JP6560509B2 - 偏光板の製造方法及び偏光性積層フィルムの保管方法 - Google Patents

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Description

本発明は、偏光板の製造方法及び偏光フィルムの保管方法に関する。
偏光板は、液晶表示装置等の表示装置、とりわけ近年ではスマートフォンのような各種モバイル機器に広く用いられている。偏光板としては、偏光フィルムの片面又は両面に、接着剤を用いて保護フィルムを貼合した構成のものが一般的であるが、モバイル機器への展開に伴い、偏光板を構成する偏光フィルムや保護フィルムの薄膜化が益々求められている。
上記接着剤としては、ポリビニルアルコール水溶液のような水系接着剤や、紫外線硬化性接着剤のような活性エネルギー線硬化性接着剤が知られているが、透湿性の低い保護フィルムを貼合する場合などには、保護フィルム貼合後に接着剤層から水分を揮発除去することが困難であるため、活性エネルギー線硬化性接着剤が多用されている(例えば、特許文献1〜4)。
特開2013−205741号公報 特開2012−203205号公報 特開2012−203108号公報 特開2004−245925号公報
偏光板と保護フィルムとの貼合に活性エネルギー線硬化型接着剤を用いた偏光板は、温度が大きく変化する環境下で、クラック等の外観不良が発生し十分な耐久性を有しない場合がある。
そこで本発明は、偏光板と保護フィルムとの貼合に活性エネルギー線硬化型接着剤を用いた偏光板の製造方法であって、温度変化に対して良好な耐久性を示す偏光板を製造することができる方法の提供を目的とする。
本発明は、以下に示す偏光板の製造方法、及び偏光フィルムの保管方法を提供する。
[1] 偏光フィルムの少なくとも一方の面に保護フィルムを備える偏光板の製造方法であって、
ポリビニルアルコール系樹脂層から偏光フィルムを作製する偏光フィルム作製工程と、
前記偏光フィルムを35℃以上の温度で20時間以上保管する保管工程と、
前記偏光フィルムの少なくとも一方の面に、活性エネルギー線硬化性接着剤からなる接着剤層を介して保護フィルムを貼合する貼合工程と、
をこの順に含む、偏光板の製造方法。
[2] 前記保管工程の温度が50℃以下である、[1]に記載の偏光板の製造方法。
[3] 前記保管工程は基材フィルム上に前記偏光フィルムが設けられた偏光性積層フィルムを保管する工程であり、
前記偏光性積層フィルムは、
前記基材フィルムの少なくとも一方の面にポリビニルアルコール系樹脂を含有する塗工液を塗工した後、乾燥させることにより前記ポリビニルアルコール系樹脂層を形成して積層フィルムを得る樹脂層形成工程と、
前記積層フィルムを延伸して延伸フィルムを得る延伸工程と、
前記延伸フィルムの前記ポリビニルアルコール系樹脂層を二色性色素で染色して偏光フィルムを形成する染色工程と、を含む工程により得られる、[1]または[2]に記載の偏光板の製造方法。
[4] 前記偏光フィルムの厚さが、10μm以下である[1]〜[3]のいずれかに記載の偏光板の製造方法。
[5] 偏光フィルムを35℃以上の温度で20時間以上保管する工程を含む、偏光フィルムの保管方法。
[6] 前記偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂層から作製される、[5]に記載の偏光フィルムの保管方法。
本発明の製造方法によれば、偏光板と保護フィルムとの貼合に活性エネルギー線硬化型接着剤を用いた偏光板であって、温度変化に対して良好な耐久性を示す偏光板を提供することができる。また、本発明の保管方法により保管された偏光フィルムを用いることにより、良好な耐久性の偏光板を提供することができる。
本発明に係る製造方法によって得られる偏光板の層構成の一例を示す概略断面図である。 本発明に係る偏光板の製造方法の好ましい一例を示すフローチャートである。 樹脂層形成工程で得られる積層フィルムの層構成の一例を示す概略断面図である。 延伸工程で得られる延伸フィルムの層構成の一例を示す概略断面図である。 染色工程で得られる偏光性積層フィルムの層構成の一例を示す概略断面図である。 第1貼合工程で得られる貼合フィルムの層構成の一例を示す概略断面図である。 剥離工程で得られる片面保護フィルム付偏光板の層構成の一例を示す概略断面図である。
<偏光板の製造方法>
本発明の製造方法は、図1を参照すると、偏光フィルム5と、その一方の面に第1接着剤層15を介して積層される第1保護フィルム10と、他方の面に第2接着剤層25を介して積層される第2保護フィルム20とを備える偏光板(両面保護フィルム付偏光板)1を製造するための方法に関する。本発明の製造方法は、片面保護フィルム付偏光板を製造するための方法であってもよい。片面保護フィルム付偏光板は、図1の両面保護フィルム付偏光板1の層構成の一部である、偏光フィルム5と、第1接着剤層15と、第1保護フィルム10とからなる層構成を有する。
以下、実施の形態を示して、本発明に係る偏光板の製造方法について詳細に説明する。
〔第1の実施形態〕
図2を参照すると、本実施形態に係る偏光板の製造方法は、基材フィルムを使用して両面保護フィルム付偏光板1を製造する方法であり、下記工程:
基材フィルムの少なくとも一方の面にポリビニルアルコール系樹脂を含有する塗工液を塗工し、塗工層を得た後、塗工層を乾燥させることによりポリビニルアルコール系樹脂層を形成して積層フィルムを得る樹脂層形成工程S10、
積層フィルムを延伸して延伸フィルムを得る延伸工程S20、
延伸フィルムのポリビニルアルコール系樹脂層を二色性色素で染色して偏光フィルムを形成することにより偏光性積層フィルムを得る染色工程S30、
偏光性積層フィルムを35℃以上の温度で20時間以上保管する保管工程S40、
偏光性積層フィルムの偏光フィルム上に、第1接着剤層を介して第1保護フィルムを貼合して貼合フィルムを得る第1貼合工程S50、
貼合フィルムから基材フィルムを剥離除去して片面保護フィルム付偏光板を得る剥離工程S60、及び
片面保護フィルム付偏光板の偏光フィルム面上に、第2接着剤層を介して第2保護フィルムを貼合する第2貼合工程S70
をこの順で含む。
なお、片面保護フィルム付偏光板を製造する方法は、上記方法における、樹脂層形成工程S10、延伸工程S20、染色工程S30、保管工程S40、第1貼合工程S50、剥離工程S60を順に含む。
以下、図3〜図7を参照しながら各工程について説明する。なお樹脂層形成工程S10において、ポリビニルアルコール系樹脂層を基材フィルムの両面に形成してもよいが、以下では主に片面に形成する場合について説明する。
(1)樹脂層形成工程S10
図3を参照して、樹脂層形成工程S10を説明する。本工程は、基材フィルム30の少なくとも一方の面にポリビニルアルコール系樹脂層6を形成して積層フィルム100を得る工程である。このポリビニルアルコール系樹脂層6は、延伸工程S20及び染色工程S30を経て偏光フィルム5となる層である。ポリビニルアルコール系樹脂層6は、ポリビニルアルコール系樹脂を含有する塗工液を基材フィルム30の片面又は両面に塗工し、塗工層を得た後、塗工層を乾燥させることにより形成することができる。このような塗工によってポリビニルアルコール系樹脂層を形成する方法は、薄膜の偏光フィルム5を得やすい点で有利である。
