JP4531511B2 - カラーフィルタの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、カラーの液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス(以後、有機ELと記す。)表示装置等に用いられるディスプレイ用カラーフィルターにおいて、不純物や揮発性成分等による表示不良を防止するのに好適なカラーフィルタの製造方法に関するものである。
近年、フラットディスプレイとして、カラーの液晶表示装置や有機EL表示装置が注目されており、これらのディスプレイにはカラーフィルタが用いられている。例えば、カラー液晶表示装置には、一例として、ブラックマトリックス、複数の色(通常、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色)からなる着色層、透明電極および配向層を備えたカラーフィルタ基板と、薄膜トランジスタ(TFT素子)、画素電極および配向層を備えた対向電極基板と、これら両基板を所定の間隙をもたせて対向させ、シール部材で密封して、上記間隙に液晶材料を注入して形成された液晶層とから概略構成された透過型の液晶表示装置がある。また、上記のカラーフィルタの基板と着色層との間に反射層を設けた反射型の液晶表示装置もある。
このようなカラー液晶表示装置では、液晶の配向不良、液晶に印加される電圧変化、表示面内の電圧のバラツキ等により液晶の配向状態が変化すると、表示不良が生じる。表示不良の原因としては、例えば、液晶中に不純物として存在するイオン性物質が挙げられる。
また、カラー液晶表示装置の主要部材であるカラーフィルタは、一般に顔料を分散させた感光性樹脂を紫外線露光してパターン状に形成して用いられており、液晶表示装置の製造工程の液晶注入工程において、液晶注入後にカラーフィルタよりセル内に不純物が溶出したり、揮発性成分が揮発して混入することにより、表示ムラ等が発生し表示品質を低下させることが問題となっている。また、カラーフィルタの製造工程においても、カラーフィルタを構成する材料からの揮発等により、カラーフィルタ表面が汚染され、歩留りが低下することが問題となっている。
このような表示不良現象を考慮した技術として、材料組成物中のイオン性不純物に関する技術(特許文献1参照。)、材料組成物中の塩素イオン、硝酸イオンに関する技術(特許文献2参照。)、カラーフィルタからの発生水分量に関する技術(特許文献3参照。)等がある。
特開平1−254918号公報 特開平11−64619号公報 特開平11−133223号公報
しかしながら、従来の技術においては、対象となるイオン性不純物や構成材料が限定されているため、これら以外の不純物が存在した場合には、結果的にカラー表示装置の表示不良が発生してしまうという問題があった。また、カラーフィルタの製造に使用する樹脂組成物においては、構成材料の種類、製造会社、品名等により不純物の種類や量が異なり、構成材料を変更した場合のカラー表示装置の表示特性に与える影響を予測することは困難であった。さらに、カラー表示装置の表示不良現象の原因となる物質を全て特定することは困難であり、仮に特定できたとしても、構成材料に原因物質を全く含有しない樹脂組成物を使用する場合、使用可能な構成材料の幅が大幅に制限され、かつ、樹脂組成物の製造コスト増大を伴うという問題があった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、カラーフィルタからの汚染物質で液晶層や有機EL層が汚染されないように、簡便な方法でカラーフィルタからの汚染物質を特定し、カラー表示装置の表示不良現象を防止でき、かつ、使用する構成材料の選択幅が広く、コスト増大を引き起こさないカラーフィルタ、及びそのカラーフィルタを具備するカラー表示装置を提供するものである。
本発明は、表示装置の液晶層や有機EL層と接触するカラーフィルタを構成している感光性樹脂組成物に含まれている未反応の残留物を上記のような汚染物質の発生源の一つと考え、感光性樹脂組成物を紫外線露光しポストベークによる加熱工程を経て、ポリマー膜とした樹脂組成物に残存して含まれている未反応残留物として、未反応の光重合開始剤および未反応のモノマーに着目し、ポリマー膜のポリマーに対するそれらの残留比を測定し、残留比と表示不良との相関を把握し、表示不良の生じないカラーフィルタの適正条件を定めたものである。
請求項1の発明は、少なくともバインダー樹脂とモノマーと光重合開始剤とを含む感光性樹脂組成物を紫外線露光し加熱工程を経てポリマー膜としたカラーフィルタの製造方法であって、前記カラーフィルタの前記ポリマー膜に含まれる未反応光重合開始剤の前記ポリマーに対する残留比Xと、未反応モノマーの前記ポリマーに対する残留比Yを直接導入法質量分析装置により測定し、前記残留比Xと前記残留比Yが、下記の式(1)および式(2)を満たすように前記未反応光重合開始剤と、前記未反応モノマーを制御することを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
