JP3958545B2 - 燃料集合体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、原子炉炉心に装荷する燃料集合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、沸騰水型原子炉の炉心は、四角筒型のチャンネルボックスの内部に燃料バンドルを収納した燃料集合体が多数配置されており、各燃料集合体の燃料バンドルは、ウランやプルトニウム等の核分裂性物質を含む燃料ペレットが封入されn行n列(n=8,9,10,11,…等)の正方格子状に配列された多数の燃料棒と、それらを上下で支持する上部タイプレートおよび下部タイプレートと、燃料棒間の間隔を保持するスペーサ等から構成されている。
【0003】
この炉心は、所定の期間(=1サイクル)運転を実施した後に停止され、装荷されている燃料集合体の一部が取り出されて新しい燃料集合体と交換される。この交換時の新しい燃料集合体の燃料装荷量は、原子炉を1サイクルの間臨界に保つために必要な核分裂性物質量が装荷されるように設定されるが、運転期間の末期においてちょうど臨界になるように、あらかじめ余剰に設定される。つまり、運転末期以外では、原子炉は臨界を超過した状態となる。したがって、沸騰水型原子炉の炉心では、燃料集合体間に挿入される制御棒と、一部の燃料棒の燃料中に添加される可燃性吸収材とによって、この余分に発生した中性子を吸収し、これにより運転期間を通じて臨界状態を維持している。
【0004】
なお、可燃性吸収材としては、例えばガドリニア等、熱中性子吸収断面積の大きな物質が用いられるが、これらはその熱中性子の吸収によって消耗し、燃焼に伴いその効果が小さくなっていく。そのため、可燃性吸収材は、主として燃焼初期の超過反応度(余剰反応度)を抑えるために用いられる。
【0005】
ここで、近年、連続運転期間の延長,燃料資源の有効利用、さらに使用済み燃料廃棄物発生量の低減等の観点から、燃料集合体の設計は高燃焼度化(例えば、目標取り出し平均燃焼度40GWd/t以上)の傾向にある。高燃焼度化のためには、燃料集合体一体あたりの核分裂性物質の装荷量を増やす(すなわち燃料濃縮度を高くする)ことが望ましい。
【0006】
ところが、燃料濃縮度を高くすると、余剰反応度はより大きくなるため、余剰反応度を抑えるために必要な可燃性吸収材量も増えることになるため、可燃性吸収材入り燃料棒における核分裂性物質の装荷量を減らさざるを得なくなる。
【0007】
また可燃性吸収材を燃料棒に混入すると熱伝導率が小さくなって燃料温度が高くなる傾向となる(すなわち燃料棒の健全性を確保するための熱的余裕が小さくなる)ため、可燃性吸収材入り燃料棒ではあらかじめ燃料濃縮度を小さくし出力を抑える工夫が必要となり、この意味でも当該可燃性吸収材入り燃料棒の核分裂性物質の装荷量を減らさざるを得なくなる。
【0008】
以上のように可燃性吸収材入り燃料棒の核分裂性物質の装荷量を低減しても、他の燃料棒の核分裂性物質の装荷量をその分増加できればよいが、通常、局所出力ピーキングの低減,熱的余裕の確保等の観点から燃料集合体中の濃縮度には上限がある。そのため、他の燃料棒の核分裂性物質の装荷量の増大には限界があり、この結果、燃料集合体平均濃縮度を低下させなければならず、燃料集合体一体あたりの核分裂性物質の装荷量を低減せざるを得なくなる。
【0009】
また一方、近年、原子力発電所の核燃料リサイクルを図る観点から、再処理によって使用済み燃料から取り出されたプルトニウムをウランと混合し、ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料(以下適宜、MOX燃料という)として、軽水炉で利用することが提唱されている(いわゆるプルサーマル計画)。MOX燃料は、その核分裂性物質であるプルトニウム239やプルトニウム241の熱中性子吸収断面積がウラン235より大きいこと、及びプルトニウム240による中性子の吸収がウラン238より大きいこと等により、通常のウラン燃料よりも熱中性子の割合が減少し、中性子スペクトルが硬くなるという性質がある。
【0010】
ここで、通常用いるガドリニア等の可燃性吸収材は、熱中性子に対する吸収断面積が大きいので、その燃焼特性(すなわち吸収特性)は中性子スペクトルに強く依存しており、中性子平均エネルギーが低く(中性子スペクトルが軟らかく)なるほど燃焼が進行して中性子吸収効果が大きくなる一方、中性子スペクトルが硬くなるほど中性子吸収効果が小さくなる。そのため、MOX燃料を備えたMOX燃料集合体では、ウラン燃料のみを備えていたウラン燃料集合体よりも可燃性吸収材の中性子吸収効果が低下し、余剰反応度を抑えるためにはより多くの可燃性吸収材が必要になり、燃料集合体一体あたりの核分裂性物質の装荷量をさらに減らすことになる。
【0011】
以上のような背景から、従来、例えば、特開昭58−113785号公報,特開平2−147890号公報、及び特開平10−10257号公報に記載のように、可燃性吸収材を、燃料棒以外の燃料集合体構造物に含有させる手法が提唱されている。
【0012】
特開平10−10257号公報に記載の燃料集合体では、燃料棒の正方格子状配列を取り囲むチャンネルボックスの外周側又は内周側に可燃性吸収材を配備している。具体的には、ガドリニウム,カドミウム,サマリウム,ホウ素,銀,インジウム,ハフニウム等を含有させた(又は過飽和状態に固溶させた)金属,合金,金属間化合物,セラミックスを配置したり、チャンネルボックスを構成する母材(ジルコニウム合金等)に対し前記ガドリニウム等を合金元素として添加(又は金属,金属間化合物,酸化物,水素化物,窒化物等として分散)したりしている。
【0013】
特開平2−147890号公報に記載の燃料集合体では、図6においては、チャンネルボックス内に内部を非沸騰水が流れる十字形サブチャンネルを設け、そのサブチャンネルの壁面内周側に非沸騰水と接するように可燃性吸収材(ジルコニウムボライド)の被膜をコーティングしている。
【0014】
また図7においては、燃料バンドルを複数のサブバンドルに小分けして、チャンネルボックスに代え各サブバンドルを取り囲むようにサブチャンネルをそれぞれ配置して各サブチャンネル内に非沸騰水を流し、その各サブチャンネルの壁面内周側に非沸騰水と接するように可燃性吸収材(ジルコニウムボライド)の被膜をコーティングしている。このとき、可燃性吸収材を非沸騰水に面して設けることにより、ガドリニウムよりも中性子吸収断面積の小さいボロンでも十分に初期余剰反応を抑制できるように図られている。
【0015】
特開昭58−113785号公報に記載の燃料集合体では、燃料集合体径方向出力分布の平坦化を目的として燃料バンドルの径方向中心部に配置される減速材棒(水ロッド)の被覆管外管と内管との間に、ガドリニウム,カドミウム,サマリウム,ユーロビウム,ジスプロシウム,ホウ素(ボロン),インジウム,ハフニウム等の可燃性吸収材を充填させている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、沸騰水型原子炉では、核分裂で発生する熱を除熱する冷却材として軽水(冷却水)を用いているが、この冷却水は、中性子の減速材としての役割も果たしており、水密度(詳細には、水素の原子数密度)の大きな方が中性子をより減速する性質をもつ。
【0017】
ここで、沸騰水型原子炉ではチャンネルボックスにより冷却水の流路が分けられており、チャンネルボックスの中の燃料棒の間を流れる冷却水は燃料棒からの発熱により沸騰して生じた気泡を含む気液2相流(以下適宜、沸騰水という)となっており、チャンネルボックスの外(言い換えれば隣接2燃料集合体間)を流れる冷却水(ギャップ水)は気泡を含まない液1相流(以下適宜、非沸騰水,飽和水という)となっており、冷却水の密度差が生じている。このため、沸騰水型原子炉の燃料集合体では、チャンネルボックスに近い外周部にくらべて中央部で熱中性子束が低くなるといった分布ができる。
【0018】
