JP4064789B2 - レーザー彫刻印刷原版の作製方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【本発明の属する技術分野】
本発明は、レーザー彫刻によるフレキソ印刷版用レリーフ画像作成、エンボス加工等の表面加工用パターンの形成、タイル等の印刷用レリーフ画像形成に適したレーザー彫刻印刷原版およびその製作方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
段ボール、紙器、紙袋、軟包装用フィルムなどの包装材、壁紙、化粧板などの建装材、ラベル印刷などに用いられるフレキソ印刷は各種の印刷方式の中でその比重を高めている。これに用いる印刷版の製作には、通常、感光性樹脂が用いられることが多く、液状の樹脂、又はシート状に成形された固体樹脂板を用い、フォトマスクを感光性樹脂上に置き、マスクを通して光を照射し架橋反応を起こさせた後、非架橋部分を現像液で洗い落とすという方法が用いられてきた。近年、感光性樹脂表面にブラックレーヤーという薄い光吸収層を設け、これにレーザー光を照射し感光性樹脂板上に直接マスク画像を形成後、そのマスクを通して光を照射し架橋反応を起こさせた後、光の非照射部分の非架橋部分を現像液で洗い落とす、いわゆるフレキソCTPという技術が開発され、印刷版製作の効率改善効果から、採用が進みつつある。この方法では通常、ブラックレーヤーにはカーボンブラックが含有されたものが用いられている。また、特開2000−56447号公報では感光性樹脂層の上に形成した薄い変色層を赤外線レーザーを用いて黒色に着色させ、その後の露光工程において露光マスクとして使用することが記載されている。この赤外線レーザーを用いて着色させる方法では、赤外線レーザー照射部下部の感光性樹脂層表面を少なからず加熱するため、表面近傍が若干硬化し感光性樹脂の感度が変わったり、未硬化の感光性樹脂が流動化することが問題となる。また、着色された部分は光透過を遮断する目的のために使用されるものであって、赤外線レーザーあるいは近赤外線レーザーを用いて除去されるものではない。
【0003】
しかしながら、これらの技術も現像工程が残るなど、効率改善効果も限られたものであり、レーザーを使って直接印刷原版上にレリーフ画像を形成し、しかも現像不要である技術の開発が求められている。この場合、レーザー光が照射された部分が除去され凹部を形成する。
その方法として直接レーザーで印刷原版を彫刻する方法が挙げられる。この方法で凸版印刷版やスタンプを作成することは既に行なわれており、それに用いられる材料も知られている。
【0004】
特開2001−121833号公報(欧州特許公開1080883号公報)には、シリコーンゴムを用い、その中にレーザー光線の吸収体としてカーボンブラックを混合する記載があるが、感光性樹脂を用いたものではなく、シート状に成形する前にレーザー光線の吸収体を混合するプロセスで作製される。架橋されたゴムから形成されている印刷原版は、レーザー光線の照射により溶融あるいは分解し難いため彫刻速度が遅く、彫刻カスが焼きつきを起こしてその除去が難しくなるなどの問題点を有する。
【0005】
他方、日本国特許2846954号、2846955号(米国特許第5798202号、第5804353号)にはSBS、SIS、SEBS等の熱可塑性エラストマーを機械的、光化学的、熱化学的に強化された材料を用いることが開示されている。熱可塑性エラストマーを用いる場合、近赤外線あるいは赤外線領域の発振波長を有するレーザーを用いて彫刻を実施すると、熱によりレーザー光のビーム径の寸法を大きく逸脱した部分の樹脂までが溶融するため、高解像度の彫刻パターンを形成することができない。そのため、熱可塑性エラストマー層に充填剤を添加することにより機械的に強化を図ることが必須とされている。前記特許では、熱可塑性エラストマー層の機械的強化とレーザー光の吸収性向上を目的として、特に機械的強化効果の極めて高いカーボンブラックが多量に混合されている。
【0006】
近赤外線領域に発振波長を有するレーザー光を用いて印刷原版を彫刻する場合、殆どの樹脂はこの波長領域に光吸収を有しないため、レーザー光を吸収する物質が印刷原版中に含有されていることが必須となる。一般的には黒色のカーボンブラック、色素などを樹脂中に混合し、その後シート状に成形する方法が取られる。しかしこの方法では、カーボンブラックあるいは色素が紫外線あるいは可視光領域に光吸収を有するため、感光性樹脂組成物を紫外線領域あるいは可視光領域の光を用いて光硬化させ機械的強度を確保する場合には、版内部の硬化が不十分となる大きな問題があった。すなわち、光硬化が不十分である印刷原版をレーザー彫刻した場合、除去し難しいカス(液状の粘稠物を含む)が大量に発生し、その処理に多大な時間を要するばかりでなく、レリーフに融解によるエッジ部の盛り上がり、あるいはエッジ部に固体状カスの融着を生じたり、網点の形状が崩れるなどの難点を生じる。また、一般的に有害とされているカーボンブラックが大気中に大量に放出される問題点もあった。
【0007】
また、レーザー彫刻の際に樹脂の分解生成物であると推定される粘稠性液状カスが多量に発生すると、レーザー装置の光学系を汚すばかりでなく、レンズ、ミラー等の光学部品の表面に付着した液状樹脂が焼きつきを発生させ、装置上のトラブルの大きな要因となる。
近赤外線領域に光吸収があり、紫外線領域に光吸収の少ない色素も極一部存在し、このような色素であればシート状あるいは円筒状の印刷原版に成形する前に感光性樹脂組成物に色素を混合する方法を採ることも可能であるが、色素が極めて高価なため印刷版用途では使用し難い状況にある。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−56447号公報
【特許文献2】
特開2001−121833号公報
【特許文献3】
特許2846954号
【特許文献4】
特許2846955号
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
直接レーザー彫刻してレリーフ画像を制作する際のカスの発生を抑制し、そのカスを容易に除去できるばかりででなく、彫刻の形状が優れ、印刷面のタックが小さい印刷版を製作しうるレーザー彫刻可能な、特に近赤外線レーザーを用いたレーザー彫刻に適した、印刷原版の提供。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討し、感光性樹脂組成物を光硬化させ形成したシート状あるいは円筒状樹脂版を加熱処理し、該樹脂版中に金属微粒子を析出させることにより着色させ、彫刻に用いるレーザー光の波長領域に光吸収特性を有する印刷原版を作製することができることを見出し、本発明を完成するに至った。感光性樹脂組成物を光架橋硬化させてレーザー彫刻印刷原版を形成する場合、感光性樹脂組成物に彫刻に用いるレーザー光の波長領域に光吸収を有する色素、顔料を混合することが一般的であるが、殆どの色素、顔料は光架橋硬化に用いる光線の波長、すなわち紫外部あるいは可視部にも光吸収を有するため、光線が樹脂層内部にまで透過せず樹脂層内部の硬化性が不充分であるという致命的な問題があった。本発明において形成した印刷原版は、感光性樹脂組成物を光架橋硬化させてシート状あるいは円筒状に成形する工程では、前記金属微粒子が樹脂版中に存在しないために光架橋硬化反応の過程で樹脂版内部まで充分に硬化させることができ、その後彫刻に用いるレーザー光の波長領域に光吸収を有する金属微粒子を加熱処理により析出させるという、これまでのレーザー彫刻印刷原版の作製方法と全く異なる画期的な方法を見出した。
【0011】
本発明は下記の通りである。
1. 樹脂を光硬化させてシート状あるいは円筒状の樹脂版に成形しレーザー彫刻可能な層を作製する工程、成形した樹脂版を加熱し金属微粒子を析出させ着色する工程を含むことを特徴とするレーザー彫刻印刷原版の作製方法。
2. 前記金属微粒子の平均粒子径が、10μm以下であることを特徴とする1.に記載のレーザー彫刻印刷原版の作製方法。
3. 前記金属微粒子が、貴金属類であることを特徴とする1.又は2.に記載のレーザー彫刻印刷原版の作製方法。
【0012】
4. 前記樹脂が、感光性樹脂組成物であって、該感光性樹脂組成物が、数平均分子量1000から50万の樹脂(a)、数平均分子量1000未満の重合性不飽和基を有する有機化合物(b)、比表面積が10m 2 /g以上1500m 2 /g以下であり、平均細孔径が1nm以上1000nm以下、細孔容積が0.1ml/g以上10ml/g以下、かつ吸油量が10ml/100g以上2000ml/100g以下である無機多孔質体(c)、ハロゲン化銀(d)、有機銀塩化合物(e)、および還元剤(f)を含有することを特徴とする1.に記載のレーザー彫刻印刷原版の作製方法。
5. 前記無機多孔質体(c)の数平均粒子径が0.1μm以上100μm以下、粒子の70%以上が真球度0.5から1.0の球状粒子であることを特徴とする4.に記載のレーザー彫刻印刷原版の作製方法。
6. 前記有機化合物(b)の全体量の20wt%以上が脂環族、芳香族の少なくとも1種類以上の誘導体であることを特徴とする4.に記載のレーザー彫刻印刷原版の作製方法。
【0013】
7. 前記有機銀塩化合物(e)が、脂肪族カルボン酸銀、あるいは含フッ素カルボン酸銀であることを特徴とする4.に記載のレーザー彫刻印刷原版の作製方法。
