本発明は、沸騰水型軽水炉炉心に係り、特に、熱的余裕を現在運転中のBWRと同程度に保ちつつ、増出力が可能な沸騰水型軽水炉炉心に関する。
軽水を中性子減速材兼冷却材として用いる沸騰水型軽水炉炉心(以下、BWR炉心という)は、多数の燃料集合体、及び燃料集合体相互間に挿入される制御棒を有している。燃料集合体は複数の燃料棒及び水ロッドを結束して構成された燃料バンドルを有し、この燃料バンドルはスペーサによって燃料棒相互間を所定間隔に保持している。燃料棒の上下端部は上部タイプレート及び下部タイプレートに支持される。燃料バンドルは、チャンネルボックス内に挿入されており、チャンネルボックスによって取囲まれている。チャンネルボックスの上端部は上部タイプレートに取り付けられており、その下端部は下部タイプレートに嵌め合わされている。燃料集合体格子は、横断面において、チャンネルボックス内側に存在する燃料棒格子領域及び水ロッド内部領域(飽和水領域)、及びチャンネルボックスの外側に存在するギャップ水領域(飽和水領域)に分けられる。燃料棒格子領域では燃料棒からの熱伝達によりボイドが発生する。しかしながら、ギャップ水領域ではボイドが発生しない。このため、チャンネルボックス内外の圧力差により、チャンネルボックスを外側へ向かって押す力が発生する。
近年、原子力発電においては発電コストの低減が重要な課題となっている。原子炉運転中のプルトニウム生産量増加による燃料サイクルコストの低減、及びプラントの連続運転期間の増大によって、その発電コストの低減を図る対応策が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された対応策、すなわち、燃料集合体の燃料装荷量の増大策は、以下の通りである。炉心内の燃料集合体格子は、燃料棒が配置されて燃料棒を冷却する燃料棒格子領域及び中性子を減速する飽和水領域(水ロッド内部領域及びギャップ水領域)の二領域に非均質化されている。そして、燃料集合体格子の中央部(水ロッド内部領域)及び周辺部(ギャップ水領域)に飽和水領域を集中して配置するとともに、燃料棒格子領域内の冷却水流路面積を減少して飽和水領域を増大させる。飽和水領域でよく減速された中性子が、燃料棒格子領域に到達し核燃料の核分裂に貢献する。さらに、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流状態の冷却水の量を、燃料棒の冷却に必要な最低限の量に低減できるので、燃料集合体格子当たりの燃料装荷量を増大させることができる。
特許文献1記載されたBWR炉心に装荷された燃料集合体では、原子炉の増出力時において各燃料棒の冷却が不均一になる、との新たな知見を発明者らが見出した(詳細は後述)。特に、炉心流量が増大したり、炉心平均ボイド率が増加した場合に、その不均一性が増大することが新たに分かった。
本発明の目的は、熱的余裕を現在運転中のBWRと同程度に保ちつつ増出力が可能であり、かつ増出力時での燃料集合体内における各燃料棒の冷却をより均一化できる沸騰水型軽水炉炉心を提供することである。
上記した目的を達成できる本発明の特徴は、原子炉に設けられた制御棒の本数に対する炉心に装荷されている燃料集合体の体数の比が3以上で、燃料集合体の平均濃縮度が3wt%〜8wt%の低濃縮ウランの酸化物または燃料集合体の平均核分裂性プルトニウム富化度が2wt%以上7wt%未満である混合酸化物を核燃料として用いるバーナー型沸騰水型軽水炉炉心において、炉心領域の単位体積に含まれるウラン、プルトニウムの平均重量が未燃焼時の値に換算して2.25〜3.4kg/lであり、燃料集合体格子幅に対する前記燃料集合体のチャンネルボックス内幅の比が0.79〜0.865であり、燃料集合体のチャンネルボックス肉厚の平均が2.10〜3.55mmであり、燃料集合体格子幅が152.4mm及び154.9mmのいずれかである沸騰水型軽水炉炉心にある。
ウラン、プルトニウムの平均重量が未燃焼時に2.25〜3.4kg/lである、燃料装荷量の増大させた燃料集合体を用いた沸騰水型軽水炉炉心において、チャンネルボックス肉厚の平均が2.10mm以上あるため、増出力によって炉心平均ボイド率が増加しても、チャンネルボックスの外側に向かうクリープ変形を抑制できる。このため、その沸騰水型軽水炉炉心においても、燃料集合体内の各燃料棒の冷却をより均一化することができる。また、ウラン、プルトニウムの平均重量が未燃焼時の値に換算して2.25〜3.4kg/lである上記炉心において、燃料集合体格子幅に対する前記燃料集合体のチャンネルボックス内幅の比が0.79〜0.865になっているので燃料集合体格子当たりの燃料棒格子領域の割合を増大させて燃料装荷量を増大させることができ、さらに、チャンネルボックス肉厚の平均を3.55mm以下にしているため、上記のように燃料装荷量を増大させることにより燃料棒格子領域の冷却材流路面積を減少した燃料集合体においても、増出力時においても燃料集合体の支持部材(例えば、燃料支持金具)からの浮き上がりを防止することができる。
