JP2010040339A - 伸縮電線 - Google Patents

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康式 結城
Hideo Ikenaga
秀雄 池永
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Abstract

【課題】芯部と導体部間、および導体部と外部被覆部間のずれが生じにくく、取扱い性に優れた伸縮電線を提供すること。
【解決手段】本発明の伸縮電線は、伸縮性を有する弾性体からなる芯部、該芯部の外周に捲回角度が30度〜80度でらせん状に捲回された導体線からなる導体部及び該導体部の外周に絶縁物質からなる外部被覆部を有する伸縮電線において、芯部と導体部との間の引抜抵抗力および導体部と外部被覆部との間の引抜抵抗力がいずれも8N以上であることを特徴とする伸縮電線である。
【選択図】なし

Description

本発明は、伸縮性を有する伸縮電線に関し、特にロボットやウエアラブル電子機器に好適な、伸長性、伸長回復性及び摩擦耐久性に優れた伸縮電線に関する。
近年、ロボットの発展が著しく、多彩な動きをするロボットが登場しつつある。また、人体や衣服に装着可能なウエアラブル電子機器も、様々な機器が開発されている。これらのロボットやウエアラブル電子機器には、動力用や信号伝送用の電線が多数使用されている。しかしながら、一般的に電線は、銅線を芯にし、その外周が絶縁体で被覆された構造になっており、伸縮性がほとんど無い。このため、ロボットや人体の動きを妨げないように電線に大きな余裕を持たせて配線する必要があり、このことが装置設計上及び実用上の障害となることが多い。
特に、最先端のヒューマノイド型ロボットや、人体に装着して筋力を補助するパワーアシスト装置においては、多自由度関節を経由して末端のモーターを動かすための電線や、末端に装備された各種センサーからの信号を伝送するための電線を多数配線しており、多自由度関節における配線の自由度を高めるために、電線に伸縮性を持たせたいというニーズがある。
伸縮性のある電線の代表例としては、電線をコイル状の形態にすることによって伸縮可能にしたカールコードがあり、固定電話機などに用いられているが、一般的に太くて重く、カールコード同士が絡みやすいという問題があるため、多数の電線を使用するヒューマノイド型ロボットやパワーアシスト装置には適さない。
一方、電線自体に伸縮性を持たせた伸縮電線に関する技術としては、例えば特許文献1には、弾性糸を2倍程度に伸ばした状態で非弾性糸を巻き付けて形成した芯糸の外周に、銅箔をらせん状に巻き付けた伸縮電線が開示されている。
また、特許文献2には、弾性繊維フィラメント糸を芯にし、1.5〜3.5倍に伸長した弾性繊維フィラメント糸の周りに繊維束を捲回または引き揃えて配置させ、更にその外周に金属線をらせん角30度以上でらせん状に捲回した金属線複合弾性糸が開示されている。
さらに、特許文献3は、伸縮自在な弾性糸からなる芯材の外周に導電線を配設した複数本の芯線を仮撚加工糸で被覆した伸縮電線が開示されている。
このように、従来の伸縮電線は、弾性糸を伸長した状態でその外周に非弾性糸を捲回して芯部を形成し、その外周に金属線からなる導体線を捲回させ、さらにその外周に外部被覆を設ける方法が一般的である。このような構造の伸縮電線は、製造方法や製造条件によっては、芯部と導体線、あるいは導体線と外部被覆とがずれ易い場合があり、ずれが生じた部分は伸長性が部分的に低下してしまうという問題があった。また、伸縮電線を所定の長さに切断してコネクター等の接続作業を行う際に、切断端部において芯部がずれて伸縮電線内部に引っ込んでしまうと、伸縮電線端部の伸縮性がまったくなくなってしまったり、コネクターから伸縮電線が抜けやすくなったりして、取扱い性が悪化するという問題があった。
このような問題に関して特許文献2には、らせん角が30度未満のときは金属線が芯部に密着しないとの記載があるが、本発明者らによる検討によれば、らせん角が30度以上の場合であっても金属線と芯部が密着しない場合があり、金属線と芯部の密着度合いは、らせん角にはよらないことが判った。
特開昭61−290603号公報 特公昭64−3967号公報 特開2004−134313号公報
本発明は、芯部と導体部間、および導体部と外部被覆部間のずれが生じにくく、取扱い性に優れた伸縮電線を提供することを目的とする。
本発明者等は、伸縮電線の芯部、導体部及び外部被覆部の間の引抜抵抗力が特定の範囲である伸縮電線とすることによって、前記課題を解決できることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
伸縮性を有する弾性体からなる芯部、該芯部の外周に捲回角度が30度〜80度でらせん状に捲回された導体線からなる導体部及び該導体部の外周に絶縁物質からなる外部被覆部を有する伸縮電線において、芯部と導体部との間の引抜抵抗力および導体部と外部被覆部との間の引抜抵抗力がいずれも8N以上であることを特徴とする伸縮電線。
