本発明の第1の目的は、熱的余裕や安全性を現在運転中のBWRと同程度に保ちつつ、炉心の高さを大幅に低減し発電所の建設コスト低減に寄与する沸騰水型軽水炉炉心を提供することである。
本発明の第2の目的は、熱的余裕や安全性を現在運転中のBWRと同程度に保ちつつ、運転中のプルトニウム生産量を増加させ、燃料集合体の寿命を延長して燃料サイクルコスト低減に寄与する沸騰水型軽水炉炉心を提供することである。
本発明の第3の目的は、熱的余裕や安全性を現在運転中のBWRと同程度に保ちつつ、プラントの連続運転期間を増加させプラント利用率を向上させ発電コスト低減に寄与する沸騰水型軽水炉炉心を提供することである。
本発明の第4の目的は、熱的余裕や安全性を現在運転中のBWRと同程度に保ちつつ、冷温時の反応度上昇、ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止余裕,過渡・安全特性改善に寄与する沸騰水型軽水炉炉心を提供することである。
炉心に装荷されている燃料集合体体数の制御棒駆動機構基数に対する比が3以上のBWR炉心の場合、以下の第1〜20の発明で上記目的が達成される。すなわち、上記第1,2,3の目的を達成する第1の発明は、炉心領域の単位体積に含まれるウラン,プルトニウム,マイナーアクチニドの平均重量が未燃焼時の値に換算して2.1〜3.4kg/lであることを特徴とするBWR炉心を提供する。単位体積あたりの燃料装荷量を増大することで炉心の高さを低減でき発電所の建設コストを低減できる。また、燃料集合体チャンネルボックス内部の水対燃料体積比が小さくなり、ウラン238からプルトニウムへの転換を増大させることが可能となり、燃料集合体の寿命を延長して燃料サイクルコストを低減できるとともに、プラントの連続運転期間を増加させプラント利用率を向上させることが可能となる。
上記第1,2,3の目的を達成する第2の発明は、炉心領域における燃料集合体チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップ,制御棒挿入用のガイド棒の中,水ロッドの中等を除くチャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合が18〜39%以下であることを特徴とするBWR炉心を提供する。二相流冷却水の体積割合を減少することで、その領域に燃料を装荷することができ単位体積あたりの燃料装荷量を増大できる。その結果第1の発明と同等の目的が達成できる。
上記第1,2,3,4の目的を達成する第3の発明は、炉心領域における燃料集合体チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップ,制御棒挿入用のガイド棒の中,水ロッドの中等の未飽和及び飽和水の体積割合が26〜38%であることを特徴とするBWR炉心を提供する。チャンネルボックス外側や水ロッド水内の体積割合を増大することで、中性子減速効果を従来より促進でき単位体積あたりの燃料装荷量を増大できる。その結果第1の発明と同等の目的が達成できる。さらに、中性子減速効果の向上により冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減できる。
上記第1,2,3,4の目的を達成する第4の発明は、炉心領域における燃料集合体チャンネルボックス内側の制御棒挿入用のガイド棒の中,水ロッドの中の未飽和及び飽和水の体積割合が6〜9%であることを特徴とするBWR炉心を提供する。水ロッド内の体積割合を増大することで、中性子減速効果を損なうことなく単位体積あたりの燃料装荷量を増大できる。その結果第1の発明と同等の目的が達成できる。さらに、中性子減速効果の向上により冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減できる。
上記第1,2,3の目的を達成する第5の発明は、炉心領域における燃料物質領域の体積割合が23〜37%であることを特徴とするBWR炉心を提供する。
上記第1,2,3の目的を達成する第6の発明は、炉心領域における燃料集合体チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップ,制御棒挿入用のガイド棒の中,水ロッドの中等を除くチャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積対燃料物質領域の体積割合の比が0.5〜1.8であることを特徴とするBWR炉心を提供する。
上記第1の目的を達成する第7の発明は、出力密度が63〜140kW/lであることを特徴とするBWR炉心を提供する。出力密度を増大することで、炉心の高さを大幅に低減し発電所の建設コストを低減できる。
上記第1,2,3,4の目的を達成する第8の発明は、燃料集合体チャンネルボックス間の平均間隙が17〜40mmであることを特徴とするBWR炉心を提供する。チャンネルボックス間の平均間隙を増大することで中性子減速効果を向上することができ、第3の発明と同等の目的が達成できる。
上記第1,2,3の目的を達成する第9の発明は、燃料棒間の間隙が正方格子配列の場合0.7〜2.6mm、三角格子配列の場合0.7〜3.6mmであることを特徴とするBWR炉心を提供する。燃料棒間隙を減少することでより多くの燃料を装荷することができ、第1の発明と同等の目的が達成できる。
上記第1,2,3,4の目的を達成する第10の発明は、燃料集合体チャンネルボックス外幅対平均燃料集合体格子幅の比が0.80〜0.89であることを特徴とするBWR炉心を提供する。燃料集合体チャンネルボックス外幅対平均燃料集合体格子幅を従来より減少することで中性子減速効果を向上することができ、第3の発明と同等の目的が達成できる。
上記第1の目的を達成する第11の発明は、燃料有効長が1.0m〜3.0mであることを特徴とするBWR炉心を提供する。
上記第1,2,3,4の目的を達成する第12の発明は、炉心領域の単位体積に含まれるウラン,プルトニウム,マイナーアクチニドの平均重量が未燃焼時の値に換算して2.1〜3.4kg/l であり、制御棒を燃料集合体チャンネルボックス間隙に挿入する方式の
BWR炉心で、かつ制御棒が挿入される側のチャンネルボックス平均間隙が、制御棒が挿入されない側のチャンネルボックス平均間隙よりも大きいことを特徴とするBWR炉心を提供する。
上記第1,2,3,4の目的を達成する第13の発明は、炉心領域の単位体積に含まれるウラン,プルトニウム,マイナーアクチニドの平均重量が未燃焼時の値に換算して2.1〜3.4kg/l であり、断面積が燃料棒単位格子セルの断面積より大きな1本以上の水ロッドを有する燃料集合体で構成されたことを特徴とするBWR炉心を提供する。
上記第1,2,3,4の目的を達成する第14の発明は、炉心領域の単位体積に含まれるウラン,プルトニウム,マイナーアクチニドの平均重量が未燃焼時の値に換算して2.1〜3.4kg/l であり、四角形の燃料集合体と、燃料集合体4体に1体の割合で燃料集合体間に挿入される十字型制御棒で構成されるBWR炉心を提供する。
上記第1,2,3,4の目的を達成する第15の発明は、炉心領域の単位体積に含まれるウラン,プルトニウム,マイナーアクチニドの平均重量が未燃焼時の値に換算して2.1〜3.4kg/l であり、四角形の燃料集合体と、燃料集合体1体当たり少なくとも1本以上挿入される丸形制御棒で構成されるBWR炉心を提供する。
上記第1,2,3,4の目的を達成する第16の発明は、炉心領域の単位体積に含まれるウラン,プルトニウム,マイナーアクチニドの平均重量が未燃焼時の値に換算して2.1〜3.4kg/l であり、六角形の燃料集合体と、燃料集合体間に挿入されるY字型制御棒で構成されるBWR炉心を提供する。
上記第1,2,3,4の目的を達成する第17の発明は、炉心領域の単位体積に含まれるウラン,プルトニウム,マイナーアクチニドの平均重量が未燃焼時の値に換算して2.1〜3.4kg/l であり、六角形の燃料集合体と、燃料集合体1体当たり少なくとも1本以上挿入される丸形又は六角形制御棒で構成されるBWR炉心を提供する。
上記第1,2,3,4の目的を達成する第18の発明は、炉心領域の単位体積に含まれるウラン,プルトニウム,マイナーアクチニドの平均重量が未燃焼時の値に換算して2.1〜3.4kg/l であり、燃料集合体チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップ,水ロッドの中等の所に、運転中に引き抜き可能な水排除板,水排除棒の少なくとも一方を設けることを特徴とするBWR炉心を提供する。
上記第1,2,3,4の目的を達成する第19の発明は、炉心領域の単位体積に含まれるウラン,プルトニウム,マイナーアクチニドの平均重量が未燃焼時の値に換算して2.1〜3.4kg/l であり、制御棒先端部に脱着可能で運転中に炉心から引き抜き可能な水排除板を設けることを特徴とするBWR炉心を提供する。
上記第1,2,3,4の目的を達成する第20の発明は、炉心領域の単位体積に含まれるウラン,プルトニウム,マイナーアクチニドの平均重量が未燃焼時の値に換算して2.1〜3.4kg/l であり、制御棒先端部に脱着可能で運転中に炉心から引き抜き可能な丸形又は六角形の水排除棒を設けることを特徴とするBWR炉心を提供する。
またBWR炉心に装荷される燃料集合体の場合、以下の第21〜32の発明で上記目的が達成される。
すなわち、上記第1,2,3の目的を達成する第21の発明は、チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン,プルトニウム,マイナーアクチニドの平均重量が未燃焼時の値に換算して2.8〜4.5kg/lであることを特徴とするBWR燃料集合体を提供する。
上記第1,2,3,4の目的を達成する第22の発明は、チャンネルボックス内領域における制御棒挿入用のガイド棒の中,水ロッドの中等を除くチャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合が24〜49%であることを特徴とするBWR燃料集合体を提供する。
上記第1,2,3,4の目的を達成する第23の発明は、炉心に装荷されている燃料集合体体数の制御棒駆動機構基数に対する比が3以上の炉心に装荷される燃料集合体において、チャンネルボックス内領域における制御棒挿入用のガイド棒の中,水ロッドの中等を除くチャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合が24〜52%であることを特徴とするBWR燃料集合体を提供する。
上記第1,2,3,4の目的を達成する第24の発明は、チャンネルボックス内領域における制御棒挿入用のガイド棒の中,水ロッドの中の未飽和及び飽和水の体積割合が9〜12%であることを特徴とするBWR燃料集合体を提供する。
上記第1,2,3,4の目的を達成する第25の発明は、炉心に装荷されている燃料集合体体数の制御棒駆動機構基数に対する比が3以上の炉心に装荷される燃料集合体において、チャンネルボックス内領域における制御棒挿入用のガイド棒の中,水ロッドの中の未飽和及び飽和水の体積割合が8〜12%であることを特徴とするBWR燃料集合体を提供する。
上記第1,2,3の目的を達成する第26の発明は、チャンネルボックス内領域における燃料物質領域の体積割合が30〜49%であることを特徴とするBWR燃料集合体を提供する。
上記第1,2,3の目的を達成する第27の発明は、チャンネルボックス内領域における制御棒挿入用のガイド棒の中,水ロッドの中等を除くチャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合対燃料物質領域の体積割合の比が0.5〜1.6 であることを特徴とするBWR燃料集合体を提供する。
上記第1,2,3の目的を達成する第28の発明は、炉心に装荷されている燃料集合体体数の制御棒駆動機構基数に対する比が3以上の炉心に装荷される燃料集合体において、チャンネルボックス内領域における制御棒挿入用のガイド棒の中,水ロッドの中等を除くチャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合対燃料物質領域の体積割合の比が0.5〜1.8であることを特徴とするBWR燃料集合体を提供する。
上記第1,2,3の目的を達成する第29の発明は、燃料棒間の間隙が正方格子配列の場合0.7〜2.3mm、三角格子配列の場合0.7〜3.3mmであることを特徴とするBWR燃料集合体を提供する。
上記第1,2,3,4の目的を達成する第30の発明は、炉心に装荷されている燃料集合体体数の制御棒駆動機構基数に対する比が3以上の炉心に装荷される燃料集合体において、燃料棒間の間隙が正方格子配列の場合0.7〜2.6mm 、三角格子配列の場合0.7〜3.6mm であることを特徴とするBWR燃料集合体を提供する。
上記第1の目的を達成する第31の発明は、燃料有効長が1.0m〜3.0mであることを特徴とするBWR燃料集合体を提供する。
上記第1,2,3,4の目的を達成する第32の発明は、チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン,プルトニウム,マイナーアクチニドの平均重量が未燃焼時の値に換算して2.8〜4.5kg/lであり、断面積が燃料棒単位格子セルの断面積より大きな1本以上の水ロッドを設けることを特徴とするBWR燃料集合体を提供する。
さらに、炉心に装荷されている燃料集合体体数の制御棒駆動機構基数に対する比が3未満のBWR炉心の場合、以下の第33〜47の発明で上記目的が達成される。
すなわち、上記第1,2,3の目的を達成する第33の発明は、炉心領域の単位体積に含まれるウラン,プルトニウム,マイナーアクチニドの平均重量が未燃焼時の値に換算して2.3〜3.4kg/lであることを特徴とするBWR炉心を提供する。
上記第1,2,3の目的を達成する第34の発明は、炉心領域における燃料集合体チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップ,制御棒挿入用のガイド棒の中,水ロッドの中等を除くチャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合が18〜39%であることを特徴とするBWR炉心を提供する。
上記第1,2,3,4の目的を達成する第35の発明は、炉心領域における燃料集合体チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップ,制御棒挿入用のガイド棒の中,水ロッドの中等の未飽和及び飽和水の体積割合が23〜38%であることを特徴とするBWR炉心を提供する。
上記第1,2,3,4の目的を達成する第36の発明は、ロッドの中の未飽和及び飽和水の体積割合が7〜9%であることを特徴とするBWR炉心を提供する。
上記第1,2,3の目的を達成する第37の発明は、炉心領域における燃料物質領域の体積割合が25〜37%であることを特徴とするBWR炉心を提供する。
上記第1,2,3の目的を達成する第38の発明は、炉心領域における燃料集合体チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップ,制御棒挿入用のガイド棒の中,水ロッドの中等を除くチャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積対燃料物質領域の体積割合の比が0.5〜1.6であることを特徴とするBWR炉心を提供する。
上記第1の目的を達成する第39の発明は、出力密度が63〜140kW/lであることを特徴とするBWR炉心を提供する。
上記第1,2,3,4の目的を達成する第40の発明は、燃料集合体チャンネルボックス間の平均間隙が19〜40mmであることを特徴とするBWR炉心を提供する。
上記第1,2,3の目的を達成する第41の発明は、燃料棒間の間隙が正方格子配列の場合0.7〜2.3mmであることを特徴とするBWR炉心を提供する。
上記第1,2,3,4の目的を達成する第42の発明は、燃料集合体チャンネルボックス外幅対平均燃料集合体格子幅の比が0.82〜0.91であることを特徴とするBWR炉心を提供する。
上記第1の目的を達成する第43の発明は、燃料有効長が1.0m〜3.0mであることを特徴とするBWR炉心を提供する。
上記第1,2,3,4の目的を達成する第44の発明は、炉心領域の単位体積に含まれるウラン,プルトニウム,マイナーアクチニドの平均重量が未燃焼時の値に換算して2.3〜3.4kg/l であり、制御棒を燃料集合体チャンネルボックス間隙に挿入する方式の
BWR炉心で、かつ制御棒が挿入される側のチャンネルボックス平均間隙が、制御棒が挿入されない側のチャンネルボックス平均間隙よりも大きいことを特徴とするBWR炉心を提供する。
上記第1,2,3,4の目的を達成する第45の発明は、炉心領域の単位体積に含まれるウラン,プルトニウム,マイナーアクチニドの平均重量が未燃焼時の値に換算して2.3〜3.4kg/l であり、断面積が燃料棒単位格子セルの断面積より大きな1本以上の水ロッドを有する燃料集合体で構成されたことを特徴とするBWR炉心を提供する。
上記第1,2,3,4の目的を達成する第46の発明は、炉心領域の単位体積に含まれるウラン,プルトニウム,マイナーアクチニドの平均重量が未燃焼時の値に換算して2.3〜3.4kg/l であり、四角形の燃料集合体と、燃料集合体2体に1体の割合で燃料集合体間に挿入される十字型制御棒で構成されるBWR炉心を提供する。
上記第1,2,3,4の目的を達成する第47の発明は、炉心領域の単位体積に含まれるウラン,プルトニウム,マイナーアクチニドの平均重量が未燃焼時の値に換算して2.3〜3.4kg/l であり、四角形の燃料集合体と、燃料集合体2体に1体の割合で燃料集合体間に挿入される十字型制御棒で構成され、制御棒先端部に脱着可能で運転中に炉心から引き抜き可能な水排除板を設けることを特徴とするBWR炉心を提供する。
本願発明者等の検討によれば、以下のことが判明している。なお、説明にあたっては、熱出力3926MW(電気出力1356MW),燃料集合体872体,制御棒205本のABWR炉心(炉心に装荷されている燃料集合体体数の制御棒駆動機構基数に対する比=872/205=4.25)を対象に高燃焼度8×8格子燃料集合体(燃料集合体1体当たりの燃料棒本数は60本)が装荷された場合を例にとる。しかしながら、本発明の効果は例に示す燃料集合体の燃料棒格子配列,形状(四角形燃料集合体),燃料集合体及び炉心の大きさに限定されるものではなく、六角形燃料集合体等の他の形状や、様々な大きさの燃料集合体及び炉心に適用しても同様の効果が得られる。出力,炉心冷却方式に関しても限定されるものではなく小型炉から大型炉,強制循環から自然循環まで同様の効果が得られる。燃料集合体のウラン濃縮度あるいは核分裂性プルトニウム富化度分布の軸方向構成に関しても一様分布に限定されるものではなく、燃料集合体軸方向に分布を有する燃料集合体,燃料領域の上下端に劣化ウラン,天然ウラン,低濃縮ウラン等からなるブランケット領域を有する燃料集合体を採用しても同様の効果が得られる。さらに、燃料集合体が燃料棒長さが異なる燃料棒から構成された場合であっても同様である。また本発明はバーナー型の熱中性子軽水炉を前提としており、ウラン濃縮度が3wt%から8wt%の低濃縮ウランの酸化物燃料または、核分裂性Pu富化度が2wt%以上6wt%未満の混合酸化物燃料を装荷したBWR炉心、あるいは定格出力の50%以上で運転されている時の炉心平均の実効的な水対燃料体積比[(Vm/Vf)eff]が1以上のBWR炉心を対象としている。なお実効的な水対燃料(本発明では燃料ペレットを示す)体積比とは、炉心内で蒸気ボイドが発生することを考慮して、幾何学的な水対燃料体積比[(Vm/Vf)geo]を拡張したものであり、蒸気ボイドが発生することでの水素密度の減少割合をFとすると両者には、
(Vm/Vf)eff=F×(Vm/Vf)geo
の関係がある。またFは炉心平均ボイド率[V(%)]を用いて次の関係式で表わされる。
F=(100−V)/100+f×V/100
ここで、fは飽和水密度に対する飽和蒸気密度の比である。
近年、原子力発電所に対しても経済性向上の要求が増大しており、特に建設コストの低減が望まれている。建設コスト低減の観点からは、できるだけ燃料有効長を低減し、原子炉建屋高さを低くし、フロア階数を削減することが望ましい。燃料有効長の低減は、圧力容器高さ,下部ドライウェル高さ,燃料貯蔵プール,燃料移送スペースの減少により原子炉建屋高さ低減に5〜6倍の大きさで寄与する。ABWRにおいて原子炉建屋高さを6〜7m程度低くできれば、原子炉建屋を1階層低くすることが可能となり、建設コストの大幅な低減となる。ABWRの燃料有効長は3.7m であるから、上記目標を達成するためには燃料有効長を2.3m 以下にする必要がある。しかしながら、単純に燃料有効長を短くしていくと、炉心の熱出力(W)を炉心内の燃料棒総本数と燃料有効長の積(cm)で割った単位長さ当たりの平均熱出力(以下、平均線出力密度と略記する)(W/cm)が増大し、燃料の除熱性能が損なわれる恐れがある。ABWRと同等以上の熱的余裕を確保するためには、平均線出力密度をABWR以下になるように設計する必要がある。ABWRと同程度の平均線出力密度を維持しつつ、燃料有効長を3.7mから2.3m以下に低減するためには、ABWRより炉心の燃料棒総本数を増やす必要がある。燃料棒総本数を増やす方法としては、
(1)炉心に装荷する燃料集合体数を増やす。
(2)燃料集合体1体当たりの燃料棒本数を増やす。
の2つが考えられる。前者を実施すると、炉心の大きさ、すなわち炉心外接半径が大きくなるので、原子炉圧力容器の径が増大し発電所の建設コストが増大する。従って、できるだけ(2)の方法を採用することが望ましい。
しかしながら、従来の軽水炉炉心設計では水が中性子の減速と燃料棒の冷却を兼ねているため、できるだけ燃料棒と水を均等に配置するのが良いとされてきた。現在運転中の
PWRではほぼ燃料棒と水は均質に配置されている。一方、直接サイクルであるBWRでは炉心中に蒸気が存在し二相流状態になり、蒸気相の炉心横方向のクロスフローをなくすためチャンネルボックスが設けられ十字型制御棒をチャンネルボックス間のすきまに挿入する構造になっていたり、高燃焼度用燃料については燃料集合体中央部に水ロッドが設けられており一見非均質に見えるが、これらの非均質性はチャンネルボックスと十字型制御棒という構造からやむをえず生じたもので、できるだけ均質化をめざすという基本的な考え方はPWRと同じである。その結果、二相流で十分な減速効果を得るために燃料集合体格子ピッチ約155mmのABWR炉心では炉心の貴重な空間の40%以上が二相流で占められており、肝心の燃料物質領域の体積割合(以下、本発明では燃料ペレット領域の体積割合を示す)はわずか20%で、炉心の単位体積に含まれるウラン,プルトニウム,マイナーアクチニドの重量(以下、重金属重量密度と略記する)を積極的に増大する検討は実施されなかった。
本願発明者等はこの点に着目し、燃料集合体格子を燃料棒を冷却する稠密燃料棒格子領域と中性子を減速する飽和水(なおここでの飽和水はサブクール水を含む)領域の二領域に非均質化すること、すなわちチャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水を燃料棒冷却に最低限必要な量に限定し、未飽和及び飽和水領域を増大し燃料集合体格子の中央部と周辺部に集中して十分な減速効果を得るようにし、飽和水領域に蓄積されたよく減速された中性子を拡散により燃料棒格子領域に送り込む構成を考案した。これにより、燃料有効長×燃料集合体体数×(燃料集合体格子水平断面積)で定義される炉心領域の単位体積に含まれる炉心装荷時の重金属重量密度を実施例において詳細に説明するように10%以上増大することを可能とした。なお、燃料集合体格子水平断面積とは、以下のとおりである。
