JP5339798B2 - 伸縮電線 - Google Patents
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Description
特に、最先端のヒューマノイド型ロボットや、人体に装着して筋力を補助するパワーアシスト装置においては、多自由度関節を経由して末端のモーターを動かすための電線や、末端に装備された各種センサーからの信号を伝送するための電線を多数配線しており、多自由度関節における配線の自由度を高めるために、電線に伸縮性を持たせたいというニーズがある。
伸縮性のある電線の代表例としては、電線をコイル状の形態にすることによって伸縮可能にしたカールコードがあり、固定電話機などに用いられているが、一般的に太くて重く、カールコード同士が絡みやすいという問題があるため、多数の電線を使用するヒューマノイド型ロボットやパワーアシスト装置には適さない。
一方、電線自体に伸縮性を持たせた伸縮電線に関する技術としては、例えば特許文献1には、弾性糸を2倍程度に伸ばした状態で非弾性糸を巻き付けて形成した芯糸の外周に、銅箔をらせん状に巻き付けた伸縮電線が開示されている。
さらに、特許文献3には、伸縮自在な弾性糸からなる芯材の外周に導電線を配設した複数本の芯線を仮撚加工糸で被覆した伸縮電線が開示されている。
このように、従来の伸縮電線は弾性糸を芯材とし、該芯材を伸長した状態でその外周に非弾性糸を捲回し、更にその外周に金属線を捲回させて製造する方法が一般的であり、芯材は必須の構成部材であった。しかも特許文献2に記載されているように、金属線を捲回するには芯材である弾性糸がある程度以上太いことが必要であることから、伸縮電線の太さは太くならざるを得ず、ロボット等の内部配線には不向きであった。
下してしまうという問題があり、従来の伸縮電線では優れた伸長性と伸長回復性を有しながら細くすることは不可能であった。
また、従来の伸縮電線は、弾性糸からなる芯材、芯材に被覆する非弾性糸、金属線、外周被覆といった層が最低限必要であり、このような構造の電線を製造するには多数の工程が必要であることから、製造コストが高いという問題があり、より安価な伸縮電線のニーズも高まってきている。
すなわち、本発明は以下の通りである。
1.導体線がZ撚り又はS撚りのいずれか一方向にらせん状に捲回し、反対方向には他の繊維が導体線の内側及び外側を通りつつ、らせん状に捲回して導体線を拘束してなる繊維構造体を有する伸縮電線において、該繊維構造体はらせん状に捲回した弾性長繊維を少なくとも含有すると共に、該繊維構造体とは独立した芯部を有しないことを特徴とする伸縮電線。
2.導体線と反対方向に捲回する他の繊維が弾性長繊維及び/又は絶縁繊維であることを特徴とする上記1に記載の伸縮電線。
3.繊維構造体が弾性長繊維と導体線を含有する編組構造であることを特徴とする上記1又は2に記載の伸縮電線。
4.伸縮電線が、その外周に被覆部を有することを特徴とする上記1〜3のいずれか一項に記載の伸縮電線。
本発明の伸縮電線は、導体線がZ撚り又はS撚りのいずれか一方向にらせん状に捲回している。導体線は一般的には銅あるいはアルミニウム等の金属線からなるため、導体線自体は伸縮性を有しないが、導体線がらせん状に捲回していることにより、電線に伸長性を付与することができる。
本発明の伸縮電線は、導体線がZ撚り又はS撚りのいずれか一方向にらせん状に捲回し、反対方向には他の繊維が導体線の内側及び外側を通りつつ、らせん状に捲回して導体線を拘束してなる繊維構造体を有している。導体線と反対方向に捲回する他の繊維が、導体線の内側及び外側を通りつつ、らせん状に捲回して導体線を拘束することによって、芯部を有しなくとも繊維構造体をなすことが可能となり、細くコンパクトな伸縮電線が得られる。さらに、導体線が他の繊維によって拘束されているため、繰り返し伸縮や、伸縮を伴う屈曲動作による導体線間の間隔の変化が抑制され、導体線を信号線として用いる場合に
は、信号の伝送性の低下を抑制することができる。
