JP3943624B2 - 燃料集合体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、原子炉で用いられる燃料集合体に係り、特に二酸化ウランと二酸化プルトニウムの混合酸化物からなる燃料棒を多数装荷してなる沸騰水型原子炉に利用される高燃焼度の燃料集合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
沸騰水型原子炉に使用する核燃料集合体は、これまでは基本的に核燃料物質としてウランを使用している。すなわち、ウランの酸化物(UO2 )を直径約1cmの円柱状に成型し焼結したペレットをジルコニウム合金の被覆管に封入したウラン燃料棒を製造し、この燃料棒を多数本正方格子状に束ねて燃料集合体としている。燃料集合体中では燃料棒の外側に冷却材の流路が設けられている。図7(a)は従来の沸騰水型原子炉の燃料集合体の縦断面図、図7(b)は図7(a)のA−A矢視方向断面図である。燃料集合体11は燃料棒6と、内部を冷却材が流れるウォータロッド7とを、スペーサ8により例えば9行9列の正方格子状に束ねて、上部タイプレート9及び下部タイプレート10により固定して燃料棒束とし、この燃料棒束をチャンネルボックス5で包囲して構成される。この燃料集合体11は、74本の燃料棒6と2本の太径ウォータロッド7を有する。
【0003】
近年では、燃焼効率の向上を図るために燃料の高燃焼度化が進められている。図7に示した燃料集合体11のように燃料棒を9行9列に配置して従来よりも燃料集合体1体に含まれる燃料棒の数を増やすことによって、燃料集合体の燃焼度を高めている。
【0004】
また近年、原子炉で燃焼を終了した使用済の燃料集合体を再処理施設で再処理し余分な核分裂生成物を除去することにより、使用済燃料集合体中の残留ウランや、原子炉での燃焼過程で生成され核燃料物質として利用価値の高いプルトニウムを回収して再利用する核燃料リサイクルが行われようとしている。この核燃料リサイクルの一環として、再処理で回収された二酸化プルトニウム(PuO2 )に二酸化ウラン(UO2 )を混合することにより、混合酸化物燃料(mixed-oxide fuel;以下、MOX燃料という)を製造し、軽水炉で利用するプル・サーマル利用(Plutonium thermal utilization )の計画が進められようとしている。こうした核燃料リサイクルにより燃料の経済性を向上させることができる。
【0005】
沸騰水型軽水炉で使用されるMOX燃料は、ウラン燃料の中に含まれるウランペレットの代わりにMOXペレットを封入して製造される。また沸騰水型原子炉では燃料集合体間に減速材である水が流通する水ギャップが設けられているが、炉心の径方向の減速材分布が均一でない等の理由により、炉心の径方向出力分布に歪みが生ずる。よってMOX燃料においては、燃料の径方向及び軸方向に関してウラン濃縮度(全ウラン中に含まれるウラン235含有量の割合)あるいはプルトニウム富化度(MOX燃料中のプルトニウムの含有割合)が異なる燃料ペレット数種類を配置することで、出力分布の平坦化を図っている。
【0006】
さらに、燃焼初期において、余剰の核分裂連鎖反応を抑制し余剰反応度を適切に制御するために、一部の燃料棒には、MOXに可燃性毒物としてガドリニア(Gd2 O3 )のような中性子吸収体を添加した状態でペレットを成型した可燃性毒物入り入りペレットが充填されている。このような可燃性毒物入り燃料棒における中性子吸収効果は、燃焼が進むにつれて直線的に低下する。可燃性毒物の添加量は、燃料経済性の観点から、運転サイクル末期において残留量がほとんどゼロとなるように設定される。
【0007】
図8は可燃性毒物を含む燃料集合体及び可燃性毒物を含まない燃料集合体の無限増倍率及び可燃性毒物反応度の燃焼変化を模式的に示したグラフ、図9はこの2種の燃料集合体の余剰反応度の燃焼変化の一例を示したグラフである。なお図8においては可燃性毒物として代表的にガドリニアを用いた場合を示した。ここで燃料集合体の炉心内に滞在するサイクル数をNとする。Nは取替バッチ数と呼ばれ、一般に非整数である。図8において記号d1 、d2 、dN は、それぞれ第1、第2、第Nサイクルの期間を示す。また符号51を付した実線及び符号52を付した破線はそれぞれ可燃性毒物を含む場合及び含まない場合の無限増倍率の燃焼推移を示す。また符号53を付した実線は符号51の実線の場合に対応するガドリニア反応度の燃焼推移を示す。このグラフによれば、燃料集合体中の可燃性毒物による中性子吸収効果は第1サイクルに顕著に表れることがわかる。
