JP2004262135A - レーザー彫刻可能な印刷原版用感光性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】直接レーザー彫刻してレリーフ画像を制作する際のカスの発生を抑制し、そのカスを容易に除去できるばかりででなく、彫刻の形状が優れ、印刷面のタックが小さい印刷版を製作しうるレーザー彫刻可能な印刷原版の提供。
【解決手段】数平均分子量1000以上20万以下の樹脂(a)、数平均分子量1000未満でその分子内に重合性不飽和基を有する有機化合物(b)、無機多孔質体(c)、および色素(d)を含有した感構成樹脂組成物であって、該色素(d)を1mg/リットルの濃度で溶解した溶液、1cmを透過してくる光の割合を該色素の光線透過率と定義する場合、当該色素の光線透過率が300から600nmにおいて5%以上であり、かつ700から2000nmにおいて80%以下であることを特徴とするレーザー彫刻可能な印刷原版用感光性樹脂組成物。
【選択図】 選択図なし

Description

【0001】
【本発明の属する技術分野】
本発明は、レーザー彫刻によるフレキソ印刷版用レリーフ画像作成、エンボス加工等の表面加工用パターンの形成、タイル等の印刷用レリーフ画像形成、電子回路形成における導体、半導体、絶縁体のパターン印刷に適したレーザー彫刻印刷原版用感光性樹脂組成物およびレーザー彫刻印刷原版に関する。
【0002】
【従来の技術】
段ボール、紙器、紙袋、軟包装用フィルムなどの包装材、壁紙、化粧板などの建装材、ラベル印刷などに用いられるフレキソ印刷は各種の印刷方式の中でその比重を高めている。これに用いる印刷版の製作には、通常、感光性樹脂が用いられることが多く、液状の樹脂、又はシート状に成形された固体樹脂板を用い、フォトマスクを感光性樹脂上に置き、マスクを通して光を照射し架橋反応を起こさせた後、非架橋部分を現像液で洗い落とすという方法が用いられてきた。近年、感光性樹脂表面にブラックレーヤーという薄い光吸収層を設け、これにレーザー光を照射し感光性樹脂板上に直接マスク画像を形成後、そのマスクを通して光を照射し架橋反応を起こさせた後、光の非照射部分の非架橋部分を現像液で洗い落とす、いわゆるフレキソCTPという技術が開発され、印刷版製作の効率改善効果から、採用が進みつつある。しかしながら、この技術も現像工程が残るなど、効率改善効果も限られたものであり、レーザーを使って直接印刷原版上にレリーフ画像を形成し、しかも現像不要である技術の開発が求められている。
【0003】
その方法として直接レーザーで印刷原版を彫刻する方法が挙げられる。この方法で凸版印刷版やスタンプを作成することは既に行なわれており、それに用いられる材料として種々のものが知られている。
例えば、特公昭47−5121号公報(米国特許3549733号明細書)ではポリオキシメチレンまたはポリクロラールを用いることが開示されている。また特表平10−512823号公報(ドイツ国特許A19625749号)にはシリコーンポリマーもしくはシリコーンフッ素ポリマーを用いることが記載されており、その実施例ではアモルファスシリカ等の充填剤を配合している。しかし、これらの公報に記載の発明では感光性樹脂は用いられておらず、また、アモルファスシリカ添加の効果についても機械的強化と高価なエラストマー量を減らす目的としている。アモルファスシリカについては特定形状について記載もない。
【0004】
特開2001−121833号公報(欧州特許公開1080883号公報)には、シリコーンゴムを用い、その中にレーザー光線の吸収体としてカーボンブラックを混合する記載があるが、感光性樹脂を用いたものではない。
また、特開2001−328365号公報には、グラフト共重合体を使用することを特徴とする材料が記載され、添加してもよい成分として、可視光の波長よりも小さな粒子径の無孔質シリカを充填し、機械的強化を実施することが記載されているが、用いる色素に関する記載はない。
【0005】
特開2002−3665号公報では、エチレンを主成分とするエラストマー材料が使用されており、樹脂の補強硬化を目的としてシリカを混合してもよいことが記載されている。実施例において多孔質シリカが用いられているが、混合されている量が極めて多量であり、従来のゴムの補強を目的とした技術を出るものではない。更に感光性樹脂を用いているものではなく、熱により硬化させているため、硬化速度が遅く、そのため成膜精度が劣る。
【0006】
ドイツ国特許A19918363号公報は再生原料をベースにした重合物を用いることが特徴の発明が記載されている。熱硬化性樹脂の他、感光性樹脂の記載があり、実施例では、熱硬化性樹脂にカーボンブラックを混合して用いている。カーボンブラックは少量の混合でも光線透過性が極めて低くなり、感光性樹脂にカーボンブラックを1wt%を越えて含有させた系では内部まで十分硬化させることができないため、レーザー彫刻印刷版としては不向きとなる。特に液状感光性樹脂を用いた場合、硬化性の低下は顕著である。更に、この特許において、無機多孔質体の記述も全くなく、液状カスの除去に関しても記載がない。
【0007】
他方、日本国特許第2846954号公報、第2846955号公報(米国特許第5798202号、第5804353号)にはSBS、SIS、SEBS等の熱可塑性エラストマーを機械的、光化学的、熱化学的に強化した材料を用いることが開示されている。熱可塑性エラストマーを用いる場合、赤外線領域の発振波長を有するレーザーを用いて彫刻を実施すると、熱によりレーザービーム径の寸法を大きく逸脱した部分の樹脂までが溶融するため、高解像度の彫刻パターンを形成することができない。そのため、熱可塑性エラストマー層に充填剤を添加することにより機械的に強化を図ることが必須とされている。前記特許では、熱可塑性エラストマー層の機械的強化とレーザー光の吸収性向上を目的として、特に機械的強化効果の極めて高いカーボンブラックが混合されている。しかしながら、カーボンブラックが混合されているために、光を用いて光化学的強化を試みる場合、光線透過性を犠牲にすることになる。したがって、これらの材料をレーザー彫刻すると除去が難しいカス(液状の粘稠物を含む)が大量に発生し、その処理に多大な時間を要するばかりでなく、レリーフに融解によるエッジ部の盛り上がりが発生したり、エッジ部がだれて不鮮明になったり、また、網点の形状が崩れるなどの難点を生じる。また、添加可能な色素に関する記載では、近赤外線領域の光吸収の高い化合物を用いることが明示されているが、紫外線領域あるいは可視光領域の光吸収特性については一切記載されていない。
【0008】
また、特にレーザー彫刻の際に樹脂の分解生成物であると推定される液状のカスが多量に発生すると、レーザー装置の光学系を汚すばかりでなく、レンズ、ミラー等の光学部品の表面に付着した液状樹脂が焼きつきを発生させ、装置上のトラブルの大きな要因となる。
このように、これまで種々のレーザー彫刻用の材料が提案されている。しかし、レーザー彫刻するための版を版厚精度、寸法精度よく提供でき、かつ、レーザー彫刻がし易く、カスの発生の問題を解決した材料は知られていなかった。
【0009】
【特許文献1】
特開2000−56447号公報
【特許文献2】
特開2001−121833号公報
【特許文献3】
特許第2846954号公報
【特許文献4】
特許第2846955号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
直接レーザー彫刻してレリーフ画像を制作する際のカスの発生を抑制し、そのカスを容易に除去できるばかりでなく、彫刻の形状が優れ、印刷面のタックが小さい印刷版を製作しうるレーザー彫刻可能な印刷原版および印刷原版用組成物の提供。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討し、数平均分子量1000以上20万以下の樹脂(a)、数平均分子量1000未満の重合性不飽和基を有する有機化合物(b)、無機多孔質体(c)、および光吸収特性に特徴のある色素(d)を含有してなる液状感光性樹脂組成物を用いることにより上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、レーザー光照射により分解し易い樹脂を用いること、分解し易い樹脂を用いるが故に多量に発生する粘稠性の液状カスを無機多孔質体(c)で吸収除去すること、光吸収特性に特徴のある色素(d)を用いることにより、光架橋硬化が充分であり、かつ近赤外線領域に発振波長を有する近赤外線レーザーでの彫刻を可能にすることが、本発明の設計思想である。色素(d)は、紫外線領域あるいは可視光線領域における光吸収が低く、近赤外線領域における光吸収が高い特徴を有する。また、無機多孔質体(c)として無機系微粒子を用いるのは、レーザー光照射により溶融あるいは変形せずに、多孔質性を保持させるためである。
また、レーザー光照射により樹脂を除去し印刷版を形成する場合、彫刻カスが多量に発生する凸版印刷版形成で特に効果がある。
【0012】
本発明は下記の通りである。
1.数平均分子量1000以上20万以下の樹脂(a)、数平均分子量1000未満でその分子内に重合性不飽和基を有する有機化合物(b)、無機多孔質体(c)、および色素(d)を含有した感光性樹脂組成物であって、該色素(d)を10mg/リットルの濃度で溶解した溶液あるいは分散させた分散体、1cmを透過してくる光の割合を該色素の光線透過率と定義する場合、当該色素の光線透過率が300から600nmの波長範囲で前記感光性樹脂組成物の硬化に用いる光の波長において5%以上であり、かつ彫刻に用いる波長範囲700から3000nmのレーザー光の波長において80%以下であることを特徴とするレーザー彫刻可能な印刷原版用感光性樹脂組成物。
【0013】
2.無機多孔質体(c)の平均細孔径が1nm以上1000nm以下、細孔容積が0.1ml/g以上10ml/g以下、比表面積が10m/g以上1500m/g以下、かつ吸油量が10ml/100g以上2000ml/100g以下である1.に記載のレーザー彫刻可能な印刷原版用感光性樹脂組成物。
3.無機多孔質体(c)の数平均粒子径が0.1μm以上100μm以下であって、少なくとも70%の粒子の真球度が0.5〜1の範囲の球状粒子であることを特徴とする1.あるいは2.に記載のレーザー彫刻印刷原版用感光性樹脂組成物。
【0014】
