JP2005212144A - 表面処理されたレーザー彫刻印刷版の製造方法 - Google Patents

表面処理されたレーザー彫刻印刷版の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005212144A
JP2005212144A JP2004018471A JP2004018471A JP2005212144A JP 2005212144 A JP2005212144 A JP 2005212144A JP 2004018471 A JP2004018471 A JP 2004018471A JP 2004018471 A JP2004018471 A JP 2004018471A JP 2005212144 A JP2005212144 A JP 2005212144A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
laser engraving
printing plate
engraving printing
laser
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004018471A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Yamada
浩 山田
Tadashi Shimura
忠 志村
Yoko Tomita
陽子 富田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Chemicals Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Chemicals Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Chemicals Corp filed Critical Asahi Kasei Chemicals Corp
Priority to JP2004018471A priority Critical patent/JP2005212144A/ja
Publication of JP2005212144A publication Critical patent/JP2005212144A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Or Reproduction Of Printing Formes (AREA)
  • Printing Plates And Materials Therefor (AREA)

Abstract

【課題】 直接レーザー彫刻してレリーフ画像を形成する際に発生する液状カス量が少なく、レーザー彫刻印刷原版の形成工程において、大気中で光硬化させることができ、更に印刷時に版表面のインキ残りの少ない印刷版を作製するための製造方法の提供。
【解決手段】 レーザー彫刻可能な印刷原版の表面にレーザー光を照射しレーザー光の照射された部分の樹脂が除去されることにより、表面に凹凸パターンが形成されたシート状あるいは円筒状のレーザー彫刻印刷版の表面処理方法において、数平均分子量が100以上10万以下の少なくとも1種類以上の有機珪素化合物を含有する処理液中に浸漬する工程あるいは該処理液を前記レーザー彫刻印刷版表面に塗布することによりレーザー彫刻印刷版表面に前記有機珪素化合物を付着させる工程、更にその後、前記レーザー彫刻印刷版表面に波長200nm以上450nm以下の光を含む光線を照射する後露光工程を含むことを特徴とする表面処理されたレーザー彫刻印刷版の製造方法。
【選択図】 選択図なし

