JP4198397B2 - 原子炉炉心 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、可燃性毒物として、同位体濃縮されたガドリニウムを用いた燃料集合体を配列した原子炉炉心に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ウランや二酸化ウランを核燃料物質として用いる軽水炉では、燃料集合体は、所要の初期ウラン濃縮度に設定されており、燃焼に従って炉の余剰反応度が減少する。この余剰反応度は、安全上の観点から過大にならないようにする必要があるため、燃焼に従って負の反応度が減少していく可燃性毒物と呼ばれる物質を、燃料に添加する方式が採られる。そして、主に沸騰水型原子炉(BWR)では、可燃性毒物として、原子番号64のガドリニウムが用いられ、その酸化物であるガドリニアが核燃料物質に添加されている。
【0003】
従来の燃料集合体の水平断面図を図9に示す。
この燃料集合体105は、ウラン等の核燃料物質を封入した燃料棒101と、核燃料物質とガドリニアが封入されたガドリニア燃料棒107とが、例えば8行8列の正方格子状に配列されるとともに、出力運転時に沸騰しない冷却水が内部を流れるウォーターロッド106が中央付近に配置され、さらに、これら全体がチャンネルボックス102内に収納されている。そして、4体の燃料集合体105ごとに1体の制御棒103が配置されて、原子炉の炉心が構成される。ここで、制御棒103内部には中性子吸収物質を封入したポイズン棒が規則的に配置され、格納されている。
【0004】
燃料集合体105の燃料棒101やガドリニア燃料棒107は、集合体内の位置ごとに核分裂性物質の濃縮度やガドリニア添加濃度が設定されている。
【0005】
図10(a)は、制御棒103の位置を左上位置とする場合の、燃料棒105とカドリニア燃料棒107の配置を示す水平断面図である。燃料棒103を番号1,2,3,4,5,6およびPで、ガドリニア燃料棒107をG1,G2でそれぞれ示している。番号1,2,3,4,5およびG1,G2は、長尺であり、番号Pは短尺である。また、WRはウォータロッド106を示す。
【0006】
さらに、図10(b)は、燃料棒(1,2,3,4,5,P)およびガドリニア燃料棒(G1,G2)の垂直方向(軸方向)の核分裂物質及びガドリニアの濃度分布を示している。
【0007】
この図のように、核分裂性物質であるウランの濃縮度としてはA〜Gが使用され、ガドリニア濃度(添加割合)としてはa〜cが使用されている。ウラン濃縮度の大小関係は、A>B>C>D>E>F>Gであり、Gは天然ウランの濃縮度である。長尺燃料棒には、上端及び下端に、天然ウランブランケットと呼ばれる天然ウランのみが含まれる部分Gが大方配置されている。また、燃料棒によっては、軸方向で核分裂性物質の濃度差に差を設ける場合がある。
【0008】
ガドリニア燃料棒は、核燃料物質とガドリニアの両方を含んでおり、通常燃料集合体の最外周以外の位置に配置されるが、最外周に配置される場合もある。ガドリニア添加濃度の大小関係は、a>b>cであり、ガドリニア燃料棒によっては、軸方向(垂直方向)に添加濃度の差を設けることもある。また、上端及び下端には、ガドリニアを含まず天然ウランのみが含まれる部分が大方設けられている。
【0009】
ところで、可燃性毒物として用いられる天然のガドリニウムは、安定同位体である質量数154,155,156,157,158および160の6種類の同位体を含有しており、それぞれの含有率(同位体比とも呼ぶ)は2.1wt%、14.5wt%、20.3wt%、15.7wt%、25.0wt%および22.5wt%である。このうち質量数157のガドリニウム(Gd−157)は全元素の中で最大の熱中性子吸収断面積を持っている。質量数155のガドリニウム(Gd−155)もGd−157の断面積の1/4程度の大きな断面積を持つ。従来の燃料集合体では天然ガドリニウムの酸化物であるガドリニアを可燃性毒物として利用してきた。