基材フィルム30は熱可塑性樹脂から構成することができ、中でも透明性、機械的強度、熱安定性、延伸性等に優れる熱可塑性樹脂から構成することが好ましい。このような熱可塑性樹脂の具体例は、例えば、鎖状ポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂等)のようなポリオレフィン系樹脂;ポリエステル系樹脂;(メタ)アクリル系樹脂;セルローストリアセテート、セルロースジアセテートのようなセルロースエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂;ポリ酢酸ビニル系樹脂;ポリアリレート系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリスルホン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;及びこれらの混合物、共重合物を含む。
基材フィルム30は、1種又は2種以上の熱可塑性樹脂からなる1つの樹脂層からなる単層構造であってもよいし、1種又は2種以上の熱可塑性樹脂からなる樹脂層を複数積層した多層構造であってもよい。基材フィルム30は、後述する延伸工程S20にて積層フィルム100を延伸する際、ポリビニルアルコール系樹脂層6を延伸するのに好適な延伸温度で延伸できるような樹脂で構成されることが好ましい。
基材フィルム30は、添加剤を含有することができる。添加剤の具体例は、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、及び着色剤を含む。
基材フィルム30の厚みは、強度や取扱性等の点から、通常1〜500μmであり、好ましくは1〜300μm、より好ましくは5〜200μm、さらに好ましくは5〜150μmである。
基材フィルム30に塗工する塗工液は、好ましくはポリビニルアルコール系樹脂の粉末を良溶媒(例えば水)に溶解させて得られるポリビニルアルコール系樹脂溶液である。塗工液は必要に応じて、可塑剤、界面活性剤等の添加剤を含有していてもよい。ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化したものを用いることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体が例示される。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有するアクリルアミド類等が挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、80.0〜100.0モル%の範囲であることができるが、好ましくは90.0〜99.5モル%の範囲であり、より好ましくは94.0〜99.0モル%の範囲である。ケン化度が80.0モル%未満であると、得られる偏光板1の耐水性及び耐湿熱性が低下する。ケン化度が99.5モル%を超えるポリビニルアルコール系樹脂を使用した場合、染色速度が遅くなり、生産性が低下するとともに十分な偏光性能を有する偏光フィルム5が得られない場合がある。
ケン化度とは、ポリビニルアルコール系樹脂の原料であるポリ酢酸ビニル系樹脂に含まれる酢酸基(アセトキシ基:−OCOCH3)がケン化工程により水酸基に変化した割合をユニット比(モル%)で表したものであり、下記式:
ケン化度(モル%)=100×(水酸基の数)÷(水酸基の数+酢酸基の数)
で定義される。ケン化度は、JIS K 6726(1994)に準拠して求めることができる。ケン化度が高いほど、水酸基の割合が高いことを示しており、従って結晶化を阻害する酢酸基の割合が低いことを示している。
ポリビニルアルコール系樹脂は、一部が変性されている変性ポリビニルアルコールであってもよい。変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂をエチレン、プロピレン等のオレフィン;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸;不飽和カルボン酸のアルキルエステル、アクリルアミド等で変性したものが挙げられる。変性の割合は30モル%未満であることが好ましく、10%未満であることがより好ましい。30モル%を超える変性を行った場合には、変性ポリビニルアルコールが、二色性色素を吸着しにくくなり、十分な偏光性能を有する偏光フィルム5が得られにくい傾向がある。
ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は、好ましくは100〜10000であり、より好ましくは1500〜8000であり、さらに好ましくは2000〜5000である。ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度もJIS K 6726(1994)に準拠して求めることができる。
上記塗工液を基材フィルム30に塗工する方法は、ワイヤーバーコーティング法;リバースコーティング、グラビアコーティングのようなロールコーティング法;ダイコート法;カンマコート法;リップコート法;スピンコーティング法;スクリーンコーティング法;ファウンテンコーティング法;ディッピング法;スプレー法等の方法から適宜選択することができる。
塗工層(乾燥前のポリビニルアルコール系樹脂層)の乾燥温度及び乾燥時間は塗工液に含まれる溶媒の種類に応じて設定される。乾燥温度は、例えば50〜200℃であり、好ましくは60〜150℃である。溶媒が水を含む場合、乾燥温度は80℃以上であることが好ましい。
ポリビニルアルコール系樹脂層6は、基材フィルム30の一方の面のみに形成してもよいし、両面に形成してもよい。両面に形成すると偏光性積層フィルム300(図6参照)の製造時に発生し得るフィルムのカールを抑制できるとともに、1枚の偏光性積層フィルム300から2枚の偏光板を得ることができるので、偏光板の生産効率の面でも有利である。
積層フィルム100におけるポリビニルアルコール系樹脂層6の厚みは、好ましくは3〜60μmであり、より好ましくは5〜40μmであり、さらに好ましくは5〜20μmである。この範囲内の厚みを有するポリビニルアルコール系樹脂層6であれば、後述する延伸工程S20及び染色工程S30を経て、二色性色素の染色性が良好で偏光性能に優れ、かつ十分に薄い(例えば厚み20μm以下、さらには10μm以下の)偏光フィルム5を得ることができる。
塗工液の塗工に先立ち、基材フィルム30とポリビニルアルコール系樹脂層6との密着性を向上させるために、少なくともポリビニルアルコール系樹脂層6が形成される側の基材フィルム30の表面に、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム(火炎)処理等を施してもよい。また同様の理由で、基材フィルム30上にプライマー層等を介してポリビニルアルコール系樹脂層6を形成してもよい。
プライマー層は、プライマー層形成用塗工液を基材フィルム30の表面に塗工した後、乾燥させることにより形成することができる。この塗工液は、基材フィルム30とポリビニルアルコール系樹脂層6との両方にある程度強い密着力を発揮する成分を含み、通常は、このような密着力を付与する樹脂成分と溶媒とを含む。樹脂成分としては、好ましくは透明性、熱安定性、延伸性等に優れる熱可塑樹脂が用いられ、例えば(メタ)アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂等が挙げられる。中でも、良好な密着力を与えるポリビニルアルコール系樹脂が好ましく用いられる。より好ましくは、ポリビニルアルコール樹脂である。溶媒としては通常、上記樹脂成分を溶解できる一般的な有機溶媒や水系溶媒が用いられるが、水を溶媒とする塗工液からプライマー層を形成することが好ましい。
