JP3124020B2 - 沸騰水型原子炉の運転方法 - Google Patents

沸騰水型原子炉の運転方法

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JP3124020B2 JP02127599A JP12759990A JP3124020B2 JP 3124020 B2 JP3124020 B2 JP 3124020B2 JP 02127599 A JP02127599 A JP 02127599A JP 12759990 A JP12759990 A JP 12759990A JP 3124020 B2 JP3124020 B2 JP 3124020B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は、燃料経済性を向上させた沸騰水型原子炉の
運転方法に関する。
(従来の技術) 沸騰水型原子炉の燃料には、核分裂性物質として通常
ウラン−235が用いられる。すなわち、ウラン−235の濃
度を濃縮されたウラン酸化物が円柱状のペレットに焼き
固められ、ジルコニウム合金等の円筒の中に封入されて
燃料棒とされ、この燃料棒が縦横7本または8本ずつ正
方格子状に配列され、チャンネルボックス内に収容され
て燃料集合体になり、この燃料集合体が炉心内に略円形
状に多数配置される。
そして一般に、その運転開始前にあらかじめ長期間の
運転に必要な量の燃料となる核分裂性物質が炉心内に装
荷され、運転が開始される。しかしながら、運転開始前
に装荷された燃料集合体に含まれるウラン−235は、運
転に燃焼が進むと次第にその量が減少し、核分裂を起こ
しにくいウラン−238が相対的に増加するため、徐々に
中性子増倍率が減少する。そこで一般の沸騰水型原子炉
では、ある一定期間が過ぎると装荷燃料集合体の一部が
新燃料集合体と交換される。
従来、初装荷炉心には濃縮度が2.0ないし2.5%の1種
類の燃料集合体(以下燃料と略す)が装荷されていた。
このような炉心では、第1サイクル終了後に取り出され
る燃料には未だ多くのウラン−235が残っており、燃焼
余力を有するにもかかわらず炉心から取り出され、新し
い燃料と交換されていた。したがって、ウラン資源の効
率的利用という観点からは十分とはいえなかった。
これに対して、燃料経済性を向上させるために、濃縮
度の異なる2種類以上の燃料を用いた初装荷炉心が考え
られるようになった。この場合、濃縮度の低い燃料から
早い時期に炉心から取り出され、濃縮度の高いものほど
長い間炉心に装荷されている。このような燃料交換によ
って各濃縮度の初装荷燃料の取り出し時の残留ウラン−
235量を互いにほぼ等しくすることができるので、ウラ
ン資源を効率的に利用することができる。
このような濃縮度の異なる2種類の燃料を用いた従来
例を第4図に示す。この炉心は電気出力1,356MWの沸騰
水型原子炉であり、全部で872体の燃料が装荷されてい
る。図は炉心平面図の1/4を示したもので、(a)は第
1サイクルの炉心を(b)は第2サイクルの炉心をそれ
ぞれ示している。図中、一つのマスが燃料1体を表して
いる。また、互いに隣接する4体の燃料の中心に示され
た○印は制御棒の位置を示すもので、以下この1本の制
御棒とこれを囲む4体の燃料をセルと呼ぶ。
この炉心では全部で205本の制御棒があり、原子炉の
運転中はこれらのうち一部だけが炉心内に挿入され、他
は炉心から引抜かれている。運転中炉心内に挿入される
制御棒が属するセルはコントロールセル(図中二重枠で
表示)と呼ばれ、制御棒の挿入・引抜が燃料に過大な影
響を与えないように、通常4体とも反応度の低い燃料が
装荷される。コントロールセルは通常炉心中心のセルと
これを中心とするチェッカーボード状の位置にあるセル
の中から選ばれ、その数は炉心の余剰反応度や制御棒パ
ターンなどによって異なる。例えば、炉心内に挿入され
る制御棒を運転中に交替する場合には、交替しない場合
に比べてより多くのコントロールセルが必要になる。第
4図に示す例では、第1サイクルでは37個、第2サイク
ルでは21個のコントロールセルがある。
第4図の例では、初装荷燃料872体のうち、濃縮度1.8
3%の低濃縮度燃料(図中、L字入りのマスで表示)が3
92体、濃縮度3.50%の高濃縮度燃料が480体であり、炉
心平均濃縮度は2.75%である。第1サイクルの運転終了
