JP2007003371A - 原子炉用制御棒 - Google Patents

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Abstract

【課題】 膜厚の異なる2段構造の表面処理層を所定形状の遷移部を挟んで形成した原子炉用制御棒を提供する。
【解決手段】 中性子吸収体27を収容する被覆管21に、範囲A、Bにおいて、異なる膜厚の2段構造の表面処理層29を形成すると共に、異なる膜厚の表面処理層の範囲A、Bの間に、連続的に膜厚が変化する所定長さの遷移部Dを設けた原子炉用制御棒。
【選択図】 図2

Description

本発明は、原子炉用制御棒に関し、特に、表面に表面処理層を有する原子炉用制御棒に関する。
図1に、燃料集合体と原子炉用制御棒を示し、その構成を簡単に説明する。なお、図1は、加圧水型原子炉に用いられる燃料集合体及び燃料集合体に挿入される制御棒の一例を示したものである。
燃料集合体1は、上端部、下端部に配設された上部ノズル部5、下部ノズル部6と、上部ノズル部5と下部ノズル部6とを連結すると共に、互いに平行な中空の複数の制御棒案内管3と、制御棒案内管3の長さ方向に複数設けられた正方形の格子構造の支持格子4と、支持格子4の格子開口に1本ずつ挿入された複数の燃料棒2とを有するものである。
一方、制御棒10は、中空のステンレス鋼管(被覆管)の上端と下端を密封して、細長い棒状体としたものであり、下端側は砲弾形状となっている。制御棒10の内部には、銀−インジウム−カドミウム合金棒からなる中性子吸収体と押さえばねが収納されている。複数の制御棒10は、その上端部をスパイダー組立体12により保持されて、制御棒クラスタ7として使用される。スパイダー組立体12は、図示しない駆動軸に分離自在に連結されるハブ部8と、ハブ部8から放射状に延設された複数のベーン部9と、制御棒10を受け入れて固定するフィンガー部11とを有するものであり、駆動軸の作動に伴い、ハブ部8が上下に移動するように構成されている。そして、ハブ部8で連結された制御棒クラスタ7の上下動作と共に複数の制御棒10が制御棒案内管3の内部を上下に移動することとなる。
なお、図示していないが、原子炉容器内では、燃料集合体1の上部ノズル部5の上方に、上部炉心板が配設されており、その上方に制御棒クラスタ案内管(連続ガイドチューブ、案内支持板等)が配設されており、更に、その上方に、上記スパイダー組立体12等が配置されている。
原子炉用の制御棒10は、原子炉炉心を構成する燃料集合体1に対して、制御棒10の挿入長さを調節することで、原子炉の出力の制御を行うものである。通常、原子炉を運転しているときには、定格出力運転を行うため、制御棒10は、先端部分を残して、燃料集合体1の上方に引き上げた状態としていることが多い。具体的には、制御棒クラスタ7全体を引き上げることで、制御棒10を燃料集合体1から引き上げている。この場合、制御棒10の先端部のみが制御棒案内管3の中に挿入された状態であり、制御棒10の大部分はその上方の制御棒クラスタ案内管に位置することとなる。又、原子炉の出力を抑制するときには、制御棒10の一部をわずかに燃料集合体に挿入した状態とし、原子炉を停止するときには、制御棒10全体を燃料集合体1に挿入した状態とする。
更に、原子炉の緊急停止時には、制御棒10の自由落下を利用して、所定時間内に迅速に制御棒10全体を燃料集合体1に挿入するようにしている。具体的には、所定の挿入長さまでは迅速に、最終的には、衝撃を受けないような速度に減速して、挿入する必要があり、そのため、制御棒案内管3の下端部には、制御棒案内管3の一部の内径を細くすることで、冷却材による制御棒10の抵抗力を増やし、制御棒10の挿入速度を減速させるダッシュポットが設けられており、制御棒10の先端部がダッシュポットの部分に挿入されて、最終的に停止することとなる。このように、制御棒10は、原子炉の制御上、更には安全上、極めて重要なものであり、緊急時においても、正しく動作することが求められる。
