JP5339798B2 - 伸縮電線 - Google Patents

伸縮電線 Download PDF

Info

Publication number
JP5339798B2
JP5339798B2 JP2008178695A JP2008178695A JP5339798B2 JP 5339798 B2 JP5339798 B2 JP 5339798B2 JP 2008178695 A JP2008178695 A JP 2008178695A JP 2008178695 A JP2008178695 A JP 2008178695A JP 5339798 B2 JP5339798 B2 JP 5339798B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wire
fibers
conductor
fiber
elastic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008178695A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010020949A (ja
Inventor
康式 結城
秀雄 池永
俊二 巽
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Fibers Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Fibers Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Fibers Corp filed Critical Asahi Kasei Fibers Corp
Priority to JP2008178695A priority Critical patent/JP5339798B2/ja
Publication of JP2010020949A publication Critical patent/JP2010020949A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5339798B2 publication Critical patent/JP5339798B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Insulated Conductors (AREA)

Description

本発明は、伸縮性を有する伸縮電線に関し、特にロボットやウエアラブル電子機器に好適な、細くコンパクトで製造コストの安価な伸縮電線に関する。
近年、ロボットの発展が著しく、多彩な動きをするロボットが登場しつつある。また、人体や衣服に装着可能なウエアラブル電子機器も、様々な機器が開発されている。これらのロボットやウエアラブル電子機器には、動力用や信号伝送用の電線が多数使用されている。しかしながら、一般的に電線は、銅線を芯にし、その外周が絶縁体で被覆された構造になっており、伸縮性がほとんど無い。このため、ロボットや人体の動きを妨げないように電線に大きな余裕を持たせて配線する必要があり、このことが装置設計上及び実用上の障害となることが多い。
特に、最先端のヒューマノイド型ロボットや、人体に装着して筋力を補助するパワーアシスト装置においては、多自由度関節を経由して末端のモーターを動かすための電線や、末端に装備された各種センサーからの信号を伝送するための電線を多数配線しており、多自由度関節における配線の自由度を高めるために、電線に伸縮性を持たせたいというニーズがある。
ロボット等において、モーター用の動力電線やセンサー用の電線はますます増える傾向にあり、一方でロボットはますます小型化されてきていることから、内部に配線される電線は少しでも細いことが非常に重要になってきている。それと同時に、エネルギーロスを最小限にとどめたり、ウエアラブル電子機器等で身体の動きが阻害されることを防いだりするために、できるだけ小さな力で伸長可能であり、かつ、伸長された電線がたるんだりすることの無いように、伸長回復性に優れていることも望まれている。
伸縮性のある電線の代表例としては、電線をコイル状の形態にすることによって伸縮可能にしたカールコードがあり、固定電話機などに用いられているが、一般的に太くて重く、カールコード同士が絡みやすいという問題があるため、多数の電線を使用するヒューマノイド型ロボットやパワーアシスト装置には適さない。
一方、電線自体に伸縮性を持たせた伸縮電線に関する技術としては、例えば特許文献1には、弾性糸を2倍程度に伸ばした状態で非弾性糸を巻き付けて形成した芯糸の外周に、銅箔をらせん状に巻き付けた伸縮電線が開示されている。
また、特許文献2には、弾性繊維フィラメント糸を芯にし、1.5〜3.5倍に伸長した弾性繊維フィラメント糸の周りに繊維束を捲回または引き揃えて配置させ、更にその外周に金属線をらせん状に捲回した金属線複合弾性糸が開示され、弾性繊維フィラメント糸の直径は金属線の直径の3倍以上が必要であるとの記載がある。
さらに、特許文献3には、伸縮自在な弾性糸からなる芯材の外周に導電線を配設した複数本の芯線を仮撚加工糸で被覆した伸縮電線が開示されている。
このように、従来の伸縮電線は弾性糸を芯材とし、該芯材を伸長した状態でその外周に非弾性糸を捲回し、更にその外周に金属線を捲回させて製造する方法が一般的であり、芯材は必須の構成部材であった。しかも特許文献2に記載されているように、金属線を捲回するには芯材である弾性糸がある程度以上太いことが必要であることから、伸縮電線の太さは太くならざるを得ず、ロボット等の内部配線には不向きであった。
従来の伸縮電線を細くするには、芯材を細くするか、あるいは、芯材に捲回させる金属線をよりきつく巻き付ける方法が考えられる。しかしながら、芯材を細くすると伸長回復性が低下し、金属線をきつく巻き付けると芯材の伸縮性が阻害されて伸長性そのものが低
