JP5720395B2 - タッチパネル付カラーフィルタ用保護層形成用組成物 - Google Patents
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Description
そのため、これらの問題点を解決するために、表示装置とタッチパネルの基材を共有させ、表示装置自体の厚みやコストの削減を可能にする試みが提案されている。この一つとして、透明基板の一方の表面上に静電容量型のタッチパネルが形成され、上記透明基板の他方の表面上にカラーフィルタが形成されたタッチパネル付カラーフィルタが提案されている。
このタッチパネル付カラーフィルタの製造においては、通常、表示性能への影響を低減するために、タッチパネルを上記透明基板上に形成した後に、その裏面にカラーフィルタを形成する手法が採られている。
しかしながら、この手法においては、カラーフィルタ製造時の搬送などにより、タッチパネル面にキズ・剥がれが発生し、断線や感度不良が起きるといった問題があった。
以下、本発明のタッチパネル付カラーフィルタ用保護層形成用組成物、タッチパネル付カラーフィルタおよびタッチパネル付カラーフィルタの製造方法について説明する。
まず、本発明のタッチパネル付カラーフィルタ用保護層形成用組成物について説明する。
本発明のタッチパネル付カラーフィルタ用保護層形成用組成物は、ポリマー、多官能性モノマーおよび光重合開始剤を少なくとも含むものであって、上記ポリマーが、カルボキシル基を有する構成単位(1)と、不飽和二重結合を有する構成単位(2)と、フッ素含有基を有する構成単位(3)と、を有し、上記構成単位(1)、構成単位(2)および構成単位(3)の含有量が、上記ポリマーを構成する全構成単位中の5モル%〜34モル%の範囲内、65モル%〜94モル%の範囲内、0.1モル%〜8モル%の範囲内であることを特徴とするものである。
また、上記ポリマーが上記構成単位(2)を上述の範囲内で含有することにより、硬度に優れた保護層を形成することができる。また、上記構成単位(3)、すなわち、フッ素含有基を含む構成単位を上述の範囲内で含有することにより、上記フッ素含有基を含む保護層を安定的に形成することができる。このように、上記ポリマーが上記構成単位(2)および構成単位(3)の両者を有することにより、得られる保護層を硬度および滑り性の両者に優れたものとすることができる。したがって、上記タッチパネルにこのような保護層が最表面に含まれる場合には、上記タッチパネルの表面が他の部材と接したり擦れるような状態に置かれたとしても、上記タッチパネルに含まれる各構成へのキズ・剥れの発生を防止することができる。より具体的には、透明基板の一方の表面にタッチパネルを有し上記透明基板の他方の表面にカラーフィルタを有するタッチパネル付カラーフィルタを形成する際に、まず、タッチパネルを形成し、その後、上記透明基板を上記タッチパネル側を裏面にして台等の搬送装置上に載せて搬送される等、上記タッチパネルが他の部材と接するまたは擦れるような状態でカラーフィルタを形成した場合であっても、上記タッチパネルが本発明のタッチパネル付カラーフィルタ用保護層形成用組成物を用いて形成された保護層を最表面に有することで、上記タッチパネルに含まれる各構成へのキズ・剥れの発生を防止することができる。そして、その結果、上記タッチパネルに含まれる電極等にキズ等が発生することを防ぐことができることから、断線や感度不良の発生のないものとすることができる。
したがって、上記ポリマーが上記構成単位(1)〜(3)を上述の範囲内で含むことにより、硬度および滑り性に優れた保護層をパターン精度良く形成することができるのである。
さらに、滑り性に優れた保護層を形成することができることで、ゴミ等の付着の少ないものとすることができる。その結果、歩留まりの高いものとすることができ、低コスト化を図ることができる。
これに対して、本発明のようにポリマーがフッ素含有基を含むものとすることにより、少量の添加で所望の滑り性を有する保護層を形成することを可能とし、さらに、他の成分や他の機能を有する構成単位を十分な量含むことができる。
このため、例えば、上述したような所望の現像性を得るために必要となる構成単位(1)や、所望の硬度を得るために必要となる構成単位(2)等を含むポリマーを所望量含むこと等が可能となるのである。
以下、本発明のタッチパネル付カラーフィルタ用保護層形成用組成物を構成する各成分について詳細に説明する。
本発明に用いられるポリマーは、カルボキシル基を有する構成単位(1)と、不飽和二重結合を有する構成単位(2)と、フッ素含有基を有する構成単位(3)と、を有するもの、すなわち、側鎖として、カルボキシル基、不飽和二重結合およびフッ素含有基を含むものである。