8. 数平均分子量1000から50万の樹脂(a)、数平均分子量1000未満の重合性不飽和基を有する有機化合物(b)、比表面積が10m2/g以上1500m2/g以下であり、平均細孔径が1nm以上1000nm以下、細孔容積が0.1ml/g以上10ml/g以下、かつ吸油量が10ml/100g以上2000ml/100g以下である無機多孔質体(c)、ハロゲン化銀(d)、有機銀塩化合物(e)、および還元剤(f)を含有することを特徴とするレーザー彫刻印刷原版用材料。
9. 8.に記載のレーザー彫刻印刷原版用材料を光硬化して得られるレーザー彫刻印刷原版。
10. レーザー彫刻印刷原版に垂直な方向から光を透過させて測定した光線透過率が、彫刻に用いるレーザー光の波長において5%以下であることを特徴とする9.に記載のレーザー彫刻印刷原版。
11. 9.又は10.に記載のレーザー彫刻印刷原版の下部に、ショアA硬度が20以上70以下の一定厚さのエラストマー層を少なくとも1層有することを特徴とする多層レーザー彫刻印刷原版。
12. エラストマー層が、感光性樹脂組成物を硬化して形成されることを特徴とする11.に記載の多層レーザー彫刻印刷原版。
13. 8.に記載のレーザー彫刻印刷原版用材料を光硬化するレーザー彫刻印刷原版の製造方法。
14. 8.に記載のレーザー彫刻印刷原版用材料を光硬化した後、加熱することを特徴とするレーザー彫刻印刷原版の製造方法。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、さらに詳細に本発明の好ましい実施態様を説明する。
本発明の印刷原版は、レーザー光を用いて彫刻可能なシート状あるいは円筒状の印刷原版である。レーザー光が照射された部分が除去され凹部が形成される。
本発明では、感光性樹脂組成物を光硬化させてシート状あるいは円筒状に加工し、その後該樹脂硬化物を加熱処理することにより金属微粒子を析出させ着色し、彫刻用レーザー光の波長領域に光吸収を有する印刷原版を作製する。樹脂版を形成する多くの樹脂の光吸収が少ない近赤外線領域、すなわち波長700nmから2μmの領域に発振波長を有するレーザー光を用いて彫刻する場合に、特に有効である。例えば、波長700nmから2μmの近赤外線領域に発振波長を有するレーザーとしては、半導体レーザー、YAGレーザー、ファイバーレーザー、面発光レーザー等を挙げることができる。近赤外線領域のレーザー光は、ビームを波長の倍程度の大きさまで絞ることができるため、高精細な印刷版を作製するツールとして極めて重要である。本発明では、金属微粒子析出処理前の版を樹脂版、析出後の版を印刷原版、レーザー彫刻後の版を印刷版と用語を定義し区別して説明する。
【0015】
析出させる金属は特に限定しないが、銀、銅、金、白金、ニッケル、パラジウム、ロジウム、クロム等を挙げることができる。その中でも還元のし易さ、材料の入手のし易さから貴金属類が好ましく、特に銀が好ましい元素である。
金属微粒子、特に銀微粒子を析出させる方法として、古くから乾式銀塩写真の分野で通常用いられている方法を適用することができる。銀微粒子を析出させる場合に用いる基本的な化合物の構成は、感光性を有するハロゲン化銀(d)、有機銀塩化合物(e)、還元剤(f)である。金属微粒子の析出原理は、大きく三つの工程に分解できる。即ち、紫外線等の光が照射されることによりハロゲン化銀結晶の表面に銀超微粒子の潜在核が形成される工程、100〜150℃で加熱処理することにより形成された潜在核が触媒核の役割を果たし有機銀塩化合物を還元し銀微粒子が形成される工程、更に形成された銀微粒子が成長する工程である。
【0016】
ハロゲン化銀(d)としては、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀を挙げることができ、これらの単独あるいは混合物を用いることができる。また、これらをあらかじめ調整後混合する方法、感光性樹脂組成物調整時に有機銀塩化合物にハロゲンイオン源を混合して作製する方法、いずれでも構わない。用いるハロゲン化銀の平均粒子径は5μm以下が好ましく、より好ましくは1μm以下である。使用するハロゲン化銀(d)の量は、有機銀塩化合物(e)に対して0.1から40wt%の範囲が好ましい。
【0017】
また、有機銀塩化合物(e)として特に限定するものではないが、酢酸銀、クエン酸銀等のカルボン酸の銀塩、ベヘン酸銀、ステアリン酸銀等の炭素数5から25の長鎖脂肪酸の銀塩、トリフルオロ酢酸銀、ペンタフルオロプロピオン酸銀等のフッ素を含有した脂肪族カルボン酸銀、フッ素を含有した脂肪族カルボン酸銀のフッ素の一部を塩素に置換されている脂肪族カルボン酸銀、スルホン酸やスルフィン酸の銀化合物、テノイルトリフルオロアセトン等のフッ素を含むキレート化合物から形成される銀キレート化合物、チオカルバミン酸銀、ベンゾトリアゾール銀、サッカリン酸銀などの含窒素化合物の銀塩等を挙げることができる。ベヘン酸銀、ステアリン酸銀等の長鎖脂肪酸の銀塩あるいは含フッ素カルボン酸の銀塩が分散のし易さ、安定性の観点から特に好ましい。有機銀塩化合物(e)の使用量は、感光性樹脂組成物を形成する成分(a)、(b)、(c)の全重量に対し、0.1から10wt%が好ましく、より好ましくは0.5から5wt%の範囲である。
【0018】
還元剤(f)としては、水酸基の結合する炭素に隣接する炭素に立体的にかさ高い基が結合し、水酸基を立体的に阻害している阻害フェノール類が好ましい。具体例としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2‘−メチレンビス−(4−メチル−4−t−ブチルフェノール)、2,2‘−メチレンビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,4,4−トリメチルペンチルビス−(8−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−メタン、2,5−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェノール等を挙げることができる。また、ハイドロキノン、2,5−ジメチルヒドロキノン、クロロヒドロキノン、メチルヒドロキシナフタレン、カテコール、フェニレンジアミン、p−アミノフェノール、ヒンダードフェノール系化合物、p−メトキシフェノール、ビスフェノールA、2,4−ジヒドロキシ安息香酸なども使用することができる。還元剤の使用量は、有機銀塩化合物(e)に対して0.1から200wt%が好ましく、より好ましくは1から100wt%の範囲である。
【0019】
その他、材料の性能を高めることができる様々な添加物を導入することができる。例えば、銀微粒子の析出を制御する調色剤、増感剤などである。
調色剤の役割は、加熱処理時に有機銀塩化合物からの銀イオンの供給を促進し、銀微粒子の生成を加速して黒色調の印刷原版を形成させることにある。具体例としては、1,2,3−ベンゾトリアジン−4−オン、3−アセチル−1,2,3−ベンゾトリアジン−4−オン、3−ベンゾイル−1,2,3−ベンゾトリアジン−4−オン、6−クロロ−1,2,3−ベンゾトリアジン−4−オン、7−クロロ−1,2,3−ベンゾトリアジン−4−オン、5,8−ジクロロ−1,2,3−ベンゾトリアジン−4−オン、6,8−ジブロモ−1,2,3−ベンゾトリアジン−4−オン、7−メトキシ−1,2,3−ベンゾトリアジン−4−オン、6,7,8−トリメトキシ−1,2,3−ベンゾトリアジン−4−オン、6,7−ジエトキシ−1,2,3−ベンゾトリアジン−4−オン、6−メチル−1,2,3−ベンゾトリアジン−4−オン、6−メチル−1,2,3−ベンゾトリアジン−4−オン、7−プロピル−1,2,3−ベンゾトリアジン−4−オン、8−メチル−1,2,3−ベンゾトリアジン−4−オン、8−クロロ−1,2,3−ベンゾトリアジン−4−オン、ベンゼンスルフォンアミド、o−トルエンスルフォンアミド、p−トルエンスルフォンアミド、メシチレンスルフォンアミド、p−クロロベンゼンスルフォンアミド、p−ブロモベンゼンスルフォンアミド、p−ニトロベンゼンスルフォンアミド、m−ニトロベンゼンスルフォンアミド、p−ジメチルアミノベンゼンスルフォンアミド、p−アミノベンゼンスルフォンアミド、p−ヒドロキシベンゼンスルフォンアミド、p−アセトキシベンゼンスルフォンアミド、o−カルボキシベンゼンスルフォンアミド、p−アセチルベンゼンスルフォンアミド、p−メトキシベンゼンスルフォンアミド、1,6−ベンゼンジスルフォンアミド、p−ブチルベンゼンスルフォンアミド、2,5−ジクロロベンゼンスルフォンアミド、α−ナフタレンスルフォンアミド、β−ナフタレンスルフォンアミド、ナフタレン−1,5−ジスルフォンアミド、5−ヒドロキシナフタレンスルフォンアミド、メタンスルフォンアミド、エタンスルフォンアミド、プロパンスルフォンアミド、イソプロパンスルフォンアミド、ペンタンスルフォンアミド、ヘプタンスルフォンアミド、ドデカンスルフォンアミド、オクタデカンスルフォンアミド、シクロペンタンスルフォンアミド、シクロヘキサンスルフォンアミド、フェニルメタンスルフォンアミド、フェニルエタンスルフォンアミド、フタラゾン、酢酸亜鉛などを挙げることができる。調色剤の使用量は、有機銀塩化合物(e)に対して0.05から200wt%の範囲が好ましい。