下してしまうという問題があり、従来の伸縮電線では優れた伸長性と伸長回復性を有しながら細くすることは不可能であった。
また、従来の伸縮電線は、弾性糸からなる芯材、芯材に被覆する非弾性糸、金属線、外周被覆といった層が最低限必要であり、このような構造の電線を製造するには多数の工程が必要であることから、製造コストが高いという問題があり、より安価な伸縮電線のニーズも高まってきている。
特開昭61−290603号公報 特公昭64−3967号公報 特開2004−134313号公報
本発明は、細くコンパクトでありながら伸長性と伸長回復性に優れ、かつ製造コストの安価な伸縮電線を提供することを目的とする。
本発明者等は、前記課題を解決するため伸縮電線の構造に着目し、弾性糸からなる芯部をなくし、導体線と弾性長繊維が共にらせん状に捲回した繊維構造体とすることによって前記課題を解決できることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
1.導体線がZ撚り又はS撚りのいずれか一方向にらせん状に捲回し、反対方向には他の繊維が導体線の内側及び外側を通りつつ、らせん状に捲回して導体線を拘束してなる繊維構造体を有する伸縮電線において、該繊維構造体はらせん状に捲回した弾性長繊維を少なくとも含有すると共に、該繊維構造体とは独立した芯部を有しないことを特徴とする伸縮電線。
2.導体線と反対方向に捲回する他の繊維が弾性長繊維及び/又は絶縁繊維であることを特徴とする上記1に記載の伸縮電線。
3.繊維構造体が弾性長繊維と導体線を含有する編組構造であることを特徴とする上記1又は2に記載の伸縮電線。
4.伸縮電線が、その外周に被覆部を有することを特徴とする上記1〜3のいずれか一項に記載の伸縮電線。
本発明の伸縮電線は、芯部を有しない構造であるために細くコンパクトであると同時に、伸長性と伸長回復性に優れた伸縮電線である。また、製造工程を短くできるために低コストで製造可能である。
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明の伸縮電線は、導体線がZ撚り又はS撚りのいずれか一方向にらせん状に捲回している。導体線は一般的には銅あるいはアルミニウム等の金属線からなるため、導体線自体は伸縮性を有しないが、導体線がらせん状に捲回していることにより、電線に伸長性を付与することができる。
本発明の伸縮電線は、導体線がZ撚り又はS撚りのいずれか一方向にらせん状に捲回し、反対方向には他の繊維が導体線の内側及び外側を通りつつ、らせん状に捲回して導体線を拘束してなる繊維構造体を有している。導体線と反対方向に捲回する他の繊維が、導体線の内側及び外側を通りつつ、らせん状に捲回して導体線を拘束することによって、芯部を有しなくとも繊維構造体をなすことが可能となり、細くコンパクトな伸縮電線が得られる。さらに、導体線が他の繊維によって拘束されているため、繰り返し伸縮や、伸縮を伴う屈曲動作による導体線間の間隔の変化が抑制され、導体線を信号線として用いる場合に
は、信号の伝送性の低下を抑制することができる。
導体線は捲回1周毎に1箇所以上、導体線とは反対の方向に捲回されている他の繊維で拘束されていることが好ましく、拘束箇所は1周につき2箇所以上がより好ましく、4箇所以上がさらに好ましく、8箇所以上が特に好ましい。導体線を拘束する糸条は、弾性長繊維であってもよく、他の繊維であってもよいが、いずれの場合にも絶縁体であることが好ましい。
本発明の伸縮電線は、前記繊維構造体とは独立した芯部を有しない構造であることが必要である。繊維構造体と独立した芯部とは、繊維構造体を構成する導体線、弾性長繊維及び/又は他の繊維と、交差や交絡、あるいは編組織を構成することなく、構造的に独立している芯部のことをいう。
本発明の伸縮電線は、前記繊維構造体を構成する繊維として、らせん状に捲回した弾性長繊維を少なくとも含有していることが必要である。繊維構造体中にらせん状に捲回した弾性長繊維は、導体線と交差しながら繊維構造体を形成しているため、従来の伸縮電線のような芯部を有さずとも、伸縮性を有する電線が得られる。
従来の伸縮電線は、主として弾性長繊維からなる芯部の周囲に導体線が捲回された構造を有しているのが一般的であり、芯部と導体線は交差や交絡、あるいは編組織を編成しておらず、独立した芯部を有している。そして、電線の太さを従来よりも細くする方法としては、例えば芯部の弾性糸を細くする方法があるが、そうすると伸長回復性が阻害される。また、他の方法として導体線を芯部の弾性糸に巻き付ける際に、巻き付け張力を高くする等して、きつく巻きつける方法もあるが、そうすると伸長性そのものが阻害されると同時に伸長回復性も阻害されてしまう。
本発明の伸縮電線は、従来の伸縮電線のような独立した芯部を有していないことに特徴があり、このことにより、弾性長繊維を細くしたり導体線をきつく巻き付けたりしなくても、従来の芯部を有する伸縮電線よりも細くコンパクトな伸縮電線が得られるため、伸長性及び伸長回復性を阻害することなく電線を細くできる。
また、従来の伸縮電線は、芯部を構成する芯材をあらかじめ用意する必要があり、かつ、多くの場合は導体線の捲回を容易にするために芯材の周囲に主として絶縁繊維からなる被覆層を設けている。本発明の伸縮電線は、繊維構造体とは独立した芯部がなく、かつ芯材に被覆層を設ける工程を省略できるため、製造コストを下げることが可能である。
芯部を有さずに、導体線と他の繊維を各々反対方向にらせん状に捲回し、他の繊維が導体線の内側及び外側を通る繊維構造体を製造する方法としては、例えば、S撚り方向とZ撚り方向に糸条をそれぞれ捲回させて編組構造の紐状物を製造する方法において、捲回させる糸条として導体線及び他の繊維を用いる方法がある。
特に導体線と反対方向に捲回する他の繊維として弾性長繊維を用いたもの、すなわち、導体線と弾性長繊維(絶縁性繊維等で被覆された導体線及び弾性長繊維を含む)のみからなる繊維構造体を有する伸縮電線が、最も細くコンパクトな伸縮電線となり、好ましい。また、弾性長繊維を導体線と同方向に捲回させ、反対方向に第3の繊維、例えば絶縁繊維を捲回させる方法や、導体線と同方向及び反対方向の両方向に弾性長繊維を捲回させて繊維構造体となすことも可能である。但し、弾性長繊維を一方向のみに捲回した伸縮電線は残留トルクが大きくなる場合があるため、その場合には反対方向にも弾性長繊維を捲回するか、あるいは外周を被覆する前に伸縮電線を残留トルク方向に回転させてトルクを消すことが好ましい。