Description

本発明は、レーザー彫刻によるフレキソ印刷版用レリーフ画像作成、エンボス加工等の表面加工用パターンの形成、タイル等の印刷用レリーフ画像形成、電子部品の導体、半導体、絶縁体、パターン形成、光学部品の反射防止膜、カラーフィルター、(近)赤外線カットフィルター等の機能性材料のパターン形成、更には液晶ディスプレイあるいは有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ等の表示素子の製造における配向膜、下地層、発光層、電子輸送層、封止材層の塗膜・パターン形成に適し、印刷版表面へのインキ残りの少ないレーザー彫刻印刷版の製造方法に関するものである。
段ボール、紙器、紙袋、軟包装用フィルムなどの包装材、壁紙、化粧板などの建装材、ラベル印刷などに用いられるフレキソ印刷は各種の印刷方式の中でその比重を高めている。これに用いる印刷版の製作には、通常、感光性樹脂が用いられることが多く、液状の樹脂、又はシート状に成形された固体樹脂板を用い、フォトマスクを感光性樹脂上に置き、マスクを通して光を照射し架橋反応を起こさせた後、非架橋部分を現像液で洗い落とすという方法が用いられてきた。近年、感光性樹脂表面にブラックレーヤーという薄い光吸収層を設け、これにレーザー光を照射し感光性樹脂板上に直接マスク画像を形成後、そのマスクを通して光を照射し架橋反応を起こさせた後、光の非照射部分の非架橋部分を現像液で洗い落とす、いわゆるフレキソCTP(Computer to Plate)という技術が開発され、印刷版製作の効率改善効果から、採用が進みつつある。しかしながら、この技術も現像工程が残るなど、効率改善効果も限られたものであり、レーザーを使って直接印刷原版上にレリーフ画像を形成し、しかも現像不要である技術の開発が求められている。
その方法として直接レーザーで印刷原版を彫刻する方法が挙げられる。この方法で凸版印刷版やスタンプを作成することは既に行なわれており、それに用いられる材料も知られている。
他方、特許文献1(日本国特許第2846954号公報(米国特許第5798202号))、特許文献2(日本国特許第2846955号公報(米国特許第5804353号))にはSBS、SIS、SEBS等の熱可塑性エラストマーを機械的、光化学的、熱化学的に強化された材料を用いることが開示されている。熱可塑性エラストマーを用いる場合、赤外線領域の発振波長を有するレーザーを用いて彫刻を実施すると、熱によりレーザービーム径の寸法を大きく逸脱した部分の樹脂までが溶融するため、高解像度の彫刻パターンを形成することができない。そのため、熱可塑性エラストマー層に充填剤を添加することにより機械的に強化を図ることが必須とされている。前記特許では、熱可塑性エラストマー層の機械的強化とレーザー光の吸収性向上を目的として、特に機械的強化効果の極めて高いカーボンブラックが多量に混合されている。しかしながら、カーボンブラックが多量に混合されているために、光を用いて光化学的強化を試みる場合、どうしても光線透過性を犠牲にすることになる。したがって、これらの材料をレーザー彫刻すると除去が難しいカス(液状の粘稠物を含む)が大量に発生し、その処理に多大な時間を要するばかりでなく、レリーフに融解によるエッジ部の盛り上がりが生じたり、エッジ部に微小な粉末状カスが融着したり、エッジ部がだれて不鮮明になったり、また、網点の形状が崩れるなどの難点を生じる。また、有機珪素化合物を含有する処理液を用いて、レーザー彫刻を行った後に表面処理する記載は一切ない。
特許文献3(特表2003−526697号公報)に、液状感光性樹脂組成物を用いたレーザー彫刻印刷原版に関する記載があり、レーザー彫刻時に多量に発生する液状カスの除去を、無機多孔質体を用して行っている。レーザー彫刻後にシランカップリング剤を用いて表面処理を行う記載はあるが、有機珪素化合物を表面に付与させた後、光を照射して固定化する記載はない。
特許文献1(日本国特許第2846954号公報)において、20℃において固体状の熱可塑性エラストマーからなる感光性固体版において、光重合開始剤として水素引き抜き型光重合開始剤、具体的にはアントラキノンと水素供与体の組み合わせ、ベンゾフェノンと第三アミンとの組み合わせ、ベンゾフェノンとミヒラーズケトンとの組み合わせ、チオキサントン、3−ケトクマリンの記載があるが、大気中での表面硬化性に関しては言及されておらず、水素引き抜き型光重合開始剤と崩壊型光重合開始剤の組み合わせが良いという記載もない。これは、20℃において固体状の感光性樹脂版であるために、表面硬化性は特に大きな問題とはならないためと推測される。更に、有機珪素化合物を含有する処理液を用いて表面処理する記載もない。
感光性樹脂を用いたフレキソ印刷版が広く用いられているが、印刷時に版表面に付着するインキが残存し、網点、細字、細線等の微細なパターン間に入り込み除去できず、この残存したインキが印刷物に転写されることにより非画像部にインキ汚れを発生させる現象がある。この現象は特に長期に渡る印刷、インキを版面に転写させる際に、アニロックスロールと版との間にかかる圧力が高い場合などにおいて発生しやすく、非画像部へのインキ汚れは印刷品質上大きな問題となる。また、このようなインキ汚れが発生した場合、印刷機を止めて版表面を洗浄する必要があり、印刷現場での生産性を大きく低下させてしまう。
特許文献4(特開2002−292985号公報)には、シリコーン系化合物やフッ素系化合物の水系エマルジョンと水性樹脂の混合物を塗布する方法が提案されているが、浸透力の低い水系の溶液を塗布するため、版表面のインキ残りの効果は必ずしも十分ではない。効果の持続性に関しても問題を残している。
レーザー彫刻印刷版においても版表面へのインキ残りの問題は大きな課題であるが、効果の高い方法についての報告は見当たらない。また、感光性樹脂組成物内へ添加してインキ残りを改善できる添加剤に関する記載も見当たらない。
特許文献5(特開2002−244289号公報)にはエラストマー材料に赤外線を吸収するケイ素−酸素の官能基を添加したレーザーで彫り込むフレキソ印刷要素に関する記載がある。しかしながら、この特許文献では、ケイ素−酸素の官能基を有する適当なものとしてシリカ、粘土、タルク、雲母、ケイ酸塩等の粒子状無機充填剤材料を挙げているが、有機珪素化合物についての記載は一切なく、エラストマー材料の機械的特性の向上を、前記赤外線を吸収するケイ素−酸素官能基を有する添加剤の効果として挙げるに留めている。また、有機珪素化合物を含有する処理液を用いて表面処理する記載も一切ない。印刷時のインキ残りの抑制についての記載は全くない。
日本国特許第2846954号公報 日本国特許第2846955号公報 特表2003−526697号公報 特開2002−292985号公報 特開2002−244289号公報
直接レーザー彫刻してレリーフ画像を形成する際に発生する液状カス量が少なく、レーザー彫刻印刷原版の形成工程において、大気中で光硬化させることができ、更に印刷時に版表面のインキ残りの少ない印刷版を作製するための製造方法の提供。
本発明者らは鋭意検討し、レーザー彫刻可能な印刷原版の表面にレーザー光を照射しレーザー光の照射された部分の樹脂が除去されることにより、表面に凹凸パターンが形成されたシート状あるいは円筒状のレーザー彫刻印刷版の表面処理方法において、数平均分子量が100以上10万以下の少なくとも1種類以上の有機珪素化合物を含有する処理液中に浸漬する工程あるいは該処理液を前記レーザー彫刻印刷版表面に塗布することによりレーザー彫刻印刷版表面に前記有機珪素化合物を付着させる工程、更にその後、前記レーザー彫刻印刷版表面に波長200nm以上450nm以下の光を含む光線を照射する後露光工程を含むことを特徴とする表面処理されたレーザー彫刻印刷版の製造方法により、印刷時の版表面へのインキ残り性の極めて少ない印刷版を形成できるという驚くべき効果を見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は下記の通りである。
1.レーザー彫刻可能な印刷原版の表面にレーザー光を照射しレーザー光の照射された部分の樹脂が除去されることにより、表面に凹凸パターンが形成されたレーザー彫刻印刷版を得る工程、得られたレーザー彫刻印刷版に、数平均分子量が100以上10万以下の少なくとも1種類以上の有機珪素化合物を含有する処理液を付着させる工程、更にその後、前記レーザー彫刻印刷版表面に波長200nm以上450nm以下の光を含む光線を照射する後露光工程を含むことを特徴とする表面処理されたレーザー彫刻印刷版の製造方法。
2.有機珪素化合物が、分子内に少なくとも1つ以上の重合性不飽和基を有する有機珪素化合物を含有することを特徴とする1.に記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法。
3.有機珪素化合物が、前記処理液中に20℃において0.1wt%以上溶解していることを特徴とする1.または2.のいずれかに記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法。
4.有機珪素化合物が、20℃において液状であることを特徴とする1.から3.のいずれかに記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法。
5.有機珪素化合物が、下記平均組成式(1)で表されるシリコーン化合物を含むことを特徴とする1.から4.のいずれかに記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法。
SiO(4−p−r−s)/2 (1)
(式中、Rは、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、炭素数5〜20のアルキレン基、シクロアルキレン基、炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基で置換された炭素数1〜20のアルキル基、アリール基で置換された炭素数7〜30のアルキル基、メタクリル基、アクリル基、ビニル基、シンナモイル基、アセチレン基、チオール基、エポキシ基、オキセタン基、環状エステル基、ジオキシラン基、スピロオルトカーボネート基、スピロオルトエステル基、環状イミノエーテル基、ビシクロオルトエステル基、シクロシロキンサン基で置換されたアルキル基、又はハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基、炭素数2〜30のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基あるいはその塩を含む1価の基、スルホ基あるいはその塩を含む1価の基、ポリオキシアルキレン基から選ばれた1種もしくは2種以上からなる炭化水素基を表す。
Q、Xは、水素原子、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、もしくは置換されていないか或いは炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ基、アリール基で置換された炭素数7〜30のアルキル基、又はハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基、炭素数2〜30のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基あるいはその塩を含む1価の基、スルホ基あるいはその塩を含む1価の基、ポリオキシアルキレン基から選ばれた1種もしくは2種以上からなる炭化水素基を表し、
0<p<4、
0≦r<4、
0≦s<4、
及び(p+r+s)<4である。)
6.レーザー彫刻可能な印刷原版が、感光性樹脂組成物を光硬化させて得られた印刷原版であることを特徴とする1.に記載の表面処理されたレーザー彫刻印刷版の製造方法。
7.感光性樹脂組成物を光硬化させレーザー彫刻印刷原版を形成する工程において、前記感光性樹脂組成物に大気中で光を照射し光硬化させる工程を含むことを特徴とする6.に記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法。
8.感光性樹脂組成物が、数平均分子量が1000以上20万以下の樹脂(a)、数平均分子量が1000未満の重合性不飽和基を有する有機化合物(b)、および無機多孔質体(c)を含有することを特徴とする6.または7.のいずれかに記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法。
9.感光性樹脂組成物が、20℃において液状であることを特徴とする2.から8.のいずれかに記載の表面処理されたレーザー彫刻印刷版の製造方法。
10.感光性樹脂組成物が、さらに光重合開始剤を含有し、該光重合開始剤が少なくとも1種類の水素引き抜き型光重合開始剤(d)および少なくとも1種類の崩壊型光重合開始剤(e)を含むことを特徴とする6.から9.のいずれかに記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法。
11.水素引き抜き型光重合開始剤(d)が、ベンゾフェノン類、キサンテン類、アントラキノン類から選ばれる少なくとも一種類の化合物からなり、かつ崩壊型光重合開始剤(e)が、ベンゾインアルキルエーテル類、2,2−ジアルコキシ−2−フェニルアセトフェノン類、アシルオキシムエステル類、アゾ化合物類、有機イオウ化合物類、ジケトン類から選ばれる少なくとも1種類の化合物からなることを特徴とする10.に記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法。
12.感光性樹脂組成物が、さらに同一分子内に水素引き抜き型光重合剤(d)として機能する部位と崩壊型光重合開始剤(e)として機能する部位の両方を有する光重合開始剤を含有することを特徴とする8.から9.のいずれかに記載の表面処理されたレーザー彫刻印刷版の製造方法。
13.無機多孔質体(c)が、比表面積が10m/g以上1500m/g以下、平均細孔径が1nm以上1000nm以下、細孔容積が0.1ml/g以上10ml/g以下、かつ吸油量が10ml/100g以上2000ml/100g以下の微粒子であることを特徴とする8.から12.のいずれかに記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法。
14.無機多孔質体(c)の数平均粒子径が0.1μm以上100μm以下であって、少なくとも70%の粒子の真球度が0.5〜1の範囲の球状粒子であることを特徴とする10.から13.のいずれかに記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法。
15.レーザー彫刻印刷版表面が、該表面に表面エネルギー30mN/mの指示液(和光純薬工業社製、商標「ぬれ張力試験用混合液No.30.0」)を1液滴(20μリットル)滴下し、30秒後に前記液滴が広がった部分の最大径を測定した場合に、該液滴の径が4mm以上20mm以下である濡れ特性を有することを特徴とする請求項1から16のいずれかに記載の方法で表面処理されたレーザー彫刻印刷版。
本発明のレーザー彫刻印刷版の製造方法は、直接レーザー彫刻してレリーフ画像を形成する際に発生する液状カス量が少なく、レーザー彫刻印刷原版の形成工程において、大気中で光硬化させることができ、更に印刷時に版表面のインキ残りの少ない印刷版を作製できる。
以下、さらに詳細に本発明の好ましい実施態様を中心に説明する。
本発明のレーザー彫刻印刷版は、レーザー光が照射された部分の樹脂が除去されることにより凹凸パターンが形成される工程の後、数平均分子量が100以上10万以下の有機珪素化合物を含有する処理液に浸漬する方法、あるいは該有機珪素化合物を含有する処理液を表面に塗布し、該有機珪素化合物を表面に付着させる工程を経て、更に、200nm以上450nm以下の波長の光を含む光線を照射する後露光工程により表面処理された印刷版である。
本発明のレーザー彫刻印刷版は、ゴム系高分子材料を加硫架橋させて形成したもの、熱硬化性樹脂を熱架橋させて形成したもの、感光性樹脂を光架橋させて形成したもののいずれであっても構わない。特に架橋速度が速い点、成形性の観点から、感光性樹脂を光架橋させて形成したものが好ましい。
本発明で用いる有機珪素化合物として、特に限定するものではないが、数平均分子量が100以上10万以下、より好ましくは200以上5万以下、更に好ましくは200以上2万以下の有機珪素化合物が好ましい。数平均分子量がこの範囲であれば、処理液として用いる溶剤への溶解性を確保することができる。本発明で用いる数平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフ法(GPC法)で測定し、分子量既知のポリスチレンで換算した値を用いる。20℃において液状の有機珪素化合物が、溶剤への溶解性確保の観点から好ましい。有機珪素化合物の数平均分子量(Mn)の測定方法について説明する。有機珪素化合物が溶解する溶剤に溶かし、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC法)で分析し、分子量既知の標準ポリスチレンに対して換算して数平均分子量(Mn)を算出する。分子量分布の広い化合物については、この方法で求める。分子量分布に関する尺度として、数平均分子量(Mn)と、Mnと同時に算出される重量平均分子量(Mw)の比、すなわち多分散度(Mw/Mn)を用いる。多分散度が1.1以上である場合、分子量分布が広いとして、GPC法で求められる数平均分子量を採用する。また、多分散度が1.1未満のものは分子量分布が極めて狭いため、分子構造解析が可能であり、核磁気共鳴スペクトル法(NMR法)あるいは質量分析法を用いて算出した分子量を数平均分子量とする。