本発明に用いられるポリマーに含まれる構成単位として、上記構成単位(1)、構成単位(2)および構成単位(3)を少なくとも有するものである。
このような構成単位(1)としては、上記ポリマーに所望の現像性を付与することができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、カルボキシル基および不飽和二重結合を有するカルボキシル基含有モノマーの不飽和二重結合を重合してなるものを挙げることができる。
このような構成単位(2)としては、露光時に上記多官能性モノマー等と重合可能な飽和二重結合を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、上記構成単位(1)のカルボキシル基に、エポキシ基および不飽和二重結合を有するエポキシ基含有化合物のエポキシ基を反応させてなるものを挙げることができる。
本発明においては、なかでも、グリシジル(メタ)アクリレートであることが好ましい。上記化合物として、上述の化合物を用いることにより、硬度により優れた保護層を形成可能とすることができるからである。
本発明におけるフッ素含有基としては、露光後に所望の滑り性を付与することができるものであれば特に限定されるものではなく、具体的には、トリフルオロメチル(CF3)等を好ましく用いることができる。上記フッ素含有基として上記官能基を含むことにより滑り性に優れた保護層を形成することができるからである。
本発明に用いられるポリマーは、上記構成単位を含むものである。
なお、本発明における重量平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した際の、ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
なお、上記酸価はJIS K 0070に従って測定することができる。
ここで、上記固形分中とは、上記タッチパネル付カラーフィルタ用保護層形成用組成物に含まれる溶剤以外の全ての成分をいうものである。
具体的には、上記構成単位(1)を形成可能なカルボキシル基含有モノマーおよび構成単位(3)を形成可能なフッ素含有基含有モノマーを重合し、その後、上記構成単位(1)の一部のカルボキシル基に上記エポキシ基含有化合物のエポキシ基を反応させる方法を用いることができる。
本発明に用いられる多官能性モノマーとしては、複数の重合性の官能基を有し、光照射により、上記多官能性モノマーおよび上記ポリマーを重合させることができるものであれば良い。
このような多官能性モノマーとしては、通常、アクリロイル基またはメタクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートが用いられる。
本発明に用いられる光重合開始剤としては、光照射により、上記多官能性モノマーおよび上記ポリマーを重合させることができるものであれば特に限定されるものではなく、一般的なものを用いることができる。
本発明のタッチパネル付カラーフィルタ用保護層形成用組成物は、上記ポリマー、多官能性モノマーおよび光重合開始剤を少なくとも含むものであるが必要に応じて他の成分を含むものであっても良い。
本発明における他の成分としては、具体的には、エポキシ樹脂、溶剤、その他の添加剤等を挙げることができる。
上記含有量が上述の範囲内であることにより、硬化後の上記タッチパネル付カラーフィルタ用保護層形成用組成物を金属密着性に優れたものとすることができるからである。
なお、エポキシ当量は、JIS K 7236に基づいて求めることができる。
次に、本発明のタッチパネル付カラーフィルタについて説明する。
本発明のタッチパネル付カラーフィルタは、透明基板と、上記透明基板の一方の表面上に形成され、最表面に保護層を有するタッチパネルと、上記透明基板の他方の表面上に形成されたカラーフィルタと、を有し、上記保護層の静摩擦係数が、0.25〜0.37の範囲内であり、鉛筆硬度が4H以上であることを特徴とするものである。
以下、本発明のタッチパネル付カラーフィルタの各構成について詳細に説明する。
本発明に用いられるタッチパネルは、上記透明基板の一方の表面上に形成され、最表面に保護層を含むものである。
本発明に用いられる保護層は、上記タッチパネルの最表面に形成されるものであり、静摩擦係数が、0.25〜0.37の範囲内であり、鉛筆硬度が4H以上のものである。