導体線と弾性長繊維を共にらせん状に捲回させる際の形態としては、弾性長繊維と導体線を各々単独でらせん状に捲回させる形態や、弾性長繊維と導体線を引き揃えた糸条をらせん状に捲回させる形態、あるいは弾性長繊維に導体線をカバリング装置等で捲回させた
糸条をらせん状に捲回させる形態等がある。但し、弾性長繊維に導体線を折れ曲がることなく捲回させるためには、導体線を構成する細線の太さに対して弾性長繊維の太さがある程度以上太いことが必要であることから、より細い伸縮電線を得るためには、弾性長繊維と導体線を引き揃えてらせん状に捲回させる形態が好ましく、弾性長繊維と導体線を各々単独でらせん状に捲回させる形態が最も好ましい。
弾性長繊維と導体線を引き揃えた糸条や、弾性長繊維に導体線を捲回させた糸条をらせん状に捲回する場合には、弾性長繊維と導体線は同一方向に捲回される。弾性長繊維と導体線を各々単独でらせん状に捲回させる場合は、弾性長繊維と導体線は同一方向又は反対方向のどちらでも選択することができる。但し、弾性長繊維と導体線を同一方向にらせん状に捲回する場合は、伸縮電線の形態を保持するために、弾性長繊維及び/又は第3の繊維を反対方向に捲回することが必要である。
本発明の伸縮電線は、伸縮電線の伸長性を制限したり、破断強度を高めたり、あるいは複数の導体線間の間隔を確保する等の目的で、導体線と弾性長繊維以外の第3の繊維を同時にらせん状に捲回してもよい。同時に捲回する第3の繊維は、絶縁繊維であることが好ましく、また、伸縮性を阻害しないために仮撚加工糸や潜在捲縮発現性複合繊維等の捲縮糸であることが好ましく、導体線よりも細い繊維が好ましい。
複数の導体線を有する伸縮電線においては、信号線を2本と電力線を2本とする場合がある。この場合、信号線間の間隔が不均一であると、信号線間の特性インピーダンスが不均一となり、伝送ロスが(特に高周波において)大きくなるという問題がある。複数の導体線を一方向に捲回して編組したものは、伝送ロスが少なく特に好ましい。このとき、信号線間の間隔をより均一にするためには、複数の導体線間に弾性長繊維又は絶縁繊維を同一方向で配置し、反対方向に弾性長繊維又は絶縁繊維を配置して編組したものが好ましい。このとき、信号線間の間隔をより均一にするためには、導体線と反対方向に配置する弾性長繊維又は絶縁繊維は、導体線と同一方向に配置する弾性長繊維又は絶縁繊維に比較して細い方が好ましく、1/2〜1/10の繊度がより好ましい。
絶縁繊維としては、フッ素繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリプロピレン繊維、塩化ビニル繊維、サラン繊維、ガラス繊維およびポリウレタン繊維等の公知の絶縁繊維を用いることができる。
本発明の伸縮電線に用いる弾性長繊維は、伸縮性のある長繊維であれば特に限定されないが、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等の熱可塑性エラストマーからなる弾性長繊維や、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム等の合成ゴム系長繊維、あるいは天然ゴム系長繊維等をあげることができる。
本発明の伸縮電線では、弾性長繊維を導体線とともにらせん状に捲回する必要があるため、より細い伸縮電線を得るためには弾性長繊維は柔軟な方が好ましく、ポリウレタン系エラストマーやシリコーンゴムからなる弾性長繊維がより好ましい。また、発泡剤等により多孔質化したものや、弾性長繊維の長手方向に連続した中空部を少なくとも一つ以上有する中空弾性長繊維も、柔軟性の点から好ましい。
弾性長繊維はモノフィラメントであってもよく、マルチフィラメントであってもよい。溶融紡糸等の連続紡糸が困難な弾性長繊維については、弾性体をシート化した後に任意の幅でカットして分割する、いわゆるスリットヤーンであってもよい。弾性長繊維の好ましい繊度は、10〜5000dtexが好ましく、30〜2000dtexがより好ましい。
弾性長繊維は、50%伸長応力が1〜200cN/mmであることが好ましく、より好ましくは5〜100cN/mm、特に好ましくは10〜50cN/mmである。50%伸長応力がこの範囲であると、小さな力で伸長が可能な伸縮電線が得られ、多数の伸
縮電線を用いる用途、例えばヒューマノイド型ロボット、パワーアシスト装置、ウエアラブル電子機器等に好適な伸縮電線となる。
また、弾性長繊維は、50%伸長回復率が80%以上であることが好ましく、85%以上がより好ましく、90%がさらに好ましい。50%伸長回復率がこの範囲であると、繰返しの伸長回復性優れた伸縮電線が得られる。また、弾性長繊維の破断伸度は100%以上であることが好ましく、150%以上がより好ましく、200%以上がさらに好ましい。破断伸度がこの範囲であると、高い伸長性を有する伸縮電線が得られる。なお、50%伸長回復率は以下の方法で測定できる。
引張試験機(株式会社エー・アンド・デイ製、テンシロン試験機)につかみ間隔100mmで試料をセットし、引張速度100mm/minで伸長し、50%伸長後直ちに同速度で除重し、記録した荷重−伸長曲線から荷重がゼロになった時の残留伸びx(mm)を求め、次式により50%伸長回復率を求めた。
50%伸長回復率(%)=〔(50−x)/50〕×100
本発明の伸縮電線は、10N荷重時の伸長率が40%以上であることが好ましく、50%以上がより好ましく、70%以上がさらに好ましい。10Nの荷重というのは、人が手で伸縮電線を強く引っ張って伸長した時に相当する荷重であり、これ以上の荷重が掛かると導体線が伸びて塑性変形したり、一部断線したりすることがある。