また、本発明で用いる有機珪素化合物として、分子内に少なくとも1つのSi−O結合を有し、かつ重合性不飽和基を有する化合物が好ましい。Si−O−Si結合を有するシロキサン構造やポリシロキサン構造を有するシリコーン化合物が耐侯性、構造安定性、保存安定性の観点から特に好ましい。本発明において「重合性不飽和基」とは、ラジカルまたは付加重合反応に関与する重合性不飽和基と定義する。ラジカル重合反応に関与する重合性不飽和基の好ましい例としては、ビニル基、アセチレン基、アクリル基、メタクリル基などが挙げられる。付加重合反応に関与する重合性不飽和基の好ましい例としては、シンナモイル基、チオール基、アジド基、開環付加反応するエポキシ基、オキセタン基、環状エステル基、ジオキシラン基、スピロオルトカーボネート基、スピロオルトエステル基、ビシクロオルトエステル基、環状イミノエーテル基等が挙げられる。
本発明において好ましいシリコーン化合物としては、例えば一般式(2)、(3)、(4)、(5)で表されるシリコーン結合の少なくとも1種の構造を含む1種類以上のシリコーン化合物を挙げることができる。
Figure 2005212144
Figure 2005212144
Figure 2005212144
Figure 2005212144
(式中、Rはそれぞれ独立に水素原子、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、もしくは置換されていないか或いは炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ基、アリール基で置換された炭素数7〜30のアルキル基、又はハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基、炭素数2〜30のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基あるいはその塩を含む1価の基、スルホ基あるいはその塩を含む1価の基、ポリオキシアルキレン基から選ばれた1種もしくは2種以上からなる炭化水素基である。)
前記シリコーン化合物は、下記平均組成式(1)で表される。
SiO(4−p−r−s)/2 (1)
(式中、Rは、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、炭素数5〜20のアルキレン基、シクロアルキレン基、炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基で置換された炭素数1〜20のアルキル基、アリール基で置換された炭素数7〜30のアルキル基、メタクリル基、アクリル基、ビニル基、シンナモイル基、アセチレン基、チオール基、エポキシ基、オキセタン基、環状エステル基、ジオキシラン基、スピロオルトカーボネート基、スピロオルトエステル基、環状イミノエーテル基、ビシクロオルトエステル基、シクロシロキンサン基で置換されたアルキル基、又はハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基、炭素数2〜30のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基あるいはその塩を含む1価の基、スルホ基あるいはその塩を含む1価の基、ポリオキシアルキレン基から選ばれた1種もしくは2種以上からなる炭化水素基を表す。
Q、Xは、水素、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、もしくは置換されていないか或いは炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ基、アリール基で置換された炭素数7〜30のアルキル基、又はハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基、炭素数2〜30のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基あるいはその塩を含む1価の基、スルホ基あるいはその塩を含む1価の基、ポリオキシアルキレン基から選ばれた1種もしくは2種以上からなる炭化水素基を表し
0<p<4、
0≦r<4、
0≦s<4、
及び(p+r+s)<4である。)
特に分子構造を限定するものではないが、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン等のポリアルキルシロキサンを主鎖に有する化合物を好ましい化合物として挙げることができる。また、ポリシロキサン構造を分子中の一部に有する化合物であっても構わない。更に、ポリシロキサン構造に特定の有機基を導入した化合物を用いることができる。具体的には、ポリシロキサンの側鎖に有機基を導入した化合物、ポリシロキサンの両末端に有機基を導入した化合物、ポリシロキサンの片末端に有機基を導入した化合物、ポリシロキサンの側鎖と末端の両方に有機基を導入した化合物などを用いることができる。ポリシロキサン構造に導入する有機基の具体例としては、アミノ基、カルボキシル基、カルビノール基、アリール基、アルキル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、少なくとも1つのアリール基で置換された直鎖状あるいは分岐状アルキル基、ポリオキシアルキレン基などを挙げることがでる。ここで、アリール基の好ましい例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基、フェナントリル基等を挙げることができる。また、アリール基で置換された直鎖状あるいは分岐状アルキル基、例えばメチルスチリル基、スチリル基などが好ましい。更に、アリール基の芳香族炭素に結合した水素原子を別の官能基で置換した有機基を用いることもできる。また、これらの有機基に結合する水素原子の一部あるいは全部をフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子で置換したものを用いることもできる。
本発明で用いる有機珪素化合物として、フェニル基、メチルスチリル基、スチリル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、ポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種類の有機基を有し、当該有機基が直接結合する炭素原子に結合する水素原子を有する化合物、すなわち、直鎖化合物のα位炭素に結合している水素原子(以後、α位水素と略す)を有する化合物を用いることもできる。
本発明の有機珪素化合物として、通常入手可能な市販品、例えば信越化学工業社製、旭化成ワッカーシリコーン社製、GE東芝シリコーン社製、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製の各種有機基置換シリコーンオイルを用いることもできる。例えば、信越化学工業社製、商標名「KF−410」(メチルスチリル変性シリコーンオイル)、商標名「X−22−160AS」(カルビノール変性シリコーンオイル)、商標名「X−22−715」(エステル変性シリコーンオイル)、「KF−412」(アルキル変性シリコーンオイル)等を有用な化合物の例として挙げることができる。分子内に重合性不飽和基を有する反応性シリコーンオイルとして、特に限定するものではないが、例えば、信越化学工業社製、商標名「X−22−164A」、「X−22−164B」、「X−22−164C」、「X−22−2404」、「X−22−174DX」(メタクリル基を有する化合物)、「X−22−3667」、「X−22−4741」、「X−22−173DX」(エポキシ基を有する化合物)、「X−22−167B」、「KF−2001」、「KF−2004」(メルカプト基を有する化合物)などを挙げることができる。
また、処理液中に光重合開始剤を含有させても構わない。含有率は、好ましくは処理液全体量の0.1wt%以上10wt%以下、より好ましくは0.5wt%以上5wt%以下である。
本発明の有機珪素化合物を含有する処理液中の該有機珪素化合物の含有量として好ましい範囲は、20℃において、処理液全体に対し0.1wt%以上、より好ましくは0.5wt%以上、更に好ましくは1wt%以上である。含有量の上限は特に限定しない。比較的低分子の有機珪素化合物であれば溶剤で希釈せずに塗布することもできる。ただし、数平均分子量が大きい、例えば数平均分子量が1000以上の有機珪素化合物では、粘性が高くなり均一に塗布することが難しくなるので、少なくとも50wt%程度に溶剤で希釈することが好ましい。0.1wt%以上の添加量であれば、レーザー彫刻された印刷版表面への付着性が確保でき、印刷時のインキ絡み性を抑制する効果がある。
本発明で用いる有機珪素化合物を含有する処理液に用いる溶剤は、特に限定するものではないが、処理されるレーザー彫刻印刷版を24時間浸漬した場合の膨潤率(重量増加率)は、好ましくは100wt%以下、より好ましくは50wt%以下、更に好ましくは20wt%以下である。また、溶剤の沸点は150℃以下が好ましく、より好ましくは100℃以下である。膨潤率が高い溶剤を用いた場合あるいは沸点が高い溶剤を用いた場合には、表面処理後にレーザー彫刻印刷版表面あるいは内部に吸着した溶剤を乾燥除去する必要があり、この乾燥処理に多くの時間を要する。
表面処理の後露光工程で用いられる光源としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、殺菌灯、カーボンアーク灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ等が挙げることができる。処理時間の観点から光強度の高い水銀灯、メタルハライドランプ等が特に好ましい。
本発明の樹脂(a)は、数平均分子量が1000以上20万以下の重合性不飽和基を有することが好ましい。樹脂(a)の数平均分子量のより好ましい範囲は、2000以上10万以下、更に好ましい範囲は5000以上5万以下である。樹脂(a)の数平均分子量は1000以上であれば、後に架橋して作製する印刷原版が強度を保ち、この原版から作製したレリーフ画像は強く、印刷版などとして用いる場合、繰り返しの使用にも耐えられる。また、樹脂(a)の数平均分子量が20万以下であれば、感光性樹脂組成物の成形加工時の粘度が過度に上昇することもなく、シート状、あるいは円筒状のレーザー彫刻印刷原版を作製することができる。ここで言う数平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定し、分子量既知のポリスチレンで検量し換算した値である。
本発明の「重合性不飽和基」の定義は、有機珪素化合物の箇所で記載した通り、ラジカルまたは付加重合反応に関与する重合性不飽和基である。特に好ましいものとして1分子あたり平均で0.7以上の重合性不飽和基を有するポリマーを挙げることができる。1分子あたり平均で0.7以上であれば、本発明の樹脂組成物より得られる印刷原版の機械強度に優れ、レーザー彫刻時にレリーフ形状が崩れ難くなる。さらにその耐久性も良好で、繰り返しの使用にも耐えらるのものとなり好ましい。印刷原版の機械強度を考慮すると、樹脂(a)の重合性不飽和基は1分子あたり0.7以上が好ましく、1を越える量が更に好ましい。本発明の樹脂(a)において、重合性不飽和基の位置は、高分子主鎖の末端、高分子側鎖の末端や高分子主鎖中や側鎖中に直接結合していることが好ましい。樹脂(a)1分子に含まれる重合性不飽和基の数の平均は、核磁気共鳴スペクトル法(NMR法)による分子構造解析法で求めることができる。
樹脂(a)を製造する方法としては、例えば直接、重合性の不飽和基をその分子末端に導入したものを用いても良いが、別法として、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、ケトン基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、環状カーボネート基、アルコキシカルボニル基などの反応性基を複数有する数千程度の分子量の上記成分の反応性基と結合しうる基を複数有する結合剤(例えば水酸基やアミノ基の場合のポリイソシアネートなど)を反応させ、分子量の調節、及び末端の結合性基への変換を行った後、この末端結合性基と反応する基と重合性不飽和基を有する有機化合物と反応させて末端に重合性不飽和基を導入する方法などの方法が好適にあげられる。
用いる樹脂(a)としては、液状化し易い樹脂や分解し易い樹脂が好ましい。分解し易い樹脂としては、分子鎖中に分解し易いモノマー単位としてスチレン、α−メチルスチレン、α−メトキシスチレン、アクリルエステル類、メタクリルエステル類、エステル化合物類、エーテル化合物類、ニトロ化合物類、カーボネート化合物類、カルバモイル化合物類、ヘミアセタールエステル化合物類、オキシエチレン化合物類、脂肪族環状化合物類等が含まれていることが好ましい。特にポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラエチレングリコール等のポリエーテル類、脂肪族ポリカーボネート類、脂肪族カルバメート類、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ニトロセルロース、ポリオキシエチレン、ポリノルボルネン、ポリシクロヘキサジエン水添物、あるいは分岐構造の多いデンドリマー等の分子構造を有するポリマーは、分解し易いものの代表例である。また、分子鎖中に酸素原子を多数含有するポリマーが分解性の観点から好ましい。これらの中でも、カーボネート基、カルバメート基、メタクリル基をポリマー主鎖中に有する化合物は、熱分解性が高く好ましい。例えば、(ポリ)カーボネートジオールや(ポリ)カーボネートジカルボン酸を原料として合成したポリエステルやポリウレタン、(ポリ)カーボネートジアミンを原料として合成したポリアミドなどを熱分解性の良好なポリマーの例として挙げることができる。これらのポリマー主鎖、側鎖に重合性不飽和基を含有しているものであっても構わない。特に、末端に水酸基、アミノ基、カルボキシル基等の反応性官能基を有する場合には、主鎖末端に重合性不飽和基を導入することも容易である。
樹脂(a)の例として、ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのポリジエン類等の分子主鎖あるいは側鎖に重合性不飽和基を有する化合物を挙げることができる。また、重合性不飽和を有しない高分子化合物を出発原料として、置換反応、脱離反応、縮合反応、付加反応等の化学反応により重合性不飽和基を分子内に導入した高分子化合物を挙げることもできる。重合性不飽和基を有しない高分子化合物の例としてポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン類、ポリ塩化ビニルポリ塩化ビニリデン等のポリハロオレフィン類、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリアクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリビニルエーテル等のC-C連鎖高分子の他、ポリフェニレンエーテル等のポリエーテル類、ポリフェニレンチオエーテル等のポリチオエーテル類、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリウレタン、ポリアミド、ポリウレア、ポリイミド、ポリジアルキルシロキサン等の高分子化合物、或いはこれらの高分子化合物の主鎖にヘテロ原子を有する高分子化合物、複数種のモノマー成分から合成されたランダム共重合体、ブロック共重合体を挙げることができる。更に、分子内に重合性不飽和基を導入した高分子化合物を複数種混合して用いることもできる。
特にフレキソ印刷版用途のように柔軟なレリーフ画像が必要な場合には、樹脂(a)として、一部、ガラス転移温度が20℃以下の液状樹脂、さらに好ましくはガラス転移温度0℃以下の液状樹脂を用いることが特に好ましい。このような液状樹脂として、例えばポリエチレン、ポリブタジエン、水添ポリブタジエン、ポリイソプレン、水添ポイソプレン等の炭化水素類、アジペート、ポリカプロラクトン等のポリエステル類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテル類、脂肪族ポリカーボネート、ポリジメチルシロキサン等のシリコーン類、(メタ)アクリル酸及び/またはその誘導体の重合体及びこれらの混合物やコポリマー類を用いて合成され、分子内に重合性不飽和基を有する化合物を用いることができる。その含有量は、樹脂(a)全体に対して30wt%以上含有することが好ましい。特に耐候性の観点からポリカーボネート構造を有する不飽和ポリウレタン類が好ましい。ここで言う液状樹脂とは、容易に流動変形し、かつ冷却により変形された形状に固化できるという性質を有する高分子体を意味し、外力を加えたときに、その外力に応じて瞬時に変形し、かつ外力を除いたときには、短時間に元の形状を回復する性質を有するエラストマーに対応する言葉である。樹脂(a)が20℃において液状樹脂である場合は、感光性樹脂組成物も20℃において液状である。これから得られるレリーフ画像作成用原版をシート状、もしくは円筒状に成形する際、良好な厚み精度や寸法精度を得ることができる本発明の感光性樹脂組成物は、好ましくは、20℃における粘度が10Pa・s以上10kPa・s以下である。さらに好ましくは、50Pa・s以上5kPa・s以下である。粘度が10Pa・s以上であれば、作製される印刷原版の機械的強度が十分であり、円筒状印刷原版に成形する際であっても形状を保持し易く、加工し易い。粘度が10kPa・s以下であれば、常温でも変形し易く、加工が容易である。シート状あるいは円筒状の印刷原版に成形し易く、プロセスも簡便である。特に版厚精度の高い円筒状印刷原版を得るためには、円筒状支持体上に液状感光性樹脂層を形成する際に、該感光性樹脂組成物が重力により液ダレ等の現象を起こさないように、粘度は100Pa・s以上が好ましく、より好ましくは200Pa・s以上、更に好ましくは500Pa・s以上である。また、本発明で用いる感光性樹脂組成物が特に20℃において液状である場合、チキソトロピー性を有することが好ましい。特に円筒状支持体状に感光性樹脂組成物層を形成する際に、重力により液ダレを起こすことなく、所定の厚さを保持できる。
