JP5364424B2 - 原子炉 - Google Patents

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Description

本発明は、環境負荷を低減できる原子炉に関する。
原子炉は、核燃料を核反応させることにより熱エネルギを得るものである。原子炉には、冷却材に中性子吸収材としてホウ素を添加して、原子炉の反応度を調整するものがある(例えば、特許文献1)。
特開平7−244185号公報 [0002]、[0005]
冷却材に中性子吸収材を添加して原子炉の反応度を調整する場合、冷却材に中性子吸収材を添加したり、中性子吸収材が添加された冷却材を希釈したりする必要がある。後者の場合、中性子吸収材を含んだ余剰の冷却材が発生するので、余剰の冷却材から中性子吸収材を取り除いて処理する必要がある。このため、冷却材に中性子吸収材を添加して原子炉の反応度を調整する場合、中性子吸収材の廃棄物(ホウ酸の場合にはホウ酸廃棄物)等が発生する。この廃棄物は放射性廃棄物であるため、処理のためには環境負荷が多くなる。本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、環境負荷を低減できる原子炉を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、核燃料が封入された燃料棒と、前記核燃料の核反応を制御する制御棒とを有する原子炉において、前記燃料棒を構成する燃料中にバーナブルポイズンを添加するとともに、前記燃料棒の少なくとも一方の端における前記バーナブルポイズンの濃度よりも、前記燃料棒の中央における前記バーナブルポイズンの濃度が高く、前記原子炉の運転開始時での前記原子炉の定格出力運転時における一次冷却材中に含まれる中性子吸収材の濃度を、燃料にバーナブルポイズンを添加しないでケミカルシム制御を実行する原子炉の運転終了時に原子炉を低温停止させ、その状態を維持させるために必要な中性子吸収材の濃度から、燃料にバーナブルポイズンを添加しないでケミカルシム制御を実行する原子炉の運転開始時に原子炉を低温停止させ、その状態を維持させるために必要な中性子吸収材の濃度を減算した値に、原子炉の設計精度及び原子炉の炉心の仕様を考慮して設定される所定のマージンを加算した値とすることを特徴とする原子炉である。これによって、原子炉の運転中に、一次冷却材へ添加する中性子吸収材の量を低減できるので、環境負荷を低減できる。
本発明の望ましい態様としては、前記原子炉において、前記制御棒は、前記一次冷却材へ中性子吸収材を投入することなしに運転中の前記原子炉を低温停止させることができる反応度制御能力を有することが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記原子炉において、前記一次冷却材は水であり、前記原子炉の水素対重金属原子数比は、4.5以上、かつ前記一次冷却材中にホウ素が添加されておらず制御棒をすべて引き抜いた状態において実効増倍率を最大とさせる値以下であることが好ましい。
本発明は、環境負荷を低減できる原子炉を提供できる。
図1は、原子力プラントを示す模式図である。 図2は、原子炉の反応度制御の内訳を示す図である。 図3−1は、燃料棒中のバーナブルポイズンの濃度を示す模式図である。 図3−2は、燃料棒中のバーナブルポイズンの濃度を示す模式図である。 図4は、ケミカルシム制御を実行する原子炉のBOC(Beginning Of Cycle:原子炉の運転開始時)からEOC(End Of Cycle:原子炉の運転終了時)にかけて、定格出力運転時における一次冷却材中のホウ素濃度の変化を示す模式図である。 図5は、制御棒の反応度制御能力を向上させる例を示す図である。 図6は、制御棒の反応度制御能力を向上させる例を示す図である。 図7は、制御棒の反応度制御能力を向上させる例を示す図である。 図8は、実効増倍率と水素対重金属原子数比H/HMとの関係を示す図である。 図9は、実効増倍率と水素対重金属原子数比H/HMとの関係を示す図である。 図10は、実効増倍率と水素対重金属原子数比H/HMとの関係を示す図である。 図11は、燃料棒の配列ピッチを示す図である。
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
(実施形態)
