JP5398282B2 - レーザー彫刻用樹脂組成物、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版、レリーフ印刷版の製造方法、及びレリーフ印刷版 - Google Patents

レーザー彫刻用樹脂組成物、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版、レリーフ印刷版の製造方法、及びレリーフ印刷版 Download PDF

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Description

本発明は、レーザー彫刻用樹脂組成物、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版、レリーフ印刷版の製造方法、及びレリーフ印刷版に関する。
支持体表面積に積層された感光性樹脂層に凹凸を形成して印刷版を形成する方法としては、感光性組成物を用いて形成したレリーフ形成層に、原画フィルムを介して紫外光により露光し、画像部分を選択的に硬化させて、未硬化部を現像液により除去する方法、いわゆる「アナログ製版」が良く知られている。
レリーフ印刷版は、凹凸を有するレリーフ層を有する凸版印刷版であり、このような凹凸を有するレリーフ層は、主成分として、例えば、合成ゴムのようなエラストマー性ポリマー、熱可塑性樹脂などの樹脂、或いは、樹脂と可塑剤との混合物を含有する感光性組成物を含有するレリーフ形成層をパターニングし、凹凸を形成することにより得られる。このようなレリーフ印刷版うち、軟質なレリーフ層を有するものをフレキソ版と称することがある。
レリーフ印刷版をアナログ製版により作製する場合、一般に銀塩材料を用いた原画フィルムを必要とするため、原画フィルムの製造時間及びコストを要する。更に、原画フィルムの現像に化学的な処理が必要で、かつ現像廃液の処理をも必要とすることから、更に簡易な版の作製方法、例えば、原画フィルムを用いない方法、現像処理を必要としない方法などが検討されている。
近年は、原画フィルムを必要とせず、走査露光によりレリーフ形成層の製版を行う方法が検討されている。そのような、原画フィルムを必要としない手法として、レリーフ形成層上に画像マスクを形成可能なレーザー感応式のマスク層要素を設けたレリーフ印刷版原版が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。これらの原版の製版方法によれば、画像データに基づいたレーザー照射によりマスク層要素から原画フィルムと同様の機能を有する画像マスクが形成されるため、「マスクCTP方式」と称されており、原画フィルムは必要ではないが、その後の製版処理は、画像マスクを介して紫外光で露光し、未硬化部を現像除去する工程であり、現像処理を必要とする点でなお改良の余地がある。
現像工程を必要としない製版方法として、レリーフ形成層をレーザーにより直接彫刻し製版する、いわゆる「直彫りCTP方式」が多く提案されている。直彫りCTP方式は、文字通りレーザーで彫刻することにより、レリーフとなる凹凸を形成する方法で、原画フィルムを用いたレリーフ形成と異なり、自由にレリーフ形状を制御することができるという利点がある。このため、抜き文字の如き画像を形成する場合、その領域を他の領域よりも深く彫刻する、或いは、微細網点画像では、印圧に対する抵抗を考慮し、ショルダーをつけた彫刻をする、なども可能である。これまで直彫りCTP方式で用いる版材としては、各種の版材が多数提案されている(例えば、特許文献1〜7参照。)。
直彫りCTP方式で用いるレーザー彫刻用樹脂組成物は、レリーフ形成層をレーザーにより直接製版した際に、低分子量の重合性化合物等からなる彫刻カスが発生する。製版面における現像カスの残存は、印刷品質に重大な影響を与えることから、発生した現像カスの除去性の向上が望まれている。彫刻カスの除去性向上を目的として、例えば下記特許文献8には、レーザー彫刻可能な印刷版原版用の感光性樹脂組成物に、無機多孔質体を含有させたものが開示されている。しかしながら、このような感光性樹脂組成物は光安定性に問題があり、例えば、当該感光性樹脂組成物を白灯下に長時間放置した場合などにおいて、粘度上昇やゲル化などを生じるという問題があった。
米国特許第5798202号明細書 特開2002−3665公報 特許第3438404号公報 特開2004−262135公報 特開2001−121833公報 特開2006−2061公報 特開2007−148322公報 国際公開第2004/00571A1号パンフレット
本発明は、上記の諸事情に鑑みなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、レーザー彫刻に供した際における彫刻感度が高く、保存安定性に優れ、且つ彫刻する際に発生する彫刻カスの除去が容易なレーザー彫刻用樹脂組成物を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、彫刻感度が高く、レーザー彫刻により直接製版が可能であり、製版後の版面における彫刻カスの除去が容易なレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、前記レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版を用いたレリーフ印刷版の製造方法、並びに、該製造方法により得られたレリーフ印刷版を提供することにある。
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
<1> (A)無機多孔質体、(B)バインダーポリマー、(C)熱重合開始剤、(D)重合性化合物、及び(E)カーボンブラックを少なくとも含有するレーザー彫刻用樹脂組成物。
<2> 前記(B)バインダーポリマーのガラス転移温度(Tg)が、20℃以上200℃以下である<1>に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
<3> 前記(B)バインダーポリマーが、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、及びポリアミドからなる群より選択される少なくとも1種である<1>又は<2>に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
<4> 前記(E)カーボンブラックの含有量が、樹脂組成物中の全固形分に対して、0.1質量%〜5質量%である<1>から<3>のいずれかに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
<5> 前記(C)熱重合開始剤が、有機過酸化物である<1>から<4>のいずれかに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
6> <1>から<5>のいずれかに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物を熱架橋して形成したレリーフ形成層を有するレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版。
7>6>に記載のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版におけるレリーフ形成層をレーザー彫刻してレリーフ層を形成する彫刻工程を含むレリーフ印刷版の製造方法。
8>7>に記載のレリーフ印刷版の製造方法により製造された、レリーフ層を有するレリーフ印刷版。
9> 前記レリーフ層の厚みが、0.05mm以上10mm以下である<8>に記載のレリーフ印刷版。
10> 前記レリーフ層のショアA硬度が、50°以上90°以下である<8>又は<9>に記載のレリーフ印刷版。
本発明によれば、レーザー彫刻に供した際における彫刻感度が高く、保存安定性に優れ、且つ彫刻する際に発生する彫刻カスの除去が容易なレーザー彫刻用樹脂組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、彫刻感度が高く、レーザー彫刻により直接製版が可能であり、製版後の版面における彫刻カスの除去が容易なレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版を提供することができる。
また、本発明によれば、前記レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版を用いたレリーフ印刷版の製造方法、並びに、該製造方法により得られたレリーフ印刷版を提供することができる。
本発明に適用しうるファイバー付き半導体レーザー記録装置を備える製版装置を示す概略構成図(斜視図)である。
[レーザー彫刻用樹脂組成物]
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物(以下、単に、「本発明の樹脂組成物」と称する場合がある。)は、(A)無機多孔質体、(B)バインダーポリマー、(C)熱重合開始剤、(D)重合性化合物、及び(E)カーボンブラックを少なくとも含有することを特徴とする。
本発明の樹脂組成物は、熱エネルギーにより重合、硬化させることができる。
本発明の樹脂組成物は優れた保存安定性(光安定性)を発揮する。これは、本発明の樹脂組成物は、熱重合開始剤を含有することから非感光性であり、その結果、白灯下などで長時間放置しても、光重合開始剤を含有する樹脂組成物に比べ、重合開始剤の分解により重合性化合物が重合することに起因した粘度の上昇やゲル化が起こり難いため、優れた保存安定性(光安定性)を発揮するものと考えられる。
また、本発明の樹脂組成物における熱重合開始剤の含有は、白灯下での光安定性を確保のみならず、樹脂造形物の形成する際に重要な熱架橋効率の充分な向上も可能とする。このような熱架橋効率の向上は、本発明の樹脂組成物が、任意成分である後述する光熱変換剤として、カーボンブラックを含有する場合に特に顕著である。その理由は定かではないが、後に詳述するように、カーボンブラックが熱架橋時に発熱体として作用し熱重合開始剤の分解効率を向上させるためではないかと推定している。
光重合開始剤を含有する樹脂組成物であっても、例えば、光熱変換剤を用いることで、感光による光重合開始剤の分解を抑制することは可能である。しかし、光重合開始剤と光熱変換剤を併用すると、該光熱変換剤が光重合開始剤の光分解に必要な波長の光を吸収してしまうため光分解が抑制されて架橋不足となる。このため、殆どの場合、樹脂組成物の白灯下での光安定性と光架橋性とがトレードオフとなってしまう。
このように、本発明の樹脂組成物では、光重合開始剤を含有する樹脂組成物とは対照的に、優れた保存安定性(光安定性)のみならず、優れた架橋効率をも発揮する樹脂組成物である。
さらに、本発明の樹脂組成物は、該樹脂組成物をレーザー彫刻に供して、樹脂造形物を形成する際に発生する彫刻カスの除去が容易である。これは、本発明における無機多孔質体は、その表面に微細な空孔を多数有する多孔性であり、この微細な多孔部分の中にレーザー彫刻で発生する彫刻カス(通常は液状のカス)が吸収(吸着)される結果、彫刻カスが吸着前とは物性の異なる“彫刻カス−無機微粒子の複合体”が形成されるため、彫刻カスと樹脂造形物表面との接着性が低下して、結果的に彫刻カスの除去が容易になるものと推定している。
なお、本発明の樹脂組成物において、無機多孔質体と、好適な光熱変換剤でるカーボンブラックとの併用は、本発明の樹脂組成物をその好適な適用態様であるレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版のレリーフ形成層を形成に用いた場合に、形成されるレリーフ形成層の面状が良化するという効果も発揮する。これは、無機多孔質体とカーボンブラックとを併用することで、カーボンブラック表面のπ電子と無機多孔質体表面のOH基が相互作用してカーボンブラックの凝集が抑制される結果、良好な膜面状が形成されるものと推定される。一方、無機多孔質体を含有せずにカーボンブラックだけを用いた場合には、レリーフ形成層の表面は、均一な表面とならず、微細なクレーター状部分が多数発生してしまう。
また、本発明の樹脂組成物は、レーザー彫刻に供した際の彫刻感度が高いことから、高速でレーザー彫刻を行うことができるので、レーザー彫刻の際の彫刻時間についても短縮することができる。
このような特徴を有する本発明の樹脂組成物は、レーザー彫刻が施される樹脂造形物の形成用途に、特に限定なく広範囲に適用することができる。例えば、本発明の樹脂組成物の適用態様として具体的には、凸状のレリーフ形成をレーザー彫刻により行う印刷板原版のレリーフ形成層、凹版、孔版、スタンプ、等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明の樹脂組成物は、レーザー彫刻用レリーフ印刷板原版におけるレリーフ形成層の形成に、特に好適に用いることができる。
以下、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物の構成要素について説明する。
<(A)無機多孔質体>
本発明の樹脂組成物は、無機多孔質体を含有する。本発明において、「無機多孔質体」とは、徴小な細孔又は微小な空隙を有する無機粒子を意味する。
本発明における無機多孔質体としては、平均細孔径が1nm〜1,000nmであり、細孔容積が0.1ml/g〜10ml/gであり、且つ数平均粒子径が10μm以下である無機粒子であることが好ましい。
無機多孔質体の平均細孔径としては、レーザー彫刻時に発生する彫刻カス(液状カス)の吸収量の観点から、1nm〜1,000nmであることが好ましく、より好ましくは2nm〜200nm、更に好ましくは2nm〜40nm、特に好ましくは2nm〜30nmである。無機多孔質粒子は、平均細孔径が40nm以下である場合に、彫刻カスの除去性に特に優れた効果を示し、平均細孔径が2nm〜30nmのものは、液状カスを吸収する能力が極めて高い。このため、本発明における無機多孔質体としては、平均細孔径が2nm〜30nmのものが特に好ましい。なお、無機多孔質体の平均細孔径は、窒素吸着法を用いて測定した値である。
無機多孔質体の細孔容積は、粘稠な液状カスの吸収量の観点から、0.1ml/g〜10ml/gであることが好ましく、より好ましくは0.2ml/g〜5ml/gである。本発明における細孔容積は、窒素吸着法で得られた値である。具体的には、−196℃における窒素の吸着等温線から求めた値である。無機多孔質体における平均細孔径及び細孔容積は、窒素の説着時の吸着等温線から円筒モデルを仮定し、BHJ(Brrett-Joyner-Halenda)法という細孔分布解析法に基づいて算出した。無機多孔質体における平均細孔径及び細孔容積の定義は、細孔径に対して累積細孔容積をプロットした曲線における最終到達細孔容積を細孔容積とし、その値が半分に達した時の細孔径を平均細孔径とする。
本発明における無機多孔質体の数平均粒子径は、10μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1μm〜10μm、更に好ましくは0.5μm〜10μmであり、最も好ましくは2μm〜10μmである。本発明において数平均粒子径は、レーザー散乱式粒子径分布測定装置を用いて測定した値である。
無機多孔質体の数平均粒子径が上記の範囲内であると、本発明の樹脂組成物をレーザーで彫刻するに供する際に粉塵が舞うことはなく、粉塵によって彫刻装置を汚染することもない。
特に、本発明の樹脂組成物をレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版のレリーフ形成層に適用した場合、数平均粒子径が10μm以下のる無機多孔質体を用いることで、レーザー彫刻により得られた細かなレリーフ画像に粒子が残存することなく、印刷物の精細さを確保することができる。即ち、高精細印刷分野では、10μm程度の大きさの精細なパターンを有する印刷版が用いられるが、数平均粒子径が10μm以下の無機多孔質体を用いることで、レーザー光で形成した凹パターン部分に残存する無機多孔質体に起因する画像欠陥も生じることがない。
更に、数平均粒子径が10μm以下の無機多孔質粒子を使用した場合には、本発明の樹脂組成物により形成される樹脂造形物表面の表面摩擦抵抗値が小さくなる。したがって、本発明の樹脂組成物をレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版のレリーフ形成層に適用した場合であれば、印刷時の紙紛の付着をより効果的に抑制することができる。また、本発明の樹脂組成物により形成された樹脂造形物の引っ張り物性或いは破断強度も確保できる。
更に、より良好な彫刻カスの吸着性を得るためには、無機多孔質体は、比表面積が10m/g〜1,500m/gであり、且つ吸油量が10ml/100g〜2,000ml/100gであることが好ましい。無機多孔質体の比表面積は、好ましくは10m/g〜1,500m/g、より好ましくは100m/g〜800m/gである。本発明において比表面積は、−196℃における窒素の吸着等温線からBET式に基づいて求められた値である。
無機多孔質体の吸油量は、無機多孔質体による液状ガスの吸油量を評価する指標であり、無機多孔質体100gが吸収する油の量と定義する。本発明におけるる無機多孔質体の吸油量は、液状の彫刻カスの除去性及び無機多孔質体の機械的強度の観点から、好ましくは10ml/100g〜2,000ml/100g、より好ましくは50ml/100g〜1,000ml/100gである。吸油量の測定は、JIS−K5101で行った。
本発明における無機多孔質体は、特に赤外線波長領域のレーザー光照射により変形あるいは溶融せずに多孔質性を保持することが必要である。950℃において2時間処理した場合の灼熱減量は15wt%以下であることが好ましく、10wt%以下であることがより好ましい。
多孔質体の特性は、多孔度により評価することができる。ここで、多孔度は、数平均粒子径D(単位:μm)と粒子を構成する密度d(単位:g/cm)から算出される単位質量あたりの表面積Sに対する、比表面積Pの比、即ちP/Sである。粒子が球形である場合には、粒子1個あたりの表面積はπD×10−12(単位:m)であり、粒子1個の質量は(πDd/6)×10−12(単位:g)であるので、単位質量あたりの表面積は、S=6/(Dd)(単位:m/g)となる。前記数平均粒子径Dは、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置等を用いて測定した値とし、多孔質粒子が真球でない場合にも、数平均粒子径Dの球として取り扱うものとする。
比表面積Pは、粒子表面に吸着した窒素分子を測定した値を用いる。粒子径が小さくなればなるほど比表面積Pは大きくなるため、比表面積単独では多孔質体の特性を示す指標として不適当である。そのため、粒子径を考慮し、無次元化した指標として多孔度を取り入れる。本発明における無機多孔質体の多孔度としては、好ましくは20以上、より好ましくは50以上、更に好ましくは100以上である。多孔度が20以上であれば、波状カスの吸着除去により優れた効果が発揮される。
無機多孔質体に含まれる無機元素としては、Si、Ti、Zr、及びAlが好ましく、Si及びTiがより好ましい。
無機多孔質体の粒子形状は、特に限定はなく、球状、多面体状、扁平状、針状、無定形、あるいは表面に突起のある粒子などを挙げることができる。また、無機多孔質体としては、粒子の内部が空洞になっている粒子、シリカスポンジ等の均一な細孔径を有する球状顆粒体などを使用することも可能であり、例えば、多孔質シリカ、メソポーラスシリカ、シリカージルコニア多孔体ゲル、ポーラスアルミナ、多孔質ガラス、りん酸ジルコニウム、珪りん散ジルコニウム等を挙げることができ、その中でも、多孔質シリカ、メソポーラスシリカが好ましい。また、層状粘土化合物などのように、眉間に数nm〜100nmの空隙が存在するものについては、細孔径を定義できないため、本発明においては層間に存在する空隙の間隔を細孔径と定義する。
無機多孔質体の粒子形状としては、本発明の樹脂組成物を熱硬化させた樹脂造形物表面の耐磨耗性の観点からは、球状粒子又は正多面体状粒子であることが好ましく、特に球状粒子が好ましい。粒子の形状の確認には、走査型電子顕微鏡を用いることが好ましい。数平均粒子径が0.1μm程度の粒子であっても、電界放射型高分解能走査型電子顕微鏡で形状を確認することができる。
本発明の樹脂組成物をレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版に適用する場合であれば、球状粒子や正多面棒状粒子は、該原版により得られた印刷版の表面に露出した場合に、被印刷物表面との接触点の面積が小さくなるため好ましい。更に、球状粒子を用いた場合、樹脂組成物のチキソトロピー性を小さく抑える効果もある。このテキソトロピー性抑制効果は、粒子同士が樹脂組成物内で接触する面積が大幅に減少するためではないかと考えられる。
本発明で用いる球状粒子とは、曲面で囲まれている粒子であり、真球のみならず、真球でない擬似球状粒子も球状粒子に含まれる。本発明の球状粒子は、一つの方向から光を当て2次元平面に投影した場合に投影面の形状が円形、楕円形あるいは玉子形となる。耐摩耗性の観点から真球に近いものが望ましい。また、粒子表面に注目する粒子の粒子径の1/10以下の微小な凹凸があっても構わない。
本発明においては、無機多孔質体の少なくとも70%が球状粒子であり、該球状粒子の真球度は0.5〜1であることが好ましい。本発明において真球度とは、粒子を投影した場合に投影図形内に完全に入る円の直径の最大値Dと、投影図形が完全に入る円の直径の最小値Dとの比(D/D)と定義する.真球の真球度は1.0となるので、真球度の上限は1である。本発明で用いる球状粒子の真球度は0.5〜1であることが好ましく、より好ましくは0.7〜1である。
真球度が0.5以上の無機多孔質体を用いた樹脂組成物を適用したレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版より得られた印刷版は、耐磨耗性が良好である。真球度が0.5以上の球状粒子が無機多孔質体に占める割合は少なくとも70%が好ましく、より好ましくは少なくとも90%である。真球度、走査型電子顕微鏡を用いて撮影した写真を基に測定することができる。その際、少なくとも100個程度の粒子がモニター画面に入る倍率において写真撮影を行うことが好ましい。また、写真を基に前記D及びDを測定するが、写真をスキャナー等のデジタル化する装置を用いて処理し、その後画像解析ソフトウェアを用いてデータ処理することが好ましい。
また、本発明においては、無機多孔質体が正多面体状粒子であることが好ましい。本発明において正多面体状粒子とは、少なくとも4つの面を有する正多面体及び、正多面体で近似される粒子を含むものとする。正多面体で近似される粒子とは、注目する粒子が完全に入る最小球の径Dと、粒子内に完全に入る最大球の径Dとの比(即ち、D/D)が1〜3、より好ましくは1〜2、更に好ましくは:L〜1.5のものと定義する。多面体状粒子の画数が無限に大きくなったものが球状粒子である。上記のD/D値も真球度と同様に、走査型電子顕微鏡を用いて撮影した写真を基に測定することができる。