【0010】
このように、ガドリニアの添加量は、余剰反応度を適切に抑制するとともに、負の反応度がサイクル末期まで持続するように設定される。その添加量は、通常、サイクル終了時にガドリニアが燃え尽きるように設定されている。その理由は、サイクル終了時にガドリニアが残っていると、負の反応度をウランで補償しなければならないので、燃料経済性が低下するからである。しかし、一部のガドリニアの添加量を高めて、サイクル期間の1.2倍程度まで燃え残すことによって、燃料経済性の低下は最小限に抑えつつ、燃料集合体の出力ピーキングを低減できることが知られている(特願平10−270796号)。しかしながら、燃料棒の熱的健全性の観点からは、一般的にガドリニアの添加量は少ない方が好ましい。
【0011】
また、燃料集合体を形成する燃料棒においては、Gd−157あるいはGd−155の含有率(同位体比)を天然存在比より高めたガドリニアを使用することによって、残留ガドリニアによる反応度ロスが低減されて、燃料経済性が改善されることも知られている(特開平6−331765号)。
【0012】
図8は、従来の原子炉炉心の燃料集合体配置を示す。ここで、符号1〜4は1〜4の燃焼サイクル目の燃料集合体を示している。沸騰水型原子炉においては、通常、運転時に挿入、引抜きを行って使用する制御棒3の周囲4体の燃料集合体2は、燃焼の進んだ燃料集合体で構成され、これはコントロールセル4と呼ばれている。また、炉心最外周部も燃焼の進んだ燃料集合体で構成される。燃焼の進んだ燃料集合体の反応度は低下しているので、一般に、炉心最外周およびコントロールセル周辺では、燃料集合体の出力ピーキングは小さくなり、逆に、それら以外のところで、燃料集合体の出力ピーキングは大きくなる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
近年、原子炉における燃料経済性の向上を目的として、1体の燃料集合体から取り出すエネルギーを増大させる高燃焼度化が進められており、このため、1運転サイクルあたりの燃焼度(サイクル燃焼度という。)は増加する傾向にある。サイクル燃焼度が増加すると、一般に、燃料集合体の出力ピーキングが増加して、燃料棒の熱的健全性が低下する。したがって、燃料集合体の出力ピーキングを低減することが高燃焼度化の課題の一つとなっている。
【0014】
また、燃料経済性を向上させる方法として、上述したように、Gd−157の含有率(同位体比)を天然組成比より高めたガドリニアを使用する方法(特開平6−331765号)が知られているが、Gd−157の含有率(同位体比)を天然存在比より高めたガドリニアを使用すると、図4に示すように無限増倍率のピークが大きくなるので、これも燃料集合体の出力ピーキングを増加させて燃料棒の熱的健全性を低下させることになる。なお、図4において、符号Aは、Gd−157が天然組成比以上である燃料集合体を示し、符号Bは、Gd−155が天然組成比以上であるものを示し、符号Cは、天然組成比のガドリニアを用いたものを示している。
【0015】
そこで、燃料集合体の出力ピーキングを低減する方策として、天然組成のガドリニア添加濃度を増加する方法(特願平10−270796号)が知られているが、燃え残ったガドリニアによる負の反応度をウランで補償しなければならないので、燃料経済性が低下する。
