JP4101944B2 - 燃料集合体 - Google Patents

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    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

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  • Monitoring And Testing Of Nuclear Reactors (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、沸騰水型原子炉の燃料集合体に関わり、特に、ウラン燃料ペレット最高濃縮度の制約の下、可燃性吸収材入りウラン燃料棒の健全性を確保しつつ燃料集合体平均濃縮度を高め、高燃焼度化を図った燃料集合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
沸騰水型原子炉の炉心には、四角筒型のチャンネルボックスの内部に燃料バンドルを収納した燃料集合体が多数配置されており、各燃料集合体の燃料バンドルは、核分裂性物質を含む燃料ペレットを封入した多数の燃料棒と、それらを上下で支持する上部タイプレートおよび下部タイプレートと、燃料棒間の間隔を保持するスペーサ等から構成されている。
この炉心は、所定の期間(=1サイクル)運転を実施した後に停止され、装荷されている燃料集合体の一部が取り出されて新しい燃料集合体と交換される。この交換時の新しい燃料集合体の燃料装荷量は、原子炉を1サイクルの間臨界に保つために必要な核分裂性物質量が装荷されるように設定されるが、運転期間の末期においてちょうど臨界になるように、あらかじめ余剰に設定される。つまり、運転末期以外では、原子炉は臨界を超過した状態となる。したがって、沸騰水型原子炉の炉心では、燃料集合体間に挿入される制御棒と、燃料中に添加される可燃性吸収材とによって、この余分に発生した中性子を吸収し、これにより運転期間を通じて臨界状態を維持している。なお、可燃性吸収材としては、例えばガドリニア等、熱中性子吸収断面積の大きな物質が用いられるが、これらはその熱中性子の吸収によって消耗し、燃焼に伴いその効果が小さくなっていく。そのため、可燃性吸収材は、主として燃焼初期の超過反応度(余剰反応度)を抑えるために用いられる。
【0003】
ところで、沸騰水型原子炉では、核分裂で発生する熱を除熱する冷却材として軽水(冷却水)を用いているが、この冷却水は、中性子の減速材としての役割も果たしており、水密度の大きな方が中性子をより減速する性質をもつ。そして一般に、核分裂性物質は、熱中性子束が大きいほうが反応を起こしやすいことから、水密度が大きくなる冷却水に近い領域では燃料棒の出力が比較的高くなり、冷却水に遠い領域では燃料棒の出力が比較的低くなるという具合に燃料集合体内で出力分布が生じる。
一方、原子炉の炉心に関する重要な量として、燃料棒の単位長さ当たりの出力を表す線出力密度がある。この線出力密度は、燃料集合体全体の絶対的な出力値である「燃料集合体出力」と、燃料集合体内の各軸方向位置における出力の相対的分布を表す「燃料集合体の軸方向相対出力」と、各燃料棒ごとの相対的出力分布を表す「燃料棒相対出力(=局所出力ピーキング)」の3つの量の積で表され、その量の原子炉内での最大値が最大線出力密度となる。この最大線出力密度が過大となり所定値を超えると、当該燃料棒中心温度が上がりすぎて燃料棒ペレットの熱的健全性が確保できなくなる。すなわち、最大線出力密度はなるべく小さい方が上記所定値に対し熱的に余裕のある状態となる。
【0004】
そこで、通常、燃料集合体の設計においては、燃料棒ペレットを複数種類用意して燃料濃縮度分布を適宜設けたり、燃料棒に添加する可燃性吸収材の濃度分布を適宜設けることにより、「燃料棒相対出力」あるいは「燃料集合体の軸方向相対出力」の最大値を抑制している。これによって、最大線出力密度を低減し、炉心としての熱的な余裕を確保し、安全な運転ができるように図られている。但し、燃料濃縮度や可燃性吸収材の分布を単純に調整する方法では燃料棒の種類や濃縮度の種類が増えて複雑になり、製造コストの増加を招く可能性がある。
【0005】
この点を解決するために、例えば特開平2−103491号公報記載のように、正方格子状に配置された9×9格子配列の燃料集合体において、正方格子配列の外側から2層目のコーナーとそれを取り囲む位置の燃料棒を可燃性吸収材入り燃料棒とするとともに、部分長燃料棒を用いて軸方向上・下領域で互いに燃料棒本数差をつける構成が提唱されている。このような構造とすることにより、燃料棒は4種類、燃料ペレットの濃縮度は2種類という比較的簡素な構成で局所出力ピーキングの低減と軸方向出力分布の改善(=燃料集合体の軸方向相対出力の低減)を実現でき、これによって燃料集合体の製造コストを低減している。
また、燃料資源の有効活用の観点から、ウランとプルトニウムの混合酸化物燃料(以下適宜、MOX燃料という)を装荷したMOX燃料棒と、余剰反応度抑制のために設けられる可燃性吸収材入りウラン燃料棒とを備えたMOX燃料集合体が提唱されているが、このMOX燃料集合体に関しても、上記同様の製造コスト低減の観点に基づき、例えば特開昭63−108294号公報記載のように、可燃性吸収材入りウラン燃料棒の軸方向に可燃性吸収材濃度またはウラン濃縮度の分布をつける構成が提唱されている。このような構造とすることにより、MOX燃料棒の構造を複雑にすることなく軸方向の出力分布を改善でき、これによって燃料集合体の製造コストを低減している。
【0006】
ここにおいて、近年、使用済み燃料集合体数の低減、燃料経済性の向上の観点から燃料の高燃焼度化が進められており、例えば平均取り出し燃焼度45[GWd/t]以上が目標とされている。高燃焼度化のためには、燃料集合体平均濃縮度の増大が必要であるが、そのためには、燃料集合体内の各燃料棒の濃縮度を、前述した熱的余裕を確保し燃料棒の健全性を確保できる限りにおいて、なるべく増大させなければならない。
ところで、通常のウランのみのウラン燃料棒は、所定の熱的制限条件を満足する設計とすることで熱的健全性を確保することができるが、可燃性吸収材入り燃料棒は、可燃性吸収材を添加することで熱伝導度が低下しているため、ウラン燃料棒と同じ出力であっても可燃性吸収材入り燃料棒の方が中心温度が高くなり、燃料の熱的健全性を損なう可能性が高くなる。このため、燃料集合体が炉内で相対的に大きな出力を出さなくなるまでは、可燃性吸収材入り燃料棒の出力がウラン燃料棒よりも必ず低くなるように、可燃性吸収材入り燃料棒の濃縮度を調節しなければならない。
ところが、通常、燃料ペレット製造技術においては、製造できるウラン燃料ペレットの最高濃縮度に制約がある(現在は5.0[wt%])。この制約下で燃料集合体平均濃縮度を増大し平均取り出し燃焼度45[GWd/t]という高燃焼度化を達成するには、ウラン燃料棒のウラン濃縮度をできるだけ高くするだけでなく、可燃性吸収材入り燃料棒のウラン濃縮度も熱的健全性を確保できる限りにおいてできる限り増大させる必要がある。すなわち、可燃性吸収材入りの燃料棒について、熱的健全性とウラン濃縮度との関係を詳細に検討することが必須である。
【0007】
しかしながら、上記特開平2−103491号公報及び特開昭63−108294号公報では、このような検討がなされていなかった。
すなわち、特開平2−103491号の燃料集合体では、少ない燃料棒・濃縮度種類で局所出力ピーキング係数低減及び軸方向出力分布改善を実現しているものの、可燃性吸収材入り燃料棒の熱的健全性についての検討は一切なされていない。
また、特開昭63−108294号は、MOX燃料集合体をその対象とするものであるが、MOX燃料集合体においては、プルトニウムの熱中性子吸収断面積がウランに比べて非常に大きく、可燃性吸収材入りウラン燃料棒の出力はMOX燃料棒に比べて常に低くなる。したがって、MOX燃料棒のほうが可燃性吸収材入りウラン燃料棒よりも常に熱的余裕が厳しくなるため、上記した現在のウラン濃縮度の制限下では、可燃性吸収材入りウラン燃料棒の熱的健全性はその濃縮度の大小に関わらず常に確保される。その結果として、可燃性吸収材入り燃料棒の熱的健全性についての検討は一切なされていない。
【0008】
そこで、現在のウラン燃料ペレット最高濃縮度5.0[wt%]という制約の下で、燃料集合体平均濃縮度を増大して平均取り出し燃焼度45[GWd/t]という高燃焼度化を達成するために、可燃性吸収材入りの燃料棒について熱的健全性とウラン濃縮度との関係を検討したものとして、例えば、特開平10−115690号公報に記載の燃料集合体がある。
この燃料集合体は、可燃性吸収材入りウラン燃料棒の出力と燃料集合体の局所出力ピーキングに着目した濃縮度分布方法を提案するものであり、具体的には、可燃性吸収材入りウラン燃料棒の全燃料棒に対する割合を20%〜30%とし、そのウラン濃縮度を全燃料棒のペレット最高ウラン濃縮度及び最低ウラン濃縮度の中間でかつ最高ウラン濃縮度の0.84〜0.96倍とすることにより、現行の燃料ペレットのウラン濃縮度の制限下において、可燃性吸収材入りウラン燃料棒の健全性を確保しつつその濃縮度を高めて燃料集合体平均濃縮度を高め、平均取り出し燃焼度45[GWd/t]以上を実現している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開平10−115690号公報の燃料集合体では、さらなる高燃焼度化を図る観点において、まだ改善の余地がある。
