JP3788170B2 - 燃料集合体及び原子炉炉心 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、沸騰水型原子炉に用いる燃料集合体に係わり、特にウランとプルトニウムの混合酸化物(Mixed Oxide、MOX)からなるMOX燃料を備えたMOX燃料集合体及びこれを装荷した原子炉炉心に関する。
【0002】
【従来の技術】
沸騰水型原子炉の炉心は、所定の期間(=1サイクル)運転を実施した後に停止され、装荷されている燃料集合体の一部が取り出されて新しい燃料集合体と交換される。この交換時の新しい燃料集合体の燃料装荷量は、原子炉を1サイクルの間臨界に保つために必要な核分裂性物質量が装荷されるように設定されるが、運転期間の末期に丁度臨界となるように、あらかじめ余剰に設定される。つまり、運転末期以外では、原子炉は臨界を超過した状態となる。したがって、沸騰水型原子炉の炉心では、燃料集合体間に挿入される制御棒と、燃料中に添加される可燃性吸収材とによって、この余分に発生した中性子を吸収し、これにより運転期間を通じて臨界状態を維持している。
【0003】
このとき、炉内への多数の制御棒の挿入は軸方向の出力分布に影響を与え好ましくないため、運転中に炉内に挿入される制御棒の数は予め定められており、運転時に制御棒を挿入する位置をコントロールセルと称している。このコントロールセルには、比較的燃焼が進んだ燃料集合体が配置されるようになっている。このように制御棒による反応度制御には一定の制限が存在することから、可燃性毒物入り燃料棒による反応度制御が重要となる。なお、可燃性毒物(可燃性吸収材)としては、例えばガドリニア等、熱中性子吸収断面積の大きな物質が用いられるが、これらはその熱中性子の吸収によって消耗し、燃焼に伴いその効果が小さくなっていく。そのため、可燃性毒物は、主として燃焼初期の超過反応度(余剰反応度)を抑えるために用いられる。
【0004】
近年、燃料資源を効率良く使用し、また使用済み燃料廃棄物をできるだけ減らすために、燃料集合体の設計は高燃焼度化の傾向にある。高燃焼度化のためには、燃料棒一本あたりの核分裂性物質の装荷量を増やす、すなわち燃料濃縮度を高くすることが望ましい。燃料濃縮度を高くすると余剰反応度はより大きくなるため、余剰反応度を抑えるために必要な可燃性毒物量も増えることになる。しかし、燃料棒に可燃性毒物を混入することは、燃料物質の装荷量を減らすことになる。また、一般に可燃性毒物は熱伝導率が小さく、可燃性毒物を混入した燃料棒を熱的制限値内で使用するためには、燃料濃縮度を小さくして出力を抑えなければならない。
【0005】
一方、ウラン資源の有効利用という観点から、軽水炉から取り出された使用済みウラン燃料中のプルトニウムを再び軽水炉へリサイクルする、プルサーマル計画が進められている。これは、ウラン燃料集合体中のウラン燃料棒の一部あるいは大部分をプルトニウムを富化したMOX燃料で置き換えたMOX燃料集合体を、燃料として軽水炉に装荷して使用するものである。
【0006】
この時、一定量のプルトニウムを装荷するならば、なるべく少数の燃料集合体に装荷する方が望ましい。これは、MOX燃料集合体の燃料製造費や燃料運搬費が、ウラン燃料集合体と比較して割高であることから生じる。一方、プルトニウム装荷量を増大すると余剰反応度はより大きくなり、前述したように可燃性毒物量の増大を引き起こすという問題が生じる。
【0007】
さらに、MOX燃料集合体の場合、製造の観点又は使用経験の観点から、通常、可燃性毒物はウラン燃料棒に混入される。しかし、燃焼初期の余剰反応度を抑えるには、可燃性毒物入り燃料棒の本数が重要であり、可燃性毒物の濃度ではないことが一般的に知られている。これは、燃料棒表面における中性子吸収が主に支配的であることに起因している。ちなみに、可燃性毒物の濃度は、可燃性毒物の燃焼期間に大きく影響する。従って、余剰反応度が大きくなれば、プルトニウムを含まないウラン燃料棒の本数を増やす必要が生じ、燃料集合体当たり一定量のプルトニウムを装荷しようとすれば、MOX燃料棒当たりのプルトニウム装荷量が益々増加することになる。
