JP3916807B2 - Mox燃料集合体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、沸騰水型原子炉に用いる燃料集合体に係わり、特に、MOX燃料を備えたMOX燃料集合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、沸騰水型原子炉を含む軽水炉においては、燃料としてウラン酸化物を用いる燃料集合体(以下適宜、ウラン燃料集合体という)が備えられている。
【0003】
(1)ボイド反応度係数
ところで、一般に、沸騰水型原子炉の炉心においては、燃料棒内の燃料から発生する熱を除去する冷却材、及び核分裂によって発生した高エネルギー中性子を低エネルギー中性子まで減速する減速材として、軽水を用いている。すなわち燃料集合体下部から炉心へ流入した軽水は、燃料集合体近傍を流れる間に沸騰し、燃料集合体上部から流出する。このときの沸騰の程度をボイド率と呼び、このボイド率は、炉心への入口である燃料集合体下部では小さく、炉心からの出口である燃料集合体上部では大きくなっている。
【0004】
このボイド率に関連する原子炉設計上重要な因子として、ボイド反応度係数がある。この係数は、体積割合で1%のボイドが発生した場合に投入される負の反応度を表すものであり、沸騰水型原子炉では常に負の値をとる。そして、この負のボイド反応度係数の絶対値は、燃料集合体内の中性子の減速が促進されると小さくなる性質がある。これを、以下に説明する。
【0005】
すなわち、一般に沸騰水型原子炉の燃料集合体において、水対燃料比(=燃料集合体内及びその外側を流れる水の量と燃料棒内の燃料量との比)と反応度(例えば中性子増倍率)との関係を考えた場合、まず、水の割合を増やしていくと減速効果が促進されて反応度は増加する。しかしその増加割合は一定でなく、水の量の増加とともに水により吸収される中性子の量が多くなることから、増加割合は次第に減少して反応度の値は頭打ちとなり、あるピークを迎える。このピークを超えてさらに水の割合を増やしていくと、水に吸収される中性子の量のほうが多くなり、反応度は次第に減少し、その減少割合も次第に大きくなる。通常、沸騰水型原子炉の燃料集合体は、そのピーク値以前の状態における水対燃料比の設定で設計されている。つまり、水の割合を増やしていくと減速効果が促進されて反応度は増加するが、その反応度増加割合は水の割合が多くなるほど減少する。
【0006】
ここで、ボイド反応度係数は、ボイドが発生する割合に対する負の反応度の投入割合であるから、言い換えれば、水が減少する割合に対する反応度の減少割合に等しい。つまり、その絶対値は、上記した水の増加割合に対する反応度の増加割合に等しいことになる。
したがって、沸騰水型原子炉の燃料集合体では、水の割合を増やして中性子の減速を促進するほど、水の増加割合に対する反応度の増加割合が減少し、ボイド反応度係数の絶対値が小さくなる。
【0007】
(2)軸方向出力分布の歪み
一方、上記ボイド率及びボイド反応度係数と燃料集合体に投入される反応度との間には、
(投入される負の反応度)=(ボイド率)×(ボイド反応度係数)
の関係がある。すなわち、ボイド率が大きければ、投入される負の反応度が大きくなるので、燃料集合体上部では下部よりも投入される負の反応度が大きくなる。この投入される反応度差により、通常、沸騰水型原子炉の燃料集合体においては、平均軸方向出力分布が下部に歪む傾向となる。
また特に、沸騰水型原子炉では、軸方向の上方ほどボイド率が大きく、燃焼が進むにつれてプルトニウムの蓄積が大きくなって軸方向出力分布が上方に歪むようになるため、上記のような軸方向出力分布の下部への歪みが緩和される。しかしながら、初装荷炉心や移行炉心のように燃焼度の小さい炉心では、この軸方向出力分布の下部への歪みが緩和されないため、特に軸方向の出力ピーキングが大きくなる傾向となる。
【0008】
(3)短尺燃料棒による軸方向出力分布制御
このような下方に歪む軸方向出力分布を制御する技術の1つとして、例えば、特開平5−232273号公報記載のように、燃料有効長が他の燃料棒よりも短い燃料棒(以下、短尺燃料棒という)を設け、燃料集合体上部においてその短尺燃料棒の上方位置に水の領域を形成することにより、燃料集合体上部における水の割合を増やしてボイド反応度係数の絶対値を小さくし、上部と下部との投入反応度差を低減して、軸方向出力分布の歪み傾向を低減する構成が提唱されている。
【0009】
特に、上記公知技術の燃料集合体では、短尺燃料棒を、燃料集合体外周側の水ギャップ領域に近く中性子スペクトルが軟らかい(熱中性子束の大きい)燃料バンドル正方格子状配列の最外周に配置することにより、実効的な中性子減速効果をさらに向上させボイド反応度係数絶対値のさらなる低減を図っている。
【0010】
(4)可燃性毒物による軸方向出力分布制御
また、前述した下方に歪む軸方向出力分布を制御する他の技術として、可燃性毒物をウラン燃料棒中に混入する構造が知られている。ここで、可燃性毒物とは、運転期間を通じ徐々に燃焼しその物質量が減少していく中性子吸収材のことであり、例えばガドリニア等熱中性子吸収断面積の大きな物質が用いられる。
【0011】
このような可燃性毒物による反応度抑制挙動の一例を図10に示す。
図10は、可燃性毒物の一種であるガドリニアを混入した燃料棒を含む燃料集合体の無限増倍率の燃焼変化の一例を示したものである。横軸には燃焼度を、縦軸には無限増倍率をとり、また比較のために、同一燃料棒配置のまま、可燃性毒物入り燃料棒の本数を減らした場合の挙動を破線で、可燃性毒物の濃度を濃くした場合の挙動を一点鎖線で併せて示している。
図10に示されるように、無限増倍率は、燃焼度が進み可燃性毒物が燃えるにつれて緩やかに上昇し、可燃性毒物が燃え尽きたところでピークを迎え、そのピークを超えた後は緩やかに下降する。そして、この特性は、まず、可燃性毒物を混入する燃料棒の本数を増減させることで制御可能である。すなわち、可燃性毒物を混入する燃料棒の本数を増加させると、中性子吸収が増加する分燃焼初期での無限増倍率が減少し、逆に本数を減少させると、燃焼初期での無限増倍率が増大する(破線参照)。また、混入する可燃性毒物の濃度の増減によっても特性の制御が可能であり、濃度を増加させれば、可燃性毒物の燃え尽きる時期を遅らせることが可能になるため、無限増倍率の最大値を低下させることができ(一点鎖線参照)、逆に濃度を減少させれば、無限増倍率の最大値を増加させることができる。これら可燃性毒物入り燃料棒本数の増減と可燃性毒物濃度の増減(軸方向濃度分布を含む)という2つを組み合わせることにより、炉心の余剰反応度や軸方向出力分布を適切に制御することが可能となる。
【0012】
また、可燃性毒物の燃焼は中性子スペクトルに強く依存しており、中性子平均エネルギーが低く(中性子スペクトルが軟らかく)なるほど燃焼が進行して中性子吸収効果が大きくなる一方、中性子スペクトルが硬くなるほど中性子吸収効果が小さくなるという性質もある。
【0013】
このように可燃性毒物を用いて軸方向出力分布を制御した燃料集合体に関する公知技術としては、例えば、特開昭58−216989公報記載の燃料集合体がある。この燃料集合体では、特に、燃料集合体外周側の水ギャップ領域に近く中性子スペクトルが軟らかい(熱中性子束の大きい)燃料バンドル正方格子状配列最外周にガドリニア入りウラン燃料棒を配置することにより、ガドリニアの中性子吸収効果を向上させている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