本発明の伸縮電線は、前記繊維構造体とは独立した芯部を有しない構造であることが必要である。繊維構造体と独立した芯部とは、繊維構造体を構成する導体線、弾性長繊維及び/又は他の繊維と、交差や交絡、あるいは編組織を構成することなく、構造的に独立している芯部のことをいう。
従来の伸縮電線は、主として弾性長繊維からなる芯部の周囲に導体線が捲回された構造を有しているのが一般的であり、芯部と導体線は交差や交絡、あるいは編組織を編成しておらず、独立した芯部を有している。そして、電線の太さを従来よりも細くする方法としては、例えば芯部の弾性糸を細くする方法があるが、そうすると伸長回復性が阻害される。また、他の方法として導体線を芯部の弾性糸に巻き付ける際に、巻き付け張力を高くする等して、きつく巻きつける方法もあるが、そうすると伸長性そのものが阻害されると同時に伸長回復性も阻害されてしまう。
また、従来の伸縮電線は、芯部を構成する芯材をあらかじめ用意する必要があり、かつ、多くの場合は導体線の捲回を容易にするために芯材の周囲に主として絶縁繊維からなる被覆層を設けている。本発明の伸縮電線は、繊維構造体とは独立した芯部がなく、かつ芯材に被覆層を設ける工程を省略できるため、製造コストを下げることが可能である。
特に導体線と反対方向に捲回する他の繊維として弾性長繊維を用いたもの、すなわち、導体線と弾性長繊維(絶縁性繊維等で被覆された導体線及び弾性長繊維を含む)のみからなる繊維構造体を有する伸縮電線が、最も細くコンパクトな伸縮電線となり、好ましい。また、弾性長繊維を導体線と同方向に捲回させ、反対方向に第3の繊維、例えば絶縁繊維を捲回させる方法や、導体線と同方向及び反対方向の両方向に弾性長繊維を捲回させて繊維構造体となすことも可能である。但し、弾性長繊維を一方向のみに捲回した伸縮電線は残留トルクが大きくなる場合があるため、その場合には反対方向にも弾性長繊維を捲回するか、あるいは外周を被覆する前に伸縮電線を残留トルク方向に回転させてトルクを消すことが好ましい。
糸条をらせん状に捲回させる形態等がある。但し、弾性長繊維に導体線を折れ曲がることなく捲回させるためには、導体線を構成する細線の太さに対して弾性長繊維の太さがある程度以上太いことが必要であることから、より細い伸縮電線を得るためには、弾性長繊維と導体線を引き揃えてらせん状に捲回させる形態が好ましく、弾性長繊維と導体線を各々単独でらせん状に捲回させる形態が最も好ましい。
本発明の伸縮電線は、伸縮電線の伸長性を制限したり、破断強度を高めたり、あるいは複数の導体線間の間隔を確保する等の目的で、導体線と弾性長繊維以外の第3の繊維を同時にらせん状に捲回してもよい。同時に捲回する第3の繊維は、絶縁繊維であることが好ましく、また、伸縮性を阻害しないために仮撚加工糸や潜在捲縮発現性複合繊維等の捲縮糸であることが好ましく、導体線よりも細い繊維が好ましい。
絶縁繊維としては、フッ素繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリプロピレン繊維、塩化ビニル繊維、サラン繊維、ガラス繊維およびポリウレタン繊維等の公知の絶縁繊維を用いることができる。
本発明の伸縮電線では、弾性長繊維を導体線とともにらせん状に捲回する必要があるため、より細い伸縮電線を得るためには弾性長繊維は柔軟な方が好ましく、ポリウレタン系エラストマーやシリコーンゴムからなる弾性長繊維がより好ましい。また、発泡剤等により多孔質化したものや、弾性長繊維の長手方向に連続した中空部を少なくとも一つ以上有する中空弾性長繊維も、柔軟性の点から好ましい。
弾性長繊維は、50%伸長応力が1〜200cN/mm2であることが好ましく、より好ましくは5〜100cN/mm2、特に好ましくは10〜50cN/mm2である。50%伸長応力がこの範囲であると、小さな力で伸長が可能な伸縮電線が得られ、多数の伸
縮電線を用いる用途、例えばヒューマノイド型ロボット、パワーアシスト装置、ウエアラブル電子機器等に好適な伸縮電線となる。
引張試験機(株式会社エー・アンド・デイ製、テンシロン試験機)につかみ間隔100mmで試料をセットし、引張速度100mm/minで伸長し、50%伸長後直ちに同速度で除重し、記録した荷重−伸長曲線から荷重がゼロになった時の残留伸びx(mm)を求め、次式により50%伸長回復率を求めた。