(1) 0≦X≦4(重量%)
(2) 0≦Y≦40(重量%)
請求項2の発明は、請求項1に記載のカラーフィルタの製造方法において、前記感光性樹脂組成物が少なくとも顔料と顔料分散剤とを含有した着色層形成用組成物であることを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
請求項3の発明は、請求項1に記載のカラーフィルタの製造方法において、前記感光性樹脂組成物が保護層形成用組成物であることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタの製造方法である。
発明は、未反応残留物による表示装置の表示不良を生じないカラーフィルタの適正条件を定めるために、直接導入法質量分析をポリマー膜の樹脂成分の膜質評価法として新たに適用し、ポリマー化した樹脂膜中の未反応光重合開始剤や未反応モノマー等の未反応残留物の的確な把握に基づき、カラーフィルタとしての最適な条件範囲を設定するものである。
本発明によれば、カラーフィルタに含まれる未反応光重合開始剤のポリマーに対する残留比(重量%)と、未反応モノマーのポリマーに対する残留比(重量%)を所定の範囲とすることにより、カラーフィルタを用いたカラー表示装置の未反応残留物による表示不良を防止することが可能となる。
本発明に用いる直接導入法質量分析によれば、サンプルに直接高温をかけられるため、膜の熱抽出評価を容易に行うことができる。また、モノマー、ポリマー、その他の低分子量および高分子量成分のすべてを一括測定できるため、感光性樹脂等の硬化性樹脂で構成される膜中の残留物質の評価を容易に行うことができる。従って、膜の耐熱性の評価を容易に行うことができ、感光性樹脂組成物の紫外線露光あるいはポストベーク等の加熱温度の影響を把握することが可能となる。本手法の適用により最適な材料設計指針が得られ、安定な硬化膜を得ることができ、成膜後の工程の熱履歴による不純物等の発生の定性、定量分析が可能となり、不純物等に基づく表示不良等を防止したカラーフィルタの最適な組成条件を定めることが可能となる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明のカラーフィルタは、少なくともバインダー樹脂とモノマーと光重合開始剤とを含む感光性樹脂組成物を紫外線露光し加熱工程を経てポリマー膜としたカラーフィルタであって、カラーフィルタの着色層には顔料が用いられ、いわゆる顔料分散型カラーフィルタと称されるものであり、現在、最も広く用いられているカラーフィルタである。
本発明においては、前記カラーフィルタの前記ポリマー膜に含まれる未反応光重合開始剤の前記ポリマーに対する残留比Xと、未反応モノマーの前記ポリマーに対する残留比Yが、下記の式(1)および式(2)を満たすことを特徴とするカラーフィルタである。
(1) 0≦X≦4(重量%)
(2) 0≦Y≦40(重量%)
ここで、上記の未反応光重合開始剤および未反応モノマーの測定方法について説明する。
(測定用試料)
測定用試料としては、紫外線でパターン露光し、現像し、ポストベークの加熱工程を経てポリマー化し硬化したカラーフィルタを準備し、そのカラーフィルタの測定すべき部位の皮膜から数ngを掻きとって試料とする。本発明で用いる測定方法は極微量で測定可能なので、測定対象に損傷を与えずに測定することが可能である。
(測定装置および測定方法)
測定装置は、直接導入法質量分析装置(EI)を用いるのが好ましい。上記の数ngの試料を、直接導入法質量分析装置の装置専用プローブに付着させてイオン化室へ直接導入し、秒速10℃で1000℃まで昇温させながら、質量分析を行う方法である。この方法によれば、試料の直接イオン化が可能であり、昇温速度が速いため、試料の未反応物、反応物、分解物などの特定が可能である。イオン化された試料は、質量数既知の標準物質をイオン化し、TIC(トータルイオンクロマトグラム)により、ポリマー、モノマー、光重合開始剤のマスクロマトグラムを起こし、それを基準に主成分であるポリマーに対する光重合開始剤量およびモノマー量を算出する。
次に、本発明のカラーフィルタの構成成分についてさらに詳しく説明する。上述のように、本発明のカラーフィルタは、少なくともバインダー樹脂とモノマーと光重合開始剤とを含む感光性樹脂組成物を紫外線露光し加熱工程を経てポリマー膜としたカラーフィルタである。本発明において、カラーフィルタの着色層は、少なくとも顔料と顔料分散剤を含む着色層形成用組成物を用いて形成されており、前記の着色層形成用組成物は少なくともバインダー樹脂とモノマーと光重合開始剤とを含む感光性樹脂組成物よりなるものである。着色層形成用組成物には、さらに必要に応じて、顔料誘導体、界面活性剤等が含有され、塗布特性を得るために溶剤が含まれる。また、本発明において、カラーフィルタの着色層上に樹脂による保護層を設ける場合には、保護層は保護層形成用組成物を用いて形成されており、前記の保護層形成用組成物は少なくとも可視光域で透明性の高いバインダー樹脂とモノマーと光重合開始剤とを含む感光性樹脂組成物よりなるものである。
