;又はこれらの混合物、共重合物等からなるフィルムであることができる。偏光板の耐水性をさらに向上させるために、第1保護フィルム10として、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂等からなる保護フィルムのような透湿度の比較的低い保護フィルムを選択することも好ましい。
第1保護フィルム10は、位相差フィルム、輝度向上フィルムのような光学機能を併せ持つ保護フィルムであることもできる。例えば、上記熱可塑性樹脂からなるフィルムを延伸(一軸延伸又は二軸延伸等)したり、該フィルム上に液晶層等を形成したりすることにより、任意の位相差値が付与された位相差フィルムとすることができる。
鎖状ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂のような鎖状オレフィンの単独重合体のほか、2種以上の鎖状オレフィンからなる共重合体を挙げることができる。
環状ポリオレフィン系樹脂は、環状オレフィンを重合単位として重合される樹脂の総称である。環状ポリオレフィン系樹脂の具体例を挙げれば、環状オレフィンの開環(共)重合体、環状オレフィンの付加重合体、環状オレフィンとエチレン、プロピレンのような鎖状オレフィンとの共重合体(代表的にはランダム共重合体)、及びこれらを不飽和カルボン酸やその誘導体で変性したグラフト重合体、並びにそれらの水素化物等である。中でも、環状オレフィンとしてノルボルネンや多環ノルボルネン系モノマー等のノルボルネン系モノマーを用いたノルボルネン系樹脂が好ましく用いられる。
セルロースエステル系樹脂は、セルロースと脂肪酸とのエステルである。セルロースエステル系樹脂の具体例は、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリプロピオネート、セルロースジプロピオネートを含む。また、これらの共重合物や、水酸基の一部が他の置換基で修飾されたものを用いることもできる。これらの中でも、セルローストリアセテート(トリアセチルセルロース:TAC)が特に好ましい。
ポリエステル系樹脂はエステル結合を有する、上記セルロースエステル系樹脂以外の樹脂であり、多価カルボン酸又はその誘導体と多価アルコールとの重縮合体からなるものが一般的である。多価カルボン酸又はその誘導体としてはジカルボン酸又はその誘導体を用いることができ、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ジメチルテレフタレート、ナフタレンジカルボン酸ジメチル等が挙げられる。多価アルコールとしてはジオールを用いることができ、例えばエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
ポリエステル系樹脂の具体例は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリシクロへキサンジメチルテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチルナフタレートを含む。
ポリカーボネート系樹脂は、カルボナート基を介してモノマー単位が結合された重合体からなる。ポリカーボネート系樹脂は、ポリマー骨格を修飾したような変性ポリカーボネートと呼ばれる樹脂や、共重合ポリカーボネート等であってもよい。
(メタ)アクリル系樹脂は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を主な構成モノマーとする樹脂である。(メタ)アクリル系樹脂の具体例は、例えば、ポリメタクリル酸メチルのようなポリ(メタ)アクリル酸エステル;メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体;メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体;メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体;(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂等);メタクリル酸メチルと脂環族炭化水素基を有する化合物との共重合体(例えば、メタクリル酸メチル−メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体等)を含む。好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸メチルのようなポリ(メタ)アクリル酸C1-6アルキルエステルを主成分とする重合体が用いられ、より好ましくは、メタクリル酸メチルを主成分(50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%)とするメタクリル酸メチル系樹脂が用いられる。
第1保護フィルム10における偏光フィルム5とは反対側の表面には、ハードコート層、防眩層、反射防止層、帯電防止層、防汚層のような表面処理層(コーティング層)を形成することもできる。また第1保護フィルム10は、滑剤、可塑剤、分散剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤のような添加剤を1種又は2種以上含有することができる。
第1保護フィルム10の厚みは、偏光板の薄型化の観点から、好ましくは90μm以下、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは30μm以下である。第1保護フィルム10の厚みは、強度及び取扱性の観点から、通常5μm以上である。
(4)第1接着剤層