本発明の伸縮電線は、芯部と導体部、及び導体部と外部被覆部のずれが生じにくいため、コネクターの接続作業等において取扱い性に優れる。
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明の伸縮電線は、伸縮性を有する弾性体からなる芯部、該芯部の外周にらせん状に捲回された導体線からなる導体部及び該導体部の外周に絶縁物質からなる外部被覆部を有する。
本発明の伸縮電線は、芯部と導体部との間の引抜抵抗力及び導体部と外部被覆部との間の引抜抵抗力がいずれも8N以上であることが必要である。引抜抵抗力がこの範囲であると、芯部と導体部、および導体部と外部被覆部とのずれが生じにくいため、長さ方向における伸縮性の変化が少なく、取扱い性及び伸縮耐久性に優れた伸縮電線が得られる。引抜抵抗力は、10N以上がより好ましく、15N以上がさらに好ましい。なお、引抜抵抗力の上限は、伸縮電線の芯部、導体部及び外部被覆部の破断強力に一致し、それぞれの部位の素材や寸法による。
本発明において、引抜抵抗力は以下の測定方法によって測定したものである。
(1)芯部と導体部との間の引抜抵抗力
図1のように、試料(1)を約20cmに切断し、芯部、導体部及び外部被覆部が積層された積層部Aの部分の長さを5cmとし、その両端部の一方は導体部と外部被覆部を除去して芯部のみからなる内層部Bとし、他方は芯部を除去して導体部と外部被覆部が積層された外層部Cとする。
引張試験機(株式会社エー・アンド・デイ製、テンシロン試験機)を用い、つかみ間隔を100mmに設定し、積層部Aがチャック(2)間の略中心に位置するように内層部B及び外層部Cをそれぞれチャックで把持し、試料が破断するか、積層部Aが完全に引き抜かれるまで引張速度100mm/分で伸長する。記録した荷重−伸長曲線から最大荷重(N)を求め引抜抵抗力とする。
(2)導体部と外部被覆部との間の引抜抵抗力
外部被覆部を除去して芯部と導体部が積層された部分を内層部B、芯部と導体部を除去して外部被覆部のみからなる部分を外層部Cとした以外は、上記(1)と同様にして引抜抵抗力を求めた。
本発明の伸縮電線は、導体線の捲回角度が30度〜80度であることが必要である。捲回角度がこの範囲であれば、伸縮性に優れた伸縮電線が得られる。捲回角度は35度以上75度以下であればさらに好ましく、40度以上70度以下であれば特に好ましい。本発明において導体線の捲回角度とは、伸縮電線を側面から見たときの、伸縮電線の長さ方向(軸方向)と導体線のなす角度であり、伸縮電線が弛緩状態での角度をいう。捲回角度は、弛緩状態の伸縮電線を一定長切りとり、捲回されている導体線をほどいてその長さを測定し、逆三角関数を用いて求める。
本発明の伸縮電線において、芯部を構成する伸縮性を有する弾性体は、弾性長繊維や弾性チューブ等、伸縮性を有する弾性体であれば特に限定されない。また、芯部は弾性体の周囲に絶縁繊維を捲回させたものでもよい。
本発明の伸縮電線の芯部は、伸長回復性に優れていることが好ましく、例えば50%伸長回復率が80%以上であることが好ましく、85%以上がより好ましく、90%がさらに好ましい。50%伸長回復率がこの範囲であると、繰返しの伸長回復性優れた伸縮電線が得られる。また、芯部の破断伸度は100%以上であることが好ましく、150%以上がより好ましく、200%以上が特に好ましい。破断伸度がこの範囲であると、高い伸長性を有する伸縮電線が得られる。
さらに、芯部は50%伸長応力が1〜200cN/mm2であることが好ましく、より好ましくは5〜100cN/mm2、特に好ましくは10〜50cN/mm2である。50%伸長応力がこの範囲であると、小さな力で伸長が可能な伸縮電線が得られ、多数の伸縮電線を用いる用途、例えばヒューマノイド型ロボット、パワーアシスト装置、ウエアラブル電子機器等に好適な伸縮電線となる。
本発明の伸縮電線の芯部に用いる弾性体の種類としては、前記の好ましい特性値を満足するような弾性体であれば特に限定されるものではないが、例えばポリウレタン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等の熱可塑性エラストマーや、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム等の合成ゴム、天然ゴム、及び前記合成ゴムと天然ゴムの複合ゴム系材料からなる弾性長繊維又は弾性チューブが好ましい。
本発明の伸縮電線の芯部に用いる弾性体は、前記エラストマーや合成ゴム系材料を多孔質化したものや、長手方向に連続した中空部を少なくとも一つ以上有する中空弾性糸(弾性チューブ)であれば、導体線が芯部に適度に食い込んだ状態で捲回されるため、引抜抵抗力が高くなって好ましい。多孔質化の方法としては従来から既知の方法を用いればよく、例えば加熱により分解して炭酸ガス、窒素等の気体を発生する発泡剤を前記熱可塑性エラストマーやゴム材料に含有させ、繊維化すると同時に、あるいは繊維化した後に発泡させて多孔質化する方法があるが、これに限定されない。
