JP2011029198A - 伸縮電線及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも、芯部、導体部及び被覆部からなる構造を有し、該芯部が弾性体とその外周を被覆する中間層とからなる弾性円筒体であり、該導体部が細線の集合線からなる導体線を含み、かつ該導体線が該弾性円筒体の外周に捲回および/または編組されており、該被覆部が該導体部の外周を被覆する絶縁体からなる外部被覆層であることを特徴とする伸縮電線。
【選択図】図1
Description
一方、伸縮電線に関する技術として、特公昭64−3967号公報には、弾性長繊維を芯にし、その周りに金属線を捲回する方法が開示されている。この特公昭64−3967号公報には、弾性長繊維の換算直径(Ld)と金属線の換算直径(Lm)の関係はLd/Lm≧3を満足する必要があり(換算直径の定義および算出方法については後述する)、この範囲を逸脱すると伸縮性が発現しないか安定なループの形成ができず、満足な伸縮線を得ることができないと記載されている。
上記特公昭64−3967号公報に開示の技術に従って作製することで、所望の電流を流すことが可能な伸縮電線を作ることができる。しかしながら、大きな電流を流すためには、換算直径の大きな導体線を用いる必要があり、最も汎用的な導体線である銅線を用いた場合でも、Ld/Lm≧3を満足させる必要があり、換算直径の大きな弾性長繊維を用いることが必須であった。
換算直径の大きな弾性長繊維は、その断面積が大きく強い弾性を発現するために、このような弾性長繊維からは強い力で引っ張らないと伸びることができない伸縮電線しか得られなかった。
また、最先端のヒューマノイドロボットにおいては、多自由度関節を経由して末端のモータを動かすためのパワー電流の配線を行っており、多自由度関節における配線の自由度を高めたいというニーズがある。
さらに、工業用ロボットにおいても、ロボットハンドなどの開発が盛んで、小さな電流はもとより、末端のモータを動かすための大きな電流を流すことができ、工場での高温環境下でも長期に使用できる耐熱性の伸縮電線が求められている。
伸縮性の電線やコードは、上記の特許公報以外に、例えば特開2002−313145号公報および特開昭61−290603号公報にも開示されている。さらには、電気伝導性弾性複合糸として特表2006−524758号公報には弾性繊維と金属線の複合技術が開示されている。これらはいずれも、ポリウレタン弾性繊維に代表される有機弾性繊維を用いた技術であり、室温環境下で微弱電流を流す用途に適したものであった。
(1)少なくとも、芯部、導体部及び被覆部からなる構造を有し、該芯部が弾性体とその外周を被覆する中間層とからなる弾性円筒体であり、該導体部が細線の集合線からなる導体線を含み、かつ該導体線が該弾性円筒体の外周に捲回および/または編組されており、該被覆部が該導体部の外周を被覆する絶縁体からなる外部被覆層であることを特徴とする伸縮電線。
(2)弾性体が伸度100%以上の弾性長繊維または伸度50%以上のコイルバネであることを特徴とする上記1項に記載の伸縮電線。
(3)中間層の厚さが0.1Ld(Ld:弾性長繊維の換算直径またはコイルバネの外径)または0.1mmのいずれか小さい方から10mmの範囲であることを特徴とする上記1または2項に記載の伸縮電線。
(4)弾性円筒体の50%伸長応力が1〜500cN/mm2であることを特徴とする上記1〜3項のいずれか一項に記載の伸縮電線。
(5)導体線が、比抵抗が10-4Ω×cm以下の電気伝導体からなることを特徴とする上記1〜4項のいずれか一項に記載の伸縮電線。
(6)細線の直径(Lt)が1mm以下であることを特徴とする上記1〜5項のいずれか一項に記載の伸縮電線。
(7)導体線が銅またはアルミニウムを80%以上含有することを特徴とする上記1〜6項のいずれか一項に記載の伸縮電線。
(8)導体線が細線毎に厚さ1mm以下の絶縁性被覆層を有するか、または、集合線全体として厚さ2mm以下の絶縁性被覆層を有することを特徴とする上記1〜7項のいずれか一項に記載の伸縮電線。
(9)導体線が、芯部に一体化するための一体化層を有し、該一体化層が伸度50%以上の弾性体からなることを特徴とする上記1〜8項のいずれか一項に記載の伸縮電線。
(10)30%伸張荷重が5000cN以下であることを特徴とする上記1〜9項のいずれか一項に記載の伸縮電線。
(11)導体部が複数の導体線からなることを特徴とする上記1〜10項のいずれか一項に記載の伸縮電線。
(12)1本の導体線の電気抵抗が弛緩時に10Ω/m以下であることを特徴とする上記1〜11項のいずれか一項に記載の伸縮電線。
(13)少なくとも、芯部、導体部及び被覆部からなる構造を有し、該芯部が弾性体とその外周を被覆する中間層とからなる弾性円筒体であり、該導体部が細線の集合線からなる導体線を含み、かつ該導体線が該弾性円筒体の外周に捲回および/または編組されており、該被覆部が該導体部の外周を被覆する絶縁体からなる外部被覆層であることを特徴とする伸縮電線の製造方法であって、下記の各工程からなることを特徴とする伸縮電線の製造方法。