好ましくは、燃料集合体のチャンネルボックス肉厚の平均が2.55〜3.55mmであることが望ましい。チャンネルボックス肉厚の平均が2.55mmであるので、中性子の利用効率を高めることができ、さらに、一次冷却水が流れる配管の表面線量率を低減することができる。
本発明は、特許文献1に示す燃料装荷量の増大策を適用した複数の燃料集合体によって構成されたBWR炉心を、発明者らが検討した結果、新たに見出した課題を改善するためになされたものである。そのBWR炉心は、炉心に挿入される制御棒の本数に対する炉心に装荷されている燃料集合体の体数の比が3以上で、燃料集合体の平均濃縮度が3wt%〜8wt%の低濃縮ウランの酸化物または燃料集合体の平均核分裂性プルトニウム富化度が2wt%以上7wt%未満である混合酸化物を核燃料物質として用いるバーナー型BWR炉心である。そのBWR炉心は、さらに、炉心領域の単位体積に含まれるウラン、プルトニウムの平均重量が未燃焼時の値に換算して2.25〜3.4kg/lである。
また、燃料集合体格子幅に対する燃料集合体のチャンネルボックス内幅の比を0.79〜0.865とすることにより、燃料集合体格子当たりの燃料領域の割合を増大させることができ、結果として燃料装荷量を増大させることができる。すなわち、その比を0.79〜0.865とすることによって、燃料集合体格子の周辺部(水ギャップ水領域)を増大させることができ、このギャップ水領域を含む飽和水領域でよく減速されたより多くの中性子を燃料棒格子領域に拡散させることができる。このため、燃料棒冷却用のサブクール水を含む二相流が流れる、燃料棒格子領域内の冷却水流路面積を燃料棒冷却に必要な最低限の面積に低減でき、燃料集合体格子当たりの燃料棒格子領域の割合を増大させて、燃料装荷量を増大させることができる。
本発明は、上記したバーナー型のBWR炉心を対象としている。以下に、発明者らの検討結果を説明する。
なお、以下に示す既存の原子炉としては、熱出力3293MW(電気出力1100MW)、燃料集合体764体、制御棒185本のBWR/5(原子炉に設けられた制御棒の本数に対する炉心に装荷されている燃料集合体の体数の比4.13(=764/185))を例に挙げている。この原子炉で用いられるその燃料集合体は、燃料棒を9行9列に配置した高燃焼度用の燃料集合体(含まれる燃料棒の本数は74本)である。
既存の原子炉において単純に増出力を実施した場合、原子炉の熱出力(W)を炉心内の燃料棒総本数と燃料有効長の積(m)で割った単位長さ当たりの平均熱出力(以下、平均線出力密度と略記する)(W/m)が増大し、燃料棒の除熱性能が損なわれる恐れがある。熱的余裕を低下させることなく増出力をするためには、原子炉の炉心に装荷される燃料集合体一体当たりの燃料棒本数を増やす必要がある。燃料棒本数を増やす方法としては、特許文献1に記載された前述の燃料装荷量の増大策を採用することが望ましい。すなわち、増大した未飽和水領域及び飽和水領域を燃料集合体格子の中央部及び周辺部に集中して配置し、その中央部と周辺部の間に位置する燃料棒格子領域内の冷却材流路面積を減少させる。これによって、燃料集合体内の燃料棒の本数を増加させ、燃料集合体一体当たりの燃料装荷量を増大させる。
このような考え方を適用し、炉心領域の単位体積に含まれるウラン、プルトニウムの平均重量を未燃焼時の値に換算して2.25〜3.4kg/lにしたBWR炉心を対象に、発明者らはその炉心の出力密度及び比出力について検討を行った。この検討結果を、図5及び図6に示す。図5及び図6にそれぞれ記入された黒丸は、上記に例示した既存の原子炉(BWR/5)における各値を示している。
燃料棒を12行12列に配置して燃料装荷量を増大させた燃料集合体によって構成されたBWR炉心での、最大線出力密度と炉心出力密度の関係を図5に示している。燃料集合体格子当たりの燃料領域を増大させ、燃料集合体一体当たりの燃料棒本数を増加させることにより、最大線出力密度をBWR/5の36kW/m以下としながら出力密度をBWR/5の50kW/lより増大させ52kW/l以上63kW/l未満とすることができる。燃料棒間隙を実質的に変更しないで燃料棒を12行12列より増やすと、燃料棒本数は増加するが燃料棒外径は小さくなる。一方、燃料棒の被覆管肉厚には下限があるため、あまり薄くすることができない。このため、燃料棒内の燃料ペレット外径は燃料棒外径以上の割合で小さくなり、燃料集合体格子当たりの燃料領域は減少し燃料装荷量が減少する。本発明により、最大線出力密度を現行BWR/5以下にした状態で増出力が可能となった。
比出力と現行BWR/5の定格出力を100%としたときの炉心相対出力との関係を、図6に示している。燃料装荷量を増大させることにより129%に増出力したときにおいても比出力をBWR/5の26kW/t以下にすることができる。一方、最低限必要な105%に増出力したときでは比出力を21kW/tにすることができる。本発明は、そのような増出力において現行BWR/5よりも比出力を小さくすることができ、核燃料の燃焼期間を現行BWR/5よりも長くすることができる。
