以下、本発明の実施例を図面を用いて詳細に説明する。
(第1の実施例)
本発明の第1の実施例を図1及び図6により説明する。図6に、本実施例の電気出力1356MWeの水平断面を示す。720体の燃料集合体5と、燃料集合体3体に1体の割合で223体のY字型制御棒4が示されている。図1に燃料集合体格子の断面を示す。燃料集合体格子は燃料棒2,6,7と水ロッド3を内包する正六角形状のチャンネルボックス1,チャンネルボックス間のギャップ領域とチャンネルボックス1の外側に配置されるY字型制御棒4から構成される。燃料集合体格子は正六角形状をしており、チャンネルボックス間距離は22.5mmである。チャンネルボックス1内には外径9.5mmの燃料棒2が燃料棒間隙1.8mmで三角格子状に配置され、燃料棒列9列の正六角形燃料集合体を形成している。燃料集合体中心部には、燃料棒列3列分、すなわち燃料棒単位格子セル19個分の領域に水ロッド3が配置されている。チャンネルボックス1内の燃料棒の本数は198本である。Y字型制御棒4の翼には、B4Cが充填されたステンレス管の吸収棒が配置されており、翼の間隔はそれぞれ120度である。燃焼初期に局所的に燃料棒出力が大きくなるコーナー部燃料棒6にはウラン濃縮度4.0wt%の燃料物質を、その他の燃料棒2にはウラン濃縮度4.9wt%の燃料物質を配置してある。また、コーナー部燃料棒6以外でも燃焼初期に出力が大きくなる傾向があるチャンネルボックス及び水ロッドに隣接している燃料棒7には4.5wt%の可燃性毒物を添加したウラン濃縮度4.9wt%の燃料物質を配置することで燃焼初期の局所出力ピーキングを抑制している。このような燃料配置を採用することにより、ペレット最高濃縮度5wt%の制約下で、局所出力ピーキングを過度に増大させることなく燃料集合体横断面平均のウラン濃縮度を4.87wt%まで高めることが可能となる。本実施例では燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度4.87wt%の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。この燃料集合体を図6の炉心に装荷したときの炉心外接半径は2.9m、燃料有効長は194cm、出力密度は83kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は27%、水ロッド中の水の体積割合は5%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は26%、燃料物質の体積割合は31%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.88である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.8kg/lである。チャンネルボックスの外幅と燃料集合体格子幅の比は0.89である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は36%、水ロッド中の水の体積割合は7%、燃料物質の体積割合は41%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.88である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.8kg/lである。
次に、本実施例の作用を説明する。
本実施例では、六角形燃料集合体に沸騰水型軽水炉及び加圧水型軽水炉において使用実績のある外径9.5mmの燃料棒を間隙1.8mmの三角格子状に稠密配置し、燃料棒総本数を増やして単位体積に含まれるウラン重量を炉心平均でABWRの1.9kg/lより約47%増大した2.8kg/lとすることにより、燃料有効長がABWRの3.7mより約1.8m低い1.94mの軽水炉が実現する。その結果、出力をABWRと同じ1356MWe、炉心外接半径をABWRとほぼ同じ2.9mとした軽水炉において、ABWRと比較して燃料有効長を約1.8m低減することが可能となり、原子炉建屋高さを約10m低くできる。また、本実施例では、チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い22.5mmとすることにより冷温時反応度上昇を抑えることができ、炉停止余裕を1.0%Δk以上とすることができる。中性子減速効果を向上することでボイド係数は−6.0×10-4Δk/k%voidとなり、ABWRのボイド係数−8.0×10-4Δk/k/%voidと比較して絶対値が小さい軽水炉が実現できる。また、本実施例では、外径9.5mmの燃料棒を燃料棒間隙1.8mmの三角格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をABWR(炉心に装荷されている全燃料集合体が9×9格子燃料集合体の場合)の172W/cmより約17%低い142W/cmとすることにより、MCPR1.3以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
従って、本実施例により、熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、炉心の高さを大幅に低減し発電所の建設コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。さらに、熱的余裕や安全性を現在運転中のABWRと同程度に保ちつつ、冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
さらに、本実施例において燃料有効長を381cmに増大すると、原子炉建屋高さはABWRと同等となるが、連続運転期間13ケ月におけるサイクル毎の取り替え体数が65体となり、取り出し燃焼度65Gd/tで燃料平均燃焼日数4423日の超長寿命炉心とすることができる。また、燃料有効長を381cmに増大し、サイクル毎の取り替え体数を313体とすることで、取り出し燃焼度48Gd/t、連続運転期間46ヶ月の超長期運転サイクルとすることができる。
本実施例では、電気出力1356MWeの炉心についての構成,作用,効果を述べているが、出力規模はこれに限定されるものではない。燃料集合体の体数を変更することで、他の出力規模にも適用できる。以下の実施例も同様である。
本実施例では、燃料物質として軽水炉で使用されている低濃縮ウラン燃料を用いた場合についての構成,作用,効果を述べている。しかし、低濃縮ウラン燃料のかわりに、使用済み燃料を再処理して得られるプルトニウムを、軽水炉で使用される濃縮ウラン製造時にその残渣として発生する劣化ウランもしくは使用済み燃料から回収される減損ウランもしくは低濃縮ウランもしくは天然ウランに富化した混合酸化物燃料や、低除染再処理時に同伴するマイナーアクチニドを含む再処理プルトニウムを、劣化ウランもしくは減損ウランもしくは低濃縮ウランもしくは天然ウランに富化した混合酸化物燃料でも同等の効果が得られる。以下の実施例も同様である。
本実施例では、ウラン濃縮度あるいは核分裂性プルトニウム富化度を燃料集合体軸方向に一様に配置した場合についての構成,作用,効果を述べた。しかしながら、ウラン濃縮度あるいは核分裂性プルトニウム富化度の燃料集合体軸方向分布はこれに限定されるものではない。燃料集合体軸方向に異なるウラン濃縮度分布あるいは核分裂性プルトニウム富化度分布を持つ燃料集合体、あるいは燃料領域の上下端に劣化ウランもしくは減損ウランもしくは天然ウランからなるブランケット領域を持つ燃料集合体を採用しても本実施例と同様の効果が得られる。また、複数の燃料有効長を持つ燃料棒から構成される燃料集合体を採用しても同様の効果が得られる。以下の実施例も同様である。
(第2の実施例)
本発明の第2の実施例を以下に説明する。本実施例は、実施例1の構成をベースに、高濃縮度燃料を用い高燃焼度化を達成しプラント利用率を増大したものである。
本実施例は、電気出力1356MWeで、炉心は実施例1の図6と同じ構成で、720体の燃料集合体と、燃料集合体3体に1体の割合で223体のY字型制御棒を配置している。図7に燃料集合体格子の断面を示す。燃料集合体格子は燃料棒8,9,10と水ロッド3を内包する正六角形状のチャンネルボックス1とチャンネルボックス間のギャップ領域とチャンネルボックス1の外側に配置されるY字型制御棒4から構成される。燃料集合体格子は正六角形状をしており、チャンネルボックス間距離は39.0mmである。チャンネルボックス1内には外径9.5mmの燃料棒2が燃料棒間隙1.8mmで三角格子状に配置され、燃料棒列9列の正六角形燃料集合体を形成している。燃料集合体中心部には、燃料棒列3列分、すなわち燃料棒単位格子セル19個分の領域に水ロッド3が配置されている。チャンネルボックス1内の燃料棒の本数は198本である。Y字型制御棒4の翼には、B4Cが充填されたステンレス管の吸収棒が配置されており、翼の間隔はそれぞれ120度である。燃焼初期に局所的に燃料棒出力が大きくなるコーナー部燃料棒9にはウラン濃縮度6.5wt%の燃料物質を、その他の燃料棒8にはウラン濃縮度7.5wt%の燃料物質を配置してある。また、コーナー部燃料棒9以外でも燃焼初期に出力が大きくなる傾向があるチャンネルボックス及び水ロッドに隣接している燃料棒10には4.5wt%の可燃性毒物を添加したウラン濃縮度7.5wt%の燃料物質を配置することで燃焼初期の局所出力ピーキングを抑制している。燃料集合体横断面平均のウラン濃縮度は7.47wt%である。本実施例では燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度7.47wt%の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。この燃料集合体を図6と同じ構成の炉心に装荷したときの炉心外接半径は3.2m、燃料有効長は194cm、出力密度は71kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は23%、水ロッド中の水の体積割合は4%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は37%、燃料物質の体積割合は26%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.88である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.4kg/lである。チャンネルボックスの外幅と燃料集合体格子幅の比は0.82である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は36%、水ロッド中の水の体積割合は7%、燃料物質の体積割合は41%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.88である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.8kg/lである。
本実施例では、燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度を実施例1の4.87wt%から7.47wt%として取り出し燃焼度を増加させることにより、実施例1と比較してプラント利用率が増大した軽水炉が実現する。
本実施例では、炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量をABWRの1.9kg/lより約26%増大した2.4kg/lとすることにより、燃料有効長がABWRの3.7mより約1.8m低い1.94mの軽水炉が実現する。また、チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い39.0mmとすることにより、冷温時反応度上昇を抑えることができる。また、本実施例においても実施例1と同様に、外径9.5mmの燃料棒を燃料棒間隙1.8mmの三角格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をABWRの172W/cmより約17%低い142W/cmとすることにより、MCPR1.3以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上の理由により、熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、炉心の高さを大幅に低減し発電所の建設コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。さらに、熱的余裕や安全性を現在運転中のABWRと同程度に保ちつつ、冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
(第3の実施例)
本発明の第3の実施例を図8,図9により説明する。本実施例は、実施例1,2と異なり燃料集合体格子水平断面が正六角形でない場合に適用したものである。電気出力1356MWeで、炉心は実施例1と同様に720体の燃料集合体と、燃料集合体3体に1体の割合で223体のY字型制御棒から構成されている。
図8に燃料集合体6体の配置とその中の1体の燃料集合体格子の断面を示す。燃料集合体格子は燃料棒2,6,7と水ロッド3を内包する正六角形状のチャンネルボックス1とチャンネルボックス間のギャップ領域とチャンネルボックス1の外側に配置されるY字型制御棒4から構成される。図8の燃料集合体格子は、チャンネルボックス1の六辺と燃料集合体格子との間隙をk,m,n,p,q,rとしたとき、Y字型制御棒4が挿入される側の間隙k,mとチャンネルボックス1をはさんで反対側の間隙p,qが残りの2つの間隙n,rより長い縦長の六角形状をしており、チャンネルボックス1の中心と燃料集合体格子の中心は同一である。間隙kとmとpとqは等しく、また、間隙nとrは等しい。Y字型制御棒4が挿入される側の2辺のチャンネルボックス間距離は24.1mm(kの二倍)、残りの4辺のチャンネルボックス間距離は21.6mm(k+n)であり、チャンネルボックス間の平均距離は22.4mmである。チャンネルボックス1内には外径9.5mmの燃料棒2が燃料棒間隙1.8mmで三角格子状に配置され、燃料棒列9列の正六角形燃料集合体を形成している。燃料集合体中心部には、燃料棒列3列分、すなわち燃料棒単位格子セル19個分の領域に水ロッド3が配置されている。チャンネルボックス1内の燃料棒の本数は198本である。Y字型制御棒4の翼には、B4Cが充填されたステンレス管の吸収棒が配置されており、翼の間隔はそれぞれ120度である。
本実施例のもう一つの燃料集合体構成として、図9に燃料集合体6体の配置とその中の1体の燃料集合体格子の断面を示す。図9の燃料集合体格子は、Y字型制御棒4が挿入される側の間隙k,mが残りの4つ間隙n,p,q,rより長い縦長の六角形状をしている。間隙kとmは等しく、また、間隙nとpとqとrは等しい。Y字型制御棒4が挿入される側の2辺のチャンネルボックス間距離は29.1mm(kの二倍)、残りの4辺のチャンネルボックス間距離は19.1mm(nの二倍)であり、チャンネルボックス間の平均距離は22.4mmである。チャンネルボックス1及びチャンネルボックス1内の燃料棒2,6,7と水ロッド3の形状,配置は図8と同一である。
この燃料集合体を図6の炉心に装荷したときの炉心外接半径は2.9m、燃料有効長は194cm、出力密度は83kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は27%、水ロッド中の水の体積割合は5%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は26%、燃料物質の体積割合は31%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.88である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.8kg/lである。チャンネルボックスの外幅と縦長の六角形状燃料集合体の3つの格子幅を平均して得られる平均の燃料集合体格子幅の比は0.89である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は36%、水ロッド中の水の体積割合は7%、燃料物質の体積割合は41%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.88である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.8kg/lである。燃料集合体内の燃料物質配置は、実施例1と同じであり、燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度4.87wt%の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。
本実施例においても実施例1と同様に、炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量をABWRの1.9kg/lより約47%増大した2.8kg/lとすることにより、燃料有効長がABWRの3.7mより約1.8m低い1.94mの軽水炉が実現する。また、チャンネルボックス間の平均距離をABWRの16mmより広い22.4mmとすることにより、冷温時反応度上昇を抑えるとともに、ボイド係数が−6.0×10-4Δk/k%voidとABWRより絶対値が小さい軽水炉を実現できる。また、本実施例においても実施例1と同様に、外径9.5mmの燃料棒を燃料棒間隙1.8mmの三角格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をABWRの172W/cmより約17%低い142W/cmとすることにより、MCPR1.3以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上の理由により、熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、炉心の高さを大幅に低減し発電所の建設コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。さらに、熱的余裕や安全性を現在運転中のABWRと同程度に保ちつつ、冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
(第4の実施例)