第1接着剤層15は、偏光フィルム5の一方の面に第1保護フィルム10を接着固定するための層である。第1接着剤層15を形成する接着剤は、紫外線、可視光、電子線、X線のような活性エネルギー線の照射によって硬化する硬化性化合物を含有する活性エネルギー線硬化性接着剤や、ポリビニルアルコール系樹脂のような接着剤成分を水に溶解又は分散させた水系接着剤であることができる。中でも、偏光板の耐水性を向上させる観点からは、活性エネルギー線硬化性接着剤を用いることが好ましい。活性エネルギー線硬化性接着剤の好適な例は、紫外線硬化性接着剤である。
第1接着剤層15を形成する活性エネルギー線硬化性接着剤としては、良好な接着性を示すことから、カチオン重合性の硬化性化合物及び/又はラジカル重合性の硬化性化合物を含む活性エネルギー線硬化性接着剤組成物を好ましく用いることができる。活性エネルギー線硬化性接着剤は、上記硬化性化合物の硬化反応を開始させるためのカチオン重合開始剤及び/又はラジカル重合開始剤をさらに含むことができる。
カチオン重合性の硬化性化合物としては、例えば、エポキシ系化合物(分子内に1個又は2個以上のエポキシ基を有する化合物)や、オキセタン系化合物(分子内に1個又は2個以上のオキセタン環を有する化合物)、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。ラジカル重合性の硬化性化合物としては、例えば、(メタ)アクリル系化合物(分子内に1個又は2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物)や、ラジカル重合性の二重結合を有するその他のビニル系化合物、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。カチオン重合性の硬化性化合物とラジカル重合性の硬化性化合物とを併用してもよい。
活性エネルギー線硬化性接着剤は、必要に応じて、カチオン重合促進剤、イオントラップ剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、粘着付与剤、熱可塑性樹脂、充填剤、流動調整剤、可塑剤、消泡剤、帯電防止剤、レベリング剤、溶剤等の添加剤を含有することができる。
第1接着剤層15の厚みは、通常0.001〜5μm程度であり、好ましくは0.01〜3μmである。
(5)第2保護フィルム
図2に示される両面保護フィルム付偏光板2が有する第2保護フィルム20は、第1保護フィルム10と同様、上で例示した熱可塑性樹脂からなるフィルムであることができ、位相差フィルム、輝度向上フィルムのような光学機能を併せ持つ保護フィルムであってもよい。第2保護フィルム20が有し得る表面処理層及びフィルムの厚み等については、第1保護フィルム10について述べた上の記載が引用される。第1保護フィルム10と第2保護フィルム20とは、互いに同種の樹脂からなる保護フィルムであってもよいし、異種の樹脂からなる保護フィルムであってもよい。偏光板の耐水性をさらに向上させるために、第2保護フィルム20として、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂等からなる保護フィルムのような透湿度の比較的低い保護フィルムを選択することも好ましい。
(6)第2接着剤層
第2接着剤層25は、偏光フィルム5の他方の面に第2保護フィルム20を接着固定するための層である。第2接着剤層25の詳細については、上述の第1接着剤層15についての記載が引用される。偏光板の耐水性を向上させる観点から、第2接着剤層25は、活性エネルギー線硬化性接着剤から形成されることが好ましい。第2接着剤層25を形成する接着剤は、第1接着剤層15を形成する接着剤と同じ組成を有していてもよいし異なる組成を有していてもよい。
(7)粘着剤層
図1に示される片面保護フィルム付偏光板1における偏光フィルム5上、又は図2に示される両面保護フィルム付偏光板2における第1保護フィルム10若しくは第2保護フィルム20上に、偏光板を他の部材(例えば液晶表示装置に適用する場合における液晶セル)に貼合するための粘着剤層を積層してもよい。粘着剤層を形成する粘着剤は通常、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、シリコーン系樹脂等をベースポリマーとし、そこに、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物のような架橋剤を加えた粘着剤組成物からなる。さらに微粒子を含有させて光散乱性を示す粘着剤層とすることもできる。粘着剤層の厚みは通常、1〜40μmであり、好ましくは3〜25μmである。
(8)その他の光学層
本発明に係る偏光板は、その第1及び/又は第2保護フィルム10,20や偏光フィルム5上に積層される他の光学層をさらに含むことができる。他の光学層としては、ある種の偏光光を透過し、それと逆の性質を示す偏光光を反射する反射型偏光フィルム;表面に凹凸形状を有する防眩機能付フィルム;表面反射防止機能付フィルム;表面に反射機能を有する反射フィルム;反射機能と透過機能とを併せ持つ半透過反射フィルム;視野角補償フィルム等が挙げられる。
<偏光フィルム及び偏光板の製造方法>
本発明の偏光フィルム及び偏光板は、図3に示される方法によって好適に製造することができる。図3に示される製造方法は、下記工程:
(1)基材フィルムの少なくとも一方の面にポリビニルアルコール系樹脂を含有する塗工液を塗工した後、乾燥させることによりポリビニルアルコール系樹脂層を形成して積層フィルムを得る樹脂層形成工程S10、
(2)積層フィルムを延伸して延伸フィルムを得る延伸工程S20、
