JP3948153B2 - 燃料集合体及び沸騰水型原子炉炉心並びにその運転方法 - Google Patents

燃料集合体及び沸騰水型原子炉炉心並びにその運転方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高転換炉炉心に好適な沸騰水型原子炉(BWR)炉心およびこれを構成する燃料集合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
BWR炉心では、核分裂反応によりウラン−235(U−235)などの核分裂性物質が消費される。また、ウラン−238(U−238)の中性子吸収によりプルトニウム−239(Pu−239)等の新たな核分裂性物質が生成される。燃料集合体の炉心装荷前における核分裂性物質量に対する使用済燃料集合体の取り出し時における核分裂性物質量の比を、転換比と呼ぶ。この転換比は通常の軽水炉では約0.5 である。これまで、ウラン資源を節約するために、転換比を高めることが検討されている。
【0003】
転換比を高める第1の従来技術が、特開平1−227993 号公報に記載されている。同公報には、燃料棒間隔を1〜2mmの稠密配置として、燃料集合体の実効的な水対燃料体積比を0.4以下とすることにより、転換比を1.0近傍に高める炉心(以下、高転換炉炉心という)が記載されている。また、ウラン(U)にプルトニウム(Pu)を混合した混合燃料(以下、単に混合燃料という)が充填された燃料集合体のみで構成した炉心と、混合燃料が充填された燃料集合体及び濃縮ウランが充填された燃料集合体で構成した炉心も記載されている。
【0004】
上記燃料集合体の水対燃料体積比は、燃料が装荷されている領域のうち、燃料が占める体積に対する水が占める体積の割合を意味する。正確には、燃料集合体の燃料有効部(燃料が装荷されている領域)の横断面において、燃料が占める面積に対する水が占める面積の比として定義される。実効的な水対燃料体積比は、水密度の変化なども反映した水対燃料体積比である。また、炉心の水対燃料体積比は、炉心を構成する燃料集合体の水対燃料体積比の平均として定義される。
【0005】
一般に、混合燃料の装荷方法は、原子炉の炉心特性に影響する。例えば、通常のBWRのように、炉心の実効的な水対燃料体積比が2.0 近傍の場合、混合燃料からなる炉心のボイド係数は、濃縮ウランからなる炉心のボイド係数よりも負側の値となる。しかし、転換比を高めるために水対燃料体積比を小さくすると、ボイド係数の絶対値は小さくなる。このため、第1の従来技術で水対燃料体積比が0.4 の場合、ボイド係数は正の値となる。
【0006】
負のボイド係数を維持して転換比を高める特開平8−21890号公報に記載されている。同公報には、燃料集合体の混合燃料が充填されている領域(ミート部)の軸方向長さを40〜140cmの範囲に短くすることにより、炉心からの中性子の漏洩量の変化を大きくして、ボイド係数を負にする技術が記載されている。また、燃料集合体の上端及び下端に、劣化ウランが充填されている領域(ブランケット部)を設けた構成が記載されている。この場合、ミート部の軸方向長さに対するブランケット部の軸方向長さの比率は、0.82〜1.54の例が記載されている。
【0007】
また、自己原子炉で生産するPuのみでPu燃料を補充する高転換炉炉心に関する第3の従来技術が、特開昭62−73194 号公報に記載されている。この場合、燃料集合体の最外周の1〜3列の一部又は全部にU燃料棒を装荷し、それ以外にPuを含む燃料棒を装荷している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、第2の従来技術には、以下の問題が存在する。第1に、中性子が漏れ易い炉心であるため、定常状態における中性子の漏洩量が増大して反応度が低下し、燃料コストが増大する。
【0009】
第2に、燃料の再処理時にミート部とブランケット部が混ざって処理されるため、Pu富化度(以下、単に富化度という)の低い混合燃料が生成される。このため、燃料として使用するためには、再度濃縮する再濃縮工程が必要となるので、再処理コストが増大する。
【0010】
第3に、ミート部の核分裂性Puが消費され、反応度を維持するための必要量に足りなくなった時点で、ブランケット部はミート部と一緒に炉心から取り出される。このため、ブランケット部によるPuの回収効率が悪くなり、再処理コストが増大する。
【0011】
また、第3の従来技術では、上記の中性子の漏洩やPuの回収効率については考慮されていない。
【0012】
本発明の第1の目的は、転換比を1近傍に維持しつつボイド係数を負にでき、且つ反応度を増大して燃料コストを低減できる燃料集合体及び沸騰水型原子炉炉心並びにその運転方法を提供することにある。
【0013】
本発明の第2の目的は、転換比を1近傍に維持しつつボイド係数を負にでき、且つ再処理コストを低減できる燃料集合体および沸騰水型原子炉炉心を提供することにある。