プライマー層は、後述する剥離工程S60において、基材フィルムと一緒になって偏光フィルム5から剥がれる場合と、偏光フィルム5と一緒になって基材フィルムから剥がれる場合がある。前者であれば、上述したような、偏光フィルムから剥がれやすい任意の熱可塑性樹脂でプライマー層を形成することができる。一方、後者であれば、プライマー層は後述する染色工程S30においてポリビニルアルコール系樹脂層とともに染色され、剥離工程S60で基材フィルムを剥離した後は、ポリビニルアルコール系樹脂層が染色された層と一緒になって偏光フィルム5となる必要がある。例えばポリビニルアルコール系樹脂でプライマー層を形成すれば、そのプライマー層は、後の染色工程S30においてポリビニルアルコール系樹脂層とともに染色され、剥離工程S60において偏光フィルム5と一緒になって基材フィルムから剥がれ、偏光フィルム5の一部となる。
プライマー層の強度を上げるために、プライマー層形成用塗工液に架橋剤を添加してもよい。架橋剤の具体例は、エポキシ系、イソシアネート系、ジアルデヒド系、金属系(例えば、金属塩、金属酸化物、金属水酸化物、有機金属化合物)、高分子系の架橋剤を含む。プライマー層を形成する樹脂成分としてポリビニルアルコール系樹脂を使用する場合は、ポリアミドエポキシ樹脂、メチロール化メラミン樹脂、ジアルデヒド系架橋剤、金属キレート化合物系架橋剤等が好適に用いられる。
プライマー層の厚みは、0.05〜1μm程度であることが好ましく、0.1〜0.4μmであることがより好ましい。0.05μmより薄くなると、基材フィルム30とポリビニルアルコール系樹脂層6との密着力向上の効果が小さく、1μmより厚くなると、偏光板1の薄膜化に不利である。
プライマー層形成用塗工液を基材フィルム30に塗工する方法は、ポリビニルアルコール系樹脂層形成用の塗工液と同様であることができる。プライマー層形成用塗工液からなる塗工層の乾燥温度は、例えば50〜200℃であり、好ましくは60〜150℃である。溶媒が水を含む場合、乾燥温度は80℃以上であることが好ましい。
(2)延伸工程S20
図4を参照して延伸工程S20を説明する。本工程は、基材フィルム30及びポリビニルアルコール系樹脂層6からなる積層フィルム100を延伸して、延伸された基材フィルム30’及びポリビニルアルコール系樹脂層6’からなる延伸フィルム200を得る工程である。延伸処理は通常、一軸延伸である。
積層フィルム100の延伸倍率は、所望する偏光特性に応じて適宜選択することができるが、好ましくは、積層フィルム100の元長に対して5倍超17倍以下であり、より好ましくは5倍超8倍以下である。延伸倍率が5倍以下であると、ポリビニルアルコール系樹脂層6’が十分に配向しないため、偏光フィルム5の偏光度が十分に高くならないことがある。一方、延伸倍率が17倍を超えると、延伸時にフィルムの破断が生じ易くなるとともに、延伸フィルム200の厚みが必要以上に薄くなり、後工程での加工性及び取扱性が低下するおそれがある。
延伸処理は、一段での延伸に限定されることはなく多段で行うこともできる。この場合、多段階の延伸処理のすべてを染色工程S30の前に連続的に行ってもよいし、二段階目以降の延伸処理を染色工程S30における染色処理及び/又は架橋処理と同時に行ってもよい。この場合、後述の染色工程S30においても延伸することを見越して、延伸工程S20においける延伸倍率を1倍超3.5倍以下とすることができる。このように多段で延伸処理を行う場合は、延伸処理の全段を合わせて5倍超の延伸倍率となるように延伸処理を行うことが好ましい。
延伸処理は、フィルム長手方向(フィルム搬送方向)に延伸する縦延伸であることができるほか、フィルム幅方向に延伸する横延伸又は斜め延伸等であってもよい。縦延伸方式としては、ロールを用いて延伸するロール間延伸、圧縮延伸、チャック(クリップ)を用いた延伸等が挙げられ、横延伸方式としては、テンター法等が挙げられる。延伸処理は、湿潤式延伸方法、乾式延伸方法のいずれも採用できる。
延伸温度は、ポリビニルアルコール系樹脂層6及び基材フィルム30全体が延伸可能な程度に流動性を示す温度以上に設定され、好ましくは基材フィルム30の相転移温度(融点又はガラス転移温度)の−30℃から+30℃の範囲であり、より好ましくは−30℃から+5℃の範囲であり、さらに好ましくは−25℃から+0℃の範囲である。基材フィルム30が複数の樹脂層からなる場合、上記相転移温度は該複数の樹脂層が示す相転移温度のうち、最も高い相転移温度を意味する。
延伸温度を相転移温度の−30℃より低くすると、5倍超の高倍率延伸が達成されにくいか、又は、基材フィルム30の流動性が低すぎて延伸処理が困難になる傾向にある。延伸温度が相転移温度の+30℃を超えると、基材フィルム30の流動性が大きすぎて延伸が困難になる傾向にある。5倍超の高延伸倍率をより達成しやすいことから、延伸温度は上記範囲内であって、さらに好ましくは120℃以上である。
延伸処理における積層フィルム100の加熱方法としては、ゾーン加熱法(例えば、熱風を吹き込み所定の温度に調整した加熱炉のような延伸ゾーン内で加熱する方法。);ロールを用いて延伸する場合において、ロール自体を加熱する方法;ヒーター加熱法(赤外線ヒーター、ハロゲンヒーター、パネルヒーター等を積層フィルム100の上下に設置し輻射熱で加熱する方法)等がある。ロール間延伸方式においては、延伸温度の均一性の観点からゾーン加熱法が好ましい。
なお、延伸温度とは、ゾーン加熱法の場合、ゾーン内(例えば加熱炉内)の雰囲気温度を意味し、ヒーター加熱法においても炉内で加熱を行う場合は炉内の雰囲気温度を意味する。また、ロール自体を加熱する方法の場合は、ロールの表面温度を意味する。
延伸工程S20に先立ち、積層フィルム100を予熱する予熱処理工程を設けてもよい。予熱方法としては、延伸処理における加熱方法と同様の方法を用いることができる。予熱温度は、延伸温度の−50℃から±0℃の範囲であることが好ましく、延伸温度の−40℃から−10℃の範囲であることがより好ましい。
また、延伸工程S20における延伸処理の後に、熱固定処理工程を設けてもよい。熱固定処理は、延伸フィルム200の端部をクリップにより把持した状態で緊張状態に維持しながら、結晶化温度以上で熱処理を行う処理である。この熱固定処理によってポリビニルアルコール系樹脂層6’の結晶化が促進される。熱固定処理の温度は、延伸温度の−0℃〜−80℃の範囲であることが好ましく、延伸温度の−0℃〜−50℃の範囲であることがより好ましい。
(3)染色工程S30
図5を参照して本工程は、延伸フィルム200のポリビニルアルコール系樹脂層6’を二色性色素で染色してこれを吸着配向させ、偏光フィルム5とする工程である。本工程を経て基材フィルム30’の片面又は両面に偏光フィルム5が積層された偏光性積層フィルム300が得られる。二色性色素は、ヨウ素、二色性有機染料であることができる。二色性有機染料の具体例は、レッドBR、レッドLR、レッドR、ピンクLB、ルビンBL、ボルドーGS、スカイブルーLG、レモンイエロー、ブルーBR、ブルー2R、ネイビーRY、グリーンLG、バイオレットLB、バイオレットB、ブラックH、ブラックB、ブラックGSP、イエロー3G、イエローR、オレンジLR、オレンジ3R、スカーレットGL、スカーレットKGL、コンゴーレッド、ブリリアントバイオレットBK、スプラブルーG、スプラブルーGL、スプラオレンジGL、ダイレクトスカイブルー、ダイレクトファーストオレンジS、ファーストブラックを含む。二色性色素は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
染色工程は、二色性色素を含有する溶液(染色溶液)に延伸フィルム200を浸漬することにより行うことができる。染色溶液としては、二色性色素を溶媒に溶解した溶液を使用できる。溶媒としては、一般的には水が使用されるが、水と相溶性のある有機溶媒がさらに添加されてもよい。染色溶液における二色性色素の濃度は、好ましくは0.01〜10重量%であり、より好ましくは0.02〜7重量%である。