更に、本発明で用いる無機多孔質体は、粒子径分布の標準偏差が10μm以下であることが好ましく、より好ましくは5μm以下、更に好ましくは3μm以下である。また、粒子系分布の標準偏差は数平均粒子径の80%以下であることが好ましく、より好ましくは60%以下、更に好ましくは40%以下である。無機多孔質体の粒子径分布における標準偏差が10μm以下であり、かつ数平均粒子径の80%以下であれば、粒子径の大きな粒子が混入していないことを意味する。
数平均粒子径よりも非常に大きな粒子径の粒子の存在を抑制することで、樹脂組成物のチキソトロピー性が極端に上昇することないことから、シート状あるいは円筒状の成形体などの作製も容易にできる。押し出し装置を用いて樹脂組成物を成形する場合、チキソトロピー性が極端に高い樹脂組成物を用いると、流動化させるために温度を高く設定する必要があり、更に、樹脂が動き始めるまでに軸に加わるトルクが上昇するため装置に加わる負荷が大きくなるというプロセス上の問題が発生する。また、樹脂組成物中に巻き込まれた気泡の除去に多大な時間を要するという問題も存在する。更に粒子径分布が狭い無機多孔質体を用いることにより、樹脂組成物より得られた樹脂造形物の耐摩耗性を向上させる効果も見られる。これは、粒度分布の大きな粒子を用いた場合には、粒子径の大きな粒子が混入する確率が増えることを意味し、粒子径の大きな粒子が混入すると印刷版表面に露出した粒子が表面から離脱し易くなるためと推測される。特に10μmを越えて大きな粒子径の粒子の存在確率が増えると、この傾向はより顕著になる。
更に、理由は明確ではないが、粒子径分布における標準偏差の小さい無機多孔質体を用いることにより、本発明の樹脂組成物をレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版に適用した細に、ノッチ特性の向上が見られる。ここでノッチ特性とは、一定厚み、一定幅の印刷原版にカッターを用いて一定深さの切れ目を入れ、切れ目の部分に沿って、該切れ目が外側になるようにして180°方向に折り曲げた時に印刷原版が完全に裂けるまでの保持時間と定義する。従って、ノッチ特性が高い印刷原版は、上述の保持時間が長いことを意味し、ノッチ特性が高い印刷版では、微細パターンの欠け等による欠損の発生が少ない。優れた印刷原版は、ノッチ特性評価において保持時間が10秒以上、より好ましくは20秒以上、更に好ましくは40秒以上である。
本発明における無機多孔質体は、細孔あるいは空隙にレーザー光の波長の光を吸収する顔料、染料等の有機色素を取り込ませることもできる。また、無機多孔質体の表面をシランカップリング剤、チタンカップリング剤、その他の有機化合物で被覆し表面改質処理を行い、より親水性化あるいは疎水性化した粒子とすることもできる。
本発明における無機多孔質体としては、市販品を用いることもできる。そのような市販品としては、例えば、サイロスフェアC−1504、サイリシア350、サイリシア310P、サイリシア710、サイリシア730、サイリシア250N、サイロホービック702、サイロマスク52、サイロマスク55(以上、富士シリシア化学(株)製)、Curplex #80、Curplex #67、Curplex #1120、Curplex FPS−1、Curplex FPS−2、Curplex FPS−3、Curplex FPS−5、Curplex BS−321BF(以上、DSLジャパン(株)製)、マイクロイドML−367、マイクロイドML−386、マイクロイドML−836(以上、(株)東海化学工業所製)、サンスフェアH−31、サンスフェアH−31、サンスフェアH−32、サンスフェアH−51−ET、サンスフェアH−52−ET(以上、AGCエスアイテック(株)製)等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物に含有される無機多孔質体は、1種類のみであってもよいし、2種類以上が併用されていてもよい。
また、本発明の樹脂組成物における無機多孔質体の含有量は、該樹脂組成物に含まれる全固形分に対し、0.01質量%〜60質量%が好ましく、0.05質量%〜40質量%がより好ましく、0.1質量%〜20質量%がさらに好ましい。
<(B)バインダーポリマー>
本発明の樹脂組成物は、バインダーポリマーを含有する。
バインダーポリマーは、レーザー彫刻用樹脂組成物に含有される主成分であり、レーザーに対する記録感度の観点から、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、等を目的に応じて用いることができる。例えば、加熱や露光により硬化させ、強度を向上させる目的に使用する場合には、バインダーポリマーとして、分子内に炭素−炭素不飽和結合をもつポリマーが選択される。柔軟で可撓性を有する膜形成が目的とされる場合には、軟質樹脂や熱可塑性エラストマーが選択される。
レーザー彫刻用樹脂組成物を、レーザー彫刻用レリーフ印刷板原版におけるレリーフ形成層に適用する場合であれば、レリーフ形成層用組成物の調製の容易性、得られたレリーフ印刷板における油性インクに対する耐性向上の観点からは、親アルコール性ポリマーを使用することが好ましい。
また、レーザー彫刻感度の観点からは、彫刻時における露光或いは加熱により熱分解する部分構造を含むポリマーが好ましい。
このように、レーザー彫刻用樹脂組成物の適用用途に応じた物性を考慮し、目的に応じたバインダーポリマーを選択し、当該バインダーポリマーの1種を、或いは、2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の樹脂組成物が含有するバインダポリマーとしては、ガラス転移温度(℃)が20℃以上200℃以下であるものが好ましく、より好ましくは20℃以上150℃以下、さらに好ましくは25℃以上120℃以下のものである。
本発明における好適なバインダーポリマーとしては、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、及びポリアミドからなる群より選択される少なくとも1種があげられる。
また、本発明の樹脂組成物中におけるバインダーポリマーの総量は、組成物の全固形分中、1質量%〜99質量%が好ましく、より好ましくは5質量%〜80質量%である。
本発明の樹脂組成物が含有するバインダポリマーとして、より好ましくは、以下に詳述する、(A)水不溶、且つ、炭素数1〜4のアルコールに可溶のバインダーポリマー(以下、適宜「(A)バインダー」と称する)、及び(B)ヒドロキシルカルボン酸ユニットからなるポリエステル及びその誘導体、ポリカプロラクトン(PCL)及びその誘導体、ポリ(ブチレンコハク酸)及びその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種のポリエステル(以下、適宜、「(B)バインダー」と称する。)が挙げられる。
以下、これらの(A)バインダー及び(B)バインダーについて説明する。
<<(A)バインダー>>
本発明の樹脂組成物における好適なバインダーポリマーの一つである(A)バインダーは、水不溶、且つ、炭素数1〜4のアルコールに可溶のバインダーポリマーである。
この(A)バインダーは、後述する(B)バインダーとは異なる構造を有するものである。
本発明に係る(A)バインダーは、高極性でありながら水不溶であるといった特性を有しており、この特性を有することから、本発明の樹脂組成物をレリーフ形成層に適用した場合には、水性インキ適性とUVインキ適性の双方を達成することができる。
ここで、以降、炭素数1〜4のアルコールを低級アルコールと称する場合がある。
(A)バインダーを用いる場合の作用機構については明らかではないが、本発明の樹脂組成物の好適な適用態様であるレリーフ印刷版原版を例とすれば、以下のように推定される。
(A)バインダーが水不溶であることで、水性インキ適性が向上し、水性インキで印刷中に膨潤してレリーフ層中の低分子成分が溶出し、膜強度が低下することを抑制することができる。更に、(A)バインダーがアルコールに可溶なことで、レリーフ形成層を形成する際に使用される溶剤としてのアルコール分子は、この(A)バインダーとの親和性が高いことに由来し、(A)バインダーの鎖状構造をほぐす、即ち、ポリマー構造中に効果的に分子レベルでの空隙を形成することができると考えられる。これにより、(A)バインダーの上述のごときほぐれた部分、即ち、分子レベルでの空隙に、レリーフ形成層に含まれる併用成分が侵入しやすくなり、(A)バインダーとその他の成分が分子レベルで混合された均質なレリーフ形成層を得ることができる。その結果、このようなレリーフ形成層は、分子レベルでみて不均質な膜に比べて各インキの浸透に起因するダメージを受けにくいといった特性を与えるものと考えている。
ここで、本発明において、所定の液に“不溶”とういう用語は、バインダーポリマー0.1gと所定の液(例えば、水や有機溶剤など)2mlとを混合し、蓋をして室温で24時間静置した後、目視観察したときにバインダーポリマーの沈殿が認められる場合及び沈殿は認められないが、溶液(分散液)が濁っている場合、当該液体に不溶であることを指し、“可溶”と言う用語は、上記条件において、目視観察したときに沈殿物が無く、透明で均一な状態を与える場合を当該液体に可溶であることを指すものとする。
本発明における(A)バインダーとしては、炭素数1〜4のアルコールに対し可溶であることを要する。ここで、炭素数1〜4のアルコールとしては、良好なUVインキ適性を与えるという観点で、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノールが挙げられ、少なくともこれらのいずれかに可溶であることが好ましい。
より好ましくは、(A)バインダーとしては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノールのいずれかに溶解するものが、特にメタノール、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノールの全てに溶解するものが好ましい。
本発明における(A)バインダーは、更に、酢酸エチルに代表されるようなエステル系溶剤に対して不溶であることが好ましい。エステル形溶剤に不溶なものを選択することで、UVインキ適性が更に向上し、UVインキで印刷中に膨潤してレリーフ層中の低分子成分が溶出し膜強度が低下することを効果的に抑制することができる。
また、(A)バインダー有するガラス転移温度としては、彫刻感度と皮膜性のバランスの観点で、20℃以上200℃以下が好ましく、より好ましくは20℃以上170℃以下、特に好ましくは25℃以上150℃以下である。
なお、本発明においてガラス転移温度(Tg)が室温以上とは、Tgが20℃以上であることを指す。
本発明に用いうる(A)バインダーが上記範囲のガラス転移温度を有する場合、本発明の樹脂組成物を、好ましい併用成分である、後述する(E)700nm〜1300nmの波長の光を吸収可能な光熱変換剤と組み合わせると、彫刻感度が向上するため、特に好ましい。このようなガラス転移温度を有するバインダーポリマーを、以下、「非エラストマー」と称する。
即ち、エラストマーとは、一般的に、ガラス転移温度が常温以下のポリマーであるとして学術的に定義されている(科学大辞典 第2版、編者 国際科学振興財団、発行 丸善株式会社、P154参照)。従って、非エラストマーとはガラス転移温度が常温を超える温度であるポリマーを指す。
(A)バインダーがガラス転移温度が室温(20℃)以上である場合、常温ではガラス状態をとるため、ゴム状態をとる場合と比べ、熱的な分子運動はかなり抑制された状態にある。
本発明の樹脂組成物に対して実施されるレーザー彫刻においては、レーザー照射時(好ましくは赤外線レーザ照射時)に、付与される熱に加え、所望により併用される(E)光熱変換剤の機能により発生した熱が、周囲に存在する(A)バインダーに伝達され、これが熱分解、消散して、結果的に彫刻されて凹部が形成される。
本発明の好ましい態様では、(A)バインダーの熱的な分子運動が抑制された状態の中に(E)光熱変換剤が存在すると(A)バインダーへの熱伝達と熱分解が効果的に起こるものと考えられ、このような効果によって彫刻感度が更に増大したものと推定される。
他方、(A)バインダーの熱的な分子運動が抑制されていないガラス転移温度が室温未満の状態(ゴム状態)では、その振動、即ち、熱的な分子運動の激しさに起因して(E)光熱変換剤と(A)バインダーの分子間距離が大きくなり、これらの間に存在する体積(空間)が非常に大きくなるため、(E)光熱変換剤から(A)バインダーへの熱伝達効率が下がるだけでなく、伝達された熱が活発な熱運動に寄与して熱損失を生じ、効率的な熱分解の生起への寄与が減少して彫刻感度の向上に寄与し難い。
以上のことから、本発明において好ましく用いられる(A)バインダーの特に好ましい態様である非エラストマーであるポリマーの具体例を以下に挙げる。
本発明における特に好ましい(A)バインダーとしては、水性インキ適性とUVインキ適性を両立しつつ、かつ、彫刻感度が高く皮膜性も良好であるという観点で、ポリビニルブチラール(PVB)誘導体、アルコール可溶性ポリアミド、セルロース誘導体、アクリル樹脂が挙げられる。
(1)ポリビニルブチラール及びその誘導体
ポリビニルブチラール(以下、PVBと称する)は、ホモポリマーを用いることもでき、また、ポリビニルブチラール誘導体を用いてもよい。
PVB誘導体中のブチラール含量(原料モノマーの総モル数を100%)は、30%〜90%が好ましく、50%〜85%がより好ましく、55%〜78%が特に好ましい。
PVB及びその誘導体の分子量としては、彫刻感度と皮膜性のバランスを保つ観点で、重量平均分子量として5000〜800000であることが好ましく、より好ましくは8000〜500000である。更に、彫刻カスのリンス性向上の観点からは、50000〜300000であることが特に好ましい。
PVB及びその誘導体としては、市販品としても入手可能であり、その好ましい具体例としては、アルコール溶解性(特にエタノール)の観点で、積水化学製の「エスレックB」シリーズ、「エスレックK(KS)」シリーズ、電気化学工業(株)製の「デンカブチラール」が好ましい。更に好ましくは、アルコール溶解性(特にエタノール)の観点で積水化学製の「エスレックB」シリーズと電気化学工業(株)製の「デンカブチラール」であり、特に好ましくは「エスレックB」シリーズでは、「BL−1」、「BL−1H」、「BL−2」、「BL−5」、「BL−S」、「BX−L」、「BM−S」、「BH−S」、電気化学工業(株)製の「デンカブチラール」では「#3000−1」、「#3000−2」、「#3000−4」、「#4000−2」、「#6000−C」、「#6000−EP」、「#6000−CS」、「#6000−AS」である。
PVBを(A)バインダーとして用いて、本発明の樹脂組成物を適用してなる、レリーフ印刷版原版におけるレリーフ形成層等を製膜する際には、溶媒に溶かした溶液をキャストし乾燥させる方法が、膜の表面の平滑性の観点で好ましい。
(2)アルコール可溶性ポリアミド
ポリエチレングリコールやピペラジンのような極性基を主鎖に導入したポリアミドは、その極性基の働きでアルコール可溶性が向上するので本発明に用いる(A)バインダーとして好適である。
ε−カプロラクタム及び/又はアジピン酸を、両末端アミン変性のポリエチレングリコールと反応させることでポリエチレングリコール単位(ポリエチレンオキシドセグメントとも呼ぶ)を有するポリアミドが得られ、これをピペラジンと反応させることでピペラジン骨格を有するポリアミドが得られる。
また、ポリエチレングリコール単位を含有するポリアミドとしては、通常α・ω−ジアミノプロピルポリオキシエチレンを原料ジアミン成分の少なくとも一部として公知の方法(例えば、特開昭55−79437号公報等)で重縮合、或いは共重縮合して得られるポリエーテルアミド、又はポリエチレングリコールを原料ジオール成分の少なくとも一部として公知の方法(例えば、特開昭50−159586号公報等)で重縮合、或いは共重縮合して得られるポリエーテルエステルアミドが使用されるが、特に限定されるものではなく、広く主鎖にアミド結合を有するポリマーが使用できる。
ここで、ポリアミド中のポリエチレンオキシドセグメントの数平均分子量は、レリーフ形成層の形態保持性の観点で150〜5000の範囲であることが好ましく、より好ましくは200〜3000である。また、これらポリエチレンオキシドセグメントを有するポリアミドの数平均分子量は5000〜300000、更には10000〜200000の範囲にあることが好ましい。特に好ましくは10000〜50000である。
上記のポリアミドは主鎖にポリエチレンオキシドのような高極性単位を有するものが好ましく用いられるが、ポリアミドの側鎖に高極性の官能基を有していても同様の機能を発現しうるため、側鎖に極性基を有するポリアミドもまた、本発明における(A)バインダーに適している。
彫刻感度の観点からは、より好ましくは、ポリアミドの側鎖に高極性の官能基を有している場合である。
このようなポリアミドとして、具体的には、メトキシメチル化ポリアミド、メトキシメチル化ナイロンが好ましい。このようなポリアミド誘導体の市販品としては、ナガセケムテック製のメトキシメチル化ポリアミド「トレジン」シリーズが好ましい。特に好ましくはナガセケムテック製のメトキシメチル化ポリアミド「トレジンF−30K」、「トレジンEF−30T」である。
(3)セルロース誘導体
通常のセルロースは水やアルコールなどには非常に溶けにくいが、グルコピラノース単位の残存OHを特定の官能基で修飾することにより水或いは溶剤溶解性を制御可能であり、このようにして水に不溶ではあるが、炭素数1〜4のアルコールには可溶としたセルロース誘導体もまた本発明に用いる(A)バインダーとして好適である。
本発明に適するものとしては、例えば、エチルセルロースやメチルセルロースのようなアルキルセルロース、ヒドロキシエチレンセルロース、ヒドロキシプロピレンセルロース、セルロースアセテートブチレート等であって、水不溶性且つ低級アルコール可溶性の物性を有するものが挙げられる。
更に、具体的な例として、信越化学製のメトローズシリーズが挙げられる。このシリーズの中身は、セルロースの水酸基の水素原子の一部をメチル基(−CH)、ヒドロキシプロピル基(−CHCHOHCH)、或いはヒドロキシエチル基(−CHCHOH)で置換したものである。
また、本発明においては、低級アルコールへの溶解性と彫刻感度の点で特に好ましいのは、アルキルセルロースであり、中でもエチルセルロースとメチルセルロースである。
(4)エポキシ樹脂
本発明に用いうる水不溶性、且つ、アルコール可溶性のエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を、変性剤などで高分子量化、高機能化した変性エポキシ樹脂などが、水不溶性の観点から好ましい。特に好ましくは、変性エポキシ樹脂である。
変性エポキシ樹脂の好ましい具体例としては、荒川化学工業製の「アラキード9201N」、「アラキード9203N」、「アラキード9205」、「アラキード9208」、「KA−1439A」、「モデピクス401」、「モデピクス402」が挙げられる。
また、本発明における(A)バインダーとしては、水不溶性、且つ、低級アルコール可溶性であれば、以下に示すような、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂を用いることもできる。
(5)アクリル樹脂
本発明における(A)バインダーとしては、水不溶性、且つ、低級アルコール可溶性のアクリル樹脂を用いることもできる。
このようなアクリル樹脂としては、公知のアクリル単量体を用いて得るアクリル樹脂であって上記物性条件を満たすように溶解性を制御したものを用いることができる。アクリル樹脂の合成に用いられるアクリル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類(メタ)アクリルアミド類が好ましい。このような単量体の具体例としては、例えば以下に示す化合物が挙げられる。
即ち、(メタ)アクリル酸エステル類としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、アセトキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールとプロピレングリコールとの共重合体のモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アルコール可溶性の観点で、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールとプロピレングリコールとの共重合体のモノメチルエーテル(メタ)アクリレートが好ましい。
クロトン酸エステル類としては、クロトン酸ブチル、クロトン酸ヘキシル等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−nブチルアクリル(メタ)アミド、N−tertブチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルフォリンなどが挙げられる。
また、アクリル樹脂としては、ウレタン基やウレア基を有するアクリル単量体を含んで構成される変性アクリル樹脂も好ましく使用することができる。
(A)バインダーとして用いられるアクリル樹脂の合成に用いうるアクリル単量体の具体例としては、以下に示す例示モノマー(AM−1)〜(AM−22)のような化合物が挙げられる。
(A)バインダーに好適に使用できるアクリル樹脂の具体例を、GPC法で測定した重量平均分子量〔Mw(GPC)と記載〕と共に以下に示すが、前述の好ましい特性を有するものであれば、本発明に使用しうるアクリル樹脂はこれらに限定されるものではない。
(6)ポリウレタン樹脂
(A)バインダーとしては、水不溶性、且つ、低級アルコール可溶性のポリウレタン樹脂を用いることもできる。
(A)バインダーとして用いうるポリウレタン樹脂は、下記一般式(U−1)で表されるジイソシアネート化合物の少なくとも1種と、下記一般式(U−2)で表されるジオール化合物の少なくとも1種と、の反応生成物である構造単位を基本骨格とするポリウレタン樹脂である。
OCN−X−NCO (U−1)
HO−Y−OH (U−2)
一般式(U−1)及び(U−2)中、X、Yは、それぞれ独立に、2価の有機残基を表す。但し、X及びYで表される有機残基の少なくとも一方は、NCO基或いはOH基と芳香族基で結合している。
−ジイソシアネート化合物−
上記一般式(U−1)で表されるジイソシアネート化合物としては、Xで表される有機残基がNCO基に直接結合した芳香族基を構造内に含むことが好ましい。
好ましいジイソシアネート化合物は、下記一般式(U−3)で表されるジイソシアネート化合物である。
OCN−L−NCO (U−3)
一般式(U−3)中、Lは置換基を有していてもよい2価芳香族炭化水素基を表す。置換基としては、例えば、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子(−F、−Cl、−Br、−I)などが挙げられる。必要に応じ、Lはイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えば、エステル基、ウレタン基、アミド基、ウレイド基を有していてもよい。