【0008】
また、図9で符号56を付した実線及び符号57を付した破線はそれぞれ可燃性毒物を含む場合及び含まない場合の余剰反応度の燃焼推移を示したものである。可燃性毒物を含まない場合はサイクル初期の余剰反応度が高く、余剰反応度は燃焼の推移とともに一次関数的に減少する。一方可燃性毒物を含む場合には、反応初期から末期に至るまで余剰反応度をほぼ一定に低く制御することができる。
【0009】
さらに、サイクル初期の抑制すべき反応度の大きさは可燃性毒物入り燃料棒の本数に比例し、反応度を抑制すべき期間長さは可燃性毒物の濃度(添加質量率と呼ばれる。)に比例することが知られている。すなわち、図8において符号53を付した実線で示されるガドリニア反応度の燃焼推移は、ガドリニアの濃度を増加させると符号54を付した破線のように初期のガドリニア反応度が大きくなり、またガドリニア入り燃料棒の本数を増加させると符号55を付した破線のようにガドリニア反応度がゼロに達するまでに要する時間が大きくなる。
【0010】
この関係を利用して、制御棒による反応度制御の操作を簡素化するために炉心の余剰反応度が長期にわたって平坦となるように、また燃焼末期において可燃性毒物の燃え残りがなくなるように、可燃性毒物入り燃料棒の本数及び濃度を適切に設定する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上述したプル・サーマル利用の観点から、最近の燃料集合体の中には、MOX燃料集合体中の大部分の燃料棒をMOX燃料棒とすることでMOX燃料集合体におけるプルトニウムの装荷量を高めたものが開発されている。このときさらに高燃焼度化を図るためには、各燃料棒のウラン濃縮度やプルトニウム富化度を増加させて、あるいはガドリニアに代表される可燃性毒物入り燃料棒の本数を増加させて、燃焼初期の余剰反応度を低く抑制する必要がある。
【0012】
現時点でのMOX燃料設計においてはMOX燃料の製造工程を簡素化するという観点から、ガドリニア入り燃料棒については、ガドリニア入りMOXペレットを採用せずに、従来のウラン燃料設計において使用されているウランにガドリニアを混合して成型したペレットからなるガドリニア入りウラン燃料棒を採用している。
【0013】
一般に、MOX燃料集合体では特にプルトニウム240の共鳴中性子吸収断面積が大きいため、ウラン燃料集合体と比べて中性子束スペクトルが硬く、ガドリニアの熱中性子吸収割合が小さい。よってMOX燃料集合体においては、余剰反応度を抑制するために、ウラン燃料集合体の場合と比べてガドリニア入りウラン燃料棒を多く配置する必要がある。
【0014】
図10は、特開平4−244994号に開示されているガドリニアをウラン燃料棒に添加する方法による、従来のMOX燃料集合体の燃料棒配置の一例を示す断面図である。ここで記号GU はガドリニア入りウラン燃料棒を表す。また記号M1 、M2 、M3 、M4 はそれぞれプルトニウム富化度が異なるMOX燃料棒を示し、添字番号が若いほどプルトニウム富化度が大きいものとする。MOX燃料棒中のウランには核分裂への寄与が小さい劣化ウランを使用しており、燃料集合体中の全核分裂性物質のうち核分裂性プルトニウムの重量割合は7割弱である。すなわち、ウラン及びプルトニウムの全量に対する核分裂性物質の重量率は4.6wt%、核分裂性プルトニウムの重量率は3.1wt%である。また、燃料集合体の74本の燃料棒6中、外周部を除く領域にほぼ均等に22本のガドリニア入り燃料棒GU が配置されている。このガドリニア入り燃料棒GU 中の燃料におけるガドリニア濃度は1.5wt%である。
【0015】
図10に示したMOX燃料集合体においてガドリニア入り燃料棒GU の本数をさらに増やすと、それに伴いMOX燃料棒の本数が減少し燃料集合体当たりのプルトニウム装荷量が減少する。またこの場合、ガドリニア入り燃料棒GU 同士を隣接して配置することに伴って燃料棒1本あたりの中性子吸収効果が低減し、燃焼後のガドリニアの残留量が増加する。従って、プルトニウム富化度を増した高燃焼度燃料集合体の設計に関しては、現状では図10に示した場合より多くのガドリニア入り燃料棒GU を配置することは困難である。
【0016】