本発明の第4の実施例を図10により説明する。本実施例は、実施例1の構成をベースに、低濃縮ウラン燃料のかわりに、濃縮ウラン製造時にその残渣として発生する劣化ウランに使用済み燃料を再処理して得られるプルトニウムを富化した混合酸化物燃料を採用したものである。
本実施例は、電気出力1356MWeで、炉心の水平断面の断面図は実施例1の図6と同じである。図10に燃料集合体格子の断面を示す。燃料集合体格子内のチャンネルボックス1,燃料棒12,13,14,水ロッド3,Y字型制御棒4の配置,形状,大きさは実施例1と同じである。燃焼初期に局所的に燃料棒出力が大きくなるコーナー部燃料棒13には核分裂性Pu富化度5.0wt%の燃料物質を、その他の燃料棒12には核分裂性Pu富化度5.9wt%の燃料物質を配置してある。また、コーナー部燃料棒13以外でも燃焼初期に出力が大きくなる傾向があるチャンネルボックス及び水ロッドに隣接している燃料棒14には4.5wt%の可燃性毒物を添加した核分裂性Pu富化度5.9wt%に燃料物質を配置することで燃焼初期の局所出力ピーキングを抑制している。本実施例では燃料集合体横断面平均核分裂性Pu富化度5.87wt%の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。本実施例の炉心外接半径は2.9m、燃料有効長は194cm、出力密度は83kW/l、炉心領域の単位体積に含まれるウランとプルトニウムの合計重量は2.8kg/lである。また、チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウランとプルトニウムの合計重量は3.8kg/lである。
本実施例では、炉心領域の単位体積に含まれるウランとプルトニウムの合計重量を2.8kg/lとすることにより、燃料有効長がABWRの3.7mより約1.8m低い1.94mの軽水炉が実現する。また、チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い22.5mmとすることにより、冷温時反応度上昇を抑えることができ、炉停止余裕を1.0%Δk以上とすることができる。また、本実施例においても実施例1と同様に、外径9.5mmの燃料棒を燃料棒間隙1.8mmの三角格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をABWRの172W/cmより約17%低い142W/cmとすることにより、MCPR1.3以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上の理由により、熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、炉心の高さを大幅に低減し発電所の建設コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。
(第5の実施例)
本発明の第5の実施例を図11,図12により説明する。本実施例は、実施例1の構成をベースに、チャンネルボックス間間隙に配置されたY字型制御棒のかわりに、燃料集合体中心部に太径丸棒制御棒を配置したものである。
図11に、本実施例の電気出力1356MWeの水平断面を示す。720体の燃料集合体5と、燃料集合体3体に挿入される太径丸棒制御棒を1つの制御棒駆動機構で作動させる223基の制御棒駆動機構15が示されている。図12に燃料集合体格子の断面を示す。燃料集合体格子は燃料棒2,6,7と水ロッド3と太径丸棒制御棒16を内包する正六角形状のチャンネルボックス1とチャンネルボックス間のギャップ領域から構成される。チャンネルボックス間距離は22.5mmである。チャンネルボックス1内には外径9.5mmの燃料棒2が燃料棒間隙1.8mmで三角格子状に配置され、燃料棒列9列の正六角形燃料集合体を形成している。燃料集合体中心部には、燃料棒列3列分、すなわち、燃料棒単位格子セル19個分の領域に、制御棒挿入時に太径丸棒制御棒16が入る水ロッド3が配置されている。チャンネルボックス1内の燃料棒の本数は198本である。太径丸棒制御棒16はB4Cが充填されたステンレス管の吸収棒で構成されている。この燃料集合体を図11の炉心に装荷したときの炉心外接半径は2.9m、燃料有効長は194cm、出力密度は83kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は27%、水ロッド中の水の体積割合は5%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は26%、燃料物質の体積割合は31%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.88である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.8kg/lである。チャンネルボックスの外幅と燃料集合体格子幅の比は0.89である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は36%、水ロッド中の水の体積割合は7%、燃料物質の体積割合は41%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.88である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.8kg/lである。燃料集合体内の燃料物質配置は、実施例1と同じであり、燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度4.87wt%の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。
本実施例では、燃料集合体に配置された水ロッドをガイドチューブとして利用する太径丸棒制御棒を採用している。制御棒を太径化することにより、制御棒の機械的強度が増し、制御棒の挿入及び引き抜き時の曲がりや座屈を抑制することができる。また、燃料集合体あたりの吸収棒の本数を減らすことにより、制御棒の製造性が容易となり、製造コストが低減できる。
本実施例においても実施例1と同様に、炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量をABWRの1.9kg/lより約47%増大した2.8kg/lとすることにより、燃料有効長がABWRの3.7mより約1.8m低い1.94mの軽水炉が実現する。また、チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い22.5mmとすることにより、冷温時反応度上昇を抑えるとともに、ボイド係数が−6.0×10-4Δk/k%voidとABWRより絶対値が小さい軽水炉を実現できる。また、本実施例においても実施例1と同様に、外径9.5mmの燃料棒を燃料棒間隙1.8mmの三角格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をABWRの172W/cmより約17%低い142W/cmとすることにより、MCPR1.3以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上の理由により、熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、炉心の高さを大幅に低減し発電所の建設コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。さらに、熱的余裕や安全性を現在運転中のABWRと同程度に保ちつつ、冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
(第6の実施例)
本発明の第6の実施例を図13,図14により説明する。本実施例は、実施例5の構成をベースに、燃料の装荷量を増大したものである。
図13に、本実施例の電気出力1356MWeの水平断面を示す。504体の燃料集合体5と、燃料集合体3体に挿入される太径丸棒制御棒を1つの制御棒駆動機構で作動させる157基の制御棒駆動機構15が示されている。図14に燃料集合体格子の断面を示す。燃料集合体格子は燃料棒2,6,7と水ロッド3と太径丸棒制御棒16を内包する正六角形状のチャンネルボックス1,チャンネルボックス間のギャップ領域から構成される。チャンネルボックス間距離は22.5mmである。チャンネルボックス1内には外径9.5mmの燃料棒2が燃料棒間隙1.7mmで三角格子状に配置され、燃料棒列11列の正六角形燃料集合体を形成している。燃料集合体中心部には、燃料棒列4列分、すなわち、燃料棒単位格子セル37個分の領域に、制御棒挿入時に太径丸棒制御棒16が入る水ロッド3が配置されている。チャンネルボックス1内の燃料棒の本数は294本である。太径丸棒制御棒16はB4Cが充填されたステンレス管の吸収棒で構成されている。燃焼初期に局所的に燃料棒出力が大きくなるコーナー部燃料棒6にはウラン濃縮度4.0wt%の燃料物質を、その他の燃料棒2にはウラン濃縮度4.9wt%の燃料物質を配置してある。また、コーナー部燃料棒6以外でも燃焼初期に出力が大きくなる傾向があるチャンネルボックス及び水ロッドに隣接している燃料棒7には4.5wt%の可燃性毒物を添加したウラン濃縮度4.9wt%の燃料物質を配置することで燃焼初期の局所出力ピーキングを抑制している。燃料集合体横断面平均のウラン濃縮度は4.88wt%である。本実施例では燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度4.88wt%の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。この燃料集合体を図13の炉心に装荷したときの炉心外接半径は2.9m、燃料有効長は194cm、出力密度は85kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は26%、水ロッド中の水の体積割合は7%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は25%、燃料物質の体積割合は32%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.80である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.0kg/lである。チャンネルボックスの外幅と燃料集合体格子幅の比は0.90である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は33%、水ロッド中の水の体積割合は9%、燃料物質の体積割合は42%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.80である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.9kg/lである。
本実施例においても実施例5と同様に、燃料集合体に配置された水ロッドをガイドチューブとして利用する太径丸棒制御棒を採用している。制御棒を太径化することにより、制御棒の機械的強度が増し、制御棒の挿入及び引き抜き時の曲がりや座屈を抑制することができる。また、燃料集合体あたりの吸収棒の本数を減らすことにより、制御棒の製造性が容易となり、製造コストが低減できる。
本実施例では、炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量を3.0kg/lとすることにより、燃料有効長がABWRの3.7mより約1.8m低い1.94mの軽水炉が実現する。
本実施例では、燃料集合体1体当たりの燃料棒本数を増やして燃料集合体を大型化することにより、炉心に装荷する燃料集合体数を実施例5の720体から504体に減らした。
本実施例では、燃料集合体の大型化とともに制御棒の占める領域を、実施例5の燃料棒単位格子セル19個分から37個分に増加することにより、制御棒価値を実施例5とほぼ同等とすることが可能となり、また、チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い22.5mmとすることにより、冷温時反応度上昇を抑えるとともに、ボイド係数をABWRより絶対値が小さい軽水炉を実現できる。また、本実施例では、外径9.5mmの燃料棒を燃料棒間隙1.7mmの三角格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をABWRの172W/cmより約20%低い137W/cmとすることにより、MCPR1.3以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上の理由により、熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、炉心の高さを大幅に低減し発電所の建設コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。さらに、熱的余裕や安全性を現在運転中のABWRと同程度に保ちつつ、冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
(第7の実施例)
本発明の第7の実施例を図15,図16により説明する。本実施例は、実施例1の構成をベースに、燃料の装荷量を増大したものである。
図15に、本実施例の電気出力1356MWeの水平断面を示す。426体の燃料集合体5と、燃料集合体3体に1体の割合で124体のY字型制御棒4が示されている。図16に燃料集合体格子の断面を示す。燃料集合体格子は燃料棒2,6,7と水ロッド3を内包する正六角形状のチャンネルボックス1,チャンネルボックス間のギャップ領域とチャンネルボックス1の外側に配置されるY字型制御棒4から構成される。チャンネルボックス間距離は26.8mmである。チャンネルボックス1内には外径9.6mmの燃料棒2が燃料棒間隙1.4mmで三角格子状に配置され、燃料棒列12列の正六角形燃料集合体を形成している。燃料集合体中心部には、燃料棒列4列分、すなわち、燃料棒単位格子セル37個分の領域に水ロッド3が配置されている。チャンネルボックス1内の燃料棒の本数は360本である。Y字型制御棒4の翼には、B4Cが充填されたステンレス管の吸収棒が配置されており、翼の間隔はそれぞれ120度である。燃焼初期に局所的に燃料棒出力が大きくなるコーナー部燃料棒6にはウラン濃縮度4.0wt%の燃料物質を、その他の燃料棒2にはウラン濃縮度4.9wt%の燃料物質を配置してある。また、コーナー部燃料棒6以外でも燃焼初期に出力が大きくなる傾向があるチャンネルボックス及び水ロッドに隣接している燃料棒7には4.5wt%の可燃性毒物を添加したウラン濃縮度4.9wt%の燃料物質を配置することで燃焼初期の局所出力ピーキングを抑制している。燃料集合体横断面平均のウラン濃縮度は4.89wt%である。本実施例では燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度4.89wt%の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。この燃料集合体を図15の炉心に装荷したときの炉心外接半径は2.9m、燃料有効長は194cm、出力密度は85kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は23%、水ロッド中の水の体積割合は6%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は26%、燃料物質の体積割合は34%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.69である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.2kg/lである。チャンネルボックスの外幅と燃料集合体格子幅の比は0.89である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は31%、水ロッド中の水の体積割合は8%、燃料物質の体積割合は45%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.69である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は4.1kg/lである。
本実施例では、炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量を3.2kg/lとすることにより、燃料有効長がABWRの3.7mより約1.8m低い1.94mの軽水炉が実現する。
本実施例では、燃料集合体1体当たりの燃料棒本数を増やして燃料集合体を大型化することにより、炉心に装荷する燃料集合体数を実施例1の720体から426体に減らした。本実施例では、チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い26.8mmとすることにより、冷温時反応度上昇を抑えるとともに、ボイド係数をABWRより絶対値が小さい軽水炉を実現できる。また、本実施例では、外径9.6mmの燃料棒を燃料棒間隙1.4mmの三角格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をABWRの172W/cmより約23%低い132W/cmとすることにより、MCPR1.3以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上の理由により、熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、炉心の高さを大幅に低減し発電所の建設コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。また、冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
(第8の実施例)
本発明の第8の実施例を図17により説明する。本実施例は、実施例7の構成をベースに、自然循環炉心としたものである。