上記一般式(U−3)で表されるジイソシアネート化合物としては、具体的には以下に示すものが含まれる。
即ち、2,4−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートの二量体、2,6−トリレンジレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート等のような芳香族ジイソシアネート化合物が挙げられる。
特に熱分解性の観点で、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネートが好ましい。
(A)バインダーとして使用されるポリウレタン樹脂は、例えば、樹脂組成物中の他の成分との相溶性を向上させ、保存安定性を向上させるといった観点から、上記以外のジイソシアネート化合物を併用して合成されたものであってもよい。
併用しうるジイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等のような脂肪族ジイソシアネート化合物;イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4(又は2,6)ジイソシアネート、1,3−(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等のような脂環族ジイソシアネート化合物;1,3−ブチレングリコール1モルとトリレンジイソシアネート2モルとの付加体等のようなジオールとジイソシアネートとの反応物であるジイソシアネート化合物;等が挙げられる。
また、トリイソシアネートの3つのNCOのうちの1つに単官能アルコールを付加させて得たジイソシアネートを用いることもできる。
−ジオール化合物−
上記一般式(U−2)で表されるジオール化合物としては、特にYで表される有機残基がOH基に直接結合した芳香族基を構造内に含むことが好ましい。
より具体的には、以下の一般式(A−1)〜(A−3)で表されるジオール化合物が好ましい。
HO−Ar−OH 一般式(A−1)
HO−(Ar−Ar−OH 一般式(A−2)
HO−Ar−X−Ar−OH 一般式(A−3)
式中、ArとArは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ芳香環を表す。このような芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、複素環等を挙げることができる。これらの芳香環は置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子(−F、−Cl、−Br、−I)などが挙げられる。
原料入手のしやすさの観点から、好ましくは、ベンゼン環とナフタレン環である。膜形成性も考慮するとベンゼン環が特に好ましい。
Xは2価の有機残基である。mは膜形成性の観点から1〜3が好ましい。特に好ましくは1である。
一般式(A−1)で表されるジオール化合物の好ましい例としては、1,4−ジヒドロキシベンゼン、1,8−ジヒドロキシナフタレンがある。
一般式(A−2)で表されるジオール化合物の好ましい例としては、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ヒドロキシビナフチルがある。
一般式(A−3)で表されるジオール化合物の好ましい例としては、ビスフェノールA、4,4’−ビス(ヒドロキシフェニル)メタンがある。
(A)バインダーとして使用されるポリウレタン樹脂は、例えば、樹脂組成物中の他の成分との相溶性を向上させ、保存安定性を向上させるといった観点から、上記以外のジオール化合物を併用して合成されたものであってもよい。
併用しうるジオール化合物としては、例えば、ポリエーテルジオール化合物、ポリエステルジオール化合物、ポリカーボネートジオール化合物を挙げることできる。
ポリエーテルジオール化合物としては、下記式(U−4)、(U−5)、(U−6)、(U−7)、又は(U−8)で表される化合物、及び、末端に水酸基を有するエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのランダム共重合体が挙げられる。
上記式(U−4)〜(U−8)中、R14は水素原子又はメチル基を表し、Xは、以下の基を表す。また、a、b、c、d、e、f、及びgは、それぞれ独立に、2以上の整数を表し、好ましくは2〜100の整数である。
上記式(U−4)、(U−5)で表されるポリエーテルジオール化合物としては、具体的には以下に示すものが挙げられる。
即ち、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエチレングリコール、オクタエチレングリコール、ジ−1,2−プロピレングリコール、トリ−1,2−プロピレングリコール、テトラ−1,2−プロピレングリコール、ヘキサ−1,2−プロピレングリコール、ジ−1,3−プロピレングリコール、トリ−1,3−プロピレングリコール、テトラ−1,3−プロピレングリコール、ジ−1,3−ブチレングリコール、トリ−1,3−ブチレングリコール、ヘキサ−1,3−ブチレングリコール、重量平均分子量1000のポリエチレングリコール、重量平均分子量1500のポリエチレングリコール、重量平均分子量2000のポリエチレングリコール、重量平均分子量3000のポリエチレングリコール、重量平均分子量7500のポリエチレングリコール、重量平均分子量400のポリプロピレングリコール、重量平均分子量700のポリプロピレングリコール、重量平均分子量1000のポリプロピレングリコール、重量平均分子量2000のポリプロピレングリコール、重量平均分子量3000のポリプロピレングリコール、重量平均分子量4000のポリプロピレングリコール等である。
また、上記式(U−6)で表されるポリエーテルジオール化合物としては、具体的には以下に示すものが挙げられる。
即ち、三洋化成工業(株)製、(商品名)PTMG650、PTMG1000、PTMG2000、PTMG3000等である。
更に、上記式(U−7)で表されるポリエーテルジオール化合物としては、具体的には以下に示すものが挙げられる。
即ち、三洋化成工業(株)製、(商品名)ニューポールPE−61、ニューポールPE−62、ニューポールPE−64、ニューポールPE−68、ニューポールPE−71、ニューポールPE−74、ニューポールPE−75、ニューポールPE−78、ニューポールPE−108、ニューポールPE−128、ニューポールPE−61等である。
上記式(U−8)で表されるポリエーテルジオール化合物としては、具体的には以下に示すものが挙げられる。
即ち、三洋化成工業(株)製、(商品名)ニューポールBPE−20、ニューポールBPE−20F、ニューポールBPE−20NK、ニューポールBPE−20T、ニューポールBPE−20G、ニューポールBPE−40、ニューポールBPE−60、ニューポールBPE−100、ニューポールBPE−180、ニューポールBPE−2P、ニューポールBPE−23P、ニューポールBPE−3P、ニューポールBPE−5P等である。
末端に水酸基を有するエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのランダム共重合体としては、具体的には以下に示すものが挙げられる。
即ち、三洋化成工業(株)製、(商品名)ニューポール50HB−100、ニューポール50HB−260、ニューポール50HB−400、ニューポール50HB−660、ニューポール50HB−2000、ニューポール50HB−5100等である。
ポリエステルジオール化合物としては、下記式(U−9)、又は(U−10)で表される化合物が挙げられる。
上記式(U−9)、(U−10)中、L、L、及びLは、同一でも相違してもよく、それぞれ2価の脂肪族又は芳香族炭化水素基を表し、Lは2価の脂肪族炭化水素基を表す。好ましくは、L〜Lは、それぞれ独立に、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリレン基を表し、Lはアルキレン基を表す。また、L〜L中にはイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えば、エーテル基、カルボニル基、エステル基、シアノ基、オレフィン基、ウレタン基、アミド基、ウレイド基、又はハロゲン原子等が存在していてもよい。n1、n2はそれぞれ2以上の整数であり、好ましくは2〜100の整数を表す。
ポリカーボネートジオール化合物としては、下記式(U−11)で表される化合物が挙げられる。
上記式(U−12)中、2つのLは、同一でも相違してもよく、それぞれ2価の脂肪族又は芳香族炭化水素基を表す。好ましくは、Lは、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基を表す。また、L中にはイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えば、エーテル基、カルボニル基、エステル基、シアノ基、オレフィン基、ウレタン基、アミド基、ウレイド基、又はハロゲン原子等が存在していてもよい。n3は2以上の整数であり、好ましくは2〜l00の整数を表す。
前記式(U−9)、(U−10)、又は(U−11)で表されるジオール化合物の具体例を以下に示す(例示化合物No.1〜例示化合物No.18)。具体例中のnは2以上の整数を表す。
また、(A)バインダーとして用いられるポリウレタン樹脂の合成には、上記ジオール化合物の他に、イソシアネート基と反応しない置換基を有するジオール化合物を併用することもできる。このようなジオール化合物としては、例えば、以下に示すものが含まれる。
即ち、例えば、下記(U−12)、又は(U−13)で表される化合物が用いられる。
HO−L−O−CO−L−CO−O−L−OH (U−12)
HO−L−CO−O−L−OH (U−13)
上記式(U−12)、(U−13)中、L、Lは、同一でも相違していてもよく、それぞれ置換基(例えば、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子(−F、−Cl、−Br、−I)など)を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、又は複素環基を表す。必要に応じ、L、L中にイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えば、カルボニル基、エステル基、ウレタン基、アミド基、ウレイド基などを有していてもよい。なお、L及びLで環を形成してもよい。
更に、(A)バインダーとして用いられるポリウレタン樹脂の合成には、カルボキシル基、スルホン基、リン酸基などの酸基を有するジオール化合物を併用してもよい。特に、カルボキシル基を有するジオール化合物は、水素結合による膜強度向上と耐水性の観点で好ましい。
カルボキシル基を有するジオール化合物としては、例えば、以下の式(U−14)〜(U−16)に示すものが含まれる。
式(U−14)〜(U−16)中、R15は、水素原子、置換基〔例えば、シアノ基、ニトロ基、−F、−Cl、−Br、−I等のハロゲン原子、−CONH、−COOR16、−OR16、−NHCONHR16、−NHCOOR16、−NHCOR16、−OCONHR16(ここで、R16は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数7〜15のアラルキル基を表す。)など〕を有していてもよいアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基を表し、好ましくは水素原子、炭素数1〜8個のアルキル基、炭素数6〜15個のアリール基を表す。L、L10、L11はそれぞれ同一でも相違していてもよく、単結合、置換基(例えば、アルキル、アラルキル、アリール、アルコキシ、ハロゲノの各基が好ましい。)を有していてもよい2価の脂肪族又は芳香族炭化水素基を表し、好ましくは炭素数1〜20個のアルキレン基、炭素数6〜15個のアリーレン基、更に好ましくは炭素数1〜8個のアルキレン基を表す。また必要に応じ、L〜L11中にイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えば、カルボニル基、エステル基、ウレタン基、アミド基、ウレイド基、エーテル基を有していてもよい。なお、R15、L、L、及びLのうちの2又は3個で環を形成してもよい。
Arは置換基を有していてもよい三価の芳香族炭化水素基を表し、好ましくは炭素数6〜15個の芳香族基を表す。
上記式(U−14)〜(U−16)で表されるカルボキシル基を有するジオール化合物としては具体的には以下に示すものが含まれる。
即ち、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(2−ヒドロキシエチル)プロピオン酸、2,2−ビス(3−ヒドロキシプロピル)プロピオン酸、ビス(ヒドロキシメチル)酢酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、酒石酸、N,N−ジヒドロキシエチルグリシン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−カルボキシ−プロピオンアミド等である。
また、(A)バインダーとして用いられるポリウレタン樹脂の合成には、下記の式(U−17)〜(U−19)で表されるテトラカルボン酸二無水物をジオール化合物で開環させた化合物を併用することもできる。
上記式(U−17)〜(U−19)中、L12は、単結合、置換基(例えば、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲノ基、エステル基、アミド基などが好ましい。)を有していてもよい二価の脂肪族又は芳香族炭化水素基、−CO−、−SO−、−SO−、−O−、或いは−S−を表し、好ましくは、単結合、炭素数1〜15個の二価の脂肪族炭化水素基、−CO−、−SO−、−O−、又は−S−を表す。R17、R18は、同一でも相違していてもよく、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、又はハロゲノ基を表し、好ましくは、水素原子、炭素数1〜8個のアルキル基、炭素数6〜15個のアリール基、炭素数1〜8個のアルコキシ基、又はハロゲノ基を表す。また、L12、R17、R18のうちの2つが結合して環を形成してもよい。R19、R20は、同一でも相違していてもよく、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、又はハロゲノ基を表し、好ましくは、水素原子、炭素数1〜8個のアルキル、又は炭素数6〜15個のアリール基を表す。また、L12、R19、R20のうちの2つが結合して環を形成してもよい。L13、L14は、同一でも相違していてもよく、単結合、二重結合、又は二価の脂肪族炭化水素基を表し、好ましくは、単結合、二重結合、又はメチレン基を表す。Aは単核又は多核の芳香環を表す。好ましくは炭素数6〜18個の芳香環を表す。
上記式(U−17)、(U−18)又は(U−19)で表される化合物としては、具体的には以下に示すものが含まれる。
即ち、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−べンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−スルホニルジフタル酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、4,4’−[3,3’−(アルキルホスホリルジフェニレン)−ビス(イミノカルボニル)]ジフタル酸二無水物、ヒドロキノンジアセテートとトリメット酸無水物の付加体、ジアセチルジアミンとトリメット酸無水物の付加体などの芳香族テトラカルボン酸二無水物;5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセシ−1,2−ジカルボン酸無水物(大日本インキ化学工業(株)製、エピクロンB−4400)、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物などの脂環族テトラカルボン酸二無水物;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ペンタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
これらのテトラカルボン酸二無水物をジオール化合物で開環された化合物をポリウレタン樹脂中に導入する方法としては、例えば以下の方法がある。
a)テトラカルボン酸二無水物をジオール化合物で開環させて得られたアルコール末端の化合物と、ジイソシアネート化合物と、を反応させる方法。
b)ジイソシアネート化合物をジオール化合物過剰の条件下で反応させ得られたアルコール末端のウレタン化合物と、テトラカルボン酸二無水物と、を反応させる方法。
また、このとき開環反応に使用されるジオール化合物としては、具体的には、以下に示すものが含まれる。
即ち、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−ビス−β−ヒドロキシエトキシシクロヘキサン、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体、ビスフェノールFのエチレンオキサイド付加体、ビスフェノールFのプロピレンオキサイド付加体、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体、水添ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体、ヒドロキノンジヒドロキシエチルエーテル、p−キシリレングリコール、ジヒドロキシエチルスルホン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−2,4−トリレンジカルバメート、2,4−トリレン−ビス(2−ヒドロキシエチルカルバミド)、ビス(2−ヒドロキシエチル)−m−キシリレンジカルバメート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソフタレート等が挙げられる。
−その他の共重合成分−
本発明において(A)バインダーとして用いられるポリウレタン樹脂は、官能基として、エーテル結合、アミド結合、ウレア結合、エステル結合、ウレタン結合、ビウレット結合、及びアロファネート結合を少なくとも一つ含んでなる有機基を含んでいてもよい。
また、(A)バインダーとして用いられるポリウレタン樹脂は、更にエチレン性不飽和結合を有するユニットを有することが好ましい。エチレン性不飽和結合を有するユニットを有するポリウレタン樹脂としては、ポリウレタン樹脂の側鎖に、下記一般式(E1)〜(E3)で表される官能基のうち少なくとも1つを有することが好ましい。まず、下記一般式(E1)〜(E3)で表される官能基について説明する。
上記一般式(E1)において、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。Rとしては、好ましくは、水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、中でも、水素原子、メチル基が、ラジカル反応性が高いことから好ましい。また、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が、ラジカル反応性が高いことから好ましい。
Xは、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R12)−を表し、R12は、水素原子、又は1価の有機基を表す。ここで、1価の有機基としては、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられる。中でも、R12は、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基が、ラジカル反応性が高いことから好ましい。
ここで、導入し得る置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられる。
上記一般式(E2)において、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。R〜Rは、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が好ましい。
導入し得る置換基としては、一般式(E1)と同様のものが例示される。また、Yは、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R12)−を表す。R12は、一般式(E1)のR12の場合と同義であり、好ましい例も同様である。
上記一般式(E3)において、R〜R11は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。Rとしては、好ましくは、水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、中でも、水素原子、メチル基が、ラジカル反応性が高いことから好ましい。R10、R11は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が、ラジカル反応性が高いことから好ましい。
ここで、導入し得る置換基としては、一般式(E1)と同様のものが例示される。また、Zは、酸素原子、硫黄原子、−N(R13)−、又は置換基を有してもよいフェニレン基を表す。R13としては、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、中でも、メチル基、エチル基、イソプロピル基が、ラジカル反応性が高いことから好ましい。
ポリウレタン樹脂の側鎖にエチレン性不飽和結合を導入する方法としては、ポリウレタン樹脂製造の原料として、エチレン性不飽和結合を含有するジオール化合物を用いる方法も好適である。そのようなジオール化合物は、例えば、トリメチロールプロパンモノアリルエーテルのように市販されているものでもよいし、ハロゲン化ジオール化合物、トリオール化合物、アミノジオール化合物と、エチレン性不飽和結合を含有するカルボン酸、酸塩化物、イソシアネート、アルコール、アミン、チオール、ハロゲン化アルキル化合物との反応により容易に製造される化合物であってもよい。これら化合物の具体的な例として、下記に示す化合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。
また、より好ましいポリウレタン樹脂としては、ポリウレタン樹脂の合成に際して、エチレン性不飽和結合基を有するジオール化合物の少なくとも1つとして、下記一般式(G)で表されるジオール化合物を用いて得られたポリウレタン樹脂を挙げることができる。
