JP2010094965A - レーザー彫刻用樹脂組成物、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版、レリーフ印刷版の製造方法、及びレリーフ印刷版 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)無機多孔質体、(B)バインダーポリマー、(C)熱重合開始剤、及び(D)重合性化合物を少なくとも含有するレーザー彫刻用樹脂組成物、それを用いたレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版、レリーフ印刷版及びレリーフ印刷版の製造方法。
【選択図】なし
Description
即ち、本発明の目的は、レーザー彫刻に供した際における彫刻感度が高く、保存安定性に優れ、且つ彫刻する際に発生する彫刻カスの除去が容易なレーザー彫刻用樹脂組成物を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、彫刻感度が高く、レーザー彫刻により直接製版が可能であり、製版後の版面における彫刻カスの除去が容易なレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、前記レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版を用いたレリーフ印刷版の製造方法、並びに、該製造方法により得られたレリーフ印刷版を提供することにある。
<1> (A)無機多孔質体、(B)バインダーポリマー、(C)熱重合開始剤、及び(D)重合性化合物を少なくとも含有するレーザー彫刻用樹脂組成物。
<2> 前記(B)バインダーポリマーのガラス転移温度(Tg)が、20℃以上200℃以下である<1>に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
<3> 前記(B)バインダーポリマーが、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、及びポリアミドからなる群より選択される少なくとも1種である<1>又は<2>に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
<4> さらに(E)700〜1300nmの波長の光を吸収可能な光熱変換剤を含有する<1>から<3>のいずれかに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
<5> <1>から<4>のいずれかに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物を熱架橋して形成したレリーフ形成層を有するレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版。
<6> <5>に記載のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版におけるレリーフ形成層をレーザー彫刻してレリーフ層を形成する彫刻工程を含むレリーフ印刷版の製造方法。
<7> <6>に記載のレリーフ印刷版の製造方法により製造された、レリーフ層を有するレリーフ印刷版。
<8> 前記レリーフ層の厚みが、0.05mm以上10mm以下である<7>に記載のレリーフ印刷版。
<9> 前記レリーフ層のショアA硬度が、50°以上90°以下である<7>又は<8>に記載のレリーフ印刷版。
また、本発明によれば、彫刻感度が高く、レーザー彫刻により直接製版が可能であり、製版後の版面における彫刻カスの除去が容易なレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版を提供することができる。
また、本発明によれば、前記レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版を用いたレリーフ印刷版の製造方法、並びに、該製造方法により得られたレリーフ印刷版を提供することができる。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物(以下、単に、「本発明の樹脂組成物」と称する場合がある。)は、(A)無機多孔質体、(B)バインダーポリマー、(C)熱重合開始剤、及び(D)重合性化合物を少なくとも含有することを特徴とする。
本発明の樹脂組成物は、熱エネルギーにより重合、硬化させることができる。
光重合開始剤を含有する樹脂組成物であっても、例えば、光熱変換剤を用いることで、感光による光重合開始剤の分解を抑制することは可能である。しかし、光重合開始剤と光熱変換剤を併用すると、該光熱変換剤が光重合開始剤の光分解に必要な波長の光を吸収してしまうため光分解が抑制されて架橋不足となる。このため、殆どの場合、樹脂組成物の白灯下での光安定性と光架橋性とがトレードオフとなってしまう。
このように、本発明の樹脂組成物では、光重合開始剤を含有する樹脂組成物とは対照的に、優れた保存安定性(光安定性)のみならず、優れた架橋効率をも発揮する樹脂組成物である。
以下、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物の構成要素について説明する。
本発明の樹脂組成物は、無機多孔質体を含有する。本発明において、「無機多孔質体」とは、徴小な細孔又は微小な空隙を有する無機粒子を意味する。
無機多孔質体の数平均粒子径が上記の範囲内であると、本発明の樹脂組成物をレーザーで彫刻するに供する際に粉塵が舞うことはなく、粉塵によって彫刻装置を汚染することもない。
また、本発明の樹脂組成物における無機多孔質体の含有量は、該樹脂組成物に含まれる全固形分に対し、0.01質量%〜60質量%が好ましく、0.05質量%〜40質量%がより好ましく、0.1質量%〜20質量%がさらに好ましい。
本発明の樹脂組成物は、バインダーポリマーを含有する。
バインダーポリマーは、レーザー彫刻用樹脂組成物に含有される主成分であり、レーザーに対する記録感度の観点から、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、等を目的に応じて用いることができる。例えば、加熱や露光により硬化させ、強度を向上させる目的に使用する場合には、バインダーポリマーとして、分子内に炭素−炭素不飽和結合をもつポリマーが選択される。柔軟で可撓性を有する膜形成が目的とされる場合には、軟質樹脂や熱可塑性エラストマーが選択される。
レーザー彫刻用樹脂組成物を、レーザー彫刻用レリーフ印刷板原版におけるレリーフ形成層に適用する場合であれば、レリーフ形成層用組成物の調製の容易性、得られたレリーフ印刷板における油性インクに対する耐性向上の観点からは、親アルコール性ポリマーを使用することが好ましい。
また、レーザー彫刻感度の観点からは、彫刻時における露光或いは加熱により熱分解する部分構造を含むポリマーが好ましい。
このように、レーザー彫刻用樹脂組成物の適用用途に応じた物性を考慮し、目的に応じたバインダーポリマーを選択し、当該バインダーポリマーの1種を、或いは、2種以上を組み合わせて用いることができる。
以下、これらの(A)バインダー及び(B)バインダーについて説明する。
本発明の樹脂組成物における好適なバインダーポリマーの一つである(A)バインダーは、水不溶、且つ、炭素数1〜4のアルコールに可溶のバインダーポリマーである。
この(A)バインダーは、後述する(B)バインダーとは異なる構造を有するものである。
本発明に係る(A)バインダーは、高極性でありながら水不溶であるといった特性を有しており、この特性を有することから、本発明の樹脂組成物をレリーフ形成層に適用した場合には、水性インキ適性とUVインキ適性の双方を達成することができる。
ここで、以降、炭素数1〜4のアルコールを低級アルコールと称する場合がある。
(A)バインダーが水不溶であることで、水性インキ適性が向上し、水性インキで印刷中に膨潤してレリーフ層中の低分子成分が溶出し、膜強度が低下することを抑制することができる。更に、(A)バインダーがアルコールに可溶なことで、レリーフ形成層を形成する際に使用される溶剤としてのアルコール分子は、この(A)バインダーとの親和性が高いことに由来し、(A)バインダーの鎖状構造をほぐす、即ち、ポリマー構造中に効果的に分子レベルでの空隙を形成することができると考えられる。これにより、(A)バインダーの上述のごときほぐれた部分、即ち、分子レベルでの空隙に、レリーフ形成層に含まれる併用成分が侵入しやすくなり、(A)バインダーとその他の成分が分子レベルで混合された均質なレリーフ形成層を得ることができる。その結果、このようなレリーフ形成層は、分子レベルでみて不均質な膜に比べて各インキの浸透に起因するダメージを受けにくいといった特性を与えるものと考えている。
より好ましくは、(A)バインダーとしては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノールのいずれかに溶解するものが、特にメタノール、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノールの全てに溶解するものが好ましい。
なお、本発明においてガラス転移温度(Tg)が室温以上とは、Tgが20℃以上であることを指す。
即ち、エラストマーとは、一般的に、ガラス転移温度が常温以下のポリマーであるとして学術的に定義されている(科学大辞典 第2版、編者 国際科学振興財団、発行 丸善株式会社、P154参照)。従って、非エラストマーとはガラス転移温度が常温を超える温度であるポリマーを指す。
本発明の樹脂組成物に対して実施されるレーザー彫刻においては、レーザー照射時(好ましくは赤外線レーザ照射時)に、付与される熱に加え、所望により併用される(E)光熱変換剤の機能により発生した熱が、周囲に存在する(A)バインダーに伝達され、これが熱分解、消散して、結果的に彫刻されて凹部が形成される。
本発明の好ましい態様では、(A)バインダーの熱的な分子運動が抑制された状態の中に(E)光熱変換剤が存在すると(A)バインダーへの熱伝達と熱分解が効果的に起こるものと考えられ、このような効果によって彫刻感度が更に増大したものと推定される。