本実施例は電気出力518MWeで、炉心の水平断面の断面図は実施例7の図15と同じである。図17に燃料集合体格子の断面を示す。燃料集合体格子は燃料棒2,6,7と水ロッド3を内包する正六角形状のチャンネルボックス1,チャンネルボックス間のギャップ領域とチャンネルボックス1の外側に配置されるY字型制御棒4から構成される。チャンネルボックス間距離は27.4mmである。チャンネルボックス1内には外径14.5mmの燃料棒2が燃料棒間隙1.3mmで三角格子状に配置され、燃料棒列8列の正六角形燃料集合体を形成している。燃料集合体中心部には、燃料棒列3列分、すなわち、燃料棒単位格子セル19個分の領域に水ロッド3が配置されている。チャンネルボックス1内の燃料棒の本数は150本である。Y字型制御棒4の翼には、B4Cが充填されたステンレス管の吸収棒が配置されており、翼の間隔はそれぞれ120度である。燃焼初期に局所的に燃料棒出力が大きくなるコーナー部燃料棒6にはウラン濃縮度4.0wt%の燃料物質を、その他の燃料棒2にはウラン濃縮度4.9wt%の燃料物質を配置してある。また、コーナー部燃料棒6以外でも燃焼初期に出力が大きくなる傾向があるチャンネルボックス及び水ロッドに隣接している燃料棒7には4.5wt%の可燃性毒物を添加したウラン濃縮度4.9wt%の燃料物質を配置することで燃焼初期の局所出力ピーキングを抑制している。燃料集合体横断面平均のウラン濃縮度は4.86wt%である。本実施例では燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度4.86wt%の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。この燃料集合体を図15の炉心に装荷したときの炉心外接半径は2.9m、燃料有効長は131cm、出力密度は53kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は18%、水ロッド中の水の体積割合は7%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は28%、燃料物質の体積割合は36%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.50である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.3kg/lである。チャンネルボックスの外幅と燃料集合体格子幅の比は0.89である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は24%、水ロッド中の水の体積割合は9%、燃料物質の体積割合は48%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.50である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は4.5kg/lである。
本実施例では、炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量を3.3kg/lとすることにより、燃料有効長がABWRの3.7mより約2.4m低い1.31mの軽水炉が実現する。
本実施例では、チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い27.4mmとすることにより、冷温時反応度上昇を抑えることができ、炉停止余裕を1.0%Δk以上とすることができる。また、本実施例では、電気出力を518MWeとすることでMCPR1.3以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上の理由により、熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、炉心の高さを大幅に低減し発電所の建設コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。また、冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
本実施例では、炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量を3.3kg/lとして燃料有効長を1.31mと短尺にするとともに、電気出力を518MWeとして出力密度を小さくすることにより熱的余裕をABWRと同程度に保ちつつ炉心流量を低減することができる。
以上の理由により、炉心の圧力損失を低減でき、自然循環運転が可能な軽水炉が実現できる。
(第9の実施例)
本発明の第9の実施例を図18により説明する。本実施例は、実施例1の構成をベースに、燃料集合体の寿命を延長して燃料サイクルコストを低減したものである。
本実施例は、電気出力1356MWeで、炉心の水平断面は実施例1の図6と同じである。
図18に燃料集合体格子の断面を示す。燃料集合体格子は燃料棒2,6と水ロッド3と水排除棒17を内包する正六角形状のチャンネルボックス1,チャンネルボックス間のギャップ領域、チャンネルボックス1の外側に配置されるY字型制御棒4と水排除板18から構成される。チャンネルボックス間距離は22.5mmである。チャンネルボックス1内には外径9.5mmの燃料棒2が燃料棒間隙1.8mmで三角格子状に配置され、燃料棒列9列の正六角形燃料集合体を形成している。燃料集合体中心部には、燃料棒列3列分、すなわち、燃料棒単位格子セル19個分の領域に、運転中に引き抜き可能な水排除棒17が入る水ロッド3が配置されている。チャンネルボックス1内の燃料棒の本数は198本である。チャンネルボックス1の6辺中2辺にはY字型制御棒4が配置されている。Y字型制御棒4の翼には、B4Cが充填されたステンレス管の吸収棒が配置されており、翼の間隔はそれぞれ120度である。Y字型制御棒4の先端部には、脱着可能で運転中に引き抜き可能な水排除板を有している。また、チャンネルボックス1の6辺中4辺に面するチャンネルボックス間のギャップ領域には、運転中に引き抜き可能な水排除板18が配置されている。燃焼初期に局所的に燃料棒出力が大きくなるコーナー部燃料棒6にはウラン濃縮度4.0wt%の燃料物質を、その他の燃料棒2にはウラン濃縮度4.9wt%の燃料物質を配置する。燃料集合体横断面平均のウラン濃縮度は4.87wt%である。本実施例では燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度4.87wt%の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。この燃料集合体を図6の炉心に装荷したときの炉心外接半径は2.9m、燃料有効長は194cm、出力密度は83kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は27%、水ロッド中の水の体積割合は5%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は26%、燃料物質の体積割合は31%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.88である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.8kg/lである。チャンネルボックスの外幅と燃料集合体格子幅の比は0.89である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は36%、水ロッド中の水の体積割合は7%、燃料物質の体積割合は41%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.88である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.8kg/lである。
本実施例では、チャンネルボックス間距離と水ロッド内に存在する飽和水を水排除棒や水排除板で排除することにより、ウラン238からプルトニウムへの転換を増大させた軽水炉が実現できる。さらに、水排除棒の挿入,引き抜きにより水対燃料体積比を自由に調整できるので、可燃性毒物を用いる必要がなく燃料サイクルコスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。
本実施例においても実施例1と同様に、炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量をABWRの1.9kg/lより約47%増大した2.8kg/lとすることにより、燃料有効長がABWRの3.7mより約1.8m低い1.94mの軽水炉が実現する。また、チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い22.5mmとすることにより、冷温時反応度上昇を抑えることができる。また、本実施例においても実施例1と同様に、外径9.5mmの燃料棒を燃料棒間隙1.8mmの三角格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をABWRの172W/cmより約17%低い142W/cmとすることにより、MCPR1.3以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上の理由により、熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、炉心の高さを大幅に低減し発電所の建設コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。
(第10の実施例)
本発明の第10の実施例を図19により説明する。本実施例は、実施例5の構成をベースに、燃料集合体の寿命を延長して燃料サイクルコストを低減したものである。
本実施例は、電気出力1356MWeで、炉心の水平断面は実施例5の図11と同じである。
図18に燃料集合体格子の断面を示す。燃料集合体格子は燃料棒2,6と水ロッド3と太径丸棒制御棒16を内包する正六角形状のチャンネルボックス1とチャンネルボックス間のギャップ領域、チャンネルボックス1の外側に配置される水排除板18から構成される。チャンネルボックス間距離は22.5mmである。チャンネルボックス1内には外径9.5mmの燃料棒2が燃料棒間隙1.8mmで三角格子状に配置され、燃料棒列9列の正六角形燃料集合体を形成している。燃料集合体中心部には、燃料棒列3列分、すなわち、燃料棒単位格子セル19個分の領域に、制御棒挿入時に太径丸棒制御棒16が入る水ロッド3が配置されている。チャンネルボックス1内の燃料棒の本数は198本である。太径丸棒制御棒16はB4Cが充填されたステンレス管の吸収棒で構成されている。太径丸棒制御棒16の先端には、脱着可能で運転中に引き抜き可能な水排除棒を有している。また、チャンネルボックス間のギャップ領域には、運転中に引き抜き可能な水排除板18が配置されている。燃焼初期に局所的に燃料棒出力が大きくなるコーナー部燃料棒6にはウラン濃縮度4.0wt%の燃料物質を、その他の燃料棒2にはウラン濃縮度4.9wt%の燃料物質を配置する。燃料集合体横断面平均のウラン濃縮度は4.87wt%である。本実施例では燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度4.87wt%の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。この燃料集合体を図11の炉心に装荷したときの炉心外接半径は2.9m、燃料有効長は194cm、出力密度は83kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は27%、水ロッド中の水の体積割合は5%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は26%、燃料物質の体積割合は31%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.88である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.8kg/lである。チャンネルボックスの外幅と燃料集合体格子幅の比は0.89である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は36%、水ロッド中の水の体積割合は7%、燃料物質の体積割合は41%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.88である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.8kg/lである。
本実施例においても実施例1と同様に、炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量をABWRの1.9kg/lより約47%増大した2.8kg/lとすることにより、燃料有効長がABWRの3.7mより約1.8m低い1.94mの軽水炉が実現する。また、チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い22.5mmとすることにより、冷温時反応度上昇を抑えることができる。また、本実施例においても実施例1と同様に、外径9.5mmの燃料棒を燃料棒間隙1.8mmの三角格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をABWRの172W/cmより約17%低い142W/cmとすることにより、MCPR1.3以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上の理由により、熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、炉心の高さを大幅に低減し発電所の建設コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。
本実施例においても実施例5と同様に、燃料集合体に配置された水ロッドをガイドチューブとして利用する太径丸棒制御棒を採用している。制御棒を太径化することにより、制御棒の機械的強度が増し、制御棒の挿入及び引き抜き時の曲がりや座屈を抑制することができる。また、燃料集合体あたりの吸収棒の本数を減らすことにより、制御棒の製造性が容易となり、製造コストが低減できる。
本実施例においても実施例9と同様に、チャンネルボックス間距離と水ロッド内に存在する飽和水を水排除棒や水排除板で排除することにより、ウラン238からプルトニウムへの転換を増大させた軽水炉が実現できる。さらに、水排除棒の挿入,引き抜きにより水対燃料体積比を自由に調整できるので、可燃性毒物を用いる必要がなく燃料サイクルコスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。
(第11の実施例)
本発明の第11の実施例を図20により説明する。本実施例は、実施例3と同様に燃料集合体格子水平断面が正六角形でない場合に適用したものである。電気出力1356MWeで、炉心は実施例1と同様に720体の燃料集合体と、燃料集合体3体に1体の割合で223体のY字型制御棒から構成されている。
図20に燃料集合体格子の断面を示す。燃料集合体格子は燃料棒2,6,7と水ロッド3を内包する正六角形状のチャンネルボックス1とチャンネルボックス間のギャップ領域とチャンネルボックス1の外側に配置されるY字型制御棒4から構成される。図20の燃料集合体格子は、チャンネルボックス1の六辺と燃料集合体格子との間隙をk,m,n,p,q,rとしたとき、Y字型制御棒4が挿入される側の間隙k,mとチャンネルボックス1をはさんで反対側の間隙p,qが残りの2つの間隙n,rより長い縦長の六角形状をしており、チャンネルボックス1の中心と燃料集合体格子の中心は同一である。間隙kとmとpとqは等しく、また、間隙nとrは等しい。Y字型制御棒4が挿入される側の2辺のチャンネルボックス間距離は20.8mm(kの二倍)、残りの4辺のチャンネルボックス間距離は18.3mm(k+n)であり、チャンネルボックス間の平均距離は19.1mmである。チャンネルボックス1内には外径11.2mmの燃料棒2が燃料棒間隙3.7mmで三角格子状に配置され、燃料棒列7列の正六角形燃料集合体を形成している。燃料集合体中央部には、燃料棒列2列分、すなわち燃料棒単位格子セル7個分の領域に水ロッド3が2本配置されている。チャンネルボックス1内の燃料棒の本数は113本である。Y字型制御棒4の翼には、B4Cが充填されたステンレス管の吸収棒が配置されており、翼の間隔はそれぞれ120度である。燃焼初期に局所的に燃料棒出力が大きくなるコーナー部燃料棒6にはウラン濃縮度4.0wt%の燃料物質を、その他の燃料棒2にはウラン濃縮度4.9wt%の燃料物質を配置してある。また、コーナー部燃料棒6以外でも燃焼初期に出力が大きくなる傾向があるチャンネルボックス及び水ロッドに隣接している燃料棒7には4.5wt%の可燃性毒物を添加したウラン濃縮度4.9wt%の燃料物質を配置することで燃焼初期の局所出力ピーキングを抑制している。燃料集合体横断面平均のウラン濃縮度は4.85wt%である。本実施例では燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度4.85wt%の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。この燃料集合体を図8の炉心に装荷したときの炉心外接半径は2.9m、燃料有効長は266cm、出力密度は61kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は38%、水ロッド中の水の体積割合は5%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は24%、燃料物質の体積割合は24%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は1.61である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.2kg/lである。チャンネルボックスの外幅と縦長の六角形状燃料集合体の3つの格子幅を平均して得られる平均の燃料集合体格子幅の比は0.90である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は50%、水ロッド中の水の体積割合は7%、燃料物質の体積割合は31%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は1.61である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.9kg/lである。