ここで、上記静摩擦係数の測定方法としては、精度良く測定できるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ガラス上に製膜したレジストについて新東化学株式会社製 HEIDON トライボギア ミューズ TYPE: 94iを用いて測定する方法を用いることができる。なお、スライダー(接触子)の材質は黄銅(ハードクローム処理)で40gのものを用い、検出器はボイスコイルモーターフォトセンサを使用する方法を用いることができる。
なお、硬度は、JISK5600−5−4により測定することができる。
本発明に用いられるタッチパネルは、最表面に保護層を含むものであるが、通常、上記透明基板上に形成される第1透明電極、上記第1透明電極上に形成される電極間絶縁層、上記電極間絶縁層上に形成される第2透明電極を有するもの、すなわち、上記タッチパネルは、上記第1透明電極、電極間絶縁層、第2透明電極および保護層がこの順で積層したものである。また、上記透明基板上に形成される取出し電極を含むものである。
このような第1透明電極、電極間絶縁層、第2透明電極および取出し電極、ならびにその形成方法としては、一般的なタッチパネルに用いられるものと同様とすることができる。
本発明に用いられるカラーフィルタは、上記透明基板の他方の表面上に形成されるものである。
このようなカラーフィルタとしては、液晶表示装置やエレクトロルミネッセンス表示装置等に一般的に用いられるものと同様とすることができ、通常、上記透明基板上に形成され、開口部を有する遮光部、上記遮光部の開口部に形成される着色層、スペーサ、オーバーコート層、透明電極、配向膜等を有するものである。
このようなカラーフィルタの各構成および形成方法については一般的なカラーフィルタに用いられるものと同様とすることができ、例えば、特開2010−014870号公報記載の内容と同様とすることができる。
本発明に用いられる透明基板は、上記タッチパネルおよびカラーフィルタを支持するものである。
このような透明基板を構成する材料としては、タッチパネルやカラーフィルタに用いられる透明基板と同様とすることができ、例えば、特開2010−014870号公報記載の内容と同様とすることができる。
次に、本発明のタッチパネル付カラーフィルタの製造方法について説明する。
本発明のタッチパネル付カラーフィルタの製造方法は、透明基板の一方の表面上に、上述のタッチパネル付カラーフィルタ用保護層形成用組成物を用いて保護層を形成し、最表面に上記保護層を有するタッチパネルを形成するタッチパネル形成工程と、上記保護層が形成された上記透明基板の他方の表面上にカラーフィルタを形成するカラーフィルタ形成工程と、を有することを特徴とするものである。
なお、上記図3(a)〜(b)がタッチパネル形成工程であり、図3(d)がカラーフィルタ形成工程である。
以下、本発明のタッチパネル付カラーフィルタの製造方法の各工程について詳細に説明する。
本発明におけるタッチパネル形成工程は、透明基板の一方の表面上に、上述のタッチパネル付カラーフィルタ用保護層形成用組成物を用いて保護層を形成し、最表面に上記保護層を有するタッチパネルを形成する工程である。
ここで、上記タッチパネル付カラーフィルタ用保護層形成用組成物は、上記「A.タッチパネル付カラーフィルタ用保護層形成用組成物」の項に、上記透明基板は、上記「B.タッチパネル付カラーフィルタ」の項に記載した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
また、本工程により形成される保護層についても、上記「B.タッチパネル付カラーフィルタ」の項に記載した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
本発明におけるカラーフィルタ形成工程は、上記保護層が形成された上記透明基板の他方の表面上にカラーフィルタを形成する工程である。
本発明のタッチパネル付カラーフィルタの製造方法は、上記タッチパネル形成工程およびカラーフィルタ形成工程を少なくとも有するものであるが、必要に応じてその他の工程を有するものであっても良い。
このようなその他の工程としては、例えば、上記タッチパネル形成工程後の透明基板を、上記タッチパネル側を裏面にして台等の搬送装置上に載せ、搬送する搬送工程等を挙げることができる。本発明においては、上記タッチパネル形成工程において上記タッチパネル付カラーフィルタ用保護層形成用組成物を用いて形成された保護層を最表面に有するタッチパネルを用いるものであるため、上述のように、上記タッチパネル側を裏面にして搬送装置上に載せた場合であっても、上記タッチパネルに含まれる各構成にキズや剥れが
生じることを防止することができる。このため、上述のような搬送工程を有するものであっても、品質に優れたタッチパネル付カラーフィルタを安定的に製造することができるからである。
1.ポリマーの調製
