JP2017183238A - 伸縮電線 - Google Patents

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志帆 湯徳
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Abstract

【課題】汚れふき取り性と、識別のため色分けされた内部導線の可視性、及び優れた伸縮性を有する伸縮電線の提供。【解決手段】伸縮電線の導体部の外周に、繊維で構成された透け感を有する外部被覆層を形成することで、内部の劣化状態の可視性及び優れた汚れふき取り性の実現可能な、伸縮性芯部、該伸縮性芯部の外周に捲回及び/又は編組された樹脂被覆導体線で構成される導体部、さらに該導体部の外周に繊維で構成された外部被覆層を有する伸縮電線であって、前記外部被覆層を構成する繊維が、ナイロンモノフィラメント、ポリエステルモノフィラメント(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、フッ素樹脂モノフィラメントからなる群から選ばれる少なくとも一種類の繊維であり、かつ前記外部被覆層の厚みが0.01mm以上であり、さらに被覆率が0.1〜90%未満であることを特徴とする伸縮電線。【選択図】なし

Description

本発明は、伸縮性を有する伸縮電線に関し、特にロボットやウェアラブル電子機器等の配線に好適な、内部導線の可視性及び汚れふき取り性に優れた伸縮電線に関する。
従来の電線は、芯部が導体線で構成されており、その外周に絶縁体が被覆された構造となっているため、伸縮性をほとんど有さない。伸縮性を有する電線の代表例としては、電線をコイル状の形態にすることによって伸縮可能にしたカールコードがあり、固定電話機などに用いられている。しかし、これらは一般的に重く、カールコード同士が絡みやすいといった問題がある。
一方、電線自体に伸縮性を持たせた伸縮電線に関する技術としては、例えば特許文献1には、弾性糸を2倍程度に伸ばした状態で非弾性糸を巻き付けて形成した芯糸の外周に、銅箔をらせん状に巻き付けた伸縮電線が開示されている。
また、特許文献2では、伸縮性を有する弾性体からなる芯部、該芯部の外周に捲回角度が30度〜80度でらせん状に捲回された導体線からなる導体部及び該導体部の外周に絶縁物質からなる外部被覆部を有する伸縮電線が開示されている。
さらに、特許文献3では、芯部が伸縮自在な弾性体であり、その芯部に導体線を捲回して導体部を形成し、該導体部の外周に形成された弾性樹脂で構成される第一外部被覆層、並びに該第一外部被覆層の外周に形成された繊維で構成される第二外部被覆層を有する伸縮電線が開示されている。
このように、従来の伸縮電線においては、伸縮性芯部の伸縮性を阻害せずに、内部を保護することが求められるため、外部被覆として、編組した絶縁性繊維やゴム弾性を有する樹脂を用いることが知られている。しかし、本発明者らの知見によると、外部被覆層をゴムチューブにすると、チューブは摩耗に弱く、擦れると破れやすいという問題がある。また、外部被覆層として繊維を用いた場合は、水や油を吸収、保持しやすくなり、汚れを拭き取りにくいという問題と、内部が見えないので導体の劣化の有無並びに劣化の状態が把握できず、不安を感じるという問題があった。
特開昭61−290603号公報 特開2010−040337号公報 特開2011−082050号公報
本発明は、汚れふき取り性と、識別のため色分けされた内部導線の可視性、及び優れた伸縮性を有する伸縮電線を提供することを目的とする。
本発明者は、伸縮電線の導体部の外周に、繊維で構成された透け感を有する外部被覆層を形成することで、内部の劣化状態の可視性及び汚れふき取り性を実現できることを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]伸縮性芯部、該伸縮性芯部の外周に捲回及び/又は編組された樹脂被覆導体線で構成される導体部、さらに該導体部の外周に繊維で構成された透け感を有する外部被覆層を有することを特徴とする、伸縮電線。
[2]前記繊維で構成された透け感を有する外部被覆層の透明指数が3以上である、前記[1]記載の伸縮電線。