【0020】
金属微粒子を析出させた印刷原版に垂直方向から光を透過させて測定した光線透過率が、彫刻に用いるレーザー光の波長において5%以下が好ましく、より好ましくは1%以下である。光線透過率が5%以下であれば、レーザー光を吸収することにより樹脂を溶融あるいは分解し彫刻することが可能である。
本発明において樹脂硬化物中に析出させる金属微粒子の平均粒子径は、10μm以下が好ましく、より好ましくは1μm以下、更に好ましくは0.5μm以下である。平均粒子径が10μm以下であれば、微細なパターンの彫刻が可能となる。樹脂硬化物中に析出させた金属の粒子径は、樹脂を焼き飛ばすことにより無機系充填物のみとし、電子顕微鏡およびそれに付随する元素分析装置を用いて評価できる。この場合、金属が燒結、融解しない温度に設定し、樹脂を除去する必要がある。元素分析装置を用いるのは、無機系充填物中の金属微粒子を同定し、特定の元素に注目して面分析するためである。元素分析装置としては、電子線を照射し放出される特定X線を分析するエネルギー分散型X線分析装置(EDS)、電子プローブマイクロアナリシス(EPMA)、電子線を照射し放出されるオージェ電子のエネルギーを測定するオージェ電子分光法(AES)、X線を照射し放出される電子のエネルギーを測定するX線電子分光法(XPS)等を挙げることができる。
【0021】
樹脂版を構成する樹脂組成物は、加工の容易性の観点から感光性樹脂組成物を光架橋させたものが望ましい。また、彫刻速度を高めるためには、分解し易いあるいは溶融し易い感光性樹脂組成物が好ましい。感光性樹脂組成物を光架橋させる方法としては200nmから600nmの範囲の紫外線あるいは可視光線を照射する方法あるいは電子線を照射する方法が好ましい。光を照射する方法では、200nmから450nmの紫外線領域の光を用いることがより好ましい。200nmから600nmの範囲の光を用いることにより、樹脂を分解させることなく充分に架橋させることができ、市販の光重合開始剤を使用することが可能である。
【0022】
以下に本発明で用いる感光性樹脂組成物について詳しく説明する。
樹脂(a)の数平均分子量は、1000から50万の範囲が好ましい。より好ましい範囲としては、5000から10万である。数平均分子量が1000から50万の範囲であれば、印刷原版の機械的強度を確保することができ、レーザー彫刻時、樹脂を充分に溶融あるいは分解させることができる。本発明の数平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定し、分子量既知のポリスチレン標品に対して評価したものである。
【0023】
樹脂(a)の種類としては、エラストマー性樹脂であっても非エラストマー性樹脂であっても構わないし、20℃において固体状樹脂であてっても液状樹脂であっても構わない。また、熱可塑性樹脂を用いる場合、樹脂(a)全重量に対し、好ましくは30wt%以上、より好ましくは50wt%以上、更に好ましくは70wt%以上である。熱可塑性樹脂の含有率が30wt%以上であれば、レーザー光線照射により樹脂が充分に流動化するため、後述する無機多孔質体に吸収される。ただし、軟化温度が350℃を越える樹脂を用いる場合、シート状あるいは円筒状に成形する温度も当然高くなるため、他の有機物が熱で変性、分解することが懸念されるため、軟化温度が350℃を越えて高い樹脂に関しては、溶剤可溶性樹脂を溶剤に溶かした状態で塗布し使用しても構わない。
【0024】
本発明の技術的特徴は、レーザー光線の照射により液状化したカスを、無機多孔質体を用いて吸収除去することにあるため、液状化し易い樹脂や分解し易い樹脂が好ましい。分解し易い樹脂としては、分子鎖中に分解し易いモノマー単位としてスチレン、α−メチルスチレン、α−メトキシスチレン、アクリルエステル類、メタクリルエステル類、エステル化合物類、エーテル化合物類、ニトロ化合物類、カーボネート化合物類、オキシエチレン化合物類、脂肪族環状化合物類等が含まれていることが好ましい。特にポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラエチレングリコール等のポリエーテル類、脂肪族ポリカーボネート類、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ニトロセルロース、ポリオキシエチレン、ポリノルボルネン、ポリシクロヘキサジエン水添物、あるいは分岐構造の多いデンドリマー等の樹脂は、分解し易いものの代表例である。また、分子鎖中に酸素原子を多数含有する樹脂が分解性の観点から好ましい。樹脂の分解し易さを測る指標として、空気下において熱重量分析法を用いて測定した重量減少率がある。本発明で用いる樹脂(a)の重量減少率は、500℃において50wt%以上であることが好ましい。50wt%以上であれば、レーザー光線の照射により樹脂を充分に分解させることができる。
【0025】
本発明で用いる熱可塑性エラストマーとして特に限定するものではないが、スチレン系熱可塑性エラストマーであるSBS(ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン)、SIS(ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン)、SEBS(ポリスチレン−ポリエチレン/ポリブチレン−ポリスチレン)等、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー、シリコーン系熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。熱可塑性エラストマーは加熱することにより流動化するため、本発明で用いる無機多孔質体(c)と混合することが可能となる。熱可塑性エラストマーとは、加熱することにより流動し通常の熱可塑性プラスチック同様成形加工ができ、常温ではゴム弾性を示す材料である。分子構造としては、ポリエーテルあるいはゴム分子のようなソフトセグメントと、常温付近では加硫ゴムと同じく塑性変形を防止するハードセグメントからなり、ハードセグメントとしては凍結相、結晶相、水素結合、イオン架橋など種々のタイプが存在する。
【0026】
印刷版の用途により、熱可塑性エラストマーの種類を選択できる。例えば、耐溶剤性が要求される分野では、ウレタン系、エステル系、アミド系、フッ素系熱可塑性エラストマーが好ましく、耐熱性が要求される分野では、ウレタン系、オレフィン系、エステル系、フッ素系熱可塑性エラストマーが好ましい。また、熱可塑性エラストマーの種類により、硬度を大きく変えることができる。通常の印刷版での用途では、ショアA硬度が20〜75度の領域、紙、フィルム、建築材料の表面凹凸パターンを形成するエンボス加工の用途では、比較的硬い材料が必要であり、ショアD硬度で、30〜80度の領域である。
【0027】
本発明で用いる熱可塑性樹脂において非エラストマー性のものとして、特に限定するものではないが、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリイイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、全芳香族ポリエステル樹脂等を挙げることができる。
熱可塑性樹脂の軟化温度は、50℃以上500℃以下が好ましく、より好ましくは80℃以上350℃以下、更に好ましい範囲は100℃以上250℃以下である。軟化温度が50℃以上であれば常温で固体として取り扱うことができ、シート状あるいは円筒状に加工したものを変形させずに取り扱うことができる。また軟化温度が500℃以下である場合、シート状あるいは円筒状に加工する際に極めて高い温度に加熱する必要がなく、混合する他の化合物を変質、分解させずに済む。本発明の軟化温度の測定は、動的粘弾性測定装置を用い、室温から温度を上昇していった場合、粘性率が大きく変化する(粘性率曲線の傾きが変化する)最初の温度で定義する。
【0028】
また、本発明にいう樹脂(a)としては溶剤可溶性樹脂であっても構わない。具体的には、ポリスルホン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、ノボラック樹脂、アルキッド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂等を挙げることができる。
樹脂(a)は、通常反応性の高い重合性不飽和基を持たないものが多いが、分子鎖の末端あるいは側鎖に反応性の高い重合性不飽和基を有していても構わない。反応性の高い重合性不飽和基を有する樹脂(a)を用いた場合、極めて機械的強度の高い印刷原版を作製することができる。特にポリウレタン系、ポリエステル系熱可塑性エラストマーでは、比較的簡単に分子内に反応性の高い重合性不飽和基を導入することが可能である。ここで言う分子内とは高分子主鎖の末端、高分子側鎖の末端や高分子主鎖中や側鎖中に直接、重合性不飽和基が付いている場合なども含まれる。例えば直接、重合性の不飽和基をその分子末端に導入したものを用いても良いが、別法として、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、ケトン基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、環状カーボネート基、エステル基などの反応性基を複数有する数千程度の分子量の上記成分の反応性基と結合しうる基を複数有する結合剤(例えば水酸基やアミノ基の場合のポリイソシアネートなど)を反応させ、分子量の調節、及び末端の結合性基への変換を行った後、この末端結合性基と反応する基と重合性不飽和基を有する有機化合物と反応させて末端に重合性不飽和基を導入する方法などが好適にあげられる。