(5)MOX燃料集合体
ところで、近年、原子力発電所の核燃料リサイクルを図る観点から、再処理によって使用済み燃料から取り出されたプルトニウムをウランと混合し、ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料(以下適宜、MOX燃料という)として、軽水炉で利用することが提唱されている。特に、その際、経済性の向上のために、MOX燃料の高燃焼度化(例えば、取り出し平均燃焼度40GWd/t以上)や炉心へのMOX燃料装荷率増加が考えられている。
【0015】
ここにおいて、MOX燃料は、その核分裂性物質であるプルトニウム239やプルトニウム241の熱中性子吸収断面積がウラン235より大きいこと、及びプルトニウム240による中性子の吸収がウラン238より大きいこと等により、ウラン燃料よりも熱中性子の割合が減少し、中性子スペクトルが硬くなるという性質がある。
【0016】
そのため、MOX燃料を備えたMOX燃料集合体では、減速材である水による中性子の減速効果が悪くなり、上記(1)で説明したようにボイド率が増加した時の反応度変化であるボイド反応度係数の負の絶対値がウラン燃料集合体に比べて増大する。ここで上記(2)で説明したように、沸騰水型原子炉では、軸方向のボイド率分布に基づき軸方向出力分布が下部に歪む傾向にあるが、このボイド反応度係数の負の絶対値の増加によってボイド率の高い炉心上部で反応度低下量がさらに大きくなり、軸方向出力分布がさらに下方に歪んで軸方向の出力ピーキングが大きくなることになる。また、可燃性毒物の中性子吸収効果が低下する。特に、高燃焼度化を図るためには燃料の持つ反応度を高める必要があるが、そのためにMOX燃料のプルトニウム富化度を増加させると、中性子スペクトルの硬化がさらに増す傾向となる。
【0017】
したがって、MOX燃料集合体、特に、高燃焼度化が図られたMOX燃料集合体において、ウラン燃料集合体なみに軸方向出力分布を平均化するためには、別途何らかの方策を講じる必要がある。
【0018】
そこで、このような点に配慮したMOX燃料集合体として、例えば特開平7−301688号公報記載の燃料集合体がある。
このMOX燃料集合体では、特に高燃焼度化について明記されているわけではないが、上記(3)で説明した原理を利用し、短尺燃料棒を9行9列正方格子状配列中の4隅に隣接する位置(合計8カ所)に配置することにより、前述のように実効的な中性子減速効果をさらに向上させてボイド反応度係数絶対値を低減し、かつ、上記(4)で説明した原理を利用し、ガドリニア入りウラン燃料棒を正方格子状配列最外周におけるそれら8本の短尺燃料棒の反4隅側隣接位置に配置し、ガドリニアの中性子吸収効果を向上させている。
【0019】
しかしながら、このMOX燃料集合体では、以下のような不都合が存在する。すなわち、前述した特開平5−232273号公報にも記載されているように、通常、燃料バンドルを9行9列以上の正方格子状に配列し、かつ短尺燃料棒をその正方格子状配列の最外周に配置した燃料集合体においては、短尺燃料棒を4隅に配置した場合が燃料集合体全体の反応度損失及び短尺燃料棒に隣接する燃料棒の局所出力ピーキングが最も大きくなる。そして、短尺燃料棒を4隅隣接位置に配置した場合は4隅位置に配置した場合よりも若干改善されるものの、依然として反応度損失及び短尺燃料棒に隣接する燃料棒の局所出力ピーキングが大きい値となり、また4隅位置の燃料棒の局所出力ピーキングが大きくなる。特に高燃焼度化を図る場合には、このような傾向がいっそう増長される。
【0020】
本発明の目的は、高燃焼度化を図ったMOX燃料集合体において、反応度損失や短尺燃料棒隣接燃料棒・4隅位置燃料棒の局所出力ピーキング増大を抑制しつつ、ボイド反応度係数の絶対値の増大や可燃性毒物の中性子吸収効果減少を防止し、軸方向出力分布を平均化できる構成を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、プルトニウム酸化物及びウラン酸化物を充填した複数のMOX燃料棒と、ウラン酸化物を充填し可燃性毒物を含有した複数の可燃性毒物入りウラン燃料棒とをn行n列の正方格子状に配列したMOX燃料集合体において、n≧9であり、前記複数のMOX燃料棒は、燃料有効長が他のものよりも短く、かつ前記正方格子状配列の最外周部分のうち該正方格子状配列の4隅及びこの4隅に隣接する格子位置以外の格子位置に配置された複数の第1短尺燃料棒を含み、前記複数の可燃性毒物入りウラン燃料棒は、前記正方格子状配列の最外周部分に配置された複数の第1毒物燃料棒を含み、前記複数の第1短尺燃料棒は、前記正方格子状配列の形成する4辺の各辺中点の格子位置にそれぞれ配置されており、前記第1毒物燃料棒は、前記第1短尺燃料棒を挟んでその両側に隣接する格子位置に配置されており、前記正方格子状配列の最外周部分に配置される前記第1短尺燃料棒及び前記第1毒物燃料棒以外の燃料棒は、可燃性毒物を含有しない、燃料有効長が通常長さのMOX燃料棒であるものとする。
【0022】
一般に、沸騰水型原子炉の燃料集合体においては、減速材である水に近い燃料棒ほど熱中性子束が大きく(すなわち中性子スペクトルが柔らかく)、逆に他の燃料棒に取り囲まれている燃料棒ほど熱中性子束が小さく(すなわち中性子スペクトルが硬く)なるので、正方格子状配列最外周部分の燃料棒は特に中性子スペクトルが柔らかくなる。
【0023】
本発明においては、第1短尺燃料棒をその中性子スペクトルが柔らかい正方格子状配列の最外周部分に配置することにより、MOX燃料化及び高燃焼度化に基づく中性子スペクトル硬化傾向を緩和できるので、ボイド反応度係数の絶対値増大を防止することができる。
【0024】
また、その燃焼性が中性子スペクトルに強く依存する可燃性毒物に関しても、第1毒物燃料棒をその中性子スペクトルが柔らかい最外周部分に配置することにより、上記同様、MOX燃料化及び高燃焼度化に基づく中性子スペクトル硬化傾向を緩和できることから、中性子吸収効果の減少を防止することができる。
このとき、特に高燃焼度化のためにプルトニウム富化度を増加させると燃料の反応度が増大するため、可燃性毒物を混入する燃料棒の本数や可燃性毒物量を増やす必要があり、その分、可燃性毒物の燃え残りにより反応度が低下するが、前記した第1毒物燃料棒を中性子吸収効果の高い(すなわち反応度価値が高い)正方格子状配列最外周部分に配置することはまた、この燃え残りによる燃料集合体全体の反応度低下を防止でき、これによって可燃性毒物入りウラン燃料棒のウラン濃縮度を低減できるという効果もある。
【0025】
さらに、前述したように、一般に、短尺燃料棒を9行9列以上の正方格子状配列の正方格子状配列の最外周部分における4隅又は4隅隣接位置に配置した場合、反応度損失や短尺燃料棒に隣接する燃料棒の局所出力ピーキングが大きい値となることが知られており、特に高燃焼度化を図る場合には、このような傾向がいっそう増長される。そこで、本発明においては、第1短尺燃料棒を、正方格子状配列の最外周部分のうち4隅及びこの4隅に隣接する格子位置以外の格子位置に配置することにより、上記の弊害を防止できる。
【0026】
以上のように、本発明によれば、高燃焼度化を図る場合にも、反応度損失や短尺燃料棒隣接燃料棒の局所出力ピーキング増大を抑制しつつ、ボイド反応度係数の絶対値の増大や可燃性毒物の中性子吸収効果減少を防止し軸方向出力分布を平均化することができる。