そして通常、沸騰水型原子炉の燃料は主としてエネルギーの低い熱中性子により核分裂を起こし易い性質をもつ核分裂性物質であり、熱中性子束の高い位置にある燃料棒は高い出力を出しやすいことから、水密度が大きいチャンネルボックスに近い外周部では燃料棒の出力が比較的高くなり、中央部では燃料棒の出力が比較的低くなるという具合に燃料集合体内で出力分布が生じる。そのため、通常、燃料集合体径方向中央部に、熱中性子束の分布を少しでも改善するために、気泡を含まない非沸騰水を貫流させ減速材棒(いわゆる水ロッド)を設置していることが多い。
【0019】
また、上記のような水密度の差は、原子炉の運転中と、運転しない冷温停止中とによっても生じる。前述したように原子炉の運転中においては、チャンネルボックス内部の沸騰水及びチャンネルボックス外部の非沸騰水のいずれについても、減速材である水温の上昇とボイド率(気泡の含まれる割合)の増大によって水密度が相対的に小さくなって減速効果は相対的に小さく、この結果反応度(例えば中性子無限増倍率、以下同様)は比較的小さくなる。これに対して、冷温停止時においては、水温の下降とボイド率の減少によって水素密度が相対的に大きくなるため、中性子の減速効果が大きくなって反応度が比較的大きくなる。この通常運転時と冷温停止時の反応度の差がいわゆるホット・コールドスウィングと称されるものである。このホット・コールドスウィングがあまり大きくなると、通常運転時に臨界を保ちつつ冷温停止時の炉停止余裕を確保するのが難しくなる。したがって、ホット・コールドスウィングはなるべく小さい値に低減するほうが好ましい。
【0020】
一方、先に述べたように可燃性吸収材の燃焼は中性子スペクトルに強く依存しており、中性子平均エネルギーが低く(中性子スペクトルが軟らかく)なるほど燃焼が進行して中性子吸収効果が大きくなる一方、中性子スペクトルが硬くなるほど中性子吸収効果が小さくなる。したがって、一般的に、水密度が相対的に小さくなり中性子スペクトルが硬くなる通常運転中においては中性子吸収効果が小さくなり、水密度が相対的に大きくなり中性子スペクトルが柔らかくなる冷温停止時には中性子吸収効果が大きくなる。
【0021】
すなわち、上述した通常運転時から冷温停止時に移行するとき、反応度の増大に伴って中性子吸収量を大きくするので、可燃性吸収材の燃焼特性は、トータルで見た時、通常運転時・冷温停止時の反応度差(中性子無限増倍率差)をある程度緩和し、ホット・コールドスウィングを低減する方向に作用することとなる。
【0022】
しかしながら、チャンネルボックス外部の非沸騰水領域とチャンネルボックス内部の沸騰水領域とでは、通常運転時と冷温停止時における水密度の変化の程度に大きな差がある。
【0023】
チャンネルボックス外部の非沸騰水領域は、上記のように温度によってある程度水密度は変化するが、チャンネルボックス内部の沸騰水領域のようなボイド(気泡)の発生・消滅という相の変化が生じないため、中性子スペクトルの通常運転時(スペクトル相対的に柔らかい)と冷温停止時(スペクトル相対的に硬い)とにおける変化が、チャンネルボックス内部の沸騰水領域に比べて小さい。
【0024】
上記特開平10−10257号公報に記載の従来技術では、上記チャンネルボックス外部の非沸騰水領域の近くに可燃性吸収材を配置しているため、中性子エネルギースペクトルの通常運転時と冷温停止時とにおける変化は、チャンネルボックス中心部での変化に比べて小さくなる。したがって、前述した可燃性吸収材のホット・コールドスウィング低減作用、すなわち、通常運転時から冷温停止時に移行するときに中性子吸収量を大きくするという作用が小さくなるため、燃料棒に可燃性吸収材を含有させた場合よりもホット・コールドスウィングが増大する傾向となる。
【0025】
また、チャンネルボックスに可燃性吸収材を含有させると、チャンネルボックスと制御棒とが非常に近い距離で対向するため、互いの中性子吸収効果が相殺してしまい、制御棒価値が下がるという課題もある。
【0026】
特開平2−147890号公報に記載の従来技術では、サブチャンネル内部の非沸騰水領域に可燃性吸収材を配置しているため、上記特開平10−10257号公報と同様、中性子エネルギースペクトルの通常運転時と冷温停止時とにおける変化が小さく、ホット・コールドスウィングが増大する傾向となる。
【0027】
特開昭58−113785号公報に記載の従来技術では、減速材棒の被覆管に可燃性吸収材を充填する構造であるが、この場合も減速材棒内部の非沸騰水領域に可燃性吸収材を配置しているため、中性子エネルギースペクトルの通常運転時と冷温停止時とにおける変化が小さく、ホット・コールドスウィングが増大する傾向となる。
【0028】
本発明の目的は、十分に余剰反応度を抑制しつつ、ホット・コールドスウィングを小さくすることができる燃料集合体を提供することにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、複数本の燃料棒で燃料バンドルを形成し、この燃料バンドルの周囲をチャンネルボックスで囲んだ燃料集合体において、可燃性吸収材を備えた中性子吸収手段を設け、この中性子吸収手段は、少なくともその一部が、原子炉運転中の少なくとも一定期間、沸騰水あるいは蒸気領域に接し非沸騰水領域に接しないように配置されている。
【0030】
本発明においては、中性子吸収手段の少なくとも一部が、運転中少なくとも一定期間、沸騰水あるいは蒸気に接し非沸騰水領域に接しないようにしている。この沸騰水あるいは蒸気の領域では、原子炉が通常運転時から冷温停止時に移行するとき、温度の変化に加えて液相への変化が生じるため、チャンネルボックス外部の非沸騰水領域に比べ、中性子スペクトルの通常運転時(スペクトルが相対的に硬い)と冷温停止時(スペクトルが相対的に柔らかい)とにおける変化が大きい。これにより、非沸騰水領域近傍に可燃性吸収材を配置している従来構造に比べて、通常運転時から冷温停止時に移行するときにおける可燃性吸収材の中性子吸収量を大幅に増大できるので、その分ホット・コールドスウィングを大きく低減することができる。
【0031】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記沸騰水あるいは蒸気領域の蒸気体積割合が40%以上であるようにする。これにより、原子炉が通常運転時から冷温停止時に移行するときの、中性子スペクトル変化を確実に大きくすることができ、ホット・コールドスウィングを大きく低減することができる。
【0032】
(3)複数本の燃料棒、及び内部の水位を原子炉運転中に変化させることが可能な少なくとも1本の水位可変型水ロッドを含む燃料バンドルを形成し、この燃料バンドルの周囲をチャンネルボックスで囲んだ燃料集合体において、可燃性吸収材を備えた中性子吸収手段を設け、この中性子吸収手段は、少なくともその一部が、水位可変型水ロッドの構造材中に配置されている。
【0033】
水位可変型水ロッドはスペクトルシフトロッドと一般的には呼ばれ、水ロッド(減速材棒)の代わりに用いられるものである。本技術は、例えば、特公平7−89158号にて述べられている。スペクトルシフトロッドは、お互いに連通した上昇管と下降管とで構成されており、炉心流量を調節することによって、稼動部無しで管内の減速材液面高さ(以下スペクトルシフトロッドの水位と呼ぶ)を変化させる事ができる。ここで、上昇管の下端は例えば下部タイプレートの上面より下方に開口させる一方、下降管の下端は下部タイプレートの上面より上方に開口させている。
【0034】
この構造によれば、上昇管下端の開口部における圧力と下降管下端の開口部における圧力との差が下部タイプレート上面の流路における圧力損失分に等しくなるため、原子炉の運転中に、その圧力損失分の水頭を与える高さの液面が上昇管内に生じ、かつ、その水位を炉心流量によって上下方向に変化させることができる。すなわち、炉心流量が増せば、スペクトルシフトロッドの水位が高くなるため、燃料集合体内の水密度を増加させることが可能となる。
【0035】
これを用いて、運転サイクル初期においては炉心流量を減少させることでスペクトルシフトロッドの水位を下げて余剰反応度を制御し、運転サイクル末期においては炉心流量を増大させることでスペクトルシフトロッドを満水にして炉心の反応度を最大にする運転を行う。このように、水ロッドの代わりにスペクトルシフトロッドを用いることで、炉心の反応度をコントロールすることができ、例えば、制御棒操作なしに余剰反応度を制御することが可能となる。