50%伸長回復率(%)=〔(50−x)/50〕×100
また、10N荷重を10回繰り返して掛けた後の伸長回復率が60%以上であることが好ましく、70%以上がより好ましく、75%以上がさらに好ましい。
伸縮電線を伸長させるのに必要な力としては、常用的に使われる伸びの小さい範囲において必要な力が小さいことが望まれ、具体的には30%伸長時の荷重が3000cN以下であることが好ましく、1000cN以下がより好ましく、500cN以下がさらに好ましく、300cN以下が特に好ましい。
被覆する合成繊維の繊度は、弾性長繊維の繊度よりも小さいことが好ましく、弾性長繊維の1/5以下の繊度であることがより好ましい。合成繊維を被覆する場合は、弾性長繊維の伸長性を阻害しないために、弾性長繊維の破断伸度の範囲内で1.5〜6倍程度伸長した状態で、カバリング機等で合成繊維を捲回することが好ましい。
細線を集合させるには様々な方法が知られており、本発明においても公知のどのような方法で集合させてもよい。しかし、ストレートに引き揃えるだけでは捲回しづらいため、撚り線とすることが好ましい。また、可撓性を発揮するために、集合線を絶縁繊維で捲回したものを用いることもできる。
導体線を構成する細線の直径は1mm以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.1mm以下であり、特に好ましくは0.08mm以下であり、最も好ましくは0.05mm以下である。細線の直径がこの範囲であれば導体線の柔軟性が高まり、伸縮性を阻害しにくくなり、伸縮による断線も起きにくくなり、より細い伸縮電線が得られ易い。あまり細すぎると加工時に断線し易いため、0.01mm以上が好ましい。
導体線の換算直径=2×√((π×(Lt/2)×(Lt/2)×n)/π)
=Lt×√n
Lt:導体線を構成する細線の直径
n:導体線を構成する細線の集合本数
導体線の換算直径がこの範囲であれば、可撓性が良好で安定して捲回することができる。また、捲回する際の作業性の点からは、導体線の換算直径は0.01mm以上が好ましく、0.02mm以上がより好ましい。
被覆する絶縁体の種類は、公知の絶縁樹脂から上記の趣旨に沿ったものを任意に選ぶことができる。導体線1本ずつに樹脂被覆を行う場合は、例えば一般のマグネットワイヤーで用いられるいわゆるエナメル被覆として、ポリウレタン被覆、ポリウレタン−ナイロン被覆、ポリエステル被覆、ポリエステルーナイロン被覆、ポリエステルーイミド被覆およびポリエステルイミド・ポリアミドイミド被覆等が挙げられる。また、集合線としてから樹脂被覆を行う場合は、塩ビ樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂およびエステル樹脂などを用いることができる。また、識別のため、各導体線をあらかじめ色分けしておくこともできる。
本発明の伸縮電線は、少なくとも弾性長繊維と導体線をらせん状に捲回して伸縮電線の中間体を形成した後、その外周に被覆部を形成することが好ましい。通常、外周被覆部は、伸縮性を阻害せずに内部の導体線を保護することが求められる。このため、外周被覆部は絶縁繊維の編組及び/又は伸度50%以上の絶縁樹脂の弾性チューブ状物により形成されることが好ましい。
外周を被覆する絶縁繊維としては、マルチフィラメントまたは紡績糸を用いることができ、伸縮電線の用途や想定される使用条件に合わせて、公知の絶縁性繊維から任意に選ぶことができる。絶縁繊維は原糸のままでも良いが、意匠性や劣化防止の観点から原着糸や先染め糸を用いることもできる。また、仕上げ加工により、柔軟性や耐摩擦性の向上を図
ることもできる。さらに、難燃加工、撥水加工、撥油加工、防汚加工、抗菌加工、制菌加工および消臭加工など、公知の繊維の加工を施すことにより、実用時の取り扱い性を向上させることもできる。
耐熱性と耐磨耗性を両立させる絶縁繊維としては、アラミド繊維、ポリスルホン繊維およびフッ素繊維が挙げられる。耐火性の観点からは、ガラス繊維、耐炎化アクリル繊維、フッ素繊維およびサラン繊維が、また、耐磨耗性や強度の観点からは、高強力ポリエチレン繊維およびポリケトン繊維が挙げられる。コストと耐熱性の観点からは、ポリエステル繊維、ナイロン繊維およびアクリル繊維がある。これらに、難燃性を付与した難燃ポリエステル繊維、難燃ナイロン繊維および難燃アクリル繊維(モダクリル繊維)なども好適である。