長手方向に連続した中空部を少なくとも一つ以上有する中空弾性糸は、中空弾性糸の断面積から計算される中空率が3〜50%であることが好ましく、5〜30%がより好ましく、10〜25%が更に好ましい。中空弾性糸を製造する方法としては特に限定されないが、例えば熱可塑性エラストマーを用いる場合は、中空断面の合成繊維を溶融紡糸する際に用いられる既知の紡糸口金を用いる方法が好ましい。また、シリコーンゴムからなる中空弾性糸の場合は、例えばシリコーンゴム、加硫剤および必要に応じてその他の添加剤を配合したシリコーンゴム配合物を中空糸形状に押し出し成形し、加硫炉にて加熱しながら延伸加工を行う方法が好ましい。シリコーンゴムは例えばミラブルタイプ、液状タイプ等が挙げられるが、特にその種類は制限されるものではない。
本発明の伸縮電線の芯部に用いる弾性体は、モノフィラメントであってもよく、マルチフィラメントであってもよい。また、溶融紡糸等の製造が困難な弾性体については、弾性体をシート化した後に任意の幅でカットして分割する、いわゆるスリットヤーンであってもよい。
さらに、本発明の伸縮電線の芯部に用いる弾性体は、弾性長繊維からなる編紐又は組紐であることも好ましい。弾性長繊維からなる編紐又は組紐は、表面に適度な凹凸を有しているため、導体線が編紐又は組紐の表面に引っ掛かり易く、引抜抵抗力が高くなって好ましい。編紐又は組紐に用いる弾性長繊維は、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等の熱可塑性エラストマーが好ましい。弾性長繊維はモノフィラメントであってもよく、マルチフィラメントであってもよい。弾性長繊維の好ましい繊度は、10〜5000dtexが好ましく、30〜2000dtexがより好ましい。
弾性長繊維からなる編紐は、例えば小径円筒編機(紐編機)に弾性長繊維(通常は1本)を給糸して編成することによって製造でき、弾性長繊維からなる組紐は、例えば製紐機に弾性長繊維を給糸して編組加工することによって製造できる。このとき、弾性長繊維は表面の摩擦力が高いため、そのまま小径円筒編機や製紐機に給糸しても製造し難い場合があるが、その場合は弾性長繊維の外周をポリエステルやナイロン等の合成繊維(仮撚加工糸等の捲縮糸が好ましい)でカバリング加工する等して被覆することが好ましい。このとき、被覆する合成繊維の繊度は、弾性長繊維の繊度よりも小さいことが好ましく、弾性長繊維の1/5以下の繊度であることがより好ましい。
本発明の伸縮電線の芯部は、弾性体の周囲に絶縁繊維を捲回させたものでもよい。弾性体の周囲に絶縁繊維を捲回させることにより、該芯部の外周にらせん状に捲回させる導体線との摩擦を低減させて導体線の捲回を容易にすることができる。また、絶縁繊維をある程度以上の厚さで捲回することにより、弾性体に導体線を直接捲回する場合よりも、より大きな捲き径で導体線を捲回することができるため、より太い導体線を捲回できたり、伸縮電線の断面積当りの伸長応力を下げたりできる。但し、導体線との摩擦を低減しすぎると、芯部と導体部とがずれやすくなるので好ましくない。
本発明の伸縮電線の芯部の外径は、目的とする伸縮電線の太さに応じて適宜設定すればよいが、好ましくは0.01〜10mmの範囲であり、0.02〜5mmがより好ましく、0.1〜3mmがさらに好ましく、0.2〜2mmが特に好ましい。
本発明の伸縮電線は、上記芯部の外周にらせん状に捲回された導体線からなる導体部を有する。導体線は単線であってもよく、細線の集合線であってもよいが、少なくとも2本以上の細線の集合線であることが好ましい。細線の集合線とすることで、導体線の柔軟性が高まり、伸縮性を阻害しにくくなり、より細い伸縮電線が得られ易い。
細線を集合させるには様々な方法が知られており、本発明においても公知のどのような方法で集合させてもよい。しかし、ストレートに引き揃えるだけでは捲回しづらいため、撚り線とすることが好ましい。また、可撓性を発揮するために、集合線を絶縁繊維で捲回したものを用いることもできる。
導体線を構成する細線の直径は1mm以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.1mm以下であり、特に好ましくは0.08mm以下であり、最も好ましくは0.05mm以下である。細線の直径がこの範囲であれば導体線の柔軟性が高まり、伸縮性を阻害しにくくなり、伸縮による断線も起きにくくなり、より細い伸縮電線が得られ易い。あまり細すぎると加工時に断線し易いため、0.01mm以上が好ましい。
導体線を細線の集合線として用いる場合は、以下の式で求められる導体線の換算直径が2mm以下とすることが好ましく、より好ましくは1mm以下、さらに好ましくは0.5mm以下である。
導体線の換算直径=2×√(π×(Lt/2)×(Lt/2)/π)=Lt×√n
Lt:導体線を構成する細線の直径
n:導体線を構成する細線の集合本数