図1は、原子力プラントを示す模式図である。原子力プラント1は、原子力発電設備である。原子力プラント1を構成する原子炉2は、PWR(Pressurized Water Reactor:加圧水型原子炉)である。原子力プラント1は、格納容器1W内に原子炉2、蒸気発生器3、加圧器4、一次冷却材ポンプ5、再生熱交換器11が配置される。また、格納容器1Wの外には、タービン8、復水器9及び発電機10が配置される。
原子炉2は、圧力容器2Pの内部に燃料部分2Cが配置されている。また、圧力容器2Pの内部には一次冷却材(冷却水に相当し、本実施形態では軽水が用いられる)C1が満たされている。一次冷却材ポンプ5と原子炉2とは一次冷却材第1供給通路6Aで接続され、原子炉2と蒸気発生器3とは、一次冷却材第2供給通路6Bで接続される。また、蒸気発生器3と一次冷却材ポンプ5とは、一次冷却材回収通路6Cで接続される。
このような構成により、一次冷却材ポンプ5から吐出された一次冷却材C1は、一次冷却材第1供給通路6Aを通って原子炉2の圧力容器2P内へ供給される。そして、圧力容器2Pの内部に配置される燃料部分2Cを構成する燃料(核燃料)の核分裂反応によって発生した熱エネルギで一次冷却材(本実施形態では軽水)C1が加熱される。すなわち、燃料集合体を構成する核燃料としてのウランやプルトニウムが核分裂することで中性子を放出し、減速材及び一次冷却水として機能する軽水が、放出された高速中性子の運動エネルギを低下させて熱中性子とし、新たな核分裂を起こしやすくするとともに、核燃料の核分裂によって発生した熱を奪って冷却する。ここで、燃料部分2Cは、複数の燃料のペレットが被覆管に封入された燃料棒を複数本束ねて燃料集合体を構成し、この燃料集合体を複数配列して構成される。なお、燃料部分2C及びその周りに存在する一次冷却材で炉心が構成される。
燃料の核分裂反応によって発生した熱エネルギで加熱された一次冷却材C1は、一次冷却材第2供給通路6Bを通って蒸気発生器3へ供給される。そして、一次冷却材C1は、蒸気発生器3の伝熱管3Tを通過した後、蒸気発生器3から流出し、一次冷却材回収通路6Cを通って一次冷却材ポンプ5へ戻り、再び一次冷却材第1供給通路6Aから原子炉2の圧力容器2P内へ吐出される。
原子炉2の内部には、複数の制御棒2Lが配置される。制御棒2Lは、制御棒駆動装置2Aによって駆動される。制御棒駆動装置2Aは、制御棒2Lを燃料部分2Cへ挿入、又は燃料部分2Cから引き抜くことにより、燃料部分2Cを構成する燃料の核分裂を制御する。制御棒2Lを燃料部分2Cに挿入することで、炉心で生成される中性子数が調整される。
蒸気発生器3は、前述した伝熱管3Tを複数備えており、伝熱管3T内を流れる一次冷却材C1によって伝熱管3T外の二次冷却材C2が加熱されて沸騰し、二次冷却材C2の高温高圧の蒸気が生成される。蒸気発生器3とタービン8とは、蒸気供給通路7Sで接続されており、復水器9と蒸気発生器3とは、二次冷却材回収通路7Rで接続されている。これによって、蒸気発生器3で生成された二次冷却材C2の高温高圧の蒸気は、蒸気供給通路7Sを通ってタービン8へ供給されてこれを駆動する。そして、タービン8の駆動軸に連結された発電機10によって電力を発生させる。タービン8を駆動した後の二次冷却材C2は、復水器9で液体となり、二次冷却材回収通路7Rを通って再び蒸気発生器3へ送られる。
上述したように、本実施形態において、原子炉2はPWRなので、一次冷却材を加圧するための加圧器4が一次冷却材第2供給通路6Bに接続されている。そして、加圧器4が一次冷却材第2供給通路6B内の一次冷却材C1に圧力を与える。このような構造により、一次冷却材C1は、核燃料の核分裂反応によって発生した熱エネルギで加熱されても沸騰せず、液相の状態で原子炉2及びその冷却系を循環する。ここで、原子炉2の冷却系は、一次冷却材ポンプ5、一次冷却材第1供給通路6A、一次冷却材第2供給通路6B、蒸気発生器3、一次冷却材回収通路6Cで構成される一次冷却材C1が流れる系である。
一次冷却材C1に含まれる不純物を除去するため、脱塩塔16が設けられる。脱塩塔16は、第1脱塩塔16A及び第2脱塩塔16Bで構成されており、格納容器1Wの外側に設けられる。第1脱塩塔16Aは冷却材温床式脱塩塔であり、第2脱塩塔16Bは、冷却材陽イオン脱塩塔である。原子炉2の冷却系から脱塩塔16へは、一次冷却材ポンプ5の入口側(上流側)から取り出された一次冷却材C1が供給されて脱塩処理が施され、脱塩後の一次冷却材C1は、一次冷却材ポンプ5の出口側(下流側)に戻される。