ところで、制御棒クラスタ案内管の領域は、燃料集合体1内を上向きに流れてきた冷却材が、複数の原子炉出口ノズル方向に向かって、様々な横方向に流れの向きを変え、冷却材の流れの強さ又は方向が不規則となる部分である。そして、冷却材の流れの不規則性のため、制御棒10がランダムに振動し、周囲の部材、例えば、連続ガイドチューブ等に接触して、制御棒10の被覆管が摩耗するおそれがある。又、制御棒10の先端部のみが制御棒案内管3の中に挿入された状態においては、冷却材の流体振動に伴い、制御棒案内管3と制御棒10の先端部とが干渉し合い、制御棒10の先端部も摩耗するおそれがある。このように、これらの摩耗は、制御棒10の寿命を大きく制限していた。最悪の場合には、これらの摩耗により、制御棒10の破断を招くこともおそれもあった。安全上、制御棒10の破断により、緊急停止時における制御棒10の挿入動作が阻害されること等、有ってはならない。
そこで、制御棒10表面の摩耗を防止するため、制御棒10の被覆管の外表面には、クロムメッキ等の表面処理層が形成されており、制御棒10の先端部まで表面処理層で被覆している。但し、制御棒10の表面処理層は、制御棒10表面の摩耗を抑制し、所定の寿命を得るようにすると共に、制御棒10の挿入性に影響を与えない膜厚が望ましい。又、ダッシュポット3aの構造を考慮すると、ダッシュポット3aの内径の減少部分に接触して停止することなく挿入可能とするため、ダッシュポット3aに挿入される制御棒10の先端部の表面処理層の膜厚は、先端部以外の表面処理層の膜厚と比較して、あまり厚くすることはできない。そのため、制御棒10の表面には、制御棒10の先端部と先端部以外の膜厚が異なる2段構造の表面処理層が形成されている(特許文献1参照)。このように、制御棒10の構造は、制御棒10の外表面に形成される表面処理層を含めて、燃料集合体1等の構造と密接に関係している。
特開平11−153685号公報
制御棒にとって、挿入性、例えば、緊急停止時における挿入時間、不完全挿入事象(IRI;Incomplete Rod Insertion)の防止等は、特に、重要な特性である。従って、耐摩耗性のための表面処理層が上記挿入性に影響があってはならない。例えば、IRIは、制御棒の先端部がダッシュポット部分に引っ掛かってしまい、制御棒が全挿入できなくなってしまう事象である。この発生メカニズムを簡単に説明すると、燃料集合体は軸圧縮力を受けて変形し、制御棒案内管も変形して横方向変位を生じる。照射期間末期等、制御棒案内管の横変位が最も大きい時に制御棒を挿入すると、接触による反力(抗力)が発生する。このような場合、特に、抗力が増加するダッシュポット領域にて、制御棒の自重挿入ができなくなってしまう。換言すると、制御棒案内管のダッシュポット部分が曲がり、まっすぐな制御棒とのクリアランスが無くなり、強制変位を受けるため、この部分に引っ掛かってしまい、制御棒の自重挿入ができなくなる。そして、制御棒に表面処理層を施した場合には、その強制変位が更に増加することになるため、制御棒の先端部の表面処理層の状態(膜厚、形状)は、IRIを左右する重要な要素と考えられる。
このように、制御棒の表面処理層は、耐摩耗性、挿入性を考慮して、制御棒の部位に応じて形成する必要があり、又、2段構造の表面処理層の場合には、膜厚が変化する部分(以降、遷移部と呼ぶ。)の状態も、耐摩耗性、挿入性を考慮して、形成する必要がある。ところが、遷移部に対する検討は特になされておらず、特に、挿入性に対する影響の検討は不十分であった。例えば、遷移部が段差形状であれば、局在的な抵抗が発生し、制御棒の全挿入過程を通じて、挿入時間が延長するおそれがあり、又、遷移部が不用意に長すぎると、挿入性だけではなく、耐摩耗性にも悪影響を与えるおそれがあり、所定の長さ、かつ、所定の形状、例えば、所定長さのテーパ形状等とすることが望ましいものと考えられる。
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、膜厚の異なる2段構造の表面処理層を所定形状の遷移部を挟んで形成した原子炉用制御棒を提供することを目的とする。
上記課題を解決する第1の発明に係る原子炉用制御棒は、
中性子吸収体を収容する被覆管に、異なる膜厚の2段構造の表面処理層が形成された原子炉用制御棒において、
異なる膜厚の表面処理層の間を、所定長さで連続的に膜厚が変化するように形成すると共に、
前記所定長さを、前記原子炉用制御棒と前記原子炉用制御棒が挿入される燃料集合体の案内部材との間に発生する抗力が、1段構造の表面処理層を有する原子炉用制御棒と該原子炉用制御棒が挿入される燃料集合体の案内部材との間に発生する抗力以内となる長さとしたことを特徴とする。