液体からの被覆性を高めたい場合には、外部被覆として絶縁樹脂の弾性チューブ状物を好適に用いることができる。絶縁樹脂はさまざまな弾性の絶縁樹脂から任意に選ぶことができ、伸縮電線の用途及び伸縮電線の内部構造に使用する他の絶縁繊維との相性を考慮しながら、選定することができる。
絶縁体からなる外部被覆層は、絶縁繊維により編組された被覆と弾性チューブ状物とを組み合わせることもできる。伸縮電線は、小さい力で伸縮させることを望むケースが多いが、弾性チューブ状物のみで被覆する場合は、弾性チューブの厚みを厚くする必要があり、伸縮に必要な力が大きくなりやすい。このような場合は、厚みの薄いチューブと絶縁繊維による編組を組み合わせることで、被覆性と伸縮性を両立させることができる。
本発明の伸縮電線の代表的な製造方法としては、S撚り方向とZ撚り方向に糸条をそれぞれ捲回させて編組構造の紐状物、いわゆる組紐を製造する方法において、捲回させる糸条として弾性長繊維及び導体線を用いる方法があげられる。組紐を製造する装置としては製紐機(組物機)があげられるが、同様の編組構造の紐状物を製造できる機械であればいかなる機械でもよい。
本数からなる組物が好ましく、例えば4本の導体線を捲回する場合には8本打ち組物、あるいは16本打ち組物が好ましい。また、4本打ち組物、8本打ち組物において、導体線を一方向のみに捲回させた伸縮電線は、その断面形状が略楕円断面(導体線がやや外側に張り出した形状)になり、16本打ち組物では略丸断面あるいは略四角断面になる。
弾性長繊維に導体線をカバリング装置等で捲回させた糸条をらせん状に捲回させる場合には、前記の両者を引き揃えた場合と同様の理由で、カバリング加工時に、弾性長繊維の破断伸度の範囲内で1.2〜6倍程度、好ましくは1.5〜5倍程度、より好ましくは2〜4倍程度、弾性長繊維を伸長しながら導体線を捲回することが好ましい。
外周被覆部を絶縁繊維の編組によって形成する場合は、弾性長繊維と導体線をらせん状に捲回した中間体を、製紐機等に再度仕掛け、該中間体を伸長した状態でその外周に絶縁繊維を編組する方法が好ましく、編組の最終形体は丸紐状でも細幅テープ状でもよい。また、上記中間体を複数本まとめ、その外周を絶縁繊維で被覆してもよく、あるいは、上記中間体を予め絶縁繊維で被覆したものを複数本まとめ、さらにその外周を絶縁繊維で被覆してもよい。好ましくは、弾性長繊維と導体線のみからなる中間体の外周を絶縁繊維で被覆したものが最もコンパクトにできる。
本発明の伸縮電線を複数本組み込んだ、細幅弾性テープ形状にしたものも作る事ができる。細幅弾性テープ形状とするためには、あらかじめ絶縁被覆された伸縮電線を2〜100本用いることが好ましい。汎用的なものは3〜5本用いるものであるが、電源から末端まで多数のモーターやセンサーを1本のテープで配線したいという場合もあり、多数の伸縮電線をテープ状にすることもできる。取り扱い性の点から、テープの幅は20cm以下が好ましく、10cm以下であることがより好ましい。
本発明で用いた評価方法は以下の通りである。
(1)電線の太さ
標準状態(温度20℃、相対湿度65%)に試料を2時間以上静置した後、標準状態下で、試料が変形しないように断面の寸法(略丸断面の場合は直径D(mm)、略楕円断面の場合は長径D1(mm)、短径D2(mm))、略四角断面の場合は各辺B1(mm)、B2(mm)をノギスで測定し、次式により断面積A(mm2)を求めた。
略丸断面の場合:A=π×D2/4
略楕円断面の場合:A=π×D1×D2/4
略四角断面の場合:A=B1×B2
標準状態(温度20℃、相対湿度65%)に試料を2時間以上静置した後、標準状態下で、引張試験機(株式会社エー・アンド・デイ製、テンシロン試験機)につかみ間隔100mmで試料をセットし、引張速度100mm/minで伸長し、10Nの荷重が掛かった後直ちに同速度で除重し、得られた荷重−伸長曲線から10N荷重時のチャック間の距離L1(mm)を求め、次式により10N荷重時の伸長率(%)を求めた。