【0008】
一方、原子炉の炉心に関する重要な量として、燃料棒の単位長さ当たりの出力を表す線出力密度がある。この線出力密度は、燃料集合体全体の絶対的な出力値である「燃料集合体出力」、燃料集合体内の各軸方向位置における出力の相対的分布を表す「燃料集合体の軸方向相対出力」、及び各燃料棒ごとの相対的出力分布を表す「燃料棒相対出力(=局所出力ピーキング)」の3つの積で表され、その量の原子炉内での最大値が最大線出力密度となる。この最大線出力密度が過大となり所定値を超えると、当該燃料棒中心温度が上がりすぎて燃料棒の熱的健全性を確保することが困難となる。すなわち、最大線出力密度はなるべく小さい方が上記所定値に対して熱的に余裕のある状態となる。
【0009】
MOX燃料集合体において、MOX燃料棒1本当たりのプルトニウム装荷量が増すにつれ、可燃性毒物入りウラン燃料棒との反応度の差が大きくなり、局所出力ピーキングが増大する。これは、最大線出力密度の増大を引き起こすので、プルトニウム装荷量をある一定量以上に増加させることは不可能となる。
【0010】
このように、核分裂性物質の装荷量の増加、特にMOX燃料集合体におけるプルトニウム装荷量の増加は、燃料棒への可燃性毒物の混入の観点から制限されることになる。
【0011】
この問題を解決するために、可燃性毒物を、燃料棒以外の燃料集合体構造物に入れる技術が考えられている。例えば、特開平10−10257号公報には、燃料集合体のチャンネルボックスに可燃性毒物を埋設するか、もしくはチャンネルボックスに可燃性毒物を配備し、この可燃性毒物よりも耐食性を有する金属でコーディングする方法が記載されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術では、チャンネルボックスに配備した可燃性毒物と制御棒との干渉効果により、制御棒による反応度制御量(以下、制御棒価値と呼ぶ)が低下するという問題が生じる。すなわち、沸騰水型原子炉の炉心では、十字型の制御棒がチャンネルボックス間に挿入されるが、上記従来技術では可燃性毒物と制御棒がお互いに面する位置にあるため、チャンネルボックス内から制御棒へ入射する中性子にとって可燃性毒物が壁(遮蔽)となる。これを遮蔽効果と呼ぶが、これにより本来制御棒で吸収される中性子の量が減る、すなわち、制御棒価値が低下するという問題が生じる。制御棒価値が低下すると、通常もっとも反応度が高い状態にある燃焼初期の冷温停止時に、炉停止余裕(原子炉を停止するための反応度余裕)が減少するという問題が生じる。
【0013】
本発明の目的は、可燃性毒物入りチャンネルボックスを用いた燃料集合体において、制御棒価値の低下を抑制して、炉停止余裕の低下を防止できる燃料集合体及びこれを備えた原子炉炉心を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、可燃性毒物含有部材はチャンネルボックスに埋め込まれており、チャンネルボックスの4つのを制御棒に面すると制御棒に面しないに分けた場合に、制御棒に面する辺における可燃性毒物含有部材の表面積を、制御棒に面しない辺における可燃性毒物含有部材の表面積よりも小さくすることにより達成される。あるいは、可燃性毒物含有部材はチャンネルボックスに埋め込まれており、制御棒に面する辺における可燃性毒物含有部材の可燃性毒物の量(又は濃度)を、制御棒に面しない辺における可燃性毒物含有部材の可燃性毒物の量(又は濃度)よりも小さくすることにより達成される。
【0015】
沸騰水型軽水炉の十字型制御棒は、4つの燃料集合体に1本の割合で挿入される。各燃料集合体から見ると、制御棒の翼は、チャンネルボックスの4辺(4側面)のうち2辺と隣り合うことになる。この制御棒に隣り合う2辺をチャンネルボックスの制御棒側、反対側の2辺を反制御棒側と呼ぶ。上述の制御棒とチャンネルボックスに設置された可燃性毒物との干渉効果(遮蔽効果)は、制御棒側で起こる現象である。したがって、制御棒側の可燃性毒物の反応度を低下させ、その分反制御棒側の可燃性毒物の反応度を増加させれば、可燃性毒物全体の反応度を低下させることなく、制御棒との干渉効果を減少させることができる。これにより制御棒価値の低下を抑制して炉停止余裕の低下を防止できる。