一次冷却材C1の脱塩処理系は、一次冷却材取り出し通路13A、再生熱交換器11、一次冷却材通路13B、非再生熱交換器12、一次冷却材通路13C、脱塩塔16、一次冷却材通路13D、体積制御タンク14、一次冷却材戻し通路13E、13Fで構成される。第1冷却材取り出し通路13Aは、原子炉2の冷却系を構成する一次冷却材回収通路6Cと再生熱交換器11とを接続している。再生熱交換器11と非再生熱交換器12とは一次冷却材通路13Bで接続されており、また、非再生熱交換器12と脱塩塔16とは一次冷却材通路13Cで接続される。
脱塩塔16と体積制御タンク14とは一次冷却材通路13Dで接続されており、体積制御タンク14と再生熱交換器11とは一次冷却材戻し通路13Eで接続される。また、再生熱交換器11と一次冷却材第1供給通路6Aとは、一次冷却材戻し通路13Fで接続される。一次冷却材戻し通路13Eには充填ポンプ15が設けられている。
一次冷却材C1は、一次冷却材取り出し通路13A、すなわち、一次冷却材ポンプ5の入口側(上流側)から取り出される。原子炉2の冷却系から取り出された一次冷却材C1は、再生熱交換器11へ導かれた後、一次冷却材通路13B、非再生熱交換器12、一次冷却材通路13Cを通って脱塩塔16へ導かれ、ここで脱塩処理される。脱塩処理された一次冷却材C1は、一次冷却材通路13Dを通って体積制御タンク14へ一時的に貯められた後、一次冷却材戻し通路13Eに設けられる充填ポンプ15によって再生熱交換器11へ送られる。再生熱交換器11を通過した一次冷却材C1は、一次冷却材戻し通路13Fを通って一次冷却材第1供給通路6A、すなわち、一次冷却材ポンプ5の出口側(下流側)に戻される。
PWRでは、原子炉2を構成する圧力容器2P内では一次冷却材の沸騰が発生しないので、一次冷却材中に添加物を加えることができる。このため、通常、原子炉2の反応度を制御する目的で、一次冷却材中に中性子吸収材を添加している。中性子吸収材としては、例えば、中性子をよく吸収するホウ酸を一次冷却材中に添加して、溶解させている。ホウ酸は、中性子吸収材であるホウ素原子を含むため、中性子をよく吸収する。そして、一次冷却材中のホウ素濃度を調整することにより、反応度を制御している。これをケミカルシム制御(ホウ素濃度調整)という。
例えば、原子炉運転初期には、中性子吸収材であるホウ素が2000ppm(質量ppm)程度となるようにホウ酸を添加し、運転が進むにしたがって連続的にホウ素を希釈して炉心の長期の反応度変化を補償する。ケミカルシム制御は、原子炉2を構成する一次冷却系統の化学体積制御設備によって実行され、燃料の燃焼にともなう反応度変化や、原子炉2の出力を徐々に変化させたい場合等に使用される。またホウ素は、原子炉全体に均一に分布するため、炉内出力分布の局所的な変化が起こりにくいという利点がある。
本実施形態では、一次冷却材C1にホウ素を注入するため、ホウ素注入装置20を備える。本実施形態において、ホウ素は、ホウ酸の形態で、一次冷却材C1の脱塩処理系を構成する体積制御タンク14と充填ポンプ15との間から一次冷却材C1に注入される。ホウ素注入装置20は、ホウ酸タンク21、ホウ素注入手段であるホウ酸注入ポンプ22、ホウ酸タンク21とホウ酸注入ポンプ22とを接続するホウ酸供給通路24及びホウ酸供給通路24に設けられる流量調整弁23を備える。
ホウ酸は、所定濃度に調整されたホウ酸水溶液の形でホウ酸タンク21に貯められる。また、流量調整弁23によって、ホウ酸の注入速度が調整される。なお、ホウ酸注入ポンプ22を制御することで、ホウ酸の注入速度を調整してもよい。本実施形態では、ホウ酸注入ポンプ22と流量調整弁23との少なくとも一方を用いて、ホウ酸の注入速度を調整する。
ホウ酸注入ポンプ22と一次冷却材戻し通路13Eとは、ホウ酸注入通路25で接続される。ホウ酸注入通路25には、開閉弁26が設けられる。開閉弁26は、ホウ酸の注入が必要な場合に開かれて、ホウ酸の注入が不要な場合には閉じられる。また、ホウ酸注入通路25には、一次冷却材C1に注入されるホウ酸の流量を計測する流量計28が設けられる。これによって、一次冷却材C1に注入されるホウ酸の流量が計測される。