【0016】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、2種類の燃料集合体の特性とその配置方法に着目して、燃料棒の熱的健全性と燃料経済性を同時に改善する原子炉炉心とその運転方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1記載の原子炉炉心は、燃料中にGd−155と天然存在比より多い同位体比のGd−157とを含むガドリニウムを添加した第1の燃料集合体と、燃料中にGd−155と前記第1の燃料集合体の燃料中のGd−157の同位体比より少ない同位体比のGd−157とを前記第1の燃料集合体の燃料中のGd−155とGd−157の合計含有量と実質的に等しい合計含有量で含むガドリニウムを添加した第2の燃料集合体とを有する原子炉炉心であって、炉心最外周隣接部およびコントロールセル隣接部からなる領域に、前記第1の燃料集合体が前記第2の燃料集合体よりも多く配置され、前記第1の燃料集合体の燃料にガドリニアを添加した燃料棒の本数が、前記第2の燃料集合体の燃料にガドリニアを添加した燃料棒の本数より少なくされ、さらに、前記第1の燃料集合体の平均ウラン濃縮度が、前記第2の燃料集合体の平均ウラン濃縮度よりも低くされていることを特徴とする。
【0018】
本発明により、第1の燃料集合体と第2の燃料集合体のガドリニアの添加量が等しくなるように設定されれば、それぞれの集合体のガドリニアは同時に燃え尽きるため、それぞれの集合体の無限増倍率は同時にピークを迎える。このとき図4のAに示す第1の燃料集合体の無限増倍率のピークは、図4のBに示す第2の燃料集合体より大きくなる。なぜなら、第2の燃焼集合体では、Gd−154,155,156の含有率が相対的に高くなり、中性子捕獲反応によって燃焼中に次々とGd−157が生成されるために、中性子吸収反応が持続するからである。本発明によれば、第1の燃料集合体の出力は第2の燃料集合体よりも相対的に高くなるので、もともと出力が低い傾向にあった、炉心最外周隣接部及びコントロールセル隣接部に第1の燃料集合体が配置されると、その配置された部分の燃料集合体の出力が増加する。これによって、炉心内の各燃料集合体の出力分布が平坦化されて、出力ピーキングが低減する。また、第1の燃料集合体では、Gd−157の含有率(同位体比)が天然存在比より高いガドリニウムを用いるため、残留ガドリニアが少なくなり、それによる反応度ロスが低減でき、そのために燃料経済性も改善される。
【0019】
上記構成の原子炉炉心において、第2の燃料集合体には、天然組成のガドリニウムを用いても良いし、 Gd−155の含有率(同位体比)が天然存在比より高いガドリニウムを用いても良い。いずれの場合も、請求項1の必要条件を満たしているからである。
【0020】
すなわち、請求項2記載の原子炉炉心は、請求項1記載の原子炉炉心において、前記第2の燃料集合体は天然組成のガドリニウムが添加されてなることを特徴とする。
【0021】
また、請求項3記載の原子炉炉心は、請求項1記載の原子炉炉心において、前記第2の燃料集合体はGd−155の含有率(同位体比)が天然存在比より高いガドリニウムを添加してなることを特徴とする。
【0022】
これにより、Gd−155の含有率(同位体比)が天然存在比より高い場合は、中性子捕獲反応によって燃焼中に次々とGd−157が生成されるために、初期のガドリニア添加濃度は少なくても良い。したがって、熱的健全性が向上する。
【0023】
また、前記第2の燃料集合体のGd−155とGd−157の含有合計量が、前記第1の燃料集合体のGd−155とGd−157の含有合計量より少ない場合でも、第2の燃料集合体において、Gd−155とGd−157だけでなく、残留ガドリニアも減少するので、反応度ロスが低減され、燃料経済性がさらに改善される。
【0024】
本発明の原子炉炉心は、前記第1の燃料集合体のGd−155とGd−157の合計含有率がW1であり、前記第2の燃料集合体のGd−155とGd−157の合計含有率がW2であるとき、前記第1の燃料集合体のガドリニア添加濃度は、前記第2の燃料集合体のガドリニア添加濃度のW2/W1倍であることが好ましい。
【0025】