【0028】
また、第1短尺燃料棒を正方格子状配列最外周部分に配置した場合、燃料集合体上部においては第1短尺燃料棒の格子位置には燃料棒が存在しなくなるため、隣接する通常長さの燃料棒の局所出力がその燃料集合体上部で大きくなる傾向となる。そこで、本発明においては、第1毒物燃料棒を、正方格子状配列最外周部分のうち第1短尺燃料棒に隣接する格子位置に配置することにより、MOX燃料棒を配置する場合に比べてその隣接位置燃料棒の出力増大を抑制することができる。
【0030】
更に、上記したように、一般に、沸騰水型原子炉の燃料集合体においては、正方格子状配列最外周部分の燃料棒は熱中性子束が大きくなる。その最外周の中でも、正方格子状配列の隅になるほど大きな水ギャップ領域が近くに存在することから、熱中性子束は、正方格子状配列の4隅位置が最も大きく、4隅より離れて正方格子状配列最外周部分が形成する4辺の各辺中点に向かうにつれて低減する傾向を示す。
【0031】
このような熱中性子束の差に応じ、通常、MOX燃料集合体では、局所出力ピーキングを減少して出力分布の平坦化を図り熱的余裕を確保する観点から、水に近い燃料棒のプルトニウム富化度を比較的低くし、水から遠い燃料棒のプルトニウム富化度を比較的高くする等の富化度分布をつけることが行われる。このとき、正方格子状配列の最外周では、上記の熱中性子束の特性に対応して、少なくとも4隅位置のMOX燃料棒のプルトニウム富荷度を最も低い富荷度とする一方、正方格子状配列最外周部分が形成する4辺の各辺中点の格子位置(又は中点位置とその隣接位置の場合もある)の燃料棒を最外周部分配列燃料棒の中では最も高い富荷度とし、正方格子状配列最外周部分のうち残りの格子位置のMOX燃料棒をそれらの中間の富荷度とし、すなわち最外周部分配列燃料棒として合計で少なくとも3種類のプルトニウム富荷度とすることが多い。
【0032】
ところで、MOX燃料集合体の場合、燃料の成型加工工程を複雑にしないためあるいはコストダウンの観点から、MOX燃料棒のプルトニウム富化度の種類は極力低減することが望まれている。
そこで、本発明においては、第1短尺燃料棒を、正方格子状配列の形成する4辺の各辺中点の格子位置に配置することにより、この位置の局所出力を低減できる。したがって、例えば第1短尺燃料棒を上記中間の富荷度とすることで、前述のようにこの格子位置のために1種類の富荷度(最高富荷度)が必要であったのを省略することができるので、富荷度種類数を1種類低減することができ、例えば全体で富荷度種類数を3種類以下とすることができる。
【0033】
(2)上記(1)において、また好ましくは、前記正方格子状配列中に設けられた少なくとも1本の水ロッドをさらに有し、かつ、前記複数の可燃性毒物入りウラン燃料棒は、前記水ロッドに隣接する格子位置に配置された少なくとも1本の第2毒物燃料棒を含む。
特に高燃焼度化を図る場合等には、増大した反応度を抑制するために、正方格子状配列最外周部分位置以外にもさらに可燃性毒物入りウラン燃料棒を配置する必要があることが多い。
【0034】
特に高燃焼度化を図る場合等には、増大した反応度を抑制するために、正方格子状配列最外周部分位置以外にもさらに可燃性毒物入りウラン燃料棒を配置する必要があることが多い。
【0035】
ところで、正方格子状配列に水ロッドが設けられている場合には、その水ロッドの近傍は、減速材である水に近いことから熱中性子束が大きく(すなわち中性子スペクトルが柔らかく)なる。そこで、本発明においては、可燃性毒物入りウラン燃料棒のうち第2毒物燃料棒を中性子スペクトルが柔らかい水ロッドに隣接する格子位置に配置することにより、上記(1)で説明したのと同様の原理で、これら第2毒物燃料棒についても、中性子吸収効果の減少を防止することができる。したがって、燃料集合体全体として可燃性毒物による反応度抑制効果を向上することができるので、可燃性毒物燃え残りによる燃料集合体全体の反応度低下をさらに防止でき、可燃性毒物入りウラン燃料棒の濃縮度をさらに低減できるという効果もある。
【0036】
(3)上記(2)において、さらに好ましくは、前記複数のMOX燃料棒は、燃料有効長が他のものよりも短く、前記水ロッドに隣接する格子位置に配置された少なくとも1本の第2短尺燃料棒を含み、前記第2毒物燃料棒は、前記第2短尺燃料棒に隣接する格子位置に配置されている。
【0037】
第1短尺燃料棒に加えて第2短尺燃料棒を設けることにより、燃料集合体上部における水の割合をさらに増やしてボイド反応度係数の絶対値をさらに小さくすることができる。
【0038】
(4)上記(1)において、また好ましくは、前記複数本のMOX燃料棒は、前記正方格子状配列の4隅に配置されたコーナー部燃料棒を含み、かつ、このコーナー部燃料棒は、前記複数のMOX燃料棒のうちそれ以外の燃料棒よりも核分裂性プルトニウム富化度が低くなっている。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0040】
本発明の第1の実施形態を図1〜図7により説明する。
【0041】
本実施形態によるMOX燃料集合体の全体構造を表す側断面図を図2に、図2中I−I断面による横断面図を図1(a)に、各種燃料棒の軸方向プルトニウム富化度・ウラン濃縮度分布を表す説明図を図1(b)に示す。なお、本願明細書においては、m行m列の格子位置に対する「隣接」位置とは、m±1行m列、m行m±1列、m±1行m±列の3通りを含む。
【0042】
これら図1(a)、図1(b)、及び図2において、本実施形態による燃料集合体1は、核分裂性物質を焼結した燃料ペレットを封入した多数の燃料棒2と、燃料集合体中央部の中性子スペクトルを改善する中性子減速棒として設けられ、冷却材流路を形成する中空管である水ロッド3(図1(a)参照)と、燃料棒2及び水ロッド3を軸方向複数箇所で適切な間隔に保持するスペーサ4と、これら燃料バンドルを上端及び下端でそれぞれ保持する上部タイプレート5および下部タイプレート6とを備えており、それらのまわりを四角筒型のチャンネルボックス7で取り囲んでいる。
【0043】
水ロッド3は、燃料集合体径方向の熱中性子束平坦化を目的に燃料集合体中央部の7本の燃料棒2を置き換えるように配置されており、燃料物質を充填せず、内部を沸騰しない冷却水が通過するようになっている。
【0044】
チャンネルボックス7は、上部タイプレート5にチャンネルファスナー9を介して取り付けられており、これに隣接するように横断面十字型の制御棒8(図1(a)参照)が挿入されるようになっている。
【0045】
燃料棒2は、全部で74本が9行9列の正方格子状に配列されており、後述のように例えば取り出し平均燃焼度40GWd/t以上といった高燃焼度化を図る場合に対応可能な配置となっている。各燃料棒2は、特に詳細を図示しないが、上部端栓及び下部端栓により両端を密封された被覆管内に多数の燃料ペレット(プルトニウム酸化物及びウラン酸化物、もしくはウラン酸化物)を充填し、被覆管内のガスプレナム領域に配置されたスプリングでそれら燃料ペレットを上下に押圧した構造となっている。また各燃料棒2は、ペレットの種類や燃料有効長(燃料ペレットが充填されている長さ)が互いに異なる6種類が配置されており、それぞれ燃料棒記号1,2,3,4,5,6で表す。
【0046】
燃料棒記号1,2,3,4の燃料棒2は、ペレットとして、プルトニウム酸化物及びウラン酸化物からなるMOX燃料ペレットを充填するMOX燃料棒である。このMOX燃料ペレットは、燃料物質であるPuO2及び燃料母材であるUO2にて構成され、核分裂物質である239−Pu、241−Pu、及び235−Uを含んでいる。