【0029】
特に、シート状あるいは円筒状樹脂版への加工の容易性の観点から、樹脂(a)として20℃において液状のポリマーを使用することが望ましい。
また、本発明で用いる樹脂(a)は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、側鎖を有するグラフト重合体であっても構わないし、また、複数のポリマーを混合した混合物であっても構わない。
本発明でいう有機化合物(b)は、ラジカル、または付加重合反応に関与する不飽和結合を有した化合物が好ましく、樹脂(a)との希釈のし易さを考慮すると数平均分子量は1000以下が好ましい。有機化合物(b)は例えば、エチレン、プロピレン、スチレン、ジビニルベンゼン等のオレフィン類、アセチレン類、(メタ)アクリル酸及びその誘導体、ハロオレフィン類、アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類、(メタ)アクリルアミド及びその誘導体、アリルアルコール、アリルイソシアネート等のアリル化合物、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸及びその誘導体、酢酸ビニル類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、シアネートエステル類等があげられるが、その種類の豊富さ、価格等の観点から(メタ)アクリル酸及びその誘導体が好ましい例である。
【0030】
該誘導体は、シクロアルキル−、ビシクロアルキル−、シクロアルケン−、ビシクロアルケン−などの脂環族、ベンジル−、フェニル−、フェノキシ−などの芳香族、アルキル−、ハロゲン化アルキル−、アルコキシアルキル−、ヒドロキシアルキル−、アミノアルキル−、テトラヒドロフルフリル−、アリル−、グリシジル−、アルキレングリコール−、ポリオキシアルキレングリコール−、(アルキル/アリルオキシ)ポリアルキレングリコール−やトリメチロールプロパン等の多価アルコールのエステルなどがあげられる。
【0031】
本発明において、これら重合性の不飽和結合を有する有機化合物(b)はその目的に応じて1種若しくは2種以上のものを選択できる。例えば印刷版として用いる場合、印刷インキの溶剤であるアルコールやエステル等の有機溶剤に対する膨潤を押さえるために用いる有機化合物として長鎖脂肪族、脂環族または芳香族の誘導体を少なくとも1種類以上含有することが好ましい。
本発明の印刷原版の機械強度を高めるためには、有機化合物(b)としては脂環族または芳香族の誘導体を少なくとも1種類以上含有することが好ましく、この場合、有機化合物(b)の全体量の20wt%以上であることが好ましく、更に好ましくは50wt%以上である。
【0032】
印刷版の反撥弾性を高めるため例えば特開平7−239548号に記載されているようなメタクリルモノマーを使用するとか、公知の印刷用感光性樹脂の技術知見等を利用して選択することができる。
本発明でいう無機多孔質体(c)とは、粒子中に微小細孔を有する、あるいは微小な空隙を有する無機粒子であり、レーザー彫刻において多量に発生する粘稠性の液状カスを吸収除去するための添加剤であり、版面のタック防止効果も有する。本発明の無機多孔質体は粘稠な液状カスの除去を最大の目的として添加するものであり、数平均粒子径、比表面積、平均細孔径、細孔容積、灼熱減量がその性能に大きく影響する。
【0033】
本発明ではレーザー照射により切断され易い樹脂を採用し、それ故分子の切断時に多量に低分子のモノマー、オリゴマー類が発生するため、この粘稠性の液状カスを無機多孔質体を用いて行うという、これまでの技術思想に全くない新しい概念を導入していることに最大の特徴がある。したがって、前述した通り粘稠性液状カスの除去に用いる多孔質シリカを含む無機多孔質体の数平均粒子径、比表面積、平均細孔径、細孔容積、灼熱減量、給油量等の物性が極めて重要な要素となる。
【0034】
無機多孔質体(c)は数平均粒径が0.1〜100μmであることが好ましい。この数平均粒径の範囲より小さいものを用いた場合、本発明の樹脂組成物より得られる原版をレーザーで彫刻する際に粉塵が舞いやすく、樹脂(a)及び有機化合物(b)との混合を行う際に粘度の上昇をひきおこしやすい。他方、上記数平均粒径の範囲より大きなものを用いた場合、レーザー彫刻した際レリーフ画像に欠損が生じやすい。より好ましい平均粒子径の範囲は、0.5〜20μmであり、更に好ましい範囲は3〜10μmである。無機多孔質体の平均粒子径は、レーザー散乱式粒子径分布測定装置を用いて測定することができる。
【0035】
無機多孔質体(c)の比表面積の範囲は、10m2/g以上1500m2/g以下が好まし。より好ましい範囲は、100m2/g以上800m2/g以下である。比表面積が10m2/g以上である場合、レーザー彫刻時の液状カスの除去が充分となり、また、1500m2/g以下であれば、感光性樹脂組成物の粘度上昇を抑え、また、チキソトロピー性を抑えることができる。本発明にいう比表面積は、−196℃における窒素の吸着等温線からBET式に基づいて求められる。
【0036】
無機多孔質体(c)の平均細孔径は、レーザー彫刻時に発生する液状カスの吸収量に極めて大きく影響を及ぼす。平均細孔径の好ましい範囲は、1nm以上1000nm以下、より好ましくは2nm以上200nm以下、更に好ましくは2nm以上50nm以下である。本発明にいうの平均細孔径は、窒素吸着法を用いて測定した値である。平均細孔径が2〜50nmのものは特にメソ孔と呼ばれ、メソ孔を有する多孔質粒子が液状カスを吸収する能力が極めて高い。本発明の細孔径分布は、−196℃における窒素の吸着等温線から求められる。
【0037】
無機多孔質体(c)の細孔容積は、0.1ml/g以上10ml/g以下が好ましく、より好ましくは0.2ml/g以上5ml/g以下である。細孔容積が0.1m/g以上の場合、粘稠性液状カスの吸収量は十分であり、また10ml/g以下の場合、粒子の機械的強度を確保することができる。本発明において細孔容積の測定には、窒素吸着法を用いる。細孔容積は、−196℃における窒素の吸着等温線から求められる。
【0038】
本発明において液状カス吸着量を評価する指標として、吸油量がある。これは、無機多孔質体100gが吸収する油の量で定義する。本発明で用いる無機多孔質体の吸油量の好ましい範囲は、10ml/100g以上2000ml/100g以下、より好ましくは50ml/100g以上1000ml/100g以下である。吸油量が10ml/100g以上であれば、レーザー彫刻時に発生する液状カスの除去が十分であり、また2000ml/100g以下であれば、無機多孔質体の機械的強度を十分に確保できる。吸油量の測定は、JIS−K5101に準じて行った。
【0039】
無機多孔質体(c)は、特に赤外線波長領域のレーザー光照射により変形あるいは溶融せずに多孔質性を保持することが望ましい。950℃において2時間処理した場合の灼熱減量が、15wt%以下が好ましく、より好ましくは10wt%以下である。
【0040】
本発明で用いる無機多孔質体の粒子形状は特に限定するものではなく、球状、扁平状、針状、無定形、あるいは表面に突起のある粒子などを使用することができる。その中でも、印刷版の耐磨耗性の観点から、特に球状粒子が好ましい。また、粒子の内部が空洞になっている粒子、シリカスポンジ等の均一な細孔径を有する球状顆粒体など使用することも可能である。特に限定するものではないが、例えば、多孔質シリカ、メソポーラスシリカ、シリカ−ジルコニア多孔質ゲル、ポーラスアルミナ、多孔質ガラス等を挙げることができる。また、層状粘土化合物などのように、層間に数nm〜100nmの空隙が存在するものについては、細孔径を定義できないため、本発明においては層間に存在する空隙の間隔を細孔径と定義する。
【0041】
球状粒子を規定する指標として、真球度を定義する。本発明で用いる真球度とは、粒子を投影した場合に投影図形内に完全に入る円の最大値D1の、投影図形が完全に入る円の最小値D2の比(D1/D2)で定義する。真球の場合、真球度は1.0となる。本発明で用いる好ましい球状粒子の真球度は、0.5以上1.0以下、より好ましくは0.7以上1.0以下である。0.5以上であれば、印刷版としての耐磨耗性が良好である。真球度1.0は、真球度の上限値である。球状粒子として、70%以上、より好ましくは90%以上の粒子が、真球度0.5以上であることが望ましい。真球度を測定する方法としては、走査型電子顕微鏡を用いて撮影した写真を基に測定する方法を用いることができる。その際、少なくとも100個以上の粒子がモニター画面に入る倍率において写真撮影を行うことが好ましい。また、写真を基に前記D1およびD2を測定するが、写真をスキャナー等のディジタル化する装置を用いて処理し、その後画像解析ソフトウエアーを用いてデータ処理することが好ましい。
【0042】
