JP3847701B2 - 軽水炉炉心及び燃料集合体並びに制御棒 - Google Patents

軽水炉炉心及び燃料集合体並びに制御棒 Download PDF

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    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、軽水炉炉心及び炉心を構成する燃料集合体と制御棒に係り、特に
BWRにおいて、経済性や安全性が現在運転中のBWRと同程度、すなわち、炉内構造の変更を最小限にとどめ、負のボイド係数を維持しつつ、増殖比を1.0近傍又は1.0 を若干上まわるPuマルチリサイクルを指向した軽水炉炉心,燃料集合体及び制御棒に関する。
【0002】
【従来の技術】
原子炉の内部では核分裂反応により、ウラン−235やプルトニウム−239などの核分裂性物質の消耗とともに、ウラン−238やプルトニウム−240などの燃料親物質の核分裂性物質への変換が起っている。炉心から取り出される燃料に含まれる核分裂性物質量と炉心に装荷される燃料に含まれる核分裂性物質量の比を増殖比と言うが、従来の軽水冷却原子炉では、増殖比は0.5 程度である。ウラン資源を有効に活用する方法として、増殖比を高めることが考えられている。
【0003】
特開昭55−10591号公報、また、1982年のNuclear Technology 誌59巻の第212〜227ページには、加圧水型原子炉において、燃料棒を三角格子に稠密配置し、水対燃料体積比を小さくすることで増殖比を向上できることが示されている。しかしながら、増殖比は、高々0.9 程度であり、出力を落さず運転を継続するには、核分裂性物質を補給する必要がある。増殖比をさらに高めるには、燃料棒間隙を狭くし、水対燃料体積比をさらに小さくすることが考えられるが、燃料集合体の製作や熱的余裕の確保などの点で限界があり、実現は困難である。
【0004】
一方、特開平1−227993 号公報には、沸騰水型原子炉の特徴である炉心内で発生する蒸気ボイドを活用して、水対燃料体積比を実効的に小さくする方法が示されている。しかしながら、従来例においてもプルトニウム増倍比(炉心から取り出される燃料に含まれる核分裂性プルトニウム量と炉心に装荷される燃料に含まれる核分裂性プルトニウム量の比;核分裂性プルトニウムに対する増殖比)を1近傍にすることは示されているが、増殖比(天然ウランにプルトニウムを富化した場合プルトニウム増倍比より4〜5%程度小さい値となる)を1近傍又は1以上にすることは示されていない。プルトニウム増倍比が1近傍の場合、出力を落さず運転を継続するには、プルトニウムを天然ウランに富化することが必要となり、全ウラン資源を使いきることができない。なお、本発明において、増殖比1近傍とは0.98 以上を意味している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、発電コスト,熱的余裕と安全性を現在運転中の軽水炉と同程度に保ち、エネルギー長期安定供給に寄与する炉心、燃料集合体を提供することである。
【0006】
本発明の第2の目的は、エネルギーの長期安定供給に寄与するため水対燃料体積比を低減して、劣化ウランにPuを富化した燃料で、増殖比1.0 を実現する炉心,燃料集合体及び制御棒を提供することである。
【0007】
本発明の第3の目的は、エネルギーの長期安定供給に寄与するため、単位出力あたりの所要Puインベントリーを低減し、一定のPu量で、できるだけ多くの発電用原子炉を運転できる炉心、燃料集合体を提供することである。
【0008】
発明の第4の目的は、発電コストを現在の軽水炉と同程度にするため、現在運転中の炉と同じ材料,同程度の圧力容器の大きさで、同程度の出力,燃焼度を同程度の熱的余裕で達成出来る炉心,燃料集合体を提供することである。
【0009】
本発明の第5の目的は、安全性を現在の軽水炉と同程度にするため、炉心の高さ方向の中性子漏洩の増大や、出力上昇時の炉心高さ方向の出力分布スウィングにより、負のボイド係数を実現出来る炉心、燃料集合体を提供することである。
【0010】
本発明の第6の目的は、安全性を現在の軽水炉と同程度にするため、沸騰による蒸留機能を維持し、炉内に存在する放射化物質の圧力容器内への閉じ込めを達成出来る炉心を提供することである。
【0011】
本発明の第7の目的は、核不拡散に対応するため、Pu単独抽出を撤廃し、
PuとUを一体としてリサイクルする炉心、燃料集合体を提供することである。
【0012】
本発明の第8の目的は、長寿命の放射性廃棄物を後世に残さないために、アクチノイド核種をウラン,Puと一緒に炉内に滞在させ、リサイクルする炉心,燃料集合体を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記第1の目的を達成するために、本発明によれば、劣化ウランに、PuあるいはPuとアクチノイド核種を富化した燃料を有する炉心において、上下両端部のブランケット部を除く炉心高さ方向について、燃料集合体水平断面の核分裂性プルトニウム平均富化度が6wt%以上の部分を40cmから140cmの間にすることによりボイド係数を負にし、定格出力の50%以上で運転されている時の炉心平均のボイド率を45〜70%とすることにより増殖比を1.0近傍又は1.0以上にした炉心が提供される。
【0014】
また、上記第1の目的を達成するために、本発明によれば、天然ウラン,減損ウラン,低濃縮ウランの少なくとも1つを含むウランに、PuあるいはPuとアクチノイド核種を富化した燃料を有する炉心において、上下両端部のブランケット部を除く炉心高さ方向について、燃料集合体水平断面の核分裂性プルトニウム平均富化度が6wt% 以上の部分を40cmから140cmの間にすることによりボイド係数を負にし、定格出力の50%以上で運転されている時の炉心平均のボイド率を45〜70%とすることにより増殖比を1.0近傍又は1.0以上にした炉心が提供される。
【0015】
また上記第1の目的を達成するために、本発明によれば、劣化ウラン,天然ウラン,減損ウラン,低濃縮ウランの少なくとも1つを含むウランに、PuあるいはPuとアクチノイド核種を富化した燃料を有する燃料集合体において、実効的な水対燃料体積比を0.1から0.6の間とすることにより増殖比を1.0 近傍又は1.0以上にした燃料集合体が提供される。
【0016】
また、上記第2の目的を達成するために、本発明によれば、燃料棒が正三角形の格子状に配列された六角形の稠密燃料集合体において、燃料棒の間隙が0.7〜2.0mmであることを特徴とする燃料集合体と、その燃料集合体で構成される炉心が提供される。
【0017】
また、上記第2の目的を達成するために、本発明によれば、実効的な水対燃料体積比が0.1から0.6の間であることを特徴とする炉心および燃料集合体が提供される。
【0018】
また、上記第2の目的を達成するために、本発明によれば、炉心外周部および上下端部のブランケット部分を除いた炉心部における核分裂性Puの平均富化度が6〜20%であることを特徴とする軽水炉炉心が提供される。
【0019】
また、上記第2の目的を達成するために、本発明によれば、上下両端のブランケット部分を除いた領域の平均核分裂性Puの富化度が6〜20%であることを特徴とする燃料集合体が提供される。
【0020】
また、上記第2の目的を達成するために、本発明によれば、定格出力の50%以上で運転されているときの炉心の平均ボイド率が45〜70%であることを特徴とする沸騰水型軽水炉炉心が提供される。
【0021】
また、上記第2の目的を達成するために、本発明によれば、六角形の燃料集合体とその中に挿入されるクラスター型制御棒より構成される軽水炉炉心が提供される。
【0022】
また、上記第2の目的を達成するために、本発明によれば、六角形の燃料集合体とその間に挿入される翼の間隔がそれぞれ120度である3枚の翼を持つY字型制御棒より構成される軽水炉炉心が提供される。
【0023】
また、上記第2の目的を達成するために、本発明によれば、正六角形燃料集合体一体に隣接するY字型制御棒の翼がそれぞれ2枚以下であり、燃料集合体間に翼が挿入されない燃料集合体間の間隙が、翼が挿入される燃料集合体間の間隙より狭いことを特徴とする軽水炉炉心が提供される。
【0024】
また、上記第2の目的を達成するために、本発明によれば、正三角形の格子状に稠密に配置された正方形燃料集合体とその間に挿入される翼の間隔がそれぞれ90度である4枚の翼を持つ十字型制御棒より構成される軽水炉炉心が提供される。
【0025】
また、上記第2の目的を達成するために、本発明によれば、燃料棒が正三角形の格子状に配列された六角形燃料集合体において、向いあう最外層燃料棒列に平行な三組の燃料棒列のうち、二組の燃料棒列の数が等しく、残りの一組の燃料棒列の数より1列多いことを特徴とする蝕形燃料集合体とY字型制御棒の1枚の翼により正六角形の燃料集合体格子が構成される軽水炉炉心が提供される。
【0026】
また、上記第2の目的を達成するために、本発明によれば、制御棒上端部に減速材を排除するために軽水より減速能が小さな物質、例えば炭素,重水素,ベリリウム,Zr合金,ステンレス等からなるフォロアー部が設置されたクラスター型,Y字型または十字型制御棒より構成される軽水炉炉心が提供される。
【0027】
また、上記第2の目的を達成するために、本発明によれば、正六角形および、蝕型六角形燃料集合体において、Y字型制御棒に近接した領域から、Y字型制御棒からはなれた領域にわたる少なくとも2つ以上の領域について、核分裂性Puの富化度が異なる複数種類、特に2〜5種類の燃料棒で構成することを特徴とする六角形燃料集合体および、蝕型六角形燃料集合体が提供される。
【0028】
また、上記第2の目的を達成するために、本発明によれば、正方形燃料集合体において、十字型制御棒に近接した領域から、十字型制御棒からはなれた領域にわたる少なくとも2つ以上の領域について、核分裂性Puの富化度が異なる複数種類、特に2〜5種類の燃料棒で構成することを特徴とする正方形燃料集合体が提供される。
【0029】