【0014】
なお、本明細書では、転換比を1近傍に維持するとは、転換比を0.8以上に維持することを指す。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記第1の目的を達成するための第1の発明は、軽水を減速材として用い、水対燃料体積比が1.5 以下であり、ウランにプルトニウムが富化された混合燃料が充填された複数のプルトニウム燃料棒と、プルトニウムが富化されていないウランが充填された複数のウラン燃料棒とを備えた燃料集合体において、前記燃料集合体の最外周(最外層)の燃料棒とチャンネルボックスとの間隔(以下、クリアランスという)の平均値が、2mm以上となるように構成する。
【0016】
第1の目的を達成するための第2の発明は、第1の発明において、前記複数のウラン燃料棒を、前記最外周および最外周から2列目のうち少なくとも最外周に配置する。
【0017】
第1及び第2の目的を達成するための第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記プルトニウム燃料棒が、前記混合燃料またはプルトニウムが富化されていない濃縮ウランが充填された領域であるミート部を軸方向の全長に有する。
第1の目的を達成するための第4の発明は、ウランにプルトニウムが富化された混合燃料またはプルトニウムが富化されていない濃縮ウランが充填された領域であるミート部を有する複数の第1燃料棒が装荷された複数の第1燃料集合体と、プルトニウムが富化されていない劣化ウラン,減損ウランまたは天然ウランが充填された領域であるブランケット部を有する複数の第2燃料棒が装荷された複数の第2燃料集合体と、前記第1および第2燃料集合体の間の水領域に挿入されることにより該水領域内の水を排除する複数のフォロアとを備えた沸騰水型原子炉炉心において、前記第1燃料棒が前記ブランケット部も有し、該第1燃料棒内の前記ミート部の軸方向長さに対する前記ブランケット部の軸方向長さの比率が、1/3以下となるように構成する。
【0018】
第1及び第2の目的を達成するための第5の発明は、ウランにプルトニウムが富化された混合燃料またはプルトニウムが富化されていない濃縮ウランが充填された領域であるミート部を有する複数の第1燃料棒が装荷された複数の第1燃料集合体と、プルトニウムが富化されていない劣化ウラン,減損ウランまたは天然ウランが充填された領域であるブランケット部を有する複数の第2燃料棒が装荷された複数の第2燃料集合体と、前記第1および第2燃料集合体の間の水領域に挿入されることにより該水領域内の水を排除する複数のフォロアとを備えた沸騰水型原子炉炉心において、前記第1燃料棒は軸方向の全長に前記ミート部を有し、前記第2燃料棒は軸方向の全長に前記ブランケット部を有する。
【0019】
第1の目的を達成するための第6の発明は、水よりも中性子の減速能が小さな物質で構成されたフォロアを燃料集合体間の水領域に挿入して原子炉炉心を運転する沸騰水型原子炉炉心の運転方法において、運転サイクルの初期に前記フォロアを前記水領域に挿入し、該運転サイクルの末期にかけて前記フォロアを前記水領域から引き抜く。
【0020】
以下、本発明による作用を説明する。初めに、ボイド係数について説明する。炉心のボイド係数は、減速材(軽水)のボイド率の変化に対する炉心の実効増倍率の変化割合である。実効増倍率は、中性子無限増倍率と中性子の漏洩量で決定される。また、ボイド率の変化に対する炉心の中性子無限増倍率の変化割合は、炉心に装荷される各燃料集合体のボイド係数の出力平均にほぼ比例する。燃料集合体のボイド係数は、ボイド率の変化に対する燃料集合体の中性子無限増倍率の変化割合である。
【0021】
更に、燃料集合体のボイド係数は、燃料集合体内の各燃料棒のボイド係数の出力平均にほぼ比例する。燃料棒のボイド係数は、ボイド率の変化に対する燃料棒の中性子無限増倍率の変化割合である。炉心を設計する際には、第1に燃料集合体のボイド係数を負にするように設計される。燃料集合体のボイド係数が負にならない場合には、炉心のボイド係数を負にするように設計される。
【0022】
以下、第1の発明によるボイド係数への作用を説明する。ボイド率の変化に対する燃料棒の中性子無限増倍率の変化割合が、燃料棒のボイド係数である。このため、燃料棒の周りに存在する沸騰水領域が広くなるほど、ボイド率の変化による影響が増大し、その燃料棒のボイド係数の絶対値は大きくなる。また、燃料集合体の最外周部は熱中性子束が高いため、Pu燃料棒でも燃料棒のボイド係数が負になる。
【0023】
従って、第1の発明のように、クリアランスを2mm以上に大きくすることにより、最外周の燃料棒周りの沸騰水領域を増大できるので、後述するように、転換比を1近傍に維持しつつ、燃料集合体のボイド係数を負にできる。この燃料集合体で炉心を構成することにより、炉心のボイド係数を負にできる。