【0036】
以上のように、スペクトルシフトロッド内では、運転中の一定の期間、水位がその上端より低下しており、液面より上の領域はガンマー線発熱により発生する蒸気に満たされている。したがって、スペクトルシフトロッドの管を成す構造材に中性子吸収材を配置することにより、その内側を蒸気、その外側を沸騰水に接するようにすることができる。
【0037】
冷温停止時においては、スペクトルシフトロッド内は満水となり、スペクトルシフトロッド管はその内外が飽和水領域に接することになるため、通常運転時と冷温停止時の中性子スペクトルの変化は大きい。特に運転時のスペクトルシフトロッド内の水面より上部は蒸気(100%沸騰水)であるため、この効果はより大きく、通常運転時から冷温停止時に移行するときにおける可燃性吸収材の中性子吸収量をより大幅に増大できるので、ホット・コールドスウィングを大きく低減することができる。
【0038】
(4)上記(1)から(3)の何れかにおいて、さらに好ましくは、燃料集合体を、燃料有効長(燃料ペレットが存在する部分)の下端から前記燃料有効長全長の1/2の位置で上下2領域に分けた場合、前記中性子吸収手段に配置された可燃性吸収材量を下部領域よりも上部領域で多くする。ただし、上記燃料有効長および、以降において燃料集合体等を上下2領域に分ける場合の基準とする燃料有効長とは、特別に断わらない限り通常の長さの燃料棒、すなわち部分長燃料棒以外の燃料棒の燃料有効長を示すものとする。
【0039】
チャンネルボックス内は、高さが増すほどボイド率が大きくなる。また、スペクトルシフトロッド内は、その水位によって、その上部は蒸気、その下部は飽和水と分かれる。従って、中性子吸収材をより上部に配置する方が、通常運転時と冷温停止時の中性子スペクトルの変化をより大きくすることができる。これにより、通常運転時から冷温停止時に移行するときにおける可燃性吸収材の中性子吸収量をより大幅に増大できるので、ホット・コールドスウィングをより効果的に低減することができる。
【0040】
(5)上記(1)から(4)の何れかにおいて、さらに好ましくは、複数本の燃料棒の一部を可燃性吸収材入り燃料棒とし、燃料集合体を燃料有効長の下端から前記燃料有効長全長の1/2の位置で上下2領域に分けた場合、上部領域では下部領域よりも前記可燃性吸収材入り燃料棒の可燃性吸収材含有部分の総延長長さを短くする。
【0041】
(6)上記(1)から(5)の何れかにおいて、さらに好ましくは、複数本の燃料棒の一部を可燃性吸収材入り燃料棒とし、燃料集合体を燃料有効長の下端から前記燃料有効長の全長の1/2の位置で上下2領域に分けた場合、少なくとも上部領域の一横断面で前記可燃性吸収材を含んでいる前記可燃性吸収材入り燃料棒の総数のうち50%を超えるこの可燃性吸収材入り燃料棒が、前記中性子吸収手段との間に1本以上の燃料棒を挟んだ位置に配置されている。
【0042】
(7)上記(1)から(6)の何れかにおいて、さらに好ましくは、複数本の燃料棒の一部を可燃性吸収材入り燃料棒とし、燃料集合体を燃料有効長の下端から前記燃料有効長全長の1/2の位置で上下2領域に分けた場合、前記可燃性吸収材入り燃料棒のうち、i番目の可燃性吸収材入り燃料棒の上部領域に含まれる可燃性吸収材含有部分の軸方向長さをLi U、前記i番目の可燃性吸収材入り燃料棒の下部領域に含まれる可燃性吸収材含有部分の軸方向長さをLi L、燃料集合体の横断面に垂直な中心軸から前記i番目の可燃性吸収材入り燃料棒までの距離をDiとするとき、下記関係式を満たすようにする。
【0043】
(L1 UD1+L2 UD2+…+LN UDN )/(L1 U+L2 U+…+LN U)
>(L1 LD1+L2 LD2+…+LN LDN )/(L1 L+L2 L+…+LN L)
(ただしNは可燃性吸収材入り燃料棒の総数)
(8)上記(1)から(7)の何れかにおいて、さらに好ましくは、燃料棒において、燃料ペレット充填領域よりも上方および下方、もしくは下方にのみプレナムを配置する。
【0044】
(9)上記(8)において、さらに好ましくは、燃料集合体中にスペクトルシフトロッドを少なくとも一本配置し、前記スペクトルシフトロッドの下降管下端の開口部は、燃料棒の燃料ペレット充填領域の下端よりも下方に位置させる。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図2は、本実施形態による沸騰水型原子炉用燃料集合体の全体構造を表す縦断面図であり、図1は、図2中I−I断面でみた横断面図である。
【0046】
これら図1,図2において、本実施形態による燃料集合体1は、沸騰水型原子炉の炉心に装荷されるものであり、9×9の正方格子状に配列された74本の燃料棒2と燃料棒2の7本分のスペースに設けられた2本の水位可変型水ロッド(いわゆる水ロッド)13と、これら燃料棒2及びスペクトルシフトロッド13の軸方向複数箇所を束ねて燃料バンドルとする複数のスペーサ7と、燃料棒バンドルの上部及び下部をそれぞれ支持する上部タイプレート5及び下部タイプレート6と燃料バンドルの周囲を取り囲み燃料集合体1の外壁を形成する角筒状のチャンネルボックス4とを備えている。
【0047】
燃料棒2は、詳細は図示しないが、例えばジルコニウム製の被覆管に核分裂性物質(U−235やU−238等を含むウラン燃料ペレット等)が充填されており、燃料有効長(燃料ペレットが存在する部分)が通常の長さである燃料棒2Aと燃料棒有効長が燃料棒2よりも短い短尺燃料棒(部分長燃料棒)2Bとから構成されている。燃料棒2Aは66本が配置されており、部分長燃料棒2Bは図5に示す位置に8本が配置されている。燃料棒2は、特に図示や詳細な説明を行わないが、この種の燃料集合体として公知であるものと同様、濃縮度分布が異なる複数種類の燃料棒から構成されている。そして各種類ごとに適宜軸方向の濃縮度分布を設けることにより軸方向出力ピーキングの平坦化を図ったり、各種燃料棒の配置を適宜工夫することにより径方向出力ピーキングの平坦化が図られている。
【0048】
図3は、図2に示したスペクトルシフトロッド13の概略構成を表す縦断面図である。この図3において、スペクトルシフトロッド13は、燃料集合体1の下部に開口した冷却材(すなわち軽水)の取り入れ口である冷却材流入口13a1を備え、ここから取り入れた冷却材を上方へ流す冷却材上昇管13aと、冷却材流入口13a1よりも上方に開口した冷却材流出口13b1を備え冷却材上昇管13aに連結されて冷却材上昇管13aからの冷却材を下方へ流す冷却材下降管13bとを有している。また、スペクトルシフトロッド13は、冷却材上昇管13aの上端の高さが平均燃料棒2の有効長上端の高さと同じであり、冷却材流出口13b1の下端の高さは平均燃料棒2の有効長下端の高さよりも高い位置にある。ここで、冷却材上昇管13aは、可燃性吸収材9を含んでいる。
【0049】
上記構成において、スペクトルシフトロッド13の冷却材上昇管13a中には水位15が形成されるが、冷却水上昇管13aの中では、水位15から下の領域では非沸騰水(飽和水)14,水位15から上の領域では蒸気16となっている。水位15は、冷却材流入口13a1と冷却材流出口13b1との間の圧力差で定まる。圧力差は燃料集合体1内での冷却材流れの圧力損失によって定まり、例えば冷却材流量が同じ条件であれば、冷却材流入口13a1と冷却材流出口13B1との高さの差を大きくすれば圧力差が大きくなって水位15は上昇する。またこの圧力差は、燃料集合体1に流れ込む冷却材流量の2乗にほぼ比例する。よって、炉内における冷却材流量を調整することによりスペクトルシフトロッド13内の水位15を制御することができる。
【0050】
すなわち、例えば、インターナルポンプ(再循環ポンプ)の速度調節によって運転サイクル初期の冷却材流量を低く運転サイクル末期の冷却材流量を高くすると、運転サイクル初期にはスペクトルシフトロッド13内の水位15が低いので中性子増倍率は低く押さえられ、運転サイクル末期には水位15が高いので中性子増倍率は高められる。これによって流量制御だけで大幅な反応度制御が可能となり、制御棒を用いずに運転サイクル初期の余剰反応度を抑えられる。
【0051】
以上のような本実施形態の燃料集合体1の要部は、可燃性吸収材9を含む部材によりスペクトルシフトロッド13の冷却材上昇管13aを構成することである。