本発明における特に好ましい(A)バインダーとしては、水性インキ適性とUVインキ適性を両立しつつ、かつ、彫刻感度が高く皮膜性も良好であるという観点で、ポリビニルブチラール(PVB)誘導体、アルコール可溶性ポリアミド、セルロース誘導体、アクリル樹脂が挙げられる。
ポリビニルブチラール(以下、PVBと称する)は、ホモポリマーを用いることもでき、また、ポリビニルブチラール誘導体を用いてもよい。
PVB誘導体中のブチラール含量(原料モノマーの総モル数を100%)は、30%〜90%が好ましく、50%〜85%がより好ましく、55%〜78%が特に好ましい。
PVB及びその誘導体の分子量としては、彫刻感度と皮膜性のバランスを保つ観点で、重量平均分子量として5000〜800000であることが好ましく、より好ましくは8000〜500000である。更に、彫刻カスのリンス性向上の観点からは、50000〜300000であることが特に好ましい。
PVBを(A)バインダーとして用いて、本発明の樹脂組成物を適用してなる、レリーフ印刷版原版におけるレリーフ形成層等を製膜する際には、溶媒に溶かした溶液をキャストし乾燥させる方法が、膜の表面の平滑性の観点で好ましい。
ポリエチレングリコールやピペラジンのような極性基を主鎖に導入したポリアミドは、その極性基の働きでアルコール可溶性が向上するので本発明に用いる(A)バインダーとして好適である。
ε−カプロラクタム及び/又はアジピン酸を、両末端アミン変性のポリエチレングリコールと反応させることでポリエチレングリコール単位(ポリエチレンオキシドセグメントとも呼ぶ)を有するポリアミドが得られ、これをピペラジンと反応させることでピペラジン骨格を有するポリアミドが得られる。
このようなポリアミドとして、具体的には、メトキシメチル化ポリアミド、メトキシメチル化ナイロンが好ましい。このようなポリアミド誘導体の市販品としては、ナガセケムテック製のメトキシメチル化ポリアミド「トレジン」シリーズが好ましい。特に好ましくはナガセケムテック製のメトキシメチル化ポリアミド「トレジンF−30K」、「トレジンEF−30T」である。
通常のセルロースは水やアルコールなどには非常に溶けにくいが、グルコピラノース単位の残存OHを特定の官能基で修飾することにより水或いは溶剤溶解性を制御可能であり、このようにして水に不溶ではあるが、炭素数1〜4のアルコールには可溶としたセルロース誘導体もまた本発明に用いる(A)バインダーとして好適である。
本発明に適するものとしては、例えば、エチルセルロースやメチルセルロースのようなアルキルセルロース、ヒドロキシエチレンセルロース、ヒドロキシプロピレンセルロース、セルロースアセテートブチレート等であって、水不溶性且つ低級アルコール可溶性の物性を有するものが挙げられる。
更に、具体的な例として、信越化学製のメトローズシリーズが挙げられる。このシリーズの中身は、セルロースの水酸基の水素原子の一部をメチル基(−CH3)、ヒドロキシプロピル基(−CH2CHOHCH3)、或いはヒドロキシエチル基(−CH2CH2OH)で置換したものである。
また、本発明においては、低級アルコールへの溶解性と彫刻感度の点で特に好ましいのは、アルキルセルロースであり、中でもエチルセルロースとメチルセルロースである。
本発明に用いうる水不溶性、且つ、アルコール可溶性のエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を、変性剤などで高分子量化、高機能化した変性エポキシ樹脂などが、水不溶性の観点から好ましい。特に好ましくは、変性エポキシ樹脂である。
変性エポキシ樹脂の好ましい具体例としては、荒川化学工業製の「アラキード9201N」、「アラキード9203N」、「アラキード9205」、「アラキード9208」、「KA−1439A」、「モデピクス401」、「モデピクス402」が挙げられる。
本発明における(A)バインダーとしては、水不溶性、且つ、低級アルコール可溶性のアクリル樹脂を用いることもできる。
このようなアクリル樹脂としては、公知のアクリル単量体を用いて得るアクリル樹脂であって上記物性条件を満たすように溶解性を制御したものを用いることができる。アクリル樹脂の合成に用いられるアクリル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類(メタ)アクリルアミド類が好ましい。このような単量体の具体例としては、例えば以下に示す化合物が挙げられる。
(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−nブチルアクリル(メタ)アミド、N−tertブチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルフォリンなどが挙げられる。
(A)バインダーとして用いられるアクリル樹脂の合成に用いうるアクリル単量体の具体例としては、以下に示す例示モノマー(AM−1)〜(AM−22)のような化合物が挙げられる。
(A)バインダーとしては、水不溶性、且つ、低級アルコール可溶性のポリウレタン樹脂を用いることもできる。
(A)バインダーとして用いうるポリウレタン樹脂は、下記一般式(U−1)で表されるジイソシアネート化合物の少なくとも1種と、下記一般式(U−2)で表されるジオール化合物の少なくとも1種と、の反応生成物である構造単位を基本骨格とするポリウレタン樹脂である。
HO−Y0−OH (U−2)
一般式(U−1)及び(U−2)中、X0、Y0は、それぞれ独立に、2価の有機残基を表す。但し、X0及びY0で表される有機残基の少なくとも一方は、NCO基或いはOH基と芳香族基で結合している。
上記一般式(U−1)で表されるジイソシアネート化合物としては、X0で表される有機残基がNCO基に直接結合した芳香族基を構造内に含むことが好ましい。
好ましいジイソシアネート化合物は、下記一般式(U−3)で表されるジイソシアネート化合物である。
即ち、2,4−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートの二量体、2,6−トリレンジレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート等のような芳香族ジイソシアネート化合物が挙げられる。
特に熱分解性の観点で、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネートが好ましい。
併用しうるジイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等のような脂肪族ジイソシアネート化合物;イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4(又は2,6)ジイソシアネート、1,3−(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等のような脂環族ジイソシアネート化合物;1,3−ブチレングリコール1モルとトリレンジイソシアネート2モルとの付加体等のようなジオールとジイソシアネートとの反応物であるジイソシアネート化合物;等が挙げられる。
また、トリイソシアネートの3つのNCOのうちの1つに単官能アルコールを付加させて得たジイソシアネートを用いることもできる。
上記一般式(U−2)で表されるジオール化合物としては、特にY0で表される有機残基がOH基に直接結合した芳香族基を構造内に含むことが好ましい。
より具体的には、以下の一般式(A−1)〜(A−3)で表されるジオール化合物が好ましい。
HO−(Ar1−Ar2)m−OH 一般式(A−2)
HO−Ar1−X−Ar2−OH 一般式(A−3)
原料入手のしやすさの観点から、好ましくは、ベンゼン環とナフタレン環である。膜形成性も考慮するとベンゼン環が特に好ましい。
Xは2価の有機残基である。mは膜形成性の観点から1〜3が好ましい。特に好ましくは1である。
一般式(A−2)で表されるジオール化合物の好ましい例としては、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ヒドロキシビナフチルがある。
一般式(A−3)で表されるジオール化合物の好ましい例としては、ビスフェノールA、4,4’−ビス(ヒドロキシフェニル)メタンがある。
併用しうるジオール化合物としては、例えば、ポリエーテルジオール化合物、ポリエステルジオール化合物、ポリカーボネートジオール化合物を挙げることできる。
即ち、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエチレングリコール、オクタエチレングリコール、ジ−1,2−プロピレングリコール、トリ−1,2−プロピレングリコール、テトラ−1,2−プロピレングリコール、ヘキサ−1,2−プロピレングリコール、ジ−1,3−プロピレングリコール、トリ−1,3−プロピレングリコール、テトラ−1,3−プロピレングリコール、ジ−1,3−ブチレングリコール、トリ−1,3−ブチレングリコール、ヘキサ−1,3−ブチレングリコール、重量平均分子量1000のポリエチレングリコール、重量平均分子量1500のポリエチレングリコール、重量平均分子量2000のポリエチレングリコール、重量平均分子量3000のポリエチレングリコール、重量平均分子量7500のポリエチレングリコール、重量平均分子量400のポリプロピレングリコール、重量平均分子量700のポリプロピレングリコール、重量平均分子量1000のポリプロピレングリコール、重量平均分子量2000のポリプロピレングリコール、重量平均分子量3000のポリプロピレングリコール、重量平均分子量4000のポリプロピレングリコール等である。
即ち、三洋化成工業(株)製、(商品名)PTMG650、PTMG1000、PTMG2000、PTMG3000等である。
即ち、三洋化成工業(株)製、(商品名)ニューポールPE−61、ニューポールPE−62、ニューポールPE−64、ニューポールPE−68、ニューポールPE−71、ニューポールPE−74、ニューポールPE−75、ニューポールPE−78、ニューポールPE−108、ニューポールPE−128、ニューポールPE−61等である。