【0024】
次に、第2の発明によるボイド係数への作用を説明する。高転換炉炉心のように、水対燃料体積比が小さくなると、Pu燃料棒のボイド係数は、負の値の絶対値が小さくなるか又は正の値になる。一方、U燃料棒のボイド係数は負のままである。また、燃料集合体の最外周部はその内側よりも熱中性子束が高いので、最外周部に位置する燃料棒の出力はその内側に位置する燃料棒の出力よりも高くなる。燃料集合体のボイド係数は各燃料棒のボイド係数の出力平均にほぼ比例するため、燃料集合体のボイド係数に及ぼす影響は、最外周部の燃料棒の方がその内側の燃料棒よりも大きくなる。
【0025】
従って、第2の発明のように、U燃料棒を最外周及び最外周から2列目のうち少なくとも最外周に配置することにより、燃料集合体の負のボイド係数の絶対値をより大きくできる。即ち、この燃料集合体で炉心を構成しても、炉心のボイド係数を負にできる。
【0026】
次に、第1及び第2の発明による燃料コストへの作用を説明する。上記したように、第1及び第2の発明によれば、従来のようにミート部の軸方向長さを短くして中性子の漏洩量を増大せずに、炉心のボイド係数を負にできる。従って、従来よりも炉心のミート部の軸方向長さを長くした、中性子の漏洩量の少ない炉心を構成できるので、炉心の反応度を増加して、燃料コストを低減できる。
【0027】
次に、第3の発明による再処理コストへの作用を説明する。第3の発明のように、プルトニウム燃料棒がミート部を軸方向の全長に有することにより、燃料の再処理時にPu燃料棒とU燃料棒を分別処理できるので、Pu燃料をU燃料によって希釈せずに再処理できる。従って、従来必要であった再濃縮工程が省けるので、再処理コストを低減できる。尚、第3の発明によるボイド係数及び燃料コストへの作用は、第1又は第2の発明と同じである。
【0028】
次に、第4〜第6の発明によるボイド係数及び燃料コストへの作用を説明する。一般に、水対燃料体積比が大きいほど、反応度は増加し、転換比は減少する。逆に、水対燃料体積比が小さいほど、反応度は減少し、転換比は増加する。
【0029】
従って、第6の発明のように、運転サイクルの初期にフォロアを炉心に挿入し、運転サイクルの末期にかけてフォロアを炉心から引き抜くことにより、反応度が余る初期ではフォロアの挿入によって水を排除して転換比を増加させ、反応度が不足する末期ではフォロアの引き抜きによって反応度を増加させることができる。こうして反応度に余裕を持たせることにより、富化度を低減できる。よって、転換比を1近傍に維持しつつ、炉心のボイド係数を負にできる。
【0030】
この結果、第4及び第5の発明のように、従来よりも炉心のミート部の軸方向長さを長くして中性子の漏洩量を少なくしても、転換比を1近傍に維持しつつ、炉心のボイド係数を負にできる。
【0031】
上記したように、第4〜第6の発明によれば、従来のようにミート部の軸方向長さを短くして中性子の漏洩量を増大せずに、炉心のボイド係数を負にできる。従って、従来よりも炉心のミート部の軸方向長さを長くした、中性子の漏洩量の少ない炉心を構成できるので、炉心の反応度を増加して、燃料コストを低減できる。尚、第4及び第5の発明において、第1燃料集合体に第1又は第2の発明を適用しても、同様な効果が得られる。
【0032】
次に、第5の発明による再処理コストへの作用を説明する。第5の発明のように、第1燃料棒が軸方向の全長にミート部を有し、第2燃料棒が軸方向の全長にブランケット部を有することにより、燃料の再処理時にPu燃料棒とU燃料棒を分別処理できるので、Pu燃料をU燃料によって希釈せずに再処理できる。従って、従来必要であった再濃縮工程が省けるので、再処理コストを低減できる。
【0033】
更に、第5の発明の場合、第1燃料集合体はミート部のみからなり、第2燃料集合体はブランケット部のみからなる。ブランケット部は反応度に寄与しないため、燃料棒の破損などがなければ、第2燃料集合体は長期間に亘って炉心内に滞在させることができる。従って、ブランケット部に多くのPuを蓄積させた後で、この第2燃料集合体を取り出すことができる。このため、Puの回収効率を向上し、再処理コストを低減できる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、図1を用いて、本発明を高転換炉炉心用の燃料集合体に適用した第1実施例を説明する。図1は、第1実施例の燃料集合体の概略横断面図である。本燃料集合体は、格子サイズが現行の改良型沸騰水型原子炉(ABWR)の約1.4 倍の大きさを有し、水対燃料体積比を1.5 以下にしたものである。
【0035】
図1において、1と2は、ウランにPu(またはPuとアクチノイド核種)が富化された混合燃料が充填されたPu燃料棒、3と4は、Puが富化されていないウランが充填されたU燃料棒である。Pu燃料棒1及び2の富化度は、9.0 及び5.5wt%である。U燃料棒3及び4の濃縮度は、5.0 及び3.0wt%である。
