JP2510612B2 - 原子炉の炉心及び原子炉の初装荷炉心 - Google Patents

原子炉の炉心及び原子炉の初装荷炉心

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JP2510612B2 JP62199773A JP19977387A JP2510612B2 JP 2510612 B2 JP2510612 B2 JP 2510612B2 JP 62199773 A JP62199773 A JP 62199773A JP 19977387 A JP19977387 A JP 19977387A JP 2510612 B2 JP2510612 B2 JP 2510612B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、原子炉の炉心及び原子炉の初装荷炉心に係
り、特に沸騰水型原子炉に適用するのに好適な原子炉の
炉心及び原子炉の初装荷炉心に関するものである。
〔従来の技術〕
沸騰水型原子炉は、格子状に配置された多数の燃料集
合体から構成される炉心を有している。冷却材と中性子
減速材との機能を兼ねる冷却水は、炉心下端から炉心内
に流入し、燃料集合体中を上昇する間に加熱されて蒸気
となる。蒸気を含む冷却水は、炉心上端部から流出す
る。このような炉心では、炉心上部領域でのボイド率が
高くなり軸方向の出力分布が下膨らみの分布になる。こ
のような軸方向の出力分布を平坦化するものとして特開
昭53−40188号公報に示される燃料集合体が知られてい
る。この燃料集合体にて構成された炉心は、軸方向の出
力分布が著しく平坦化されることはいうまでもないこと
である。
軸方向の出力分布の平坦化と並んで原子炉の重要な運
転特性上の条件として炉停止余裕がある。炉停止余裕を
改善する案が特開昭58−179391号公報に示されている。
この案は、原子炉の冷温停止時において反応度のピーク
が生じる軸方向の上端部における濃縮度を低下させた燃
料集合体である。炉停止余裕とは、特開昭58−179391号
公報の3頁、下部右欄9〜16行に示される停止余裕に相
当する。なお、特開昭58−179391号公報に示された燃料
集合体は、特開昭53−40188号公報に示された燃料集合
体と同様に上部領域の平均濃縮度が下部領域のそれより
も高くなつている。
〔発明が解決しようとしている問題点〕
特開昭58−179391号公報は、軸方向における炉停止余
裕を改善するものである。しかしながら、発明者等は、
燃料集合体の燃焼度を増大させた高燃焼度(従来の燃焼
度約30GWd/tよりも高い燃焼度)の沸騰水型原子炉の炉
心を特開昭58−179391号公報に示された燃料集合体にて
構成すると炉停止余裕が炉心の半径方向の位置によつて
異なるという新たな課題を発見した。すなわち、炉心の
半径方向では、最外周部を除いた部分で炉心の中央領域
と炉心の外周領域とを比較すると後者における炉停止余
裕が前者におけるそれよりも小さくなる。従つて、炉心
の軸方向だけでなく炉心の半径方向をも考慮して炉心の
炉停止余裕を検討する必要があることが分かつた。
本発明の第1の目的は、十分な熱的余裕を得ることが
できるとともに炉停止余裕を向上できる原子炉の炉心及
び原子炉の初装荷炉心を提供することにある。
本発明の第2の目的は、第1の目的に加えて熱的余裕
を向上できる原子炉の炉心及び原子炉の初装荷炉心を提
供することにある。
本発明の第3の目的は、第1の目的に加えて構造の単
純な原子炉の炉心及び原子炉の初装荷炉心を提供するこ
とにある。
〔問題点を解決するための手段〕
第1の目的を達成するための本発明の第1の特徴は、
同一サイズの複数の燃料集合体が装荷された原子炉の炉
心において、前記炉心の半径方向における一部の領域で
あって最外周に配置された燃料集合体が占める最外周領
域を除き前記炉心の半径方向における他の領域を前記半
径方向に中央領域と外部領域とに分割し、前記外部領域
に新たに装荷された第1燃料集合体に含まれている核分
裂性物質の量が前記中央領域に新たに装荷された第2燃
料集合体に含まれているその量よりも少なく、前記第1
及び第2燃料集合体は、燃料有効長部のうち上下端部の
天然ウラン領域以外の領域を、同一長さの上部領域と同
一長さの下部領域とにそれぞれ分割され、前記第1燃料
集合体の上部領域での前記核分裂性物質の量をa、前記
第1燃料集合体の下部領域での前記核分裂性物質の量を
b、前記第2燃料集合体の上部領域での前記核分裂性物
質の量をc、前記第2燃料集合体の上部領域での前記核
分裂性物質の量をdとしたときに、a/b<c/dであること
にある。
第1の目的を達成するための本発明の第2の特徴は、
第1の特徴に加えて、前記第1燃料集合体の平均濃縮度
が前記第2燃料集合体のそれよりも小さく、しかも前記
第1燃料集合体の上部領域での平均濃縮度をe、前記第
1燃料集合体の下部領域での平均濃縮度をf、前記第2
燃料集合体の上部領域での平均濃縮度をg、前記第2燃
料集合体の下部領域での平均濃縮度をhとしたときに、
e/f<g/hであることにある。
第2の目的を達成するための本発明の第3の特徴は、
同一サイズの複数の燃料集合体が装荷された原子炉の炉
心において、前記炉心の半径方向における一部の領域で
あって最外周に配置された燃料集合体が占める最外周領
域を前記炉心の半径方向における他の領域を前記半径方
向に中央領域と外部領域とに分割し、前記外部領域に新
たに装荷された第1燃料集合体に含まれている核分裂性
物質の量が前記中央領域に新たに装荷された第2燃料集
合体に含まれているその量よりも少なく、前記第1及び
第2燃料集合体は、燃料有効長部のうち上下端部の天然
ウラン領域以外の領域を、同一長さの上部領域と同一長
さの下部領域とにそれぞれ分割され、前記第1燃料集合
体の上部領域での前記核分裂性物質の量aと前記第1燃
料集合体の下部領域での前記核分裂性物質の量bとの差
が、前記第2燃料集合体の上部領域での前記核分裂性物
質の量cと前記第2燃料集合体の下部領域での前記核分
裂性物質の量dとの差よりも小さく、前記核分裂性物質
の量aが前記核分裂性物質の量b以上であり、前記核分
裂性物質の量cが前記核分裂性物質の量dよりも多いこ
とにある。
第2の目的を達成するための本発明の第4の特徴は、
第3の特徴に加えて、前記第1燃料集合体の平均濃縮度
が前記第2燃料集合体のそれよりも小さく、しかも前記
第1燃料集合体の上部領域での平均濃縮度eと前記第1
燃料集合体の下部領域での平均濃縮度fとの差が、前記
第2燃料集合体の上部領域での平均濃縮度gと前記第2