即ち、三洋化成工業(株)製、(商品名)ニューポールBPE−20、ニューポールBPE−20F、ニューポールBPE−20NK、ニューポールBPE−20T、ニューポールBPE−20G、ニューポールBPE−40、ニューポールBPE−60、ニューポールBPE−100、ニューポールBPE−180、ニューポールBPE−2P、ニューポールBPE−23P、ニューポールBPE−3P、ニューポールBPE−5P等である。
即ち、三洋化成工業(株)製、(商品名)ニューポール50HB−100、ニューポール50HB−260、ニューポール50HB−400、ニューポール50HB−660、ニューポール50HB−2000、ニューポール50HB−5100等である。
即ち、例えば、下記(U−12)、又は(U−13)で表される化合物が用いられる。
HO−L8−CO−O−L7−OH (U−13)
上記式(U−12)、(U−13)中、L7、L8は、同一でも相違していてもよく、それぞれ置換基(例えば、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子(−F、−Cl、−Br、−I)など)を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、又は複素環基を表す。必要に応じ、L7、L8中にイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えば、カルボニル基、エステル基、ウレタン基、アミド基、ウレイド基などを有していてもよい。なお、L7及びL8で環を形成してもよい。
カルボキシル基を有するジオール化合物としては、例えば、以下の式(U−14)〜(U−16)に示すものが含まれる。
Arは置換基を有していてもよい三価の芳香族炭化水素基を表し、好ましくは炭素数6〜15個の芳香族基を表す。
即ち、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(2−ヒドロキシエチル)プロピオン酸、2,2−ビス(3−ヒドロキシプロピル)プロピオン酸、ビス(ヒドロキシメチル)酢酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、酒石酸、N,N−ジヒドロキシエチルグリシン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−カルボキシ−プロピオンアミド等である。
即ち、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−べンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−スルホニルジフタル酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、4,4’−[3,3’−(アルキルホスホリルジフェニレン)−ビス(イミノカルボニル)]ジフタル酸二無水物、ヒドロキノンジアセテートとトリメット酸無水物の付加体、ジアセチルジアミンとトリメット酸無水物の付加体などの芳香族テトラカルボン酸二無水物;5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセシ−1,2−ジカルボン酸無水物(大日本インキ化学工業(株)製、エピクロンB−4400)、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物などの脂環族テトラカルボン酸二無水物;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ペンタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
a)テトラカルボン酸二無水物をジオール化合物で開環させて得られたアルコール末端の化合物と、ジイソシアネート化合物と、を反応させる方法。
b)ジイソシアネート化合物をジオール化合物過剰の条件下で反応させ得られたアルコール末端のウレタン化合物と、テトラカルボン酸二無水物と、を反応させる方法。
即ち、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−ビス−β−ヒドロキシエトキシシクロヘキサン、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体、ビスフェノールFのエチレンオキサイド付加体、ビスフェノールFのプロピレンオキサイド付加体、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体、水添ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体、ヒドロキノンジヒドロキシエチルエーテル、p−キシリレングリコール、ジヒドロキシエチルスルホン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−2,4−トリレンジカルバメート、2,4−トリレン−ビス(2−ヒドロキシエチルカルバミド)、ビス(2−ヒドロキシエチル)−m−キシリレンジカルバメート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソフタレート等が挙げられる。
本発明において(A)バインダーとして用いられるポリウレタン樹脂は、官能基として、エーテル結合、アミド結合、ウレア結合、エステル結合、ウレタン結合、ビウレット結合、及びアロファネート結合を少なくとも一つ含んでなる有機基を含んでいてもよい。
ここで、導入し得る置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられる。
導入し得る置換基としては、一般式(E1)と同様のものが例示される。また、Yは、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R12)−を表す。R12は、一般式(E1)のR12の場合と同義であり、好ましい例も同様である。
ここで、導入し得る置換基としては、一般式(E1)と同様のものが例示される。また、Zは、酸素原子、硫黄原子、−N(R13)−、又は置換基を有してもよいフェニレン基を表す。R13としては、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、中でも、メチル基、エチル基、イソプロピル基が、ラジカル反応性が高いことから好ましい。
なお、この一般式(G)におけるR1〜R3及びXは、前記一般式(E1)におけるR1〜R3及びXと同義であり、好ましい態様もまた同様である。
Aで表される2価の有機残基としては、炭素原子及び水素原子を含み、更に、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子から選択される原子を必要に応じて組み合わせて構成される。好ましくは、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−C(=O)−O−、−NH−C(=O)−NH−、アルキレン基、アリーレン基、又は、これらを組み合わせて構成される基に、更に、−O−、−S−、又は−NH−を適宜組み合わせて構成される2価の有機連結基である。この2価の有機連結基に含まれる連結鎖を構成する原子の数は、60以内が適当であり、皮膜性を良好に保つ観点から、50以内が好ましく、40以内がより好ましい。。
つまり、本発明に好適なポリウレタン樹脂としては、側鎖以外に主鎖末端にもエチレン性不飽和基を有するものも好ましい。
ポリウレタン樹脂の主鎖末端にエチレン性不飽和結合を導入する方法としては、以下に示す方法がある。
即ち、ポリウレタン樹脂の合成の際、得られた中間生成物の主鎖末端に残存イソシアネート基を、アルコール類又はアミン類等で処理する工程において、エチレン性不飽和基を有するアルコール類又はアミン類等を用いればよい。
即ち、cis−2−ブテン−1,4−ジオール、trans−2−ブテン−1,4−ジオール、ポリブタジエンジオール等である。
導入されるエチレン性不飽和結合基としては、架橋硬化膜形成性の観点から、メタクリロイル基、アクリロイル基、スチリル基が好ましく、より好ましくはメタクリロイル基、アクリロイル基である。架橋硬化膜の形成性と生保存性との両立の観点からは、メタクリロイル基が更に好ましい。
中でも、ビスマス触媒を用いた合成である方が、従来よく用いられてきたスズ触媒よりも環境及び重合速度の観点で好ましい。このようなビスマス触媒としては、ネオスタンU−600(商品名)(日東化成(株)製)が特に好ましい。
また、このようなポリウレタン樹脂を(A)バインダーとして用い、更に、後述する併用バインダーポリマーと共存させた系では、特にこれらのポリマーが均一混合せず、相分離させた状態においても、レーザー照射による発熱により、まず、このポリウレタン樹脂が分解することになり、その結果、ポリウレタン樹脂が熱分解して気化する際に発生するガス(窒素など)が、共存する併用バインダーポリマーの気化を援助、促進する。このため、(A)バインダーとしてこのようなポリウレタン樹脂を用いたレリーフ形成層は、併用バインダーポリマーが共存する場合においても、特に、レーザー分解性が向上し、高感度化が達成されるという利点をも有することになる。
本発明の樹脂組成物における好適なバインダーポリマーの一つである(B)バインダーは、ヒドロキシルカルボン酸ユニットからなるポリエステル及びその誘導体、ポリカプロラクトン(PCL)及びその誘導体、ポリ(ブチレンコハク酸)及びその誘導体から成る群から選択される少なくとも1種のポリエステルである。(B)バインダーは、各々単独又は組合せて本発明の樹脂組成物に含有することができる。
(B)バインダーは、熱分解した際(;即ち本願でいうところのレーザー彫刻に相当)に300℃前後と比較的低温で主鎖の一部が熱分解し、そこを起点として解重合反応(;重合反応の逆反応で、ポリマーが原料の低分子モノマー単位まで熱解裂する)する特性を有する。
本発明の樹脂組成物に対して実施するレーザー彫刻(特に近赤外レーザーの場合)は、(1)700〜1300nmに極大吸収波長を有する化合物による光吸収⇒(2)700〜1300nmに極大吸収波長を有する化合物による光熱変換⇒(3)700〜1300nmに極大吸収波長を有する化合物から近傍に存在するバインダーへの熱伝達⇒(4)バインダーの熱分解⇒(5)分解したバインダーの消散、という5つの過程から構成されると考えられる。