また、上記第3,4,5の目的を達成するために、本発明によれば、炉心外周部および上下端部のブランケット部を除く炉心部平均の出力密度が100kW/lから300kW/lであることを特徴とする軽水炉炉心が提供される。
【0030】
また、上記第3,4,5の目的を達成するために、本発明によれば、劣化ウランに、PuあるいはPuとアクチノイド核種を富化した燃料を有する炉心において、炉心上下両端部のブランケット部を除く高さ方向について、燃料集合体水平断面の核分裂性Pu平均富化度が6wt%以上の部分が、40cmから140cmの間であることを特徴とする軽水炉炉心が提供される。
【0031】
また、上記第3,4,5の目的を達成するために、本発明によれば、天然ウラン,減損ウラン,低濃縮ウランの少なくとも1つを含むウランに、PuあるいはPuとアクチノイド核種を富化した燃料を有する炉心において、炉心上下両端部のブランケット部を除く高さ方向について、燃料集合体水平断面の核分裂性Pu平均富化度が6wt%以上の部分が、40cmから140cmの間であることを特徴とする軽水炉炉心が提供される。
【0032】
また、上記第3,4,5の目的を達成するために、本発明によれば、劣化ウランに、PuあるいはPuとアクチノイド核種を富化した燃料を有する燃料集合体において、上下両端部のブランケット部を除く燃料集合体の高さ方向について、水平断面の核分裂性Pu平均富化度が6wt%以上である部分が、40cmと140cmの間であることを特徴とする燃料集合体が提供される。
【0033】
また、上記第3,4,5の目的を達成するために、本発明によれば、天然ウラン,減損ウラン,低濃縮ウランの少なくとも1つを含むウランに、PuあるいはPuとアクチノイド核種を富化した燃料を有する燃料集合体において、上下両端部のブランケット部を除く燃料集合体の高さ方向について、水平断面の核分裂性Pu平均富化度が6wt%以上である部分が、40cmと140cmの間であることを特徴とする燃料集合体が提供される。
【0034】
また、上記第4の目的を達成するために、本発明によれば、炉心最外周を除き炉心を径方向に等面積に二分割して、炉心外側領域の燃料集合体炉心滞在サイクル数の平均値が、炉心内側領域のそれより小さくなるように燃料集合体を装荷したことを特徴とする軽水炉炉心が提供される。
【0035】
また、上記第4の目的を達成するために、本発明によれば、炉心最外周およびそれに隣接する燃料集合体のオリフィス圧損係数の平均値が、それ以外の領域のオリフィス圧損係数の平均値より大きいことを特徴とする軽水炉炉心が提供される。
【0036】
また、上記第5の目的を達成するために、本発明によれば、上下両端部のブランケット部を除いて、核分裂性Pu富化度が上半部の平均値より下半分の平均値が低いことを特徴とする六角形燃料集合体が提供される。
【0037】
また、上記第5の目的を達成するために、本発明によれば、上下両端部のブランケット部を除く燃料集合体の高さ方向について、核分裂性Pu富化度が6w/o以上の部分が上下にあり、その間の中央付近の領域の核分裂性Pu富化度が
6w/o以下であることを特徴とする燃料集合体が提供される。
【0038】
また、上記第6の目的を達成するために、本発明によれば、定格出力の50%以上で運転されているときの冷却材の炉心の出口の蒸気重量率が20%から40%の間であることを特徴とする沸騰水型軽水炉炉心が提供される。
【0039】
また、上記第7の目的を達成するために、本発明によれば、Puとウランを同時にリサイクルすることを特徴とする軽水炉炉心および燃料集合体が提供される。
【0040】
また、上記第8の目的を達成するために、本発明によれば、Puとウランおよびアクチノイドを同時にリサイクルすることを特徴とする軽水炉炉心および燃料集合体が提供される。
【0041】
【作用】
本願発明者等の検討によれば、以下のことが判明している。
【0042】
世界の天然ウラン資源量は、1500万トン前後と推定されており、電気出力100万kWの現行軽水炉1000基を約100年間運転可能な量に対応している。その結果として、1500万トン弱の劣化ウランと1.5 万トンの核分裂性Puが残される。したがって、劣化ウランにPuを富化した燃料で、電気出力
100万kWあたりの炉内と炉外を含めた核分裂性Puのインベントリーが10トンで、増殖比1.0の発電炉(RBWR)は、Puを触媒のようにして、劣化ウランで核分裂を継続することが可能となり、ウランは1gあたり約1MWDの熱エネルギーを発生するので、1500基のRBWRを1万年間運転することが可能となり、全ウラン資源量を使いきることができるので、前記第1の目的である長期安定供給に寄与する。
【0043】
また、以下の作用により前記第2の目的が達成される。本願発明者等の検討によれば、軽水炉炉心における増殖比と実効的な水対燃料体積比の関係について、以下のことが判明している。実効的な水対燃料体積比[(Vm/Vf)eff]は、炉心内で蒸気ボイドが発生することを考慮して、幾何学的な水対燃料体積比 [(Vm/Vf)geo;蒸気ボイドが発生しない水対燃料体積比]を拡張したものである。蒸気ボイドが発生することでの水素密度の減少割合をFとすると、両者には下記の関係がある。
【0044】
【数1】
(Vm/Vf)eff=F(Vm/Vf)geo (数1)
また、Fは、炉心平均の蒸気ボイド率V(%)と以下の関係にある。
【0045】
F=(100−V)/100+fV/100
ここで、
f:飽和水密度に対する飽和蒸気密度の比
一般に、fは約1/20という小さな値であり、Fは以下のように近似できる。
【0046】
F≒(100−V)/100
図2に実効的な水対燃料体積比と中性子バランスから定義される転換比および転換比を構成する三つの因子の関係を示す。
【0047】
【数2】
転換比=α(1+β)−(1+γ) (数2)
ここで、
α:核分裂性物質に中性子が吸収され、核分裂性物質が1個消滅した時に発生する新しい中性子の個数
β:燃料親物質の高速エネルギー領域における核分裂による追加分
γ:核分裂性物質による中性子吸収量に対する中性子の無駄捕獲(中性子漏洩を含む)の割合
現在運転中の軽水炉は、実効的な水対燃料体積比は、約2.0 で、増殖比は約0.5 である。増殖比1近傍を実現するには、上記転換比を1近傍にする必要がある。本願発明者等の検討によれば、後述の範囲で核分裂性Puの富化度を高くし、かつ、ブランケットへの中性子漏洩を増加することで、転換比0.85 以上で増殖比1近傍を実現できることがわかった。そのための実効的な水対燃料体積比は0.6以下となる。一方、実効的な水対燃料体積比を0.1以下とするためには、炉心平均の蒸気ボイド率が70%を超える値にしなければならず、過渡事象時に、炉心出口で二相流状態が維持できなくなる。
【0048】
実効的な水対燃料体積比0.1〜0.6は、燃料棒を稠密に配置する、または、炉心内で発生する蒸気ボイドを活用する、または、制御棒が挿入されないときには制御棒挿入位置にフォロアーを挿入し減速材を排除することで実現する。あるいは、以上の三つを組合せることで実現する。図3に燃料棒間隙と幾何学的な水対燃料体積比の関係例を示す。図3では、燃料棒直径を現在軽水炉で使用されている約9.5〜12.3mmの範囲とし、正三角形の燃料棒格子を対象とした。燃料棒間隙を2mm以下にすると燃料棒格子の(Vm/Vf)geoは、約0.9以下になる。燃料棒を正三角形の格子状に稠密配列した燃料集合体の場合、燃料集合体間のギャップ領域や制御棒挿入領域等を考慮すると燃料集合体体系の(Vm/Vf)geoは、燃料棒格子の(Vm/Vf)geoより0.1から0.2大きな値となる。したがって、この幾何学的な水対燃料体積比のもとで、実効的な水対燃料体積比0.6以下を実現するためには、数1より炉心平均の蒸気ボイド率を45%以上(図 27に示す関係図より炉心出口の蒸気重量率は20%以上)にする必要がある。一方、燃料棒間隙が0.7(燃料集合体の製作や熱的余裕の確保などの点からの燃料棒間隙の最小値)〜1.0mmの範囲(燃料棒直径が9.5mmより太い場合には 1.0mm以上にすることが可能)では、蒸気ボイド率0%で、(Vm/Vf)geoを約0.6以下にできる。
【0049】
図4は、燃料集合体の平均核分裂性Pu富化度と増殖比の関係を示す。炉心を、運転期間を通じて臨界状態に維持するためには、核分裂性Pu富化度を6wt%以上にすることが必要である。一方、増殖比は、核分裂性Pu富化度とともに減少するが、前述のように、余剰反応度の増加を活用し、ブランケットへの中性子漏洩を増加することで20wt%までは増殖比1近傍を実現できることがわかった。
【0050】
また、その際、炉の反応度を制御する手段としては、燃料集合体の中にクラスター型制御棒を挿入するか、六角形燃料集合体の周囲にY字型制御棒、あるいは、正方形燃料集合体の周囲に十字型制御棒を挿入する方法が考えられる。以上の組合せにより増殖比1.0 の炉心が実現できる。
【0051】
また、以下の作用により前記第3,4,5の目的が達成される。本願発明者等の検討によれば、炉心の単位水平断面あたりの燃料集合体の出力を現行沸騰水型軽水炉と同程度にすることで、熱的余裕を確保しつつ、燃料集合体の高さ(有効炉心長:水平断面平均核分裂性Pu富化度が6wt%以上の領域の長さ)を減少できることがわかった。実効的な水対燃料体積比を0.6 以下とするため、燃料棒を稠密に配置した結果、炉心の単位水平断面あたりの燃料棒本数は現行沸騰水型軽水炉の3〜4倍となる。従って、平均線出力密度が同等となる燃料集合体の高さ(有効炉心長)は現行沸騰水型軽水炉の約1/3〜1/4倍となる。さらに、現行沸騰水型軽水炉に比べ、減速材が均一に分散した構成であるため、燃料棒の局所出力ピーキング係数を(必要な場合は富化度分布の採用により)、約30%以上低減できる。また、燃焼反応度変化やボイド反応度変化が小さいこと、さらに以下で述べる他の手段と合わせて、出力ピーキング係数を約40%以上低減できる。したがって、平均線出力密度が同等以上となる燃料集合体の高さ(有効炉心長)は現行沸騰水型軽水炉の約1/10倍である40cm以上となる。一方、有効炉心長を短尺にし、軸方向の中性子漏洩を増大することで、ボイド係数低減効果が活用できる。本願発明者等の検討によれば、有効炉心長を140cm以下にすれば、以下で述べる他の手段と合わせて、負のボイド係数が実現できることがわかった。短尺化によりブランケット部での出力発生割合は増加するが、有効炉心長を減少したことで、ブランケット部を除く領域での平均出力密度は約100〜300kW/lとなる。