本実施例では、炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量をABWRの1.9kg/lより約16%増大した2.2kg/lとすることにより、燃料有効長がABWRの3.7mより約1.0m低い2.66mの軽水炉が実現する。また、チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い19.1mmとすることにより、冷温時反応度上昇を抑えるとともに、ボイド係数の絶対値がABWRより小さい軽水炉を実現できる。また、本実施例では、燃料有効長をABWRの3.7mより低い2.66mに短尺化することにより、炉心流量を増加させてMCPR1.3以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上の理由により本実施例では、熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、炉心の高さを大幅に低減し発電所の建設コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。また、冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
(第12の実施例)
本発明の第12の実施例を図21により説明する。本実施例は、燃料集合体・炉心を大型化し、炉心の高さを実施例1よりさらに低減したものである。
本実施例は、電気出力1356MWeで、炉心は実施例1の図6と同様に720体の燃料集合体と、燃料集合体3体に1体の割合で223体のY字型制御棒から構成されている。
図21に燃料集合体格子の断面を示す。燃料集合体格子は燃料棒2,6,7と水ロッド33を内包する正六角形状のチャンネルボックス1とチャンネルボックス間のギャップ領域とチャンネルボックス1の外側に配置されるY字型制御棒4から構成される。チャンネルボックス間距離は27.4mmである。チャンネルボックス1内には外径10.0mmの燃料棒2が燃料棒間隙1.8mmで三角格子状に配置され、燃料棒列10列の正六角形燃料集合体を形成している。燃料集合体中心部には、燃料棒列4列分、すなわち燃料棒単位格子セル37個分の領域に水ロッド3が配置されている。チャンネルボックス1内の燃料棒の本数は234本である。Y字型制御棒4の翼には、B4Cが充填されたステンレス管の吸収棒が配置されており、翼の間隔はそれぞれ120度である。燃焼初期に局所的に燃料棒出力が大きくなるコーナー部燃料棒6にはウラン濃縮度4.0wt%の燃料物質を、その他の燃料棒2にはウラン濃縮度4.9wt%の燃料物質を配置してある。また、コーナー部燃料棒6以外でも燃焼初期に出力が大きくなる傾向があるチャンネルボックス及び水ロッドに隣接している燃料棒7には4.5wt%の可燃性毒物を添加したウラン濃縮度4.9wt%の燃料物質を配置することで燃焼初期の局所出力ピーキングを抑制している。燃料集合体横断面平均のウラン濃縮度は4.88wt%である。本実施例では燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度4.88wt%の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。この燃料集合体を炉心に装荷したときの炉心外接半径は3.4m、燃料有効長は150cm、出力密度は79kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は25%、水ロッド中の水の体積割合は8%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は30%、燃料物質の体積割合は29%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.84である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.7kg/lである。チャンネルボックスの外幅と平均の燃料集合体格子幅の比は0.88である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は33%、水ロッド中の水の体積割合は11%、燃料物質の体積割合は40%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.84である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.7kg/lである。
本実施例では、六角形燃料集合体に、外径10.0mmの燃料棒を、間隙1.8mmの三角格子状に稠密配置し、燃料棒総本数を増やして炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量をABWRの1.9kg/lより約42%増大した2.7kg/lとするとともに、燃料集合体格子を大型化して、炉心外接半径を3.4mとすることにより、燃料有効長がABWRの3.7mより約2.0m低い1.5mの軽水炉が実現する。燃料有効長を1.5mとすることにより、原子炉建屋を2階層低くすることができる。
本実施例では、チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い27.4mmとすることにより、冷温時反応度上昇を抑えることができ、炉停止余裕を1.0%Δk以上とすることができる。
以上の理由により、本実施例では、出力をABWRと同じ1356MWeとした軽水炉において、冷温時反応度上昇を抑えるとともに、ボイド係数の絶対値がABWRより小さい軽水炉を実現できる。また、本実施例では、外径10.0mmの燃料棒を燃料棒間隙1.8mmの三角格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をABWRの172W/cmより約10%低い155W/cmとすることにより、MCPR1.3以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上の理由により、本実施例では、出力をABWRと同じ1356MWeとした軽水炉において、熱的余裕をABWRと同程度に保つことが可能となる。従って、本実施例により、熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、炉心の高さを大幅に低減し発電所の建設コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。また冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
(第13の実施例)
本発明の第13の実施例を以下に説明する。本実施例は、燃料集合体・炉心を大型化し、炉心の高さを実施例1よりさらに低減したものである。
本実施例は、電気出力1356MWeで、炉心は実施例1の図6と同様に720体の燃料集合体と、燃料集合体3体に1体の割合で223体のY字型制御棒から構成されている。燃料集合体格子内のチャンネルボックス,燃料棒,水ロッド,Y字型制御棒の配置,形状は、実施例12の図21と同じであるが、本実施例では、燃料棒外径は12.3mm、燃料棒間隙は1.3mmである。この燃料集合体を炉心に装荷したときの炉心外接半径は3.8m、燃料有効長は110cm、出力密度は85kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は19%、水ロッド中の水の体積割合は8%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は29%、燃料物質の体積割合は35%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.55である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.2kg/lである。チャンネルボックスの外幅と平均の燃料集合体格子幅の比は0.89である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は25%、水ロッド中の水の体積割合は11%、燃料物質の体積割合は46%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.55である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は4.2kg/lである。燃料集合体内の燃料物質配置は、実施例12と同じであり、燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度4.88wt%の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。
本実施例では、六角形燃料集合体に、外径12.3mmの燃料棒を、間隙1.3mmの三角格子状に稠密配置し、燃料棒総本数を増やして炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量をABWRの1.9kg/lより約68%増大した3.2kg/lとするとともに、燃料集合体格子を大型化して、炉心外接半径を3.8mとすることにより、燃料有効長がABWRの3.7mより約2.6m低い1.1mの軽水炉が実現する。燃料有効長を1.1mとすることにより、原子炉建屋を3階層低くすることができる。
本実施例では、チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い27.4mmとすることにより、冷温時反応度上昇を抑えることができ、炉停止余裕を1.0%Δk以上とすることができる。
以上の理由により、本実施例では、出力をABWRと同じ1356MWeとした軽水炉において、冷温時反応度上昇を抑えるとともに、ボイド係数の絶対値がABWRより小さい軽水炉を実現できる。また、本実施例では、燃料有効長をABWRの3.7mより低い1.1mに短尺化することにより、炉心流量を増加させてMCPR1.3以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上の理由により、本実施例では、出力をABWRと同じ1356MWeとした軽水炉において、熱的余裕をABWRと同程度に保つことが可能となる。従って、本実施例により、熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、炉心の高さを大幅に低減し発電所の建設コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。また冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
(第14の実施例)
本発明の第14の実施例を以下に説明する。本実施例は、燃料集合体・炉心を大型化し、炉心の高さを実施例1よりさらに低減したものである。
本実施例は、電気出力1356MWeで、炉心は実施例1の図6と同様に720体の燃料集合体と、燃料集合体3体に1体の割合で223体のY字型制御棒から構成されている。
燃料集合体格子内のチャンネルボックス,燃料棒,水ロッド,Y字型制御棒の配置,形状は、実施例12の図21と同じであるが、本実施例のチャンネルボックス間距離は32.0mm、燃料棒外径は9.3mm、燃料棒間隙は1.3mmである。この燃料集合体を炉心に装荷したときの炉心外接半径は3.2m、燃料有効長は100cm、出力密度は137kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は20%、水ロッド中の水の体積割合は8%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は35%、燃料物質の体積割合は29%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.68である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.7kg/lである。チャンネルボックスの外幅と平均の燃料集合体格子幅の比は0.85である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は29%、水ロッド中の水の体積割合は11%、燃料物質の体積割合は43%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.68である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は4.0kg/lである。燃料集合体内の燃料物質配置は、実施例12と同じであり、燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度4.88wt%の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。
本実施例では、六角形燃料集合体に、外径9.3mmの燃料棒を、間隙1.3mmの三角格子状に稠密配置し、燃料棒総本数を増やして炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量をABWRの1.9kg/lより42%増大した2.7kg/lとするとともに、燃料集合体格子を大型化して、炉心外接半径を約3.2mとすることにより、燃料有効長がABWRの3.7mより約2.7m低い1.0mの軽水炉が実現する。燃料有効長を1.0mとすることにより、原子炉建屋を3階層低くすることができる。また、本実施例では、燃料有効長をABWRの3.7mより低い1.0mに短尺化することにより、炉心流量を増加させてMCPR1.3以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上の理由により、本実施例では、出力をABWRと同じ1356MWeとした軽水炉において、熱的余裕をABWRと同程度に保つことが可能となる。従って、本実施例により、熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、炉心の高さを大幅に低減し発電所の建設コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。また冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
(第15の実施例)
本発明の第15の実施例を図22により説明する。本実施例は、燃料有効長を実施例1よりも長くして高燃焼度化によるプラント利用率向上を実現したものである。
本実施例は、電気出力1356MWeで、炉心の水平断面は実施例1の図6と同じである。図22に燃料集合体格子の断面を示す。燃料集合体格子は燃料棒2,6,7と水ロッド3を内包する正六角形状のチャンネルボックス1とチャンネルボックス間のギャップ領域とチャンネルボックス1の外側に配置されるY字型制御棒4から構成される。チャンネルボックス間距離は27.4mmである。チャンネルボックス1内には外径10.2mmの燃料棒2が燃料棒間隙2.2mmで三角格子状に配置され、燃料棒列8列の正六角形燃料集合体を形成している。燃料集合体中心部には、燃料棒列3列分、すなわち燃料棒単位格子セル19個分の領域に水ロッド3が配置されている。チャンネルボックス1内の燃料棒の本数は150本である。Y字型制御棒4の翼には、B4Cが充填されたステンレス管の吸収棒が配置されており、翼の間隔はそれぞれ120度である。燃焼初期に局所的に燃料棒出力が大きくなるコーナー部燃料棒6にはウラン濃縮度4.0wt%の燃料物質を、その他の燃料棒2にはウラン濃縮度4.9wt%の燃料物質を配置してある。また、コーナー部燃料棒6以外でも燃焼初期に出力が大きくなる傾向があるチャンネルボックス及び水ロッドに隣接している燃料棒7には4.5wt%の可燃性毒物を添加したウラン濃縮度4.9wt%の燃料物質を配置することで燃焼初期の局所出力ピーキングを抑制している。燃料集合体横断面平均のウラン濃縮度は4.86wt%である。本実施例では燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度4.86wt%の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。この燃料集合体を図6の炉心に装荷したときの炉心外接半径は2.9m、燃料有効長は223cm、出力密度は72kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は27%、水ロッド中の水の体積割合は6%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は32%、燃料物質の体積割合は27%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は1.01である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.5kg/lである。チャンネルボックスの外幅と平均の燃料集合体格子幅の比は0.86である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は39%、水ロッド中の水の体積割合は8%、燃料物質の体積割合は38%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は1.01である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.5kg/lである。
本実施例では、六角形燃料集合体に、外径10.2mmの燃料棒を、間隙2.2mmの三角格子状に稠密配置し、燃料棒総本数を増やして炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量をABWRの1.9kg/lより約32%増大した2.5g/lとすることにより、燃料有効長がABWRの3.7mより約1.5m低い2.23mの軽水炉が実現できる。