後、196体の低濃縮度燃料が濃縮度3.50%の新燃料と交
換され、第2サイクルでは、未交換の低濃縮度燃料196
体および高濃縮度燃料480体と新燃料196体が炉心に装荷
されている。
第4図(b)に示すように、第2サイクルにおいて
は、残った未交換の低濃縮度燃料はコントロールセル、
炉停止余裕を確保するための位置、出力キーピングを抑
制するための位置および炉心最外周に装荷される。ここ
で炉停止余裕とは、全制御棒が炉心内に挿入されている
原子炉の停止中に、何らかの理由により1本の制御棒が
抜けた場合でも炉心が未臨界状態でなければならないと
いう観点から、最大反応度価値の制御棒が抜けたときの
未臨界度で表わされる。制御棒の反応度価値は反応度の
高い燃料が2体以上装荷されているセルにおいて特に大
きく、炉停止余裕を確保するためには、このようなセル
の燃料4体のうち少なくとも1体を低反応燃料にしてセ
ルの平均的な反応度を低くする必要がある。一方、炉心
最外周への低反応度燃料の配置は、炉心からの中性子の
漏れを低減し炉心の実効増倍率を高めることによって燃
料経済性を高めるためである。
(発明が解決しようとする課題) 以上述べた第2サイクルにおける低反応度燃料のう
ち、コントロールセルと炉停止余裕を確保するための位
置および出力キーピングを抑制するための位置は、高い
稼働率で安全に原子炉を運転するために不可欠である。
しかしながら、炉心最外周への低反応度燃料の配置は燃
料経済性を高めるもので、原子炉を運転する上で不可欠
なものではなく、第1サイクルを含めた全体としての燃
料経済性が向上する手段が他にあるならば必ずしも必要
なものではない。
ところで、第2サイクルで炉心最外周に低濃縮度燃料
を配置するためには、あらかじめその分多くの体数を第
1サイクルで炉心に装荷しておかなければならず、初装
荷燃料の平均濃縮度が一定のもとでは、低濃縮度燃料の
体数を増やすためにはその濃縮度を高くしなければなら
ないことになる。その結果、第1サイクルで取り出され
る低濃縮度燃料の取出し時の残留ウラン−235量が増大
するので、燃焼効率が低下していることになる。
本発明はかかる点に着目してながれたもので、初装荷
然料により一定期間運転を行った後、この初装荷燃料の
一部を新燃料に燃料交換する沸騰水型原子炉の運転方法
において、初装荷燃料の取出し燃焼度を増大させ、もっ
て燃料経済性を向上させた原子炉の運転方法を提供する
ことを目的とする。
[発明の構成] (課題を解決するための手段) すなわち、本発明の沸騰水型原子炉の運転方法は、濃
縮度の異なる2種類の燃料からなる初装荷燃料により第
1サイクルの運転を行う沸騰水型原子炉の運転方法にお
いて、第2サイクルにおいて炉心最外周の一部または全
部に炉心内に残っている前記初装荷燃料のうち濃縮度の
高い燃料が配置されていることを特徴とするものであ
る。
(作 用) 第2図は高濃縮度燃料の濃縮度を3.50%に固定し、初
装荷燃料の平均濃縮度が2.75%になるように低濃縮度燃
料の濃縮度と体数を調整した場合についての濃縮度分布
の標準偏差(各燃料の濃縮度と平均濃縮度との差の2乗
を体数平均したものの平方根)と初装荷燃料の平均取出
し燃焼度との関係を示したものである。ただし、第2サ
イクルでは炉心最外周に低濃縮度初装荷燃料を装荷して
いる。このグラフから明らかなように、濃縮度分布の標
準偏差が増大するとともに、すなわち低濃縮度燃料の濃
縮度が下がりその体数が減少するとともに、平均取出し
燃焼度が増大している。高濃縮度燃料と低濃縮度燃料が
混在する炉心では高濃縮度燃料で発生した余剰の中性子
が低濃縮度燃料に流入してくるため、低濃縮度燃料はそ
れが単独で炉心に装荷された場合よりも多く燃焼するこ
とができるようになるが、第2図は濃縮度分布の標準偏
差が大きいほどその効果が顕著であることを示してい
る。以後、これを濃縮度分布の分散効果と呼ぶ。
本発明においては、第2サイクルで炉心最外周に反応
度の高い燃料が配置されるため、中性子の漏れが増大し
炉心の実効増倍率が低下するが、第2サイクルに持ち越
される低濃縮度燃料の体数が減り高濃縮度燃料体数が増
えるので、第2サイクルでは実効的な炉心平均濃縮度が
高くなる。これは炉心からの中性子の漏れの増加による
実効増倍率の低下を打ち消す方向に作用する。
本発明は、従来第2サイクルで炉心最外周に配置され
ていた低濃縮度燃料の体数分低濃縮度燃料の装荷体数を