本発明の有機化合物(b)は、数平均分子量が1000未満の重合性不飽和基を有した化合物である。樹脂(a)との希釈のし易さから数平均分子量は1000以下が好ましい。重合性不飽和基の定義は、有機珪素化合物(c)および樹脂(a)の箇所でも記載したように、ラジカルまたは付加重合反応に関与する重合性不飽和基である。
有機化合物(b)の具体例としては、ラジカル反応性化合物として、エチレン、プロピレン、スチレン、ジビニルベンゼン等のオレフィン類、アセチレン類、(メタ)アクリル酸及びその誘導体、ハロオレフィン類、アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類、(メタ)アクリルアミド及びその誘導体、アリールアルコール、アリールイソシアネート等のアリール化合物、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸及びその誘導体、酢酸ビニル類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール等があげられるが、その種類の豊富さ、価格、レーザー光照射時の分解性等の観点から(メタ)アクリル酸及びその誘導体が好ましい例である。前記化合物の誘導体の例としては、シクロアルキル−、ビシクロアルキル−、シクロアルケン−、ビシクロアルケン−などの脂環族、ベンジル−、フェニル−、フェノキシ−、フルオレン−などの芳香族、アルキル−、ハロゲン化アルキル−、アルコキシアルキル−、ヒドロキシアルキル−、アミノアルキル−、テトラヒドロフルフリル−、アリル−、グリシジル−、アルキレングリコール−、ポリオキシアルキレングリコール−、(アルキル/アリルオキシ)ポリアルキレングリコール−やトリメチロールプロパン等の多価アルコールのエステル、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン等のポリシロキサン構造を有する化合物などがあげられる。また、窒素、硫黄等の元素を含有した複素芳香族化合物であっても構わない。
また、開環付加反応するエポキシ基を有する化合物としては、種々のジオールやトリオールなどのポリオールにエピクロルヒドリンを反応させて得られる化合物、分子中のエチレン結合に過酸を反応させて得られるエポキシ化合物などを挙げることができる。具体的には、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールAにエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドが付加した化合物のジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリ(プロピレングリコールアジペート)ジオールジグリシジルエーテル、ポリ(エチレングリコールアジペート)ジオールジグリシジルエーテル、ポリ(カプロラクトン)ジオールジグリシジルエーテル等のエポキシ化合物、エポキシ変性シリコーンオイル(信越化学工業社製、商標名「HF−105」)等を挙げることができる。
本発明において、これら重合性不飽和基を有する有機化合物(b)はその目的に応じて1種若しくは2種以上のものを選択できる。例えば印刷版として用いる場合、印刷インキの溶剤であるアルコールやエステル等の有機溶剤に対する膨潤を押さえるために用いる有機化合物として長鎖脂肪族、脂環族または芳香族の誘導体を少なくとも1種類以上有することが好ましい。
本発明の樹脂組成物より得られる印刷原版の機械強度を高めるためには、有機化合物(b)としては脂環族または芳香族の誘導体を少なくとも1種類以上有することが好ましく、この場合、有機化合物(b)の全体量の20wt%以上であることが好ましく、更に好ましくは50wt%以上である。また、前記芳香族の誘導体として、窒素、硫黄等の元素を有する芳香族化合物であっても構わない。
印刷版の反撥弾性を高めるため例えば特開平7−239548号に記載されているようなメタクリルモノマーを使用するとか、公知の印刷用感光性樹脂の技術知見等を利用して選択することができる。
樹脂(a)あるいは有機化合物(b)が、分子鎖中に存在する酸素原子あるいは窒素原子に対しα位に存在する水素原子を有する化合物、チオールのような硫黄原子に直接結合している水素原子を有する化合物を、感光性樹脂組成物全体量の少なくとも20wt%以上含有することが好ましい。より好ましくは40wt%以上である。前記酸素原子の由来原子団としては、アルコール、エーテル、エステル、カーボネート等を挙げることができ、また前記窒素原子の由来原子団としてはウレタン、ウレア、アミド等を挙げることができる。
本発明の感光性樹脂組成物を光もしくは電子線の照射により架橋して印刷版などとしての物性を発現させるが、その際に重合開始剤を添加することができる。重合開始剤は一般に使用されているものから選択でき、例えば高分子学会編「高分子データ・ハンドブック−基礎編」1986年培風館発行、に例示されているラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合の開始剤等が使用できる。また、光重合開始剤を用いて光重合により架橋を行なうことは、本発明の樹脂組成物の貯蔵安定性を保ちながら、生産性良く印刷原版を生産出来る方法として有用であり、その際に用いる開始剤も公知のものが使用できる。ラジカル重合反応を誘起させる光重合開始剤としては、水素引き抜き型光重合開始剤(d)と崩壊型光重合開始剤(e)が、特に効果的な光重合開始剤として広く用いられている。
水素引き抜き型光重合開始剤(d)として、特に限定するものではないが、芳香族ケトンを用いることが好ましい。芳香族ケトンは光励起により効率良く励起三重項状態になり、この励起三重項状態は周囲の媒体から水素を引き抜いてラジカルを生成する化学反応機構が提案されている。生成したラジカルが光架橋反応に関与するものと考えられる。本発明で用いる水素引き抜き型光重合開始剤(d)として励起三重項状態を経て周囲の媒体から水素を引き抜いてラジカルを生成する化合物であれば何でも構わない。芳香族ケトンとして、ベンゾフェノン類、ミヒラーケトン類、キサンテン類、チオキサントン類、アントラキノン類を挙げることができ、これらの群から選ばれる少なくとも1種類の化合物を用いることが好ましい。ベンゾフェノン類とは、ベンゾフェノンあるいはその誘導体を指し、具体的には3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−テトラメトキシベンゾフェノン等である。ミヒラーケトン類とはミヒラーケトンおよびその誘導体をいう。キサンテン類とはキサンテンおよびアルキル基、フェニル基、ハロゲン基で置換された誘導体をいう。チオキサントン類とは、チオキサントンおよびアルキル基、フェニル基、ハロゲン基で置換された誘導体をさし、エチルチオキサントン、メチルチオキサントン、クロロチオキサントン等を挙げることができる。アントラキノン類とはアントラキノンおよびアルキル基、フェニル基、ハロゲン基等で置換された誘導体をいう。これらの化合物の中でも、特にベンゾフェノン類が好ましい。水素引き抜き型光重合開始剤の添加量は、感光性樹脂組成物全体量の0.1wt%以上10wt%以下が好ましく、より好ましくは0.5wt%以上5wt%以下である。添加量がこの範囲であれば、液状感光性樹脂組成物を大気中で光硬化させた場合、硬化物表面の硬化性は充分に確保でき、また、退候性を確保することができる。
崩壊型光重合開始剤(e)とは、光吸収後に分子内で開裂反応が発生し活性なラジカルが生成する化合物を指し、特に限定するものではない。具体的には、ベンゾインアルキルエーテル類、2,2−ジアルコキシ−2−フェニルアセトフェノン類、アセトフェノン類、アシルオキシムエステル類、アゾ化合物類、有機イオウ化合物類、ジケトン類等を挙げることができ、これらの群から選ばれる少なくとも1種類の化合物を用いることが好ましい。ベンゾインアルキルエーテル類としては、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、「感光性高分子」(講談社、1977年出版、頁228)に記載の化合物を挙げることができる。2,2−ジアルコキシ−2−フェニルアセトフェノン類としては、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン等を挙げることができる。アセトフェノン類としては、アセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン等を挙げることができる。アシルオキシムエステル類としては、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム等を挙げることができる。アゾ化合物としては、アゾビスイソブチロニトリル、ジアゾニウム化合物、テトラゼン化合物等を挙げることができる。有機イオウ化合物としては、芳香族チオール、モノおよびジスルフィド、チウラムスルフィド、ジチオカルバメート、S−アシルジチオカルバメート、チオスルホネート、スルホキシド、スルフェネート、ジチオカルボネート等を挙げることができる。ジケトン類としては、ベンジル、メチルベンゾイルホルメート等を挙げることができる。崩壊型光重合開始剤の添加量は、感光性樹脂組成物全体量の0.1wt%以上10wt%以下が好ましく、より好ましくは0.3wt%以上3wt%以下である。添加量がこの範囲であれば、感光性樹脂組成物を大気中で光硬化させた場合、硬化物内部の硬化性は充分に確保できる。
水素引き抜き型光重合開始剤として機能する部位と崩壊型光重合開始剤として機能する部位を同一分子内に有する化合物を、光重合開始剤として用いることもできる。α−アミノアセトフェノン類を挙げることができる。例えば、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、下記一般式(6)で示される化合物を挙げることができる。
Figure 2005212144
(式中、Rは各々独立に、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表す。また、Xは炭素数1〜10のアルキレン基を表す。)
水素引き抜き型光重合開始剤として機能する部位と崩壊型光重合開始剤として機能する部位を同一分子内に有する化合物の添加量としては、感光性樹脂組成物全体量の0.1wt%以上10wt%以下が好ましく、より好ましくは0.3wt%以上3wt%以下である。添加量がこの範囲であれば、感光性樹脂組成物を大気中で光硬化させた場合であっても、硬化物の機械的物性は充分に確保できる。
また、光を吸収して酸を発生することにより、付加重合反応を誘起させる光重合開始剤を用いることもできる。例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩等の光カチオン重合開始剤、あるいは光を吸収して塩基を発生する重合開始剤などが挙げられる。これらの光重合開始剤の添加量は、感光性樹脂組成物全体量の0.1wt%以上10wt%以下の範囲が好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物には無機多孔質体(c)を添加することが好ましい。無機多孔質体(c)とは、粒子中に微小細孔を有する、あるいは微小な空隙を有する無機粒子であり、レーザー彫刻において多量に発生する粘稠性の液状カスを吸収除去するための添加剤であり、版面のタック防止効果も有する。本発明の無機多孔質体は粘稠な液状カスの除去を最大の目的として添加するものであり、数平均粒子径、比表面積、平均細孔径、細孔容積、灼熱減量がその性能に大きく影響する。
本発明の無機多孔質体(c)は数平均粒径が0.1〜100μmであることが好ましい。この数平均粒径の範囲より小さいものを用いた場合、本発明の樹脂組成物より得られる原版をレーザーで彫刻する際に粉塵が舞い、彫刻装置を汚染しやすいほか、樹脂(a)及び有機化合物(b)との混合を行う際に粘度の上昇、気泡の巻き込み、粉塵の大量発生等の不都合を生じやすい。他方、上記数平均粒径の範囲より大きなものを用いた場合、レーザー彫刻した際レリーフ画像に欠損が生じやすく、印刷物の精細さを損ないやすい。より好ましい平均粒子径の範囲は、0.5〜20μmであり、更に好ましい範囲は3〜10μmである。本発明の多孔質無機吸収剤の平均粒子径は、レーザー散乱式粒子径分布測定装置を用いて測定した値である。
本発明の無機多孔質体(c)の比表面積の範囲は、10m/g以上1500m/g以下であることが好ましい。より好ましい範囲は、100m/g以上800m/g以下である。比表面積が10m/g以上である場合、レーザー彫刻時の液状カスの除去が充分となり、また、1500m/g以下であれば、感光性樹脂組成物の粘度上昇を抑え、また、チキソトロピー性を抑えることができる。本発明の比表面積は、−196℃における窒素の吸着等温線からBET式に基づいて求められる。
本発明の無機多孔質体(c)の平均細孔径は、レーザー彫刻時に発生する液状カスの吸収量に極めて大きく影響を及ぼす。平均細孔径の好ましい範囲は、1nm以上1000nm以下、より好ましくは2nm以上200nm以下、更に好ましくは2nm以上50nm以下である。平均細孔径が1nm以上であれば、レーザー彫刻時に発生する液状カスの吸収性が確保でき、1000nm以下である場合、粒子の比表面積が大きく液状カスの吸収量を十分に確保できる。平均細孔径が1nm未満の場合、液状カスの吸収量が少ない理由については明確になっていないが、液状カスが粘稠性であるため、ミクロ孔に入り難く吸収量が少ないためではないかと推定している。
本発明の平均細孔径は、窒素吸着法を用いて測定した値である。平均細孔径が2〜50nmのものは特にメソ孔と呼ばれ、メソ孔を有する多孔質粒子が液状カスを吸収する能力が極めて高い。本発明の細孔径分布は、−196℃における窒素の吸着等温線から求められる。
本発明の無機多孔質体(c)の細孔容積は、0.1ml/g以上10ml/g以下が好ましく、より好ましくは0.2ml/g以上5ml/g以下である。細孔容積が0.1m/g以上の場合、粘稠性液状カスの吸収量は十分であり、また10ml/g以下の場合、粒子の機械的強度を確保することができる。本発明において細孔容積の測定には、窒素吸着法を用いる。本発明の細孔容積は、−196℃における窒素の吸着等温線から求められる。
本発明の液状カス吸着量を評価する指標として、吸油量がある。これは、無機多孔質体100gが吸収する油の量で定義する。本発明で用いる無機多孔質体の吸油量の好ましい範囲は、10ml/100g以上2000ml/100g以下、50ml/100g以上1000ml/100g以下である。吸油量が10ml/100g以上であれば、レーザー彫刻時に発生する液状カスの除去が十分であり、また2000ml/100g以下であれば、無機多孔質体の機械的強度を十分に確保できる。吸油量の測定は、JIS−K5101にて行った。
本発明の無機多孔質体(c)は、特に赤外線波長領域のレーザー光照射により変形あるいは溶融せずに多孔質性を保持することが必要である。950℃において2時間処理した場合の灼熱減量が、好ましくは15wt%以下、より好ましくは10wt%以下である。
本発明の無機多孔質体の粒子形状は特に限定するものではなく、球状、扁平状、針状、無定形、あるいは表面に突起のある粒子などを使用することができる。特に耐磨耗性の観点からは、球状粒子が好ましい。また、粒子の内部が空洞になっている粒子、シリカスポンジ等の均一な細孔径を有する球状顆粒体など使用することも可能である。特に限定するものではないが、例えば、多孔質シリカ、メソポーラスシリカ、シリカ−ジルコニア多孔質ゲル、ポーラスアルミナ、多孔質ガラス等を挙げることができる。また、層状粘土化合物などのように、層間に数nm〜100nmの空隙が存在するものについては、細孔径を定義できないため、本発明においては層間に存在する空隙の間隔を細孔径と定義する。
更にこれらの細孔あるいは空隙にレーザー光の波長の光を吸収する顔料、染料等の有機色素を取り込ませることもできる。
球状粒子を規定する指標として、真球度を定義する。本発明で用いる真球度とは、粒子を投影した場合に投影図形内に完全に入る円の最大値Dの、投影図形が完全に入る円の最小値Dの比(D/D)で定義する。真球の場合、真球度は1.0となる。本発明で用いる好ましい球状粒子の真球度は、0.5以上1.0以下が好ましく、より好ましくは0.7以上1.0以下である。0.5以上であれば、印刷版としての耐磨耗性が良好である。真球度1.0は、真球度の上限値である。球状粒子として、70%以上、より好ましくは90%以上の粒子が、真球度0.5以上であることが望ましい。真球度を測定する方法としては、走査型電子顕微鏡を用いて撮影した写真を基に測定する方法を用いることができる。その際、少なくとも100個以上の粒子がモニター画面に入る倍率において写真撮影を行うことが好ましい。また、写真を基に前記DおよびDを測定するが、写真をスキャナー等のデジタル化する装置を用いて処理し、その後画像解析ソフトウエアーを用いてデータ処理することが好ましい。