1)該弾性体を伸張した状態で、その外周に絶縁繊維を編組および/または捲回することによって、該弾性円筒体を形成する工程、
2)得られた該弾性円筒体を伸張した状態で、その外周に該導体線を捲回および/または編組することによって、該導体部を形成する工程、および
3)得られた該弾性円筒体及び該導体部からなる構造体又は更に一体化処理がなされた該構造体を伸張した状態で、その外周に絶縁繊維を編組および/または絶縁樹脂を被覆することによって、該外部被覆層を形成する工程。
(14)上記1〜12項のいずれか一項に記載の伸縮電線の複数本を伸張した状態で、まとめて1本の細幅弾性テープ形状としたことを特徴とする細幅弾性テープ形状の伸縮電線。
本発明の伸縮電線は、図1および図2に示すように、弾性長繊維の外層に配置された伸縮性の中間層を有する弾性円筒体に、細線の集合線からなる導体線を捲回および/または編組してなるか、または、図3および図4に示すようにコイルバネの外層に配置された伸縮性の中間層を有する弾性円筒体に、細線の集合線からなる導体線を捲回および/または編組してなることを基本構造としている。なお、これらの図において、1は弾性長繊維であり、2は中間層であり、3は導体線であり、4は外部被覆層であり、6は弾性円筒体であり、10はコイルバネである。また、図1および3では最外周の絶縁繊維を被覆してなる外部被覆層は図示していない。
(1)Ld(mm):弾性長繊維の換算直径またはコイルバネの外径
(2)Lc(mm):中間層の厚み
(3)Lm(mm):導体線の換算直径
(4)Lt(mm):細線(導体単線)の直径
なお、換算直径の定義と算出方法は後述する。
芯部は、弾性体とその外周を被覆する中間層からなる弾性円筒体であることが重要である。
弾性体には、100%以上の伸度を持つ弾性長繊維または50%以上の伸度を持つコイルバネを用いることができる。
ポリウレタン系弾性長繊維は、伸びが大きく、耐久性にもすぐれるため本発明の弾性長繊維として最適である。
天然ゴム系長繊維は、断面積あたりの応力が他の弾性長繊維に対比して小さく、中間層を薄くすることができ、目標の弾性円筒体を得やすいという利点がある。しかし、劣化しやすいため、長期にわたり伸縮性を保持することが難しい。従って、短期の使用を目的とする用途に好適である。
合成ゴム系弾性長繊維は、耐久性にはすぐれるが、伸びの大きな物が得にくい。従って、あまり大きな伸びを要求しない用途に好適である。
弾性長繊維は、モノフィラメントでもマルチフィラメントでも良い。
弾性長繊維をあらかじめ、双糸もしくは多子撚りとしたもの、または、弾性長繊維を芯にしてその回りに別の弾性長繊維を捲回したものとすることで、厚みの大きい中間層と弾性長繊維との一体化(弾性長繊維と中間層が別々に動かないようにすること)を容易にすることができる。
コイル直径Dと伸線(コイルを形成する線材のこと)直径dが24>D/d>4であることが好ましい。D/dが24以上の場合は、安定な形態のバネが得られず、変形しやすく好ましくない。好ましくはD/dが、16以下である。一方D/dが4以下では、コイルを形成することが困難となると同時に、伸縮性が発現しにくい。好ましくは6以上である。
コイルのピッチ間隔は1/2D以下であることが望ましい。これ以上の間隔であってもコイル状のバネを形成することはできるが、コイル外周への中間層の形成が困難となる。さらに、伸縮性が低下するとともに、外力により変形しやすくなるので好ましくない。好ましくは1/10D以下である。
ピッチ間隔をほぼゼロとしたものは、伸縮性を最も高くすることができ、バネそのものがからまりにくく、巻き取ったバネを引き出しやすいという特徴があり、外力による変形にも強いという利点があり、好ましい。
コイルバネの材料は、公知の伸線から任意に選ぶことができる。線材の材料は、ピアノ線、硬鋼線、ステンレス鋼線、オイルテンパー線、燐青銅線、ベリウム銅線および洋白線などがある。耐食性および耐熱性に優れ、かつ入手しやすい点から、ステンレス鋼線が望ましい。
巻き取ったコイルバネを次の工程で使用するときに、コイルが重なりあうことがあり、引出しづらい場合がある。このような場合は、コイルバネに細幅テープを重ねて巻き取ることにより容易に対応できる。
中間層を形成することで、導体線の捲回直径を大きくすることができ、太い導体線を捲回できるようにすることができる。また、弾性体としてコイルバネを用いる場合は、コイルの隙間に導体線が挟まることを防ぐことができ、導体線を捲回することが可能となる。