4.感光性樹脂組成物が、300〜600nmに光吸収を有する光重合開始剤(e)を含有する1.から3.のいずれかに記載のレーザー彫刻可能な印刷原版用感光性樹脂組成物。
5.有機化合物(b)の全体量の20wt%以上が脂環族、芳香族の少なくとも1種類以上の誘導体であることを特徴とする1.から4.のいずれかに記載のレーザー彫刻可能な印刷原版用感光性樹脂組成物。
【0015】
6.前記1.から5.のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を、300から600nmの波長領域の光照射により架橋硬化せしめて得られるシート状あるいは円筒状の感光性樹脂硬化物層からなるレーザー彫刻印刷原版であって、該印刷原版の光線透過率を、厚さ1mmの印刷原版を透過する光の割合と定義する場合、発振波長が700から3000nmの波長領域にある彫刻に用いるレーザー光の波長における光線透過率が、10%以下であることを特徴とするレーザー彫刻用印刷原版。
【0016】
7.前記6.に記載の印刷原版の下部に、ショアA硬度が20度以上70度以下のエラストマー層を少なくとも1層有することを特徴とする多層レーザー彫刻印刷原版。
8.エラストマー層が、常温で液状の感光性樹脂組成物を硬化して形成されることを特徴とする7.に記載の多層レーザー彫刻印刷原版。
9.前記6.から8.のいずれかに記載のレーザー彫刻印刷原版に、レーザー光を照射することにより凹凸パターンが形成されてなるフレキソ印刷版。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、さらに詳細に、本発明の好ましい実施態様を中心に、説明する。本発明の印刷原版は、レーザー光を用いて彫刻可能なシート状あるいは円筒状の印刷原版である。レーザー光が照射された部分が除去され凹部が形成される。
本発明では、感光性樹脂組成物を光架橋硬化させてシート状あるいは円筒状に加工し、彫刻用レーザー光の波長領域に光吸収を有する印刷原版を作製する。樹脂版を形成する多くの樹脂の光吸収が少ない近赤外線領域、すなわち波長700nmから2μmの領域に発振波長を有するレーザー光を用いて彫刻する場合に、特に有効である。例えば、波長700nmから3μmの近赤外線領域に発振波長を有するレーザーとしては、半導体レーザー、YAGレーザー、ファイバーレーザー、面発光レーザー等を挙げることができる。近赤外線領域のレーザー光は、ビームを波長の倍程度の大きさまで絞ることができるため、高精細な印刷版を作製するツールとして極めて重要である。本発明では、レーザー彫刻前の版を印刷原版、レーザー彫刻後の版を印刷版と用語を定義し区別して説明する。
【0018】
本発明において、感光性樹脂組成物の光架橋硬化に用いる光として、300から600nmの波長領域の光、より好ましくは300から450nmの波長領域の光が好ましい。作業性の観点からは、300から450nmの波長領域の紫外線を用いることが好ましい。光源の具体例としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、カーボンアーク灯、キセノンランプ等が挙げられる。硬化に用いる光源は、1種類でも構わないが、波長の異なる2種類以上の光源を用いて硬化させることにより、樹脂の硬化性が向上することがあるので、2種類以上の光源を用いることも差し支えない。
【0019】
本発明の技術思想の一つは、光吸収特性に特徴のある色素(d)を用いることである。すなわち、彫刻に用いる近赤外線レーザーの発振波長領域に強い光吸収を示すが、感光性樹脂組成物の光架橋硬化に用いる光の波長領域における光吸収性が低い色素を選択することである。一般的な近赤外線吸収色素、顔料は、300から600nmの波長領域に強い光吸収を有するものが極めて多い。
【0020】
色素(d)としては、300から600nmの波長領域に光吸収が少なく、700から3000nmの波長領域に光吸収の強い物質であれば、特に限定するものではない。本発明では、色素(d)の光吸収特性を、当該色素を10mg/リットルの濃度で含む溶液中あるいは分散させた分散体中を1cm透過する光の割合と定義した光線透過率を用いて評価する。評価に用いる溶媒あるいは媒体は、色素が溶解あるいは分散するものであれば特に限定するものではない。本発明で用いる色素(d)の光線透過率は、300から600nmの波長範囲で前記感光性樹脂組成物の光硬化に用いる波長において5%以上、好ましくは30%以上、更に好ましくは50%以上である。前記波長領域での光線透過率が5%以上であれば、感光性樹脂組成物を内部まで光架橋硬化させることができる。また、彫刻に用いるレーザー光の発振波長が700から3000nmの波長領域にあり、該レーザー光の発振波長における、色素(d)溶液の光線透過率は、80%以下、より好ましくは20%以下、更に好ましくは5%以下である。近赤外線領域での光線透過率が80%以下であれば、レーザー彫刻時に印刷原版を十分に除去することができ、版表面に凹凸パターンを形成することが可能である。本発明で用いる光線透過率は、色素(d)を溶解した溶液あるいは媒体中に分散させた分散体の光線透過率から、当該色素を含有しない溶媒あるいは媒体の光吸収分を差し引いた、色素(d)のみの光線透過率と定義する。色素(d)は感光性樹脂組成物中に完全に溶解するものであっても、溶解しないものであっても媒体中に分散していれば使用に差し支えない。光線透過率の測定には、300nmから3000nmまで測定可能な紫外・可視・近赤外分光光度計を用いることが好ましい。また、色素(d)を溶解あるいは分散させた試料と、色素(d)を含有しない溶媒あるいは媒体試料との差スペクトルを測定し、色素(d)のみの光線透過率を測定できるダブルビーム分光光度計の使用が特に好ましい。本発明者らが選択した色素の例としては、ヘプタメチンシアニン色素等のシアニン系色素、ペンタメチンオキソノール色素等のオキソノール系色素、インドリウム系色素、ベンズインドリウム系色素、ベンゾチアゾリウム系色素、キノリニウム系色素、顕色剤と反応させたフタリド化合物等を挙げることができる。全てのシアニン系色素が、前述した光吸収特性を有するものではない。置換基の種類および分子内での位置、共役結合の数、対イオンの種類、色素分子の存在する周囲の環境などにより、光吸収特性が極めて大きく変化する。また、一般に市販されているレーザー色素、過飽和吸収色素、近赤外線吸収色素を使用することもできる。例えば、レーザー色素として、アメリカン・ダイ・ソース社(カナダ国)の商標「ADS740PP」、「ADS745HT」、「ADS760MP」、「ADS740WS」、「ADS765WS」、「ADS745HO」、「ADS790NH」、「ADS800NH」、株式会社林原生物化学研究所社製の商標「NK−3555」、「NK−3509」、「NK−3519」を挙げることができる。また、近赤外線吸収色素として、アメリカン・ダイ・ソース社(カナダ国)商標「ADS775MI」、「ADS775MP」、「ADS775HI」、「ADS775PI」、「ADS775PP」、「ADS780MT」、「ADS780BP」、「ADS793EI」、「ADS798MI」、「ADS798MP」、「ADS800AT」、「ADS805PI」、「ADS805PP」、「ADS805PA」、「ADS805PF」、「ADS812MI」、「ADS815EI」、「ADS818HI」、「ADS818HT」、「ADS822MT」、「ADS830AT」、「ADS838MT」、「ADS840MT」、「ADS845BI」、「ADS905AM」、「ADS956BI」、「ADS1040T」、「ADS1040P」、「ADS1045P」、「ADS1050P」、「ADS1060A」、「ADS1065A」、「ADS1065P」、「ADS1100T」、「ADS1120F」、「ADS1120P」、「ADS780WS」、「ADS785WS」、「ADS790WS」、「ADS805WS」、「ADS820WS」、「ADS830WS」、「ADS850WS」、「ADS780HO」、「ADS810CO」、「ADS820HO」、「ADS821NH」、「ADS840NH」、「ADS880MC」、「ADS890MC」、「ADS920MC」、山本化成株式会社製、商標「YKR−2200」、「YKR−2081」、「YKR−2900」、「YKR−2100」、「YKR−3071」、有本化学工業株式会社製、商標「SDO−1000B」、株式会社林原生物化学研究所社製、商標「NK−3508」、「NKX−114」を挙げることができる。また、顕色剤と反応させたフタリド化合物は、特許第3271226号公報に記載されているものを用いることもできる。また、リン酸エステル金属化合物、例えば特開平6−345820号公報、WO99/10354号パンフレットに記載のあるリン酸エステルと銅塩との複合体を用いることもできる。更に、近赤外線領域に光吸収特性を有する数平均粒子径が好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.1μm以下、更に好ましくは0.08μm以下の超微粒子を用いることもできる。例えば、酸化イットリウム、酸化錫および/または酸化インジウム、酸化銅、酸化鉄等の金属酸化物、あるいは金、銀、パラジウム、白金等の金属などを挙げることもできる。更に、数平均粒子径が5μm以下、より好ましくは1μm以下の、ガラス等の微粒子中に銅、錫、インジウム、イットリウム、クロム、コバルト、チタン、ニッケル、バナジウム、希土類元素のイオン等の金属イオンを添加したものを用いることもできる。また、感光性樹脂組成物と反応し光吸収波長が変化するような色素の場合、マイクロカプセル中に含有させることもできる。その場合、カプセルの数平均粒子径は、10μm以下が好ましく、より好ましくは5μm以下、更に好ましくは1μm以下である。イオン交換体微粒子に銅、錫、インジウム、イットリウム、希土類元素等の金属イオンを吸着させたものを用いることもできる。イオン交換体微粒子としては、有機系樹脂微粒子であっても無機系微粒子であっても構わない。無機系微粒子としては、例えば非晶質リン酸ジルコニウム、非晶質ケイリン酸ジルコニウム、非晶質ヘキサメタリン酸ジルコニウム、層状リン酸ジルコニウム、網状リン酸ジルコニウム、タングステン酸ジルコニウム、ゼオライト等を挙げることができる。有機系樹脂微粒子としては、通常使用されているイオン交換樹脂、イオン交換セルロース等を挙げることができる。