発明者らは、炉心領域の単位体積に含まれるウラン、プルトニウムの平均重量を未燃焼時の値に換算して2.25〜3.4kg/lになる燃料装荷量の増加策を採用した炉心を備えた原子炉での増出力について検討を行った。その結果、発明者らは、以下に示す新たな知見を得た。その検討結果及び新たな知見を以下に説明する。上記の燃料装荷量の増加策を採用した場合には、燃料棒格子領域における冷却材流路面積が減少するため、原子炉の増出力時において、炉心流量が増大するとき、または炉心平均ボイド率が増大するときに燃料集合体の圧力損失が著しく大きくなることが分かった。このような圧力損失の増加は、チャンネルボックスを外側に膨らませる力がチャンネルボックスに加わることを助長する。このため、チャンネルボックスが外側に向かってクリープ変形しやすくなる。チャンネルボックスの各側壁の中央部(横断面での)とこの部分に隣接する燃料棒との間の間隙が広くなるので、この部分における冷却材の流量が増大し、燃料集合体内の燃料棒格子領域での冷却材流量の配分が不均一になる。発明者らは、燃料装荷量の増大策を適用したBWR炉心を対象にして増出力を行った場合に、上記のように、燃料集合体内の燃料棒格子領域における冷却材の流量配分の不均一性が大きくなり、各燃料棒における冷却の不均一性が増大するという新たな課題を見出した。
燃料装荷量の増大策を適用して増出力を達成するためには、チャンネルボックスの外側に向かうクリープ変形を抑制する必要がある。発明者らは、このクリープ変形を抑制するために、種々検討を行った。この検討の結果、発明者らは、チャンネルボックスの肉厚の平均が2.10mm以上あれば、燃料装荷量の増大策を適用していない現行の軽水炉と同程度に、チャンネルボックスの外側に向かうクリープ変形を抑制できることを見出した。平均肉厚が2.10mmであるチャンネルボックスを用いる場合には、燃料集合体の圧力損失を、ある程度、低下させる必要がある。この圧力損失の低下は、低圧損型燃料スペーサを用いることによって実現可能である。低圧損型燃料スペーサは、格子部材の肉厚を薄くできるため、圧力損失を低減することができる。低圧損型燃料スペーサは、例えば、スプリング部材だけでなく格子部材もインコネルで作られる。インコネル製の格子部材は、肉厚を薄くでき、圧力損失を低減することができる。
肉厚の平均が2.55mm未満のチャンネルボックスを有する燃料集合体は、上記した低圧損型燃料スペーサを使用することにより、チャンネルボックスのクリープ変形を現行の軽水炉と同程度まで抑制することができる。このため、その燃料集合体は、燃料棒格子領域内の各燃料棒の冷却をより均一化することができる。肉厚の平均が2.55mm以上のチャンネルボックスを有する燃料集合体に、その低圧損型燃料スペーサを適用することも可能である。
しかしながら、低圧損型燃料スペーサは中性子の吸収が多く中性子の核分裂への利用効率を低下させる。また、低圧損型燃料スペーサから、放射性核種であるコバルト58,60の親核種のコバルト59等の冷却材中への溶出量が増大するため、この溶出量を抑制するための対策が低圧損型燃料スペーサに対して必要になる。その親核種の溶出量の増大は、再循環配管等の一次冷却材が流れる配管の表面線量率の増大を招く。格子部材をジルコニウム合金(例えば、ジルカロイ)で製作した燃料スペーサは、低圧損型燃料スペーサで生じる上記の各課題を改善できる。しかし、ジルコニウム合金製の格子部材は低圧損型燃料スペーサの格子部材よりも肉厚が厚くなるため、ジルコニウム合金製の格子部材を用いた燃料スペーサは、低圧損型燃料スペーサよりも圧力損失が増大する。ジルコニウム合金製の格子部材を用いた燃料スペーサは、低圧損型燃料スペーサよりも圧力損失が大きいので、本明細書においては、便宜上、高圧損型燃料スペーサと称する。
肉厚の平均が2.55mm以上のチャンネルボックスを有する燃料集合体では、高圧損型燃料スペーサを用いても、チャンネルボックスのクリープ変形を現行の軽水炉と同程度まで抑制することができる。すなわち、肉厚の平均が2.55mm以上のチャンネルボックスを有する燃料集合体は、高圧損型燃料スペーサを用いることができ、各燃料棒の冷却をより均一化することができると共に、中性子の利用効率を高めることができる。さらに、放射性核種の親核種の溶出量を低減できるため、一次冷却材が流れる配管の表面線量率を低減することができ、その配管の保守点検作業が容易になる。