いずれの場合も、中間層を形成した状態での弾性円筒体として、50%伸張応力が1〜500cN/mm2であることが好ましく、より好ましくは1〜200cN/mm2である。さらに好ましくは5〜100cN/mm2であり、特に好ましくは10〜50cN/mm2である。50%伸張応力が、この範囲にあると、小応力での伸縮性が良好であり、1cN/mm2以下の場合は、伸縮性が発現しにくく、500cN/mm2を超えると、伸張させるために、大きな力が必要となり実用上好ましくない。
例えば、耐熱性に優れるものとして、アラミド繊維およびポリフェニレンサルファイド繊維が挙げられる。汎用性を重視する場合は、ナイロン繊維とポリエステル繊維が挙げられる。耐火性を求める場合は、ガラス繊維、無機繊維、フッ素繊維、耐炎化アクリルおよびサラン繊維を挙げることができる。
バルキー性を持つ編組被覆は、バルキー性のあるマルチフィラメント又は紡績糸を用い、締付けすぎることのないように編組することにより得られる。あまり粗い編み組では、被覆が不十分となり好ましくない。
バルキー性のあるマルチフィラメント又は紡績糸は、公知の方法により得ることができる。例えば、マルチフィラメントを1種類以上引きそろえ、仮撚り加工するか、コンジュゲート糸のマルチフィラメントを用いることもできる。また、紡績糸においては、1種類以上の短繊維を混合して紡績することで、バルキー性が得られる。特に、熱収縮率の異なる短繊維を混合し、紡績し、熱処理することにより、バルキー性の高い紡績糸を得ることができる。
汎用性があり、耐磨耗性およびバルキー性が良好な絶縁繊維としては、ウーリーナイロンやエステルウーリー糸があげられる。また、耐磨耗性に優れる絶縁繊維とバルキー性のある絶縁繊維を組み合わせる(混合紡績するか、合糸するか、多重に被覆する)こともできる。
この時、弾性体にあらかじめ中間層を形成して弾性円筒体を得た後、当該弾性円筒体を改めて伸張して導体線を捲回および/または編組することが望ましい。従来の技術では、いわゆるダブルカバー糸として、先に絶縁繊維を捲回し、引き続いてすぐに金属線を捲回する例が開示されているが、この場合は、金属線の捲回張力に対して十分な抗力が得られず、安定に捲回できなかったり、均質なループ形態を形成できないという問題がある。
また、弾性長繊維に別の弾性長繊維を予め捲回することも有効である。弾性長繊維に別の弾性長繊維を捲回したものは、一体化した弾性体として動き、上記と同様な効果が得られる。
中間層は、上記に限定されるものではなく、他の方法でも作ることができるが、実質上円筒状であることが好ましい。いずれの場合も弾性円筒体として50%伸張応力が1〜500cN/mm2であることが好ましい。
弾性円筒体の50%伸張応力は1〜500cN/mm2となるように設計することが重要である。1〜200cN/mm2となるように設計することがさらに好ましい。さらに好ましくは5〜100cN/mm2であり、特に好ましくは10〜50cN/mm2である。伸張応力がこのような範囲にあると、低応力で伸縮ができ、小抵抗の伸縮電線を得ることができる。
細線を集合させるには様々な方法が知られており、本発明においても公知のどのような方法で集合させてもよい。しかし、ストレートにひきそろえるだけでは捲回しづらいため、撚り線とすることが好ましい。また、可撓性を発揮するために、集合線を絶縁繊維で捲回したものを用いることもできる。
本発明において捲回角度とは、図5に示したように、弾性円筒体の長さ方向に対する捲回または編組された導体線の角度θをいう。通常、弛緩状態での角度をいう。捲回角度は、弛緩状態で試料長20cmを切りとり、捲回されている導体線をほどいて、その長さを測定し、逆三角関数を用いて求める。なお、導体線捲回時(弾性円筒体は所定の伸張状態にある)の捲回角度を本明細書では捲回時捲回角度という。
導体線は80wt%以上が銅からなる銅線、または80%以上がアルミニウムからなるアルミニウム線であることが望ましい。銅線は、比較的安価で電気抵抗が低いので、最も好ましい。アルミニウム線は軽量であるから、銅線に続いて好ましい。銅線は軟銅線または錫銅合金線が一般的であるが、導電性をあまり低下させずに、強力を高めた強力銅合金(例えば、無酸素銅に鉄、燐およびインジウム等を添加したもの)、錫、金、銀または白金などでメッキして酸化を防止したもの、電気信号の伝送特性を向上させるために金その他の元素で表面処理したものなどを用いることもできる。
細線の集合線をまとめて絶縁樹脂で被覆したものを用いることもできる。
絶縁被覆された集合線が、柔軟であり、かつ外径が小さいことが重要である。そのために、樹脂被覆は、各細線に被覆する場合は厚み1mm以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.1mm以下である。集合線としてまとめて絶縁被覆をする場合は厚み2mm以下であることが好ましく、さらに好ましくは1mm以下である。樹脂被覆の種類は、公知の絶縁樹脂被覆から、上記の趣旨に沿ったものを任意に選ぶことができる。