(3)延伸フィルムのポリビニルアルコール系樹脂層をヨウ素で染色して偏光フィルム(偏光子層)を形成することにより偏光性積層フィルムを得る染色工程S30、
(4)偏光性積層フィルムの偏光フィルム上に保護フィルムを貼合して貼合フィルムを得る第1貼合工程S40、
(5)貼合フィルムから基材フィルムを剥離除去して片面保護フィルム付偏光板を得る剥離工程S50、
をこの順で含む。
図2に示されるような両面保護フィルム付偏光板2を製造する場合には、剥離工程S50の後に、さらに
(6)片面保護フィルム付偏光板の偏光フィルム面に保護フィルムを貼合する第2貼合工程S60、
を含む。
以下、図4〜図7を参照しながら各工程について説明する。なお樹脂層形成工程S10において、ポリビニルアルコール系樹脂層を基材フィルムの両面に形成してもよいが、以下では主に片面に形成する場合について説明する。
(1)樹脂層形成工程S10
図4を参照して本工程は、基材フィルム30の少なくとも一方の面にポリビニルアルコール系樹脂層6を形成して積層フィルム100を得る工程である。このポリビニルアルコール系樹脂層6は、延伸工程S20及び染色工程S30を経て偏光フィルム5となる層である。ポリビニルアルコール系樹脂層6は、ポリビニルアルコール系樹脂を含有する塗工液を基材フィルム30の片面又は両面に塗工し、塗工層を乾燥させることにより形成することができる。このような塗工によりポリビニルアルコール系樹脂層を形成する方法は、薄膜の偏光フィルム5を得やすい点で有利である。
基材フィルム30は熱可塑性樹脂から構成することができ、中でも透明性、機械的強度、熱安定性、延伸性等に優れる熱可塑性樹脂から構成することが好ましい。このような熱可塑性樹脂の具体例は、例えば、鎖状ポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂等)のようなポリオレフィン系樹脂;ポリエステル系樹脂;(メタ)アクリル系樹脂;セルローストリアセテート、セルロースジアセテートのようなセルロースエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂;ポリ酢酸ビニル系樹脂;ポリアリレート系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリスルホン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;及びこれらの混合物、共重合物を含む。
基材フィルム30は、1種又は2種以上の熱可塑性樹脂からなる1つの樹脂層からなる単層構造であってもよいし、1種又は2種以上の熱可塑性樹脂からなる樹脂層を複数積層した多層構造であってもよい。基材フィルム30は、後述する延伸工程S20にて積層フィルム100を延伸する際、ポリビニルアルコール系樹脂層6を延伸するのに好適な延伸温度で延伸できるような樹脂で構成されることが好ましい。
基材フィルム30は、添加剤を含有することができる。添加剤の具体例は、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、及び着色剤を含む。
基材フィルム30の厚みは通常、強度や取扱性等の点から1〜500μmであり、好ましくは1〜300μm、より好ましくは5〜200μm、さらに好ましくは5〜150μmである。
基材フィルム30に塗工する塗工液は、好ましくはポリビニルアルコール系樹脂の粉末を良溶媒(例えば水)に溶解させて得られるポリビニルアルコール系樹脂溶液である。ポリビニルアルコール系樹脂の詳細は、上述のとおりである。塗工液は必要に応じて、可塑剤、界面活性剤等の添加剤を含有していてもよい。
上記塗工液を基材フィルム30に塗工する方法は、ワイヤーバーコーティング法;リバースコーティング、グラビアコーティングのようなロールコーティング法;ダイコート法;カンマコート法;リップコート法;スピンコーティング法;スクリーンコーティング法;ファウンテンコーティング法;ディッピング法;スプレー法等の方法から適宜選択することができる。
塗工層(乾燥前のポリビニルアルコール系樹脂層)の乾燥温度及び乾燥時間は塗工液に含まれる溶媒の種類に応じて設定される。乾燥温度は、例えば50〜200℃であり、好ましくは60〜150℃である。溶媒が水を含む場合、乾燥温度は80℃以上であることが好ましい。
ポリビニルアルコール系樹脂層6は、基材フィルム30の一方の面のみに形成してもよいし、両面に形成してもよい。両面に形成すると偏光性積層フィルム300(図6参照)の製造時に発生し得るフィルムのカールを抑制できるとともに、1枚の偏光性積層フィルム300から2枚の偏光板を得ることができるので、偏光板の生産効率の面でも有利である。
積層フィルム100におけるポリビニルアルコール系樹脂層6の厚みは、好ましくは3〜30μmであり、より好ましくは5〜20μmである。この範囲内の厚みを有するポリビニルアルコール系樹脂層6であれば、後述する延伸工程S20及び染色工程S30を経て、ヨウ素の染色性が良好で偏光性能に優れ、かつ十分に薄い(例えば厚み10μm以下の)偏光フィルム5を得ることができる。
塗工液の塗工に先立ち、基材フィルム30とポリビニルアルコール系樹脂層6との密着性を向上させるために、少なくともポリビニルアルコール系樹脂層6が形成される側の基材フィルム30の表面に、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム(火炎)処理等を施してもよい。また同様の理由で、基材フィルム30上にプライマー層等を介してポリビニルアルコール系樹脂層6を形成してもよい。