さらに、一次冷却材C1の脱塩処理系を構成する一次冷却材通路13Cには、一次冷却材C1中におけるホウ酸の濃度を計測する一次冷却材サンプル採取点29が設けられる。これによって、一次冷却材C1に含まれるホウ酸の濃度を測定する。ホウ酸注入ポンプ22、流量調整弁23、開閉弁26は、例えば、作業員によるマニュアル操作によってそれぞれの動作が制御される。また、流量計28が計測したホウ酸の流量及び一次冷却材サンプル採取点29で測定したホウ酸の濃度は、原子力プラントの運転に用いられる。
一次冷却材C1にホウ酸を注入する場合、設定された注入速度でホウ酸を注入できるように流量調整弁23の開度やホウ酸注入ポンプ22の駆動条件が設定される。そして、マニュアル操作により、開閉弁26が開かれるとともに、流量調整弁23が設定された開度に調整され、ホウ酸注入ポンプ22が設定された駆動条件で駆動される。これによって、ホウ酸タンク21内のホウ酸がホウ酸供給通路24及びホウ酸注入通路25を通って、一次冷却材戻し通路13E内の一次冷却材C1へ注入される。
このように、一次冷却材C1へ注入されたホウ酸は、充填ポンプ15によって一次冷却材C1とともに再生熱交換器11へ送られる。そして、ホウ酸及び一次冷却材C1は、一次冷却材戻し通路13Fを通って一次冷却材第1供給通路6A、すなわち、一次冷却材ポンプ5の出口側(下流側)へ流入した後、原子炉2全体に行き渡る。
ケミカルシム制御では、一次冷却材に中性子吸収材であるホウ酸を注入するため、ホウ酸の廃棄物(ホウ酸廃棄物)が発生する。原子炉2から排出されるホウ酸廃棄物は放射性廃棄物であり、所定の処理が必要になるが、ホウ酸廃棄物の排出量が低減できれば、環境負荷を低減できる。このため、原子炉2の反応度を制御するにあたって、ケミカルシム制御が分担する割合を低減することが好ましい。本実施形態では、原子炉2の運転中と、原子炉2を停止させる場合との両方で、原子炉2の反応度制御でケミカルシム制御が分担する割合を低減する。
[原子炉運転中におけるケミカルシム制御の低減]
図2は、原子炉の反応度制御の内訳を示す図である。図3−1、図3−2は、燃料棒中のバーナブルポイズンの濃度を示す模式図である。図3−2中のLは、図3−2に示す燃料棒2CLb1の長手方向における寸法(長さ)であり、符号Cは、燃料棒2CLb1の中央を示す。本実施形態では、バーナブルポイズン(BP:Burnable Poison:可燃性毒物)を大量に用いる。例えば、バーナブルポイズンとしてガドリニウム(Gd)を用い、これを大量に燃料へ添加する(例えば、0質量%以上20質量%以下)。これによって、バーナブルポイズンの有する反応度分、一次冷却材中のホウ素濃度を低下させることができるので、図2に示すように、現状(N)と比較して、定格出力運転時に原子炉の反応度を制御する場合におけるケミカルシム制御の分担割合を低減できる(図2のF1)。その結果、原子炉の反応度を制御するにあたっては、ケミカルシム制御の分担割合を低減できる。
ここで、バーナブルポイズンとは、毒物質のうち、毒作用としての中性子吸収反応によって毒物質自体の濃度が著しく変化するものである。なお、可燃性とは、核燃料の燃焼とともに消失していく性質を示す。また、毒とは、中性子吸収能力力を意味し、毒物とは、中性子吸収能力力の大きな物質をいい、一般にいう毒や毒物の意味とは異なる。また、ケミカルシム制御の負担割合を低減することで、水素対重金属原子数比H/HMの増加幅を大きくできるので、燃料集合体設計の最適化に有利となる。ここで、水素対重金属原子数比H/HMは、燃料集合体中の水素原子の数と重金属(ウラン等の核燃料)原子の数との比で定義され、水素対重金属原子数比H/HMが大きくなると、原子炉の圧力容器内において、燃料に対する一次冷却材の割合が大きくなる。
代表的な4ループPWRの炉心においては、燃料棒の直径が9.5mm、燃料棒のピッチ幅は12.6mm、燃料ペレットの直径が8.2mm、ペレット中の重金属(UO)密度が10.97g/cm、ペレットの理論密度換算値97%TD、UOモル質量270.03g/mol、定格出力運転時の減速材(水)密度0.71g/cm、減速材(水)モル質量18.015g/mol、制御棒及び炉内計装用案内シンブル外径12.2mmとした場合に、水素対重金属原子数比H/HMは、約4.1となる。