以下、各構成成分について述べる。
(バインダー樹脂)
感光性樹脂組成物を構成するバインダー樹脂としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレンビニル共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、エチレンメタクリル酸樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化塩化ビニル、ポリビニルアルコール、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミック酸樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂等、および、重合可能なモノマーであるメチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、sec−ブチルアクリレート、sec−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ペンチルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルアクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−デシルアクリレート、n−デシルメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニル−2−ピロリドン、グリシジル(メタ)アクリレートの1種以上と、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸の2量体(例えば、東亜合成化学(株)製M−5600)、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、これらの酸無水物等の1種以上からなるポリマーまたはコポリマー等が挙げられる。また、上記のコポリマーにグリシジル基または水酸基を有するエチレン性不飽和化合物を付加させたポリマー等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記のバインダー樹脂のなかで、合わせて使用するモノマーとの相溶性等の観点から、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリメタクリル酸エチル樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂とポリメタクリル酸エチル樹脂の共重合体、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、エチルヒドロキシエチルセルロース、セルローストリアセテート等を好ましく使用することができる。特に好ましくは、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリメタクリル酸エチル樹脂、ポリスチレン樹脂、メタクリル酸とスチレン、グリシジルメタクリレートとの共重合体、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、および、これらの変性物を使用することができる。
特に、バインダー樹脂として好ましいエポキシ樹脂としては、三菱油化シェル(株)製エピコートシリーズ、ダイセル(株)製セロキサイドシリーズ、エポリードシリーズ、または、ビスフェノール−A型エポキシ樹脂、ビスフェノール−F型エポキシ樹脂、ビスフェノール−S型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸グリシジルエステル、ポリオールグリシジルエステル、脂肪族または脂環式エポキシ樹脂、アミンエポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂、グリシジル(メタ)アクリレートとラジカル重合可能なモノマーとの共重合エポキシ化合物等を挙げることができる。このようなバインダー樹脂の含有量は、樹脂組成物の不揮発成分の10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%の範囲が望ましい。
(モノマー)