プライマー層は、プライマー層形成用塗工液を基材フィルム30の表面に塗工した後、乾燥させることにより形成することができる。この塗工液は、基材フィルム30とポリビニルアルコール系樹脂層6との両方にある程度強い密着力を発揮する成分を含み、通常は、このような密着力を付与する樹脂成分と溶媒とを含む。樹脂成分としては、好ましくは透明性、熱安定性、延伸性等に優れる熱可塑樹脂が用いられ、例えば(メタ)アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂等が挙げられる。中でも、良好な密着力を与えるポリビニルアルコール系樹脂が好ましく用いられる。より好ましくは、ポリビニルアルコール樹脂である。溶媒としては通常、上記樹脂成分を溶解できる一般的な有機溶媒や水系溶媒が用いられるが、水を溶媒とする塗工液からプライマー層を形成することが好ましい。
プライマー層の強度を上げるために、プライマー層形成用塗工液に架橋剤を添加してもよい。架橋剤の具体例は、エポキシ系、イソシアネート系、ジアルデヒド系、金属系(例えば、金属塩、金属酸化物、金属水酸化物、有機金属化合物)、高分子系の架橋剤を含む。プライマー層を形成する樹脂成分としてポリビニルアルコール系樹脂を使用する場合は、ポリアミドエポキシ樹脂、メチロール化メラミン樹脂、ジアルデヒド系架橋剤、金属キレート化合物系架橋剤等が好適に用いられる。
プライマー層の厚みは、0.05〜1μm程度であることが好ましく、0.1〜0.4μmであることがより好ましい。0.05μmより薄くなると、基材フィルム30とポリビニルアルコール系樹脂層6との密着力向上の効果が小さく、1μmより厚くなると、偏光板の薄膜化に不利である。
プライマー層形成用塗工液を基材フィルム30に塗工する方法は、ポリビニルアルコール系樹脂層形成用の塗工液と同様であることができる。プライマー層形成用塗工液からなる塗工層の乾燥温度は、例えば50〜200℃であり、好ましくは60〜150℃である。溶媒が水を含む場合、乾燥温度は80℃以上であることが好ましい。
(2)延伸工程S20
図5を参照して本工程は、基材フィルム30及びポリビニルアルコール系樹脂層6からなる積層フィルム100を延伸して、延伸された基材フィルム30’及びポリビニルアルコール系樹脂層6’からなる延伸フィルム200を得る工程である。延伸処理は通常、一軸延伸である。
積層フィルム100の延伸倍率は、所望する偏光特性に応じて適宜選択することができるが、好ましくは、積層フィルム100の元長に対して5倍超17倍以下であり、より好ましくは5倍超8倍以下である。延伸倍率が5倍以下であると、ポリビニルアルコール系樹脂層6’が十分に配向しないため、偏光フィルム5の偏光度が十分に高くならないことがある。一方、延伸倍率が17倍を超えると、延伸時にフィルムの破断が生じ易くなるとともに、延伸フィルム200の厚みが必要以上に薄くなり、後工程での加工性及び取扱性が低下するおそれがある。
延伸処理は、一段での延伸に限定されることはなく多段で行うこともできる。この場合、多段階の延伸処理のすべてを染色工程S30の前に連続的に行ってもよいし、二段階目以降の延伸処理を染色工程S30における染色処理及び/又は架橋処理と同時に行ってもよい。このように多段で延伸処理を行う場合は、延伸処理の全段を合わせて5倍超の延伸倍率となるように延伸処理を行うことが好ましい。
延伸処理は、フィルム長手方向(フィルム搬送方向)に延伸する縦延伸であることができるほか、フィルム幅方向に延伸する横延伸又は斜め延伸等であってもよい。縦延伸方式としては、ロールを用いて延伸するロール間延伸、圧縮延伸、チャック(クリップ)を用いた延伸等が挙げられ、横延伸方式としては、テンター法等が挙げられる。延伸処理は、湿潤式延伸方法、乾式延伸方法のいずれも採用できるが、乾式延伸方法を用いる方が、延伸温度を広い範囲から選択することができる点で好ましい。
延伸温度は、ポリビニルアルコール系樹脂層6及び基材フィルム30全体が延伸可能な程度に流動性を示す温度以上に設定され、好ましくは基材フィルム30の相転移温度(融点又はガラス転移温度)の−30℃から+30℃の範囲であり、より好ましくは−30℃から+5℃の範囲であり、さらに好ましくは−25℃から+0℃の範囲である。基材フィルム30が複数の樹脂層からなる場合、上記相転移温度は該複数の樹脂層が示す相転移温度のうち、最も高い相転移温度を意味する。
延伸温度を相転移温度の−30℃より低くすると、5倍超の高倍率延伸が達成されにくいか、又は、基材フィルム30の流動性が低すぎて延伸処理が困難になる傾向にある。延伸温度が相転移温度の+30℃を超えると、基材フィルム30の流動性が大きすぎて延伸が困難になる傾向にある。5倍超の高延伸倍率をより達成しやすいことから、延伸温度は上記範囲内であって、さらに好ましくは120℃以上である。
延伸処理における積層フィルム100の加熱方法としては、ゾーン加熱法(例えば、熱風を吹き込み所定の温度に調整した加熱炉のような延伸ゾーン内で加熱する方法。);ロールを用いて延伸する場合において、ロール自体を加熱する方法;ヒーター加熱法(赤外線ヒーター、ハロゲンヒーター、パネルヒーター等を積層フィルム100の上下に設置し輻射熱で加熱する方法)等がある。ロール間延伸方式においては、延伸温度の均一性の観点からゾーン加熱法が好ましい。
なお、延伸温度とは、ゾーン加熱法の場合、ゾーン内(例えば加熱炉内)の雰囲気温度を意味し、ヒーター加熱法においても炉内で加熱を行う場合は炉内の雰囲気温度を意味する。また、ロール自体を加熱する方法の場合は、ロールの表面温度を意味する。
延伸工程S20に先立ち、積層フィルム100を予熱する予熱処理工程を設けてもよい。予熱方法としては、延伸処理における加熱方法と同様の方法を用いることができる。予熱温度は、延伸温度の−50℃から±0℃の範囲であることが好ましく、延伸温度の−40℃から−10℃の範囲であることがより好ましい。