四角形の燃料集合体と、燃料集合体4体に1体の割合で燃料集合体間に挿入される十字型制御棒とを含む炉心の場合には、「隣接する4本の十字型制御棒の中心点を頂点とする正方形(図2(a)参照)の面積を4で除した値」である。四角形の燃料集合体と、燃料集合体2体に1体の割合で燃料集合体間に挿入される十字型制御棒とを含む炉心の場合には、「隣接する4本の十字型制御棒の中心点を頂点とする正方形(図2(b)参照)の面積を2で除した値」である。六角形の燃料集合体と、燃料集合体間に挿入されるY字型制御棒とを含む炉心の場合には、「隣接する3本のY字型制御棒の中心点を頂点とする正三角形(図2(c)参照)の面積を1.5 で除した値」である。四角形の燃料集合体と、燃料集合体チャンネルボックス内に挿入される丸型制御棒とを含む炉心の場合には、「隣接する4体の燃料集合体の中心点を頂点とする正方形(図2(d)参照)の面積」である。六角形の燃料集合体と、燃料集合体チャンネルボックス内に挿入される丸型又は六角制御棒とを含む炉心の場合には、「隣接する3体の燃料集合体の中心点を頂点とする正三角形(図2(e)参照)の面積に2.0 を乗じた値」である。
図3に、燃料棒外径、及び炉心の単位体積に含まれる重金属重量密度とをパラメータとして、ABWRと同じ平均線出力密度とするのに必要な燃料有効長を示す。燃料棒が細くなるほど、少ない重金属重量密度で燃料有効長を低くすることが出来る。なぜならば、燃料棒外径が細くなれば燃料棒1本当たりのウラン,プルトニウム,マイナーアクチニドの重金属重量を減らすことが出来るため、同じ重金属重量密度であっても燃料棒総本数を増やすことが出来るからである。現行BWRにおいて使用実績のある最小の燃料棒外径は約10mmであり、このとき平均線出力密度を増大することなく原子炉建屋を1階層低くできる燃料有効長2.3m 以下とするためには重金属重量密度をABWRの約1.9kg/l より増大し2.1kg/l 以上にする必要があるが、本願発明により熱的余裕を損なうことなく達成可能である。また重金属重量密度2.1kg/l 以上で燃料有効長を3mまで延長することにより、短尺炉心による利点を維持しつつ燃料装荷量を増加できる。これによりプラントの連続運転期間を増加させプラント利用率を向上させること、あるいは燃料体交換体数の削減による燃料経済性の向上効果が得られる。
さらに、現行PWRにおいて使用されている燃料棒外径9.5mm の燃料棒を用い、燃料棒間隙を燃料集合体の製作や熱的余裕の確保などの点からの必要最小値である0.7mm として三角格子に配列すると、平均線出力密度を増大することなく燃料有効長を1.3m まで減少(出力密度を140kW/lまで増大) できる。この場合、重金属重量密度は3.3kg/lとなり、原子炉建屋を1階層低くできる燃料有効長2.3m の炉心では連続運転期間や燃料経済性をABWRとほぼ同等にすることも可能である。一方、燃料棒間隙0.7
mmで燃料棒外径を9.5mm より太くすると、燃料有効長の低減効果は減少するが重金属重量密度を3.4kg/lまで増大できる。重金属重量密度2.1〜3.4kg/l で燃料有効長を1.0m まで短尺にすれば原子炉建屋を2階層低くすることが可能である。さらに、前述(1)の炉心に装荷する燃料集合体数を増やす方法を併用することで、連続運転期間や燃料経済性を向上することが可能となる。
重金属重量密度を2.1〜3.4kg/l(これは(燃料有効長) ×(チャンネルボックス内水平断面積) で定義されるチャンネルボックス内領域の単位体積あたりに含まれる炉心装荷時の重金属重量密度2.8〜4.5kg/lに相当)にする際に問題となるのが、原子炉が安全に停止する能力があるかどうかを示す指標として設けられた設計基準である炉停止余裕の減少である。しかしながら、本発明では増大した未飽和及び飽和水領域を燃料集合体格子の中央部と周辺部に集中して配置しており、実効的な水対燃料体積比を増大させることなく冷温時の反応度上昇を抑制できる構成となっている。図4に重金属重量密度2.1
kg/lと3.4kg/l の場合の、冷温時反応度上昇と隣接する燃料集合体の対面するチャンネルボックス間距離の平均の関係を示す。なお隣接する燃料集合体の対面するチャンネルボックス間距離の平均は図5に示すように、四角形燃料集合体からなる炉心の場合4方向のチャンネルボックス間距離(a,b,c,d)の平均値、また六角形燃料集合体からなる炉心の場合6方向のチャンネルボックス間距離(e,f,g,h,i,j)の平均値を意味する。隣接する燃料集合体の対面するチャンネルボックス間距離の平均をABWRの約16mmよりも広い17〜40mmとすることで、燃料集合体平均濃縮度が8wt%の高燃焼度燃料集合体においても冷温時反応度上昇をABWR以下にすることが可能となる。特に、飽和水の層の厚さが19mmを超えると中性子の減速が急激に進むので、制御棒挿入のために設けられたギャップ水の幅を制御棒に必要な量より厚く、同時に燃料集合体の中央部の水ロッド領域を大きくする。燃料集合体の外と中央部で中性子を減速させ、減速された熱中性子を拡散により燃料棒格子に供給する考え方を採用することにより、燃料棒格子の二相流を中性子減速の役割から開放し、燃料棒格子の二相流を燃料棒冷却の役割に限ることが可能となる。その結果、炉心領域の40%以上を占めていた二相流の体積割合を18〜39%(チャンネルボックス内領域に対しては24〜52%)に減らすことができ、ギャップ水や水ロッドの体積割合を少し増加させても、核分裂エネルギー発生の主役である燃料物質領域の体積割合を23〜37%(チャンネルボックス内領域に対しては30〜49%)に大幅に増加させることができる。チャンネルボックス間の平均間隙増大効果は燃料集合体の形状や大きさによらず得られる一般的な知見であるが、従来のBWR炉心燃料設計では、中性子減速と除熱という軽水の二つの機能を同時に達成する構成にとらわれたため着目されてこなかった。軽水の機能を徹底的に分離する設計概念に基づく本発明ではその効果を有効に活用することが出来た。このとき炉心領域における未飽和及び飽和水領域の体積割合は26〜38%、炉心領域における制御棒挿入用のガイド棒の中,水ロッドの中の未飽和及び飽和水領域の体積割合は4%以上、特に6〜9%(チャンネルボックス内領域に対しては5%以上、特に8〜12%)、炉心領域並びにチャンネルボックス内領域における燃料集合体チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップ,制御棒挿入用のガイド棒の中,水ロッドの中等を除くチャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積対燃料物質領域の体積割合の比は0.5〜1.8、燃料集合体チャンネルボックス外幅対平均燃料集合体格子幅の比は0.80〜0.89である。なお本発明では、平均燃料集合体格子幅を燃料集合体格子セル面積と等面積の正方形、あるいは正六角形とした場合の対辺間隔で定義する。また、燃料棒間隙は燃料集合体の製作や熱的余裕の確保などの点からの必要最小値である0.7 以上とし、正方格子の場合の最大値を2.6mm (三角格子の場合には燃料棒格子セルでの重金属重量密度が正方格子と同等となる3.6mm )とする。さらに、燃料集合体の内側に、燃料棒よりも太くかつ飽和水を内包する大型水ロッドを1本以上設置すれば、燃料集合体チャンネルボックスの外側と内部に未飽和及び飽和水領域を集中して設けることが出来る。これにより十分な中性子減速効果を得ることができ、冷温時反応度上昇を更に小さく抑えることが可能となる。
一方、このように広いチャンネルボックス間間隙を確保すると、燃料棒を除熱するための二相流軽水領域の面積がABWRよりも少なくなって、燃料除熱性能に影響が出ることが懸念される。しかし本願発明者らが考案した軽水増殖BWR(特願平8−21890号公報)において示されているように、燃料棒の単位出力あたりの流量をABWRのそれと同程度にすることで同等の除熱性能が得られることが知られている。本発明では、燃料領域を増加させているため二相流領域割合は減少するが、炉心有効長が低減でき圧力損失を増大することなく除熱に必要な冷却材を流すことができ、出力密度を50kW/l以上、特に63〜140kW/lと増大することができる。
さらに、炉心に装荷されている燃料集合体体数の制御棒駆動機構基数に対する比が3より小さい大型燃料集合体で構成される炉心では、炉停止性能が向上するため炉心領域の単位体積に含まれる炉心装荷時の重金属重量密度を、実施例において詳細に説明するようにABWRより20%以上増大(2.3〜3.4kg/lに)することができる。このとき炉心領域における燃料物質領域の体積割合は25〜37%(チャンネルボックス内領域に対しては30〜49%)、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流の体積割合は18〜39%(チャンネルボックス内領域に対しては24〜49%)、未飽和及び飽和水領域の体積割合は23〜38%、制御棒挿入用のガイド棒の中,水ロッドの中の未飽和及び飽和水領域の体積割合は4%以上、特に7〜9%(チャンネルボックス内領域に対しては5%以上、特に9〜12%)、炉心領域並びにチャンネルボックス内領域における燃料集合体チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップ,制御棒挿入用のガイド棒の中,水ロッドの中等を除くチャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積対燃料物質領域の体積割合の比は0.5〜1.6である。また、炉停止性能が向上するため平均燃料集合体格子幅を大きくすることが可能であり、燃料集合体チャンネルボックス外幅対平均燃料集合体格子幅の比は0.82〜0.91となる。燃料棒間隙は燃料集合体の製作や熱的余裕の確保などの点からの必要最小値である0.7 以上とし、正方格子の場合の最大値を2.3mm (三角格子の場合には燃料棒格子セルでの重金属重量密度が正方格子と同等となる3.3mm)とする。
以上より、熱的余裕や安全性を現在運転中のBWRと同程度に保ちつつ、炉心の高さを大幅に低減し発電所の建設コスト低減でき、本発明の第1の目的が達成される。
また、以下の2つの作用により、前記第2の目的が達成される。
チャンネルボックスを従来のABWRよりも小さくし、かつ重金属重量密度を従来の
ABWRよりも大きくした本発明の燃料集合体では、チャンネルボックス内領域の単位体積あたりの重金属重量密度をABWRの約2.6kg/l に対して、2.8〜4.5kg/lと大きくできる。このため、燃料集合体チャンネルボックス内部の水対燃料体積比が小さくなり、ウラン238からプルトニウムへの転換量を増大出来る構成となっている。一方、プルトニウム生成量を増大するためには、従来のABWRよりも広いチャンネルボックス間間隙に存在する飽和水が問題となる。そこで、この飽和水を排除するための水排除棒、さらには制御棒上端に設置されたフォロアをチャンネルボックス間間隙等の飽和水領域に挿入することで、ウラン238からプルトニウムへの転換を増大させることが可能となり、同じウラン濃縮度の燃料を使用する時には、従来の燃料集合体に比べて高い燃焼度を実現することが出来る。これが第1の作用である。さらに、水排除棒を挿入することで水対燃料体積比を自在に調整できるので、可燃性毒物を用いることなく燃焼初期の余剰反応度の制御が可能となる。これにより、従来は可燃性毒物に吸収されていた中性子を、プルトニウムの生成に転用できるので、更に高い燃焼度を実現することが出来る。これが第2の作用である。
また、本発明の構成をABWR以前の既存炉炉心あるいはABWR炉心に適用した場合、すなわち燃料棒1本あたりの出力を変えず燃料有効長を2.3m から3.7m に増大した時には、炉心外接半径及び高さは従来のまま(出力密度は従来の50kW/l)で燃料重量密度の大きな炉心を実現することが出来る。この場合、燃料棒1本あたりの出力を一定として燃料有効長を増大しているため平均線出力密度が低減し、除熱に必要な炉心流量を大幅に低減しても熱的余裕が維持できる。その結果、本発明の第3の目的である、プラントの連続運転期間を増加させプラント利用率を向上させることが可能となる。
また本発明は、燃料集合体格子を燃料棒を冷却する稠密格子領域と中性子の減速領域の二領域に非均質化し、飽和水領域を増大し燃料集合体格子の中央部と周辺部に集中することで中性子減速効果を向上している。その結果、冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値が低減でき本発明の第4の目的である、炉停止性能,過渡・安定性特性の改善が可能となる。
本発明によれば、熱的余裕や安全性を現在運転中のBWRと同程度に保ちつつ、(1)炉心の高さを大幅に低減し発電所の建設コスト低減に寄与する、(2)運転中のプルトニウム生産量を増加させ、燃料集合体の寿命を延長して燃料サイクルコスト低減に寄与する、(3)プラントの連続運転期間を増加させプラント利用率を向上させ発電コスト低減に寄与する、(4)冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性の改善に寄与する炉心が構築できる。
以下、本発明の実施例を図面を用いて詳細に説明する。
(第1の実施例)
本発明の第1の実施例を図1及び図6により説明する。図6に、本実施例の電気出力
1356MWeの水平断面を示す。720体の燃料集合体5と、燃料集合体3体に1体の割合で223体のY字型制御棒4が示されている。図1に燃料集合体格子の断面を示す。燃料集合体格子は燃料棒2,6,7と水ロッド3を内包する正六角形状のチャンネルボックス1,チャンネルボックス間のギャップ領域とチャンネルボックス1の外側に配置されるY字型制御棒4から構成される。燃料集合体格子は正六角形状をしており、チャンネルボックス間距離は22.5mmである。チャンネルボックス1内には外径9.5mmの燃料棒2が燃料棒間隙1.8mmで三角格子状に配置され、燃料棒列9列の正六角形燃料集合体を形成している。燃料集合体中心部には、燃料棒列3列分、すなわち燃料棒単位格子セル19個分の領域に水ロッド3が配置されている。チャンネルボックス1内の燃料棒の本数は
198本である。Y字型制御棒4の翼には、B4C が充填されたステンレス管の吸収棒が配置されており、翼の間隔はそれぞれ120度である。燃焼初期に局所的に燃料棒出力が大きくなるコーナー部燃料棒6にはウラン濃縮度4.0wt% の燃料物質を、その他の燃料棒2にはウラン濃縮度4.9wt% の燃料物質を配置してある。また、コーナー部燃料棒6以外でも燃焼初期に出力が大きくなる傾向があるチャンネルボックス及び水ロッドに隣接している燃料棒7には4.5wt%の可燃性毒物を添加したウラン濃縮度4.9wt%の燃料物質を配置することで燃焼初期の局所出力ピーキングを抑制している。このような燃料配置を採用することにより、ペレット最高濃縮度5wt%の制約下で、局所出力ピーキングを過度に増大させることなく燃料集合体横断面平均のウラン濃縮度を4.87wt%まで高めることが可能となる。本実施例では燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度4.87wt%の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。この燃料集合体を図6の炉心に装荷したときの炉心外接半径は2.9m 、燃料有効長は194cm、出力密度は83
kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は27%、水ロッド中の水の体積割合は5%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は26%、燃料物質の体積割合は31%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は
0.88である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.8kg/lである。チャンネルボックスの外幅と燃料集合体格子幅の比は0.89 である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は36%、水ロッド中の水の体積割合は7%、燃料物質の体積割合は41%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.88 である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.8kg/l である。
次に、本実施例の作用を説明する。
本実施例では、六角形燃料集合体に沸騰水型軽水炉及び加圧水型軽水炉において使用実績のある外径9.5mmの燃料棒を間隙1.8mmの三角格子状に稠密配置し、燃料棒総本数を増やして単位体積に含まれるウラン重量を炉心平均でABWRの1.9kg/l より約47%増大した2.8kg/l とすることにより、燃料有効長がABWRの3.7mより約1.8m低い1.94m の軽水炉が実現する。その結果、出力をABWRと同じ1356MWe、炉心外接半径をABWRとほぼ同じ2.9m とした軽水炉において、ABWRと比較して燃料有効長を約1.8m 低減することが可能となり、原子炉建屋高さを約10m低くできる。また、本実施例では、チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い22.5mmとすることにより冷温時反応度上昇を抑えることができ、炉停止余裕を1.0%Δk 以上とすることができる。中性子減速効果を向上することでボイド係数は−6.0 ×10-4Δk/k%void となり、ABWRのボイド係数−8.0×10-4Δk/k/%voidと比較して絶対値が小さい軽水炉が実現できる。また、本実施例では、外径9.5mm の燃料棒を燃料棒間隙1.8mm の三角格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度を
ABWR(炉心に装荷されている全燃料集合体が9×9格子燃料集合体の場合)の172W/cmより約17%低い142W/cmとすることにより、MCPR1.3 以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
従って、本実施例により、熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、炉心の高さを大幅に低減し発電所の建設コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。さらに、熱的余裕や安全性を現在運転中のABWRと同程度に保ちつつ、冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
さらに、本実施例において燃料有効長を381cmに増大すると、原子炉建屋高さはABWRと同等となるが、連続運転期間13ケ月におけるサイクル毎の取り替え体数が65体となり、取り出し燃焼度65Gd/tで燃料平均燃焼日数4423日の超長寿命炉心とすることができる。また、燃料有効長を381cmに増大し、サイクル毎の取り替え体数を313体とすることで、取り出し燃焼度48Gd/t、連続運転期間46ヶ月の超長期運転サイクルとすることができる。
本実施例では、電気出力1356MWeの炉心についての構成,作用,効果を述べているが、出力規模はこれに限定されるものではない。燃料集合体の体数を変更することで、他の出力規模にも適用できる。以下の実施例も同様である。
本実施例では、燃料物質として軽水炉で使用されている低濃縮ウラン燃料を用いた場合についての構成,作用,効果を述べている。しかし、低濃縮ウラン燃料のかわりに、使用済み燃料を再処理して得られるプルトニウムを、軽水炉で使用される濃縮ウラン製造時にその残渣として発生する劣化ウランもしくは使用済み燃料から回収される減損ウランもしくは低濃縮ウランもしくは天然ウランに富化した混合酸化物燃料や、低除染再処理時に同伴するマイナーアクチニドを含む再処理プルトニウムを、劣化ウランもしくは減損ウランもしくは低濃縮ウランもしくは天然ウランに富化した混合酸化物燃料でも同等の効果が得られる。以下の実施例も同様である。
本実施例では、ウラン濃縮度あるいは核分裂性プルトニウム富化度を燃料集合体軸方向に一様に配置した場合についての構成,作用,効果を述べた。しかしながら、ウラン濃縮度あるいは核分裂性プルトニウム富化度の燃料集合体軸方向分布はこれに限定されるものではない。燃料集合体軸方向に異なるウラン濃縮度分布あるいは核分裂性プルトニウム富化度分布を持つ燃料集合体、あるいは燃料領域の上下端に劣化ウランもしくは減損ウランもしくは天然ウランからなるブランケット領域を持つ燃料集合体を採用しても本実施例と同様の効果が得られる。また、複数の燃料有効長を持つ燃料棒から構成される燃料集合体を採用しても同様の効果が得られる。以下の実施例も同様である。
(第2の実施例)
本発明の第2の実施例を以下に説明する。本実施例は、実施例1の構成をベースに、高濃縮度燃料を用い高燃焼度化を達成しプラント利用率を増大したものである。
本実施例は、電気出力1356MWeで、炉心は実施例1の図6と同じ構成で、720体の燃料集合体と、燃料集合体3体に1体の割合で223体のY字型制御棒を配置している。図7に燃料集合体格子の断面を示す。燃料集合体格子は燃料棒8,9,10と水ロッド3を内包する正六角形状のチャンネルボックス1とチャンネルボックス間のギャップ領域とチャンネルボックス1の外側に配置されるY字型制御棒4から構成される。燃料集合体格子は正六角形状をしており、チャンネルボックス間距離は39.0mm である。チャンネルボックス1内には外径9.5mmの燃料棒2が燃料棒間隙1.8mmで三角格子状に配置され、燃料棒列9列の正六角形燃料集合体を形成している。燃料集合体中心部には、燃料棒列3列分、すなわち燃料棒単位格子セル19個分の領域に水ロッド3が配置されている。チャンネルボックス1内の燃料棒の本数は198本である。Y字型制御棒4の翼には、