各細線にあらかじめ樹脂被覆を行う場合は、例えば一般のマグネットワイヤーで用いられるいわゆるエナメル被覆として、ポリウレタン被覆、ポリウレタン−ナイロン被覆、ポリエステル被覆、ポリエステルーナイロン被覆、ポリエステルーイミド被覆およびポリエステルイミド・ポリアミドイミド被覆等が挙げられる。
また、集合線としてから樹脂被覆を行う場合は、塩ビ樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂およびエステル樹脂などを用いることもできる。
電力線として使用するために大きな換算直径を必要とする場合は、換算直径3mm以下の集合線に分割して捲回することが好ましい。逆に、換算直径を小さくし過ぎると分割数が増え、作業性が悪くなるので、10分割以下が好ましい。
導体線を複数本捲回する場合、S撚りZ撚り交互に捲回することも、1方向のみに捲回することもできる。捲回された後の導体線間の摩擦が断線の原因となるため、1方向のみに捲回することが好ましい。捲回は、1回に1本づつ数回にわけて行うことも1回に数本づつ捲回することもできる。複数本を同じ方向に捲回する場合平行性を確保することが難しいため、あらかじめ1つのボビンに複数本をひきそろえて準備し、これを1回で捲回することが好ましい。
また、識別のため、各導体線をあらかじめ色分けしておくこともできる。複数本捲回したものを、まとめて1本の電線として取り扱うことも、それぞれの導体線を別個の電線として取り扱うこともできる。
弾性体として長繊維を用いる場合、Ld/Lmは0.1以上3未満が好ましい。特に好ましくは0.5以上2.5以下である。0.1未満の場合、伸縮性が発現しなくなる。3以上の場合は伸縮に大きな力を要する電線となるか、微弱電流しか流せない電線となり実用性に乏しい。
また、弾性体としてコイルバネを用いる場合、Ld/Lmは0.1〜30の範囲が好ましい。0.5〜20の範囲が特に好ましい。0.1未満の場合、伸縮性が発現しにくく、30を超えると、導体線に対するコイルバネの外径が大きくなりすぎ、結果的に太い伸縮電線となり好ましくない。
また、複数の導体線を有する伸縮電線においては、信号線を2本と電力線を2本とする場合が多い。この場合、信号線間の間隔が不均一であると、信号線間の特性インピーダンスが不均一となり、伝送ロスが大きくなる(特に高周波において)という問題がある。複数の導体線を1方向とし、反対方向に絶縁繊維を編組した構造、または、複数の導体線間に絶縁繊維を同一方向で配置し、反対方向に絶縁繊維を配置して編組したものは、伝送ロスが少なく特に好ましい。
あらかじめ絶縁繊維で被覆した導体線は、加工時に細線表層の絶縁性樹脂層が破壊されにくく、好ましい。
柔軟性に優れた薄い一体化層を形成するためには、弾性体の液状物の粘度が2000ポイズ以下であることが望ましい。これ以上の場合は、薄い膜形成が難しく、また、導体線と弾性円筒体の隙間に弾性体の液状物が浸透しにくくなる。
薄い膜形成のために、弾性体の液状物として、2液混合反応型のポリウレタン系弾性体、溶剤中に溶解したポリウレタン系弾性体、ラテックス状の天然ゴム系弾性体およびラテックス状の合成ゴム系弾性体を用いることができる。
弾性円筒体へ導体線を捲回または編組した後、そのまま、または、上述の弾性円筒体との一体化を行った後、被覆部を形成する。
絶縁繊維IIIは、伸縮電線の用途や想定される使用条件に合わせて、公知の絶縁性繊維から任意に選ぶことができる。絶縁繊維IIIは生糸のままでも良いが、意匠性や劣化防止の観点から原着糸や先染め糸を用いることもできる。仕上げ加工により、柔軟性や摩擦性の向上を図ることもできる。さらに、難燃加工、撥水加工、撥油加工、防汚加工、抗菌加工、制菌加工および消臭加工など、公知の繊維の加工を施すことにより、実用時の取り扱い性を向上させることもできる。
耐熱性と耐磨耗性を両立させる絶縁繊維IIIとしては、アラミド繊維、ポリスルホン繊維およびフッ素繊維が挙げられる。耐火性の観点からは、ガラス繊維、耐炎化アクリル繊維、フッ素繊維およびサラン繊維が挙げられる。耐磨耗性や強度の観点からは、高強力ポリエチレン繊維およびポリケトン繊維が付加される。コストと耐熱性の観点からは、ポリエステル繊維、ナイロン繊維およびアクリル繊維がある。これらに、難燃性を付与した難燃ポリエステル繊維、難燃ナイロン繊維および難燃アクリル繊維(モダクリル繊維)なども好適である。摩擦熱による局部的な劣化に対しては、非溶融繊維を用いることが好ましい。その例としては、アラミド繊維、ポリスルホン繊維、コットン、レーヨン、キュプラ、ウール、絹およびアクリル繊維を挙げることができる。強度を重視する場合は、高強力ポリエチレン繊維、アラミド繊維およびポリフェニレンサルファイド繊維が挙げられる。摩擦性を重視する場合は、フッ素繊維、ナイロン繊維およびポリエステル繊維が挙げられる。
意匠性を重視する場合は、発色の良いアクリル繊維を用いることもできる。
さらに、人との接触による触感を重視する場合は、キュプラ、アセテート、コットンおよびレーヨンなどのセルロース系繊維や、絹または繊度の細い合成繊維を用いることができる。