燃料集合体の下部領域での平均濃縮度hとの差より小さ
く、前記平均濃縮度eが前記平均濃縮度f以上であり、
前記平均濃縮度gが前記平均濃縮度hよりも大きいこと
にある。
第3の目的を達成するための本発明の第5の特徴は、
同一サイズの複数の燃料集合体が装荷された原子炉の炉
心において、前記炉心の半径方向における一部の領域で
あって最外周に配置された燃料集合体が占める最外周領
域を除き前記炉心の半径方向における他の領域を前記半
径方向に中央領域と外部領域とに分割し、前記外部領域
に新たに装荷された第1燃料集合体に含まれている核分
裂性物質の量が前記中央領域に新たに装荷された第2燃
料集合体に含まれているその量よりも少なく、前記第1
及び第2燃料集合体は、燃料有効長部のうち上下端部の
天然ウラン領域以外の領域を、同一長さの上部領域と同
一長さの下部領域とにそれぞれ分割され、前記第1燃料
集合体の前記核分裂性物資の量が少なくとも上端部及び
下端部を除いた軸方向に一様に分布しており、前記第2
燃料集合体の上部領域での前記核分裂性物質の量cが前
記第2燃料集合体の下部領域での前記核分裂性物質の量
dよりも多いことにある。
第3の目的を達成するための本発明の第6の特徴は、
第5の特徴に加えて、前記第1燃料集合体の平均濃縮度
が前記第2燃料集合体のそれよりも小さく、しかも前記
第1燃料集合体の炉心の軸方向に垂直な断面における平
均濃縮度が少なくとも上端部を除いた軸方向に一様に分
布しており、前記第2燃料集合体の上部領域での平均濃
縮度gが前記第2燃料集合体の下部領域での平均濃縮度
hよりも大きいことにある。
〔作 用〕
本発明の第1の特徴によれば、外部領域に新たに装荷
された第1燃料集合体に含まれている核分裂性物質の量
が中央領域に新たに装荷された第2燃料集合体に含まれ
ているその量よりも少ないので、炉心の半径方向におけ
る外部領域での炉停止余裕の向上を図ることができる。
更に、第1燃料集合体の上部領域での核分裂性物質の量
をa、第1燃料集合体の下部領域での前記核分裂性物質
の量をb、第2燃料集合体の上部領域での核分裂性物質
の量をc及び第2燃料集合体の下部領域での核分裂性物
質の量をdとしたとに、a/b<c/dの条件を満足している
ので、中央領域において十分な熱的余裕を得ることがで
き、しかも外部領域にて炉停止余裕を向上できる。従つ
て、十分な熱的余裕を得ることができ、しかも炉停止余
裕を向上できる原子炉の炉心を得ることができる。
本発明の第2の特徴によれば、第1の特徴と同様な作
用にて、十分な熱的余裕を得ることができしかも炉停止
余裕を向上できる原子炉の初装荷炉心を得ることができ
る。
本発明の第3の特徴を有する原子炉の炉心は、核分裂
性物質の量aが核分裂性物質の量b以上であり、核分裂
性物質の量cが核分裂性物質の量dよりも多いので、中
央領域及び外部領域とも少なくとも下部領域における核
分裂性物質の量が上部領域におけるその量よりも多くな
ることはなく、炉心の熱的余裕を第1の特徴に比べて向
上する。
本発明の第4の特徴を有する原子炉の初装荷炉心は、
第3の特徴と同様な作用にて、熱的余裕を向上させるこ
とができる。
本発明の第5の特徴を有する原子炉の炉心は、第1燃
料集合体の核分裂性物質の量が少なくとも上端部及び下
端部を除いた領域で軸方向に一様に分布しているので、
第1燃料集合体の構成を単純ができ、炉心構成が単純に
なる。
本発明の第6の特徴を有する原子炉の初装荷炉心は、
第5の特徴と同様な作用にて、炉心構成が単純になる。
本発明は、発明者等による燃料集合体の燃焼度を増大
させた高燃焼度(従来の燃焼度約30GWd/tよりも高い燃
焼度)の炉心特性の検討に基づいてなされたものであ
る。この検討結果について以下に詳細に述べる。
第6図は、原子炉の運転時(実線)と冷温停止時(破
線)における炉心の半径方向の出力分布を示している。
この特性は、以下のような燃料集合体を装荷した炉心に
対するものである。この燃料集合体は、燃料有効長部
(燃料集合体内で燃料ペレツトが充填されている領域)
の下端から燃料有効長部の全長の1/24までの第1領域に
天然ウランを、第1領域の上端から燃料有効長部の全長
の11/24までの第2領域に4.42重量%の濃縮度の二酸化
ウランを、第2領域の上端から燃料有効長部の全長の22
/24までの第3領域に濃縮度4.52重量%の二酸化ウラン
を、及び第3領域の上端から燃料有効長部の上端までの
第4領域に天然ウランをそれぞれ充填したものである。
第2及び第3領域における上記の濃縮度は、軸方向にお
いてそれぞれ一様である。この原子炉運転中における炉
心半径方向の出力分布(相対出力分布)は、全体的に平
坦になつている。しかしながら、原子炉の運転が停止さ
れている冷温停止時における炉心の半径方向の出力分布
(相対出力分布)は、炉心の中央領域では低く炉心の外
周領域では著しく高くなつている。これは、炉心の半径
方向において周辺部から中性子が逃げる確率が大きくて
相対的に外周領域での核分裂性物質(例えばウラン−23
5)の消費量が中央領域でのその消費量よりも少ないた
めに、外周領域が相対的に大きな反応度を持つているか
らである。従つて、炉心の半径方向における炉停止余裕
は、冷温停止時での制御棒引抜きで反応度の増加量が大
きくなる外周領域で最も悪くなる。
炉心の半径方向における炉停止余裕が外周領域で最も
悪くなることは、第7図の特性からも明らかである。第
7図は、制御棒の引抜き位置と炉停止余裕との関係を示
したものである。第7図中のAは、炉心の1/4を模擬し
たものである。Aで示す炉心内の1〜4は、すべての制
御棒が完全に挿入された状態から引抜かれる制御棒の位
置を示している。炉心の中央領域にある各制御棒(位置
2、3及び4にある制御棒)を1本ずつ引抜いても炉停
止余裕が十分余裕があるのに対して、炉心の外周部にあ
る制御棒(位置1にある制御棒)を引抜いた場合には炉
停止余裕が位置2、3及び4にある制御棒を引抜いた場
合の約1/3以下に減少する。
燃料集合体の燃焼度を増大させた高燃焼度の沸騰水型
原子炉の炉心を特開昭58−179391号公報に示された燃料
集合体にて構成したとしても、第6図及び第7図に示す
特性と同様な傾向が得られる。
なお、炉心の軸方向における原子炉の運転時(実線)
と冷温停止時(破線)の各出力分布(相対出力)を第8
図に示す。この特性は、第6図の特性を求めた炉心にお
ける中央領域に対するものである。原子炉の運転中にお
ける軸方向の出力分布は、炉心下部領域に出力のピーク
が形成されるがほぼ一様になっている。しかしながら、
原子炉の冷温停止時においては炉心上部領域でボイドが
無くなる関係上、出力分布が著しく上昇する。このた