[3]前記外部被覆層の厚みが0.01mm以上であり、さらに被覆率が0.1〜90%未満である、前記[1]又は[2]記載の伸縮電線。
[4]前記伸縮電線の拭き取り後の汚れの残留率が7%未満である、前記[1]〜[3]に記載の伸縮電線。
[5]前記外部被覆層を構成する繊維が、ナイロンモノフィラメント、ポリエステルモノフィラメント(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、フッ素樹脂モノフィラメントからなる群から選ばれる少なくとも一種類の繊維を含む、前記[1]〜[4]記載の伸縮電線。
本発明の伸縮電線は、汚れふき取り性及び内部導体の可視性に優れているとともに、伸縮性に優れている。従って、本発明の伸縮電線は、例えば水や油による被液の可能性のある配線分野での使用に好適である。
本発明の伸縮電線の一例(導体線4本)の模式図である。 図1に示した伸縮電線の断面模式図である。 汚れの残留率測定の概要を説明する第一の模式図である。 汚れの残留率測定の概要を説明する第二の模式図である。 摩擦耐久性試験装置について説明する模式図である。
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明は、伸縮性芯部、該伸縮性芯部の外周に捲回及び/又は編組された導体線で構成される導体部、さらに該導体部の外周に繊維で構成される透け感を有する外部被覆層を有する。
前記繊維で構成された透け感を有する外部被覆層の透明指数は3以上であることが好ましく、より好ましくは4以上、さらに好ましくは5以上である。外部被覆層の透明指数がこの範囲であると、内部導体の可視性に優れた伸縮電線が得られ、内部導体の劣化や断線を目視にて確認することができる。
ここで、外部被覆層の透明指数は、透け度合いの差ΔL値=20のフィルムを、伸縮性芯部に導体線を捲回及び/又は編組した中間体の上に接触するように重ね、外部被覆層を有するそれぞれの伸縮電線の導体部の可視性と比較した(実施例参照)。ΔL=20のフィルムを重ねると透け度合いは低下するため、フィルム数が少ないほど内部導体の可視性に優れると評価できる。ここでΔL値は、下記式より求めた。
ΔLw−b=(白板にフィルム1枚を重ねた時のL値)―(黒板にフィルム1枚を重
ねた時のL値)
ΔL値=ΔLbase−ΔLw−b
本発明の伸縮電線は、外部被覆層の被覆率が90%未満であることが好ましい。被覆率がこの範囲であると、透け感が得られやすく、さらに、伸縮電線内部に保持される汚れの量が軽減するため、被液後の汚れふき取り性に優れた伸縮電線が得られやすくなる。外部被覆層の被覆率は、80%以下がより好ましく、60%以下がさらに好ましい。被覆率の下限値は特に限定されないが、実質的には0.1%である。
外部被覆層の被覆率は、例えば製紐機による編組によって外部被覆層を形成する場合、構成する繊維の直径や引き揃えの本数、編組加工中の単位長さ当たりの巻付数などの条件によって変えることができる。ここで、編組加工中の単位長さ当たりの巻付数は、以下の式で計算できる。
編組加工中の単位長さ当たりの巻付数(T/m)={ボビンが1分間に中間部の周囲
を周回する回転数(rpm)/伸縮電線の送り出し速度(製紐機の出口側の速度)(
m/min)}
前記外部被覆層の厚みは0.01mm以上であることが好ましく、より好ましくは0.1mm以上、さらに好ましくは0.3mm以上である。また、伸縮電線の柔軟性を保つために、外部被覆層の厚みは10mm以下であることが好ましく、より好ましくは1mm以下である。また、前記外部被覆層を構成する繊維の換算直径は5mm以下であることが好ましく、より好ましくは1mm以下である。外部被覆層の厚みがこの範囲であれば、導体部の保護性が向上し、高い耐久性を有する伸縮電線が得られる。
本発明の伸縮電線は、汚れふき取り後の汚れ残留率が7%未満であることが好ましい。汚れの残留率がこの範囲であれば、汚れの拭き取り性に優れた伸縮電線が得られる。汚れの残留率は、5%以下がより好ましく、さらに好ましくは3%以下である。
[伸縮性芯部]