上記のように添加濃度を設定すれば、第1の燃料集合体と第2の燃料集合体のガドリニアの添加量は、それぞれ等価の可燃性毒物効果を示すことになる。したがって、第1の燃料集合体のガドリニアは、第2の燃料集合体と同時に燃え尽きるので、無限増倍率ピークのタイミングが揃うことになる。このとき、第1の燃料集合体の出力は、第2の燃料集合体より相対的に大きくなるので、請求項1に関して述べたと同じように、出力ピーキング低減効果が得られる。
【0026】
本発明の原子炉炉心は、前記第1の燃料集合体の燃料にガドリニアを添加した燃料棒の本数は、前記第2の燃料集合体の燃料にガドリニアを添加した燃料棒の本数より少なくされている。
【0027】
第1の燃料集合体ではGd−157の含有率(同位体比)が高いために、第2の燃料集合体よりも中性子吸収効果が大きい。このため、第2の燃料集合体よりも負の反応度が効きすぎて、燃料集合体が燃え切れないために、反応度ロスが生じる場合がある。
【0028】
ところで、ガドリニアの中性子吸収反応は、燃焼初期においてはガドリニア燃料棒の表面付近で生じるので、負の反応度の大きさは、表面積、すなわちガドリニア燃料棒の本数に強く依存する。
【0029】
上記のようにガドリニア燃料棒を構成すれば、第1の燃料集合体の負の反応度を適切に低減することができ、反応度ロスが小さくなり、ひいては燃料経済性が改善される。
【0030】
本発明の原子炉炉心は、前記第1の燃料集合体の平均ウラン濃縮度は、前記第2の燃料集合体の平均ウラン濃縮度より低くされている。
【0031】
第1の燃料集合体はGd−157の含有率(同位体比)が高いため、第2の燃料集合体よりも残留ガドリニアが少なくなり、反応度ロスが小さくなる。したがって、これを補償するのに必要なウラン濃縮度も少なくて済む。上記構成によって第1の燃料集合体のウラン濃縮度を適切に低減すれば、ウラン濃縮コストを節約することができる。
【0032】
本発明の原子炉炉心は、前記第1の燃料集合体は、ウランを燃料とするウラン燃料集合体であり、前記第2の燃料集合体は、ウランとプルトニウムを燃料とするMOX燃料集合体であることが好ましい。
【0033】
プルトニウムはウランよりも核分裂断面積が大きいために、ウラン燃料集合体とMOX燃料集合体が混在する原子炉炉心においては、後者に出力ピーキングが生じ易い。上記のように構成すれば、もともと出力の低い傾向にあったウラン燃料集合体の出力負担を増加することができる。これによって、出力分布が平坦化され、出力ピーキングが低減化されて、燃料棒の熱的健全性が向上する。
【0034】
本発明の原子炉炉心を用いて、燃焼サイクル期間の末期に燃料交換を行う際に、Gd−155とGd−157の含有率の合計が小さい順に燃料集合体を取出し、同順であればGd−157の含有率が小さい順に燃料集合体を取出すことが好ましい。
【0035】
図4に示すように、第3サイクル以降の取出しにおいて、符号Cで示された天然組成のガドリニウムを用いた燃料集合体の無限増倍率が最も小さいために、これを優先して取出した方が、炉心の反応度確保の点で有利となる。次に優先すべきは、符号Bで示したGd−155の含有率が天然存在比より高いガドリニウムを用いた燃料集合体であり、最後に、符号Aで示したGd−157の含有率が天然存在比より高いガドリニウムを用いた燃料集合体を取出すのが望ましい。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図を参照して説明する。
本発明に係る原子炉炉心の第1の実施の形態を図1,2,3および4に基づき説明する。
図1は、本実施の形態における原子炉炉心の燃料集合体の配置を示す断面図である。この図は、炉心の1/4を示している。炉心には1/4回転対称に燃料が配置されている。図1に示した炉心は、符号Iで示された第1の燃料集合体と、符号IIで示された第2の燃料集合体とによって構成されている。太線で囲まれた部分はコントロールセル3であり、燃焼の進んだ第3および第4サイクル目の燃料集合体により構成されている。第1の燃料集合体Iは、一般に出力が低い傾向にある炉心最外周隣接部とコントロールセル隣接部に配置されている。