(B)バインダーは、上記の低温熱分解特性と解重合特性を有しているので、低温熱分解特性によって上記(4)が促進され、さらに解重合により生じた低分子モノマー(;250℃未満で揮発するものが多い)が即座に揮発するので上記(5)が非常に効率的に起こる、この2つの効果によってレーザー彫刻感度が非常に高くなっているものと考えられる。
(B)バインダーのPHAとしては、下記一般式(a)で表される繰り返しモノマー単位を有するものが好ましい。
なお、(B)バインダーとして、前記一般式(a)で表される繰り返しモノマー単位と共重合可能な、コモノマーとして、後述の併用し得るポリエステルに用いられるモノマーとして挙げられるものを用いた共重合体を用いるることもできる。
ポリ乳酸及び乳酸−グリコール酸の共重合体としては乳酸/グリコール酸比率(モル
比)が100/0〜30/70,より好ましくは100/0〜40/60で,分子量が1,000〜100,000,より好ましくは2,000〜80,000程度のものが挙げられる。
ポリ乳酸及び乳酸−グリコール酸の共重合体のうち、乳酸−グリコール酸の共重合体よりも皮膜性を強固に保つ観点でポリ乳酸の方が好ましい。
(B)バインダーとして用いうるポリカプロラクトン(PCL)(一般式(a)において、R11はH、n=4)は、ホモでも他のラクトンとの組み合わせでもよく、上記一般式(a)と構造上同じポリエステルとなるもの等が挙げられる。
(B)バインダーとして用いうるポリ(ブチレンコハク酸)は、ヒドロキシルカルボン酸ユニットのみからなるポリエステルではなく、1,4−ブタンジオールとコハク酸から合成されるポリマーであるが、ヒドロキシルカルボン酸を併用してもよい。
なお、上記(B)バインダーとして記載したポリエステルは、共重合可能な、コモノマーとして、後述の併用し得るポリエステルに用いられるモノマーとして挙げられるものを用いた共重合体を用いることもできる。
このようなポリエステルは、膜の耐水性や柔軟性を調節する等の目的で、モノマーとして、脂肪族(環状脂肪族を含む)グリコール類、芳香族ジカルボン酸又はその酸無水物、脂肪族ジカルボン酸又はその酸無水物(以下、脂肪族ジカルボン酸と略す)からなるポリエステルが挙げられる。
また、必要に応じて、第3成分モノマーとして、3官能又は4官能の多価アルコール、及び多価カルボン酸(又はその酸無水物)から選ばれる少なくとも1種の多官能成分を含んでいてもよい。
上記グリコール類としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオールならびにそれらの混合物等が好んで用いられるが、これらに限定されるもまではない。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸ならびにそれらの混合物などが好んで用いられるが、これらに限定されるものではない。
上記脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、無水コハク酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ならびにそれらの混合物などが好んで用いられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の樹脂組成物には、前記(A)バインダー及び(B)バインダーに加え、(A)バインダー及び(B)バインダーに包含されない公知のバインダーポリマーを併用することができる。
以下、このような併用するバインダーポリマーを、「その他のバインダー」と称して説明する。
即ち、その他のバインダーは、前記(A)バインダー及び(B)バインダーと併用することで、レリーフ形成層等の樹脂造形物に所望の物性を与える目的で使用される。
例えば、加熱や露光により硬化させ、強度を向上させる目的に使用する場合には、分子内に炭素−炭素不飽和結合を有するポリマーが選択される。柔軟で可撓性を有する膜形成が目的とされる場合には、軟質樹脂や熱可塑性エラストマーが選択される。
レリーフ形成層を形成するために用いられるレリーフ形成層用塗布液の調製の容易性や、得られたレリーフ印刷版における油性インクに対する耐性向上の観点からは、親水性ポリマーや新アルコール性ポリマーを使用することが好ましい。
また、レーザー彫刻感度の観点からは、露光或いは加熱により熱分解する部分構造を含むポリマーが好ましい。
このように、本発明の樹脂組成物の適用用途に応じた物性を考慮し、目的に応じたバインダーポリマーを選択し、前記(A)バインダー及び(B)バインダーに加えて、その他のバインダーポリマーの1種、或いは、2種以上を組み合わせて用いることができる。
その他のバインダーとしては、(A)バインダー及び(B)バインダーに包含されない分子内に炭素−炭素不飽和結合を有するポリマーを好適に用いることができる。該炭素−炭素不飽和結合は、ポリマーの主鎖、側鎖のいずれかに存在すればよく、双方に存在していてもよい。以下、炭素−炭素不飽和結合を単に「不飽和結合」と称することがあり、また、主鎖或いは側鎖末端に存残する炭素−炭素不飽和結合を「重合性基」と称することがある。
炭素−炭素不飽和結合をポリマーの主鎖に有する場合、ポリマー主鎖の片末端、両末端、主鎖中のいずれに有してもよい。また、炭素−炭素不飽和結合をポリマーの側鎖に有する場合、該不飽和結合は主鎖構造に直接結合してもよく、適切な連結基を介して結合していてもよい。
これらを併用する場合、不飽和結合を有さないポリマーは、不飽和結合をもつポリマー100質量部に対して、一般的に1質量部〜90質量部、好ましくは5質量部〜80質量部の割合で用いることができる。
なお、後述するように、他の重合性化合物を併用する場合など、バンダーポリマーに硬化性を必要としない態様では、バインダーポリマーに不飽和結合は必ずしも必須ではなく、不飽和結合を有しない各種ポリマーのみをバインダーポリマーとして用いることもできる。そのような場合の不飽和結合を有しないポリマーとしては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、アクリル樹脂、アセタール樹脂、ポリカーボネート、などが好ましく挙げられる。
レーザー彫刻感度の観点から好ましく用いられるバインダーポリマーとしては、露光、加熱などのエネルギー付与により液状化する熱可塑性ポリマー、エネルギー付与により分解する部分構造をもつポリマー(分解性を有するポリマー)が挙げられる。
なお、このようなその他のバインダーもまた、(A)バインダーと同様の理由から、ガラス転移温度(Tg)が20℃以上200℃以下のものを選択することが好ましく、より好ましくはTgが20℃以上170℃以下、特に好ましくはTgが25℃以上150℃以下の範囲のポリマーである。
また、分子鎖中に酸素原子を多数含有するポリマーが分解性の観点から好ましい。このような観点からは、カーボネート基、カルバメート基、メタクリル基をポリマー主鎖中に有する化合物が好適に挙げられる。
例えば、(ポリ)カーボネートジオールや(ポリ)カーボネートジカルボン酸を原料として合成したポリエステルやポリウレタン、(ポリ)カーボネートジアミンを原料として合成したポリアミドなどを熱分解性の良好なポリマーの例として挙げることができる。これらのポリマーは、主鎖、側鎖に重合性不飽和基を含有しているものであっても構わない。特に、水酸基、アミノ基、カルボキシル基等の反応性官能基を有する場合には、このような熱分解性ポリマーに対し、重合性不飽和基を導入することも容易である。
本発明に適用しうる熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ウレタン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー、シリコーン系熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。これらの熱可塑性エラストマーのレーザー彫刻感度を向上させる目的で、エラストマーの主鎖に、カルバモイル基、カーボネート基等の易分解性官能基を導入したものを用いることもできる。また、熱可塑性ポリマーと前記熱分解性ポリマーと混合して用いてもよい。
熱可塑性エラストマーは、常温ではゴム弾性を示す材料であり、分子構造としては、ポリエーテル或いはゴム分子のようなソフトセグメントと、常温付近では加硫ゴムと同じく塑性変形を防止するハードセグメントからなり、ハードセグメントとしては凍結相、結晶相、水素結合、イオン架橋など種々のタイプが存在する。このような熱可塑性エラストマーは、本発明の樹脂組成物を、例えば、フレキソ印刷版などの可撓性を必要に適用する場合に適用する際に好適である。
このように、熱可塑性エラストマーの併用は、樹脂組成物により形成される樹脂造形物に柔軟性を付与しうるため、本発明の樹脂組成物を適用したレリーフ印刷版原版をフレキソ印刷版に適用するのに有用であるが、その配合量は後述する配合比の中でも、特に(B)バインダーに起因する機能を損なわない範囲とすることが重要である。具体的には、(B)バインダーの総量に対して30重量%以下とすべきである。
本発明の樹脂組成物は、熱重合開始剤を含有する。
熱重合開始剤は当業者間で公知のものを制限なく使用することができる。具体的には、例えば、Bruce M. Monroeら著、Chemical Revue, 93, 435 (1993) や、R.S.Davidson著、Journal of Photochemistry and biology A:Chemistry,73.81 (1993); M.Tsunooka et al., Prog.Polym.Sci., 21, 1 (1996)等に記載されている熱重合開始剤を用いることができる。また、F.D.Saeva, Topics in Current Chemistry, 156, 59 (1990); G.G.Maslak, Topics in Current Chemistry, 168, 1 (1993); H.B.Shuster et al,JACS, 112,6329 (1990); I.D.F.Eaton et al, JACS, 102, 3298 (1980)等に記載されているような、酸化的若しくは還元的に結合解裂を生じる化合物群も知られる。