前記一般式(G)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表し、Aは2価の有機残基を表し、Xは、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R12)−を表し、R12は、水素原子、又は1価の有機基を表す。
なお、この一般式(G)におけるR〜R及びXは、前記一般式(E1)におけるR〜R及びXと同義であり、好ましい態様もまた同様である。
Aで表される2価の有機残基としては、炭素原子及び水素原子を含み、更に、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子から選択される原子を必要に応じて組み合わせて構成される。好ましくは、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−C(=O)−O−、−NH−C(=O)−NH−、アルキレン基、アリーレン基、又は、これらを組み合わせて構成される基に、更に、−O−、−S−、又は−NH−を適宜組み合わせて構成される2価の有機連結基である。この2価の有機連結基に含まれる連結鎖を構成する原子の数は、60以内が適当であり、皮膜性を良好に保つ観点から、50以内が好ましく、40以内がより好ましい。。
このようなジオール化合物に由来するポリウレタン樹脂を用いることにより、立体障害の大きい2級アルコールに起因するポリマー主鎖の過剰な分子運動を抑制する効果が得られ、本発明の樹脂組成物を用いてなる被膜の強度の向上が達成できるものと考えられる。
以下、ポリウレタン樹脂の合成に好適に用いられる一般式(G)で表されるジオール化合物の具体例を示す。
また、ポリウレタン樹脂を合成する際、NCO/OH比が1以上のNCO基過剰条件であると、主鎖末端がNCO基になるので、ここにエチレン性不飽和結合を有するアルコール(2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ブレンマーPME200(日本油脂製)等)を別途加えて付加させることにより、主鎖末端にエチレン性不飽和結合を導入することができる。
つまり、本発明に好適なポリウレタン樹脂としては、側鎖以外に主鎖末端にもエチレン性不飽和基を有するものも好ましい。
また、本発明に好適なポリウレタン樹脂としては、上記のように、側鎖にエチレン性不飽和結合を有するもの以外にも、主鎖末端及び/又は主鎖中にエチレン性不飽和結合を有するものも好適に使用される。
ポリウレタン樹脂の主鎖末端にエチレン性不飽和結合を導入する方法としては、以下に示す方法がある。
即ち、ポリウレタン樹脂の合成の際、得られた中間生成物の主鎖末端に残存イソシアネート基を、アルコール類又はアミン類等で処理する工程において、エチレン性不飽和基を有するアルコール類又はアミン類等を用いればよい。
また、ポリウレタン樹脂の主鎖中にエチレン性不飽和結合を導入する方法としては、OH基とOH基とを連結する鎖中にエチレン性不飽和結合を有するジオール化合物を、ポリウレタン樹脂の合成に用いる方法がある。OH基とOH基とを連結する鎖中にエチレン性不飽和結合を有するジオール化合物としては、具体的に以下の化合物を挙げることができる。
即ち、cis−2−ブテン−1,4−ジオール、trans−2−ブテン−1,4−ジオール、ポリブタジエンジオール等である。
エチレン性不飽和結合は、導入量の制御が容易で導入量を増やすことができ、また、架橋反応効率が向上するといった観点から、ポリウレタン樹脂の主鎖末端よりも側鎖に導入されることが好ましい。
導入されるエチレン性不飽和結合基としては、架橋硬化膜形成性の観点から、メタクリロイル基、アクリロイル基、スチリル基が好ましく、より好ましくはメタクリロイル基、アクリロイル基である。架橋硬化膜の形成性と生保存性との両立の観点からは、メタクリロイル基が更に好ましい。
本発明で用いられるポリウレタン樹脂中に含まれるエチレン性不飽和結合の量としては、当量で言えば、側鎖に、エチレン性不飽和結合基を0.3meq/g以上、更には0.35〜1.50meq/g含有することが好ましい。即ち、側鎖にメタクロイル基を0.35〜1.50meq/g含有するポリウレタン樹脂が最も好ましい。
また、本発明における(A)バインダーとしてのポリウレタン樹脂の分子量は、好ましくは重量平均分子量で10,000以上であり、より好ましくは、40,000〜20万の範囲である。特に、分子量がこの範囲であるポリウレタン樹脂を用いると、形成されたレリーフ層等の樹脂造形物の強度に優れる。
本発明おいて(A)バインダーとして用いられるポリウレタン樹脂は、上記ジイソシアネート化合物及びジオール化合物を、非プロトン性溶媒中、それぞれの反応性に応じた活性の公知の触媒を添加し、加熱することにより合成される。合成に使用されるジイソシアネート及びジオール化合物のモル比(M:M)は、1:1〜1.2:1が好ましく、アルコール類又はアミン類等で処理することにより、分子量或いは粘度といった所望の物性の生成物が、最終的にイソシアネート基が残存しない形で合成される。
中でも、ビスマス触媒を用いた合成である方が、従来よく用いられてきたスズ触媒よりも環境及び重合速度の観点で好ましい。このようなビスマス触媒としては、ネオスタンU−600(商品名)(日東化成(株)製)が特に好ましい。
以下に、本発明に用いられる特定ポリウレタン樹脂の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明に係る(A)バインダーとしてのポリウレタン樹脂は、通常のレーザー彫刻用樹脂組成物に用いられるバインダーポリマー(市販の汎用樹脂の場合、ほとんどが300℃〜400℃の高温で熱分解する)と対比して、比較的低温(250℃未満)で熱分解するという特徴を有する。従って、このようなポリウレタン樹脂を含有する樹脂組成物は高感度での分解が可能となる。
また、このようなポリウレタン樹脂を(A)バインダーとして用い、更に、後述する併用バインダーポリマーと共存させた系では、特にこれらのポリマーが均一混合せず、相分離させた状態においても、レーザー照射による発熱により、まず、このポリウレタン樹脂が分解することになり、その結果、ポリウレタン樹脂が熱分解して気化する際に発生するガス(窒素など)が、共存する併用バインダーポリマーの気化を援助、促進する。このため、(A)バインダーとしてこのようなポリウレタン樹脂を用いたレリーフ形成層は、併用バインダーポリマーが共存する場合においても、特に、レーザー分解性が向上し、高感度化が達成されるという利点をも有することになる。
本発明の樹脂組成物中の(A)バインダーの好ましい含有量は、該樹脂組成物により形成される樹脂造形物の形態保持性と耐水性と彫刻感度をバランスよく満足する観点で、2質量%〜95質量%であることが好ましく、より好ましくは5質量%〜80質量%、特に好ましくは10質量%〜60質量%である。
<<(B)バインダー>>
本発明の樹脂組成物における好適なバインダーポリマーの一つである(B)バインダーは、ヒドロキシルカルボン酸ユニットからなるポリエステル及びその誘導体、ポリカプロラクトン(PCL)及びその誘導体、ポリ(ブチレンコハク酸)及びその誘導体から成る群から選択される少なくとも1種のポリエステルである。(B)バインダーは、各々単独又は組合せて本発明の樹脂組成物に含有することができる。
本明細書における「ヒドロキシルカルボン酸ユニットからなるポリエステル」とは、ヒドロキシカルボン酸を原料の1つとして用い、重合反応により得られるポリエステルを指す。また、本明細書において、「ヒドロキシルカルボン酸」とは分子中に少なくとも1つのOH基とCOOH基を有する化合物を指す。「ヒドロキシルカルボン酸」の少なくとも1つのOH基とCOOH基は近傍に存在することが好ましく、OH基とCOOH基の連結が原子6個以下で行われていることが好ましく、4個以下で行われていることがさらに好ましい。
(B)バインダーとして、具体的には、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、乳酸系ポリマー、ポリグリコール酸(PGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、及びポリ(ブチレンコハク酸)、並びにこれらの誘導体又は混合物からなる群から選択されるものが好ましい。
(B)バインダーを用いる場合の作用機構は明らかではないが、以下のように推定される。
(B)バインダーは、熱分解した際(;即ち本願でいうところのレーザー彫刻に相当)に300℃前後と比較的低温で主鎖の一部が熱分解し、そこを起点として解重合反応(;重合反応の逆反応で、ポリマーが原料の低分子モノマー単位まで熱解裂する)する特性を有する。
本発明の樹脂組成物に対して実施するレーザー彫刻(特に近赤外レーザーの場合)は、(1)700〜1300nmに極大吸収波長を有する化合物による光吸収⇒(2)700〜1300nmに極大吸収波長を有する化合物による光熱変換⇒(3)700〜1300nmに極大吸収波長を有する化合物から近傍に存在するバインダーへの熱伝達⇒(4)バインダーの熱分解⇒(5)分解したバインダーの消散、という5つの過程から構成されると考えられる。
(B)バインダーは、上記の低温熱分解特性と解重合特性を有しているので、低温熱分解特性によって上記(4)が促進され、さらに解重合により生じた低分子モノマー(;250℃未満で揮発するものが多い)が即座に揮発するので上記(5)が非常に効率的に起こる、この2つの効果によってレーザー彫刻感度が非常に高くなっているものと考えられる。
(B)バインダーとして、ヒドロキシルカルボン酸を原料の1つとして用い、重合反応により得られるものの例を以下に示す。
(B)バインダーのPHAとしては、下記一般式(a)で表される繰り返しモノマー単位を有するものが好ましい。
一般式(a)中、nは1から5までの整数を表し、R11は、水素原子、アルキル基、又はアルケニル基を表す。該アルキル基及びアルケニル基は、好ましくは炭素数1〜20のものである。ここで、上記繰り返しモノマー単位において、R11とnの組み合わせが同一で固定したホモポリマー、R11とnの組み合わせが少なくとも二つの異なる繰り返しモノマー単位を有するコポリマーであってもよい。コポリマーはランダム、ブロック、交互又はグラフトポリマーであり得る。PHAの分子量は、500〜5,000,000g/mol、好ましくは1,000〜2,500,000g/mol、より好ましくは、2,500〜1,000,000g/molの範囲である。
本発明に適用しうるPHAには、ポリ−3−ヒドロキシブチレート、ポリ−3−ヒドロキシバレレート、ポリ−3−ヒドロキシヘプタノエート、ポリ−3−ヒドロキシオクタノエート、ポリ−4−ヒドロキシブチレート、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシバレレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−4−ヒドロキシブチレート)、及び、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシオクタノエート)及びその他のコポリマーが含まれる。ここに挙げられたPHAのコポリマーは、通常、40〜100%、好ましくは、60〜98%の3−ヒドロキシブチレートモノマーを有する。
なお、(B)バインダーとして、前記一般式(a)で表される繰り返しモノマー単位と共重合可能な、コモノマーとして、後述の併用し得るポリエステルに用いられるモノマーとして挙げられるものを用いた共重合体を用いるることもできる。
本発明に用いうる乳酸系ポリマーとは、ポリ乳酸(一般式(a)において、R11はメチル基、n=0)又は乳酸とヒドロキシカルボン酸とのコポリマーである。ヒドロキシカルボン酸として、グリコール酸(一般式(a)において、R11はH、n=0)、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸等が例示される。好ましいポリ乳酸の分子構造は、L−乳酸又はD−乳酸いずれかの単位85〜100モル%とそれぞれの対掌体の乳酸単位0〜15モル%からなるものである。また、乳酸とヒドロキシカルボン酸とのコポリマーは、L−乳酸又はD−乳酸いずれかの単位85モル%以上100モル%未満とヒドロキシカルボン酸単位0%超15モル%以下からなるものである。原料の入手しやすさから、乳酸はDL−乳酸(ラセミ体)を用いてもよい。好ましいヒドロキシカルボン酸として、グリコール酸、ヒドロキシカプロン酸が挙げられる。
これらの乳酸系ポリマーは、L−乳酸、D−乳酸及びヒドロキシカルボン酸の中から必要とする構造のものを選んで原料モノマーとし、脱水重縮合することにより得ることができる。好ましくは、乳酸の環状二量体であるラクチド、グリコール酸の環状二量体であるグリコリド及びラクトン等から必要とする構造のものを選んで開環重合することにより得ることができる。ラクチドには、L−乳酸の環状二量体であるL−ラクチド、D−乳酸の環状二量体であるD−ラクチド、D−乳酸とL−乳酸とが環状二量化したメソ−ラクチド及びD−ラクチドとL−ラクチドとのラセミ混合物であるDL−ラクチドがある。本発明ではいずれのラクチドも用いることができる。ただし、主原料としては、D−ラクチド、L−ラクチド、グリコリド又はカプロラクトンが好ましい。
ポリ乳酸及び乳酸−グリコール酸の共重合体としては乳酸/グリコール酸比率(モル
比)が100/0〜30/70,より好ましくは100/0〜40/60で,分子量が1,000〜100,000,より好ましくは2,000〜80,000程度のものが挙げられる。
ポリ乳酸及び乳酸−グリコール酸の共重合体のうち、乳酸−グリコール酸の共重合体よりも皮膜性を強固に保つ観点でポリ乳酸の方が好ましい。
(B)バインダーとして用いうるポリカプロラクトン(PCL)(一般式(a)において、R11はH、n=4)は、ホモでも他のラクトンとの組み合わせでもよく、上記一般式(a)と構造上同じポリエステルとなるもの等が挙げられる。
(B)バインダーとして用いうるポリ(ブチレンコハク酸)は、ヒドロキシルカルボン酸ユニットのみからなるポリエステルではなく、1,4−ブタンジオールとコハク酸から合成されるポリマーであるが、ヒドロキシルカルボン酸を併用してもよい。
なお、上記(B)バインダーとして記載したポリエステルは、共重合可能な、コモノマーとして、後述の併用し得るポリエステルに用いられるモノマーとして挙げられるものを用いた共重合体を用いることもできる。
バインダーポリマーとして(B)バインダーが用いられる場合、該(B)バインダーと併用して好ましい(B)バインダーのポリエステルの例を以下に示す。ただし、ポリ(ブチレンコハク酸)は(B)バインダーとして用いられる。
このようなポリエステルは、膜の耐水性や柔軟性を調節する等の目的で、モノマーとして、脂肪族(環状脂肪族を含む)グリコール類、芳香族ジカルボン酸又はその酸無水物、脂肪族ジカルボン酸又はその酸無水物(以下、脂肪族ジカルボン酸と略す)からなるポリエステルが挙げられる。
また、必要に応じて、第3成分モノマーとして、3官能又は4官能の多価アルコール、及び多価カルボン酸(又はその酸無水物)から選ばれる少なくとも1種の多官能成分を含んでいてもよい。
上記グリコール類としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオールならびにそれらの混合物等が好んで用いられるが、これらに限定されるもまではない。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸ならびにそれらの混合物などが好んで用いられるが、これらに限定されるものではない。
上記脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、無水コハク酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ならびにそれらの混合物などが好んで用いられるが、これらに限定されるものではない。
(B)バインダーの特に好適な態様としては、乳酸系ポリマーが好ましく、彫刻感度が高い点で、ポリ乳酸、ポリグリコール酸がさらに好ましい。
バインダーポリマーとして(B)バインダーを用いる場合、その好ましい含有量は、皮膜性と彫刻感度を良好に保つ観点で、樹脂組成物の全固形分中、5質量%〜95質量%が好ましく、さらに好ましくは15質量%〜85質量%、特に好ましくは25質量%〜70質量%である。
<<その他のバインダーポリマー>>
本発明の樹脂組成物には、前記(A)バインダー及び(B)バインダーに加え、(A)バインダー及び(B)バインダーに包含されない公知のバインダーポリマーを併用することができる。
以下、このような併用するバインダーポリマーを、「その他のバインダー」と称して説明する。
その他のバインダーとしては、通常は、レーザーに対する記録感度の観点から、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーなどを目的に応じて用いる。
即ち、その他のバインダーは、前記(A)バインダー及び(B)バインダーと併用することで、レリーフ形成層等の樹脂造形物に所望の物性を与える目的で使用される。
例えば、加熱や露光により硬化させ、強度を向上させる目的に使用する場合には、分子内に炭素−炭素不飽和結合を有するポリマーが選択される。柔軟で可撓性を有する膜形成が目的とされる場合には、軟質樹脂や熱可塑性エラストマーが選択される。
レリーフ形成層を形成するために用いられるレリーフ形成層用塗布液の調製の容易性や、得られたレリーフ印刷版における油性インクに対する耐性向上の観点からは、親水性ポリマーや新アルコール性ポリマーを使用することが好ましい。
また、レーザー彫刻感度の観点からは、露光或いは加熱により熱分解する部分構造を含むポリマーが好ましい。
このように、本発明の樹脂組成物の適用用途に応じた物性を考慮し、目的に応じたバインダーポリマーを選択し、前記(A)バインダー及び(B)バインダーに加えて、その他のバインダーポリマーの1種、或いは、2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の樹脂組成物中でのバインダーポリマーの総量(即ち、(A)バインダー、(B)バインダー、及びその他のバインダーの合計量)は、2質量%〜99質量%が好ましく、より好ましくは5質量%〜80質量%である。
以下、本発明において、その他のバインダーとして用いうる各種ポリマーについて説明する。
(炭素−炭素不飽和結合を有するポリマー)
その他のバインダーとしては、(A)バインダー及び(B)バインダーに包含されない分子内に炭素−炭素不飽和結合を有するポリマーを好適に用いることができる。該炭素−炭素不飽和結合は、ポリマーの主鎖、側鎖のいずれかに存在すればよく、双方に存在していてもよい。以下、炭素−炭素不飽和結合を単に「不飽和結合」と称することがあり、また、主鎖或いは側鎖末端に存残する炭素−炭素不飽和結合を「重合性基」と称することがある。
炭素−炭素不飽和結合をポリマーの主鎖に有する場合、ポリマー主鎖の片末端、両末端、主鎖中のいずれに有してもよい。また、炭素−炭素不飽和結合をポリマーの側鎖に有する場合、該不飽和結合は主鎖構造に直接結合してもよく、適切な連結基を介して結合していてもよい。
主鎖に炭素−炭素不飽和結合を含むポリマーとしては、例えば、SB(ポリスチレン−ポリブタジエン)、SBS(ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン)、SIS(ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン)、SEBS(ポリスチレン−ポリエチレン/ポリブチレン−ポリスチレン)等が挙げられる。
側鎖に炭素−炭素不飽和結合を有するポリマーとして、メタクリロイル基のような反応性の高い重合性不飽和基を有するポリマーを用いた場合、極めて機械的強度の高い被膜を形成することができる。特に、ポリウレタン系、ポリエステル系熱可塑性エラストマーでは、比較的簡単に分子内に反応性の高い重合性不飽和基を導入することが可能である。
バインダーポリマー中に不飽和結合或いは重合性基を導入する際には、重合性基に保護基を結合させてなる重合性基前駆体を有する構造単位をポリマーに共重合させ、保護基を脱離させて重合性基とする方法、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、ケトン基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、環状カーボネート基、エステル基などの反応性基を複数有する高分子化合物を作製し、その後、上記反応性基と結合しうる基を複数有する結合剤(例えば、水酸基やアミノ基の場合のポリイソシアネートなど)を反応させ、分子量の調節、及び末端の結合性基への変換を行った後、この末端結合性基と反応する基と重合性不飽和基を有する有機化合物と反応させて、高分子反応により、重合性基を導入する方法など、公知のいずれの方法をとることができる。これらの方法によれば、高分子化合物中への不飽和結合、重合性基の導入量を制御することができる。
このような不飽和結合を有するポリマーは、不飽和結合を有さないポリマーと併用することも好ましい。即ち、上記炭素−炭素不飽和結合を有するポリマーのオレフィン部分に水素を付加させて得られるポリマーや、オレフィン部分に水素添加したモノマー、例えば、ブタジエンやイソプレン等に水素添加したモノマーを原料としてポリマーを形成して得られるポリマーなどは、相溶性に優れることから併用し、バインダーポリマーが有する不飽和結合の量を調整することもできる。
これらを併用する場合、不飽和結合を有さないポリマーは、不飽和結合をもつポリマー100質量部に対して、一般的に1質量部〜90質量部、好ましくは5質量部〜80質量部の割合で用いることができる。
なお、後述するように、他の重合性化合物を併用する場合など、バンダーポリマーに硬化性を必要としない態様では、バインダーポリマーに不飽和結合は必ずしも必須ではなく、不飽和結合を有しない各種ポリマーのみをバインダーポリマーとして用いることもできる。そのような場合の不飽和結合を有しないポリマーとしては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、アクリル樹脂、アセタール樹脂、ポリカーボネート、などが好ましく挙げられる。
本発明に用いうる不飽和結合を有するバインダーポリマーの数平均分子量は、0.1万から100万の範囲が好ましい。より好ましい範囲としては、0.5万から50万である。数平均分子量が0.1万から100万の範囲であれば、形成される被膜の機械的強度を確保することができる。数平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定し、分子量既知のポリスチレン標品に対して評価したものである。
(熱可塑性ポリマー、分解性を有するポリマー)
レーザー彫刻感度の観点から好ましく用いられるバインダーポリマーとしては、露光、加熱などのエネルギー付与により液状化する熱可塑性ポリマー、エネルギー付与により分解する部分構造をもつポリマー(分解性を有するポリマー)が挙げられる。