構成単位(1)を構成するモノマーとして無水マレイン酸、MAA(メタクリル酸)、構成単位(2)の形成にGMA(グリシジルメタクリレート)、構成単位(3)を構成するモノマーとして2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート、その他の構成単位を構成するモノマーとしてMMA(メタクリル酸メチル)を用いて、下記表1に示す割合にて含むポリマーA〜Gを合成した。なお、表1中の数値は、ポリマー中の各構成単位の比率をモル%で表したものである。また、表1中の構成単位(1)に記載のMAA、無水マレイン酸は、それぞれ、MAAまたは無水マレイン酸由来の構成単位(1)のポリマー中の比率を示すものである。
なお、ポリマーE、F、Gでは、構成単位(1)として無水マレイン酸由来の構造を含むものは、まず、MAA、構成単位(3)およびその他の構成単位とを共重合させた後、MAAの含有量に対して過剰のGMAを添加して、MAAに含まれるカルボキシル基とGMAに含まれるエポキシ基とを反応させ、その後、無水マレイン酸を添加することにより、MAAとGMAとが反応した際に生成された水酸基に無水マレイン酸を反応させたものである。したがって、このように最終的に無水マレイン酸を反応させて形成された構成単位は、カルボキシル基と不飽和二重結合を有するものであるので、構成単位(1)および構成単位(2)の両者に該当するものである。このため、ポリマーE、F、Gでは、構成単位(2)として2種類、すなわち、構成単位(1)と同じ構成単位と、MAAにGMAを反応させてなる構成単位との2種類を含むものである。具体的には、ポリマーEでは、構成単位(2)として、構成単位(1)と同じ構成単位21モル%と、MAAにGMAを反応させてなる構成単位54モル%との2種類の構成単位を含むものである。
ポリマーとして上述のポリマーA〜Gを、多官能性モノマーとしてDPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬製)、光重合開始剤としてIrg.907(BASF社製)、エポキシ樹脂としてGT401(ダイセル化学工業製)、添加剤1としてR08MH(DIC株式会社製)、添加剤2としてKBM403(信越化学工業製)、溶媒としてPGMEAを、下記表2に示す割合にて混合し、タッチパネル付カラーフィルタ用保護層形成用組成物を得た。
なお、表2中の数値は、各成分の含有量を重量部で表したものである。
(1)評価用サンプル作成
レジストA〜Gのサンプルを用いて保護層を形成することにより、タッチパネル(TP)面を形成した後、基板を反転させ、裏面にカラーフィルター(CF)面を形成した。作成については、通常のTP,CF作成工程に則り、基板洗浄→塗布→プリベーク→露光→現像→ポストベークと一般的なフォトリソ工程を用いた。TP一体型CF基板完成後、タッチパネル面のキズ・剥がれ、および滑り性を確認した。
外観:キズ並びに剥がれ
○:塗膜にキズ、剥がれが観られなかった
△:塗膜の一部にキズ、剥がれが観られた
×:塗膜の全面にキズ、剥がれが観られた
外観:汚れ(評価基準)
○:塗膜に汚れが観られなかった
△:塗膜の一部に汚れが観られた
×:塗膜の全面に汚れが観られた
JISK5600−5−4に基づいて、印加荷重500gにて塗膜表面の鉛筆硬度を測定した。結果を下記表3に示す。
新東化学株式会社製 HEIDON トライボギア ミューズ TYPE:94iを用いて、下記条件にて測定した。測定結果を下記表3に示す。
スライダー(接触子):材質-黄銅(ハードクローム処理)、40g
検出器:ボイスコイルモーターフォトセンサ
表3に示すように、実施例では、不飽和二重結合を有する構成単位である構成単位(1)の含有量がポリマーを構成する構成単位の65モル%以上であることにより、レジストでキズ、剥がれの軽減を確認できた。また、上記フッ素導入レジストでは静摩擦係数が小さくなると同時にキズ、汚れを軽減できるといった優れた結果を示すことが確認できた。
11 … 第1透明電極
12 … 電極間保護層
13 … 第2透明電極
14 … 保護層
15 … 取り出し電極
10 … タッチパネル付カラーフィルタ
20 … タッチパネル
21 … 遮光部
22 … 着色層
30 … カラーフィルタ
Claims (1)
- 透明基板と、
前記透明基板の一方の表面上に形成され、最表面に保護層を有するタッチパネルと、
前記透明基板の他方の表面上に形成されたカラーフィルタと、
を有し、
前記保護層の静摩擦係数が、0.25〜0.28の範囲内であり、鉛筆硬度が5H以上であることを特徴とするタッチパネル付カラーフィルタ。
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