本発明に用いうるラジカル重合開始剤として好ましい(c)有機過酸化物としては、分子中に酸素−酸素結合を1個以上有する有機化合物のほとんど全てが含まれるが、その例としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(ターシャリイブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(ターシャリイブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(ターシャリイブチルパーオキシ)ブタン、ターシャリイブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジターシャリイブチルパーオキサイド、ターシャリイブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ビス(ターシャリイブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリイブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−キサノイルパーオキサイド、過酸化こはく酸、過酸化ベンゾイル、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、メタ−トルオイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ターシャリイブチルパーオキシアセテート、ターシャリイブチルパーオキシピバレート、ターシャリイブチルパーオキシネオデカノエート、ターシャリイブチルパーオキシオクタノエート、ターシャリイブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、ターシャリイブチルパーオキシラウレート、ターシャリーカーボネート、3,3’4,4’−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、カルボニルジ(t−ブチルパーオキシ二水素二フタレート)、カルボニルジ(t−ヘキシルパーオキシ二水素二フタレート)等がある。
これは、有機過酸化物を用いて樹脂組成物を熱架橋により硬化させる際、ラジカル発生に関与しない未反応の有機過酸化物が残存するが、残存した有機過酸化物は、自己反応性の添加剤として働き、レーザー彫刻時に発熱的に分解する。その結果、照射されたレーザーエネルギーに発熱分が加算されるので彫刻感度が高くなったと推定される。
なお、光熱変換剤の説明において詳述するが、この効果は、光熱変換剤としてカーボンブラックを用いる場合に著しい。これは、カーボンブラックから発生した熱が(c)有機過酸化物にも伝達される結果、カーボンブラックだけでなく有機過酸化物からも発熱するため、バインダーポリマー等の分解に使用されるべき熱エネルギーの発生が相乗的に生じるためと考えている。
本発明に用いうるラジカル重合開始剤として好ましい(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、特公昭45−37377号、特公昭44−86516号記載のロフィンダイマー類、例えば2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o,o’−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
本発明に用いうるラジカル重合開始剤として好ましい(l)アゾ系化合物としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスプロピオニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドオキシム)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等を挙げることができる。
熱重合開始剤は単独若しくは2種以上の併用によって好適に用いられる。
本発の樹脂組成物は、重合性化合物を含有する。
本発明において重合性化合物とは、重合開始剤に由来して発生した開始ラジカルによってラジカル重合可能な炭素−炭素不飽和結合を少なくとも1つ以上有する化合物を意味する。以下に、重合性化合物として付加重合性化合物を用いた場合を例に挙げ、より詳しく述べる。
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
上記エステルモノマーは混合物としても使用することができる。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(B)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
(ただし、R1及びR2は、H又はCH3を示す。)
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号各公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号各公報記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。
また、これらは単独で用いても2種以上併用してもよい。重合性化合物を用いることにより、膜物性、例えば、脆性、柔軟性などを調整することもできる。
S原子を含む重合性化合物の例としては、以下の化合物を挙げることができる。
以下、これらの各成分について詳述する。
本発明の樹脂組成物は、700nm〜1300nmの光を吸収可能な光熱変換剤を含有することが好ましい。
このような光熱変換剤を含有することで、本発明の樹脂組成物に対して、例えば、700nm〜1300nmの赤外線を発するレーザー(YAGレーザー、半導体レーザー、ファイバーレーザー、面発光レーザー等)を光源として用いてレーザー彫刻を行う場合、その際の彫刻感度を高めることができる。即ち、このような光熱変換剤は、レーザー光を吸収し、発熱して樹脂組成物の熱分解を促進させることができる。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体、インドレニンシアニン色素が挙げられる。更に、シアニン色素やインドレニンシアニン色素が好ましい。
本発明において、好適に用いることのできるシアニン色素の具体例としては、特開2001−133969号の段落番号[0017]〜[0019]、特開2002−40638号の段落番号[0012]〜[0038]、特開2002−23360号の段落番号[0012]〜[0023]に記載されたものを挙げることができる。
下記一般式(d)又は一般式(e)で表される色素は光熱変換性の観点から好ましい。
上記のような理由から、カーボンブラックを用いた場合に、特に高感度になるものと考えられる。
また、(B)バインダーポリマーのガラス転移温度が室温(20℃)以上の場合には、前述のように有機過酸化物の分解に由来して発生した熱やカーボンブラックからの発熱が、(B)バインダーポリマー効率よく伝達され、この熱が、(B)バインダーポリマーの熱分解に有効に利用されるため、このような効果を奏するものと推定される。
本発明の樹脂組成物は、(F)可塑剤を含有することが好ましい。
可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、メチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等がある。また、可塑剤として、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール(モノオール型やジオール型)、ポリプロピレングリコール(モノオール型やジオール型)がある。
−ニトロセルロース−
本発明の樹脂組成物には、彫刻感度向上のための添加剤として、ニトロセルロースを加えることがより好ましい。ニトロセルロースは自己反応性化合物であるため、レーザー彫刻時、自身が発熱し、共存するバインダーポリマーの熱分解をアシストする。その結果、彫刻感度が向上すると推定される。
本発明の樹脂組成物には、彫刻感度向上のための添加剤として、熱伝達を補助する目的で、高熱伝導性物質を加えることがより好ましい。
高熱伝導性物質としては、例えば、金属粒子等の無機化合物、導電性ポリマー等の有機化合物が挙げられる。
金属粒子としては、粒径がマイクロメートルオーダーから数ナノメートルオーダーの金微粒子、銀微粒子、銅微粒子が好ましい。
導電性ポリマーとしては、一般に知られる導電性ポリマーを好適に用いることができる。導電性ポリマーの中でも、特に共役ポリマーが好ましく、具体的には、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリイソチアナフテン、ポリピロール、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリアセチレン及びこれらの誘導体が好ましく、高感度であるという点でポリアニリン、ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェン及びこれらの誘導体が更に好ましく、特に好ましくはポリアニリンである。ポリアニリンを用いる場合、エメラルディンベース又はエメラルディン塩のどちらの形態で添加してもよいが、熱伝達効率が高い点でエメラルディン塩であることが好ましい。
共増感剤を用いることで、樹脂組成物を硬化させる際の感度を更に向上させることができる。その作用機構は、明確ではないが、多くは次のような化学プロセスに基づくものと考えられる。即ち、重合開始剤により開始される反応とそれに引き続く付加重合反応の過程で生じる様々な中間活性種(ラジカル、カチオン)と、共増感剤が反応し、新たな活性ラジカルを生成するものと推定される。これらは、大きくは、(a)還元されて活性ラジカルを生成しうるもの、(b)酸化されて活性ラジカルを生成しうるもの、(c)活性の低いラジカルと反応し、より活性の高いラジカルに変換するか、若しくは連鎖移動剤として作用するものに分類できるが、個々の化合物がこれらのどれに属するかに関しては通説がない場合も多い。