なお、バーナブルポイズンを大量に用いれば、図3−1に示す燃料棒2CLaのように、長手方向に対してバーナブルポイズンの濃度が同じ値(A質量%)であっても、ケミカルシム制御の分担割合を低減できる。しかし、通常、バーナブルポイズンを大量に利用すると、炉心内の出力分布のひずみが大きくなる(燃料棒の長手方向中央部分の出力が大きくなる)傾向があるため、これを緩和するような燃料の仕様及び炉心設計を採用する。例えば、図3−2に示す燃料棒2CLb1のように、燃料中にバーナブルポイズンを添加するとともに、燃料棒2CLb1の両方の端部T1、T2側におけるバーナブルポイズンの濃度よりも、燃料棒2CLb1の中央部分におけるバーナブルポイズンの濃度を高くする。燃料棒2CLb1では、両方の端部T1、T2側から中央部分に向かってバーナブルポイズンの濃度がE(質量%)<F(質量%)<G(質量%)となっている。
このように、燃料棒2CLb1の両方の端部T1、T2側におけるバーナブルポイズンの濃度よりも、燃料棒2CLb1の中央部分におけるバーナブルポイズンの濃度を高くすることにより、燃料棒2CLb1の長手方向中央部分の出力が抑制される。その結果、炉心内の出力分布のひずみを抑制できる。ここで、原子炉や炉心の仕様に応じて、燃料棒中におけるバーナブルポイズンの濃度の分布を変更してもよい。例えば、燃料棒の一方の端部側におけるバーナブルポイズンの濃度よりも、燃料棒の中央部分におけるバーナブルポイズンの濃度を高くしてもよい。このように、本実施形態では、燃料棒の少なくとも一方の端部側におけるバーナブルポイズンの濃度よりも、燃料棒の中央部分におけるバーナブルポイズンの濃度を高くすることにより、炉心内の出力分布のひずみを抑制する。
図4は、ケミカルシム制御を実行する原子炉のBOC(Beginning Of Cycle:原子炉の運転開始時)からEOC(End Of Cycle:原子炉の運転終了時)にかけて、定格出力運転時における一次冷却材中のホウ素濃度の変化を示す模式図である。図4のNは、燃料にバーナブルポイズンを添加しないでケミカルシム制御を実行する原子炉における一次冷却材中のホウ素濃度の変化を示し、図4のFは、本実施形態に係る原子炉(燃料にバーナブルポイズンを大量に添加する場合)における一次冷却材中のホウ素濃度の変化を示す。
本実施形態に係る原子炉以外の原子炉において、BOCにおける一次冷却材中のホウ素濃度(中性子吸収材の濃度)はD2(例えば、1700ppm)である。そして、EOCでの定格出力運転時における一次冷却材中のホウ素濃度は、バーナブルポイズンを燃料に添加しない場合も本実施形態に係る原子炉でも同じく、ほぼ0ppmである。ここで、ケミカルシム制御によって低温停止を実現し、その状態を維持させるために必要な、一次冷却材中のホウ素濃度が存在し、そのホウ素濃度は、BOCにおいてはDb(例えば、700ppm)、EOCにおいてはDe(例えば、1000ppm)である(Db<De)。なお、原子炉の運転時間が経過するにしたがって、燃料の燃焼により中性子吸収能力が高いFPやプルトニウム等が生成され、減速材温度係数が負側に大きくなるため、低温停止を維持させるために必要な、一次冷却材中のホウ素濃度は、EOCの方がBOCよりも高くなる。
低温停止を維持させるためには、EOCにおいて一次冷却材中のホウ素濃度Deが必要になるので、原子炉には、一次冷却材中のホウ素濃度がDeである一次冷却材を処理する能力が必要になる。本実施形態では、燃料にバーナブルポイズンを添加する場合、BOCでの定格出力運転時における一次冷却材中のホウ素濃度D1と、ケミカルシム制御によって低温停止を実現するために必要な、BOCにおける一次冷却材中のホウ素濃度Dbとの和が、ケミカルシム制御によって低温停止を維持させるために必要な、EOCにおける一次冷却材中のホウ素濃度De以下となるようにする。すなわち、D1=De−Dbとなる。
このようにすれば、原子炉に必要な、ホウ素を含む一次冷却材の処理能力を有効に利用できる。なお、BOCでの定格出力運転時における一次冷却材中のホウ素濃度D1を0としてもよいが、このようにすると、燃料に添加するバーナブルポイズンの量が多くなり、適切な出力分布が得られる炉心の設計が難しくなるおそれがある。このため、BOCでの定格出力運転時における一次冷却材中のホウ素濃度D1は、ある程度の値とすることが好ましい。