また、10N荷重を10回繰り返して掛けた後の伸長回復率が60%以上であることが好ましく、70%以上がより好ましく、75%以上がさらに好ましい。
伸縮電線を伸長させるのに必要な力としては、常用的に使われる伸びの小さい範囲において必要な力が小さいことが望まれ、具体的には30%伸長時の荷重が3000cN以下であることが好ましく、1000cN以下がより好ましく、500cN以下がさらに好ましく、300cN以下が特に好ましい。
本発明の伸縮電線に用いる弾性長繊維の外周を、ポリエステルやナイロン等の合成繊維(仮撚加工糸等の捲縮糸が好ましい)でカバリング加工する等して被覆すると、弾性長繊維表面の摩擦が下がってらせん状に捲回しやすくなるため、好ましい。また、合成繊維の表面にシリコーン樹脂等の平滑剤を付与すると、導体線との摩擦をより低減できるのでさらに好ましい。
被覆する合成繊維の繊度は、弾性長繊維の繊度よりも小さいことが好ましく、弾性長繊維の1/5以下の繊度であることがより好ましい。合成繊維を被覆する場合は、弾性長繊維の伸長性を阻害しないために、弾性長繊維の破断伸度の範囲内で1.5〜6倍程度伸長した状態で、カバリング機等で合成繊維を捲回することが好ましい。
本発明の伸縮電線に用いる導体線は、単線であってもよく、細線の集合線であってもよいが、少なくとも2本以上の細線の集合線であることが好ましい。細線の集合線とすることで、導体線の柔軟性が高まり、伸縮性を阻害しにくくなり、より細い伸縮電線が得られ易い。
細線を集合させるには様々な方法が知られており、本発明においても公知のどのような方法で集合させてもよい。しかし、ストレートに引き揃えるだけでは捲回しづらいため、撚り線とすることが好ましい。また、可撓性を発揮するために、集合線を絶縁繊維で捲回したものを用いることもできる。
導体線を構成する細線の直径は1mm以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.1mm以下であり、特に好ましくは0.08mm以下であり、最も好ましくは0.05mm以下である。細線の直径がこの範囲であれば導体線の柔軟性が高まり、伸縮性を阻害しにくくなり、伸縮による断線も起きにくくなり、より細い伸縮電線が得られ易い。あまり細すぎると加工時に断線し易いため、0.01mm以上が好ましい。
導体線を細線の集合線として用いる場合は、以下の式で求められる導体線の換算直径が2mm以下とすることが好ましく、より好ましくは1mm以下、さらに好ましくは0.5mm以下である。
導体線の換算直径=2×√((π×(Lt/2)×(Lt/2)×n)/π)
=Lt×√n
Lt:導体線を構成する細線の直径
n:導体線を構成する細線の集合本数
導体線の換算直径がこの範囲であれば、可撓性が良好で安定して捲回することができる。また、捲回する際の作業性の点からは、導体線の換算直径は0.01mm以上が好ましく、0.02mm以上がより好ましい。
導体線は、比抵抗が10−4Ω・cm以下であることが好ましく、10−5Ω・cm以下であることがより好ましい。導体線は80wt%以上が銅からなる銅線、または80%以上がアルミニウムからなるアルミニウム線であることが好ましい。銅線は、比較的安価で電気抵抗が低いので、最も好ましい。アルミニウム線は軽量であるから、銅線に続いて好ましい。銅線は軟銅線または錫銅合金線が一般的であるが、導電性をあまり低下させずに、強力を高めた強力銅合金(例えば、無酸素銅に鉄、燐およびインジウム等を添加したもの)、錫、金、銀または白金などでメッキして酸化を防止したもの、電気信号の伝送特性を向上させるために金その他の元素で表面処理したものなどを用いることもできる。
導体線は1本ずつを絶縁体で被覆されているものを用いることもでき、細線の集合線をまとめて絶縁体で被覆したものを用いることもできる。被覆する絶縁体の厚さは2mm以下であることが好ましく、より好ましくは1mm以下であり、さらに好ましくは0.1mm以下である。被覆する絶縁体の厚さがこの範囲であれば、絶縁被覆された導体線は柔軟であり、かつ外径の小さい導体線となる。
被覆する絶縁体の種類は、公知の絶縁樹脂から上記の趣旨に沿ったものを任意に選ぶことができる。導体線1本ずつに樹脂被覆を行う場合は、例えば一般のマグネットワイヤーで用いられるいわゆるエナメル被覆として、ポリウレタン被覆、ポリウレタン−ナイロン被覆、ポリエステル被覆、ポリエステルーナイロン被覆、ポリエステルーイミド被覆およびポリエステルイミド・ポリアミドイミド被覆等が挙げられる。また、集合線としてから樹脂被覆を行う場合は、塩ビ樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂およびエステル樹脂などを用いることができる。また、識別のため、各導体線をあらかじめ色分けしておくこともできる。
導体線にあらかじめ絶縁繊維を捲回および/または編組することによって被覆したものを用いることもでき、加工時に細線表層の絶縁性樹脂層が破壊されにくく、好ましい。
本発明の伸縮電線は、少なくとも弾性長繊維と導体線をらせん状に捲回して伸縮電線の中間体を形成した後、その外周に被覆部を形成することが好ましい。通常、外周被覆部は、伸縮性を阻害せずに内部の導体線を保護することが求められる。このため、外周被覆部は絶縁繊維の編組及び/又は伸度50%以上の絶縁樹脂の弾性チューブ状物により形成されることが好ましい。
本発明の伸縮電線において、特に弾性長繊維が少なくとも導体線と反対方向に捲回された形態を有する場合は、導体線の一部が弾性長繊維の内側に入り込んだ構造となっているため、外周被覆部の厚さを薄くすることができ、より細くコンパクトな伸縮電線が得られると同時に、高い伸縮性を保持できるという効果も得られる。
外周を被覆する絶縁繊維としては、マルチフィラメントまたは紡績糸を用いることができ、伸縮電線の用途や想定される使用条件に合わせて、公知の絶縁性繊維から任意に選ぶことができる。絶縁繊維は原糸のままでも良いが、意匠性や劣化防止の観点から原着糸や先染め糸を用いることもできる。また、仕上げ加工により、柔軟性や耐摩擦性の向上を図