感光性樹脂組成物を構成するモノマーとしては、少なくとも1つの重合可能な炭素−炭素不飽和結合を有する化合物が用いられる。具体的には、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシエチレングリコールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリセロールアクリレート、グリシジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソボニルアクリレート、イソデキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、2,2−ジメチロールプロパンジアクリレート、グリセロールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ポリオキシエチル化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリアクリレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジアクリレート、ジアリルフマレート、1,10−デカンジオールジメチルアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、および、上記のアクリレート基をメタクリレート基に置換したもの、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1−ビニル−2−ピロリドン、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、テトラヒドロフルフリールアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、3−ブタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、フェノール−エチレンオキサイド変性アクリレート、フェノール−プロピレンオキサイド変性アクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、ビスフェノールA−エチレンオキサイド変性ジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサド変性トリアクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート、ペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等のアクリレートモノマー、および、これらのアクリレート基をメタクリレート基に置換したもの、ポリウレタン構造を有するオリゴマーにアクリレート基を結合させたウレタンアクリレートオリゴマー、ポリエステル構造を有するオリゴマーにアクリレート基を結合させたポリエステルアクリレートオリゴマー、エポキシ基を有するオリゴマーにアクリレート基を結合させたエポキシアクリレートオリゴマー、ポリウレタン構造を有するオリゴマーにメタクリレート基を結合させたウレタンメタクリレートオリゴマー、ポリエステル構造を有するオリゴマーにメタクリレート基を結合させたポリエステルメタクリレートオリゴマー、エポキシ基を有するオリゴマーにメタクリレート基を結合させたエポキシメタクリレートオリゴマー、アクリレート基を有するポリウレタンアクリレート、アクリレート基を有するポリエステルアクリレート、アクリレート基を有するエポキシアクリレート樹脂、メタクリレート基を有するポリウレタンメタクリレート、メタクリレート基を有するポリエステルメタクリレート、メタクリレート基を有するエポキシメタクリレート樹脂等が挙げられる。
これらは使用することができるモノマーの一例であり、これらに限定されるものではない。また、このようなモノマーの含有量は、樹脂組成物の不揮発成分の10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%の範囲が望ましい。
(顔料)
顔料としては、公知の赤色顔料、黄色顔料、緑色顔料、青色顔料、紫色顔料、黒色顔料等を使用することができる。顔料の具体例をカラーインデックスナンバーで表示すると、赤色顔料はPR177、PR48:1、PR254、黄色顔料はPY83、PY138、PY139、PY150、緑色顔料はPG7、PG36、青色顔料は PB15番台、PB1、PB19、PB60、PB61、紫色顔料は PV23、黒色顔料はカーボンブラック、金属酸化物系の黒色顔料(チタンブラック、Cu、Fe、Mn、V、Ni等の酸化物を含む顔料)等を挙げることができる。このような顔料の含有量は、樹脂組成物の不揮発成分の10〜60重量%、好ましくは20〜40重量%の範囲が望ましい。
(顔料分散剤)