二色性色素としてヨウ素を使用する場合、染色効率の向上が可能であることから、染色溶液にヨウ化物をさらに添加することが好ましい。ヨウ化物としては、例えばヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタン等が挙げられる。染色溶液におけるヨウ化物の濃度は、好ましくは0.01〜20重量%である。ヨウ化物の中でも、ヨウ化カリウムを添加することが好ましい。ヨウ化カリウムを添加する場合、ヨウ素とヨウ化カリウムとの割合は重量比で、好ましくは1:5〜1:100であり、より好ましくは1:6〜1:80である。染色溶液の温度は、好ましくは10〜60℃であり、より好ましくは20〜40℃である。
なお、染色工程S30を延伸工程S20の前に行ったり、これらの工程を同時に行ったりすることも可能であるが、ポリビニルアルコール系樹脂層に吸着させる二色性色素を良好に配向させることができるよう、積層フィルム100に対して少なくとも1倍超の延伸処理を施した後に染色工程S30を実施することが好ましい。
染色工程S30は、染色処理に引き続いて実施される架橋処理工程を含むことができる。架橋処理は、架橋剤を溶媒に溶解した溶液(架橋溶液)中に染色されたフィルムを浸漬することにより行うことができる。架橋剤としては、例えば、ホウ酸、ホウ砂のようなホウ素化合物、グリオキザール、グルタルアルデヒド等が挙げられる。架橋剤は1種のみを使用してもよいし2種以上を併用してもよい。架橋溶液の溶媒としては、水が使用できるが、水と相溶性のある有機溶媒をさらに含んでもよい。架橋溶液における架橋剤の濃度は、好ましくは1〜20重量%であり、より好ましくは6〜15重量%である。
架橋溶液はヨウ化物をさらに含むことができる。ヨウ化物の添加により、偏光フィルム5の面内における偏光性能をより均一化させることができる。ヨウ化物の具体例は上記と同様である。架橋溶液におけるヨウ化物の濃度は、好ましくは0.05〜15重量%であり、より好ましくは0.5〜8重量%である。架橋溶液の温度は、好ましくは10〜90℃である。
なお架橋処理は、架橋剤を染色溶液中に配合することにより、染色処理と同時に行うこともできる。また、組成の異なる2種以上の架橋溶液を用いて、架橋溶液に浸漬する処理を2回以上行ってもよい。
染色工程S30の後、後述する第1貼合工程S50の前に洗浄工程及び乾燥工程を行うことが好ましい。洗浄工程は通常、水洗浄工程を含む。水洗浄処理は、イオン交換水、蒸留水のような純水に染色処理後の又は架橋処理後のフィルムを浸漬することにより行うことができる。水洗浄温度は、通常3〜50℃、好ましくは4〜20℃である。洗浄工程は、水洗浄工程とヨウ化物溶液による洗浄工程との組み合わせであってもよい。洗浄工程の後に行われる乾燥工程としては、自然乾燥、送風乾燥、加熱乾燥等の任意の適切な方法を採用し得る。例えば加熱乾燥の場合、乾燥温度は通常20〜95℃である。ヨウ化物としては、ヨウ化カリウムが挙げられ、ヨウ化物溶液におけるヨウ化カリウムの濃度は、通常0.5〜10重量%である。
乾燥処理によって、偏光フィルムの水分率は実用程度にまで低減される。その水分率は通常、5〜20重量%であり、8〜15重量%が好ましい。水分率が5重量%を下回ると、偏光フィルムの可撓性が失われ、偏光フィルムがその乾燥後に損傷したり、破断したりする場合がある。また、水分率が20重量%を上回ると、偏光フィルムの熱安定性に劣る場合がある。
(4)保管工程S40(偏光フィルムの保管方法)
本工程は、偏光性積層フィルム300を35℃以上の温度で20時間以上保管する工程である。本工程に供する偏光フィルムは、水分率が20重量%以下であることが好ましく、15重量%以下であることがより好ましい。本工程により、偏光フィルムの突刺し強度を向上させることができ、温度変化に対して良好な耐久性を示す偏光板を得ることができる。偏光フィルムの吸収軸方向における単位膜厚あたりの突刺し強度は、5.2(g/μm)以上であることが好ましく、5.5(g/μm)以上であることがより好ましい。偏光フィルムの吸収軸方向における突刺し強度が5.2(g/μm)以上である場合、温度変化に対してより良好な耐久性を示す偏光板を得ることができる。
この単位膜厚あたりの突刺し強度は、偏光フィルムに対して突刺し治具を垂直に突き刺し、その延伸軸(吸収軸)に沿って偏光フィルムが裂けるときの強さのことであり、例えば、ロードセルを備えた圧縮試験機で測定することができる。圧縮試験機の例としては、(株)カトーテック社製のハンディー圧縮試験器“KES-G5型”、(株)島津製作所社製の小型卓上試験機“EZ Test”などが挙げられる。
測定は、突刺し治具が通過することができる直径15mm以下の円形の穴の開いた2枚のサンプル台の間に偏光フィルムを挟んで行われる。突刺し治具は、円柱状の棒であり、その偏光フィルムに接する先端が球形又は半球形である突刺し針を備えることが好ましい。先端の球形部又は半球形部は、直径が0.5mmφ以上であり、5mmφ以下であることが好ましい。また、その曲率半径が0Rよりも大きく、0.7Rよりも小さいことが好ましい。圧縮試験機の突刺し速度は、0.05cm/秒以上であり、0.5cm/秒以下であることが好ましい。
突刺し強度の測定は、この試験片を治具に固定して法線方向から突刺していき、延伸方向(吸収軸方向)と水平に、一箇所裂けた際の強度を測定すればよい。測定は、5個以上の偏光フィルムの試験片について行い、その平均値を突刺し強度として求めることができる。測定された突刺し強度を、測定に使用した偏光フィルムの膜厚で除することにより、単位膜厚あたりの突刺し強度を算出することができる。この方法では、偏光フィルムを透過軸方向に引っ張り、吸収軸方向に裂けた際の破断強度を定量的に測定することができるため、これまでは偏光フィルムが裂けやすいために測定できなかった吸収軸方向の強度を測定することができる。
保管工程における温度は50℃以下であることが好ましい。50℃を超える温度で保管した場合は、偏光フィルムの偏光性能が低下する場合がある。保管工程の保管時間は、生産性の観点から120時間以下であることが好ましい。なお、偏光性積層フィルム300が長尺状である場合は、これをロール状に巻き取って偏光性積層フィルムロールを得て、偏光性積層フィルムロールとして保管すると取扱い性が良好であり生産性を低下させない点から好ましい。巻取り長さは4000m以下であることが好ましい。巻取り長さが4000mを超える場合は、ロール内部へ熱が伝わりにくくなり、養生の効果にムラが出来る可能性がある。このような観点から、巻き取り長さは、より好ましくは、2500m以下であり、さらに好ましくは1500m以下である。
(5)第1貼合工程S50
図6を参照して第1貼合工程S50を説明する。本工程は、偏光性積層フィルム300の偏光フィルム5上、すなわち、偏光フィルム5の基材フィルム30’側とは反対側の面に第1接着剤層15を介して第1保護フィルム10を貼合することで貼合フィルム400を得る工程である。なお、偏光性積層フィルム300が基材フィルム30’の両面に偏光フィルム5を有する場合は通常、両面の偏光フィルム5上にそれぞれ第1保護フィルム10が貼合される。この場合、これらの第1保護フィルム10は同種の保護フィルムであってもよく異種の保護フィルムであってもよい。
第1保護フィルム10は、透光性を有する(好ましくは光学的に透明な)熱可塑性樹脂、例えば、鎖状ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂等)、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂等)のようなポリオレフィン系樹脂;セルローストリアセテート、セルロースジアセテートのようなセルロースエステル系樹脂;ポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;(メタ)アクリル系樹脂;ポリスチレン系樹脂;又はこれらの混合物、共重合物等からなるフィルムであることができる。中でも本発明において好適に用いられる第1保護フィルム10(後述する第2保護フィルム20も同様)は、水系接着剤では接着が難しい透湿性の低い保護フィルム、例えばポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂等からなる保護フィルムである。