ることもできる。さらに、難燃加工、撥水加工、撥油加工、防汚加工、抗菌加工、制菌加工および消臭加工など、公知の繊維の加工を施すことにより、実用時の取り扱い性を向上させることもできる。
特に、絶縁繊維の表面にシリコーン樹脂等の平滑剤を付与すると、伸縮電線表面の摩擦係数をより低減できるので好ましい。また、ヒューマノイド型ロボットの外皮配線に用いる場合は、外皮を構成する樹脂が伸縮電線内部に浸透して伸縮性を阻害しないように、外周被覆部に撥水加工を施すことが好ましい。
耐熱性と耐磨耗性を両立させる絶縁繊維としては、アラミド繊維、ポリスルホン繊維およびフッ素繊維が挙げられる。耐火性の観点からは、ガラス繊維、耐炎化アクリル繊維、フッ素繊維およびサラン繊維が、また、耐磨耗性や強度の観点からは、高強力ポリエチレン繊維およびポリケトン繊維が挙げられる。コストと耐熱性の観点からは、ポリエステル繊維、ナイロン繊維およびアクリル繊維がある。これらに、難燃性を付与した難燃ポリエステル繊維、難燃ナイロン繊維および難燃アクリル繊維(モダクリル繊維)なども好適である。
摩擦熱による局部的な劣化に対しては、非溶融繊維を用いることが好ましい。その例としては、アラミド繊維、ポリスルホン繊維、コットン、レーヨン、キュプラ、ウール、絹およびアクリル繊維を挙げることができる。強度を重視する場合は、高強力ポリエチレン繊維、アラミド繊維およびポリフェニレンサルファイド繊維が挙げられる。摩擦性を重視する場合は、フッ素繊維、ナイロン繊維およびポリエステル繊維が挙げられる。意匠性を重視する場合は、発色の良いアクリル繊維を用いることもできる。さらに、人との接触による触感を重視する場合は、キュプラ、アセテート、コットンおよびレーヨンなどのセルロース系繊維や、絹または繊度の細い合成繊維を用いることができる。
液体からの被覆性を高めたい場合には、外部被覆として絶縁樹脂の弾性チューブ状物を好適に用いることができる。絶縁樹脂はさまざまな弾性の絶縁樹脂から任意に選ぶことができ、伸縮電線の用途及び伸縮電線の内部構造に使用する他の絶縁繊維との相性を考慮しながら、選定することができる。
考慮すべき性能は伸縮性、耐磨耗性、耐熱性および耐薬品性などが挙げられ、これらの性能に優れるものとしては合成ゴム系弾性体が挙げられ、フッ素系ゴム、シリコーン系ゴム、エチレン・プロピレン系ゴム、クロロプレン系ゴムおよびブチル系ゴムが好ましい。
絶縁体からなる外部被覆層は、絶縁繊維により編組された被覆と弾性チューブ状物とを組み合わせることもできる。伸縮電線は、小さい力で伸縮させることを望むケースが多いが、弾性チューブ状物のみで被覆する場合は、弾性チューブの厚みを厚くする必要があり、伸縮に必要な力が大きくなりやすい。このような場合は、厚みの薄いチューブと絶縁繊維による編組を組み合わせることで、被覆性と伸縮性を両立させることができる。
次に、本発明の伸縮電線の代表的な製造方法について説明する。なお、本発明の伸縮電線は以下の製造方法に限定されるものではない。
本発明の伸縮電線の代表的な製造方法としては、S撚り方向とZ撚り方向に糸条をそれぞれ捲回させて編組構造の紐状物、いわゆる組紐を製造する方法において、捲回させる糸条として弾性長繊維及び導体線を用いる方法があげられる。組紐を製造する装置としては製紐機(組物機)があげられるが、同様の編組構造の紐状物を製造できる機械であればいかなる機械でもよい。
組紐はその形状から、丸組、平組、角組などがあるが、本発明の伸縮電線においては、導体線が折れ曲がることなくらせん状に捲回しやすい点で、丸組が好ましい。また、捲回する糸の本数によって、4本打ち組物、8本打ち組物、16本打ち組物などがあるが、捲回する導体線の本数によって適宜採用すればよい。好ましくは捲回する導体線の倍以上の
本数からなる組物が好ましく、例えば4本の導体線を捲回する場合には8本打ち組物、あるいは16本打ち組物が好ましい。また、4本打ち組物、8本打ち組物において、導体線を一方向のみに捲回させた伸縮電線は、その断面形状が略楕円断面(導体線がやや外側に張り出した形状)になり、16本打ち組物では略丸断面あるいは略四角断面になる。
捲回させる弾性長繊維は、糸オモリとの摩擦による損傷や破断を防ぐために、あらかじめその外周をポリエステルやナイロン等の合成繊維(仮撚加工糸等の捲縮糸が好ましい)で被覆したものが好ましい。弾性長繊維の高い伸長性を確保するためには、該被覆加工を行う際に弾性長繊維をできるだけ高倍率で伸長しながら合成繊維を被覆することが好ましい。具体的には、弾性長繊維の破断伸度の範囲内で1.5〜6倍程度伸長することが好ましく、3〜6倍がより好ましい。
製紐機を用いて弾性長繊維と導体線を各々単独でらせん状に捲回させる場合には、まず、弾性長繊維と導体線を別々に製紐機用のボビンに巻き取り、該ボビンを製紐機に仕掛けて編組する。このとき、編組される糸条には、糸オモリによって張力が掛けられるが、弾性長繊維には破断しない範囲でできるだけ重い糸オモリによって張力を掛けることが好ましい。こうすることにより、弾性長繊維が伸長されて導体線と編組されて伸縮電線の中間体をなし、製紐機の出口側ロールを出た該中間体は弛緩されて弾性長繊維が縮むことにより、伸縮性を有する中間体となる。また、導体線に掛ける張力は、導体線が損傷したり破断したりしないように、編組加工時に導体線が緩まない程度に張力を掛けることが好ましい。
弾性長繊維と導体線を引き揃えた糸条をらせん状に捲回させる場合には、まず、弾性長繊維と導体線を引き揃えて製紐機用のボビンに巻き取り、該ボビンを製紐機に仕掛けて編組する。編組する際には糸オモリによって張力が掛けられるが、弾性長繊維は弾性率が著しく高い(すなわち伸びにくい)導体線と引き揃えられているため、弾性長繊維が伸長される長さは導体線によって制限される。したがって、弾性長繊維と導体線を引き揃えて製紐機用のボビンに巻き取る際に、弾性長繊維の破断伸度の範囲内で1.2〜6倍程度、好ましくは1.5〜5倍程度、より好ましくは2〜4倍程度、弾性長繊維を伸長しながら導体線と引き揃えてボビンに巻き取ることが好ましい。