【0021】
印刷原版中に添加する色素(d)の濃度は、その分子固有の分子吸光係数大きさにより大きく異なるが、樹脂(a)と有機化合物(b)の合計重量の0.01wt%以上10wt%以下の範囲、より好ましくは0.1wt%以上5wt%以下の範囲である。
本発明の感光性樹脂組成物を構成する成分として、ポリマー、重合性反応基を有する有機化合物および無機多孔質体微粒子を含有することが好ましい。
【0022】
樹脂(a)の種類としては、エラストマーであっても非エラストマーであっても構わないし、20℃において固体状ポリマーであっても液状ポリマーであっても構わない。また、熱可塑性樹脂を用いる場合、ポリマー全重量の30wt%以上、好ましくは50wt%以上、更に好ましくは70wt%以上含有していることが望ましい。熱可塑性樹脂の含有率が30wt%以上であれば、レーザー光線照射により樹脂が充分に流動化するため、後述する無機多孔質体に吸収される。
ただし、軟化温度が300℃を越えて大きい樹脂を用いる場合、シート状あるいは円筒状に成形する温度も当然高くなるため、他の有機物が熱で変性、分解することが懸念されるため、溶剤可溶性樹脂を溶剤に溶かした状態で塗布し使用しても構わない。
【0023】
特に、シート状あるいは円筒状樹脂版への加工の容易性の観点、また、熱に対する分解性のし易さの点から、樹脂(a)として20℃において液状のポリマーを使用することが好ましい。樹脂(a)として、20℃において液状のポリマーを使用した場合、形成される感光性樹脂組成物も液状となるので、低い温度で成形することができる。
本発明で用いる樹脂(a)の数平均分子量は、1000から20万の範囲が好ましい。より好ましい範囲としては、5000から10万である。数平均分子量が1000から20万の範囲であれば、印刷原版の機械的強度を確保することができ、レーザー彫刻時、樹脂を充分に溶融あるいは分解させることができる。本発明の数平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定し、分子量既知のポリスチレン標品に対して評価したものである。
【0024】
本発明の技術的特徴として、レーザー光線の照射により液状化したカスを、無機多孔質体微粒子を用いて吸収除去することを挙げることができる。用いる感光性樹脂硬化物としては、液状化し易い樹脂や分解し易い樹脂が好ましい。分解し易い樹脂としては、分子鎖中に分解し易いモノマー単位としてスチレン、α−メチルスチレン、α−メトキシスチレン、アクリルエステル類、メタクリルエステル類、エステル化合物類、エーテル化合物類、ニトロ化合物類、カーボネート化合物類、カルバモイル化合物類、ヘミアセタールエステル化合物類、オキシエチレン化合物類、脂肪族環状化合物類等が含まれていることが好ましい。特にポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラエチレングリコール等のポリエーテル類、脂肪族ポリカーボネート類、脂肪族カルバメート類、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ニトロセルロース、ポリオキシエチレン、ポリノルボルネン、ポリシクロヘキサジエン水添物、あるいは分岐構造の多いデンドリマー等の分子構造を有するポリマーは、分解し易いものの代表例である。また、分子鎖中に酸素原子を多数含有するポリマーが分解性の観点から好ましい。これらの中でも、カーボネート基、カルバメート基、メタクリル基をポリマー主鎖中に有する化合物は、熱分解性が高く好ましい。例えば、(ポリ)カーボネートジオールや(ポリ)カーボネートジカルボン酸を原料として合成したポリエステルやポリウレタン、(ポリ)カーボネートジアミンを原料として合成したポリアミドなどを熱分解性の良好なポリマーの例として挙げることができる。これらのポリマー主鎖、側鎖に重合性不飽和基を含有しているものであっても構わない。特に、末端に水酸基、アミノ基、カルボキシル基等の反応性官能基を有する場合には、主鎖末端に重合性不飽和基を導入することも容易である。
【0025】
本発明で用いる熱可塑性エラストマーとして特に限定するものではないが、スチレン系熱可塑性エラストマーであるSBS(ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン)、SIS(ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン)、SEBS(ポリスチレン−ポリエチレン/ポリブチレン−ポリスチレン)等、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー、シリコーン系熱可塑性エラストマー等を挙げることができ、数平均分子量が20万以下、より好ましくは10万以下、更に好ましくは5万以下であることが望ましい。より熱分解性を向上させるために、分子骨格中に分解性の高いカルバモイル基、カーボネート基等の易分解性官能基を主鎖に導入したポリマーを用いることもできる。また、より熱分解性の高いポリマーと混合して用いても構わない。熱可塑性エラストマーは加熱することにより流動化するため、本発明で用いる無機多孔質体微粒子と混合することが可能となる。熱可塑性エラストマーとは、加熱することにより流動し通常の熱可塑性プラスチック同様成形加工ができ、常温ではゴム弾性を示す材料である。分子構造としては、ポリエーテルあるいはゴム分子のようなソフトセグメントと、常温付近では加硫ゴムと同じく塑性変形を防止するハードセグメントからなり、ハードセグメントとしては凍結相、結晶相、水素結合、イオン架橋など種々のタイプが存在する。
【0026】
印刷版の用途により、熱可塑性エラストマーの種類を選択できる。例えば、耐溶剤性が要求される分野では、ウレタン系、エステル系、アミド系、フッ素系熱可塑性エラストマーが好ましく、耐熱性が要求される分野では、ウレタン系、オレフィン系、エステル系、フッ素系熱可塑性エラストマーが好ましい。また、熱可塑性エラストマーの種類により、硬度を大きく変えることができる。通常の印刷版での用途では、ショアA硬度が20〜75度の領域、紙、フィルム、建築材料の表面凹凸パターンを形成するエンボス加工の用途では、比較的硬い材料が必要であり、ショアD硬度で、30〜80度の領域である。
【0027】
熱可塑性樹脂において非エラストマー性のものとして、特に限定するものではないが、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリイイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、全芳香族ポリエステル樹脂等を挙げることができる。
熱可塑性樹脂の軟化温度は、50℃以上300℃以下であることが好ましい。より好ましい範囲としては80℃以上250℃以下、更に好ましくは100℃以上200℃以下である。軟化温度が50℃以上であれば常温で固体として取り扱うことができ、シート状あるいは円筒状に加工したものを変形させずに取り扱うことができる。また軟化温度が300℃以下である場合、シート状あるいは円筒状に加工する際に極めて高い温度に加熱する必要がなく、混合する他の化合物を変質、分解させずに済む。本発明の軟化温度の測定は、動的粘弾性測定装置を用い、室温から温度を上昇していった場合、粘性率が大きく変化する(粘性率曲線の傾きが変化する)最初の温度で定義する。
【0028】
また、本発明の樹脂(a)として溶剤可溶性樹脂であっても構わない。具体的には、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂等を挙げることができる。
本発明の樹脂(a)は、通常反応性の高い重合性不飽和基を持たないものが多いが、分子鎖の末端あるいは側鎖に反応性の高い重合性不飽和基を有していても構わない。反応性の高い重合性不飽和基を有するポリマーを用いた場合、極めて機械的強度の高い印刷原版を作製することができる。特にポリウレタン系、ポリエステル系熱可塑性エラストマーでは、比較的簡単に分子内に反応性の高い重合性不飽和基を導入することが可能である。ここで言う分子内とは高分子主鎖の末端、高分子側鎖の末端や高分子主鎖中や側鎖中に直接、重合性不飽和基が付いている場合なども含まれる。例えば直接、重合性の不飽和基をその分子末端に導入したものを用いても良いが、別法として、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、ケトン基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、環状カーボネート基、エステル基などの反応性基を複数有する数千程度の分子量の上記成分の反応性基と結合しうる基を複数有する結合剤(例えば水酸基やアミノ基の場合のポリイソシアネートなど)を反応させ、分子量の調節、及び末端の結合性基への変換を行った後、この末端結合性基と反応する基と重合性不飽和基を有する有機化合物と反応させて末端に重合性不飽和基を導入する方法などの方法が好適にあげられる。
【0029】
有機化合物(b)は、ラジカル、または付加重合反応に関与する不飽和結合を有した化合物であり、樹脂との希釈のし易さを考慮すると数平均分子量は1000以下が好ましい。有機化合物(b)は例えば、ラジカル反応性を有するものとして、エチレン、プロピレン、スチレン、ジビニルベンゼン等のオレフィン類、アセチレン類、(メタ)アクリル酸及びその誘導体、ハロオレフィン類、アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類、(メタ)アクリルアミド及びその誘導体、アリルアルコール、アリルイソシアネート等のアリル化合物、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸及びその誘導体、酢酸ビニル類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、シアネートエステル類等があげられるが、その種類の豊富さ、価格等の観点から(メタ)アクリル酸及びその誘導体が好ましい例である。また、付加重合反応性を有するものとして、シンナモイル基、チオール基、アジド基を有する化合物を挙げることができ、更に、開環付加重合反応性を有するものとして、エポキシ基、オキセタン基、環状エステル基、ジオキシラン基、スピロオルトカーボネート基、スピロオルトエステル基、ビシクロオルトエステル基、シクロシロキサン基、環状イミノエーテル基等を有する化合物を挙げることができる。