【0036】
混合燃料は、劣化ウラン,減損ウラン,天然ウラン,低濃縮ウランのうち少なくとも1つを含む。Puが富化されていないウランは、劣化ウラン,減損ウラン,天然ウラン,濃縮ウランのうち少なくとも1つを含む。天然ウランは、U− 235の濃縮度(以下、単に濃縮度という)が0.71wt% のウランである。濃縮ウランは、濃縮度が天然ウランよりも高いウランである。低濃縮ウランは、0.71<濃縮度≦2.0wt%を満たすウランである。劣化ウランは、濃縮ウラン製造時に残るウランである。減損ウランは、使用済み燃料から回収されるウランである。
【0037】
これらの燃料棒が、四角筒状のチャンネルボックス10内に稠密三角格子状に配列されている。図1に示すように、横方向に配列された燃料棒の数が15本の第1列と14本の第2列が存在する。第1列及び第2列が縦方向に交互に配列され、全部で17列の燃料棒(247本)が配置されている。現行のABWRのチャンネルボックスの内幅が約132〜134mmであるので、図1のチャンネルボックス10の内幅は約185〜188mm程度になる。また、最外周の燃料棒とチャンネルボックスとの間隔(クリアランス)は、約2mmである。
【0038】
図1に示すように、燃料集合体の最外周部10a(図1に実線で示した領域)にはU燃料棒が配置され、その内側にPu燃料棒が配置されている。U燃料棒4は、各コーナー部に4本ずつ、合計16本が配置されている。U燃料棒3は、図1の上下2辺の最外周(最外層)に11本ずつ、左右2辺の最外周および最外周から2列目に11本ずつ、合計44本が配置されている。Pu燃料棒2は、図1の右上及び左下のコーナー部におけるU燃料棒4の内側に2本ずつ、合計4本が配置されている。183本のPu燃料棒1が、Pu燃料棒2,U燃料棒3及び4の内側に配置されている。
【0039】
初めに、クリアランスとボイド係数との関係について説明する。図1における縦方向のクリアランスをW1,横方向のクリアランスをW2とし、クリアランスと燃料集合体のボイド係数との関係を求めた解析例を図7に示す。図7で、横軸は2つのクリアランスW1及びW2の平均値である。また、P1及びP2は従来のクリアランス(約1.13mm )におけるボイド係数に対応し、縦軸はP1に対するボイド係数の相対値である。なお、図7には、後述するタイプの異なる第3実施例の場合も示している。
【0040】
従来の高転換炉炉心では、水対燃料体積比を小さくするために、クリアランスは小さくなっていた。これに対して、図7に示すように、クリアランスが増大するほどボイド係数は減少する。燃料のタイプによってボイド係数が負になるクリアランスは多少異なるが、図7からクリアランスを約2mm以上にすれば、負のボイド係数が得られることが解る。本実施例では、クリアランスW1およびW2を約2mmにすることにより、転換比を1近傍に維持しつつ燃料集合体のボイド係数を負にできる。
【0041】
この理由を、以下に説明する。核分裂反応は、中性子減速材及び中性子吸収材として作用する水の密度により影響を受ける。炉心において水密度即ちボイド率が変化する領域は、図1のチャンネルボックス10内で燃料棒を除く領域(以下、沸騰領域という)12である。沸騰領域12のボイド率の変化が、各燃料棒の核分裂反応に影響を及ぼす。このボイド率の変化による燃料棒の中性子無限増倍率の変化の割合が、燃料棒のボイド係数である。
【0042】
従って、ある燃料棒の周りに存在する沸騰領域12の断面積が大きくなるほど、ボイド率の変化による影響が増大し、その燃料棒のボイド係数の絶対値は大きくなる。よって、クリアランスを増大すれば、最外周部10aの燃料棒は、周りの沸騰領域12の断面積が増大し、ボイド係数の絶対値が大きくなる。
【0043】
チャンネルボックス10の外側のギャップ水領域11には、中性子の減速材である冷却水(軽水)が存在する。このため、チャンネルボックス10に近い最外周部10aは、その内側よりも熱中性子束が高い領域となるので、Pu燃料棒でも燃料棒のボイド係数が負になる。
【0044】
よって、クリアランスを増大することにより、この負のボイド係数の絶対値が大きくなり、燃料集合体のボイド係数は負の方向に変化する。従って、クリアランスを2mm以上に大きくすれば、最外周にPu燃料棒を装荷しても、転換比を1近傍に維持しつつ燃料集合体のボイド係数を負にできる。
【0045】
次に、U燃料棒を最外周部10aに配置した効果について説明する。この効果を説明するための比較例の概略横断面図を、図3に示す。本比較例では、最外周部にもPu燃料棒を配置している。即ち、本比較例は、図1のU燃料棒3及び4を、Pu燃料棒5及び6に置き換えたものである。その他の構成は、図1と同じである。Pu燃料棒5及び6の富化度は、5.0及び3.0wt%である。これにより、Pu燃料棒5及び6の核分裂性物質濃度を、図1のU燃料棒3及び4の核分裂性物質濃度に一致させている。