また、実際には、原子炉の設計精度及び原子炉の炉心の仕様を考慮して、BOCでの定格出力運転時における一次冷却材中のホウ素濃度D1は、ある程度の余裕を持たせておく必要がある。このため、BOCでの定格出力運転時における一次冷却材中のホウ素濃度D1は、De−Dbに所定の値、すなわち、原子炉の設計精度及び原子炉の炉心の仕様を考慮して設定される所定のマージンDmを加算することが好ましい。これによって、より安全に原子炉を運転することができる。例えば、原子炉の設計精度に基づくホウ素濃度のマージンを100ppm、原子炉の炉心の仕様の多様性に基づくホウ素濃度のマージンを200ppmとし、Deを1000ppm、Dbを700ppmとすると、D1は600ppmとなる。
このように、本実施形態に係る原子炉は、原子炉の運転開始時(BOC)での原子炉の定格出力運転時における一次冷却材中に含まれるホウ素濃度D1が、原子炉の運転終了時(EOC)に原子炉を低温停止状態に維持するために必要なホウ素濃度Deから、原子炉の運転開始時(BOC)に原子炉を低温停止状態に維持するために必要なホウ素濃度Dbを減算した値(De−Db)に、所定の値、すなわち、原子炉の設計精度及び原子炉の炉心の仕様を考慮して設定される所定のマージンDmを加算した値(D1=De−Db+Dm)以下となるものである。そして、本実施形態においては、原子炉の運転開始時(BOC)での原子炉の定格出力運転時における一次冷却材中に含まれるホウ素濃度D1を実現できるように、燃料中に添加するバーナブルポイズンの量が決定される。なお、装荷すべき具体的なバーナブルポイズンの量は、取替炉心の運転条件が種々変化するため、ここで一義的には定めることはできない、そのため燃料取替時に実施する取替炉心設計検討で所要のホウ素濃度以下となるように決定する。
[原子炉停止時におけるケミカルシム制御の低減]
従来、原子炉を高温停止させる場合には制御棒を用い、低温停止させる場合にはケミカルシム制御を用いていた。そして、原子炉の停止状態を維持する場合にはケミカルシム制御を用いていた。本実施形態では、原子炉の高温停止及び低温停止に制御棒を用い、原子炉の停止状態を維持する場合のみにケミカルシム制御を用いる。これによって、従来用いられていた低温停止時におけるケミカルシム制御が不要になるので、原子炉の反応度を制御するにあたっては、図2のF1に示すように、ケミカルシム制御の分担割合を大幅に低減できる。また、制御棒のみによって瞬時に原子炉の低温停止が実現できる程度の反応度制御能力を制御棒に与えるので、原子炉の過冷却事象時における再臨界も回避できるという効果も得られる。さらに、低温停止を実現するために、ケミカルシム制御は用いないので、安全系の自律化(過冷却事象への対応強化)が可能となる。
ここで、高温停止とは、原子炉が未臨界に保たれ、一次冷却材が約100℃以上の温度での停止状態をいう。一次冷却材ポンプの入熱などで約290℃の無負荷温度に維持されている状態を指すこともある。また、低温停止とは、原子炉の核分裂反応が停止しており、かつ、温度が95℃以下で原子炉を冷却及び減圧している状態をいう。また、制御棒の反応度制御能力とは、原子炉の反応度を調整する能力の大きさをいい、挿入量又は引き出し量が同じであれば、より反応度を大きく調整できるものを反応度制御能力が大きいという。反応度制御能力を大きくするためには、中性子吸収能力が大きい物質を制御棒に用いたり、制御棒の体数を増加させたりすることで実現できる。
図5〜図7は、制御棒の反応度制御能力を向上させる例を示す図である。図5〜図7は、制御棒の長手方向と直交する断面を示す。原子炉停止時におけるケミカルシム制御の負担割合を低減するために、原子炉の高温停止及び低温停止に制御棒を用いる場合、一次冷却材へ中性子吸収材(例えばホウ素)を投入することなしに運転中の原子炉を停止させることができる反応度制御能力を制御棒に持たせる。これを実現するため、例えば、従来のPWRで用いられていた制御棒の体数を増加させたり、制御棒の仕様や形状を工夫したりする。
制御棒の体数を増加させる際には、原子炉の構造上問題とならないような制御棒配置を採用する。この場合、原子炉の寸法の増加を抑制する観点から、燃料集合体の体数の半分以下が好ましい。また、制御棒の仕様や形状の工夫としては、フルレングスBC制御棒(燃料棒の長手方向における全領域にわたり、中性子吸収材としてBCを配置する構造)の採用、制御棒の太径化、制御棒の表面積の増大化、あるいは制御棒に中性子減速物質を添加する等が挙げられる。制御棒の太径化としては、例えば、図5に示す制御棒2LFのように、これまでのPWRで用いられてきた制御棒2LNの直径Dnよりも直径Dfを大きくする(Df>Dn)。制御棒2LFの直径は、例えば、燃料棒2LFが配列される間隔を考慮して、燃料棒2LFと干渉しない範囲において最大の直径とする。