チャンネルボックスとしては、肉厚が均一なチャンネルボックス及び肉厚が不均一なThick/Thinチャンネルボックス等を用いることができる。Thick/Thinチャンネルボックスは角状の筒である。Thick/Thinチャンネルボックスは、各コーナー部の肉厚を、隣り合うコーナー部を連絡する側壁部の中央部よりも相対的に厚くして(例えば、平均の肉厚から22%厚くする)、外側に向かうクリープ変形に対する抵抗力を高めたチャンネルボックスである。Thick/Thinチャンネルボックスは、軸方向において、上部よりも下部で肉厚を厚くしてもよい。例えば、チャンネルボックスの上部の中央部領域では平均の肉厚から51%薄くし、下部の中央部領域では平均の肉厚から26%薄くする。異なる肉厚の部分を有するThick/Thinチャンネルボックスは、肉厚の平均が2.10mm以上あれば、増出力時における外側に向かうクリープ変形を抑制でき、各燃料棒の冷却をより均一化することができる。Thick/Thinチャンネルボックスよりもクリープ変形に対する抵抗力が小さい、肉厚が実質的に均一なチャンネルボックスは、増出力時において現行の軽水炉と同程度までにチャンネルボックスのクリープ変形を抑制するためには、肉厚の平均を2.55mm以上にすることが望ましい。肉厚が実質的に均一なチャンネルボックスは、Thick/Thinチャンネルボックスに比べて製作が容易であり、製作に要する時間も短縮できる。
また、発明者らは、肉厚の平均が2.10mm以上のチャンネルボックスを用いた場合には、さらに、燃料集合体の浮き上がりという新たな課題が生じることを新たに見出した。上記した燃料装荷量の増加策を採用して燃料棒格子領域の冷却材流路面積を減少した場合には、増出力によるボイド率の増加、及び増出力時における反応度補填のための炉心流量の増加により、燃料集合体の圧力損失が増大する。このような圧力損失の増大は、チャンネルボックスの下端面に作用する冷却材の圧力を増大させる。この圧力の増大は、燃料集合体を支持部材から浮き上がらせるという新たな課題を発生させる。発明者らは、その新たな課題である、増出力時における燃料集合体の浮き上がりを防止する対策を検討した。この結果、上記した燃料装荷量の増加策を採用して燃料棒格子領域の冷却材流路面積を減少した燃料集合体において、チャンネンルボックスの肉厚の平均が3.55mm以下であれば、増出力時においても燃料集合体の浮き上がりを防止できることが判明した。
本発明によれば、熱的余裕を現在運転中のBWRと同程度に保ちつつ増出力が可能であり、かつ増出力時での燃料集合体内における各燃料棒の冷却をより均一化することができる。
以下、本発明の実施例を図面を用いて詳細に説明する。
本発明の好適な一実施例である実施例1のBWR炉心を、図1〜図4を用いて説明する。本実施例のBWR炉心は、電気出力1320MWeのBWR/5の炉心の例である。
まず、本実施例のBWR炉心が適用されるBWR/5を対象とした沸騰水型原子力発電プラント(BWR発電プラント)の概略構成を説明する。BWR発電プラントの主要機器である原子炉は、図2に示す構成を有する。この原子炉は、内部にBWR炉心(以下、単に炉心という)10が形成される原子炉圧力容器13を有する。炉心シュラウド14が原子炉圧力容器13内に設置され、上部格子板15及び炉心支持板16が炉心シュラウド14に設置される。複数のジェットポンプ17が炉心シュラウド14と原子炉圧力容器13との間に形成されるアニュラス部に配置される。炉心10は、炉心シュラウド14内に形成されており、764体の燃料集合体5、及び燃料集合体5の相互間に挿入される185本の制御棒11を有する(図3参照)。炉心10では、原子炉に設けられた制御棒の本数に対する炉心に装荷されている燃料集合体の体数の比が4.13(=764/185))となる。それらの燃料集合体5は、下端部が炉心支持板16に取り付けられた燃料支持金具(図示せず)よって支持され、上端部が上部格子板15によって保持されている。制御棒11は、横断面が十字形をしており、4体の燃料集合体5に1本の割合で配置されている。制御棒11の各ブレードは、内部にB4Cを充填した複数の中性子吸収棒22を有する。制御棒11は原子炉圧力容器13の底部に設けられた制御棒駆動装置12によって操作される。原子炉出力は、制御棒11の炉心10への挿入量を調節することによって制御される。
ジェットポンプ17から吐出された冷却水(冷却材)は、下部プレナム20より各燃料集合体5内に供給される。この冷却水は、燃料集合体5内で核燃料の核分裂によって発生する熱によって加熱されて蒸気になる。この蒸気は、原子炉圧力容器13内で炉心10の上方に設置された気水分離器18及び蒸気乾燥器19おいて水分を除去される。その後、蒸気は、主蒸気管21を通ってタービン(図示せず)に供給され、タービンを回転させる。タービンから排出された蒸気は復水器(図示せず)で凝縮され、この蒸気の凝縮によって生じた水は給水配管(図示せず)により原子炉圧力容器13内に戻される。
燃料集合体5は、図4に示すように、4体ごとに上部格子板15で形成される1つの升目内に配置される。これらの燃料集合体5はそれぞれチャンネルボックス7を有する。各燃料集合体5は燃料集合体上端部に設けられたチャンネルファスナ24によって上部格子板15に押圧されている。これにより、各チャンネルボックス7が上部格子板15に接触する。隣り合う燃料集合体相互間には、飽和水である冷却水が流れるギャップ水領域25(図1及び図4(a)参照)が夫々形成される。本実施例は、前述したように飽和水領域を増大させているため、ギャップ水領域25の幅が既設のBWR/5炉心よりも広くなっている。このため、既設のBWR/5の上部格子板15で燃料集合体5の上端部が保持できるように、チャンネルボックス7は、上部格子板15と接触する2つの側壁部の上端部に厚肉部23を形成している。この厚肉部23の肉厚はチャンネルボックス7の他の部分の肉厚よりも厚くなっている。厚肉部23の形成によって、燃料集合体5の状端部を既設のBWR/5の上部格子板15で保持することができる。