【0010】
すなわち、沸騰水型原子炉では、冷却水が炉心の下部から上部に向かって流れるとき、燃料棒からの発熱により発生する気泡(ボイド)を含んでおり、その気泡の割合(ボイド率)は下流側である炉心上部ほど高くなっている。このため、燃料集合体下部領域よりも上部領域の方が中性子スペクトルが硬い状態で燃焼するという軸方向中性子スペクトル分布が生じる。
このとき、前述したように、可燃性吸収材は、その大きな熱中性子吸収断面積に基づき熱中性子を吸収することで反応度を制御するものであるため、この軸方向中性子スペクトル分布に対応して軸方向に中性子吸収効果の分布が生じる。その結果、燃焼が進んで行くときの可燃性吸収材入りウラン燃料棒のウラン−235の消耗についても軸方向に分布が生じるため、熱的健全性を考える上で問題となる可燃性吸収材の効果がなくなり燃料棒出力が高くなる燃焼後期の可燃性吸収材入りウラン燃料棒の出力にも軸方向分布が生じる。したがって、この軸方向出力分布を改善するように予め軸方向ウラン濃縮度分布を設定しておけば、熱的健全性を確保しつつさらに平均濃縮度を向上し、さらなる高燃焼度化を図れる可能性がある。しかし、上記特開平10−115690号公報ではこの点について配慮されていない。
【0011】
本発明の目的は、ウラン燃料ペレット最高濃縮度の製造上からの制約の下、可燃性吸収材入りウラン燃料棒の健全性を確保しつつ燃料集合体平均濃縮度を高め、平均取り出し燃焼度の向上を図った燃料集合体において、軸方向中性子スペクトル分布に対応した可燃性吸収材入りウラン燃料棒の軸方向ウラン濃縮度分布を設定することにより、さらなる高燃焼度化を図れる構成を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、燃料ペレットが充填され正方格子状に配列された複数本の燃料棒と、少なくとも1本の中性子減速棒とを有し、前記複数本の燃料棒に充填されている燃料ペレットの最高ウラン濃縮度がa[wt%]であり、かつ前記複数本の燃料棒は、可燃性吸収材を含まない複数本の第1の燃料棒と、可燃性吸収材を含む複数本の第2の燃料棒とを含む燃料集合体において、(a)前記正方格子状に配列された全ての燃料棒の燃料集合体当たりの平均ウラン濃縮度は4[wt%]以上であり、(b)前記複数本の第2の燃料棒は、可燃性吸収材入り燃料ペレットのウラン濃縮度c[wt%]がc<aとなるように構成された少なくとも1本の第3の燃料棒を含み、(c)前記正方格子状に配列された複数本の燃料棒の少なくとも大部分は、上下端部にその他の領域より燃料集合体での一横断面での平均ウラン濃縮度が低い領域を有し、かつこの上下端部を除いた領域における燃料集合体の一横断面での平均ウラン濃縮度b[wt%]が、a/b≦1.16となるように構成され、(d)前記第3の燃料棒は、前記上下端部を除いた領域において軸方向にウラン濃縮度分布が存在し、かつ前記第3の燃料棒の軸方向ウラン濃縮度分布は、前記上下端部を除いた領域を軸方向上・下に2分割したとき、上部領域のウラン濃縮度が下部領域のウラン濃縮度よりも高くなるように設定され、(e)前記複数本の第2の燃料棒は、軸方向の少なくとも一部分の領域において可燃性吸収材入り燃料ペレットのウラン濃縮度がaに等しくなる第4の燃料棒をさらに含み、かつ、この第4の燃料棒のうち前記可燃性吸収材入り燃料ペレットのウラン濃縮度がaに等しくなる領域を含む燃料集合体横断面においては、前記第4の燃料棒に対する前記正方格子状配列中の同行隣接列又は同列隣接行の4つの格子位置には、すべて前記第1の燃料棒のうち最高ウラン濃縮度の燃料棒が存在する
正方格子状に配列された燃料棒の燃料集合体平均ウラン濃縮度を4[wt%]以上とすることにより、取り出し平均燃焼度を45[GWd/t]以上に高め、高燃焼度化を図ることができる。また、第3の燃料棒の可燃性吸収材入り燃料ペレットのウラン濃縮度c[wt%]を全燃料棒燃料ペレットの最高濃縮度aよりも小さくすることにより、熱伝導度の悪い可燃性吸収材を含む第3の燃料棒の中心温度をその他の可燃性吸収材を含まない第1の燃料棒の中心温度と同等以下にすることができる。また、正方格子状に配列された燃料棒の少なくとも大部分に、上下端部にその他の領域より横断面平均ウラン濃縮度が低い領域、例えば天然ウランペレットを充填した天然ウランブランケットを設けることにより、中性子の洩れを少なくし効率よく燃料を燃やせるので、燃料集合体平均ウラン濃縮度が同じ燃料集合体であっても高い取り出し燃焼度を得ることができ、容易に高燃焼度化を図れる。またこのとき、上下端部以外の領域の断面平均ウラン濃縮度bと燃料ペレット最高ウラン濃縮度aとの比をa/b≦1.16とすることにより、例えば天然ウランブランケットを上下端部に1/24ノードずつ設けても、燃料集合体平均濃縮度を4[wt%]以上とすることができる。また、沸騰水型原子炉では、燃料集合体下部領域よりも上部領域の方が相対的に中性子スペクトルが硬い状態で燃焼するため、可燃性吸収材の熱中性子吸収効果は上部領域で小さく下部領域で大きくなる。その結果、可燃性吸収材入りウラン燃料棒のウラン濃縮度を軸方向に一様とする場合、上部領域は、下部領域に比べて出力が大きくなり、燃焼が進むにつれてウラン−235の消耗が進む。そのため、熱的健全性を考える上で問題となる、可燃性吸収材の効果がなくなり燃料棒出力が最も高くなる燃焼後期には、逆に可燃性吸収材入りウラン燃料棒の上部領域は下部領域に比べて出力が小さくなる。したがって、上部領域は下部領域に比べて熱的余裕が大きくなっている。本発明では、このことに着目し、少なくとも1本の第3の燃料棒について、その上下端部を除いた領域においてウラン濃縮度に軸方向分布を設け、上下端部を除いた領域を軸方向上・下に2分割したとき、上部領域のウラン濃縮度が下部領域のウラン濃縮度よりも高くなるように設定する。このとき、前述したように上部領域は下部領域に比べて熱的余裕が大きくなるので、上部領域の濃縮度を増加させても下部領域なみの熱的健全性を確保できるともに、上部領域のウラン濃縮度を高くした分、燃料集合体平均ウラン濃縮度をさらに高くすることができる。また、複数本の第2の燃料棒は、軸方向の少なくとも一部分の領域において可燃性吸収材入り燃料ペレットのウラン濃縮度がaに等しくなる第4の燃料棒をさらに含んでいる。これらにより、さらなる高燃焼度化を図ることができる。
【0014】
)また上記目的を達成するために、本発明は、燃料ペレットが充填されn行n列の正方格子状に配列された複数本の燃料棒と、少なくとも1本の中性子減速棒とを有し、前記複数本の燃料棒に充填されている燃料ペレットの最高ウラン濃縮度がa[wt%]であり、かつ前記複数本の燃料棒は、可燃性吸収材を含まない複数本の第1の燃料棒と、可燃性吸収材を含む複数本の第2の燃料棒とを含む燃料集合体において、(a)前記正方格子状に配列された全ての燃料棒の燃料集合体当たりの平均ウラン濃縮度は4[wt%]以上であり、(b)前記複数本の第2の燃料棒は、燃料棒の少なくとも一部分において可燃性吸収材入り燃料ペレットのウラン濃縮度c[wt%]がc=aとなるように構成された少なくとも1本の第3の燃料棒を含み、(c)前記正方格子状に配列された複数本の燃料棒の少なくとも大部分は、上下端部にその他の領域より燃料集合体での一横断面での平均ウラン濃縮度が低い領域を有し、かつこの上下端部を除いた領域における燃料集合体の一横断面での平均ウラン濃縮度b[wt%]が、a/b≦1.16となるように構成され、(d)前記第3の燃料棒は、前記上下端部を除いた領域において軸方向にウラン濃縮度分布が存在し、かつ前記第3の燃料棒にの軸方向ウラン濃縮度分布は、前記上下端部を除いた領域を軸方向上・下に2分割したとき、上部領域のウラン濃縮度が下部領域のウラン濃縮度よりも高くなるように設定され、(e)前記第3燃料棒の燃料棒に対する前記正方格子状配列中の同行隣接列又は同列隣接行の4つの格子位置には、すべて前記第1の燃料棒のうち最高ウラン濃縮度の燃料棒が配置されている。
上記(1)のうち、可燃性吸収材入り燃料ペレットのウラン濃縮度c[wt%]が最高ウラン濃縮度a[wt%]より小さいという条件は、熱伝導度の悪い可燃性吸収材を含む第3の燃料棒の中心温度をその他の可燃性吸収材を含まない第1の燃料棒の中心温度と同等以下にし熱的健全性を確保するためのものであったが、第3の燃料棒が、正方格子中の隣接4位置をすべて最高ウラン濃縮度の第1の燃料棒に囲まれている場合には、水ロッド等の中性子減速棒やギャップ水領域に隣接する位置に比べて出力が相対的に小さくなるため、c=aであってもよい。すなわち、この場合はc<aという条件がなくても、上記(1)と同様の作用を得る。
【0016】
)上記(1)又は(2)において、また好ましくは、前記複数本の第2の燃料棒又は前記少なくとも1本の第3の燃料棒又は前記少なくとも1本の第4の燃料棒は、前記上下端部を除いた領域のうち、一部分のみにウランに可燃性吸収材を添加した可燃性吸収材入り燃料ペレットを充填し、残りの部分にはウラン燃料ペレットを充填した少なくとも1本の第5の燃料棒をさらに含む。