【0016】
制御棒側の可燃性毒物の反応度を低下させる方法は二つ考えられる。一つは、制御棒側に設置された可燃性毒物の表面積を反制御棒側に設置された可燃性毒物の表面積よりも小さくすることである。前述したように可燃性毒物の中性子吸収能力は高いため、中性子は主に可燃性毒物の表面近傍で吸収される。即ち、可燃性毒物の表面積が中性子吸収量を決める一番大きな要因となる。そこで、制御棒側にあるチャンネルボックスの辺に設置された可燃性毒物の表面積を、反制御棒側にあるチャンネルボックスの辺に設置された可燃性毒物の表面積よりも小さくすることにより、制御棒側の可燃性毒物の反応度を低下させることができる。
【0017】
二つ目は、制御棒側に設置された可燃性毒物の濃度を、反制御棒側に設置された可燃性毒物の濃度よりも小さくすることである。表面積ほど効果はないものの、反制御棒側の可燃性毒物の濃度を制御棒側の可燃性毒物の濃度よりも低くすることにより、制御棒側の可燃性毒物の反応度を低下させることができる。
【0018】
以上のように、チャンネルボックスに配置された可燃性毒物を、制御棒側と反制御棒側の2領域に分けた場合に、制御棒側の可燃性毒物の表面積又は濃度の何れか一方、あるいは両方を、反制御棒側の可燃性毒物よりも減少させることにより、制御棒価値の低下を抑制でき、これが原因となる炉停止余裕の低下を防止できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0020】
本発明の第1の実施形態を図1〜図4により説明する。本実施形態によるMOX燃料集合体の全体構造を表す一部破断斜視図を図2に、図2におけるI−I断面による横断面図を図1(a)に、図1(a)のチャンネルボックスの辺(側面)a及び辺(側面)bの縦断面図を図1(b)に示す。
【0021】
図1及び図2に示すように、本燃料集合体1は、核分裂性物質を焼結した燃料ペレットを封入した多数の燃料棒2と、燃料集合体中央部の中性子スペクトルを改善する中性子減速棒として設けられ、冷却材流路を形成する中空管である水ロッド3(図1参照)と、燃料棒2及び水ロッド3を軸方向複数箇所で適切な間隔に保持するスペーサ(図示せず)と、燃料棒2及び水ロッド3を上端及び下端でそれぞれ保持する上部タイプレート5及び下部タイプレート6とを備えており、それらのまわりを四角筒型のチャンネルボックス7で取り囲んでいる。
【0022】
チャンネルボックス7には、可燃性毒物(Burnable Poison、以下BPという)を含有するBP部材4が長手方向(軸方向)に埋め込まれている。本実施形態ではBP部材としてZr−Gd合金を用いるが、Gd,Cd,Sm,B,Ag,In,Hfなどの中性子吸収断面積が大きい元素からなる金属,合金,化合物またはセラミックスなどの形態で用いることが可能である。本実施形態では、燃料棒はすべてMOX燃料を含むMOX燃料棒であり、Pu富化度の異なる2種類の燃料棒から構成されている。Pu富化度の高い燃料棒を燃料集合体の内側に、
Pu富化度の低い燃料棒をその外側に配置している。
【0023】
BP部材は、チャンネルボックスの4辺のうち、反制御棒側(辺a)のみに設置されている。これにより、前述したように、制御棒価値を低下させずに、可燃性毒物により中性子を吸収することが可能となる。これを基準となる体系との比較で示す。
【0024】
図3は、図1と同様に、図2におけるI−I断面による横断面図であるが、