【0030】
該誘導体は、シクロアルキル−、ビシクロアルキル−、シクロアルケン−、ビシクロアルケン−などの脂環族、ベンジル−、フェニル−、フェノキシ−などの芳香族、アルキル−、ハロゲン化アルキル−、アルコキシアルキル−、ヒドロキシアルキル−、アミノアルキル−、テトラヒドロフルフリル−、アリル−、グリシジル−、アルキレングリコール−、ポリオキシアルキレングリコール−、(アルキル/アリルオキシ)ポリアルキレングリコール−やトリメチロールプロパン等の多価アルコールのエステルなどがあげられる。
【0031】
また、熱分解性が良好な分子構造を有する化合物を有機化合物(b)として用いることもできる。例えば、カーボネート基、カルバメート基等の熱分解性の高い分子構造を有する有機化合物(b)を用いることにより、光硬化物の熱分解性を向上される方法として効果がある。
【0032】
有機化合物(b)の具体例としては、エチレン、プロピレン、スチレン、ジビニルベンゼン等のオレフィン類、アセチレン類、(メタ)アクリル酸及びその誘導体、ハロオレフィン類、アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類、(メタ)アクリルアミド及びその誘導体、アリルアルコール、アリルイソシアネート等のアリル化合物、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸及びその誘導体、酢酸ビニル類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール等があげられるが、その種類の豊富さ、価格、レーザー光照射時の分解性等の観点から(メタ)アクリル酸及びその誘導体が好ましい例である。前記化合物の誘導体の例としては、シクロアルキル−、ビシクロアルキル−、シクロアルケン−、ビシクロアルケン−などの脂環族、ベンジル−、フェニル−、フェノキシ−、フルオレン−などの芳香族、アルキル−、ハロゲン化アルキル−、アルコキシアルキル−、ヒドロキシアルキル−、アミノアルキル−、テトラヒドロフルフリル−、アリル−、グリシジル−、アルキレングリコール−、ポリオキシアルキレングリコール−、(アルキル/アリルオキシ)ポリアルキレングリコール−やトリメチロールプロパン等の多価アルコールのエステルなどがあげられる。また、窒素、硫黄等の元素を含有した複素芳香族化合物であっても構わない。
【0033】
また、開環付加反応するエポキシ基を有する化合物としては、種々のジオールやトリオールなどのポリオールにエピクロルヒドリンを反応させて得られる化合物、分子中のエチレン結合に過酸を反応させて得られるエポキシ化合物などを挙げることができる。具体的には、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールAにエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドが付加した化合物のジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリ(プロピレングリコールアジペート)ジオールジグリシジルエーテル、ポリ(エチレングリコールアジペート)ジオールジグリシジルエーテル、ポリ(カプロラクトン)ジオールジグリシジルエーテル等を挙げることができる。
【0034】
本発明において、これら重合性の不飽和結合を有する有機化合物(b)はその目的に応じて1種若しくは2種以上のものを選択できる。例えば印刷版として用いる場合、印刷インキの溶剤であるアルコールやエステル等の有機溶剤に対する膨潤を押さえるために用いる有機化合物(b)として長鎖脂肪族、脂環族または芳香族の誘導体を少なくとも1種類以上有することが好ましい。
本発明の樹脂組成物より得られる印刷原版の機械強度を高めるためには、有機化合物(b)としては脂環族または芳香族の誘導体を少なくとも1種類以上有することが好ましく、この場合、有機化合物(b)の全体量の20wt%以上であることが好ましく、更に好ましくは50wt%以上である。また、前記芳香族の誘導体として、窒素、硫黄等の元素を有する芳香族化合物であっても構わない。
【0035】
印刷版の反撥弾性を高めるため例えば特開平7−239548号に記載されているようなメタクリルモノマーを使用するとか、公知の印刷用感光性樹脂の技術知見等を利用して選択することができる。
無機多孔質体(c)とは、粒子中に微小細孔を有する、あるいは微小な空隙を有する無機粒子である。レーザー彫刻において多量に発生する粘稠性の液状カスを吸収除去するための添加剤であり、版面のタック防止効果も有する。レーザー照射されても溶融しないことの他、特に材質として限定されるものではないが、紫外線あるいは可視光線を用いて光硬化させる場合、黒色の微粒子を添加すると感光性樹脂組成物内部への光線透過性が著しく低下し、硬化物の物性低下をもたらすため、カーボンブラック、活性炭、グラファイト等の黒色微粒子は、本発明の無機多孔質体(c)としては適当でない。
【0036】
本発明の無機多孔質体は、粘稠な液状カスを吸着させるため、数平均粒子径、比表面積、平均細孔径、細孔容積、灼熱減量がその性能に大きく影響する。本発明の多孔質体は、好ましくは、細孔容積が0.1ml/g以上、かつ平均細孔径が1nm以上である。
無機多孔質体(c)の細孔容積は、好ましくは0.1ml/g以上10ml/g以下、より好ましくは0.2ml/g以上5ml/g以下である。細孔容積が0.1m/g以上の場合、粘稠性液状カスの吸収量は十分であり、また10ml/g以下の場合、粒子の機械的強度を確保することができる。本発明において細孔容積の測定には、窒素吸着法を用いる。本発明の細孔容積は、−196℃における窒素の吸着等温線から求められる。
【0037】
無機多孔質体(c)の平均細孔径は、レーザー彫刻時に発生する液状カスの吸収量に極めて大きく影響を及ぼす。平均細孔径の好ましい範囲は、1nm以上1000nm以下、より好ましくは2nm以上200nm以下、更に好ましくは2nm以上50nm以下、その上に好ましくは2nm以上30nm以下である。平均細孔径が1nm以上であれば、レーザー彫刻時に発生する液状カスの吸収性が確保でき、1000nm以下である場合、粒子の比表面積も大きく液状カスの吸収量を十分に確保できる。平均細孔径が1nm未満の場合、液状カスの吸収量が少ない理由については明確になっていないが、液状カスが粘稠性であるため、ミクロ孔に入り難いのではないかと推定している。本発明の平均細孔径は、窒素吸着法を用いて測定した値である。平均細孔径が2〜50nmのものは特にメソ孔と呼ばれ、メソ孔を有する多孔質粒子が液状カスを吸収する能力が極めて高い。本発明の細孔径分布は、−196℃における窒素の吸着等温線から求められる。
【0038】
本発明は、好ましくは、レーザー照射により切断され易いように比較的分子量の低い樹脂を採用し、その場合分子の切断時に多量に低分子のモノマー、オリゴマー類が発生するため、この粘稠性の液状カスの除去を多孔質無機吸収剤を用いて行うという、これまでの技術思想に全くない新しい概念を導入していることに最大の特徴がある。粘稠性液状カスの除去を効果的に行なうために、無機多孔質体の数平均粒子径、比表面積、平均細孔径、細孔容積、灼熱減量、給油量等の物性が極めて重要な要素となることを見出した。
【0039】
無機多孔質体(c)は数平均粒径が0.1〜100μmであることが好ましい。この数平均粒径の範囲より小さいものを用いた場合、本発明の樹脂組成物より得られる原版をレーザーで彫刻する際に粉塵が舞いやすく、樹脂(a)及び有機化合物(b)との混合を行う際に粘度の上昇、気泡の巻き込み、粉塵の発生等を生じやすい。他方、上記数平均粒径の範囲より大きなものを用いた場合、レーザー彫刻した際レリーフ画像に欠損が生じやすく、印刷物の精細さを損ないやすい傾向がある。より好ましい平均粒子径の範囲は、0.5〜20μmであり、更に好ましい範囲は3〜10μmである。本発明で用いる無機多孔質体の平均粒子径は、レーザー散乱式粒子径分布測定装置を用いて測定することができる。
【0040】
多孔質体の特性を評価する上で、多孔度という新たな概念を導入する。多孔度とは、平均粒子径D(単位:μm)と粒子を構成する物質の密度d(単位:g/cm)から算出される単位重量あたりの表面積Sに対する、比表面積Pの比、すなわちP/Sで定義する。粒子1個あたりの表面積は、πD×10−12(単位:m)であり、粒子1個の重量は(πDd/6)×10−12(単位:g)であるので、単位重量あたりの表面積Sは、S=6/(Dd)(単位:m/g)となる。比表面積Pは、窒素分子を表面に吸着させ測定した値を用いる。
【0041】
無機多孔質体(c)の多孔度は、好ましくは20以上、より好ましくは50以上、更に好ましくは100以上である。多孔度が20以上であれば、液状カスの吸着除去に効果がある。粒子径が小さくなればなるほど比表面積Pは大きくなるため、比表面積単独では多孔質体の特性を示す指標として不適当である。そのため、粒子径を考慮し、無次元化した指標として多孔度を取り入れた。例えば、ゴム等の補強材として広く用いられているカーボンブラックは、比表面積は150m/gから20m/gと非常に大きいが、平均粒子径は極めて小さく、通常10nmから100nmの大きさであるので、密度をグラファイトの2.25g/cmとして、多孔度を算出すると、0.8から1.0の範囲の値となり、粒子内部に多孔構造のない無孔質体であると推定される。カーボンブラックはグラファイト構造を有することは一般的に知られているので、前記密度にグラファイトの値を用いた。一方、本発明で用いている多孔質シリカの多孔度は、500を優に越えた高い値となる。
【0042】
本発明の無機多孔質体は、さらに良好な吸着性を得るためには、特定の比表面積、吸油量を持つことが好ましい。
無機多孔質体(c)の比表面積の範囲は、好ましくは10m/g以上1500m/g以下である。より好ましい範囲は、100m/g以上800m/g以下である。比表面積が10m/g以上であれば、レーザー彫刻時の液状カスの除去が十分となり、また、1500m/g以下であれば、感光性樹脂組成物の粘度上昇を抑え、また、チキソトロピー性を抑えることができる。本発明の比表面積は、−196℃における窒素の吸着等温線からBET式に基づいて求められる。