本発明の伸縮電線の伸縮性芯部に用いる弾性体の種類としては、耐水性及び/又は耐油性を有する任意の材料を使用できるが、例えばポリウレタン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等の熱可塑性エラストマーや、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム等の合成ゴム、天然ゴム、及び上記の合成ゴムと天然ゴムとの複合ゴム系材料が挙げられる。これらの紐状物は、中空でも中実でもよい。また、この中では、耐水性、耐久性及び伸縮性に優れるシリコーンゴムやエチレンプロピレンゴム、フッ素ゴムが最も好ましい。
本発明の伸縮電線において用いる伸縮性芯部は、前記耐水性及び/又は耐油性を有する弾性体の内、伸縮性を有する材料及び/又は構造からなり本発明の伸縮電線の芯を構成する部材である。該芯部は、10%以上の伸縮性を有することが必要である。50%以上の伸縮性を有することがより好ましく、伸縮性が50%未満の場合は、伸縮性能が乏しく、伸縮電線を伸縮させる際の荷重が大きくなる。100%以上の伸縮性を有する弾性体を用いることがさらに好ましく、300%以上であることが特に好ましい。
伸縮性芯部の外径は、目的とする伸縮電線の太さに応じて適宜設定すればよいが、好ましくは0.01〜30mmの範囲であり、0.02〜20mmがより好ましく、0.03〜10mmがさらに好ましい。
[導体部]
本発明の伸縮電線は、上記伸縮性芯部の外周に捲回及び/又は編組された導体線で構成される導体部を有する。導体線は、耐水性及び/又は耐油性を有する、公知の絶縁樹脂から後述の趣旨に沿ったものを任意に選ぶことができ、例えば、塩ビ樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂及びエステル樹脂等を用いることができる。また、導体線の樹脂被覆は、識別のため色分けされていることが好ましい。
本発明の伸縮電線における導体線は、単線であってもよく、2本以上の細線からなる集合線であってもよいが、集合線であることが好ましい。この場合、導体線の柔軟性が高まり、伸縮性芯部の伸縮性を阻害しにくくなり、より細い伸縮電線が得られ易い。上記単線又は集合線は丸線でもよく、リボン線のような平角線でもよい。
細線を集合させる方法としては様々な方法が知られており、本発明においても公知のどのような方法で細線を集合させてもよい。しかし、細線をストレートに引き揃えるだけでは導体線の捲回又は編組がしにくい場合があるため、細線を撚線とすることが好ましい。
導体線が集合線である場合、該集合線を構成する細線の直径は1mm以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.1mm以下であり、特に好ましくは0.08mm以下であり、最も好ましくは0.05mm以下である。細線の直径が1mm以下である場合、導体線の柔軟性が高く伸縮性芯部の伸縮性を阻害しにくいために伸縮による断線が起きにくく、また、より細い伸縮電線が得られ易い。一方、細線の直径が細すぎると加工時に断線し易いため、該直径は0.01mm以上であることが好ましい。
該細線から構成される集合線の直径は、10mm以下であることが好ましく、より好ましくは5mm以下、さらに好ましくは1mm以下である。
導体線の換算直径が10mm以下である場合、導体線の可撓性が良好で安定した捲回又は編組が可能である。また、捲回又は編組の作業性の点からは、導体線の換算直径は0.01mm以上であることが好ましく、0.02mm以上であることがより好ましい。
導体線の比抵抗は、伸縮電線に良好な導電性を付与する観点で、10−4Ω・cm以下であることが好ましく、10−5Ω・cm以下であることがより好ましい。導体線の素材は特に限定されず、その使用目的等に応じて適宜選択でき、例えば銅、ステンレス、アルミニウム、鉛、その他の金属、及び金属メッキした繊維から選択できる。金属で構成された導体線としては、80質量%以上が銅である銅線、又は80質量%以上がアルミニウムであるアルミニウム線が好ましい。銅線は、比較的安価で電気抵抗が低いため、最も好ましい。また、アルミニウム線は軽量である点で銅線に続いて好ましい。銅線としては軟銅線又は錫銅合金線が一般的であるが、導電性をあまり低下させずに強力を高めた強力銅合金(例えば、無酸素銅に鉄、燐及びインジウム等を添加したもの)の他、錫、金、銀又は白金等でメッキして酸化を防止したもの、電気信号の伝送特性を向上させるために金その他の元素で表面処理したもの等を用いることもできる。なお上記比抵抗ρ(Ω・cm)は、抵抗をR[Ω]、導体の長さをL[cm]、導体の断面積をA[cm]としたときに、次の式で求められる値である。