BP部材4はチャンネルボックス7の4辺に均等に混入されている。これを以後、対象配置ケースと呼ぶ。特開平10−10257 号における各実施形態も対象配置ケースとなっている。各BP部材のチャンネルボックスの辺方向(幅方向)への長さは、図1におけるBP部材の半分であり、肉厚方向及び軸方向(長手方向)への長さは、図1におけるBP部材と同等である。BP部材の数は、図3の燃料集合体では、図1の燃料集合体の2倍となっているため、BP部材の総表面積及び総体積は同等となっている。また、両燃料集合体におけるBP部材のGd濃度及び組成は同等である。
【0025】
図4に、図1及び図3の冷温時における制御棒価値の相対的な比較を示す。反制御棒側のみBP部材を配置した本実施形態では、BP部材を均等に配置した対象配置ケースに比べて、冷温時の制御棒価値が20%増加することが分かる。このように本実施形態により、同じBP部材量で、制御棒価値を増大させることができ、炉停止余裕を増大することが可能となる。
【0026】
本実施形態の燃料棒は全てMOX燃料棒であり、可燃性毒物を含む燃料棒は存在しないが、これに限られない。即ち、MOX燃料棒とウラン燃料棒又は可燃性毒物を含む燃料棒とが混在する場合、あるいは全てがウラン燃料棒(可燃性毒物を含む燃料棒及び可燃性毒物を含まない燃料棒)で構成される場合にも、同様の効果を得ることができる。
【0027】
本発明の第2の実施形態を図5により説明する。図5(a)は本実施形態による燃料集合体の横断面図であり、図1(a)に相当する。また、図5(b)は図1(b)に相当する。上記第1の実施形態と同じ部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0028】
本実施形態による燃料集合体は、基本的な構造は図1に示した燃料集合体と同様であり、BP部材の配置が異なっている。すなわち、本実施形態による燃料集合体では、対象配置ケースと同じく、チャンネルボックスの4辺すべてにBP部材4が配置されている。但し、反制御棒側と制御棒側とではチャンネルボックスの辺方向でのBP部材の長さが異なる。すなわち、制御棒側のBP部材の辺方向長さは、反制御棒側のBP部材の辺方向長さの半分であり、その他の仕様(他の方向への長さ)は同じである。従って、制御棒側のBP部材の表面積,体積及びBP部材を構成する毒物質であるGd量は、反制御棒側のBP部材の半分となっている。
【0029】
本実施形態の場合、制御棒側にもBP部材が配置してあるので、第1の実施形態に比べて制御棒価値は低下するが、図3に示した燃料集合体に比較すると、制御棒側のBP部材の表面積が小さくなっている分、制御棒価値は増大する。すなわち、制御棒側のBP部材の表面積をなるべく少なくすることが、制御棒価値を増大することにつながる。したがって、制御棒価値だけを考慮すると、制御棒側にBP部材をまったく配置しない第1の実施形態が最適となるが、以下の点で本実施形態は効果がある。
【0030】
すなわち、第1の実施形態のように、反制御棒側だけにBP部材を配置すると、そこでの中性子吸収のために中性子束分布が制御棒側に片寄ることになり、制御棒側での燃料棒の出力が相対的に高くなってしまう。これを抑えるためには、プルトニウム富化度の種類(MOX燃料棒の種類)を増やして、燃料集合体内に最適に配置する方法がある。しかし、MOX燃料棒の種類を増やすと、コストが増大する。本実施形態のように制御棒側にもBP部材を残すことにより、中性子束の偏りを緩和しながら、対象配置ケースよりも制御棒価値を増大することが可能となる。
【0031】
本発明の第3の実施形態を図6により説明する。図6(a)は本実施形態による燃料集合体の横断面図であり、図1(a)に相当する。また、図6(b)は図1(b)に相当する。本実施形態による燃料集合体は、基本的な構造は図3に示した対象配置ケースと同じであるが、BP部材におけるBP濃度が異なる。本実施形態ではBP部材としてGd−Zr合金を用いるが、制御棒側のBP部材のGd濃度は、反制御棒側のBP部材のGd濃度の半分となっている。チャンネルボックス全体のGd量、BP部材の表面積及び体積は対象配置ケースと同等である。制御棒側と反制御棒側のBP部材の表面積及び体積は同じであるが、Gd量は制御棒側よりも反制御棒側の方が多くなっている。