【0047】
このとき燃料棒記号1,2,3の燃料棒2のプルトニウム富化度は、図1(b)に示すように、燃料有効長の全域(下端基準0/24ノード〜23/24ノード部分)において軸方向に一様に、それぞれA[wt%],B[wt%],C[wt%](但しA>B>C)となっている。
【0048】
また、燃料棒記号4の燃料棒は、燃料有効長が他のものよりも短い短尺燃料棒(部分長燃料棒ともいう)となっており、プルトニウム富化度は、その燃料有効長の全域(下端基準1/24ノード〜15/24ノード部分)において軸方向に一様にB[wt%]となっている。
【0049】
燃料棒記号5,6の燃料棒2は、ペレットとして、濃縮ウラン酸化物に可燃性毒物としてのガドリニアを添加したガドリニア入りウラン燃料ペレットを充填するガドリニア入りウラン燃料棒である。このガドリニア入りウラン燃料ペレットは、燃料物質であるUO2及びこれに含有した可燃性毒物であるガドリニアにて構成され、核分裂物質である235−Uを含んでいる。このとき燃料棒記号5,6の燃料棒2のウラン濃縮度は、図1(b)に示すように、燃料有効長の全域(下端基準0/24ノード〜24/24ノード部分)において軸方向に一様に、それぞれD[wt%],E[wt%](但しD>E)となっている。またガドリニア濃度は、それぞれF[wt%],G[wt%](但しF>G)となっている。
【0050】
このような燃料棒2は、図1(b)に示すように、燃料棒記号1が34本、燃料棒記号2が20本、燃料棒記号3が4本、燃料棒記号4が4本、燃料棒記号5が8本、燃料棒記号6が4本、それぞれ図1(a)に示すように配置されている。
【0051】
すなわち、短尺MOX燃料棒である燃料棒記号4の燃料棒2は、正方格子状配列の最外周部分が形成する4辺の各辺中点の格子位置にそれぞれ1本ずつ4本が配置されている。また、ガドリニア入りウラン燃料棒である燃料棒記号5,6の燃料棒2のうちウラン濃縮度及びガドリニア濃度が低い燃料棒記号6の燃料棒2は、正方格子状配列の最外周部分のうち上記燃料棒記号4の燃料棒2の両側隣接位置にそれぞれ2本ずつ合計8本が配置されている。さらにこれに加えて、高燃焼度化で増大した反応度を抑制するために、ウラン濃縮度及びガドリニア濃度が高い燃料棒記号5の燃料棒2を、正方格子状配列の最外周部分を含みその最外周部分から3層目が形成する4辺の、水ロッド3に隣接する各辺中点の格子位置に合計4本配置している。
【0052】
また、上記以外の格子位置には、燃料有効長が通常長さのMOX燃料棒である燃料棒記号1,2,3の燃料棒2が配置されている。すなわち、それら燃料棒記号1,2,3の燃料棒2のうち、プルトニウム富化度が最も低い燃料棒記号3の燃料棒2が、熱中性子束が比較的高く出力が高くなる正方格子状配列の最外周部分のうち、さらに最も熱中性子束が高い4隅にそれぞれ合計4本が配置され、これによって燃焼初期の局所出力ピーキングを抑えるようになっている。
【0053】
また正方格子状配列の最外周部分のうち、ここまで述べた燃料棒記号4のMOX短尺燃料棒2、燃料棒記号6のガドリニア入りウラン燃料棒2、及び燃料棒記号3のMOX燃料棒2以外の部分には、プルトニウム富荷度が中程度である燃料棒記号2の燃料棒2が配置されている。この燃料棒記号2の燃料棒2は、正方格子状配列の最外周部分を含みその最外周部分から2層目が形成する4辺の4隅位置(言い換えれば正方格子状配列の4隅から対角線方向に隣接する位置)にも設けられている。
【0054】
以上説明した以外の位置は、すべてプルトニウム富化度が最も高い燃料棒記号1の燃料棒2が配置されている。
【0055】
なお、上記構成において、燃料棒記号4の燃料棒2が、燃料有効長が他のものよりも短く、かつ正方格子状配列の最外周部分のうち正方格子状配列の4隅及びこの4隅に隣接する格子位置以外の格子位置に配置された複数の第1短尺燃料棒を構成し、燃料棒記号6の燃料棒2が、正方格子状配列の最外周部分に配置された複数の第1毒物燃料棒を構成し、燃料棒記号5の燃料棒2が、水ロッドに隣接する格子位置に配置された少なくとも1本の第2毒物燃料棒を構成し、燃料棒記号3の燃料棒2が、正方格子状配列の4隅に配置されたコーナー部燃料棒を構成する。
【0056】
次に、以上のように構成した本実施形態の効果を順次説明する。
【0057】
(1)短尺燃料棒2(燃料棒記号4)の配置位置による第1の効果(ボイド反応度係数絶対値低下)
一般に、沸騰水型原子炉の燃料集合体においては、減速材である水に近い燃料棒ほど熱中性子束が大きく(すなわち中性子スペクトルが柔らかく)、逆に他の燃料棒に取り囲まれている燃料棒ほど熱中性子束が小さく(すなわち中性子スペクトルが硬く)なるので、正方格子状配列最外周部分の燃料棒は特に中性子スペクトルが柔らかくなる。
【0058】
本実施形態においては、短尺燃料棒2(燃料棒記号4)をその中性子スペクトルが柔らかい正方格子状配列の最外周部分に配置することにより、MOX燃料化及び高燃焼度化に基づく中性子スペクトル硬化傾向を緩和できるので、ボイド反応度係数の絶対値増大を防止することができる。
【0059】
(2)ガドリニア入りウラン燃料棒(燃料棒記号6)の配置位置による第1の効果(中性子吸収効果の減少)
一般に、ガドリニア等の可燃性毒物の燃焼は中性子スペクトルに強く依存しており、中性子平均エネルギーが低く(中性子スペクトルが軟らかく)なるほど燃焼が進行して中性子吸収効果が大きくなる一方、中性子スペクトルが硬くなるほど中性子吸収効果が小さくなるという性質がある。
本実施形態においては、ガドリニア入りウラン燃料棒2(燃料棒記号6)をその中性子スペクトルが柔らかい最外周部分に配置することにより、上記同様、MOX燃料化及び高燃焼度化に基づく中性子スペクトル硬化傾向を緩和できることから、中性子吸収効果の減少を防止することができる。
このとき、特に高燃焼度化のためにプルトニウム富化度を増加させると燃料の反応度が増大するため、可燃性毒物を混入する燃料棒の本数や可燃性毒物量を増やす必要があり、その分、可燃性毒物の燃え残りにより反応度が低下するが、本実施形態ではガドリニア入りウラン燃料棒2(燃料棒記号6)を中性子吸収効果の高い(すなわち反応度価値が高い)正方格子状配列最外周部分に配置することにより、この燃え残りによる燃料集合体全体の反応度低下を防止でき、これによって可燃性毒物入りウラン燃料棒2(燃料棒記号5,6)のウラン濃縮度を低減できる。
【0060】
(3)短尺燃料棒2(燃料棒記号4)の配置位置による第2の効果(反応度損失や局所出力ピーキング増大の抑制)
前述したように、一般に、短尺燃料棒を9行9列以上の正方格子状配列の正方格子状配列の最外周部分における4隅又は4隅隣接位置に配置した場合、反応度損失や短尺燃料棒に隣接する燃料棒の局所出力ピーキングが大きい値となることが知られており、特に高燃焼度化を図る場合には、このような傾向がいっそう増長される。これを用いて説明する。
【0061】