また、無機多孔質体の表面をシランカップリング剤、チタンカップリング剤、その他の有機化合物で被覆し表面改質処理を行い、より親水性化あるいは疎水性化した粒子を用いることもできる。
本発明において、これらの無機多孔質体(c)は1種類もしくは2種類以上のものを選択でき、無機多孔質体(c)を添加することによりレーザー彫刻時の液状カスの発生抑制、及びレリーフ印刷版のタック防止等の改良が有効に行われる。
本発明の感光性樹脂組成物における樹脂(a)、有機化合物(b)、及び無機多孔質体(c)の割合は、通常、樹脂(a)100重量部に対して、有機化合物(b)は5〜200重量部が好ましく、20〜100重量部の範囲がより好ましい。又、無機多孔質体(c)は1〜100重量部が好ましく、2〜50重量部の範囲がより好ましい。更に好ましい範囲は、2〜20重量部である。
有機化合物(b)の割合が、上記の範囲より小さい場合、得られる印刷版などの硬度と引張強伸度のバランスがとりにくいなどの不都合を生じやすく、上記の範囲より大きい場合には架橋硬化の際の収縮が大きくなり、厚み精度が悪化する傾向がある。
また、無機多孔質体(c)の量が上記の範囲より小さい場合、樹脂(a)及び有機化合物(b)の種類によっては、レーザー彫刻した際に、彫刻液状カスの発生を抑制するなどの効果が十分発揮されない場合があり、上記の範囲より大きい場合には、印刷版が脆くなる。また、透明性が損なわれる場合があり、また、特にフレキソ版として利用する際には、硬度が高くなりすぎてしまう場合がある。光、特に紫外線を用いて感光性樹脂組成物を硬化させレーザー彫刻印刷原版を作製する場合、光線透過性が硬化反応に影響する。したがって、用いる無機多孔質体の屈折率が感光性樹脂組成物の屈折率に近いものを用いることが有効である。
感光性樹脂組成物中に無機多孔質体を混合する方法として、熱可塑性樹脂を加熱して流動化させた状態で直接無機多孔質体(c)を添加する方法、あるいは熱可塑性樹脂と光重合性有機化合物(b)を最初に混錬した中に無機多孔質体(c)を添加する方法のいずれでも構わない。
その他、本発明の樹脂組成物には用途や目的に応じて重合禁止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、滑剤、界面活性剤、可塑剤、香料などを添加することができる。
本発明のレーザー彫刻可能な印刷原版は、感光性樹脂組成物を光架橋硬化させて形成したものである。したがって、有機化合物(b)の重合性不飽和基同士、あるいは樹脂(a)の重合性不飽和基と有機化合物(b)の重合性不飽和基が反応することにより3次元架橋構造が形成され、通常用いるエステル系、ケトン系、芳香族系、エーテル系、アルコール系、ハロゲン系溶剤に不溶化する。この反応は、有機化合物(b)同士、樹脂(a)同士、あるいは樹脂(a)と有機化合物(b)との間で起こり、重合性不飽和基が消費される。また、光重合開始剤を用いて架橋硬化させる場合、光重合開始剤が光により分解されるため、前記架橋硬化物を溶剤で抽出し、GC−MS法(ガスクロマトグラフィーで分離したものを質量分析する方法)、LC−MS法(液体クロマトグラフィーで分離したものを質量分析する方法)、GPC−MS法(ゲル浸透クロマトグラフィーで分離し質量分析する方法)、LC−NMR法(液体クロマトグラフィーで分離したものを核磁気共鳴スペクトルで分析する方法)を用いて解析することにより、未反応の光重合開始剤および分解生成物を同定することができる。更に、GPC−MS法、LC−MS法、GPC−NMR法を用いることにより、溶剤抽出物中の未反応のポリマー、未反応の有機化合物(b)、および重合性不飽和基が反応して得られる比較的低分子量の生成物についても溶剤抽出物の分析から同定することができる。3次元架橋構造を形成した溶剤に不溶の高分子量成分については、熱分解GC−MS法を用いることにより、高分子量体を構成する成分として、重合性不飽和基が反応して生成した部位が存在するかを検証することが可能である。例えば、メタクリレート基、アクリレート基、ビニル基等の重合性不飽和基が反応した部位が存在することを質量分析スペクトルパターンから推定することができる。熱分解GC−MS法とは、試料を加熱分解させ、生成するガス成分をガスクロマトグラフィーで分離した後、質量分析を行なう方法である。架橋硬化物中に、未反応の重合性不飽和基又は重合性不飽和基が反応して得られた部位と共に、光重合開始剤に由来する分解生成物や未反応の光重合開始剤が検出されると、感光性樹脂組成物を光架橋硬化させて得られたものであると結論付けることができる。
表面処理されたレーザー彫刻印刷版表面近傍に存在する有機珪素化合物の同定は、オージェ電子分光法(AES法)、X線光電子分光法(XPS法)、2次イオン質量分析法(SIMS法)等の表面分析法を駆使することにより可能である。
また、架橋硬化物中に存在する無機多孔質体微粒子の量については、架橋硬化物を空気中で加熱することにより、有機物成分を焼き飛ばし、残渣の重量を測定することにより得ることができる。また、前記残渣中に無機多孔質体微粒子が存在することは、電界放射型高分解能走査型電子顕微鏡での形態観察、レーザー散乱式粒子径分布測定装置での粒子径分布、および窒素吸着法による細孔容積、細孔径分布、比表面積の測定から同定することができる。
本発明の樹脂組成物をシート状、もしくは円筒状に成形する方法は、既存の樹脂の成形方法を用いることができる。例えば、注型法、ポンプや押し出し機等の機械で樹脂をノズルやダイスから押し出し、ブレードで厚みを合わせる、ロールによりカレンダー加工して厚みを合わせる方法等が例示できる。その際、樹脂の性能を落とさない範囲で加熱しながら成形を行なうことも可能である。また、必要に応じて圧延処理、研削処理などをほどこしても良い。通常はPETやニッケルなどの素材からなるバックフィルムといわれる下敷きの上に成形される場合が多いが、直接印刷機のシリンダー上に成形する場合などもありうる。また、繊維強化プラスチック(FRP)製、プラスチック製あるいは金属製の円筒状支持体を用いることもできる。円筒状支持体は軽量化のために一定厚みで中空のものを使用することができる。バックフィルムあるいは円筒状支持体の役割は、印刷原版の寸法安定性を確保することである。したがって、寸法安定性の高いものを選択する必要がある。
線熱膨張係数を用いて評価すると、好ましい材料の上限値は100ppm/℃以下、更に好ましくは70ppm/℃以下である。材料の具体例としては、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリビスマレイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンチオエーテル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、全芳香族ポリエステル樹脂からなる液晶樹脂、全芳香族ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂などを挙げることができる。また、これらの樹脂を積層して用いることもできる。例えば、厚み4.5μmの全芳香族ポリアミドフィルムの両面に厚み50μmのポリエチレンテレフタレートの層を積層したシート等でもよい。
また、多孔質性のシート、例えば繊維を編んで形成したクロスや、不織布、フィルムに細孔を形成したもの等をバックフィルムとして用いることができる。バックフィルムとして多孔質性シートを用いる場合、感光性樹脂組成物を孔に含浸させた後に光硬化させることで、感光性樹脂硬化物層とバックフィルムとが一体化するために高い接着性を得ることができる。クロスあるいは不織布を形成する繊維としては、ガラス繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、アルミナ・シリカ繊維、ホウ素繊維、高珪素繊維、チタン酸カリウム繊維、サファイア繊維などの無機系繊維、木綿、麻などの天然繊維、レーヨン、アセテート等の半合成繊維、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ビニロン、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリイミド、アラミド等の合成繊維を挙げることができる。また、バクテリアの生成するセルロースは、高結晶性ナノファイバーであり、薄くて寸法安定性の高い不織布を作製することのできる材料である。
また、バックフィルムの線熱膨張係数を小さくする方法として、充填剤を添加する方法、全芳香族ポリアミド等のメッシュ状クロス、ガラスクロスなどに樹脂を含浸あるいは被覆する方法などを挙げることができる。充填剤としては、通常用いられる有機系微粒子、金属酸化物あるいは金属等の無機系微粒子、有機・無機複合微粒子など用いることができる。また、多孔質微粒子、内部に空洞を有する微粒子、マイクロカプセル粒子、低分子化合物が内部にインターカレーションする層状化合物粒子を用いることもできる。特に、アルミナ、シリカ、酸化チタン、ゼオライト等の金属酸化物微粒子、ポリスチレン・ポリブタジエン共重合体からなるラテックス微粒子、高結晶性セルロース等の天然物系の有機系微粒子等が有用である。
本発明で用いるバックフィルムあるいは円筒状支持体の表面に物理的、化学的処理を行うことにより、感光性樹脂組成物層あるいは接着剤層との接着性を向上させることができる。物理的処理方法としては、サンドブラスト法、微粒子を含有した液体を噴射するウエットブラスト法、コロナ放電処理法、プラズマ処理法、紫外線あるいは真空紫外線照射法などを挙げることができる。また、化学的処理方法としては、強酸・強アルカリ処理法、酸化剤処理法、カップリング剤処理法などである。
成形された感光性樹脂組成物層は光照射により架橋せしめ、印刷原版を形成する。また、成型しながら光照射により架橋させることもできる。硬化に用いられる光源としては高圧水銀灯、超高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、殺菌灯、カーボンアーク灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ等が挙げることができる。感光性樹脂組成物層に照射される光は、200nmから300nmの波長の光を有することが好ましい。特に水素引き抜き型光重合開始剤は、この波長領域に強い光吸収を有するものが多いため、200nmから300nmの波長の光を有する場合、感光性樹脂硬化物層表面の硬化性を充分に確保することができる。硬化に用いる光源は、1種類でも構わないが、波長の異なる2種類以上の光源を用いて硬化させることにより、樹脂の硬化性が向上することがあるので、2種類以上の光源を用いることも差し支えない。
レーザー彫刻に用いる原版の厚みは、その使用目的に応じて任意に設定して構わないが、印刷版として用いる場合には、一般的に0.1〜7mmの範囲である。場合によっては、組成の異なる材料を複数積層していても構わない。例えば、最表面にYAGレーザー、ファイバーレーザーあるいは半導体レーザー等の近赤外線領域に発振波長を有するレーザーを用いて彫刻することができる層を形成し、その層の下に炭酸ガスレーザー等の赤外線レーザーあるいは可視・紫外線レーザーを用いてレーザー彫刻できる層を形成することも可能である。このような積層構造を形成することにより、極めて出力の高い炭酸ガスレーザーを用いて比較的粗いパターンを深く彫刻し、表面近傍の極めて精細なパターンをYAGレーザー、ファイバーレーザー等の近赤外線レーザーを用いて彫刻することが可能となる。極めて精細なパターンは比較的浅く彫刻できれば良いので、該近赤外線レーザーに感度のある層の厚さは、0.01mm以上0.5mm以下の範囲が好ましい。このように近赤外線レーザーに感度のある層と赤外線レーザーに感度のある層を積層することにより、近赤外線レーザーを用いて彫刻されたパターンの深さを正確に制御できる。これは、赤外線レーザーに感度のある層を、近赤外線レーザーでは彫刻することが困難である現象を利用しているからである。彫刻可能なパターンの精細さの違いは、レーザー装置固有の発振波長の違い、すなわち絞れるレーザービーム径の違いに起因する。このような方法でレーザー彫刻する場合、赤外線レーザーと近赤外線レーザーを搭載した別々のレーザー彫刻装置を用いて彫刻することもでき、また、赤外線レーザーと近赤外線レーザーの両方を搭載したレーザー彫刻装置を用いて行うことも可能である。
本発明の表面処理されたレーザー彫刻印刷版において、表面の濡れ性は、インキの受理、転移において極めて重要な要素となる。25℃の温度条件で実施する表面濡れ性評価において、表面エネルギー30mN/mの指示液を20μリットル、1滴を該レーザー彫刻印刷原版表面に滴下し、30秒後に前記液滴が広がった部分の最大径を測定した場合において、該液滴の径が4mm以上20mm以下であることが好ましい。より好ましい範囲は5mm以上15mm以下である。指示液の広がり方は、同心円状になる場合が多いが、原版表面の状態によっては必ずしも同心円状の広がり方をしない場合もある。その場合には、広がった部分が完全に入る円の直径の最小値を指示液滴の広がった部分の最大径と定義する。液滴が広った部分の最大径が4mm以上20mm以下の範囲であれば、インキをはじいて印刷物が不均一になることなく、また版面へのインキ残りに抑制効果が見られる。
本発明では、レーザー彫刻される層の下部にエラストマーからなるクッション層を形成することもできる。一般的にレーザー彫刻される層の厚さは、0.1〜数mmであるため、それ以外の下部層は組成の異なる材料であっても構わない。クッション層としては、ショアA硬度が20から70度のエラストマー層であることが好ましい。ショアA硬度が20度以上である場合、適度に変形するため、印刷品質を確保することができる。また、70度以下であれば、クッション層としての役割を果たすことができる。より好ましいショアA硬度の範囲は、30〜60度である。
前記クッション層は、特に限定せず、熱可塑性エラストマー、光硬化型エラストマー、熱硬化型エラストマー等ゴム弾性を有するものであれば何でも構わない。ナノメーターレベルの微細孔を有する多孔質エラストマー層であってもよい。特にシート状あるいは円筒状印刷版への加工性の観点から、光で硬化する液状感光性樹脂組成物を用い、硬化後にエラストマー化する材料を用いることが簡便であり好ましい。
クッション層に用いる熱可塑性エラストマーの具体例としては、スチレン系熱可塑性エラストマーであるSBS(ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン)、SIS(ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン)、SEBS(ポリスチレン−ポリエチレン/ポリブチレン−ポリスチレン)等、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー、シリコン系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。
光硬化型エラストマーとしては、前記熱可塑性エラストマーに光重合性モノマー、可塑剤および光重合開始剤等を混合したもの、プラストマー樹脂に光重合性モノマー、光重合開始剤等を混合した液状組成物などを挙げることができる。本発明では、微細パターンの形成機能が重要な要素である感光性樹脂組成物の設計思想とは異なり、光を用いて微細なパターンの形成を行う必要がなく、全面露光により硬化させることにより、ある程度の機械的強度を確保できれば良いため、材料の選定において自由度が極めて高い。
また、硫黄架橋型ゴム、有機過酸化物、フェノール樹脂初期縮合物、キノンジオキシム、金属酸化物、チオ尿素等の非硫黄架橋型ゴムを用いることもできる。
更に、テレケリック液状ゴムを反応する硬化剤を用いて3次元架橋させてエラストマー化したものを使用することもできる。
本発明において多層化する場合、前記バックフィルムの位置は、クッション層の下、すなわち印刷原版の最下部、あるいは、レーザー彫刻可能な感光性樹脂層とクッション層との間の位置、すなわち印刷原版の中央部、いずれの位置でも構わない。
また、無機多孔質体粒子を含有する層が印刷版表面に露出している場合、プラズマ等の高エネルギー雰囲気下で処理し、表面の有機物層を若干エッチング除去することにより印刷版表面に微小な凹凸を形成させることができる。この処理により印刷版表面のタックを低減させること、および表面に露出した無機多孔質体粒子がインクを吸収しやすくすることによりインク濡れ性が向上する効果も期待できる。
レーザー彫刻においては、形成したい画像をデジタル型のデータとしてコンピューターを利用してレーザー装置を操作し、原版上にレリーフ画像を作成する。レーザー彫刻に用いるレーザーは、原版が吸収を有する波長を含むものであればどのようなものを用いてもよいが、彫刻を高速度で行なうためには出力の高いものが望ましく、炭酸ガスレーザーやYAGレーザー、半導体レーザー等の赤外線あるいは赤外線放出固体レーザーが好ましいものの一つである。また、可視光線領域に発振波長を有するYAGレーザーの第2高調波、銅蒸気レーザー、紫外線領域に発振波長を有する紫外線レーザー、例えばエキシマレーザー、第3あるいは第4高調波へ波長変換したYAGレーザーは、有機分子の結合を切断するアブレージョン加工が可能であり、微細加工に適する。また、レーザーは連続照射でも、パルス照射でも良い。