【0032】
本実施形態では、BP部材の表面積を小さくする第2の実施形態よりも効果は小さいが、対象配置ケースに比べて制御棒価値を増大することが可能となる。また、本実施形態では、BP部材としてGd合金を用いているが、第1の実施形態で示した他の可燃性毒物を使った場合でも、本実施形態と同様にそれらの元素の混合率を調節することで同様の効果を得ることが可能となる。
【0033】
本発明の第4の実施形態を図7〜図10により説明する。図7(a)は本実施形態による燃料集合体の横断面図であり、図1(a)に相当する。図7(b)は図1(b)に相当する。第1の実施形態と同じ部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0034】
本実施形態では、BP部材の軸方向の形(長さ)が、制御棒側と反制御棒側で異なる。すなわち、図2のI−Iで切られた横断面図である図7(a)においては、制御棒側にはBP部材が配置されていないが、上部領域においては、制御棒側及び反制御棒側の双方にBP部材が対称に配置されている。
【0035】
本実施形態では、BP部材の軸方向長さが異なるために、BP部材の総表面積は、制御棒側に比べて反制御棒側で大きくなっている。このため、BP部材を制御棒側と反制御棒側に同等に配置したケースに比べて、制御棒価値は増大する。
【0036】
本実施形態で、軸方向上部にのみ、制御棒側にBP部材を配置した理由を以下に述べる。炉停止余裕を増大させるためには、冷温時の制御棒価値を高める方法以外に、運転時と冷温時の反応度差(運転時冷温時反応度差)を小さくする方法がある。冷温時は、運転時に比べて減速材密度が高くなるため、スペクトルが柔らかくなり反応度は上昇する。さらに、燃料温度が低下するためドプラー効果により反応度は上昇する。このため、冷温時は最も反応度が高い状態にある。この冷温時の反応度を低下させる(すなわち、運転時冷温時反応度差を低下させる)ことができれば、制御棒の価値を高めなくても、炉停止余裕を確保することが可能となる。
【0037】
運転時冷温時反応度差を低下させるためには、炉心上部に可燃性毒物を配置させる方法が有効である。これは、運転時と冷温時の軸方向での中性子束分布の違いから説明できる。
【0038】
図8は、運転時と冷温時の軸方向中性子束分布を示したものである。上述したように、減速材密度が高くなるほどスペクトルが柔らかくなり、沸騰水型軽水炉においては反応度が上昇する。したがって、運転時においては、ボイド率が高い(すなわち、減速材密度が低い)炉心上部でスペクトルが硬くなり、出力が低下する傾向がある。そのため、炉心下部に比べて燃焼が進み難い。また、炉心上部での中性子束が炉心下部に比べて低くなる(図8の破線参照)。
【0039】
炉心を冷温にすると、軸方向すべての減速材が冷温飽和水になり、同じ減速材密度になるので、減速材密度による反応度の差は軸方向で生じなくなる。一方、炉心上部には比較的燃焼が進んでいない燃料が存在し、燃焼が進むほど燃料の反応度は低下するという一般的な特徴があるため、冷温時には炉心上部の出力が高くなる。これにより、炉心上部の中性子束が炉心下部よりも高くなる(図8の実線参照)。すなわち、運転時と冷温時の軸方向の中性子束分布は上下で逆転する。
【0040】
次に、中性子束と可燃性毒物及び反応度の関係を述べる。可燃性毒物は大きな中性子吸収断面積を持つが、この可燃性毒物による中性子吸収量は、中性子吸収断面積と中性子束の積で表すことができる。すなわち、中性子束が高い場所に可燃性毒物を配置したほうが、中性子吸収効果はより高い。可燃性毒物の中性子吸収量が多いと炉心全体としての反応度を低く抑えることが可能となる。
【0041】
上記知見から、可燃性毒物を炉心上部により多く配置すれば、炉心上部の中性子束が高くなる冷温時に、可燃性毒物の中性子吸収効果がより高くなり、反応度を低下させることができる。これにより、運転時冷温時反応度差を低減することが可能となる。