導体線を捲回および/または編組した弾性円筒体を複数本まとめて、周囲を絶縁繊維IIIで被覆することも、予め絶縁繊維IIIで被覆したものを複数本まとめて、さらにその周囲を絶縁繊維IIIで被覆することもできる。導体線を複数本同時に捲回して、その周囲を絶縁繊維IIIで被覆したものが、最もコンパクトにできる。
絶縁樹脂は、さまざまな弾性の絶縁樹脂から任意に選ぶことができ、伸縮電線の用途及び同時に使用する他の絶縁繊維IおよびIIとの相性を考慮しながら、選定することができる。
考慮すべき性能は耐磨耗性、耐熱性および耐薬品性などが挙げられ、これらの性能に優れるものとしては合成ゴム系弾性体が挙げられ、フッ素系ゴム、シリコーン系ゴム、エチレン・プロピレン系ゴム、クロロプレン系ゴムおよびブチル系ゴムが好ましい。
絶縁樹脂の弾性チューブ状物は、液体からの被覆性を高めたい場合に、好適に用いることができる。
絶縁体からなる外部被覆層は、絶縁繊維IIIにより編組されたものと弾性チューブ状物とを組み合わせることもできる。伸縮電線は、小さい力で伸縮させることを望むケースが多いが、弾性チューブ状物のみでの被覆の場合は、チューブの厚みが厚くなる傾向があり、伸縮させる力が大きくなりやすい。このような場合は、厚みの薄いチューブと、絶縁繊維IIIによる編組を組み合わせることで、被覆性と伸縮性を両立させることができる。
また、本発明の伸縮電線は30%伸張荷重が5000cN以下であることが望ましく、より好ましくは1000cN以下である。実用で求められるものは、伸張に大きな荷重(力)を要さないものであり、30%伸張荷重が5000cNを超えると、実用上支障をきたすことがある。
細幅弾性テープ形状とするためには、あらかじめ絶縁被覆された伸縮電線を2〜100本用いることが好ましい。汎用的なものは3〜5本用いるものであるが、電源から末端まで多数のモータやセンサーを1本のテープで配線したいという場合もあり、多数の伸縮電線をテープ状にすることもできる。伸縮電線を100本以上用いて一つのテープとすることもできるが、一部の配線に異常があっても100本まとまりになったテープを取り替える必要が生じ、好ましくない。取り扱い性から、テープの幅は20cm以下、好ましくは10cm以下であることが望ましい。
本発明で用いた評価方法は以下の通りである。
(1)弾性長繊維の換算直径Ldおよび導体線の換算直径Lmの求め方
換算直径とは、該当する繊維または導体線を1つの円柱に見たてた場合の直径をいう。
尚、本発明で取り扱う直径や厚みは、全て張力を取り除いた状態での数値とした。
弾性長繊維の換算直径Ld(mm):
Ld=2×10(mm/cm)×√(D/(d×π×1000000(cm)))
=2×(√(D/d×π))/100
D:弾性長繊維の繊度(dtex)
d:弾性長繊維の比重(g/cm3)
なお、コイルバネの外径Ldはノギスにより測定する。
導体線の換算直径Lm(mm):
Lm=2×√((π×(Lt/2)×(Lt/2)×n)/π)=Lt×√n
Lt:導体線を構成する細線の直径
n:導体線を構成する細線の集合本数
弾性円筒体(弾性体+中間層)の外径をノギスで5箇所測定し、その平均値をLaとする。中間層の厚みLcは下記式で求める。
Lc=(La−Ld)/2
導体線を捲回する場合に、片岡カバーリングマシーンにて、送り速度3m/minで所定の条件で捲回し、10分間の加工性を以下の基準で判断した。
○:10分間、異常なく、連続運転ができる。
△:10分間の間にバルーニングが不安定となり、変動する。
×:10分間、連続運転ができない。
捲回後のループ形態を10倍ルーペで拡大して100ループを観察し、100ループ中に他のループと比べて大きさや形の違うものが含まれる個数に基づいて、下記の基準で判断した。
×:10個以上
△:3個〜9個
○:2個以下
標準状態(温度20℃、相対湿度65%)に試料を2時間以上静置したのち、標準状態下でテンシロン万能試験機((株)エーアンドディ社製)を用い、長さ100mmの試料を引張り速度500mm/minで引張り、30%および50%伸張時の荷重を求めた。
標準状態(温度20℃、相対湿度65%)に試料を2時間以上静置したのち、標準状態下でテンシロン測定器を用い、長さ100mmの試料を引張り速度500mm/minで引張り、50%伸張時の荷重(XcN)を求め、当該試料の弾性円筒体の断面積(Ymm2)で除して、50%伸長応力(X/Y=ZcN/mm2)を求めた。
長さ100mmの試料をテンシロン測定機にて引張り速度500mm/minで引張り、50%伸張後リターンし、応力がゼロになる距離(Amm)を求め次式により回復率を求めた。
回復率(%)=((100−A)/100)×100
回復性は以下の基準で判断する。
○:回復率80%以上
△:回復率50%以上
×:回復率50%未満
弛緩状態において、長さ1mの試料を切り取り、その両端をミリオームハイテスター3540(日置電機(株))により測定した。