本実施例では、チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い27.4mmとすることにより、冷温時反応度上昇を抑えることができ、炉停止余裕を1.0%Δk以上にするとともに、ボイド係数の絶対値がABWRより小さい軽水炉を実現できる。また、本実施例では、外径10.2mmの燃料棒を燃料棒間隙2.2mmの三角格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をABWRの172W/cmより約5%低い163W/cmとすることにより、MCPR1.3以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上の理由により、本実施例により熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、炉心の高さを大幅に低減し発電所の建設コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。また、冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
本実施例では、炉心高さを実施例1より長くすることにより実施例1より高燃焼度化が可能となり、プラント利用率が向上できる。従って、本実施例により、熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、プラントの連続運転期間を増加させることによりプラント利用率が向上し発電コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。
(第16の実施例)
本発明の第16の実施例を以下に説明する。本実施例は燃料有効長を実施例15よりさらに長くして高燃焼度化によるプラント利用率向上を実現したものである。
本実施例は、電気出力1356MWeで、炉心の水平断面は実施例1の図6と同じであり、燃料集合体格子は実施例15の図22と同じである。
本実施例では、六角形燃料集合体に、外径10.2mmの燃料棒を、間隙2.2mmの三角格子状に稠密配置し、燃料棒総本数を増やして炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量をABWRの1.9kg/lより約32%増大した2.5g/lとすることにより、燃料有効長がABWRの3.7mより約0.9m低い2.85mの軽水炉が実現できる。
本実施例では、チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い27.4mmとすることにより、冷温時反応度上昇を抑えることができ、炉停止余裕を1.0%Δk以上にするとともに、ボイド係数の絶対値がABWRより小さい軽水炉を実現できる。また、本実施例では、外径10.2mmの燃料棒を燃料棒間隙2.2mmの三角格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をABWRの172W/cmより約26%低い128W/cmとすることにより、MCPR1.3以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上の理由により、本実施例では熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、炉心の高さを低減し発電所の建設コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。また、冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
本実施例では、炉心高さを実施例15より長くすることにより実施例15より高燃焼度化が可能となり、プラント利用率が向上できる。従って、本実施例により、熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、プラントの連続運転期間を増加させることによりプラント利用率が向上し発電コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。
(第17の実施例)
本発明の第17の実施例を図23,図24により説明する。本実施例は、本発明の構成をABWR炉心に適用した例であるが、ABWR炉心以前の既存炉炉心に適用しても同様の効果が得られる。
図23に、本実施例の電気出力1356MWeの水平断面を示す。872体の燃料集合体19と、燃料集合体4体に1体の割合で205体の十字型制御棒20が示されている。図24に燃料集合体格子の断面を示す。燃料集合体格子は燃料棒2,6,7と水ロッド22を内包するチャンネルボックス21とチャンネルボックス間のギャップ領域とチャンネルボックス21の外側に配置される十字型制御棒20から構成される。チャンネルボックス間距離は21.8mmである。チャンネルボックス21内には外径10.2mmの燃料棒2が燃料棒ピッチ11.5mmで正方格子状に配置され、燃料棒列11列の正方形燃料集合体を形成している。燃料集合体中心部には、燃料棒単位格子セル13個分の領域に水ロッド22が配置されている。チャンネルボックス21内の燃料棒の本数は108本である。十字型制御棒20の翼には、B4Cが充填されたステンレス管の吸収棒が配置されている。燃焼初期に局所的に燃料棒出力が大きくなるコーナー部燃料棒6にはウラン濃縮度4.0wt%の燃料物質を、その他の燃料棒2にはウラン濃縮度4.9wt%の燃料物質を配置してある。また、コーナー部燃料棒6以外でも燃焼初期に出力が大きくなる傾向があるチャンネルボックスに隣接している燃料棒7には4.5wt%の可燃性毒物を添加したウラン濃縮度4.9wt%の燃料物質を配置することで燃焼初期の局所出力ピーキングを抑制している。燃料集合体横断面平均のウラン濃縮度は4.87wt%である。本実施例では燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度4.87wt%の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。この燃料集合体を図23の炉心に装荷したときの炉心外接半径は2.7m、燃料有効長は371cmであり、ABWRと同一である。出力密度は51kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は26%、水ロッド中の水の体積割合は5%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は31%、燃料物質の体積割合は27%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.95である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.5kg/lである。チャンネルボックスの外幅と燃料集合体格子幅の比は0.86である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は38%、水ロッド中の水の体積割合は7%、燃料物質の体積割合は40%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.95である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.7kg/lである。
本実施例では、ABWR炉心の燃料集合体格子に、外径10.2mmの燃料棒を、燃料棒ピッチ11.5mmの正方格子状に配置することにより、単位体積に含まれるウラン重量を炉心平均でABWRの約1.9kg/lより約32%増大した2.5kg/lの軽水炉が実現する。
以上の理由により、本実施例では、出力をABWRと同じ1356MWe、炉心外接半径及び燃料有効長がABWRと同一の軽水炉において、取り出し燃焼度55Gd/tで連続運転期間27ヶ月とすることができる。本実施例では、チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い21.8mmとすることにより、冷温時反応度上昇を抑えることができ、炉停止余裕を1.0%Δk以上にするとともに、ボイド係数の絶対値がABWRより小さい軽水炉を実現できる。また、本実施例では、ABWR炉心の燃料集合体格子に外径10.2mmの燃料棒を燃料棒ピッチ11.5mmの正方格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をABWRの172W/cmより約35%低い112W/cmとすることにより、MCPR1.3以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上の理由により、本実施例では、出力をABWRと同じ1356MWe、炉心外接半径及び燃料有効長がABWRと同一の軽水炉において、熱的余裕をABWRと同程度に保つことが可能となる。従って、本実施例により、熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、プラントの連続運転期間を増加させることによりプラント利用率が向上し発電コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。また、冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
(第18の実施例)
本発明の第18の実施例を以下に説明する。本実施例は、実施例17の更なる変形例であり、本実施例をABWR炉心以前の既存のBWR炉心に適用しても同様の効果が得られる。
本実施例は、電気出力1356MWeで、炉心の水平断面は実施例17の図23と同じである。本実施例における、燃料集合体格子内のチャンネルボックス,燃料棒,水ロッド,十字型制御棒の配置,形状は、実施例17の図24と同じであるが、本実施例では、燃料棒外径は9.4mmである。燃料集合体内の燃料物質配置は、実施例17と同じであり、燃料集合体横断面平均のウラン濃縮度は4.87wt%である。本実施例では燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度4.87wt%の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。この燃料集合体を図23の炉心に装荷したときの炉心外接半径は2.7m、燃料有効長は371cmであり、ABWRと同一である。出力密度は51kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は32%、水ロッド中の水の体積割合は5%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は31%、燃料物質の体積割合は23%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は1.41である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.1kg/lである。チャンネルボックスの外幅と燃料集合体格子幅の比は0.86である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は47%、水ロッド中の水の体積割合は7%、燃料物質の体積割合は33%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は1.41である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.1kg/lである。
本実施例では、ABWR炉心の燃料集合体格子に、外径9.4mmの燃料棒を、燃料棒ピッチ11.5mmの正方格子状に配置することにより、単位体積に含まれるウラン重量を炉心平均でABWRの約1.9kg/lより約11%増大した2.1kg/lの軽水炉が実現する。
以上の理由により、本実施例では、出力をABWRと同じ1356MWe、炉心外接半径及び燃料有効長がABWRと同一の軽水炉において、取り出し燃焼度55Gd/tで連続運転期間を約2年とすることができる。
本実施例では、チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い21.8mmとすることにより、冷温時反応度上昇を抑えることができ、炉停止余裕を1.0%Δk以上にするとともに、ボイド係数の絶対値がABWRより小さい軽水炉を実現できる。
また、本実施例では、ABWR炉心の燃料集合体格子に外径9.4mmの燃料棒を燃料棒ピッチ11.5mmの正方格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をABWRの172W/cmより約35%低い112W/cmとすることにより、MCPR1.3以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上の理由により、本実施例では、出力をABWRと同じ1356MWe、炉心外接半径及び燃料有効長がABWRと同一の軽水炉において、熱的余裕をABWRと同程度に保つことが可能となる。従って、本実施例により、熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、プラントの連続運転期間を増加させることによりプラント利用率が向上し発電コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。また、冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
(第19の実施例)
本発明の第19の実施例を以下に説明する。本実施例は、実施例17の更なる変形例であり、本実施例をABWR炉心以前の既存のBWR炉心に適用しても同様の効果が得られる。
本実施例は、電気出力1356MWeで、炉心の水平断面は実施例17の図23と同じである。本実施例における、燃料集合体格子内のチャンネルボックス,燃料棒,水ロッド,十字型制御棒の配置,形状は、実施例17の図24と同じであるが、本実施例では、燃料棒外径は9.5mmである。燃料集合体内の燃料物質配置は、実施例17と同じであり、燃料集合体横断面平均のウラン濃縮度は4.87wt%である。本実施例では燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度4.87wt%の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。この燃料集合体を図23の炉心に装荷したときの炉心外接半径は2.7m、燃料有効長は371cmであり、ABWRと同一である。出力密度は51kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は31%、水ロッド中の水の体積割合は5%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は31%、燃料物質の体積割合は23%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は1.36である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.14kg/lである。チャンネルボックスの外幅と燃料集合体格子幅の比は0.86である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は46%、水ロッド中の水の体積割合は7%、燃料物質の体積割合は34%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は1.36である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.14kg/lである。
本実施例では、ABWR炉心の燃料集合体格子に、外径9.5mmの燃料棒を、燃料棒ピッチ11.5mmの正方格子状に配置することにより、単位体積に含まれるウラン重量を炉心平均でABWRの約1.9kg/lより約13%増大した2.14kg/lの軽水炉が実現する。
以上の理由により、本実施例では、出力をABWRと同じ1356MWe、炉心外接半径及び燃料有効長がABWRと同一の軽水炉において、取り出し燃焼度55Gd/tで連続運転期間を約2年とすることができる。
本実施例では、チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い21.8mmとすることにより、冷温時反応度上昇を抑えることができ、炉停止余裕を1.0%Δk以上にするとともに、ボイド係数の絶対値がABWRより小さい軽水炉を実現できる。また、本実施例では、ABWR炉心の燃料集合体格子に外径9.5mmの燃料棒を燃料棒ピッチ11.5mmの正方格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をABWRの172W/cmより約35%低い112W/cmとすることにより、MCPR1.3以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上の理由により、本実施例では、出力をABWRと同じ1356MWe、炉心外接半径及び燃料有効長がABWRと同一の軽水炉において、熱的余裕をABWRと同程度に保つことが可能となる。従って、本実施例により、熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、プラントの連続運転期間を増加させることによりプラント利用率が向上し発電コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。また、冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
(第20の実施例)
本発明の第20の実施例を図25により説明する。本実施例は、実施例17をベースに平均線出力密度をより低減したものである。