【0052】
その結果、現行炉とほぼ同じ直径の圧力容器の中に同一出力のRBWRがおさまるので、発電コストを現行軽水炉と同程度に保つことができ、安全性においても、現行軽水炉と同程度の水準に保つことができる。また、これにより、Puインベントリーを減少でき、したがって、一定のPu量で多くの発電炉を運転することが可能で、エネルギー安定供給が実現できる。
【0053】
また、以下の作用により前記第5の目的が達成される。本願発明者等の検討によれば、炉心の上部の核分裂性Puの富化度を炉心の下部より高くすることにより、炉心の軸方向出力分布を平坦化できるとともに、その結果、Puインベントリーを減少させることができる。また、出力が上昇した時や、炉心冷却材流量が低下した時に、炉心内の蒸気ボイド率が上昇するが、その際、図5に示すように、比較的核分裂性Puの富化度が低く、中性子インポータンスの小さい炉心下部に出力分布がスウィングして、炉心の反応度を低下(負のボイド係数と)できる。
【0054】
また、以下の作用により前記第2の目的が達成される。本願発明者等の検討によれば、燃料集合体内にクラスター型制御棒を挿入することで、燃料棒を正三角形の格子状に稠密配列した炉心構成が実現できる。さらに、本願発明者等の検討によれば、六角形燃料集合体とY字型制御棒を組合せても、燃料棒を正三角形の格子状に稠密配列した炉心構成が実現できる。Y字型制御棒と六角形燃料集合体を組合せる場合には、燃料集合体形状を正六角形とする方式とY字型制御棒の一つの翼と燃料集合体で正六角形を構成する方式が可能である。前者では、燃料集合体構成が単純化される利点があり、後者では、炉心内の集合体中心位置が正三角形を形成する利点がある。さらに、本願発明者等の検討によれば、正方形燃料集合体と十字型制御棒を組合せても、燃料棒を正三角形の格子状に稠密配列した炉心構成が実現できる。
【0055】
また、本願発明者等の検討によれば、六角形燃料集合体とY字型制御棒あるいは正方形燃料集合体と十字型制御棒の組合せにおいて、制御棒に面した燃料棒では、制御棒引き抜き時に、水の中性子減速効果が大きくなり、中性子エネルギーが低下し、集合体中の各燃料棒の核分裂性Puの富化度を同一にしておくと、制御棒に面した燃料棒に出力ピーキングが発生する。そこで、制御棒挿入位置からの距離に応じて、集合体中の核分裂性Puの富化度を数種類変化させることにより、燃料集合体内の出力分布を平坦化させた燃料集合体が実現できる。
【0056】
また、以下の作用により前記第4の目的が達成される。本願発明者等の検討によれば、炉心内の燃料集合体配置やオリフィス構成を適正化することで、炉心内燃料集合体の出力と流量を平坦化でき熱的余裕を向上することができる。炉心の最外周を除く領域を半径方向に等面積に二分割し、炉心外側領域の燃料集合体炉心滞在サイクル数の平均値が、炉心内側領域のそれより小さくなるように燃料集合体を装荷することで、炉心外側領域の中性子無限増倍率を内側より高くでき、径方向の出力分布が平坦化できる。中性子インポータンスが低い炉心の最外周領域には、滞在サイクル数が大きな燃料集合体を装荷することで、所要核分裂性 Puの富化度低減が実現できる。本願発明者等の検討によれば、炉心外周部からの中性子漏洩の影響は、炉心最外層およびそれに隣接する燃料集合体で特に大きく、その結果、燃料集合体出力が他の領域に比べ低くなり、燃料集合体内を流れる流量が大きくなる。したがって、炉心の最外周及び、それに隣接する燃料集合体のオリフィス圧損係数の平均値が、それ以外の領域のオリフィス圧損係数の平均値より大きくなるように設定することで、流量配分を平坦化できる。これにより、炉心の最外周近傍の流量を低減し、全炉心流量を低減することができる。また、オリフィス圧損係数を大きくした領域で蒸気ボイド率を増大でき、ボイド係数の改善、増殖比の増大に寄与することができる。
【0057】
また、以下の作用により前記第6の目的が達成される。本発明者等の検討によれば、軽水蒸気冷却により増殖比を1.0 以上とすることが可能であるが、蒸気温度が飽和温度を越えることにより、現行のBWRで使用されているものより耐高温性の強い材料を開発することが必要となるとともに、コロージョン生成物等の放射性核種が、蒸気とともに炉心外に流出する。本発明においては、炉心出口の蒸気重量率を40%以下におさえて、異常な過渡変化で出力が上昇した時にも、冷却材が飽和温度の二相流状態を保ち、飽和温度を維持して、現行軽水炉と同じ構造材が使用でき、炉内における沸騰による蒸留機能により、タービンに行く蒸気中に、コロージョン生成物等の放射性核種が含まれることを防止しつつ、増殖比1.0 以上の炉心が実現できる。
【0058】
また、以下の作用により前記第1及び第7の目的が達成される。本発明者等の検討によれば、エネルギー長期安定供給をめざして、現行軽水炉で使用される濃縮ウラン製造時に、その残渣として発生する劣化ウランにPuを富化した燃料について実施例を検討するが、現在のようにまだ天然ウランや、使用済み燃料から回収される減損ウランが多量に存在する時には、劣化ウランのかわりに天然ウランや減損ウランさらには低濃縮ウラン(0.71wt%〜2.0wt%)にPuを富化することによっても、核分裂性Puの富化度を劣化ウラン使用の場合に比べて、約0.5wt% 以上低くすることにより、劣化ウランにPuを富化した場合に比べ、増殖比,ボイド係数に関し同等以上の性能を有する炉心を実現できる。
【0059】
また、以下の作用により前記第8の目的が達成される。本発明者等の検討によれば、劣化ウランにPuを富化するだけでなく、アクチノイド核種も同時にリサイクルすることにより、長寿命の放射性核種が炉内に平衡状態になり、一定量に達する。したがって、本発明の炉ではアクチノイド核種は、発生量と消滅量がバランスして、増加量は零となり、放射性廃棄物の中で特に問題となっている長半減期アクチノイド核種の全発生量を大幅に低減するのみからず、Puを含むアクチノイド核種を原子炉,再処理施設,燃料製造施設の中のみに閉じ込めることができる原子炉システムが実現できる。
【0060】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を用いて詳細に説明する。以下の実施例では、電気出力135万kW級の炉心を対象にしたが、出力規模はこれに限定されるものではない。燃料集合体の体数を変更することで、他の出力規模にも適用できる。
【0061】
(第1の実施例)
本発明の第1の実施例を図1及び図6〜図11により説明する。
【0062】
図1に、本実施例の電気出力1356MWeの水平断面を示す。720体の燃料集合体1と、燃料集合体3体に一体の割合で223体のY字型制御棒2が示されている。図6に燃料集合体格子の断面を示す。直径10.1mm の燃料棒3が燃料棒間隙1.3mm で正三角形に配置され、チャンネルボックス4とY字型制御棒の一つの翼5で正六角形燃料集合体格子を作るように正六角形燃料集合体の一辺の最外周の燃料棒一列が存在しない構造になっている。すなわち、六角形燃料集合体において、向かいあう最外層燃料棒列に平行な三組の燃料棒列のうち二組が17列で等しく、残りの一組が16列となっている。制御棒の三枚の翼には、
4C が充填されたステンレス管が配置されており、翼の間隔はそれぞれ120度で、それぞれの翼を延長した直線により正三角形が構成されるように三枚の翼が配置されている。すなわち、それぞれの翼の1つの側面であって制御棒の中心の周りで同じ方向(例えば、図6における時計回りの方向)に面している3つの側面に沿って上記中心側に延長された3本の直線により正三角形が構成されるように三枚の翼が配置されている。また、制御棒の先端部には、軽水より減速能が小さな物質である炭素で構成されたフォロアー部を有している。図7に平衡炉心の燃料配置を示す。燃料集合体1に記された番号は、炉心に滞在している期間をサイクル数で示している。中性子インポータンスが低い炉心最外周には、炉内滞在期間が最も長い3サイクル目燃料が装荷されている。その内側である炉心外側領域には、中性子無限増倍率が最も高い、炉内滞在期間1サイクル目燃料を装荷し、炉心径方向の出力分布平坦化を図っている。炉心内側領域には、炉内滞在期間2および3サイクル目燃料が分散装荷されており、内側領域の出力分布平坦化を図っている。図8に、平衡炉心におけるオリフィスの状態を示しており、燃料集合体1に記された番号は、燃料支持部に設置されたオリフィスの開閉度が異なることを示しており、3領域になっている。燃料集合体出力が小さな炉心外側領域(番号1及び2)のオリフィス口径は、内側領域のオリフィス口径より小さくなっている。図9に平衡炉心用の燃料集合体の水平断面で平均した核分裂性Puの富化度の高さ方向分布を示す。なお、Puが富化されるウランは劣化ウランである。炉心の高さは55cmで、炉心の下端から8/12のところで2領域に分割され、上部の富化度が12wt%,下部が10wt%である。また、炉心部の上下にそれぞれ25cmと20cmの劣化ウランのブランケットが付設されている。図10に燃料集合体の下部の水平断面のPuの富化度分布を示す。核分裂性Puの富化度は10.4wt% ,9.4wt% ,8.4wt% ,7.4wt% の4種類、平均富化度は10wt%である。燃料集合体の上部の水平断面のPuの富化度分布は、下部と同じ分布で、核分裂性Puの富化度は12.4wt%,11.4wt%,10.4wt%,9.4wt%の4種類、平均富化度は12wt%である。図11に、炉心平均の高さ方向の出力分布とボイド率分布を示す。炉心平均ボイド率は61%、炉心出口の蒸気重量率は32wt%である。
【0063】
次に、本実施例の作用を説明する。
【0064】
燃料棒間隙1.3mm の正三角形格子の稠密六角形燃料集合体,炉心平均ボイド率61%,Y字型制御棒の組合せにより、水対燃料の実効体積比0.27 が達成され、炉内増殖比0.90,ブランケット増殖比0.11,合計1.01 の増殖比が実現した。
【0065】