B4C が充填されたステンレス管の吸収棒が配置されており、翼の間隔はそれぞれ120度である。燃焼初期に局所的に燃料棒出力が大きくなるコーナー部燃料棒9にはウラン濃縮度6.5wt%の燃料物質を、その他の燃料棒8にはウラン濃縮度7.5wt%の燃料物質を配置してある。また、コーナー部燃料棒9以外でも燃焼初期に出力が大きくなる傾向があるチャンネルボックス及び水ロッドに隣接している燃料棒10には4.5wt% の可燃性毒物を添加したウラン濃縮度7.5wt% の燃料物質を配置することで燃焼初期の局所出力ピーキングを抑制している。燃料集合体横断面平均のウラン濃縮度は7.47wt%である。本実施例では燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度7.47wt% の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。この燃料集合体を図6と同じ構成の炉心に装荷したときの炉心外接半径は3.2m 、燃料有効長は194cm、出力密度は71kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は23%、水ロッド中の水の体積割合は4%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は37%、燃料物質の体積割合は26%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.88 である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.4kg/l である。チャンネルボックスの外幅と燃料集合体格子幅の比は0.82 である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は36%、水ロッド中の水の体積割合は7%、燃料物質の体積割合は41%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.88 である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.8kg/lである。
本実施例では、燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度を実施例1の4.87wt%から
7.47wt% として取り出し燃焼度を増加させることにより、実施例1と比較してプラント利用率が増大した軽水炉が実現する。
本実施例では、炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量をABWRの1.9kg/l より約26%増大した2.4kg/l とすることにより、燃料有効長がABWRの3.7m より約1.8m 低い1.94m の軽水炉が実現する。また、チャンネルボックス間距離を
ABWRの16mmより広い39.0mm とすることにより、冷温時反応度上昇を抑えることができる。また、本実施例においても実施例1と同様に、外径9.5mm の燃料棒を燃料棒間隙1.8mm の三角格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をABWRの172W/cmより約17%低い142W/cmとすることにより、MCPR1.3 以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上の理由により、熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、炉心の高さを大幅に低減し発電所の建設コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。さらに、熱的余裕や安全性を現在運転中のABWRと同程度に保ちつつ、冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
(第3の実施例)
本発明の第3の実施例を図8,図9により説明する。本実施例は、実施例1,2と異なり燃料集合体格子水平断面が正六角形でない場合に適用したものである。電気出力1356
MWeで、炉心は実施例1と同様に720体の燃料集合体と、燃料集合体3体に1体の割合で223体のY字型制御棒から構成されている。
図8に燃料集合体6体の配置とその中の1体の燃料集合体格子の断面を示す。燃料集合体格子は燃料棒2,6,7と水ロッド3を内包する正六角形状のチャンネルボックス1とチャンネルボックス間のギャップ領域とチャンネルボックス1の外側に配置されるY字型制御棒4から構成される。図8の燃料集合体格子は、チャンネルボックス1の六辺と燃料集合体格子との間隙をk,m,n,p,q,rとしたとき、Y字型制御棒4が挿入される側の間隙k,mとチャンネルボックス1をはさんで反対側の間隙p,qが残りの2つの間隙n,rより長い縦長の六角形状をしており、チャンネルボックス1の中心と燃料集合体格子の中心は同一である。間隙kとmとpとqは等しく、また、間隙nとrは等しい。Y字型制御棒4が挿入される側の2辺のチャンネルボックス間距離は24.1mm(kの二倍) 、残りの4辺のチャンネルボックス間距離は21.6mm(k+n)であり、チャンネルボックス間の平均距離は22.4mm である。チャンネルボックス1内には外径9.5mm の燃料棒2が燃料棒間隙1.8mm で三角格子状に配置され、燃料棒列9列の正六角形燃料集合体を形成している。燃料集合体中心部には、燃料棒列3列分、すなわち燃料棒単位格子セル19個分の領域に水ロッド3が配置されている。チャンネルボックス1内の燃料棒の本数は198本である。Y字型制御棒4の翼には、B4C が充填されたステンレス管の吸収棒が配置されており、翼の間隔はそれぞれ120度である。
本実施例のもう一つの燃料集合体構成として、図9に燃料集合体6体の配置とその中の1体の燃料集合体格子の断面を示す。図9の燃料集合体格子は、Y字型制御棒4が挿入される側の間隙k,mが残りの4つ間隙n,p,q,rより長い縦長の六角形状をしている。間隙kとmは等しく、また、間隙nとpとqとrは等しい。Y字型制御棒4が挿入される側の2辺のチャンネルボックス間距離は29.1mm(kの二倍) 、残りの4辺のチャンネルボックス間距離は19.1mm(nの二倍)であり、チャンネルボックス間の平均距離は
22.4mm である。チャンネルボックス1及びチャンネルボックス1内の燃料棒2,6,7と水ロッド3の形状,配置は図8と同一である。
この燃料集合体を図6の炉心に装荷したときの炉心外接半径は2.9m 、燃料有効長は194cm、出力密度は83kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は27%、水ロッド中の水の体積割合は5%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は26%、燃料物質の体積割合は31%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.88 である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は
2.8kg/l である。チャンネルボックスの外幅と縦長の六角形状燃料集合体の3つの格子幅を平均して得られる平均の燃料集合体格子幅の比は0.89 である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は36%、水ロッド中の水の体積割合は7%、燃料物質の体積割合は41%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.88 である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.8kg/l である。燃料集合体内の燃料物質配置は、実施例1と同じであり、燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度4.87wt% の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。
本実施例においても実施例1と同様に、炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量を
ABWRの1.9kg/lより約47%増大した2.8kg/lとすることにより、燃料有効長がABWRの3.7mより約1.8m低い1.94m の軽水炉が実現する。また、チャンネルボックス間の平均距離をABWRの16mmより広い22.4mm とすることにより、冷温時反応度上昇を抑えるとともに、ボイド係数が−6.0×10-4Δk/k%void とABWRより絶対値が小さい軽水炉を実現できる。また、本実施例においても実施例1と同様に、外径9.5mm の燃料棒を燃料棒間隙1.8mm の三角格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をABWRの172W/cmより約17%低い142W/cmとすることにより、MCPR1.3 以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上の理由により、熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、炉心の高さを大幅に低減し発電所の建設コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。さらに、熱的余裕や安全性を現在運転中のABWRと同程度に保ちつつ、冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
(第4の実施例)
本発明の第4の実施例を図10により説明する。本実施例は、実施例1の構成をベースに、低濃縮ウラン燃料のかわりに、濃縮ウラン製造時にその残渣として発生する劣化ウランに使用済み燃料を再処理して得られるプルトニウムを富化した混合酸化物燃料を採用したものである。
本実施例は、電気出力1356MWeで、炉心の水平断面の断面図は実施例1の図6と同じである。図10に燃料集合体格子の断面を示す。燃料集合体格子内のチャンネルボックス1,燃料棒12,13,14,水ロッド3,Y字型制御棒4の配置,形状,大きさは実施例1と同じである。燃焼初期に局所的に燃料棒出力が大きくなるコーナー部燃料棒
13には核分裂性Pu富化度5.0wt% の燃料物質を、その他の燃料棒12には核分裂性Pu富化度5.9wt% の燃料物質を配置してある。また、コーナー部燃料棒13以外でも燃焼初期に出力が大きくなる傾向があるチャンネルボックス及び水ロッドに隣接している燃料棒14には4.5wt%の可燃性毒物を添加した核分裂性Pu富化度5.9wt%に燃料物質を配置することで燃焼初期の局所出力ピーキングを抑制している。本実施例では燃料集合体横断面平均核分裂性Pu富化度5.87wt% の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。本実施例の炉心外接半径は2.9m 、燃料有効長は194cm、出力密度は83kW/l、炉心領域の単位体積に含まれるウランとプルトニウムの合計重量は2.8kg/l である。また、チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウランとプルトニウムの合計重量は3.8kg/l である。
本実施例では、炉心領域の単位体積に含まれるウランとプルトニウムの合計重量を2.8
kg/lとすることにより、燃料有効長がABWRの3.7mより約1.8m 低い1.94mの軽水炉が実現する。また、チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い22.5mmとすることにより、冷温時反応度上昇を抑えることができ、炉停止余裕を1.0%Δk 以上とすることができる。また、本実施例においても実施例1と同様に、外径9.5mm の燃料棒を燃料棒間隙1.8mm の三角格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をABWRの172W/cmより約17%低い142W/cmとすることにより、MCPR
1.3以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上の理由により、熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、炉心の高さを大幅に低減し発電所の建設コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。
(第5の実施例)
本発明の第5の実施例を図11,図12により説明する。本実施例は、実施例1の構成をベースに、チャンネルボックス間間隙に配置されたY字型制御棒のかわりに、燃料集合体中心部に太径丸棒制御棒を配置したものである。
図11に、本実施例の電気出力1356MWeの水平断面を示す。720体の燃料集合体5と、燃料集合体3体に挿入される太径丸棒制御棒を1つの制御棒駆動機構で作動させる223基の制御棒駆動機構15が示されている。図12に燃料集合体格子の断面を示す。燃料集合体格子は燃料棒2,6,7と水ロッド3と太径丸棒制御棒16を内包する正六角形状のチャンネルボックス1とチャンネルボックス間のギャップ領域から構成される。チャンネルボックス間距離は22.5mmである。チャンネルボックス1内には外径9.5mmの燃料棒2が燃料棒間隙1.8mm で三角格子状に配置され、燃料棒列9列の正六角形燃料集合体を形成している。燃料集合体中心部には、燃料棒列3列分、すなわち、燃料棒単位格子セル19個分の領域に、制御棒挿入時に太径丸棒制御棒16が入る水ロッド3が配置されている。チャンネルボックス1内の燃料棒の本数は198本である。太径丸棒制御棒16はB4C が充填されたステンレス管の吸収棒で構成されている。この燃料集合体を図11の炉心に装荷したときの炉心外接半径は2.9m 、燃料有効長は194cm、出力密度は83kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は27%、水ロッド中の水の体積割合は5%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は26%、燃料物質の体積割合は31%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.88 である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.8kg/l である。チャンネルボックスの外幅と燃料集合体格子幅の比は0.89 である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は36%、水ロッド中の水の体積割合は7%、燃料物質の体積割合は41%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.88 である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.8kg/l である。燃料集合体内の燃料物質配置は、実施例1と同じであり、燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度4.87wt% の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。
本実施例では、燃料集合体に配置された水ロッドをガイドチューブとして利用する太径丸棒制御棒を採用している。制御棒を太径化することにより、制御棒の機械的強度が増し、制御棒の挿入及び引き抜き時の曲がりや座屈を抑制することができる。また、燃料集合体あたりの吸収棒の本数を減らすことにより、制御棒の製造性が容易となり、製造コストが低減できる。
本実施例においても実施例1と同様に、炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量を
ABWRの1.9kg/lより約47%増大した2.8kg/lとすることにより、燃料有効長がABWRの3.7m より約1.8m低い1.94mの軽水炉が実現する。また、チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い22.5mm とすることにより、冷温時反応度上昇を抑えるとともに、ボイド係数が−6.0×10-4Δk/k%void とABWRより絶対値が小さい軽水炉を実現できる。また、本実施例においても実施例1と同様に、外径9.5mm の燃料棒を燃料棒間隙1.8mm の三角格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をABWRの172W/cmより約17%低い142W/cmとすることにより、MCPR1.3以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上の理由により、熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、炉心の高さを大幅に低減し発電所の建設コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。さらに、熱的余裕や安全性を現在運転中のABWRと同程度に保ちつつ、冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
(第6の実施例)
本発明の第6の実施例を図13,図14により説明する。本実施例は、実施例5の構成をベースに、燃料の装荷量を増大したものである。
図13に、本実施例の電気出力1356MWeの水平断面を示す。504体の燃料集合体5と、燃料集合体3体に挿入される太径丸棒制御棒を1つの制御棒駆動機構で作動させる157基の制御棒駆動機構15が示されている。図14に燃料集合体格子の断面を示す。燃料集合体格子は燃料棒2,6,7と水ロッド3と太径丸棒制御棒16を内包する正六角形状のチャンネルボックス1,チャンネルボックス間のギャップ領域から構成される。チャンネルボックス間距離は22.5mmである。チャンネルボックス1内には外径9.5mmの燃料棒2が燃料棒間隙1.7mmで三角格子状に配置され、燃料棒列11列の正六角形燃料集合体を形成している。燃料集合体中心部には、燃料棒列4列分、すなわち、燃料棒単位格子セル37個分の領域に、制御棒挿入時に太径丸棒制御棒16が入る水ロッド3が配置されている。チャンネルボックス1内の燃料棒の本数は294本である。太径丸棒制御棒16はB4C が充填されたステンレス管の吸収棒で構成されている。燃焼初期に局所的に燃料棒出力が大きくなるコーナー部燃料棒6にはウラン濃縮度4.0wt% の燃料物質を、その他の燃料棒2にはウラン濃縮度4.9wt% の燃料物質を配置してある。また、コーナー部燃料棒6以外でも燃焼初期に出力が大きくなる傾向があるチャンネルボックス及び水ロッドに隣接している燃料棒7には4.5wt% の可燃性毒物を添加したウラン濃縮度4.9wt% の燃料物質を配置することで燃焼初期の局所出力ピーキングを抑制している。燃料集合体横断面平均のウラン濃縮度は4.88wt% である。本実施例では燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度4.88wt% の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。この燃料集合体を図13の炉心に装荷したときの炉心外接半径は2.9m、燃料有効長は194cm、出力密度は85kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は26%、水ロッド中の水の体積割合は7%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は25%、燃料物質の体積割合は32%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.80 である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.0kg/l である。チャンネルボックスの外幅と燃料集合体格子幅の比は
0.90 である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は33%、水ロッド中の水の体積割合は9%、燃料物質の体積割合は42%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.80 である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.9kg/l である。
本実施例においても実施例5と同様に、燃料集合体に配置された水ロッドをガイドチューブとして利用する太径丸棒制御棒を採用している。制御棒を太径化することにより、制御棒の機械的強度が増し、制御棒の挿入及び引き抜き時の曲がりや座屈を抑制することができる。また、燃料集合体あたりの吸収棒の本数を減らすことにより、制御棒の製造性が容易となり、製造コストが低減できる。
本実施例では、炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量を3.0kg/l とすることにより、燃料有効長がABWRの3.7m より約1.8m 低い1.94m の軽水炉が実現する。
本実施例では、燃料集合体1体当たりの燃料棒本数を増やして燃料集合体を大型化することにより、炉心に装荷する燃料集合体数を実施例5の720体から504体に減らした。
本実施例では、燃料集合体の大型化とともに制御棒の占める領域を、実施例5の燃料棒単位格子セル19個分から37個分に増加することにより、制御棒価値を実施例5とほぼ同等とすることが可能となり、また、チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い22.5mm とすることにより、冷温時反応度上昇を抑えるとともに、ボイド係数を
ABWRより絶対値が小さい軽水炉を実現できる。また、本実施例では、外径9.5mm の燃料棒を燃料棒間隙1.7mm の三角格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をABWRの172W/cmより約20%低い137W/cmとすることにより、MCPR
1.3 以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上の理由により、熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、炉心の高さを大幅に低減し発電所の建設コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。さらに、熱的余裕や安全性を現在運転中のABWRと同程度に保ちつつ、冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
(第7の実施例)
本発明の第7の実施例を図15,図16により説明する。本実施例は、実施例1の構成をベースに、燃料の装荷量を増大したものである。
図15に、本実施例の電気出力1356MWeの水平断面を示す。426体の燃料集合体5と、燃料集合体3体に1体の割合で124体のY字型制御棒4が示されている。図
16に燃料集合体格子の断面を示す。燃料集合体格子は燃料棒2,6,7と水ロッド3を内包する正六角形状のチャンネルボックス1,チャンネルボックス間のギャップ領域とチャンネルボックス1の外側に配置されるY字型制御棒4から構成される。チャンネルボックス間距離は26.8mm である。チャンネルボックス1内には外径9.6mm の燃料棒2が燃料棒間隙1.4mm で三角格子状に配置され、燃料棒列12列の正六角形燃料集合体を形成している。燃料集合体中心部には、燃料棒列4列分、すなわち、燃料棒単位格子セル