本実施例は、電気出力1356MWeで、炉心の水平断面は実施例17の図23と同じである。図25に燃料集合体格子の断面を示す。燃料集合体格子は燃料棒2,6,7と水ロッド23を内包するチャンネルボックス21とチャンネルボックス間のギャップ領域とチャンネルボックス21の外側に配置される十字型制御棒20から構成される。チャンネルボックス間距離は21.8mmである。チャンネルボックス21内には外径9.3mmの燃料棒2が燃料棒ピッチ10.6mmで正方格子状に配置され、燃料棒列12列の正方形燃料集合体を形成している。燃料集合体中心部には、燃料棒単位格子セル12個分の領域に水ロッド23が配置されている。チャンネルボックス21内の燃料棒の本数は132本である。十字型制御棒20の翼には、B4Cが充填されたステンレス管の吸収棒が配置されている。燃焼初期に局所的に燃料棒出力が大きくなるコーナー部燃料棒6にはウラン濃縮度4.0wt%の燃料物質を、その他の燃料棒2にはウラン濃縮度4.9wt%の燃料物質を配置してある。また、コーナー部燃料棒6以外でも燃焼初期に出力が大きくなる傾向があるチャンネルボックスに隣接している燃料棒7には4.5wt%の可燃性毒物を添加したウラン濃縮度4.9wt%の燃料物質を配置することで燃焼初期の局所出力ピーキングを抑制している。燃料集合体横断面平均のウラン濃縮度は4.87wt%である。本実施例では燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度4.87wt%の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。この燃料集合体を図23の炉心に装荷したときの炉心外接半径は2.7m、燃料有効長は371cmであり、ABWRと同一である。出力密度は51kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は27%、水ロッド中の水の体積割合は4%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は30%、燃料物質の体積割合は27%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.98である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.5kg/lである。チャンネルボックスの外幅と燃料集合体格子幅の比は0.86である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は39%、水ロッド中の水の体積割合は6%、燃料物質の体積割合は40%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.98である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.7kg/lである。
本実施例では、ABWR炉心の燃料集合体格子に、外径9.3mmの燃料棒を、燃料棒ピッチ10.6mmの正方格子状に配置することにより、単位体積に含まれるウラン重量を炉心平均でABWRの約1.9kg/lより約32%増大した2.5kg/lの軽水炉が実現する。
以上の理由により、本実施例では、出力をABWRと同じ1356MWe、炉心外接半径及び燃料有効長がABWRと同一の軽水炉において、取り出し燃焼度55Gd/tで連続運転期間27ヶ月とすることができる。
本実施例では、チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い21.8mmとすることにより、冷温時反応度上昇を抑えることができ、炉停止余裕を1.0%Δk以上にするとともに、ボイド係数の絶対値がABWRより小さい軽水炉を実現できる。また、本実施例では、ABWR炉心の燃料集合体格子に外径9.3mmの燃料棒を、燃料棒ピッチ10.6mmの正方格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をABWRの172W/cmより約47%低い92W/cmとすることにより、MCPR1.3以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上の理由により、本実施例では、出力をABWRと同じ1356MWe、炉心外接半径及び燃料有効長がABWRと同一の軽水炉において、熱的余裕をABWRと同程度に保つことが可能となる。従って、本実施例により、熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、プラントの連続運転期間を増加させることによりプラント利用率が向上し発電コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。また、冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
(第21の実施例)
本発明の第21の実施例を図26により説明する。本実施例は、実施例17の構成をベースに、チャンネルボックス間間隙に配置された十字型制御棒のかわりに、燃料集合体中心部に太径丸棒制御棒を配置したものである。
本実施例は、電気出力1356MWeで、炉心の水平断面は実施例17の図23と同じである。図26に燃料集合体格子の断面を示す。燃料集合体格子は燃料棒2,6,7と水ロッド22と太径丸棒制御棒16を内包するチャンネルボックス21とチャンネルボックス間のギャップ領域から構成される。チャンネルボックス間距離は21.8mmである。チャンネルボックス21内には外径10.2mmの燃料棒2が燃料棒ピッチ11.5mmで正方格子状に配置され、燃料棒列11列の正方形燃料集合体を形成している。燃料集合体中心部には、燃料棒単位格子セル13個分の領域に、制御棒挿入時に太径丸棒制御棒16が入る水ロッド22が配置されている。チャンネルボックス21内の燃料棒の本数は108本である。太径丸棒制御棒16はB4Cが充填されたステンレス管の吸収棒で構成されている。燃焼初期に局所的に燃料棒出力が大きくなるコーナー部燃料棒6にはウラン濃縮度4.0wt%の燃料物質を、その他の燃料棒2にはウラン濃縮度4.9wt%の燃料物質を配置してある。また、コーナー部燃料棒6以外でも燃焼初期に出力が大きくなる傾向があるチャンネルボックスに隣接している燃料棒7には4.5wt%の可燃性毒物を添加したウラン濃縮度4.9wt%の燃料物質を配置することで燃焼初期の局所出力ピーキングを抑制している。燃料集合体横断面平均のウラン濃縮度は4.87wt%である。本実施例では燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度4.87wt%の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。この燃料集合体を図23の炉心に装荷したときの炉心外接半径は2.7m、燃料有効長は371cmであり、ABWRと同一である。出力密度は51kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は26%、水ロッド中の水の体積割合は5%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は31%、燃料物質の体積割合は27%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.95である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.5kg/lである。チャンネルボックスの外幅と燃料集合体格子幅の比は0.86である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は38%、水ロッド中の水の体積割合は7%、燃料物質の体積割合は40%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.95である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.7kg/lである。
本実施例では、燃料集合体に配置された水ロッドをガイドチューブとして利用する太径丸棒制御棒を採用している。制御棒を太径化することにより、制御棒の機械的強度が増し、制御棒の挿入及び引き抜き時の曲がりや座屈を抑制することができる。また、燃料集合体あたりの吸収棒の本数を減らすことにより、制御棒の製造性が容易となり、製造コストが低減できる。
本実施例においても実施例17と同様に、ABWR炉心の燃料集合体格子に、外径10.2mmの燃料棒を、燃料棒ピッチ11.5mmの正方格子状に配置することにより、単位体積に含まれるウラン重量を炉心平均でABWRの約1.9kg/lより約32%増大した2.5kg/lの軽水炉が実現する。以上の理由により、本実施例では、出力をABWRと同じ1356MWe、炉心外接半径及び燃料有効長がABWRと同一の軽水炉において、取り出し燃焼度55Gd/tで連続運転期間27ヶ月とすることができる。本実施例においても実施例17と同様に、チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い21.8mmとすることにより、冷温時反応度上昇を抑えることができ、炉停止余裕を1.0%Δk以上にするとともに、ボイド係数の絶対値がABWRより小さい軽水炉を実現できる。また、本実施例では、実施例17と同様にABWR炉心の燃料集合体格子に外径10.2mmの燃料棒を燃料棒ピッチ11.5mmの正方格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をABWRの172W/cmより約35%低い112W/cmとすることにより、MCPR1.3以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
従って、本実施例により、熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、プラントの連続運転期間を増加させることによりプラント利用率が向上し発電コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。また、冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
(第22の実施例)
本発明の第22の実施例を図27により説明する。本実施例は、実施例20の構成をベースに、チャンネルボックス間間隙に配置された十字型制御棒のかわりに、燃料集合体中心部に太径丸棒制御棒を配置したものである。
本実施例は、電気出力1356MWeで、炉心の水平断面は実施例17の図23と同じである。図27に燃料集合体格子の断面を示す。燃料集合体格子は燃料棒2,6,7と水ロッド23と太径丸棒制御棒16を内包するチャンネルボックス21とチャンネルボックス間のギャップ領域から構成される。チャンネルボックス間距離は21.8mmである。チャンネルボックス21内には外径9.3mmの燃料棒2が燃料棒ピッチ10.6mmで正方格子状に配置され、燃料棒列12列の正方形燃料集合体を形成している。燃料集合体中心部には、燃料棒単位格子セル12個分の領域に、制御棒挿入時に太径丸棒制御棒16が入る水ロッド23が配置されている。チャンネルボックス21内の燃料棒の本数は132本である。太径丸棒制御棒16はB4Cが充填されたステンレス管の吸収棒で構成されている。燃焼初期に局所的に燃料棒出力が大きくなるコーナー部燃料棒6にはウラン濃縮度4.0wt%の燃料物質を、その他の燃料棒2にはウラン濃縮度4.9wt%の燃料物質を配置してある。また、コーナー部燃料棒6以外でも燃焼初期に出力が大きくなる傾向があるチャンネルボックスに隣接している燃料棒7には4.5wt%の可燃性毒物を添加したウラン濃縮度4.9wt%の燃料物質を配置することで燃焼初期の局所出力ピーキングを抑制している。燃料集合体横断面平均のウラン濃縮度は4.87wt%である。本実施例では燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度4.87wt%の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。この燃料集合体を図23の炉心に装荷したときの炉心外接半径は2.7m、燃料有効長は371cmであり、ABWRと同一である。出力密度は51kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は27%、水ロッド中の水の体積割合は4%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は30%、燃料物質の体積割合は27%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.98である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.5kg/lである。チャンネルボックスの外幅と燃料集合体格子幅の比は0.86である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は39%、水ロッド中の水の体積割合は6%、燃料物質の体積割合は40%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.98である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.7kg/lである。
本実施例では、燃料集合体に配置された水ロッドをガイドチューブとして利用する太径丸棒制御棒を採用している。制御棒を太径化することにより、制御棒の機械的強度が増し、制御棒の挿入及び引き抜き時の曲がりや座屈を抑制することができる。また、燃料集合体あたりの吸収棒の本数を減らすことにより、制御棒の製造性が容易となり、製造コストが低減できる。
本実施例においても実施例20と同様に、ABWR炉心の燃料集合体格子に、外径9.3mmの燃料棒を、燃料棒ピッチ10.6mmの正方格子状に配置することにより、単位体積に含まれるウラン重量を炉心平均でABWRの約1.9kg/lより約32%増大した2.5kg/lの軽水炉が実現する。
以上より本実施例では、出力をABWRと同じ1356MWe、炉心外接半径及び燃料有効長がABWRと同一の軽水炉において、取り出し燃焼度55Gd/tで連続運転期間27ヶ月とすることができる。本実施例においても実施例17と同様に、チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い21.8mmとすることにより、冷温時反応度上昇を抑えることができ、炉停止余裕を1.0%Δk以上にするとともに、ボイド係数の絶対値がABWRより小さい軽水炉を実現できる。また、本実施例では、実施例20と同様にABWR炉心の燃料集合体格子に外径9.3mmの燃料棒を燃料棒ピッチ10.6mmの正方
格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をABWRの172W/cmより約47%低い92W/cmとすることにより、MCPR1.3以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上の理由により、本実施例では熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、プラントの連続運転期間を増加させることによりプラント利用率が向上し発電コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。また、冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
(第23の実施例)
本発明の第23の実施例を以下に説明する。本実施例は燃料有効長を実施例17より短尺にしたものである。
本実施例は、電気出力1356MWeで、炉心の水平断面は実施例17の図23と同じであり、燃料集合体格子は実施例17の図22と同じである。
本実施例では、ABWR炉心の燃料集合体格子に、外径10.2mmの燃料棒を、燃料棒ピッチ11.5mmの正方格子状に配置することにより、単位体積に含まれるウラン重量を炉心平均でABWRの約1.9kg/lより約32%増大した2.5kg/lとすることにより、燃料有効長がABWRの3.7mより約1.4m低い2.36mの軽水炉が実現できる。チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い21.8mmとすることにより、冷温時反応度上昇を抑えることができ、炉停止余裕を1.0%Δk以上にするとともに、ボイド係数の絶対値がABWRより小さい軽水炉を実現できる。また、本実施例では、燃料有効長をABWRの3.7mより低い2.36mに短尺化することにより、炉心流量を増加させてMCPR1.3以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上より、本実施例では、熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、炉心の高さを低減し発電所の建設コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。また、冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
(第24の実施例)
本発明の第24の実施例を図28により説明する。本実施例は、実施例23の構成をベースに、燃料集合体の寿命を延長して燃料サイクルコストを低減したものである。
本実施例は、電気出力1356MWeで、炉心の水平断面は実施例17の図23と同じである。図28に燃料集合体格子の断面を示す。燃料集合体格子は燃料棒2,6と水ロッド22と水排除棒17を内包するチャンネルボックス21とチャンネルボックス間のギャップ領域,チャンネルボックス21の外側に配置される十字型制御棒20,水排除板18から構成される。チャンネルボックス間距離は21.8mmである。チャンネルボックス21内には外径10.2mmの燃料棒2が燃料棒ピッチ11.5mmで正方格子状に配置され、燃料棒列11列の正方形燃料集合体を形成している。燃料集合体中心部には、燃料棒単位格子セル13個分の領域に運転中に引き抜き可能な水排除棒17が入る水ロッド22が配置されている。チャンネルボックス21内の燃料棒の本数は108本である。十字型制御棒20の翼には、B4Cが充填されたステンレス管の吸収棒が配置されている。また、十字型制御棒20の先端部には、脱着可能で運転中に引き抜き可能な水排除板を有している。チャンネルボックス21の十字型制御棒20が配置されないギャップ領域には、運転中に引き抜き可能な水排除板18が配置されている。燃焼初期に局所的に燃料棒出力が大きくなるコーナー部燃料棒6にはウラン濃縮度4.0wt%の燃料物質を、その他の燃料棒2にはウラン濃縮度4.9wt%の燃料物質を配置する。燃料集合体横断面平均のウラン濃縮度は4.87wt%である。本実施例では燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度4.87wt%の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。この燃料集合体を図23の炉心に装荷したときの炉心外接半径は2.7m、燃料有効長は236cmである。出力密度は79kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は26%、水ロッド中の水の体積割合は5%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は31%、燃料物質の体積割合は27%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.95である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.5kg/lである。チャンネルボックスの外幅と燃料集合体格子幅の比は0.86である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は38%、水ロッド中の水の体積割合は7%、燃料物質の体積割合は40%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.95である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.7kg/lである。