制御棒の表面積の増大化としては、例えば、図6に示す制御棒2LFaのように、これまで断面が円形であった制御棒を、断面を多角形とする。これによって、断面が円形の制御棒と比較して、制御棒2LFaの表面積を増加させることができる。制御棒に中性子減速物質を添加する例としては、図7に示す制御棒2LFbのように、中性子吸収材NA(例えば、BC等)の内側に、中性子減速物質ND(例えば、炭素や軽水等)を配置する。これによって、中性子吸収材NAを通過した高速中性子が中性子減速物質NDで減速されて熱中性子となり、中性子吸収材NAに吸収される。これによって、制御棒2LFbの反応度制御能力が向上する。
図8は、実効増倍率と一次冷却材密度との関係を示す図である。上述したように、本実施形態においては、原子炉停止時におけるケミカルシム制御の負担割合を低減させる。このため、水素対重金属原子数比H/HMを従来よりも大きくすることができる。図8の実線は、現状の水素対重金属原子数比H/HM_Nにおける実効増倍率と一次冷却材密度ρ(g/cm)との関係を示し、点線は、ケミカルシム制御の負担割合を低減させることによって、現状よりも増加させた水素対重金属原子数比H/HM_Fにおける実効増倍率と一次冷却材密度ρ(g/cm)との関係を示す。
原子炉の冷却時においては一次冷却材(軽水)の温度が低下して一次冷却材密度がρh(定格運転時における一次冷却材密度)からρc(低温停止時における一次冷却材密度)へ増加する。これによって、実効増倍率も増加するので、原子炉を冷却する際には、増加した実効増倍率に対応した添加反応度を制御する必要がある。ここで、図8に示すように、水素対重金属原子数比H/HMが大きくなると、水素対重金属原子数比H/HMが小さい場合と比較して、冷却時における実効増倍率の変化は小さくなる。例えば、図8に示すように、一次冷却材密度がρhからρcに増加すると、冷却時における実効増倍率の変化はΔH/HM_NからΔH/HM_Fになる(ΔH/HM_N>ΔH/HM_F)。
原子炉の冷却時における実効増倍率の変化は、原子炉の冷却時における添加反応度に相当するので、水素対重金属原子数比H/HMを大きくすると、添加反応度を小さくすることができる。これによって、原子炉を冷却する際にケミカルシム制御を用いる場合には、添加反応度が小さくなった分、原子炉の冷却時に添加するホウ素の量を低減できるので、ケミカルシム制御の分担割合を低減できる。
また、水素対重金属原子数比H/HMを増加させることにより、原子炉の冷却時における添加反応度を小さくできるので、制御棒の反応度制御能力を無闇に増加させる必要はなくなる。これによって、図2のF2に示すように、低温停止時においては制御棒の反応度制御能力を小さくすることができるので、制御棒のみで原子炉の低温停止を実現しやすくなり、また、制御棒の体数を低減することも可能になる。さらに、水素対重金属原子数比H/HMを増加させることにより、中性子の減速環境を改善できるので、燃料の初期ウラン濃縮度を低減させることができ、また、燃焼後の残存濃縮度の低減が実現できる。これによって、燃料経済の向上、資源の有効利用を図ることができる。
図9、図10は、実効増倍率と水素対重金属原子数比H/HMとの関係を示す図である。図11は、燃料棒の配列ピッチを示す図である。図9の点線Fは、実線Nよりも燃料に対するバーナブルポイズンの添加量が大きい場合を示しており、図10の点線Fは、実線Nよりもケミカルシム制御の分担割合を低減させた場合を示している。原子炉の運転中において、水素対重金属原子数比H/HMの最大値は、実効増倍率が最大値(実効増倍率が上に凸となる部分)となるときの値である。水素対重金属原子数比H/HMは、BOCの高温停止時における実効増倍率と水素対重金属原子数比H/HMとの関係を示す曲線から、実効増倍率が最大値となるまでの範囲で設定される。