【0017】
)上記(1)又は(2)において、また好ましくは、前記複数本の第1の燃料棒又は前記複数本の第2の燃料棒又は前記少なくとも1本の第3の燃料棒又は前記少なくとも1本の第4の燃料棒は、燃料有効長が他のものよりも短い第6の燃料棒を含む。
【0018】
)上記(1)又は(2)において、好ましくは、前記複数本の燃料棒に充填されている燃料ペレットの最高ウラン濃縮度aは、a≦5.0[wt%]である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は、前述したように、特開平10−115690号公報の燃料集合体において可燃性吸収材入り燃料棒のウラン濃縮度軸方向分布を適宜設けることにより、熱的健全性を確保しつつさらに平均濃縮度を向上し、さらなる高燃焼度化を図るものである。すなわち、ウラン濃縮度軸方向分布を設ける点が最も大きな技術的特徴であり、それ以外の部分については、特開平10−115690号公報と基本的な構成の考え方や作用はほぼ同様である。したがって、以下の各実施形態において、これら共通する部分については、適宜説明を簡略化したり、あるいは説明を省略する。
【0020】
まず、本発明の実施の形態の基礎となっている第1の参考例を図1〜図6により説明する。
【0021】
参考例による燃料集合体の全体構造を表す側断面図を図2に、図2中I−I断面による横断面図を図1(a)に、各種燃料棒の軸方向濃縮度分布を表す説明図を図1(b)に示す。
【0022】
これら図1(a)、図1(b)、及び図2において、本参考例による燃料集合体は、核分裂性物質としてのウランを焼結した燃料ペレットを封入した多数の燃料棒2と、燃料集合体中央部の中性子スペクトルを改善する中性子減速棒として設けられ、冷却材流路を形成する中空管である水ロッド4と、燃料棒2及び水ロッド4を軸方向複数箇所で一定間隔に保持するスペーサ6と、これら燃料バンドルを上端及び下端でそれぞれ保持する上部タイプレート5および下部タイプレート7とを備えており、それらのまわりを四角筒型のチャンネルボックス1で取り囲んでいる。
【0023】
水ロッド4は、角型の大型水ロッド(ウォータチャンネルともいう)であり、燃料集合体径方向の熱中性子束平坦化を目的に、燃料集合体中央部に3行3列格子の9本の燃料棒2を置き換えるように配置されている。
【0024】
燃料棒2は、全部で72本あり、9行9列の正方格子状に配列されている。各燃料棒2は、ペレットに含まれるウランの濃縮度分布が互いに異なる4種類が配置されており、それぞれ燃料棒記号1,2,3,Gで表す。
図1(b)に示すように、燃料棒記号1,2,3,Gの燃料棒2は、燃料有効長の上・下端部1/24ノード部分には、ウラン濃縮度0.71[wt%]の天然ウランブランケット領域が設けられている。そして、燃料棒記号1,2,3の燃料棒2は、天然ウランブランケット領域を除く燃料有効長の22/24ノード部分のウラン濃縮度が、軸方向に一様に、それぞれ4.9[wt%]、4.4[wt%]、2.8[wt%]となっている。すなわち、最高ウラン濃縮度aは、燃料棒記号1に充填されたペレットの4.9[wt%]となっている。
燃料棒記号Gの燃料棒2は、天然ウランブランケット領域を除く燃料有効長の22/24ノード部分のウラン燃料ペレットに、燃焼初期の余剰反応度抑制のために可燃性吸収材としてガドリニアを添加したガドリニア入り燃料棒となっている。またこの燃料棒記号Gの燃料棒2は、上記燃料有効長の22/24ノード部分の軸方向上半分(すなわち燃料有効長の上端基準で1/24ノード〜12/24ノード)と軸方向下半分(燃料有効長の上端基準で12/24ノード〜23/24ノード)とでウラン濃縮度が異なっており、上部領域ではウラン濃縮度cU=4.4[wt%]であるのに対して下部領域ではcL=3.9[wt%]となっている。なお、ガドリニア添加濃度は上部領域下部領域ともに同じ5.5[wt%]となっている。
【0025】
このような燃料棒2は、燃料棒記号1が44本、燃料棒記号2が8本、燃料棒板棒3が4本、燃料棒記号Gが16本、それぞれ図1(a)に示すように配置されている。
すなわち、熱中性子束が高く出力が高くなる9行9列格子状配列の4隅位置には最も濃縮度の低い燃料棒記号3の燃料棒2を配置し、9行9列格子状配列の最外周で燃料棒記号3の燃料棒2を挟むように隣接する位置8箇所には、その次に濃縮度の低い燃料棒記号2の燃料棒2を配置し、これによって燃焼初期の局所出力ピーキングを抑えるようになっている。また燃料棒記号Gのガドリニア入り燃料棒2は、16本のうち8本が、9行9列格子状配列の最外周から数えて3列目の層で水ロッド4の4隅位置にそれぞれ隣接する位置(同行隣接列又は隣接行同列位置、以下同じ)に配置されているが、残りの8本は、9行9列格子状配列の最外周から数えて2列目の層で前述の8本の燃料棒2(燃料棒記号G)と隣接しない位置に配置されている。その他の位置は、すべて燃料棒記号1の燃料棒2が配置されている。
以上のような各燃料棒2の配置の結果、図1(b)に示すように、天然ウランブランケット領域を除いた上部領域の横断面平均濃縮度がbU=4.62[wt%]、下部領域の横断面平均濃縮度がbL=4.51[wt%]、燃料集合体平均濃縮度がd=4.24[wt%]となっている。
【0026】
上記構成において、前述したように、最高ウラン濃縮度a=4.9[wt%]≦5[wt%]となっており、集合体平均ウラン濃縮度d=4.24[wt%]≧4[wt%]となっている。また、ガドリニア入り燃料棒2(燃料棒記号G)の上部領域ウラン濃縮度cU=4.4[wt%]及び下部領域ウラン濃縮度cL=3.9[wt%]<最高ウラン濃縮度a=4.9[wt%]となっている。さらに、天然ウランブランケット領域を除いた上部領域・下部領域横断面平均濃縮度bU=4.62[wt%],bL=4.51[wt%]であって、a/bU=1.065、a/bL=1.089となっていずれも1.16以下となっている。
また、燃料棒記号1,2,3の燃料棒2が可燃性吸収材を含まない第1の燃料棒を構成し、燃料棒記号Gの燃料棒2が可燃性吸収材を含む第2の燃料棒を構成するとともに、上下端部を除いた領域において軸方向にウラン濃縮度分布が存在する第3の燃料棒をも構成する。
【0027】
次に、本参考例の作用を説明する。現在の燃料ペレットの製造技術では、燃料集合体に適用できる燃料ペレットの最高ウラン濃縮度aにa≦5[wt%]という制約がある。本参考例は、このような制約の下で、可燃性吸収材を添加した燃料棒の熱的健全性を確保しつつ出力ピーキングを小さく抑えながら平均ウラン濃縮度を高めることで、45[GWd/t]よりも高い取り出し平均燃焼度を達成するとともに、さらに、可燃性吸収材を添加した燃料棒の軸方向濃縮度分布をもたせることで、さらに平均濃縮度を高めて高燃焼度化を図るものである。以下順次、このことを説明する。
【0028】
(1)集合体平均ウラン濃縮度向上による取り出し燃焼度向上燃料集合体の取り出し燃焼度を大きくするためには、炉心に装荷する新燃料集合体の燃料ペレットのウラン濃縮度を高めることが必要である。図3に、燃料集合体の平均ウラン濃縮度と取り出し燃焼度との関係を示す。本発明では、取り出し燃焼度として45[GWd/t]以上の燃焼度を狙っており、図3より、取り出し燃焼度を45[GWd/t]以上にするためには燃料集合体平均ウラン濃縮度を4.0[wt%]以上とすることが必要であることがわかる。本参考例の燃料集合体では、上記したように、集合体平均ウラン濃縮度d=4.24[wt%]≧4.0[wt%]となっている。これにより、取り出し燃焼度は約49[GWd/t]を達成可能である。このとき、各燃料棒2は、上下端部にその他の領域より横断面平均ウラン濃縮度が低い天然ウランブランケット領域を設けることにより、中性子の洩れを少なくし効率よく燃料を燃やせるので、同じ燃料集合体平均ウラン濃縮度であっても高い取り出し燃焼度を得ることができ、一層の高燃焼度化を容易に図れ、燃料経済性向上効果が得られる。また、このように上・下端部に天然ウランブランケット領域を設けるとき、設計上重要なのは上・下端部のブランケットを除いた濃縮燃料部のウラン濃縮度である。天然ブランケット領域は平均濃縮度を下げる方向に作用するため、濃縮燃料部の横断面平均濃縮度bを所定値以上にしなければ、上記の集合体平均ウラン濃縮度d=4.24[wt%]≧4.0[wt%]を得ることができなくなる。一般に、上・下端部の天然ブランケット領域は燃料有効長の1/24ノードずつ設けることが多い。本願発明者等の検討によれば、このような構造でペレット最高ウラン濃縮度a=5.0[wt%]の場合、濃縮燃料部の横断面平均濃縮度bを4.3[wt%]以上とすれば、燃料集合体平均濃縮度d≧4.0[wt%]となることがわかった。すなわち、ペレット最高のウラン濃縮度aと横断面平均濃縮度bとの比a/b≦1.16(≒5/4.3)とすれば、燃料集合体平均濃縮度d≧4.0[wt%]とできることがわかった。本参考例においては、上記したように、a/bU=1.065、a/bL=1.089となっていずれも1.16以下であるため、上記のように天然ウランブランケット領域を設けても燃料集合体平均濃縮度d=4.24[wt%]となって4.0[wt%]以上を確保することができ、取り出し燃焼度約49[GWd/t]を実現できる。