一般には樹脂は炭酸ガスレーザーの10μm近傍に吸収を持つため、特にレーザー光の吸収を助けるような成分の添加は必須ではないが、YAGレーザーは1.06μm近傍の波長であり、この波長の吸収を有するものはあまり無い。その場合、これの吸収を助ける成分である、染料、顔料の添加が必要となる。このような染料の例としては、ポリ(置換)フタロシアニン化合物および金属含有フタロシアニン化合物、;シアニン化合物;スクアリリウム染料;カルコゲノピリロアリリデン染料;クロロニウム染料;金属チオレート染料;ビス(カルコゲノピリロ)ポリメチン染料;オキシインドリジン染料;ビス(アミノアリール)ポリメチン染料;メロシアニン染料;及びキノイド染料などが挙げられる。顔料の例としてはカーボンブラック、グラファイト、亜クロム酸銅、酸化クロム、コバルトクロームアルミネート、酸化銅、酸化鉄等の暗色の無機顔料や鉄、アルミニウム、銅、亜鉛のような金属粉およびこれら金属にSi、Mg、P、Co、Ni、Y等をドープしたもの等が挙げられる。これら染料、顔料は単独で使用しても良いし、複数を組み合わせて使用しても良いし、複層構造にするなどのあらゆる形態で組み合わせても良い。ただし、光を用いて感光性樹脂組成物を硬化させる系の場合、硬化に使用する光の波長における光吸収が大きな有機/無機化合物の添加量は、光硬化性に支障のない範囲にすることが好ましく、感光性樹脂組成物全体量に対する添加比率としては5wt%以下が好ましく、より好ましくは2wt%以下である。
レーザーによる彫刻は酸素含有ガス下、一般には空気存在下もしくは気流下に実施するが、炭酸ガス、窒素ガス下でも実施できる。彫刻終了後、レリーフ印刷版面にわずかに発生する粉末状もしくは液状の物質は適当な方法、例えば溶剤や界面活性剤の入った水等で洗いとる方法、高圧スプレー等により水系洗浄剤を照射する方法、高圧スチームを照射する方法などを用いて除去しても良い。
本発明において、レーザー彫刻印刷原版にレーザー光を照射し凹パターンを形成する際に、該レーザー彫刻印刷原版表面を加熱しレーザー彫刻を補助することもできる。レーザー彫刻印刷原版の加熱方法としては、レーザー彫刻機のシート状あるいは円筒状定盤を、ヒーターを用いて加熱する方法、赤外線ヒーターを用いて該レーザー彫刻印刷原版表面を直接加熱する方法を挙げることができる。この加熱工程により、レーザー彫刻性を向上させることができる。加熱の程度は、50℃以上200℃以下の範囲が好ましく、より好ましくは80℃以上200℃以下の範囲、更に好ましくは100℃以上200℃以下の範囲である。
本発明の印刷原版は印刷版用レリーフ画像の他、スタンプ・印章、エンボス加工用のデザインロール、電子部品作成に用いられる絶縁体、抵抗体、導電体ペーストのパターニング用レリーフ画像、光学部品の反射防止膜、カラーフィルター、(近)赤外線吸収フィルター等の機能性材料のパターン形成、液晶ディスプレイあるいは有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ等の表示素子の製造における配向膜、下地層、発光層、電子輸送層、封止剤層の塗膜・パターン形成、窯業製品の型材用レリーフ画像、広告・表示板などのディスプレイ用レリーフ画像、各種成型品の原型・母型など各種の用途に応用し利用できる。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
(1)レーザー彫刻
レーザー彫刻は炭酸ガスレーザー彫刻機(商標:ZED−mini−1000、英国、ZED社製、米国、コヒーレント社製、出力250W炭酸ガスレーザーを搭載)を用いて行った。彫刻は、網点(80 lines per inch で面積率10%)、500μm幅の凸線による線画、及び、500μm幅の白抜き線を含むパターンを作成して実施した。彫刻深さを大きく設定すると、微細な網点部のパターンのトップ部の面積が確保できず、形状も崩れて不鮮明となるため、彫刻深さは0.55mmとした。
(2)網点部の形状
彫刻した部位のうち、80lpi(Lines per inch)で面積率約10%の網点部の形状を電子顕微鏡で、200倍〜500倍の倍率で観察した。網点が円錐形または擬似円錐形(円錐の頂点付近を円錐の底面に平行な面で切った、末広がりの形状)の場合には、印刷版として良好である。
(3)多孔質体および無孔質体の細孔容積、平均細孔径及び比表面積
多孔質体又は無孔質体2gを試料管に取り、前処理装置で150℃、1.3Pa以下の条件で12時間減圧乾燥した。乾燥した多孔質体又は無孔質体の細孔容積、平均細孔径及び比表面積は、米国、カンタクローム社製、オートソープ3MP(商標)を用い、液体窒素温度雰囲気下、窒素ガスを吸着させて測定した。具体的には、比表面積はBET式に基づいて算出した。細孔容積および平均細孔径は、窒素の脱着時の吸着等温線から円筒モデルを仮定し、BJH(Brrett-Joyner-Halenda)法という細孔分布解析法に基づいて算出した。
(4)多孔質体および無孔質体の灼熱減量
測定用の多孔質体又は無孔質体の重量を記録する。次に測定用試料を高温電気炉(FG31型;日本国、ヤマト科学社製)に入れ、空気雰囲気、950℃の条件下で2時間処理した。処理後の重量変化を灼熱減量とした。
(5)多孔質体および無孔質体の粒子径分布における標準偏差
多孔質体および無孔質体の粒子径分布の測定は、レーザー回折式粒度分布測定装置(SALD−2000J型;日本国、島津製作所製)を用いて行った。装置の仕様では、0.03μmから500μmまでの粒子径範囲の測定が可能であることが、カタログに記載されている。分散媒体としてメチルアルコールを用い、超音波を約2分間照射し粒子を分散させ測定液を調整した。
(6)粘度
感光性樹脂組成物の粘度は、B型粘度計(B8H型;日本国、東京計器社製)を用い、20℃で測定した。
(7)表面摩擦抵抗測定
厚み2.8mmの印刷原版を別途作製し、摩擦測定機(TR型:日本国、東洋精機製作所社製)を用いて、表面摩擦抵抗値μを測定した。試料表面に載せる錘は63.5mm角、重量W:200gであり、錘を引っ張る速度は150mm/分とした。また、錘の表面にライナー紙(再生紙を含まず、純パルプから製造された、段ボールに使用されている厚さ220μmの紙、商標名「白ライナー」、日本国、王子製紙社製)を、その平滑な面が表面に露出するように貼り付けたものを使用し、印刷原版と錘の間にライナー紙が存在し、印刷原版表面とライナー紙の平滑面が接するようにして、錘を水平に動かし表面摩擦抵抗値μを測定した。表面摩擦抵抗値μは、錘の重量に対する測定荷重Fdの比、即ちμ=Fd/Wで表される動摩擦係数であり、無次元数である。錘を動かし始めて測定値が安定化する領域、即ち、5mmから30mmまでの測定荷重の平均値をFdとした。表面摩擦抵抗値μが小さいものが印刷版としては好ましい。優れた印刷版では、表面摩擦抵抗値μは2.5以下であり、表面摩擦抵抗値μの値が小さいと印刷時に印刷版表面への紙紛の付着が少なく、品質の高い印刷物を得ることができる。表面摩擦抵抗値μが4を越えて大きい場合、段ボール等の紙に印刷する際に紙紛が印刷版表面に付着してしまう現象が見られ、その場合、紙紛が付着した部分の被印刷物上にインクが転写されず欠陥となることが多発する。
(8)数平均分子量の測定
樹脂(a)および有機珪素化合物(c)の数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ法(GPC法)を用いて、分子量既知のポリスチレンで換算して求めた。高速GPC装置(日本国、東ソー社製のHLC−8020)とポリスチレン充填カラム(商標:TSKgel GMHXL;日本国、東ソー社製)を用い、テトラヒドロフラン(THF)で展開して測定した。カラムの温度は40℃に設定した。GPC装置に注入する試料としては、樹脂濃度が1wt%のTHF溶液を調製し、注入量10μlとした。また、検出器としては、樹脂(a)に関しては紫外吸収検出器を使用し、モニター光として254nmの光を用いた。また、有機珪素化合物(c)に関しては視差屈折計を用いて検出した。本発明の実施例あるいは比較例で用いている樹脂(a)、有機珪素化合物(c)は、GPC法で用いて求めた多分散度(Mw/Mn)が1.1より大きいものであったため、GPC法で求めた数平均分子量Mnを採用した。
(9)重合性不飽和基の数の測定
合成した樹脂(a)の分子内に存在する重合性不飽和基の平均数は、未反応の低分子成分を液体クロマトグラフ法を用いて除去した後、核磁気共鳴スペクトル法(NMR法)を用いて分子構造解析し求めた。
(10)印刷評価
レーザー彫刻により作製された印刷版を用いて、印刷評価を実施した。印刷には卓上型校正機(英国、KR社製、商標「Flexiploofer100」)を用い、版胴上に前記印刷版を、両面テープを用いて貼り付け、シアン色の水性インキを使用して、コート紙上に枚葉式で印刷を行った。アニロックスロールと版胴との間に過剰な圧力を掛けた状態(版に一様にインキが転写する状態から、0.08mm余計に圧を掛けた状態)で、また、版胴と圧胴との間の圧力を0.15mmに設定し、10枚印刷を行った時点で、版表面に残存するインキの残り具合を目視で観察した。
(11)印刷原版のぬれ性試験
レーザー彫刻印刷版表面のぬれ性試験は、表面エネルギー30mN/mの指示薬(和光純薬工業社製、商標「ぬれ張力試験用混合液No.30.0」)を20μリットル、1滴を該レーザー彫刻印刷版のパターンの形成されていないべた部表面に滴下し、30秒後に前記液滴が広がった部分の最大径を測定し、この値をぬれ性試験の指標として使用する。この値が大きい程、この指示薬にぬれ易いことを意味する。好適なレーザー彫刻原版は、この値が4mm以上20mm以下である。
(製造例1)
温度計、攪拌機、還流器を備えた1Lのセパラブルフラスコに旭化成株式会社製ポリカーボネートジオールである、商標「PCDL L4672」(数平均分子量1990、OH価56.4)447.24gとトリレンジイソシアナート30.83gを加え80℃に加温下に約3時間反応させた後、2−メタクリロイルオキシイソシアネート14.83gを添加し、さらに約3時間反応させて、末端がメタアクリル基(分子内の重合性不飽和基が1分子あたり平均約2個)である数平均分子量約10000の樹脂(ア)を製造した。この樹脂は20℃では水飴状であり、外力を加えると流動し、かつ外力を除いても元の形状を回復しなかった。
(製造例2)
温度計、攪拌機、還流器を備えた1Lのセパラブルフラスコに旭化成株式会社製ポリカーボネートジオールである、商標「PCDL L4672」(数平均分子量1990、OH価56.4)447.24gとトリレンジイソシアナート30.83gを加え80℃に加温下に約3時間反応させた後、2−メタクリロイルオキシイソシアネート7.42gを添加し、さらに約3時間反応させて、末端がメタアクリル基(分子内の重合性不飽和基が1分子あたり平均約1個)である数平均分子量約10000の樹脂(イ)を製造した。この樹脂は20℃では水飴状であり、外力を加えると流動し、かつ外力を除いても元の形状を回復しなかった。
(製造例3)
温度計、攪拌機、還流器を備えた1Lのセパラブルフラスコに旭化成株式会社製ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量1830、OH価61.3)500gとトリレンジイソシアネート52.40gを加え60℃に加温下に約3時間反応させた後、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート6.2gとポリプロピレングリコールモノメタクリレート(Mn400)7.9gを添加し、さらに2時間反応させたのち、エタノールを20g加えてさらに2時間反応させた。末端がメタアクリル基(分子内の重合性不飽和基が1分子あたり平均で0.5個)である数平均分子量約20000の樹脂(ウ)を製造した。この樹脂は20℃では水飴状であり、外力を加えると流動し、かつ外力を除いても元の形状を回復しなかった。
(実施例1〜7、比較例1〜3)
樹脂(a)として、製造例1から3で作製した樹脂(ア)から(ウ)を用い、表1に示すように有機化合物(b)、無機多孔質体(c)、光重合開始剤、その他添加剤を加えて感光性樹脂組成物を作成した。
また、無機多孔質体(c)として、富士シリシア化学株式会社製、多孔質性微粉末シリカである、商標「サイロスフェアC−1504」(以下略してC−1504、数平均粒子径4.5μm、比表面積520m/g、平均細孔径12nm、細孔容積1.5ml/g、灼熱減量2.5wt%、吸油量290ml/100g)、商標「サイリシア450」(以下略してCH−450、数平均粒子径8.0μm、比表面積300m/g、平均細孔径17nm、細孔容積1.25ml/g、灼熱減量5.0wt%、吸油量200ml/100g)、商標「サイリシア470」(以下略してC−470、数平均粒子径14.1μm、比表面積300m/g、平均細孔径17nm、細孔容積1.25ml/g、灼熱減量5.0wt%、吸油量180ml/100g)を用いた。用いた多孔質性微粉末シリカの多孔度は、密度を2g/cmとして算出すると、サイロスフェアーC−1504が780、サイリシア450が800であった。添加した多孔質球状シリカであるサイロスフェアーC−1504の真球度は、走査型電子顕微鏡を用いて観察したところ、ほぼ全ての粒子が0.9以上であった。サイリシア450、サイリシア470は、多孔質シリカではあるが球状シリカではなかった。
作製した感光性樹脂組成物をPETフィルム上に厚さ2.8mmのシート状に成形し、メタルハライドランプ(アイ・グラフィックス社製、商標「M056−L21」)をスライドさせながら、開口部(開口部寸法:40mm×310mm)から出てくる光を、大気中で感光性樹脂層が露出している面から照射した。照射したエネルギー量は、4000mJ/cm(UV−35−APRフィルターで測定した照度を時間積分した値)であった。照射面でのランプ照度は、UVメーター(オーク製作所社製、商標「UV−M02」)を用いて測定した。UV−35−APRフィルターを使用して測定したランプ照度は、100mW/cm、UV−25フィルターを使用して測定したランプ照度は、14mW/cmであった。実施例6については、感光性樹脂組成物をPETフィルム上に厚さ2.8mmのシート状に成型した後、表面を厚さ15μmのPETカバーフィルムで被覆し、酸素を遮断した状態で前記メタルハライドランプの光を照射し硬化させ、レーザー彫刻可能な印刷原版を作製した。次に、炭酸ガスレーザー彫刻機(英国、ZED社製、商標「ZED−mini−1000」)を用いて、得られた印刷原版表面にパターンを形成し、レーザー彫刻印刷版を作製した。版面に存在する彫刻カスは、業務用高温高圧洗浄機(ドイツ国、ケルヒャー社製、商標「HDS−795」)を用いて、130℃、4MPaのスチームを3分間照射し、除去した。
用いた光重合開始剤は、ベンゾフェノン(BP)が水素引き抜き型光重合開始剤(d)であり、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(DMPAP)が崩壊型光重合開始剤であった。
実施例1〜7および比較例1〜3の感光性樹脂組成物は、いずれも20℃において液状であった。また、B型粘度計を用いて測定した粘度は、20℃において、いずれの系も5kPa・s以下であった。
表面処理に使用した有機珪素化合物は、分子内にメタクリル基を有するシリコーンオイル(信越化学工業社製、商標「X−22−164A」)、エポキシ基を有するシリコーンオイル(信越化学工業社製、商標「X−22−169B」)であり、これらの有機珪素化合物をエタノールに1wt%含有させ、表面処理液を調整した。表面処理液中に、前記有機珪素化合物は均一に溶解していた。このようにして調整した表面処理液中に、温度20℃において、前記レーザー彫刻印刷版を10分間浸漬し、その後、処理液から取り出し、50℃、60分間乾燥機中で乾燥させた。その後、大気中でケミカルランプおよび殺菌灯を用いて後露光を行った。ケミカルランプ(中心波長:370nm)で1860mJ/cm(UVメーター(オーク製作所社製、商標「UV−M02」とUV−35−APRフィルターと用いて積算したエネルギー量)、殺菌灯で2160mJ/cm(UVメーターとUV−25フィルターを用いて積算したエネルギー量)の光を照射した。更にその後、印刷版表面を、エタノールを染み込ませたベンコット(旭化成社製)で軽く拭いた。
用いた有機珪素化合物の数平均分子量は、X−22−164Aが960、Mw/Mnの値は1.9であった。また、X−22−169Bは、GPC分析において2つのピークを示し、各々5070と800であった。ピーク面積比は、1:1.5であった。
これらをZED社製のレーザー彫刻機をもちいて、パターンの彫刻を行なった。その評価結果を表2に示す。また表2に、ぬれ性試験での指示薬の広がり結果を示した。実施例では指示薬の広がり範囲が4mm以上20mm以下の範囲に入っているのに対し、表面処理を行っていない比較例では20mmを越える値を示した。 印刷後に版表面をエタノールを染み込ませた布で拭き、版表面に残存するインキの残りを観察した。特に網点部のパターンにおいて、表面処理を行った実施例の方が、表面処理を行っていない比較例に比べて、明らかに版表面のインキ残り性(インキ絡み性)は良好であった。更に、印刷物においても、表面処理を行った方が非画像部へのインキ付着性が少なく、印刷品質の良好なものが得られた。
Figure 2005212144
Figure 2005212144
本発明は、レーザー彫刻によるフレキソ印刷版用レリーフ画像作成、エンボス加工等の表面加工用パターンの形成、タイル等の印刷用レリーフ画像形成、電子部品の導体、半導体、絶縁体、パターン形成、光学部品の反射防止膜、カラーフィルター、(近)赤外線カットフィルター等の機能性材料のパターン形成、更には液晶ディスプレイあるいは有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ等の表示素子の製造における配向膜、下地層、発光層、電子輸送層、封止材層の塗膜・パターン形成に適し、印刷版表面へのインキ残りの少ないレーザー彫刻印刷版の製造方法として好適である。