【0046】
図2に、本実施例と比較例のボイド係数を比較した解析結果を示す。同図のように、最外周部にPu燃料棒を配置した比較例ではボイド係数が正であるが、最外周部にU燃料棒を配置した本実施例ではボイド係数が負になることが解る。
【0047】
この理由を以下に説明する。高転換炉炉心のように、水対燃料体積比が小さくなると、Pu燃料棒のボイド係数は、負の値の絶対値が小さくなる、又は正の値になる傾向がある。一方、U燃料棒のボイド係数は負のままである。また、燃料集合体のボイド係数は、燃料集合体内の各燃料棒のボイド係数の出力平均にほぼ比例する。従って、Pu燃料棒だけで構成した比較例に比べて、Pu燃料棒及びU燃料棒で構成した本実施例の方が、燃料集合体のボイド係数は負になる方向にある。
【0048】
前述したように、燃料集合体の最外周部10aは熱中性子束が高いので、最外周部10aの燃料棒出力は、その内側の燃料棒出力よりも高くなる。燃料集合体のボイド係数は、各燃料棒のボイド係数の出力平均にほぼ比例するため、燃料集合体のボイド係数に及ぼす影響は、最外周部10aの燃料棒の方がその内側の燃料棒よりも大きくなる。従って、本実施例のように、最外周部10aにU燃料棒を配置することにより、燃料集合体のボイド係数を負にできる。
【0049】
次に、図4を用いて、U燃料棒の装荷位置と燃料集合体のボイド係数との関係を説明する。同図では、U燃料棒の装荷位置を変えた4つのケースA〜Dを比較している。図4の縦軸は、ケースAを基準にした相対的なボイド係数である。
【0050】
ケースAは、図3のように全燃料棒をPu燃料棒とした場合である。ケースBは、図3において、最外周の燃料棒のみをU燃料棒に置き換えた場合である。ケースCは、図3において、最外周から2列目までの全ての燃料棒のみをU燃料棒に置き換えた場合である。ケースDは、図3において、最外周から3列目までの全ての燃料棒のみをU燃料棒に置き換えた場合である。但し、U燃料棒の濃縮度は、置き換えるPu燃料棒の富化度と同じにしている。
【0051】
図4に示すように、ケースA,B,C,Dのボイド係数は、1.0,0.14,−0.09,−0.13となる。即ち、ボイド係数は、ケースA,B,C,Dの順に減少する。ケース間のボイド係数の減少割合は、A〜Bが最大で、B〜C,C〜Dの順に小さくなる。これは、最外周に近い位置の方がギャップ水領域に近く、U燃料棒を配置したときのボイド係数の低減効果が大きいためである。
【0052】
図4の結果から、最外周から2列目までの全ての燃料棒をU燃料棒にすれば、燃料集合体のボイド係数を負にできることが解る。一方、U燃料棒の数を増やし過ぎると、ボイド係数は負の方向に変化するが、Pu燃料に比べて転換比の小さなU燃料の割合が増加するため、炉心全体の転換比は減少する。
【0053】
従って、燃料集合体内の全燃料棒に対する最外周部に配置されるU燃料棒の本数割合(以下、単にU燃料棒割合という)は、ボイド係数と転換比の両方を考慮して決める必要がある。1近傍の転換比と負のボイド係数の2つの条件を満たすためには、U燃料棒割合を図4のケースBとCの間に設定すべきである。
【0054】
ケースBの場合、U燃料棒割合は、44/247=0.18 となる。ケースCの場合、U燃料棒割合は、84/247=0.34 となる。即ち、上記2つの条件を満たすためには、U燃料棒割合が18%よりも大きく34%以下の範囲内となるように構成すべきである。
【0055】
本実施例の場合、図1のように、U燃料棒割合を60/247=0.24 にして、燃料集合体のボイド係数を負にしている。即ち、前述したように、クリアランスを2mm以上に大きくするとともに、最外周部にU燃料棒を配置したことにより、燃料集合体の負のボイド係数をより大きくしている。
【0056】
次に、図5を用いて、本発明を高転換炉炉心用の燃料集合体に適用した第2実施例を説明する。図5は、第2実施例の燃料集合体の概略横断面図である。本実施例でも、第1実施例と同じ4種類の燃料棒が稠密三角格子状に配列され、水対燃料体積比は1.5 以下である。
【0057】
本実施例が第1実施例と異なる点は、燃料集合体の大きさと燃料棒の数である。本燃料集合体は、格子サイズが現行のABWRの約2倍の大きさを有している。即ち、本実施例のチャンネルボックスの内幅は、約264〜268mm程度である。この格子サイズは、第1実施例の約1.4倍の大きさである。
【0058】
図5に示すように、本実施例の場合、横方向に配列された燃料棒の数が21本の第1列と20本の第2列が存在する。第1列及び第2列が縦方向に交互に配列され、全部で25列の燃料棒(513本)が配置されている。また、クリアランスは約2mmである。
【0059】
燃料集合体の最外周のみにU燃料棒が配置され、その内側にPu燃料棒が配置されている。U燃料棒4は、最外周の各コーナー部に3本ずつ、合計12本が配置されている。U燃料棒3は、図5の最外周の上下2辺に17本ずつ、左右2辺に9本ずつ、合計52本が配置されている。