本発明に適用しうる共増感剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。
炭素−ハロゲン結合を有する化合物:還元的に炭素−ハロゲン結合が解裂して、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、トリハロメチル−s−トリアジン類や、トリハロメチルオキサジアゾール類等が好適に使用できる。
酸素−酸素結合を有する化合物:還元的に酸素−酸素結合が解裂して、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、有機過酸化物類等が好適に使用される。
アルキルアート錯体:酸化的に炭素−ヘテロ結合が解裂して、活性ラジカルを生成すると考えられる。具体的には例えば、トリアリールアルキルボレート類が好適に使用される。
アルキルアミン化合物:酸化により窒素に隣接した炭素上のC−X結合が解裂して、活性ラジカルを生成するものと考えられる。Xとしては、水素原子、カルボキシル基、トリメチルシリル基、ベンジル基等が好適である。具体的には、例えば、エタノールアミン類、N−フェニルグリシン類、N−トリメチルシリルメチルアニリン類等が挙げられる。
スルフィン酸塩類:還元的に活性ラジカルを生成しうる。具体的は、アリールスルフィン駿ナトリウム等を挙げることができる。
このような化合物としては、例えば、分子内にSH、PH、SiH、GeHを有する化合物群が用いられる。これらは、低活性のラジカル種に水素供与して、ラジカルを生成するか、若しくは、酸化された後、脱プロトンする事によりラジカルを生成しうる。具体的には、例えば、2−メルカプトベンズチアゾール類、2−メルカプトベンゾオキサゾール類、2−メルカプトベンズイミダゾール類等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物中における共増感剤の含有量は、重合性化合物100質量部に対し、0.05質量部〜100質量部が好ましく、より好ましくは1質量部〜80質量部、更に好ましくは3質量部〜50質量部の範囲である。
本発明においては、組成物の製造中或いは保存中において重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合禁止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。
また必要に応じて、酸素による重合阻害を禁止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、支持体等への塗布後の乾燥の過程でその層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、本発明の樹脂組成物中0.5質量%〜10質量%が好ましい。
更に、本発明の樹脂組成物には、着色を目的として染料若しくは顔料等の着色剤を添加してもよい。これにより、本発明の樹脂組成物をレリーフ印刷板原版に適用した場合などにおいて、画像部の視認性や、画像濃度測定機適性といった性質を向上させることができる。
着色剤としては、特に顔料の使用が好ましい。具体例としては、例えば、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、エチルバイオレット、クリスタルバイオレット、アゾ系染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料などの染料がある。
着色剤の添加量は本発明の樹脂組成物に対し約0.5質量%〜約5質量%が好ましい。
更に、本発明の樹脂組成物により形成されたの硬化物の物性を改良するために充填剤等の公知の添加剤を加えてもよい。
本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版は、上述した本発明の樹脂組成物を熱架橋して形成されたレリーフ形成層を有する。該レリーフ形成層は、支持体上に設けられることが好ましい。以下、本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版を、単に、レリーフ印刷版原版と称して説明する場合がある。
また、本発明のレリーフ印刷版原版は、製版後の版面における彫刻カスの除去が容易であるという優れた効果を奏する。
さらに、本発明におけるレリーフ形成層は、熱による架橋処理を行った硬質のレリーフ形成層であることから、彫刻によりシャープな形状の凹凸を形成することができる。
レリーフ形成層は、本発明の樹脂組成物を熱架橋して形成された層である。
本発明のレリーフ印刷版原版からレリーフ印刷版を作製する態様としては、本発明の樹脂組成物を熱架橋して形成されたレリーフ形成層を有するレリーフ印刷版原版を、レーザー彫刻することによりレリーフ層を形成してレリーフ印刷版を作製する。本発明におけるレリーフ形成層は熱架橋されていることから、印刷時におけるレリーフ層の摩耗を防ぐことができ、また、レーザー彫刻後にシャープな形状のレリーフ層を有するレリーフ印刷版を得ることができる。
以下、主としてレリーフ形成層をシート状にした場合を例に挙げて説明する。
レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版に使用しうる支持体について説明する。
レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版に支持体に使用する素材は特に限定されないが、寸法安定性の高いものが好ましく使用され、例えば、スチール、ステンレス、アルミニウムなどの金属、ポリエステル(例えばPET、PBT、PAN)やポリ塩化ビニルなどのプラスチック樹脂、スチレン−ブタジエンゴムなどの合成ゴム、ガラスファイバーで補強されたプラスチック樹脂(エポキシ樹脂やフェノール樹脂など)が挙げられる。支持体としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムやスチール基板が好ましく用いられる。支持体の形態は、レリーフ形成層がシート状であるかスリーブ状であるかによって決定される。
レリーフ形成層をスリーブ状とした場合の好ましい支持体については以下に詳述する。
レリーフ形成層と支持体の間には、両層間の接着力を強化する目的で接着層を設けてもよい。
接着層に使用しうる材料は、熱架橋によりレリーフ形成層が形成された後において接着力を強固にするものであればよい。ここで、接着力とは支持体/接着層間及び接着層/レリーフ形成層間の接着力の両者を意味する。
接着層/レリーフ形成層の接着力は、接着層/レリーフ形成層から接着層を400mm/分の速度で剥離する際、サンプル1cm幅当たりの剥離力が1.0N/cm以上又は剥離不能であることが好ましく、3.0N/cm以上又は剥離不能であることがより好ましい。
接着層に使用しうる材料(接着剤)としては、例えば、I.Skeist編、「Handbook of Adhesives」、第2版(1977)に記載のものを用いることができる。
レリーフ形成層は、レーザー彫刻後レリーフが造形される部分(レリーフ層)となり、そのレリーフ層表面はインキ着肉部として機能する。架橋後のレリーフ形成層は架橋により強化されているので、レリーフ形成層表面に印刷に影響を及ぼすほどの傷や凹みが発生することはほとんどない。しかし、架橋前のレリーフ形成層は強度が不足している場合が多く、表面に傷や凹みが入りやすい。かかる観点からは、レリーフ形成層表面への傷・凹み防止の目的で、レリーフ形成層表面に保護フィルムを設けてもよい。
レリーフ形成層上に保護フィルムを設ける場合、保護フィルムは剥離可能でなければならない。
スリップコート層に使用される材料は、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、部分鹸化ポリビニルアルコール、ヒドロシキアルキルセルロース、アルキルセルロース、ポリアミド樹脂など、水に溶解又は分散可能で、粘着性の少ない樹脂を主成分とすることが好ましい。これらの中で、粘着性の面から、鹸化度60〜99モル%の部分鹸化ポリビニルアルコール、アルキル基の炭素数が1〜5のヒドロキシアルキルセルロース及びアルキルセルロースが特に好ましく用いられる。
次に、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版の作製方法について説明する。
レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版におけるレリーフ形成層の形成は、特に限定されるものではないが、例えば、レリーフ形成層用塗布液を調製し、例えば、このレリーフ形成層用塗布液から溶剤を除去した後に、支持体上に溶融押し出しする方法、或いは、レリーフ形成層用塗布液を、支持体上に流延し、これをオーブン中で乾燥して塗布液から溶媒を除去する方法により、未架橋のレリーフ形成層を形成し、該未架橋のレリーフ形成層に対して、熱架橋処理を行うことにより形成されることが好ましい。
その後、必要に応じてレリーフ形成層の上に保護フィルムをラミネートしてもよい。ラミネートは、加熱したカレンダーロールなどで保護フィルムとレリーフ形成層を圧着することや、表面に少量の溶媒を含浸させたレリーフ形成層に保護フィルムを密着させることよって行うことができる。
保護フィルムを用いる場合には、先ず保護フィルム上にレリーフ形成層を積層し、次いで支持体をラミネートする方法を採ってもよい。
接着層を設ける場合は、接着層を塗布した支持体を用いることで対応できる。スリップコート層を設ける場合は、スリップコート層を塗布した保護フィルムを用いることで対応できる。
レリーフ形成層をスリーブ状とする場合、当初からレリーフ形成層自体を円筒状に成形してもよく、また、まずシート状に成型したのち、円筒状支持体上に固定することで円筒状とすることもできる。円筒状支持体への固定方法には特に制限はなく、例えば、両面に接着層、粘着層などが形成された粘着テープによる固定、或いは、接着剤層を介する固定などを行うことができる。