室温下で、弛緩状態で長さ1mの試料の両端に、所定の電流を流し伸縮電線の外装を放射温度計(日置電機 3445)、で、30分間温度計測をし、上昇温度ΔTにより、下記の基準で区別し、△となった電流を発熱電流とした。
○:ΔT≦5℃
△:5℃<ΔT≦20℃
×:ΔT>20℃
デマッチャー試験機((株)大栄科学精機製作所製)を用い、図6に示したように、チャック部(21)およびチャック部(22)を試料(20)の長さ20cmにセットし、その中間に直径1.27cmのステンレス棒(23)を配置する。チャック部(22)の可動位置を試料の伸張時である26cmに設定し、室温で、初期伸張11%および引っ張り時伸張40%で60回/minで所定回伸縮を繰り返した後、テスト前後の電気抵抗(40%伸張時)を測定して判断した。
○:10万回繰り返し伸張後、抵抗値に変化が無いもの
△:1万回繰り返し伸張後、抵抗値に変化が無く、10万回繰り返し伸張後、抵抗値が大きくなったもの
×:1万回繰り返し伸張で抵抗値が大きくなったもの
試料に弛緩状態で100mmの印をつけたのち、印間を25mm引き伸ばし25%伸張状態として金枠に固定した。この伸張状態のまま、120℃に設定した乾燥機中で、16時間熱処理を行った。熱処理後、室温で15分放冷した後金枠から取り外した。この試料を室温で15分間弛緩し、印間の距離を測定した。
劣化の判定は、熱処理テスト後の長さから、次式を用いて回復率を求め、回復率から以下の基準で行なった。
回復率T(%)=100×(25−(熱処理後長さ−100)/25)
○:T≧80
△:80>T≧50
×:T<50
弛緩状態で有効試料長2mの試料を準備し、中ほどの1mを10リットルの容器(SUSジョッキ)に入った10リットルの1%NaCl水溶液(25℃±2℃)中に浸漬し、両端は水面の上にまっすぐに伸ばして固定した。20分間浸漬した後、テスター(KAISEI SK−6500)の測定端子の1方を水中へ浸漬し、他方を試料の一端に接続し、電気抵抗(R)を計測した。この時、テスターの両端を塩水中に浸漬した場合の電気抵抗は60〜70KΩ/5cmであった。
以下の基準で判断する。
○:R>20MΩ
△:20MΩ≧R≧10MΩ
×:R<10MΩ
なお、試料は、上記(10)に記載の繰り返し伸縮を、試料中央部の20cmをチャック部21および22で把持して所定の回数行なった後、上記テストに供した。
複数の導体線を有する伸縮電線を弛緩状態で1m準備し、上記(10)に記載の繰り返し伸縮を、伸縮電線の中央部20cmをチャック部21および22で把持して所定の回数行なった後、導体線の1本と他の1本の端をテスター(KAISEI SK-6500)の両端に接続し、伸縮電線を50%伸縮させて、電気抵抗を測定した。その値によって、下記基準で判断する。
○:R>20MΩ
△:20MΩ≧R≧10MΩ
×:R<10MΩ
○:30%伸縮荷重が1000cN以下で、電気抵抗が1Ω/m以下のもの
◎:上記に加え、特に優れた性能を持つもの
×:加工性が悪く、伸縮電線が得られないもの、
導電線のループ形態が悪いもの、
電気抵抗が10Ω/m以上のもの、または
30%伸縮荷重が5000cN以上のもの
△:上記以外のもの
3740dt(288f)のポリウレタン弾性長繊維(旭化成せんい(株)製、商品名:ロイカ)を芯にして、伸張倍率を4.2倍下で、220dt(72f)のウーリーナイロン(黒染め糸)(東レ(株)製)を500T/Mの下撚りおよび332T/Mの上撚りで捲回し、ダブルカバー糸を得た。得られたダブルカバー糸を芯にして、3.2倍の伸張下で、8本打ちまたは16本打ちの製紐機((株)国分社製)によって、上記ウーリーナイロンを2本引き揃えた組糸を用いて編組加工を行い、伸縮性のある中間層を持った弾性円筒体を得た。
得られた弾性円筒体を芯にして、片岡カバーリングマシーンを用いて、2.6倍の伸張下で、3m/minの送り速度で、所定の銅細線集合線(導体線)をZ方向に捲回し、伸縮電線中間体を得た。
次いで、得られた伸縮電線中間体を芯にして、1.8倍の伸張下で、上記のウーリーナイロンを2本引き揃えた組糸を用い、16本打ちの製紐機によって編組加工を行い、本発明の伸縮電線を得た。得られた伸縮電線の構成と製造条件および各種の評価結果を表1に示した。
なお、用いたポリウレタン弾性長繊維の破断伸度は後述の実施例も含めていずれも750%であった。また、銅細線の比抵抗は後述の実施例も含めていずれも0.2×10-5Ω×cmであった。
[比較例1]
3740dt(288f)のポリウレタン弾性長繊維(旭化成せんい(株)製、商品名:ロイカ)を芯にして、中間層を設けずに、実施例3と同様に銅細線集合線(導体線)を捲回した。しかし、捲回はバルーニングが不安定で、連続運転できなかった。結果を表1に併せて示した。