【0052】
なお、可燃性吸収材9を含む部材は、前述した特開昭58−113785号公報,特開平2−147890号公報、及び特開平10−10257号公報等において公知の方法で製造すれば足りる。
【0053】
例えば、可燃性吸収材9含有部材を1対2枚の素材板(例えばジルコニウム合金の板材等)で構成するようにしておき、それら2枚のうち一方に凹みを設け、この凹み内に可燃性吸収材9の板を配置した後、他方の素材板で可燃性吸収材9の板が埋設されるようにはさんで接合し、冷却材上昇管13aを構成すればよい。
【0054】
また、可燃性吸収材9含有部材の板厚の中心部に板の長手方向にスリットを設け、溶融状態又は溶解状態の可燃性吸収材9をスリットに流し込むようにしてもよい。
【0055】
可燃性吸収材9は管内を一周するように一様に配置してもよいし、その一部分に配置してもよい。軸方向に関しては、本実施形態では、可燃性吸収材9を一様に配置している。
【0056】
可燃性吸収材9としては、ガドリニウム,カドミウム,サマリウム,ホウ素,銀,インジウム,ハフニウム等を含有させた(又は過飽和状態に固溶させた)金属,合金,金属間化合物,セラミックスの板、あるいはスペクトルシフトロッド13を構成する母材(ジルコニウム合金等)に対し前記ガドリニウム等を合金元素として添加(又は金属,金属間化合物,酸化物,水素化物,窒化物等として分散)したりしたもの等が考えられる。
【0057】
可燃性吸収材9含有部材は、スペクトルシフトロッド13の冷却材上昇管13aを構成するとともに、可燃性吸収材9を備えた中性子吸収手段をも構成する。
【0058】
次に、以上のように構成した本実施形態の燃料集合体の作用効果を、以下順次説明する。
【0059】
本実施形態の燃料集合体1によれば、中性子吸収手段としての可燃性吸収材9含有部材がスペクトルシフトロッド13を構成している。運転サイクル中少なくとも一定期間スペクトルシフトロッド13内には蒸気領域16が形成されるため、可燃性吸収材9含有部材の内側は蒸気領域16に接することになる。また、その外側は、チャンネルボックス4内の2相流冷却水(沸騰水)17に接している。したがって、この時、可燃性吸収材9含有部材の少なくとも一定部分は飽和水(非沸騰水)に接していない。このスペクトルシフトロッド13内の蒸気領域16とチャンネルボックス4内の2相流領域では、沸騰水型原子炉が通常運転時から冷温停止時に移行するとき、温度の変化に加えて液相への変化が生じるため、チャンネルボックス4外部の非沸騰水領域(ギャップ水領域)に比べ、中性子スペクトルの通常運転時(スペクトルが相対的に硬い)と冷温停止時(スペクトルが相対的に柔らかい)とにおける変化が大きい。
【0060】
これにより、非沸騰水領域近傍に可燃性吸収材を配置している従来構造(特開平2−147890号公報,特開平10−10257号公報)に比べて、通常運転時から冷温停止時に移行するときにおける可燃性吸収材の中性子吸収量を大幅に増大できるので、その分ホット・コールドスウィングを低減することができる。
【0061】
また、以上は本発明を図1〜図3に示す構造で具現化した実施形態を例にとって説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、その趣旨及び技術的範囲を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。以下、その変形例を順次説明する。
【0062】
▲1▼従来構造と併用した場合
すなわち、図4に示すように図1の構造において一部の燃料棒2を可燃性吸収材入り燃料棒2Cとしたり、図5に示すように図1の構造においてチャンネルボックス4内に可燃性吸収材21を配置したり(特開平10−10257号公報と同様の構造を併用)する場合である。これら変形例においても、従来構造を残しながらも、上記実施形態の構造を大部分で採り入れているため、上記実施形態とほぼ同様の効果を得ることができる。
【0063】
また、例えば図5の構造では、従来構造に本発明の構造を組み合わせたととらえた場合には、十分な余剰反応度抑制効果を得るために必要な可燃性吸収材入り燃料棒2Cの本数、あるいは燃料棒2Cの1本あたりの可燃性吸収材含有量を低減できると考えることもできる。同様に、図5の構造では、十分な余剰反応度抑制効果を得るためにチャンネルボックス4に含有させなければならない可燃性吸収材21の量を減らすことができ、制御棒価値の低下を低く抑えることができると考えることもできる。
【0064】
▲2▼異形のスペクトルシフトロッド13を用いた場合
すなわち、図6に示すように、図1の4本の円形断面のスペクトルシフトロッド13に代えて1本の四角断面のスペクトルシフトロッド13Aを用いた場合である。スペクトルシフトロッド13Aは、可燃性吸収材9Aを含む部材から構成されている。本変形例によっても、上記実施形態と同様の効果を得る。
【0065】
なお、上記のような四角形のスペクトルシフトロッドに限らず、横断面菱形やその他の形状、さらに3本以上のスペクトルシフトロッドを用いた場合にも本発明は適用できることは言うまでもない。
【0066】
また、図7に示すように、スペクトルシフトロッド13Bに仕切り板構造13Bcを用い、そこに可燃性吸収材9Bを含有させることでも効果を得ることができる。
【0067】
なお、以上は本発明を、ウラン燃料を用いたウラン燃料集合体に適用した場合を例にとって説明したが、これに限られるものではなく、プルトニウムをウランと混合したウラン・プルトニウム混合酸化物燃料(MOX燃料)を用いたMOX燃料集合体に適用することもできる。この場合も、上記本発明の実施形態と同様、可燃性吸収材による反応度抑制効果を十分に確保しつつ、ホット・コールドスウィングを低減できるという効果を得る。
【0068】
本発明の第2の実施形態を図8〜図10により説明する。第1の実施形態と同等の部材には同一符号を付し、適時説明を省略する。図8は、運転サイクル中のスペクトルシフトロッド13内の水位変化を表した図である。スペクトルシフトロッド13の水位15は、燃料集合体に流れ込む冷却材流量の2乗にほぼ比例するため、例えば、冷却材流量が相対値で90%〜110%の範囲で変化するとし、110%流量時にスペクトルシフトロッド13が満水になるとすると、90%流量時のスペクトルシフトロッド水位15は90×90÷110÷110=0.67、つまり、満水時水位の約70%の高さとなる。従って、70%以下の高さでは、常に飽和水14に満たされており、通常の水ロッドと同じ状態となっている。
【0069】
本実施形態におけるスペクトルシフトロッド13の概略構成を表す縦断面図を図9に示す。本実施形態では、スペクトルシフトロッド管の上部1/3の領域にのみ可燃性吸収材9Cを用いる。この構造により、運転サイクルの多くの期間、可燃性吸収材9C含有部材をスペクトルシフトロッド13内部の蒸気領域16に接するようにすることが可能となる。この結果、可燃性吸収含有部材を高さ方向下部に配置した場合に比べ、上部に配置した場合には、スペクトルシフトロッド13内部の通常運転時(蒸気領域)の中性子スペクトルと冷温停止時(飽和水領域)の差が大きくなり、有効にホット・コールドスウィングを低減することが可能となる。
【0070】
さらに、スペクトルシフトロッド13外部の沸騰水領域17は、その高さ位置が高くなればなるほどボイド率が高くなる、すなわち、蒸気体積率が高くなる。この結果、可燃性吸収含有部材を高さ方向下部に配置した場合に比べ、上部に配置した場合には、スペクトルシフトロッド外部の冷却水領域17の通常運転時(蒸気体積率が高い沸騰水領域)の中性子スペクトルと冷温停止時に飽和水となった時の中性子スペクトルの差が大きくなり、有効にホット・コールドスウィングを低減することが可能となる。
【0071】
これらにより、可燃性吸収材9C含有部材を上部位置に配置することで、ホット・コールドスウィングをより効果的に低減することができる。
【0072】