また、支持体とレリーフ形成層とを接着剤層を介して固定化する場合の接着剤層は、公知の接着剤を用いて形成することができる。レリーフ形成層を円筒形支持体に固定化する際に使用しうる接着剤としては、例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム、二トリルゴムなどのゴム系接着剤、シリル基を含有するポリウレタン樹脂やシリコーン樹脂などの空気中の湿気による硬化する接着剤等を挙げることができる。
円筒状支持体の厚みは目的に応じて任意に選択されるが、一般的には、印刷時の圧力で破損しない強度であれば、厚み0.1mm以上であればよく、金属スリーブや硬質のプラスチックスリーブなどでは、5mm以上のものも使用でき、回転軸に固定化された中空ではない円筒形支持体も用いることができる。
伸縮性を有するレリーフ形成層を効果的に固定化するという観点からは、6バール程度の圧縮空気圧で円筒状支持体の内径が膨張でき、当該圧縮空気圧が開放された後に元の内径に戻るような特性を有する支持体が好ましい。このように圧縮空気などによりその径を容易に調整しうる構造を有する支持体を用いることで、スリーブ状のレリーフ形成層に内部から応力を与えることができ、レリーフ形成層の巻き締まり特性が機能し、印刷時の応力に対しても、レリーフ層を安定に版胴上に固定することができるため、好ましい。
架橋処理における加熱温度は、重合開始剤の分解性や溶媒の沸点を考慮して任意に調整可能であるが、膜面状を均一にし、かつ乾燥を十分に行う点で、60〜160℃が好ましく、より好ましくは70〜150℃である。また、加熱時間としては、版材成分の熱安定性の点で10分〜24時間が好ましく、より好ましくは30分〜15時間、特に好ましくは1〜12時間である。
本発明のレリーフ印刷版原版を用いたレリーフ印刷版の製造方法は、レリーフ形成層をレーザー彫刻してレリーフ層を形成する工程(以下、彫刻工程と称する。)、を含むことが好ましい。本発明のレリーフ印刷版原版を用いて、このような製造方法により、支持体上にレリーフ層を有するレリーフ印刷版を製造することができる。
リンス工程: 彫刻後のレリーフ層表面を、水又は水を主成分とする液体で彫刻表面をリンスする工程。
乾燥工程: 彫刻されたレリーフ層を乾燥する工程。
後架橋工程: 彫刻後のレリーフ層にエネルギーを付与し、レリーフ層を更に架橋する工程。
具体的には、架橋されたレリーフ形成層に対して形成したい画像に対応したレーザー光を照射して彫刻を行うことによりレリーフ層を形成する。好ましくは、形成したい画像のデジタルデータを元にコンピューターでレーザーヘッドを制御し、レリーフ形成層に対して走査照射する工程が挙げられる。赤外線レーザーが照射されると、レリーフ形成層中の分子が分子振動し、熱が発生する。赤外線レーザーとして炭酸ガスレーザーやYAGレーザーのような高出力のレーザーを用いると、レーザー照射部分に大量の熱が発生し、レリーフ形成層中の分子は分子切断或いはイオン化されて選択的な除去、即ち彫刻がなされる。この時、レリーフ形成層中の光熱変換剤によっても露光領域が発熱するため、この光熱変換剤により発生した熱もまた、この除去性を促進する。
レーザー彫刻の利点は、彫刻深さを任意に設定できるため、構造を3次元的に制御することができる点である。例えば、微細な網点を印刷する部分は浅く或いはショルダーをつけて彫刻することで、印圧でレリーフが転倒しないようにすることができ、細かい抜き文字を印刷する溝の部分は深く彫刻することで、溝にインキが埋まりにくくなり、抜き文字つぶれを抑制することが可能となる。
中でも光熱変換剤の極大吸収波長に対応した赤外線レーザーで彫刻する場合に、前述の光熱変換剤からの発熱が効率よく行われるために、より高感度かつシャープなレリーフ層が得られる。
彫刻に用いられる赤外線レーザーとしては、生産性、コスト等の面から、炭酸ガスレーザー又は半導体レーザーが好ましく用いられ、中でも、以下に詳述するファイバー付き半導体赤外線レーザーが特に好ましく用いられる。
一般に、半導体レーザーは、CO2レーザーに比べレーザー発振が高効率且つ安価で小型化が可能である。また、小型であるためアレイ化が容易である。ビーム径の制御は、結像レンズ、特定の光ファイバーを用いて行われる。ファイバー付き半導体レーザーは、更に光ファイバーを取り付けることで効率よくレーザー光を出力できるため本発明における画像形成には有効である。更に、ファイバーの処理によりビーム形状を制御できる。例えば、ビームプロファイルはトップハット形状とすることができ安定に版面にエネルギーを与えることができる。半導体レーザーの詳細は、「レーザーハンドブック第2版」レーザー学会編、実用レーザー技術 電子通信学会 等に記載されている。
また、本発明のレリーフ印刷版原版を用いたレリーフ印刷版の製造方法に好適に使用しうるファイバー付き半導体レーザーを備えた製版装置は、本願出願人が提出した特願2008−15460号明細書、特願2008−58160号明細書に詳細に記載され、これを本発明に係るレリーフ印刷版の製版に使用することができる。
GaAsのバンドギャップが室温で860nmであるため、860nm未満の領域では、一般的に、半導体を構成する活性層の材料としてAlGaAs系の材料が用いられる。一方、バンドギャップ860nm以上の領域では、半導体を構成する活性層の材料としてInGaAs系の材料が用いられる。一般に、Alは酸化されやすいためInGaAs系材料を活性層に含む半導体レーザーの方が、AlGaAs系の材料を活性層に含むものよりも信頼性が高いため、これをバンドギャップ860nm〜1200nmの領域で用いることが望ましい。
本発明に使用しうるファイバー付き半導体レーザー記録装置10を備える製版装置11は、外周面に、本発明のレリーフ印刷版原版F(記録媒体)が装着されたドラム50を主走査方向に回転させると共に、レリーフ印刷版原版Fに彫刻(記録)すべき画像の画像データに応じた複数のレーザビーム同時に射出しつつ、所定ピッチで露光ヘッド30を主走査方向と直交する副走査方向に走査させることで、2次元画像をレリーフ印刷版原版Fに高速で彫刻(記録)する。また、狭い領域を彫刻(細線や網点などの精密彫刻)する場合などはレリーフ印刷版原版Fを浅彫りし、広い領域を彫刻する場合などはレリーフ印刷版原版Fを深彫りする。
前記ファイバー付き半導体レーザーではビーム形状を変化させることが可能であるため、本発明においては、結像位置(結像位置)Pは、露光面FAから内部側(レーザビームの進行方向側)の範囲とすることで、露光面(レリーフ形成層表面)FAのビーム径を10μm〜80μmの範囲に制御することが、効率のよい彫刻を行う、細線再現性が良好となる等の観点から望ましい。
具体的には、半導体レーザーの出力を変えて制御する方法、レーザー照射時間を変えて制御する方法がある。
彫刻表面にリンス工程を行った場合、彫刻されたレリーフ形成層を乾燥してリンス液を揮発させる乾燥工程を追加することが好ましい。
更に、必要に応じてレリーフ形成層を更に架橋させる後架橋工程(追加の架橋処理)を追加してもよい。後架橋工程を行うことにより、彫刻によって形成されたレリーフをより強固にすることができる。
レリーフ印刷版が有するレリーフ層の厚さは、耐磨耗性やインキ転移性のような種々の印刷適性を満たす観点からは、0.05mm以上10mm以下が好ましく、より好ましくは0.05mm以上7mm以下、特に好ましくは0.05mm以上3mm以下である。
レリーフ層のショアA硬度が50°以上であると、彫刻により形成された微細な網点が凸版印刷機の強い印圧を受けても倒れてつぶれることがなく、正常な印刷ができる。また、レリーフ層のショアA硬度が90°以下であると、印圧がキスタッチのフレキソ印刷でもベタ部での印刷かすれを防止することができる。
なお、本明細書におけるショアA硬度は、測定対象の表面に圧子(押針又はインデンタと呼ばれる)を押し込み変形させ、その変形量(押込み深さ)を測定して、数値化するデュロメータ(スプリング式ゴム硬度計)により測定した値である。
なお、実施例におけるポリマーの重量平均分子量(Mw)は、特に断らない限りにおいて、GPC法で測定した値を表示している。
1.レーザー彫刻用架橋性樹脂組成物の調製
撹拌羽及び冷却管をつけた3つ口フラスコ中に、(A)無機多孔質体として「サイリシア310P(富士シリシア化学(株)製)5質量部、(B)バインダーポリマーとして「デンカブチラール#3000−2」(電気化学工業(株)製、ポリビニルブチラール誘導体、Mw=1.9万)50質量部、(E)光熱変換剤としてケッチェンブラックEC600JD(カーボンブラック、ライオン(株)製)を1質量部、、溶媒としてエタノール47質量部を入れ、撹拌しながら70℃で120分間加熱しポリマーを溶解させた。その後、溶液を40℃にし、さらに(D)重合性化合物(多官能体)としてエチレン性不飽和モノマーであるM−1(下記構造)を15質量部、及び、重合性化合物(単官能体)としてブレンマーLMA(日油(株)製)33質量部、(C)熱重合開始剤としてパーブチルZ(日油(株)製)を1質量部添加して30分間撹拌し、流動性のあるレリーフ形成層用塗布液1(レーザー彫刻用樹脂組成物)を得た。
PET基板上に所定厚のスペーサー(枠)を設置し、上記より得られた架橋性レリーフ形成層用塗布液1をスペーサー(枠)から流出しない程度に静かに流延し、70℃のオーブン中で3時間乾燥させて、厚さが凡そ1mmの未架橋のレリーフ形成層を設けた。
次いで、未架橋のレリーフ形成層を、120℃で2.5時間加熱して熱架橋処理を行い、熱架橋されたレリーフ形成層を形成した。
さらに、レリーフ形成層表面に保護フィルム(サンドブラスト法にて表面粗さRa=0.3μmとしたPETシート)を設け、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版1を得た。
熱架橋されたレリーフ形成層に対し、以下の2種のレーザーにより彫刻を施し、レリーフ印刷版1を作製した。
第1のレーザーとしては、炭酸ガスレーザー彫刻機として、高品位CO2レーザーマーカML−9100シリーズ(KEYENCE(株)製)を用いてレーザー照射による彫刻を行った。まず、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版から保護フィルムを剥離後、該炭酸ガスレーザー彫刻機で、出力:12W、ヘッド速度:200mm/秒、ピッチ設定:2400DPIの条件で、1cm四方のベタ部分をラスター彫刻した。(この第1のレーザーを用いて評価した結果は、表中に「CO2レーザー」と表記する。)