また、延伸工程S20における延伸処理の後に、熱固定処理工程を設けてもよい。熱固定処理は、延伸フィルム200の端部をクリップにより把持した状態で緊張状態に維持しながら、結晶化温度以上で熱処理を行う処理である。この熱固定処理によってポリビニルアルコール系樹脂層6’の結晶化が促進される。熱固定処理の温度は、延伸温度の−0℃〜−80℃の範囲であることが好ましく、延伸温度の−0℃〜−50℃の範囲であることがより好ましい。
(3)染色工程S30
図6を参照して本工程は、延伸フィルム200のポリビニルアルコール系樹脂層6’をヨウ素で染色してこれを吸着配向させ、偏光フィルム5とする工程である。本工程を経て基材フィルム30’の片面又は両面に偏光フィルム5が積層された偏光性積層フィルム300が得られる。
染色工程は、ヨウ素を含有する溶液(染色溶液)に延伸フィルム200全体を浸漬することにより行うことができる。染色溶液としては、ヨウ素を溶媒に溶解した溶液を使用できる。溶媒としては、一般的には水が使用されるが、水と相溶性のある有機溶媒がさらに添加されてもよい。染色溶液におけるヨウ素の濃度は、好ましくは0.01〜10重量%であり、より好ましくは0.02〜7重量%である。
染色効率を向上できることから、染色溶液にヨウ化物をさらに添加することが好ましい。ヨウ化物としては、例えばヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタン等が挙げられる。染色溶液におけるヨウ化物の濃度は、好ましくは0.01〜20重量%である。ヨウ化物の中でも、ヨウ化カリウムを添加することが好ましい。ヨウ化カリウムを添加する場合、ヨウ素とヨウ化カリウムとの割合は重量比で、好ましくは1:5〜1:100であり、より好ましくは1:6〜1:80である。染色溶液の温度は、好ましくは10〜60℃であり、より好ましくは20〜40℃である。
なお、染色工程S30を延伸工程S20の前に行ったり、これらの工程を同時に行ったりすることも可能であるが、ポリビニルアルコール系樹脂層に吸着させるヨウ素を良好に配向させることができるよう、積層フィルム100に対して少なくともある程度の延伸処理を施した後に染色工程S30を実施することが好ましい。
染色工程S30は、染色処理に引き続いて実施される架橋処理工程を含むことができる。架橋処理は、架橋剤を溶媒に溶解した溶液(架橋溶液)中に染色されたフィルムを浸漬することにより行うことができる。架橋剤としては、例えば、ホウ酸、ホウ砂のようなホウ素化合物、グリオキザール、グルタルアルデヒド等が挙げられる。架橋剤は1種のみを使用してもよいし2種以上を併用してもよい。架橋溶液の溶媒としては、水が使用できるが、水と相溶性のある有機溶媒をさらに含んでもよい。架橋溶液における架橋剤の濃度は、好ましくは0.2〜20重量%であり、より好ましくは0.5〜10重量%である。
架橋溶液はヨウ化物をさらに含むことができる。ヨウ化物の添加により、偏光フィルム5の面内における偏光性能をより均一化させることができる。ヨウ化物の具体例は上記と同様である。架橋溶液におけるヨウ化物の濃度は、好ましくは0.05〜15重量%であり、より好ましくは0.5〜8重量%である。架橋溶液の温度は、好ましくは1〜90℃である。
なお架橋処理は、架橋剤を染色溶液中に配合することにより、染色処理と同時に行うこともできる。また、組成の異なる2種以上の架橋溶液を用いて、架橋溶液に浸漬する処理を2回以上行ってもよい。
染色工程S30の後、後述する第1貼合工程S40の前に洗浄工程及び乾燥工程を行うことが好ましい。洗浄工程は通常、水洗浄工程を含む。水洗浄処理は、イオン交換水、蒸留水のような純水に染色処理後の又は架橋処理後のフィルムを浸漬することにより行うことができる。水洗浄温度は、通常3〜50℃、好ましくは4〜20℃である。洗浄工程は、水洗浄工程とヨウ化物溶液による洗浄工程との組み合わせであってもよい。洗浄工程の後に行われる乾燥工程としては、自然乾燥、送風乾燥、加熱乾燥等の任意の適切な方法を採用し得る。例えば加熱乾燥の場合、乾燥温度は通常20〜95℃である。
(4)第1貼合工程S40
図7を参照して本工程は、偏光性積層フィルム300の偏光フィルム5上、すなわち、偏光フィルム5の基材フィルム30’側とは反対側の面に接着剤層を介して保護フィルムを貼合することで貼合フィルム400を得る工程である。図7には第1接着剤層15を介して第1保護フィルム10を貼合する例を示しているが、両面保護フィルム付偏光板2を製造する場合には、第2接着剤層25を介して第2保護フィルム20を貼合するようにしてもよい。第1接着剤層15や第2接着剤層25を形成する接着剤については上述のとおりである。
なお、偏光性積層フィルム300が基材フィルム30’の両面に偏光フィルム5を有する場合は通常、両面の偏光フィルム5上にそれぞれ保護フィルムが貼合される。この場合、これらの保護フィルムは同種の保護フィルムであってもよいし、異種の保護フィルムであってもよい。
活性エネルギー線硬化性接着剤を用いて、第1保護フィルム10を貼合する場合を例に、保護フィルムの貼合接着方法について説明すると、第1接着剤層15となる活性エネルギー線硬化性接着剤を介して第1保護フィルム10を偏光フィルム5上に積層した後、紫外線、可視光、電子線、X線のような活性エネルギー線を照射して接着剤層を硬化させる。中でも紫外線が好適であり、この場合の光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ等を用いることができる。