ρ=R×A/L [Ω・m]
なお上記抵抗Rはテスターにより測定される値である。
本発明に用いる伸縮電線は、弾性体の周囲に極細同軸ケーブルを捲回することによっても得ることができる。当該極細同軸ケーブルは、太さ3mm以下が捲回しやすく、好ましい。
[オサエ糸]
本発明の伸縮電線は、導体線の位置がずれないようにするため、導体線と逆方向に絶縁繊維を交互に編組することができる。該絶縁繊維は導体部の外周に構成されることから、外部被覆層と見なすこともできる。
[介在物]
本発明の伸縮電線は、導体線の間隔を均一に保つために、導体線間に導体線と同一方向に絶縁性の糸状体を介在させて(以下介在物と呼ぶ)捲回することもできる。この介在物は保液しにくいものが好ましい。このため隙間や空隙の少ないモノフィラメントや中実の紐状物が推奨される。この介在物は、撥水・撥油を有することがさらに好ましい。介在物は導体線間にクッション性を持たせることができ寿命を延ばすことができる。
[外部被覆層]
外部被覆層を構成する繊維の太さは、0.01mm以上であることが好ましく、より好ましくは0.05mm以上、さらに好ましくは0.1mm以上である。繊維の太さがこの範囲であれば、摩擦耐久性付与効果が良好に得られ、耐久性が向上する。
外部被覆層を構成する繊維がモノフィラメントである場合、繊維の外径をノギスにより5箇所測定し、平均値を求め繊維直径(d)とした。マルチフィラメントである場合は、構成する繊度(dtex)から以下の式を基に計算した。
換算直径=繊度(dtex)×繊維の比重
外部被覆層を構成する繊維は、耐水性及び/又は耐油性に加え、脱液性やふき取り性に優れるモノフィラメントが特に好ましく、マルチフィラメントにおいては構成本数が少ないものが好ましい。該マルチフィラメントの構成本数は、100本以下であることが好ましく、より好ましくは50本以下、さらに好ましくは30本以下である。該繊維の繊度は特に限定されるものではないが、例えば、ナイロンモノフィラメント、ポリエステルモノフィラメント(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、フッ素樹脂モノフィラメント等が挙げられる。また、この中では、耐油性や耐薬品性及び/又は破断強度に優れるナイロンモノフィラメントやフッ素樹脂モノフィラメントが特に好ましい。
いずれの場合も、透け感を得るために淡色な繊維が推奨される。透明な繊維はさらに好ましい。
なお、上記繊維を仕上げ加工することにより、柔軟性や耐摩擦性の向上を図ることもできる。さらに、難燃加工、撥水加工、撥油加工、防汚加工、抗菌加工、制菌加工及び消臭加工等、公知の加工を上記繊維に施すことにより、実用時の取り扱い性を向上させることもできる。特に、上記繊維の表面にシリコーン樹脂等の平滑剤を付与すると、伸縮電線表面の摩擦係数をより低減できるので好ましい。また、繊維表面にフッ素系加工剤等を付与すると、撥水加工を施すことができるので好ましい。
本発明の伸縮電線は、導体線が直接外部に接触することを防ぐため、導体部の外周に形成された繊維で構成される外部被覆層を有する。外部被覆層は、伸縮性芯部の伸縮性を阻害せずに内部の導体部を保護することが求められるため、外部被覆層を構成する繊維は編組されていることが好ましい。
前記外部被覆層は、導体線と逆方向に捲回される繊維を含むことが好ましい。導体線を1方向(例えばZ方向)に捲回し、その上から繊維を逆方向(S方向)に捲回することも、S/Zの2方向で捲回することもできる。また、外部被覆層を構成する繊維は、換算直径が異なるものを用いることもできる。換算直径が異なる繊維を組み合わせる場合、モノフィラメント同士、マルチフィラメント同士の組み合わせでも、モノフィラメントとマルチフィラメントの組み合わせでもよい。細径の繊維にマルチフィラメントを用い、太径の繊維にモノフィラメントを用いたものは、伸縮性と摩耗性に優れるという特徴がある。さらに、太径の繊維を導体線と同一方向に捲回し、細径の繊維を逆方向に捲回するとその効果がより得られやすい。