分解性を有するポリマーとしては、分子鎖中に、分解、切断され易い部分構造を有するモノマー単位として、スチレン、α−メチルスチレン、α−メトキシスチレン、アクリルエステル類、メタクリルエステル類、上記以外のエステル化合物類、エーテル化合物類、ニトロ化合物類、カーボネート化合物類、カルバモイル化合物類、ヘミアセタールエステル化合物類、オキシエチレン化合物類、脂肪族環状化合物類等を含むポリマーが挙げられる。
なお、このようなその他のバインダーもまた、(A)バインダーと同様の理由から、ガラス転移温度(Tg)が20℃以上200℃以下のものを選択することが好ましく、より好ましくはTgが20℃以上170℃以下、特に好ましくはTgが25℃以上150℃以下の範囲のポリマーである。
これらの中でも、特にポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラエチレングリコール等のポリエーテル類、脂肪族ポリカーボネート類、脂肪族カルバメート類、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ニトロセルロース、ポリオキシエチレン、ポリノルボルネン、ポリシクロヘキサジエン水添物、或いは分岐構造の多いデンドリマー等の分子構造を有するポリマーが、分解性の観点から好ましく挙げられる。
また、分子鎖中に酸素原子を多数含有するポリマーが分解性の観点から好ましい。このような観点からは、カーボネート基、カルバメート基、メタクリル基をポリマー主鎖中に有する化合物が好適に挙げられる。
例えば、(ポリ)カーボネートジオールや(ポリ)カーボネートジカルボン酸を原料として合成したポリエステルやポリウレタン、(ポリ)カーボネートジアミンを原料として合成したポリアミドなどを熱分解性の良好なポリマーの例として挙げることができる。これらのポリマーは、主鎖、側鎖に重合性不飽和基を含有しているものであっても構わない。特に、水酸基、アミノ基、カルボキシル基等の反応性官能基を有する場合には、このような熱分解性ポリマーに対し、重合性不飽和基を導入することも容易である。
熱可塑性ポリマーとしては、エラストマーであっても非エラストマーの樹脂であってもよく、本発明の樹脂組成物の適用目的に応じて選択すればよいが、上述のように、非エラストマー、即ち、ガラス転移温度(Tg)が20℃以上200℃以下のものを選択することが好ましく、より好ましくはTgが20℃以上170℃以下、特に好ましくはTgが25℃以上150℃以下の範囲のポリマーである。
本発明に適用しうる熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ウレタン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー、シリコーン系熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。これらの熱可塑性エラストマーのレーザー彫刻感度を向上させる目的で、エラストマーの主鎖に、カルバモイル基、カーボネート基等の易分解性官能基を導入したものを用いることもできる。また、熱可塑性ポリマーと前記熱分解性ポリマーと混合して用いてもよい。
熱可塑性エラストマーは、常温ではゴム弾性を示す材料であり、分子構造としては、ポリエーテル或いはゴム分子のようなソフトセグメントと、常温付近では加硫ゴムと同じく塑性変形を防止するハードセグメントからなり、ハードセグメントとしては凍結相、結晶相、水素結合、イオン架橋など種々のタイプが存在する。このような熱可塑性エラストマーは、本発明の樹脂組成物を、例えば、フレキソ印刷版などの可撓性を必要に適用する場合に適用する際に好適である。
熱可塑性エラストマーの種類は、目的に応じて選択され、例えば、耐溶剤性が要求される場合、ウレタン系、エステル系、アミド系、フッ素系熱可塑性エラストマーが好ましく、耐熱性が要求される場合、ウレタン系、オレフィン系、エステル系、フッ素系熱可塑性エラストマーが好ましい。また、熱可塑性エラストマーの種類を選択することにより、樹脂組成物により形成される樹脂造形物の硬度を大きく変えることができる。
このように、熱可塑性エラストマーの併用は、樹脂組成物により形成される樹脂造形物に柔軟性を付与しうるため、本発明の樹脂組成物を適用したレリーフ印刷版原版をフレキソ印刷版に適用するのに有用であるが、その配合量は後述する配合比の中でも、特に(B)バインダーに起因する機能を損なわない範囲とすることが重要である。具体的には、(B)バインダーの総量に対して30重量%以下とすべきである。
非エラストマー性の樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリイイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、全芳香族ポリエステル樹脂、ヒドロキシエチレン単位を含む親水性ポリマー(例えば、ポリビニルアルコール誘導体)を挙げることができる。
<(C)熱重合開始剤>
本発明の樹脂組成物は、熱重合開始剤を含有する。
熱重合開始剤は当業者間で公知のものを制限なく使用することができる。具体的には、例えば、Bruce M. Monroeら著、Chemical Revue, 93, 435 (1993) や、R.S.Davidson著、Journal of Photochemistry and biology A:Chemistry,73.81 (1993); M.Tsunooka et al., Prog.Polym.Sci., 21, 1 (1996)等に記載されている熱重合開始剤を用いることができる。また、F.D.Saeva, Topics in Current Chemistry, 156, 59 (1990); G.G.Maslak, Topics in Current Chemistry, 168, 1 (1993); H.B.Shuster et al,JACS, 112,6329 (1990); I.D.F.Eaton et al, JACS, 102, 3298 (1980)等に記載されているような、酸化的若しくは還元的に結合解裂を生じる化合物群も知られる。
以下、好ましい熱重合開始剤の具体例に関し、熱のエネルギーによってラジカルを発生し、重合性化合物と重合反応を開始、促進させる化合物であるラジカル重合開始剤について詳述するが、本発明はこれらの記述により制限を受けるものではない。
本発明において、好ましいラジカル重合開始剤としては、(a)有機過酸化物、(b)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(c)アゾ系化合物等が挙げられる。以下に、上記(a)〜(c)の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(a)有機過酸化物
本発明に用いうるラジカル重合開始剤として好ましい(c)有機過酸化物としては、分子中に酸素−酸素結合を1個以上有する有機化合物のほとんど全てが含まれるが、その例としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(ターシャリイブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(ターシャリイブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(ターシャリイブチルパーオキシ)ブタン、ターシャリイブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジターシャリイブチルパーオキサイド、ターシャリイブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ビス(ターシャリイブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリイブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−キサノイルパーオキサイド、過酸化こはく酸、過酸化ベンゾイル、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、メタ−トルオイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ターシャリイブチルパーオキシアセテート、ターシャリイブチルパーオキシピバレート、ターシャリイブチルパーオキシネオデカノエート、ターシャリイブチルパーオキシオクタノエート、ターシャリイブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、ターシャリイブチルパーオキシラウレート、ターシャリーカーボネート、3,3’4,4’−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、カルボニルジ(t−ブチルパーオキシ二水素二フタレート)、カルボニルジ(t−ヘキシルパーオキシ二水素二フタレート)等がある。
これらの中でも、3,3’4,4’−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、3,3’4,4’−テトラ−(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレートなどが膜の架橋性と保存安定性の点で好ましく、より好ましくはt−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイドである。
この有機過酸化物が本発明における重合開始剤として、樹脂組成物の架橋性の観点から好ましく、更に、予想外の効果として、彫刻感度向上の観点で特に好ましいことを見出した。
彫刻感度の観点からは、この有機過酸化物と、ガラス転移温度が常温以上のバインダーポリマーとを組み合わせた態様が特に好ましい。
これは、有機過酸化物を用いて樹脂組成物を熱架橋により硬化させる際、ラジカル発生に関与しない未反応の有機過酸化物が残存するが、残存した有機過酸化物は、自己反応性の添加剤として働き、レーザー彫刻時に発熱的に分解する。その結果、照射されたレーザーエネルギーに発熱分が加算されるので彫刻感度が高くなったと推定される。
特にバインダーポリマーのガラス転移温度が室温以上の場合、有機過酸化物の分解に由来して発生した熱が、バインダーポリマーに効率よく伝達され、かつバインダーポリマー自体の熱分解に有効に利用されるためより高感度化されるものと推定している。
なお、光熱変換剤の説明において詳述するが、この効果は、光熱変換剤としてカーボンブラックを用いる場合に著しい。これは、カーボンブラックから発生した熱が(c)有機過酸化物にも伝達される結果、カーボンブラックだけでなく有機過酸化物からも発熱するため、バインダーポリマー等の分解に使用されるべき熱エネルギーの発生が相乗的に生じるためと考えている。
(b)ヘキサアリールビイミダゾール化合物
本発明に用いうるラジカル重合開始剤として好ましい(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、特公昭45−37377号、特公昭44−86516号記載のロフィンダイマー類、例えば2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o,o’−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
(c)アゾ系化合物
本発明に用いうるラジカル重合開始剤として好ましい(l)アゾ系化合物としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスプロピオニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドオキシム)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等を挙げることができる。
本発明の樹脂組成物の全固形分中、(C)熱重合開始剤は、好ましくは0.01質量%〜10質量%、より好ましくは0.1質量%〜3質量%の割合で添加することができる。
熱重合開始剤は単独若しくは2種以上の併用によって好適に用いられる。
<(D)重合性化合物>
本発の樹脂組成物は、重合性化合物を含有する。
本発明において重合性化合物とは、重合開始剤に由来して発生した開始ラジカルによってラジカル重合可能な炭素−炭素不飽和結合を少なくとも1つ以上有する化合物を意味する。以下に、重合性化合物として付加重合性化合物を用いた場合を例に挙げ、より詳しく述べる。
本発明に使用しうる好ましい重合性化合物としては、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物が挙げられる。この付加重合性化合物は、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれることが好ましい。このような化合物群は当産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に制限なく用いることができる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、即ち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの共重合体、並びにそれらの混合物などの化学的形態をもつ。モノマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基や、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能若しくは多官能イソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、単官能若しくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアナト基や、エポキシ基、等の親電子性置換基を有する、不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、ハロゲン基や、トシルオキシ基、等の脱離性置換基を有する、不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラクロトネート等がある。
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭46−27926号、特公昭51−47334号、特開昭57−196231号各公報記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号、特開昭59−5241号、特開平2−226149号各公報記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。
上記エステルモノマーは混合物としても使用することができる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726号公報記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(B)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH=C(R)COOCHCH(R)OH (B)
(ただし、R及びRは、H又はCHを示す。)
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号各公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号各公報記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。
更に、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号各公報に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、短時間で硬化性の樹脂組成物を得ることができる。
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号各公報記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号公報記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号公報記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。更に日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
反応スピードの点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、画像部、即ち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、反応性と強度の両方を調節する方法も有効である。付加重合性化合物は、本発明の樹脂組成物中に、好ましくは10質量%〜60質量%、更に好ましくは15質量%〜40質量%の範囲で使用される。
また、これらは単独で用いても2種以上併用してもよい。重合性化合物を用いることにより、膜物性、例えば、脆性、柔軟性などを調整することもできる。
本発明の樹脂組成物において用いうる重合性化合物の好ましい具体例を以下に例示するが、これらに限定されるものではない。
このような重合性化合物を含有するレーザー彫刻用樹脂組成物を、レリーフ印刷版原版のレリーフ形成層に適用する場合には、レリーフのエッジ溶融が生じにくくシャープなレリーフが得られやすいという観点から、重合性化合物の中でも、硫黄(S)原子を含有する化合物が特に好ましい。即ち、架橋ネットワーク中にS原子を含んでいる化合物が好ましい。
S原子を含む重合性化合物とS原子を含まない重合性化合物との併用も可能であるが、レリーフのエッジ溶融が起こりにくいという観点で、S原子を含む重合性化合物単独であるほうが好ましい。また、特性の異なるS含有重合性化合物を複数併用することにより、膜の柔軟性の調節等に寄与することも可能である。
S原子を含む重合性化合物の例としては、以下の化合物を挙げることができる。
本発明の樹脂組成物は、必須成分として、前述した(A)無機多孔質体、(B)バインダーポリマー、(C)熱重合開始剤、及び(D)重合性化合物以外にも、後述する、(E)光熱変換剤、(F)可塑剤等の任意成分を含むことが好ましい。
以下、これらの各成分について詳述する。
<(E)光熱変換剤>
本発明の樹脂組成物は、カーボンブラック(以下、「光熱変換剤」とも称する。)を含有する。
このような光熱変換剤を含有することで、本発明の樹脂組成物に対して、例えば、700nm〜1300nmの赤外線を発するレーザー(YAGレーザー、半導体レーザー、ファイバーレーザー、面発光レーザー等)を光源として用いてレーザー彫刻を行う場合、その際の彫刻感度を高めることができる。即ち、このような光熱変換剤は、レーザー光を吸収し、発熱して樹脂組成物の熱分解を促進させることができる。
本発明における光熱変換剤は、波長700nm〜1300nmに極大吸収波長を有する化合物である。特に、波長700nm〜1300nmに吸収極大を有する染料又は顔料であることが好ましい。
染料としては、市販の染料及び例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、ジインモニウム化合物、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。
好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭59−202829号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許434,875号記載のシアニン染料等を挙げることができる。
また、米国特許第5,156,938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号に開示されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。また、染料として好ましい別の例として、米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
また、本発明に用いうる光熱変換剤の好ましい他の例としては、特開2002−278057号に記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げられる。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体、インドレニンシアニン色素が挙げられる。更に、シアニン色素やインドレニンシアニン色素が好ましい。
本発明において、好適に用いることのできるシアニン色素の具体例としては、特開2001−133969号の段落番号[0017]〜[0019]、特開2002−40638号の段落番号[0012]〜[0038]、特開2002−23360号の段落番号[0012]〜[0023]に記載されたものを挙げることができる。
下記一般式(d)又は一般式(e)で表される色素は光熱変換性の観点から好ましい。
一般式(d)中、R29ないしR32は各々独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基を示す。R33及びR34は各々独立に、アルキル基、置換オキシ基、又はハロゲン原子を示す。n及びmは各々独立に0〜4の整数を示す。R29とR30、又はR31とR32はそれぞれ結合して環を形成してもよく、またR29及び/又はR30はR33と、またR31及び/又はR32はR34と結合して環を形成してもよく、更に、R33或いはR34が複数存在する場合に、R33同士或いはR34同士は互いに結合して環を形成してもよい。X及びXは各々独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基であり、X及びXの少なくとも一方は水素原子又はアルキル基を示す。Qは置換基を有していてもよいトリメチン基又はペンタメチン基であり、2価の有機基とともに環構造を形成してもよい。Zcは対アニオンを示す。ただし、一般式(d)で示される色素が、その構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合にはZcは必要ない。好ましいZcは、樹脂組成物の保存安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(d)で示される染料の具体例としては、以下に例示するものを挙げることができる。