導体線の換算直径がこの範囲であれば、可撓性が良好で安定して捲回することができる。また、捲回する際の作業性の点からは、導体線の換算直径は0.01mm以上が好ましく、0.02mm以上がより好ましい。
導体線は、比抵抗が10-4Ω・cm以下であることが好ましく、10-5Ω・cm以下であることがより好ましい。導体線は80wt%以上が銅からなる銅線、または80%以上がアルミニウムからなるアルミニウム線であることが好ましい。銅線は、比較的安価で電気抵抗が低いので、最も好ましい。アルミニウム線は軽量であるから、銅線に続いて好ましい。銅線は軟銅線または錫銅合金線が一般的であるが、導電性をあまり低下させずに、強力を高めた強力銅合金(例えば、無酸素銅に鉄、燐およびインジウム等を添加したもの)、錫、金、銀または白金などでメッキして酸化を防止したもの、電気信号の伝送特性を向上させるために金その他の元素で表面処理したものなどを用いることもできる。
導体線は1本ずつを絶縁体で被覆されているものを用いることもでき、細線の集合線をまとめて絶縁体で被覆したものを用いることもできる。被覆する絶縁体の厚さは2mm以下であることが好ましく、より好ましくは1mm以下であり、さらに好ましくは0.1mm以下である。被覆する絶縁体の厚さがこの範囲であれば、絶縁被覆された導体線は柔軟であり、かつ外径の小さい導体線となる。
被覆する絶縁体の種類は、公知の絶縁樹脂から上記の趣旨に沿ったものを任意に選ぶことができる。導体線1本ずつに樹脂被覆を行う場合は、例えば一般のマグネットワイヤーで用いられるいわゆるエナメル被覆として、ポリウレタン被覆、ポリウレタン−ナイロン被覆、ポリエステル被覆、ポリエステルーナイロン被覆、ポリエステルーイミド被覆およびポリエステルイミド・ポリアミドイミド被覆等が挙げられる。また、集合線としてから樹脂被覆を行う場合は、塩ビ樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂およびエステル樹脂などを用いることができる。また、識別のため、各導体線をあらかじめ色分けしておくこともできる。
導体線にあらかじめ絶縁繊維を被覆したものを用いることもできる。絶縁繊維としては、フッ素繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリプロピレン繊維、塩化ビニル繊維、サラン繊維、ガラス繊維およびポリウレタン繊維等の公知の絶縁繊維を用いることができる。導体線に絶縁繊維を捲回および/または編組することによって、導体線を被覆することができる。あらかじめ絶縁繊維で被覆した導体線は、加工時に細線表層の絶縁性樹脂層が破壊されにくく、好ましい。
また、後述するように、導体部には、導体線の間隔を均一に保つために導体線の間に導体線と同一方向に絶縁繊維を配置したり、導体線同志の重なりや磨耗を防止するために導体線と逆方向に絶縁繊維を配置することができ、導体線に加えてこれらの絶縁繊維も含めて導体部は構成される。
本発明の伸縮電線は、導体部の外周に外部被覆部を有する。外部被覆部は、伸縮性を阻害せずに内部の導体線を保護することが求められるため、絶縁繊維の編組、および/または伸度50%以上の絶縁樹脂の弾性チューブ状物により形成されることが好ましい。
外部被覆部を絶縁繊維の編組によって形成する場合は、芯部に導体線を捲回した中間体を、製紐機等に再度仕掛け、該中間体を伸長した状態で外周に絶縁繊維を編組する方法が好ましく、編組の最終形体は丸紐状でも細幅テープ状でもよい。また、芯部に導体線を捲回した中間体を複数本まとめ、その該周を絶縁繊維で被覆してもよく、あるいは、上記中間体を予め絶縁繊維で被覆したものを複数本まとめ、さらにその外周を絶縁繊維で被覆してもよい。好ましくは、芯部に導体線を複数本同時に捲回し、その外周を絶縁繊維で被覆したものが最もコンパクトにできる。
外周を被覆する絶縁繊維としては、マルチフィラメントまたは紡績糸を用いることができ、伸縮電線の用途や想定される使用条件に合わせて、公知の絶縁性繊維から任意に選ぶことができる。絶縁繊維は原糸のままでも良いが、意匠性や劣化防止の観点から原着糸や先染め糸を用いることもできる。また、仕上げ加工により、柔軟性や耐摩擦性の向上を図ることもできる。さらに、難燃加工、撥水加工、撥油加工、防汚加工、抗菌加工、制菌加工および消臭加工など、公知の繊維の加工を施すことにより、実用時の取り扱い性を向上させることもできる。特に、絶縁繊維の表面にシリコーン樹脂等の平滑剤を付与すると、伸縮電線表面の摩擦係数をより低減できるので好ましい。また、ヒューマノイド型ロボットの外皮配線に用いる場合は、外皮を構成する樹脂が伸縮電線内部に浸透して伸縮性を阻害しないように、外部被覆部に撥水加工を施すことが好ましい。