40番の丸ゴム糸(3224dt、Ld=0.67mm)を芯にして、4倍の伸張下で、167dt(48f)のエステルウーリー(黒染糸)を、8本打ち製紐機によって編組加工して中間層を形成し、伸縮性のある中間層を有する弾性円筒体を得た。
得られた弾性円筒体を芯にして、実施例3と同様に銅細線集合線(導体線)を捲回し、伸縮電線中間体を得た。
次いで、得られた伸縮電線中間体を芯にして、1.8倍の伸張下で、330dt(72f)のエステルウーリー(黒染糸)を2本引き揃えた組糸を用い、8本打ちの製紐機によって編組加工を行い、本発明の伸縮電線を得た。得られた伸縮電線の構成と製造条件および各種の評価結果を表1に併せて示した。
また、比較のために、中間層を形成しなかったことを除いて上記と同様に伸縮電線を作製した。しかし、銅細線集合線(導体線)の捲回において、バルーニングが不安定で、連続運転できなかった。この結果も併せて表1に示した。
なお、用いた丸ゴム糸の破断伸度は800%であった。
所定の伸線をコイリングマシーンSH−7(オリイメック(株))を用いてコイリングを行い、テンパーにて270℃×20分の熱処理を行い、冷却して、所定のコイルバネを得た。このコイルバネを芯にして、2.4倍伸張下で、製紐機にて440dt(50f)のフッ素繊維(東洋ポリマー(株)製)を編組加工し、伸縮性の弾性円筒体を得た。
得られた弾性円筒体を芯にして、片岡カバーリングマシーンを用いて、2.2倍の伸張下で、3m/minの送り速度で、所定の銅細線集合線(導体線)をZ方向に捲回し、伸縮電線中間体を得た。
次いで、得られた伸縮電線中間体を芯にして、2倍の伸張下で、330dt(72f)のエステルウーリーを2本引き揃えた組糸を用い、16本打ちの製紐機によって編組加工を行い、本発明の伸縮電線を得た。得られた伸縮電線の構成と製造条件および各種の評価結果を表1に併せて示した。
なお、コイルバネは、150%伸張後の回復性を調べた所、後述の実施例も含めていずれも完全に回復し、伸度が150%以上であった。
銅細線集合線(導体線)を変更したことを除いて、実施例4と同様に伸縮電線を作製した。なお、比較例4は導体線を安定して捲回することができなかった。得られた伸縮電線の構成と製造条件および各種の評価結果を実施例4の結果と共に表2に示した。
[実施例10および11]
弾性長繊維、銅細線集合線(導体線)および被覆部に用いる絶縁繊維を変更したことを除いて、実施例4と同様に伸縮電線を作製した。得られた伸縮電線の構成と製造条件および各種の評価結果を表2に併せて示した。
銅細線集合線(導体線)を変更したことを除いて、実施例6と同様に伸縮電線を作製した。得られた伸縮電線の構成と製造条件および各種の評価結果を表3に示した。
[実施例14]
コイルバネ、中間層を構成する絶縁繊維、銅細線集合線(導体線)とその本数および被覆部に用いる絶縁繊維を変更したことを除いて、実施例6と同様に伸縮電線を作製した。得られた伸縮電線の構成と製造条件および各種の評価結果を表3に併せて示した。
なお、抵抗および発熱電流値の測定は、導体線を1つにまとめて結線して行なった。
導体線を複数本捲回させたことを除いて、実施例4と同様に伸縮電線を作製した。なお、複数本の導体線を捲回させるに当たり、所定の本数を1つのボビンに前巻きした後、カバーリングマシーンにて捲回した。得られた伸縮電線の構成と製造条件および各種の評価結果を実施例4の結果と併せて表5に示した。
[実施例17]
導体線を複数本捲回させたことを除いて、実施例7と同様に伸縮電線を作製した。なお、複数本の導体線を捲回させるに当たり、所定の本数を1つのボビンに前巻きした後、カバーリングマシーンにて捲回した。得られた伸縮電線の構成と製造条件および各種の評価結果を実施例7の結果と併せて表5に示した。表5から、導体線を複数にしても、良好な伸縮電線が得られることが分かる。
実施例1と同様にして作成した弾性円筒体を、2.2倍伸長し、16本打ち製紐機で、Z方向に導体線(2USTC 30μ*90本 竜野電線製)4本とウーリーナイロン(220dt(72f)*3本引き揃え)4本を交互に配置して打ち込み、S方向にエステルウーリー(155dt(36f))を4本打ち込んで編組加工を行なって、伸縮電線中間体を得た。得られた伸縮電線中間体を1.8倍伸長下で、16本打ち製紐機にて、実施例1と同様にして外部被覆を行い、4本の導体線を有する伸縮電線を得た。
当該伸縮電線を弛緩状態で1m採取し、内部に含まれる4本の導体線の内隣り合う2本の伝送ロスを、ネットワークアナライザー(ヒューレットパッカード 8703A)を用いて調べた。250Mhz下での伝送ロスは−6dbであり、高速伝送に使用できることがわかる。実施例16で得られた伸縮電線を同様にして測定した結果、−12dbであった。
また、短絡性評価を行った結果、実施例16で得られた伸縮電線は10万回繰り返し伸縮で短絡したが、本実施例で得られた伸縮電線では、100万回伸長繰り返しでも短絡しなかった。