燃料集合体5は、図1(a)に示すように、12行12列に配列した複数の燃料棒6をチャンネルボックス7内に配置している。これらの燃料棒6は、下端部が下部タイプレート(図示せず)に保持され、上端部が上部タイプレート(図示せず)に保持されている。燃料棒6の外径は9.3mmであり、燃料棒6のピッチは10.8mmである。それぞれの燃料棒6は正方格子状に配置されている。水ロッド8が燃料集合体5の横断面中央部に配置される。水ロッド8の上端部及び下端部は上部端部及び下部端部に保持される。水ロッド8は、横断面が十字形をしており、12本の燃料棒6が配置される領域を占有している。燃料棒6は水ロッド8の周囲に配置される。燃料集合体5の軸方向に配置された複数の燃料スペーサ(図示せず)は、燃料棒6の相互間の間隔を所定間隔に保持する。燃料スペーサは、高圧損型燃料スペーサであって、ジルコニウム合金(例えばジルカロイ)製の格子部材及び燃料棒6を押圧するスプリング部材(例えばインコネル製)を有する。各燃料棒6は、その格子部材に形成された個々の升目内に挿入され、スプリング部材によって押圧されている。
一つの燃料集合体格子は、ギャップ水領域25の中間点を結ぶ四辺で囲まれた領域であり、燃料集合体5、及び燃料集合体5の周囲を取り囲むギャップ水領域25の幅の1/2の領域を含んでいる。このギャップ水領域25が前述した周辺部の飽和水領域であり、水ロッド8の部分が前述の中央部の飽和水領域である。水ロッド8とチャンネルボックス7との間に燃料棒6が配置される燃料棒格子領域が形成される。
チャンネルボックス7は、コーナー部が肉厚が厚いThick/Thinチャンネルボックスである。肉厚の厚いコーナー部が図1(a)に示されていないが、チャンネルボックス7内の冷却水流量が均一になるように、肉厚の厚いコーナー部は外側に向かって突出している。このコーナー部は制御棒11の操作に悪影響を与えない程度に外側に突出している。チャンネルボックス7の平均肉厚は2.6mmであり、チャンネルボックス7の内幅は131.5mmである。燃料集合体格子の幅に対するチャンネルボックス7の内幅の比は0.863である。このようなチャンネルボックス7の構成は本実施例に限定されるものでなく、他の実施例においても適用可能である。平均肉厚が2.6mmであれば、Thick/Thinチャンネルボックスの替りに肉厚が実質的に一様なチャンネルボックスを用いてもよい。
図1(a)及び図1(b)を用いて、チャンネルボックス7内の燃料棒格子領域に配置される燃料棒6について説明する。燃料棒6は、ウランを含み可燃性毒物であるガドリニウムを含まない燃料棒6A,6B,6C,6D及び6E、及びウラン及びガドリニウムを含む燃料棒6F,6G及び6Hを含んでいる。燃料棒6A〜6D及び6F〜6Hは燃料有効長が381cmである。燃料棒6Eは燃料有効長が183cmの部分長燃料棒である。燃料棒6A〜6D及び6Fは、燃料有効長の下端から燃料有効長の96.6%の位置までの第1領域、及び第1領域の上端から燃料有効長の上端までの第2領域を有する。燃料棒6G及び6Hは、第1領域が、燃料有効長の下端から燃料有効長の48.0%の位置までの第1A領域、及び第1A領域の上端と燃料有効長の下端から燃料有効長の96.6%の位置との間にある第1B領域に区分される。1本の燃料棒6Dは最外周から一層目において制御棒11に面するコーナー部に配置される。燃料棒6Dは、第1領域がウラン濃縮度2.5wt%で第2領域がウラン濃縮度1.0wt%である。その一層目において燃料棒6Dに隣接して配置される2本の燃料棒6Cは、第1領域がウラン濃縮度3.5wt%で第2領域がウラン濃縮度2.0wt%である。5本の燃料棒6Bは、最外周から一層目に配置され、制御棒11に面するコーナー部では燃料棒6Cに隣接し、他の3つのコーナー部にも配置される。燃料棒6Bは、第1領域がウラン濃縮度4.0wt%で第2領域がウラン濃縮度1.0wt%である。ウラン濃縮度が4.9wt%の16本の燃料棒6Eは、一層目の各辺の中央部、及び最外周から二層目のコーナー部にそれぞれ配置され、さらに水ロッド8に隣接して配置される。8本の燃料棒6Fは水ロッド8に隣接して配置される。燃料棒6Fは、第1領域がウラン濃縮度4.9wt%及びガドリニウム濃度8.0%で第2領域がウラン濃縮度が2.0wt%及びガドリニウム濃度2.5%である。上記の二層目に配置されて燃料棒6Bに隣接している2本の燃料棒6Gの第1A領域は、ウラン濃縮度が4.9wt%でガドリニウム濃度が9.5%である。燃料棒6Gの第1B領域はウラン濃縮度が4.9wt%でガドリニウム濃度が0%である。燃料棒6Gの第2領域はウラン濃縮度が2.0wt%及びガドリニウム濃度0%である。上記の一層目に配置される6本の燃料棒6Hの第1A領域はウラン濃縮度が4.9wt%でガドリニウム濃度が10.0%である。燃料棒6Hの第1B領域はウラン濃縮度が4.9wt%でガドリニウム濃度が11.0%である。燃料棒6Hの第2領域はウラン濃縮度が2.0%及びガドリニウム濃度2.5%である。残りの92本は燃料棒6Aである。燃料棒6Aは第1領域がウラン濃縮度4.9wt%で第2領域がウラン濃縮度2.0%である。