37個分の領域に水ロッド3が配置されている。チャンネルボックス1内の燃料棒の本数は360本である。Y字型制御棒4の翼には、B4C が充填されたステンレス管の吸収棒が配置されており、翼の間隔はそれぞれ120度である。燃焼初期に局所的に燃料棒出力が大きくなるコーナー部燃料棒6にはウラン濃縮度4.0wt% の燃料物質を、その他の燃料棒2にはウラン濃縮度4.9wt% の燃料物質を配置してある。また、コーナー部燃料棒6以外でも燃焼初期に出力が大きくなる傾向があるチャンネルボックス及び水ロッドに隣接している燃料棒7には4.5wt%の可燃性毒物を添加したウラン濃縮度4.9wt%の燃料物質を配置することで燃焼初期の局所出力ピーキングを抑制している。燃料集合体横断面平均のウラン濃縮度は4.89wt% である。本実施例では燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度4.89wt% の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。この燃料集合体を図15の炉心に装荷したときの炉心外接半径は2.9m 、燃料有効長は194
cm、出力密度は85kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は23%、水ロッド中の水の体積割合は6%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は26%、燃料物質の体積割合は34%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.69である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.2kg/lである。チャンネルボックスの外幅と燃料集合体格子幅の比は0.89 である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は31%、水ロッド中の水の体積割合は8%、燃料物質の体積割合は45%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.69 である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は4.1kg/l である。
本実施例では、炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量を3.2kg/l とすることにより、燃料有効長がABWRの3.7m より約1.8m 低い1.94m の軽水炉が実現する。
本実施例では、燃料集合体1体当たりの燃料棒本数を増やして燃料集合体を大型化することにより、炉心に装荷する燃料集合体数を実施例1の720体から426体に減らした。本実施例では、チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い26.8mm とすることにより、冷温時反応度上昇を抑えるとともに、ボイド係数をABWRより絶対値が小さい軽水炉を実現できる。また、本実施例では、外径9.6mm の燃料棒を燃料棒間隙
1.4mm の三角格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をABWRの
172W/cmより約23%低い132W/cmとすることにより、MCPR1.3 以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上の理由により、熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、炉心の高さを大幅に低減し発電所の建設コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。また、冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
(第8の実施例)
本発明の第8の実施例を図17により説明する。本実施例は、実施例7の構成をベースに、自然循環炉心としたものである。
本実施例は電気出力518MWeで、炉心の水平断面の断面図は実施例7の図15と同じである。図17に燃料集合体格子の断面を示す。燃料集合体格子は燃料棒2,6,7と水ロッド3を内包する正六角形状のチャンネルボックス1,チャンネルボックス間のギャップ領域とチャンネルボックス1の外側に配置されるY字型制御棒4から構成される。チャンネルボックス間距離は27.4mm である。チャンネルボックス1内には外径14.5
mmの燃料棒2が燃料棒間隙1.3mm で三角格子状に配置され、燃料棒列8列の正六角形燃料集合体を形成している。燃料集合体中心部には、燃料棒列3列分、すなわち、燃料棒単位格子セル19個分の領域に水ロッド3が配置されている。チャンネルボックス1内の燃料棒の本数は150本である。Y字型制御棒4の翼には、B4C が充填されたステンレス管の吸収棒が配置されており、翼の間隔はそれぞれ120度である。燃焼初期に局所的に燃料棒出力が大きくなるコーナー部燃料棒6にはウラン濃縮度4.0wt% の燃料物質を、その他の燃料棒2にはウラン濃縮度4.9wt% の燃料物質を配置してある。また、コーナー部燃料棒6以外でも燃焼初期に出力が大きくなる傾向があるチャンネルボックス及び水ロッドに隣接している燃料棒7には4.5wt% の可燃性毒物を添加したウラン濃縮度4.9wt% の燃料物質を配置することで燃焼初期の局所出力ピーキングを抑制している。燃料集合体横断面平均のウラン濃縮度は4.86wt% である。本実施例では燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度4.86wt% の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。この燃料集合体を図15の炉心に装荷したときの炉心外接半径は2.9m 、燃料有効長は131cm、出力密度は53kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は18%、水ロッド中の水の体積割合は7%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は28%、燃料物質の体積割合は36%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.50 である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.3kg/l である。チャンネルボックスの外幅と燃料集合体格子幅の比は0.89である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は24%、水ロッド中の水の体積割合は9%、燃料物質の体積割合は
48%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.50 である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は4.5kg/l である。
本実施例では、炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量を3.3kg/l とすることにより、燃料有効長がABWRの3.7m より約2.4m 低い1.31m の軽水炉が実現する。
本実施例では、チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い27.4mm とすることにより、冷温時反応度上昇を抑えることができ、炉停止余裕を1.0%Δk 以上とすることができる。また、本実施例では、電気出力を518MWeとすることでMCPR1.3 以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上の理由により、熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、炉心の高さを大幅に低減し発電所の建設コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。また、冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
本実施例では、炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量を3.3kg/l として燃料有効長を1.31m と短尺にするとともに、電気出力を518MWeとして出力密度を小さくすることにより熱的余裕をABWRと同程度に保ちつつ炉心流量を低減することができる。
以上の理由により、炉心の圧力損失を低減でき、自然循環運転が可能な軽水炉が実現できる。
(第9の実施例)
本発明の第9の実施例を図18により説明する。本実施例は、実施例1の構成をベースに、燃料集合体の寿命を延長して燃料サイクルコストを低減したものである。
本実施例は、電気出力1356MWeで、炉心の水平断面は実施例1の図6と同じである。
図18に燃料集合体格子の断面を示す。燃料集合体格子は燃料棒2,6と水ロッド3と水排除棒17を内包する正六角形状のチャンネルボックス1,チャンネルボックス間のギャップ領域、チャンネルボックス1の外側に配置されるY字型制御棒4と水排除板18から構成される。チャンネルボックス間距離は22.5mm である。チャンネルボックス1内には外径9.5mm の燃料棒2が燃料棒間隙1.8mm で三角格子状に配置され、燃料棒列9列の正六角形燃料集合体を形成している。燃料集合体中心部には、燃料棒列3列分、すなわち、燃料棒単位格子セル19個分の領域に、運転中に引き抜き可能な水排除棒17が入る水ロッド3が配置されている。チャンネルボックス1内の燃料棒の本数は198本である。チャンネルボックス1の6辺中2辺にはY字型制御棒4が配置されている。Y字型制御棒4の翼には、B4C が充填されたステンレス管の吸収棒が配置されており、翼の間隔はそれぞれ120度である。Y字型制御棒4の先端部には、脱着可能で運転中に引き抜き可能な水排除板を有している。また、チャンネルボックス1の6辺中4辺に面するチャンネルボックス間のギャップ領域には、運転中に引き抜き可能な水排除板18が配置されている。燃焼初期に局所的に燃料棒出力が大きくなるコーナー部燃料棒6にはウラン濃縮度4.0wt% の燃料物質を、その他の燃料棒2にはウラン濃縮度4.9wt% の燃料物質を配置する。燃料集合体横断面平均のウラン濃縮度は4.87wt% である。本実施例では燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度4.87wt% の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。この燃料集合体を図6の炉心に装荷したときの炉心外接半径は2.9m、燃料有効長は194cm、出力密度は83kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は27%、水ロッド中の水の体積割合は5%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は26%、燃料物質の体積割合は31%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.88 である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.8kg/l である。チャンネルボックスの外幅と燃料集合体格子幅の比は0.89 である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は36%、水ロッド中の水の体積割合は7%、燃料物質の体積割合は41%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.88 である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.8kg/l である。
本実施例では、チャンネルボックス間距離と水ロッド内に存在する飽和水を水排除棒や水排除板で排除することにより、ウラン238からプルトニウムへの転換を増大させた軽水炉が実現できる。さらに、水排除棒の挿入,引き抜きにより水対燃料体積比を自由に調整できるので、可燃性毒物を用いる必要がなく燃料サイクルコスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。
本実施例においても実施例1と同様に、炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量を
ABWRの1.9kg/l より約47%増大した2.8kg/l とすることにより、燃料有効長がABWRの3.7m より約1.8m 低い1.94m の軽水炉が実現する。また、チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い22.5mm とすることにより、冷温時反応度上昇を抑えることができる。また、本実施例においても実施例1と同様に、外径
9.5mm の燃料棒を燃料棒間隙1.8mm の三角格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をABWRの172W/cmより約17%低い142W/cmとすることにより、MCPR1.3 以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上の理由により、熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、炉心の高さを大幅に低減し発電所の建設コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。
(第10の実施例)
本発明の第10の実施例を図19により説明する。本実施例は、実施例5の構成をベースに、燃料集合体の寿命を延長して燃料サイクルコストを低減したものである。
本実施例は、電気出力1356MWeで、炉心の水平断面は実施例5の図11と同じである。
図18に燃料集合体格子の断面を示す。燃料集合体格子は燃料棒2,6と水ロッド3と太径丸棒制御棒16を内包する正六角形状のチャンネルボックス1とチャンネルボックス間のギャップ領域、チャンネルボックス1の外側に配置される水排除板18から構成される。チャンネルボックス間距離は22.5mm である。チャンネルボックス1内には外径
9.5mm の燃料棒2が燃料棒間隙1.8mm で三角格子状に配置され、燃料棒列9列の正六角形燃料集合体を形成している。燃料集合体中心部には、燃料棒列3列分、すなわち、燃料棒単位格子セル19個分の領域に、制御棒挿入時に太径丸棒制御棒16が入る水ロッド3が配置されている。チャンネルボックス1内の燃料棒の本数は198本である。太径丸棒制御棒16はB4C が充填されたステンレス管の吸収棒で構成されている。太径丸棒制御棒16の先端には、脱着可能で運転中に引き抜き可能な水排除棒を有している。また、チャンネルボックス間のギャップ領域には、運転中に引き抜き可能な水排除板18が配置されている。燃焼初期に局所的に燃料棒出力が大きくなるコーナー部燃料棒6にはウラン濃縮度4.0wt% の燃料物質を、その他の燃料棒2にはウラン濃縮度4.9wt% の燃料物質を配置する。燃料集合体横断面平均のウラン濃縮度は4.87wt% である。本実施例では燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度4.87wt% の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。この燃料集合体を図11の炉心に装荷したときの炉心外接半径は2.9m 、燃料有効長は194cm、出力密度は83kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は27%、水ロッド中の水の体積割合は5%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は26%、燃料物質の体積割合は31%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.88 である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.8kg/l である。チャンネルボックスの外幅と燃料集合体格子幅の比は0.89 である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は36%、水ロッド中の水の体積割合は7%、燃料物質の体積割合は41%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.88 である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.8kg/l である。
本実施例においても実施例1と同様に、炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量を
ABWRの1.9kg/l より約47%増大した2.8kg/l とすることにより、燃料有効長がABWRの3.7m より約1.8m 低い1.94m の軽水炉が実現する。また、チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い22.5mm とすることにより、冷温時反応度上昇を抑えることができる。また、本実施例においても実施例1と同様に、外径
9.5mm の燃料棒を燃料棒間隙1.8mm の三角格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をABWRの172W/cmより約17%低い142W/cmとすることにより、MCPR1.3 以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上の理由により、熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、炉心の高さを大幅に低減し発電所の建設コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。
本実施例においても実施例5と同様に、燃料集合体に配置された水ロッドをガイドチューブとして利用する太径丸棒制御棒を採用している。制御棒を太径化することにより、制御棒の機械的強度が増し、制御棒の挿入及び引き抜き時の曲がりや座屈を抑制することができる。また、燃料集合体あたりの吸収棒の本数を減らすことにより、制御棒の製造性が容易となり、製造コストが低減できる。
本実施例においても実施例9と同様に、チャンネルボックス間距離と水ロッド内に存在する飽和水を水排除棒や水排除板で排除することにより、ウラン238からプルトニウムへの転換を増大させた軽水炉が実現できる。さらに、水排除棒の挿入,引き抜きにより水対燃料体積比を自由に調整できるので、可燃性毒物を用いる必要がなく燃料サイクルコスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。
(第11の実施例)
本発明の第11の実施例を図20により説明する。本実施例は、実施例3と同様に燃料集合体格子水平断面が正六角形でない場合に適用したものである。電気出力1356MWeで、炉心は実施例1と同様に720体の燃料集合体と、燃料集合体3体に1体の割合で
223体のY字型制御棒から構成されている。
図20に燃料集合体格子の断面を示す。燃料集合体格子は燃料棒2,6,7と水ロッド3を内包する正六角形状のチャンネルボックス1とチャンネルボックス間のギャップ領域とチャンネルボックス1の外側に配置されるY字型制御棒4から構成される。図20の燃料集合体格子は、チャンネルボックス1の六辺と燃料集合体格子との間隙をk,m,n,p,q,rとしたとき、Y字型制御棒4が挿入される側の間隙k,mとチャンネルボックス1をはさんで反対側の間隙p,qが残りの2つの間隙n,rより長い縦長の六角形状をしており、チャンネルボックス1の中心と燃料集合体格子の中心は同一である。間隙kとmとpとqは等しく、また、間隙nとrは等しい。Y字型制御棒4が挿入される側の2辺のチャンネルボックス間距離は20.8mm(kの二倍) 、残りの4辺のチャンネルボックス間距離は18.3mm(k+n)であり、チャンネルボックス間の平均距離は19.1mmである。チャンネルボックス1内には外径11.2mm の燃料棒2が燃料棒間隙3.7mm で三角格子状に配置され、燃料棒列7列の正六角形燃料集合体を形成している。燃料集合体中央部には、燃料棒列2列分、すなわち燃料棒単位格子セル7個分の領域に水ロッド3が2本配置されている。チャンネルボックス1内の燃料棒の本数は113本である。Y字型制御棒4の翼には、B4C が充填されたステンレス管の吸収棒が配置されており、翼の間隔はそれぞれ120度である。燃焼初期に局所的に燃料棒出力が大きくなるコーナー部燃料棒6にはウラン濃縮度4.0wt%の燃料物質を、その他の燃料棒2にはウラン濃縮度4.9
wt%の燃料物質を配置してある。また、コーナー部燃料棒6以外でも燃焼初期に出力が大きくなる傾向があるチャンネルボックス及び水ロッドに隣接している燃料棒7には4.5wt%の可燃性毒物を添加したウラン濃縮度4.9wt% の燃料物質を配置することで燃焼初期の局所出力ピーキングを抑制している。燃料集合体横断面平均のウラン濃縮度は
4.85wt% である。本実施例では燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度4.85wt% の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。この燃料集合体を図8の炉心に装荷したときの炉心外接半径は2.9m 、燃料有効長は266cm、出力密度は61kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は38%、水ロッド中の水の体積割合は5%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は24%、燃料物質の体積割合は24%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は1.61 である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.2kg/l である。チャンネルボックスの外幅と縦長の六角形状燃料集合体の3つの格子幅を平均して得られる平均の燃料集合体格子幅の比は0.90 である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は50%、水ロッド中の水の体積割合は7%、燃料物質の体積割合は31%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は
1.61 である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.9kg/lである。