弾性長繊維を伸長する方法としては、テンションワッシャー等により張力を掛けて伸長するか、あるいは給糸ロールを通して給糸速度をボビンワインダーの巻き取り速度より遅くすることによって、伸長倍率を一定に保って給糸する方法があるが、伸縮電線の伸縮性のばらつきを少なくできる点で後者の方法が好ましい。
弾性長繊維に導体線をカバリング装置等で捲回させた糸条をらせん状に捲回させる場合には、前記の両者を引き揃えた場合と同様の理由で、カバリング加工時に、弾性長繊維の破断伸度の範囲内で1.2〜6倍程度、好ましくは1.5〜5倍程度、より好ましくは2〜4倍程度、弾性長繊維を伸長しながら導体線を捲回することが好ましい。
本発明の伸縮電線において、導体線の捲回角度は、30度以上80度以下の範囲が好ましい。捲回角度がこの範囲であれば、伸縮性が発現しやすい。捲回角度は35度以上75度以下であればさらに好ましく、40度以上70度以下であれば特に好ましい。導体線の捲回角度は、編組加工時の、ボビンが組紐の周囲を一周する速度に対する組紐の巻き取り速度の比や、弾性長繊維の伸長倍率等を調整して制御すればよい。なお、本発明において捲回角度とは、伸縮電線を側面から見たときの、伸縮電線の長さ方向(軸方向)と導体線のなす角度であり、伸縮電線が弛緩状態での角度をいう。捲回角度は、弛緩状態の伸縮電線を一定長切り取り、捲回されている導体線をほどいてその長さを測定し、逆三角関数を用いて求めることができる。
弾性長繊維と導体線をらせん状に捲回して伸縮電線の中間体を形成した後、その外周に絶縁繊維の編組及び/又は絶縁樹脂の弾性チューブ状物により被覆部を形成することが好ましい。
外周被覆部を絶縁繊維の編組によって形成する場合は、弾性長繊維と導体線をらせん状に捲回した中間体を、製紐機等に再度仕掛け、該中間体を伸長した状態でその外周に絶縁繊維を編組する方法が好ましく、編組の最終形体は丸紐状でも細幅テープ状でもよい。また、上記中間体を複数本まとめ、その外周を絶縁繊維で被覆してもよく、あるいは、上記中間体を予め絶縁繊維で被覆したものを複数本まとめ、さらにその外周を絶縁繊維で被覆してもよい。好ましくは、弾性長繊維と導体線のみからなる中間体の外周を絶縁繊維で被覆したものが最もコンパクトにできる。
このようにして得られた伸縮電線は、抵抗が弛緩状態で10Ω/m以下であることが好ましい。これ以上の場合は、微弱電流を流すことができても、駆動電流を流すには適さない。さらに好ましくは1Ω/m以下である。
本発明の伸縮電線を複数本組み込んだ、細幅弾性テープ形状にしたものも作る事ができる。細幅弾性テープ形状とするためには、あらかじめ絶縁被覆された伸縮電線を2〜100本用いることが好ましい。汎用的なものは3〜5本用いるものであるが、電源から末端まで多数のモーターやセンサーを1本のテープで配線したいという場合もあり、多数の伸縮電線をテープ状にすることもできる。取り扱い性の点から、テープの幅は20cm以下が好ましく、10cm以下であることがより好ましい。
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。また、本発明の実施例及び比較例では、電線の太さをより比較しやすくするため、外周被覆を省略して評価を行った。
本発明で用いた評価方法は以下の通りである。
(1)電線の太さ
標準状態(温度20℃、相対湿度65%)に試料を2時間以上静置した後、標準状態下で、試料が変形しないように断面の寸法(略丸断面の場合は直径D(mm)、略楕円断面の場合は長径D1(mm)、短径D2(mm))、略四角断面の場合は各辺B1(mm)、B2(mm)をノギスで測定し、次式により断面積A(mm)を求めた。
略丸断面の場合:A=π×D/4
略楕円断面の場合:A=π×D1×D2/4
略四角断面の場合:A=B1×B2
(2)10N荷重時の伸長率
標準状態(温度20℃、相対湿度65%)に試料を2時間以上静置した後、標準状態下で、引張試験機(株式会社エー・アンド・デイ製、テンシロン試験機)につかみ間隔100mmで試料をセットし、引張速度100mm/minで伸長し、10Nの荷重が掛かった後直ちに同速度で除重し、得られた荷重−伸長曲線から10N荷重時のチャック間の距離L1(mm)を求め、次式により10N荷重時の伸長率(%)を求めた。
10N荷重時の伸長率={(L1−100)/100}×100
(3)10N荷重後の伸長回復率
(2)の10N荷重の伸長試験を10回繰り返し、10回目の荷重−伸長曲線から10N荷重時のチャック間の距離L2(mm)、荷重が0に戻ったときのチャック間の距離L3(mm)を求め、次式により10N荷重後の伸長回復率(%)を求めた。
10N荷重後の伸長回復率={(L3−100)/(L2−100)}×100
[実施例1]
ダブルカバリング機((有)カタオカテクノ社製、SP−400型)を用い、940d
tex/72fのポリウレタン弾性長繊維(旭化成せんい(株)製、商品名:ロイカ)を芯にして、伸長倍率6倍で伸長しながら、155dtex/48fのナイロン仮撚糸を500T/mの下撚り(S撚り)および332T/mの上撚り(Z撚り)で捲回し、ダブルカバー糸を得た。
得られたダブルカバー糸を、給糸ローラー付の製紐機用ボビンワインダー((有)吉田製作所製オートワインダー)に仕掛け、伸張倍率1.2倍でボビンに巻き取った。また、導体線として、銅細線集合線((有)竜野電線社製USTC、直径0.03mm×48本)にポリエステル加工糸をカバリングしたものを、単独でボビンに巻き取った。
16本打ちの丸打ち製紐機((有)桜井鉄工製)を用い、ダブルカバー糸を巻き取ったボビン4本をS撚り方向に1本おきに配置し、導体線を巻き取ったボビン4本をZ撚り方向に1本おきに配置して編組加工を行い、伸縮電線を得た。編組加工時の糸オモリは、ダブルカバー糸には40匁(約150g)、導体線には20匁(約75g)の糸オモリを掛けた。
得られた伸縮電線の太さ、10N荷重時の伸び及び10N荷重後の伸長回復率の評価結果を表1に示す。
[比較例1]
芯材として、実施例1と同様のダブルカバー糸を4本引き揃えて別途糸管に巻き取った。