また、顔料分散剤としては、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、変性ポリエステル、変性ポリアミド等の高分子分散剤、リン酸エステル、ポリエーテル、アルキルアミン等の界面活性剤等を使用することができる。このような顔料分散剤の含有量は、感光性樹脂組成物のバインダー樹脂の5〜40重量%、好ましくは10〜20重量%の範囲が望ましい。さらに、顔料誘導体を含有する場合、使用する顔料誘導体としては、フタロシアニン系、アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系等の顔料の骨格にカルボキシル基、スルホン酸基、アミノ基、カルボニル基、スルホニル基等を付加したもの、および、その塩等を挙げることができる。このような顔料誘導体の含有量は、感光性樹脂組成物のバインダー樹脂の1〜10重量%、好ましくは2〜5重量%の範囲が望ましい。
(界面活性剤)
界面活性剤を含有する場合、界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリエチレングリコール等を使用することができる。このような界面活性剤の含有量は、感光性樹脂組成物のバインダー樹脂の1〜10重量%、好ましくは2〜5重量%の範囲が望ましい。
(溶剤)
本発明の樹脂組成物は、揮発成分として溶剤を含有する。使用する溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類、α−もしくはβ−テルピネオール等のテルペン類等、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、セロソルブ、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の酢酸エステル類等が挙げられる。溶剤は、感光性樹脂組成物をカラーフィルタ用基板上に塗布し、プリベークし、露光、現像、ポストベークする工程を経ることにより、ポリマー化したカラーフィルタからは、通常、除去されている。
(光重合開始剤)
光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、N,N′テトラメチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−エチルアントラキノン、フェナントレン等の芳香族ケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル類、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2,4,5−トリアリールイミダゾール2量体、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−シアノスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール等のハロメチルチアゾール化合物、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシスチリル−S−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1,3−ブタジエニル)−S−トリアジン、2−トリクロロメチル−4−アミノ−6−p−メトキシスチリル−S−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン、2−(4−ブトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン等のハロメチル−S−トリアジン系化合物、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパノン、1,2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、イルガキュアー369(チバガイギー社製)、イルガキュアー651(チバガイギー社製)、イルガキュアー907(チバガイギー社製)等の光重合開始剤が挙げられる。本発明では、これらの光重合開始剤を単独で、または、2種以上を混合して使用することができる。
このような光重合開始剤の添加量は、感光性樹脂組成物のバインダー樹脂100重量部に対して5〜40重量部、好ましくは10〜20重量部の範囲で設定することができる。
上述のような感光性樹脂組成物を用いて、カラーフィルタの着色層、ブラックマトリックス(遮光層)、必要に応じて保護層、ギャップ保持材等を形成してカラーフィルタとすることができる。
図1は本発明のカラーフィルタの一例を示す概略断面図である。図1において、カラーフィルタ11は、基板12と、この基板12上に形成されたブラックマトリックス13、および、着色層14(赤色パターン14R、緑色パターン14G、青色パターン14Bが所望のパターン形状で配列されている。)を備えている。