第1保護フィルム10は、位相差フィルム、輝度向上フィルムのような光学機能を併せ持つ保護フィルムであることもできる。例えば、上記熱可塑性樹脂からなるフィルムを延伸(一軸延伸又は二軸延伸等)したり、該フィルム上に液晶層等を形成したりすることにより、任意の位相差値が付与された位相差フィルムとすることができる。
鎖状ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂のような鎖状オレフィンの単独重合体のほか、2種以上の鎖状オレフィンからなる共重合体を挙げることができる。
環状ポリオレフィン系樹脂は、環状オレフィンを重合単位として重合される樹脂の総称である。環状ポリオレフィン系樹脂の具体例を挙げれば、環状オレフィンの開環(共)重合体、環状オレフィンの付加重合体、環状オレフィンとエチレン、プロピレンのような鎖状オレフィンとの共重合体(代表的にはランダム共重合体)、及びこれらを不飽和カルボン酸やその誘導体で変性したグラフト重合体、並びにそれらの水素化物等である。中でも、環状オレフィンとしてノルボルネンや多環ノルボルネン系モノマー等のノルボルネン系モノマーを用いたノルボルネン系樹脂が好ましく用いられる。
セルロースエステル系樹脂は、セルロースと脂肪酸とのエステルである。セルロースエステル系樹脂の具体例は、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリプロピオネート、セルロースジプロピオネートを含む。また、これらの共重合物や、水酸基の一部が他の置換基で修飾されたものを用いることもできる。これらの中でも、セルローストリアセテート(トリアセチルセルロース:TAC)が特に好ましい。
ポリエステル系樹脂はエステル結合を有する、上記セルロースエステル系樹脂以外の樹脂であり、多価カルボン酸又はその誘導体と多価アルコールとの重縮合体からなるものが一般的である。多価カルボン酸又はその誘導体としてはジカルボン酸又はその誘導体を用いることができ、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ジメチルテレフタレート、ナフタレンジカルボン酸ジメチル等が挙げられる。多価アルコールとしてはジオールを用いることができ、例えばエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
ポリエステル系樹脂の具体例は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリシクロへキサンジメチルテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチルナフタレートを含む。
ポリカーボネート系樹脂は、カルボナート基を介してモノマー単位が結合された重合体からなる。ポリカーボネート系樹脂は、ポリマー骨格を修飾したような変性ポリカーボネートと呼ばれる樹脂や、共重合ポリカーボネート等であってもよい。
(メタ)アクリル系樹脂は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を主な構成モノマーとする樹脂である。(メタ)アクリル系樹脂の具体例は、例えば、ポリメタクリル酸メチルのようなポリ(メタ)アクリル酸エステル;メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体;メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体;メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体;(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂等);メタクリル酸メチルと脂環族炭化水素基を有する化合物との共重合体(例えば、メタクリル酸メチル−メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体等)を含む。好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸メチルのようなポリ(メタ)アクリル酸C1-6アルキルエステルを主成分とする重合体が用いられ、より好ましくは、メタクリル酸メチルを主成分(50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%)とするメタクリル酸メチル系樹脂が用いられる。
なお、上で掲げた各種熱可塑性樹脂の具体例は、上記基材フィルム30を構成する熱可塑性樹脂の具体例でもある。
第1保護フィルム10は、滑剤、可塑剤、分散剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤のような添加剤を1種又は2種以上含有することができる。
第1保護フィルム10の厚みは、偏光板1の薄型化の観点から、好ましくは90μm以下、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは30μm以下である。第1保護フィルム10の厚みは、強度及び取扱性の観点から、通常5μm以上である。
第1保護フィルム10を偏光フィルム5に貼合するための第1接着剤層15を形成する接着剤としては、紫外線、可視光、電子線、X線のような活性エネルギー線の照射によって硬化する活性エネルギー線硬化性接着剤が用いられる。活性エネルギー線硬化性接着剤は、好ましくは紫外線硬化性接着剤である。活性エネルギー線硬化性接着剤を用いることは、1)無溶剤型の接着剤として調製することができるため、乾燥工程を不要にすることができる、2)透湿度の低い保護フィルムの貼合に用いることができ、水系接着剤と比べて貼合可能な保護フィルムの種類が多い、といった利点がある。
活性エネルギー線硬化性接着剤としては、カチオン重合性の硬化性化合物及び/又はラジカル重合性の硬化性化合物を含む活性エネルギー線硬化性接着剤組成物を好ましく用いることができる。活性エネルギー線硬化性接着剤は通常、上記硬化性化合物の硬化反応を開始させるためのカチオン重合開始剤及び/又はラジカル重合開始剤をさらに含む。
カチオン重合性の硬化性化合物としては、例えば、エポキシ系化合物(分子内に1個又は2個以上のエポキシ基を有する化合物)や、オキセタン系化合物(分子内に1個又は2個以上のオキセタン環を有する化合物)、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。ラジカル重合性の硬化性化合物としては、例えば、(メタ)アクリル系化合物(分子内に1個又は2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物)や、ラジカル重合性の二重結合を有するその他のビニル系化合物、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。カチオン重合性の硬化性化合物とラジカル重合性の硬化性化合物とを併用してもよい。
活性エネルギー線硬化性接着剤は、必要に応じて、カチオン重合促進剤、イオントラップ剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、粘着付与剤、熱可塑性樹脂、充填剤、流動調整剤、可塑剤、消泡剤、帯電防止剤、レベリング剤、溶剤等の添加剤を含有することができる。