上記課題を解決する第2の発明に係る原子炉用制御棒は、
第1の発明に記載の原子炉用制御棒において、
前記原子炉用制御棒と前記原子炉用制御棒が挿入される燃料集合体の案内部材との間に発生する前記抗力を、26.8kg以内としたことを特徴とする。
つまり、1段構造の表面処理層を有する原子炉用制御棒における抗力26.8kgを基準にして、これより小さい抗力となるように、表面処理層の膜厚が連続的に変化する部分(遷移部)の長さを設定する。
上記課題を解決する第3の発明に係る原子炉用制御棒は、
第1又は第2の発明に記載の原子炉用制御棒において、
前記案内部材の初期変位量、前記案内部材の長手方向の横剛性及び前記原子炉用制御棒の長手方向の横剛性から、前記原子炉用制御棒の挿入後における、前記案内部材と前記原子炉用制御棒との間の横荷重と変位の関係が釣り合う前記案内部材及び前記原子炉用制御棒の強制変位量を求め、
前記強制変位量における反力から、挿入時又は引き抜き時における前記原子炉用制御棒に発生する前記案内部材との摩擦力を求め、
求められた前記摩擦力を、該原子炉用制御棒と前記案内部材との間に発生する前記抗力とすることを特徴とする。
上記課題を解決する第4の発明に係る原子炉用制御棒は、
第3の発明に記載の原子炉用制御棒において、
該原子炉用制御棒の長手方向の横剛性として、実測値を用いることを特徴とする。
原子炉用制御棒の長手方向の横剛性としては、実測値を用いた方がより正確な抗力を算出できる。
上記課題を解決する第5の発明に係る原子炉用制御棒は、
第1乃至第4のいずれかの発明に記載の原子炉用制御棒において、
表面処理層の膜厚が連続的に変化する前記所定長さを、該原子炉用制御棒を引き上げたときに、該原子炉用制御棒に近接する該原子炉用制御棒の案内部材の最下端を始点として、先端側へ最大40mmまでとしたことを特徴とする。
本発明によれば、遷移部の位置、長さ、形状を適切なものとしたので、制御棒自体の挿入性を向上させると共に、燃料集合体に想定される最大の変位が発生しても、IRIを確実に回避することができる。又、制御棒を引き上げた時における遷移部の位置を、制御棒の案内部材の最下端より先端側にしたので、耐摩耗性のある範囲をできるだけ長くして、耐摩耗性も損なうことがない。
図2〜図8を参照して、本発明に係る原子炉用制御棒を詳細に説明する。
図2に、本発明に係る制御棒の詳細な構造を示す。図2(a)は、制御棒全体の構造を示すものであり、図2(b)は、図2(a)のC領域の拡大図である。
制御棒10は、中空のステンレス鋼管の被覆管21が、その上端部、下端部を上部端栓22、下部端栓25に溶接されて、その内部が密封されたものである。上部端栓22には、図1に示したスパイダー組立体12のフィンガー部11に挿入される細径部23と固定用のねじ部24が形成されており、制御棒クラスタ7を構成するときは、締結用袋ナット等がねじ部24に螺着される。下部端栓25は下端側が砲弾形状であり、その上端側が被覆管21の下端部に円周溶接26により気密に連結固定される。下部端栓25の上方の被覆管21の内部には、中性子吸収体27が収納されており、更に、その上方には、中性子吸収体27を押さえる圧縮コイルばね28が介装されている。中性子吸収体27は、銀−インジウム−カドミウム(例えば、Ag:80%,In:15%,Cd:5%)合金棒から形成されている。
被覆管21の外面には、範囲Aにおいて、耐摩耗表面処理層として、約30μmの膜厚のクロムメッキ層29が施されている。更に、被覆管21の下端から約300mmの範囲内、且つ、円周溶接26の熱影響部分(約5mm)を除いた範囲Bにおいて、約10μmの膜厚のクロムメッキ層29が施されている。範囲Bにおけるクロムメッキ層29の膜厚は、ダッシュポット3aとの間隙を確実に得ること、即ち、挿入性と、耐摩耗性が考慮されて決定されている。上述したように、被覆管21には、2つの異なる膜厚のクロムメッキ層29が形成されているが、これらの範囲A、範囲Bの境界部分には、図2(b)に示すように、約40mmの範囲に渡って、クロムメッキ層29の膜厚が連続的に変化するテーパ形状の遷移部Dが形成されている。