一般式(e)中、R35〜R50はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、水酸基、カルボニル基、チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ基、アミノ基、オニウム塩構造を示し、これらの基に置換基が導入可能な場合は、置換基を有してもよい。Mは2つの水素原子若しくは金属原子、ハロメタル基、オキシメタル基を示すが、そこに含まれる金属原子としては、周期律表のIA、IIA、IIIB、IVB族原子、第一、第二、第三周期の遷移金属、ランタノイド元素が挙げられ、中でも、銅、マグネシウム、鉄、亜鉛、コバルト、アルミニウム、チタン、バナジウムが好ましい。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(e)で示される染料の具体例としては、以下に例示するものを挙げることができる。
本発明において使用される顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
顔料の粒径は0.01μmから10μmの範囲にあることが好ましく、0.05μmから1μmの範囲にあることが更に好ましく、特に0.1μmから1μmの範囲にあることが好ましい。顔料の粒径を0.01μm以上にすると、樹脂組成物中での分散安定性が増し、また、10μm以下にすると樹脂組成物から形成された層の均一性が良好になる。
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
本発明における光熱変換剤の好適な態様の1つは、彫刻感度が高い点から、シアニン系化合物及びフタロシアニン系化合物から選択される少なくとも1種の化合物である。更に、これらの光熱変換剤の熱分解温度が、使用されるバインダーポリマーの熱分解温度同等以上という組み合わせ(条件)で使用する場合に更に彫刻感度が高くなる傾向であり好ましい。
本発明で用いうる光熱変換剤の具体例としては、ヘプタメチンシアニン色素等のシアニン系色素、ペンタメチンオキソノール色素等のオキソノール系色素、インドリウム系色素、ベンズインドリウム系色素、ベンゾチアゾリウム系色素、キノリニウム系色素、顕色剤と反応させたフタリド化合物等のうち、700〜1300nmに極大吸収波長を有するものが挙げられる。置換基の種類及び分子内での位置、共役結合の数、対イオンの種類、色素分子の存在する周囲の環境などにより、光吸収特性が極めて大きく変化する。
また、一般に市販されているレーザー色素、過飽和吸収色素、近赤外線吸収色素を使用することもできる。例えば、レーザー色素として、アメリカン・ダイ・ソース社(カナダ国)の商標「ADS740PP」、「ADS745HT」、「ADS760MP」、「ADS740WS」、「ADS765WS」、「ADS745HO」、「ADS790NH」、「ADS800NH」、株式会社林原生物化学研究所社製の商標「NK−3555」、「NK−3509」、「NK−3519」を挙げることができる。また、近赤外線吸収色素として、アメリカン・ダイ・ソース社(カナダ国)商標「ADS775MI」、「ADS775MP」、「ADS775HI」、「ADS775PI」、「ADS775PP」、「ADS780MT」、「ADS780BP」、「ADS793EI」、「ADS798MI」、「ADS798MP」、「ADS800AT」、「ADS805PI」、「ADS805PP」、「ADS805PA」、「ADS805PF」、「ADS812MI」、「ADS815EI」、「ADS818HI」、「ADS818HT」、「ADS822MT」、「ADS830AT」、「ADS838MT」、「ADS840MT」、「ADS845BI」、「ADS905AM」、「ADS956BI」、「ADS1040T」、「ADS1040P」、「ADS1045P」、「ADS1050P」、「ADS1060A」、「ADS1065A」、「ADS1065P」、「ADS1100T」、「ADS1120F」、「ADS1120P」、「ADS780WS」、「ADS785WS」、「ADS790WS」、「ADS805WS」、「ADS820WS」、「ADS830WS」、「ADS850WS」、「ADS780HO」、「ADS810CO」、「ADS820HO」、「ADS821NH」、「ADS840NH」、「ADS880MC」、「ADS890MC」、「ADS920MC」、山本化成株式会社製、商標「YKR−2200」、「YKR−2081」、「YKR−2900」、「YKR−2100」、「YKR−3071」、有本化学工業株式会社製、商標「SDO−1000B」、株式会社林原生物化学研究所社製、商標「NK−3508」、「NKX−114」を挙げることができる。ただし、これらのみに限定されるものではない。
また、顕色剤と反応させたフタリド化合物は、特許第3271226号公報に記載されているものを用いることもできる。また、リン酸エステル金属化合物、例えば特開平6−345820号公報、WO99/10354号パンフレットに記載のあるリン酸エステルと銅塩との複合体を用いることもできる。更に、近赤外線領域に光吸収特性を有する数平均粒子径が好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.1μm以下、更に好ましくは0.08μm以下の超微粒子を用いることもできる。例えば、酸化イットリウム、酸化錫及び/又は酸化インジウム、酸化銅、酸化鉄等の金属酸化物、或いは金、銀、パラジウム、白金等の金属などを挙げることもできる。更に、数平均粒子径が5μm以下、より好ましくは1μm以下の、ガラス等の微粒子中に銅、錫、インジウム、イットリウム、クロム、コバルト、チタン、ニッケル、バナジウム、希土類元素のイオン等の金属イオンを添加したものを用いることもできる。また、樹脂組成物に含有される他の成分と反応し光吸収波長が変化するような色素の場合、マイクロカプセル中に含有させることもできる。その場合、カプセルの数平均粒子径は、10μm以下が好ましく、より好ましくは5μm以下、更に好ましくは1μm以下である。イオン交換体微粒子に銅、錫、インジウム、イットリウム、希土類元素等の金属イオンを吸着させたものを用いることもできる。イオン交換体微粒子としては、有機系樹脂微粒子であっても無機系微粒子であっても構わない。無機系微粒子としては、例えば非晶質リン酸ジルコニウム、非晶質ケイリン酸ジルコニウム、非晶質ヘキサメタリン酸ジルコニウム、層状リン酸ジルコニウム、網状リン酸ジルコニウム、タングステン酸ジルコニウム、ゼオライト等を挙げることができる。有機系樹脂微粒子としては、通常使用されているイオン交換樹脂、イオン交換セルロース等を挙げることができる。
本発明における光熱変換剤の最も好適な態様は、彫刻感度が高いという点でカーボンブラックである。カーボンブラックは有機染料や有機顔料に比べて耐熱性が高いので、レーザー照射中に自身の光熱変換で生じた熱により自己分解してしまうことがほとんどなく、また、レーザー照射中に安定的に発熱できることから、熱架橋の架橋効率を向上させうるためと推定している。一方、有機染料や有機顔料は、有機化合物であるという性質上、耐熱性が低く、レーザー照射中に自身の光熱変換で生じた熱により自己分解してしまい、カーボンブラックと比較した場合にはレーザー照射中の安定的な発熱という点で劣る。
上記のような理由から、カーボンブラックを用いた場合に、特に高感度になるものと考えられる。
カーボンブラックは、樹脂組成物中における分散性などが安定である限り、ASTMによる分類のほか、用途(例えば、カラー用、ゴム用、乾電池用など)の如何に拘らずいずれも使用可能である。カーボンブラックには、例えば、ファーネスブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラックなどが含まれる。なお、カーボンブラックなどの黒色着色剤は、分散を容易にするため、必要に応じて分散剤を用い、予めニトロセルロースやバインダーなどに分散させたカラーチップやカラーペーストとして使用することができ、このようなチップやペーストは市販品として容易に入手できる。
カーボンブラックの場合、UV光などを利用した光架橋ではなく、熱架橋の方が膜の硬化性の点で好ましく、(C)熱重合開始剤である有機過酸化物と組み合わせて用いることで、彫刻感度が極めて高くなるのでより好ましい。
本発明の最も好ましい態様としては、前述の如く、(B)バインダーポリマーとしてガラス転移温度が室温(20℃)以上のものを用い、(C)熱重合開始剤である有機過酸化物と(E)光熱変換剤であるカーボンブラックとを組み合わせて用いた態様を挙げることができる。
(C)熱重合開始剤として(c)有機過酸化物を用いて樹脂組成物を架橋した際、未反応の有機過酸化物が膜中に残存し、残存した有機過酸化物は、自己反応性の添加剤として働き、レーザー彫刻時に発熱的に分解する。その結果、照射されたレーザーエネルギーに発熱分が加算されるので彫刻感度が高くなる。ここへ更にカーボンブラックが共存すると、カーボンブラックの光熱変換機能で発生した熱が(B)バインダーポリマーのみならず、(c)有機過酸化物にも伝達される結果、カーボンブラックだけでなく有機過酸化物からも発熱するので、(B)バインダーポリマーの分解に使用されるべき熱エネルギーの発生が相乗的に起こる。カーボンブラック以外の有機染料や有機顔料の場合でも機構的には同じような考え方ができるが、前述したように、有機染料や有機顔料は耐熱性が低いために上記相乗的な発熱に耐えられず途中で分解してしまうためにカーボンブラックにおける程の高感度化は達成し得ないものと考えられる。
また、(B)バインダーポリマーのガラス転移温度が室温(20℃)以上の場合には、前述のように有機過酸化物の分解に由来して発生した熱やカーボンブラックからの発熱が、(B)バインダーポリマー効率よく伝達され、この熱が、(B)バインダーポリマーの熱分解に有効に利用されるため、このような効果を奏するものと推定される。
さらに、本発明の樹脂組成物を適用してレリーフ印刷版原版のレリーフ形成層を形成する場合において、無機多孔質体とともに、カーボンブラックを併用すると、良好な面状のレリーフ形成層を得ることができる。その推定される作用機構は既述の通りである。
本発明の樹脂組成物における光熱変換剤の含有量は、その分子固有の分子吸光係数の大きさにより大きく異なるが、樹脂組成物中の全固形分に対し0.01質量%〜20質量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.05質量%〜10質量%、特に好ましくは0.1質量%〜5質量%の範囲である。
<(F)可塑剤>
本発明の樹脂組成物は、(F)可塑剤を含有することが好ましい。
可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、メチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等がある。また、可塑剤として、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール(モノオール型やジオール型)、ポリプロピレングリコール(モノオール型やジオール型)がある。
可塑剤は、樹脂組成物により形成される樹脂造形物を柔軟化する作用を有するものであり、バインダーポリマーに対して相溶性の良いものである必要がある。一般に、バインダーポリマーに対しては、親水性の高い化合物が、相溶性が良好である。親水性の高い化合物の中でも、例えば、直鎖にヘテロ原子を含むエーテル化合物や2級アミンなどの親水性基と疎水性基が交互に続く構造をとるものが好ましく用いられる。−O−や−NH−のような親水性基の存在がPVB構造中のビニルアルコール単位、ポリアミド構造中のアミド結合、或いは、アクリル樹脂中のエステル結合などとの相溶性を発現し、それ以外の疎水性基がPVB、ポリアミド、アクリル樹脂などの分子間力を弱めて柔軟化の向上に寄与するためである。
また、可塑剤としては、PVB構造中のビニルアルコール単位、ポリアミド構造中のアミド結合、或いは、アクリル樹脂中のエステル結合などとの間に水素結合を形成しうる水酸基の少ない化合物が好ましく用いられる。このような化合物に該当するのは、エチレングリコール、プロピレングリコール、及びこれらの二量体、三量体、及び四量体以上の単独多量体や共多量体、ジエタノールアミン、ジメチロールアミンのような2級アミン類である。これらの中でも、立体障害が小さく相溶性にすぐれ、毒性が低いエチレングリコール類(単量体、二量体、三量体、多量体)が可塑剤(G)として特に好ましく用いられる。
エチレングリコール類は、その分子量により3種類に大別される。第一に単量体であるエチレングリコール、第二に二量体であるジエチレングリコールと三量体であるトリエチレングリコール、第三に四量体以上のポリエチレングリコールである。ポリエチレングリコールは、分子量200〜700の液状ポリエチレングリコールと分子量1000以上の固体ポリエチレングリコールに大別され、語尾に平均分子量をつけた名称で市販されているものを用いてもよい。
可塑剤の分子量が低分子であるほど、樹脂を柔軟化する効果が高いことから、可塑剤のとして特に好ましく用いられるのは、第一のグループであるエチレングリコール、第二のグループであるジエチレングリコール及びトリエチレングリコール、第三のグループに含まれるテトラエチレングリコール(四量体)であるが、中でも、毒性が低く、樹脂造形物中からの抽出がなく取り扱い性に優れる点で、より好ましく用いられる可塑剤は、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及びテトラエチレングリコールである。また、これらの2種以上の混合物も好ましく用いられる。
可塑剤は、樹脂組成物の全固形分に対し10質量%以下添加することができる。
<彫刻感度向上のための添加剤>
−ニトロセルロース−
本発明の樹脂組成物には、彫刻感度向上のための添加剤として、ニトロセルロースを加えることがより好ましい。ニトロセルロースは自己反応性化合物であるため、レーザー彫刻時、自身が発熱し、共存するバインダーポリマーの熱分解をアシストする。その結果、彫刻感度が向上すると推定される。
ニトロセルロースの種類は、熱分解可能である限り特に制限されず、RS(regular soluble)タイプ,SS(spirit soluble)タイプ及びAS(alcohol soluble)タイプのいずれであってもよい。ニトロセルロースの窒素含量は、通常、10質量%〜14質量%程度、好ましくは11〜12.5質量%、更に好ましくは11.5質量%〜12.2質量%程度である。ニトロセルロースの重合度も、例えば、10〜1500程度の広い範囲で選択できる。好ましいニトロセルロースの重合度は、例えば、10〜900、特に15〜150程度である。好ましいニトロセルロースには、JIS K6703「工業用ニトロセルロース」(ハーキュレスパウダー社の粘度表示法)による溶液粘度が20秒〜1/10秒、好ましくは10秒〜1/8秒程度のニトロセルロースが含まれる。ニトロセルロースとしては、溶液粘度5秒〜1/8秒、特に1秒〜1/8秒程度のニトロセルロースを用いることができる。
なお、本発明の樹脂組成物が含有しうるニトロセルロースとしては、酢酸エチルなどのエステル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトンやセロソルブなどのエーテル類に可溶なRSタイプのニトロセルロース(例えば、窒素含量11.7〜12.2%程度のニトロセルロース)を用いることができる。
ニトロセルロースは、必要に応じて2種以上を併用してもよい。ニトロセルロースの含有量は、本本発明の樹脂組成物の感度を低下させない範囲で選択でき、例えば、バインダーポリマー及び重合性化合物100質量部に対して、5質量部〜300質量部、好ましくは20質量部〜250質量部、更に好ましくは50質量部〜200質量部であり、40質量部〜200質量部であることが好ましい。
−高熱伝導性物質−
本発明の樹脂組成物には、彫刻感度向上のための添加剤として、熱伝達を補助する目的で、高熱伝導性物質を加えることがより好ましい。
高熱伝導性物質としては、例えば、金属粒子等の無機化合物、導電性ポリマー等の有機化合物が挙げられる。
金属粒子としては、粒径がマイクロメートルオーダーから数ナノメートルオーダーの金微粒子、銀微粒子、銅微粒子が好ましい。
導電性ポリマーとしては、一般に知られる導電性ポリマーを好適に用いることができる。導電性ポリマーの中でも、特に共役ポリマーが好ましく、具体的には、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリイソチアナフテン、ポリピロール、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリアセチレン及びこれらの誘導体が好ましく、高感度であるという点でポリアニリン、ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェン及びこれらの誘導体が更に好ましく、特に好ましくはポリアニリンである。ポリアニリンを用いる場合、エメラルディンベース又はエメラルディン塩のどちらの形態で添加してもよいが、熱伝達効率が高い点でエメラルディン塩であることが好ましい。
金属粒子及び導電性ポリマーとしては、アルドリッチ社、和光純薬(株)、東京化成工業(株)、三菱レイヨン(株)、Panipol社などから提供される市販品を用いることもできる。例えば、熱伝達効率向上の点で最も好ましいのは、「aquaPASS−01x」(三菱レイヨン(株)製)、「Panipol−W」(Panipol社製)、「Panipol−F」(Panipol社製)である。
導電性ポリマーを用いる場合には、水分散液或いは水溶液の形態で樹脂組成物に添加することが好ましい。その理由は、前述のように、本発明におけるバインダーポリマーの好ましい態様として、親アルコール性ポリマーが挙げられ、かかるポリマーを用いる場合、樹脂組成物を調製する際の溶媒は水やアルコール系溶媒になることから、導電性ポリマーを水分散液或いは水溶液の形態で添加することで、親アルコール性ポリマーとの相溶性が良好になり、延いては、樹脂組成物により形成されるレリーフ形成層等の造形物の強度を高め、かつ熱伝達効率向上に由来する彫刻感度を向上させうるためである。
<共増感剤>
共増感剤を用いることで、樹脂組成物を硬化させる際の感度を更に向上させることができる。その作用機構は、明確ではないが、多くは次のような化学プロセスに基づくものと考えられる。即ち、重合開始剤により開始される反応とそれに引き続く付加重合反応の過程で生じる様々な中間活性種(ラジカル、カチオン)と、共増感剤が反応し、新たな活性ラジカルを生成するものと推定される。これらは、大きくは、(a)還元されて活性ラジカルを生成しうるもの、(b)酸化されて活性ラジカルを生成しうるもの、(c)活性の低いラジカルと反応し、より活性の高いラジカルに変換するか、若しくは連鎖移動剤として作用するものに分類できるが、個々の化合物がこれらのどれに属するかに関しては通説がない場合も多い。
本発明に適用しうる共増感剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。
(a)還元されて活性ラジカルを生成する化合物
炭素−ハロゲン結合を有する化合物:還元的に炭素−ハロゲン結合が解裂して、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、トリハロメチル−s−トリアジン類や、トリハロメチルオキサジアゾール類等が好適に使用できる。
窒素−窒素結合を有する化合物:還元的に窒素−窒素結合が解裂して、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的にはヘキサアリールビイミダゾール類等が好適に使用される。
酸素−酸素結合を有する化合物:還元的に酸素−酸素結合が解裂して、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、有機過酸化物類等が好適に使用される。
オニウム化合物:還元的に炭素−ヘテロ結合や、酸素−窒素結合が解裂して、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には例えば、ジアリールヨードニウム塩類、トリアリールスルホニウム塩類、N−アルコキシピリジニウム(アジニウム)塩類等が好適に使用される。フエロセン、鉄アレーン錯体類:還元的に活性ラジカルを生成しうる。
(b)酸化されて活性ラジカルを生成する化合物
アルキルアート錯体:酸化的に炭素−ヘテロ結合が解裂して、活性ラジカルを生成すると考えられる。具体的には例えば、トリアリールアルキルボレート類が好適に使用される。
アルキルアミン化合物:酸化により窒素に隣接した炭素上のC−X結合が解裂して、活性ラジカルを生成するものと考えられる。Xとしては、水素原子、カルボキシル基、トリメチルシリル基、ベンジル基等が好適である。具体的には、例えば、エタノールアミン類、N−フェニルグリシン類、N−トリメチルシリルメチルアニリン類等が挙げられる。
含硫黄、含錫化合物:上述のアミン類の窒素原子を硫黄原子、錫原子に置き換えたものが、同様の作用により活性ラジカルを生成しうる。また、S−S結合を有する化合物もS−S解裂による増感が知られる。
α−置換メチルカルボニル化合物:酸化により、カルボニル−α炭素間の結合解裂により、活性ラジカルを生成しうる。また、カルボニルをオキシムエーテルに変換したものも同様の作用を示す。具体的には、2−アルキル−1−[4−(アルキルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロノン−1類、並びに、これらと、ヒドロキシアミン類とを反応したのち、N−OHをエーテル化したオキシムエーテル類を挙げることができる。
スルフィン酸塩類:還元的に活性ラジカルを生成しうる。具体的は、アリールスルフィン駿ナトリウム等を挙げることができる。
(c)ラジカルと反応し高活性ラジカルに変換、若しくは連鎖移動剤として作用する化合物
このような化合物としては、例えば、分子内にSH、PH、SiH、GeHを有する化合物群が用いられる。これらは、低活性のラジカル種に水素供与して、ラジカルを生成するか、若しくは、酸化された後、脱プロトンする事によりラジカルを生成しうる。具体的には、例えば、2−メルカプトベンズチアゾール類、2−メルカプトベンゾオキサゾール類、2−メルカプトベンズイミダゾール類等が挙げられる。
これらの共増感剤のより具体的な例としては、例えば、特開平9−236913号公報中に、感度向上を目的とした添加剤として、多く記載されており、それらを本発明においても適用することができる。以下に、その一部を例示するが、本発明はこれらに限定されるものはない。なお、下記式中、−TMSはトリメチルシリル基を表す。
共増感剤に関しても、先の光熱変換剤と同様、更に、本発明の樹脂組成物の特性を改良するための様々な化学修飾を行うことも可能である。例えば、光熱変換剤や重合性化合物、その他のパートとの結合、親水性部位の導入、相溶性向上、結晶析出抑制のための置換基導入、密着性を向上させる置換基導入、ポリマー化等の方法が利用できる。
共増感剤は、単独で又は2種以上併用して用いることができる。
本発明の樹脂組成物中における共増感剤の含有量は、重合性化合物100質量部に対し、0.05質量部〜100質量部が好ましく、より好ましくは1質量部〜80質量部、更に好ましくは3質量部〜50質量部の範囲である。
<重合禁止剤>