16本打ちの丸打ち製紐機((有)桜井鉄工製)を用い、糸管に巻き取ったダブルカバー糸を2.0倍に伸長しながら芯部に供給し、実施例1と同様の導体線を巻き取ったボビン4本をZ撚り方向に1本おきに配置し、絶縁繊維であるナイロン仮撚糸(230dtex/72f×2本引き揃え)を巻き取ったボビン4本をS撚り方向に1本おきに配置して編組加工を行い、伸縮電線を得た。編組加工時の糸オモリは、導体線には20匁(約75g)、ナイロン仮撚糸には15匁(約56g)の糸オモリを掛けた。
得られた伸縮電線の太さ、10N荷重時の伸び及び10N荷重後の伸長回復率の評価結果を表1に示す。
[比較例2]
芯材として、実施例1と同様のダブルカバー糸を2本引き揃えて用いた以外は、比較例1と同様にして伸縮電線を得た。得られた伸縮電線の太さ、10N荷重時の伸び及び10N荷重後の伸長回復率の評価結果を表1に示す。
[比較例3]
比較例1において、編組加工時の糸オモリを、導体線、ナイロン仮撚糸共に40匁(約150g)の糸オモリを掛けて、きつく捲回した以外は、比較例1と同様にして伸縮電線を得た。得られた伸縮電線の太さ、10N荷重時の伸び及び10N荷重後の伸長回復率の評価結果を表1に示す。
実施例1と比較例1は、弾性長繊維と導体線として同じものを用い、同じ製紐機を用いて伸縮電線を製造したものであるが、比較例1は弾性長繊維が芯部にあって導体線を拘束していないため、電線の形態を保持するために導体線とは反対方向に絶縁繊維を捲回したものである。
実施例1で得られた伸縮電線は、比較例1で得られた伸縮電線と比較すると、伸長率及び伸長回復率が同等で、電線の直径で約20%、断面積で約40%小さい、非常に細くコンパクトな伸縮電線であった。また、少なくとも芯材を引き揃えるコストと、絶縁繊維のコスト分は削減することができた。
比較例1で得られた伸縮電線は、伸長率並びに伸長回復率は実施例1の電線と同等のものであったが、太すぎるために本発明の目的には合致しないものであった。
比較例2は、比較例1の芯部の弾性長繊維を細くしたものであり、電線の直径はやや細くなったものの、いまだ実施例1の電線よりは太く、伸長回復率が大きく低下し、伸縮電
線としては不十分なものであった。
比較例3は、導体線及び絶縁繊維を比較例1よりもきつく巻き付けたものであり、電線の太さは実施例1の電線に近い太さまで細くできたものの、伸長率並びに伸長回復率の両方が大きく低下し、伸縮電線としては不十分なものであった。
[実施例2]
ダブルカバー糸を巻き取ったボビン4本をZ撚り方向にも1本おきに配置した以外は、実施例1と同様にして伸縮電線を得た。得られた伸縮電線の太さ、10N荷重時の伸び及び10N荷重後の伸長回復率の評価結果を表1に示す。
得られた伸縮電線は、断面形状が略四角断面であり、弾性長繊維を実施例1対比で2倍使用しているにも係わらず、断面積は実施例1の伸縮電線と同程度であり、非常に細くコンパクトな伸縮電線であった。
[実施例3]
導体線間の間隔をより均一にする目的で、比較例1と同様のナイロン仮撚糸を巻き取ったボビン4本をZ撚り方向に1本おきに配置した以外は、実施例1と同様にして伸縮電線を得た。得られた伸縮電線の太さ、10N荷重時の伸び及び10N荷重後の伸長回復率の評価結果を表1に示す。
[比較例4]
導体線間の間隔をより均一にする目的で、比較例1と同様のナイロン仮撚糸を巻き取ったボビン4本をZ撚り方向に1本おきに配置した以外は、比較例1と同様にして伸縮電線を得た。得られた伸縮電線の太さ、10N荷重時の伸び及び10N荷重後の伸長回復率の評価結果を表1に示す。
実施例3と比較例4は、弾性長繊維と導体線として同じものを用い、同じ製紐機を用いて伸縮電線を製造したものであるが、比較例4は電線の形態を保持するために導体線と反対方向に絶縁繊維を捲回したものである。実施例3で得られた伸縮電線は、比較例4で得られた伸縮電線と比較すると、伸長性が同等で、電線の直径で約15%、断面積で約30%小さい、非常に細くコンパクトな伸縮電線であった。また、少なくとも芯材を引き揃えるコストと、絶縁繊維のコスト分は削減することができた。
[実施例4]
8本打ちの丸打ち製紐機((有)桜井鉄工製)を用い、ダブルカバー糸を巻き取ったボビン4本をS撚り方向に配置し、導体線を巻き取ったボビン4本をZ撚り方向に配置して編組加工を行い、伸縮電線を得た。編組加工時の糸オモリは、ダブルカバー糸には40匁(約150g)、導体線には20匁(約75g)の糸オモリを掛けた。得られた伸縮電線の太さ、10N荷重時の伸び及び10N荷重後の伸長回復率の評価結果を表1に示す。
得られた伸縮電線は、断面形状が略楕円断面であり、断面積が実施例1の伸縮電線よりもさらに小さく、定荷重時の伸びが実施例1よりも大きい、非常に細くコンパクトで伸縮性に優れた伸縮電線であった。
[実施例5]
実施例1と同様の導体線を製紐機用ボビンに巻き取る際に、実施例1と同様のカバリング糸を伸長倍率2.0倍で同じボビンに引き揃えて巻き取った。
16本打ちの丸打ち製紐機((有)桜井鉄工製)を用い、導体線とカバリング糸を引き揃えて巻き取ったボビン4本をZ撚り方向に1本おきに配置し、比較例1と同様のナイロン仮撚糸を巻き取ったボビン4本をS撚り方向に1本おきに配置して編組加工を行い、伸縮電線を得た。編組加工時の糸オモリは、導体線とカバリング糸を引き揃えたものには20匁(約75g)、ナイロン仮撚糸には15匁(約56g)の糸オモリを掛けた。得られた伸縮電線の太さ、10N荷重時の伸び及び10N荷重後の伸長回復率の評価結果を表1
に示す。
Figure 0005339798
本発明の伸縮電線は、ロボット分野をはじめとして、身体装着機器、衣服装着機器等、曲げ伸ばしなどの屈曲部を有する装置の配線に好適であり、特に、ヒューマノイド型ロボット(内部配線及び外皮配線)、パワーアシスト装置、ウエアラブル電子機器等に好適である。その他、各種ロボット(産業用ロボット、家庭用ロボット、ホビーロボット等)、リハビリ用補助具、バイタルデータ測定機器、モーションキャプチャー、電子機器付防護服、ゲーム用コントローラー(人体装着型を含む)、マイクロフォン、ヘッドフォン等の分野で好適に利用できる。