第1接着剤層15となる活性エネルギー線硬化性接着剤を介して第1保護フィルム10を偏光フィルム5上に積層した後、紫外線、可視光、電子線、X線のような活性エネルギー線を照射して接着剤層を硬化させることによって、第1保護フィルム10を偏光フィルム5に接着貼合することができる。活性エネルギー線は、好ましくは紫外線であり、この場合の光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ等を用いることができる。得られる偏光板1において第1接着剤層15は、活性エネルギー線硬化性接着剤の硬化物層である。
偏光フィルム5に第1保護フィルム10を貼合するにあたり、第1保護フィルム10及び/又は偏光フィルム5の貼合面には、偏光フィルム5との接着性を向上させるために、プラズマ処理、コロナ処理、紫外線照射処理、フレーム(火炎)処理、ケン化処理のような表面処理(易接着処理)を行うことができる。好ましい表面処理は、プラズマ処理、コロナ処理、ケン化処理である。
第1接着剤層15の硬化後の厚みは、好ましくは0.75μm以下であり、より好ましくは0.7μm以下であり、さらに好ましくは0.5μm以下である。第1接着剤層15の硬化後の厚みは、接着性の観点から、通常0.01μm以上であり、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.2μm以上、さらに好ましくは0.3μm以上である。厚みがあまりに小さいと、第1保護フィルム10と偏光フィルム5との接着性が十分でない場合がある。
活性エネルギー線硬化性接着剤を第1保護フィルム10及び/又は偏光フィルム5の貼合面に塗工する方法は特に制限されないが、第1接着剤層15のように接着剤層の厚みを小さくするには、小径グラビア等を用いて接着剤を塗工する方法が好適であり、とりわけ、グラビア回転ドロー(ライン速度に対するグラビア回転速度の比)を高くし、グラビアの回転速度を相対的に速くする方法や、グラビアのメッシュの線数を高くする等の方法によって、接着剤層の厚みを小さくすることができる。特に、接着剤層の厚みを1μm以下とするためには、レーザー彫刻によってメッシュを彫ったグラビアを用いることが好ましく、ハニカム形状のグラビアロールを用いることが特に好ましい。例えば、ハニカム形状で1インチあたりのハニカム数が400列を超えるものが好適に用いられる。
(6)剥離工程S60
図7を参照して剥離工程S60を説明する。本工程は、貼合フィルム400から基材フィルム30’を剥離除去する工程である。この工程を経て、偏光フィルム5の片面に第1保護フィルム10が積層された片面保護フィルム付偏光板500が得られる。偏光性積層フィルム300が基材フィルム30’の両面に偏光フィルム5を有し、これら両方の偏光フィルム5に第1保護フィルム10を貼合した場合には、この剥離工程S60により、1枚の偏光性積層フィルム300から2枚の片面保護フィルム付偏光板500が得られる。
基材フィルム30’を剥離除去する方法は特に限定されるものでなく、通常の粘着剤付偏光板で行われるセパレータ(剥離フィルム)の剥離工程と同様の方法で剥離できる。基材フィルム30’は、第1貼合工程S50の後、そのまますぐ剥離してもよいし、第1貼合工程S50の後、一度ロール状に巻き取り、その後の工程で巻き出しながら剥離してもよい。
(7)第2貼合工程S70
本工程は、片面保護フィルム付偏光板500の偏光フィルム5面上、すなわち第1貼合工程S50にて貼合した第1保護フィルム10とは反対側の面に、第2接着剤層25を介して第2保護フィルム20を貼合し、図1に示されるような両面保護フィルム付の偏光板1を得る工程である。
第2保護フィルム20は、第1保護フィルム10と同様、上で例示した熱可塑性樹脂からなるフィルムであることができ、位相差フィルム、輝度向上フィルムのような光学機能を併せ持つ保護フィルムであってもよい。第2保護フィルム20が含有し得る添加剤及びフィルムの厚み等については、第1保護フィルム10について述べた上の記載が引用される。第1保護フィルム10と第2保護フィルム20とは、互いに同種の樹脂からなる保護フィルムであってもよいし、異種の樹脂からなる保護フィルムであってもよい。
両面保護フィルム付の偏光板1を液晶セルに貼合する際に、視認側に位置する保護フィルム(第1保護フィルム10または第2保護フィルム20)の偏光フィルム5とは反対側の表面には、ハードコート層、防眩層、反射防止層、帯電防止層、防汚層のような表面処理層(コーティング層)を形成することもできる。表面処理層を形成する方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
第2保護フィルム20を偏光フィルム5に貼合するための第2接着剤層25を形成する接着剤としては、第1接着剤層15と同様、活性エネルギー線硬化性接着剤が用いられる。活性エネルギー線硬化性接着剤は、好ましくは紫外線硬化性接着剤である。得られる偏光板1において第2接着剤層25は、活性エネルギー線硬化性接着剤の硬化物層である。活性エネルギー線硬化性接着剤の具体例については、第1接着剤層15について述べた上の記載が引用される。第1接着剤層15を形成する接着剤と第2接着剤層25を形成する接着剤とは、組成に関し、同種であってもよいし異種であってもよい。第2接着剤層25を介した第2保護フィルム20の貼合は、第1保護フィルム10の貼合と同様にして行うことができる。
第2接着剤層25の硬化後の厚みは、第1接着剤層15について述べた上の記載が引用される。第1接着剤層25の硬化後の厚みと第2接着剤層25の硬化後の厚みとは、同じであってもよいし、違いがあってもよい。
〔第2の実施形態〕
第1の実施形態は、基材フィルム上に塗工したポリビニルアルコール系樹脂層から偏光フィルムを形成し、これを保管工程に供した後に、偏光板を製造する方法であるが、これに制限されず、ポリビニルアルコール系樹脂の原反フィルムに延伸工程及び染色工程を施して偏光フィルム5を作製し(偏光フィルム作製工程)、得られた偏光フィルム5を保管工程に供した後に、偏光フィルム5に第1保護フィルム10及び第2保護フィルム20をこの順で貼合して偏光板1を製造してもよい。このようなポリビニルアルコール系樹脂の原反フィルムから得られる偏光フィルムも、ポリビニルアルコール系樹脂層から作成される偏光フィルムに含まれる。偏光フィルム5の保管方法、第1,第2接着剤層10,20を介した第1,第2保護フィルム10,20の貼合方法は、第1の実施形態と同様であることができる。
ポリビニルアルコール系樹脂の原反フィルムからなる偏光フィルム5は、例えば、溶融押出法、溶剤キャスト法のような公知の方法によりポリビニルアルコール系樹脂フィルムを作製する工程;ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程;ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色し、これを吸着させる工程;二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程;及び、ホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程、を含む方法によって製造することができる。一軸延伸は、二色性色素の染色前、染色と同時、又は染色の後に行うことができる。一軸延伸を染色の後で行う場合、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前又はホウ酸処理中に行なってもよい。また、これらの複数の段階で一軸延伸を行ってもよい。
<偏光板>