図11(a)及び(b)は、それぞれ図10に示したMOX燃料集合体の無限増倍率及び余剰反応度の燃焼変化の一例を示したグラフである。なお符号58を付した実線は図10に示したMOX燃料集合体の無限増倍率を、符号52を付した破線はガドリニアを含まない燃料集合体の無限増倍率を表す。また記号di (1≦i≦4)は第iサイクルの燃焼を示す。また図12は、図10に示したMOX燃料集合体中の最大出力と平均出力の比(局所出力ピーキング係数と呼ばれる。)の燃焼推移を示したグラフである。
【0017】
上述したガドリニア入り燃料棒の配置の困難さを解消するために、図11(a)に示すように、運転サイクル初期の余剰反応度を抑制するための補助的手段として、ガドリニア入り燃料棒GU 内のガドリニアの第1サイクル終了時での残留量を若干確保しておき、第2サイクル初期における燃料集合体の無限増倍率を小さくすることにより、炉心全体での余剰反応度を抑制する。しかしこの方法は、第1サイクルの末期における若干のガドリニアの燃え残りによって反応度損失が生じるから、燃料経済上好ましくない設計となっている。
【0018】
またこの構造では、ガドリニア入り燃料棒GU の本数を増加させたことに伴い、燃料集合体内の燃料棒間の出力格差が増大し、図12に示すように局所出力ピーキング係数がやや大きい。これは設計目標の範囲内ではあるが、さらに局所出力ピーキング係数を低減させ出力分布を平坦化する改善の余地がある。
【0019】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、運転サイクル初期の余剰反応度を適切に制御し、運転サイクル末期での可燃性毒物の燃え残りをなくすとともに、出力分布の歪の平坦化された熱的余裕の大きい、かつ燃料集合体あたりのプルトニウム装荷量の十分多い燃料集合体を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明では、ウラン酸化物からなるペレットを封入した第1の燃料棒と、ウラン酸化物とプルトニウム酸化物の混合酸化物からなるMOXペレットを封入した第2の燃料棒と、内部を冷却材が流れるウォータロッドとを格子状に束ねて構成される燃料集合体において、この燃料集合体中の全燃料棒のうちの半数以上が1wt%未満の可燃性毒物を含有する前記第2の燃料棒であることを特徴とする燃料集合体を提供する。またこの可燃性毒物のうち少くとも一部はガドリニアであるよう設定するとよい。
【0021】
この構成により、運転サイクル初期の余剰反応度を適切に制御し、かつ運転サイクル末期での可燃性毒物の燃え残りをなくすとともに、熱的余裕を増し、さらに燃料集合体あたりのプルトニウム装荷量を十分多く確保する。
【0022】
さらに本発明では、燃料集合体中の燃料棒配列数を9行9列以上とすることで、特に高燃焼度でかつプルトニウム富化度の高い燃料集合体の設計において、上述の作用を有効に機能させる。
【0023】
さらに本発明では、燃料集合体中の全燃料棒のうちの7割以上が第2の燃料棒となるよう設定することにより、MOX燃料棒本数の多い燃料集合体の設計において、上述の作用を有効に機能させる。
【0024】
さらに本発明では、第2の燃料棒中の全核分裂性物質のうち核分裂性プルトニウムの含有率がウラン235の含有率よりも大きくなるよう設定する。特に、燃料集合体中の全核分裂性物質のうちの7割以上が核分裂性プルトニウムであるよう設定してもよい。この構成により、第2の燃料棒中のプルトニウム装荷量をさらに増やすことで、プル・サーマル利用の促進を図る。
【0025】
さらに本発明では、燃料集合体の隅部に配置される燃料棒は可燃性毒物を含有しないよう設定する。これにより、燃料集合体中の可燃性毒物を含有する燃料棒それぞれの中性子吸収効果をほぼ同程度とする。また特に、燃料集合体の隅部に配置される燃料棒を第1の燃料棒とすることにより、プルトニウム富化度の異なるMOX燃料棒の種類数を少なくする。
【0026】
さらに本発明では、ウォータロッドに1方向で隣接する位置またはウォータロッドに2方向に面する燃料棒に隣接する位置に、可燃性毒物を含有しない第2の燃料棒を配置する。これにより、燃料集合体の径方向中央部(ウォータロッド周辺)の局所出力を高めることにより径方向出力分布の歪を平坦化する。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下本発明の第1の実施形態について説明する。図1は本実施形態に係る燃料集合体1の水平方向断面図である。U1 及びU2 は濃縮度の異なるウラン燃料棒、M1 は可燃性毒物を含まないMOX燃料棒、GM は可燃性毒物としてガドリニアを含むMOX燃料棒である。なおウラン燃料棒のウラン濃縮度はU1 がU2 より大きいものとする。またここでは燃料棒GM のガドリニア濃度を0.8wt%と設定する。