本実施形態では、上部1/3に可燃性吸収材を含有させたが、これより短い領域でも長い領域でも、スペクトルシフトロッド13を燃料有効長の下端から燃料有効長全長の1/2の位置で上下2領域に分けた場合、上部領域の可燃性吸収材量を下部領域の可燃性吸収材量よりも多くすれば、上記理由により、上下一様に配置する場合に比べてホット・コールドスウィングをさらに低減することができ、本発明の効果を享受できる。このとき、燃料集合体を、燃料有効長の下端から燃料有効長全長の1/2の位置で上下2領域に分けた場合、中性子吸収手段に配置された可燃性吸収材量、すなわちスペクトルシフトロッド管13に配置された可燃性吸収材9Cの量は、上部領域の方が下部領域よりも多くなっている。
【0073】
図10はスペクトルシフトロッド冷却材上昇管13aの鳥瞰図であるが、本実施形態では、図10(a)に示すように、軸方向で連続的に可燃性吸収材9Dの管周方向への長さを変えてもよいし、図10(b)に示すように、軸方向で不連続に可燃性吸収材9Eの周方向における長さを変えてもよい。また、上部と下部とで可燃性吸収材9の管径方向への厚さを変えてもよい(図示せず)。すなわち、スペクトルシフトロッド13を上下2領域に分けた場合、上部領域の可燃性吸収材9の厚さを下部領域の可燃性吸収材の厚さよりも厚くすればよい。
【0074】
この場合、軸方向で連続的に変えてもよいし、不連続でも同様な効果を期待できる。さらに、可燃性吸収材9における可燃性吸収元素の密度を変化させることでも構成することが可能である(図示せず)。すなわち、スペクトルシフトロッド13を上下2領域に分けた場合、上部領域の可燃性吸収材における可燃性吸収元素の密度を下部領域における可燃性吸収元素の密度よりも大きくすればよい。この場合も、軸方向で連続的に変えてもよいし、不連続でもよい。
【0075】
以上のように、可燃性吸収材9の軸方向への長さ,管周方向への長さ,管径方向への厚さ、また、可燃性吸収元素の密度を適当に組み合わせて、スペクトルシフトロッド13を上下2領域に分けた場合、上部領域の可燃性吸収材量を下部領域の可燃性吸収量よりも多くすれば、ホット・コールドスウィングをより効果的に低減することができる。
【0076】
本発明の第3の実施形態を図11〜図15により説明する。本実施形態では、チャンネルボックス内に可燃性吸収材を備えた可燃性吸収材含有部材8を設けている。また、可燃性吸収材含有部材を燃料有効長の下端から燃料有効長全長の1/2の位置で上下2領域に分けた場合、上部の可燃性吸収材量は、下部の可燃性吸収材料よりも大きいことを特徴としている。また、本実施形態では通常の水ロッド3を4本備えており、スペクトルシフトロッド13は備えていない。
【0077】
この可燃性吸収材含有部材8は、チャンネルボックス4内部、すなわち気液2相流が流れる領域(=沸騰水領域)17に配置されており、チャンネルボックス4長手方向から見て略十字形状(すなわち水平横断面形状が略十字形状)をなしている。
【0078】
すなわち、可燃性吸収材含有部材8は、正方格子状配列の外周4辺の中点から燃料集合体径方向中心に向かってそれぞれ延設された4つの平板部材から構成されている。これら4つの平板部材は、すべて燃料棒2の配列された格子状配列の格子位置ではなく、格子位置と格子位置との間の間隙に配置されており、図11に示すように、チャンネルボックス4内を4つの正方形領域に4等分するように配置されている。このような配置により、各平板部材の両面が、チャンネルボックス4内の2相流冷却水(沸騰水)に接するようになっている。
【0079】
なお、可燃性吸収材含有部材8自体は、前述した特開昭58−113785号公報,特開平2−147890号公報、及び特開平10−10257号公報等において公知の方法で製造すれば足りる。
【0080】
例えば、可燃性吸収材含有部材8を1対2枚の素材板(例えばジルコニウム合金の板材等)で構成するようにしておき、それら2枚のうち一方に凹みを設け、この凹み内に可燃性吸収材の板を配置した後、他方の素材板で可燃性吸収材の板が埋設されるようにはさんで接合すればよい。
【0081】
また、可燃性吸収材含有部材8の板厚の中心部に板の長手方向にスリットを設け、溶融状態又は溶解状態の可燃性吸収材をスリットに流し込むようにしてもよい。
【0082】
なお、上記2つの場合、可燃性吸収材含有部材8内に可燃性吸収材のない位置又は領域が生じることとなるが、燃料棒間の2相流の流動面積を確保することを目的として、必要に応じ、その可燃性吸収材のない位置・領域に穴をあけ、沸騰水が可燃性吸収材含有部材8で仕切られた4つのチャンネルボックス4内領域間相互を自由に流れるようにしてもよい。
【0083】
また、可燃性吸収材としては、ガドリニウム,カドミウム,サマリウム,ホウ素,銀,インジウム,ハフニウム等を含有させた(又は過飽和状態に固溶させた)金属,合金,金属間化合物,セラミックスの板、あるいはチャンネルボックスを構成する母材(ジルコニウム合金等)に対し前記ガドリニウム等を合金元素として添加(又は金属,金属間化合物,酸化物,水素化物,窒化物等として分散)したりしたもの等が考えられる。
【0084】
本発明によれば、中性子吸収手段の少なくとも一部が、チャンネルボックス内の2相流冷却水(沸騰水)17に接しており非沸騰水(飽和水)には接していない。この領域はチャンネルボックス外部の非沸騰水領域に比べて中性子スペクトルの通常運転時と冷温停止時とにおける変化が大きい。したがって、通常運転時から冷温停止時に移行するときにおける可燃性吸収材の中性子吸収量を大幅に増大できるので、その分ホット・コールドスウィングを大きく低減することができる。
【0085】
さらに、可燃性吸収材含有部材を燃料有効長の下端から燃料有効長全長の1/2の位置で軸方向に2分割した場合、上部の可燃性吸収材量を下部の可燃性吸収材量よりも多くしている。チャンネルボックス内の2相流冷却水(沸騰水)17は、軸方向位置が高くなるほどボイド率(蒸気体積率)が高くなる。従って、軸方向位置が高くなるほど中性子スペクトルの通常運転時と冷温停止時とにおける変化が大きくなるため、上部の可燃性吸収材量を下部の可燃性吸収材量よりも多くすることにより、軸方向一様に可燃性吸収材を配置したときに比べ、より効果的にホット・コールドスウィングを大きく低減することができる。
【0086】
この場合も、第2の実施形態と同じように、可燃性吸収材の軸方向への長さ,板横手方向への長さ,板厚さ方向への厚さ、また、可燃性吸収元素の密度を適当に組み合わせて、可燃性吸収材含有部材を上下2領域に分けた場合、上部領域の可燃性吸収材量を下部領域の可燃性吸収材量よりも多くすれば、ホット・コールドスウィングをより効果的に低減することができる。このとき、燃料集合体を、燃料有効長の下端から燃料有効長全長の1/2の位置で上下2領域に分けた場合、中性子吸収手段に配置された可燃性吸収材量、すなわち可燃性吸収材含有部材に配置された可燃性吸収材量は、上部領域の方が下部領域よりも多くなっている。
【0087】
本実施形態では、略十字形状の可燃性吸収材含有部材を用いたが、この形状に限らず、図12に示すような略十字形可燃性吸収材含有部材中央部に丸型の水ロッド3Aを含む形態、あるいは、図13に示すように、略十字形可燃性吸収材含有部材中央部に菱形の水ロッド3Bを含む形態をとることもできる。
【0088】
また、燃料棒間に配置される直線状の部材であれば、図14に示すように4つの直線状部材8Cを組み合わせた形態、あるいは、図15に示すように複数の小さな略十字形状部材8Dを燃料棒間に配置しても同様な効果を得ることができる。
【0089】
本発明の第4の実施形態を図16により説明する。本実施形態は、第1,2の実施形態と同様の可燃性吸収材を含むスペクトルシフトロッド13Bと、第3の実施形態と同様の略十字形状の可燃性吸収材含有部材8を備えている。本実施形態では、スペクトルシフトロッド13B管内の可燃性吸収材9F及び略十字形状可燃性吸収材含有部材8中の可燃性吸収材は、それぞれ軸方向一様に配置されている。
【0090】
第1,2の実施形態、及び、第3の実施形態で説明したように、スペクトルシフトロッド13B管内の可燃性吸収材9Fと略十字形状可燃性吸収材含有部材8中の可燃性吸収材はそれぞれ、沸騰水17あるいは蒸気領域16にのみに接し非沸騰水領域(飽和水領域)には接しない部分を持つ。従って、通常運転時のそれぞれの可燃性吸収材における中性子スペクトルと冷温停止時の中性子スペクトルの差が大きくなり、それぞれの可燃性吸収材の効果が重ねあって、より有効にホット・コールドスウィングを低減することが可能となる。