以上の理由により、本実施例では、実効的な水対燃料体積比を、現行炉の約 2.0から0.27に低減することにより、増殖に1.01 の軽水炉が実現する。
【0066】
本炉心の出力は、現行のABWRと同じ出力135万kWeで、炉心の外接半径は2.8m で、ABWRの値とほぼ同じである。炉心高さは55cmで、その上下に、それぞれ25cm,20cmのブランケットが付いており、短尺燃料集合体になっている。しかし燃料棒が稠密になっているため、燃料棒の全長は、ABWRと大差なく、MCPRは1.32で、熱的な設計基準値、1.24を十分満たしている。稠密にかかわらず炉心部55cmの短尺燃料としたため、Puインベントリーは、100万kWe出力あたりの核分裂性Pu量に換算して4.4 トンと少なく、再処理等のPuの炉外滞在期間を考慮しても、100万kWeあたり10トン以下となる。
【0067】
以上の理由により、増殖比1.01 の本実施例では、世界のウラン埋蔵量1500万トンから生じる1.5 万トンの核分裂性Puと劣化ウラン1500万トンを使って、100万kWe炉1500基を1万年間運転を続けることが出来、エネルギーの長期安定供給体制が実現する。
【0068】
本実施例では、現在建設中のABWRとほぼ同じ大きさの圧力容器で、同じ出力を出し、燃料の被覆材もABWRと同じジルカロイで、同一燃焼度45GWd/tが達成される。
【0069】
以上の理由により、本実施例では、現在運転中の燃料をもやしきりの軽水炉と同程度の発電コストで、エネルギー長期安定供給に対応できるBWRが実現する。
【0070】
現在運転中のBWRは、炉心の高さが約370cmであるが、本実施例では55cmである。したがって、炉心中で発生する蒸気の量が増加した時の反応度の増加を表わすボイド係数を負にする中性子漏洩効果が大きい。又、燃料集合体の高さ方向について上端から18.3cm の所で、核分裂性Puの富化度が異なる上下2領域燃料になっており、上部の富化度が12wt%,下部の富化度が10wt%である。一方、炉心のボイド量が増加した時には、すでに飽和状態に達している炉心上部より、ボイド率の低い炉心下部の方がボイド率の相対的な増加量は約20%大きく、その結果、中性子インポータンスの高い炉心上部から、中性子インポータンスの低い炉心下部への中性子束分布のスウィングが起こり、負のボイド反応度が投入される。又、本実施例では、炉心出口の蒸気重量率が32%で、異常な過渡変化時においても、全冷却材が蒸気になることはなく、常に2相流状態を保ち、現在のBWRと同様、炉心内に蓄積されたコロージョン生成物等の放射性物質を沸騰による蒸留作用により炉心内に閉じ込め、タービン側への移行を防いでいる。
【0071】
以上の理由により、本実施例では、現在運転中の燃料もやしきりの軽水炉と同程度の安全性の下で、エネルギー長期安定供給に対応出来るBWRが実現する。
【0072】
現在運転中のBWRは、核分裂反応の85%前後が0.6eV以下の熱中性子領域で発生しているのに対して、本実施例の核分裂反応が生じるエネルギー中央値は、約1keVであり、共鳴領域での反応割合が非常に大きい。そのためドップラー係数は、現在運転中のBWRが1.6×10-5Δk/k/℃ であるのに対して、本実施例の値は3.7×10-5Δk/k/℃で、約2倍大きい。
【0073】
又、現在運転中のBWRのボイド係数は−7.0×10-4Δk/k/%void であり、本実施例の値は、−0.5×10-4k/k/%void と、絶対値が小さく設計されている。その結果、圧力が上昇する事象とか、冷却水の温度が低下する事象での熱的余裕が比較的大きくなる。
【0074】
以上の理由により、本実施例では、現在運転中のBWRより、かなりの過渡事象において、より安全余裕の大きなBWR炉心が実現する。
【0075】
本実施例によれば、稠密の六角形燃料集合体,Y字型制御棒と炉心平均ボイド率61%の組合せにより、劣化ウランに平均10.5wt% の核分裂性Puを富化した燃料により、増殖比1.01 が実現され、炉心高さを55cmにしたことで、Puインベントリも低減して、世界の天然ウラン埋蔵量1500万トンで、百万kWの炉1500基を1万年間運転出来るBWRで、エネルギー長期安定供給が図れる。又、現在運転中のBWRと圧力容器の直径や出力等の運転条件,使用材料をほぼ同じにしたことにより、性能の大幅向上にもかかわらず、発電コストを現行BWRと同程度に押えることが出来る。又、短尺燃料集合体,上下二領域燃料集合体による負のボイド係数の維持や、炉心出口の蒸気重量率を約30%におさえたことにより、沸騰による蒸留機能を維持して放射化物質を圧力容器内に閉じ込める等、現行BWRと同程度の安全余裕を保つことが出来る。
【0076】
本実施例では、エネルギー長期安定供給をめざして、現行軽水炉で使用される濃縮ウラン製造時に、その残渣として発生する劣化ウランにPuを富化した燃料についての構成,作用,効果を述べた。しかし、劣化ウランのかわりに、天然ウランや、使用済み燃料から回収される減損ウラン,低濃縮ウランにPuを富化した燃料でも同等以上の効果が得られる。この場合、燃料に含まれるウラン−235の重量割合が増加することで、核分裂性Puの富化度を劣化ウラン使用の場合に比べて、0.5wt% 以上低くすることができる。その結果、核分裂性Puに対する増倍比を約3%以上高くできるとともに、ボイド係数をより負にすることができる。また、Puインベントリーが低減できるので、RBWR運転基数をさらに増加できる。
【0077】
本実施例ではボイド係数は負となっているが、ボイド係数が0あるいは若干正を有しても、ドップラー係数を含めた出力係数は負にすることができる。本願発明者らの検討によれば、安全性の評価結果から、出力係数が負であれば、ボイド係数の正負は本質的には問題ないことが示されている。したがって、炉心部を 55cmよりさらに長くして、熱的余裕をさらに増大させることができる。また、燃料棒間隙を1.3mm より狭くして、増殖比を増大することも可能である。
【0078】
本実施例では、ウランにPuのみを富化した燃料について述べたが、Puとともにその他のアクチノイド核種を富化することもできる。この場合には、RBWRは中性子の平均エネルギーが高いので、Puが質量数の高いアクチノイド核種に移行しにくくなるとともに、アクチノイド核種を核分裂反応により消滅することができる。
【0079】
さらに、本実施例では、核分裂性Puの富化度が炉心の下端から8/12のところで上下2領域になっているが、これに限定されるものではない。図28に、本実施例とは異なる平衡炉心用燃料集合体の、水平断面で平均した核分裂性Pu富化度の高さ方向分布例を示す。Puが富化されるウランは、本実施例と同じ劣化ウランであり、炉心部の上下にそれぞれ25cmと20cmの劣化ウランのブランケットが付設されている。炉心の高さは、本実施例と同じ55cmで、炉心の下端から1/12,2/12,7/12,8/12のところで5領域に分割されている。核分裂性Pu富化度は、上部より12.5wt%,10.5wt%,9.5wt%,10.5wt%,12.5wt%となっており、集合体平均の核分裂性Puの富化度は11wt%で、上半分の平均富化度は11.7wt% 、下半分の平均富化度は10.2wt% である。下端近傍の領域の核分裂性Pu富化度を高めるとともに、最高富化度(12.5wt%)と最低富化度(9.5wt%)の間に中間富化度(10.5wt%)を配置することで、図29に示すように、軸方向の出力分布をより平坦化することができる。図28の実施例では、本実施例に比べ、出力ピーキングがさらに5%低減できる。また、燃料集合体の高さ方向については、上半分の平均核分裂性Puの富化度が下半分の平均値より高くなっており、本実施例と同様に、ボイド反応度係数を低減する効果が得られる。さらに、軸方向の出力分布を平坦化したことで、炉心上下からの中性子漏洩量が増大する。これにより、所要核分裂性Pu富化度は本実施例より増大するが、ボイド反応度係数をさらに低減する効果が得られる。図30は、図28の変形で中間富化度(10.5wt%)を無くした場合である。出力分布平坦化の効果は図28の方が大きいが、本実施例と同じ2種類の核分裂性Pu富化度で、同様の効果が得られる。
【0080】
(第2の実施例)
本発明の第2の実施例を図18〜図20により説明する。
【0081】
図18に、本実施例の電気出力1356MWeの炉心水平断面を示す。720体の燃料集合体9と燃料集合体3体に一体の割合で、223本のY字型制御棒10が示されている。図19に燃料集合体格子の断面を示す。直径10.1mm の燃料棒3が、燃料棒間隙1.3mm で正三角形に配置され、燃料棒列10列の正六角形集合体を形成している。そして、燃料集合体3体に一体の割合でY字型制御棒が図18のように配置されており、制御棒が挿入されない燃料集合体間の間隙が、挿入される燃料集合体間の間隙より狭くなっている。制御棒の翼には、B4Cが充填されたステンレス管が配置されており、翼の間隔はそれぞれ120度となっている。また、制御棒の先端部には、軽水より減速能が小さな物質である炭素で構成されたフォロアー部を有している。炉心内の燃料の配置,オリフィスの状態,平衡炉心用の燃料集合体の水平断面で平均した核分裂性Pu富化度の高さ方向の分布は、いずれも実施例1の図7,図8,図9と同じである。図20に燃料集合体内の下部の水平断面の核分裂性Puの富化度分布を示す。正六角形燃料集合体に隣接しないY字型制御棒の1翼に対して、核分裂性Puの富化度分布が対称になっている。核分裂性Puの富化度は10.4wt%,9.4wt%,8.4wt%,7.4wt% の4種類、平均富化度は10wt%である。燃料集合体の上部の水平断面のPuの富化度分布は、下部と同じ分布で、核分裂性Puの富化度は12.4wt%,11.4wt%,10.4wt%,9.4wt%の4種類、平均富化度は12wt%である。
【0082】
本実施例は、燃料集合体が正六角形となり、燃料集合体あたりの燃料棒本数が実施例1に比べ10本増加し、平均線出力密度が下がるとともに、伝熱面積が増大するため、熱的余裕が改善される。一方、燃料集合体外にY字型制御棒のスペースが増大するため、実施例1より炉心の外接半径は増大する。本実施例においても、稠密の六角形燃料集合体,Y字型制御棒と炉心平均ボイド率61%の組合せにより、水対燃料の実効体積比0.27 が達成される。その結果、炉心特性は、実施例1と同等であり、同等の効果が得られる。