図3は、前述した特開平5−232273号公報に開示され公知となっているものであり、燃料棒を9行9列以上の正方格子状に配列した燃料集合体において、短尺燃料棒を正方格子状配列の最外周部分に配置した場合に、その配置位置が反応度及び局所出力ピーキングに及ぼす影響を示したものである。検討した条件としては、図3中上部に示す構造の10行10列正方格子状配列の燃料集合体(水ロッド3本が正方格子状配列中央部の4行4列格子領域中の燃料棒10本分の領域に配置され、その他の領域に90本の燃料棒が配置)で、最外周部分の形成する4辺の各辺に1本ずつ、2つの対角線に対して互いに対称となるように、合計4本の短尺燃料棒を配置している。そしてそのときの短尺燃料棒配置を、例えば4辺中図3の上辺でみて(1)〜(10)の位置にそれぞれ変更して配置(他の3つについては前述のようにこれに対応して2対角線に関し対称となるように配置)し、各場合における短尺燃料棒より上部断面での中性子無限増倍率(図中Aで表す)、短尺燃料棒に隣接する燃料棒(以下、短尺隣接燃料棒という)の局所出力ピーキング(図中Bで表す)、及びコーナー部(正方格子状配列の4隅)に位置する燃料棒の局所出力ピーキング(図中Cで表す)を示したものである。
なお、中性子無限増倍率Aについては、短尺燃料棒が上記した図3中上辺の(5)位置にあるときを基準としてそれとの反応度差(すなわち相対値)で示している。また、短尺隣接燃料棒局所出力ピーキングBについては、短尺燃料棒がコーナー部に位置するときはそれに隣接する通常長さの燃料棒、短尺燃料棒がコーナー部以外に位置するときはその短尺燃料棒に図3中左側で隣接する通常長さの燃料棒の局所出力ピーキング係数を示している。また、コーナー部燃料棒局所出力ピーキングCについては、その燃料棒の局所出力ピーキング係数を示している。
【0062】
図3において、短尺燃料棒がコーナー部((1)又は(10)の位置)にあるときは図3中(5)位置の場合との反応度差は約0.4[%△k]にもなり反応度損失が大きく、燃料経済性の面で好ましくない。また短尺隣接燃料棒の局所出力ピーキング係数も約1.33と大きいため、熱的余裕が低下する。
【0063】
短尺燃料棒が正方格子状配列最外周部分でコーナー部に隣接する(2)又は(9)の位置に移動すると、図3中(5)位置の場合との反応度差は約0.2[%△k]となり反応度損失はある程度改善されるもののまだ比較的大きく、短尺隣接燃料棒及びコーナー部燃料棒の局所出力ピーキング係数はそれぞれ約1.32及び約1.71とかなり大きい。
【0064】
これに対して、短尺燃料棒がさらに移動して(3)又は(8)の位置になると、図3中(5)位置の場合との反応度差は0.1[%△k]以下となり反応度損失は大幅に低減され、短尺隣接燃料棒及びコーナー部燃料棒の局所出力ピーキング係数はそれぞれ約1.30及び約1.52と低減される。この傾向はさらに各辺中点側に向かって続き、(5)又は(6)位置になったときには、短尺隣接燃料棒及びコーナー部燃料棒の局所出力ピーキング係数はそれぞれ約1.2及び約1.4となる。
【0065】
以上の結果より、燃料棒を9行9列以上の正方格子状に配列した場合、反応度損失や短尺燃料棒隣接燃料棒・4隅位置燃料棒の局所出力ピーキング増大を抑制するためには、短尺燃料棒を、正方格子状配列の最外周部分のうち4隅及びこの4隅に隣接する格子位置以外の格子位置に配置すればよいことがわかる。
【0066】
本実施形態においては、前述のように、短尺MOX燃料棒2(燃料棒記号4)を、正方格子状配列最外周部分のなす4辺の各辺中点位置に配置する。これにより、上記の弊害を防止し、反応度損失や短尺燃料棒隣接燃料棒・4隅位置燃料棒の局所出力ピーキング増大を抑制することができる。
【0067】
(4)その他の効果
▲1▼ガドリニア入りウラン燃料棒2(燃料棒記号6)の配置位置による第2の効果(短尺隣接燃料棒出力抑制)
上記(1)のように短尺燃料棒2(燃料棒記号4)を正方格子状配列最外周部分に配置した場合、燃料集合体1の上部においてその短尺燃料棒2(燃料棒記号4)の格子位置には燃料棒が存在しなくなるため、隣接する通常長さの燃料棒2の局所出力がその燃料集合体1上部で大きくなる傾向となる。
【0068】
そこで、本実施形態においては、ガドリニア入りウラン燃料棒2(燃料棒記号6)を、正方格子状配列最外周部分のうち短尺燃料棒2(燃料棒記号4)に隣接する格子位置に配置することにより、MOX燃料棒を配置する場合に比べてその隣接位置燃料棒の出力増大を抑制することができる。
【0069】
▲2▼短尺燃料棒2(燃料棒記号4)の配置位置による第3の効果(富荷度種類数低減)
上記(1)で説明したように、一般に、沸騰水型原子炉の燃料集合体においては、正方格子状配列最外周部分の燃料棒は熱中性子束が大きくなる。その最外周の中でも、正方格子状配列の隅になるほど大きな水ギャップ領域が近くに存在することから、熱中性子束は、正方格子状配列の4隅位置が最も大きく、4隅より離れて正方格子状配列最外周部分が形成する4辺の各辺中点に向かうにつれて低減する傾向を示す。
【0070】
このような熱中性子束の差に応じ、通常、MOX燃料集合体では、局所出力ピーキングを減少して出力分布の平坦化を図り熱的余裕を確保する観点から、水に近い燃料棒のプルトニウム富化度を比較的低くし、水から遠い燃料棒のプルトニウム富化度を比較的高くする等の富化度分布をつけることが行われる。このとき、正方格子状配列の最外周では、上記の熱中性子束の特性に対応して、少なくとも4隅位置のMOX燃料棒のプルトニウム富荷度を最も低い富荷度とする一方、正方格子状配列最外周部分が形成する4辺の各辺中点の格子位置(又は中点位置とその隣接位置の場合もある)の燃料棒を最外周部分配列燃料棒の中では最も高い富荷度とし、正方格子状配列最外周部分のうち残りの格子位置のMOX燃料棒をそれらの中間の富荷度とし、すなわち最外周部分配列燃料棒として合計で少なくとも3種類のプルトニウム富荷度とすることが多い。
【0071】
ところで、MOX燃料集合体の場合、燃料の成型加工工程を複雑にしないためあるいはコストダウンの観点から、MOX燃料棒のプルトニウム富化度の種類は極力低減することが望まれている。
【0072】
そこで、本実施形態においては、短尺MOX燃料棒2(燃料棒記号4)を、正方格子状配列の形成する4辺の各辺中点の格子位置に配置することにより、この位置の局所出力を低減できる。そして、この短尺MOX燃料棒2(燃料棒記号4)を3種類の富荷度のうち中間の富荷度とすることにより、前述のようにこの格子位置のために別途もう1種類の富荷度が必要であったのを省略することができるので、富荷度種類数を1種類低減することができ、最外周部分配列燃料棒として2種類のプルトニウム富荷度(富荷度B,C)、全体で合計3種類のプルトニウム富荷度(富荷度A,B,C)とすることができる。
【0073】
▲3▼ガドリニア入りウラン燃料棒2(燃料棒記号5)の配置による効果
本実施形態においては、高燃焼度化で増大した反応度を抑制するために、ガドリニア入りウラン燃料棒2(燃料棒記号6)に加えてガドリニア入りウラン燃料棒2(燃料棒記号5)も設けられているが、この可燃性毒物入りウラン燃料棒2(燃料棒記号5)を中性子スペクトルが柔らかい水ロッド3に隣接する格子位置に配置している。これにより、上記(2)で説明したのと同様の原理で、これらのガドリニア入りウラン燃料棒2(燃料棒記号6)についても、中性子吸収効果の減少を防止することができる。
【0074】
したがって、燃料集合体1全体としてガドリニアによる反応度抑制効果を向上することができるので、ガドリニアの燃え残りによる燃料集合体1全体の反応度低下をさらに防止でき、ガドリニア入りウラン燃料棒の濃縮度D,Eをさらに低減できる。
【0075】
なお、ガドリニア入りウラン燃料棒2(燃料棒記号5)の本数は本実施形態では4本であるが、水ロッド3の本数や形状、あるいは燃料集合体の配置される炉心のタイプ(いわゆるD格子炉心かC格子炉心か等)、さらに高燃焼度化の程度などに応じ、適宜の本数、すなわち少なくとも1本を設ければよいことは言うまでもない。