本発明の伸縮電線は、上述した伸縮性芯部、導体部、外部被覆層のみで構成されていてもよいが、上記各々の部材内部及び/又は部材間にほかの部材が介在することを妨げない。他の部材としては、例えば部材間に金属繊維を編組することによる耐ノイズ性のシールド等が形成可能である。
本発明の伸縮電線は、伸縮率が5%以上であることが好ましく、より好ましくは15%以上である。伸縮率が5%以上である場合、伸縮電線が伸長力に追随できないことによる断線が生じにくい。
本発明の伸縮電線の弛緩状態での抵抗は、10Ω/m以下であることが好ましい。上記抵抗が10Ω/mを超える場合、微弱電流を流すことは容易であるものの、駆動電流を流すことが難しくなる傾向がある。上記抵抗は、さらに好ましくは1Ω/m以下である。上記抵抗はテスターによって測定される値である。
[伸縮電線の製造]
次に、本発明の伸縮電線の代表的な製造方法について説明する。なお、本発明の伸縮電線は以下の製造方法によって得られるものに限定されるものではない。
本発明の伸縮電線の代表的な製造方法としては、16本打ちの製紐機((有)桜井鉄工製)を用いて、伸縮性芯部を伸長した状態で、Z撚り方向に導体線(単線又は集合線)4本を配置し、S撚り方向にポリエステル繊維を8本配置して、該伸縮性芯部の外周に編組加工することによって導体部を形成する。
上記のようにして伸縮性芯部の外周に導体線を捲回及び/又は編組して導体部を形成した後、該導体部の外周に、繊維で構成される外部被覆層を形成する。繊維で構成される外部被覆層は、製紐機等を用いて編組することが好ましい。このとき、伸縮性芯部、導体部で構成される中間体を伸長した状態で上記外部被覆層を形成することが好ましい。
以上のようにして本発明の伸縮電線を製造できる。
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。また本発明の特性は下記の方法で測定した。
(1)外部被覆層の透明指数
分光光度計(グレタグマクベス社製 Color Eye 7000A)を用いて、白板(L値95.79)、黒板(L値26.89)の差(ΔLbase値=68.9)を基準とした。ΔL値=20のフィルムとは、白板にフィルム1枚を重ねて測定したLと黒板にフィルム1枚を重ねて測定したLbの差をΔLw−bとしたときの、ΔLbase値=68.9との差である。ΔL値=20のフィルムを重ねると透け度合いは低下するため、フィルム数が少ないほど内部導体の可視性に優れると評価できる。
透明指数5:ΔL値=20のフィルムを1枚重ねた時の透け度合いと同程度である
透明指数4:ΔL値=20のフィルムを3枚重ねた時の透け度合いと同程度である
透明指数3:ΔL値=20のフィルムを5枚重ねた時の透け度合いと同程度である
透明指数2:ΔL値=20のフィルムを8枚重ねた時の透け度合いと同程度である
透明指数1:ΔL値=20のフィルムを10枚重ねた時の透け度合いと同程度である
(2)外部被覆層の被覆率
被覆率は、デジタルマイクロスコープ((株)ハイロックス社製 KH8700)にて外部被覆層を拡大し、得られる画像から被覆層の一部を選択し、その面積を付属のソフトウェアにて算出して求められた値である。
(3)外部被覆層の厚み
上記各外部被覆層を被覆する前の中間体の外径と被覆後の外径とをノギスにより測定し、下記の式より求めた。
外部被覆層の厚み={(外部被覆層を被覆した後の中間体の外径)−(外部被覆層を
被覆する前の中間体の外径)}/2
(4)繊維の直径(mm)
モノフィラメントである場合、繊維の外径をノギスにより5箇所測定し、平均値を求め繊維直径とした。マルチフィラメントである場合は、構成する繊度(dtex)から以下の式を基に計算した。
繊維直径=繊度(dtex)×繊維の比重
(5)汚れの残留率
図3及び図4は汚れの残留率測定方法について説明する模式図である。200mmにカットした試料4を2分間潤滑油(K2213タービン油 ISO VG32 2種)に浸漬した後引き上げ、図3に示すように、チャック部5で試料4を把持し、1分間吊るして放置し油切りをした。その後キムタオル7で試料4を包み、1kgの荷重6をのせ20回転がすように拭いた後秤量し、下記式より拭き取り操作後、試料に残留する汚れの残留率を求めた。
汚れの残留量=(拭き取り操作後の試料重量)−(浸漬前の試料重量)