このように1方向に導体線を複数本配置し、反対方向に絶縁繊維を配置し編組した構造の伸縮電線は伝送特性にすぐれ、繰り返し伸縮で短絡しにくい優れた電線であることが分かる。
実施例15と同様にして伸縮電線中間体を得た。得られた伸縮電線中間体を低硬度ウレタンゲル(ユニマック(株)製のランドソーバUE04#052601(主剤)とランドソーバUE04#052602(硬化剤)とを100:35の割合で混合したもの)中に浸漬し、テンションバーによる脱液を行なった後、80℃60分間の熱処理を行ない、弾性円筒体と導体線の一体化処理を行なった。得られた一体化処理品を用いて、実施例15と同様に外部被覆を行い本発明の伸縮電線を得た。得られた伸縮電線の構成と製造条件および各種の評価結果を実施例15の結果と併せて表6に示した。
また、高温下での使用条件においても使用きる伸縮電線である。
2 中間層
3 導体線
4 外部被覆層
6 弾性円筒体
10 コイルバネ
20 試料
21 チャック部
22 チャック部
23 ステンレス棒
Claims (14)
- 少なくとも、芯部、導体部及び被覆部からなる構造を有し、該芯部が弾性体とその外周を被覆する中間層とからなる弾性円筒体であり、該導体部が細線の集合線からなる導体線を含み、かつ該導体線が該弾性円筒体の外周に捲回および/または編組されており、該被覆部が該導体部の外周を被覆する絶縁体からなる外部被覆層であることを特徴とする伸縮電線。
- 弾性体が伸度100%以上の弾性長繊維または伸度50%以上のコイルバネであることを特徴とする請求項1に記載の伸縮電線。
- 中間層の厚さが0.1Ld(Ld:弾性長繊維の換算直径またはコイルバネの外径)または0.1mmのいずれか小さい方から10mmの範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の伸縮電線。
- 弾性円筒体の50%伸長応力が1〜500cN/mm2であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の伸縮電線。
- 導体線が、比抵抗が10-4Ω×cm以下の電気伝導体からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の伸縮電線。
- 細線の直径(Lt)が1mm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の伸縮電線。
- 導体線が銅またはアルミニウムを80%以上含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の伸縮電線。
- 導体線が細線毎に厚さ1mm以下の絶縁性被覆層を有するか、または、集合線全体として厚さ2mm以下の絶縁性被覆層を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の伸縮電線。
- 導体線が、芯部に一体化するための一体化層を有し、該一体化層が伸度50%以上の弾性体からなることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の伸縮電線。
- 30%伸張荷重が5000cN以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の伸縮電線。
- 導体部が複数の導体線からなることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の伸縮電線。
- 1本の導体線の電気抵抗が弛緩時に10Ω/m以下であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の伸縮電線。
- 少なくとも、芯部、導体部及び被覆部からなる構造を有し、該芯部が弾性体とその外周を被覆する中間層とからなる弾性円筒体であり、該導体部が細線の集合線からなる導体線を含み、かつ該導体線が該弾性円筒体の外周に捲回および/または編組されており、該被覆部が該導体部の外周を被覆する絶縁体からなる外部被覆層であることを特徴とする伸縮電線の製造方法であって、下記の各工程からなることを特徴とする伸縮電線の製造方法。
1)該弾性体を伸張した状態で、その外周に絶縁繊維を編組および/または捲回することによって、該弾性円筒体を形成する工程、
2)得られた該弾性円筒体を伸張した状態で、その外周に該導体線を捲回および/または編組することによって、該導体部を形成する工程、および
3)得られた該弾性円筒体及び該導体部からなる構造体又は更に一体化処理がなされた該構造体を伸張した状態で、その外周に絶縁繊維を編組および/または絶縁樹脂を被覆することによって、該外部被覆層を形成する工程。 - 請求項1〜12のいずれか一項に記載の伸縮電線の複数本を伸張した状態で、まとめて1本の細幅弾性テープ形状としたことを特徴とする細幅弾性テープ形状の伸縮電線。
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