本実施例では、炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量をABWRの1.9kg/l より約16%増大した2.2kg/l とすることにより、燃料有効長がABWRの3.7m より約1.0m低い2.66mの軽水炉が実現する。また、チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い19.1mm とすることにより、冷温時反応度上昇を抑えるとともに、ボイド係数の絶対値がABWRより小さい軽水炉を実現できる。また、本実施例では、燃料有効長をABWRの3.7mより低い2.66mに短尺化することにより、炉心流量を増加させてMCPR1.3 以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上の理由により本実施例では、熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、炉心の高さを大幅に低減し発電所の建設コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。また、冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
(第12の実施例)
本発明の第12の実施例を図21により説明する。本実施例は、燃料集合体・炉心を大型化し、炉心の高さを実施例1よりさらに低減したものである。
本実施例は、電気出力1356MWeで、炉心は実施例1の図6と同様に720体の燃料集合体と、燃料集合体3体に1体の割合で223体のY字型制御棒から構成されている。
図21に燃料集合体格子の断面を示す。燃料集合体格子は燃料棒2,6,7と水ロッド33を内包する正六角形状のチャンネルボックス1とチャンネルボックス間のギャップ領域とチャンネルボックス1の外側に配置されるY字型制御棒4から構成される。チャンネルボックス間距離は27.4mm である。チャンネルボックス1内には外径10.0mm の燃料棒2が燃料棒間隙1.8mm で三角格子状に配置され、燃料棒列10列の正六角形燃料集合体を形成している。燃料集合体中心部には、燃料棒列4列分、すなわち燃料棒単位格子セル37個分の領域に水ロッド3が配置されている。チャンネルボックス1内の燃料棒の本数は234本である。Y字型制御棒4の翼には、B4C が充填されたステンレス管の吸収棒が配置されており、翼の間隔はそれぞれ120度である。燃焼初期に局所的に燃料棒出力が大きくなるコーナー部燃料棒6にはウラン濃縮度4.0wt% の燃料物質を、その他の燃料棒2にはウラン濃縮度4.9wt% の燃料物質を配置してある。また、コーナー部燃料棒6以外でも燃焼初期に出力が大きくなる傾向があるチャンネルボックス及び水ロッドに隣接している燃料棒7には4.5wt% の可燃性毒物を添加したウラン濃縮度4.9wt%の燃料物質を配置することで燃焼初期の局所出力ピーキングを抑制している。燃料集合体横断面平均のウラン濃縮度は4.88wt% である。本実施例では燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度4.88wt% の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。この燃料集合体を炉心に装荷したときの炉心外接半径は3.4m 、燃料有効長は150cm、出力密度は79kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は25%、水ロッド中の水の体積割合は8%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は30%、燃料物質の体積割合は29%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.84である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.7kg/lである。チャンネルボックスの外幅と平均の燃料集合体格子幅の比は0.88 である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は33%、水ロッド中の水の体積割合は11%、燃料物質の体積割合は40%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.84 である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.7kg/l である。
本実施例では、六角形燃料集合体に、外径10.0mmの燃料棒を、間隙1.8mmの三角格子状に稠密配置し、燃料棒総本数を増やして炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量をABWRの1.9kg/l より約42%増大した2.7kg/l とするとともに、燃料集合体格子を大型化して、炉心外接半径を3.4m とすることにより、燃料有効長がABWRの3.7m より約2.0m 低い1.5m の軽水炉が実現する。燃料有効長を1.5m とすることにより、原子炉建屋を2階層低くすることができる。
本実施例では、チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い27.4mm とすることにより、冷温時反応度上昇を抑えることができ、炉停止余裕を1.0%Δk 以上とすることができる。
以上の理由により、本実施例では、出力をABWRと同じ1356MWeとした軽水炉において、冷温時反応度上昇を抑えるとともに、ボイド係数の絶対値がABWRより小さい軽水炉を実現できる。また、本実施例では、外径10.0mm の燃料棒を燃料棒間隙1.8
mmの三角格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をABWRの172W/cmより約10%低い155W/cmとすることにより、MCPR1.3 以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上の理由により、本実施例では、出力をABWRと同じ1356MWeとした軽水炉において、熱的余裕をABWRと同程度に保つことが可能となる。従って、本実施例により、熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、炉心の高さを大幅に低減し発電所の建設コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。また冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
(第13の実施例)
本発明の第13の実施例を以下に説明する。本実施例は、燃料集合体・炉心を大型化し、炉心の高さを実施例1よりさらに低減したものである。
本実施例は、電気出力1356MWeで、炉心は実施例1の図6と同様に720体の燃料集合体と、燃料集合体3体に1体の割合で223体のY字型制御棒から構成されている。燃料集合体格子内のチャンネルボックス,燃料棒,水ロッド,Y字型制御棒の配置,形状は、実施例12の図21と同じであるが、本実施例では、燃料棒外径は12.3mm 、燃料棒間隙は1.3mmである。この燃料集合体を炉心に装荷したときの炉心外接半径は3.8m、燃料有効長は110cm、出力密度は85kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は19%、水ロッド中の水の体積割合は8%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は29%、燃料物質の体積割合は35%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.55 である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.2kg/l である。チャンネルボックスの外幅と平均の燃料集合体格子幅の比は0.89 である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は25%、水ロッド中の水の体積割合は11%、燃料物質の体積割合は46%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.55 である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は4.2kg/l である。燃料集合体内の燃料物質配置は、実施例12と同じであり、燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度4.88wt%の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。
本実施例では、六角形燃料集合体に、外径12.3mmの燃料棒を、間隙1.3mmの三角格子状に稠密配置し、燃料棒総本数を増やして炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量をABWRの1.9kg/l より約68%増大した3.2kg/l とするとともに、燃料集合体格子を大型化して、炉心外接半径を3.8m とすることにより、燃料有効長がABWRの3.7m より約2.6m 低い1.1m の軽水炉が実現する。燃料有効長を1.1m とすることにより、原子炉建屋を3階層低くすることができる。
本実施例では、チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い27.4mm とすることにより、冷温時反応度上昇を抑えることができ、炉停止余裕を1.0%Δk 以上とすることができる。
以上の理由により、本実施例では、出力をABWRと同じ1356MWeとした軽水炉において、冷温時反応度上昇を抑えるとともに、ボイド係数の絶対値がABWRより小さい軽水炉を実現できる。また、本実施例では、燃料有効長をABWRの3.7m より低い1.1mに短尺化することにより、炉心流量を増加させてMCPR1.3以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上の理由により、本実施例では、出力をABWRと同じ1356MWeとした軽水炉において、熱的余裕をABWRと同程度に保つことが可能となる。従って、本実施例により、熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、炉心の高さを大幅に低減し発電所の建設コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。また冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
(第14の実施例)
本発明の第14の実施例を以下に説明する。本実施例は、燃料集合体・炉心を大型化し、炉心の高さを実施例1よりさらに低減したものである。
本実施例は、電気出力1356MWeで、炉心は実施例1の図6と同様に720体の燃料集合体と、燃料集合体3体に1体の割合で223体のY字型制御棒から構成されている。
燃料集合体格子内のチャンネルボックス,燃料棒,水ロッド,Y字型制御棒の配置,形状は、実施例12の図21と同じであるが、本実施例のチャンネルボックス間距離は32.0mm、燃料棒外径は9.3mm 、燃料棒間隙は1.3mm である。この燃料集合体を炉心に装荷したときの炉心外接半径は3.2m 、燃料有効長は100cm、出力密度は137kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は20%、水ロッド中の水の体積割合は8%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は35%、燃料物質の体積割合は29%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.68 である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.7kg/l である。チャンネルボックスの外幅と平均の燃料集合体格子幅の比は0.85 である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は29%、水ロッド中の水の体積割合は11%、燃料物質の体積割合は43%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.68 である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は4.0kg/l である。燃料集合体内の燃料物質配置は、実施例12と同じであり、燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度4.88wt% の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。
本実施例では、六角形燃料集合体に、外径9.3mm の燃料棒を、間隙1.3mm の三角格子状に稠密配置し、燃料棒総本数を増やして炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量をABWRの1.9kg/l より42%増大した2.7kg/l とするとともに、燃料集合体格子を大型化して、炉心外接半径を約3.2m とすることにより、燃料有効長がABWRの3.7m より約2.7m 低い1.0m の軽水炉が実現する。燃料有効長を1.0m とすることにより、原子炉建屋を3階層低くすることができる。また、本実施例では、燃料有効長をABWRの3.7m より低い1.0m に短尺化することにより、炉心流量を増加させてMCPR1.3 以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上の理由により、本実施例では、出力をABWRと同じ1356MWeとした軽水炉において、熱的余裕をABWRと同程度に保つことが可能となる。従って、本実施例により、熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、炉心の高さを大幅に低減し発電所の建設コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。また冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
(第15の実施例)
本発明の第15の実施例を図22により説明する。本実施例は、燃料有効長を実施例1よりも長くして高燃焼度化によるプラント利用率向上を実現したものである。
本実施例は、電気出力1356MWeで、炉心の水平断面は実施例1の図6と同じである。図22に燃料集合体格子の断面を示す。燃料集合体格子は燃料棒2,6,7と水ロッド3を内包する正六角形状のチャンネルボックス1とチャンネルボックス間のギャップ領域とチャンネルボックス1の外側に配置されるY字型制御棒4から構成される。チャンネルボックス間距離は27.4mm である。チャンネルボックス1内には外径10.2mm の燃料棒2が燃料棒間隙2.2mm で三角格子状に配置され、燃料棒列8列の正六角形燃料集合体を形成している。燃料集合体中心部には、燃料棒列3列分、すなわち燃料棒単位格子セル19個分の領域に水ロッド3が配置されている。チャンネルボックス1内の燃料棒の本数は150本である。Y字型制御棒4の翼には、B4C が充填されたステンレス管の吸収棒が配置されており、翼の間隔はそれぞれ120度である。燃焼初期に局所的に燃料棒出力が大きくなるコーナー部燃料棒6にはウラン濃縮度4.0wt% の燃料物質を、その他の燃料棒2にはウラン濃縮度4.9wt% の燃料物質を配置してある。また、コーナー部燃料棒6以外でも燃焼初期に出力が大きくなる傾向があるチャンネルボックス及び水ロッドに隣接している燃料棒7には4.5wt%の可燃性毒物を添加したウラン濃縮度4.9
wt%の燃料物質を配置することで燃焼初期の局所出力ピーキングを抑制している。燃料集合体横断面平均のウラン濃縮度は4.86wt% である。本実施例では燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度4.86wt% の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。この燃料集合体を図6の炉心に装荷したときの炉心外接半径は2.9m 、燃料有効長は223cm、出力密度は72kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は27%、水ロッド中の水の体積割合は6%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は32%、燃料物質の体積割合は27%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は1.01 である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は
2.5kg/lである。チャンネルボックスの外幅と平均の燃料集合体格子幅の比は0.86である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は39%、水ロッド中の水の体積割合は8%、燃料物質の体積割合は
38%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は1.01 である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.5kg/l である。
本実施例では、六角形燃料集合体に、外径10.2mmの燃料棒を、間隙2.2mmの三角格子状に稠密配置し、燃料棒総本数を増やして炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量をABWRの1.9kg/l より約32%増大した2.5g/l とすることにより、燃料有効長がABWRの3.7mより約1.5m 低い2.23mの軽水炉が実現できる。
本実施例では、チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い27.4mm とすることにより、冷温時反応度上昇を抑えることができ、炉停止余裕を1.0%Δk 以上にするとともに、ボイド係数の絶対値がABWRより小さい軽水炉を実現できる。また、本実施例では、外径10.2mmの燃料棒を燃料棒間隙2.2mmの三角格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をABWRの172W/cmより約5%低い163W/cmとすることにより、MCPR1.3 以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上の理由により、本実施例により熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、炉心の高さを大幅に低減し発電所の建設コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。また、冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
本実施例では、炉心高さを実施例1より長くすることにより実施例1より高燃焼度化が可能となり、プラント利用率が向上できる。従って、本実施例により、熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、プラントの連続運転期間を増加させることによりプラント利用率が向上し発電コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。
(第16の実施例)
本発明の第16の実施例を以下に説明する。本実施例は燃料有効長を実施例15よりさらに長くして高燃焼度化によるプラント利用率向上を実現したものである。
本実施例は、電気出力1356MWeで、炉心の水平断面は実施例1の図6と同じであり、燃料集合体格子は実施例15の図22と同じである。
本実施例では、六角形燃料集合体に、外径10.2mmの燃料棒を、間隙2.2mmの三角格子状に稠密配置し、燃料棒総本数を増やして炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量をABWRの1.9kg/l より約32%増大した2.5g/l とすることにより、燃料有効長がABWRの3.7m より約0.9m低い2.85mの軽水炉が実現できる。
本実施例では、チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い27.4mm とすることにより、冷温時反応度上昇を抑えることができ、炉停止余裕を1.0%Δk 以上にするとともに、ボイド係数の絶対値がABWRより小さい軽水炉を実現できる。また、本実施例では、外径10.2mmの燃料棒を燃料棒間隙2.2mmの三角格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をABWRの172W/cmより約26%低い128W/cmとすることにより、MCPR1.3 以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上の理由により、本実施例では熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、炉心の高さを低減し発電所の建設コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。また、冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
本実施例では、炉心高さを実施例15より長くすることにより実施例15より高燃焼度化が可能となり、プラント利用率が向上できる。従って、本実施例により、熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、プラントの連続運転期間を増加させることによりプラント利用率が向上し発電コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。
(第17の実施例)
本発明の第17の実施例を図23,図24により説明する。本実施例は、本発明の構成をABWR炉心に適用した例であるが、ABWR炉心以前の既存炉炉心に適用しても同様の効果が得られる。
図23に、本実施例の電気出力1356MWeの水平断面を示す。872体の燃料集合体19と、燃料集合体4体に1体の割合で205体の十字型制御棒20が示されている。図24に燃料集合体格子の断面を示す。燃料集合体格子は燃料棒2,6,7と水ロッド