減少させることにより、その濃縮度を下げることができ
るので、初装荷燃料の平均取取出し燃焼度を増大させる
ことができ、したがって燃料経済性を向上させることが
できる。
(実施例) 以下、図面に基づいて本発明の実施例について説明す
る。なお、図において一つのマスが燃料1体を表わし、
L字入りが低濃縮度燃料を、L字のないものが高濃縮度
燃料を、そして×印入りが交換した新燃料を示す。ま
た、セルの中心にある○印は制御棒を、二重に枠で囲っ
たセルは制御棒の挿入されるコントロールセルを示す。
第1図は本発明の一実施例を示すもので、第4図と同
様に炉心平面図の1/4を図示しており、(a)は第1サ
イクルにおける炉心状態を、(b)は第2サイクルにお
ける炉心状態をそれぞれ示す。本実施例の原子炉は第4
図の従来例と同一のものであり、872体の燃料が装荷さ
れ、205本の制御棒が配置されている。本実施例では、
第1サイクルでは濃縮度1.35%の低濃縮度燃料が304
体、濃縮度3.50%の高濃縮度燃料が568体炉心に装荷さ
れ、平均濃縮度は2.75%である。第1サイクルの運転終
了後、200体の低濃縮度燃料が濃縮度3.50%の新燃料と
交換され、第2サイクルでは残った未交換の低濃縮度燃
料104体と高濃縮度燃料568体および新燃料200体が装荷
される。
本実施例と第4図に示す従来例との相違は、本実施例
では第2サイクルにおいて炉心最外周に未交換の高濃縮
度燃料が装荷されていることであり、最外周を除いた内
部はほぼ同一である。このため、第2サイクルにおいて
従来例と比べて炉心からの中性子の漏れが増えるが、反
面第2サイクルに残っている初装荷燃料の平均濃縮度
が、第4図の従来例3.02%に比較して3.17%と高まって
おり、燃料交換体数のわずか4体の増加でほぼ同一の実
効増倍率が得られる。なお、第2サイクルにおける最外
周の燃料は、第1サイクルで炉心内部に装荷されていて
燃焼度の進んだ高濃縮度燃料を移動させたものである
が、第1サイクルで炉心最外周に装荷されていた高濃縮
度燃料をそのまま装荷してもよい。
本実施例の初装荷燃料の平均取出し燃焼度は28.13GWd
/tであり、第4図の従来例の平均取出し燃焼度27.76GWd
/tに比べて1.3%増大している。初装荷燃料の平均濃縮
度はいずれも同じ2.75%であるから、本発明によってウ
ラン資源の利用効率が1.3%高められたことになる。
すなわち本発明は、第2サイクルにおいて炉心内に装
荷される低濃縮度燃料の体数をできるだけ少なくするこ
とによってその濃縮度を低くし、第2図で示した濃縮度
分布の分散効果を最大限に利用して初装荷燃料の平均取
出し燃焼度を増大させたものである。第2図によって説
明すると、まず標準偏差が0.83である第4図の従来例を
示すA点を基準にすると、本実施例では標準偏差が1.02
であるから曲線に沿ってB点に達すると予想される。た
だし、第2図の曲線は第2サイクルにおいて低濃縮度燃
料を炉心最外周に優先的に配置した場合について示した
もので、炉心最外周に高濃縮度燃料を配置している本実
施例では取出し燃焼度はやや低下してC点となる。この
A点とC点の取出し燃焼度の差が1.3%である。
以上の説明から明らかなように、第2サイクルにおけ
る低濃縮度燃料の装荷体数をなるべく少なくした方が取
出し燃焼度を増大することができる。ただし、交換燃料
体数よりも少なくしてしまうと、第1サイクル終了後に
残留ウラン−235量が多いまま高濃縮度燃料が取出され
るので、ウラン資源の利用効率が低下する。また、低反
応度燃料が装荷されるコントロールセルは通常チェッカ
ーボード状に選ぶので、その最大数は制御棒の全数の1/
4に相当する。したがって、燃料4体でセルを構成する
ことから、コントロールセルに必要な低反応度燃料の最
大数は制御棒の数と一致する。
ところで、第2サイクルにおいてコントロールセルと
して考えられる全てのセルに低濃縮度燃料が装荷されて
いる場合、通常コントロールセルとコントロールセルの
間に炉停止余裕確保や出力ピーキング抑制のために低反
応燃料を配置する必要がない。また、実際のコントロー
ルセルの数が少なくてよい場合は、セルを崩して4体の
低濃縮度燃料を均等に配置するとちょうど四つのセルに
配置できるため、これらを炉停止余裕確保や出力ピーキ
ング抑制のために利用することができる。しかしなが
ら、このようにコントロールセルを崩して用意した低濃