【0029】
(2)ガドリニア入り燃料棒のウラン濃縮度抑制による熱的健全性確保一般に、ガドリニア等の可燃性吸収材を添加する燃料棒では、その添加によって熱伝導度が例えば数%低下しているため、その他の可燃性吸収材を添加しないウラン燃料棒と同じ出力であっても可燃性吸収材入り燃料棒の方が中心温度が高くなり、燃料の熱的健全性を損なう可能性が高くなる。そのため、可燃性吸収材入り燃料棒の中心温度を他のウラン燃料棒と同じ温度にするためには、安全上、可燃性吸収材入り燃料棒の局所出力ピーキングは、可燃性吸収材が燃え尽きて燃料集合体が相対的に大きな出力を出さなくなる第1サイクルの末期において、他のウラン燃料棒の局所出力ピーキングより少なくとも小さく(好ましくは数%以上小さく)することが効果的である。すなわち、可燃性吸収材入り燃料棒の上下端部以外の領域に充填される可燃性吸収材入り燃料ペレットのウラン濃縮度を、全燃料棒燃料ペレットの最高濃縮度よりも小さくすればよいことになる。本参考例においては、前述したように、ガドリニア入り燃料棒2(燃料棒記号G)の上下ブランケット領域以外に充填される可燃性吸収材入り燃料ペレットのウラン濃縮度cは、上部領域でcU=4.4[wt%]、下部領域でcL=3.9[wt%]であり、いずれも全燃料棒燃料ペレットの最高濃縮度a=4.9[wt%]よりも小さい。これにより、熱伝導度の悪いガドリニアを含む燃料棒2(燃料棒記号G)の中心温度をその他の可燃性吸収材を含まない燃料棒2(燃料棒記号1,2,3)の中心温度と同等以下にし、その熱的健全性を確保することができる。
【0030】
(3)可燃性吸収材入り燃料棒の濃縮度軸方向分布による平均濃縮度の向上
上記(1)(2)で述べた作用は、現行の燃料ペレットの5[wt%]以下というウラン濃縮度制限下において、可燃性吸収材入りウラン燃料棒の健全性を確保しつつその濃縮度を高めて燃料集合体平均濃縮度を高め、平均取り出し燃焼度45[GWd/t]以上を実現するものであり、基本的には、特開平10−115690号公報で達成されている効果と同様である。
本発明は、これらの作用に加え、軸方向中性子スペクトル分布に対応した可燃性吸収材入りウラン燃料棒の軸方向ウラン濃縮度分布を設定することにより、燃料集合体平均濃縮度をさらに高め、これによってさらなる高燃焼度化を可能とするものである。本発明の最大の特徴であるこの作用を以下、順次説明する。
【0031】
(3−A)本発明の原理
一般に、沸騰水型原子炉では、燃料集合体下部領域よりも上部領域の方が相対的に中性子スペクトルが硬い状態で燃焼する。これを図4に示す。
【0032】
図4は、一般的な沸騰水型原子炉の燃料集合体軸方向のボイド分布を示すものである。図示のように、ボイド率は、下部領域(燃料有効長下端基準で1/24ノード〜12/24ノード付近)では0%〜60%程度、上部領域(燃料有効長下端基準で12/24ノード〜23/24ノード付近)では60%から70%程度であり、上部領域の燃料は下部領域に比べて硬い中性子スペクトルで燃焼していくといえる。ここで、ガドリニア等の可燃性吸収材は非常に熱中性子吸収断面積の大きな物質であるために、中性子スペクトルの柔らかい下部領域では中性子吸収効果が大きく、上部領域では下部領域に比べてその効果が小さくなる。つまり、上部領域の可燃性吸収材入り燃料棒は下部領域の可燃性吸収材入り燃料棒と比べて可燃性吸収材に吸収される熱中性子が減り、ウラン−235に供与される熱中性子が増える。
【0033】
そのため、可燃性吸収材入りウラン燃料棒の上部領域は、下部領域に比べて出力が大きくなり、燃焼が進むにつれてウラン−235の消耗が進むことになる。これを図5により説明する。図5は、軸方向に一様なウラン濃縮度分布を備えた可燃性吸収材入り燃料棒の上部領域及び下部領域における出力の推移の一例を示したものである。横軸にボイド率をとっており、ボイド率0%のデータが燃料有効長最下端、ボイド率40%のデータが下部領域、ボイド率70%のデータが上部領域にほぼ相当する。縦軸の可燃性吸収材入り燃料棒出力は、通常のウランのみの燃料棒の出力に対する相対出力として表している。この図5において、上記した原理で、燃焼初期には上部領域が下部領域に比べて出力が大きくなっていることがわかる。そしてまた、熱的健全性を考える上で最も問題となる、可燃性吸収材の効果がなくなり燃料棒出力が最も高くなる燃焼後期には、逆に可燃性吸収材入りウラン燃料棒の上部領域が下部領域に比べて出力が小さくなっていることがわかる。
【0034】
(3−B)本発明の要部構成及び効果上記のように、可燃性吸収材入り燃料棒で軸方向に一様なウラン濃縮度分布とした場合には、燃料棒出力が最も高くなる燃焼後期には、上部領域が下部領域に比べて出力が小さくなり、熱的余裕が大きくなっている。本発明では、このことに着目し、ガドリニア入り燃料棒2(燃料棒記号G)について、上部領域のウラン濃縮度をbU=4.4[wt%]とし、下部領域のウラン濃縮度bL=3.9[wt%]よりも大きくしている。このとき、もともと燃焼後期には上部領域は下部領域に比べて出力が小さく熱的余裕が大きかったので、このように上部領域の濃縮度を増加させて出力を増大させも燃焼後期において下部領域なみの熱的健全性を確保できる。そしてこのとき、上部領域のウラン濃縮度を高くした分、燃料集合体平均ウラン濃縮度をさらに高くすることができる。具体的には、上記特開平10−115690号公報中、本参考例の9×9燃料集合体に対応する燃料集合体が図19に開示されているが、ガドリニア入りウラン燃料棒におけるウラン濃縮度が一様となっている結果、その燃料集合体平均濃縮度は4.22[wt%]に留まっている。本参考例においては、上記のようにガドリニア入り燃料棒2(燃料棒記号G)について、上部領域のウラン濃縮度を下部領域のウラン濃縮度よりも大きくしたことにより、燃料集合体平均濃縮度を4.24[wt%]まで向上することができる。このときの各格子位置における局所出力ピーキングの値を図6に示す。図6は、上部領域でのボイド率40%の局所出力ピーキング係数の分布と、ボイド率70%での局所出力ピーキング係数の分布を燃焼初期及び燃焼後期(ガドリニア消耗後)においてそれぞれ分けて示したものである。図示のように、アンダーライン位置にあるガドリニア入りウラン燃料棒2(燃料棒記号G)の局所出力ピーキングは、燃焼初期において、ボイド率40%の場合0.46〜0.48であるが、ボイド率70%の場合は熱中性子束吸収断面積の大きいガドリニアによる熱中性子の吸収割合が減り、ウランに吸収されて核分裂を起こす熱中性子の割合が多くなることから0.52〜0.57となっている。これは、ボイド率70%の場合の方がボイド率40%の場合よりガドリニア入り燃料棒中のウランの燃焼が早く進むことを示しており、局所出力ピーキングは、ガドリニア消耗後の燃焼後期において、ボイド率40%の場合は0.92〜0.95、ボイド率70%の場合は0.90〜0.93となる。可燃性吸収材の効果で、燃焼初期においてはガドリニア入り燃料棒の局所出力ピーキングはボイド率70%の場合でガドリニア添加のない燃料棒の約43%以下と低い。可燃性吸収材の消耗後で、ガドリニア入り燃料棒が最も熱的に厳しくなる燃焼後期において、ガドリニア添加のない燃料棒に対するガドリニア入り燃料棒の局所出力ピーキングは、ボイド率70%の場合で86%以下となっており、本参考例の上部領域におけるガドリニア入りウラン燃料棒のウラン濃縮度は、ガドリニア入り燃料棒の熱的健全性を確保できる限界近くまで濃縮度を高めている。一方ボイド率40%の場合は、可燃性吸収材の消耗後におけるガドリニア添加のない燃料棒に対するガドリニア入り燃料棒の局所出力ピーキングは88%以下となる。つまり、ボイド率40%付近で燃焼する下部領域は、上部領域よりガドリニア入り燃料棒のウラン濃縮度を低く抑えておく必要があり、本参考例では上部領域のウラン濃縮度4.4[wt%]より十分に低い3.9[wt%]としていることから、従来と同様に可燃性毒物入り燃料棒の熱的健全性を十分に確保できることがわかる。
【0035】
以上説明したように、本参考例によれば、軸方向中性子スペクトル分布に対応した軸方向ウラン濃縮度分布を設定することにより、ガドリニア入りウラン燃料棒2(燃料棒記号2)の健全性を確保しつつ、従来構造よりもさらなる高燃焼度化を図れる。
【0036】