【0037】
第1の燃料集合体のガドリニア濃度分布を図2に示す。なお、図中の符号の濃度および濃縮度の大小は、図10と同一であり、その部分の説明は省略する。
【0038】
ガドリニウムGdの同位体の相対重量割合は、Gd−155が6wt%、Gd−157が60wt%、その他が34wt%である。また、添加濃度は、図2(b)に示すように、ガドリニア燃料棒G1,G2において、aタイプが1.5wt%、bタイプが2.0wt%、cタイプが2.5wt%である。したがって、Gd−157の含有率(同位体比)が60%であるガドリニアを用いており、平均添加濃度は2.0%である。
【0039】
第2の燃料集合体のガドリニア濃度分布を図3に示す。なお、図中の符号の濃度および濃縮度の大小は、図10と同一であり、その部分の説明は省略する。こちらでは、ガドリニウムGdの同位体の相対重量割合は、Gd−155が15wt%、Gd−157が15wt%、その他が70wt%である。また、添加濃度は、図3(b)に示すように、ガドリニア燃料棒G1,G2において、aタイプが3.5wt%、bタイプが4.5wt%、cタイプが5.5wt%である。したがって、Gd−157の含有率(同位体比)が15%であるガドリニアを用いており、平均添加濃度は4.5%である。第1の燃料集合体のGd−155とGd−157の合計含有率(66%)は第2の燃料集合体のそれ(30%)より高いが、逆に第1の燃料集合体のガドリニア添加濃度(平均2%)は第2の燃料集合体のそれ(平均4.5%)より低く、両者の可燃性毒物として有効なガドリニア量は等しくなるように設定されている。
【0040】
このとき、第1の燃料集合体の無限増倍率は図4に示した破線Aのようになり、第2の燃料集合体の無限増倍率は同図に示した実線Cのようになる。破線Aで示された第1の燃料集合体の無限増倍率は、第1サイクルから第2サイクルにかけてそのピークを迎え、実線Cで示された第2の燃料集合体より大きくなる。したがって、一般的に出力が低い傾向にある炉心最外周隣接部とコントロールセル隣接部に、破線Aで示された第1の燃料集合体が配置されれば、出力分布が平坦化されて、出力ピーキングが低減する。
【0041】
次に、本発明の原子炉炉心の第2の実施の形態を図1,2,4および5に基づき説明する。
第2の燃料集合体のガドリニア濃度分布は図5に示すとおりである。なお、図中の符号の濃度および濃縮度の大小は図10と同一であり、その部分の説明は省略する。ガドリニウムGdの同位体の含有率(同位体比)は、Gd−155が60wt%、Gd−157が6wt%、その他が34wt%である。また、添加濃度は、図5(b)に示すように、ガドリニア燃料棒G1,G2において、aタイプが1.4wt%、bタイプが1・8wt%、cタイプが2.3wt%である。したがって、Gd−155の含有率が60%であるガドリニアを用いており、平均添加濃度は1.8%である。
【0042】
このとき、第1の燃料集合体の無限増倍率は図4に示した破線Aのようになり、第2の燃料集合体の無限増倍率は同図に示した破線Bのようになる。破線Aで示された第1の燃料集合体の無限増倍率は、第1サイクルから第2サイクルにかけてそのピークを迎え、破線Bで示された第2の燃料集合体より大きくなる。したがって、一般に出力が低い傾向にある炉心最外周隣接部とコントロールセル隣接部に、第1の燃料集合体を配置すれば、出力分布が平坦化されて、炉心の出力ピーキングが低減する。
【0043】