縮度燃料は必ずしも全て必要ではなく、実際にはもっと
少数で十分である。本実施例では、第2サイクルにおい
て20体の低濃縮度燃料がこれらの目的のために使用され
ている。
なお、第2サイクルにおいて炉停止余裕確保や出力ピ
ーキング抑制のために必要な低反応度燃料の体数は、第
1サイクル終了後の燃料のシャッフリングや新燃料の装
荷位置などの様々な理由によって変動しうるが、もし第
2サイクルにおいてこれらの目的のために必要な体数以
上の低濃縮度燃料が残存している場合には、どこに配置
しても特に問題はないが、できれば炉心内部よりも炉心
最外周に配置した方が中性子の炉心外への漏れを少し減
少させ、初装荷燃料の取出し燃焼度を増大させることが
できる。
さらに、同一の原子炉について本発明の他の実施例を
第3図に、またこの実施例との比較のための従来例を第
5図に示す。ここではともに初装荷燃料の平均濃縮度は
2.50%であり、第1サイクルにおいては炉心最外周に低
濃縮度燃料が装荷されている。
第3図に示す実施例では、濃縮度1.46%の低濃縮度燃
料が428体、濃縮度3.50%の高濃縮度燃料が444体第1サ
イクルの炉心に装荷されており、運転終了後272体の低
濃縮度燃料が濃縮度3.50%の新燃料と交換され、第2サ
イクルでは156体の未交換の低濃縮度燃料と444体の高濃
縮度燃料および272体の新燃料が装荷されている。ここ
では炉心最外周に第1サイクルに引き続き使用される高
濃縮度燃料が装荷されており、初装荷燃料の平均取出し
燃焼度は25.67GWd/tである。
これに対して、第5図の従来例では、濃縮度1.81%の
低濃縮度燃料が516体、濃縮度3.50%の高濃縮度燃料が3
56体第1サイクルの炉心に装荷されており、運転終了後
268体の低濃縮度燃料が濃縮度3.50%の新燃料と交換さ
れ、第2サイクルでは248体の未交換の低濃縮度燃料と3
56体の高濃縮度燃料および268体の新燃料が装荷されて
いる。ここでは炉心最外周に未交換の低濃縮度燃料が装
荷されており、初装荷燃料の平均取出し燃焼度は25.37G
Wd/tである。
このように本実施例は従来例と比べて初装荷燃料の平
均取出し燃焼度を1.2%増大することができた。なお、
本実施例において第1サイクルで炉心最外周にあった低
濃縮度燃料は新燃料と交換してもよいし、または炉心内
部に移動させて第1サイクルで炉心内部にあった低濃縮
度燃料を新燃料と交換してもよい。
[発明の効果] 以上説明したように本発明によれば、第1サイクルの
平均濃縮度や燃料装荷パターンに関係なく、初装荷燃料
中の低濃縮度燃料の装荷体数と濃縮度を極力低減して濃
縮度分布の分散効果を最大限に活用することができるた
め、低濃縮度燃料の初装荷燃料の取出し燃焼度を最大に
し燃料経済性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を示すもので、(a)は第1
サイクルの炉心内の燃料装荷パターン図、(b)は第2
サイクルの炉心内の燃料装荷パターン図、第2図は濃縮
度分布の標準偏差と初装荷燃料の平均取出し燃焼度との
関係を表すグラフ、第3図(a)、(b)は本発明の他
の実施例を示すそれぞれ第1、第2サイクルの炉心内の
燃料装荷パターン図、第4図および第5図は従来の運転
方法による第1サイクル(a)、第2サイクル(b)の
炉心内の燃料装荷パターン図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−15888(JP,A) 特開 昭58−174889(JP,A) 特開 昭60−13285(JP,A) 特開 昭61−207985(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G21C 5/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】濃縮度の異なる2種類の燃料からなる初装
    荷燃料により第1サイクルの運転を行う沸騰水型原子炉
    の運転方法において、第2サイクルにおいて炉心最外周
    の一部または全部に炉心内に残っている前記初装荷燃料
    のうち濃縮度の高い燃料が配置されることを特徴とする
    沸騰水型原子炉の運転方法。
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