汚れの残留率={(汚れの残留量)/(浸漬前の試料重量)}×100
(6)摩擦耐久性
図5は、摩擦耐久性試験装置について説明する模式図である。デマッチャー試験機((株)大栄科学精機製作所製)を用い、図5に示すようにチャック部8及びチャック部9を、試料11の長さが20cmとなるようにセットし、その中間に直径1.00cmのステンレス棒10を配置した。チャック部9は可動である。取り付け時の試料位置は、図5中に試料12として示すように、試料長が伸長時である30cmとなるように設定した。室温で200回/minで所定回、チャック部5をチャック部9’の位置まで移動させることによって、試料12として示すように試料を繰り返し伸張させる方法で、繰り返し伸張試験を行った。
繰り返し伸張試験の前後で各コンタクト間の導通を測定し、導線が少なくとも1本断線した場合、下記基準で摩擦耐久性を判定した。
A:100万回後断線無し
B:10万回後断線無し、50万回後断線有り
C:1万回後断線無し、5万回後断線有り
D:1000回で断線有り
なお、試験後の電気抵抗が試験前の電気抵抗の10倍以上になった場合、断線と判断した。
(7)伸縮性
試料に20cm間隔で印をつける。試料に200gの荷重をかけ印間の長さ(L100)を測定する。次に荷重を取り外し、60秒経過後21cm未満に弛緩していることを確認する。この過程での状態から以下の基準に従って判定した。
伸縮性◎:荷重時に21cm以上伸び、弛緩時に21cm未満に回復した、伸縮率15
%以上のもの
伸縮性○:荷重時に21cm以上伸び、弛緩時に21cm未満に回復した、伸縮5%以
上のもの
伸縮性×:荷重時に21cmまで伸びないもの及び/又は荷重時に21cm以上伸び、 弛緩時に21cm未満に回復しないもの
なお、伸縮性有り、に関しては、下記の式より求めた伸縮率の伸縮性があると定義した。
伸縮率(%)={(L100−20)/20}×100
[実施例1]
外径2.0mmのEPDM((株)ハギテック製)を伸縮性芯部とし、16本打ち製紐機((有)桜井鉄工製)を用いて、伸長倍率2.0倍で伸長しながら、Z撚りの方向に、導体線として柔軟PVC線(AWG28(44/0.05)) 4本(黒、白、赤、緑の4色)を配置し、S撚り方向にポリエステル繊維(56dtex)を8本配置して編組加工を行って導体部を形成し、外径3.7mmの中間体を得た。
得られた中間体を芯にして再度16本打ち製紐機に仕掛け、ナイロンモノフィラメント((株)サンライズ社 JSYライン 2号(0.235m/m))をZ撚り方向及びS撚り方向に各々8本ずつ配置して編組加工中の単位長さ当たりの巻付数を121T/mとして編組加工することによって、モノフィラメント繊維が外部被覆層として被覆率47%で形成された伸縮電線を得た。
[実施例2]
実施例1と同じ方法で中間体を得た。得られた中間体を芯にして再度16本打ち製紐機に仕掛け、エステル仮撚糸(167dtex/48f)をZ撚り方向及びS撚り方向に各々8本ずつ配置して編組加工中の単位長さ当たりの巻付数を121T/mとして編組加工することによって、繊維が外部被覆層として被覆率87%で形成された伸縮電線を得た。
[実施例3]
実施例1と同じ方法で中間体を得た。得られた中間体を芯にして再度16本打ち製紐機に仕掛け、エステル仮撚糸(84dtex/36f)をZ撚り方向及びS撚り方向に各々8本ずつ配置して編組加工中の単位長さ当たりの巻付数を121T/mとして編組加工することによって、繊維が外部被覆層として被覆率71%で形成された伸縮電線を得た。
[比較例1]
実施例1と同じ方法で中間体を得た。得られた中間体をシリコーンゴムチューブのなかに通し、シリコーンゴムチューブが外部被覆層として形成された伸縮電線を得た。
[比較例2]
実施例1と同じ方法で中間体を得た。得られた中間体を芯にして再度16本打ち製紐機に仕掛け、660dtのエステル仮撚糸(330dtex/72f×2本)をZ撚り方向及びS撚り方向に各々8本ずつ配置して編組加工中の単位長さ当たりの巻付数を121T/mとして編組加工することによって、繊維が外部被覆層として形成された伸縮電線を得た。
得られたケーブルの構成及び評価結果を表1に示す。
Figure 2017183238
[実施例4]
外部被覆層を構成するモノフィラメントとして、以下のものを使用した以外は実施例1と同様にして、中間体を得た。