このような2段構造のクロムメッキ層29を制御棒10に施した場合、1層の厚膜のみ表面処理層を施した制御棒と比較して、厚膜部分の範囲を減少させて、挿入性が向上するという利点がある。加えて、2段構造の表面処理層、範囲A、範囲Bの境界部分の遷移部Dを、適切な長さの範囲で連続的に膜厚が変化するテーパ形状としたので、単に2つの異なる膜厚のクロムメッキ層を形成したものと比較しても、制御棒10自体の挿入性を向上させることができる。
仮に、遷移部Dが適切な長さに設定されていない(又は、製造上管理されていない)場合を考えてみると、遷移部Dが短すぎる場合(例えば、遷移部Dの幅が略0である場合)には、挿入過程を通じて、流体抗力が局所的に増加し、挿入時間が長くなったり、或いは、その部分がダッシュポット3aに物理的に引っ掛かり、挿入性に悪影響を与えたりするおそれがあり、又、遷移部Dが長すぎる場合には、範囲A方向に長すぎれば、耐摩耗性のために施したクロムメッキ層の薄くなる範囲が広くなり、耐摩耗性が低下し、又、範囲B方向に長すぎれば、挿入性へ悪影響を与えるおそれがあった。
上述したように、本発明に係る制御棒は、2段構造のクロムメッキ層29を有するものであっても、最適な遷移部Dの長さ、形状、位置を設定することで、優れた耐摩耗性、挿入性を得るようにしたものであり、これは、以下に示す手順を経て、最適な遷移部Dの長さ、形状、位置を求めている。
具体的には、制御棒のモデルを構築して、FEM(有限要素法;Finite Element Method)の非線形ギャップ解析を実施することで、遷移部Dを有する制御棒の挿入性評価を行い、遷移部Dの長さを決定している。更に詳細には、挿入時間、IRIを左右する挿入特性について、原子炉容器中の燃料集合体の制御棒案内管の初期の変位、制御棒案内管の長手方向の横剛性、制御棒の長手方向の横剛性に基づき、制御棒案内管の変位から受ける制御棒の強制変位、つまり、制御棒挿入時において、制御棒案内管と制御棒との間の横荷重と変位の関係が釣り合う強制変位を求め、更に、求めた強制変位に対する制御棒の反力を求め、この反力から制御棒案内管と制御棒との間に発生する抗力(摩擦力)を求めて、求められた抗力に基づいて、挿入特性を評価し、遷移部Dの長さを決定している。
なお、制御棒の反力は、単純なモデルに基づく理論値の横剛性を用いて求めることができるが、制御棒内部の構造が複雑であること(例えば、中性子吸収体の外径が長手方向に一様でない等)、制御棒の長手方向の横剛性分布が支点によって変化すること等から、本発明においては、制御棒の長さ方向の各位置において、制御棒の横剛性(曲げ剛性)を実測し(図3参照)、その実測値を制御棒の反力を求めるために用いている。例えば、図3に示すように、先端から約400mm〜約800mmの間では、横剛性が大きく変化しており、このような特性は、制御棒の強制変位、反力、そして、抗力の算出(挿入性評価)を大きく左右する。実際には、計算を簡略にするため、横剛性の実測値から近似曲線を求め、この近似曲線を用いて、制御棒の反力を計算した。
制御棒案内管の初期の変位量、制御棒案内管の長手方向の横剛性、制御棒の長手方向の横剛性から、制御棒案内管の変位から受ける制御棒の強制変位量を求め、そして、制御棒案内管内の間隔と比較し、ギャップ反力を補正計算した(図4参照)。ここでは、主に、3つのケースに分けて、計算した。具体的には、図4(a)は、ダッシュポット部に局所変位がある場合、図4(b)は、制御棒案内管全体に変位がある場合、図4(c)は、制御棒案内管全体の変位とダッシュポット部の局所変位の両方がある場合を想定したものである。実際の原子炉においては、図4(c)のケースが多いと推測される。なお、変位量については、案内管全体には最大10mmの変位、ダッシュポット部分には最大2mmの変位があると想定している。