燃料有効長の下端から燃料有効長の48.0%の位置までの領域には、132本の燃料棒6が配置される。その領域よりも上方の領域には、116本の燃料棒6が配置される。燃焼初期に局所的に出力が大きくなるコーナー部に配置される燃料棒6B,6C,6Dはウラン濃縮度が4.0wt%以下である。その他の燃料棒6はウラン濃縮度が4.9wt%である。また、燃焼初期に出力が大きくなる傾向にあるチャンネルボックス7に隣接している燃料棒6G,6Hは、可燃性毒物を含んでおり、燃焼初期の局所出力ピーキングを抑制している。燃料集合体5の横断面での平均ウラン濃縮度は4.73wt%である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.4kg/lである。炉心10に外接する円の半径は2.6mである。出力密度は58.5kW/lで、比出力は24.1MW/tである。
燃料集合体5を装荷した炉心10において、運転サイクル毎の燃料集合体5の取り替え体数を380体とすることによって、取り出し燃焼度45GWd/t、連続運転期間30.5ヶ月で原子炉出力を現行BWR/5から20%向上させることができる。
本実施例は、チャンネルボックス7の平均肉厚が2.6mmであるため、増出力時においてチャンネルボックス7の外側に向かうクリープ変形が抑制される。このため、炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.4kg/lである炉心10においても、増出力時において燃料集合体5内の燃料棒格子領域における冷却水流量分布がより均一化され、各燃料棒6の冷却をより均一化することができる。特に、燃料集合体5は、低圧損型燃料スペーサのインコネル製の格子部材に比べて肉厚の厚いジルカロイ製の格子部材を使用した高圧損型燃料スペーサを用いているが、チャンネルボックス7の上記のクリープ変形を抑制できる。また、増出力時に燃料集合体5の浮き上がりを防止することができる。
本実施例は、チャンネルボックス7の平均肉厚が2.6mmであるため、低圧損型燃料スペーサよりも圧力損失の大きな高圧損型燃料スペーサを用いることができる。高圧損型燃料スペーサの適用によって、中性子の利用効率を高めることができ、さらに、一次冷却水が流れる配管の表面線量率を低減することができる。これらの効果を得ることはできないが、高圧損型燃料スペーサの替りに低圧損型燃料スペーサを用いることができる。本実施例において低圧損型燃料スペーサを使用した場合でも、原子炉の増出力が可能であって、各燃料棒6の冷却をより均一化することができ、燃料集合体5の浮き上がりを防止することができる。
本発明の他の実施例である実施例2のBWR炉心を説明する。本実施例は、実施例1の出力をさらに向上した例である。
本実施例における電気出力は実施例1よりも増加された1419MWeである。この電気出力の増加は、実施例1の制御棒パターンを変更して原子炉出力を増加することによって達成できる。本実施例における炉心の水平断面の構成は、図3に示す水平断面と同じである。本実施例の炉心における燃料集合体格子の水平断面の構成は図1(a)に示す構成と同じである。本実施例の炉心10を構成する燃料集合体5は、図1(a)に示す横断面の構成を有し、図1(b)に示す濃縮度分布及びガドリニウム濃度分布を有する各燃料棒6を含んでいる。しかしながら、チャンネルボックス7の肉厚の平均は2.65mmである。本実施例における炉心10に外接する円の半径は2.6mである。出力密度は62.8kW/lで、比出力は25.9MW/tである。
平均肉厚2.65mmのチャンネルボックスを有する燃料集合体5を装荷した炉心10において、運転サイクル毎の燃料集合体5の取り替え体数を380体とすることによって、取り出し燃焼度44GWd/t、連続運転期間27.8ヶ月で原子炉出力を現行BWR/5から29%向上させることができる。
本実施例も、実施例1で得られる各燃料棒の冷却のより均一化、燃料集合体5の浮き上がり防止の各効果を得ることができる。また、本実施例は、低圧損型燃料スペーサよりも圧力損失の大きな高圧損型燃料スペーサを用いることができるため、中性子の利用効率を高めることができ、さらに、一次冷却水が流れる配管の表面線量率を低減することができる。