【0091】
さらに、スペクトルシフトロッド13Bと略十字形状部材8それぞれに可燃性吸収材を配置することで、可燃性吸収材量を多くすることができ、可燃性吸収材による十分な反応度制御効果を確保することができる。
【0092】
またこの時、スペクトルシフトロッド13B管内の可燃性吸収材9F及び略十字形状可燃性吸収材含有部材8中の可燃性吸収材、あるいは、そのどちらか一方の可燃性吸収材において、燃料有効長の下端から燃料有効長全長の1/2の位置で上下2領域に分けた場合、上部領域の可燃性吸収材量を下部領域の可燃性吸収量よりも多くすれば、第2の実施形態及び第3の実施形態の効果を伴い、上下一様に配置する場合に比べより効果的にホット・コールドスウィングを低減することができる。このとき、燃料集合体を、燃料有効長の下端から燃料有効長全長の1/2の位置で上下2領域に分けた場合、中性子吸収手段に配置された可燃性吸収材量、すなわちスペクトルシフトロッド13B管内の可燃性吸収材9Fおよび略十字形状可燃性吸収材含有部材8中の可燃性吸収材の量は、上部領域の方が下部領域よりも多くなっている。
【0093】
また、この場合も、第2及び3の実施形態と同じように、可燃性吸収材の軸方向への長さ,スペクトルシフトロッド13B管周方向あるいは略十字形状板8横手方向への長さ,管及び板厚さ方向への厚さ、また、可燃性吸収元素の密度を適当に組み合わせて、上部領域の可燃性吸収材量を下部領域の可燃性吸収量よりも多くすることができる。
【0094】
スペクトルシフトロッド13Bの形状は、横断面四角型,横断面菱形やその他の形状でも同様な効果が得られる。さらに、スペクトルシフトロッド13Bの本数も1本でも複数本でも本発明の効果を得ることが可能である。
【0095】
略十字形状可燃性吸収材含有部材8に関しては、燃料棒間に配置される直線状の部材であれば、第3の実施形態で示した図14に示すように4つの直線状部材を組み合わせた形態、あるいは、図15に示すように複数の小さな略十字形状部材を燃料棒間に配置しても同様な効果を得ることができる。この際、水ロッドの一部あるいはそのすべてを可燃性吸収材を含んだスペクトルシフトロッド13Bに置換する。
【0096】
本発明第5の実施形態を図17により説明する。第5の実施形態は、第2の実施形態において、一部の燃料棒を可燃性吸収材入り燃料棒とし、スペクトルシフトロッド管に可燃性吸収材を用いた燃料集合体の軸方向上部1/3領域では、可燃性吸収材入り燃料棒の可燃性吸収材含有部分2d(以下「燃料棒吸収材含有部分」と呼ぶ)を図17(b)に示すように配置し、スペクトルシフトロッド管に可燃性吸収材を用いない下部領域では燃料棒吸収材含有部分2dおよび2eを図17(c)に示すように配置するものである。
【0097】
すなわち、可燃性吸収材入り燃料棒には、上下ブランケット部を除く軸方向全体に渡って可燃性吸収材が添加されているもの(図17(a)の2D)と、下部領域にのみ可燃性吸収材が添加されているもの(図17(a)の2E)を用意し、それらを組み合わせて配置することで、燃料棒吸収材含有部分が、上部領域と下部領域での燃料集合体横断面にそれぞれ図17(b)と図17(c)で示すごとく現れるようにするものである。
【0098】
ここで図17(b)で示す上部領域の燃料集合体横断面での燃料棒吸収材含有部分2dは、図17(c)で示す下部領域の燃料棒吸収材含有部分2dおよび2eよりも少なくなっている。従って、燃料集合体を燃料有効長の下端から前記燃料有効長全長の1/2の位置で上下2領域に分けた場合、上部領域に含まれる燃料棒吸収材含有部分の軸方向長さを全ての可燃性吸収材入り燃料棒について足し合わせた長さ、すなわち燃料棒吸収材含有部分の総延長長さは、下部領域に含まれるものよりも短くなっている。
【0099】
本実施形態による効果を図18で示す。図18はサイクル運転初期における冷温停止時での軸方向出力分布を表す。図18において、実線が本実施形態の場合の冷温時軸方向出力分布を表し、点線は図19に示すように燃料棒吸収材含有部分2dを上部領域と下部領域で同じ数だけ配置した場合の冷温時軸方向出力分布を表す。すなわち、図19に示す形態では、燃料集合体を燃料有効長の下端から前記燃料有効長全長の1/2の位置で上下2領域に分けた場合、上部領域と下部領域で、それぞれに含まれる燃料棒吸収材含有部分の総延長長さは同じになっている。
【0100】
図18において、斜線で示した部分はスペクトルシフトロッド管に配置した可燃性吸収材9Gが吸収する中性子量とみなすことができる。図18から明らかなように、燃料棒吸収材含有部分を下部領域よりも上部領域で少なくした本実施形態の方が、上部領域と下部領域で同じ数とした場合に比べて、相対的に冷温停止時における上部領域の出力分担が大きくなり、この結果スペクトルシフトロッド管に配置した可燃性吸収材による中性子吸収量が大きくなることが分かる。
【0101】
前述したように、スペクトルシフトロッド内部の上部領域では通常運転時と冷温停止時での中性子スペクトルの変化が大きく、スペクトルシフトロッド管に配置した可燃性吸収材による冷温停止時の中性子吸収量が増大するため、ホット・コールドスウィングを低減する効果が生じるが、本実施形態によって冷温停止時における中性子吸収量を増大することで、この効果をさらに高めることができる。
【0102】
さらに本発明第6の実施形態を図20により説明する。第6の実施形態は、第2の実施形態において一部の燃料棒を可燃性吸収材入り燃料棒とし、スペクトルシフトロッド管に可燃性吸収材を用いた燃料集合体の軸方向上部1/3領域では図20(b)に示すように燃料棒吸収材含有部分2dおよび2fを配置し、スペクトルシフトロッド管に可燃性吸収材を用いない下部領域では図20(c)に示すように燃料棒吸収材含有部分2d及び2eを配置するものである。
【0103】
本実施形態では、上部領域横断面と下部領域横断面で燃料棒吸収材含有部分の数は同じであるが、図20(c)に示すように下部領域では上部領域よりも燃料棒吸収材含有部分を燃料集合体の中央部寄りに配置している。これを定量的に表現すれば、可燃性吸収材入り燃料棒のうち、i番目の可燃性吸収材入り燃料棒の上部領域および下部領域に含まれる燃料棒吸収材含有部分の軸方向長さをそれぞれLi U, Li L、燃料集合体の横断面に垂直な中心軸から前記i番目の可燃性吸収材入り燃料棒までの距離をDiとすると、
(L1 UD1+L2 UD2+…+LN UDN )/(L1 U+L2 U+…+LN U)
>(L1 LD1+L2 LD2+…+LN LDN )/(L1 L+L2 L+…+LN L)
(ただしNは可燃性吸収材入り燃料棒の総数)
となる。
【0104】
図20(b)および(c)に示すような構成は、可燃性吸収材入り燃料棒として、上下ブランケット部を除く軸方向全体に渡って可燃性吸収材が添加されているもの(図20(a)の2D)と、下部領域にのみ可燃性吸収材が添加されているもの(図20(a)の2E)、また上部領域にのみ可燃性吸収材が添加されているもの(図20(a)の2F)を用意し、それらを組み合わせて配置することで構成可能である。
【0105】
本実施形態の効果を次に説明する。ギャップ水領域に近い燃料集合体外周部と比較して、燃料集合体中央部の方が通常運転時と冷温停止時の中性子スペクトルの変化が大きくなる。従って、燃料集合体中央部に可燃性吸収材入り燃料棒を配置した方が、ホット・コールドスウィングを低減する効果を高めることができる。また、可燃性吸収材入り燃料棒を燃料集合体中央部寄りに配置することで冷温時の燃料集合体径方向出力分布が燃料集合体外周部で大きくなるため、制御棒価値が高まるという効果も生じる。
【0106】
一方で、スペクトルシフトロッド管に可燃性吸収材を用いた上部領域では、燃料棒に配置した可燃性吸収材とスペクトルシフトロッド管に配置した可燃性吸収材の中性子吸収効果が相殺しないように、燃料棒吸収材含有部分とスペクトルシフトロッド管との間に1本以上の燃料棒を挟んだ位置に配置する。このように構成した場合、可燃性吸収材入り燃料棒の冷温停止時での中性子吸収量が、燃料棒吸収材含有部分を燃料集合体中央部寄りに配置した下部領域で相対的に大きくなるため、冷温停止時での上部領域の出力分担が大きくなる。