なお、上記第1の参考例では、ペレット最高ウラン濃縮度a=5.0[wt%]という現在の制約の下、ペレット最高のウラン濃縮度aと横断面平均濃縮度bとの比a/b≦1.16(≒5/4.3)とし、これによって濃縮燃料部の横断面平均濃縮度bを4.3[wt%]以上として燃料集合体平均濃縮度d≧4.0[wt%]を確保した。そしてこれによって、図3に基づき45[GWd/t]以上の取り出し燃焼度を確保した。しかしながら、将来的にペレット最高ウラン濃縮度aの値が最も向上したときにおいて、その制約の下においても、ペレット最高のウラン濃縮度aと横断面平均濃縮度bとの比a/b≦1.16とすることで、濃縮燃料部の横断面平均濃縮度bをある値以上として燃料集合体平均濃縮度dもある値に以上に確保できることから、それによって、図3に基づきさらに向上した取り出し燃焼度を確保できることとなる。言い換えれば、将来的にペレット最高ウラン濃縮度aの値が5.0[wt%]以上に向上した場合でも、ガドリニア入り燃料棒2(燃料棒記号G)の上部領域ウラン濃縮度cU及び下部領域ウラン濃縮度cL<最高ウラン濃縮度aとし、天然ウランブランケット領域を除いた上部領域・下部領域横断面平均濃縮度bU,bLについてa/bU又はa/bL≦1.16以下とし、さらにガドリニア入り燃料棒2(燃料棒記号G)について、上部領域のウラン濃縮度bUを、下部領域のウラン濃縮度bLよりも大きくすることで、上記第1の参考例と同様の効果を得ることができる。
【0037】
本発明の第2の参考例を図7により説明する。本参考例は、ガドリニア部分添加燃料棒を用いた場合のものである。図7(a)は、本参考例による燃料集合体の要部構造を表す横断面図であり、図7(b)は、各種燃料棒の軸方向濃縮度分布を表す説明図であり、それぞれ図1(a)及び図1(b)に対応する図である。
【0038】
これら図7(a)及び図7(b)に示す本参考例の燃料集合体において、燃料棒2は、第1の参考例と同様に全部で72本あり、9行9列の正方格子状に配列されている。各燃料棒2は、ペレットに含まれるウランの濃縮度分布が互いに異なる5種類が配置されており、それぞれ燃料棒記号1,2,3,G1,G2で表す。
【0039】
図7(b)において、燃料棒記号1,2,3,G1,G2の各燃料棒2のうち燃料棒記号1,3の燃料棒2は第1の参考例と同様の濃縮度分布であり、また燃料棒記号G2の燃料棒2は第1の参考例の燃料棒記号Gの燃料棒2と同様の濃縮度・ガドリニア濃度分布であるため、説明を省略する。燃料棒記号2,G1の燃料棒2は、上・下端に第1の参考例と同様の天然ウランブランケット領域が設けられている。まず燃料棒記号2の燃料棒2は、天然ウランブランケット領域を除く燃料有効長の22/24ノード部分のウラン濃縮度が、上記燃料有効長の22/24ノード部分の軸方向上半分(燃料有効長の上端基準で1/24ノード〜12/24ノード)と軸方向下半分(燃料有効長の上端基準で12/24ノード〜23/24ノード)とでウラン濃縮度が異なっており、上部領域ではウラン濃縮度4.4[wt%]であるのに対して下部領域では4.9[wt%]となっている。最高ウラン濃縮度aは、この燃料棒記号2の燃料棒2の下部領域及び燃料棒記号1の燃料棒2に充填されたペレットの4.9[wt%]となっている。一方、燃料棒記号G1の燃料棒2は、燃料有効長の22/24ノード部分の軸方向上半分(燃料有効長の上端基準で1/24ノード〜12/24ノード)と軸方向下半分(燃料有効長の上端基準で12/24ノード〜23/24ノード)のうち、上部領域ではウラン濃縮度cU=4.9[wt%]であるのに対して下部領域ではcL=4.4[wt%]となっている。さらにこれに加え、下部領域にのみガドリニアを2.5[wt%]で添加したガドリニア部分添加燃料棒となっている。
【0040】
このような燃料棒2は、燃料棒記号1が42本、燃料棒記号2が8本、燃料棒記号3が4本、燃料棒記号G1が2本、燃料棒記号G2が16本、それぞれ図7(a)に示すように配置されている。すなわち、第1の参考例と同様、熱中性子束が高く出力が高くなる9行9列格子状配列の4隅位置には最も濃縮度の低い燃料棒記号3の燃料棒2を配置し、9行9列格子状配列の最外周で燃料棒記号3の燃料棒2を挟むように隣接する位置8箇所には、ガドリニア非添加でその次に濃縮度の低い燃料棒記号2の燃料棒2を配置している。また、燃料棒記号G2のガドリニア入り燃料棒2は、16本のうち4本が、9行9列格子状配列の最外周から数えて3列目の層で水ロッド4の各面中央に対向する位置に配置されているが、残りの12本は、9行9列格子状配列の最外周から数えて2列目の層で前述の8本の燃料棒2(燃料棒記号G2)と隣接しない位置に配置されている。また燃料棒記号G1のガドリニア入り燃料棒2は、水ロッド4の4隅のうち対角線方向に対向する2隅の対角線方向外側に配置されている。
【0041】
その他の位置は、すべて燃料棒記号1の燃料棒2が配置されている。なお、本参考例では、ガドリニア部分添加燃料棒2(燃料棒記号G1)の存在により、上部領域に比べて下部領域のガドリニア本数は増えている。そして、ガドリニアを添加した燃料棒2(G1,G2)では熱的健全性確保の観点からいずれも、下部領域の濃縮度が上部領域の濃縮度より低くなっていることから、そのままでは、第1の参考例よりも燃料集合体下部断面の平均濃縮度bUと上部断面の平均濃縮度bLの差bU−bLが大きくなり、軸方向出力分布が軸方向上部ピークになる方向となる。そこで、本参考例では、燃料集合体コーナーの位置の4本の燃料棒2(燃料棒記号3)を挟む最外周の8本の燃料棒2(燃料棒記号2)の濃縮度を、上部領域で下部領域より低くすることにより、軸方向出力分布の均一化を図るようにしている。
【0042】
以上のような各燃料棒2の配置の結果、図7(b)に示すように、天然ウランブランケット領域を除いた上部領域の横断面平均濃縮度がbU=4.6[wt%]、下部領域の横断面平均濃縮度がbL=4.5[wt%]、燃料集合体平均濃縮度がd=4.3[wt%]となっている。
【0043】
上記構成において、前述したように、最高ウラン濃縮度a=4.9[wt%]≦5[wt%]となっており、集合体平均ウラン濃縮度d=4.3[wt%]≧4[wt%]となっている。また、ガドリニア入り燃料棒2(燃料棒記号G2)の上部領域ウラン濃縮度cU=4.4[wt%]及び下部領域ウラン濃縮度cL=3.9[wt%]<最高ウラン濃縮度a=4.9[wt%]となっている。さらに、天然ウランブランケット領域を除いた上部領域・下部領域横断面平均濃縮度bU=4.6[wt%],bL=4.5[wt%]であって、a/bU=1.065、a/bL=1.089となっていずれも1.16以下となっている。
【0044】
また、燃料棒記号1,2,3の燃料棒2が可燃性吸収材を含まない第1の燃料棒を構成し、燃料棒記号G1,G2の燃料棒2が可燃性吸収材を含む第2の燃料棒を構成し、そのうち燃料棒記号G2の燃料棒2が上下端部を除いた領域において軸方向にウラン濃縮度分布が存在する第3の燃料棒を構成し、燃料棒記号G1の燃料棒2が上下端部を除いた領域のうち一部分のみに可燃性吸収材入り燃料ペレットを充填し、残りの部分にはウラン燃料ペレットを充填している第5の燃料棒を構成する。
【0045】
これらにより、本参考例においても、第1の参考例と同様の効果を得る。またこれに加え、ガドリニア部分添加燃料棒(燃料棒記号G1)によって、特に燃焼初期に高くなる炉心軸方向出力の下部ピークを抑えることができることから、燃焼初期に比較的高い局所出力ピーキングを出す燃料集合体コーナーを挟む位置の燃料棒2(燃料棒記号2)の濃縮度をより高くでき、これによって燃料集合体平均濃縮度を第1の参考例の4.24[wt%]よりもさらに4.3[wt%]に高めることができる。
【0046】
本発明の第3の参考例を図8により説明する。本参考例は、異なる形状の水ロッド及び部分長燃料棒を用いた場合のものである。図8(a)は、本参考例による燃料集合体の要部構造を表す横断面図であり、図8(b)は、各種燃料棒の軸方向濃縮度分布を表す説明図であり、それぞれ第1の参考例の図1(a)及び図1(b)に対応する図である。
【0047】
これら図8(a)及び図8(b)に示す本参考例の燃料集合体において、水ロッド4は、横断面形状が略円形状のものが2本配置されており、燃料集合体中央部に3行3列格子内の7本の燃料棒2を置き換えるように配置されている。これによって、9行9列の正方格子状に配列された燃料棒2の全本数は74本となっている。各燃料棒2は、ペレットに含まれるウランの濃縮度分布が互いに異なる6種類が配置されており、それぞれ燃料棒記号1,2,3,4,G1,G2で表す。
【0048】
図8(b)において、燃料棒記号1,2,3,4,G1,G2の各燃料棒2は、上端に2/24ノード分の天然ウランブランケット領域が設けられている点が第1及び第2の参考例と異なる。この点を除くと、燃料棒記号1,2,3,4,G1,G2の各燃料棒2のうち、燃料棒記号1の燃料棒2は第1の参考例と同様の濃縮度分布であり、また燃料棒記号G1の燃料棒2は第1の参考例の燃料棒記号Gの燃料棒2と同様の濃縮度・ガドリニア濃度分布であるため、詳細な説明を省略する。燃料棒記号2,3,G2の燃料棒2のうち、燃料棒記号3の燃料棒2は、天然ウランブランケット領域を除く燃料有効長の21/24ノード部分のウラン濃縮度が、軸方向に一様に、3.2[wt%]となっている。また、燃料棒記号2の燃料棒2は、天然ウランブランケット領域を除く燃料有効長の21/24ノード部分のウラン濃縮度が、上記燃料有効長の21/24ノード部分の軸方向上半分(すなわち燃料有効長の上端基準で2/24ノード〜12/24ノード)と軸方向下半分(燃料有効長の上端基準で12/24ノード〜23/24ノード)とでウラン濃縮度が異なっており、上部領域ではウラン濃縮度4.9[wt%]であるのに対して下部領域では4.4[wt%]となっている。一方、燃料棒記号G2の燃料棒2は、天然ウランブランケット領域を除く燃料有効長の21/24ノード部分のウラン濃縮度が、軸方向に一様に、4.4[wt%]となっており、さらに、ガドリニアを軸方向に一様に5.0[wt%]で添加したガドリニア入り燃料棒となっている。また、燃料棒記号4の燃料棒2は、燃料有効長の上端基準12/24ノードに上端が位置し、上端基準23/24ノードに下端が位置し、天然ブランケット領域を持たない長さ11/24ノードの部分長燃料棒となっている。この燃料棒2(燃料棒記号4)のウラン濃縮度は、軸方向に一様に4.9[wt%]となっている。最高ウラン濃縮度aは、この燃料棒記号4の部分長燃料棒2、燃料棒記号1の燃料棒2、及び燃料棒記号2の燃料棒2の上部領域に充填されたペレットの4.9[wt%]となっている。