本実施例においても実施例23と同様に、ABWR炉心の燃料集合体格子に、外径10.2mmの燃料棒を、燃料棒ピッチ11.5mmの正方格子状に配置することにより、単位体積に含まれるウラン重量を炉心平均でABWRの約1.9kg/lより約32%増大した2.5kg/lとすることにより、燃料有効長がABWRの3.7mより約1.4m低い2.36mの軽水炉が実現できる。チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い21.8mmとすることにより、冷温時反応度上昇を抑えることができ、炉停止余裕を1.0%Δk以上にするとともに、ボイド係数の絶対値がABWRより小さい軽水炉を実現できる。また、本実施例では、燃料有効長をABWRの3.7mより低い2.36mに短尺化することにより、炉心流量を増加させてMCPR1.3以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上より、本実施例では、熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、炉心の高さを低減し発電所の建設コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。また、冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
さらに本実施例では、チャンネルボックス間距離と水ロッド内に存在する飽和水を水排除棒や水排除板で排除することにより、ウラン238からプルトニウムへの転換を増大させた軽水炉が実現できる。また水排除棒の挿入,引き抜きにより水対燃料体積比を自由に調整できるので可燃性毒物を用いる必要がなく、燃料集合体の寿命を延長して燃料サイクルコスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。
(第25の実施例)
本発明の第25の実施例を図29,図30により説明する。
図29に、本実施例の電気出力1356MWeの水平断面を示す。424体の燃料集合体19と、燃料集合体2体に1体の割合で197体の十字型制御棒20が示されている。
図30に燃料集合体格子の断面を示す。燃料集合体格子は燃料棒2,6,7、仕切板で内部を4領域に分割されたチャンネルボックス24とチャンネルボックス間のギャップ領域とチャンネルボックス24の外側に配置される十字型制御棒20から構成される。チャンネルボックス間距離は22.5mmである。チャンネルボックス24内の4つの領域には、外径10.0mmの燃料棒2が燃料棒ピッチ11.3mmで9列の正方格子状に配置されている。燃料集合体中心部には、仕切り板で区切られた水ロッド25が配置されている。チャンネルボックス24内の燃料棒の本数は300本である。十字型制御棒20の翼には、B4Cが充填されたステンレス管の吸収棒が配置されている。燃焼初期に局所的に燃料棒出力が大きくなるコーナー部燃料棒6にはウラン濃縮度4.0wt%の燃料物質を、その他の燃料棒2にはウラン濃縮度4.9wt%の燃料物質を配置してある。また、コーナー部燃料棒6以外でも燃焼初期に出力が大きくなる傾向があるチャンネルボックス及び水ロッドに隣接している燃料棒7には4.5wt%の可燃性毒物を添加したウラン濃縮度4.9wt%の燃料物質を配置することで燃焼初期の局所出力ピーキングを抑制している。燃料集合体横断面平均のウラン濃縮度は4.89wt%である。本実施例では燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度4.89wt%の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。この燃料集合体を図29の炉心に装荷したときの炉心外接半径は2.9m、燃料有効長は217cm、出力密度は79kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は29%、水ロッド中の水の体積割合は5%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は24%、燃料物質の体積割合は32%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.92である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.9kg/lである。チャンネルボックスの外幅と燃料集合体格子幅の比は0.90である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は37%、水ロッド中の水の体積割合は7%、燃料物質の体積割合は40%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.92である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.7kg/lである。
本実施例では、外径10.0mmの燃料棒を、燃料棒ピッチ11.3mmの正方格子状に配置することにより、単位体積に含まれるウラン重量を炉心平均でABWRの約1.9kg/lより53%増大した2.9kg/lとすることにより、燃料有効長がABWRの3.7mより約1.5m低い2.17mの軽水炉が実現する。チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い22.5mmとすることにより、冷温時反応度上昇を抑えることができ、炉停止余裕を1.0%Δk以上にするとともに、ボイド係数の絶対値がABWRより小さい軽水炉を実現できる。また、本実施例では、外径10.0mmの燃料棒を燃料棒ピッチ11.3mmの正方格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をABWRの172W/cmより約17%低い142W/cmとすることにより、MCPR1.3以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上より、本実施例では熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、炉心の高さを大幅に低減し発電所の建設コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。また、冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
(第26の実施例)
本発明の第26の実施例を以下に説明する。本実施例は、実施例25の構成をベースに高濃縮度燃料を用い高燃焼度化を達成しプラント利用率を増大したものである。
本実施例は、電気出力1356MWeで、炉心は実施例25の図29と同じ構成で、424体の燃料集合体と、燃料集合体2体に1体の割合で197体の十字型制御棒を配置している。
図31に燃料集合体格子の断面を示す。燃料集合体格子は燃料棒8,9,10、仕切板で内部を4領域に分割されたチャンネルボックス24とチャンネルボックス間のギャップ領域とチャンネルボックス24の外側に配置される十字型制御棒20から構成される。チャンネルボックス間距離は39.0mmである。チャンネルボックス24内の4つの領域には、外径10.0mmの燃料棒8が燃料棒ピッチ11.3mmで9列の正方格子状に配置されている。燃料集合体中心部には、仕切り板で区切られた水ロッド25が配置されている。チャンネルボックス24内の燃料棒の本数は300本である。十字型制御棒20の翼には、B4Cが充填されたステンレス管の吸収棒が配置されている。燃焼初期に局所的に燃料棒出力が大きくなるコーナー部燃料棒9にはウラン濃縮度6.5wt%の燃料物質を、その他の燃料棒8にはウラン濃縮度7.5wt%の燃料物質を配置してある。また、コーナー部燃料棒9以外でも燃焼初期に出力が大きくなる傾向があるチャンネルボックス及び水ロッドに隣接している燃料棒10には4.5wt%の可燃性毒物を添加したウラン濃縮度7.5wt%の燃料物質を配置することで燃焼初期の局所出力ピーキングを抑制している。燃料集合体横断面平均のウラン濃縮度は7.49wt%である。本実施例では燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度7.49wt%の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。この燃料集合体を炉心に装荷したときの燃料有効長は217cm、出力密度は69kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は25%、水ロッド中の水の体積割合は5%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は34%、燃料物質の体積割合は27%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.92である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.5kg/lである。チャンネルボックスの外幅と燃料集合体格子幅の比は0.84である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は37%、水ロッド中の水の体積割合は7%、燃料物質の体積割合は40%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.92である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.7kg/lである。
本実施例では、燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度を実施例25の4.89wt%から7.49wt%として取り出し燃焼度を増加させることにより、実施例25と比較してプラント利用率が増大した軽水炉が実現する。
本実施例では、外径10.0mmの燃料棒を、燃料棒ピッチ11.3mmの正方格子状に配置することにより、単位体積に含まれるウラン重量を炉心平均でABWRの約1.9kg/lより約32%増大した2.5kg/lとすることにより、燃料有効長がABWRの3.7mより約1.5m低い2.17mの軽水炉が実現する。チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い39.0mmとすることにより、冷温時反応度上昇を抑えることができ、炉停止余裕を1.0%Δk以上にするとともに、ボイド係数の絶対値がABWRより小さい軽水炉を実現できる。また、本実施例においても実施例25と同様に、外径10.0mmの燃料棒を燃料棒ピッチ11.3mmの正方格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をABWRの172W/cmより約17%低い142W/cmとすることにより、MCPR1.3以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。以上より、本実施例では熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、炉心の高さを大幅に低減し発電所の建設コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。また、冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
(第27の実施例)
本発明の第27の実施例を図32により説明する。本実施例は、実施例25の構成をベースに、燃料集合体の寿命を延長して燃料サイクルコストを低減したものである。
本実施例は、電気出力1356MWeで、炉心の水平断面は実施例25の図29と同じである。
図32に燃料集合体格子の断面を示す。燃料集合体格子は燃料棒2,6,水排除棒17,仕切板で内部を4領域に分割されたチャンネルボックス24,チャンネルボックス間のギャップ領域とチャンネルボックス24の外側に配置される十字型制御棒20から構成される。チャンネルボックス間距離は22.5mmである。チャンネルボックス24内の4つの領域には、外径10.0mmの燃料棒2が燃料棒ピッチ11.3mmで9列の正方格子状に配置されている。燃料集合体中心部には、仕切り板で区切られ、運転中に引き抜き可能な水排除棒17が入る水ロッド25が配置されている。チャンネルボックス24内の燃料棒の本数は300本である。十字型制御棒20の翼には、B4Cが充填されたステンレス管の吸収棒が配置されている。また、十字型制御棒20の先端部には、脱着可能で運転中に引き抜き可能な水排除板を有している。燃焼初期に局所的に燃料棒出力が大きくなるコーナー部燃料棒6にはウラン濃縮度4.0wt%の燃料物質を、その他の燃料棒2にはウラン濃縮度4.9wt%の燃料物質を配置する。燃料集合体横断面平均のウラン濃縮度は4.89wt%である。本実施例では燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度4.89wt%の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。この燃料集合体を図28の炉心に装荷したときの炉心外接半径は2.9m、燃料有効長は217cm、出力密度は79kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は29%、水ロッド中の水の体積割合は5%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は24%、燃料物質の体積割合は32%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.92である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.9kg/lである。チャンネルボックスの外幅と燃料集合体格子幅の比は0.90である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は37%、水ロッド中の水の体積割合は7%、燃料物質の体積割合は40%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.92である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.7kg/lである。
本実施例においても実施例25と同様に、外径10.0mmの燃料棒を、燃料棒ピッチ11.3mmの正方格子状に配置することにより、単位体積に含まれるウラン重量を炉心平均でABWRの約1.9kg/lより53%増大した2.9kg/lとすることにより、燃料有効長がABWRの3.7mより約1.5m低い2.17mの軽水炉が実現する。また、実施例25と同様に、チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い22.5mmとすることにより、冷温時反応度上昇を抑えることができ、炉停止余裕を1.0%Δk以上にすることができる。また、本実施例においても実施例25と同様に、外径10.0mmの燃料棒を燃料棒ピッチ11.3mmの正方格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をABWRの172W/cmより約17%低い142W/cmとすることにより、MCPR1.3以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上より、本実施例では熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、炉心の高さを大幅に低減し発電所の建設コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。さらに、本実施例では、チャンネルボックス間距離と水ロッド内に存在する飽和水を水排除棒や水排除板で排除することにより、ウラン238からプルトニウムへの転換を増大させた軽水炉が実現できる。さらに水排除棒の挿入,引き抜きにより水対燃料体積比を自由に調整できるので可燃性毒物を用いる必要がなく、燃料集合体の寿命を延長して燃料サイクルコスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。
(第28の実施例)
本発明の第28の実施例を以下に説明する。本実施例は燃料有効長を実施例25より長くして高燃焼度化によるプラント利用率向上を実現したものである。本実施例は、電気出力1356MWeで、炉心の水平断面は実施例25の図29と同じであり、燃料集合体格子は実施例25の図30と同じである。本実施例では燃料有効長をABWRと同一の371cmとした。本実施例では、外径10.0mmの燃料棒を、燃料棒ピッチ11.3mmの正方格子状に配置することにより、単位体積に含まれるウラン重量を炉心平均でABWRの約1.9kg/lより約53%増大した2.9kg/lの軽水炉が実現する。以上より、本実施例では、出力をABWRと同じ1356MWe、燃料有効長がABWRと同一の軽水炉において、取り出し燃焼度50Gd/tで連続運転期間30ヶ月とすることができる。また、チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い21.8mmとすることにより、冷温時反応度上昇を抑えることができ、炉停止余裕を1.0%Δk以上にするとともに、ボイド係数の絶対値がABWRより小さい軽水炉を実現できる。また、本実施例では、外径10.0mmの燃料棒を燃料棒ピッチ11.3mmの正方格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をABWRの172W/cmより約52%低い83W/cmとすることにより、MCPR1.3以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上より、本実施例では熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、プラントの連続運転期間を増加させることによりプラント利用率が向上し発電コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。また、高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