【0043】
液状カス吸着量を評価する指標として、吸油量がある。これは、無機多孔質体100gが吸収する油の量で定義する。本発明で用いる無機多孔質体の吸油量の好ましい範囲は、10ml/100g以上2000ml/100g以下、より好ましくは50ml/100g以上1000ml/100g以下、更に好ましくは250ml/100g以上1000ml/100g以下である。吸油量が10ml/100g以上であれば、レーザー彫刻時に発生する液状カスの除去に効果があり、また2000ml/100g以下であれば、無機多孔質体の機械的強度を十分に確保できる。吸油量の測定は、JIS−K5101にて行った。
【0044】
本発明の無機多孔質体(c)は、特に赤外線波長領域のレーザー光照射により変形あるいは溶融せずに多孔質性を保持することが必要である。950℃において2時間処理した場合の灼熱減量が、15wt%以下、好ましくは10wt%以下であることが望ましい。
無機多孔質体の粒子形状は特に限定するものではなく、球状、扁平状、針状、無定形、あるいは表面に突起のある粒子などを使用することができる。その中でも、印刷版の耐磨耗性の観点から、特に球状粒子が好ましい。また、粒子の内部が空洞になっている粒子、シリカスポンジ等の均一な細孔径を有する球状顆粒体など使用することも可能である。特に限定するものではないが、例えば、多孔質シリカ、メソポーラスシリカ、シリカ−ジルコニア多孔質ゲル、メソポーラスモレキュラーシーブ、ポーラスアルミナ、多孔質ガラス等を挙げることができる。
【0045】
また、層状粘土化合物などのように、層間に数nm〜100nmの空隙が存在するものについては、細孔径を定義できないため、本発明においては層間に存在する空隙すなわち面間隔を細孔径と定義する。また、層間に存在する空間の総量を細孔容積と定義する。これらの値は、窒素の吸着等温線から求めることができる。
更にこれらの細孔あるいは空隙にレーザー光の波長の光を吸収する顔料、染料等の有機色素を取り込ませることもできる。
【0046】
球状粒子を規定する指標として、真球度を定義する。本発明で用いる真球度とは、粒子を投影した場合に投影図形内に完全に入る円の最大値Dの、投影図形が完全に入る円の最小値Dの比(D/D)で定義する。真球の場合、真球度は1.0となる。本発明で用いる好ましい球状粒子の真球度は、0.5以上1.0以下、より好ましくは0.7以上1.0以下が望ましい。0.5以上であれば、印刷版としての耐磨耗性が良好である。真球度1.0は、真球度の上限値である。球状粒子として、70%以上、より好ましくは90%以上の粒子が、真球度0.5以上であることが望ましい。真球度を測定する方法としては、走査型電子顕微鏡を用いて撮影した写真を基に測定する方法を用いることができる。その際、少なくとも100個以上の粒子がモニター画面に入る倍率において写真撮影を行うことが好ましい。また、写真を基に前記DおよびDを測定するが、写真をスキャナー等のディジタル化する装置を用いて処理し、その後画像解析ソフトウエアーを用いてデータ処理することが好ましい。
【0047】
また、従来技術において用いられているカーボンブラックは一般的にグラファイト構造を有するとされ、層状構造を示す。層間の面間隔は0.34nmと極めて狭く、粘稠性液状カスを吸収し難い。更に、カーボンブラックは、黒色であるため紫外線から赤外線に至るまで広い波長範囲にわたり強い光吸収特性を有する。したがって、感光性樹脂組成物に添加し、紫外線等の光を用いて硬化させる系においては、添加量を極めて少量に制限する必要があり、本発明の粘稠性液状カスの吸着・吸収用途での使用には不向きである。
【0048】
また、無機多孔質体の表面をシランカップリング剤、チタンカップリング剤、その他の有機化合物で被覆し表面改質処理を行い、より親水性化あるいは疎水性化した粒子を用いることもできる。
本発明において、これらの無機多孔質体(c)は1種類もしくは2種類以上のものを選択でき、無機多孔質体(c)を添加することによりレーザー彫刻時の液状カスの発生抑制、及びレリーフ印刷版のタック防止等の改良が有効に行われる。
【0049】
本発明の感光性樹脂組成物における樹脂(a)、有機化合物(b)、及び無機多孔質体(c)の割合は、通常、樹脂(a)100重量部に対して、有機化合物(b)は5〜200重量部が好ましく、20〜100重量部の範囲がより好ましい。又、無機多孔質体(c)は1〜100重量部が好ましく、2〜50重量部の範囲がより好ましい。更に好ましい範囲は、2〜20重量部である。
有機化合物(b)の割合が、上記の範囲より小さい場合、得られる印刷版などの硬度と引張強伸度のバランスがとりにくいなどの不都合を生じやすく、上記の範囲より大きい場合には架橋硬化の際の収縮が大きくなり、厚み精度が悪化する傾向がある。
【0050】
また、無機多孔質体(c)の量が上記の範囲より小さい場合、樹脂(a)及び有機化合物(b)の種類によっては、版面のタック防止効果、及びレーザー彫刻した際に、彫刻液状カスの発生を抑制するなどの効果が十分発揮されない場合があり、上記の範囲より大きい場合には、印刷版が脆くなったり、透明性が損なわれる場合があり、また、特にフレキソ版として利用する際には、硬度が高くなりすぎてしまう場合がある。光、特に紫外線を用いて感光性樹脂組成物を硬化させレーザー彫刻印刷原版を作製する場合、光線透過性が硬化反応に影響する。したがって、用いる無機多孔質体の屈折率が感光性樹脂組成物の屈折率に近いものを用いることが有効である。
【0051】
本発明の液状感光性樹脂組成物を光もしくは電子線の照射により架橋して印刷版などとしての物性を発現させるが、その際に重合開始剤を添加することができる。重合開始剤は一般に使用されているものから選択でき、例えば高分子学会編「高分子データ・ハンドブック−基礎編」1986年培風館発行、に例示されているラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合の開始剤等が使用できる。また、光重合開始剤を用いて光重合により架橋を行なうことは、本発明の樹脂組成物の貯蔵安定性を保ちながら、生産性良く印刷原版を生産出来る方法として有用であり、その際に用いる開始剤も公知のものが使用できるが、例えばベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2、2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノンなどのアセトフェノン類;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、フェニルグリオキシル酸メチル、ベンゾフェノン、ベンジル、ジアセチル、ジフェニルスルフィド、エオシン、チオニン、アントラキノン類等の光ラジカル重合開始剤のほか、光を吸収して酸を発生する芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩等の光カチオン重合開始剤あるいは光を吸収して塩基を発生する重合開始剤などが挙げられる。重合開始剤の添加量は樹脂(a)と有機化合物(b)の合計量の0.01〜10wt%範囲が好ましい。
【0052】
その他、本発明の樹脂組成物には用途や目的に応じて重合禁止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、滑剤、界面活性剤、可塑剤、香料などを添加することができる。
本発明で用いる感光性樹脂組成物は、樹脂(a)が20℃において液状のポリマーである場合、液状であり、シート状あるいは円筒状樹脂版への加工性の観点から、特に液状感光性樹脂組成物が好ましく、その粘度の好ましい範囲は20℃において、10Pa・s〜10kPa・s、より好ましくは50Pa・s〜5kPa・sである。
【0053】
本発明のレーザー彫刻可能な印刷原版は、無機多孔質体微粒子を含有した感光性材料を光架橋硬化させて形成したものである。したがって、有機化合物(b)の重合性不飽和基、あるいはポリマーと有機化合物(b)の重合性不飽和基が反応することにより3次元架橋構造が形成され、通常用いるエステル系、ケトン系、芳香族系、エーテル系、アルコール系、ハロゲン系溶剤に不溶化する。この反応は、有機化合物(b)同士、樹脂(a)同士、あるいは樹脂(a)と有機化合物(b)との間で起こり、重合性不飽和基が消費される。また、光重合開始剤を用いて架橋硬化させる場合、光重合開始剤が光により分解されるため、前記架橋硬化物を溶剤で抽出し、GC−MS法(ガスクロマトグラフィーで分離したものを質量分析する方法)、LC−MS法(液体クロマトグラフィーで分離したものを質量分析する方法)、GPC−MS法(ゲル浸透クロマトグラフィーで分離し質量分析する方法)、LC−NMR法(液体クロマトグラフィーで分離したものを核磁気共鳴スペクトルで分析する方法)を用いて解析することにより、未反応の光重合開始剤および分解生成物を同定することができる。更に、GPC−MS法、LC−MS法、GPC−NMR法を用いることにより、溶剤抽出物中の未反応のポリマー、未反応の有機化合物(b)、および重合性不飽和基が反応して得られる比較的低分子量の生成物についても溶剤抽出物の分析から同定することができる。3次元架橋構造を形成した溶剤に不溶の高分子量成分については、熱分解GC−MS法を用いることにより、高分子量体を構成する成分として、重合性不飽和基が反応して生成した部位が存在するかを検証することが可能である。例えば、メタクリレート基、アクリレート基、ビニル基等の重合性不飽和基が反応した部位が存在することを質量分析スペクトルパターンから推定することができる。熱分解GC−MS法とは、試料を加熱分解させ、生成するガス成分をガスクロマトグラフィーで分離した後、質量分析を行なう方法である。架橋硬化物中に、未反応の重合性不飽和基又は重合性不飽和基が反応して得られた部位と共に、光重合開始剤に由来する分解生成物や未反応の光重合開始剤が検出されると、感光性樹脂組成物を光架橋硬化させて得られたものであると結論付けることができる。
【0054】
また、印刷原版中に存在する色素を同定することも可能である。印刷原版が大きく膨潤できる溶剤を選び、この溶剤で抽出された抽出成分を、液体クロマトグラフィー等の分離精製方法で分離し、分離された化合物の光吸収特性を、分光光度計を用いて測定する。また、分離精製化合物の分子構造についてもNMR等の測定装置を用いることにより、決定することが可能である。