次に、本発明の原子炉炉心の第3の実施の形態を図2,3に基づき説明する。図2に示す第1の燃料集合体のGd−155とGd−157の含有率合計W1は66%であり、図3に示す第2の燃料集合体のGd−155とGd−157の含有率合計W2は30%である。第1の燃料集合体のガドリニア平均添加濃度2%は、第2の燃料集合体のガドリニア平均添加濃度4.5%のW2/W1倍に設定されている。また、図2に示す第1の燃料集合体のガドリニア燃料棒G1とG2の合計は14本であり、図3に示す第2の燃料集合体のガドリニア燃料棒G1とG2の合計16本より少ない。
【0044】
また、図2に示す第1の燃料集合体においては、ウラン濃縮度Aである燃料棒タイプ1の本数が第2の燃料集合体より少なく、逆にウラン濃縮度C,Dである燃料棒タイプ3の本数が多い。濃縮度の大小関係は、ここではA>B>C>Dであるので、第1の燃料集合体の平均ウラン濃縮度は、第2の燃料集合体より低く設定されている。
【0045】
図2に示す第1の燃料集合体と、図3に示す第2の燃料集合体を用いて、図1に示すように、一般に出力が低い傾向にある炉心最外周隣接部とコントロールセル隣接部に、第1の燃料集合体を配置すれば、出力分布が平坦化されて、炉心の出力ピーキングが低減する。
【0046】
次に、本発明の原子炉炉心の第4の実施の形態を図6に基づき説明する。
図6に示す第2の燃料集合体は、ウランとプルトニウムを燃料とするMOX燃料集合体であり、燃料棒タイプ1〜5及びPで示されるのが、プルトニウム燃料棒である。プルトニウム富化度の大小関係は、ここではH>I>J>K>Lとする。また、G1,G2で示されるのが、天然ガドリニアを含むウラン燃料棒である。天然組成のガドリニウムGdの同位体の含有率(同位体比)は、Gd−155が15wt%、Gd−157が15wt%、その他が70wt%である。また、添加濃度は、aタイプが3.5wt%、bタイプが4.5wt%、cタイプが5.5wt%である。したがって、平均添加濃度は4.5%に設定されている。さらに、ウラン濃縮度の大小はA>B>Gで設定されている。
【0047】
図2に示す第1の燃料集合体と、図6に示す第2の燃料集合体を用いて、図1に示すように、一般に出力が低い傾向にある炉心最外周隣接部とコントロールセル隣接部に、第1の燃料集合体を配置すれば、出力分布が平坦化されて、炉心の出力ピーキングが低減する。
【0048】
次に、本発明の原子炉炉心の第5の実施の形態を図7に基づき説明する。
図7は、原子炉炉心の燃料集合体の配置を示す断面図である。この図は炉心の1/4を示している。図7に示された炉心は、符号A1〜A4で示された、Gd−157の含有率が高い、1〜4サイクル目の第1の燃料集合体と、符号1〜4で示された、Gd−157含有率が低い、1〜4サイクル目の第2の燃料集合体によって構成されている。
【0049】
炉心は全部で368体の燃料集合体によって構成され、このうち1〜3サイクル目の燃料は100体であり、4サイクル目の燃料は68体である。1サイクル目の燃料100体のうち、符号A1で示される第1の燃料集合体は36体であり、符号1で示される第2の燃料集合体は64体ある。2、3サイクル目の燃料集合体も同様である。4サイクル目の燃料68体のうち、符号A4で示される第1の燃料集合体は36体であり、符号4で示される第2の燃料集合体は32体である。 この炉心は、以下のように燃料を交換することによって運転される。すなわち、炉心は368体の燃料集合体によって構成されているが、1燃焼サイクル期間終了時毎に、燃焼の進んだ燃料集合体100体を新燃料と交換する。
【0050】
このとき、炉心から取出される100体のうち、68体は符号A4と符号4で示される4燃焼サイクルを経験した燃料集合体とする。残りの32体は3燃焼サイクルを経験した燃料集合体から取出されるが、符号3で示される第2の燃料集合体64体の中から、符号A3で示される第1の燃料集合体よりも優先して取出されるものとする。
【0051】