【0049】
このような燃料棒2は、燃料棒記号1が40本、燃料棒記号2が8本、燃料棒記号3が4本、燃料棒記号4が6本、燃料棒記号G1が4本、燃料棒記号G2が12本、それぞれ図8(a)に示すように配置されている。すなわち、上記第1及び第2参考例同様、熱中性子束が高く出力が高くなる9行9列格子状配列の4隅位置には最も濃縮度の低い燃料棒記号3の燃料棒2を配置し、9行9列格子状配列の最外周で燃料棒記号3の燃料棒2を挟むように隣接する位置8箇所には、ガドリニア非添加でその次に濃縮度の低い燃料棒記号2の燃料棒2を配置している。また燃料棒記号G2のガドリニア入り燃料棒2は、12本のうち4本が、9行9列格子状配列の最外周から数えて3列目の層の4隅にそれぞれ配置され、残りの8本は、9行9列格子状配列の最外周から数えて2列目の層で前述の4本の燃料棒2(燃料棒記号G2)と隣接しない位置に配置されている。また燃料棒記号G1のガドリニア入り燃料棒2は、9行9列格子状配列の最外周から数えて2列目の層の4隅にそれぞれ配置されている。
【0050】
その他の位置は、すべて燃料棒記号1の燃料棒2が配置されている。
以上のような各燃料棒2の配置の結果、図8(b)に示すように、天然ウランブランケット領域を除いた上部領域の横断面平均濃縮度がbU=4.7[wt%]、下部領域の横断面平均濃縮度がbL=4.6[wt%]、燃料集合体平均濃縮度がd=4.2[wt%]となっている。
【0051】
上記構成において、前述したように、最高ウラン濃縮度a=4.9[wt%]≦5[wt%]となっており、集合体平均ウラン濃縮度d=4.2[wt%]≧4[wt%]となっている。また、ガドリニア入り燃料棒2(燃料棒記号G1)の上部領域ウラン濃縮度cU=4.4[wt%]及び下部領域ウラン濃縮度cL=3.9[wt%]<最高ウラン濃縮度a=4.9[wt%]となっている。さらに、天然ウランブランケット領域を除いた上部領域・下部領域横断面平均濃縮度bU=4.7[wt%],bL=4.6[wt%]であって、a/bU=1.043、a/bL=1.065となっていずれも1.16以下となっている。
【0052】
また、燃料棒記号1,2,3,4の燃料棒2が可燃性吸収材を含まない第1の燃料棒を構成し、そのうち燃料棒記号4の燃料棒2が、燃料有効長が他のものよりも短い第6の燃料棒を構成する。また、燃料棒記号G1,G2の燃料棒2が可燃性吸収材を含む第2の燃料棒を構成し、そのうち燃料棒記号G1の燃料棒2が上下端部を除いた領域において軸方向にウラン濃縮度分布が存在する第3の燃料棒を構成する。
【0053】
これらにより、本参考例においても、第1の参考例と同様の効果を得る。このとき、具体的には、上記特開平10−115690号公報中、本参考例の9×9燃料集合体に対応する燃料集合体が図13、図14、図18に開示されているが、ガドリニア入りウラン燃料棒におけるウラン濃縮度が一様となっている結果、その燃料集合体平均濃縮度は4.19[wt%]に留まっている。本参考例においては、上記のようにガドリニア入り燃料棒2(燃料棒記号G1)について、上部領域のウラン濃縮度を下部領域のウラン濃縮度よりも大きくしたことにより、燃料集合体平均濃縮度を4.20[wt%]まで向上することができる。また本参考例では、これに加え、以下のような効果もある。すなわち、一般に、高燃焼度化に対応して燃料集合体平均濃縮度を高めると各燃料棒の熱的余裕が減少していく。しかしながら、本参考例では、部分長燃料棒2(燃料棒記号4)を用いることにより、ボイド率が高く水密度が小さい上部領域の燃料棒本数が減り冷却材流路が大きくなる。これにより燃料集合体上下領域の水分布を均一化し、軸方向出力分布の平坦化が図られる。また、上部領域における冷却材流路面積の増大により圧力損失が低減され熱的余裕を向上する効果もある。さらに、部分長燃料棒2の配置により冷温時と定常時の反応度差が低減し炉停止余裕が大きくなる効果もある。このように種々の効果があるため、部分長燃料棒は、燃料の高燃焼度化に適している。さらに本参考例では、部分長燃料棒の採用で圧力損失が低減された分、燃料棒径を太くすることができ、これによって燃料の装荷量が多くなっている。このとき、燃料1ccあたり発電できる量はほぼ一意的に決定されることから、燃料装荷量が多くなることは、燃料集合体1体で発電できる量が多くなり、各サイクル終了時に取り替えるべき燃料集合体の体数を減らすことができる。したがって、燃料経済性をさらに向上できるという効果がある。さらに本参考例では、上部の天然ウランブランケット領域を2/24ノード分と拡大することで、平均濃縮度を第1の参考例とほぼ同等に確保しつつ、燃料経済性を向上し、さらに取り出し平均燃焼度を向上できる。
【0054】
本発明の第1の実施形態を図9により説明する。本実施形態は、10×10配列の燃料集合体に適用した場合の実施形態である。図9(a)は、本実施形態による燃料集合体の要部構造を表す横断面図であり、図9(b)は、各種燃料棒の軸方向濃縮度分布を表す説明図であり、第1の参考例の図1(a)及び図1(b)に対応する図である。
【0055】
これら図9(a)及び図9(b)に示す本実施形態の燃料集合体において、92本の燃料棒2が10行10列の正方格子状に配列されており、水ロッド4は、横断面形状が略円形状のものが2本配置されており、それぞれ燃料集合体中央部に2行2列格子の4本の燃料棒2を置き換えるように配置されている。各燃料棒2は、ペレットに含まれるウランの濃縮度分布が互いに異なる6種類が配置されており、それぞれ燃料棒記号1,2,3,4,G1,G2で表す。
【0056】
図9(b)において、燃料棒記号1,2,3,4,G1,G2の各燃料棒2のうち、燃料棒記号1,2,3,G1,G2の燃料棒2は、上・下端に第1の参考例と同様の天然ウランブランケット領域が設けられている。それらのうち燃料棒記号1,2,3の燃料棒2は、天然ウランブランケット領域を除く燃料有効長の22/24ノード部分のウラン濃縮度が、軸方向に一様に、それぞれe1[wt%]、e3[wt%]、e4[wt%]となっている。また燃料棒記号G1の燃料棒2は、上記燃料有効長の22/24ノード部分の軸方向上半分(すなわち燃料有効長の上端基準で2/24ノード〜12/24ノード)と軸方向下半分(燃料有効長の上端基準で12/24ノード〜23/24ノード)とでウラン濃縮度が異なっており、上部領域ではウラン濃縮度e2[wt%]であるのに対して下部領域ではe3[wt%]となっている。また上部領域にはg1[wt%]の濃度でガドリニアが添加されており、下部領域にはg2[wt%]の濃度でガドリニアが添加されている。一方、燃料棒記号 2の燃料棒2は、燃料有効長の22/24ノード部分のウラン濃縮度が、軸方向に一様にe1[wt%]となっており、それにg1[wt%]の濃度でガドリニアが添加されている。一方、燃料棒記号4の燃料棒2は、燃料有効長の上端基準10/24ノードに上端が位置し、上端基準23/24ノードに下端が位置し、天然ブランケット領域を持たない長さ13/24ノードの部分長燃料棒となっている。この燃料棒2(燃料棒記号4)のウラン濃縮度は、軸方向に一様にe1[wt%]となっている。なお、上記e1,e2,e3,e4の大小関係は、5[wt%]>e1>e2>e3>e4となっており、これによって、最高ウラン濃縮度aは、燃料棒記号1,4,G2の燃料棒2にそれぞれ充填されたペレットのe1[wt%]となっている。また、詳細には説明しないが、集合体平均ウラン濃縮度も4[wt%]以上となっており、さらに最高濃縮度aと、天然ウランブランケット領域を除いた上部領域・下部領域横断面平均濃縮度が1.16以下に設定されている。
【0057】
このような燃料棒2は、燃料棒記号1が47本、燃料棒記号2が8本、燃料棒記号3が4本、燃料棒記号4が14本、燃料棒記号G1が18本、燃料棒記号G2が1本、それぞれ図9(a)に示すように配置されている。
すなわち、熱中性子束が高く出力が高くなる10行10列格子状配列の4隅位置には最も濃縮度の低い燃料棒記号3の燃料棒2を配置し、10行10列格子状配列の最外周で燃料棒記号3の燃料棒2を挟むように隣接する位置8箇所には、ガドリニア非添加でその次に濃縮度の低い燃料棒記号2の燃料棒2を配置し、これによって燃焼初期の局所出力ピーキングを抑えるようになっている。また燃料棒記号G1のガドリニア入り燃料棒2は、18本のうち16本が、10行10列格子状配列の最外周から数えて2列目の層に配置されているが、残りの2本は、10行10列格子状配列の最外周から数えて4列目の層で水ロッド4,4と隣接する位置に配置されている。また燃料棒記号G2のガドリニア入り燃料棒2は、10行10列格子状配列の最外周から数えて4列目の層で上記燃料棒記号G1のガドリニア入り燃料棒2と水ロッド4,4を挟んで反対側に配置されており、このとき、正方格子状配列中の同行隣接列又は同列隣接行の4つの格子位置には、すべて燃料棒2(燃料棒記号1)が配置されている。