【0076】
▲4▼MOX装荷率増大
前述したように、近年、経済性の向上の観点から高燃焼度化が図られているが、同様に経済性向上の観点からMOX燃料の炉心への装荷率増加が考えられている。ところが、高燃焼度化の際に増大した反応度を抑制するためには、可燃性毒物を混入するウラン燃料棒の本数を増加させる必要があり、MOX燃料装荷率が低減してしまう傾向となる。また、前述したようにMOX燃料のプルトニウム富化度を増加させると中性子スペクトルの硬化がさらに増す傾向となるため、これによっても可燃性毒物入りウラン燃料棒の本数を増加させる必要が生じ、MOX燃料装荷率が低減する。したがって、MOX燃料集合体において高燃焼度化・MOX燃料装荷率増大により経済性向上を図りつつ余剰反応度を制御するためには、なるべく少ない数の可燃性毒物入り燃料棒を効果的な位置に配置する必要がある。
【0077】
ここで、本実施形態においては、上記(2)で述べたように、可燃性毒物入りウラン燃料棒2(燃料棒記号5,6)を、中性子吸収効果が効果的に発揮される中性子スペクトルが柔らかい位置に配置するので、その本数を必要最小限にすることができる。したがって、例えば取り出し平均燃焼度40GWd/t以上といった高燃焼度化を図る場合にも、可燃性毒物入りウラン燃料棒の本数を十分に低減し、MOX燃料装荷率を大きく確保することができる。
【0078】
(5)上記効果の具体例
上記効果のうちいくつかの具体的な一例を、2つの比較例を用いて説明する。
【0079】
(5−A)第1比較例の構成
図4(a)は、ほぼ従来構造に相当する第1比較例による燃料集合体の横断面図であり、上記実施形態の図1(a)に相当する図である。また、図4(b)は、第1比較例による燃料集合体における各種燃料棒の軸方向プルトニウム富化度・ウラン濃縮度分布を表す説明図であり、上記実施形態の図1(b)に相当する図である。上記実施形態と同等の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0080】
第1比較例による燃料集合体は、基本的な構造は図2に示した上記実施形態の燃料集合体1と同様であり、各燃料棒2のペレット種類及び燃料有効長、また燃料棒2の配置位置が異なっているのみである。
【0081】
すなわち、図1(a)及び図1(b)において、全部で74本が9行9列の正方格子状に配列されている燃料棒2は、ペレットの種類や燃料有効長が互いに異なる6種類が配置されており、それぞれ燃料棒記号1a,2a,3a,4a,5a,6aで表す。
【0082】
燃料棒記号1a,2a,3a,4a,5aの燃料棒2はMOX燃料棒であり、燃料棒記号1a,2a,3a,4aの燃料棒2のプルトニウム富化度は、図4(b)に示すように、燃料有効長の全域(下端基準0/24ノード〜23/24ノード部分)において軸方向に一様に、それぞれA′[wt%],B′[wt%],C′[wt%],D′[wt%](但しA′>B′>C′>D′)となっている。また燃料棒記号5aの燃料棒は短尺燃料棒であり、プルトニウム富化度は、その燃料有効長の全域(下端基準1/24ノード〜15/24ノード部分)において軸方向に一様にB′[wt%]となっている。
【0083】
燃料棒記号6aの燃料棒2はガドリニア入りウラン燃料棒であり、そのウラン濃縮度は、図4(b)に示すように、燃料有効長の全域(下端基準0/24ノード〜24/24ノード部分)において軸方向に一様にE′[wt%]となっている。またガドリニア濃度は、F′[wt%]となっている。
【0084】
このような燃料棒2は、図1(b)に示すように、燃料棒記号1aが16本、燃料棒記号2aが12本、燃料棒記号3aが16本、燃料棒記号4aが4本、燃料棒記号5aが8本、燃料棒記号6aが18本、それぞれ図4(a)に示すように配置されている。
【0085】
すなわち、短尺MOX燃料棒である燃料棒記号5aの燃料棒2は、正方格子状配列の最外周部分を含みその最外周部分から2層目が形成する4辺の4隅及び各辺中点の格子位置にそれぞれ1本ずつ合計8本が配置されている。また、ガドリニア入りウラン燃料棒である燃料棒記号6aの燃料棒2は、正方格子状配列の上記2層目のうち上記燃料棒記号5aの燃料棒2の両側隣接位置にそれぞれ2本ずつ計8本、最外周部分から3層目が形成する4辺の4隅及び各辺中点の格子位置にそれぞれ1本ずつ計8本、最外周部分から4層目に相当する水ロッド3,3の両方に隣接する位置に2本、合計18本が配置されている。
【0086】
そして、上記以外の格子位置には、燃料有効長が通常のMOX燃料棒である燃料棒記号1a,2a,3a,4aの燃料棒2が配置されている。
すなわち、それらのうち、プルトニウム富化度が最も低い(富荷度D′)燃料棒記号4aの燃料棒2が正方格子状配列の4隅にそれぞれ合計4本が配置されている。そして、正方格子状配列の最外周部分のうちその燃料棒2(燃料棒記号4)に隣接する2つの位置及びさらにその位置から同方向にそれぞれ隣接する2つの位置には、プルトニウム富化度が2番目に低い(富荷度C′)燃料棒記号3aの燃料棒2が合計16本配置されている。さらに、最外周部分が形成する各辺中点の格子位置及び最外周部分においてその両側に隣接する位置には、プルトニウム富化度が2番目に低い(富荷度B′)燃料棒記号2aの燃料棒2がそれぞれ3本ずつ合計12本配置されている。
【0087】
なお、ここまで述べたMOX短尺燃料棒2(燃料棒記号5a)、ガドリニア入りウラン燃料棒2(燃料棒記号6a)、及びMOX燃料棒2(燃料棒記号2a,3a,4a)以外の位置には、すべてプルトニウム富荷度が最も低い(富荷度A′)燃料棒記号1aの燃料棒2が配置されている。
【0088】
(5−B)第2比較例の構成
図5(a)は、第2比較例による燃料集合体の横断面図であり、上記実施形態の図1(a)、上記第1比較例の図4(a)に相当する図である。また、図5(b)は、第2比較例による燃料集合体における各種燃料棒の軸方向プルトニウム富化度・ウラン濃縮度分布を表す説明図であり、上記実施形態の図1(b)、上記第1比較例の図4(b)に相当する図である。上記実施形態及び第1比較例と同等の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0089】
第2比較例による燃料集合体は、基本的な構造と各燃料棒2のペレット種類及び燃料有効長は上記第1比較例と同様であり、燃料棒2の配置が一部異なっているのみである。
【0090】
すなわち、図5(b)において、第2比較例の燃料棒配置が図4(a)に示した第1比較例の燃料棒配置と異なる点は、第1に、正方格子状配列の最外周部分が形成する4辺の各辺中点の格子位置にある4本のMOX燃料棒2(燃料棒記号2a)と、その内側に隣接する(言い換えれば正方格子状配列の最外周部分を含み最外周から2層目が形成する4辺の各辺中点の格子位置にある)4本の短尺MOX燃料棒2(燃料棒記号5a)とを、互いに場所を入れ替えた点である。
【0091】
そして第2に、正方格子状配列の最外周部分を含み最外周から2層目が形成する4辺の4隅にある4本の短尺MOX燃料棒2(燃料棒記号5a)を、通常長さのMOX燃料棒2(燃料棒記号3a)に置き換えた点である。これにより、図5(b)に示すように、短尺MOX燃料棒2(燃料棒記号5a)の本数が第1比較例より4本減って合計4本となり、MOX燃料棒2(燃料棒記号3a)の本数が第1比較例より4本増えて合計20本となっている。