これによって、各サイクル毎に、ほぼ同一の燃料集合体の配置を維持することができる。したがって、第1および第2の2種類の燃料集合体を配列することによって反応度ロスを軽減して燃料経済性を改善するとともに、4サイクルに亘って、常に、出力分布の平坦化が保たれて、炉心の出力ピーキングが低減でき、熱的健全性も改善される。
【0052】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の原子炉炉心によれば、同位体を濃縮したガドリニアを含む第1および第2の2種類の燃料集合体が炉心に最適配置されるので、反応度ロスが軽減されて燃料経済性が改善されると同時に、出力ピーキングが低減されて熱的健全性が改善される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1,2,3および4の実施の形態に係る原子炉炉心の燃料集合体配置を示す断面図。
【図2】本発明に係る第1,2,3および4の実施例を示し、(a)は燃料棒とガドリニア燃料棒の配置を示す水平断面図、(b)は燃料棒とガドリニア燃料棒の軸方向の核分裂性物質とガドリニアの濃度分布を示す図。
【図3】本発明に係る第1,3および4の実施例を示し、(a)は燃料棒とガドリニア燃料棒の配置を示す水平断面図、(b)は燃料棒とガドリニア燃料棒の軸方向の核分裂性物質とガドリニアの濃度分布を示す図。
【図4】本発明による燃料集合体の無限増倍率の燃焼変化を示す図。
【図5】本発明に係る第2の実施例を示し、(a)は燃料棒とガドリニア燃料棒の配置を示す水平断面図、(b)は燃料棒とガドリニア燃料棒の軸方向の核分裂性物質とガドリニアの濃度分布を示す図。
【図6】本発明に係る第4の実施例を示し、(a)は燃料棒とガドリニア燃料棒の配置を示す水平断面図、(b)は燃料棒とガドリニア燃料棒の軸方向の核分裂性物質とガドリニアの濃度分布を示す図。
【図7】本発明の第5の実施の形態に係る原子炉炉心の燃料集合体配置を示す断面図。
【図8】従来の原子炉炉心の燃料集合体配置を示す断面図。
【図9】従来の燃料集合体の構成を示す断面図。
【図10】従来の燃料集合体の燃料棒配置を示し、(a)は燃料棒とガドリニア燃料棒の配置を示す水平断面図、(b)は燃料棒とガドリニア燃料棒の軸方向の核分裂性物質とガドリニアの濃度分布を示す図。
【符号の説明】
1…原子炉炉心(1/4回転対称)、2…燃料集合体、3…制御棒、4…コントロールセル、101…燃料棒(ガドリニア燃料棒は除く)、102…チャンネルボックス、103…制御棒、104…ポイズン棒、105…燃料集合体、106…ウォーターロッド、107…ガドリニア燃料棒、108…部分長燃料棒、
Claims (3)
- 燃料中にGd−155と天然存在比より多い同位体比のGd−157とを含むガドリニウムを添加した第1の燃料集合体と、
燃料中にGd−155と前記第1の燃料集合体の燃料中のGd−157の同位体比より少ない同位体比のGd−157とを前記第1の燃料集合体の燃料中のGd−155とGd−157の合計含有量と実質的に等しい合計含有量で含むガドリニウムを添加した第2の燃料集合体とを有する原子炉炉心であって、
炉心最外周隣接部およびコントロールセル隣接部からなる領域に、前記第1の燃料集合体が前記第2の燃料集合体よりも多く配置され、
前記第1の燃料集合体の燃料にガドリニアを添加した燃料棒の本数が、前記第2の燃料集合体の燃料にガドリニアを添加した燃料棒の本数より少なくされ、さらに
前記第1の燃料集合体の平均ウラン濃縮度が、前記第2の燃料集合体の平均ウラン濃縮度よりも低くされていることを特徴とする原子炉炉心。 - 前記第2の燃料集合体は天然組成のガドリニウムが添加されてなることを特徴とする請求項1記載の原子炉炉心。
- 前記第2の燃料集合体はGd−155を天然存在比より高い同位体比で含むガドリニウムを添加してなることを特徴とする請求項1記載の原子炉炉心。
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