22を内包するチャンネルボックス21とチャンネルボックス間のギャップ領域とチャンネルボックス21の外側に配置される十字型制御棒20から構成される。チャンネルボックス間距離は21.8mm である。チャンネルボックス21内には外径10.2mm の燃料棒2が燃料棒ピッチ11.5mm で正方格子状に配置され、燃料棒列11列の正方形燃料集合体を形成している。燃料集合体中心部には、燃料棒単位格子セル13個分の領域に水ロッド22が配置されている。チャンネルボックス21内の燃料棒の本数は108本である。十字型制御棒20の翼には、B4C が充填されたステンレス管の吸収棒が配置されている。燃焼初期に局所的に燃料棒出力が大きくなるコーナー部燃料棒6にはウラン濃縮度4.0wt%の燃料物質を、その他の燃料棒2にはウラン濃縮度4.9wt% の燃料物質を配置してある。また、コーナー部燃料棒6以外でも燃焼初期に出力が大きくなる傾向があるチャンネルボックスに隣接している燃料棒7には4.5wt% の可燃性毒物を添加したウラン濃縮度4.9wt% の燃料物質を配置することで燃焼初期の局所出力ピーキングを抑制している。燃料集合体横断面平均のウラン濃縮度は4.87wt% である。本実施例では燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度4.87wt% の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。この燃料集合体を図23の炉心に装荷したときの炉心外接半径は2.7m、燃料有効長は371cmであり、ABWRと同一である。出力密度は51kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は26%、水ロッド中の水の体積割合は5%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は31%、燃料物質の体積割合は27%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.95 である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.5kg/l である。チャンネルボックスの外幅と燃料集合体格子幅の比は0.86 である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は38%、水ロッド中の水の体積割合は7%、燃料物質の体積割合は40%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.95 である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.7kg/l である。
本実施例では、ABWR炉心の燃料集合体格子に、外径10.2mm の燃料棒を、燃料棒ピッチ11.5mm の正方格子状に配置することにより、単位体積に含まれるウラン重量を炉心平均でABWRの約1.9kg/l より約32%増大した2.5kg/l の軽水炉が実現する。
以上の理由により、本実施例では、出力をABWRと同じ1356MWe、炉心外接半径及び燃料有効長がABWRと同一の軽水炉において、取り出し燃焼度55Gd/tで連続運転期間27ヶ月とすることができる。本実施例では、チャンネルボックス間距離を
ABWRの16mmより広い21.8mm とすることにより、冷温時反応度上昇を抑えることができ、炉停止余裕を1.0%Δk 以上にするとともに、ボイド係数の絶対値がABWRより小さい軽水炉を実現できる。また、本実施例では、ABWR炉心の燃料集合体格子に外径10.2mm の燃料棒を燃料棒ピッチ11.5mm の正方格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をABWRの172W/cmより約35%低い112W/cmとすることにより、MCPR1.3 以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上の理由により、本実施例では、出力をABWRと同じ1356MWe、炉心外接半径及び燃料有効長がABWRと同一の軽水炉において、熱的余裕をABWRと同程度に保つことが可能となる。従って、本実施例により、熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、プラントの連続運転期間を増加させることによりプラント利用率が向上し発電コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。また、冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
(第18の実施例)
本発明の第18の実施例を以下に説明する。本実施例は、実施例17の更なる変形例であり、本実施例をABWR炉心以前の既存のBWR炉心に適用しても同様の効果が得られる。
本実施例は、電気出力1356MWeで、炉心の水平断面は実施例17の図23と同じである。本実施例における、燃料集合体格子内のチャンネルボックス,燃料棒,水ロッド,十字型制御棒の配置,形状は、実施例17の図24と同じであるが、本実施例では、燃料棒外径は9.4mm である。燃料集合体内の燃料物質配置は、実施例17と同じであり、燃料集合体横断面平均のウラン濃縮度は4.87wt% である。本実施例では燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度4.87wt% の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。この燃料集合体を図23の炉心に装荷したときの炉心外接半径は2.7m 、燃料有効長は371cmであり、ABWRと同一である。出力密度は51kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は32%、水ロッド中の水の体積割合は5%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は31%、燃料物質の体積割合は23%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は1.41 である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.1kg/l である。チャンネルボックスの外幅と燃料集合体格子幅の比は0.86 である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は47%、水ロッド中の水の体積割合は7%、燃料物質の体積割合は33%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は1.41 である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.1
kg/l である。
本実施例では、ABWR炉心の燃料集合体格子に、外径9.4mm の燃料棒を、燃料棒ピッチ11.5mm の正方格子状に配置することにより、単位体積に含まれるウラン重量を炉心平均でABWRの約1.9kg/lより約11%増大した2.1kg/lの軽水炉が実現する。
以上の理由により、本実施例では、出力をABWRと同じ1356MWe、炉心外接半径及び燃料有効長がABWRと同一の軽水炉において、取り出し燃焼度55Gd/tで連続運転期間を約2年とすることができる。
本実施例では、チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い21.8mm とすることにより、冷温時反応度上昇を抑えることができ、炉停止余裕を1.0%Δk 以上にするとともに、ボイド係数の絶対値がABWRより小さい軽水炉を実現できる。
また、本実施例では、ABWR炉心の燃料集合体格子に外径9.4mm の燃料棒を燃料棒ピッチ11.5mm の正方格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をABWRの172W/cmより約35%低い112W/cmとすることにより、MCPR1.3 以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上の理由により、本実施例では、出力をABWRと同じ1356MWe、炉心外接半径及び燃料有効長がABWRと同一の軽水炉において、熱的余裕をABWRと同程度に保つことが可能となる。従って、本実施例により、熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、プラントの連続運転期間を増加させることによりプラント利用率が向上し発電コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。また、冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
(第19の実施例)
本発明の第19の実施例を以下に説明する。本実施例は、実施例17の更なる変形例であり、本実施例をABWR炉心以前の既存のBWR炉心に適用しても同様の効果が得られる。
本実施例は、電気出力1356MWeで、炉心の水平断面は実施例17の図23と同じである。本実施例における、燃料集合体格子内のチャンネルボックス,燃料棒,水ロッド,十字型制御棒の配置,形状は、実施例17の図24と同じであるが、本実施例では、燃料棒外径は9.5mm である。燃料集合体内の燃料物質配置は、実施例17と同じであり、燃料集合体横断面平均のウラン濃縮度は4.87wt% である。本実施例では燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度4.87wt% の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。この燃料集合体を図23の炉心に装荷したときの炉心外接半径は2.7m 、燃料有効長は371cmであり、ABWRと同一である。出力密度は51kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は31%、水ロッド中の水の体積割合は5%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は31%、燃料物質の体積割合は23%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は1.36 である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.14kg/l である。チャンネルボックスの外幅と燃料集合体格子幅の比は0.86 である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は46%、水ロッド中の水の体積割合は7%、燃料物質の体積割合は34%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は1.36である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.14
kg/lである。
本実施例では、ABWR炉心の燃料集合体格子に、外径9.5mm の燃料棒を、燃料棒ピッチ11.5mm の正方格子状に配置することにより、単位体積に含まれるウラン重量を炉心平均でABWRの約1.9kg/l より約13%増大した2.14kg/l の軽水炉が実現する。
以上の理由により、本実施例では、出力をABWRと同じ1356MWe、炉心外接半径及び燃料有効長がABWRと同一の軽水炉において、取り出し燃焼度55Gd/tで連続運転期間を約2年とすることができる。
本実施例では、チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い21.8mm とすることにより、冷温時反応度上昇を抑えることができ、炉停止余裕を1.0%Δk 以上にするとともに、ボイド係数の絶対値がABWRより小さい軽水炉を実現できる。また、本実施例では、ABWR炉心の燃料集合体格子に外径9.5mmの燃料棒を燃料棒ピッチ11.5
mmの正方格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をABWRの172W/cmより約35%低い112W/cmとすることにより、MCPR1.3 以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上の理由により、本実施例では、出力をABWRと同じ1356MWe、炉心外接半径及び燃料有効長がABWRと同一の軽水炉において、熱的余裕をABWRと同程度に保つことが可能となる。従って、本実施例により、熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、プラントの連続運転期間を増加させることによりプラント利用率が向上し発電コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。また、冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
(第20の実施例)
本発明の第20の実施例を図25により説明する。本実施例は、実施例17をベースに平均線出力密度をより低減したものである。
本実施例は、電気出力1356MWeで、炉心の水平断面は実施例17の図23と同じである。図25に燃料集合体格子の断面を示す。燃料集合体格子は燃料棒2,6,7と水ロッド23を内包するチャンネルボックス21とチャンネルボックス間のギャップ領域とチャンネルボックス21の外側に配置される十字型制御棒20から構成される。チャンネルボックス間距離は21.8mm である。チャンネルボックス21内には外径9.3mm の燃料棒2が燃料棒ピッチ10.6mm で正方格子状に配置され、燃料棒列12列の正方形燃料集合体を形成している。燃料集合体中心部には、燃料棒単位格子セル12個分の領域に水ロッド23が配置されている。チャンネルボックス21内の燃料棒の本数は132本である。十字型制御棒20の翼には、B4C が充填されたステンレス管の吸収棒が配置されている。燃焼初期に局所的に燃料棒出力が大きくなるコーナー部燃料棒6にはウラン濃縮度4.0wt% の燃料物質を、その他の燃料棒2にはウラン濃縮度4.9wt% の燃料物質を配置してある。また、コーナー部燃料棒6以外でも燃焼初期に出力が大きくなる傾向があるチャンネルボックスに隣接している燃料棒7には4.5wt% の可燃性毒物を添加したウラン濃縮度4.9wt% の燃料物質を配置することで燃焼初期の局所出力ピーキングを抑制している。燃料集合体横断面平均のウラン濃縮度は4.87wt% である。本実施例では燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度4.87wt% の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。この燃料集合体を図23の炉心に装荷したときの炉心外接半径は2.7m 、燃料有効長は371cmであり、ABWRと同一である。出力密度は51kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は27%、水ロッド中の水の体積割合は4%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は30%、燃料物質の体積割合は27%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.98 である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.5kg/l である。チャンネルボックスの外幅と燃料集合体格子幅の比は0.86 である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は39%、水ロッド中の水の体積割合は6%、燃料物質の体積割合は40%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.98 である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.7kg/l である。
本実施例では、ABWR炉心の燃料集合体格子に、外径9.3mm の燃料棒を、燃料棒ピッチ10.6mm の正方格子状に配置することにより、単位体積に含まれるウラン重量を炉心平均でABWRの約1.9kg/lより約32%増大した2.5kg/lの軽水炉が実現する。
以上の理由により、本実施例では、出力をABWRと同じ1356MWe、炉心外接半径及び燃料有効長がABWRと同一の軽水炉において、取り出し燃焼度55Gd/tで連続運転期間27ヶ月とすることができる。
本実施例では、チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い21.8mm とすることにより、冷温時反応度上昇を抑えることができ、炉停止余裕を1.0%Δk 以上にするとともに、ボイド係数の絶対値がABWRより小さい軽水炉を実現できる。また、本実施例では、ABWR炉心の燃料集合体格子に外径9.3mm の燃料棒を、燃料棒ピッチ
10.6mm の正方格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をABWRの172W/cmより約47%低い92W/cmとすることにより、MCPR1.3 以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上の理由により、本実施例では、出力をABWRと同じ1356MWe、炉心外接半径及び燃料有効長がABWRと同一の軽水炉において、熱的余裕をABWRと同程度に保つことが可能となる。従って、本実施例により、熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、プラントの連続運転期間を増加させることによりプラント利用率が向上し発電コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。また、冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
(第21の実施例)
本発明の第21の実施例を図26により説明する。本実施例は、実施例17の構成をベースに、チャンネルボックス間間隙に配置された十字型制御棒のかわりに、燃料集合体中心部に太径丸棒制御棒を配置したものである。
本実施例は、電気出力1356MWeで、炉心の水平断面は実施例17の図23と同じである。図26に燃料集合体格子の断面を示す。燃料集合体格子は燃料棒2,6,7と水ロッド22と太径丸棒制御棒16を内包するチャンネルボックス21とチャンネルボックス間のギャップ領域から構成される。チャンネルボックス間距離は21.8mm である。チャンネルボックス21内には外径10.2mmの燃料棒2が燃料棒ピッチ11.5mmで正方格子状に配置され、燃料棒列11列の正方形燃料集合体を形成している。燃料集合体中心部には、燃料棒単位格子セル13個分の領域に、制御棒挿入時に太径丸棒制御棒16が入る水ロッド22が配置されている。チャンネルボックス21内の燃料棒の本数は108本である。太径丸棒制御棒16はB4C が充填されたステンレス管の吸収棒で構成されている。燃焼初期に局所的に燃料棒出力が大きくなるコーナー部燃料棒6にはウラン濃縮度4.0wt%の燃料物質を、その他の燃料棒2にはウラン濃縮度4.9wt% の燃料物質を配置してある。また、コーナー部燃料棒6以外でも燃焼初期に出力が大きくなる傾向があるチャンネルボックスに隣接している燃料棒7には4.5wt% の可燃性毒物を添加したウラン濃縮度4.9wt% の燃料物質を配置することで燃焼初期の局所出力ピーキングを抑制している。燃料集合体横断面平均のウラン濃縮度は4.87wt% である。本実施例では燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度4.87wt% の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。この燃料集合体を図23の炉心に装荷したときの炉心外接半径は2.7m、燃料有効長は371cmであり、ABWRと同一である。出力密度は51kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は26%、水ロッド中の水の体積割合は5%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は31%、燃料物質の体積割合は27%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.95 である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.5kg/l である。チャンネルボックスの外幅と燃料集合体格子幅の比は0.86 である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は38%、水ロッド中の水の体積割合は7%、燃料物質の体積割合は40%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.95 である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.7kg/l である。
本実施例では、燃料集合体に配置された水ロッドをガイドチューブとして利用する太径丸棒制御棒を採用している。制御棒を太径化することにより、制御棒の機械的強度が増し、制御棒の挿入及び引き抜き時の曲がりや座屈を抑制することができる。また、燃料集合体あたりの吸収棒の本数を減らすことにより、制御棒の製造性が容易となり、製造コストが低減できる。
本実施例においても実施例17と同様に、ABWR炉心の燃料集合体格子に、外径10.2mmの燃料棒を、燃料棒ピッチ11.5mm の正方格子状に配置することにより、単位体積に含まれるウラン重量を炉心平均でABWRの約1.9kg/lより約32%増大した2.5kg/lの軽水炉が実現する。以上の理由により、本実施例では、出力をABWRと同じ1356MWe、炉心外接半径及び燃料有効長がABWRと同一の軽水炉において、取り出し燃焼度55Gd/tで連続運転期間27ヶ月とすることができる。本実施例においても実施例17と同様に、チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い21.8mm とすることにより、冷温時反応度上昇を抑えることができ、炉停止余裕を1.0%Δk 以上にするとともに、ボイド係数の絶対値がABWRより小さい軽水炉を実現できる。また、本実施例では、実施例17と同様にABWR炉心の燃料集合体格子に外径10.2mm の燃料棒を燃料棒ピッチ11.5mm の正方格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をABWRの172W/cmより約35%低い112W/cmとすることにより、MCPR1.3以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
従って、本実施例により、熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、プラントの連続運転期間を増加させることによりプラント利用率が向上し発電コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。また、冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
(第22の実施例)
本発明の第22の実施例を図27により説明する。本実施例は、実施例20の構成をベースに、チャンネルボックス間間隙に配置された十字型制御棒のかわりに、燃料集合体中心部に太径丸棒制御棒を配置したものである。