また、無機多孔質体の表面をシランカップリング剤、チタンカップリング剤、その他の有機化合物で被覆し表面改質処理を行い、より親水性化あるいは疎水性化した粒子を用いることもできる。
本発明において、これらの無機多孔質体(c)は1種類もしくは2種類以上のものを選択でき、無機多孔質体(c)を添加することによりレーザー彫刻時の液状カスの発生抑制、及びレリーフ印刷版のタック防止等の改良が有効に行われる。
【0043】
本発明者らは、多孔質体の特性を評価する上で、多孔度という新たな概念を導入した。多孔度は、平均粒子径D(単位:μm)と粒子を構成する物質の密度d(単位:g/cm3)から算出される単位重量あたりの表面積Sに対する、比表面積Pの比、すなわちP/Sで定義する。単位重量あたりの表面積Sは、πD2×10-12(単位:m2)であり、粒子の重量は(πD3d/6)×10-12(単位:g)であるので、S=6/(Dd)(単位:m2/g)となる。多孔質粒子が球形でない場合には、注目する粒子が完全に中に入る球を想定し、その球の直径の平均値を平均粒子径Dとして、Sを求める。比表面積Pは、窒素分子を表面に吸着させ測定した値を用いる。
【0044】
粒子径が小さくなればなるほど比表面積Pは大きくなるため、比表面積単独では多孔質体の特性を示す指標としては不適当である。そのため、粒子径を考慮し、無次元化した指標として多孔度を取り入れた。本発明で使用する無機多孔質体(c)の多孔度は、好ましくは20以上、より好ましくは50以上、更に好ましくは100以上である。多孔度が20以上であれば、液状カスの吸着除去に効果がある。
【0045】
例えば、ゴム等の補強剤として広く用いられているカーボンブラックは、比表面積は150m2/gから20m2/gと非常に大きいが、平均粒子径は極めて小さく、通常10nmから100nmの大きさである。カーボンブラックがグラファイト構造を有することは一般的に知られているので、密度をグラファイトの2.25g/cm3として多孔度を算出すると、0.8から1.0の範囲の値となり、粒子内部に多孔構造のない無機質体であると考えられる。一方、本願の実施例で用いている多孔質シリカの多孔度は、500を優に越えた高い値である。
【0046】
本発明で用いる感光性樹脂組成物における樹脂(a)、有機化合物(b)、及び無機多孔質体(c)の割合は、通常、樹脂(a)100重量部に対して、有機化合物(b)は5〜200重量部が好ましく、20〜100重量部の範囲がより好ましい。又、無機多孔質体(c)は1〜50重量部が好ましく、2〜30重量部の範囲がより好ましい。更に好ましい範囲は、2〜20重量部である。無機多孔質体(c)の含有量が50重量部以下であれば、印刷版の耐摩耗性を確保することができる。また、1重量部以上であれば、レーザー彫刻時に発生する液状カスの除去に効果を発揮する。
【0047】
有機化合物(b)の割合が、上記の範囲であれば、得られる印刷版などの硬度と引張強伸度のバランスがとりやすく、架橋硬化の際の収縮が小さく、厚み精度を確保することができる。
また、無機多孔質体(c)の量が上記の範囲であれば、版面のタック防止効果、及びレーザー彫刻した際に、彫刻液状カスの発生を抑制するなどの効果が十分発揮され、印刷版の機械的強度を確保できる。また、透明性が損なわれることなく、また、特にフレキソ版として利用する際には、硬度を適正な範囲にすることができる。光、特に紫外線を用いて感光性樹脂組成物を硬化させレーザー彫刻印刷原版を作製する場合、光線透過性が架橋反応に影響する。したがって、用いる無機多孔質体の屈折率が感光性樹脂組成物の屈折率に近いものを用いることが有効である。
【0048】
感光性樹脂組成物中に無機多孔質体を混合する方法として、熱可塑性樹脂を加熱して流動化させた状態で直接無機多孔質体(c)を添加する方法、あるいは熱可塑性樹脂と光重合性有機化合物(b)を最初に混錬した中に無機多孔質体(c)を添加する方法のいずれでも構わない。ただし、特に分子量の低い光重合性有機物(b)に直接、無機多孔質体(c)を混合する方法は避けることが好ましい。すなわち、この第三の方法を用いた場合、無機多孔質体のカス吸収性能を低下させることがある。この理由は明確ではないが、無機多孔質体粒子中の細孔あるいは空隙に低粘度の有機化合物が侵入し、印刷原版を作製する際の露光工程において、細孔内の重合性有機物(b)が硬化し細孔あるいは空隙を埋めてしまうためではないかと推定している。
【0049】
本発明で用いる感光性樹脂組成物を光もしくは電子線の照射により架橋して印刷版などとしての物性を発現させるが、その際に重合開始剤を添加することができる。重合開始剤は一般に使用されているものから選択でき、例えば高分子学会編「高分子データ・ハンドブック−基礎編」1986年培風館発行、にラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合の開始剤が例示されている。また、光重合開始剤を用いて光重合により架橋を行なうことは、本発明の樹脂組成物の貯蔵安定性を保ちながら、生産性良く印刷原版を生産出来る方法として有用であり、その際に用いる開始剤も公知のものが使用できるが、例えばベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、4‘−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2、2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノンなどのアセトフェノン類;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、フェニルグリオキシル酸メチル、ベンゾフェノン、ベンジル、ジアセチル、ジフェニルスルフィド、エオシン、チオニン、アントラキノン類等の光ラジカル重合開始剤のほか、光を吸収して酸を発生する芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩等の光カチオン重合開始剤あるいは光を吸収して塩基を発生する重合開始剤などが挙げられる。重合開始剤の添加量は通常樹脂(a)と有機化合物(b)の合計量の0.01〜10wt%範囲で用いることが好ましい。
その他、本発明の樹脂組成物には用途や目的に応じて重合禁止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、滑剤、界面活性剤、可塑剤、香料などを添加することができる。
【0050】
本発明のレーザー彫刻可能な印刷原版は、加熱処理により金属微粒子を析出させる化合物を含有した感光性材料を光架橋硬化させて形成し、その後の加熱処理により金属微粒子を樹脂硬化物中に析出させ着色したものである。したがって、有機化合物(b)の重合性不飽和基、あるいはポリマー成分(a)と有機化合物(b)の重合性不飽和基が反応することにより3次元架橋構造が形成され、通常用いるエステル系、ケトン系、芳香族系、エーテル系、アルコール系、ハロゲン系溶剤に不溶化する。この反応は、有機化合物(b)同士、ポリマー成分(a)同士、あるいはポリマー成分(a)と有機化合物(b)との間で起こり、重合性不飽和基が消費される。また、光重合開始剤を用いて架橋硬化させる場合、光重合開始剤が光により分解されるため、前記架橋硬化物を溶剤で抽出し、GC−MS法(ガスクロマトグラフィーで分離したものを質量分析する方法)、LC−MS法(液体クロマトグラフィーで分離したものを質量分析する方法)、GPC−MS法(ゲル浸透クロマトグラフィーで分離し質量分析する方法)、LC−NMR法(液体クロマトグラフィーで分離したものを核磁気共鳴スペクトルで分析する方法)を用いて解析することにより、未反応の光重合開始剤および分解生成物、更に金属の還元に用いた還元剤あるいはその未反応物を同定することができる。更に、GPC−MS法、LC−MS法、GPC−NMR法を用いることにより、溶剤抽出物中の未反応のポリマー成分(a)、未反応の有機化合物(b)、および重合性不飽和基が反応して得られる比較的低分子量の生成物についても溶剤抽出物の分析から同定することができる。3次元架橋構造を形成した溶剤に不溶の高分子量成分については、熱分解GC−MS法を用いることにより、高分子量体を構成する成分として、重合性不飽和基が反応して生成した部位が存在するかを検証することが可能である。例えば、メタクリレート基、アクリレート基、ビニル基等の重合性不飽和基が反応した部位が存在することを質量分析スペクトルパターンから推定することができる。熱分解GC−MS法とは、試料を加熱分解させ、生成するガス成分をガスクロマトグラフィーで分離した後、質量分析を行なう方法である。架橋硬化物中に、未反応の重合性不飽和基又は重合性不飽和基が反応して得られた部位と共に、光重合開始剤に由来する分解生成物や未反応の光重合開始剤が検出されると、感光性樹脂組成物を光架橋硬化させて得られたものであると結論付けることができる。
【0051】
また、架橋硬化物中に存在する無機多孔質体および金属微粒子の量については、架橋硬化物を空気中で加熱することにより、有機物成分を焼き飛ばし、残渣の重量を測定し、更に金属微粒子を溶解させることにより得ることができる。また、前記残渣中に無機多孔質体が存在することは、電界放射型高分解能走査型電子顕微鏡での形態観察、レーザー散乱式粒子径分布測定装置での粒子径分布、および窒素吸着法による細孔容積、細孔径分布、比表面積の測定から同定することができる。