【0058】
その他の位置は、すべて燃料棒記号1の燃料棒2が配置されている。上記構成においては、最高ウラン濃縮度a=e1[wt%]≦5[wt%]となっており、集合体平均ウラン濃縮度も4[wt%]以上となっている。また、ガドリニア入り燃料棒2(燃料棒記号G1)の上部領域ウラン濃縮度cU=e2[wt%]及び下部領域ウラン濃縮度e3[wt%]<最高ウラン濃縮度a=e1[wt%]となっている。さらに、最高濃縮度aと、天然ウランブランケット領域を除いた上部領域・下部領域横断面平均濃縮度は1.16以下となっている。
【0059】
また、燃料棒記号1,2,3,4の燃料棒2が可燃性吸収材を含まない第1の燃料棒を構成し、そのうち燃料棒記号4の燃料棒2が、燃料有効長が他のものよりも短い第5の燃料棒を構成する。また、燃料棒記号G1,G2の燃料棒2が可燃性吸収材を含む第2の燃料棒を構成し、そのうち燃料棒記号G1の燃料棒2が上下端部を除いた領域において軸方向にウラン濃縮度分布が存在する第3の燃料棒を構成する。そして、燃料棒記号G2の燃料棒2が、軸方向の少なくとも一部分の領域において可燃性吸収材入り燃料ペレットのウラン濃縮度がaに等しくなる第4の燃料棒を構成する。
【0060】
これらにより、本実施形態においても、第1の参考例と同様の効果を得る。またこれに加え、本実施形態では燃料棒配列が10行10列に増えて燃料集合体当たりの燃料棒本数が増加していることにより、各燃料棒の熱的余裕が増大し、局所出力ピーキングの最大値を高くすることができる。したがって、通常、局所出力ピーキングを低減するために濃縮度を抑える必要のある燃料集合体コーナー部分の燃料棒2(燃料棒記号3)と、それを挟む位置の燃料棒2(燃料棒記号2)の濃縮度をより高めることができるので、燃料集合体平均濃縮度をさらに増加させ、さらに高燃焼度化を図ることができる。
【0061】
本発明の第2の実施形態を図10により説明する。本実施形態は、いわゆるD格子炉心に配置される燃料集合体の実施形態である。図10(a)は、本実施形態による燃料集合体の要部構造を表す横断面図であり、図10(b)は、各種燃料棒の軸方向濃縮度分布を表す説明図であり、それぞれ図1(a)及び図1(b)に対応する図である。
【0062】
これら図10(a)及び図10(b)において、本実施形態の燃料集合体は、燃料集合体間のギャップ間隔が、制御棒側(図示W−W側)が制御棒のない側(図示N−N側)よりも広くなっているD格子炉心に適用されるものである。これに応じて、この燃料集合体では、制御棒側において広いギャップ水領域(コントロールセル以外は通常時は制御棒は挿入されないことによる)のために熱中性子束が大きくなり特に局所出力ピーキングが増大しやすくなるのに応じて、図10(a)に示すように水ロッド4の位置が制御棒がない側に偏った構造となっている。燃料棒2は、第1の参考例と同様に全部で72本あり、9行9列の正方格子状に配列されている。各燃料棒2は、ペレットに含まれるウランの濃縮度分布が互いに異なる8種類が配置されており、それぞれ燃料棒記号1,2,3,4,5,G1,G2,G3で表す。
【0063】
図10(b)において、燃料棒記号1,2,3,4,5,G1,G2,G3の各燃料棒2のうち、燃料棒記号1の燃料棒2は第1の参考例の燃料棒記号3の燃料棒2と同様の濃縮度分布であり、また燃料棒記号5の燃料棒2は第1の参考例の燃料棒記号1の燃料棒2と同様の濃縮度分布であるため、説明を省略する。なお、最高ウラン濃縮度aは、燃料棒記号5に充填されたペレットの4.9[wt%]となっている。燃料棒記号2,3,4,G1,G2,G3の燃料棒2は、上・下端に第1の参考例と同様の天然ウランブランケット領域が設けられている。まず燃料棒記号2,3の燃料棒2は、天然ウランブランケット領域を除く燃料有効長の22/24ノード部分のウラン濃縮度が、軸方向に一様に、それぞれ3.2[wt%]、3.6[wt%]となっている。また、燃料棒記号4の燃料棒2は、燃料有効長の22/24ノード部分のうち頂部(燃料有効長の上端基準で1/24ノード〜6/24ノード)とそれ以外の部分(燃料有効長の上端基準で6/24ノード〜23/24ノード)とでウラン濃縮度が異なっており、頂部ではウラン濃縮度4.6[wt%]であるのに対してそれ以外の領域では4.0[wt%]となっている。一方、燃料棒記号G1,G2の燃料棒2は、天然ウランブランケット領域を除く燃料有効長の22/24ノード部分のウラン濃縮度が、軸方向に一様に、それぞれ4.0[wt%]、4.4[wt%]となっており、さらにこれに加え、ガドリニアを軸方向に一様に5.0[wt%]で添加したガドリニア添加燃料棒となっている。また、燃料棒記号G3の燃料棒2は、上記燃料有効長の22/24ノード部分の軸方向上半分(燃料有効長の上端基準で1/24ノード〜12/24ノード)と軸方向下半分(燃料有効長の上端基準で12/24ノード〜23/24ノード)のうち、上部領域ではウラン濃縮度cU=4.9[wt%]であるのに対して下部領域ではcL=4.4[wt%]となっており、これに加え、上部・下部領域にガドリニアを5.0[wt%]でそれぞれ添加したガドリニア添加燃料棒となっている。
【0064】
このような燃料棒2は、燃料棒記号1が1本、燃料棒記号2が2本、燃料棒記号3が1本、燃料棒記号4が2本、燃料棒記号5が50本、燃料棒記号G1が3本、燃料棒記号G2が8本、燃料棒記号G3が5本、それぞれ図10(a)に示すように配置されている。すなわち、第1の参考例と同様、熱中性子束が高く出力が高くなる9行9列格子状配列の4隅位置には濃縮度の低い燃料棒記号1,2,3の燃料棒2を配置している。このとき、広いギャップ水領域のために熱中性子束が大きく特に出力が増大しやすい制御棒側コーナーにはこれらの中で最も濃縮度の低い燃料棒記号1の燃料棒2を配置し、制御棒がない側のコーナーにはこれらの中では最も濃縮度の高い燃料棒記号3の燃料棒2を配置し、残りのコーナー2箇所にはその中間の燃料棒記号2の燃料棒2を配置している。また、9行9列格子状配列の最外周で燃料棒記号1の燃料棒2を挟むように隣接する位置2箇所には、ガドリニア非添加でその次に濃縮度の低い燃料棒記号4の燃料棒2を配置している。これらによって燃焼初期の局所出力ピーキングを抑えるようになっている。また、燃料棒記号G2のガドリニア入り燃料棒2は、8本のうち6本が、9行9列格子状配列の最外周から数えて2列目の層に配置されているが、残りの2本は、9行9列格子状配列の最外周から数えて3列目の層で水ロッド4から離れた位置に配置されている。また、燃料棒記号G1のガドリニア入り燃料棒2は、9行9列格子状配列の最外周から数えて2列目の層に3本すべてが配置されている。さらに、燃料棒記号G3のガドリニア入り燃料棒2は、5本のうち2本が、9行9列格子状配列の最外周から数えて2列目の層に配置されているが、残りの3本は、9行9列格子状配列の最外周から数えて3列目の層で水ロッド4から離れた位置に配置されている。但しこのとき、この燃料棒記号G3のガドリニア入り燃料棒2は、隣接する4つの格子位置に、すべて燃料棒記号5の燃料棒2が配置されており、水ロッド4やギャップ水領域に隣接しないようになっている。
【0065】
その他の位置は、すべて燃料棒記号5の燃料棒2が配置されている。
【0066】
以上のような各燃料棒2の配置の結果、図10(b)に示すように、天然ウランブランケット領域を除いた頂部領域(燃料有効長の上端基準で1/24ノード〜6/24ノード)の横断面平均濃縮度がbU1=4.7[wt%]、その下の上部領域(燃料有効長の上端基準で6/24ノード〜12/24ノード)の横断面平均濃縮度がbU2=4.7[wt%]、下部領域の横断面平均濃縮度がbL=4.7[wt%]、燃料集合体平均濃縮度がd=4.3[wt%]となっている。
【0067】
上記構成において、前述したように、最高ウラン濃縮度a=4.9[wt%]≦5[wt%]となっており、集合体平均ウラン濃縮度d=4.3[wt%]≧4[wt%]となっている。また、天然ウランブランケット領域を除いた上部領域・下部領域横断面平均濃縮度bU=4.7[wt%],bL=4.7[wt%]であって、a/bU=1.043、a/bL=1.043となっていずれも1.16以下となっている。
また、燃料棒記号1,2,3,4,5の燃料棒2が可燃性吸収材を含まない第1の燃料棒を構成し、燃料棒記号G1,G2,G3の燃料棒2が可燃性吸収材を含む第2の燃料棒を構成し、そのうち燃料棒記号G3の燃料棒2が上下端部を除いた領域において軸方向にウラン濃縮度分布が存在する第3の燃料棒を構成する。
【0068】