本発明においては、組成物の製造中或いは保存中において重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合禁止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。
また、重合禁止剤としては、本発明の樹脂組成物を保存する際の安定性に非常に優れるという点で、Q−1301(10%トリクレジルホスフェート溶液)(和光純薬製)が好ましい。このQ−1301を重合性化合物と組み合わせて用いると、本発明の樹脂組成物の保存安定性が格段に優れ、また良好なレーザー彫刻感度が得られる。熱重合禁止剤の添加量は、本発明の樹脂組成物に対して0.01質量%〜5質量%が好ましい。
また必要に応じて、酸素による重合阻害を禁止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、支持体等への塗布後の乾燥の過程でその層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、本発明の樹脂組成物中0.5質量%〜10質量%が好ましい。
<着色剤>
更に、本発明の樹脂組成物には、着色を目的として染料若しくは顔料等の着色剤を添加してもよい。これにより、本発明の樹脂組成物をレリーフ印刷板原版に適用した場合などにおいて、画像部の視認性や、画像濃度測定機適性といった性質を向上させることができる。
着色剤としては、特に顔料の使用が好ましい。具体例としては、例えば、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、エチルバイオレット、クリスタルバイオレット、アゾ系染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料などの染料がある。
着色剤の添加量は本発明の樹脂組成物に対し約0.5質量%〜約5質量%が好ましい。
<その他の添加剤>
更に、本発明の樹脂組成物により形成されたの硬化物の物性を改良するために充填剤等の公知の添加剤を加えてもよい。
充填剤としては、例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、黒鉛、シリカ、アルミナ、アルミニウム、炭酸カルシウムなどが挙げられ、単独又はこれらの混合物として用いられる。
[レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版]
本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版は、上述した本発明の樹脂組成物を熱架橋して形成されたレリーフ形成層を有する。該レリーフ形成層は、支持体上に設けられることが好ましい。以下、本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版を、単に、レリーフ印刷版原版と称して説明する場合がある。
本発明のレリーフ印刷版原版におけるレリーフ形成層は、既述のごとく、レーザー彫刻に供した際の彫刻感度が高いことから、高速でレーザー彫刻を行うことができるので、彫刻時間についても短縮することができる。
また、本発明のレリーフ印刷版原版は、製版後の版面における彫刻カスの除去が容易であるという優れた効果を奏する。
さらに、本発明におけるレリーフ形成層は、熱による架橋処理を行った硬質のレリーフ形成層であることから、彫刻によりシャープな形状の凹凸を形成することができる。
このような特徴を有する本発明のレリーフ印刷版原版は、レーザー彫刻が施されるレリーフ印刷版原版の用途に、特に限定なく広範囲に適用することができる。例えば、以下に詳述する、凸状のレリーフ形成をレーザー彫刻により行うためのレリーフ印刷版原版のみならず、表面に凹凸や開口部を形成する他の材形、例えば、凹版、孔版、スタンプ等、レーザー彫刻により画像形成(レリーフ形成)される各種印刷版原版として適用することができる。
なお、本発明では、レーザー彫刻に供する画像形成層としての、予め熱架橋処理された表面が平坦な層をレリーフ形成層と称し、これをレーザー彫刻して表面に凹凸を形成した層をレリーフ層と称する。
以下、本発明のレリーフ印刷版原版の構成要素について説明する。
レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版は、必要により更に、支持体とレリーフ形成層との間に接着層を、また、レリーフ形成層上にスリップコート層、保護フィルムを有していてもよい。
<レリーフ形成層>
レリーフ形成層は、本発明の樹脂組成物を熱架橋して形成された層である。
本発明のレリーフ印刷版原版からレリーフ印刷版を作製する態様としては、本発明の樹脂組成物を熱架橋して形成されたレリーフ形成層を有するレリーフ印刷版原版を、レーザー彫刻することによりレリーフ層を形成してレリーフ印刷版を作製する。本発明におけるレリーフ形成層は熱架橋されていることから、印刷時におけるレリーフ層の摩耗を防ぐことができ、また、レーザー彫刻後にシャープな形状のレリーフ層を有するレリーフ印刷版を得ることができる。
レリーフ形成層は、レリーフ形成層用塗布液を用い、シート状或いはスリーブ状に成形体を形成した後、該成形体を熱架橋することで形成することができる。
未架橋のレリーフ形成層中のバインダーポリマーの総含有量は、該レリーフ形成層を構成する組成物の固形分全質量に対し、30〜80質量%であることが好ましく、40〜70質量%がより好ましい。バインダーポリマーの総含有量を上記範囲とすることで、原版のコールドフローを防止することが可能でとなるとともに、他の機能を向上させるための成分を十分に併用することができ、レリーフ印刷版として使用するに足る耐刷性やその他の諸特性を得ることができるためである。
未架橋のレリーフ形成層中の重合開始剤の含有量は、該レリーフ形成層の固形分全質量に対し0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜3質量%がより好ましい。熱重合開始剤の含有量を0.01質量%以上とすることでレリーフ形成層を形成する際の熱架橋が速やかに行われ、10質量%以下とすることで他成分が不足することがなく、レリーフ印刷版として使用するに足る耐刷性が得られるためである。
未架橋のレリーフ形成層中の重合性化合物の含有量は、該レリーフ形成層の固形分全質量に対し10〜60質量%添加することが好ましく、15〜40質量%がより好ましい。重合性化合物の含有量を10質量%以上とすることでレリーフ印刷版として使用するに好ましい高耐刷性、即ち、添加の効果が十分に得られ、60質量%以下とすることでレリーフ印刷版として使用するに足る強度が得られるためである。
以下、主としてレリーフ形成層をシート状にした場合を例に挙げて説明する。
<支持体>
レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版に使用しうる支持体について説明する。
レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版に支持体に使用する素材は特に限定されないが、寸法安定性の高いものが好ましく使用され、例えば、スチール、ステンレス、アルミニウムなどの金属、ポリエステル(例えばPET、PBT、PAN)やポリ塩化ビニルなどのプラスチック樹脂、スチレン−ブタジエンゴムなどの合成ゴム、ガラスファイバーで補強されたプラスチック樹脂(エポキシ樹脂やフェノール樹脂など)が挙げられる。支持体としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムやスチール基板が好ましく用いられる。支持体の形態は、レリーフ形成層がシート状であるかスリーブ状であるかによって決定される。
レリーフ形成層をスリーブ状とした場合の好ましい支持体については以下に詳述する。
<接着層>
レリーフ形成層と支持体の間には、両層間の接着力を強化する目的で接着層を設けてもよい。
接着層に使用しうる材料は、熱架橋によりレリーフ形成層が形成された後において接着力を強固にするものであればよい。ここで、接着力とは支持体/接着層間及び接着層/レリーフ形成層間の接着力の両者を意味する。
支持体/接着層間の接着力は、支持体/接着層/レリーフ形成層からなる積層体から接着層及びレリーフ形成層を400mm/分の速度で剥離する際、サンプル1cm幅当たりの剥離力が1.0N/cm以上又は剥離不能であることが好ましく、3.0N/cm以上又は剥離不能であることがより好ましい。
接着層/レリーフ形成層の接着力は、接着層/レリーフ形成層から接着層を400mm/分の速度で剥離する際、サンプル1cm幅当たりの剥離力が1.0N/cm以上又は剥離不能であることが好ましく、3.0N/cm以上又は剥離不能であることがより好ましい。
接着層に使用しうる材料(接着剤)としては、例えば、I.Skeist編、「Handbook of Adhesives」、第2版(1977)に記載のものを用いることができる。
<保護フィルム、スリップコート層>
レリーフ形成層は、レーザー彫刻後レリーフが造形される部分(レリーフ層)となり、そのレリーフ層表面はインキ着肉部として機能する。架橋後のレリーフ形成層は架橋により強化されているので、レリーフ形成層表面に印刷に影響を及ぼすほどの傷や凹みが発生することはほとんどない。しかし、架橋前のレリーフ形成層は強度が不足している場合が多く、表面に傷や凹みが入りやすい。かかる観点からは、レリーフ形成層表面への傷・凹み防止の目的で、レリーフ形成層表面に保護フィルムを設けてもよい。
保護フィルムは、薄すぎると傷・凹み防止の効果が得られず、厚すぎると取り扱いが不便になり、コスト高にもなる。よって、保護フィルムの厚さは25μm〜500μmが好ましく、50μm〜200μmがより好ましい。
保護フィルムは、印刷版の保護フィルムとして公知の材質、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)のようなポリエステル系フィルム、PE(ポリエチレン)やPP(ポリプロピレン)のようなポリオレフィン系フィルムを用いることができる。またフィルムの表面はプレーンでもよいし、マット化されていてもよい。
レリーフ形成層上に保護フィルムを設ける場合、保護フィルムは剥離可能でなければならない。
保護フィルムが剥離不可能な場合や、逆にレリーフ形成層に接着しにくい場合には、両層間にスリップコート層を設けてもよい。
スリップコート層に使用される材料は、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、部分鹸化ポリビニルアルコール、ヒドロシキアルキルセルロース、アルキルセルロース、ポリアミド樹脂など、水に溶解又は分散可能で、粘着性の少ない樹脂を主成分とすることが好ましい。これらの中で、粘着性の面から、鹸化度60〜99モル%の部分鹸化ポリビニルアルコール、アルキル基の炭素数が1〜5のヒドロキシアルキルセルロース及びアルキルセルロースが特に好ましく用いられる。
レリーフ形成層(及びスリップコート層)/保護フィルムから保護フィルムを200mm/分の速度で剥離する時、1cm当たりの剥離力が5mN/cm〜200mN/cmであることが好ましく、10mN/cm〜150mN/cmが更に好ましい。5mN/cm以上であれば、作業中に保護フィルムが剥離することなく作業でき、200mN/cm以下であれば無理なく保護フィルムを剥離することができる。
−レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版の作製方法−
次に、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版の作製方法について説明する。
レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版におけるレリーフ形成層の形成は、特に限定されるものではないが、例えば、レリーフ形成層用塗布液を調製し、例えば、このレリーフ形成層用塗布液から溶剤を除去した後に、支持体上に溶融押し出しする方法、或いは、レリーフ形成層用塗布液を、支持体上に流延し、これをオーブン中で乾燥して塗布液から溶媒を除去する方法により、未架橋のレリーフ形成層を形成し、該未架橋のレリーフ形成層に対して、熱架橋処理を行うことにより形成されることが好ましい。
その後、必要に応じてレリーフ形成層の上に保護フィルムをラミネートしてもよい。ラミネートは、加熱したカレンダーロールなどで保護フィルムとレリーフ形成層を圧着することや、表面に少量の溶媒を含浸させたレリーフ形成層に保護フィルムを密着させることよって行うことができる。
保護フィルムを用いる場合には、先ず保護フィルム上にレリーフ形成層を積層し、次いで支持体をラミネートする方法を採ってもよい。
接着層を設ける場合は、接着層を塗布した支持体を用いることで対応できる。スリップコート層を設ける場合は、スリップコート層を塗布した保護フィルムを用いることで対応できる。
レリーフ形成層用塗布液は、例えば、前記(A)〜(D)の必須成分に加え、任意成分として、光熱変換剤、可塑剤を適当な溶媒に溶解させ、次いで重合開始剤及び重合性化合物を溶解させることによって製造できる。
溶媒成分のほとんどはレリーフ印刷版原版を製造する段階で除去する必要があるので、溶媒としては揮発しやすい低分子アルコール(例えばエタノール)等を用い、かつ溶媒の全添加量をできるだけ少なく抑えることが好ましい。系を高温にすることで、溶媒の添加量を抑制することができるが、温度が高すぎると重合性化合物が重合反応し易くなるため、重合性化合物及び/又は重合開始剤の添加後のレリーフ形成層用塗布液の調製温度は30℃〜80℃が好ましい。
本発明のレリーフ印刷版原版におけるレリーフ形成層の厚さは、0.05mm以上10mm以下が好ましく、より好ましくは0.05mm以上7mm以下、特に好ましくは0.05mm以上3mm以下である。
次に、レリーフ形成層をスリーブ状に形成する場合について説明する。スリーブ状に成形する場合においても、公知の樹脂成型方法を適用することができる。例えば、注型法、ポンプや押し出し機などの機械で樹脂をノゾルやダイスから押し出し、ブレードで厚みを合わせる、ロールによりカレンダー加工して厚みを合わせる方法などを例示できる。その際、レリーフ形成層を構成する組成物の特性を損なわない程度の温度で加熱しながら、成形してもよい。また、必要に応じて圧延処理、研削処理などを施すこともできる。
レリーフ形成層をスリーブ状とする場合、当初からレリーフ形成層自体を円筒状に成形してもよく、また、まずシート状に成型したのち、円筒状支持体上に固定することで円筒状とすることもできる。円筒状支持体への固定方法には特に制限はなく、例えば、両面に接着層、粘着層などが形成された粘着テープによる固定、或いは、接着剤層を介する固定などを行うことができる。
粘着テープとしては、ポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルムなどのフィルム基材の両面に、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、スチレン系熱可塑性エラストマーなどからなる接着剤層、粘着剤層を形成したテープ、ポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂の発泡体を基材とし、その両面に前記と同様の接着剤層、粘着剤層を形成したクッション性を有する粘着テープが挙げられ、市販の両面テープや両面粘着剤層を有するクッションテープなども適宜使用することができる。
また、支持体とレリーフ形成層とを接着剤層を介して固定化する場合の接着剤層は、公知の接着剤を用いて形成することができる。レリーフ形成層を円筒形支持体に固定化する際に使用しうる接着剤としては、例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム、二トリルゴムなどのゴム系接着剤、シリル基を含有するポリウレタン樹脂やシリコーン樹脂などの空気中の湿気による硬化する接着剤等を挙げることができる。
レリーフ形成層を円筒状に成型する場合、公知の方法にて、円筒状に成形し、これを円筒形支持体上に固定化してもよく、円筒状支持体上に直接レリーフ形成層前駆体を押し出し成形などで、成型し、スリーブ状としてもよい。生産性の観点からは、前者の方法をとることが好ましい。レリーフ形成層をスリーブ状とする場合でも、円筒状支持体に固定化した後、必要に応じて架橋、硬化させることができ、更に、所望により圧延処理、研削処理などを施すこともできる。
レリーフ形成層をスリーブ状とする場合に用いる円筒状支持体としては、ニッケル、ステンレス、鉄、アルミなどの金属からなる金属スリーブ、樹脂で成形されたプラスチックスリーブ、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維などを強化繊維とする繊維強化プラスチックからなるFRPスリーブ、高分子フィルムにより成形され、圧縮空気により形状が維持されるスリーブなどを用いることができる。
円筒状支持体の厚みは目的に応じて任意に選択されるが、一般的には、印刷時の圧力で破損しない強度であれば、厚み0.1mm以上であればよく、金属スリーブや硬質のプラスチックスリーブなどでは、5mm以上のものも使用でき、回転軸に固定化された中空ではない円筒形支持体も用いることができる。
伸縮性を有するレリーフ形成層を効果的に固定化するという観点からは、6バール程度の圧縮空気圧で円筒状支持体の内径が膨張でき、当該圧縮空気圧が開放された後に元の内径に戻るような特性を有する支持体が好ましい。このように圧縮空気などによりその径を容易に調整しうる構造を有する支持体を用いることで、スリーブ状のレリーフ形成層に内部から応力を与えることができ、レリーフ形成層の巻き締まり特性が機能し、印刷時の応力に対しても、レリーフ層を安定に版胴上に固定することができるため、好ましい。
未架橋のレリーフ形成層の形成後、該未架橋のレリーフ形成層に対して熱架橋処理が行われ、レリーフ形成層が形成される。即ち、熱架橋処理により、前記(A)〜(D)の各成分を含み、好ましくは、更に光熱変換剤等を含む未架橋のレリーフ形成層(樹脂組成物)において、熱重合開始剤の作用で重合性化合物を反応させて架橋を形成して、レリーフ形成層が形成される。熱重合開始剤はラジカル発生剤であることが好ましい。
本発明におけるレリーフ形成層は熱架橋されたにより、レリーフ形成層の表面から内部まで均一に硬化(架橋)された層となる。また、レリーフ形成層が熱架橋されていることで、第1にレーザー彫刻後形成されるレリーフがシャープになり、第2にレーザー彫刻の際に発生する彫刻カスの粘着性が抑制されるという利点がある。未架橋のレリーフ形成層をレーザー彫刻すると、レーザー照射部の周辺に伝播した余熱により、本来意図していない部分が溶融、変形しやすく、シャープなレリーフ層が得られない場合がある。また、素材の一般的な性質として、低分子なものほど固形ではなく液状になり、即ち粘着性が強くなる傾向がある。レリーフ形成層を彫刻する際に発生する彫刻カスは、低分子の材料を多く用いるほど粘着性が強くなる傾向がある。低分子である重合性化合物は架橋することで高分子になるため、発生する彫刻カスは粘着性が少なくなる傾向がある。
加熱手段としては、印刷版原版を熱風オーブンや遠赤外オーブン内で所定時間加熱する方法や、加熱したロールに所定時間接する方法が挙げられる。
架橋処理における加熱温度は、重合開始剤の分解性や溶媒の沸点を考慮して任意に調整可能であるが、膜面状を均一にし、かつ乾燥を十分に行う点で、60〜160℃が好ましく、より好ましくは70〜150℃である。また、加熱時間としては、版材成分の熱安定性の点で10分〜24時間が好ましく、より好ましくは30分〜15時間、特に好ましくは1〜12時間である。
熱による架橋処理は、特別高価な装置を必要としない利点があるが、印刷版原版が高温になるので、高温で柔軟になる熱可塑性ポリマーは加熱中に変形する可能性がある等、使用する原材料は慎重に選択する必要がある。
[レリーフ印刷版及びその製造]
本発明のレリーフ印刷版原版を用いたレリーフ印刷版の製造方法は、レリーフ形成層をレーザー彫刻してレリーフ層を形成する工程(以下、彫刻工程と称する。)、を含むことが好ましい。本発明のレリーフ印刷版原版を用いて、このような製造方法により、支持体上にレリーフ層を有するレリーフ印刷版を製造することができる。
本発明におけるレリーフ印刷版の好ましい製造方法では、彫刻工程に次いで、更に、必要に応じて下記リンス工程、乾燥工程、及び後架橋工程を含んでもよい。
リンス工程: 彫刻後のレリーフ層表面を、水又は水を主成分とする液体で彫刻表面をリンスする工程。
乾燥工程: 彫刻されたレリーフ層を乾燥する工程。
後架橋工程: 彫刻後のレリーフ層にエネルギーを付与し、レリーフ層を更に架橋する工程。
彫刻工程では、レリーフ形成層をレーザー彫刻してレリーフ層を形成する工程である。彫刻工程においては、後述する特定のレーザーにより、形成したい画像に対応したレーザー光を照射してレリーフを形成し、レリーフ層を形成することが好ましい。
具体的には、架橋されたレリーフ形成層に対して形成したい画像に対応したレーザー光を照射して彫刻を行うことによりレリーフ層を形成する。好ましくは、形成したい画像のデジタルデータを元にコンピューターでレーザーヘッドを制御し、レリーフ形成層に対して走査照射する工程が挙げられる。赤外線レーザーが照射されると、レリーフ形成層中の分子が分子振動し、熱が発生する。赤外線レーザーとして炭酸ガスレーザーやYAGレーザーのような高出力のレーザーを用いると、レーザー照射部分に大量の熱が発生し、レリーフ形成層中の分子は分子切断或いはイオン化されて選択的な除去、即ち彫刻がなされる。この時、レリーフ形成層中の光熱変換剤によっても露光領域が発熱するため、この光熱変換剤により発生した熱もまた、この除去性を促進する。
レーザー彫刻の利点は、彫刻深さを任意に設定できるため、構造を3次元的に制御することができる点である。例えば、微細な網点を印刷する部分は浅く或いはショルダーをつけて彫刻することで、印圧でレリーフが転倒しないようにすることができ、細かい抜き文字を印刷する溝の部分は深く彫刻することで、溝にインキが埋まりにくくなり、抜き文字つぶれを抑制することが可能となる。
中でも光熱変換剤の極大吸収波長に対応した赤外線レーザーで彫刻する場合に、前述の光熱変換剤からの発熱が効率よく行われるために、より高感度かつシャープなレリーフ層が得られる。
彫刻に用いられる赤外線レーザーとしては、生産性、コスト等の面から、炭酸ガスレーザー又は半導体レーザーが好ましく用いられ、中でも、以下に詳述するファイバー付き半導体赤外線レーザーが特に好ましく用いられる。
〔半導体レーザーを備えた製版装置〕
一般に、半導体レーザーは、COレーザーに比べレーザー発振が高効率且つ安価で小型化が可能である。また、小型であるためアレイ化が容易である。ビーム径の制御は、結像レンズ、特定の光ファイバーを用いて行われる。ファイバー付き半導体レーザーは、更に光ファイバーを取り付けることで効率よくレーザー光を出力できるため本発明における画像形成には有効である。更に、ファイバーの処理によりビーム形状を制御できる。例えば、ビームプロファイルはトップハット形状とすることができ安定に版面にエネルギーを与えることができる。半導体レーザーの詳細は、「レーザーハンドブック第2版」レーザー学会編、実用レーザー技術 電子通信学会 等に記載されている。