【0092】
(5−C)本実施形態と第1及び第2比較例との対比
本実施形態、第1比較例、及び第2比較例の各燃料集合体の仕様を図6に示し、また各燃料集合体のボイド反応度係数及びMOX燃料装荷量(インベントリ)を相対値で比較したものを図7に示す。
【0093】
これら図6及び図7において、従来技術にほぼ相当する第1比較例(図4(a)及び図4(b))では、短尺燃料棒2(燃料棒記号5a)が中性子スペクトルが比較的硬い正方格子状配列の最外周部分から2層目に配置されているため、MOX燃料化及び高燃焼度化に基づく中性子スペクトル硬化傾向を緩和できず、ボイド反応度係数の絶対値は比較的高い。また、可燃性毒物入り燃料棒2(燃料棒記号6a)に関しても、中性子スペクトルが柔らかい正方格子状配列の最外周部分に配置していないため、上記中性子スペクトル硬化傾向による中性子吸収効果の減少を防止できない。そのため、高燃焼度化の際に増大した反応度を抑制するために、可燃性毒物入りウラン燃料棒(燃料棒記号6a)が18本必要であり、その分MOX燃料装荷率が比較的低い。
【0094】
次に、第2比較例では、上記2層目に配置されていた8本の短尺燃料棒2(燃料棒記号5a)に代わって、中性子スペクトルが柔らかい正方格子状配列の最外周部分の各辺中点格子位置に4本の短尺燃料棒2(燃料棒記号5a)を配置することにより、第1比較例よりもボイド反応度係数の絶対値が約3%低減される。
しかしながら、可燃性毒物入り燃料棒2(燃料棒記号6a)については、依然として正方格子状配列の最外周部分に配置していないため上記中性子吸収効果の減少を防止できず、可燃性毒物入りウラン燃料棒(燃料棒記号6a)が第1比較例同様18本必要である。但し、短尺燃料棒2(燃料棒記号5a)の本数が上述のように4本減少しているため、その分通常長さのMOX燃料棒2(燃料棒記号1a,2a,3a,4a)の本数合計が4本増えて52本となる分、MOX燃料装荷率が第1比較例よりは若干向上している。すなわち、燃料集合体1体当たりのU+Puのインベントリは第1比較例の166kgから170kgへ増加し、またPuのインベントリは第1比較例の8.3kgから9.2kgへと約11%増加している。
【0095】
これらに対して、本実施形態の燃料集合体1においては、まず上記第2比較例同様、中性子スペクトルが柔らかい正方格子状配列の最外周部分の各辺中点格子位置に4本の短尺燃料棒2(燃料棒記号5a)を配置することにより、第1比較例よりもボイド反応度係数の絶対値を約3%低減することができる。
【0096】
そしてこれに加え、可燃性毒物入りウラン燃料棒2(燃料棒記号5,6)を、中性子吸収効果が効果的に発揮される中性子スペクトルが柔らかい位置(短尺燃料棒及び水ロッドの隣接位置)に配置することにより、中性子吸収効果を向上することができる。これにより、可燃性毒物入りウラン燃料棒2(燃料棒記号5,6)の本数を合計12本とし、第1の及び第2比較例より6本低減できる。また、上記第2比較例と同様、短尺燃料棒2(燃料棒記号4)の本数が第1比較例よりは4本減少している。
これらにより、通常長さのMOX燃料棒2(燃料棒記号1,2,3)の本数合計が第1比較例より10本増え、第2比較例よりも6本増えて58本となり、その分MOX燃料装荷率が第1比較例から大きく向上している(第2比較例よりもさらに向上している)。すなわち、燃料集合体1体当たりのU+Puのインベントリは第1比較例の166kgより大きい(第2比較例と同じ)170kgとなり、Puのインベントリは第1比較例の8.3kgに比べて約19%増加している。
【0097】
以上説明したように、本実施形態の燃料集合体1によれば、例えば取り出し平均燃焼度40GWd/t以上といった高燃焼度化を図る場合にも、反応度損失や短尺燃料棒隣接燃料棒の局所出力ピーキング増大を抑制しつつ、ボイド反応度係数の絶対値の増大や可燃性毒物の中性子吸収効果減少を防止できるので、軸方向出力分布を平均化することができる。
【0098】
なお、上記第1の実施形態においては、短尺MOX燃料棒2(燃料棒記号4)を、正方格子状配列最外周部分のなす4辺の各辺中点位置に配置したが、上記(3)で説明した内容からも明らかなように、本発明の基本的な効果である上記(1)(2)(3)を得る限りにおいては、このような配置に限られない。すなわち、短尺MOX燃料棒2(燃料棒記号4)は、正方格子状配列の最外周部分のうち4隅及びこの4隅に隣接する格子位置以外の格子位置に配置すれば足りる。
【0099】
本発明の第2の実施形態を図8(a)及び図8(b)により説明する。
【0100】
図8(a)は、本実施形態による燃料集合体の横断面図であり、上記第1の実施形態の図1(a)に相当する図である。また、図8(b)は、本実施形態による燃料集合体における各種燃料棒の軸方向プルトニウム富化度・ウラン濃縮度分布を表す説明図であり、上記第1の実施形態の図1(b)に相当する図である。上記第1の実施形態と同等の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0101】
本実施形態による燃料集合体は、基本的な構造は図2に示した上記第1の実施形態の燃料集合体1と同様であり、一部の燃料棒2の配置(後述)及びウラン濃縮度(同)が異なっているのみである。
【0102】
すなわち、図8(a)及び図8(b)において、本実施形態が図1(a)及び図1(b)に示した第1の実施形態と異なる点は、第1に、正方格子状配列の最外周部分を含みその最外周部分から3層目が形成する4辺の、水ロッド3に隣接する各辺中点の格子位置に合計4本配置されたガドリニア入りウラン燃料棒2(燃料棒記号5)を、そのウラン濃縮度Dよりも低いウラン濃縮度D1であるガドリニア入りウラン燃料棒2(燃料棒記号5b)に置き換えた点である。
また第2に、上記ガドリニア入りウラン燃料棒2(燃料棒記号5b)に挟まれる位置、すなわち最外周部分から4層目に相当する水ロッド3,3の両方に隣接する位置に配置された2本のMOX燃料棒2(燃料棒記号1)を、MOX短尺燃料棒2(燃料棒記号4)に置き換えた点である。
そして、これらにより、図8(b)に示すように、MOX燃料棒2(燃料棒記号1)の本数が第1の実施形態より2本減って合計32本となり、MOX短尺燃料棒2(燃料棒記号4)の本数が2本増えて合計6本となっている。
【0103】
本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果を得る。
【0104】
また、MOX短尺燃料棒2(燃料棒記号4)を、正方格子状配列最外周部分のに加えて水ロッド隣接位置にも配置することにより、燃料集合体上部における水の割合をさらに増やしてボイド反応度係数の絶対値をさらに小さくすることができる。さらに、その水ロッド隣接位置のMOX短尺燃料棒2(燃料棒記号4)を挟むガドリニア入りウラン燃料棒2(燃料棒記号5b)の中性子吸収効果(反応度抑制効果)が向上するので、ガドリニアの燃え残りによる反応度低下の割合を低減できる。ガドリニアの燃え残りが生じる場合にはそれによる反応度低下を見込んでウラン濃縮度をその分増大させなければならないが、反応度低下を低減できることで、ガドリニア入りウラン燃料棒2(燃料棒記号5b)のウラン濃縮度D1を第1の実施形態におけるガドリニア入りウラン燃料棒2(燃料棒記号5)のウラン濃縮度Dよりも小さくすることができる。
【0105】
本発明の第3の実施形態を図9(a)及び図9(b)により説明する。