め、炉心上部領域での炉停止余裕が悪くなる。この傾向
は、炉心の半径方向における外部領域においても同じで
ある。特開昭58−179391号公報に示された燃料集合体を
用いた場合には、上端部領域での濃縮度を低下させてい
るので、冷温停止時における炉心上部領域での炉停止余
裕は第8図の特性よりも改善される。
前述の炉心半径方向の炉停止余裕に関する考察に基づ
いて、炉心半径方向の外部領域における平均濃縮度(ま
たは核分裂性物質の含有量)を炉心半径方向の中央領域
における平均濃縮度(または核分裂性物質の含有量)よ
りも小さくすれば良いことに発明者等は気付いた。
更に、燃料集合体の最大線出力密度を低下させること
も、原子炉の運転制御の自由度を向上させるために重要
なことである。この最大値線出力密度の低下は、特開昭
53−40188号公報及び特開昭58−179391号公報に示され
た上部領域の平均濃縮度が下部領域のそれよりも高い燃
料集合体が炉心に装荷することによつて達成されてい
る。しかしながら、発明者等は、燃料集合体の濃縮度分
布による炉停止余裕及び最大線出力密度への影響を検討
した結果、第9図(A)及び(B)の特性が得られた。
すなわち、炉停止余裕は、燃料集合体の上部領域とその
下部領域との平均濃縮度差が大きくなるほど悪化する。
燃料集合体の上部領域と下部領域とに平均濃縮度差がつ
くのは、上部領域の平均濃縮度が下部領域のそれよりも
大きいためである。第9図(A)及び(B)において、
上部領域と下部領域との平均濃縮度差が零である燃料集
合体とは、第6図の特性を求めたときに用いた燃料集合
体で第2及び第3領域の濃縮度を同じにしたものであつ
てこれらの領域の濃縮度が軸方向に一様なものである。
この燃料集合体は、第1及び第4領域も有している。ま
た、上部領域と下部領域との平均濃縮度差が零よりも大
きい燃料集合体とは、第6図の特性を求めたときに用い
た燃料集合体のように第1、第2、第3及び第4領域を
有しており第3領域の濃縮度が第2領域のそれよりも多
きくしかも第2及び第3領域における軸方向の濃縮度分
布が一様になつている燃料集合体である。なお、炉停止
余裕は、燃料集合体の上部領域とその下部領域との平均
濃縮度差が0.2重量%からの0.1重量%へと0.1重量%減
少した場合には0.3%Δk程度大きくなる。
また、第9図(B)に示す最大線出力密度は、燃料集
合体の上部領域とその下部領域との平均濃縮度差が大き
くなるほど小さくなり、改善される。最大線出力密度
は、上部領域と下部領域との平均濃縮度差が0.1重量%
から0.2重量%へと0.1重量%増加した場合には約3kw/m
(1kw/ft)低下する。
以上述べたように、炉停止余裕と最大線出力密度は、
燃料集合体の上部領域とその下部領域との平均濃縮度差
によつて相反する特性を示す。
以上の第6図及び第9図の新たな知見及び第8図の特
性に基づいて、発明者等は、十分な熱的余裕が得られる
と共に炉停止余裕を向上できる原子炉の炉心の構成を検
討した結果、炉心半径方向の外部領域に新たに装荷され
た第1燃料集合体に含まれている核分裂性物質の含有量
を炉心半径方向の中央領域における新たに装荷された第
2燃料集合体に含まれているその量よりも少なくし、第
1燃料集合体における上部領域と下部領域との核分裂性
物質の含有量差が第2燃料集合体における上部領域と下
部領域との核分裂性物質の含有量差よりも相対的に小さ
くなるように(具体的には、第1燃料集合体は上部領域
と下部領域との核分裂性物質の含有量差が第9図におい
て左側になるように、第2燃料集合体は上部領域と下部
領域との核分裂性物質の含有量差が第9図において右側
になるように)構成すればよいことに気付いた。
本発明は、このような検討に基づいてなされたもので
ある。
炉心の半径方向における外部領域は、好ましくは第7
図の特性から明らかなように、炉心の最外周層(最外周
領域)から1〜2層目の燃料集合体配列が占める領域に
することが望ましい。最外周領域を除いて外部領域と中
央領域とを規定しているのは、最外周領域で炉停止余裕
及び熱的余裕が厳しくなることがなく、しかも炉心内で
十分燃焼した燃焼集合体を最外周領域に配置するためで
ある。
〔実施例〕
本発明の実施例を以下に説明する。
(実施例1) 沸騰水型原子炉に適用した本発明の好適な一実施例を
第1図、第2図及び第3図に基づいて説明する。
本実施例の炉心10は、764体の燃料集合体にて構成さ
れている。第1図(A)は、その炉心の1/4を示してい
る。炉心10は、半径方向に中心から外側に向かつて中央
領域11、外部領域12及び最外周領域13が形成されてい
る。外部領域12は中央領域11を取り囲み、最外周領域13
は外部領域12の外側を取り囲んでいる。最外周領域13
は、炉心10の最も外側に配置された一層の燃料集合体14
で占められている。中央領域11と外部領域12との境界
は、炉心10の外周から三層目と四層目との間に位置して
いる。
中央領域11及び外部領域12に配置されている燃料集合
体14は、1つの燃料サイクル終了後の原子炉の定期検査
毎に各領域に配置されている1/3ずつが新しい燃料集合
体(燃焼度は0GWd/t)14と交換される。このように炉心
内の燃料集合体を1/3ずつ新しい燃料集合体と交換する
方式を3バツチ方式と呼んでいる。3バツチ方式以外
に、4バツチ方式と呼ばれる燃料交換方式がある。この
方式は、原子炉の定期検査毎に中央領域11及び外部領域
12に配置されている燃料集合体14の1/4ずつを新しい燃
料集合体と14交換する方式である。
炉心10内の燃料集合体14の交換は、1つの燃料サイク
ル終了後に原子炉の運転を止めて寿命のきた1/3の使用
済み燃料集合体を炉心10内から取り出して、燃焼度が0G
W/tの新しい燃料集合体14を取り出した燃料集合体14の
位置に装荷することによつて行なわれる。この燃料集合
体14の交換時に、外部領域12に装荷される燃焼度が0GWd
/tの新しい燃料集合体14Aの構造が第2図に基づいて説
明する。燃料集合体14Aは、第2図(A)に示すように
上部タイロツド15、下部タイロツド16、複数の燃料棒1
7、水ロツド18、燃料スペーサ19及びチヤンネルボツク
ス20を有している。燃料棒17及び水ロツド18の各両端部
は、上部タイロツド15及び下部タイロツド16に保持され
ている。燃料棒17は、図示されていないが密封された被
覆管内に多数の燃料ペレツトを充填している。燃料ペレ
ツトは、二酸化ウランを圧縮して焼結したものである。
燃料棒17の被覆管内で燃料ペレツトが充填された燃料有
効長部より上方にガスプレナムが形成される。燃料スペ