無色透明のナイロンモノフィラメント((株)サンライズ社 JSYライン 2号(0.235m/m))を3本引き揃え、Z撚り方向及びS撚り方向に各々8本ずつ配置して編組加工中の単位長さ当たりの巻付数を121T/mとして編組加工することによって、繊維が外部被覆層として被覆率90%で形成された伸縮電線を得た。
[実施例5]
外部被覆層を構成するモノフィラメントとして、以下のものを使用した以外は実施例1と同様にして、中間体を得た。
有色のナイロンモノフィラメント((株)上州屋 Dream Catch 2号 ハンターグリーン)をZ撚り方向及びS撚り方向に各々8本ずつ配置して編組加工中の単位長さ当たりの巻付数を121T/mとして編組加工することによって、繊維が外部被覆層として被覆率60%で形成された伸縮電線を得た。
得られたケーブルの構成及び評価結果を表2に示す。
Figure 2017183238
[実施例6〜9]
外径2.0mmのEPDM((株)ハギテック製)を伸縮性芯部とし、16本打ち製紐機((有)桜井鉄工製)を用いて、伸長倍率2.0倍で伸長しながら、Z撚りの方向に、導体線として柔軟PVC線(AWG28(44/0.05))4本(黒、白、赤、緑の4色)と介在物として以下のものを4本交互に配置し、S撚り方向にポリエステル繊維(56dtex)を8本配置して編組加工を行って導体部を形成し、中間体を得た。
実施例6:ナイロンモノフィラメント
((株)サンライズ社 JSYライン 2号(0.235m/m))
実施例7:シリコーンゴムチューブ((株)ハギテック)
実施例8:EPDMスポンジゴム(岡安ゴム(株))
実施例9:ナイロン仮撚り糸(240dtex)
得られた中間体を芯にして、実施例1と同様にナイロンモノフィラメント((株)サンライズ社 JSYライン 2号(0.235m/m))をZ撚り方向及びS撚り方向に各々8本ずつ配置して編組加工することで、モノフィラメント繊維が外部被覆層として形成された伸縮電線を得た。
得られたケーブルの構成及び評価結果を表3に示す。
Figure 2017183238
本発明の伸縮電線は、産業用ロボット分野をはじめとする、水や油の被液の可能性のある用途に好適である。本発明の伸縮電線は、汚れふき取り性や内部導体の可視性を有するとともに優れた伸縮性及び摩擦耐久性を有するため、曲げ伸ばし等の屈曲部、例えば身体装着機器や衣服装着機器等の配線にも好適である。本発明の伸縮電線は、その他の各種ロボット(産業用ロボット、家庭用ロボット、ホビーロボット等)、リハビリ用補助具、バイタルデータ測定機器、モーションキャプチャー、電子機器付防護服、ゲーム用コントローラー(人体装着型を含む)、マクロフォン、ヘッドフォン等の分野でも好適に利用できる。
1 伸縮性芯部
2 樹脂被覆導体線
3 外部被覆層
4 試料
5 チャック部
6 1kg荷重
7 キムタオル
8,9,9’ チャック部
10 ステンレス棒
11,12 試料

Claims (5)

  1. 伸縮性芯部、該伸縮性芯部の外周に捲回及び/又は編組された樹脂被覆導体線で構成される導体部、さらに該導体部の外周に繊維で構成された透け感を有する外部被覆層を有することを特徴とする、伸縮電線。
  2. 前記繊維で構成された透け感を有する外部被覆層の透明指数が3以上である、請求項1に記載の伸縮電線。
  3. 前記外部被覆層の厚みが0.01mm以上であり、さらに被覆率が0.1〜90%未満である、請求項1又は2に記載の伸縮電線。
  4. 前記伸縮電線の拭き取り後の汚れの残留率が7%未満である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の伸縮電線。
  5. 前記外部被覆層を構成する繊維が、ナイロンモノフィラメント、ポリエステルモノフィラメント(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、フッ素樹脂モノフィラメントからなる群から選ばれる少なくとも一種類の繊維を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の伸縮電線。
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