【0083】
また、本実施例においても、劣化ウランのかわりに、天然ウランや、使用済み燃料から回収される減損ウラン、低濃縮ウランにPuを富化した燃料でも同等以上の効果が得られる。さらに、Puとともにその他のアクチノイド核種を富化することもできる。
【0084】
さらに、本実施例では、炉心の下端から8/12のところで核分裂性Puの富化度が上下2領域になっているが、これに限定されるものではない。実施例1の変形である図28あるいは図30にすれば、実施例1の場合と同様の効果が得られる。
【0085】
(第3の実施例)
本発明の第3の実施例を図15〜図17により説明する。
【0086】
図15に、本実施例の電気出力1356MWeの炉心の水平断面を示す。720体の正六角形燃料集合体6と燃料集合体3体に挿入されるクラスター制御棒を1つの制御棒駆動機構で作動させる223本の制御棒駆動機構7が示されている。図16に燃料集合体格子の水平断面を示す。直径10.1mm の燃料棒3が燃料棒間隙1.3mm で正三角形に配置され、燃料棒列10列の正六角形集合体を形成している。その中で、燃料棒格子の12ヶ所には、クラスター制御棒が入るガイドチューブ8が配置されている。炉心の燃料の配置,オリフィスの状態,平衡炉心用の燃料集合体の水平断面で平均した核分裂性Puの富化度の高さ方向の分布は、いずれも、実施例1の図7,図8,図9と同じである。図17に燃料集合体内の下部の水平断面のPu富化度分布を示す。実施例1,2より減速材の分布が均質であるため、2種類の核分裂性Pu富化度で出力ピーキングを抑えることができる。燃料棒1,2の核分裂性Pu富化度はそれぞれ9.0wt%,10.1wt%である。燃料集合体内の上部の水平断面のPu富化度分布は下部と同じで、燃料棒1,2の核分裂性Pu富化度はそれぞれ11.0wt%,12.1wt%である。
【0087】
本実施例は、制御棒が燃料集合体内に挿入されるため、実施例1に比べ、燃料棒本数は2本減少するが、より大きな反応度制御効果が得られ、吸収材として天然ボロンを用いても必要反応度が制御できる。本実施例においても、稠密の六角形燃料集合体,クラスター型制御棒と炉心平均ボイド率61%の組合せにより、水対燃料の実効体積比0.27 が達成される。その結果、炉心特性は、実施例1と同等であり、同等の効果が得られる。
【0088】
また、本実施例においても、劣化ウランのかわりに、天然ウランや、使用済み燃料から回収される減損ウラン、低濃縮ウランにPuを富化した燃料でも同等以上の効果が得られる。さらに、Puとともにその他のアクチノイド核種を富化することもできる。
【0089】
さらに、本実施例では、炉心の下端から8/12のところで核分裂性Puの富化度が上下2領域になっているが、これに限定されるものではない。実施例1の変形である図28あるいは図30にすれば、実施例1の場合と同様の効果が得られる。
【0090】
(第4の実施例)
本発明の第4の実施例を図12〜図14により説明する。本実施例は、実施例1の構成をベースに炉心性能を高度化したものであるが、実施例2あるいは3の構成をベースとしても同等の炉心が実現できる。
【0091】
本実施例は、電気出力1356MWeで、燃料の高燃焼度化を特徴とする炉心の場合である。本実施例の炉心水平断面,燃料集合体格子の断面,オリフィス分布は、実施例1の図1,図6,図8と同じである。図12に平衡炉心の燃料配置を示す。燃料集合体に記された番号は炉心に滞在している期間をサイクル数で示している。中性子インポータンスが低い炉心最外周には、炉内滞在期間が最も長い3サイクル目燃料が装荷されている。その内側である炉心外側領域には、中性子無限増倍率が最も高い、炉内滞在期間1サイクル目燃料を装荷し、炉心径方向の出力分布平坦化を図っている。炉心内側領域には、炉内滞在期間2および3サイクル目燃料が分散装荷されており、内側領域の出力分布平坦化を図っている。本実施例では、軸方向中央部にブランケット部を有することで、実施例1に比べ、燃焼反応度が小さくなったため、3サイクル目燃料が炉心中央領域で多くなっている。図13に平衡炉心用燃料集合体の水平断面で平均した核分裂性Pu富化度の高さ方向分布を示す。なお、Puが富化されるウランは劣化ウランである。炉心高さは77cmで、炉心の下端から、23cm,52cmのところで、1,2,3の3領域に分割され、それぞれの核分裂性Pu富化度は、17wt%,0wt%,17wt%,平均で10.6wt% である。又、炉心部の上下部にそれぞれ 25cm,20cmの劣化ウランのブランケットが付設されている。図14に炉心平均の高さ方向の出力分布とボイド率分布を示す。炉心平均ボイド率は60%、炉心出口の蒸気重量率は29%である。
【0092】
次に、本実施例の作用を説明する。
【0093】
燃料集合体構成は実施例1と同じであり、燃料集合体は燃料棒間隙1.3mm の正三角形格子の稠密六角形燃料集合体で、炉心平均ボイド率60%,Y字型制御棒の組合せにより、水対燃料の実効体積比0.27が達成され、炉内増殖比0.87,ブランケット増殖比0.14,合計1.01の増殖比が実現した。
【0094】
本実施例では、燃料集合体の高さ方向について、核分裂性Puの富化度が17wt%の部分が上下にあり、その間の中央領域は核分裂性Puを含まない劣化ウランとなっている。出力が上昇した時や、炉心冷却材流量が低下した時に、炉心内の蒸気ボイド率が上昇するが、その際、炉心上部の出力分布は、中央の核分裂性Puを含まない領域にスウィングする。これにより、実施例1より大きな炉心の反応度低下効果が得られる。その結果、実施例1よりさらに燃料を高燃焼度化しても、ボイド係数は、実施例1と同じ−0.5×10-4k/k/%void とすることができた。
【0095】
本実施例では、現在建設中のABWRとほぼ同じ大きさの圧力容器で、同じ出力を出し、70GWd/tが達成される。
【0096】
実施例1に比べ、炉心部が77cmと若干長くなったが、Puインベントリーは、100万kWe出力あたりの核分裂性Pu量に換算して6.2 トンと少なく、再処理等のPuの炉外滞在期間を考慮しても、100万kWeあたり10トン以下となり、実施例1と同様な効果が得られる。
【0097】
また、本実施例においても、劣化ウランのかわりに、天然ウランや、使用済み燃料から回収される減損ウラン、低濃縮ウランにPuを富化した燃料でも同等以上の効果が得られる。さらに、Puとともにその他のアクチノイド核種を富化することもできる。さらに、本実施例では、燃料集合体の高さ方向について、核分裂性のPu富化度が等しい部分が上下にあり、その間に核分裂性Puを含まない劣化ウランの構成となっている。しかしながら、上下の核分裂性Puの富化度は、必ずしも等しくする必要はない。また、本実施例では、劣化ウランの領域が炉心部中央よりやや上部に配置されているが、これに限定されるものではない。上下の核分裂性Puの富化度,劣化ウラン領域の位置を組み合わせることで、軸方向出力ピーキングを同等にすることは可能である。
【0098】
(第5の実施例)
本発明の第5の実施例を図21〜図22により説明する。本実施例では、実施例1の構成をベースに炉心性能を高度化したものであるが、実施例2あるいは3の構成をベースとしても同等の炉心が実現できる。
【0099】
本実施例は、電気出力1356MWeで、最小限界出力比、最大線出力密度に余裕を持たせたことを特徴とした炉心の場合である。本実施例の炉心の水平断面からみた構成は、実施例1と同じである。図21に第5の実施例用燃料集合体の水平断面で平均した核分裂性Pu富化度の高さ方向分布を示す。なお、Puが富化されるウランは劣化ウランである。炉心高さは91cmで、炉心の下端から、33cm,53cmのところで、1,2,3の3領域に分割され、それぞれの核分裂性Pu富化度は、11.7wt%,0wt%,11.7wt%,平均で9.1wt%である。又、炉心部の上下端部にそれぞれ25cm,20cmの劣化ウランのブランケットが付設されている。図22に炉心平均の高さ方向の出力分布とボイド率分布を示す。炉心平均ボイド率は57%、炉心出口の蒸気重量率は26%である。
【0100】
燃料集合体構成は実施例1と同じであり、燃料集合体は燃料棒間隙1.3mm の正三角形格子の稠密六角形燃料集合体で、炉心平均ボイド率57%,Y字型制御棒の組合せにより、水対燃料の実効体積比0.28 が達成され、炉内増殖比0.93,ブランケット増殖比0.08,合計1.01 の増殖比が実現した。
【0101】
本実施例では、燃料集合体の高さ方向について、核分裂性Puの富化度が11.7wt%の部分が上下にあり、その間の中央領域は核分裂性Puを含まない劣化ウランとなっている。出力が上昇した時や、炉心冷却材流量が低下した時に、炉心内の蒸気ボイド率が上昇するが、その際、炉心上部の出力分布は、中央の核分裂性Puを含まない領域にスウィングする。これにより、実施例1より大きな炉心の反応度低下効果が得られる。その結果、実施例1より炉心高さを高くしても、ボイド係数は、実施例1と同じ−0.5×10-4k/k/%void とすることができた。また、炉心中央の核分裂性Puを含まない領域へ、核分裂性Puを含む上下の領域から中性子が流入することにより、増殖比を増大することができる。したがって、炉心流量を増加し、炉心平均のボイド率を実施例1より低くしても、同等以上の増倍比が得られる。また、炉心流量を増加したことにより、MCPRは1.45 となり、実施例1に比べ、熱的余裕を増大した炉心を実現できる。
【0102】
また、本実施例においても、劣化ウランのかわりに、天然ウランや、使用済み燃料から回収される減損ウラン、低濃縮ウランにPuを富化した燃料でも同等以上の効果が得られるし、Puとともにその他のアクチノイド核種を富化することもできる。さらに、本実施例においても、上下の核分裂性Puの富化度は、必ずしも等しくする必要はなく、炉心部中央領域の劣化ウラン位置も、これに限定されるものではない。
【0103】
実施例1に比べ、炉心部が91cmと若干長くなったが、Puインベントリーは、100万kWe出力あたりの核分裂性Pu量に換算して6.3 トンと少なく、再処理等のPuの炉外滞在期間を考慮しても、100万kWeあたり10トン以下となり、実施例1と同様な効果が得られる。