図4(a)〜図4(c)に示した制御棒案内管の変位量と制御棒の変位量との差に、制御棒案内管内の間隔を補正して得た制御棒の挿入時変位から、前述した実測値に基づく制御棒の横剛性を用いて、制御棒案内管から制御棒を引き抜くときの反力、つまり、制御棒案内管と制御棒との間に発生する抗力(摩擦力)に相関する物理量を求めて、制御棒の挿入特性として評価を行ったものが、図5である。ここでは、代表例として、図4(b)に対応するグラフを図5に示すが、図4(a)、(c)の場合でも、同等の結果が得られた。なお、図5において、反力の大きさとしては、最大時の反力を100%として、その変化を示している。図5に示すように、引き抜き長さが、0mm〜500mmまで、つまり、ダッシュポット下部域に相当する部分においては、反力が大きく、それ以降は、反力が小さく、略一定となることがわかる。そして、求められたダッシュポット下部域での反力は、引抜力の実測値を測定した後述の図7と比較すると、引き抜き過程での引き抜き力の変化の形状が同等の結果となることがわかり、上記手順は適切であることを証明している。
そして、上述した解析モデルに基づき、遷移部長さを変化させた場合の挿入抗力の変化を求めたものが、図6に示すグラフである。図6に示すように、遷移部Dの長さが40mmを超えると、従来の1段メッキの挿入抗力の設定基準(26.8kg)を超えてしまい、遷移部Dは上限として40mm以下が望ましいことがわかる。又、下限値については、遷移部D=0、つまり、遷移部Dが無い段差状となった場合には、制御棒案内管との機械的な干渉による挿入抵抗が大きくなると考えられるため、遷移部Dは0より大きい数値が望ましい。なお、遷移部Dの始点については、図8において説明を行っているが、少なくとも、クロムメッキ層29の膜厚の厚い範囲Aの下端を基準に、0より大きく40mmまでの範囲であれば、従来の1段メッキの挿入抗力の設定基準以下にすることができる。
制御棒について、挿入する際、引き抜く際に働く力を実測することで評価してみた(図7)。図7は、所定の測定条件において、制御棒の長さ方向での引抜力の実測値のプロファイルを示したものである。
ここで、具体的な測定方法及び上記測定条件について説明をする。上記引抜力の測定は、制御棒用の抗力測定装置を用いて行っている。抗力測定装置は、制御棒案内管を鉛直方向に取り付け、各グリッド位置(支持格子4の位置に該当)で支持し、グリッド毎に全体曲がりを付与できるように構成すると共に、ダッシュポット部分にも局所曲がりを付与できるように構成している。測定時には、各グリッド位置、ダッシュポット部分に、案内管の径方向に変位を与えることにより、原子炉内における軸圧縮力による集合体の横方向変位、即ち、案内管の全体曲がりや局所曲がりを模擬している。そして、その案内管の内部に、制御棒を挿入し、引き抜くことで、制御棒案内管と制御棒と間に発生する抗力測定し、これらを比較して、制御棒の挿入性を評価した。
上記抗力測定装置では、案内管全体には、最大10mmの変位を付与することが可能であり、ダッシュポット部分には、最大2mmの変位を付与することが可能である。そして、所定の測定条件、つまり、案内管に付与する曲がり条件としては、制御棒に対して高抗力であった条件、全体曲がり7.5mm、局所曲がり0.8mmの測定条件を基準にして、本発明に係る制御棒の評価を行った。
ここで、制御棒10のクロムメッキ層29の遷移部Dの最適な位置について、その周囲の部材との位置関係を図8に示して、説明を行う。なお。図8は、制御棒10を引き上げた状態(原子炉の運転時)における制御棒10と周囲部材を示す概略図である。
図8に示すように、燃料集合体1の上部ノズル部5の上方には上部炉心板15が配設されており、その上方に、連続ガイドチューブ17、案内支持板18を有する制御棒クラスタ案内管16が配設されている。通常運転時、つまり、制御棒10が燃料集合体1から引き上げられている時には、制御棒10の下端部のみが制御棒案内管3の中に挿入された状態であり、大部分はその上方の制御棒クラスタ案内管16に位置することとなる。
ここで、制御棒クラスタ案内管16に対しては、制御棒10に施したクロムメッキ層29の範囲Aの部分が相対することになり、制御棒10が制御棒クラスタ案内管16と接触しても、クロムメッキ層29により被覆管21の摩耗損傷が抑制されることとなる。又、制御棒10を最大に引き上げた状態においては、クロムメッキ層29の範囲Aの下端部分が制御棒クラスタ案内管16の下端Eに相対するように、遷移部Dの位置が配置されている。つまり、遷移部Dは、制御棒10を最大に引き上げたとき、制御棒クラスタ案内管16の下端Eより、制御棒10の先端側にあればよく、例えば、遷移部Dは、制御棒クラスタ案内管16の下端Eに相対する位置を始点として、最大40mmの範囲で先端側に形成すればよい。