【0060】
Pu燃料棒2は、図5の右上及び左下のコーナー部におけるU燃料棒の内側に4本ずつ、右下及び左上の最外周から2列目のコーナーに1本ずつ、合計10本が配置されている。439本のPu燃料棒1が、Pu燃料棒2、U燃料棒3及び4の内側に配置されている。
【0061】
本実施例のU燃料棒割合は、64/513=0.12 である。解析の結果、このU燃料棒割合でも、負のボイド係数が得られることが解った。即ち、本実施例でも、第1実施例と同様に、転換比を1近傍に維持しつつ,燃料集合体のボイド係数を負にできる。
【0062】
本実施例のように格子サイズが大きい場合、最外周及び最外周から2層目に装荷されるU燃料棒のU燃料棒割合は、格子サイズが小さい場合に比べて相対的に小さくなる。U燃料棒割合を変えて行った解析の結果、図5のように格子サイズが大きい場合、U燃料棒割合が10%以上35%以下の範囲内において、同様な効果が得られることが判った。
【0063】
次に、図6を用いて、本発明を高転換炉炉心用の燃料集合体に適用した第3実施例を説明する。図6は、第3実施例の燃料集合体の概略横断面図である。本実施例では、燃料集合体の大きさと燃料棒の数は第1実施例と同じである。即ち、本実施例でも、格子サイズ,クリアランス及び水対燃料体積比は、第1実施例と同じである。本実施例が第1実施例と異なる点は、燃料棒の種類である。
【0064】
図6に示すように、Pu燃料棒5及び7の富化度は、5.0及び10.0wt%である。U燃料棒8の濃縮度は、0.71wt%(天然ウラン)である。本実施例では、図1に10aで示した最外周部に60本のU燃料棒8が配置され、その内側にPu燃料棒5及び7が配置されている。Pu燃料棒5は、図6の右上及び左下のコーナー付近におけるU燃料棒8の内側に5本ずつ、合計10本が配置されている。177本のPu燃料棒7が、Pu燃料棒5及びU燃料棒8の内側に配置されている。
【0065】
本実施例でも、クリアランスを約2mmにするとともに、最外周部にU燃料棒を配置したことにより、転換比を1近傍に維持しつつ、燃料集合体のボイド係数を負にできる。
【0066】
以上説明した第1〜第3実施例の何れかの燃料集合体を用いて炉心を構成することにより、炉心のボイド係数を負にできる。このようにして構成された炉心では、従来のようにミート部の軸方向長さを短くして中性子の漏洩量を増大せずに、炉心のボイド係数を負にできる。従って、従来よりも炉心のミート部の軸方向長さを長くした、中性子の漏洩量の少ない炉心を構成できるので、炉心の反応度を増加して、燃料コストを低減できる。
【0067】
次に、図8を用いて、本発明を高転換炉炉心の運転方法に適用した第4実施例を説明する。図8は第4実施例の運転方法を適用する原子炉炉心の概略構成図で、(a)は横断面図、(b)は(a)のA−A断面図である。従来例である現行のBWR炉心では、反応度制御のために制御棒又はガドリニアを用いている。これに対して、本実施例では、高転換炉炉心の反応度制御のために、サイクル初期にフォロアを炉心に挿入し、サイクル末期にかけてフォロアを炉心から引き抜くように制御する。
【0068】
図8(a)に示すように、断面が十字形状のフォロア30が断面の外形が正方形状の燃料集合体の間の水領域に配置され、炉心内にほぼ均等に配置されたフォロア30がこの水領域内に挿入される。フォロア30は、軽水よりも中性子の減速能が小さな物質(例えば、炭素,重水素,ベリリウム,ジルコニウム合金,ステンレスなど)で構成されている。
【0069】
図8(b)に示すように、燃料集合体は、軸方向の全長がミート部(ウランに Puが富化された混合燃料、又はPuが富化されていない濃縮ウランが装荷されている領域)である燃料集合体20と、軸方向の全長がブランケット部(Puが富化されていない劣化ウラン,減損ウラン又は天然ウランが装荷されている領域)である燃料集合体21とからなる。
【0070】
燃料集合体21は、炉心の中心部,最外層,最外周から3層目付近の領域、及び最外周から7層目付近の領域に配置されて、ブランケット部を構成している。燃料集合体20は、それ以外の領域に配置されて、ミート部を構成している。
【0071】
ここで、従来例による制御棒及びガドリニアを用いた反応度制御と、本実施例によるフォロアを用いた反応度制御の違いを説明する。制御棒及びガドリニアは、中性子を吸収することにより炉心の反応度を抑える。一方、フォロアは、中性子の吸収によらず、水を排除して水対燃料体積比を変化させることにより、炉心の反応度を制御する。
【0072】
一般に、水対燃料体積比が小さいほど反応度は減少し、水対燃料体積比が大きいほど反応度は増加する。同時に、水対燃料体積比が小さいほど転換比が増加し、水対燃料体積比が大きいほど転換比が減少する。従って、フォロアを炉心に挿入することにより、反応度の減少及び転換比の増加が図れる。
【0073】