耐熱性と耐磨耗性を両立させる絶縁繊維としては、アラミド繊維、ポリスルホン繊維およびフッ素繊維が挙げられる。耐火性の観点からは、ガラス繊維、耐炎化アクリル繊維、フッ素繊維およびサラン繊維が、また、耐磨耗性や強度の観点からは、高強力ポリエチレン繊維およびポリケトン繊維が挙げられる。コストと耐熱性の観点からは、ポリエステル繊維、ナイロン繊維およびアクリル繊維がある。これらに、難燃性を付与した難燃ポリエステル繊維、難燃ナイロン繊維および難燃アクリル繊維(モダクリル繊維)なども好適である。摩擦熱による局部的な劣化に対しては、非溶融繊維を用いることが好ましい。その例としては、アラミド繊維、ポリスルホン繊維、コットン、レーヨン、キュプラ、ウール、絹およびアクリル繊維を挙げることができる。強度を重視する場合は、高強力ポリエチレン繊維、アラミド繊維およびポリフェニレンサルファイド繊維が挙げられる。摩擦性を重視する場合は、フッ素繊維、ナイロン繊維およびポリエステル繊維が挙げられる。意匠性を重視する場合は、発色の良いアクリル繊維を用いることもできる。さらに、人との接触による触感を重視する場合は、キュプラ、アセテート、コットンおよびレーヨンなどのセルロース系繊維や、絹または繊度の細い合成繊維を用いることができる。
液体からの被覆性を高めたい場合には、外部被覆として絶縁樹脂の弾性チューブ状物を好適に用いることができる。絶縁樹脂はさまざまな弾性の絶縁樹脂から任意に選ぶことができ、伸縮電線の用途及び伸縮電線の内部構造に使用する他の絶縁繊維との相性を考慮しながら、選定することができる。
考慮すべき性能は伸縮性、耐磨耗性、耐熱性および耐薬品性などが挙げられ、これらの性能に優れるものとしては合成ゴム系弾性体が挙げられ、フッ素系ゴム、シリコーン系ゴム、エチレン・プロピレン系ゴム、クロロプレン系ゴムおよびブチル系ゴムが好ましい。
絶縁体からなる外部被覆層は、絶縁繊維により編組された被覆と弾性チューブ状物とを組み合わせることもできる。伸縮電線は、小さい力で伸縮させることを望むケースが多いが、弾性チューブ状物のみで被覆する場合は、弾性チューブの厚みを厚くする必要があり、伸縮に必要な力が大きくなりやすい。このような場合は、厚みの薄いチューブと絶縁繊維による編組を組み合わせることで、被覆性と伸縮性を両立させることができる。
本発明の伸縮電線は、芯部と導体部の少なくとも一部及び/又は導体部と外部被覆部の少なくとも一部が一体化されていれば、芯部と導体部、あるいは導体部と外部被覆部とのずれが生じにくいため、より好ましい。一体化は連続的でもよく、断続的でもよい。
一体化する方法としては、例えば、外部被覆をする前、あるいは外部被覆をした後の伸縮電線を弾性体の液状物中に浸漬するか、または、少なくとも伸縮電線の表面に弾性体の液状物を付与し、その後、必要に応じて脱液を行った後、加熱による反応促進または乾燥を行うか、冷却による固化を行うことによって、一体化することができる。
一体化した後も柔軟性に優れた伸縮電線とするためには、弾性体の液状物の粘度が2000ポイズ以下であることが望ましい。これ以上の場合は、弾性体の薄い膜形成が難しく、また、芯部と導体部、あるいは導体部と外部被覆部の隙間に弾性体の液状物が浸透しにくくなる。薄い膜を形成させるために、弾性体の液状物として、2液混合反応型のポリウレタン系弾性体、溶剤中に溶解したポリウレタン系弾性体、ラテックス状の天然ゴム系弾性体およびラテックス状の合成ゴム系弾性体を用いることができる。
次に、本発明の伸縮電線の代表的な製造方法について説明する。なお、本発明の伸縮電線は以下の製造方法に限定されるものではない。
本発明の伸縮電線の代表的な製造方法としては、2対のローラー間で芯部を伸長した状態で導体線をらせん状に1本または複数本捲回させる方法が挙げられる。伸縮性を発現させやすくするために、芯部を30%以上伸長することが好ましく、さらに好ましくは50%以上、特に好ましくは100%以上である。
導体線をらせん状に捲回させる方法としては、例えば、カバリング機を用いて導体線を捲回する方法や、製紐機等を用いて導体線を芯部の外周に編組する方法が挙げられる。芯部と導体部との間の引抜抵抗力を高くするためには、導体線に適度な張力を掛けて捲回することが好ましい。
カバリング機を用いて導体線を捲回する場合は、導体線を巻いたボビンの回転数を高くする等して捲回張力を高くすることが可能であるが、捲回張力が高すぎると芯部の直線性が損なわれて導体線がきれいに捲回できない場合がある。一方、編組の方法で導体線を捲回する場合は、S撚り方向とZ撚り方向の両方に導体線及び/又は他の繊維を捲回することが可能であり、張力を高くして捲回することが可能であるので、編組の方法が好ましい。
編組の方法において、例えば製紐機を用いて導体線を捲回する場合、導体線に掛ける糸錘の重さを変えたり、編組加工中の単位長さ当たりの巻付数を変えたりすることによって、導体線の捲回張力を変えることができる。ここで、編組加工中の単位長さ当たりの巻付数は、以下の式で計算できる。
編組加工中の単位長さ当たりの巻付数(T/m)=ボビンが1分間に芯部の周囲を周回する回転数(T/分)/伸縮電線の送り出し速度(製紐機の出口側の速度)(m/分)