本実施例は、電気出力1356MWeで、炉心の水平断面は実施例17の図23と同じである。図27に燃料集合体格子の断面を示す。燃料集合体格子は燃料棒2,6,7と水ロッド23と太径丸棒制御棒16を内包するチャンネルボックス21とチャンネルボックス間のギャップ領域から構成される。チャンネルボックス間距離は21.8mm である。チャンネルボックス21内には外径9.3mm の燃料棒2が燃料棒ピッチ10.6mm で正方格子状に配置され、燃料棒列12列の正方形燃料集合体を形成している。燃料集合体中心部には、燃料棒単位格子セル12個分の領域に、制御棒挿入時に太径丸棒制御棒16が入る水ロッド23が配置されている。チャンネルボックス21内の燃料棒の本数は132本である。太径丸棒制御棒16はB4C が充填されたステンレス管の吸収棒で構成されている。燃焼初期に局所的に燃料棒出力が大きくなるコーナー部燃料棒6にはウラン濃縮度4.0wt%の燃料物質を、その他の燃料棒2にはウラン濃縮度4.9wt% の燃料物質を配置してある。また、コーナー部燃料棒6以外でも燃焼初期に出力が大きくなる傾向があるチャンネルボックスに隣接している燃料棒7には4.5wt% の可燃性毒物を添加したウラン濃縮度4.9wt% の燃料物質を配置することで燃焼初期の局所出力ピーキングを抑制している。燃料集合体横断面平均のウラン濃縮度は4.87wt% である。本実施例では燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度4.87wt% の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。この燃料集合体を図23の炉心に装荷したときの炉心外接半径は2.7m、燃料有効長は371cmであり、ABWRと同一である。出力密度は51kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は27%、水ロッド中の水の体積割合は4%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は30%、燃料物質の体積割合は27%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.98 である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.5kg/l である。チャンネルボックスの外幅と燃料集合体格子幅の比は0.86 である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は39%、水ロッド中の水の体積割合は6%、燃料物質の体積割合は40%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.98 である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.7kg/l である。
本実施例では、燃料集合体に配置された水ロッドをガイドチューブとして利用する太径丸棒制御棒を採用している。制御棒を太径化することにより、制御棒の機械的強度が増し、制御棒の挿入及び引き抜き時の曲がりや座屈を抑制することができる。また、燃料集合体あたりの吸収棒の本数を減らすことにより、制御棒の製造性が容易となり、製造コストが低減できる。
本実施例においても実施例20と同様に、ABWR炉心の燃料集合体格子に、外径9.3
mmの燃料棒を、燃料棒ピッチ10.6mm の正方格子状に配置することにより、単位体積に含まれるウラン重量を炉心平均でABWRの約1.9kg/l より約32%増大した2.5
kg/l の軽水炉が実現する。
以上より本実施例では、出力をABWRと同じ1356MWe、炉心外接半径及び燃料有効長がABWRと同一の軽水炉において、取り出し燃焼度55Gd/tで連続運転期間27ヶ月とすることができる。本実施例においても実施例17と同様に、チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い21.8mm とすることにより、冷温時反応度上昇を抑えることができ、炉停止余裕を1.0%Δk 以上にするとともに、ボイド係数の絶対値がABWRより小さい軽水炉を実現できる。また、本実施例では、実施例20と同様にABWR炉心の燃料集合体格子に外径9.3mm の燃料棒を燃料棒ピッチ10.6mm の正方格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をABWRの172W/cmより約47%低い92W/cmとすることにより、MCPR1.3 以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上の理由により、本実施例では熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、プラントの連続運転期間を増加させることによりプラント利用率が向上し発電コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。また、冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
(第23の実施例)
本発明の第23の実施例を以下に説明する。本実施例は燃料有効長を実施例17より短尺にしたものである。
本実施例は、電気出力1356MWeで、炉心の水平断面は実施例17の図23と同じであり、燃料集合体格子は実施例17の図22と同じである。
本実施例では、ABWR炉心の燃料集合体格子に、外径10.2mm の燃料棒を、燃料棒ピッチ11.5mm の正方格子状に配置することにより、単位体積に含まれるウラン重量を炉心平均でABWRの約1.9kg/lより約32%増大した2.5kg/lとすることにより、燃料有効長がABWRの3.7m より約1.4m 低い2.36m の軽水炉が実現できる。チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い21.8mm とすることにより、冷温時反応度上昇を抑えることができ、炉停止余裕を1.0%Δk 以上にするとともに、ボイド係数の絶対値がABWRより小さい軽水炉を実現できる。また、本実施例では、燃料有効長をABWRの3.7m より低い2.36m に短尺化することにより、炉心流量を増加させてMCPR1.3 以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上より、本実施例では、熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、炉心の高さを低減し発電所の建設コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。また、冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
(第24の実施例)
本発明の第24の実施例を図28により説明する。本実施例は、実施例23の構成をベースに、燃料集合体の寿命を延長して燃料サイクルコストを低減したものである。
本実施例は、電気出力1356MWeで、炉心の水平断面は実施例17の図23と同じである。図28に燃料集合体格子の断面を示す。燃料集合体格子は燃料棒2,6と水ロッド22と水排除棒17を内包するチャンネルボックス21とチャンネルボックス間のギャップ領域,チャンネルボックス21の外側に配置される十字型制御棒20,水排除板18から構成される。チャンネルボックス間距離は21.8mm である。チャンネルボックス
21内には外径10.2mm の燃料棒2が燃料棒ピッチ11.5mm で正方格子状に配置され、燃料棒列11列の正方形燃料集合体を形成している。燃料集合体中心部には、燃料棒単位格子セル13個分の領域に運転中に引き抜き可能な水排除棒17が入る水ロッド22が配置されている。チャンネルボックス21内の燃料棒の本数は108本である。十字型制御棒20の翼には、B4C が充填されたステンレス管の吸収棒が配置されている。また、十字型制御棒20の先端部には、脱着可能で運転中に引き抜き可能な水排除板を有している。チャンネルボックス21の十字型制御棒20が配置されないギャップ領域には、運転中に引き抜き可能な水排除板18が配置されている。燃焼初期に局所的に燃料棒出力が大きくなるコーナー部燃料棒6にはウラン濃縮度4.0wt% の燃料物質を、その他の燃料棒2にはウラン濃縮度4.9wt% の燃料物質を配置する。燃料集合体横断面平均のウラン濃縮度は4.87wt% である。本実施例では燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度4.87
wt%の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。この燃料集合体を図23の炉心に装荷したときの炉心外接半径は2.7m 、燃料有効長は236cmである。出力密度は79kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は26%、水ロッド中の水の体積割合は5%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は31%、燃料物質の体積割合は27%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.95 である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.5kg/l である。チャンネルボックスの外幅と燃料集合体格子幅の比は0.86 である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は38%、水ロッド中の水の体積割合は7%、燃料物質の体積割合は40%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.95 である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.7kg/lである。
本実施例においても実施例23と同様に、ABWR炉心の燃料集合体格子に、外径10.2mmの燃料棒を、燃料棒ピッチ11.5mm の正方格子状に配置することにより、単位体積に含まれるウラン重量を炉心平均でABWRの約1.9kg/lより約32%増大した2.5kg/lとすることにより、燃料有効長がABWRの3.7m より約1.4m低い2.36mの軽水炉が実現できる。チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い21.8mm とすることにより、冷温時反応度上昇を抑えることができ、炉停止余裕を1.0%Δk 以上にするとともに、ボイド係数の絶対値がABWRより小さい軽水炉を実現できる。また、本実施例では、燃料有効長をABWRの3.7m より低い2.36m に短尺化することにより、炉心流量を増加させてMCPR1.3 以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上より、本実施例では、熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、炉心の高さを低減し発電所の建設コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。また、冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
さらに本実施例では、チャンネルボックス間距離と水ロッド内に存在する飽和水を水排除棒や水排除板で排除することにより、ウラン238からプルトニウムへの転換を増大させた軽水炉が実現できる。また水排除棒の挿入,引き抜きにより水対燃料体積比を自由に調整できるので可燃性毒物を用いる必要がなく、燃料集合体の寿命を延長して燃料サイクルコスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。
(第25の実施例)
本発明の第25の実施例を図29,図30により説明する。
図29に、本実施例の電気出力1356MWeの水平断面を示す。424体の燃料集合体19と、燃料集合体2体に1体の割合で197体の十字型制御棒20が示されている。
図30に燃料集合体格子の断面を示す。燃料集合体格子は燃料棒2,6,7、仕切板で内部を4領域に分割されたチャンネルボックス24とチャンネルボックス間のギャップ領域とチャンネルボックス24の外側に配置される十字型制御棒20から構成される。チャンネルボックス間距離は22.5mm である。チャンネルボックス24内の4つの領域には、外径10.0mm の燃料棒2が燃料棒ピッチ11.3mm で9列の正方格子状に配置されている。燃料集合体中心部には、仕切り板で区切られた水ロッド25が配置されている。チャンネルボックス24内の燃料棒の本数は300本である。十字型制御棒20の翼には、B4C が充填されたステンレス管の吸収棒が配置されている。燃焼初期に局所的に燃料棒出力が大きくなるコーナー部燃料棒6にはウラン濃縮度4.0wt% の燃料物質を、その他の燃料棒2にはウラン濃縮度4.9wt% の燃料物質を配置してある。また、コーナー部燃料棒6以外でも燃焼初期に出力が大きくなる傾向があるチャンネルボックス及び水ロッドに隣接している燃料棒7には4.5wt% の可燃性毒物を添加したウラン濃縮度4.9wt%の燃料物質を配置することで燃焼初期の局所出力ピーキングを抑制している。燃料集合体横断面平均のウラン濃縮度は4.89wt% である。本実施例では燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度4.89wt% の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。この燃料集合体を図29の炉心に装荷したときの炉心外接半径は2.9m 、燃料有効長は217cm、出力密度は79kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は29%、水ロッド中の水の体積割合は5%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は24%、燃料物質の体積割合は32%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.92 である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.9kg/l である。チャンネルボックスの外幅と燃料集合体格子幅の比は0.90 である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は37%、水ロッド中の水の体積割合は7%、燃料物質の体積割合は40%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.92 である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.7kg/l である。
本実施例では、外径10.0mmの燃料棒を、燃料棒ピッチ11.3mmの正方格子状に配置することにより、単位体積に含まれるウラン重量を炉心平均でABWRの約1.9kg/lより53%増大した2.9kg/lとすることにより、燃料有効長がABWRの3.7m より約1.5m 低い2.17m の軽水炉が実現する。チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い22.5mm とすることにより、冷温時反応度上昇を抑えることができ、炉停止余裕を1.0%Δk 以上にするとともに、ボイド係数の絶対値がABWRより小さい軽水炉を実現できる。また、本実施例では、外径10.0mm の燃料棒を燃料棒ピッチ
11.3mm の正方格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をABWRの172W/cmより約17%低い142W/cmとすることにより、MCPR1.3 以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上より、本実施例では熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、炉心の高さを大幅に低減し発電所の建設コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。また、冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
(第26の実施例)
本発明の第26の実施例を以下に説明する。本実施例は、実施例25の構成をベースに高濃縮度燃料を用い高燃焼度化を達成しプラント利用率を増大したものである。
本実施例は、電気出力1356MWeで、炉心は実施例25の図29と同じ構成で、
424体の燃料集合体と、燃料集合体2体に1体の割合で197体の十字型制御棒を配置している。
図31に燃料集合体格子の断面を示す。燃料集合体格子は燃料棒8,9,10、仕切板で内部を4領域に分割されたチャンネルボックス24とチャンネルボックス間のギャップ領域とチャンネルボックス24の外側に配置される十字型制御棒20から構成される。チャンネルボックス間距離は39.0mm である。チャンネルボックス24内の4つの領域には、外径10.0mm の燃料棒8が燃料棒ピッチ11.3mm で9列の正方格子状に配置されている。燃料集合体中心部には、仕切り板で区切られた水ロッド25が配置されている。チャンネルボックス24内の燃料棒の本数は300本である。十字型制御棒20の翼には、B4C が充填されたステンレス管の吸収棒が配置されている。燃焼初期に局所的に燃料棒出力が大きくなるコーナー部燃料棒9にはウラン濃縮度6.5wt% の燃料物質を、その他の燃料棒8にはウラン濃縮度7.5wt% の燃料物質を配置してある。また、コーナー部燃料棒9以外でも燃焼初期に出力が大きくなる傾向があるチャンネルボックス及び水ロッドに隣接している燃料棒10には4.5wt% の可燃性毒物を添加したウラン濃縮度7.5wt% の燃料物質を配置することで燃焼初期の局所出力ピーキングを抑制している。燃料集合体横断面平均のウラン濃縮度は7.49wt% である。本実施例では燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度7.49wt% の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。この燃料集合体を炉心に装荷したときの燃料有効長は217cm、出力密度は69kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は25%、水ロッド中の水の体積割合は5%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は34%、燃料物質の体積割合は27%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は
0.92 である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.5kg/l である。チャンネルボックスの外幅と燃料集合体格子幅の比は0.84 である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は37%、水ロッド中の水の体積割合は7%、燃料物質の体積割合は40%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.92 である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.7kg/l である。
本実施例では、燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度を実施例25の4.89wt%から
7.49wt%として取り出し燃焼度を増加させることにより、実施例25と比較してプラント利用率が増大した軽水炉が実現する。
本実施例では、外径10.0mmの燃料棒を、燃料棒ピッチ11.3mmの正方格子状に配置することにより、単位体積に含まれるウラン重量を炉心平均でABWRの約1.9kg/lより約32%増大した2.5kg/lとすることにより、燃料有効長がABWRの3.7mより約1.5m 低い2.17m の軽水炉が実現する。チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い39.0mm とすることにより、冷温時反応度上昇を抑えることができ、炉停止余裕を1.0%Δk 以上にするとともに、ボイド係数の絶対値がABWRより小さい軽水炉を実現できる。また、本実施例においても実施例25と同様に、外径10.0mm の燃料棒を燃料棒ピッチ11.3mm の正方格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をABWRの172W/cmより約17%低い142W/cmとすることにより、MCPR1.3 以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。以上より、本実施例では熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、炉心の高さを大幅に低減し発電所の建設コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。また、冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
(第27の実施例)
本発明の第27の実施例を図32により説明する。本実施例は、実施例25の構成をベースに、燃料集合体の寿命を延長して燃料サイクルコストを低減したものである。
本実施例は、電気出力1356MWeで、炉心の水平断面は実施例25の図29と同じである。
図32に燃料集合体格子の断面を示す。燃料集合体格子は燃料棒2,6,水排除棒17,仕切板で内部を4領域に分割されたチャンネルボックス24,チャンネルボックス間のギャップ領域とチャンネルボックス24の外側に配置される十字型制御棒20から構成される。チャンネルボックス間距離は22.5mm である。チャンネルボックス24内の4つの領域には、外径10.0mm の燃料棒2が燃料棒ピッチ11.3mm で9列の正方格子状に配置されている。燃料集合体中心部には、仕切り板で区切られ、運転中に引き抜き可能な水排除棒17が入る水ロッド25が配置されている。チャンネルボックス24内の燃料棒の本数は300本である。十字型制御棒20の翼には、B4C が充填されたステンレス管の吸収棒が配置されている。また、十字型制御棒20の先端部には、脱着可能で運転中に引き抜き可能な水排除板を有している。燃焼初期に局所的に燃料棒出力が大きくなるコーナー部燃料棒6にはウラン濃縮度4.0wt% の燃料物質を、その他の燃料棒2にはウラン濃縮度4.9wt% の燃料物質を配置する。燃料集合体横断面平均のウラン濃縮度は