【0104】
(第6の実施例)
本発明の第6の実施例を図23〜図24により説明する。本実施例では、実施例1の構成をベースに、炉心性能を高度化したものであるが、実施例2または3をベースにしても同様の炉心が実現できる。
【0105】
本実施例は、電気出力1356MWeで、Puインベントリーを増大し、Pu貯蔵炉としての特徴を有する炉心の場合である。本実施例の炉心の水平断面からみた構成は、実施例1と同じである。図23に第6の実施例用燃料集合体の水平断面で平均した核分裂性Pu富化度の高さ方向分布を示す。なお、Puが富化されるウランは劣化ウランである。炉心高さは126cmで、炉心の下端から、42cm,82cmのところで、1,2,3の3領域に分割され、それぞれの核分裂性 Pu富化度は、11.7wt%,0wt%,11.7wt%,平均で8.0wt%である。又、炉心部の上下端部にそれぞれ25cm,20cmの劣化ウランのブランケットが付設されている。図24に炉心平均の高さ方向の出力分布とボイド率分布を示す。炉心平均ボイド率は60%、炉心出口の蒸気重量率は31%である。
【0106】
燃料集合体構成は実施例1と同じであり、燃料集合体は燃料棒間隙1.3mm の正三角形格子の稠密六角形燃料集合体で、炉心平均ボイド率60%,Y字型制御棒の組合せにより、水対燃料の実効体積比0.27 が達成され、炉内増殖比0.95,ブランケット増殖比0.07,合計1.02 の増殖比が実現した。
【0107】
本実施例では、燃料集合体の高さ方向について、核分裂性Puの富化度が11.7wt%の部分が上下にあり、その間の中央領域は核分裂性Puを含まない劣化ウランであり、実施例4,5に比べ、炉心中央部の劣化ウラン領域が40cmと増加しており、ボイド係数の低減効果、増殖比の増大効果を大きくすることができた。これにより、核分裂性Puを含む領域を増大することができ、Puインベントリーを10.3 トンとすることができる。
【0108】
また、Puインベントリーは若干減少するが、本実施例においても、劣化ウランのかわりに、天然ウランや、使用済み燃料から回収される減損ウラン,低濃縮ウランにPuを富化した燃料を使用することができる。さらに、Puとともにその他のアクチノイド核種を富化することもできる。
【0109】
さらに、本実施例では、燃料集合体の高さ方向について、核分裂性のPu富化度が等しい部分が上下にあり、その間に核分裂性Puを含まない劣化ウランの構成となっている。しかしながら、上下の核分裂性Puの富化度は、必ずしも等しくする必要はない。また、本実施例では、劣化ウランの領域が炉心部中央よりやや上部に配置されているが、これに限定されるものではない。
【0110】
(第7の実施例)
本発明の第7の実施例を図25〜図26により説明する。本実施例では、実施例1の構成をベースに、炉心性能を高度化したものであるが、実施例2または3をベースにしても同様の炉心が実現できる。
【0111】
本実施例は、電気出力1356MWeで、負のボイド係数が大きいことを特徴とする炉心の場合である。本実施例の炉心の水平断面からみた構成は、実施例1と同じである。図25に第7の実施例用燃料集合体の水平断面で平均した核分裂性Pu富化度の高さ方向分布を示す。なお、Puが富化されるウランは劣化ウランである。炉心高さは65cmで、炉心の下端から、23cm,38cmのところで、1,2,3の3領域に分割され、それぞれの核分裂性Pu富化度は、13.5 wt%,0wt%,13.5wt%,平均で10.5wt%である。又、炉心部の上下端部にそれぞれ25cm,20cmの劣化ウランのブランケットが付設されている。図26に炉心平均の高さ方向の出力分布とボイド率分布を示す。炉心平均ボイド率は60%、炉心出口の蒸気重量率は29%である。
【0112】
燃料集合体構成は実施例1と同じであり、燃料集合体は燃料棒間隙1.3mm の正三角形格子の稠密六角形燃料集合体で、炉心平均ボイド率60%,Y字型制御棒の組合せにより、水対燃料の実効体積比0.27が達成され、炉内増殖比0.90,ブランケット増殖比0.12,合計1.02の増殖比が実現した。
【0113】
本実施例では、燃料集合体の高さ方向について、核分裂性Puの富化度が13.5wt%の部分が上下にあり、その間の中央領域は核分裂性Puを含まない劣化ウランであり、実施例5,6に比べ、炉心上下の核分裂性Puの領域が減少しており、短尺によるボイド係数の低減効果がさらに加わる。その結果、ボイド係数はー1.8×10-4k/k/%void とすることができた。これにより、流量制御による出力制御や反応度制御が可能となる。
【0114】
また、本実施例においても、劣化ウランのかわりに、天然ウランや、使用済み燃料から回収される減損ウラン、低濃縮ウランにPuを富化した燃料を使用することができる。さらに、Puとともにその他のアクチノイド核種を富化することもできる。
【0115】
さらに、本実施例では、燃料集合体の高さ方向について、核分裂性のPu富化度が等しい部分が上下にあり、その間に核分裂性Puを含まない劣化ウランの構成となっている。しかしながら、上下の核分裂性Puの富化度は、必ずしも等しくする必要はない。核分裂性Puの富化度、劣化ウラン領域の位置に対する本実施例の変形を図31に示す。図31においても、軸方向出力ピーキングを本実施例と同等にすることができる。
【0116】
また、図32には、本実施例とは異なる燃料集合体の水平断面で平均した核分裂性Pu富化度の高さ方向分布例を示す。なお、Puが富化されるウランは、本実施例と同様、劣化ウランであり、炉心高さは65cm、炉心部の上下端部にそれぞれ25cm,20cmの劣化ウランのブランケットが付設されている。炉心の下端から、20cm,35cmのところで、1,2,3の3領域に分割され、それぞれの核分裂性Pu富化度は、13.5wt%,0wt%,13.5wt%,平均で10.5wt%である。核分裂性Puを含まない劣化ウランの領域が本実施例よりさらに炉心下部に移動することにより、図33に示すように、軸方向出力分布は上部ピークとなるが、ボイド増大時の出力変動が増大するため、ボイド反応度係数をより負にする効果が得られる。
【0117】
(第8の実施例)
本実施例は、第7の実施例において、使用済み燃料から取り出されたアクチノイド核種をPuと同時にリサイクルされた場合である。
【0118】
本実施例の炉心の水平断面からみた構成は、実施例1と同じである。本実施例用燃料集合体においても、水平断面で平均した核分裂性Pu富化度の高さ方向の分布は実施例7と同じである。なお、Puが富化されるウランは、プルトニウムと同時に使用済み燃料から取り出されたウランであり、使用済み燃料から取り出されたアクチノイド核種も同時に添加されている。核分裂性Pu富化度は、13.5wt%,0wt%,13.5wt%、平均で10.5wt%である。又、炉心部の上下部にそれぞれ25cm,20cmの劣化ウランのブランケットが付設されている。
【0119】
燃料集合体構成は実施例1と同じであり、燃料集合体は燃料棒間隙1.3mm の正三角形格子の稠密六角形燃料集合体で、炉心平均ボイド率61%,Y字型制御棒の組合せにより、水対燃料の実効体積比0.27が達成され、炉内増殖比0.91,ブランケット増殖比0.10,合計1.01の増殖比が実現した。
【0120】
本実施例では、燃料集合体の高さ方向について、核分裂性Puの富化度が13.5wt%の部分が上下にあり、その間の中央領域は核分裂性Puを含まない劣化ウランであり、実施例5,6に比べ、炉心上下の核分裂性Puの領域が減少しており、短尺によるボイド係数の低減効果がさらに加わる。その結果、使用済み燃料から取り出されたアクチノイド核種をPuと同時にリサイクルしてもボイド係数は負にすることができる。
【0121】
また、使用済み燃料から取り出されたアクチノイド核種をPuと同時にリサイクルすることを繰り返すことで、長寿命の放射性核種が炉内で平衡状態になり、一定量に達する。したがって、本実施例では、アクチノイド核種の発生量と消滅量がバランスして、増加量は零となり、放射性廃棄物の中で特に問題となっている長半減期のアクチノイド核種の全発生量を大幅に低減するのみからず、Puを含むアクチノイド核種を原子炉,再処理施設,燃料製造施設の中のみにとじこめることができる。
【0122】
(第9の実施例)
本実施例は、本発明をPWRに適用した場合である。
【0123】
本実施例では、実施例3と同じクラスター型制御棒と、現行PWRの燃料棒外径より太径の14.3mmを、燃料棒間隙1.0mmで正三角形の格子状に稠密に配置した正六角形燃料集合体で炉心を構成した。図34に第9の実施例用燃料集合体の水平断面で平均した核分裂性Pu富化度の高さ方向分布を示す。なお、Puが富化されるウランは劣化ウランである。炉心高さは50cmで、核分裂性Pu富化度は、10.5wt% で一様である。炉心部の上下端部にそれぞれ30cmの劣化ウランのブランケットが付設されている。
【0124】
燃料棒間隙1.0mm の正三角形格子の稠密六角形燃料集合体で、太径燃料棒,クラスター型制御棒の組合せにより、水対燃料体積比0.44 が達成された。その結果、炉内増殖比0.90,ブランケット増殖比0.11,合計1.01 の増殖比が実現した。
【0125】
本実施例では、燃料集合体の高さ方向について、核分裂性のPu富化度が一様となっている。しかしながら、燃料構成はこれに限定されるものではない。核分裂性Puの軸方向富化度分布に対する本実施例の変形を図35及び図36に示す。図35においては、軸方向出力ピーキングをより平坦にするため、炉心上下端部の核分裂性Pu富化度が中央領域のそれより高くなっている。図36においては、炉心高さは65cmで、炉心の下端から、25cm,40cmのところで、1,2,3の3領域に分割され、それぞれの核分裂性Pu富化度は、13.0wt%,0wt%,13.0wt%,平均で10wt%となっている。また、炉心部の上下端部にそれぞれ30cmの劣化ウランのブランケットが付設されている。核分裂性Puを含まない劣化ウランの領域が炉心中央部にあることで、ボイド発生時の投入反応度をより負にする効果が得られる。
【0126】