偏光フィルム5に保護フィルムを貼合するにあたり、保護フィルム及び/又は偏光フィルム5の貼合面には、偏光フィルム5との接着性を向上させるために、プラズマ処理、コロナ処理、紫外線照射処理、フレーム(火炎)処理、ケン化処理のような表面処理(易接着処理)を行うことができ、中でも、プラズマ処理、コロナ処理又はケン化処理を行うことが好ましい。
(5)剥離工程S50
本工程は、貼合フィルム400から基材フィルム30’を剥離除去する工程である。この工程を経て、図1と同様の片面保護フィルム付偏光板が得られる。偏光性積層フィルム300が基材フィルム30’の両面に偏光フィルム5を有し、これら両方の偏光フィルム5に保護フィルムを貼合した場合には、この剥離工程S50により、1枚の偏光性積層フィルム300から2枚の片面保護フィルム付偏光板が得られる。
基材フィルム30’を剥離除去する方法は特に限定されるものでなく、通常の粘着剤付偏光板で行われるセパレータ(剥離フィルム)の剥離工程と同様の方法で剥離できる。基材フィルム30’は、第1貼合工程S40の後、そのまますぐ剥離してもよいし、第1貼合工程S40の後、一度ロール状に巻き取り、その後の工程で巻き出しながら剥離してもよい。
(6)第2貼合工程S60
本工程は、片面保護フィルム付偏光板の偏光フィルム5上、すなわち第1貼合工程S40にて貼合した保護フィルムとは反対側の面に、さらに保護フィルムを貼合し、図2に示される構成の両面保護フィルム付偏光板2を得る工程である。第1貼合工程S40にて第1保護フィルム10が貼合される場合には、本工程にて第2保護フィルム20が貼合され、第1貼合工程S40にて第2保護フィルム20が貼合される場合には、本工程にて第1保護フィルム10が貼合される。第2接着剤層25を介した第2保護フィルム20の貼合は、第1保護フィルム10の貼合と同様にして行うことができる。
以上、基材フィルム上に塗工したポリビニルアルコール系樹脂層から偏光フィルムを形成し、次いで偏光板を製造する方法について詳述したが、これに制限されるものではなく、単体(単独)フィルムからなる偏光フィルム5に第1保護フィルム10、又は第1及び第2保護フィルム10,20を貼合して偏光板を製造してもよい。
単体(単独)フィルムからなる偏光フィルム5は、例えば溶融押出法、溶剤キャスト法のような公知の方法によりポリビニルアルコール系樹脂フィルムを作製する工程;ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程;ポリビニルアルコール系樹脂フィルムをヨウ素で染色し、これを吸着させる工程;ヨウ素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程;及び、ホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程、を含む方法によって製造することができる。一軸延伸は、ヨウ素の染色前、染色と同時、又は染色の後に行うことができる。一軸延伸を染色の後で行う場合、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前又はホウ酸処理中に行ってもよい。また、これらの複数の段階で一軸延伸を行ってもよい。
第1及び第2保護フィルム10,20の双方を貼合して両面保護フィルム付偏光板を製造する場合において、これらの保護フィルムは、接着剤層を介して順次貼合されてもよいし、同時に貼合されてもよい。
(7)WI/Tyの制御
視感度補正単体透過率Tyに対するヨウ素元素含有率WIを高めて、WI/Tyを上記所定の範囲内とする方法は特に制限されないが、例えば次の方法を挙げることができる。
a)染色工程において、一般的に採用される量に比べてヨウ化物(ヨウ素やヨウ化物イオンを含む。)を多量に含む染色溶液にフィルムを浸漬する方法。この場合、染色溶液中のヨウ化物の濃度、染色溶液の温度、フィルムの滞留時間などの調整によって、WI/Tyを制御することができる。
b)架橋処理工程において、一般的に採用される量に比べてヨウ化物イオンを多量に含む架橋溶液にフィルムを浸漬する方法。この場合においても、架橋溶液中のヨウ化物イオンの濃度、架橋溶液の温度、フィルムの滞留時間などの調整によって、WI/Tyを制御することができる。
c)フィルムに含有させたヨウ化物イオンが抜け出さないようにする方法。一度含有させたヨウ化物イオンは水で洗浄することで比較的容易に洗い流されてしまう。従って、ヨウ化物イオンが抜け出さないようにする方法としては、架橋溶液中の架橋剤濃度を高める方法を挙げることができる。架橋剤濃度を高めると架橋剤の架橋量が多くなるので、水洗を行ったときにヨウ化物イオンを洗い流されにくくすることができる。ヨウ化物イオンの抜け出しをより効果的に抑制するために、架橋溶液の温度はできるだけ低温にすることが好ましい。また、ヨウ化物イオンが抜け出さないようにする他の方法として、水洗の代わりに、フィルムの表面に付着した液体をエアナイフやエアブロワーで吹き飛ばしたり、吸水ロールなどで除去したりする方法も有効である。水洗をなくすことでヨウ化物イオンの抜け出しを回避できる。
d)上記a)〜c)の2以上の組み合わせ。
上記の中でも、b)、c)の方法が有効であり、c)の方法が最も有効である。
I/Tyが0.145以上である偏光フィルムを得るための好ましい実施形態の1つは、できるだけ低温で、かつ架橋剤及びヨウ化物イオンを含む架橋溶液にフィルムを浸漬する架橋処理工程を含む方法である。より好ましい実施形態の1つは、液温が3〜30℃、好ましくは5〜15℃であり、かつ架橋剤を0.5〜10重量%、好ましくは1〜5重量%含み、かつヨウ化物イオンを過剰に含む架橋溶液にフィルムを浸漬する架橋処理工程を含む方法である。この架橋溶液は、2槽以上の架橋溶液を用いて架橋処理工程を実施する場合における、少なくとも1つの架橋溶液であってよい。