導体線に掛ける糸錘の重さを重くしたり、編組加工中の単位長さ当たりの巻付数を多くしたりすると、導体線の捲回張力を高くすることができる。但し、糸錘の重さを重くしすぎると、導体線が損傷する場合があるので、導体線を損傷しない範囲で糸錘の重さを調整することが好ましい。また、導体線の捲回張力が高すぎると、伸縮電線の伸長性を阻害する場合があるので、伸長性を阻害しない範囲で捲回張力を調整することが好ましい。
糸錘の重さは、以下の式で計算される導体線の換算断面積当たりに掛ける重さが、1000〜3500g/mm2が好ましく、1200〜3300g/mm2がより好ましく、1500〜3000g/mm2がさらに好ましい。
導体線の換算断面積=(導体線の換算直径)2×π/4
また、編組加工中の単位長さ当たりの巻付数は、120〜250T/mが好ましく、130〜230T/mがより好ましく、140〜200T/mがさらに好ましい。
導体線を複数本捲回する場合は、S撚り方向とZ撚り方向の両方に捲回することも、1方向のみに捲回することもできるが、捲回された後の導体線同士が重なり合うと、摩擦によって断線が起きやすくなる場合があるため、導体線を1方向のみに、かつ重なり合わないように捲回することが好ましい。
カバリング機を用いて導体線を1方向に複数本捲回する場合は、あらかじめ1つのボビンに複数本を引き揃えて捲きつけたボビンを用い、これを一度に捲回することが好ましいが、導体線同士が重なり合う可能性がある。
一方、編組の方法であれば、一度に複数本の導体線を互いに交差することなく並行に捲回させることができるため、好ましい。例えば、導体線を1方向に編組し、反対方向に絶縁繊維を編組すれば、伸縮により導体線同志が磨耗することを防ぐことができる。また、1方向に編組する複数の導体線の間に絶縁繊維を配し、反対方向にも絶縁繊維を配することは、伸縮による導体線同志の重なりや短絡を防止できるため、特に好ましい。
さらに、複数の導体線を有する伸縮電線においては、信号線を2本と電力線を2本とする場合がある。この場合、信号線間の間隔が不均一であると、信号線間の特性インピーダンスが不均一となり、伝送ロスが大きくなる(特に高周波において)という問題がある。複数の導体線を1方向とし、反対方向に絶縁繊維を編組した構造、または、複数の導体線間に絶縁繊維を同一方向で配置し、反対方向に絶縁繊維を配置して編組したものは、伝送ロスが少なく特に好ましい。このとき、信号線間の間隔をより均一にするためには、導体線と反対方向に配置する絶縁繊維は、導体線と同一方向に配置する絶縁繊維に比較して細い方が好ましく、1/2〜1/10の繊度がより好ましい。
本発明の伸縮電線は、芯部へ導体線を捲回した後、その外周に外部被覆部を形成する。外部被覆部として絶縁繊維を用いる場合は、導体線を捲回する場合と同様に、製紐機等により編組を行うことが好ましい。また、導体部と外部被覆部との間の引抜抵抗力を高める方法も、導体線を捲回する際と同様に、絶縁繊維を損傷しない範囲で絶縁繊維に掛ける糸錘の重さを重くしたり、編組加工中の単位長さ当たりの絶縁繊維の巻付数を高くしたりすることによって、絶縁繊維の捲回張力を高くすることによって可能である。但し、絶縁繊維の捲回張力が高すぎると、伸縮電線の伸長性を阻害する場合があるので、伸長性を阻害しない範囲で捲回張力を調整することが好ましい。
外部被覆部を絶縁樹脂によって行う場合は、従来から既知の方法により弾性チューブ状物を被覆すればよい。この場合、導体部と外部被覆部との間の引抜抵抗力を高めるには、粘度の低い弾性体を用いて導体線間に弾性体が入り込み易くしたり、収縮能の大きな弾性体を用いて導体部とより密着させたりする方法等がある。
このようにして得られた伸縮電線は、抵抗が弛緩状態で10Ω/m以下であることが好ましい。これ以上の場合は、微弱電流を流すことができても、駆動電流を流すには適さない。さらに好ましくは1Ω/m以下である。
本発明の伸縮電線を伸長させるのに必要な力としては、30%伸長荷重が5000cN以下であることが好ましく、3000cN以下がより好ましく、1000cN以下がさらに好ましく、500cN以下が特に好ましい。30%伸長荷重がこの範囲を満足すると、小さな力で伸長できるので好ましい。
本発明の伸縮電線は、10N荷重時の伸長率が40%以上であることが好ましく、50%以上がより好ましく、70%以上がさらに好ましい。10Nの荷重というのは、人が手で伸縮電線を強く引っ張って伸長した時に相当する荷重であり、これ以上の荷重が掛かると導体線が伸びて塑性変形したり、一部断線したりすることがある。
また、10N荷重を10回繰り返して掛けた後の伸長回復率が60%以上であるが好ましく、70%以上がより好ましく、75%以上がさらに好ましい。
本発明の伸縮電線を複数本組み込んだ、細幅弾性テープ形状にしたものも作る事ができる。細幅弾性テープ形状とするためには、あらかじめ絶縁被覆された伸縮電線を2〜100本用いることが好ましい。汎用的なものは3〜5本用いるものであるが、電源から末端まで多数のモーターやセンサーを1本のテープで配線したいという場合もあり、多数の伸縮電線をテープ状にすることもできる。取り扱い性の点から、テープの幅は20cm以下が好ましく、10cm以下であることがより好ましい。