Claims (15)

  1. レーザー彫刻可能な印刷原版の表面にレーザー光を照射しレーザー光の照射された部分の樹脂が除去されることにより、表面に凹凸パターンが形成されたレーザー彫刻印刷版を得る工程、得られたレーザー彫刻印刷版に、数平均分子量が100以上10万以下の少なくとも1種類以上の有機珪素化合物を含有する処理液を付着させる工程、更にその後、前記レーザー彫刻印刷版表面に波長200nm以上450nm以下の光を含む光線を照射する後露光工程を含むことを特徴とする表面処理されたレーザー彫刻印刷版の製造方法。
  2. 有機珪素化合物が、分子内に少なくとも1つ以上の重合性不飽和基を有する有機珪素化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法。
  3. 有機珪素化合物が、前記処理液中に20℃において0.1wt%以上溶解していることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法。
  4. 有機珪素化合物が、20℃において液状であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法。
  5. 有機珪素化合物が、下記平均組成式(1)で表されるシリコーン化合物を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法。
    SiO(4−p−r−s)/2 (1)
    (式中、Rは、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、炭素数5〜20のアルキレン基、シクロアルキレン基、炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基で置換された炭素数1〜20のアルキル基、アリール基で置換された炭素数7〜30のアルキル基、メタクリル基、アクリル基、ビニル基、シンナモイル基、アセチレン基、チオール基、エポキシ基、オキセタン基、環状エステル基、ジオキシラン基、スピロオルトカーボネート基、スピロオルトエステル基、環状イミノエーテル基、ビシクロオルトエステル基、シクロシロキンサン基で置換されたアルキル基、又はハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基、炭素数2〜30のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基あるいはその塩を含む1価の基、スルホ基あるいはその塩を含む1価の基、ポリオキシアルキレン基から選ばれた1種もしくは2種以上からなる炭化水素基を表す。
    Q、Xは、水素原子、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、もしくは置換されていないか或いは炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ基、アリール基で置換された炭素数7〜30のアルキル基、又はハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基、炭素数2〜30のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基あるいはその塩を含む1価の基、スルホ基あるいはその塩を含む1価の基、ポリオキシアルキレン基から選ばれた1種もしくは2種以上からなる炭化水素基を表し、
    0<p<4、
    0≦r<4、
    0≦s<4、
    及び(p+r+s)<4である。)
  6. レーザー彫刻可能な印刷原版が、感光性樹脂組成物を光硬化させて得られた印刷原版であることを特徴とする請求項1に記載の表面処理されたレーザー彫刻印刷版の製造方法。
  7. 感光性樹脂組成物を光硬化させレーザー彫刻印刷原版を形成する工程において、前記感光性樹脂組成物に大気中で光を照射し光硬化させる工程を含むことを特徴とする請求項6に記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法。
  8. 感光性樹脂組成物が、数平均分子量が1000以上20万以下の樹脂(a)、数平均分子量が1000未満の重合性不飽和基を有する有機化合物(b)、および無機多孔質体(c)を含有することを特徴とする請求項6または7のいずれかに記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法。
  9. 感光性樹脂組成物が、20℃において液状であることを特徴とする請求項2から8のいずれかに記載の表面処理されたレーザー彫刻印刷版の製造方法。
  10. 感光性樹脂組成物が、さらに光重合開始剤を含有し、該光重合開始剤が少なくとも1種類の水素引き抜き型光重合開始剤(d)および少なくとも1種類の崩壊型光重合開始剤(e)を含むことを特徴とする請求項6から9のいずれかに記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法。
  11. 水素引き抜き型光重合開始剤(d)が、ベンゾフェノン類、キサンテン類、アントラキノン類から選ばれる少なくとも一種類の化合物からなり、かつ崩壊型光重合開始剤(e)が、ベンゾインアルキルエーテル類、2,2−ジアルコキシ−2−フェニルアセトフェノン類、アシルオキシムエステル類、アゾ化合物類、有機イオウ化合物類、ジケトン類から選ばれる少なくとも1種類の化合物からなることを特徴とする請求項10に記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法。
  12. 感光性樹脂組成物が、さらに同一分子内に水素引き抜き型光重合剤(d)として機能する部位と崩壊型光重合開始剤(e)として機能する部位の両方を有する光重合開始剤を含有することを特徴とする請求項8から9のいずれかに記載の表面処理されたレーザー彫刻印刷版の製造方法。
  13. 無機多孔質体(c)が、比表面積が10m/g以上1500m/g以下、平均細孔径が1nm以上1000nm以下、細孔容積が0.1ml/g以上10ml/g以下、かつ吸油量が10ml/100g以上2000ml/100g以下の微粒子であることを特徴とする請求項8から12のいずれかに記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法。
  14. 無機多孔質体(c)の数平均粒子径が0.1μm以上100μm以下であって、少なくとも70%の粒子の真球度が0.5〜1の範囲の球状粒子であることを特徴とする請求項10から13のいずれかに記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法。
  15. レーザー彫刻印刷版表面が、該表面に表面エネルギー30mN/mの指示液(和光純薬工業社製、商標「ぬれ張力試験用混合液No.30.0」)を1液滴(20μリットル)滴下し、30秒後に前記液滴が広がった部分の最大径を測定した場合に、該液滴の径が4mm以上20mm以下である濡れ特性を有することを特徴とする請求項1から16のいずれかに記載の方法で表面処理されたレーザー彫刻印刷版。
JP2004018471A 2004-01-27 2004-01-27 表面処理されたレーザー彫刻印刷版の製造方法 Pending JP2005212144A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004018471A JP2005212144A (ja) 2004-01-27 2004-01-27 表面処理されたレーザー彫刻印刷版の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004018471A JP2005212144A (ja) 2004-01-27 2004-01-27 表面処理されたレーザー彫刻印刷版の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005212144A true JP2005212144A (ja) 2005-08-11