また、架橋硬化物中に存在する無機多孔質体微粒子の量については、架橋硬化物を空気中で加熱することにより、有機物成分を焼き飛ばし、残渣の重量を測定することにより得ることができる。また、前記残渣中に無機多孔質体微粒子が存在することは、電界放射型高分解能走査型電子顕微鏡での形態観察、レーザー散乱式粒子径分布測定装置での粒子径分布、および窒素吸着法による細孔容積、細孔径分布、比表面積の測定から同定することができる。
【0055】
本発明の樹脂組成物をシート状、もしくは円筒状に成形する方法は、既存の樹脂の成形方法を用いることができる。例えば、注型法、ポンプや押し出し機等の機械で樹脂をノズルやダイスから押し出し、ブレードで厚みを合わせる、ロールによりカレンダー加工して厚みを合わせる方法等が例示できる。その際、樹脂の性能を落とさない範囲で加熱しながら成形を行なうことも可能である。
【0056】
また、必要に応じて圧延処理、研削処理などをほどこしても良い。通常はPETやニッケルなどの素材からなるバックフィルムといわれる下敷きの上に成形される場合が多いが、直接印刷機のシリンダー上に成形する場合などもありうる。その場合、継ぎ目のないシームレススリーブを形成することができる。また、液状感光性樹脂組成物を円筒状支持体上に塗布した後、光を照射し該液状感光性樹脂組成物を硬化・固化させる装置内に、レーザー彫刻用のレーザー光源を組み込んだスリーブ成形・彫刻装置を用いて印刷版を形成することもできる。このような装置を用いた場合、スリーブを形成した後、直ちにレーザー彫刻し印刷版を形成することができ、成形加工に数週間の期間を必要としていた従来のゴムスリーブでは到底考えられない短時間加工が実現可能となる。
【0057】
前記バックフィルムの役割は、印刷原版の寸法安定性を確保することである。したがって、寸法安定性の高いものを選択することが好ましい。線熱膨張係数を用いて評価すると、好ましい材料の上限値は100ppm/℃以下、更に好ましくは70ppm/℃以下である。材料の具体例としては、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリビスマレイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンチオエーテル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、全芳香族ポリエステル樹脂からなる液晶樹脂、全芳香族ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂などを挙げることができる。また、これらの樹脂を積層して用いることもできる。例えば、厚み4.5μmの全芳香族ポリアミドフィルムの両面に厚み50μmのポリエチレンテレフタレートの層を積層したシート等でもよい。
【0058】
また、多孔質性のシート、例えば繊維を編んで形成したクロスや、不織布、フィルムに細孔を形成したもの等をバックフィルムとして用いることができる。バックフィルムとして多孔質性シートを用いる場合、感光性樹脂組成物を孔に含浸させた後に光硬化させることで、感光性樹脂硬化物層とバックフィルムとが一体化するために高い接着性を得ることができる。クロスあるいは不織布を形成する繊維としては、ガラス繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、アルミナ・シリカ繊維、ホウ素繊維、高珪素繊維、チタン酸カリウム繊維、サファイア繊維などの無機系繊維、木綿、麻などの天然繊維、レーヨン、アセテート等の半合成繊維、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ビニロン、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリイミド、アラミド等の合成繊維を挙げることができる。また、バクテリアの生成するセルロースは、高結晶性ナノファイバーであり、薄くて寸法安定性の高い不織布を作製することのできる材料である。
【0059】
また、バックフィルムの線熱膨張係数を小さくする方法として、充填剤を添加する方法、全芳香族ポリアミド等のメッシュ状クロス、ガラスクロスなどに樹脂を含浸あるいは被覆する方法などを挙げることができる。充填剤としては、通常用いられる有機系微粒子、金属酸化物あるいは金属等の無機系微粒子、有機・無機複合微粒子などを用いることができる。また、多孔質微粒子、内部に空洞を有する微粒子、マイクロカプセル粒子、低分子化合物が内部にインターカレーションする層状化合物粒子を用いることもできる。特に、アルミナ、シリカ、酸化チタン、ゼオライト等の金属酸化物微粒子、ポリスチレン・ポリブタジエン共重合体からなるラテックス微粒子、高結晶性セルロース、生物が生成した高結晶性セルロースナノファイバー等の天然物系の有機系微粒子、繊維等が有用である。
【0060】
本発明で用いるバックフィルムの表面に物理的、化学的処理を行うことにより、感光性樹脂組成物層あるいは接着剤層との接着性を向上させることができる。物理的処理方法としては、サンドブラスト法、微粒子を含有した液体を噴射するウエットブラスト法、コロナ放電処理法、プラズマ処理法、紫外線あるいは真空紫外線照射法などを挙げることができる。また、化学的処理方法としては、強酸・強アルカリ処理法、酸化剤処理法、カップリング剤処理法などである。
【0061】
成形された感光性樹脂組成物は加熱、又光もしくは電子線の照射により架橋せしめ、印刷原版を形成する。また、成型しながら加熱、又光もしくは電子線の照射により架橋させることもできる。その中でも光を使って架橋させる方法は、装置が簡便で厚み精度が高くできるなどの利点を有し好適である。硬化に用いられる光源としては高圧水銀灯、超高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、カーボンアーク灯、キセノンランプ等が挙げられ、その他公知の方法で硬化を行うことができる。また、複数の種類の光源の光を照射しても構わない。 また、印刷原版表面を保護する目的で、感光性樹脂組成物をシート状あるいは円筒状に加工すると同時あるいはその後表面にカバーフィルムを被覆することもできる。
【0062】
レーザー彫刻に用いる原版の厚みは、その使用目的に応じて任意に設定して構わないが、印刷版として用いる場合には、一般的に0.1〜7mmの範囲である。場合によっては、組成の異なる材料を複数積層していても構わない。
本発明では、レーザー彫刻される層の下部にエラストマーからなるクッション層を形成することもできる。一般的にレーザー彫刻される層の厚さは、0.1〜数mmであるため、それ以外の下部層は組成の異なる材料であっても構わない。クッション層としては、ショアA硬度が20から70度のエラストマー層であることが好ましい。ショアA硬度が20度以上の場合、適度に変形するため、印刷品質を確保することができる。また、70度以下であれば、クッション層としての役割を果たすことができる。より好ましいショアA硬度の範囲は、30〜60度である。
【0063】
前記クッション層は、特に限定せず、熱可塑性エラストマー、光硬化型エラストマー、熱硬化型エラストマー等ゴム弾性を有するものであれば何でも構わない。ナノメーターレベルの微細孔を有する多孔質エラストマー層であってもよい。特にシート状あるいは円筒状印刷版への加工性の観点から、光で硬化する液状感光性樹脂組成物を用い、硬化後にエラストマー化する材料を用いることが簡便であり好ましい。
【0064】
クッション層に用いる熱可塑性エラストマーの具体例としては、スチレン系熱可塑性エラストマーであるSBS(ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン)、SIS(ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン)、SEBS(ポリスチレン−ポリエチレン/ポリブチレン−ポリスチレン)等、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。
【0065】
光硬化型エラストマーとしては、前記熱可塑性エラストマーに光重合性モノマー、可塑剤および光重合開始剤等を混合したもの、プラストマー樹脂に光重合性モノマー、光重合開始剤等を混合した液状組成物などを挙げることができる。本発明では、微細パターンの形成機能が重要な要素である感光性樹脂組成物の設計思想とは異なり、光を用いて微細なパターンの形成を行う必要がなく、全面露光により硬化させることにより、ある程度の機械的強度を確保できれば良いため、材料の選定において自由度が極めて高い。
【0066】
また、硫黄架橋型ゴム、有機過酸化物、フェノール樹脂初期縮合物、キノンジオキシム、金属酸化物、チオ尿素等の非硫黄架橋型ゴムを用いることもできる。更に、テレケリック液状ゴムを反応する硬化剤を用いて3次元架橋させてエラストマー化したものを使用することもできる。
本発明のクッション層には、色素(d)は含まれていても、含まれていなくても構わない。色素(d)が含まれていないクッション層を用いた場合、近赤外線レーザーを使用した彫刻においては、色素(d)が含まれないクッション層はレーザー光を吸収できないため、クッション層の上に存在するレーザー彫刻可能な感光性樹脂硬化物層のみ彫刻され凹パターンを形成することが可能となる。したがって、この系では彫刻深度を感光性樹脂硬化物層のみに限定することが可能であり、凹部の深度を精度高く制御する方法として好ましい。
【0067】
また、本発明のレーザー彫刻印刷版の表面に改質層を形成させることにより、印刷版表面のタックの低減、インク濡れ性の向上を行うこともできる。改質層としては、シランカップリング剤あるいはチタンカップリング剤等の表面水酸基と反応する化合物で処理した被膜、あるいは多孔質無機粒子を含有するポリマーフィルムを挙げることができる。