ーサ19は、燃料集合体14Aの軸方向に複数配置されてい
る。この燃料スペーサ19は、水ロツド18に保持されてお
り、燃料棒17の相互間の間隔を所定幅に保つている。チ
ヤンネルボツクス20は、燃料スペーサ19にて束ねられた
燃料棒束の外側を取り囲んでおり、上部タイプレート15
に取付けられている。
燃料集合体14Aは、第2図(B)に示す軸方向の濃縮
度分布を有している。すなわち、燃料集合体14Aは、燃
料有効長部の下端から燃料有効長部の全長の1/24までの
第1領域に天然ウランを、第1領域の上端から燃料有効
長部の全長の22/24までの第5領域に4.46重量%の濃縮
度の二酸化ウランを、及び第5領域の上端から燃料有効
長部の上端までの第4領域に天然ウランをそれぞれ充填
している。第5領域における上記の濃縮度(燃料集合体
14Aの横断面における平均濃縮度)は、軸方向において
一様に分布している。
外部領域12において交換されない残りの2/3の燃料集
合体14のうち、1/2は1サイクルの燃料サイクルの原子
炉運転を、残りの1/2は2サイクルの燃料サイクルの原
子炉運転をそれぞれ経験した燃料集合体14Aが装荷され
ている。
前述の燃料集合体14の交換時に、中央領域11に装荷さ
れる燃焼度が0GWd/tの新しい燃料集合体14Bの構造を第
3図に基づいて説明する。燃料集合体14Bは、第3図
(A)に示すように燃料集合体14Aと同一の構成を有し
ている。燃料集合体14Bは、第3図(B)に示す軸方向
の濃縮度分布を有している。すなわち、燃料集合体14B
は、燃料有効長部の下端から燃料有効長部の全長の1/24
までの第1領域に天然ウランを、第1領域の上端から燃
料有効長部の全長の11/24までの第2領域に4.42重量%
の二酸化ウランを、第2領域の上端から燃料有効長部の
全長の22/24までの第3領域に4.52重量%の二酸化ウラ
ンを、及び第3領域の上端から燃料有効長部の上端まで
の第4領域に天然ウランをそれぞれ充填している。第2
及び第3領域における上記の濃縮度(燃料集合体14Bの
横断面における平均濃縮度)は、軸方向においてそれぞ
れ一様に分布している。
中央領域11において交換されない残りの2/3の燃料集
合体14のうち、1/2は1サイクルの燃料サイクルの原子
炉運転を、残りの1/2は2サイクルの燃料サイクルの原
子炉運転をそれぞれ経験した燃料集合体14Bが装荷され
ている。
新しい燃料集合体14A及び14Bが前述のように装荷され
た炉心10では、第1図(B)に示す外部領域12に新たに
装荷された燃料集合体14Aの上部領域21での平均濃縮度
a(重量%)及び下部領域22での平均濃縮度b(重量
%)は4.46重量%であり、中央領域11に新たに装荷され
た燃料集合14Bの上部領域25での平均濃縮度c(重量
%)は4.52重量%及びその下部領域26での平均濃縮度d
(重量%)は4.42重量%である。外部領域12及び中央領
域11における上端部23及び27さらに下端部24及び28に
は、天然ウランが存在する。
外部領域12に装荷された燃料集合体14Aの第1領域が
下端部24に、第5領域が上部領域21及び下部領域22に、
第4領域が上端部23にそれぞれ対応する。また、中央領
域11に装荷された燃料集合体14Bの第1領域が下端部28
に、第2領域が下部領域26に、第3領域が上部領域25及
び第4領域が上端部27にそれぞれ対応する。
本実施例では、a/bが1.00でありc/dが1.02である。従
つて、a/b<c/dが成り立っている。また、a=b=4.46
重量%、c=4.52重量%、d=4.42重量%より、この炉
心10を有する原子炉を運転した場合には、外部領域12に
新たに装荷された燃料集合体14Aに含まれている核分裂
性物質の量が中央領域11に新たに装荷された燃料集合体
14Bに含まれているその量よりも少ないので、炉心10の
半径方向における外側領域12での炉停止余裕の向上を図
ることができる。また、a/b<c/dの条件を満足している
ので、これによつても、外部領域12にて炉停止余裕が更
に向上する。a/b<c/dの条件を満足することは、中央領
域11において十分な熱的余裕を得ることができる。特
に、燃料集合体14Aの上部領域(上部領域21に対応)で
の平均濃縮度aと燃料集合体14Aの下部領域(下部領域2
2に対応)での平均濃縮度bとの差(=0)が、燃料集
合体14Bの上部領域(上部領域25に対応)での平均濃縮
度cと燃料集合体14Bの下部領域(下部領域26に対応)
での平均濃縮度dとの差(=0.1)よりも小さく、平均
濃縮度aが平均濃縮度b以上であり、平均濃縮度cが平
均濃縮度dよりも大きくなつているので、炉心の熱的余
裕は著しく向上する。
更に、炉心10は、燃料集合体14Bは上部領域と下部領
域で平均濃縮度が異なつているが、燃料集合体14Aは少
なくとも上端部及び下端部を除いた領域(第5領域)で
その横断面における平均濃縮度が軸方向に一様に分布し
ている。このため、燃料集合体14Aの構成を単純化で
き、炉心10の構成が単純になる。また、燃料集合体14B
も、上部及び下部領域でそれぞれ横断面での平均の濃縮
度が軸方向にて一様になつているので、軸方向の出力分
布を平坦化できる燃料集合体としては構造が単純であ
る。
第4図の実施例1に対応した実効増倍率の変化、炉停
止余裕の変化及び最大線出力密度の変化は、本実施例の
炉心10における1つの燃料サイクルの運転末期での値で
ある。各領域の平均濃縮度は、その燃料サイクルの運転
開始時での値を示す。本実施例における実効増倍率は、
第5図に示す参考炉心のそれと同じである。この参考炉
心は、前述した第6図の特性を得た炉心、すなわち燃料
有効長部の下端から燃料有効長部の全長の1/24までの第
1領域に天然ウランを、第1領域の上端から燃料有効長
部の全長の11/24までの第2領域に4.42重量%の二酸化
ウランを、第2領域の上端から燃料有効長部の全長の22
/24までの第3領域に4.52重量%の二酸化ウランを、及
び第3領域の上端から燃料有効長部の上端までの第4領
域に天然ウランをそれぞれ充填した燃料集合体を、中央
領域11及び外部領域12にそれぞれ装荷したものである。
本実施例における炉停止余裕は、第5図に示す参考炉
心のその値よりも0.78%Δk増加する。また、本実施例
における最大線出力密度は、上記参考炉心のその値より
も0.01kw/ft低下するので、それだけ熱的余裕は向上す
る。
本実施例は、燃料集合体の交換が4バツチ方式で行わ
れる原子炉に適用することも可能である。
(実施例2) 沸騰水型原子炉に適用した本発明の他の実施例を以下
に説明する。本実施例の炉心は、第1図に示す炉心10と