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
本発明で用いた評価方法は以下の通りである。
(1)芯部と導体部との間の引抜抵抗力
図1のように、試料(1)を約20cmに切断し、芯部、導体部及び外部被覆部が積層された積層部Aの部分の長さを5cmとし、その両端部の一方は導体部と外部被覆部を除去して芯部のみからなる内層部Bとし、他方は芯部を除去して導体部と外部被覆部が積層された外層部Cとする。
引張試験機(株式会社エー・アンド・デイ製、テンシロン試験機)を用い、つかみ間隔を100mmに設定し、積層部Aがチャック(2)間の略中心に位置するように内層部B及び外層部Cをそれぞれチャックで把持し、試料が破断するか、積層部Aが完全に引き抜かれるまで引張速度100mm/分で伸長する。記録した荷重−伸長曲線から最大荷重(N)を求め引抜抵抗力とする。
試料5本について同様の試験を行い、平均値を算出する。
(2)導体部と外部被覆部との間の引抜抵抗力
外部被覆部を除去して芯部と導体部が積層された部分を内層部B、芯部と導体部を除去して外部被覆部のみからなる部分を外層部Cとした以外は、(1)と同様にして引抜抵抗力を求める。
(3)導体線の捲回角度
弛緩状態の試料を5cmの長さで切り取り、捲回されている導体線をほどいてその長さL(cm)を測定し、次式により求める。導体線が複数本ある場合は、それぞれの長さを測定し、平均値を計算する。
捲回角度(度)={cos-1(5/L)}×180/π
試料5本について同様の試験を行い、平均値を算出する。
(4)10N荷重時の伸長率
引張試験機(株式会社エー・アンド・デイ製、テンシロン試験機)につかみ間隔100mmで試料をセットし、引張速度100mm/分で伸長し、10Nの荷重が掛かった後直ちに同速度で除重し、得られた荷重−伸長曲線から10N荷重時のチャック間の距離L1(mm)を求め、次式により10N荷重時の伸長率(%)を求める。
10N荷重時の伸長率(%)={(L1−100)/100}×100
試料5本について同様の試験を行い、平均値を算出する。
(5)10N荷重後の伸長回復率
上記(4)の10N荷重の伸長試験を10回繰り返し、10回目の荷重−伸長曲線から10N荷重時のチャック間の距離L2(mm)、荷重が0に戻ったときのチャック間の距離L3(mm)を求め、次式により10N荷重後の伸長回復率(%)を求めた。
10N荷重後の伸長回復率(%)={(L2−L3)/(L2−100)}×100
試料5本について同様の試験を行い、平均値を算出する。
(6)取扱い性
弛緩状態の試料を20cmの長さで切り取り、両端を手で掴んで試料が伸びきるまで伸ばし、元の長さに戻す伸縮試験を10回繰り返す。10本の試料について伸縮試験を行い、以下の評価基準で取扱い性を評価する。
○:試料の両端部において、芯部、導体部及び外部被覆部間のずれがないものが10本である。
△:試料の両端部において、芯部、導体部及び外部被覆部間のずれがないものが7本〜9本である。
×:試料の両端部において、芯部、導体部及び外部被覆部間のずれがないものが6本以下である。
(7)芯部の50%伸長回復率
引張試験機(株式会社エー・アンド・デイ製、テンシロン試験機)につかみ間隔100mmで試料をセットし、引張速度100mm/minで伸長し、50%伸長後直ちに同速度で除重し、記録した荷重−伸長曲線から荷重がゼロになった時の残留伸びx(mm)を求め、次式により50%伸長回復率を求めた。
50%伸長回復率(%)=〔(50−x)/50〕×100
(8)芯部の50%伸長応力
上記(7)と同様の測定を行い、得られた荷重−伸長曲線から、50%伸長時の荷重P1(cN)を求め、次式により50%伸長応力を求めた。
50%伸長応力(cN/mm2)=P1/A1
なお、A1は当該試料の断面積A(mm2)である。断面積Aは、試料が変形しないように断面の直径をノギスで測定して求めた。
[実施例1]
ダブルカバリング機(カタオカテクノ社製、SP−400型)を用い、940dtex/72fのポリウレタン弾性長繊維(旭化成せんい株式会社製、商品名:ロイカ)を芯にして、伸長倍率6倍で伸長しながら、155dtex/48fのナイロン仮撚糸を500T/mの下撚り(S撚り)および332T/mの上撚り(Z撚り)で捲回し、ダブルカバー糸を得た。得られたダブルカバー糸を用い、8本打ちの製紐機(株式会社国分社製)を用いて編組加工を行い、ポリウレタン弾性長繊維からなる直径1.9mmの略丸断面の組紐を得た。
得られた組紐を芯部にして、16本打ちの製紐機((有)桜井鉄工製)を用いて、芯部を2.0倍に伸長しながら、Z撚り方向に導体線として銅細線集合線((有)竜野電線社製USTC、直径0.03mm×48本にポリエステル加工糸をカバリングしたもの)4本とナイロン仮撚糸(230dtex/72f)4本を1本交互に配置し、S撚り方向にエステル仮撚糸(56dtex/24f)を8本配置して編組加工を行い、伸縮電線中間体を得た。編組加工中の単位長さ当たりの巻付数は190T/m、糸錘は、導体線には20匁(約75g)、ナイロン仮撚糸とエステル仮撚糸には8匁(約30g)の糸錘を掛けた。