【0052】
本発明で樹脂組成物をシート状、もしくは円筒状に成形する方法は、既存の樹脂の成形方法を用いることができる。例えば、注型法、ポンプや押し出し機等の機械で樹脂をノズルやダイスから押し出し、ブレードで厚みを合わせる、ロールによりカレンダー加工して厚みを合わせる方法等が例示できる。その際、樹脂の性能を落とさない範囲で加熱しながら成形を行なうことも可能である。また、必要に応じて圧延処理、研削処理などをほどこしても良い。通常はPETやニッケルなどの素材からなるバックフィルムといわれる下敷きの上に成形される場合が多いが、直接印刷機のシリンダー上に成形する場合などもありうる。バックフィルムの役割は、印刷原版の寸法安定性を確保することである。したがって、寸法安定性の高いものを選択することが好ましい。線熱膨張係数を用いて評価すると、好ましい材料の上限値は100ppm/℃以下、更に好ましくは70ppm/℃以下である。材料の具体例としては、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリビスマレイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンチオエーテル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、全芳香族ポリエステル樹脂からなる液晶樹脂、全芳香族ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂などを挙げることができる。また、これらの樹脂を積層して用いることもできる。例えば、厚み4.5μmの全芳香族ポリアミドフィルムの両面に厚み50μmのポリエチレンテレフタレートの層を積層したシート等でもよい。また、多孔質性のシート、例えば繊維を編んで形成したクロスや、不織布、フィルムに細孔を形成したもの等をバックフィルムとして用いることができる。バックフィルムとして多孔質性シートを用いる場合、感光性樹脂組成物を孔に含浸させた後に光硬化させることで、感光性樹脂硬化物層とバックフィルムとが一体化するために高い接着性を得ることができる。クロスあるいは不織布を形成する繊維としては、ガラス繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、アルミナ・シリカ繊維、ホウ素繊維、高珪素繊維、チタン酸カリウム繊維、サファイア繊維などの無機系繊維、木綿、麻などの天然繊維、レーヨン、アセテート等の半合成繊維、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ビニロン、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリイミド、アラミド等の合成繊維を挙げることができる。また、バクテリアの生成するセルロースは、高結晶性ナノファイバーであり、薄くて寸法安定性の高い不織布を作製することのできる材料である。
【0053】
また、バックフィルムの線熱膨張係数を小さくする方法として、充填剤を添加する方法、全芳香族ポリアミド等のメッシュ状クロス、ガラスクロスなどに樹脂を含浸あるいは被覆する方法などを挙げることができる。充填剤としては、通常用いられる有機系微粒子、金属酸化物あるいは金属等の無機系微粒子、有機・無機複合微粒子などを用いることができる。また、多孔質微粒子、内部に空洞を有する微粒子、マイクロカプセル粒子、低分子化合物が内部にインターカレーションする層状化合物粒子を用いることもできる。特に、アルミナ、シリカ、酸化チタン、ゼオライト等の金属酸化物微粒子、ポリスチレン・ポリブタジエン共重合体からなるラテックス微粒子、高結晶性セルロース等の天然物系の有機系微粒子等が有用である。
【0054】
本発明で用いるバックフィルムの表面に物理的、化学的処理を行うことにより、感光性樹脂組成物層あるいは接着剤層との接着性を向上させることができる。物理的処理方法としては、サンドブラスト法、微粒子を含有した液体を噴射するウエットブラスト法、コロナ放電処理法、プラズマ処理法、紫外線あるいは真空紫外線照射法などを挙げることができる。また、化学的処理方法としては、強酸・強アルカリ処理法、酸化剤処理法、カップリング剤処理法などである。
【0055】
成形された感光性樹脂組成物は光もしくは電子線の照射により架橋せしめ、樹脂版を形成する。また、成型しながら光もしくは電子線の照射により架橋させることもできる。その中でも光を使って架橋させる方法は、装置が簡便で厚み精度が高くできるなどの利点を有し好適である。硬化に用いられる光源としては高圧水銀灯、超高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、カーボンアーク灯、キセノンランプ等が挙げられ、その他公知の方法で硬化を行うことができる。硬化に用いる光源は、1種類でも構わないが、波長の異なる2種類以上の光源を用いて硬化させることにより、樹脂の硬化性が向上することがあるので、2種類以上の光源を用いることも差し支えない。
【0056】
レーザー彫刻に用いる印刷原版の厚みは、その使用目的に応じて任意に設定して構わないが、印刷版として用いる場合には、一般的に0.1〜7mmの範囲である。場合によっては、組成の異なる材料を複数積層していても構わない。
本発明では、レーザー彫刻される層の下部にエラストマーからなるクッション層を形成することもできる。一般的にレーザー彫刻される層の厚さは、0.1〜数mmであるため、それ以外の下部層は組成の異なる材料であっても構わない。クッション層としては、ショアA硬度が20から70度のエラストマー層であることが好ましい。ショアA硬度が20度以上である場合、適度に変形するため、印刷品質を確保することができる。また、70度以下であれば、クッション層としての役割を果たすことができる。より好ましいショアA硬度の範囲は、30〜60度である。
【0057】
前記クッション層は、特に限定せず、熱可塑性エラストマー、光硬化型エラストマー、熱硬化型エラストマー等ゴム弾性を有するものであれば何でも構わない。ナノメーターレベルの微細孔を有する多孔質エラストマー層であってもよい。特にシート状あるいは円筒状樹脂版への加工性の観点から、光で硬化する感光性樹脂組成物を用い、硬化後にエラストマー化する材料を用いることが簡便であり好ましい。シート状あるいは円筒状の樹脂版への成形の観点から、液状感光性樹脂組成物を用いることが特に好ましい。
【0058】
クッション層に用いる熱可塑性エラストマーの具体例としては、スチレン系熱可塑性エラストマーであるSBS(ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン)、SIS(ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン)、SEBS(ポリスチレン−ポリエチレン/ポリブチレン−ポリスチレン)等、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー、シリコン系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。
【0059】
光架橋型エラストマーとしては、前記熱可塑性エラストマーに光重合性モノマー、可塑剤および光重合開始剤等を混合したもの、プラストマー樹脂に光重合性モノマー、光重合開始剤等を混合した液状組成物などを挙げることができる。本発明では、微細パターンの形成機能が重要な要素である感光性樹脂組成物の設計思想とは異なり、光を用いて微細なパターンの形成を行う必要がなく、全面露光により硬化させることにより、ある程度の機械的強度を確保できれば良いため、材料の選定において自由度が極めて高い。
【0060】
また、硫黄架橋型ゴム、有機過酸化物、フェノール樹脂初期縮合物、キノンジオキシム、金属酸化物、チオ尿素等の非硫黄架橋型ゴムを用いることもできる。更に、テレケリック液状ゴムを反応する硬化剤を用いて3次元架橋させてエラストマー化したものを使用することもできる。
本発明において多層化する場合、前記バックフィルムの位置は、クッション層の下、すなわち印刷原版の最下部、あるいは、レーザー彫刻可能な感光性樹脂層とクッション層との間の位置、すなわち印刷原版の中央部、いずれの位置でも構わない。
【0061】
また、本発明のレーザー彫刻印刷版の表面に改質層を形成させることにより、印刷版表面のタックの低減、インク濡れ性の向上を行うこともできる。改質層としては、シランカップリング剤あるいはチタンカップリング剤等の表面水酸基と反応する化合物で処理した被膜、あるいは多孔質無機粒子を含有するポリマーフィルムを挙げることができる。
広く用いられているシランカップリング剤は、基材の表面水酸基との反応性の高い官能基を分子内に有する化合物であり、そのような官能基とは、例えばトリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリクロロシリル基、ジエトキシシリル基、ジメトキシシリル基、ジモノクロロシリル基、モノエトキシシリル基、モノメトキシシリル基、モノクロロシリル基を挙げることができる。また、これらの官能基は分子内に少なくとも1つ以上存在し、基材の表面水酸基と反応することにより基材表面に固定化される。更に本発明のシランカップリング剤を構成する化合物は、分子内に反応性官能基としてアクリロイル基、メタクリロイル基、活性水素含有アミノ基、エポキシ基、ビニル基、パーフルオロアルキル基、及びメルカプト基から選ばれた少なくとも1個の官能基を有するもの、あるいは長鎖アルキル基を有するものを用いることができる。