同様に燃料交換時に、外部領域12の燃料集合体14の1/3
を燃焼度0GWd/tの新しい第1の燃料集合体に、中央領域
11の燃料集合体14の1/3を燃焼度0GWd/tの新しい第2の
燃料集合体にそれぞれ交換することによつて形成され
る。本実施例が前述の実施例1と異なつている点は、第
1及び第2燃料集合体の軸方向の濃縮度分布が燃料集合
体14A及び14Bのそれと異なつていることである。本実施
例を構成する第1燃料集合体は、第1及び第4領域に天
然ウランを充填し、第5領域に濃縮度4.43重量%の濃縮
ウランを充填している。この濃縮度分布を除いた第1燃
料集合体の構成は、第2図(A)に示す燃料集合体14A
と同一である。第1、第5及び第4領域の各境界も、燃
料集合体14Aと同じである。また、濃縮度分布を除いた
第2燃料集合体の構成は、第3図(A)に示す燃料集合
体14Bと同一である。第2燃料集合体は、第1及び第4
領域に天然ウランを充填し、第2領域に濃縮度4.43重量
%の及び第3領域に濃縮度4.53重量%の濃縮ウランをそ
れぞれ充填している。これらの第1、第2、第3及び第
4領域の各境界は、燃料集合体14Bと同じである。第2
燃料集合体は、上部及び下部領域でそれぞれ横断面での
平均の濃縮度が軸方向にて一様になつている。
本実施例は、外部領域12に新たに装荷された第1燃料
集合体に含まれている核分裂性物質の量が中央領域11に
新たに装荷された第2燃料集合体に含まれているその量
よりも少ない。本実施例は、a/bが1.00であつてc/dが約
1.02であり、a/b<c/dの条件を満足している。また、第
1燃料集合体の上部領域(上部領域21に対応)での平均
濃縮度aと第1燃料集合体の下部領域(下部領域22に対
応)での平均濃縮度bとの差(=0)が、第2燃料集合
体の上部領域(上部領域25に対応)での平均濃縮度cと
第2燃料集合体の下部領域(下部領域26に対応)での平
均濃縮度dとの差(=0.1)よりも小さく、平均濃縮度
aが平均濃縮度b以上であり、平均濃縮度cが平均濃縮
度dよりも大きくなつている。更に、本実施例の炉心
は、第2燃料集合体は上部領域と下部領域で平均濃縮度
が異なつているが、第1燃料集合体は少なくとも上端部
及び下端部を除いた領域(第5領域)でその横断面にお
ける平均濃縮度が軸方向に一様に分布している。従っ
て、本実施例の炉心も実施例1の炉心と同様な効果が得
られる。
第4図の実施例2に対応した実効増倍率の変化、炉停
止余裕の変化及び最大線出力密度の変化は、本実施例の
炉心における1つの燃料サイクルの運転末期での値であ
る。各領域の平均濃縮度は、その燃料サイクルの運転開
始時での値を示す。本実施例における実効増倍率は、第
5図に示す参考炉心のそれと同じである。本実施例にお
ける炉停止余裕は、第5図に示す参考炉心のその値より
も0.78%Δk増加する。また、本実施例における最大線
出力密度は、上記参考炉心のその値よりも0.01kw/ft低
下し、それだけ熱的余裕が低下する。
(実施例3) 沸騰水型原子炉に適用した本発明の他の実施例も以下
に説明する。本実施例の炉心は、第1図に示す炉心10と
同様に燃料交換時に、外部領域12の燃料集合体14の1/3
を燃焼度0GWd/tの新しい第1の燃料集合体に、中央領域
11の燃料集合体14の1/3を燃焼度0GWd/tの新しい第2の
燃料集合体にそれぞれ交換することによつて形成され
る。本実施例が前述の実施例1と異なつている点は、第
1燃料集合体の軸方向の濃縮度分布が燃料集合体14Aの
それと異なつていることである。第2燃料集合体は、前
述の燃料集合体14Bである。本実施例を構成する第1燃
料集合体は、第10図(A)に示す燃料集合体14Cであ
る。濃縮度分布を除いた燃料集合体14Cの構成は、第3
図(A)に示す燃料集合体14Bと同一である。燃料集合
体14Cは、第1及び第4領域に天然ウランを充填し、第
2領域に濃縮度4.47重量%の及び第3領域に濃縮度4.42
重量%の濃縮ウランをそれぞれ充填している。これらの
第1、第2、第3及び第4領域の各境界は、燃料集合体
14Bと同じである。燃料集合体14Cは、上部及び下部領域
でそれぞれ横断面での平均の濃縮度が軸方向にて一様に
なつている。
本実施例は、外部領域12に新たに装荷された燃料集合
体14Cに含まれている核分裂性物質の量が中央領域11に
新たに装荷された第2燃料集合体に含まれているその量
よりも少ないので、本実施例の炉心の半径方向における
外部領域12での炉停止余裕の向上を図ることができる。
また、本実施例は、燃料集合体14Cの上部領域(上部領
域21に対応)での平均濃縮度aと燃料集合体14Cの下部
領域(下部領域22に対応)での平均濃縮度bとの比a/b
が0.99であつて、第2燃料集合体の上部領域(上部領域
25に対応)での平均濃縮度cと第2燃料集合体の下部領
域(下部領域26に対応)での平均濃縮度dとの比c/dが
約1.02であり、a/b<c/dの条件を満足している。これに
よつても、外部領域12にて炉停止余裕が更に向上する。
a/b<c/dの条件を満足することは、中央領域11において
十分な熱的余裕を得ることができる。
第4図の実施例3に対応した実効増倍率の変化、炉停
止余裕の変化及び最大線出力密度の変化は、本実施例の
炉心における1つの燃料サイクルの運転末期での値であ
る。各領域の平均濃縮度は、その燃料サイクルの運転開
始時での値を示す。本実施例における実効増倍率は、第
5図に示す参考炉心のそれよりも若干増加する。本実施
例における炉停止余裕は、第5図に示す参考炉心のその
値よりも0.78%Δk増加する。また、本実施例における
最大線出力密度は、上記参考炉心のその値と同じであ
る。
(実施例4) 沸騰水型原子炉に適用した本発明の他の実施例を以下
に説明する。本実施例の炉心は、第1図に示す炉心10と
同様に燃料交換時に、外部領域12の燃料集合体14の1/3
を燃焼度0GWd/tの新しい第3の燃料集合体に、中央領域
11の燃料集合体14の1/3を燃焼度0GWd/tの新しい第4の
燃料集合体にそれぞれ交換することによつて形成され
る。本実施例が前述の実施例2と異なつている点は、第
3燃料集合体の軸方向の濃縮度分布が実施例2の第1燃
料集合体のそれと異なつていることである。第4燃料集
合体は、実施例2の第2燃料集合体である。本実施例を
構成する第3燃料集合体の構成は、濃縮度分布を除いて
第3図(A)に示す燃料集合体14Bと同一である。第3
燃料集合体は、第1及び第4領域に天然ウランを充填
し、第2領域に濃縮度4.40重量%の及び第3領域に濃縮
度4.46重量%の濃縮度ウランをそれぞれ充填している。