本発明においては、加圧水型原子炉に用いられる燃料集合体及び制御棒を一例に説明を行っているが、本発明に係る原子炉用制御棒は、他のタイプの原子炉の制御棒にも適用可能である。
加圧水型原子炉に用いられる燃料集合体及び燃料集合体に挿入される制御棒(制御棒クラスタ)の一例を示す図である。 図2(a)は、本発明に係る制御棒全体の構造を示すものであり、図2(b)は、図2(a)のC領域の拡大図である。 先端からの各位置における制御棒の横剛性の実測値及び実測値に基づく近似曲線を示すグラフである。 制御棒の横剛性に基づいて算出された制御棒の変位、案内管の変位及びそれらの差分を、案内管内の間隔と比較したグラフである。(a)は、案内管のダッシュポットのみに変形がある場合、(b)は、案内管全体に変形がある場合、(c)は、案内管全体+ダッシュポットに変形がある場合を示すものである。 制御棒を引き抜いたときの反力の大きさを示すグラフである。 表面処理層の遷移部の長さを変化させたときの挿入抗力の変化を示すグラフである。 制御棒を案内管から引き抜く際の引抜力を、本発明に係る制御棒と従来の制御棒とを比較したグラフである。 制御棒と制御棒の周囲部材について、制御棒の引き上げ時(原子炉運転時)における制御棒の遷移部Dの位置関係を示す図である。
符号の説明
1 燃料集合体
3 制御棒案内管(案内部材)
3a ダッシュポット
7 制御棒クラスタ
10 制御棒
16 制御棒クラスタ案内管(案内部材)
21 被覆管
29 クロムメッキ層
D 遷移部

Claims (5)

  1. 中性子吸収体を収容する被覆管に、異なる膜厚の2段構造の表面処理層が形成された原子炉用制御棒において、
    異なる膜厚の表面処理層の間を、所定長さで連続的に膜厚が変化するように形成すると共に、
    前記所定長さを、前記原子炉用制御棒と前記原子炉用制御棒が挿入される燃料集合体の案内部材との間に発生する抗力が、1段構造の表面処理層を有する原子炉用制御棒と該原子炉用制御棒が挿入される燃料集合体の案内部材との間に発生する抗力以内となる長さとしたことを特徴とする原子炉用制御棒。
  2. 請求項1に記載の原子炉用制御棒において、
    前記原子炉用制御棒と前記原子炉用制御棒が挿入される燃料集合体の案内部材との間に発生する前記抗力を、26.8kg以内としたことを特徴とする原子炉用制御棒。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の原子炉用制御棒において、
    前記案内部材の初期変位量、前記案内部材の長手方向の横剛性及び前記原子炉用制御棒の長手方向の横剛性から、前記原子炉用制御棒の挿入後における、前記案内部材と前記原子炉用制御棒との間の横荷重と変位の関係が釣り合う前記案内部材及び前記原子炉用制御棒の強制変位量を求め、
    前記強制変位量における反力から、挿入時又は引き抜き時における前記原子炉用制御棒に発生する前記案内部材との摩擦力を求め、
    求められた前記摩擦力を、該原子炉用制御棒と前記案内部材との間に発生する前記抗力とすることを特徴とする原子炉用制御棒。
  4. 請求項3に記載の原子炉用制御棒において、
    該原子炉用制御棒の長手方向の横剛性として、実測値を用いることを特徴とする原子炉用制御棒。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の原子炉用制御棒において、
    表面処理層の膜厚が連続的に変化する前記所定長さを、該原子炉用制御棒を引き上げたときに、該原子炉用制御棒に近接する該原子炉用制御棒の案内部材の最下端を始点として、先端側へ最大40mmまでとしたことを特徴とする原子炉用制御棒。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2010119840A1 (ja) * 2009-04-14 2010-10-21 三菱重工業株式会社 原子炉
JP2012141207A (ja) * 2010-12-28 2012-07-26 Global Nuclear Fuel-Japan Co Ltd 軸方向沸騰遷移位置の予測方法

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