Claims (4)

  1. 導体線がZ撚り又はS撚りのいずれか一方向にらせん状に捲回し、反対方向に
    は他の繊維が導体線の内側及び外側を通りつつせん状に捲回しており、該導体線と該他の繊維とが編組構造を構成することで該他の繊維が該導体線を拘束してなる繊維構造体を有する伸縮電線において、該繊維構造体はらせん状に捲回した弾性長繊維を少なくとも含有すると共に、該繊維構造体とは独立した芯部を有しないことを特徴とする伸縮電線。
  2. 導体線と反対方向に捲回する他の繊維が弾性長繊維及び/又は絶縁繊維であることを特徴とする請求項1に記載の伸縮電線。
  3. 繊維構造体が弾性長繊維と導体線を含有する編組構造であることを特徴とする請求項1又は2に記載の伸縮電線。
  4. 伸縮電線が、その外周に被覆部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の伸縮電線。
JP2008178695A 2008-07-09 2008-07-09 伸縮電線 Expired - Fee Related JP5339798B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008178695A JP5339798B2 (ja) 2008-07-09 2008-07-09 伸縮電線

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008178695A JP5339798B2 (ja) 2008-07-09 2008-07-09 伸縮電線

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010020949A JP2010020949A (ja) 2010-01-28
JP5339798B2 true JP5339798B2 (ja) 2013-11-13

Family

ID=41705644

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008178695A Expired - Fee Related JP5339798B2 (ja) 2008-07-09 2008-07-09 伸縮電線

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5339798B2 (ja)

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5392480A (en) * 1977-01-25 1978-08-14 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> Transmission media
JPS6029316U (ja) * 1983-08-02 1985-02-27 三和電工株式会社 配線コ−ド
JPS6223021U (ja) * 1985-07-26 1987-02-12
JPS6226814U (ja) * 1985-07-31 1987-02-18
JPH0227610A (ja) * 1988-07-18 1990-01-30 Toyobo Co Ltd 伸縮性導電線とその製造方法
JPH05151830A (ja) * 1991-11-27 1993-06-18 Yazaki Corp 電 線

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010020949A (ja) 2010-01-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI400722B (zh) 伸縮電線及其製造方法
JP5576961B2 (ja) 伸縮性光信号伝送ケーブル
WO2009157070A1 (ja) 伸縮性信号伝送ケーブル
JP5354966B2 (ja) 伸縮電線
JP2011082050A (ja) 伸縮電線
JP5872787B2 (ja) 信号伝送用多芯型伸縮ケーブル
JP5828743B2 (ja) 耐屈曲ケーブル
JP2015026476A (ja) 多層型伸縮伝送線
JP2010040337A (ja) 高耐久性伸縮電線
JP6345521B2 (ja) 端末加工された伸縮性伝送体
JP5339798B2 (ja) 伸縮電線
JP2009054312A (ja) 伸縮性光ファイバー複合ケーブル及びその製造方法
JP4057877B2 (ja) 伸縮電線
JP2014096262A (ja) シールド付伸縮電線
JP6600494B2 (ja) 耐捻回性に優れる伸縮ケーブル
JP2010040339A (ja) 伸縮電線
JP6497927B2 (ja) 伸縮伝送路
JP2012216469A (ja) 電装用ケーブル
JP2019067709A (ja) 伸縮電線
JP2017183238A (ja) 伸縮電線

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110629

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130611

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130716

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130806

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130806

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5339798

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees