JP3124046B2 - 軽水炉の燃料集合体群 - Google Patents

軽水炉の燃料集合体群

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JP3124046B2
JP3124046B2 JP03027361A JP2736191A JP3124046B2 JP 3124046 B2 JP3124046 B2 JP 3124046B2 JP 03027361 A JP03027361 A JP 03027361A JP 2736191 A JP2736191 A JP 2736191A JP 3124046 B2 JP3124046 B2 JP 3124046B2
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uranium
mox
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combustion
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貞夫 楠野
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

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  • Monitoring And Testing Of Nuclear Reactors (AREA)
  • Fuel-Injection Apparatus (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】〔発明の目的〕
【0002】
【産業上の利用分野】本発明は、軽水炉の炉心部に装荷
される軽水炉の燃料集合体群に係り、特に熱的健全性を
損うことなくウランとプルトニウムとを混合した混合酸
化物(MOX)燃料集合体当たりのプルトニウム装荷量
を可及的に増やすことができる軽水炉の燃料集合体群に
関する。
【0003】
【従来の技術】一般に、沸騰水型原子炉等の軽水炉にお
いては、主としてウラン酸化物を燃料ペレットに焼き固
めて燃料被覆管に詰めた燃料棒を、スペーサによって格
子状に束ねて組み立てた燃料集合体を装荷している。
【0004】図12は、従来のこの種のウラン燃料集合
体を示すもので、図中、符号aはウラン燃料集合体のチ
ャンネルボックスであり、このチャンネルボックスa内
には、ウラン燃料棒bとガドリニア入り燃料棒cとが、
8行8列に配置され、中央部には、ウォータロッドdが
配置される。
【0005】ウラン燃料棒bの核燃料は、天然ウランか
らウラン235を濃縮した濃縮ウランであるが、その濃
度度(U−235の重量割合)の異なるものが数種類使
用されている。図12においては、燃料棒中に符号1,
2,3,4を付した4種類のウラン燃料棒bが用いられ
ている。
【0006】また、ガドリニア入り燃料棒cは、ガドリ
ニウム酸化物(ガドリニア:Gd)をウラン酸化
物と混合して形成されており、大きな中性子吸収断面積
を有することから、初期の反応度を制御するために用い
られている。図12においては、燃料棒中に符号Gを付
した10本のガドリニア入り燃料棒cが用いられてい
る。
【0007】表1に、図12に示すウラン燃料集合体
(単に、ウラン燃料とも称される)における各燃料棒
b,cのU−235濃縮度(重量パーセント:w/
o)、Gd濃度(重量パーセント:w/o)およ
び本数を示す。
【0008】
【表1】
【0009】ところで、ウラン燃料は、原子炉の炉心部
に装荷され、所定期間運転された後使用済みとなり、こ
の使用済燃料は数年間冷却された後再処理される。再処
理時に回収されるウランおよびプルトニウムは、再び軽
水炉の核燃料としてリサイクルすることによって、ウラ
ン資源の節約を図ることができる。その中のプルトニウ
ムを軽水炉にリサイクルすることは、プルサーマルと呼
ばれ、欧米では早くから実施された経験がある。プルサ
ーマルにおいては、プルトニウムは酸化物の形で、母材
となるウラン酸化物と混合され、混合酸化物(MOX)
として、やはりペレット状に焼き固められて燃料被覆管
に詰められてMOX燃料棒を形成し、この燃料棒を束ね
てMOX燃料集合体(以後MOX燃料と略称)を構成し
ている。この燃料集合体は再び軽水炉に装荷され核燃料
として使用される。
【0010】燃料としてのプルトニウムは、同位元素と
しては、表2に示すものがある。
【0011】
【表2】
【0012】なお、表2において、σγは、2200m
/sの中性子に対する(n,γ)反応断面積、Iγは、
(n,γ)反応の実効共鳴積分、σは、2200m/
sの中性子に対する(n,f)反応断面積、Iは、
(n,f)反応の実効共鳴積分である。また表2中に*
印を付した同位体元素は、核分裂性元素である。表2に
おいて、Am−241は、プルトニウム同位体元素では
ないが、Pu−241が半減期14.7年でベータ崩壊
することにより生成されるので、プルトニウム同位体元
素の仲間に入れてある。ウラン燃料の場合と異なって、
プルトニウム燃料の場合には、再処理によって回収され
るという性質上、その同位体元素割合を固定することは
できないが、典型的なウラン燃料の再処理によって得ら
れるプルトニウムの同位体元素割合(%)を一例として
挙げると、Pu−238:Pu−239:Pu−24
0:Pu−241:Pu−242:Am−241=1.
5:59.5:26.4:7.6:3.8:1.2であ
る。したがって、プルトニウムの核分裂性物質Puf
(Pu−239およびPu−241)の割合は67.1
%である。
【0013】MOX燃料の設計をする場合には、既に先
行して認可されているウラン燃料と同一の集合体ハード
(チャンネルボックス)形状を採用するのが通例であ
る。ところが、燃料集合体のハード形状は、減速材であ
る水と燃料であるウランとの水対燃料体積比を、ウラン
燃料が最も高い反応度を得るように最適設計してある。
一般に、プルトニウム同位体元素の中性子吸収断面積
(中性子捕獲断面積σγと核分裂断面積σとの和)
は、ウラン同位体元素のものよりも数倍大きいことは、
表2に示す通りである。このため、ウラン燃料と同一の
集合体ハード形状を採用する限りにおいては、MOX燃
料の中性子のエネルギースペクトルは、ウラン燃料に比
べて硬くなる(高速側に少し片寄る)。このことは、M
OX燃料設計において3つの困難をもたらすことにな
る。
【0014】第1の困難は、ウラン燃料と同一の反応度
を持つMOX燃料集合体を設計するためには、全核分裂
性物質(U−235およびPuf)の装荷量をウラン燃
料よりも多くする必要がある。
【0015】第2の困難は、反応度制御に使用している
ガドリニウムの反応度制御能力(反応度価値)の大部分
は、熱中性子領域において顕著であるため、中性子のエ
ネルギスペクトルが硬くなれば、反応度価値が減少する
ことである。このため、図12と同じ反応度を持ったM
OX燃料を作る場合には、それだけガドリニア入り燃料
棒の本数を、ウラン燃料に比べて増加する必要がある。
ガドリニア入り燃料棒は、燃焼初期においては出力は極
めて低いので、出力を負担する燃料棒の数が実質的に減
少する。このため、他の燃料棒1本当たりの出力が増加
し、燃料棒の熱的健全性を維持するために運転の余裕が
減少する。燃料棒の出力負担割合を示す指標として局所
出力ピーキング係数が使用される。
【0016】仮に、全ての燃料棒が一様に出力を負担し
ていれば、どの燃料棒の局所出力ピーキング係数も1.
0である。図12に示したウラン燃料集合体の燃焼初期
における局所出力分布を図13に示す。下線を施した出
力係数はガドリニア入り燃料棒のものでいずれも0.4
強の値である。最大の局所出力(ピーキング係数)は*
印を施した位置に現われ、その値は1.238である。
MOX燃料では、出力負担燃料棒数が減った分だけ、一
般にはウラン燃料よりも局所出力ピーキング係数は増大
することになる。
【0017】第3の困難は、図14に示すように燃料集
合体の中央部は、周辺部に比べて減速材が少ないため、
中性子スペクトルがより硬くなる。その結果、全ての燃
料棒が同一のウラン濃縮度を持っている場合には、中央
部に比して周辺部の燃料棒は大きな出力ピーキングをと
ることになり、燃料の熱的健全性の観点から好ましくな
い。
【0018】燃料の熱的健全性を改善するために、すな
わち燃料集合体の横断面において中性子スペクトルをで
きる限り一様にするために、図12のように燃料集合体
中央部にウォータロッド4を配置し、かつ周辺部ほど中
央部よりもウラン濃縮度を下げている。図13では、中
央部分にウォータロッド4を配置することによって、熱
中性子束が平坦化されていることが示されている。
【0019】しかしながら、ウラン燃料に対して最適設
計されている燃料集合体のハード形状において、ウラン
燃料の代りにMOX燃料を装荷すれば、前記の周辺部と
中央部との中性子スペクトルの差はより著しいので、各
MOX燃料棒の核分裂性物質の量の分布を最適化したと
しても、出力ピーキングはウラン燃料よりも厳しくな
る。これを回避するためには、周辺部分の燃料棒だけを
ウラン棒にする「アイランド型」設計とするか、または
プルトニウムの核分裂性物質Puf割合の異なるMOX
燃料棒の数を多くすることが対策としてとられてきた。
【0020】なお、燃料の成型加工上の要求として、ガ
ドリニウムとプルトニウムとは混合しないものとされて
いる。これは、過去の実績がないからであるばかりでな
く、燃料成型加工の生産ラインのコストアップを避ける
ためでもある。
【0021】さらに、前述したようにMOX燃料に使用
する核分裂性プルトニウムPufの割合は、元のウラン
燃料の取出し燃焼度や冷却期間などによって異なる。す
なわち、ウラン濃縮度の調整に比して、Pufの調整は
コストがかかるものである。したがって、MOX燃料設
計においては、Puf割合の異なるMOX燃料棒の種類
数はできる限り少ないことが望ましい。このことは、前
記第3の困難と矛盾した要求である。
【0022】ところで、燃料集合体はその燃料経済性を
向上させるために、段階的に高燃焼度化の方向に進んで
いる。高燃焼度化を達成するためには核分裂性物質の含
有割合を増加させることである。このことは、従来の燃
料ハード形状のままでそのまま高燃焼度化の設計をすれ
ば、中性子スペクトルが硬くなり出力ピーキングが高く
なることを意味している。したがって、プルサーマルは
欧米では早くから実施された経験があることは前述した
が、当時よりも現在の方が、MOX燃料の設計に関して
は困難性が増していると言える。また、プルトニウムの
輸送や取扱いの安全性を考えると、プルトニウムはでき
る限り1つの燃料集合体に集中して装荷した方が経済的
である。この意味で、「アイランド型」よりも全燃料棒
にプルトニウムを装荷した「全MOX型」が望ましい。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術では、MO
X燃料の反応度をウラン燃料と同じにするという条件の
下で、MOX燃料の設計をしてきた。そのために、燃料
ハードの変更をしない場合には「アイランド型」にした
り、燃料棒の種類数を増加させることが必要であった。
また、燃料ハードを変更する場合には、水対燃料体積比
を増すために、ウォータロッドを追加する設計としてい
た。このために、燃料集合体当たりのMOX燃料棒数が
減少し、プルトニウム装荷量が減少すると同時に出力負
担燃料棒本数の減少という矛盾があった。
【0024】本発明は、上述した事情を考慮してなされ
たもので、燃料集合体当たりのMOX燃料棒を減少させ
ることなく、燃料集合体当たりのプルトニウム装荷量を
増加させることができ、かつ炉心運用上の融通性を持た
せることができる軽水炉の燃料集合体群を提供すること
を目的とする。
【0025】〔発明の構成〕
【0026】
【課題を解決するための手段】本発明に係る軽水炉の燃
料集合体群は、上述した課題を解決するために、核分裂
物質としてウランとプルトニウムとを混合してなる混合
酸化物燃料集合体と、ウランを装荷してなるウラン燃料
集合体とからなる燃料集合体群において、前記ウラン燃
料集合体と前記混合酸化物燃料集合体とは軽水炉の炉心
に混合装荷可能に構成されてなり、前記混合酸化物燃料
集合体の無限増倍率を燃焼初期を除いた燃焼期間で前記
ウラン燃料集合体の無限増倍率よりも低くし、さらに燃
焼初期の前記混合酸化物燃料集合体の局所出力ピーキン
グ係数を前記ウラン燃料集合体の局所出力ピーキング係
数より低くしたものである。
【0027】
【作用】本発明に係る軽水炉の燃料集合体群において
は、MOX燃料集合体の燃料棒の大部分を、ガドリニア
等の可燃性毒物入り燃料棒を除いてMOX燃料集合体で
構成し、かつこのMOX燃料集合体の無限増倍率を、燃
焼初期を除いた燃焼期間において、ウラン燃料集合体の
無限増倍率よりも低く、また、燃焼初期においてMOX
燃料集合体の無限増倍率がウラン燃料集合体より高いた
めに、燃焼初期ではMOX燃料集合体の局所出力ピーキ
ング係数をウラン燃料集合体の局所出力ピーキング係数
より低くしている。
【0028】ところで、炉心設計上の熱的制約条件の目
安として、グロスピーキング係数がある。MOX燃料集
合体とウラン燃料集合体とが混合装荷された軽水炉の炉
心において、グロスピーキング係数を小さくするため
に、局所出力ピーキング係数が大き目に出るMOX燃料
集合体の無限増倍率を小さくすればよい。
【0029】本発明では、MOX燃料集合体の無限増倍
率をウラン燃料集合体の無限増倍率より低くしているの
で、炉心の熱的制約条件を余裕を持って満足できる設計
とすることが可能となる。
【0030】一方、MOX燃料集合体の無限増倍率を低
くすると、プルトニウム装荷量が減少するが、MOX燃
料集合体の燃料棒の大部分を、ガドリニア等の可燃性毒
物入り燃料棒を除いてMOX燃料棒で構成しているの
で、燃料集合体当たりのプルトニウム装荷量は、アイラ
ンド型よりも少し多くすることが可能となる。
【0031】
【実施例】以下、本発明に係る軽水炉の燃料集合体群の
一実施例について添付図面を参照して説明する。
【0032】図1は、本発明に係る軽水炉の燃料集合体
群に備えられるMOX燃料(MOX燃料集合体)を示す
もので、このMOX燃料は、燃料棒を8行8列に格子状
に整列配置した例である。図中、符号10はMOX燃料
のチャンネルボックスであり、このチャンネルボックス
10内には、テイルウランを母材とするMOX燃料棒1
1とガドリニア等の可燃性毒物入り燃料棒12とが配置
され、中央部にはウォータロッド13が配置されてい
る。
【0033】前記MOX燃料棒11は、図1の燃料棒中
に符号1,2,3,4を付して示すように4種類用いら
れ、また可燃性毒物としてガドリニア入り燃料棒12
は、図1の燃料棒中に符号Gを付して示すように、16
本用いられている。
【0034】表3は、前記各燃料棒11,12のU−2
35濃縮度、Puf富化度、全核分裂性物質量率、ガド
リニア(Gd)濃度および本数をそれぞれ示した
ものである。
【0035】
【表3】
【0036】図1に示すMOX燃料は、サイクル末期炉
心平均燃焼度が22GWd/tに対応する設計になって
おり、15ヶ月運転で取り出し平均燃焼度32GWd/
tを達成可能である。MOX燃料は、図12に示したウ
ラン燃料と混合装荷できる設計となっている。このため
に、ガドリニア入り燃料棒12の本数は、ウラン燃料の
場合10本であるのに対して、本実施例では16本とな
っている。そして、16本のうちの8本を、中央の太径
のウォータロッド13の周りを取り囲むように配してい
る。これは、少しでも水の多い場所に可燃性毒物として
ガドリニアを配置することにより、その制御価値の向上
を図るためである。
【0037】また、ガドリニア入り燃料棒12のウラン
濃縮度は、ウラン燃料では3.2%であるが、本実施例
ではそれよりも高い4.5%としている。ウラン濃縮度
を高くすることによって、ガドリニア入り燃料棒12の
出力負担割合が、僅かながらウラン燃料の場合よりも高
くなり、ガドリニア入り燃料棒12の本数が増加するこ
とによる燃焼初期の局所出力ピーキングの悪化を、僅か
ながら改善する方向に働くからである。
【0038】図2は、図1に示すMOX燃料の燃焼初期
における局所出力分布を示すもので、最大値は1.23
3となっている。図13のウラン燃料の局所出力分布と
比べると、ガドリニア入り燃料棒の出力が上がっている
ことが判る。ウラン燃料の方は、サイクル末期炉心平均
燃焼度が25GWd/tであり、取り出し平均燃焼度は
38GWd/tとMOX燃料よりも高い。しかしなが
ら、燃料の高燃焼度化が図られることになるので、この
組合せは最も実現性の高いものである。
【0039】次に、本実施例の作用について説明する。
【0040】図3は、サイクル末期におけるMOX燃料
集合体(MOX燃料)の炉心平均無限増倍率と核分裂性
物質の割合との関係を、サイクル末期炉心平均燃焼度を
パラメ―タとして示したものである。破線はウラン燃料
に対するもの、実線は本発明が対象とする全MOX燃料
に対するものである。MOX燃料は、ウラン燃料と同一
のハード形状で設計したものである。炉心は実行増倍率
が1.0で臨界であり、それよりも小さくなると、その
サイクルは運転を継続できない。炉心の中性子の漏れ
は、ほぼ5%Δkであるため、サイクル末期の炉心平均
の無限増倍率は1.05である。このサイクル末期の炉
心平均無限増倍率を一点鎖線で表している。
【0041】サイクル末期炉心平均燃焼度が25GWd
/tの燃料をウラン燃料で設計する場合には、U−23
5濃縮度がほぼ3.8wt%必要である(点R)のに対
して、MOX燃料においては、必要核分裂性物質割合は
ほぼ4.6wt%必要(点B)であることを、この図は
表わしている。すなわち、前述したように、MOX燃料
では中性子スペクトルが硬くなるために、ウラン燃料よ
りも多くの核分裂性物質を装荷して初めて、反応度が同
じ燃料とすることができる。しかも、MOX燃料の勾配
は、ウラン燃料よりも緩かであるため、核分裂性物質の
装荷量の変化に関して、ウラン燃料よりも感度が鈍いこ
とを意味している。
【0042】ところで、図12で示したウラン燃料で
は、サイクル末期の炉心平均燃焼度が25GWd/tに
なるように設計されたものであり、その局所出力ピーキ
ング係数は燃焼初期で1.238であることは、図13
で示した通りである。これに対して、同じ反応度を持つ
MOX燃料の局所出力ピーキング係数は1.246であ
りウラン燃料よりも高い。
【0043】図4は、ウラン燃料およびこれと同じ反応
度を持つMOX燃料の、局所出力ピーキング係数の燃焼
依存性を、それぞれ比較したものである。
【0044】図4からも明らかなように、ウラン燃料と
MOX燃料の局所出力ピーキングの特徴的な差が示され
ている。すなわち、ウラン燃料では、ほぼ単調減少なの
に対して、MOX燃料の場合には、燃焼の後半でも単調
減少とはならない。その理由は、中性子スペクトルが硬
いために、U−238からPu−239への転換が燃料
集合体の中央部分のMOX燃料棒でよく進み、それが後
半に出力を出すようになるからである。しかしながら、
局所出力ピーキング係数が大きくとも炉心全体でその燃
料集合体の出力が小さければ熱的制約とはならない。
【0045】図5は、ウラン燃料およびMOX燃料の無
限増倍率の燃焼変化を、それぞれ比較して示したもので
ある。
【0046】図5からも明らかなように、MOX燃料の
無限増倍率は、燃焼初期(装荷第1サイクル目)のかな
りの期間と燃焼後期の期間において、ウラン燃料よりも
高い無限増倍率を持っている。特に、MOX燃料をウラ
ン燃料と混合して炉心に装荷する場合、図5から判るよ
うに、燃焼初期において、MOX燃料の無限増倍率がウ
ラン燃料よりも高いために、MOX燃料の局所出力ピー
キング係数を、ウラン燃料よりも下げておく必要があ
る。
【0047】以下、その理由を説明する。炉心設計上の
熱的制限条件の目安としてグロスピーキング係数があ
る。グロスピーキング係数は炉心の径方向ピーキング係
数、軸方向ピーキング係数および局所出力ピーキング係
数の積の最大値である。径方向ピーキング係数は、主と
して燃料集合体の平均の無限増倍率によって決まる。し
たがって、MOX燃料とウラン燃料とが混合装荷された
炉心において、グロスピーキング係数を小さくするため
には、局所出力ピーキング係数が大き目に出るMOX燃
料の無限増倍率を小さくすればよい。図6ではその目安
として、無限増倍率と局所出力ピーキング係数との積の
燃焼変化を示している。これから、核燃料の燃焼の全て
の期間においてMOX燃料の値はウラン燃料よりも大き
くなっているため、炉心の熱的設計上厳しい。
【0048】そこで、核分裂性物質の割合を燃料集合体
平均で0.5%下げたMOX燃料を設計した。その結
果、局所出力ピーキング係数の燃焼初期における値は図
7に示したように1.233に下がり、ウラン燃料より
も下になっていることが判かる。無限増倍率および局所
出力ピーキング係数の値も、図4および図5に示すよう
に、それぞれ全体的に下がっている。その代りに、炉心
平均での燃焼度は、22GWd/tと小さくなっている
が、可燃性毒物としてのガドリニア入り燃料棒以外は全
てMOX燃料棒であるため、プルトニウムの装荷割合
は、アイランド型よりも依然として大きい。無限増倍率
が燃焼初期を除いて、燃焼の大部分の期間においてウラ
ン燃料よりも小さいために、無限増倍率と局所出力ピー
キング係数との積は、図6に示したように、装荷第1サ
イクル目においてウラン燃料と同程度の値をとる燃焼期
間が増加し、炉心の熱的制約条件を余裕を持って満足で
きる設計となっている。
【0049】なお、図7において、MOX燃料の核分裂
性物質重量割合の量をどの程度まで下げればよいかにつ
いては、少なくともC点以下になることが必要であり、
それよりも小さい程炉心特性は楽になる方向である。た
だし、余り下げ過ぎると今度は燃料集合体当たりの装荷
プルトニウム量がアイランド型並になってしまうので、
下げる限界はこれによって抑えられる。A点は1つの実
施例に過ぎず、C点により近いMOX燃料が問題なく設
計できれば最もプルトニウムの装荷割合が多くできる。
【0050】以上のように、MOX燃料集合体当たりの
プルトニウム装荷量をできる限り大きくして、ウラン燃
料と混合装荷しても、熱的性能を損うことなく運転余裕
の十分に高い炉心を構成することが可能である。プルト
ニウム富化度を下げることによる炉心特性上の利点は、
運転時ばかりでなく、炉停止時の炉停止余裕の改善にも
有効である。一般に、運転時から冷温停止時に変えたと
きの集合体の無限増倍率の変化量(コールドホットスイ
ング)が正で大きい炉心では炉停止余裕が厳しい。本実
施例の場合、コールドホットスイングの燃焼初期の値−
0.2%Δkであって、プルトニウム富化度を下げる前
のMOX燃料の値+0.1%Δkよりも改善されてい
る。
【0051】図8は、本発明に係るMOX燃料におい
て、9行9列に燃料棒を整列配置した燃料集合体に適用
した例を示すもので、図中、符号10はチャンネルボッ
クスであり、このチャンネルボックス10内には、MO
X燃料11と可燃性毒物としてガドリニア入り燃料棒1
2とが配置され、中央部には、太径のウォータロッド1
3が2本配置されている。
【0052】前記MOX燃料棒11は、図8の燃料棒中
に符号1,2,3,4を付して示すように4種類用いら
れ、また前記ガドリニア入り燃料棒12は、図8の燃料
棒中に符号G1,G2を付して示すように2種類用いら
れている。
【0053】表4は、前記各燃料棒11,12のU−2
35濃縮度、Puf富化度、全核分裂性物質重量率、ガ
ドリニア(Gd)濃度および本数をそれぞれ示し
たものである。
【0054】
【表4】
【0055】図8に示すMOX燃料は、取出し平均燃焼
度が45GWd/tのウラン燃料と混合装荷されるとき
に、良好な炉心特性を示すものである。
【0056】図9は、図8に示すMOX燃料とウラン燃
料との無限増倍率の燃焼変化をそれぞれ示すものであ
り、MOX燃料の無限増倍率は、燃焼初期を除いた燃焼
期間の大部分において、ウラン燃料の無限増倍率よりも
低くなっている。
【0057】図10は、図8に示すMOX燃料とウラン
燃料との局所出力ピーキング係数の燃焼変化をそれぞれ
示すものであり、装荷の第1サイクルの期間において、
MOX燃料の方が、ウラン燃料よりも低く抑えられてい
る。この結果、局所出力ピーキング係数と無限増倍率と
の積もまた、図11に示すようにMOX燃料の方が、ウ
ラン燃料よりも低くなっている。
【0058】なお、図8において、2本のウォータロッ
ド13に面する符号G1を付した2本のガドリニア入り
燃料棒12を取り去り、さらに太径のウォータロッドを
1本配置するようにしても、同様の効果が期待できる。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る軽水炉
の燃料集合体群によれば、熱的余裕を増大させ、熱的健
全性を損うことなく、MOX燃料集合体当たりのプルト
ニウム装荷量を可及的に増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るMOX燃料集合体の一実施例を示
す横断面図。
【図2】図1のMOX燃料集合体の燃焼初期における局
所出力分布を示す説明図。
【図3】図1のMOX燃料における核分裂性物質割合と
炉心平均無限増倍率との関係を、ウラン燃料およびこれ
と同一反応度のMOX燃料と比較して示すグラフ。
【図4】図1のMOX燃料における局所出力ピーキング
係数の燃焼変化を、ウラン燃料およびこれと同一反応度
のMOX燃料と比較して示すグラフ。
【図5】図1のMOX燃料における無限増倍率の燃焼変
化を、ウラン燃料およびこれと同一反応度のMOX燃料
と比較して示すグラフ。
【図6】図1のMOX燃料における局所出力ピーキング
係数と無限増倍率との積と燃焼度との関係を、ウラン燃
料およびこれと同一反応度のMOX燃料と比較して示す
グラフ。
【図7】図1のMOX燃料における核分裂性物質割合と
局所出力ピーキング係数との関係を、ウラン燃料および
これと同一反応度のMOX燃料と比較して示すグラフ。
【図8】本発明に係るMOX燃料集合体の他の実施例を
示す横断面図。
【図9】図8のMOX燃料における無限増倍率の燃焼変
化を、ウラン燃料と比較して示すグラフ。
【図10】図8のMOX燃料における局所出力ピーキン
グ係数の燃焼変化を、ウラン燃料と比較して示すグラ
フ。
【図11】図8のMOX燃料における局所出力ピーキン
グ係数と無限増倍率との積の燃焼変化を、ウラン燃料と
比較して示すグラフ。
【図12】従来のウラン燃料集合体を示す横断面図。
【図13】ウラン燃料集合体の燃焼初期における局所出
力分布を示す説明図。
【図14】典型的な燃料の中性子束の径方向分布を示す
グラフ。
【符号の説明】
10 チャンネルボックス 11 MOX燃料棒 12 ガリドニア入り燃料棒(可燃性毒物入り燃料棒) 13 ウォータロッド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G21C 3/328 G21C 3/62 G21C 5/18

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 核分裂物質としてウランとプルトニウム
    とを混合してなる混合酸化物燃料集合体と、ウランを装
    荷してなるウラン燃料集合体とからなる燃料集合体群に
    おいて、前記ウラン燃料集合体と前記混合酸化物燃料集
    合体とは軽水炉の炉心に混合装荷可能に構成されてな
    り、前記混合酸化物燃料集合体の無限増倍率を燃焼初期
    を除いた燃焼期間で前記ウラン燃料集合体の無限増倍率
    よりも低くし、さらに燃焼初期の前記混合酸化物燃料集
    合体の局所出力ピーキング係数を前記ウラン燃料集合体
    の局所出力ピーキング係数より低くしたことを特徴とす
    る軽水炉の燃料集合体群。
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