本発明の他の実施例である実施例3のBWR炉心を、図7及び図8を用いて説明する。本実施例は、ABWRに適用したBWR炉心である。本実施例の電気出力は1559MWeである。ABWRは、図2に示す原子炉の構成においてジェットポンプ17をインターナルポンプに替えた構成を有する。このインターナルポンプによって冷却水が炉心に供給される。本実施例の炉心10Aは、872体の燃料集合体5A、及び燃料集合体5Aの相互間に挿入される205体の制御棒11を有している。燃料集合体5Aは、外径9.3mmの燃料棒4を10.8mmのピッチで水ロッド8の周囲に12行12列に配置している。これらの燃料棒4を取囲むチャンネルボックス7は、Thick/Thinチャンネルボックスであり、平均肉厚が2.6mm、内幅が131.5mmである。燃料集合体格子の幅に対するチャンネルボックス7の内幅の比は0.849である。平均肉厚が2.6mmであれば、本実施例においてもThick/Thinチャンネルボックスの替りに肉厚が実質的に一様なチャンネルボックスを用いてもよい。炉心10Aでは、原子炉に設けられた制御棒の本数に対する炉心に装荷されている燃料集合体の体数の比が4.25(=872/205))となる。
図8(a)及び図8(b)を用いて、チャンネルボックス7内の燃料棒格子領域に配置される燃料棒4について説明する。燃料棒4は、ウランを含み可燃性毒物であるガドリニウムを含まない燃料棒4A,4B,4C,4D及び4E、及びウラン及びガドリニウムを含む燃料棒4F,4G及び4Hを含んでいる。燃料棒4A〜4D及び4F〜4Hは燃料有効長が381cmである。燃料棒4Eは燃料有効長が183cmの部分長燃料棒である。燃料棒4A〜4Hのそれぞれのチャンネルボックス7内での配置は、実施例1における燃料棒6A〜6Hのそれぞれの配置と同じである。燃料棒4G及び4Hは、燃料有効長の下端から燃料有効長の48.0%の位置までの第1領域、及び第1領域の上端から燃料有効長の上端までの第2領域を、軸方向に形成している。燃料棒4A〜4Fは、燃料有効長の全長に亘って一つの領域になっている。
燃料棒4Aのウラン濃縮度は4.9wt%であり、燃料棒4Bのウラン濃縮度は4.0wt%である。燃料棒4Cはウラン濃縮度が3.5wt%で、燃料棒4Dはウラン濃縮度が2.5wt%で、燃料棒4Eはウラン濃縮度が4.9wt%である。燃料棒4Fは、ウラン濃縮度が4.9wt%、ガドリニウム濃度が8.0%である。燃料棒4Gは、ウラン濃縮度4.9wt%及びガドリニウム濃度9.5%の第1領域、及びウラン濃縮度4.9wt%及びガドリニウム濃度0%の第2領域を有する。燃料棒4Hは、ウラン濃縮度4.9wt%及びガドリニウム濃度10.0%の第1領域、及びウラン濃縮度4.9wt%及びガドリニウム濃度11.0%の第2領域を有する。
燃料有効長の下端から燃料有効長の48.0%の位置までの領域には、132本の燃料棒4が配置される。その領域よりも上方の領域には、116本の燃料棒4が配置される。燃料集合体5Aの平均ウラン濃縮度は4.82wt%である。炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.3kg/lである。炉心10Aに外接する円の半径は2.7mである。出力密度は56.4kW/lで、比出力は24.1MW/tである。
燃料集合体5Aを装荷した炉心10Aにおいて、運転サイクル毎の燃料集合体5Aの取り替え体数を436体とすることによって、取り出し燃焼度46GWd/t、連続運転期間31.4ヶ月で原子炉出力を現行ABWRから15%向上させることができる。
本実施例は、チャンネルボックス7の平均肉厚が2.6mmであるため、増出力時においてチャンネルボックス7の外側に向かうクリープ変形が抑制される。このため、炉心領域の単位体積に含まれるウラン重量は2.3kg/lである炉心10Aにおいても、増出力時に燃料集合体5A内の各燃料棒6の冷却をより均一化することができる。特に、燃料集合体5Aは、ジルカロイ製の格子部材を使用した高圧損型燃料スペーサを用いているが、チャンネルボックス7の上記のクリープ変形を抑制できる。また、増出力時に燃料集合体5の浮き上がりを防止することができる。本実施例は、高圧損型燃料スペーサを用いるため、中性子の利用効率を高めることができ、さらに、一次冷却水が流れる配管の表面線量率を低減することができる。本実施例において、低圧損型燃料スペーサを高圧損型燃料スペーサの替りに用いてもよい。
本発明の他の実施例である実施例4のBWR炉心を、図7及び図9を用いて説明する。本実施例も、実施例3と同様にABWRに適用したBWR炉心である。本実施例の電気出力も1559MWeである。本実施例の炉心を適用するABWRは実施例3と同じ構成を有する。本実施例の炉心10Aは、872体の燃料集合体5B(図9(a)参照)、及び燃料集合体5Bの相互間に挿入される205体の制御棒11を備えている。本実施例で用いられる燃料集合体5Bは、燃料集合体5Aと異なり、核燃料物質として劣化ウランに核分裂性プルトニウム(以下、Pufという)を富化した混合酸化物燃料を用いている。劣化ウランは、濃縮ウラン製造時に残渣として発生する。Pufは使用済燃料集合体の再処理によって得られる。
燃料集合体5Bは、外径9.3mmの燃料棒9を10.8mmのピッチで水ロッド8の周囲に12行12列に配置している。これらの燃料棒9を取囲むチャンネルボックス7は、Thick/Thinチャンネルボックスであり、平均肉厚が2.6mm、内幅が131.5mmである。燃料集合体格子の幅に対するチャンネルボックス7の内幅の比は0.849である。平均肉厚が2.6mmであれば、本実施例においてもThick/Thinチャンネルボックスの替りに肉厚が一様なチャンネルボックスを用いてもよい。
図9(a)及び図9(b)を用いて、チャンネルボックス7内の燃料棒格子領域に配置される燃料棒9について説明する。燃料棒9は、混合酸化物燃料を含み可燃性毒物であるガドリニウムを含まない燃料棒9A,9B,9C,9D及び9E、及びウラン及びガドリニウムを含む燃料棒9F,9G及び9Hを含んでいる。燃料棒9A〜9D及び9F〜9Hは燃料有効長が381cmである。燃料棒9Eは燃料有効長が183cmの部分長燃料棒である。燃料棒9A〜9Hのそれぞれのチャンネルボックス7内での配置は、実施例1における燃料棒6A〜6Hのそれぞれの配置と同じである。燃料棒9Gは、軸方向において、燃料有効長の下端から燃料有効長の48.0%の位置までの第1領域、及び第1領域の上端から燃料有効長の上端までの第2領域を形成している。燃料棒9A〜9F及び9Hは、燃料有効長の全長に亘って一つの領域になっている。
92本の燃料棒9AのPuf富化度は5.9wt%であり、5本の燃料棒9BのPuf富化度は5.0wt%である。2本の燃料棒9CはPuf富化度が3.0wt%で、1本の燃料棒9DはPuf富化度が2.0wt%である。16本の燃料棒9EはPuf富化度が5.9wt%である。8本の燃料棒9Fは、ウラン濃縮度が4.9wt%で、ガドリニウム濃度が4.0%である。2本の燃料棒9Gは、ウラン濃縮度4.9wt%及びガドリニウム濃度5.0%の第1領域、及びウラン濃縮度4.9wt%及びガドリニウム濃度0%の第2領域を有する。6本の燃料棒4Hは、ウラン濃縮度4.9wt%及びガドリニウム濃度5.0%を含んでいる。
燃料有効長の下端から燃料有効長の48.0%の位置までの領域には、132本の燃料棒9が配置される。その領域よりも上方の領域には、116本の燃料棒9が配置される。燃料集合体平均のPuf富化度は5.02wt%である。炉心領域の単位体積に含まれるウランとプルトニウムの合計重量は2.3kg/lである。炉心10Aに外接する円の半径は2.7mである。出力密度は56.4kW/lで、比出力は24.1MW/tである。
燃料集合体5Aを装荷した炉心10Aにおいて、運転サイクル毎の燃料集合体5Aの取り替え体数を436体とすることによって、取り出し燃焼度46GWd/t、連続運転期間31.4ヶ月で原子炉出力を現行ABWRから15%向上させることができる。このような本実施例は、実施例3で生じる効果を得ることができる。
本発明の効果は、上記の各実施例に示された燃料集合体及び炉心に限定されるものではなく、異なる体数の燃料集合体を装荷する炉心に本発明の概念を適用しても同様に得ることができる。また、燃料領域の上下端に劣化ウラン、天然ウラン、低濃縮ウラン等によって構成されるブランケット領域を有する燃料集合体を採用しても同様の効果が得られる。さらに、燃料集合体が長さの異なる複数の燃料棒を有する場合であっても同様である。
本発明の好適な一実施例である実施例1のBWR炉心における燃料集合体格子を示し、(a)は燃料集合体格子の水平断面図であり、(b)は(a)に示す燃料集合体に用いられる各燃料棒における濃縮度及びガドリニウム濃度を示す説明図である。
実施例1のBWR炉心が適用された原子炉の縦断面図である。
実施例1におけるBWR炉心の水平断面図である。
実施例1におけるBWR炉心内での燃料集合体の詳細配置をしめし、(a)は4体の燃料集合体を配置した1つのセルの平面図であり、(b)は(a)のA−A断面図である。
最大線出力密度と炉心出力密度の関係を表した特性図である。
比出力と炉心相対出力の関係を表した特性図である。
本発明の他の実施例である実施例2のBWR炉心の水平断面図である。
実施例2のBWR炉心における燃料集合体格子を示し、(a)は燃料集合体格子の水平断面図であり、(b)は(a)に示す燃料集合体に用いられる各燃料棒における濃縮度及びガドリニウム濃度を示す説明図である。
本発明の他の実施例である実施例3のBWR炉心における燃料集合体格子を示し、(a)は燃料集合体格子の水平断面図であり、(b)は(a)に示す燃料集合体に用いられる各燃料棒における濃縮度及びガドリニウム濃度を示す説明図である。
符号の説明
4,4A〜4H,6,6A〜6H,9,9A〜9H…燃料棒、5,5A,5B…燃料集合体、7…チャンネルボックス、8…水ロッド、10…沸騰水型軽水炉炉心、11…制御棒、12…制御棒駆動装置、13…原子炉圧力容器、14…炉心シュラウド、15…上部格子板、16…炉心支持板、17…ジェットポンプ、22…中性子吸収棒、25…ギャップ水領域。