第2のレーザーとして、半導体レーザー彫刻機として、最大出力8.0Wのファイバー付き半導体レーザー(FC−LD)SDL−6390(JDSU社製、波長:915nm)を装備した、前述の図1に示すレーザー記録装置を用いた。半導体レーザー彫刻機でレーザー出力:7.5W、ヘッド速度:409mm/秒、ピッチ設定:2400DPIの条件で、1cm四方のベタ部分をラスター彫刻した。(この第2のレーザーを用いて評価した結果は表中に「FC−LD」と表記する。)
このように2種のレーザーを用いてレリーフ層を形成し、レリーフ印刷版1を得た。
また、レリーフ層のショアA硬度を、前述の測定方法により測定したところ、75°であった。
1.レーザー彫刻用架橋性樹脂組成物の調製
実施例1で用いた(A)無機多孔質体、(B)バインダーポリマー、(C)熱重合開始剤、(D)重合性化合物(多官能体)、及び(E)光熱変換剤をそれぞれ表1に示すように代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜19のレリーフ形成層用塗布液2〜19及び比較例のレリーフ形成層用塗布液C1〜C2(レーザー彫刻用樹脂組成物)を調製した。
サイリシア310P(富士シリシア化学(株)製)
サイリシア350(富士シリシア化学(株)製)
サイロスフェアC−1504(富士シリシア化学(株)製)
サイリシア710(富士シリシア化学(株)製)
サイリシア730(富士シリシア化学(株)製)
サイリシア250N(富士シリシア化学(株)製)
サイロホービック702(富士シリシア化学(株)製)
サイロマスク52(富士シリシア化学(株)製)
サイロマスク55(富士シリシア化学(株)製)
バインダー1:デンカブチラール#3000−2(ポリビニルブチラール、
電気化学工業(株)製、Mw=9.0万、Tg:室温以上)
バインダー2:トレジンF−30K(メトキシメチル化ポリアミド、
ナガセケムテック製、Tg:室温以上)
バインダー3:アラキード9201N(変性エポキシ樹脂、荒川化学工業(株)製、
Tg:室温以上℃)
バインダー4:エチルセルロース45(セルロース誘導体、和光純薬製、
Tg:室温以上)
バインダー5:ブレンマーPME100/メタクリル酸メチルの
10/90(モル比)共重合体(Mw=3.2万:
親水性基を側鎖に有するアクリル樹脂、Tg:室温以上)
バインダー6:ポリカーボネートジオール(PCDL L4672、Mn=1990) /トリレンジイソシアナートの1/1(モル比)重付加物の末端を
2−メタクリロイルオキシエチルイソシアナートで封鎖したポリマー
(Mw=1.0万)、Tg:室温以下)
バインダー7:Udel P−1700(Amoco Polmer社製、
Tg:室温以下)
バインダー8:Kraton1107(スチレン−イソプレン−スチレンブロック
コポリマー、Shell Chemical Co.,
Houston.TX製、Tg:室温以下)
バインダー9:Elastosil(登録商標:タイプR300/30S、
Wacker社製、シリコーンゴム、Tg:室温以下)
−熱重合開始剤−
パーブチルZ(商品名:日油(株)製、有機過酸化物)
パーヘキシルE(商品名:日油(株)製、有機過酸化物)
パーヘキシルI(商品名:日油(株)製、有機過酸化物)
パーヘキシルHC(商品名:日油(株)製、有機過酸化物)
V−601(商品名:和光純薬製、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル)
−光重合開始剤−
イルガキュア184(商品名:チバガイギー製)
M−1:エチレン性不飽和モノマー(前記構造)
M−2:エチレン性不飽和モノマー(下記構造)
カーボンブラック:ケッチェンブラックEC600JD(商品名:ライオン(株)製)
ADS−820HO(商品名:アメリカン・ダイ・ソース社製)
−レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版2〜19の作製−
実施例1で用いたレリーフ形成層用塗布液1を、レリーフ形成層用塗布液2〜19の各々に変更した以外は、実施例1と同様にして、熱架橋されたレリーフ形成層を有する実施例2〜19のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版2〜19を得た。
実施例1で用いたレリーフ形成層用塗布液1を、レリーフ形成層用塗布液C1に変更しし、更に、国際公開第2004/00571A1号パンフレットの実施例に記載される製膜条件によりレリーフ形成層を形成し、比較例1のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版C1を得た。
実施例1で用いたレリーフ形成層用塗布液1を、レリーフ形成層用塗布液C2に変更した以外は、実施例1と同様にして、熱架橋されたレリーフ形成層を有する比較例2のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版C2を得た。
実施例2〜19及び比較例1〜2のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版のレリーフ形成層を、実施例1と同様に彫刻してレリーフ層を形成することにより、実施例2〜19及び比較例1〜2のレリーフ印刷版を得た。
これらのレリーフ印刷版が有するレリーフ層の厚さは凡そ1mmであった。
また、得られた各レリーフ印刷版におけるレリーフ層のショア硬度Aの測定を、実施例1と同様に同様に行った。測定したショア硬度Aは表1に記載した。
4−1.塗布液の保存安定性評価
各実施例及び比較例において調製したレリーフ形成層用塗布液1〜19、C1〜C2(各10g)を50mlのナスフラスコに入れて栓をした状態で、白灯下・室温で14日間放置後、ナスフラスコを逆さにして塗布液の流動性を目視で確認した。
流動性を保っているものを○、流動性がなく固形化(ゲル化)しているものを×とした。結果を表1に示す。
各実施例及び比較例において、彫刻した版を水に浸漬し、彫刻部を歯ブラシ(クリニカハブラシ(フラット)、ライオン(株)製)で10回こすった。その後、光学顕微鏡でレリーフ層の表面におけるカスの有無を確認した。カスがないものを◎、殆どないものを○、少し残存しているものを△、カスが除去できていないものを×とした。
なお、本評価については、前記2種のレーザーのいずれを用いて彫刻をした場合についても、同じ結果が得られた。
結果を表1に示す。
各実施例及び比較例において、熱架橋されたレリーフ形成層を有するレリーフ印刷版(2cm×2cm)の表面を、光学顕微鏡で観察し、クレーター状の凹凸の個数を数えた。0〜3個を○、4〜10個を△、10個以上を×とした。結果を表1に示す。
レリーフ印刷版原版1〜19、C1〜C2が有するレリーフ形成層をレーザー彫刻して得られたレリーフ層の「彫刻深さ」を、以下のように測定した。ここで、「彫刻深さ」とは、レリーフ層の断面を観察した場合の、彫刻された位置(高さ)と彫刻されていない位置(高さ)との差をいう。本実施例における「彫刻深さ」は、レリーフ層の断面を、超深度カラー3D形状測定顕微鏡VK9510((株)キーエンス製)にて観察することにより測定した。彫刻深さが大きいことは、彫刻感度が高いことを意味する。結果は、彫刻に用いたレーザーの種類毎に表1に示す。
また、実施例のレリーフ印刷版原版はレリーフ形成層の面状が良好であり、また、該レリーフ印刷版原版を彫刻してレリーフ印刷版を作製した際における彫刻カスのリンス性に優れていることが分る。
更に、実施例のレリーフ印刷版は、比較例のレリーフ印刷版よりも、彫刻深さが大きく、このことにより、実施例にて調製したレーザー彫刻用樹脂組成物は、彫刻感度が高いことが確認できた。
30 露光ヘッド
70A 光ファイバー
70B 光ファイバー
32 コリメータレンズ(結像手段)
34 結像レンズ(結像手段)
300 ファイバーアレイ部
F レリーフ印刷版原版
FA 露光面(レリーフ印刷版原版の表面)
Claims (9)
- (A)無機多孔質体、(B)バインダーポリマー、(C)熱重合開始剤、及び(D)重合性化合物を少なくとも含有するレーザー彫刻用樹脂組成物。
- 前記(B)バインダーポリマーのガラス転移温度(Tg)が、20℃以上200℃以下である請求項1に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
- 前記(B)バインダーポリマーが、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、及びポリアミドからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1又は請求項2に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
- さらに(E)700〜1300nmの波長の光を吸収可能な光熱変換剤を含有する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
- 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物を熱架橋して形成したレリーフ形成層を有するレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版。
- 請求項5に記載のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版におけるレリーフ形成層をレーザー彫刻してレリーフ層を形成する彫刻工程を含むレリーフ印刷版の製造方法。
- 請求項6に記載のレリーフ印刷版の製造方法により製造された、レリーフ層を有するレリーフ印刷版。
- 前記レリーフ層の厚みが、0.05mm以上10mm以下である請求項7に記載のレリーフ印刷版。
- 前記レリーフ層のショアA硬度が、50°以上90°以下である請求項7又は請求項8に記載のレリーフ印刷版。
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