ここで、本実施例と従来例による反応度への影響を、図9を用いて比較する。図9は、原子炉の運転サイクルと反応度の関係を示し、(a)が従来例、(b)が本実施例に対応する。初めに、従来例(現行のBWR)の反応度の制御について説明する。一般に、原子炉で燃料として用いられるUやPu等の核分裂性物質は、熱出力の発生に伴って次第に減少する。このため、定期的に原子炉の運転を止め、核分裂性物質を補う必要がある。
【0074】
図9(a)の点線は、炉心に装荷された燃料(核分裂性物質)のみによる反応度の変化を表している。この反応度は、サイクル初期では新たに装荷された燃料が存在するため高く、サイクル末期にかけて燃焼が進むに伴って減少する。しかし、実際には、反応度を一定に保たなければ炉心は不安定になるので、矢印で示すように制御棒又はガドリニアによってサイクル初期の反応度を抑え、炉心全体の反応度を実線のように一定にしている。この場合、一定の反応度は、点線で示す反応度の最小値にほぼ等しくなる。
【0075】
次に、本実施例による反応度の制御について説明する。図9(b)でも、点線で示す燃料(核分裂性物質)のみによる反応度の変化は、図9(a)と同じである。尚、図9(a)及び(b)の反応度は、点線で示す反応度の最小値を基準とする相対値で示している。
【0076】
本実施例では、反応度を一定にするために、サイクル初期に炉心にフォロアを挿入して、下向き矢印で示すように反応度を抑制する。これと同時に、転換比が増加してPuが蓄積される。この結果、実線で示す炉心の反応度は、上向き矢印で示すPuの蓄積分だけ、点線で示す反応度の最小値よりも高くなる。
【0077】
即ち、フォロアをサイクル初期に炉心に挿入し、サイクル末期にかけて引き抜くことにより、従来よりも高い反応度が得られる。こうして、反応度に余裕を持たせることにより、富化度を低減できる。この結果、転換比を1近傍に維持しつつ、炉心のボイド係数を負にできる。
【0078】
即ち、従来のようにミート部の軸方向長さを短くして中性子の漏洩量を増大させなくても、炉心のボイド係数を負にできる。従って、図8のように、従来よりも炉心のミート部の軸方向長さを長くした、中性子の漏洩量の少ない炉心を構成できるので、炉心の反応度を増加して、燃料コストを低減できる。
【0079】
また、ミート部の軸方向長さを長くでき、軸方向への中性子の漏洩量が少なくなるため、従来のようにブランケット部を軸方向の上下端に設ける必要はない。この結果、図8のように、炉心の径方向において、ブランケット部をミート部とは独立に設けることができる。ブランケット部は反応度に寄与しないため、燃料棒の破損などが起きない限り、燃料集合体21(ブランケット部)は長期間に亘って炉心内に滞在させることができる。
【0080】
従って、本実施例では、従来のミート部と一緒に炉心から取り出されるブランケット部に比べて、ブランケット部に多くのPuを蓄積させた後で、燃料集合体21を炉心から取り出すことができる。このため、Puの回収効率を向上して、再処理コストを低減できる。また、ブランケット部のみを分別再処理できる利点もある。
【0081】
図8の燃料集合体20は、図10の概略縦断面図に示すように、UとPuの混合燃料のみが充填されたPu燃料棒1aと、濃縮ウラン燃料のみが充填されたU燃料棒3aとから構成される。即ち、燃料集合体20は、ミート部のみから構成され、ブランケット部を含まない。燃料集合体20としては、図1又は図5に示した燃料集合体を用いることができる。尚、図10では、簡単のために、燃料棒の数を間引いて表示している。
【0082】
ブランケット部を上下端に有する従来の燃料集合体の場合、Pu燃料とU燃料は混ざって再処理され、富化度の低い混合燃料が生成される。この場合、燃料として使用するためには、再度濃縮するための再濃縮工程が必要であった。一方、図10の燃料集合体の場合、Pu燃料棒1aとU燃料棒3aを分別処理できるため、Pu燃料をU燃料によって希釈せずに再処理できる。従って、従来必要であった再濃縮工程が省けるため、再処理コストを低減することができる。
【0083】
また、燃料集合体20にブランケット部を設けることも可能である。この場合には、ブランケット部の軸方向長さは、現行のBWR用燃料集合体(ステップIII燃料と呼ばれている)と同等の長さで十分と考えられる。現行では、燃料有効長さ(燃料が充填されている軸方向長さ)の3/24がブランケット部であり、高転換炉炉心では、炉心の軸方向長さは現行のBWR炉心の1/2程度に考えられている。即ち、ミート部の軸方向長さに対するブランケット部の軸方向長さの比率(以下、ブランケット割合という)は、(2×3/24)/(1−2×3/24)=1/3程度で十分である。
【0084】
従って、燃料集合体20にブランケット部を設ける場合でも、ブランケット割合を1/3以下とすることにより、同様の効果が得られる。この場合、例えば、図10の燃料棒の上端及び下端にブランケット部を設け、このブランケット割合が1/3以下となるように構成すれば良い。尚、この第4実施例の運転方法は、高転換炉炉心だけでなく、水対燃料体積比が1.5以上のBWR炉心にも適用可能である。