本実施例では、燃料棒外径を現行PWRの燃料棒外径より太径の14.3mm を採用したが、現行PWRの9.5mm を使用することもできる。この場合、燃料棒間隙1.0mm の正三角形格子の稠密六角形燃料集合体で、クラスター型制御棒を組合せることにより、水対燃料体積比0.58 が達成される。水対燃料体積比の増大により、核分裂性Pu富化度を本実施例より0.5wt% 程度高める必要があるが、増殖比1.0 を実現できる。
【0127】
また、本実施例においても、劣化ウランのかわりに、天然ウランや、使用済み燃料から回収される減損ウラン,低濃縮ウランにPuを富化した燃料を使用することができる。さらに、Puとともにその他のアクチノイド核種を富化することもできる。
【0128】
(第10の実施例)
本実施例は、本発明を現行BWRと同じ正方形燃料集合体に適用した場合である。
【0129】
本実施例の燃料集合体構成を図37に示す。水対燃料体積比を減少するため、現行BWRの燃料棒外径より太径の13.8mmを、燃料棒間隙1.0mmで正三角形の格子状に稠密に配置した。燃料集合体当りの燃料棒本数は85本である。チャンネルボックス11外部の減速材は、十字型制御棒上端部に設置されたフォロアー部並びに、制御棒が挿入されない反対側のギャップ水領域はフォロアー部と同様に減速能が小さな物質からなる水排除板により排除されている。これにより、実効的な水対燃料体積比0.53 が達成され、他の実施例と同様の炉心高さ方向の燃料構成により、増殖比1.0 が実現できる。燃料集合体内の燃料棒出力ピーキングを平坦にするため、本実施例では、チャンネルボックスに面した燃料棒の核分裂性Puの富化度を他の領域の燃料棒のそれより低くしている。
【0130】
また、本実施例においても、劣化ウランのかわりに、天然ウランや、使用済み燃料から回収される減損ウラン,低濃縮ウランにPuを富化した燃料を使用することができる。さらに、Puとともにその他のアクチノイド核種を富化することもできる。
【0131】
【発明の効果】
本発明によれば、劣化ウラン,天然ウラン,減損ウランや低濃縮ウランにPuを添加した燃料で、増殖比1.0近傍又は1.0以上を達成することで、Puを触媒のようにして、劣化ウラン,天然ウラン,減損ウランや低濃縮ウランを燃焼されることができ、エネルギー長期安定供給に寄与出来る。
【0132】
また、劣化ウラン,天然ウラン,減損ウランや低濃縮ウランにPuを添加した燃料からなる稠密六角形燃料集合体あるいは正方形燃料集合体、45%〜70%の高ボイド率冷却材、及び、クラスター型,Y字型または十字型制御棒を組合せ、実効的な水対燃料体積比を0.1〜0.6 としたことにより、増殖比1.0近傍又は1.0 以上が達成でき、エネルギー長期安定供給に寄与出来る。
【0133】
また、現在建設中のABWRと同程度の直径の圧力容器で同じ出力を出し、炉心の高さを40〜140cmと短尺の燃料集合体にしたことにより、Puのインベントリーを少なく出来、限られた世界の天然ウラン埋蔵量の下で、軽水炉の使用済燃料から発生するPuで、多くの本発明の炉が運転出来ることになり、エネルギー長期安定供給に寄与出来る。
【0134】
また、現在運転中のBWRと圧力容器の直径や、出力等の運転条件,使用材料をほぼ同じにしたことにより、性能が大幅に向上したにもかかわらず、発電コストを現行のBWRと同程度に抑えることが出来る。
【0135】
また、短尺燃料集合体,上下二領域燃料集合体,軸方向非均質燃料集合体により、炉心上下方向の中性子漏洩の増大,出力分布の炉心上下方向のスウィング等の活用により、負のボイド係数の炉心が実現出来、燃料燃やしきり型の現行軽水炉と同程度の安全性を有することができる。
【0136】
また、稠密形燃料集合体と高ボイド率冷却材の組合せにより、共鳴エネルギー領域の中性子の割合が増加し、ドップラー効果が増大するとともに、負のボイド係数の絶対値が小さくなるので、出力上昇事象,加圧事象,冷却材ボイド率減少事象等の安全性が向上する。
【0137】
また、冷却材の炉心出口の蒸気重量率を40%以下におさえたため、炉内に蓄積されたコロージョン生成物等の放射性物質を、沸騰による蒸溜機能を維持することにより、炉内に閉じ込めることが出来、現在運転中のBWRと同程度のタービン側の放射性レベルを維持出来るとともに、従来の増殖炉の概念である蒸気冷却高速炉より、大幅な放射性レベルの低減が図れる。
【0138】
また、六角形の燃料集合体とその中に挿入されるクラスター型制御棒より構成される炉心により、炉心の均質性が増加し、熱的余裕が増大する。
【0139】
また、六角形の燃料集合体と、集合体間に挿入されるY字型制御棒より構成される炉心により、炉心下部から挿入する現行BWRの技術がそのまま活用出来る。
【0140】
また、正方形の燃料集合体と、集合体間に挿入される十字型制御棒より構成される炉心により、現行BWRの炉心システムがそのまま活用出来る。
【0141】
また、正六角形,蝕形六角形燃料集合体あるいは正方形燃料集合体において、Y字型または十字型の制御棒に近接した領域から、制御棒より離れた領域にわたる多領域、特に2〜5領域について、核分裂性Pu富化度を変化させた2〜5種類の燃料棒で構成することにより、燃料集合体内の出力ピーキングが低減され、熱的余裕が増大する。
【0142】
また、炉心の出力密度を100〜300kW/lに高めることにより、単位出力あたりのPuインベンリー量が低減し、一定のPuに対して運転出来る本発明の発電設備容量が増大し、エネルギーの長期安定供給に寄与する。
【0143】
また、燃料集合体の高さ方向について水平断面の核分裂性Puの平均富化度が6wt%以上の部分が40〜140cmの間であることにより、単位出力あたりのPuインベントリー量が低減し、一定のPuに対して運転できる本発明の発電設備容量が増大し、エネルギーの長期安定供給に寄与するとともに、蒸気発生量が増加したときの炉心高さ方向の中性子漏洩効果が増大して、負のボイド係数を大きくし、安全性に寄与する。
【0144】
また、上下両端部のブランケット部を用いた燃料集合体の上半部の核分裂性Pu富化度の平均値より、下半部の平均値が低いことにより、炉心高さ方向の出力分布が平坦化して、熱的余裕が増大するとともに、蒸気発生量が増加した時に、炉心高さ方向の出力分布のスウィングが働き、負のボイド反応度係数が増大して安全性に寄与する。
【0145】
また、燃料集合体の上下両端のブランケット部を除く高さ方向について、核分裂性Puの富化度が6wt%以上の部分が上下にあり、その間の中央付近の領域の核分裂性Pu富化度を6%以下にすることにより、炉の出力が上昇し、炉心内の蒸気量が増加したときの炉心上下方向の出力分布スウィングによる負のボイド係数が大きくなり、安全性が向上する。さらに、炉心軸方向中央付近の領域の中性子吸収効果により、炉心に装荷出来るPuインベントリーが大きくなり、Pu貯蔵炉としての機能が向上する。そして、炉心高さも相対的に高くなり、燃料棒の全長も長くなるので、最大線出力密度に対する熱的余裕も大きくなる。
【0146】
また、Puとウランを同時にリサイクルすることにより、核不拡散に対する防止効果が大きくなる。
【0147】
また、Pu,ウランおよびアクチノイド核種を同時にリサイクルすることにより、アクチノイド核種の発生量と消滅量をバランスさせて増加量を零とするとともに放射性廃棄物の中で、特に問題になっている長半減期のアクチノイド核種を原子炉,再処理施設,燃料製造施設の中のみに閉じ込めることが出来、環境に対する特性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例における炉心の水平断面図。
【図2】転換比を表わすのに必要な燃料棒格子定数と実効的な水対燃料体積比の関係を表わす特性図。
【図3】燃料棒間隙と幾何学的な水対燃料体積比の関係を表わす特性図。
【図4】核分裂性Pu富化度と増殖比の関係を表わす特性図。
【図5】蒸気ボイド率上昇時の出力分布変動を示す説明図。
【図6】図1の炉心に装荷される燃料集合体の水平断面図。
【図7】図1の実施例の平衡炉心時の燃料集合体配置図。
【図8】図1の実施例におけるオリフィスの分布図。
【図9】図1の炉心に装荷される燃料集合体の軸方向富化度分布図。
【図10】図1の炉心に装荷される燃料集合体内の燃料棒富化度分布図。
【図11】図1の実施例における炉心の軸方向出力、及びボイド率分布を示した特性図。
【図12】本発明の第4の実施例における平衡炉心時の燃料集合体配置図。
【図13】図12の炉心に装荷される燃料集合体の軸方向富化度分布図。
【図14】図12の実施例における炉心の軸方向出力、及びボイド率分布を示した特性図。
【図15】本発明の第3の実施例における炉心の水平断面図。
【図16】図15の炉心に装荷される燃料集合体の水平断面図。
【図17】図15の炉心に装荷される燃料集合体内の燃料棒富化度分布図。
【図18】本発明の第2の実施例における炉心の水平断面図。
【図19】図18の炉心に装荷される燃料集合体の水平断面図。
【図20】図18の炉心に装荷される燃料集合体内の燃料棒富化度分布図。
【図21】本発明の第5の実施例の炉心に装荷される燃料集合体の軸方向富化度分布図。
【図22】本発明の第5の実施例における炉心の軸方向出力、及びボイド率分布を示した特性図。
【図23】本発明の第6の実施例の炉心に装荷される燃料集合体の軸方向富化度分布図。
【図24】本発明の第6の実施例における炉心の軸方向出力、及びボイド率分布を示した特性図。
【図25】本発明の第7の実施例の炉心に装荷される燃料集合体の軸方向富化度分布図。
【図26】本発明の第7の実施例における炉心の軸方向出力、及びボイド率分布を示した特性図。
【図27】炉心平均のボイド率と炉心出口における上記重量率の関係を示した特性図。
【図28】図1の炉心に装荷される燃料集合体の軸方向富化度分布の変形例。
【図29】図28を装荷した炉心の軸方向出力、及びボイド率分布を示した特性図。
【図30】図1の炉心に装荷される燃料集合体の軸方向富化度分布の変形例。
【図31】第7の実施例の炉心に装荷される燃料集合体の軸方向富化度分布の変形例。
【図32】第7の実施例の炉心に装荷される燃料集合体の軸方向富化度分布の変形例。
【図33】図32を装荷した炉心の軸方向出力、及びボイド率分布を示した特性図。