【0042】
本実施形態では、軸方向のBP部材長さを、反制御棒側に比べて制御棒側で短くすることにより、制御棒価値を高めるとともに、炉心上部のBP部材の表面積及び量を炉心下部に比べて多くした。これにより、運転時冷温時反応度差を低減している。この2つの効果(制御棒価値の増大及び運転時冷温時反応度差の低減)により、効果的に炉停止余裕を確保することが可能となる。
【0043】
本実施形態の効果は、炉心下部において、制御棒側にBP部材を配置しないという本実施形態の他に、図9に示すように、炉心下部において、制御棒側のBP部材の表面積を反制御棒側のBP部材の表面積よりも小さくすることによっても得ることができる。この場合、図9に示すように制御棒側のBP部材の大きさを段階的に変化させたり、図10に示すようにBP部材の大きさを連続して変化させても良いし、またそれらを組み合わせても良い。また、BP部材は軸方向で連続して連結する必要もない。この際、制御棒側のBP部材の表面積が反制御棒側よりも小さく、かつ炉心を軸方向に上下2等分した場合に、上部のBP部材の表面積が下部よりも大きければ同様な効果を得ることが可能である。
【0044】
本発明の第5の実施形態を図11により説明する。図11(a)は本実施形態による燃料集合体の横断面図であり、図1(a)に相当する。図11(b)は図1(b)に相当する。第1の実施形態と同じ部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0045】
本実施形態では、BP部材の軸方向の形は、制御棒側と反制御棒側でまったく同じであるが、制御棒側においてBP部材の軸方向におけるGd濃度が異なっている。すなわち、軸方向におけるGd濃度は、炉心上部で高く、炉心下部で低くなっている。この構成により、第4の実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。本実施形態では、BP部材としてGd合金を用いているが、第1の実施形態で示した他の可燃性毒物を使った場合でも、本実施形態と同様にそれらの元素の混合率を調節することで同様の効果を得ることが可能となる。
【0046】
本実施形態では、制御棒側のBP部材を軸方向で2領域に分け、異なったGd濃度を用いているが、Gd濃度を軸方向で連続して変化させることも可能である。また、チャンネルボックスの水平方向(辺方向,肉厚方向)にGd濃度を変化させることもできる。この時、制御棒側のBP部材における可燃性毒物量が反制御棒側より少なく、かつ炉心を上下に2等分した場合に、上部の可燃性毒物量が下部よりも多ければ、同様の効果を得ることができる。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、チャンネルボックス内に可燃性毒物を配置した燃料集合体において、制御棒価値の低下を抑制して、炉停止余裕の低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるチャンネルボックスを備えた燃料集合体の第1の実施形態を示す図で、(a)は横断面図、(b)は辺a及び辺bの縦断面図である。
【図2】本発明による燃料集合体の全体構造を表す一部破断斜視図である。
【図3】比較用の対象配置ケースの燃料集合体を示す図で、(a)は横断面図、(b)は辺a及び辺bの縦断面図である。
【図4】図1及び図3の燃料集合体の制御棒価値を比較した図である。
【図5】本発明によるチャンネルボックスを備えた燃料集合体の第2の実施形態を示す図で、(a)は横断面図、(b)は辺a及び辺bの縦断面図である。
【図6】本発明によるチャンネルボックスを備えた燃料集合体の第3の実施形態を示す図で、(a)は横断面図、(b)は辺a及び辺bの縦断面図である。
【図7】本発明によるチャンネルボックスを備えた燃料集合体の第4の実施形態を示す図で、(a)は横断面図、(b)は辺a及び辺bの縦断面図である。
【図8】運転時と冷温時の炉心軸方向中性子束分布を示す図である。