これらの第1、第2、第3及び第4領域の各境界は、燃
料集合体14Bと同じである。第3燃料集合体は、上記及
び下部領域でそれぞれ横断面での平均の濃縮度が軸方向
にて一様になつている。
本実施例は、外部領域12に新たに装荷された第1燃料
集合体に含まれている核分裂性物質の量が中央領域11に
新たに装荷された第2燃料集合体に含まれているその量
よりも少ない。本実施例は、a/bが約1.01であつてc/dが
約1.02であり、a/b<c/dの条件を満足している。また、
第3燃料集合体の上部領域(上部領域21に対応)での平
均濃縮度aと第3燃料集合体の下部領域(下部領域22に
対応)での平均濃縮度bとの差(=0.06)が、第4燃料
集合体の上部領域(上部領域25に対応)での平均濃縮度
cと第4燃料集合体の下部領域(下部領域26に対応)で
の平均濃縮度dとの差(=0.1)よりも小さく、平均濃
縮度aが平均濃縮度b以上であり、平均濃縮度cが平均
濃縮度dよりも大きくなつている。従って、本実施例の
炉心は、炉心構成が実施例1よりも複雑になることを除
けば、実施例1の炉心と同様な効果が得られる。
本実施例の炉心における1つの燃料サイクルの運転末
期での本実施例2に対応した実効増倍率、炉停止余裕及
び最大線出力密度は、第4図に示す実施例1の値と同じ
程度になる。
(実施例5) 沸騰水型原子炉に適用した本発明の他の実施例を以下
に説明する。本実施例の炉心は、初装荷炉心であり、第
1図に示す炉心10の中央領域11に装荷された全ての燃料
集合体14が実施例1で述べた燃料集合体14B、外部領域1
2に装荷された全ての燃料集合体14が実施例1で述べた
燃料集合体14Aである。
従つて、本実施例の初装荷炉心は、外部領域12の平均
濃縮度が中央領域11の平均濃縮度よりも小さくなる。炉
心の半径方向における外部領域12での炉停止余裕の向上
を図ることができる。しかも外部領域12の上部領域21に
おける平均濃縮度をa、外部領域12の下部領域22におけ
る平均濃縮度をb、中央領域11の上部領域25における平
均濃縮度をc及び中央領域11の下部領域26における平均
濃縮度をdとしたときに、a/b<c/dの条件を満足してい
るので、これによつても、外部領域12にて炉停止余裕が
更に向上する。a/b<c/dの条件を満足することは、中央
領域11において十分な熱的余裕を得ることができる。特
に、上部領域21での平均濃縮度aと下部領域22での平均
濃縮度bとの差が、上部領域25での平均濃縮度cと下部
領域26での平均濃縮度dとの差より小さく、平均濃縮度
aが平均濃縮度b以上であり、平均濃縮度cが平均濃縮
度dよりも大きくなつているので、炉心の熱的余裕は著
しく向上する。
更に、本実施例の炉心は、中央領域11はで平均濃縮度
が異なつているが、外部領域12は少なくとも上端部23及
び下端部24を除いた領域(下部領域22及び上部領域21)
でその横断面における平均濃縮度が軸方向に一様に分布
している。このため、外部領域12の構成を単純化でき、
本実施例の初装荷炉心の構成が単純になる。
特に、全てが新燃料集合体である初装荷炉心では自己
制御性が小さいので最大線出力密度が大きくなる恐れが
あるが、本実施例の初装荷炉心ではこのような課題が解
消される。すなわち、本実施例の初装荷炉心では最大線
出力密度の低下が著しく、熱的余裕が著しく向上する。
(実施例6) 沸騰水型原子炉に適用した本発明の他の実施例である
原子炉の初装荷炉心について説明する。本実施例の初装
荷炉心は、第1図に示す炉心10の中央領域11に装荷され
た全ての燃料集合体14が実施例2で述べた第2燃料集合
体、外部領域12に装荷された全ての燃料集合体14が実施
例2で述べた第1燃料集合体である。
従つて、本実施例の初装荷炉心は、外部領域12の平均
濃縮度が中央領域11の平均濃縮度よりも小さくなる。実
施例5で述べたa/b<c/dの条件を満足している。また、
上記領域21での平均濃縮度aと下部領域22での平均濃縮
度bとの差が、上記領域25での平均濃縮度cと下部領域
26での平均濃縮度dとの差より小さく、平均濃縮度aが
平均濃縮度b以上であり、平均濃縮度cが平均濃縮度d
よりも大きくなつている。更に、本実施例の炉心は、中
央領域11では平均濃縮度が異なつているが、外部領域12
は少なくとも上端部23及び下端部24を除いた領域(下部
領域22及び上部領域21)でその横断面における平均濃縮
度が軸方向に一様に分布している。このため、本実施例
の初装荷炉心は、実施例5と同じ効果を得ることができ
る。
(実施例7) 沸騰水型原子炉に適用した本発明の他の実施例である
原子炉の初装荷炉心について説明する。本実施例の初装
荷炉心は、第1図に示す炉心10の中央領域11に装荷され
た全ての燃料集合体14が実施例3で述べた第2燃料集合
体、外部領域12に装荷された全ての燃料集合体14が実施
例3で述べた第1燃料集合体である。
従つて、本実施例の初装荷炉心は、外部領域12の平均
濃縮度が中央領域11の平均濃縮度よりも小さくなる。炉
心の半径方向における外部領域12での炉停止余裕の向上
を図ることができる。しかも外部領域12の上部領域21に
おける平均濃縮度をa、外部領域12の下部領域22におけ
る平均濃縮度をb、中央領域11の上部領域25における平
均濃縮度をc及び中央領域11の下部領域26における平均
濃縮度をdとしたときに、a/b<c/dの条件を満足してい
るので、これによつても、外部領域12にて炉停止余裕が
更に向上する。a/b<c/dの条件を満足することは、中央
領域11において十分な熱的余裕を得ることができる。
(実施例8) 沸騰水型原子炉に適用した本発明の他の実施例である
原子炉の初装荷炉心について説明する。本実施例の初装
荷炉心は、第1図に示す炉心10の中央領域11に装荷され
た全ての燃料集合体14が実施例4で述べた第4燃料集合
体、外部領域12に装荷された全ての燃料集合体14が実施
例4で述べた第3燃料集合体である。
従つて、本実施例の初装荷炉心は、外部領域12の平均
濃縮度が中央領域11の平均濃縮度よりも小さくなる。実
施例5で述べたa/b<c/dの条件を満足している。また、
上部領域21での平均濃縮度aと下部領域22での平均濃縮
度bとの差が、上部領域25での平均濃縮度cと下部領域
26での平均濃縮度dとの差より小さく、平均濃縮度aが
平均濃縮度b以上であり、平均濃縮度cが平均濃縮度d
よりも大きくなつている。更に、本実施例の炉心は、中
央領域11はで平均濃縮度が異なつているが、外部領域12
は少なくとも上端部23及び下端部24を除いた領域(下部