このカラーフィルタ11は、着色層14上に共通透明電極層や配向層を設けた状態で液晶表示装置に用いられ、この場合、着色層14が液晶層に接触する。そして、前述の式(1)および式(2)を満たす本発明のカラーフィルタ11を液晶表示装置に用いることにより、表示不良の発生が防止され、表示品質に優れた液晶表示装置が可能となる。さらに、図1に示すように、ブラックマトリックス13が着色層14の各パターン間に露出しており、液晶表示装置において液晶層と接触し、このブラックマトリックス13が感光性樹脂で形成されている場合には、ブラックマトリックス13も含めて、前述の式(1)および式(2)を満たす本発明のカラーフィルタを形成すればよい。
また、図2は、本発明のカラーフィルタの別な形態の一例を示す概略断面図である。
図2に示すカラーフィルタ21は、基板22と、この基板22上に形成されたブラックマトリックス23、および、着色層24(赤色パターン24R、緑色パターン24G、青色パターン24Bが所望のパターン形状で配列されている。)を備え、ブラックマトリックス23および着色層24を覆うように透明な保護層25が形成されている。
このカラーフィルタ21は、保護層25上に共通透明電極層や配向層を設けた状態で液晶表示装置に用いられ、この場合、保護層25が液晶層に接触する位置となる。そして、保護層25を含めて、前述の式(1)および式(2)を満たす本発明のカラーフィルタ21を液晶表示装置に用いることにより、表示不良の発生が防止され、表示品質に優れた液晶表示装置が可能となる。
(保護層)
保護層25は、下層を保護する役割を有すると共に、下層を構成する材料成分の液晶層への移行を低減し、下層の厚みが一定しない場合には、それらの表面をならして平坦化した面とし、上層を形成する工程での影響を低減する目的で設けられる。保護層25としては、低温真空成膜による二酸化珪素等の無機膜、または樹脂膜、あるいは有機−無機ハイブリッド材料による膜を単層あるいは2層以上にして用いられる。上記の保護層25として樹脂を用いる場合には、着色層24を構成するための樹脂として前記した感光性樹脂成分と同様のバインダー成分、モノマーが用いられ、さらに感光性を付与する場合には、前記した光重合開始剤と同様な開始剤が用いられる。
下記のように、着色層形成用の赤色、緑色、青色に着色した感光性樹脂組成物、および保護層形成用の透明な感光性樹脂組成物を作製した。
(赤色パターン用樹脂組成物R)
・バインダー樹脂:アクリル系共重合体
・モノマー:ジペンタエリスリトール多官能アクリレート
・顔料:赤顔料P.R.254
黄顔料P.Y.138
・分散剤:カプロラクトン共重合体
・光重合開始剤:チバガイギー社製イルガキュア369
ジエチルチオキサントン
ビイミダゾール
・溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
(緑色パターン用樹脂組成物G)
・バインダー樹脂:アクリル系共重合体
・モノマー:ジペンタエリスリトール多官能アクリレート
・顔料:緑顔料P.G.36
黄顔料P.Y.150
・分散剤:カプロラクトン共重合体
・光重合開始剤:チバガイギー社製イルガキュア369
・溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
メチルブトキシアセテート
3−エトキシプロピオン酸エチル
(青色パターン用樹脂組成物G)
・バインダー樹脂:アクリル系共重合体
・モノマー:ジペンタエリスリトール多官能アクリレート
・顔料:青顔料P.B.15:6
・分散剤:カプロラクトン共重合体
・光重合開始剤:チバガイギー社製イルガキュア907
ジエチルチオキサントン
・溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
メチルブトキシアセテート
3−エトキシプロピオン酸エチル
(保護層用樹脂組成物OC)
・バインダー樹脂:アクリル系共重合体
・モノマー:ジペンタエリスリトール多官能アクリレート
・光重合開始剤:チバガイギー社製イルガキュア907
ビイミダゾール
・溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
メチルブトキシアセテート
次に、カラーフィルタ用ガラス基板(コーニング社製1737ガラス)を準備し、定法に従って洗浄した後、上記の着色層形成用の赤色、緑色、青色に着色した感光性樹脂組成物、および保護層形成用の透明な感光性樹脂組成物をそれぞれ別々にガラス基板上に塗布し、所定の膜厚とした。
続いて、上記のそれぞれの感光性樹脂組成物が塗布された基板を所定の条件でプリベークし、露光、現像した後、ポストベークし、ポリマー化させた着色層(赤色R、緑色G、青色B)および保護層(OC)のサンプルを得た。ポストベーク温度は、200℃、30分の場合と220℃、30分の場合の2種類の温度を用いた。ポストベーク温度が200℃、30分の場合の各サンプルをR−1、G−1、B−1、OC−1とし、220℃、30分の場合をR−2、G−2、B−2、OC−2とした。
次に、上記の各サンプルを用い、それぞれのサンプルをセル化し、液晶を注入し、表示不良の有無を目視により判定した。