広く用いられているシランカップリング剤は、基材の表面水酸基との反応性の高い官能基を分子内に有する化合物であり、そのような官能基とは、例えばトリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリクロロシリル基、ジエトキシシリル基、ジメトキシシリル基、ジモノクロロシリル基、モノエトキシシリル基、モノメトキシシリル基、モノクロロシリル基を挙げることができる。また、これらの官能基は分子内に少なくとも1つ以上存在し、基材の表面水酸基と反応することにより基材表面に固定化される。更に本発明のシランカップリング剤を構成する化合物は、分子内に反応性官能基としてアクリロイル基、メタクリロイル基、活性水素含有アミノ基、エポキシ基、ビニル基、パーフルオロアルキル基、及びメルカプト基から選ばれた少なくとも1個の官能基を有するもの、あるいは長鎖アルキル基を有するものを用いることができる。
【0068】
また、チタンカップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジ−トリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジ−トリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(オクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルスルフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等の化合物を挙げることができる。
【0069】
表面に固定化したカップリング剤分子が特に重合性反応基を有する場合、表面への固定化後、光、熱、あるいは電子線を照射し架橋させることにより、より強固な被膜とすることもできる。
本発明では、上記のカップリング剤に、必要に応じ、水−アルコール、或いは酢酸水−アルコール混合液で希釈して、調整する。処理液中のカップリング剤の濃度は、0.05〜10.0重量%が好ましい。
【0070】
カップリング剤処理法について説明する。前記のカップリング剤を含む処理液を、印刷原版、あるいはレーザー彫刻後の印刷版表面に塗布して用いられる。カップリング剤処理液を塗布する方法に特に限定はなく、例えば浸漬法、スプレー法、ロールコート法、或いは刷毛塗り法等を適応することが出来る。また、被覆処理温度、被覆処理時間についても特に限定はないが、5〜60℃であることが好ましく、処理時間は0.1〜60秒であることが好ましい。更に樹脂版表面上の処理液層の乾燥を加熱下に行うことが好ましく、加熱温度としては50〜150℃が好ましい。
【0071】
カップリング剤で印刷版表面を処理する前に、キセノンエキシマランプ等の波長が200nm以下の真空紫外線領域の光を照射する方法、あるいはプラズマ等の高エネルギー雰囲気に曝すことにより、印刷版表面に水酸基を発生させ高密度にカップリング剤を固定化することもできる。
また、無機多孔質体粒子を含有する層が印刷版表面に露出している場合、プラズマ等の高エネルギー雰囲気下で処理し、表面の有機物層を若干エッチング除去することにより印刷版表面に微小な凹凸を形成させることができる。この処理により印刷版表面のタックを低減させること、および表面に露出した無機多孔質体粒子がインクを吸収しやすくすることによりインク濡れ性が向上する効果も期待できる。
【0072】
レーザー彫刻においては、形成したい画像をデジタル型のデータとしてコンピューターを利用してレーザー装置を操作し、原版上にレリーフ画像を作成する。レーザー彫刻に用いるレーザーは、原版が吸収を有する波長を含むものであればどのようなものを用いてもよいが、彫刻を高速度で行なうためには出力の高いものが望ましく、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、半導体レーザー、ファイバーレーザー等の赤外線あるいは近赤外線領域に発振波長を有するレーザーが好ましいものの一つである。レーザーの出力および絞り込める最小ビーム径から、高速で高解像度のパターンを彫刻するためには、近赤外線レーザーを用いることが特に好ましい。また、紫外線領域に発振波長を有する紫外線レーザー、例えばエキシマレーザー、第3あるいは第4高調波へ波長変換したYAGレーザー、銅蒸気レーザー等は、有機分子の結合を切断するアブレージョン加工が可能であり、微細加工に適する。フェムト秒レーザーなど極めて高い尖頭出力を有するレーザーを用いることもできる。また、レーザーは連続照射でも、パルス照射でも良い。一般には樹脂は炭酸ガスレーザーの10μm近傍に吸収を持つため、特にレーザー光の吸収を助けるような成分の添加は必須ではない。
【0073】
レーザーによる彫刻は酸素含有ガス下、一般には空気存在下もしくは気流下に実施するが、炭酸ガス、窒素ガス下でも実施できる。彫刻終了後、レリーフ印刷版面にわずかに発生する粉末状もしくは液状の物質は適当な方法、例えば溶剤や界面活性剤の入った水等で洗いとる方法、高圧スプレー等により水系洗浄剤を照射する方法、高圧スチームを照射する方法などを用いて除去しても良い。
本発明の原版は印刷版用レリーフ画像の他、スタンプ・印章、エンボス加工用のデザインロール、電子部品作成に用いられる絶縁体、抵抗体、導電体ペーストのパターニング用レリーフ画像、窯業製品の型材用レリーフ画像、広告・表示板などのディスプレイ用レリーフ画像、各種成型品の原型・母型など各種の用途に応用し利用できる。
【0074】
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
レーザー彫刻後、エタノールもしくはアセトンを含浸させた不織布(旭化成株式会社製、商標「BEMCOT M−3」)を用いてレリーフ印刷版上のカスを拭き取った。レーザー彫刻前の印刷原版、レーザー彫刻直後の印刷版、及び拭き取り後のレリーフ印刷版各々重量を測定し、式(1)により、彫刻時のカス残存率を求めた。
(彫刻直後の版の重量−拭き取り後の版の重量)÷(彫刻前の原版重量−拭き取り後の版の重量)×100(1)
【0075】
また、拭き取り後のレリーフ印刷版面のタック測定は株式会社東洋精機製作所製タックテスターを用いて行なった。 タック測定は、20℃において、試料片の平滑な部分に半径50mm、幅13mmのアルミニウム輪の幅13mmの部分を接触させ、該アルミニウム輪に0.5kgの荷重を加え4秒間放置した後、毎分30mmの一定速度で前記アルミニウム輪を引き上げ、アルミニウム輪が試料片から離れる際の抵抗力をプッシュプルゲージで読み取る。この値が大きいもの程、ベトツキ度が大きく、接着力が高い。
【0076】
更に、彫刻した部位のうち、80lpi(Lines per inch)で面積率約10%の網点部の形状を電子顕微鏡にて観察した。
微粒子の比表面積、細孔分布測定は、米国カンタクローム社製、オートソープ3MP(商標)を用い、液体窒素温度雰囲気下、窒素ガスを吸着させて測定した。
光線透過率の測定には、分光光度計(島津製作所社製、商標「UV−3150」)を用いた。
【0077】
【製造例1】
温度計、攪拌機、還流器を備えた1Lのセパラブルフラスコに旭化成株式会社製ポリカーボネートジオールである、商標「PCDL L4672」(数平均分子量1990、OH価56.4)447.24gとトリレンジイソシアナート30.83gを加え80℃に加温下に約3時間反応させた後、2−メタクリロイルオキシイソシアネート14.83gを添加し、さらに約3時間反応させて、末端がメタアクリル基(分子内の重合性不飽和基が1分子あたり平均約2個)である数平均分子量約10000の樹脂(ア)を製造した。この樹脂は20℃では水飴状であり、外力を加えると流動し、かつ外力を除いても元の形状を回復しなかった。
【0078】
【製造例2】
温度計、攪拌機、還流器を備えた1Lのセパラブルフラスコに旭化成株式会社製ポリカーボネートジオールである、商標「PCDL L4672」(数平均分子量1990、OH価56.4)447.24gとトリレンジイソシアナート30.83gを加え80℃に加温下に約3時間反応させた後、2−メタクリロイルオキシイソシアネート7.42gを添加し、さらに約3時間反応させて、末端がメタアクリル基(分子内の重合性不飽和基が1分子あたり平均約1個)である数平均分子量約10000の樹脂(イ)を製造した。この樹脂は20℃では水飴状であり、外力を加えると流動し、かつ外力を除いても元の形状を回復しなかった。
【0079】
【実施例1〜4、比較例1】
前記の製造例で得られた樹脂(ア)および(イ)を用い、表1に示すように有機化合物(b)、無機多孔質体として富士シリシア化学株式会社製、多孔質性微粉末シリカである、商標「サイロスフェアC−1504」(以下略してC−1504、数平均粒子径4.5μm、比表面積520m/g、平均細孔径12nm、細孔容積1.5ml/g、灼熱減量2.5wt%、吸油量290ml/100g)、商標「サイリシア450」(以下略してC−450、数平均粒子径8.0μm、比表面積300m/g、平均細孔径17nm、細孔容積1.25ml/g、灼熱減量5.0wt%、吸油量200ml/100g)、商標「サイリシア470」(以下略してC−470、数平均粒子径14.1μm、比表面積300m/g、平均細孔径17nm、細孔容積1.25ml/g、灼熱減量5.0wt%、吸油量180ml/100g)、光重合開始剤(伊国fratelli lamberti s.p.a.社製、商標「ESACURE X15」)、その他添加剤を加えて感光性樹脂組成物を作成した。近赤外線吸収色素(カナダ国アメリカン・ダイ・ソース社製、商標「ADS1050P」)を0.5wt%添加した。添加に際し、先ず有機化合物(b)に所定量溶解させたものを用意し、溶液状態で添加し樹脂に混合した。
【0080】
このようにして得られた感光性樹脂組成物を、PETフィルム上に厚さ2.8mmのシート状に成形したのち、厚さ15μmの易剥離性PETカバーフィルムを被覆し、2kWメタルハライドランプの光をカバーフィルム面から4000mJ/cmの条件で照射し、印刷原版を作製した。感光性樹脂硬化物の内部まで硬化していることを、印刷原版を切断して確認した。
使用した近赤外線吸収色素(カナダ国アメリカン・ダイ・ソース社製、商標「ADS1050P」)の最も強い光吸収ピークは1050nm付近に存在し、分子量は763、分子吸光係数は1.25×10−1/cmであり、10mg/リットルの塩化メチレン溶液を1cm透過する光の透過率は、前記感光性樹脂組成物を光硬化させるのに用いた400nm付近の波長において、95%以上であり、彫刻に用いたYAGレーザーの発振波長(1064nm)において、2%であった。
【0081】