【図34】第9の実施例の炉心に装荷される燃料集合体の軸方向富化度分布図。
【図35】第9の実施例の炉心に装荷される燃料集合体の軸方向富化度分布の変形例。
【図36】第9の実施例の炉心に装荷される燃料集合体の軸方向富化度分布の変形例。
【図37】本発明の第10の実施例における燃料集合体の水平断面図。
【符号の説明】
1,6,9…燃料集合体、2,10…Y字型制御棒、3…燃料棒、4,11…チャンネルボックス、5…Y字型制御棒の1翼、7…制御棒駆動機構、8…ガイドチューブ。

Claims (26)

  1. 劣化ウランに、プルトニウムまたはプルトニウムとアクチノイド核種を富化した燃料を有する軽水炉炉心において、
    上下両端部のブランケット部を除く炉心高さ方向、燃料集合体水平断面の核分裂性プルトニウム平均富化度が6wt%以上の部分を40cmから140cmの間にして、炉心上部の核分裂性プルトニウム富化度を炉心下部の核分裂性プルトニウム富化度よりも高くすることにより、ボイド係数を負にし、
    定格出力の50%以上で運転されている時の炉心平均のボイド率を45〜70%とすることにより増殖比を1.0近傍又は1.0以上にしたことを特徴とする軽水炉炉心。
  2. 天然ウラン,減損ウラン,低濃縮ウランの少なくとも1つを含むウランに、プルトニウムまたはプルトニウムとアクチノイド核種を富化した燃料を有する軽水炉炉心において、
    上下両端部のブランケット部を除く炉心高さ方向、燃料集合体水平断面の核分裂性プルトニウム平均富化度が6wt%以上の部分を40cmから140cmの間にして、炉心上部の核分裂性プルトニウム富化度を炉心下部の核分裂性プルトニウム富化度よりも高くすることにより、ボイド係数を負にし、
    定格出力の50%以上で運転されている時の炉心平均のボイド率を45〜70%とすることにより増殖比を1.0近傍又は1.0以上にしたことを特徴とする軽水炉炉心。
  3. 請求項1又は2において、増殖比が1.0から1.15の範囲であることを特徴とする軽水炉炉心。
  4. 請求項1又は2において、炉心外周部および上下端部のブランケット部分を除いた炉心部における平均核分裂性プルトニウム富化度が6〜20wt%であることを特徴とする軽水炉炉心。
  5. 請求項1乃至4の何れかにおいて、燃料棒が正三角形の格子状に稠密配列された六角形燃料集合体と、その中に挿入されるクラスター型制御棒より構成されることを特徴とする軽水炉炉心。
  6. 請求項1乃至4の何れかにおいて、燃料棒が正三角形の格子状に稠密配列された六角形燃料集合体と、その間に挿入され翼の間隔がそれぞれ120度である3枚の翼を持つY字型制御棒より構成されることを特徴とする軽水炉炉心。
  7. 請求項6において、六角形燃料集合体一体に隣接するY字型制御棒の翼がそれぞれ2枚以下であり、燃料集合体間に翼が挿入されない燃料集合体間の間隙が、翼が挿入される燃料集合体間の間隙より狭いことを特徴とする軽水炉炉心。
  8. 請求項1乃至4の何れかにおいて、燃料棒が正三角形の格子状に稠密配列された正方形燃料集合体と、その間に挿入される翼の間隔がそれぞれ90度である4枚の翼を持つ十字型制御棒より構成されることを特徴とする軽水炉炉心。
  9. 請求項5乃至8の何れかにおいて、前記制御棒の先端部に軽水より減速能が小さな物質から構成されたフォロアー部を有することを特徴とする軽水炉炉心。
  10. 請求項6乃至8の何れかにおいて、前記燃料集合体内で前記制御棒に隣接する位置には、前記燃料集合体内における核分裂性プルトニウム富化度が最低の燃料棒が少なくとも配置されていることを特徴とする軽水炉炉心。
  11. 請求項1乃至10の何れかにおいて、炉心外周部および上下端部のブランケット部を除く炉心部の平均出力密度が100〜300kW/lであることを特徴とする軽水炉炉心。
  12. 請求項1乃至11の何れかにおいて、定格出力の50%以上で運転されている時の冷却材の炉心出口蒸気重量率が20wt%〜40wt%であることを特徴とする軽水炉炉心。
  13. 請求項1乃至12の何れかにおいて、炉心の最外周を除く領域を半径方向に等面積に二分割し、炉心外側領域に装荷された燃料集合体の炉心滞在サイクル数の平均値が、炉心内側領域のそれより小さくなるように燃料集合体を装荷することを特徴とする軽水炉炉心。
  14. 請求項1乃至13の何れかにおいて、炉心の最外周及びそれに隣接する燃料集合体のオリフィス圧損係数の平均値が、それ以外の燃料集合体のオリフィス圧損係数の平均値より大きくなるように設定することを特徴とする軽水炉炉心。
  15. 劣化ウランに、プルトニウムまたはプルトニウムとアクチノイド核種を富化した核燃料が充填された複数の燃料棒を有する燃料集合体において、
    上下両端部のブランケット部を除く燃料集合体高さ方向で、燃料集合体水平断面の核分裂性プルトニウム平均富化度が6wt%以上の部分が40cmから140cmの間にあり、燃料集合体上半分の核分裂性プルトニウム富化度平均値を下半分の核分裂性プルトニウム富化度平均値よりも高くし、
    実効的な水対燃料体積比を0.1 から0.6 の間とすることにより増殖比を1.0近傍又は1.0以上にしたことを特徴とする燃料集合体。
  16. 天然ウラン,減損ウラン,低濃縮ウランの少なくとも1つを含むウランに、プルトニウムまたはプルトニウムとアクチノイド核種を富化した核燃料が充填された複数の燃料棒を有する燃料集合体において、
    上下両端部のブランケット部を除く燃料集合体高さ方向で、燃料集合体水平断面の核分裂性プルトニウム平均富化度が6wt%以上の部分が40cmから140cmの間にあり、燃料集合体上半分の核分裂性プルトニウム富化度平均値を下半分の核分裂性プルトニウム富化度平均値よりも高くし、
    実効的な水対燃料体積比を0.1 から0.6 の間とすることにより増殖比を1.0近傍又は1.0以上にしたことを特徴とする燃料集合体。
  17. 請求項15又は16において、前記燃料集合体は前記燃料棒が正三角形の格子状に稠密配列された六角形燃料集合体又は正方形燃料集合体で、前記燃料棒の間隙が0.7〜2.0mmであることを特徴とする燃料集合体。
  18. 請求項15又は16において、上下端のブランケット部分を除いた燃料領域における平均核分裂性プルトニウム富化度が6〜20wt%であることを特徴とする燃料集合体。
  19. 劣化ウランに、プルトニウムまたはプルトニウムとアクチノイド核種を富化した核燃料が充填された複数の燃料棒を有する燃料集合体において、
    横断面が六角形であって、前記複数の燃料棒が正三角形の格子状に稠密配列され、
    向いあう最外層燃料棒列に平行な三組の燃料棒列のうち、二組の燃料棒列の数が等しく、残りの一組の燃料棒列の数より1列多くなっており、
    上下両端部のブランケット部を除く燃料集合体高さ方向について、燃料集合体水平断面の核分裂性プルトニウム平均富化度が6wt%以上の部分が40cmから140cmの間にあり、燃料集合体上半分の核分裂性プルトニウム富化度平均値を下半分の核分裂性プルトニウム富化度平均値よりも高くし、
    実効的な水対燃料体積比を0.1 から0.6 の間とすることにより増殖比を1.0近傍又は1.0以上にしたことを特徴とする燃料集合体。
  20. 天然ウラン,減損ウラン,低濃縮ウランの少なくとも1つを含むウランに、プルトニウムまたはプルトニウムとアクチノイド核種を富化した核燃料が充填された複数の燃料棒を有する燃料集合体において、
    横断面が六角形であって、前記複数の燃料棒が正三角形の格子状に稠密配列され、
    向いあう最外層燃料棒列に平行な三組の燃料棒列のうち、二組の燃料棒列の数が等しく、残りの一組の燃料棒列の数より1列多くなっており、
    上下両端部のブランケット部を除く燃料集合体高さ方向について、燃料集合体水平断面の核分裂性プルトニウム平均富化度が6wt%以上の部分が40cmから140cmの間にあり、燃料集合体上半分の核分裂性プルトニウム富化度平均値を下半分の核分裂性プルトニウム富化度平均値よりも高くし、
    実効的な水対燃料体積比を0.1 から0.6 の間とすることにより増殖比を1.0近傍又は1.0以上にしたことを特徴とする燃料集合体。
  21. 請求項19又は20において、前記燃料集合体は燃料棒が正三角形の格子状に稠密配列された六角形燃料集合体で、燃料棒の間隙が0.7〜2.0mmであることを特徴とする燃料集合体。
  22. 請求項19又は20において、上下端のブランケット部分を除いた燃料領域における平均核分裂性プルトニウム富化度が6〜20wt%であることを特徴とする燃料集合体。
  23. 劣化ウラン,天然ウラン,減損ウラン,低濃縮ウランの少なくとも1つを含むウランに、プルトニウムまたはプルトニウムとアクチノイド核種を富化した核燃料が充填された複数の燃料棒を有する複数の六角形燃料集合体と、前記六角形燃料集合体間に挿入される3枚の翼を有するY字型制御棒とを備える軽水炉炉心において、
    前記六角形燃料集合体は前記燃料棒が正三角形の格子状に配列され、向いあう最外層燃料棒列に平行な三組の燃料棒列のうち、二組の燃料棒列の数が等しく、残りの一組の燃料棒列の数より1列多くなっており、
    前記Y字型制御棒は、前記3枚の翼の間隔がそれぞれ120度であり、それぞれの前記翼の1つの側面であって該制御棒の中心の周りで同じ方向に面している3つの前記側面に沿って前記中心側に延長された3本の直線により正三角形が構成されるように前記3枚の翼が配置されている構成を有することを特徴とする軽水炉炉心。
  24. 請求項23において、前記Y字型制御棒の各翼は、該Y字型制御棒に隣接する前記六角形燃料集合体の残りの一組の前記燃料棒列に平行に配置されていることを特徴とする軽水炉炉心。
  25. 請求項1,2,23及び24のいずれかにおいて、実効的な水対燃料体積比が0.1から0.6の間にあることを特徴とする軽水炉炉心。
  26. 請求項23又は24において、定格出力の50%以上で運転されている時の炉心平均のボイド率が45〜70%であることを特徴とする軽水炉炉心。
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