【図9】第4の実施形態のチャンネルボックスの変形例を示す図で、辺a及び辺bの縦断面図である。
【図10】第4の実施形態のチャンネルボックスの変形例を示す図で、辺a及び辺bの縦断面図である。
【図11】本発明によるチャンネルボックスを備えた燃料集合体の第5の実施形態を示す図で、(a)は横断面図、(b)は辺a及び辺bの縦断面図である。
【符号の説明】
1…燃料集合体、2…燃料棒、3…水ロッド、4…可燃性毒物含有部材(BP部材)、5…上部タイプレート、6…下部タイプレート、7…チャンネルボックス、8…制御棒。

Claims (10)

  1. ウラン又はプルトニウムを含有する燃料棒を複数本配列した燃料棒束と、該燃料棒束を取り囲み且つ可燃性毒物を含有する部材が配備された四角筒型のチャンネルボックスとを備えた燃料集合体において、
    前記可燃性毒物含有部材は、前記チャンネルボックスに埋め込まれており、
    前記チャンネルボックスの4つのを制御棒に面すると制御棒に面しないとに分けた場合、前記制御棒に面する辺における前記可燃性毒物含有部材の表面積が、前記制御棒に面しない辺における前記可燃性毒物含有部材の表面積よりも小さいことを特徴とする燃料集合体。
  2. ウラン又はプルトニウムを含有する燃料棒を複数本配列した燃料棒束と、該燃料棒束を取り囲み且つ可燃性毒物を含有する部材が配備された四角筒型のチャンネルボックスとを備えた燃料集合体において、
    前記可燃性毒物含有部材は、前記チャンネルボックスに埋め込まれており、
    前記チャンネルボックスの4つのを制御棒に面すると制御棒に面しない側面とに分けた場合、前記制御棒に面する辺における前記可燃性毒物含有部材の可燃性毒物量が、前記制御棒に面しない辺における前記可燃性毒物含有部材の可燃性毒物量よりも小さいことを特徴とする燃料集合体。
  3. ウラン又はプルトニウムを含有する燃料棒を複数本配列した燃料棒束と、該燃料棒束を取り囲み且つ可燃性毒物を含有する部材が配備された四角筒型のチャンネルボックスとを備えた燃料集合体において、
    前記可燃性毒物含有部材は、前記チャンネルボックスに埋め込まれており、
    前記チャンネルボックスの4つのを制御棒に面すると制御棒に面しないとに分けた場合、前記制御棒に面する辺における前記可燃性毒物含有部材の可燃性毒物濃度が、前記制御棒に面しない辺における前記可燃性毒物含有部材の可燃性毒物濃度よりも小さいことを特徴とする燃料集合体。
  4. 請求項1乃至3の何れかにおいて、前記燃料集合体をその軸方向で上部領域と下部領域に分割した場合、前記上部領域の前記可燃性毒物含有部材の表面積が、前記下部領域の前記可燃性毒物含有部材の表面積よりも大きいことを特徴とする燃料集合体。
  5. 請求項1乃至3の何れかにおいて、前記燃料集合体をその軸方向で上部領域と下部領域に分割した場合、前記上部領域の可燃性毒物量が、前記下部領域の可燃性毒物量よりも大きいことを特徴とする燃料集合体。
  6. 請求項1乃至3の何れかにおいて、前記燃料集合体をその軸方向で上部領域と下部領域に分割した場合、前記上部領域の前記可燃性毒物の濃度が、前記下部領域の前記可燃性毒物の濃度よりも大きいことを特徴とする燃料集合体。
  7. 請求項1乃至6の何れかにおいて、複数本の前記燃料棒が可燃性毒物入りウラン燃料棒を含むことを特徴とする燃料集合体。
  8. 請求項1乃至7の何れかにおいて、複数本の前記燃料棒がプルトニウムを含有する燃料棒を含むことを特徴とする燃料集合体。
  9. 請求項1乃至8の何れかにおいて、前記可燃性毒物は、カドミウム,サマリウム,ホウ素,ガドリニウム,銀,インジウム,ハフニウムのうち少なくとも一つを含有する金属,合金,金属間化合物もしくはセラミックスであることを特徴とする燃料集合体。
  10. 請求項1乃至9の何れかに記載の燃料集合体を装荷した原子炉炉心。
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