以上のようにして製造される偏光板1において、偏光フィルムが、基材フィルム上にポリビニルアルコール系樹脂を含有する塗工液を塗工する方式により得られる偏光フィルムである場合、偏光フィルム5の厚みは、好ましくは20μm以下であり、とりわけモバイル機器用の偏光板においては、偏光板の薄型化の観点から10μm以下であることがより好ましく、8μm以下であることがさらに好ましい。基材フィルム上にポリビニルアルコール系樹脂を含有する塗工液を塗工する方式において、偏光フィルム5の厚みは通常、2μm以上である。また偏光フィルムが、ポリビニルアルコール系樹脂の原反から得られる偏光フィルムである場合、偏光フィルム5の厚みは、好ましくは30μm以下であり、より好ましくは20μm以下である。偏光フィルムが、ポリビニルアルコール系樹脂の原反から得られる偏光フィルムである場合、偏光フィルム5の厚みは、通常5μm以上である。
偏光板の製造方法は、偏光板1が有する第1保護フィルム10又は第2保護フィルム20の外面(偏光フィルム5とは反対側の面)に、偏光板1を表示用セルに貼合するための粘着剤層又は偏光板1に光学部材を貼合するための粘着剤層を配置する粘着剤層形成工程をさらに含むことができ、これにより粘着剤層付偏光板を得ることができる。粘着剤層を形成する粘着剤は通常、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、シリコーン系樹脂などをベースポリマーとし、そこに、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物のような架橋剤を加えた粘着剤組成物からなる。さらに微粒子を含有して光散乱性を示す粘着剤層とすることもできる。
粘着剤層の厚みは1〜40μmであることができるが、加工性、耐久性の特性を損なわない範囲で、薄く形成することが好ましく、具体的には3〜25μmであることが好ましい。3〜25μmの厚みは、良好な加工性を有し、かつ偏光フィルム5の寸法変化を押さえる上でも好適である。粘着剤層60が1μm未満であると粘着性が低下し、40μmを超えると粘着剤がはみ出すなどの不具合を生じ易くなる。
粘着剤層60を形成する方法は特に限定されるものではなく、第1保護フィルム10又は第2保護フィルム20の表面に、上記したベースポリマーをはじめとする各成分を含む粘着剤組成物(粘着剤溶液)を塗工し、乾燥して形成してもよいし、セパレーター(剥離フィルム)上に同様にして粘着剤層を形成した後、この粘着剤層を第1保護フィルム10又は第2保護フィルム20に転写してもよい。粘着剤層60を第1保護フィルム10又は第2保護フィルム20の表面に形成する際には、必要に応じて第1保護フィルム10又は第2保護フィルム20の表面、もしくは粘着剤層60の表面に表面処理、例えばコロナ処理等を施してもよい。
偏光板1は、第1保護フィルム10又は第2保護フィルム20上に積層される他の光学層をさらに含むことができる。他の光学層としては、ある種の偏光光を透過し、それと逆の性質を示す偏光光を反射する反射型偏光フィルム;表面に凹凸形状を有する防眩機能付フィルム;表面反射防止機能付フィルム;表面に反射機能を有する反射フィルム;反射機能と透過機能とを併せ持つ半透過反射フィルム;視野角補償フィルム等が挙げられる。
<表示装置>
本発明の製造方法により製造された偏光板は、表示セルの表面に配置されて表示装置を構成し得る。表示装置の代表例は、表示用セルが液晶セルである液晶表示装置であるが、表示用セルが有機EL画像表示素子である有機EL装置のような他の表示装置であってもよい。表示装置において偏光板は、表示用セルの少なくとも一方の面に配置されていればよいが、両面に配置することもできる。
表示装置が液晶表示装置である場合、通常、液晶セルの両面に偏光板が配置される。この場合において、両面の偏光板が本発明に係る偏光板であってもよいし、一方の偏光板のみが本発明に係る偏光板であってもよい。後者において、本発明に係る偏光板1は、液晶セルを基準にフロント側(視認側)の偏光板であってもよいし、リア側(バックライト側)の偏光板であってもよい。液晶セルとしては従来公知のタイプのものを用いることができる。
本発明に係る偏光板1は、温度変化に対して良好な耐久性を有するので、温度変化が大きい環境下で使用される表示装置にも用いることができる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
<実施例1>
(1)プライマー層形成工程
ポリビニルアルコール粉末(日本合成化学工業(株)製の「Z−200」、平均重合度1100、ケン化度99.5モル%)を95℃の熱水に溶解し、濃度3重量%のポリビニルアルコール水溶液を調製した。得られた水溶液に架橋剤(田岡化学工業(株)製の「スミレーズレジン650」)をポリビニルアルコール粉末6重量部に対して5重量部の割合で混合して、プライマー層形成用塗工液を得た。
次に、基材フィルムとして厚み90μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(融点:163℃)を用意し、その片面にコロナ処理を施した。コロナ処理は、コロナ放電装置(春日電機(株)製のコロナ表面処理フレーム「STR−1764」、高周波電源「CT−0212」、高圧トランス「CT−T02W」を備える)を使用して、上記未延伸ポリプロピレンフィルムを10m/分の速度で移動させながら、280Wの出力強度でコロナ処理を施した。コロナ処理後、そのコロナ処理面に小径グラビアコーターを用いて上記プライマー層形成用塗工液を塗工し、80℃で10分間乾燥させることにより、厚み0.2μmのプライマー層を形成した。
(2)積層フィルムの作製(樹脂層形成工程)
ポリビニルアルコール粉末((株)クラレ製の「PVA124」、平均重合度2400、ケン化度98.0〜99.0モル%)を95℃の熱水に溶解し、濃度8重量%のポリビニルアルコール水溶液を調製し、これをポリビニルアルコール系樹脂層形成用塗工液とした。
上記(1)で作製したプライマー層を有する基材フィルムのプライマー層表面にリップコーターを用いて上記ポリビニルアルコール系樹脂層形成用塗工液を塗工した後、80℃で20分間乾燥させることにより、プライマー層上にポリビニルアルコール系樹脂層を形成して、基材フィルム/プライマー層/ポリビニルアルコール系樹脂層からなる積層フィルムを得た。
(3)延伸フィルムの作製(延伸工程)
上記(2)で作製した積層フィルムに対し、フローティングの縦一軸延伸装置を用いて160℃で5.2倍での自由端一軸延伸を実施し、延伸フィルムを得た。
(4)偏光性積層フィルムの作製(染色工程)
上記(3)で作製した延伸フィルムを、ヨウ素とヨウ化カリウムとを含む30℃の染色水溶液(水100重量部あたりヨウ素を0.6重量部、ヨウ化カリウムを10重量部含む。)に約180秒間浸漬してポリビニルアルコール系樹脂層の染色処理を行った後、10℃の純水で余分な染色水溶液を洗い流した。
次いで、ホウ酸を含む78℃の第1架橋水溶液(水100重量部あたりホウ酸を9.5重量部含む。)に120秒間浸漬し、次いで、ホウ酸及びヨウ化カリウムを含む70℃の第2架橋水溶液(水100重量部あたりホウ酸を9.5重量部、ヨウ化カリウムを4重量部含む。)に60秒間浸漬して架橋処理を行った。その後、10℃の純水で10秒間洗浄し、最後に40℃で300秒間乾燥させることにより、基材フィルム/偏光フィルムからなる偏光性積層フィルムを得た。偏光フィルムの厚みは5.6μmであった。得られた偏光性積層フィルムはロール状に巻き取り偏光性積層フィルムロールを作製した。
(5)偏光性積層フィルムロールの保管(保管工程)
上記(4)で作製した偏光性積層フィルムロールを、表1に示す温度に設定した恒温槽内に、表1に示す時間保管した。
(6)片面保護フィルム付偏光板の作製(第1貼合工程及び剥離工程)