【0107】
すなわち、図18で示した第5の実施形態と同様な効果を得ることができ、冷温停止時におけるスペクトルシフトロッド管に配置した可燃性吸収材の中性子吸収量を増大して、ホット・コールドスウィングの低減効果を高めることができる。
【0108】
本発明第7の実施形態は、第5および第6の実施形態を組み合わせることでホット・コールドスウィング低減効果をより高めた例である。すなわち、第2の実施形態において一部の燃料棒を可燃性吸収材入り燃料棒とし、スペクトルシフトロッド管に可燃性吸収材を用いた燃料集合体の軸方向上部1/3領域では図21(b)に示すように燃料棒吸収材含有部分2fを配置し、スペクトルシフトロッド管に可燃性吸収材を用いない下部領域では図21(c)に示すように燃料棒吸収材含有部分2eを配置するものである。燃料棒吸収材含有部分を上部領域で下部領域よりも少なくし、上部領域では燃料棒吸収材含有部分をスペクトルシフトロッド管との間に1本以上の燃料棒を挟んだ位置に配置し、下部領域では燃料集合体中央部寄りに燃料棒吸収材含有部分を配置している。
【0109】
本実施形態により、冷温停止時におけるスペクトルシフトロッド管に配置した可燃性吸収材による中性子吸収量をさらに増大することができ、ホット・コールドスウィング低減効果をより高めることができる。
【0110】
第5〜7の実施形態では、9×9燃料棒配列の燃料集合体に適用した場合を例として説明したが、燃料棒の配列数や燃料格子の大きさによって適用を制限されるものではなく、例えば8×8や10×10燃料棒配列、あるいはさらに大型の燃料集合体にも適用し、同様な効果を得ることが可能である。
【0111】
また、第5〜7の実施形態では、第2の実施形態のようにスペクトルシフトロッド管に可燃性吸収材を配置した場合を例としたが、第3の実施形態のごとく、チャンネルボックス内に可燃性吸収材を備えた可燃性吸収材含有部材を配置した燃料集合体にも適用可能である。
【0112】
図22に、略十字形状の可燃性吸収材含有部材を用いた燃料集合体に適用した例を示す。可燃性吸収材含有部材8を燃料有効長の下端から燃料有効長全長の1/2の位置で上下2領域に分けたとき、可燃性吸収材量が大きい上部領域では図22(a)に示すように、可燃性吸収材含有部材8と間に燃料棒1本以上挟んだ位置に燃料棒吸収材含有部分2fを配置し、下部領域では図22(b)に示すように燃料集合体中央部寄りに燃料棒吸収材含有部分2eを配置する。
【0113】
本発明第8の実施形態を図23に示す。第8の実施形態では、通常燃料棒の最上部に設置するガスプレナム26を、特開平1−187494で示されているように燃料棒の最下部に配置し、スペクトルシフトロッドの下降管冷却材流出口13b1を燃料ペレット23の充填領域の下端よりも下方に配置している。さらに、可燃性吸収材によりスペクトルシフトロッド上昇管13aを構成している。
【0114】
このような構成の効果を図24によって説明する。前述したように、スペクトルシフトロッドの水位は下部タイプレートでの圧力損失によって生じる冷却材流入口13a1と冷却材流出口13b1での差圧が変化することによって変化する。このとき、燃料ペレット充填領域の上端から下端の範囲内、すなわち燃料有効長内でのスペクトルシフトロッドの水位変化Δhが、炉心反応度のコントロールに寄与する。この水位変化Δhが大きいほど炉心反応度のコントロール幅が大きくなり、例えば制御棒の操作なしに余剰反応度を制御できる可能性が大きくなるため、スペクトルシフトロッドの水位変化Δhは大きいほど良い。
【0115】
ところで、スペクトルシフトロッドの水位変化Δhは、スペクトルシフトロッド満水時の水位h(冷却材流出口13b1とスペクトルシフトロッド満水時の冷却材液面との高さの差)に比例する。しかしながら、炉心反応度のコントロールに寄与するのはあくまで燃料有効長内での水位変化なので、図24(a)において、スペクトルシフトロッド満水時の水位が燃料有効長上端よりも上に位置するように設計して水位変化を大きくしても、炉心反応度のコントロール幅は大きくならない。
【0116】
一方、図24(b)のように燃料棒の最下部にガスプレナムを配置した場合は、燃料有効長の上端位置が高くなるため、冷却材流出口13b1の位置が同じでも、燃料有効長内でのスペクトルシフトロッド満水時水位h′を燃料棒最上部にガスプレナムを配置した場合の水位hよりも高くすることができる。従って、スペクトルシフトロッドの水位変化Δh′をΔhよりも大きくすることができ、炉心反応度のコントロール幅を大きくできる。
【0117】
また、スペクトルシフトロッドの水位変化を大きくするためには、炉心流量の制御幅を大きくすることも手段の一つである。しかしながら、炉心の最低流量は燃料の熱的な余裕によって下限が決まっており、燃料集合体設計の大きな変更なしに下限を下げることは困難である。一方、最大流量は主に冷却水を循環させるポンプの性能によって決まるが、冷却材が循環する際の圧力損失(冷却材圧力損失)を小さくすることによりポンプ性能が一定でも炉心流量を増加させることができる。
【0118】
ところで、冷却材圧力損失のほとんどは、燃料集合体内で沸騰した冷却材によって生じる、いわゆる2相流圧損によるものである。沸騰した冷却材が燃料集合体内で占める領域(以下2相流圧損領域と呼ぶ)が大きいほど2相流圧損が大きくなるが、2相流圧損領域は図25に示したように燃料有効長の下端が下方にあるほど大きくなる。
【0119】
従って、図24(b)のように、燃料棒最下部にガスプレナムを配置し、燃料有効長の下端をできるだけ上方に位置させた方が、2相流圧損領域を小さくでき、冷却材圧力損失を小さくすることができる。この結果、炉心最大流量を増大し流量制御幅を大きくできるので、スペクトルシフトロッドの水位変化を大きくでき、炉心反応度のコントロール幅を大きくできる。
【0120】
しかしながら、以上のようにスペクトルシフトロッドの水位変化を大きくすることで炉心反応度のコントロール幅を大きくした場合は、そのままではホット・コールドスウィングが増大する問題が生じる。すなわち、冷温停止時にはスペクトルシフトロッドが満水となり、炉心反応度のコントロールが不可能となるため、通常運転時にスペクトルシフトロッドによりコントロールしていた炉心反応度が大きいほど、冷温停止時での炉心反応度の変化量が増大することになる。
【0121】
これを解決するためには、スペクトルシフトロッド管に可燃性吸収材を配置する本発明が有効である。上述したように、冷温停止時にはスペクトルシフトロッドが満水となってスペクトルシフトロッドによる炉心反応度のコントロールが不可能となるため、炉心反応度を増大させる作用が生じるが、一方で、スペクトルシフトロッド管に可燃性吸収材を配置していれば、冷温停止時では可燃性吸収材による中性子吸収量が増大し、炉心反応度を抑制する作用が生じる。従って、これらの作用が相殺し合い、冷温時での炉心反応度増大を抑制することができる。この結果、ホット・コールドスウィングの増大を抑制しつつ、スペクトルシフトロッドによる炉心反応度のコントロール幅を大きくすることができる。
【0122】
本発明第9の実施形態は、図25に示すように、第8の実施形態において、スペクトルシフトロッド上昇管13aの上部1/3にのみ可燃性吸収材9Iを用いるものである。第2の実施形態と同様に、可燃性吸収材9Iを上部位置に配置することで、ホット・コールドスウィングをより効果的に低減することができる。また、可燃性吸収材を用いる領域は上部1/3に限られるものではなく、スペクトルシフトロッドを燃料有効長の下端から燃料有効長全長の1/2の位置で上下2領域に分けた場合、上部領域の可燃性吸収材量を下部領域の可燃性領域よりも多くすれば、上下一様に配置する場合に比べ、よりホット・コールドスウィングを低減することができる。
【0123】
本発明第10の実施形態は、第9の実施形態と第5〜7のうち何れかの実施形態とを組み合わせたものである。すなわち、図25に示したように、ガスプレナム26を燃料棒の最下部に配置し、スペクトルシフトロッドの下降管冷却材出口13b1を燃料棒ペレット23の充填領域の下端よりも下方に配置し、スペクトルシフトロッド上昇管13aの上部1/3領域に可燃性吸収材9Iを用いると共に、スペクトルシフトロッド管に可燃性吸収材を配置した上部領域と可燃性吸収材を配置しない下部領域において、図17,図20,図21の何れかに示したように燃料棒吸収材含有部分の本か配置の少なくとも一方を異ならせたものである。