4.89wt% である。本実施例では燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度4.89wt% の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。この燃料集合体を図28の炉心に装荷したときの炉心外接半径は2.9m 、燃料有効長は217cm、出力密度は79kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は29%、水ロッド中の水の体積割合は5%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は24%、燃料物質の体積割合は32%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.92 である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.9kg/l である。チャンネルボックスの外幅と燃料集合体格子幅の比は0.90 である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は37%、水ロッド中の水の体積割合は7%、燃料物質の体積割合は40%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.92 である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.7kg/l である。
本実施例においても実施例25と同様に、外径10.0mm の燃料棒を、燃料棒ピッチ
11.3mm の正方格子状に配置することにより、単位体積に含まれるウラン重量を炉心平均でABWRの約1.9kg/lより53%増大した2.9kg/lとすることにより、燃料有効長がABWRの3.7mより約1.5m 低い2.17mの軽水炉が実現する。また、実施例25と同様に、チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い22.5mm とすることにより、冷温時反応度上昇を抑えることができ、炉停止余裕を1.0%Δk 以上にすることができる。また、本実施例においても実施例25と同様に、外径10.0mm の燃料棒を燃料棒ピッチ11.3mm の正方格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をABWRの172W/cmより約17%低い142W/cmとすることにより、MCPR1.3以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上より、本実施例では熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、炉心の高さを大幅に低減し発電所の建設コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。さらに、本実施例では、チャンネルボックス間距離と水ロッド内に存在する飽和水を水排除棒や水排除板で排除することにより、ウラン238からプルトニウムへの転換を増大させた軽水炉が実現できる。さらに水排除棒の挿入,引き抜きにより水対燃料体積比を自由に調整できるので可燃性毒物を用いる必要がなく、燃料集合体の寿命を延長して燃料サイクルコスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。
(第28の実施例)
本発明の第28の実施例を以下に説明する。本実施例は燃料有効長を実施例25より長くして高燃焼度化によるプラント利用率向上を実現したものである。本実施例は、電気出力1356MWeで、炉心の水平断面は実施例25の図29と同じであり、燃料集合体格子は実施例25の図30と同じである。本実施例では燃料有効長をABWRと同一の371
cmとした。本実施例では、外径10.0mm の燃料棒を、燃料棒ピッチ11.3mm の正方格子状に配置することにより、単位体積に含まれるウラン重量を炉心平均でABWRの約
1.9kg/l より約53%増大した2.9kg/l の軽水炉が実現する。以上より、本実施例では、出力をABWRと同じ1356MWe、燃料有効長がABWRと同一の軽水炉において、取り出し燃焼度50Gd/tで連続運転期間30ヶ月とすることができる。また、チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い21.8mm とすることにより、冷温時反応度上昇を抑えることができ、炉停止余裕を1.0%Δk以上 にするとともに、ボイド係数の絶対値がABWRより小さい軽水炉を実現できる。また、本実施例では、外径10.0mm の燃料棒を燃料棒ピッチ11.3mm の正方格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をABWRの172W/cmより約52%低い83W/cmとすることにより、MCPR1.3 以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上より、本実施例では熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、プラントの連続運転期間を増加させることによりプラント利用率が向上し発電コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。また、高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
(第29の実施例)
本発明の第29の実施例を図33により説明する。本実施例は、実施例25をベースとして電気出力を増大したものである。
本実施例は、電気出力1700MWeで、炉心の水平断面は実施例25の図29と同じである。図33に燃料集合体格子の断面を示す。燃料集合体格子は燃料棒2,6,7、仕切板で内部を4領域に分割されたチャンネルボックス24とチャンネルボックス間のギャップ領域とチャンネルボックス24の外側に配置される十字型制御棒20から構成される。チャンネルボックス間距離は22.5mm である。チャンネルボックス24内の4つの領域には、外径10.1mm の燃料棒2が燃料棒ピッチ12.5mm で8列の正方格子状に配置されている。燃料集合体中心部には、仕切り板で区切られた水ロッド25が配置されている。チャンネルボックス24内の燃料棒の本数は232本である。十字型制御棒20の翼には、B4C が充填されたステンレス管の吸収棒が配置されている。燃焼初期に局所的に燃料棒出力が大きくなるコーナー部燃料棒6にはウラン濃縮度4.0wt% の燃料物質を、その他の燃料棒2にはウラン濃縮度4.9wt% の燃料物質を配置してある。また、コーナー部燃料棒6以外でも燃焼初期に出力が大きくなる傾向があるチャンネルボックス及び水ロッドに隣接している燃料棒7には4.5wt% の可燃性毒物を添加したウラン濃縮度4.9wt% の燃料物質を配置することで燃焼初期の局所出力ピーキングを抑制している。燃料集合体横断面平均のウラン濃縮度は4.88wt% である。本実施例では燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度4.88wt% の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。この燃料集合体を図29の炉心に装荷したときの炉心外接半径は2.9m 、燃料有効長は371cmである。出力密度は58kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は37%、水ロッド中の水の体積割合は7%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は25%、燃料物質の体積割合は25%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は1.48 である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.3kg/l である。チャンネルボックスの外幅と燃料集合体格子幅の比は0.90 である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は47%、水ロッド中の水の体積割合は8%、燃料物質の体積割合は32%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は1.48 である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.9kg/l である。
本実施例では、外径10.1mmの燃料棒を、燃料棒ピッチ12.5mmの正方格子状に配置することにより、単位体積に含まれるウラン重量を炉心平均でABWRの約1.9kg/lより約21%増大した2.3kg/lの軽水炉が実現する。その結果、電気出力1700MWe、燃料有効長がABWRと同一の軽水炉において、取り出し燃焼度55Gd/tで連続運転期間20ヶ月とすることができる。本実施例では、チャンネルボックス間距離を
ABWRの16mmより広い22.5mm とすることにより、冷温時反応度上昇を抑えることができ、炉停止余裕を1.0%Δk 以上にするとともに、ボイド係数の絶対値がABWRより小さい軽水炉を実現できる。また、本実施例では、外径10.1mm の燃料棒を燃料棒ピッチ12.5mm の正方格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をABWRの172W/cmより約21%低い136W/cmとすることにより、MCPR1.3 以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上より、本実施例では熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、プラントの連続運転期間を増加させることによりプラント利用率が向上し発電コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。また、高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
(第30の実施例)
本発明の第30の実施例を図34により説明する。電気出力1356MWeの本実施例は実施例25の変形例であり、炉心の水平断面は実施例25の図29と同じである。
図34に燃料集合体格子の断面を示す。燃料集合体格子は燃料棒2,6,7、仕切板で内部を4領域に分割されたチャンネルボックス24とチャンネルボックス間のギャップ領域とチャンネルボックス24の外側に配置される十字型制御棒20から構成される。チャンネルボックス間距離は22.5mm である。チャンネルボックス24内の4つの領域には、外径10.0mm の燃料棒2が燃料棒ピッチ11.3mm で9列の正方格子状に配置されている。燃料集合体中心部には、仕切り板で区切られた水ロッド26が配置されている。チャンネルボックス24内の燃料棒の本数は288本である。十字型制御棒20の翼には、B4C が充填されたステンレス管の吸収棒が配置されている。燃焼初期に局所的に燃料棒出力が大きくなるコーナー部燃料棒6にはウラン濃縮度4.0wt% の燃料物質を、その他の燃料棒2にはウラン濃縮度4.9wt% の燃料物質を配置してある。また、コーナー部燃料棒6以外でも燃焼初期に出力が大きくなる傾向があるチャンネルボックス及び水ロッドに隣接している燃料棒7には4.5wt%の可燃性毒物を添加したウラン濃縮度4.9wt%の燃料物質を配置することで燃焼初期の局所出力ピーキングを抑制している。燃料集合体横断面平均のウラン濃縮度は4.89wt% である。本実施例では燃料集合体横断面平均ウラン濃縮度4.89wt% の燃料物質を燃料集合体軸方向に一様に配置している。この燃料集合体を図29の炉心に装荷したときの炉心外接半径は2.9m 、燃料有効長は217cmである。出力密度は79kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は28%、水ロッド中の水の体積割合は8%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は27%、燃料物質の体積割合は30%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.92 である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.8kg/lである。チャンネルボックスの外幅と燃料集合体格子幅の比は0.90である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は35%、水ロッド中の水の体積割合は10%、燃料物質の体積割合は39%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は0.92 である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.6kg/l である。
本実施例では、外径10.0mmの燃料棒を、燃料棒ピッチ11.3mmの正方格子状に配置することにより、単位体積に含まれるウラン重量を炉心平均でABWRの約1.9kg/l より約47%増大した2.8kg/l とすることにより、燃料有効長がABWRの3.7m より約1.5m 低い2.17m の軽水炉が実現する。実施例25と同様に、チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い22.5mm とすることにより、冷温時反応度上昇を抑えることができ、炉停止余裕を1.0%Δk 以上にするとともに、ボイド係数の絶対値がABWRより小さい軽水炉を実現できる。また、本実施例では、外径10.0mm の燃料棒を燃料棒ピッチ11.3mm の正方格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をABWRの172W/cmより約14%低い148W/cmとすることにより、
MCPR1.3以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上より、本実施例では熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、炉心の高さを大幅に低減し発電所の建設コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。また、冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
(第31の実施例)
本発明の第31の実施例を図35及び図36により説明する。本実施例は、実施例20の燃料集合体に部分長燃料部棒を採用した場合である。燃料集合体図35の燃料集合体格子は燃料棒2,6,7と水ロッド23を内包するチャンネルボックス21とチャンネルボックス間のギャップ領域とチャンネルボックス21の外側に配置される十字型制御棒20から構成される。チャンネルボックス間距離は19.2mm である。チャンネルボックス間距離は従来燃料集合体より増大しており、炉心上部格子板との間隙を従来と同等にするため、図36に示したように燃料集合体上端部のチャンネルバック外幅がそれ以外より大きくなっている。このようなチャンネルボックスの構成は本実施例に限定されるものでなく、他の実施例においても適用可能である。チャンネルボックス21内には外径9.3mm の燃料棒2が燃料棒ピッチ10.8mm で正方格子状に配置され、燃料棒列12列の正方形燃料集合体を形成している。燃料棒30は部分長燃料棒である。燃料集合体中心部には、燃料棒単位格子セル12個分の領域に水ロッド23が配置されている。チャンネルボックス21内の燃料棒の本数は部分長燃料棒の有る下部断面は132本、部分長燃料棒の無い上部断面は116本である。十字型制御棒20の翼には、B4C が充填されたステンレス管の吸収棒が配置されている。燃焼初期に局所的に燃料棒出力が大きくなるコーナー部燃料棒6にはウラン濃縮度4.0wt%の燃料物質を、その他の燃料棒2にはウラン濃縮度4.9wt%の燃料物質を配置してある。燃料集合体横断面平均のウラン濃縮度は4.87wt%である。この燃料集合体を図23の炉心に装荷したときの炉心外接半径は2.7m、燃料有効長は381cmである。出力密度は49kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は32%、水ロッド中の水の体積割合は4%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は28%、燃料物質の体積割合は26%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は1.22 である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.4kg/l である。チャンネルボックスの外幅と燃料集合体格子幅の比は0.88 である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は44%、水ロッド中の水の体積割合は6%、燃料物質の体積割合は36%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は1.22 である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.3kg/lである。
図35の燃料集合体を採用し、サイクル毎の取り替え体数を108体とすることで、取り出し燃焼度63Gd/tで燃料平均燃焼日数3017日の超長寿命炉心とすることができる。また、チャンネルボックス間距離をABWRの16mmより広い19.2mm としつつ、部分長燃料棒を採用することにより、冷温時反応度上昇を抑えることができ、炉停止余裕を1.0%Δk 以上にするとともに、ボイド係数の絶対値がABWRより小さい軽水炉を実現できる。また、ABWR炉心の燃料集合体格子に外径9.3mm の燃料棒を、燃料棒ピッチ10.8mm の正方格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をABWRの172W/cmより約45%低い95/cmとすることにより、MCPR1.3 以上を確保することができ、ABWRと同程度の除熱性能を確保できる。
以上の理由により、本実施例では、出力をABWRと同じ1356MWe、炉心外接半径及び燃料有効長がABWRと同一の軽水炉において、熱的余裕をABWRと同程度に保つことが可能となる。従って、本実施例により、熱的余裕や安全性をABWRと同程度に保ちつつ、プラントの連続運転期間を増加させることによりプラント利用率が向上し発電コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。また、冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
(第32の実施例)
本発明の第32の実施例を図37〜図43により説明する。本実施例は、本発明の構成をBWR/5炉心に適用した例である。
図37に、本実施例の電気出力1100MWeの水平断面を示す。764体の燃料集合体19と、燃料集合体4体に1体の割合で185体の十字型制御棒20が示されている。燃料集合体格子内のチャンネルボックス,燃料棒,水ロッド,十字型制御棒,部分長燃料棒の配置,形状は、実施例31の図35と同じであるが、本実施例では、チャンネルボックス間距離は16.7mm である。この燃料集合体を図37の炉心に装荷したときの炉心外接半径は2.6m 、燃料有効長は381cmである。出力密度は49kW/lである。炉心領域における、チャンネルボックス内の燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は32%、水ロッド中の水の体積割合は5%、チャンネルボックス外側のチャンネルボックス間のギャップと水ロッド中の水の体積割合は26%、燃料物質の体積割合は27%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は1.19 である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.4kg/l である。チャンネルボックスの外幅と燃料集合体格子幅の比は0.89 である。チャンネルボックス内領域における、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流冷却水の体積割合は43%、水ロッド中の水の体積割合は7%、燃料物質の体積割合は36%、二相流冷却水の体積割合と燃料物質の体積割合の比は1.19である。チャンネルボックス内領域の単位体積に含まれるウラン重量は3.3kg/lである。
本実施例の燃料集合体を採用し、サイクル毎の取り替え体数を188体とすることで、取り出し燃焼度56Gd/tで連続運転期間23ヶ月とすることができる。あるいはサイクル毎の取り替え体数を336体とすることで、取り出し燃焼度49Gd/tで連損区運転期間35ヶ月とすることができる。また、チャンネルボックス間距離をBWR/5の
13mmより広い16.7mm としつつ、部分長燃料棒を採用することにより、冷温時反応度上昇を抑えることができ、炉停止余裕を1.0%Δk 以上にするとともに、ボイド係数の絶対値がBWR/5より小さい軽水炉を実現できる。また、BWR/5炉心の燃料集合体格子に外径9.3mmの燃料棒を、燃料棒ピッチ10.8mmの正方格子状に配置し、燃料棒総本数を増やして平均線出力密度をBWR/5の164W/cmより約44%低い92/cmとすることにより、MCPR1.3 以上を確保することができ、BWR/5と同程度の除熱性能を確保できる。
以上の理由により、本実施例では、出力をBWR/5と同じ1100MWe、炉心外接半径がBWR/5と同一の軽水炉において、熱的余裕をBWR/5と同程度に保つことが可能となる。従って、本実施例により、熱的余裕や安全性をBWR/5と同程度に保ちつつ、プラントの連続運転期間を増加させることによりプラント利用率が向上し発電コスト低減に寄与する軽水炉を実現できる。また、冷温時の反応度上昇,ボイド係数の絶対値を低減して高燃焼度時に課題となる炉停止性能,過渡・安定性特性を改善できる。
本実施例では、燃料集合体内の水ロッドの形状を十字型形状としているが、これに限定されるものではない。図38から図40に示したような菱形,正方形あるいは円形の水ロッドであってもかまわない。これは実施例20,22,31でも同様である。また燃料棒列数が11列の実施例17〜19,21,23,24においても水ロッドが菱形に限定されるものではなく、図41から図43に示したような水ロッドであってもかまわない。
1,21,24…チャンネルボックス、2,8,12…燃料棒、3,22,23,25,26…水ロッド、4…Y字型制御棒、5,11,19…燃料集合体、6,9,13…コーナー部燃料棒、7,10,14…可燃性毒物添加燃料棒、15…制御棒駆動機構、16…太径丸棒制御棒、17…水排除棒、18…水排除板、20…十字型制御棒、27…十字型制御棒の中心、28…Y字型制御棒の中心、29…燃料集合体の中心。