また、別途作製した厚さ1mmの印刷原版の、波長1064nmにおける光の透過率は、1%以下であった。
用いた多孔質性微紛末シリカの多孔度は、密度を2g/cmとして算出すると、サイロスフェアC−1504が780、サイリシア450が800、サイリシア470が1410である。添加した多孔質球状シリカであるサイロスフェアC−1504の真球度は、走査型電子顕微鏡を用いて観察したところ、ほぼ全ての粒子が0.9以上であった。サイリシア450は多孔質シリカではあるが球状シリカではなかった。
【0082】
これらをYAGレーザーを搭載したレーザー彫刻機(ウエッツエル社製、商標「フレキソレーザーセッターWFL40−2V」)を用いて、パターンの彫刻を行なった。彫刻のパターンは、網点、500μm幅の凸線による線画、及び、500μm幅の白抜き線を含むパターンを作成して実施した。彫刻深さは0.55mmとした。その評価結果を表2に示す。
表2の彫刻後のカス拭き取り回数とは、彫刻後発生する粘稠性の液状カスを除去するのに必要な拭き取り処理の回数であり、この回数が多いと液状カスの量が多いことを意味する。
【0083】
また、印刷原版の耐摩耗性を評価したところ、球状シリカであるサイロスフェアC−1504を用いたものの方が、磨耗量が少なく、サイシリア450を用いたものよりも優れていた。
本発明の実施例で用いている二重結合含有有機化合物の内、脂環族および芳香族の誘導体は、BZMA、CHMAおよびPEMAである。
【0084】
【実施例5】
近赤外線吸収色素として米国アメリカン・ダイ・ソース社製、商標「ADS805PA」を用いる以外は、実施例1と同様にして印刷原版を作製した。
レーザー彫刻には、波長780〜815nm、出力40Wの半導体レーザー(米国コヒーレント社製、商標「FAP−λ−40C−800−B」からの光を、オプティカルファイバーで導光した。オプティカルファイバーの先端を彫刻する印刷原版までの距離を10mmまで接近させ固定した。ファイバーから出てくる光の直径は約800μmであった。固定されたレーザービームに対し、印刷原版を可動するXYステージ上に載せ、該ステージを動かすことにより、凹状の点パターンと直線パターンを形成した。
【0085】
用いた近赤外線吸収色素の分子量は570、分子吸光係数は2.05×10−1cm−1、最大吸収波長は800nmであった。この色素をメタノールに10mg/リットルの濃度で溶かし、1cmを透過してくる光線透過率を測定した。感光性樹脂組成物の硬化に用いた波長400nmの光の透過率は95%以上であり、彫刻に用いたレーザーの波長800nmでは、1%未満であった。
また、別途作製した厚さ1mmの印刷原版の、波長800nmにおける光の透過率は、1%以下であった。
半導体レーザーで彫刻後のカス拭き取り回数は3回以下、拭き取り後のレリーフ上のタックは100N/m、点パターンおよび直線パターンのエッジ部の形状はシャープで良好であった。
【0086】
【実施例6】
近赤外線吸収色素が米国アメリカン・ダイ・ソース社製、商標「ADS1120P」である以外、実施例1と同様にして印刷原版を作製した。
また、レーザー彫刻には波長1100nmのファイバーレーザーマーカシステム(米国JDS Uniphase社製、商標「SDL−IFL25」)を用いて、実施例5と同様に印刷原版をXYステージに載せて実施した。
【0087】
用いた近赤外線吸収色素の分子量は835、分子吸光係数は1.13×10−1cm−1、最大吸収波長は1120nmであった。この色素を塩化メチレンに10mg/リットルの濃度で溶かし、1cmを透過してくる光線透過率を測定した。感光性樹脂組成物の硬化に用いた波長400nmの光の透過率は50%以上であり、彫刻に用いたレーザーの波長1100nmでは、1%未満であった。
また、別途作製した厚さ1mmの印刷原版の、波長1100nmにおける光の透過率は、1%以下であった。
半導体レーザーで彫刻後のカス拭き取り回数は3回以下、点パターンおよび直線パターンのエッジ部の形状はシャープで良好であった。
【0088】
【比較例2】
近赤外線吸収色素を含有しない以外、実施例1と同様にして印刷原版を作製した。
実施例1と同様に、YAGレーザーで彫刻を試みたが、全く彫刻されず凹凸パターンを形成することができなかった。
【0089】
【比較例3】
無機多孔質体の代わりにカーボンブラック(東海カーボン社製、商標「シーストSP、SRF−LS」、平均粒子径95nm、比表面積23m/g、平均細孔径1nm未満)を0.2wt%含有させる以外は、実施例4と同じ方法で、印刷原版の作製を試みた。カーボンブラック粒子のX線回折から求めた面間隔を平均細孔径とした。用いたカーボンブラックの多孔度は、密度を2.25g/cmとして、0.8である。
【0090】
しかし、液状感光性樹脂組成物を硬化させることはできなかった。更にレリーフ面露光量を6000mJ/cmまで上げても、硬化したのは表面層の約0.2mm程度であり、レーザー彫刻印刷原版として使用できるものではなかった。硬化した約0.2mmの硬化物層を取り出し、液状物の残存する面に再度、紫外線を照射し硬化させたものを擬似印刷版とし、彫刻深さを0.1mmに設定し、YAGレーザー彫刻機を用いて彫刻を実施した。その結果、彫刻カスは粘稠性液状物であった。これは、添加できる黒色のカーボンブラックが極めて少量に制限されるため、擬似印刷版内部の硬化が不十分であることが推定される。本比較例のように極めて少量の添加量では液状カスを除去する効果は期待できない。紫外線領域に大きな光吸収特性を有する微粒子を感光性樹脂に添加し、それを光硬化する系の場合、一般的な現象である。
【0091】
【比較例4】
無機多孔質体の代わりに無孔質体としてアルミノシリケート(水澤化学社製、商標「シルトンAMT25」)を用いる以外は、実施例4と同じ方法により印刷原版を作製した。用いた無孔質体は平均粒子径2.9μm、細孔容積0.006ml/g、比表面積2.3m/g、吸油量40ml/100gであった。多孔度は、密度を2g/cmとして、2.2であった。
YAGレーザーで彫刻後、粘稠性液状カスが多量に発生し、カス拭き取り回数は10回を越えて必要であった。
ただし、網点部の形状は、円錐状で良好であった。また、拭き取り後のレリーフ上のタックは350N/mであった。
【0092】
【比較例5】
無機多孔質体の代わりに無孔質体としてソジュウムカルシウムアルミノシリケート(水澤化学社製、商標「シルトンJC50」)を用いる以外は、実施例4と同じ方法により印刷原版を作製した。用いた無孔質体は平均粒子径5.0μm、細孔容積0.02ml/g、比表面積6.7m/g、吸油量45ml/100gであった。多孔度は、密度を2g/cmとして、11であった。
YAGレーザーで彫刻後、粘稠性液状カスが多量に発生し、カス拭き取り回数は10回を越えて必要であった。
ただし、網点部の形状は、円錐状で良好であった。また、拭き取り後のレリーフ上のタックは280N/mであった。
【0093】
【表1】
Figure 2004262135
【0094】
【表2】
Figure 2004262135
【0095】
【発明の効果】
直接レーザー彫刻してレリーフ画像を制作する際のカスの発生を抑制し、そのカスを容易に除去できるばかりででなく、彫刻の形状が優れ、印刷面のタックが小さい印刷版を製作しうるレーザー彫刻可能な印刷原版の提供、特に近赤外線レーザーを用いたレーザー彫刻に適する印刷原版の提供を可能にした。

Claims (9)

  1. 数平均分子量1000以上20万以下の樹脂(a)、数平均分子量1000未満でその分子内に重合性不飽和基を有する有機化合物(b)、無機多孔質体(c)、および色素(d)を含有した感光性樹脂組成物であって、該色素(d)を10mg/リットルの濃度で溶解した溶液あるいは分散させた分散体、1cmを透過してくる光の割合を該色素の光線透過率と定義する場合、当該色素の光線透過率が300から600nmの波長範囲で前記感光性樹脂組成物の硬化に用いる光の波長において5%以上であり、かつ彫刻に用いる波長範囲700から3000nmのレーザー光の波長において80%以下であることを特徴とするレーザー彫刻可能な印刷原版用感光性樹脂組成物。
  2. 無機多孔質体(c)の平均細孔径が1nm以上1000nm以下、細孔容積が0.1ml/g以上10ml/g以下、比表面積が10m/g以上1500m/g以下、かつ吸油量が10ml/100g以上2000ml/100g以下である請求項1に記載のレーザー彫刻可能な印刷原版用感光性樹脂組成物。
  3. 無機多孔質体(c)の数平均粒子径が0.1μm以上100μm以下であって、少なくとも70%の粒子の真球度が0.5〜1の範囲の球状粒子であることを特徴とする請求項1あるいは2に記載のレーザー彫刻印刷原版用感光性樹脂組成物。
  4. 感光性樹脂組成物が、300〜600nmに光吸収を有する光重合開始剤(e)を含有する請求項1から3のいずれかに記載のレーザー彫刻可能な印刷原版用感光性樹脂組成物。
  5. 有機化合物(b)の全体量の20wt%以上が脂環族、芳香族の少なくとも1種類以上の誘導体であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のレーザー彫刻可能な印刷原版用感光性樹脂組成物。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を、300から600nmの波長領域の光照射により架橋硬化せしめて得られるシート状あるいは円筒状の感光性樹脂硬化物層からなるレーザー彫刻印刷原版であって、該印刷原版の光線透過率を、厚さ1mmの印刷原版を透過する光の割合と定義する場合、発振波長が700から3000nmの波長領域にある彫刻に用いるレーザー光の波長における光線透過率が、10%以下であることを特徴とするレーザー彫刻用印刷原版。
  7. 請求項6に記載の印刷原版の下部に、ショアA硬度が20度以上70度以下のエラストマー層を少なくとも1層有することを特徴とする多層レーザー彫刻印刷原版。
  8. エラストマー層が、常温で液状の感光性樹脂組成物を硬化して形成されることを特徴とする請求項7に記載の多層レーザー彫刻印刷原版。
  9. 請求項6から8のいずれかに記載のレーザー彫刻印刷原版に、レーザー光を照射することにより凹凸パターンを形成したフレキソ印刷版。
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