【0124】
このように可燃性吸収材入り燃料棒を設定することで、冷温時停止時におけるスペクトルシフトロッド上昇管に配置した可燃性吸収材9Iによる中性子吸収量を増大することができ、ホット・コールドスウィングをより効果的に低減することができる。また、第5〜7の実施形態同様、本実施形態は9×9燃料集合体への適用に限られるものではなく、8×8,10×10や、あるいはさらに大型の燃料集合体にも適用できる。
【0125】
【発明の効果】
本発明によれば、余剰反応度を十分に抑制しつつ、ホット・コールドスウィングを小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による沸騰水型原子炉用燃料集合体の構造を示す横断面図である。
【図2】本発明の一実施形態による沸騰水型原子炉用燃料集合体の構造を示す縦断面図である。
【図3】本発明の一実施形態によるスペクトルシフトロッドの構造を表す縦断面図である。
【図4】本発明の一実施形態による沸騰水型原子炉用燃料集合体の構造を示す横断面図である。
【図5】本発明の一実施形態による沸騰水型原子炉用燃料集合体の構造を示す横断面図である。
【図6】本発明の一実施形態による沸騰水型原子炉用燃料集合体の構造を示す横断面図である。
【図7】本発明の一実施形態による沸騰水型原子炉用燃料集合体の構造を示す横断面図である。
【図8】運転サイクル燃焼度に伴うスペクトルシフトロッド内の水位変化を示した図である。
【図9】本発明の一実施形態によるスペクトルシフトロッドの構造を表す縦断面図である。
【図10】スペクトルシフトロッドの上昇管における可燃性吸収材の位置を表す鳥瞰図である。
【図11】本発明の一実施形態による沸騰水型原子炉用燃料集合体の構造を示す横断面図である。
【図12】本発明の一実施形態による沸騰水型原子炉用燃料集合体の構造を示す横断面図である。
【図13】本発明の一実施形態による沸騰水型原子炉用燃料集合体の構造を示す横断面図である。
【図14】本発明の一実施形態による沸騰水型原子炉用燃料集合体の構造を示す横断面図である。
【図15】本発明の一実施形態による沸騰水型原子炉用燃料集合体の構造を示す横断面図である。
【図16】本発明の一実施形態による沸騰水型原子炉用燃料集合体の構造を示す横断面図である。
【図17】本発明の一実施形態による沸騰水型原子炉用燃料集合体の構造を示す縦断面図および横断面図である。
【図18】本発明の一実施形態による沸騰水型原子炉用燃料集合体を用いた場合と従来技術による燃料集合体を用いた場合の冷温停止時軸方向出力分布の比較を表す図である。
【図19】従来技術による沸騰水型原子炉用燃料集合体の構造を示す縦断面図および横断面図である。
【図20】本発明の一実施形態による沸騰水型原子炉用燃料集合体の構造を示す縦断面図および横断面図である。
【図21】本発明の一実施形態による沸騰水型原子炉用燃料集合体の構造を示す縦断面図および横断面図である。
【図22】本発明の一実施形態による沸騰水型原子炉用燃料集合体の構造を示す横断面図である。
【図23】本発明の一実施形態による沸騰水型原子炉用燃料集合体の構造を示す縦断面図である。
【図24】本発明の一実施形態による沸騰水型原子炉用燃料集合体における、スペクトルシフトロッドの水位変化幅の増大を説明する模式図である。
【図25】本発明の一実施形態による沸騰水型原子炉用燃料集合体の構造を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1…燃料集合体、2,2A,2B,2C…燃料棒、2D, 2E,2F…可燃性吸収材入り燃料棒、2d, 2e,2f…可燃性吸収材入り燃料棒の可燃性吸収材含有部分、3,3A,3B,3C…水ロッド、4…チャンネルボックス、5…上部タイプレート、6…下部タイプレート、7…スペーサ、8,8A,8B,8C,8D…可燃性吸収材含有部材(格子状板部材,中性子吸収手段)、9,9A,9B,9C,9D,9E,9F,9G,9I…可燃性吸収材(スペクトルシフトロッド管内)、13,13A,13B,13C,13D…スペクトルシフトロッド、13Bc…スペクトルシフトロッド内の仕切り板構造物、13a…上昇管、13a1…冷却材流入口、13b…下降管、13b1…冷却材流出口、14…スペクトルシフトロッド内飽和水(非沸騰水)領域、15…スペクトルシフトロッド内水位、16…スペクトルシフトロッド内蒸気領域、17…チャンボックス内2相流(沸騰水)領域、21…可燃性吸収材(チャンネルボックス内)、22…仕切板、23…燃料ペレット、24…上部タイプレート、25…下部タイプレート、26…ガスプレナム、27…バネ。
Claims (7)
- 複数本の燃料棒、及び内部の水位を原子炉運転中に変化させることが可能な少なくとも1本の水位可変型水ロッドを含む燃料バンドルを有し、この燃料バンドルの周囲をチャンネルボックスで囲んだ燃料集合体において、可燃性吸収材を備えた中性子吸収手段を設け、この中性子吸収手段は、少なくともその一部が、前記水位可変型水ロッドの構造材中に配置されていることを特徴とする燃料集合体。
- 請求項1に記載の燃料集合体において、燃料集合体を燃料有効長の下端から前記燃料有効長の全長の1/2の位置で上下2領域に分けた場合、前記中性子吸収手段に配置された可燃性吸収材量は下部領域よりも上部領域の方が多いことを特徴とする燃料集合体。
- 請求項1または請求項2に記載の燃料集合体において、前記複数本の燃料棒の一部は可燃性吸収材入り燃料棒であり、燃料集合体を燃料有効長の下端から前記燃料有効長の全長の1/2の位置で上下2領域に分けた場合、上部領域では下部領域よりも前記可燃性吸収材入り燃料棒の可燃性吸収材含有部分の総延長長さが短いことを特徴とする燃料集合体。
- 請求項1から請求項3の何れか1項に記載の燃料集合体において、前記複数本の燃料棒の一部は可燃性吸収材入り燃料棒であり、燃料集合体を燃料有効長の下端から前記燃料有効長の全長の1/2の位置で上下2領域に分けた場合、少なくとも上部領域の一横断面で前記可燃性吸収材を含んでいる前記可燃性吸収材入り燃料棒の総数のうち50%を超えるこの可燃性吸収材入り燃料棒が、前記中性子吸収手段との間に1本以上の前記可燃性吸収材を含まない燃料棒を挟んだ位置に配置されていることを特徴とする燃料集合体。
- 請求項1から請求項4の何れか1項に記載の燃料集合体において、前記複数本の燃料棒の一部は可燃性吸収材入り燃料棒であり、燃料集合体を燃料有効長の下端から前記燃料有効長の全長の1/2の位置で上下2領域に分けた場合、前記可燃性吸収材入り燃料棒のうち、i番目の可燃性吸収材入り燃料棒の上部領域に含まれる可燃性吸収材含有部分の軸方向長さをLi U、前記i番目の可燃性吸収材入り燃料棒の下部領域に含まれる可燃性吸収材含有部分の軸方向長さをLi L、燃料集合体の横断面に垂直な中心軸から前記i番目の可燃性吸収材入り燃料棒までの距離をDiとするとき、下記関係式を満たすことを特徴とする燃料集合体。
(L1 UD1+L2 UD2+…+LN UDN )/(L1 U+L2 U+…+LN U)
>(L1 LD1+L2 LD2+…+LN LDN )/(L1 L+L2 L+…+LN L)
(ただしNは可燃性吸収材入り燃料棒の総数) - 請求項1、請求項2及び請求項4の何れか1項に記載の燃料集合体において、燃料棒の上部および下部、もしくは下部のみにプレナムを設置していることを特徴とする燃料集合体。
- 請求項1から請求項5の何れか1項に記載の燃料集合体において、前記水位可変型水ロッドは、燃料集合体下端部に設けられた抵抗体よりも下方で開口して前記抵抗体よりも上方に伸び前記燃料棒間に配置された冷却材上昇管、および前記冷却材上昇管に連絡されて前記抵抗体よりも上方で開口し前記冷却材上昇管によって導かれた冷却材を下方に導く冷却材下降管から成り、前記燃料棒の燃料ペレット充填領域の下端が前記冷却材下降管の開口よりも上方に位置することを特徴とする燃料集合体。
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