また、本発明のレリーフ印刷版原版を用いたレリーフ印刷版の製造方法に好適に使用しうるファイバー付き半導体レーザーを備えた製版装置は、本願出願人が提出した特願2008−15460号明細書、特願2008−58160号明細書に詳細に記載され、これを本発明に係るレリーフ印刷版の製版に使用することができる。
半導体レーザーとしては、波長が700nm〜1300nmのものであれば利用可能であるが、800nm〜1200nmのものが好ましく、860nm〜1200nmのものがより好ましく、900nm〜1100nmであるものが特に好ましい。
GaAsのバンドギャップが室温で860nmであるため、860nm未満の領域では、一般的に、半導体を構成する活性層の材料としてAlGaAs系の材料が用いられる。一方、バンドギャップ860nm以上の領域では、半導体を構成する活性層の材料としてInGaAs系の材料が用いられる。一般に、Alは酸化されやすいためInGaAs系材料を活性層に含む半導体レーザーの方が、AlGaAs系の材料を活性層に含むものよりも信頼性が高いため、これをバンドギャップ860nm〜1200nmの領域で用いることが望ましい。
さらに、実用的な半導体レーザーとしては、半導体を構成する活性層材料のみならずクラッド材料の組成なども考慮すると、InGaAs系材料を活性層に含む半導体レーザーが好ましい。InGaAs系材料を活性層に含む半導体レーザーは、波長が900nm〜1100nmの範囲の領域において、より高出力で高信頼なものが得られやすいため、InGaAs系材料を活性層に含み、波長が900nm〜1100nmの範囲である半導体レーザーがさらに好ましい態様である。従って、波長900nm〜1100nmのInGaAs系の材料を活性層に持つファイバー付き半導体レーザーを用いることにより、低コスト、高生産性をより高度に達成しうる。
以下、本発明のレリーフ印刷版原版を用いたレリーフ印刷版の作製に使用しうるファイバー付き半導体レーザー記録装置10を備える製版装置11の一態様について、図1を参照して、その構成について説明する。
本発明に使用しうるファイバー付き半導体レーザー記録装置10を備える製版装置11は、外周面に、本発明のレリーフ印刷版原版F(記録媒体)が装着されたドラム50を主走査方向に回転させると共に、レリーフ印刷版原版Fに彫刻(記録)すべき画像の画像データに応じた複数のレーザビーム同時に射出しつつ、所定ピッチで露光ヘッド30を主走査方向と直交する副走査方向に走査させることで、2次元画像をレリーフ印刷版原版Fに高速で彫刻(記録)する。また、狭い領域を彫刻(細線や網点などの精密彫刻)する場合などはレリーフ印刷版原版Fを浅彫りし、広い領域を彫刻する場合などはレリーフ印刷版原版Fを深彫りする。
図1に示すように、製版装置11は、レーザビームによって彫刻され画像が記録されるレリーフ印刷版原版Fが装着され且つレリーフ印刷版原版Fが主走査方向に移動するように図1矢印R方向に回転駆動されるドラム50と、レーザ記録装置10と、を含んで構成されている。レーザ記録装置10は、複数のレーザビームを生成する光源ユニット20と、光源ユニット20で生成された複数のレーザビームをレリーフ印刷版原版Fに露光する露光ヘッド30と、露光ヘッド30を副走査方向に沿って移動させる露光ヘッド移動部40と、を含んで構成されている。
光源ユニット20には、各々光ファイバ22A、22Bの一端部が個別にカップリングされたブロードエリア半導体レーザによって構成された半導体レーザ21A,21Bと、半導体レーザ21A,21Bが表面に配置された光源基板24A,24Bと、光源基板24A,24Bの一端部に垂直に取り付けられると共にSC型光コネクタ25A、25Bのアダプタが複数(半導体レーザ21A,21Bと同数)設けられたアダプタ基板23A,23Bと、光源基板24A,24Bの他端部に水平に取り付けられると共にレリーフ印刷版原版Fに彫刻(記録)する画像の画像データに応じて半導体レーザ21A,21Bを駆動するLDドライバー回路26が設けられたLDドライバー基板27A,27Bと、が備えられている。
露光ヘッド30には、複数の半導体レーザ21A,21Bから射出された各レーザビームを取り纏めて射出するファイバーアレイ部300が備えられている。このファイバーアレイ部300には、各々アダプタ基板23A,23Bに接続されたSC型光コネクタ25A,25Bに接続された複数の光ファイバ70A,70Bによって、各半導体レーザ21A,21Bから射出されたレーザビームが伝送される。
図1に示すように、露光ヘッド30には、ファイバーアレイ部300側より、コリメータレンズ32、開口部材33、及び結像レンズ34が、順番に並んで配列されている。なお、開口部材33は、ファイバーアレイ部300側からみ見て、開口がファーフィールド(far field)の位置となるように配置されている。これによって、ファイバーアレイ部300における複数の光ファイバ70A,70Bの光ファイバ端部71A,71Bから射出された全てのレーザビームに対して同等の光量制限効果を与えることができる。
コリメータレンズ32及び結像レンズ34で構成される結像手段によって、レーザビームはレリーフ印刷版原版Fの露光面(表面)FAの近傍に結像される。
前記ファイバー付き半導体レーザーではビーム形状を変化させることが可能であるため、本発明においては、結像位置(結像位置)Pは、露光面FAから内部側(レーザビームの進行方向側)の範囲とすることで、露光面(レリーフ形成層表面)FAのビーム径を10μm〜80μmの範囲に制御することが、効率のよい彫刻を行う、細線再現性が良好となる等の観点から望ましい。
露光ヘッド移動部40には、長手方向が副走査方向に沿うように配置されたボールネジ41及び2本のレール42が備えられており、ボールネジ41を回転駆動する副走査モータ43を作動させることによって、露光ヘッド30が設けられた台座部310をレール42に案内された状態で副走査方向に移動させることができる。また、ドラム50は主走査モータ(図示せず)を作動させることによって、図1の矢印R方向に回転させることができ、これによって主走査がなされる。
また、彫刻したい形状の制御において、ファイバー付き半導体レーザーのビーム形状を変化させず、レーザーに供給するエネルギー量を変化させることで彫刻領域の形状を変化させることも可能である。
具体的には、半導体レーザーの出力を変えて制御する方法、レーザー照射時間を変えて制御する方法がある。
彫刻表面に彫刻カスが付着している場合は、水又は水を主成分とする液体で彫刻表面をリンスして、彫刻カスを洗い流すリンス工程を追加してもよい。リンスの手段として、高圧水をスプレー噴射する方法、感光性樹脂凸版の現像機として公知のバッチ式或いは搬送式のブラシ式洗い出し機で、彫刻表面を主に水の存在下でブラシ擦りする方法などが挙げられ、彫刻カスのヌメリがとれない場合は、石鹸を添加したリンス液を用いてもよい。
彫刻表面にリンス工程を行った場合、彫刻されたレリーフ形成層を乾燥してリンス液を揮発させる乾燥工程を追加することが好ましい。
更に、必要に応じてレリーフ形成層を更に架橋させる後架橋工程(追加の架橋処理)を追加してもよい。後架橋工程を行うことにより、彫刻によって形成されたレリーフをより強固にすることができる。
以上のようにして、支持体上にレリーフ層を有するレリーフ印刷版が得られる。
レリーフ印刷版が有するレリーフ層の厚さは、耐磨耗性やインキ転移性のような種々の印刷適性を満たす観点からは、0.05mm以上10mm以下が好ましく、より好ましくは0.05mm以上7mm以下、特に好ましくは0.05mm以上3mm以下である。
また、レリーフ印刷版が有するレリーフ層のショアA硬度は、50°以上90°以下であることが好ましい。
レリーフ層のショアA硬度が50°以上であると、彫刻により形成された微細な網点が凸版印刷機の強い印圧を受けても倒れてつぶれることがなく、正常な印刷ができる。また、レリーフ層のショアA硬度が90°以下であると、印圧がキスタッチのフレキソ印刷でもベタ部での印刷かすれを防止することができる。
なお、本明細書におけるショアA硬度は、測定対象の表面に圧子(押針又はインデンタと呼ばれる)を押し込み変形させ、その変形量(押込み深さ)を測定して、数値化するデュロメータ(スプリング式ゴム硬度計)により測定した値である。
本発明のレリーフ印刷版原版を用いて製造されたレリーフ印刷版は、凸版用印刷機による水性インキ、油性インキ、及び、UVインキ、いずれのインキを用いた場合でも、印刷が可能であり、また、フレキソ印刷機によるUVインキでの印刷も可能である。本発明のレリーフ印刷版原版より得られるレリーフ印刷版は、水性インキ適性、UVインキ適性のいずれにも優れるため、インキに起因するレリーフ層の強度低下や耐刷性低下の懸念がなく、印刷が実施できる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、実施例におけるポリマーの重量平均分子量(Mw)は、特に断らない限りにおいて、GPC法で測定した値を表示している。
[実施例1]
1.レーザー彫刻用架橋性樹脂組成物の調製
撹拌羽及び冷却管をつけた3つ口フラスコ中に、(A)無機多孔質体として「サイリシア310P(富士シリシア化学(株)製)5質量部、(B)バインダーポリマーとして「デンカブチラール#3000−2」(電気化学工業(株)製、ポリビニルブチラール誘導体、Mw=1.9万)50質量部、(E)光熱変換剤としてケッチェンブラックEC600JD(カーボンブラック、ライオン(株)製)を1質量部、、溶媒としてエタノール47質量部を入れ、撹拌しながら70℃で120分間加熱しポリマーを溶解させた。その後、溶液を40℃にし、さらに(D)重合性化合物(多官能体)としてエチレン性不飽和モノマーであるM−1(下記構造)を15質量部、及び、重合性化合物(単官能体)としてブレンマーLMA(日油(株)製)33質量部、(C)熱重合開始剤としてパーブチルZ(日油(株)製)を1質量部添加して30分間撹拌し、流動性のあるレリーフ形成層用塗布液1(レーザー彫刻用樹脂組成物)を得た。
2.レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版の作製
PET基板上に所定厚のスペーサー(枠)を設置し、上記より得られた架橋性レリーフ形成層用塗布液1をスペーサー(枠)から流出しない程度に静かに流延し、70℃のオーブン中で3時間乾燥させて、厚さが凡そ1mmの未架橋のレリーフ形成層を設けた。
次いで、未架橋のレリーフ形成層を、120℃で2.5時間加熱して熱架橋処理を行い、熱架橋されたレリーフ形成層を形成した。
さらに、レリーフ形成層表面に保護フィルム(サンドブラスト法にて表面粗さRa=0.3μmとしたPETシート)を設け、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版1を得た。
3.レリーフ印刷版の作製
熱架橋されたレリーフ形成層に対し、以下の2種のレーザーにより彫刻を施し、レリーフ印刷版1を作製した。
第1のレーザーとしては、炭酸ガスレーザー彫刻機として、高品位COレーザーマーカML−9100シリーズ(KEYENCE(株)製)を用いてレーザー照射による彫刻を行った。まず、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版から保護フィルムを剥離後、該炭酸ガスレーザー彫刻機で、出力:12W、ヘッド速度:200mm/秒、ピッチ設定:2400DPIの条件で、1cm四方のベタ部分をラスター彫刻した。(この第1のレーザーを用いて評価した結果は、表中に「COレーザー」と表記する。)
第2のレーザーとして、半導体レーザー彫刻機として、最大出力8.0Wのファイバー付き半導体レーザー(FC−LD)SDL−6390(JDSU社製、波長:915nm)を装備した、前述の図1に示すレーザー記録装置を用いた。半導体レーザー彫刻機でレーザー出力:7.5W、ヘッド速度:409mm/秒、ピッチ設定:2400DPIの条件で、1cm四方のベタ部分をラスター彫刻した。(この第2のレーザーを用いて評価した結果は表中に「FC−LD」と表記する。)
このように2種のレーザーを用いてレリーフ層を形成し、レリーフ印刷版1を得た。
レリーフ印刷版1が有するレリーフ層の厚さは凡そ1mmであった。
また、レリーフ層のショアA硬度を、前述の測定方法により測定したところ、75°であった。
[実施例2〜19、比較例1〜2]
1.レーザー彫刻用架橋性樹脂組成物の調製
実施例1で用いた(A)無機多孔質体、(B)バインダーポリマー、(C)熱重合開始剤、(D)重合性化合物(多官能体)、及び(E)光熱変換剤をそれぞれ表1に示すように代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜19のレリーフ形成層用塗布液2〜19及び比較例のレリーフ形成層用塗布液C1〜C2(レーザー彫刻用樹脂組成物)を調製した。
なお、表1に記載される、各実施例及び比較例で使用した(A)無機多孔質体、(B)バインダーポリマー、(C)熱重合開始剤及び比較用の光重合開始剤、(D)重合性化合物、及び(E)光熱変換剤の詳細は以下の通りである。
<(A)無機多孔質体>
サイリシア310P(富士シリシア化学(株)製)
サイリシア350(富士シリシア化学(株)製)
サイロスフェアC−1504(富士シリシア化学(株)製)
サイリシア710(富士シリシア化学(株)製)
サイリシア730(富士シリシア化学(株)製)
サイリシア250N(富士シリシア化学(株)製)
サイロホービック702(富士シリシア化学(株)製)
サイロマスク52(富士シリシア化学(株)製)
サイロマスク55(富士シリシア化学(株)製)
<B)バインダーポリマー>
バインダー1:デンカブチラール#3000−2(ポリビニルブチラール、
電気化学工業(株)製、Mw=9.0万、Tg:室温以上)
バインダー2:トレジンF−30K(メトキシメチル化ポリアミド、
ナガセケムテック製、Tg:室温以上)
バインダー3:アラキード9201N(変性エポキシ樹脂、荒川化学工業(株)製、
Tg:室温以上℃)
バインダー4:エチルセルロース45(セルロース誘導体、和光純薬製、
Tg:室温以上)
バインダー5:ブレンマーPME100/メタクリル酸メチルの
10/90(モル比)共重合体(Mw=3.2万:
親水性基を側鎖に有するアクリル樹脂、Tg:室温以上)
バインダー6:ポリカーボネートジオール(PCDL L4672、Mn=1990) /トリレンジイソシアナートの1/1(モル比)重付加物の末端を
2−メタクリロイルオキシエチルイソシアナートで封鎖したポリマー
(Mw=1.0万)、Tg:室温以下)
バインダー7:Udel P−1700(Amoco Polmer社製、
Tg:室温以下)
バインダー8:Kraton1107(スチレン−イソプレン−スチレンブロック
コポリマー、Shell Chemical Co.,
Houston.TX製、Tg:室温以下)
バインダー9:Elastosil(登録商標:タイプR300/30S、
Wacker社製、シリコーンゴム、Tg:室温以下)
<(C)熱重合開始剤又は比較用の光重合開始剤>
−熱重合開始剤−
パーブチルZ(商品名:日油(株)製、有機過酸化物)
パーヘキシルE(商品名:日油(株)製、有機過酸化物)
パーヘキシルI(商品名:日油(株)製、有機過酸化物)
パーヘキシルHC(商品名:日油(株)製、有機過酸化物)
V−601(商品名:和光純薬製、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル)
−光重合開始剤−
イルガキュア184(商品名:チバガイギー製)
<(D)重合性化合物>
M−1:エチレン性不飽和モノマー(前記構造)
M−2:エチレン性不飽和モノマー(下記構造)
<(E)光熱変換剤>
カーボンブラック:ケッチェンブラックEC600JD(商品名:ライオン(株)製)
ADS−820HO(商品名:アメリカン・ダイ・ソース社製)
2.レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版の作製
−レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版2〜19の作製−
実施例1で用いたレリーフ形成層用塗布液1を、レリーフ形成層用塗布液2〜19の各々に変更した以外は、実施例1と同様にして、熱架橋されたレリーフ形成層を有する実施例2〜19のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版2〜19を得た。
−レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版C1の作製−
実施例1で用いたレリーフ形成層用塗布液1を、レリーフ形成層用塗布液C1に変更しし、更に、国際公開第2004/00571A1号パンフレットの実施例に記載される製膜条件によりレリーフ形成層を形成し、比較例1のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版C1を得た。
−レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版C2の作製−
実施例1で用いたレリーフ形成層用塗布液1を、レリーフ形成層用塗布液C2に変更した以外は、実施例1と同様にして、熱架橋されたレリーフ形成層を有する比較例2のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版C2を得た。
3.レリーフ印刷版の作製
実施例2〜19及び比較例1〜2のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版のレリーフ形成層を、実施例1と同様に彫刻してレリーフ層を形成することにより、実施例2〜19及び比較例1〜2のレリーフ印刷版を得た。
これらのレリーフ印刷版が有するレリーフ層の厚さは凡そ1mmであった。
また、得られた各レリーフ印刷版におけるレリーフ層のショア硬度Aの測定を、実施例1と同様に同様に行った。測定したショア硬度Aは表1に記載した。
4.評価
4−1.塗布液の保存安定性評価
各実施例及び比較例において調製したレリーフ形成層用塗布液1〜19、C1〜C2(各10g)を50mlのナスフラスコに入れて栓をした状態で、白灯下・室温で14日間放置後、ナスフラスコを逆さにして塗布液の流動性を目視で確認した。
流動性を保っているものを○、流動性がなく固形化(ゲル化)しているものを×とした。結果を表1に示す。
4−2.彫刻カスの除去性(リンス性)評価
各実施例及び比較例において、彫刻した版を水に浸漬し、彫刻部を歯ブラシ(クリニカハブラシ(フラット)、ライオン(株)製)で10回こすった。その後、光学顕微鏡でレリーフ層の表面におけるカスの有無を確認した。カスがないものを◎、殆どないものを○、少し残存しているものを△、カスが除去できていないものを×とした。
なお、本評価については、前記2種のレーザーのいずれを用いて彫刻をした場合についても、同じ結果が得られた。
結果を表1に示す。
4−3.レリーフ形成層の面状評価
各実施例及び比較例において、熱架橋されたレリーフ形成層を有するレリーフ印刷版(2cm×2cm)の表面を、光学顕微鏡で観察し、クレーター状の凹凸の個数を数えた。0〜3個を○、4〜10個を△、10個以上を×とした。結果を表1に示す。
4−5.彫刻感度の評価
レリーフ印刷版原版1〜19、C1〜C2が有するレリーフ形成層をレーザー彫刻して得られたレリーフ層の「彫刻深さ」を、以下のように測定した。ここで、「彫刻深さ」とは、レリーフ層の断面を観察した場合の、彫刻された位置(高さ)と彫刻されていない位置(高さ)との差をいう。本実施例における「彫刻深さ」は、レリーフ層の断面を、超深度カラー3D形状測定顕微鏡VK9510((株)キーエンス製)にて観察することにより測定した。彫刻深さが大きいことは、彫刻感度が高いことを意味する。結果は、彫刻に用いたレーザーの種類毎に表1に示す。
表1に示されるように、実施例のレリーフ形成層用塗布液(レーザー彫刻用樹脂組成物)は、塗布液の保存安定性(光安定性)に優れていることが分る。
また、実施例のレリーフ印刷版原版はレリーフ形成層の面状が良好であり、また、該レリーフ印刷版原版を彫刻してレリーフ印刷版を作製した際における彫刻カスのリンス性に優れていることが分る。
更に、実施例のレリーフ印刷版は、比較例のレリーフ印刷版よりも、彫刻深さが大きく、このことにより、実施例にて調製したレーザー彫刻用樹脂組成物は、彫刻感度が高いことが確認できた。
10 レーザー記録装置(露光装置)
30 露光ヘッド
70A 光ファイバー
70B 光ファイバー
32 コリメータレンズ(結像手段)
34 結像レンズ(結像手段)
300 ファイバーアレイ部
F レリーフ印刷版原版
FA 露光面(レリーフ印刷版原版の表面)

Claims (10)

  1. (A)無機多孔質体、(B)バインダーポリマー、(C)熱重合開始剤、(D)重合性化合物、及び(E)カーボンブラックを少なくとも含有するレーザー彫刻用樹脂組成物。
  2. 前記(B)バインダーポリマーのガラス転移温度(Tg)が、20℃以上200℃以下である請求項1に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
  3. 前記(B)バインダーポリマーが、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、及びポリアミドからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1又は請求項2に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
  4. 前記(E)カーボンブラックの含有量が、樹脂組成物中の全固形分に対して、0.1質量%〜5質量%である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
  5. 前記(C)熱重合開始剤が、有機過酸化物である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物を熱架橋して形成したレリーフ形成層を有するレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版。
  7. 請求項6に記載のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版におけるレリーフ形成層をレーザー彫刻してレリーフ層を形成する彫刻工程を含むレリーフ印刷版の製造方法。
  8. 請求項7に記載のレリーフ印刷版の製造方法により製造された、レリーフ層を有するレリーフ印刷版。
  9. 前記レリーフ層の厚みが、0.05mm以上10mm以下である請求項8に記載のレリーフ印刷版。
  10. 前記レリーフ層のショアA硬度が、50°以上90°以下である請求項8又は請求項9に記載のレリーフ印刷版。
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