【0062】
また、チタンカップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジ−トリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジ−トリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(オクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルスルフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等の化合物を挙げることができる。
【0063】
表面に固定化したカップリング剤分子が特に重合性反応基を有する場合、表面への固定化後、光、熱、あるいは電子線を照射し架橋させることにより、より強固な被膜とすることもできる。
本発明では、上記のカップリング剤に、必要に応じ、水−アルコール、或いは酢酸水−アルコール混合液で希釈して、調整する。処理液中のカップリング剤の濃度は、0.05〜10.0重量%が好ましい。
【0064】
本発明におけるカップリング剤処理法について説明する。前記のカップリング剤を含む処理液を、印刷原版、あるいはレーザー彫刻後の印刷版表面に塗布して用いられる。カップリング剤処理液を塗布する方法に特に限定はなく、例えば浸漬法、スプレー法、ロールコート法、或いは刷毛塗り法等を適応することが出来る。また、被覆処理温度、被覆処理時間についても特に限定はないが、5〜60℃であることが好ましく、処理時間は0.1〜60秒であることが好ましい。更に樹脂版表面上の処理液層の乾燥を加熱下に行うことが好ましく、加熱温度としては50〜150℃が好ましい。
【0065】
カップリング剤で印刷版表面を処理する前に、キセノンエキシマランプ等の波長が200nm以下の真空紫外線領域の光を照射する方法、あるいはプラズマ等の高エネルギー雰囲気に曝すことにより、印刷版表面に水酸基を発生させ高密度にカップリング剤を固定化することもできる。
また、無機多孔質体粒子を含有する層が印刷版表面に露出している場合、プラズマ等の高エネルギー雰囲気下で処理し、表面の有機物層を若干エッチング除去することにより印刷版表面に微小な凹凸を形成させることができる。この処理により印刷版表面のタックを低減させること、および表面に露出した無機多孔質体粒子がインクを吸収しやすくすることによりインク濡れ性が向上する効果も期待できる。
【0066】
作製した印刷原版の表面を保護する目的で、ポリエチレンテレフタレートやポリプロピレン製の薄いフィルムで被覆しても差し支えない。レーザー彫刻する際には、該フィルムを剥がして使用する。
レーザー彫刻においては、形成したい画像をデジタル型のデータとしてコンピューターを利用してレーザー装置を操作し、原版上にレリーフ画像を作成する。レーザーによる彫刻は酸素含有ガス下、一般には空気存在下もしくは気流下に実施するが、炭酸ガス、窒素ガス下でも実施できる。彫刻終了後、レリーフ印刷版面にわずかに発生する粉末状もしくは液状の物質は適当な方法、例えば溶剤や界面活性剤の入った水等で洗いとる方法、高圧スプレー等により水系洗浄剤を照射する方法、高圧スチームを照射する方法などを用いて除去しても良い。
【0067】
本発明の印刷原版は印刷版用レリーフ画像の他、スタンプ・印章、エンボス加工用のデザインロール、電子部品作成に用いられる抵抗体、導電体ペーストのパターニング用レリーフ画像、窯業製品の型材用レリーフ画像、広告・表示板などのディスプレイ用レリーフ画像、各種成型品の原型・母型など各種の用途に応用し利用できる。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
【0068】
実施例及び比較例中、レーザー彫刻はYAGレーザーを搭載したレーザー彫刻機(ウエッツエル社製、商標「フレキソレーザーセッターWFL40−2V」)を用いて行い、彫刻のパターンは、網点、500μm幅の凸線による線画、及び、500μm幅の白抜き線を含むパターンを作成して実施した。彫刻深さは0.55mmとした。YAGレーザーの発振波長は1.06μmであった。
レーザー彫刻後、エタノールもしくはアセトンを含浸させた不織布(旭化成株式会社製、商標「BEMCOT M−3」)を用いてレリーフ印刷版上のカスを拭き取った。レーザー彫刻前の印刷原版、レーザー彫刻直後の印刷版、及び拭き取り後のレリーフ印刷版各々重量を測定し、式(1)により、彫刻時のカス残存率を求めた。
Figure 0004064789
【0069】
また、拭き取り後のレリーフ印刷版面のタック測定は株式会社東洋精機製作所製タックテスターを用いて行なった。 タック測定は、20℃において、試料片の平滑な部分に半径50mm、幅13mmのアルミニウム輪の幅13mmの部分を接触させ、該アルミニウム輪に0.5kgの荷重を加え4秒間放置した後、毎分30mmの一定速度で前記アルミニウム輪を引き上げ、アルミニウム輪が試料片から離れる際の抵抗力をプッシュプルゲージで読み取る。この値が大きいもの程、ベトツキ度が大きい。
【0070】
更に、彫刻した部位のうち、80lpi(Lines per inch)で面積率約10%の網点部の形状を電子顕微鏡にて観察した。
微粒子の比表面積、細孔分布測定は、米国カンタクローム社製、オートソープ3MP(商標)を用い、液体窒素温度雰囲気下、窒素ガスを吸着させて測定した。具体的には、比表面積はBET式に基づいて算出した。細孔容積および平均細孔径は、窒素の脱着時の吸着等温線から円筒モデルを仮定し、BJH(Brrett-Joyner-Halenda)法という細孔分布解析法に基づいて算出した。
【0071】
【製造例1】
温度計、攪拌機、還流器を備えた1Lのセパラブルフラスコに旭化成株式会社製ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量1830、OH価61.3)500gとトリレンジイソシアナート52.40gを加え60℃に加温下に約3時間反応させた後、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート25.24gとポリプロピレングリコールモノメタクリレート(Mn400)31.75gを添加し、さらに2時間反応させて、末端がメタアクリル基(分子内の重合性不飽和基が1分子あたり平均で約2個)である数平均分子量約20000の樹脂(ア)を製造した。この樹脂は20℃では水飴状であり、外力を加えると流動し、かつ外力を除いても元の形状を回復しなかった。
【0072】
【製造例2】
温度計、攪拌機、還流器を備えた1Lのセパラブルフラスコにクラレ株式会社製ポリカーボネートジオールである、商標「クラレポリオールC−2015N」(数平均分子量2000、OH価56.0)500gとトリレンジイソシアナート49.86gを加え60℃に加温下に約3時間反応させた後、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート26.63gとポリプロピレングリコールモノメタクリレート35.27gを添加し、さらに2時間反応させて、末端がメタアクリル基(分子内の重合性不飽和基が1分子あたり平均約2個)である数平均分子量約15000の樹脂(イ)を製造した。この樹脂は20℃では水飴状であり、外力を加えると流動し、かつ外力を除いても元の形状を回復しなかった。
【0073】
【製造例3】
温度計、攪拌機、還流器を備えた1Lのセパラブルフラスコにクラレ株式会社製ポリイソプレンポリオール、商標「LIR−506」(数平均分子量16400、OH価17.1)500gと2−メタクリロイルオキシイソシアネート23.65gを添加し、60℃で7時間反応させて、末端がメタアクリル基(分子内の重合性不飽和基が1分子あたり平均5個)である数平均分子量17200の樹脂(ウ)を製造した。この樹脂は20℃では水飴状であり、外力を加えると流動し、かつ外力を除いても元の形状を回復しなかった。
【0074】
【製造例4】
温度計、攪拌機、還流器を備えた1Lのセパラブルフラスコに旭化成株式会社製ポリカーボネートジオールである、商標「PCDL L4672」(数平均分子量1990、OH価56.4)447.24gとトリレンジイソシアナート30.83gを加え80℃に加温下に約3時間反応させた後、2−メタクリロイルオキシイソシアネート14.83gを添加し、さらに約3時間反応させて、末端がメタアクリル基(分子内の重合性不飽和基が1分子あたり平均約2個)である数平均分子量約10000の樹脂(エ)を製造した。この樹脂は20℃では水飴状であり、外力を加えると流動し、かつ外力を除いても元の形状を回復しなかった。
【0075】
【製造例5】