領域22及び上部領域21)でその横断面における平均濃縮
度が軸方向に一様に分布している。このため、本実施例
の初装荷炉心は、実施例5と同じ効果を得ることができ
る。
なお、前述した実施例1〜4にて炉心内に装荷される
燃焼度0GWd/tの新しい各燃料集合体は、それぞれ約45GW
d/tの燃焼度を得ることができる。
〔発明の効果〕
本発明の第1及び第2の特徴によれば、原子炉の炉心
において十分な熱的余裕を得ることができると共に、半
径方向における外部領域の炉停止余裕を改善することに
より原子炉の炉心における炉停止余裕を向上させること
ができる。
本発明の第3及び第4の特徴によれば、本発明の第1
及び第2の特徴によつて得られる効果に加えて、原子炉
の熱的余裕をさらに向上させることができる。
本発明の第5及び第6の特徴に選れば、本発明の第1
及び第2の特徴によつて得られる効果に加えて、外部領
域の構造を単純化できるので原子炉の炉心構成を単純化
することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図(A)は本発明の好適な一実施例である沸騰水型
原子炉の炉心の1/4の横断面図、第1図(B)は第1図
(A)の縦断面における濃縮度分布を示す説明図、第2
図(A)は第1図(A)の外部領域に装荷される燃料集
合体の縦断面図、第2図(B)は第2図(A)の燃料集
合体の軸方向の濃縮度分布を示す説明図、第3図(A)
は第1図(A)の中央領域に装荷される燃料集合体の縦
断面図、第3図(B)は第3図(A)の燃料集合体の軸
方向の濃縮度分布を示す説明図、第4図は本発明の実施
例1〜4の特性を示す説明図、第5図は参考炉心の特性
を示す説明図、第6図は炉心の半径方向における原子炉
の運転時と冷温停止時での出力分布を示す特性図、第7
図は制御棒引き抜き位置と炉停止余裕との関係を示す特
性図、第8図は炉心の軸方向における原子炉の運転時と
冷温停止時での出力分布を示す特性図、第9図(A)は
燃料集合体の上部領域と下部領域との平均濃縮度の差と
炉停止余裕との関係を示す特性図、第9図(B)は燃料
集合体の上部領域と下部領域との平均濃縮度の差と最大
線出力密度との関係を示す特性図、第10図は炉心の外部
領域に装荷される燃料集合体の他の実施例の縦断面図で
ある。 10……炉心、11……中央領域、12……外部領域、13……
最外周領域、14、14A、14B、14C……燃料集合体、15…
…上部タイプレート、16……下部タイプレート、17……
燃料棒、20……チヤンネルボツクス。

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】同一サイズの複数の燃料集合体が装荷され
    た原子炉の炉心において、 前記炉心の半径方向における一部の領域であって最外周
    に配置された燃料集合体が占める最外周領域を除き前記
    炉心の半径方向における他の領域を前記半径方向に中央
    領域と外部領域とに分割し、 前記外部領域に新たに装荷された第1燃料集合体に含ま
    れている核分裂性物質の量が前記中央領域に新たに装荷
    された第2燃料集合体に含まれているその量よりも少な
    く、 前記第1及び第2燃料集合体は、燃料有効長部のうち上
    下端部の天然ウラン領域以外の領域を、同一長さの上部
    領域と同一長さの下部領域とにそれぞれ分割され、 前記第1燃料集合体の上部領域での前記核分裂性物質の
    量をa、前記第1燃料集合体の下部領域での前記核分裂
    性物質の量をb、前記第2燃料集合体の上部領域での前
    記核分裂性物質の量をc、前記第2燃料集合体の下部領
    域での前記核分裂性物質の量をdとしたときに、a/b<c
    /dであることを特徴とする原子炉の炉心。
  2. 【請求項2】前記第1燃料集合体の平均濃縮度が前記第
    2燃料集合体のそれよりも小さく、しかも前記第1燃料
    集合体の上部領域での平均濃縮度をe、前記第1燃料集
    合体の下部領域での平均濃縮度をf、前記第2燃料集合
    体の上部領域での平均濃縮度をg、前記第2燃料集合体
    の下部領域での平均濃縮度をhとしたときに、e/f<g/h
    である特許請求の範囲第1項記載の原子炉の炉心。
  3. 【請求項3】前記第1及び第2燃料集合体の上部領域に
    おける炉心の軸方向に垂直な断面での平均濃縮度は前記
    上部領域の軸方向で一様であり、前記第1及び第2燃料
    集合体の下部領域における前記軸方向に垂直な断面での
    平均濃縮度は前記下部領域の軸方向で一様である特許請
    求の範囲第2項記載の原子炉の炉心。
  4. 【請求項4】同一サイズの複数の燃料集合体が装荷され
    た原子炉の炉心において、 前記炉心の半径方向における一部の領域であって最外周
    に配置された燃料集合体が占める最外周領域を除き前記
    炉心の半径方向における他の領域を前記半径方向に中央
    領域と外部領域とに分割し、 前記外部領域に新たに装荷された第1燃料集合体に含ま
    れている核分裂性物質の量が前記中央領域に新たに装荷
    された第2燃料集合体に含まれているその量よりも少な
    く、 前記第1及び第2燃料集合体は、燃料有効長部のうち上
    下端部の天然ウラン領域以外の領域を、同一長さの上部
    領域と同一長さの下部領域とにそれぞれ分割され、 前記第1燃料集合体の上部領域での前記核分裂性物質の
    量aと前記第1燃料集合体の下部領域での前記核分裂性
    物質の量bとの差が、前記第2燃料集合体の上部領域で
    の前記核分裂性物質の量cと前記第2燃料集合体の下部
    領域での前記核分裂性物質の量dとの差よりも小さく、
    前記核分裂性物質の量aが前記核分裂性物質の量b以上
    であり、前記核分裂性物質の量cが前記核分裂性物質の
    量dよりも多いことを特徴とする原子炉の炉心。
  5. 【請求項5】前記第1燃料集合体の平均濃縮度が前記第
    2燃料集合体のそれよりも小さく、しかも前記第1燃料
    集合体の上部領域での平均濃縮度eと前記第1燃料集合
    体の下部領域での平均濃縮度fとの差が、前記第2燃料
    集合体の上部領域での平均濃縮度gと前記第2燃料集合
    体の下部領域での平均濃縮度hとの差より小さく、前記
    平均濃縮度eが前記平均濃縮度f以上であり、前記平均
    濃縮度gが前記平均濃縮度hよりも大きい特許請求の範
    囲第4項記載の原子炉の炉心。
  6. 【請求項6】前記第1及び第2燃料集合体の上部領域に