(第29の実施例)
本発明の第29の実施例を図33により説明する。本実施例は、実施例25をベースとして電気出力を増大したものである。
本実施例は、電気出力1700MWeで、炉心の水平断面は実施例25の図29と同じである。図33に燃料集合体格子の断面を示す。燃料集合体格子は燃料棒2,6,7、仕切板で内部を4領域に分割されたチャンネルボックス24とチャンネルボックス間のギャップ領域とチャンネルボックス24の外側に配置される十字型制御棒20から構成される。チャンネルボックス間距離は22.5mmである。チャンネルボックス24内の4つの領域には、外径10.1mmの燃料棒2が燃料棒ピッチ12.5mmで8列の正方格子状に配置されている。燃料集合体中心部には、仕切り板で区切られた水ロッド25が配置されている。チャンネルボックス24内の燃料棒の本数は232本である。十字型制御棒20の翼には、B4Cが充填されたステンレス管の吸収棒が配置されている。燃焼初期に局所的に燃料棒出力が大きくなるコーナー部燃料棒6にはウラン濃縮度4.0wt%の燃料物質を、その他の燃料棒2にはウラン濃縮度4.9wt%の燃料物質を配置してある。また、コーナー部燃料棒6以外でも燃焼初期に出力が大きくなる傾向があるチャンネルボックス及び水ロッドに隣接している燃料棒7には4.5wt%の可燃性毒物を添加したウラン濃縮度4.9wt%の燃料物質を配置することで燃焼初期の局所出力ピーキングを抑制している。燃料集合体横断面平均のウラン濃縮度は4.88wt%である。本実施例では燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度4.88wt%の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。この燃料集合体を図29の炉心に装荷したときの炉心外接半径は2.9m、燃料有効長は371cmである。出力密度は58kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は37%、水ロッド中の水の体積割合は7%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は25%、燃料物質の体積割合は25%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は1.48である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.3kg/lである。チャンネルボックスの外幅と燃料集合体格子幅の比は0.90である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は47%、水ロッド中の水の体積割合は8%、燃料物質の体積割合は32%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は1.48である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.9kg/lである。
本実施例では、外径10.1mmの燃料棒を、燃料棒ピッチ12.5mmの正方格子状に配置することにより、単位体積に含まれるウラン重量を炉心平均でABWRの約1.9kg/lより約21%増大した2.3kg/lの軽水炉が実現する。その結果、電気出力1700MWe、燃料有効長がABWRと同一の軽水炉において、取り出し燃焼度55Gd/tで連続運転期間20ヶ月とすることができる。本実施例では、チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い22.5mmとすることにより、冷温時反応度上昇を抑えることができ、炉停止余裕を1.0%Δk以上にするとともに、ボイド係数の絶対値がABWRより小さい軽水炉を実現できる。また、本実施例では、外径10.1mmの燃料棒を燃料棒ピッチ12.5mmの正方格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をABWRの172W/cmより約21%低い136W/cmとすることにより、MCPR1.3以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上より、本実施例では熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、プラントの連続運転期間を増加させることによりプラント利用率が向上し発電コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。また、高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
(第30の実施例)
本発明の第30の実施例を図34により説明する。電気出力1356MWeの本実施例は実施例25の変形例であり、炉心の水平断面は実施例25の図29と同じである。
図34に燃料集合体格子の断面を示す。燃料集合体格子は燃料棒2,6,7、仕切板で内部を4領域に分割されたチャンネルボックス24とチャンネルボックス間のギャップ領域とチャンネルボックス24の外側に配置される十字型制御棒20から構成される。チャンネルボックス間距離は22.5mmである。チャンネルボックス24内の4つの領域には、外径10.0mmの燃料棒2が燃料棒ピッチ11.3mmで9列の正方格子状に配置されている。燃料集合体中心部には、仕切り板で区切られた水ロッド26が配置されている。チャンネルボックス24内の燃料棒の本数は288本である。十字型制御棒20の翼には、B4Cが充填されたステンレス管の吸収棒が配置されている。燃焼初期に局所的に燃料棒出力が大きくなるコーナー部燃料棒6にはウラン濃縮度4.0wt%の燃料物質を、その他の燃料棒2にはウラン濃縮度4.9wt%の燃料物質を配置してある。また、コーナー部燃料棒6以外でも燃焼初期に出力が大きくなる傾向があるチャンネルボックス及び水ロッドに隣接している燃料棒7には4.5wt%の可燃性毒物を添加したウラン濃縮度4.9wt%の燃料物質を配置することで燃焼初期の局所出力ピーキングを抑制している。燃料集合体横断面平均のウラン濃縮度は4.89wt%である。本実施例では燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度4.89wt%の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。この燃料集合体を図29の炉心に装荷したときの炉心外接半径は2.9m、燃料有効長は217cmである。出力密度は79kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は28%、水ロッド中の水の体積割合は8%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は27%、燃料物質の体積割合は30%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.92である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.8kg/lである。チャンネルボックスの外幅と燃料集合体格子幅の比は0.90である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は35%、水ロッド中の水の体積割合は10%、燃料物質の体積割合は39%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.92である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.6kg/lである。
本実施例では、外径10.0mmの燃料棒を、燃料棒ピッチ11.3mmの正方格子状に配置することにより、単位体積に含まれるウラン重量を炉心平均でABWRの約1.9kg/lより約47%増大した2.8kg/lとすることにより、燃料有効長がABWRの3.7mより約1.5m低い2.17mの軽水炉が実現する。実施例25と同様に、チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い22.5mmとすることにより、冷温時反応度上昇を抑えることができ、炉停止余裕を1.0%Δk以上にするとともに、ボイド係数の絶対値がABWRより小さい軽水炉を実現できる。また、本実施例では、外径10.0mmの燃料棒を燃料棒ピッチ11.3mmの正方格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をABWRの172W/cmより約14%低い148W/cmとすることにより、MCPR1.3以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上より、本実施例では熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、炉心の高さを大幅に低減し発電所の建設コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。また、冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
(第31の実施例)
本発明の第31の実施例を図35及び図36により説明する。本実施例は、実施例20の燃料集合体に部分長燃料部棒を採用した場合である。燃料集合体図35の燃料集合体格子は燃料棒2,6,7と水ロッド23を内包するチャンネルボックス21とチャンネルボックス間のギャップ領域とチャンネルボックス21の外側に配置される十字型制御棒20から構成される。チャンネルボックス間距離は19.2mmである。チャンネルボックス間距離は従来燃料集合体より増大しており、炉心上部格子板との間隙を従来と同等にするため、図36に示したように燃料集合体上端部のチャンネルバック外幅がそれ以外より大きくなっている。このようなチャンネルボックスの構成は本実施例に限定されるものでなく、他の実施例においても適用可能である。チャンネルボックス21内には外径9.3mmの燃料棒2が燃料棒ピッチ10.8mmで正方格子状に配置され、燃料棒列12列の正方形燃料集合体を形成している。燃料棒30は部分長燃料棒である。燃料集合体中心部には、燃料棒単位格子セル12個分の領域に水ロッド23が配置されている。チャンネルボックス21内の燃料棒の本数は部分長燃料棒の有る下部断面は132本、部分長燃料棒の無い上部断面は116本である。十字型制御棒20の翼には、B4Cが充填されたステンレス管の吸収棒が配置されている。燃焼初期に局所的に燃料棒出力が大きくなるコーナー部燃料棒6にはウラン濃縮度4.0wt%の燃料物質を、その他の燃料棒2にはウラン濃縮度4.9wt%の燃料物質を配置してある。燃料集合体横断面平均のウラン濃縮度は4.87wt%である。この燃料集合体を図23の炉心に装荷したときの炉心外接半径は2.7m、燃料有効長は381cmである。出力密度は49kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は32%、水ロッド中の水の体積割合は4%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は28%、燃料物質の体積割合は26%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は1.22である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.4kg/lである。チャンネルボックスの外幅と燃料集合体格子幅の比は0.88である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は44%、水ロッド中の水の体積割合は6%、燃料物質の体積割合は36%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は1.22である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.3kg/lである。
図35の燃料集合体を採用し、サイクル毎の取り替え体数を108体とすることで、取り出し燃焼度63Gd/tで燃料平均燃焼日数3017日の超長寿命炉心とすることができる。また、チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い19.2mmとしつつ、部分長燃料棒を採用することにより、冷温時反応度上昇を抑えることができ、炉停止余裕を1.0%Δk以上にするとともに、ボイド係数の絶対値がABWRより小さい軽水炉を実現できる。また、ABWR炉心の燃料集合体格子に外径9.3mmの燃料棒を、燃料棒ピッチ10.8mmの正方格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をABWRの172W/cmより約45%低い95/cmとすることにより、MCPR1.3以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上の理由により、本実施例では、出力をABWRと同じ1356MWe、炉心外接半径及び燃料有効長がABWRと同一の軽水炉において、熱的余裕をABWRと同程度に保つことが可能となる。従って、本実施例により、熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、プラントの連続運転期間を増加させることによりプラント利用率が向上し発電コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。また、冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
(第32の実施例)
本発明の第32の実施例を図37〜図43により説明する。本実施例は、本発明の構成をBWR/5炉心に適用した例である。
図37に、本実施例の電気出力1100MWeの水平断面を示す。764体の燃料集合体19と、燃料集合体4体に1体の割合で185体の十字型制御棒20が示されている。燃料集合体格子内のチャンネルボックス,燃料棒,水ロッド,十字型制御棒,部分長燃料棒の配置,形状は、実施例31の図35と同じであるが、本実施例では、チャンネルボックス間距離は16.7mmである。この燃料集合体を図37の炉心に装荷したときの炉心外接半径は2.6m、燃料有効長は381cmである。出力密度は49kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は32%、水ロッド中の水の体積割合は5%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は26%、燃料物質の体積割合は27%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は1.19である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.4kg/lである。チャンネルボックスの外幅と燃料集合体格子幅の比は0.89である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は43%、水ロッド中の水の体積割合は7%、燃料物質の体積割合は36%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は1.19である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.3kg/lである。
本実施例の燃料集合体を採用し、サイクル毎の取り替え体数を188体とすることで、取り出し燃焼度56Gd/tで連続運転期間23ヶ月とすることができる。あるいはサイクル毎の取り替え体数を336体とすることで、取り出し燃焼度49Gd/tで連損区運転期間35ヶ月とすることができる。また、チャンネルボックス間距離をBWR/5の13mmより広い16.7mmとしつつ、部分長燃料棒を採用することにより、冷温時反応度上昇を抑えることができ、炉停止余裕を1.0%Δk以上にするとともに、ボイド係数の絶対値がBWR/5より小さい軽水炉を実現できる。また、BWR/5炉心の燃料集合体格子に外径9.3mmの燃料棒を、燃料棒ピッチ10.8mmの正方格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をBWR/5の164W/cmより約44%低い92/cmとすることにより、MCPR1.3以上を確保することができ、BWR/5と同程度の除熱性能を確保できる。
以上の理由により、本実施例では、出力をBWR/5と同じ1100MWe、炉心外接半径がBWR/5と同一の軽水炉において、熱的余裕をBWR/5と同程度に保つことが可能となる。従って、本実施例により、熱的余裕や安全性をBWR/5と同程度に保ちつつ、プラントの連続運転期間を増加させることによりプラント利用率が向上し発電コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。また、冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
本実施例では、燃料集合体内の水ロッドの形状を十字型形状としているが、これに限定されるものではない。図38から図40に示したような菱形,正方形あるいは円形の水ロッドであってもかまわない。これは実施例20,22,31でも同様である。また燃料棒列数が11列の実施例17〜19,21,23,24においても水ロッドが菱形に限定されるものではなく、図41から図43に示したような水ロッドであってもかまわない。