第1保護フィルムとして、厚み23μmの環状ポリオレフィン系樹脂フィルム(日本ゼオン(株)製の「ゼオノアフィルムZF14−023」)を用意した。この第1保護フィルムの貼合面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面に、小径グラビアコーターを用いて紫外線硬化性接着剤((株)ADEKA製の「KR−70T」、MD方向の引張弾性率:2400MPa、TD方向の引張弾性率:2400MPa)を塗工し、その接着剤の塗工層を介して第1保護フィルムを、上記(5)で保管した偏光性積層フィルムロールから巻き出した偏光性積層フィルムの偏光フィルム面に貼合ロールを用いて貼合した。次いで、紫外線ランプ(フュージョンUVシステムズ社製の「Dバルブ」)が取り付けられたベルトコンベア付き紫外線照射装置を用いて、基材フィルム側から250mJ/cm2の積算光量で紫外線を照射することにより接着剤を硬化させて第1接着剤層を形成し、第1保護フィルム/第1接着剤層/偏光フィルム/プライマー層/基材フィルムの層構成からなる貼合フィルムを得た(第1貼合工程)。第1接着剤層の厚みは、1.0μmであった。
次に、得られた貼合フィルムから基材フィルムを剥離除去した(剥離工程)。基材フィルムは容易に剥離され、第1保護フィルム/第1接着剤層/偏光フィルム/プライマー層の層構成からなる片面保護フィルム付偏光板を得た。
(7)両面保護フィルム付偏光板の作製(第2貼合工程)
第2保護フィルムとして、第1保護フィルムと同じ厚み23μmの環状ポリオレフィン系樹脂フィルムを用意した。この第2保護フィルムの貼合面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面に、小径グラビアコーターを用いて紫外線硬化性接着剤((株)ADEKA製の「KR−70T」、MD方向の引張弾性率:2400MPa、TD方向の引張弾性率:2400MPa)を塗工し、その接着剤の塗工層を介して第2保護フィルムを、上記(6)で得られた片面保護フィルム付偏光板のプライマー層面に貼合ロールを用いて貼合した。次いで、第2保護フィルム側から、上記(6)における第1接着剤層形成時と同様の装置を用いて同様の条件で接着剤を硬化させて第2接着剤層を形成し、第1保護フィルム/第1接着剤層/偏光フィルム/プライマー層/第2接着剤層/第2保護フィルムの層構成からなる両面保護フィルム付偏光板を得た。第2接着剤層の厚みは、1.0μmであった。
<実施例2,3、比較例1,2>
上記(5)の保管工程における恒温槽の温度を表1に示すとおりとしたこと以外は、実施例1と同様にして両面保護フィルム付偏光板を作製した。
<実施例4,5、比較例3>
上記(5)の保管工程における保管時間を表1に示すとおりとしたこと以外は、実施例1と同様にして両面保護フィルム付偏光板を作製した。
〔突刺し試験〕
実施例及び比較例において、上記(5)で保管した偏光性積層フィルムロールから、偏光性積層フィルムを切り出し、偏光性積層フィルムから基材フィルムを剥がし取って偏光フィルムを得て、これを突刺し試験の試験片とした。突刺し試験は、先端径1mmφ、0.5Rのニードルを装着したカトーテック(株)製のハンディー圧縮試験機“KES-G5 ニードル貫通力測定仕様”を使用し、温度23±3℃の環境下、突刺し速度0.33cm/秒の測定条件下で行った。突刺し試験で測定される突刺し強度は、試験片12個に対して突刺し試験を行い、その平均値とした。偏光フィルムの厚さを接触式膜厚計〔ニコン(株)製の商品名“DIGIMICRO MH−15M”〕で測定し、単位膜厚あたりの突刺し強度(強度P)を求めた。結果を、表1の「突刺し強度」の欄に示した。
〔ヒートショック試験〕
実施例及び比較例で作製した両面保護フィルム付偏光板を偏光フィルムの吸収軸を長辺にして長辺100mm、短辺60mmの大きさにスーパーカッターを用いて切り出し、これをヒートショック試験の試験片とした。試験片の第2保護フィルム側にコロナ処理を実施し、粘着剤(貯蔵弾性率:390KPa、厚さ:20μm)を貼合し、粘着剤層側で無アルカリガラス板〔コーニング社製の“Eagle−XG”〕に貼合し、オートクレーブ中、温度50℃で圧力5MPaの条件下で20分間加圧処理を行ない、温度23℃で相対湿度60%の雰囲気下で1日放置した。その後、(株)エスペック製の冷熱衝撃試験器(TSA−301L−W)にて、低温側−40℃で30分間保持した後、高温側85℃で30分間保持することを1サイクルとし、これを100サイクル行なうヒートショック試験を行なった。ヒートショック試験中、常温にさらすことはしなかった。
試験片50枚について、それぞれ100サイクルのヒートショック試験を行い、試験片50枚のうち、クラック状の外観不具合の発生を目視で確認した枚数を表1の「ヒートショック試験」の欄に示した。例えば、実施例1の”0/50”は、評価サンプル50枚中、クラック状の外観不具合の発生を目視で確認できた枚数は、0枚であったことを意味する。
Figure 0006560509
1 偏光板(両面保護フィルム付偏光板)、5 偏光フィルム、10 第1保護フィルム、15 第1接着剤層、20 第2保護フィルム、25 第2接着剤層、6 ポリビニルアルコール系樹脂層、6’ 延伸されたポリビニルアルコール系樹脂層、30 基材フィルム、30’ 延伸された基材フィルム、100 積層フィルム、200 延伸フィルム、300 偏光性積層フィルム、400 貼合フィルム、500 片面保護フィルム付偏光板。

Claims (5)

  1. 偏光フィルムの少なくとも一方の面に保護フィルムを備える偏光板の製造方法であって、
    ポリビニルアルコール系樹脂層から偏光フィルムを作製する偏光フィルム作製工程と、
    前記偏光フィルムを35℃以上の温度で20時間以上保管する保管工程と、
    前記偏光フィルムの少なくとも一方の面に、活性エネルギー線硬化性接着剤からなる接着剤層を介して保護フィルムを貼合する貼合工程と、
    をこの順に含む、偏光板の製造方法。
  2. 前記保管工程の温度が50℃以下である、請求項1に記載の偏光板の製造方法。
  3. 前記保管工程は基材フィルム上に前記偏光フィルムが設けられた偏光性積層フィルムを保管する工程であり、
    前記偏光性積層フィルムは、
    前記基材フィルムの少なくとも一方の面にポリビニルアルコール系樹脂を含有する塗工液を塗工した後、乾燥させることにより前記ポリビニルアルコール系樹脂層を形成して積層フィルムを得る樹脂層形成工程と、
    前記積層フィルムを延伸して延伸フィルムを得る延伸工程と、
    前記延伸フィルムの前記ポリビニルアルコール系樹脂層を二色性色素で染色して偏光フィルムを形成する染色工程と、を含む工程により得られる、請求項1または2に記載の偏光板の製造方法。
  4. 前記偏光フィルムの厚さが、10μm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の偏光板の製造方法。
  5. 基材フィルムの少なくとも一方の面にポリビニルアルコール系樹脂を含有する塗工液を塗工し、塗工層を得た後、前記塗工層を乾燥させることによりポリビニルアルコール系樹脂層を形成して積層フィルムを得る樹脂層形成工程、
    前記積層フィルムを延伸して延伸フィルムを得る延伸工程、
    前記延伸フィルムの前記ポリビニルアルコール系樹脂層を二色性色素で染色して偏光フィルムを形成することにより偏光性積層フィルムを得る染色工程を経て偏光フィルムを得、得られた前記偏光性積層フィルムを35℃以上の温度で20時間以上保管する工程を含む、偏光性積層フィルムの保管方法。
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