温度計、攪拌機、還流器を備えた1Lのセパラブルフラスコに旭化成株式会社製ポリカーボネートジオールである、商標「PCDL L4672」(数平均分子量1990、OH価56.4)447.24gとトリレンジイソシアナート30.83gを加え80℃に加温下に約3時間反応させた後、2−メタクリロイルオキシイソシアネート7.42gを添加し、さらに約3時間反応させて、末端がメタアクリル基(分子内の重合性不飽和基が1分子あたり平均約1個)である数平均分子量約10000の樹脂(オ)を製造した。この樹脂は20℃では水飴状であり、外力を加えると流動し、かつ外力を除いても元の形状を回復しなかった。
【0076】
【実施例1〜7、比較例1〜3】
前記の製造例で得られた樹脂(ア)から(オ)、及び旭化成株式会社製スチレンブタジエン共重合体、商標「タフプレンA」(以下略してSBS)を用い、表1に示すように重合性モノマー、無機多孔質体(c)として富士シリシア化学株式会社製、多孔質性シリカである、商標「サイロスフェアC−1504」(以下略してC−1504、数平均粒子径4.5μm、比表面積520m2/g、平均細孔径12nm、細孔容積1.5ml/g、灼熱減量2.5wt%、吸油量290ml/100g)、商標「サイリシア450」(以下略してCH−450、数平均粒子径8.0μm、比表面積300m2/g、平均細孔径17nm、細孔容積1.25ml/g、灼熱減量5.0wt%、吸油量200ml/100g)、光重合開始剤、その他添加剤を加えて樹脂組成物を作製した。用いた多孔質性微紛末シリカの多孔度は、密度を2g/cm3として算出すると、サイロスフェアC−1504が780、サイリシア450が800であった。添加した多孔質球状シリカであるサイロスフェアC−1504の真球度は、走査型電子顕微鏡を用いて観察したところ、ほぼ全ての粒子が0.9以上であった。サイリシア450は多孔質シリカではあるが球状シリカではなかった。
【0077】
このようにして作製した感光性樹脂組成物100重量部に対し、平均粒子径が0.1μmの臭化銀1重量部、ベヘン酸銀1重量部、還元剤として2,2‘−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)0.05重量部、調色剤として1,2,3−ベンゾトリアジン−4−オン0.05重量部を混合した。作製した混合物をPETフィルム上に厚さ2.8mmのシート状に成形したのち、旭化成株式会社製ALF型213E露光機を用い、真空の条件下レリーフ面 2000mJ/cm2、バック面1000mJ/cm2の条件で露光し、樹脂版を作製した。表1中の銀析出用化合物とは、臭化銀、ベヘン酸銀、還元剤および調色剤を示す。
【0078】
次に、作製した樹脂版を120℃において1分間処理した。この処理により樹脂版は黒色に着色することを確認した。得られた印刷原版の1064nmにおける光線透過率を、分光光度計(島津製作所社製、商標「UV−3150」)を用いて測定した結果、いずれの実施例においても1%以下であった。
析出させた銀微粒子の粒子径は、空気中500℃において樹脂硬化物を焼き飛ばし、残った残さを超高分解能走査型電子顕微鏡とエネルギー分散型X線分析装置を用いて銀元素に着目し面分析することにより測定した。その結果、平均粒子径は実施例1〜7のいずれにおいても5μm以下であることを確認した。
【0079】
これらの印刷原版をYAGレーザー彫刻機をもちいて、パターンの彫刻を行なった。その評価結果を表2に示す。銀を析出させることにより着色した実施例1から6においては、レーザーの照射された部分の樹脂硬化物は除去され凹部を形成できたが、臭化銀、ベヘン酸銀、還元剤および調色剤を添加していない比較例1から3では、樹脂硬化物の除去は全くされていなかった。
これらをYAGレーザー彫刻機をもちいて、パターンの彫刻を行なった。その評価結果を表2に示す。
【0080】
表2の彫刻後のカス拭き取り回数とは、彫刻後発生する粘稠性の液状カスを除去するのに必要な拭き取り処理の回数であり、この回数が多いと液状カスの量が多いことを意味する。拭き取り後のレリーフ上のタックは、実施例1から6のいずれにおいても150N/m以下であった。
印刷原版の耐摩耗性を評価したところ、球状シリカであるサイロスフェアC−1504を用いたものの方が、サイリシア450を用いたものよりも優れていた。
【0081】
本発明実施例および比較例で用いている熱可塑性エラストマーであるSBSの数平均分子量は、GPCを用いて測定しポリスチレン標品を基準として求めた値が、7.7万であった。
本発明の実施例で用いている二重結合含有有機化合物の内、脂環族および芳香族の誘導体は、BZMA、CHMAおよびPEMAである。
本発明の実施例で用いるSBSの軟化温度は、130℃であった。軟化温度の測定には、レオメトリックス・サイエンティフィック・エフ・イー社製の粘弾性測定装置、回転型のレオメーターを用いて測定した。測定周波数は10rad/秒、昇温速度は10℃/分で室温から加熱を開始し、最初に粘製率が大きく低下する温度を軟化点として求めた。
【0082】
【実施例8】
旭化成社製、商標「APR、F320」液状感光性樹脂組成物を厚さ2mmのシート状に塗布し、この層の上に実施例6で用いた液状感光性樹脂組成物を厚さ0.8mmに塗布し、その後の露光工程を経て、樹脂版を作製した。APRを用いて作製したクッション層のショアA硬度は、55度であった。レーザー彫刻可能な層が着色していることを確認した。
YAGレーザーで彫刻後のカス残率は6.0wt%、彫刻後のカス拭き取り回数は3回以下、拭き取り後のレリーフ上のタックは80N/m、網点部の形状は円錐状で良好であった。
【0083】
【表1】
Figure 0004064789
【0084】
【表2】
Figure 0004064789
【0085】
【発明の効果】
直接レーザー彫刻してレリーフ画像を制作するための原版およびその作製方法が提供できる。特に、近赤外線レーザーを用いたレーザー彫刻に適する。本件発明によれば、レーザー彫刻に際して、カスの発生を抑制し、そのカスを容易に除去できるばかりででなく、彫刻の形状が優れ、印刷面のタックが小さい印刷版を製作することができる。

Claims (14)

  1. 樹脂を光硬化させてシート状あるいは円筒状の樹脂版に成形しレーザー彫刻可能な層を作製する工程、成形した樹脂版を加熱し金属微粒子を析出させ着色する工程を含むことを特徴とするレーザー彫刻印刷原版の作製方法。
  2. 前記金属微粒子の平均粒子径が、10μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のレーザー彫刻印刷原版の作製方法。
  3. 前記金属微粒子が、貴金属類であることを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザー彫刻印刷原版の作製方法。
  4. 前記樹脂が、感光性樹脂組成物であって、該感光性樹脂組成物が、数平均分子量1000から50万の樹脂(a)、数平均分子量1000未満の重合性不飽和基を有する有機化合物(b)、比表面積が10m2/g以上1500m2/g以下であり、平均細孔径が1nm以上1000nm以下、細孔容積が0.1ml/g以上10ml/g以下、かつ吸油量が10ml/100g以上2000ml/100g以下である無機多孔質体(c)、ハロゲン化銀(d)、有機銀塩化合物(e)、および還元剤(f)を含有することを特徴とする請求項1に記載のレーザー彫刻印刷原版の作製方法。
  5. 前記無機多孔質体(c)の数平均粒子径が0.1μm以上100μm以下、粒子の70%以上が真球度0.5から1.0の球状粒子であることを特徴とする請求項4に記載のレーザー彫刻印刷原版の作製方法。
  6. 前記有機化合物(b)の全体量の20wt%以上が脂環族、芳香族の少なくとも1種類以上の誘導体であることを特徴とする請求項4に記載のレーザー彫刻印刷原版の作製方法。
  7. 前記有機銀塩化合物(e)が、脂肪族カルボン酸銀、あるいは含フッ素カルボン酸銀であることを特徴とする請求項4に記載のレーザー彫刻印刷原版の作製方法。
  8. 数平均分子量1000から50万の樹脂(a)、数平均分子量1000未満の重合性不飽和基を有する有機化合物(b)、比表面積が10m2/g以上1500m2/g以下であり、平均細孔径が1nm以上1000nm以下、細孔容積が0.1ml/g以上10ml/g以下、かつ吸油量が10ml/100g以上2000ml/100g以下である無機多孔質体(c)、ハロゲン化銀(d)、有機銀塩化合物(e)、および還元剤(f)を含有することを特徴とするレーザー彫刻印刷原版用材料。
  9. 請求項8に記載のレーザー彫刻印刷原版用材料を光硬化して得られるレーザー彫刻印刷原版。
  10. レーザー彫刻印刷原版に垂直な方向から光を透過させて測定した光線透過率が、彫刻に用いるレーザー光の波長において5%以下であることを特徴とする請求項9に記載のレーザー彫刻印刷原版。
  11. 請求項9又は10に記載のレーザー彫刻印刷原版の下部に、ショアA硬度が20以上70以下の一定厚さのエラストマー層を少なくとも1層有することを特徴とする多層レーザー彫刻印刷原版。
  12. エラストマー層が、感光性樹脂組成物を硬化して形成されることを特徴とする請求項11に記載の多層レーザー彫刻印刷原版。
  13. 請求項8に記載のレーザー彫刻印刷原版用材料を光硬化するレーザー彫刻印刷原版の製造方法。
  14. 請求項8に記載のレーザー彫刻印刷原版用材料を光硬化した後、加熱することを特徴とするレーザー彫刻印刷原版の製造方法。
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