得られた伸縮電線中間体を芯にして再度16本打ちの製紐機に仕掛け、1.8倍に伸長しながら、エステル仮撚糸(167dtex/72f)をZ撚り方向及びS撚り方向に各々8本ずつ配置して編組加工による外部被覆を行い、2本の導体線を有する伸縮電線を得た。外部被覆の編組加工中の単位長さ当たりの巻付数は190T/m、糸錘は15匁(約56g)を掛けた。
得られた伸縮電線の評価結果を表1に示す。
[実施例2]
導体線及び外部被覆の編組加工時の単位長さ当たりの巻付数を170T/mとした以外は、実施例1と同様にして伸縮電線を得た。得られた伸縮電線の評価結果を表1に示す。
[実施例3]
導体線及び外部被覆の編組加工時の単位長さ当たりの巻付数を148T/m、導体線に掛ける糸錘を15匁(約56g)とした以外は、実施例1と同様にして伸縮電線を得た。得られた伸縮電線の評価結果を表1に示す。
[比較例1]
導体線及び外部被覆の編組加工時の単位長さ当たりの巻付数を127T/m、導体線に掛ける糸錘を8匁(約30g)とした以外は、実施例1と同様にして伸縮電線を得た。得られた伸縮電線の評価結果を表1に示す。
[実施例4]
天然ゴムのNo.18角ゴム(丸栄日産株式会社製)を芯にし、16本打ちの製紐機((有)桜井鉄工製)を用いて、芯を4倍に伸張しながら、Z撚り方向及びS撚り方向にナイロン仮撚糸(230dtex×3本引き揃え)を8本ずつ配置して編組加工を行い、直径が2.5mmの略丸断面のゴム糸を得た。
得られたゴム糸を芯部とし、芯部の伸長倍率を3.0倍、導体線及び外部被覆の編組加工時の単位長さ当たりの巻付数を176T/m、導体線に掛ける糸錘を25匁(約94g)とした以外は、実施例1と同様にして伸縮電線を得た。得られた伸縮電線の評価結果を表1に示す。
[実施例5]
導体線及び外部被覆の編組加工時の単位長さ当たりの巻付数を154T/m、導体線に掛ける糸錘を20匁(約75g)とした以外は、実施例4と同様にして伸縮電線を得た。得られた伸縮電線の評価結果を表1に示す。
[比較例2]
導体線及び外部被覆の編組加工時の単位長さ当たりの巻付数を130T/m、導体線に掛ける糸錘を15匁(約56g)とした以外は、実施例4と同様にして伸縮電線を得た。得られた伸縮電線の評価結果を表1に示す。
[実施例6]
シリコーンゴム100部に対して、有機過酸化物系のシリコーンゴム用加硫剤を0.8部の割合で添加した後、2本ロールを使用して室温で混練りしてシリコーンゴム原材料を作成し、シリコーンゴム用押出機でチューブ状に押し出し、420℃の加硫温度で予備加硫しながら成形速度70m/minで延伸して、外径2.3mm、内径1.4mmの中空糸形状の弾性体を得た。
得られた中空弾性体を芯部とし、芯部の伸長倍率を2.7倍、導体線及び外部被覆の編組加工時の単位長さ当たりの巻付数を196T/m、導体線に掛ける糸錘を25匁(約94g)とした以外は、実施例1と同様にして伸縮電線を得た。得られた伸縮電線の評価結果を表1に示す。
[比較例3]
導体線及び外部被覆の編組加工時の単位長さ当たりの巻付数を132T/m、導体線に掛ける糸錘を15匁(約56g)とした以外は、実施例5と同様にして伸縮電線を得た。得られた伸縮電線の評価結果を表1に示す。
Figure 2010040339
実施例の伸縮電線は、芯部と導体部間、及び導体部と外部被覆部間の引抜抵抗力が、いずれも8N以上であり、繰り返し伸縮をさせても、芯部、導体部及び外部被覆部間のずれがなく、取扱い性に優れた伸縮電線であった。
比較例の伸縮電線は、芯部と導体部間、及び導体部と外部被覆部間の引抜抵抗力が、いずれも8N未満しかなく、繰り返し伸縮をさせると、芯部、導体部及び外部被覆部間のずれが生じ、取扱い性に劣る伸縮電線であった。
本発明の伸縮電線は、ロボット分野をはじめとして、身体装着機器、衣服装着機器等、曲げ伸ばしなどの屈曲部を有する装置の配線に好適であり、特に、ヒューマノイド型ロボット(内部配線及び外皮配線)、パワーアシスト装置、ウエアラブル電子機器等に好適である。その他、各種ロボット(産業用ロボット、家庭用ロボット、ホビーロボット等)、リハビリ用補助具、バイタルデータ測定機器、モーションキャプチャー、電子機器付防護服、ゲーム用コントローラー(人体装着型を含む)、マイクロフォン、ヘッドフォン等の分野で好適に利用できる。
本発明の引抜抵抗力の評価装置の模式図である。
符号の説明
1 試料
2 チャック
A 積層部
B 内層部
C 外層部

Claims (1)

  1. 伸縮性を有する弾性体からなる芯部、該芯部の外周に捲回角度が30度〜80度でらせん状に捲回された導体線からなる導体部及び該導体部の外周に絶縁物質からなる外部被覆部を有する伸縮電線において、芯部と導体部との間の引抜抵抗力および導体部と外部被覆部との間の引抜抵抗力がいずれも8N以上であることを特徴とする伸縮電線。
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