10N荷重時の伸長率={(L1−100)/100}×100
(3)10N荷重後の伸長回復率
(2)の10N荷重の伸長試験を10回繰り返し、10回目の荷重−伸長曲線から10N荷重時のチャック間の距離L2(mm)、荷重が0に戻ったときのチャック間の距離L3(mm)を求め、次式により10N荷重後の伸長回復率(%)を求めた。
10N荷重後の伸長回復率={(L3−100)/(L2−100)}×100
ダブルカバリング機((有)カタオカテクノ社製、SP−400型)を用い、940d
tex/72fのポリウレタン弾性長繊維(旭化成せんい(株)製、商品名:ロイカ)を芯にして、伸長倍率6倍で伸長しながら、155dtex/48fのナイロン仮撚糸を500T/mの下撚り(S撚り)および332T/mの上撚り(Z撚り)で捲回し、ダブルカバー糸を得た。
得られたダブルカバー糸を、給糸ローラー付の製紐機用ボビンワインダー((有)吉田製作所製オートワインダー)に仕掛け、伸張倍率1.2倍でボビンに巻き取った。また、導体線として、銅細線集合線((有)竜野電線社製USTC、直径0.03mm×48本)にポリエステル加工糸をカバリングしたものを、単独でボビンに巻き取った。
16本打ちの丸打ち製紐機((有)桜井鉄工製)を用い、ダブルカバー糸を巻き取ったボビン4本をS撚り方向に1本おきに配置し、導体線を巻き取ったボビン4本をZ撚り方向に1本おきに配置して編組加工を行い、伸縮電線を得た。編組加工時の糸オモリは、ダブルカバー糸には40匁(約150g)、導体線には20匁(約75g)の糸オモリを掛けた。
得られた伸縮電線の太さ、10N荷重時の伸び及び10N荷重後の伸長回復率の評価結果を表1に示す。
芯材として、実施例1と同様のダブルカバー糸を4本引き揃えて別途糸管に巻き取った。
16本打ちの丸打ち製紐機((有)桜井鉄工製)を用い、糸管に巻き取ったダブルカバー糸を2.0倍に伸長しながら芯部に供給し、実施例1と同様の導体線を巻き取ったボビン4本をZ撚り方向に1本おきに配置し、絶縁繊維であるナイロン仮撚糸(230dtex/72f×2本引き揃え)を巻き取ったボビン4本をS撚り方向に1本おきに配置して編組加工を行い、伸縮電線を得た。編組加工時の糸オモリは、導体線には20匁(約75g)、ナイロン仮撚糸には15匁(約56g)の糸オモリを掛けた。
得られた伸縮電線の太さ、10N荷重時の伸び及び10N荷重後の伸長回復率の評価結果を表1に示す。
芯材として、実施例1と同様のダブルカバー糸を2本引き揃えて用いた以外は、比較例1と同様にして伸縮電線を得た。得られた伸縮電線の太さ、10N荷重時の伸び及び10N荷重後の伸長回復率の評価結果を表1に示す。
比較例1において、編組加工時の糸オモリを、導体線、ナイロン仮撚糸共に40匁(約150g)の糸オモリを掛けて、きつく捲回した以外は、比較例1と同様にして伸縮電線を得た。得られた伸縮電線の太さ、10N荷重時の伸び及び10N荷重後の伸長回復率の評価結果を表1に示す。
実施例1と比較例1は、弾性長繊維と導体線として同じものを用い、同じ製紐機を用いて伸縮電線を製造したものであるが、比較例1は弾性長繊維が芯部にあって導体線を拘束していないため、電線の形態を保持するために導体線とは反対方向に絶縁繊維を捲回したものである。
実施例1で得られた伸縮電線は、比較例1で得られた伸縮電線と比較すると、伸長率及び伸長回復率が同等で、電線の直径で約20%、断面積で約40%小さい、非常に細くコンパクトな伸縮電線であった。また、少なくとも芯材を引き揃えるコストと、絶縁繊維のコスト分は削減することができた。
比較例1で得られた伸縮電線は、伸長率並びに伸長回復率は実施例1の電線と同等のものであったが、太すぎるために本発明の目的には合致しないものであった。
比較例2は、比較例1の芯部の弾性長繊維を細くしたものであり、電線の直径はやや細くなったものの、いまだ実施例1の電線よりは太く、伸長回復率が大きく低下し、伸縮電
線としては不十分なものであった。