さらに好ましくは、上記より好ましい実施形態における架橋処理工程を実施した後、水洗を行わずに、エアナイフやエアブロワー、吸水ロールなどを用いてフィルムの表面に付着した液体を除去する。なお、その後の乾燥工程の条件は特に制限されず、比較的高温で行ってもヨウ化物イオンの抜け出しは生じにくい。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
<実施例1>
(1)プライマー層形成工程
ポリビニルアルコール粉末(日本合成化学工業(株)製の「Z−200」、平均重合度1100、ケン化度99.5モル%)を95℃の熱水に溶解し、濃度3重量%のポリビニルアルコール水溶液を調製した。得られた水溶液に架橋剤(田岡化学工業(株)製の「スミレーズレジン650」)をポリビニルアルコール粉末6重量部に対して5重量部の割合で混合して、プライマー層形成用塗工液を得た。
次に、基材フィルムとして厚み90μmの未延伸のポリプロピレン(PP)フィルム(融点:163℃)を用意し、その片面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面に小径グラビアコーターを用いて上記プライマー層形成用塗工液を塗工し、80℃で10分間乾燥させることにより、厚み0.2μmのプライマー層を形成した。
(2)積層フィルムの作製(樹脂層形成工程)
ポリビニルアルコール粉末((株)クラレ製の「PVA124」、平均重合度2400、ケン化度98.0〜99.0モル%)を95℃の熱水に溶解し、濃度8重量%のポリビニルアルコール水溶液を調製し、これをポリビニルアルコール系樹脂層形成用塗工液とした。
上記(1)で作製したプライマー層を有する基材フィルムのプライマー層表面にダイコーターを用いて上記ポリビニルアルコール系樹脂層形成用塗工液を塗工した後、70℃で4分間乾燥させることにより、プライマー層上にポリビニルアルコール系樹脂層を形成して、基材フィルム/プライマー層/ポリビニルアルコール系樹脂層からなる積層フィルムを得た。
(3)延伸フィルムの作製(延伸工程)
上記(2)で作製した積層フィルムに対し、フローティングの縦一軸延伸装置を用いて160℃で5.3倍の自由端一軸延伸を実施し、延伸フィルムを得た。延伸後のポリビニルアルコール系樹脂層の厚みは5.1μmであった。
(4)偏光性積層フィルムの作製(染色工程)
上記(3)で作製した延伸フィルムを、ヨウ素とヨウ化カリウムとを含む30℃の染色水溶液(水100重量部あたりヨウ素を0.6重量部、ヨウ化カリウムを10.0重量部含む。)に約180秒間浸漬してポリビニルアルコール系樹脂層の染色処理を行った後、10℃の純水で余分な染色水溶液を洗い流した。
次いで、ホウ酸を含む78℃の第1架橋水溶液(水100重量部あたりホウ酸を10.4重量部含む。)に120秒間浸漬し、次いで、ホウ酸及びヨウ化カリウムを含む70℃の第2架橋水溶液(水100重量部あたりホウ酸を5.7重量部、ヨウ化カリウムを12.0重量部含む。)に60秒間浸漬し、さらにホウ酸及びヨウ化カリウムを含む10℃の第3架橋水溶液(水100重量部あたりホウ酸を3.0重量部、ヨウ化カリウムを15.0重量部含む。)に約10秒間浸漬して架橋処理を行った。その後ただちに、エアブロワーを用いて両面に付着した液体を取り除き、偏光フィルムを含む偏光性積層フィルムを得た。
(5)片面保護フィルム付偏光板の作製(第1貼合工程、剥離工程)
上記(4)で作製した偏光性積層フィルムの偏光フィルム上に、紫外線硬化性接着剤(ADEKA(株)製の「KR−75T」)からなる接着剤層を介して、保護フィルム〔トリアセチルセルロース(TAC)からなる透明保護フィルム(コニカミノルタオプト(株)製の「KC−2UAW」)〕を貼合した。次いで、高圧水銀ランプを用いて紫外線を照射することにより接着剤層を硬化させて、保護フィルム/接着剤層/偏光フィルム/基材フィルムの層構成からなる貼合フィルムを得た(第1貼合工程)。その後、得られた貼合フィルムから基材フィルムを剥離除去して、片面保護フィルム付偏光板を得た(剥離工程)。
(6)評価用サンプルの作製
得られた片面保護フィルム付偏光板の偏光フィルム側の面にコロナ処理をしながら、(メタ)アクリル樹脂系の粘着剤(リンテック(株)製の「P−3132」)を貼合した。得られた粘着剤層付偏光板をその粘着剤層を用いてガラスに貼合し、評価用サンプルを得た。
<実施例2>
第3架橋水溶液におけるヨウ化カリウムの含有量を、水100重量部あたり6重量部とし、また、エアブロワーの代わりに吸水ロールを用いて両面の液体を取り除いたこと以外は実施例1と同様にして片面保護フィルム付偏光板、次いで評価用サンプルを作製した。
<比較例1>
第3架橋水溶液におけるヨウ化カリウムの含有量を、水100重量部あたり4重量部としたこと以外は実施例1と同様にして片面保護フィルム付偏光板、次いで評価用サンプルを作製した。
<比較例2>
第3架橋水溶液に浸漬する代わりに、10℃の水に浸漬したこと以外は実施例1と同様にして片面保護フィルム付偏光板、次いで評価用サンプルを作製した。
〔Ty、Py及び単体色相bの測定〕
得られた評価用サンプルの偏光板について、積分球付き吸光光度計(日本分光(株)製の「V7100」)を用い、得られた透過率、偏光度に対してJIS Z 8701の2度視野(C光源)により視感度補正を行い、視感度補正単体透過率Ty及び視感度補正偏光度Pyを測定した。また、同吸光光度計を用いて単体色相bを測定した。測定にあたっては、ガラス側に入射光が照射されるように評価用サンプルをセットした。得られた視感度補正単体透過率Ty、視感度補正偏光度Py及び単体色相bをそれぞれ、偏光フィルムの視感度補正単体透過率Ty、視感度補正偏光度Py及び単体色相bとした。結果を表1に示す。