【0028】
本実施形態に係る燃料集合体1は4種類の燃料棒からなる。符号12を付した燃料集合体隅部に燃料棒U2 を、またこの燃料棒U2 に近接して燃料棒U1 を、また符号13を付したウォータロッド7に2方向で面する位置に燃料棒GM を配置した。この符号13を付した燃料棒GM に面する位置またはウォータロッド7に面する位置に燃料棒M1 を配置した。そして上述以外の場所にはすべて燃料棒GM を配置した。この結果燃料集合体1は、全燃料棒74本のうち燃料棒GM が38本、M1 が16本、U1 が16本、U2 が4本で構成される。すなわち、全燃料棒のうち73%がMOX燃料棒であり、かつ51%がガドリニア入りMOX燃料棒である。またこの燃料集合体1のバッチ数はおよそ4である。
【0029】
燃料集合体1のウラン及びプルトニウムの総量のうち核分裂性物質の割合を重量率で4.5wt%と設定し、かつ核分裂性プルトニウムの割合を重量率3.2wt%と設定した。すなわち燃料集合体中の全核分裂性物質のうち核分裂性プルトニウムの割合は71%である。
【0030】
この構成により、本実施形態は以下の作用を有する。まず第1に、周囲の減速材密度が高く熱中性子束が特に高い燃料集合体隅部12に可燃性毒物を含まない燃料棒U2 を配置することにより、各ガドリニア入り燃料棒のガドリニアによる中性子吸収効果をほぼ同程度とする。
【0031】
第2に、隅部12またはこの隅部12に近接する場所にはMOX燃料棒ではなくウラン燃料棒を配置することにより、燃料集合体中のMOX燃料棒の種類を少なくする。
【0032】
第3に、MOX燃料棒中の全核分裂性物質中の核分裂性プルトニウムの含有率をウラン235の含有率より大きく設定することで、燃料集合体中のMOXの装荷量を増し、プル・サーマル利用を促進する。このときMOX燃料棒中のウランとしては、濃縮ウランよりも核分裂反応に対する寄与の少ない、劣化ウランあるいは天然ウランを採用するとよい。
【0033】
第4に、ウォータロッド及びこのウォータロッドに2方向に面する燃料棒に隣接する位置に、可燃性毒物を含有しないMOX燃料棒M1 を配置する。これにより、燃料集合体の径方向中央部(ウォータロッド周辺)の局所出力を相対的に高めることで燃料集合体内の径方向出力分布の歪の平坦化を図る。
【0034】
図2(a)及び(b)における符号41及び42を付した実線は、それぞれ本実施形態の燃料集合体1の無限増倍率及び余剰反応度の燃焼変化を示したグラフである。また図3における符号43を付した実線は、燃料集合体1の局所出力ピーキング係数の燃焼推移を示したグラフである。なお符号58、59及び60を付した破線は、それぞれ、上記従来の技術で詳説した図10のMOX燃料集合体の無限増倍率、余剰反応度及び局所出力ピーキング係数の燃焼変化を示したものである。
【0035】
図10のMOX燃料集合体では4種類のMOX燃料棒を用いているのに対し、本実施形態の燃料集合体1ではMOX燃料棒は2種類である。よってこの構成により、MOX燃料棒製造に要する時間と費用を低減することができる。
【0036】
また本実施形態では、ガドリニア入り燃料棒の本数を従来の22本から38本に増やした代わりに、ガドリニア入り燃料棒1本あたりのガドリニアの濃度を従来の1.5wt%から0.8wt%とした。この結果燃料集合体のガドリニア含有量は図10の場合と比較して8%減少した。この構成により、図2(a)に示すように、従来の場合と比べて燃焼初期の余剰反応度を低減し適正化するとともに、第1サイクル燃焼末期のガドリニアの燃え残りをなくすことができる。
【0037】
なお、上述の理由により、ガドリニアの燃え残りを極力減らすという観点から、ガドリニア入り燃料棒GM のガドリニア濃度は1wt%未満の適切な値に設定すればよい。
【0038】
また図2(b)に示すように、図10のMOX燃料集合体では炉心の余剰反応度が初期は高く1次関数的に減少するのに対して、本実施形態によれば、炉心の余剰反応度は運転サイクル期間において平坦化されることがわかる。よって本実施形態によれば、制御棒挿入等の制御操作の頻度が減少し、原子炉運転が容易になる。
【0039】
さらに図3に示すように、従来の図10の場合は局所出力ピーキング係数は1.3前後であるのに対し、本実施形態では局所出力ピーキング係数がおよそ1.25以下であり、特に燃焼後期ではおよそ1.1となり、従来と比較して大幅に改善されている。すなわち出力分布の歪を平坦化することができる。
【0040】
以下本発明の第2の実施形態について説明する。なお上記第1の実施形態と同一の構成部分については同一符号を付して詳細な説明を省略する。図4は本実施形態に係る燃料集合体2の水平方向断面図である。燃料集合体2は、燃料集合体1において可燃性毒物を含まないMOX燃料棒M1 の位置にガドリニア入りMOX燃料棒GM を配置し、MOX燃料棒をすべてガドリニア入りの1種類に統一したものである。すなわち燃料集合体2は、ウラン燃料棒U1 が16本、U2 が4本、ガドリニア入りMOX燃料棒GM が54本で構成される。全燃料棒中の73%がガドリニア入りMOX燃料棒GM である。こうして燃料棒の種類を燃料集合体1より少ない3種類とすることにより、燃料棒製造に要する時間や費用をさらに低減することができる。
【0041】
燃料集合体2においては燃料集合体1の場合よりもウラン燃料棒U1 、U2 のウラン濃縮度及びMOX燃料棒GM のプルトニウム富化度を増加させることにより取出燃焼度を増大させ、第1の実施形態における運転サイクルの長さを変えずに、運転バッチ数をおよそ4からおよそ5に増すことができる。
【0042】
従ってこの構成により、第1の実施形態とほぼ同様の反応特性及び作用効果が得られると同時に、燃料交換に要する時間を低減することができる。
また本実施形態においては、第1の実施形態における運転バッチ数を変えずに運転サイクルの長さを増すことも可能である。
【0043】
以下本発明の第3の実施形態について説明する。なお上記の実施形態と同一の構成部分については同一符号を付して詳細な説明を省略する。図5は本実施形態に係る燃料集合体3の水平方向断面図である。燃料集合体3は、燃料集合体1において燃料棒U1 及びU2 をそれぞれ可燃性毒物を含まないMOX燃料棒M3 及びM2 に置き換えたものである。すなわち燃料集合体隅部13に燃料棒M3 を配置し、またこれに隣接する位置にMOX燃料棒M2 を配置した。
【0044】
これにより燃料集合体3は、可燃性毒物を含まないMOX燃料棒M1 、M2 が各16本、M3 が4本、ガドリニア入りMOX燃料棒GM が38本で構成される。燃料集合体3を構成するすべての燃料棒がMOX燃料棒であり、またガドリニア入りMOX燃料棒の割合は51%である。なおMOX燃料棒M2 、M3 におけるプルトニウム富化度等は、燃料集合体1と比較したときのMOX装荷量の増加の許容範囲等を考慮して適宜決定するものとする。
【0045】
この構成により、第1の実施形態とほぼ同様の反応特性及び作用効果が得られると同時に、燃料集合体中のMOX装荷割合を適切な範囲内で増加させることができる。
【0046】
以下本発明の第4の実施形態について説明する。なお上記の実施形態と同一の構成部分については同一符号を付して詳細な説明を省略する。図6は本実施形態に係る燃料集合体4の水平方向断面図である。第1乃至第3の実施形態はいずれも燃料集合体の中軸部に円筒型のウォータロッド7を2本配置したものであるが、本実施形態はこの形状を変形したものである。すなわち燃料集合体4は、燃料集合体3の燃料棒配置とほぼ同様の配置を有し、かつ中軸部に角型のウォータロッド13を配置したものである。これにより燃料棒本数は74本から72本となるものの、燃料集合体3とほぼ同様の反応特性及び作用効果を有する。
【0047】
同様にして、第1または第2の実施形態に係る燃料集合体において、円筒型ウォータロッド7を角型ウォータロッド13に変形したものも考えられる。
以上述べてきた実施形態は、いずれも沸騰水型原子炉における9×9型配置の燃料集合体であるが、この種の配置は他の例えば10×10型の燃料集合体に対しても適用できる。さらに、例えば17×17型のような加圧水型原子炉用燃料集合体についても同様の配置を与えることができる。以下このような配置を与える際には、上述したように、燃料集合体隅部12にはウラン燃料棒もしくは可燃性毒物を含まないMOX燃料棒を配置することや、MOX燃料棒中の全核分裂性物質中の核分裂性プルトニウムの含有率をウラン235の含有率より大きく設定することを考慮することにより、第1の実施形態とほぼ同様の効果を得ることができる。また、ウォータロッドに隣接する位置に可燃性毒物を含有しないMOX燃料棒を配置することも考慮するとよい。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、運転サイクル初期の余剰反応度を適切に制御し、運転サイクル末期での可燃性毒物の燃え残りをなくすとともに、運転サイクル全般にわたって燃料集合体中の出力分布の歪を平坦化し熱的余裕を向上することにより、より燃料経済性の高い原子炉運転を安定的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る燃料集合体の燃料棒配置を示す断面図である。
【図2】(a)は本発明の第1の実施形態に係る燃料集合体の無限増倍率の燃焼推移を示すグラフ、(b)は第1の実施形態に係る燃料集合体の余剰反応度の燃料推移を示すグラフである。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る燃料集合体の局所出力ピーキング係数の燃焼推移を示すグラフである。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る燃料集合体の燃料棒配置を示す断面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る燃料集合体の燃料棒配置を示す断面図である。
【図6】本発明の第4の実施形態に係る燃料集合体の燃料棒配置を示す断面図である。
【図7】(a)は従来の沸騰水型原子炉の燃料集合体の縦断面図、(b)は(a)のB−B矢視方向断面図である。
【図8】従来の可燃性毒物を含む燃料集合体及び可燃性毒物を含まない燃料集合体の無限増倍率及び可燃性毒物反応度の燃焼変化を模式的に示したグラフである。
【図9】従来の可燃性毒物を含む燃料集合体及び可燃性毒物を含まない燃料集合体の余剰反応度を燃焼変化を模式的に示したグラフである。
【図10】従来のMOX燃料集合体の燃料棒配置の一例を示す断面図である。
【図11】(a)は、図10に示したMOX燃料集合体の無限増倍率の燃焼変化を示したグラフ、(b)は、図10に示したMOX燃料集合体の余剰反応度の燃焼変化を示したグラフである。
【図12】図10に示したMOX燃料集合体の局所出力ピーキング係数の燃焼推移を示すグラフである。
【符号の説明】
1、2、3、4、11 燃料集合体
5 チャンネルボックス
6 燃料棒
7 ウォータロッド
8 スペーサ
9 上部タイプレート
10 下部タイプレート
Claims (9)
- ウラン酸化物からなるペレットを封入した第1の燃料棒と、ウラン酸化物とプルトニウム酸化物の混合酸化物からなるMOXペレットを封入した第2の燃料棒と、内部を冷却材が流れるウォータロッドとを格子状に束ねて構成される燃料集合体において、この燃料集合体中の全燃料棒のうちの半数以上が1wt%未満の可燃性毒物を含有する前記第2の燃料棒であることを特徴とする燃料集合体。
- 可燃性毒物はガドリニアを含むことを特徴とする請求項1記載の燃料集合体。
- 燃料集合体中の燃料棒配列数は9行9列以上であることを特徴とする請求項1または2記載の燃料集合体。
- 燃料集合体中の全燃料棒のうちの7割以上が第2の燃料棒であることを特徴とする請求項1乃至3記載の燃料集合体。
- 第2の燃料棒中の全核分裂性物質のうち核分裂性プルトニウムの含有率がウラン235の含有率よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至4記載の燃料集合体。
- 燃料集合体中の全核分裂性物質のうちの7割以上が核分裂性プルトニウムであることを特徴とする請求項5記載の燃料集合体。
- 燃料集合体の隅部に配置する燃料棒は可燃性毒物を含有しないことを特徴とする請求項1乃至6記載の燃料集合体。
- 燃料集合体の隅部に配置する燃料棒は第1の燃料棒であることを特徴とする請求項7記載の燃料集合体。
- ウォータロッドに1方向で隣接する位置またはこのウォータロッドに2方向に面する燃料棒に隣接する位置に、可燃性毒物を含有しない第2の燃料棒を配置することを特徴とする請求項1乃至8記載の燃料集合体。
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