比較例3は、導体線及び絶縁繊維を比較例1よりもきつく巻き付けたものであり、電線の太さは実施例1の電線に近い太さまで細くできたものの、伸長率並びに伸長回復率の両方が大きく低下し、伸縮電線としては不十分なものであった。
ダブルカバー糸を巻き取ったボビン4本をZ撚り方向にも1本おきに配置した以外は、実施例1と同様にして伸縮電線を得た。得られた伸縮電線の太さ、10N荷重時の伸び及び10N荷重後の伸長回復率の評価結果を表1に示す。
得られた伸縮電線は、断面形状が略四角断面であり、弾性長繊維を実施例1対比で2倍使用しているにも係わらず、断面積は実施例1の伸縮電線と同程度であり、非常に細くコンパクトな伸縮電線であった。
導体線間の間隔をより均一にする目的で、比較例1と同様のナイロン仮撚糸を巻き取ったボビン4本をZ撚り方向に1本おきに配置した以外は、実施例1と同様にして伸縮電線を得た。得られた伸縮電線の太さ、10N荷重時の伸び及び10N荷重後の伸長回復率の評価結果を表1に示す。
導体線間の間隔をより均一にする目的で、比較例1と同様のナイロン仮撚糸を巻き取ったボビン4本をZ撚り方向に1本おきに配置した以外は、比較例1と同様にして伸縮電線を得た。得られた伸縮電線の太さ、10N荷重時の伸び及び10N荷重後の伸長回復率の評価結果を表1に示す。
実施例3と比較例4は、弾性長繊維と導体線として同じものを用い、同じ製紐機を用いて伸縮電線を製造したものであるが、比較例4は電線の形態を保持するために導体線と反対方向に絶縁繊維を捲回したものである。実施例3で得られた伸縮電線は、比較例4で得られた伸縮電線と比較すると、伸長性が同等で、電線の直径で約15%、断面積で約30%小さい、非常に細くコンパクトな伸縮電線であった。また、少なくとも芯材を引き揃えるコストと、絶縁繊維のコスト分は削減することができた。
8本打ちの丸打ち製紐機((有)桜井鉄工製)を用い、ダブルカバー糸を巻き取ったボビン4本をS撚り方向に配置し、導体線を巻き取ったボビン4本をZ撚り方向に配置して編組加工を行い、伸縮電線を得た。編組加工時の糸オモリは、ダブルカバー糸には40匁(約150g)、導体線には20匁(約75g)の糸オモリを掛けた。得られた伸縮電線の太さ、10N荷重時の伸び及び10N荷重後の伸長回復率の評価結果を表1に示す。
得られた伸縮電線は、断面形状が略楕円断面であり、断面積が実施例1の伸縮電線よりもさらに小さく、定荷重時の伸びが実施例1よりも大きい、非常に細くコンパクトで伸縮性に優れた伸縮電線であった。
実施例1と同様の導体線を製紐機用ボビンに巻き取る際に、実施例1と同様のカバリング糸を伸長倍率2.0倍で同じボビンに引き揃えて巻き取った。
16本打ちの丸打ち製紐機((有)桜井鉄工製)を用い、導体線とカバリング糸を引き揃えて巻き取ったボビン4本をZ撚り方向に1本おきに配置し、比較例1と同様のナイロン仮撚糸を巻き取ったボビン4本をS撚り方向に1本おきに配置して編組加工を行い、伸縮電線を得た。編組加工時の糸オモリは、導体線とカバリング糸を引き揃えたものには20匁(約75g)、ナイロン仮撚糸には15匁(約56g)の糸オモリを掛けた。得られた伸縮電線の太さ、10N荷重時の伸び及び10N荷重後の伸長回復率の評価結果を表1
に示す。
Claims (4)
- 導体線がZ撚り又はS撚りのいずれか一方向にらせん状に捲回し、反対方向に
は他の繊維が導体線の内側及び外側を通りつつらせん状に捲回しており、該導体線と該他の繊維とが編組構造を構成することで該他の繊維が該導体線を拘束してなる繊維構造体を有する伸縮電線において、該繊維構造体はらせん状に捲回した弾性長繊維を少なくとも含有すると共に、該繊維構造体とは独立した芯部を有しないことを特徴とする伸縮電線。
- 導体線と反対方向に捲回する他の繊維が弾性長繊維及び/又は絶縁繊維であることを特徴とする請求項1に記載の伸縮電線。
- 繊維構造体が弾性長繊維と導体線を含有する編組構造であることを特徴とする請求項1又は2に記載の伸縮電線。
- 伸縮電線が、その外周に被覆部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の伸縮電線。
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