〔ヨウ素元素含有率WI及びWI/Tyの測定〕
得られた片面保護フィルム付偏光板から保護フィルム及び接着剤層を除去して偏光フィルムを単離し、これを測定サンプルとして、JIS K 0127:2013に準拠する燃焼−イオンクロマトグラフィーによってヨウ素元素含有率WI〔重量%〕を求めた。燃焼−イオンクロマトグラフにおいては、燃焼装置として三菱化学アナリテック社製の塩素・硫黄分析装置「TOX−100」を用い、また、イオンクロマトグラフ装置としてサーモフィッシャーサイエンティフィック社製の「DX−500」を用いた。測定サンプルとして12.2mgの偏光フィルムを用い、測定サンプルの燃料前処理は、同JIS規格の6.3.5に従った。また、上で得られたTyを用いてWI/Tyを算出した。結果を表1に示す。
〔波長217nmにおける吸光度の測定〕
得られた片面保護フィルム付偏光板から保護フィルム及び接着剤層を除去して偏光フィルムを単離し、これを測定サンプルとして、吸光光度計((株)島津製作所製:UV2450)により190〜800nmの波長域にわたる吸光度を測定した。装置に起因する偏光の影響を避けるため、測定サンプルの吸収軸を装置に対して水平にして測定した吸光スペクトルと、90度回して測定した吸光スペクトルの平均値を偏光フィルムの吸光スペクトルとして採用した。この吸光スペクトルから、ヨウ化物イオン(I-)に由来する波長217nmにおける吸光度を求めた。結果を表1に示す。
実施例1〜2及び比較例1〜2の4つの偏光フィルムにおいて、得られた吸光度は、燃焼−イオンクロマトグラフィーで求めたヨウ素元素含有率WIと比例関係にあった。これは、Tyを同じに揃えているために、PVAと錯体を形成しているポリヨウ素の量が4つの偏光フィルム間でほぼ等しいことから、燃焼−イオンクロマトグラフィーで測定されたヨウ素元素含有率WIの大小が、ヨウ化物イオン(I-)量の大小を反映しているためであると考えられる。この結果より、燃焼−イオンクロマトグラフィーから求められるヨウ素元素含有率WIは、ヨウ化物イオン(I-)量を反映していることがわかる。
〔偏光板の耐水性評価〕
(1)耐湿熱性の評価
4cm角の評価用サンプルを80℃90%RHに調温、調湿されたオーブン中に48時間投入した後、サンプルを取り出し、約12時間、23℃55%RHの環境下で静置してから、上と同じ方法で視感度補正偏光度Pyを測定した。結果を表1に示す。
(2)耐温水性の評価
4cm角の評価用サンプルを60℃の水中に30分浸漬した後に、サンプルを引き上げ、約12時間、23℃55%RHの環境下で静置してから、上と同じ方法で単体色相bを測定した。また、試験後のサンプルの色相を目視で確認し、試験後もニュートラルグレーを維持している場合をA、青抜けが生じている場合をBとした。結果を表1に示す。
Figure 0006144731
1,2 偏光板、5 偏光フィルム、6 ポリビニルアルコール系樹脂層、6’ 延伸されたポリビニルアルコール系樹脂層、10 第1保護フィルム、15 第1接着剤層、20 第2保護フィルム、25 第2接着剤層、30 基材フィルム、30’ 延伸された基材フィルム、100 積層フィルム、200 延伸フィルム、300 偏光性積層フィルム、400 貼合フィルム。

Claims (6)

  1. ヨウ素元素含有率WI〔重量%〕が8.09以下であり、
    視感度補正単体透過率Ty〔%〕が40〜47%であり、
    前記視感度補正単体透過率Ty〔%〕に対するヨウ素元素含有率WI〔重量%〕の比WI/Tyが0.145以上であり、
    視感度補正偏光度が99.986%以上であり、
    波長217nmにおける吸光度が2.57以上である、偏光フィルムと、
    前記偏光フィルムの少なくとも一方の面上に活性エネルギー線硬化性接着剤により接着固定された保護フィルムと、
    を含む、偏光板。
  2. ヨウ素元素含有率WI〔重量%〕が8.09以下であり、
    視感度補正単体透過率Ty〔%〕が40〜47%であり、
    前記視感度補正単体透過率Ty〔%〕に対するヨウ素元素含有率WI〔重量%〕の比WI/Tyが0.145以上であり、
    視感度補正偏光度が99.986%以上であり、
    波長217nmにおける吸光度が2.57以上である、偏光フィルムと、
    粘着剤層(下記一般式(1)で表される化合物及び下記一般式(1)で表される化合物の多量体からなる群から選択される1種以上のリン酸系化合物、並びに(メタ)アクリル系ポリマーを含有するアクリル系粘着剤組成物から形成される粘着剤層を除く)と、
    を含む、偏光板。
    Figure 0006144731

    (式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、又は、酸素原子を含んでいてもよい、炭素数1〜18の炭化水素残基を表す。)
  3. 前記偏光フィルムは、前記WI/Tyが0.5以下である、請求項1又は2に記載の偏光板。
  4. 前記偏光フィルムは、厚みが10μm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の偏光板。
  5. 前記偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の偏光板。
  6. 前記偏光フィルムの少なくとも一方の面上に積層される保護フィルムと、
    をさらに含む、請求項2に記載の偏光板。
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