一方、各サンプルの膜面から測定用試料数ngを採取し、直接導入法質量分析装置の装置専用プローブに付着させてイオン化室へ直接導入し、秒速10℃で1000℃まで昇温させながら、質量分析を行った。また、TIC(トータルイオンクロマトグラム)により、ポリマー、モノマー、光重合開始剤のマスクロマトグラフィを起こし、それを基に主成分(ポリマー)に対するモノマー量および光重合開始剤量を算出し、残留比(重量%)を得た。
また、一例として、着色層が赤色Rであるサンプルの200℃の場合と220℃の場合の直接導入法質量分析装置による分析結果のチャートを図3、図4に示す。
上記の結果をまとめて表1に示す。
Figure 0004531511
表1に示すように、未反応残留物に関して、残留光重合開始剤はポストベーク温度200℃においては、R−1、G−1、OC−1では5%前後(3.6〜5.7%)で残留比が認められ、多いものではB−1のように13.2%以上も残留していた。ポストベーク温度220℃では、残留比は4%以下に収まった。残留モノマーも同様に、ポストベーク温度200℃では、多いものではG−1のように50%に近い残留比が認められ、ポストベーク温度220℃では少ないもので10%以下に収まった。OC−1、OC−2は200℃、220℃間であまり変化が無いため、200℃で既にモノマーが十分に反応した膜構造となっている可能性が高い。また、B−1は開始剤量が元から多く、そのために残留している可能性が考えられる。
表示不良との相関をみると、未反応光重合開始剤のポリマーに対する残留比が4%以下の場合には、表示不良が生じず良好な特性が得られ、5%以上では表示不良を生じた。未反応モノマーのポリマーに対する残留比が40%以下の場合には、表示不良が生じず良好な特性が得られ、40%を超えると表示不良を生じた。以上より、何れのサンプルも主成分であるポリマーに対して、光重合開始剤の残留比は4%以下、モノマーの残留比は40%以下の範囲で安定であることが示された。
また、図3に示す直接導入法質量分析装置による分析結果のチャートに示されるように、ポストベーク温度200℃では、ポリマーを示すメインピークP1の前に、光重合開始剤I1とモノマーM1のピークが認められた。図4に示すポストベーク温度220℃の場合の直接導入法質量分析装置による分析結果では、メインピークP2の前には、光重合開始剤I2およびモノマーM2は痕跡程度認められるにすぎなかった。上記のように、未反応の残留光重合開始剤および残留モノマーのポリマーに対する残留比は、ポストベーク温度により制御することが可能であることが示された。
上記の結果に基づき、前記の感光性樹脂組成物を用い、露光現像後のポストベーク温度を220℃としたカラーフィルタを作製した。このカラーフィルタは、未反応光重合開始剤の前記ポリマーに対する残留比Xと、未反応モノマーの前記ポリマーに対する残留比Yが、0≦X≦4(重量%)および0≦Y≦40(重量%)の範囲にあり、液晶表示装置に組込んだところ表示不良が生じず、良好なカラー画像が得られた。
本発明のカラーフィルタについて、液晶表示装置用について述べてきたが、本発明のカラーフィルタは有機EL表示装置にも適用できるものである。
本発明のカラーフィルターの一例を示す概略断面図である。 本発明のカラーフィルターの他の例を示す概略断面図である。 カラーフィルタ(ポストベーク200℃)の直接導入法質量分析装置による分析結果のチャート カラーフィルタ(ポストベーク220℃)の直接導入法質量分析装置による分析結果のチャート
符号の説明
11、21 カラーフィルタ
12、22 基板
13、23 ブラックマトリックス
14、24 着色層
14R、24R 赤色パターン
14G、24G 緑色パターン
14B、24B 青色パターン
25 保護層









Claims (3)

  1. 少なくともバインダー樹脂とモノマーと光重合開始剤とを含む感光性樹脂組成物を紫外線露光し加熱工程を経てポリマー膜としたカラーフィルタの製造方法であって、前記カラーフィルタの前記ポリマー膜に含まれる未反応光重合開始剤の前記ポリマーに対する残留比Xと、未反応モノマーの前記ポリマーに対する残留比Yを直接導入法質量分析装置により測定し、前記残留比Xと前記残留比Yが、下記の式(1)および式(2)を満たすように前記未反応光重合開始剤と、前記未反応モノマーを制御することを特徴とするカラーフィルタの製造方法
    (1)0≦X≦4(重量%)
    (2)0≦Y≦40(重量%)
  2. 前記感光性樹脂組成物が少なくとも顔料と顔料分散剤とを含有した着色層形成用組成物であることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタの製造方法
  3. 前記感光性樹脂組成物が保護層形成用組成物であることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタの製造方法
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