【0085】
次に、図11を用いて、本発明を高転換炉炉心の運転方法に適用した第5実施例を説明する。図11は第5実施例の運転方法を適用する原子炉炉心の概略構成図で、(a)は横断面図、(b)は(a)のA−A断面図である。本実施例は、図8の第4実施例において、燃料集合体の断面形状を正方形から正六角形に変え、フォロアの断面形状を十字形からY字形に変えたものである。本実施例でも、第4実施例と同様に、サイクル初期にフォロアを炉心に挿入し、サイクル末期にかけてフォロアを炉心から引き抜くように制御する。
【0086】
図11(a)に示すように、断面がY字形状のフォロア30aが、断面の外形が正六角形状の燃料集合体の間に配置され、このフォロア30aが炉心内に挿入される。図11(b)に示すように、燃料集合体は、軸方向の全長がミート部である燃料集合体20aと、軸方向の全長がブランケット部である燃料集合体21aとからなる。
【0087】
燃料集合体21aは、炉心の中心,最外層,最外周から5層目及び9層目に配置されて、ブランケット部を構成している。燃料集合体20aは、それ以外の領域に配置されて、ミート部を構成している。尚、図11(a)でフォロア30aは1つしか示していないが、実際には、図8(a)のように炉心内にほぼ均等に配置されている。
【0088】
図11のフォロア30a周りの詳細を、図12を用いて説明する。図12は、燃料集合体20aの間に配置されたフォロア30a周りの詳細を示す概略横断面図である。燃料集合体20aは、最外層にU燃料棒3bが装荷され、その内側の全領域にPu燃料棒1bが装荷されている。このU燃料棒割合は、48/217=0.22 である。また、燃料集合体20aは、クリアランスを約2mmに設定している。
【0089】
従って、本実施例でも、第1〜第4実施例と同様の効果を得ることができる。更に、本実施例の場合、正六角形状の燃料集合体を用いたことにより、第4実施例に比べてクリアランスが一定となるため、最外周部の出力分布がより均一になるという利点がある。
【0090】
【発明の効果】
第1〜第6の発明によれば、転換比を1近傍に維持しつつ炉心のボイド係数を負にできると共に、反応度を増大して燃料コストを低減できる。
【0091】
第3及び第5の発明によれば、転換比を1近傍に維持しつつ炉心のボイド係数を負にできると共に、再処理コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を高転換炉炉心用の燃料集合体に適用した第1実施例の概略横断面図。
【図2】第1実施例と比較例のボイド係数を示す図。
【図3】比較例の燃料集合体の概略横断面図。
【図4】U燃料棒の装荷位置と燃料集合体のボイド係数との関係図。
【図5】本発明を高転換炉炉心用の燃料集合体に適用した第2実施例の概略横断面図。
【図6】本発明を高転換炉炉心用の燃料集合体に適用した第3実施例の概略横断面図。
【図7】クリアランスと燃料集合体のボイド係数との関係図。
【図8】本発明を高転換炉炉心の運転方法に適用した第4実施例の炉心の概略構成図で、(a)は横断面図、(b)は(a)のA−A断面図。
【図9】原子炉の運転サイクルと反応度の関係を示す図で、(a)は従来例、(b)は第4実施例を示す。
【図10】図8の燃料集合体20の概略縦断面図。
【図11】本発明を高転換炉炉心の運転方法に適用した第5実施例の炉心の概略構成図で、(a)は横断面図、(b)は(a)のA−A断面図。
【図12】図11のフォロア周りの詳細を示す概略横断面図。
【符号の説明】
1,1a,1b,2,5,6,7…Pu燃料棒、3,3a,3b,4,8…U燃料棒、10…チャンネルボックス、10a…最外周部、11…ギャップ水領域、12…沸騰領域、20,20a,21,21a…燃料集合体、30,30a…フォロア。

Claims (1)

  1. 軽水を減速材として用い、水対燃料体積比が1.5 以下であり、ウランにプルトニウムが富化された混合燃料が充填された複数のプルトニウム燃料棒と、プルトニウムが富化されていないウランが充填された複数のウラン燃料棒とを備えた燃料集合体において、
    前記燃料集合体の最外周の燃料棒とチャンネルボックスとの間隔の平均値が、2mm以上となるように構成され、
    前記最外周に配置されている全ての燃料棒は、前記ウラン燃料棒であり、
    前記混合燃料が、劣化ウラン,減損ウラン,天然ウラン,低濃縮ウランの少なくとも1つを含み、
    前記プルトニウムが富化されていないウランが、劣化ウラン,減損ウラン,天然ウラン,濃縮ウランの少なくとも1つを含むことを特徴とする燃料集合体。
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