    おける炉心の軸方向に垂直な断面での平均濃縮度は前記
    上部領域の軸方向で一様であり、前記第1及び第2燃料
    集合体の下部領域における前記軸方向に垂直な断面での
    平均濃縮度は前記下部領域の軸方向で一様である特許請
    求の範囲第5項記載の原子炉の炉心。
  7. 【請求項7】同一サイズの複数の燃料集合体が装荷され
    た原子炉の炉心において、 前記炉心の半径方向における一部の領域であって最外周
    に配置された燃料集合体が占める最外周領域を除き前記
    炉心の半径方向における他の領域を前記半径方向に中央
    領域と外部領域とに分割し、 前記外部領域に新たに装荷された第1燃料集合体に含ま
    れている核分裂性物資の量が前記中央領域に新たに装荷
    された第2燃料集合体に含まれているその量よりも少な
    く、 前記第1及び第2燃料集合体は、燃料有効長部のうち上
    下端部の天然ウラン領域以外の領域を、同一長さの上部
    領域と同一長さの下部領域とにそれぞれ分割され、 前記第1燃料集合体の前記核分裂性物資の量が少なくと
    も上端部及び下端部を除いた軸方向に一様に分布してお
    り、前記第2燃料集合体の上部領域での前記核分裂性物
    質の量cが前記第2燃料集合体の下部領域での前記核分
    裂性物質の量dよりも多いことを特徴とする原子炉の炉
    心。
  8. 【請求項8】前記第1燃料集合体の平均濃縮度が前記第
    2燃料集合体のそれよりも小さく、しかも前記第1燃料
    集合体の炉心の軸方向に垂直な断面における平均濃縮度
    が少なくとも上端部を除いた軸方向に一様に分布してお
    り、前記第2燃料集合体の上部領域での平均濃縮度gが
    前記第2燃料集合体の下部領域での平均濃縮度hよりも
    大きい特許請求の範囲第7項記載の原子炉の炉心。
  9. 【請求項9】前記第2燃料集合体の上部領域における炉
    心の軸方向に垂直な断面での平均濃縮度は前記上部領域
    の軸方向で一様であり、前記第2燃料集合体の下部領域
    における炉心の軸方向に垂直な断面での平均濃縮度は前
    記下部領域の軸方向で一様である特許請求の範囲第8項
    記載の原子炉の炉心。
  10. 【請求項10】同一サイズの複数の燃料集合体が装荷さ
    れた原子炉の初装荷炉心において、 前記炉心の半径方向における一部の領域であって最外周
    に配置された燃料集合体が占める最外周領域を除き前記
    炉心の半径方向における他の領域を前記半径方向に中央
    領域と外部領域とに分割し、 前記燃料集合体は、燃料有効長部のうち上下端部の天然
    ウラン領域以外の領域を、同一長さの上部領域と同一長
    さの下部領域とにそれぞれ分割され、 前記外部領域の平均濃縮度が前記中央領域の平均濃縮度
    よりも小さく、しかも前記外部領域の上部領域における
    平均濃縮度をa、前記外部領域の下部領域における平均
    濃縮度をb、前記中央領域の上部領域における平均濃縮
    度をc、前記中央領域の下部領域における平均濃縮度を
    dとしたときに、a/b<c/dであることを特徴とする原子
    炉の初装荷炉心。
  11. 【請求項11】前記外部領域及び前記中央領域の上部領
    域における炉心の軸方向に垂直な断面での平均濃縮度は
    前記上部領域の軸方向で一様であり、前記外部領域及び
    前記中央領域の下部領域における炉心の軸方向に垂直な
    断面での平均濃縮度は前記下部領域の軸方向で一様であ
    る特許請求の範囲第10項記載の原子炉の初装荷炉心。
  12. 【請求項12】同一サイズの複数の燃料集合体が装荷さ
    れた原子炉の初装荷炉心において、 前記炉心の半径方向における一部の領域であって最外周
    に配置された燃料集合体が占める最外周領域を除き前記
    炉心の半径方向における他の領域を前記半径方向に中央
    領域と外部領域とに分割し、 前記燃料集合体は、燃料有効長部のうち上下端部の天然
    ウラン領域以外の領域を、同一長さの上部領域と同一長
    さの下部領域とにそれぞれ分割され、 前記外部領域の平均濃縮度が前記中央領域の平均濃縮度
    よりも小さく、しかも前記外部領域の上部領域での平均
    濃縮度aと前記外部領域の下部領域での平均濃縮度bと
    の差が、前記中央領域の上部領域での平均濃縮度cと前
    記中央領域の下部領域での平均濃縮度dとの差より小さ
    く、前記平均濃縮度aが前記平均濃縮度b以上であり、
    前記平均濃縮度cが前記平均濃縮度dよりも大きいこと
    を特徴とする原子炉の初装荷炉心。
  13. 【請求項13】前記外部領域及び前記中央領域における
    炉心の軸方向に垂直な断面での平均濃縮度は前記上部領
    域の軸方向で一様であり、前記外部領域及び前記中央領
    域の下部領域における炉心の軸方向に垂直な断面での平
    均濃縮度は前記下部領域の軸方向で一様である特許請求
    の範囲第12項記載の原子炉の初装荷炉心。
  14. 【請求項14】同一サイズの複数の燃料集合体が装荷さ
    れた原子炉の初装荷炉心において、 前記炉心の半径方向における一部の領域であって最外周
    に配置された燃料集合体が占める最外周領域を除き前記
    炉心の半径方向における他の領域を前記半径方向に中央
    領域と外部領域とに分割し、 前記燃料集合体は、燃料有効長部のうち上下端部の天然
    ウラン領域以外の領域を、同一長さの上部領域と同一長
    さの下部領域とにそれぞれ分割され、 前記外部領域における平均濃縮度が前記中央領域におけ
    る平均濃縮度よりも小さく、しかも前記外部領域におけ
    る炉心の軸方向に垂直な断面の平均濃縮度が少なくとも
    上端部及び下端部を除いた領域で軸方向に一様に分布し
    ており、前記中央領域の上部領域での平均濃縮度cが前
    記中央領域の下部領域での平均濃縮度dよりも大きいこ
    とを特徴とする原子炉の初装荷炉心。
  15. 【請求項15】前記中央領域の上部領域における炉心の
    軸方向に垂直な断面での平均濃縮度は前記上部領域の軸
    方向で一様であり、前記中央領域の下部領域における炉
    心の軸方向に垂直な断面での平均濃縮度は前記下部領域
    の軸方向で一様である特許請求の範囲第14項記載の原子
    炉の初装荷炉心。
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