図9に示す例では、バーナブルポイズンの添加量が大きくなるにしたがって、実効増倍率が最大値となるときの水素対重金属原子数比の値が大きくなる(H/HM_NからH/HM_Fになる)。また、図10に示す例では、ケミカルシム制御の分担割合が小さくなるにしたがって、実効増倍率が最大値となるときの水素対重金属原子数比H/HMの値が大きくなる(H/HM_NからH/HM_Fになる)。このように、バーナブルポイズンの添加及びケミカルシム制御の分担割合の低下によって、実効増倍率が最大値となるときの水素対重金属原子数比の値を大きくすることができる。したがって、バーナブルポイズンの添加を増加させるとともに、ケミカルシム制御の分担割合を低下させることによって、水素対重金属原子数比H/HMを大きくすることができる。
これによって、燃料集合体設計の最適化に有利となるとともに、上述したように、原子炉を高温停止状態から低温停止状態とするのに必要な添加反応度が低減できる。水素対重金属原子数比H/HMは、4.5以上が好ましく、より好ましくは5以上であり、さらには5.5以上が望ましい。また、水素対重金属原子数比H/HMの最大値は、一次冷却材中のホウ素濃度を0とし、制御棒をすべて引き抜いた状態において、炉心の核反応度を最大とする値、すなわち、実効増倍率が最大となるときの値である。
水素対重金属原子数比H/HMを増加させるためには種々の手法がある。例えば、燃料棒の直径を小さくしたり、燃料棒の配列ピッチを大きくしたりすることにより、水素対重金属原子数比H/HMを増加させることができる。燃料棒の配列ピッチは、図11に示す隣接する燃料棒2CL同士の中心間距離Pであり、本実施形態では、配列ピッチを1.3cm以上1.5cm以下、より好ましくは1.4cm以上1.5cm以下とする。このような手法により、燃料棒の製造能力等の制約を受けることなく水素対重金属原子数比H/HMを増加させることができる。これらの手法によって水素対重金属原子数比H/HMを増加させるとともに、減速材密度係数がBOC、HZP(Hot Zero Power:高温零出力)において正とならない範囲で燃料集合体を設計する。これにより、低温停止を実現するために必要な制御棒の体数を削減することができ、設備を簡素化できる。
本発明に係る原子炉は、環境負荷を低減することに有用であり、特に、PWRに適している。
1 原子力プラント
1W 格納容器
2 原子炉
2A 制御棒駆動装置
2C 燃料部分
2CL、2CLa、2CLb1 燃料棒
2L、2LF、2LFa、2Lfb、2LN 制御棒
2P 圧力容器
3 蒸気発生器
4 加圧器
5 一次冷却材ポンプ
8 タービン
9 復水器
10 発電機
14 体積制御タンク
15 充填ポンプ
16 脱塩塔
20 ホウ素注入装置
21 ホウ酸タンク
22 ホウ酸注入ポンプ
23 流量調整弁
24 ホウ酸供給通路
25 ホウ酸注入通路
26 開閉弁
28 流量計

Claims (3)

  1. 核燃料が封入された燃料棒と、前記核燃料の核反応を制御する制御棒とを有する原子炉において、
    前記燃料棒を構成する燃料中にバーナブルポイズンを添加するとともに、前記燃料棒の少なくとも一方の端における前記バーナブルポイズンの濃度よりも、前記燃料棒の中央における前記バーナブルポイズンの濃度が高く、
    前記原子炉の運転開始時での前記原子炉の定格出力運転時における一次冷却材中に含まれる中性子吸収材の濃度を、燃料にバーナブルポイズンを添加しないでケミカルシム制御を実行する原子炉の運転終了時に原子炉を低温停止させ、その状態を維持させるために必要な中性子吸収材の濃度から、燃料にバーナブルポイズンを添加しないでケミカルシム制御を実行する原子炉の運転開始時に原子炉を低温停止させ、その状態を維持させるために必要な中性子吸収材の濃度を減算した値に、原子炉の設計精度及び原子炉の炉心の仕様を考慮して設定される所定のマージンを加算した値とすることを特徴とする原子炉。
  2. 前記制御棒は、前記一次冷却材へ中性子吸収材を投入することなしに運転中の前記原子炉を低温停止させることができる反応度制御能力を有する請求項に記載の原子炉。
  3. 前記一次冷却材は水であり、前記原子炉の水素対重金属原子数比は、4.5以上、かつ前記一次冷却材中にホウ素が添加されておらず制御棒をすべて引き抜いた状態において実効増倍率を最大とさせる値以下である請求項1又は2に記載の原子炉。
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