Family

ID=34902981

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004018471A Pending JP2005212144A (ja) 2004-01-27 2004-01-27 表面処理されたレーザー彫刻印刷版の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005212144A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008126606A1 (ja) 2007-03-20 2008-10-23 Asahi Kasei E-Materials Corporation 凹凸形状を持つ感光性樹脂版および凸版印刷版の製造方法、ならびに当該製造方法に用いる版面用処理液
WO2009102035A1 (ja) 2008-02-15 2009-08-20 Asahi Kasei E-Materials Corporation 樹脂組成物
JP2010184276A (ja) * 2009-02-13 2010-08-26 Seiko Instruments Inc 透明材料加工装置
EP2468505A1 (en) * 2009-08-19 2012-06-27 FUJIFILM Corporation Method for producing relief printing plate and rinsing liquid for production of relief printing plate
JP6919842B1 (ja) * 2020-01-07 2021-08-18 東洋紡株式会社 レーザー彫刻可能なフレキソ印刷原版

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11282152A (ja) * 1998-03-31 1999-10-15 Dainippon Printing Co Ltd 平版印刷版および平版印刷版の作製方法
WO2004000571A1 (ja) * 2002-06-25 2003-12-31 Asahi Kasei Chemicals Corporation レーザー彫刻可能な印刷原版用の感光性樹脂組成物

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11282152A (ja) * 1998-03-31 1999-10-15 Dainippon Printing Co Ltd 平版印刷版および平版印刷版の作製方法
WO2004000571A1 (ja) * 2002-06-25 2003-12-31 Asahi Kasei Chemicals Corporation レーザー彫刻可能な印刷原版用の感光性樹脂組成物

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008126606A1 (ja) 2007-03-20 2008-10-23 Asahi Kasei E-Materials Corporation 凹凸形状を持つ感光性樹脂版および凸版印刷版の製造方法、ならびに当該製造方法に用いる版面用処理液
US8632956B2 (en) 2007-03-20 2014-01-21 Asahi Kasei E-Materials Corporation Process for producing photosensitive resin plate and relief printing plate having recessed and projected pattern, and plate surface treating liquid used in the process
WO2009102035A1 (ja) 2008-02-15 2009-08-20 Asahi Kasei E-Materials Corporation 樹脂組成物
JP2010184276A (ja) * 2009-02-13 2010-08-26 Seiko Instruments Inc 透明材料加工装置
EP2468505A1 (en) * 2009-08-19 2012-06-27 FUJIFILM Corporation Method for producing relief printing plate and rinsing liquid for production of relief printing plate
EP2468505A4 (en) * 2009-08-19 2014-07-09 Fujifilm Corp METHOD FOR PRODUCING A RELIEF PRESSURE PLATE AND RINSING LIQUID FOR PRODUCING THE RELIEF PRESSURE PLATE
JP6919842B1 (ja) * 2020-01-07 2021-08-18 東洋紡株式会社 レーザー彫刻可能なフレキソ印刷原版
CN114929486A (zh) * 2020-01-07 2022-08-19 东洋纺株式会社 能激光雕刻的柔性印刷原版
CN114929486B (zh) * 2020-01-07 2023-12-15 东洋纺Mc株式会社 能激光雕刻的柔性印刷原版

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4789275B2 (ja) レーザー彫刻可能な印刷基材用感光性樹脂組成物
JP4493600B2 (ja) レーザー彫刻可能な印刷基材の製造方法
JP4475505B2 (ja) レーザー彫刻可能な円筒状印刷原版
JPWO2003022594A1 (ja) レーザー彫刻可能な印刷原版用感光性樹脂組成物
JP2007185917A (ja) フレキソ印刷用印刷版の製造方法
JP2006248191A (ja) シート状あるいは円筒状の樹脂製印刷基材の製造方法
JP4024136B2 (ja) レーザー彫刻印刷原版
JP4323186B2 (ja) レーザー彫刻可能な円筒状フレキソ印刷原版
JP4425551B2 (ja) レーザー彫刻可能な印刷原版用感光性樹脂組成物
JP4502367B2 (ja) レーザー彫刻可能な円筒状フレキソ印刷原版の製造方法
JP2006069120A (ja) 電子回路あるいは光学部材の製造方法
JP2005212144A (ja) 表面処理されたレーザー彫刻印刷版の製造方法
JP5240968B2 (ja) レーザー彫刻印刷版または印刷原版の再生方法
JP4220272B2 (ja) レーザー彫刻印刷版の製造方法
JP4226300B2 (ja) フレキソ印刷版の製造方法
JP4375705B2 (ja) レーザー彫刻印刷原版
JP4180314B2 (ja) 印刷版の製造方法
JP4391260B2 (ja) 周長調整層を有する円筒状印刷原版
JP4220221B2 (ja) フレキソ印刷原版の作製方法
JP4024135B2 (ja) レーザー彫刻印刷版
JP2010064281A (ja) シート状印刷原版、シート状印刷版および、印刷原版もしくは印刷版の装着方法
JP2005219378A (ja) 円筒状印刷原版
JP2009297981A (ja) レーザー彫刻可能な印刷原版
JP2004314334A (ja) レーザー彫刻印刷原版の製造方法
JP2007268745A (ja) 印刷基材用積層体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070115

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20090401

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100202

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100331

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100608

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20101109