ところで、本実施形態においては、ガドリニア入り燃料棒2(燃料棒記号G3)の上部領域ウラン濃縮度cU=4.9[wt%]であり、最高ウラン濃縮度a=4.9[wt%]と等しく、cU<aとはなっていない。しかしながら、これに代わり、燃料棒記号G3のガドリニア入り燃料棒2が、隣接する4つの格子位置にすべて燃料棒記号5の燃料棒2が配置され、水ロッド4やギャップ水領域に隣接しないようになっていることにより、c<aという条件がなくても、第1の参考例と同様の効果を得ることができる。すなわち、可燃性吸収材入り燃料ペレットのウラン濃縮度c[wt%]が最高ウラン濃縮度a[wt%]より小さいという条件は、熱伝導度の悪いガドリニア入り燃料棒2の中心温度をその他のガドリニアを含まない燃料棒2の中心温度と同等以下にし熱的健全性を確保するためのものであった。ここで、このガドリニア入り燃料棒2が、正方格子中の隣接4位置をすべてガドリニアを含まない燃料棒2に囲まれている場合には、水ロッド4やギャップ水領域に隣接する位置に比べて出力が相対的に小さくなるため、c=aであってもよい。すなわち、この場合はc<aという条件がなくても同様の効果を得ることができる。
【0069】
また、本実施形態においては以下のような意義もある。すなわち、一般に、D格子燃料集合体では、局所出力分布を平坦化して熱的制限条件を満足するためには、上記第1〜第3の参考例及び上記第1の実施形態のような燃料集合体に比べ、燃料棒濃縮度の種類をより増やして配置位置に応じ濃縮度差を大きくつける必要がある。そのため、高燃焼度化のために燃料集合体平均濃縮度を高めるのが困難である。しかし、上記第2の実施形態のようにガドリニア入り燃料棒2(燃料棒記号G3)に軸方向分布を設けることにより、D格子燃料集合体においても、燃料棒2の熱的健全性を確保しつつ燃料集合体平均濃縮度を向上し、高燃焼度化を容易に図ることができる。
【0070】
なお、以上の各実施形態においては、本発明の特徴を備えたガドリニア入りウラン燃料棒2において、上下端の天然ウランブランケット領域以外の領域を上半分と下半分に分け、上部領域のウラン濃縮度を下部領域よりも大きくなるようにしたが、濃縮度分布をつける方法は必ずしもこれに限られない。すなわち、上下端の天然ウランブランケット領域以外の領域を2分する位置は有効長を2等分する位置でなく下1/3や上1/3等の位置も設計上考えられ、また2分するにも限られず、天然ブランケット領域以外の領域を3等分以上に分割してもよい。いずれにしても、燃料棒の上側ほど高濃縮度側となる分布として高濃縮度側での大きな熱的余裕を有効活用することが発明の本質であり、この趣旨を逸脱しないためには、天然ウランブランケット領域を除いた領域においてウラン濃縮度軸方向分布を設け、その領域の下端から上端へ向かってウラン濃縮度が小さくならないような軸方向分布を設ければ足りる。
【0071】
【発明の効果】
本発明によれば、ウラン燃料ペレット最高濃縮度5.0[wt%]という制約の下、可燃性吸収材入りウラン燃料棒の健全性を確保しつつ燃料集合体平均濃縮度を高め、平均取り出し燃焼度45[GWd/t]以上を実現する燃料集合体において、軸方向中性子スペクトル分布に対応した軸方向ウラン濃縮度分布を設定するので、さらなる高燃焼度化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の参考例による燃料集合体の詳細構造を表す横断面図、及び各種燃料棒の軸方向濃縮度分布を表す説明図である。
【図2】 図1に示した燃料集合体の全体構造を表す側断面図である。
【図3】 燃料集合体の平均ウラン濃縮度と取り出し燃焼度との関係を示す図である。
【図4】 燃料集合体下部領域よりも上部領域の方が相対的に中性子スペクトルが硬い状態で燃焼することを説明するための、炉心軸方向のボイド率分布を示す図である。
【図5】 軸方向に一様なウラン濃縮度分布を備えた可燃性吸収材入り燃料棒の上部領域及び下部領域における出力の推移の一例を示した図である。
【図6】 図1及び図2に示した燃料集合体の各格子位置における局所出力ピーキングの値を示した図である。
【図7】 本発明の第2の参考例による燃料集合体の詳細構造を表す横断面図、及び各種燃料棒の軸方向濃縮度分布を表す説明図である。
【図8】 本発明の第3の参考例による燃料集合体の詳細構造を表す横断面図、及び各種燃料棒の軸方向濃縮度分布を表す説明図である。
【図9】 本発明の第1の実施形態による燃料集合体の詳細構造を表す横断面図、及び各種燃料棒の軸方向濃縮度分布を表す説明図である。
【図10】 本発明の第2の実施形態による燃料集合体の詳細構造を表す横断面図、及び各種燃料棒の軸方向濃縮度分布を表す説明図である。
【符号の説明】
2 燃料棒
4 水ロッド

Claims (5)

  1. 燃料ペレットが充填され正方格子状に配列された複数本の燃料棒と、少なくとも1本の中性子減速棒とを有し、前記複数本の燃料棒に充填されている燃料ペレットの最高ウラン濃縮度がa[wt%]であり、かつ前記複数本の燃料棒は、可燃性吸収材を含まない複数本の第1の燃料棒と、可燃性吸収材を含む複数本の第2の燃料棒とを含む燃料集合体において、
    (a)前記正方格子状に配列された全ての燃料棒の燃料集合体当たりの平均ウラン濃縮度は4[wt%]以上であり、
    (b)前記複数本の第2の燃料棒は、可燃性吸収材入り燃料ペレットのウラン濃縮度c[wt%]がc<aとなるように構成された少なくとも1本の第3の燃料棒を含み、
    (c)前記正方格子状に配列された複数本の燃料棒の少なくとも大部分は、上下端部にその他の領域より燃料集合体での一横断面での平均ウラン濃縮度が低い領域を有し、かつこの上下端部を除いた領域における燃料集合体の一横断面での平均ウラン濃縮度b[wt%]が、a/b≦1.16となるように構成され、
    (d)前記第3の燃料棒は、前記上下端部を除いた領域において軸方向にウラン濃縮度分布が存在し、かつ前記第3の燃料棒の軸方向ウラン濃縮度分布は、前記上下端部を除いた領域を軸方向上・下に2分割したとき、上部領域のウラン濃縮度が下部領域のウラン濃縮度よりも高くなるように設定され、
    (e)前記複数本の第2の燃料棒は、軸方向の少なくとも一部分の領域において可燃性吸収材入り燃料ペレットのウラン濃縮度がaに等しくなる第4の燃料棒をさらに含み、かつ、この第4の燃料棒のうち前記可燃性吸収材入り燃料ペレットのウラン濃縮度がaに等しくなる領域を含む燃料集合体横断面においては、前記第4の燃料棒に対する前記正方格子状配列中の同行隣接列又は同列隣接行の4つの格子位置には、すべて前記第1の燃料棒のうち最高ウラン濃縮度の燃料棒が存在することを特徴とする燃料集合体。
  2. 燃料ペレットが充填されn行n列の正方格子状に配列された複数本の燃料棒と、少なくとも1本の中性子減速棒とを有し、前記複数本の燃料棒に充填されている燃料ペレットの最高ウラン濃縮度がa[wt%]であり、かつ前記複数本の燃料棒は、可燃性吸収材を含まない複数本の第1の燃料棒と、可燃性吸収材を含む複数本の第2の燃料棒とを含む燃料集合体において、
    (a)前記正方格子状に配列された全ての燃料棒の燃料集合体当たりの平均ウラン濃縮度は4[wt%]以上であり、
    (b)前記複数本の第2の燃料棒は、燃料棒の少なくとも一部分において可燃性吸収材入り燃料ペレットのウラン濃縮度c[wt%]がc=aとなるように構成された少なくとも1本の第3の燃料棒を含み、
    (c)前記正方格子状に配列された複数本の燃料棒の少なくとも大部分は、上下端部にその他の領域より燃料集合体での一横断面での平均ウラン濃縮度が低い領域を有し、かつこの上下端部を除いた領域における燃料集合体の一横断面での平均ウラン濃縮度b[wt%]が、a/b≦1.16となるように構成され、
    (d)前記第3の燃料棒は、前記上下端部を除いた領域において軸方向にウラン濃縮度分布が存在し、かつ前記第3の燃料棒の軸方向ウラン濃縮度分布は、前記上下端部を除いた領域を軸方向上・下に2分割したとき、上部領域のウラン濃縮度が下部領域のウラン濃縮度よりも高くなるように設定され、
    (e)前記第3燃料棒の燃料棒に対する前記正方格子状配列中の同行隣接列又は同列隣接行の4つの格子位置には、すべて前記第1の燃料棒のうち最高ウラン濃縮度の燃料棒が配置されていることを特徴とする燃料集合体。
  3. 請求項1又は2記載の燃料集合体において、前記複数本の第2の燃料棒又は前記少なくとも1本の第3の燃料棒又は前記少なくとも1本の第4の燃料棒は、前記上下端部を除いた領域のうち、一部分のみにウランに可燃性吸収材を添加した可燃性吸収材入り燃料ペレットを充填し、残りの部分にはウラン燃料ペレットを充填した少なくとも1本の第5の燃料棒をさらに含むことを特徴とする燃料集合体。
  4. 請求項1又は2記載の燃料集合体において、前記複数本の第1の燃料棒又は前記複数本の第2の燃料棒又は前記少なくとも1本の第3の燃料棒又は前記少なくとも1本の第4の燃料棒は、燃料有効長が他のものよりも短い第6の燃料棒を含むことを特徴とする燃料集合体。
  5. 請求項1又は2記載の燃料集合体において、前記複数本の燃料棒に充填されている燃料ペレットの最高ウラン濃縮度aは、a≦5.0[wt%]
    であることを特徴とする燃料集合体。
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