【0106】
図9(a)は、本実施形態による燃料集合体の横断面図であり、上記第1の実施形態の図1(a)、第2の実施形態の図8(a)に相当する図である。また、図9(b)は、本実施形態による燃料集合体における各種燃料棒の軸方向プルトニウム富化度・ウラン濃縮度分布を表す説明図であり、上記第1の実施形態の図1(b)、第2の実施形態の図8(b)に相当する図である。上記第1及び第2の実施形態と同等の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0107】
本実施形態による燃料集合体は、基本的な構造は上記第1及び第2の実施形態の燃料集合体1と同様であり、一部の燃料棒2の配置(後述)及びウラン濃縮度(同)が異なっているのみである。
【0108】
すなわち、図9(a)及び図9(b)において、本実施形態が図8(a)及び図8(b)に示した第1の実施形態と異なる点は、第1に、正方格子状配列の最外周部分を含みその最外周部分から3層目が形成する4辺の、水ロッド3に隣接する各辺中点の格子位置に合計4本配置されたガドリニア入りウラン燃料棒2(燃料棒記号5)を、MOX短尺燃料棒2(燃料棒記号4)に置き換えた点である。
また第2に、上記3層目で上記MOX短尺燃料棒2(燃料棒記号4)に隣接するMOX燃料棒2(燃料棒記号1)のうち水ロッドに隣接する4本と、上記MOX短尺燃料棒2(燃料棒記号4)に挟まれかつ最外周部分から4層目に相当する水ロッド3,3の両方に隣接する位置に配置された2本、合計6本を、第2の実施形態のガドリニア入りウラン燃料棒2(燃料棒記号5b)のウラン濃縮度D1よりも低いウラン濃縮度D2であるガドリニア入りウラン燃料棒2(燃料棒記号5c)に置き換えた点である。
そして、これらにより、図9(b)に示すように、MOX燃料棒2(燃料棒記号1)の本数が第1の実施形態より6本、第2の実施形態より4本減って合計28本となり、MOX短尺燃料棒2(燃料棒記号4)の本数が第1の実施形態より4本、第2の実施形態より2本増えて合計8本となっている。さらに、ガドリニア入りウラン燃料棒2(燃料棒記号5c)の本数が、第1の実施形態のガドリニア入りウラン燃料棒2(燃料棒記号5)や第2の実施形態のガドリニア入りウラン燃料棒2(燃料棒記号5b)より2本増えて合計6本となっている。
【0109】
本実施形態によっても、第2の実施形態と同様の効果を得る。
【0110】
また、MOX短尺燃料棒2(燃料棒記号4)の数がさらに増加していることにより、ボイド反応度係数の絶対値をさらに小さくすることができる。さらに、その水ロッド隣接位置のMOX短尺燃料棒2(燃料棒記号4)を挟むガドリニア入りウラン燃料棒2(燃料棒記号5c)の中性子吸収効果(反応度抑制効果)が向上するので、ガドリニアの燃え残りによる反応度低下の割合を低減できる。したがって、前述したのと同様、ガドリニア入りウラン燃料棒2(燃料棒記号5c)のウラン濃縮度D2を第2の実施形態におけるガドリニア入りウラン燃料棒2(燃料棒記号5b)のウラン濃縮度D1よりもさらに小さくすることができる。
【0111】
なお、上記第1〜第3の実施形態においては、燃料棒2を9行9列の正方格子状配列した燃料集合体に本発明を適用した場合を例にとって説明したが、これに限られず、10行10列以上の正方格子状に配列した燃料集合体に適用してもよい。これらの場合も同様の効果を得る。
【0112】
また、上記第1〜第3の実施形態においては、2本の水ロッド3を中央部7本の燃料棒2を置き換えるように配置した燃料集合体に本発明を適用した場合を例にとって説明したが、これに限られず、1本の水ロッド、あるいは3本以上の水ロッドを備えた燃料集合体に適用してもよい。その場合、水ロッドの横断面形状も円形に限られず、正方形断面形状のいわゆる角形水ロッド(ウォータチャンネルということもある)であってもよいことは言うまでもない。
【0113】
【発明の効果】
本発明によれば、高燃焼度化を図ったMOX燃料集合体において、反応度損失や短尺燃料棒隣接燃料棒・4隅位置燃料棒の局所出力ピーキング増大を抑制しつつ、ボイド反応度係数の絶対値の増大や可燃性毒物の中性子吸収効果減少を防止し、軸方向出力分布を平均化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態によるMOX燃料集合体の横断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態によるMOX燃料集合体の全体構造を表す側断面面図である。
【図3】燃料棒を9行9列以上の正方格子状に配列した燃料集合体において、短尺燃料棒を正方格子状配列の最外周部分に配置した場合に、その配置位置が反応度及び局所出力ピーキングに及ぼす影響を示す説明図である。
【図4】第1比較例による燃料集合体の横断面図、及び各種燃料棒の軸方向プルトニウム富化度・ウラン濃縮度分布を表す説明図である。
【図5】第2比較例による燃料集合体の横断面図、及び各種燃料棒の軸方向プルトニウム富化度・ウラン濃縮度分布を表す説明図である。
【図6】本発明の第1の実施形態、第1比較例、及び第2比較例の各燃料集合体の仕様を示す図である。
【図7】各燃料集合体のボイド反応度係数及びMOX燃料装荷量(インベントリ)を相対値で比較した図である。
【図8】本発明の第2の実施形態による燃料集合体の横断面図、及び各種燃料棒の軸方向プルトニウム富化度・ウラン濃縮度分布を表す説明図である。
【図9】本発明の第3の実施形態による燃料集合体の横断面図、及び各種燃料棒の軸方向プルトニウム富化度・ウラン濃縮度分布を表す説明図である。
【図10】可燃性毒物による反応度抑制挙動の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 MOX燃料集合体
2 燃料棒
3 水ロッド
Claims (4)
- プルトニウム酸化物及びウラン酸化物を充填した複数のMOX燃料棒と、ウラン酸化物を充填し可燃性毒物を含有した複数の可燃性毒物入りウラン燃料棒とをn行n列の正方格子状に配列したMOX燃料集合体において、
n≧9であり、
前記複数のMOX燃料棒は、燃料有効長が他のものよりも短く、かつ前記正方格子状配列の最外周部分のうち該正方格子状配列の4隅及びこの4隅に隣接する格子位置以外の格子位置に配置された複数の第1短尺燃料棒を含み、
前記複数の可燃性毒物入りウラン燃料棒は、前記正方格子状配列の最外周部分に配置された複数の第1毒物燃料棒を含み、
前記複数の第1短尺燃料棒は、前記正方格子状配列の形成する4辺の各辺中点の格子位置にそれぞれ配置されており、
前記第1毒物燃料棒は、前記第1短尺燃料棒を挟んでその両側に隣接する格子位置に配置されており、
前記正方格子状配列の最外周部分に配置される前記第1短尺燃料棒及び前記第1毒物燃料棒以外の燃料棒は、可燃性毒物を含有しない、燃料有効長が通常長さのMOX燃料棒であることを特徴とするMOX燃料集合体。 - 請求項1記載のMOX燃料集合体において、前記正方格子状配列中に設けられた少なくとも1本の水ロッドをさらに有し、かつ、前記複数の可燃性毒物入りウラン燃料棒は、前記水ロッドに隣接する格子位置に配置された少なくとも1本の第2毒物燃料棒を含むことを特徴とするMOX燃料集合体。
- 請求項2記載のMOX燃料集合体において、前記複数のMOX燃料棒は、燃料有効長が他のものよりも短く、前記水ロッドに隣接する格子位置に配置された少なくとも1本の第2短尺燃料棒を含み、前記第2毒物燃料棒は、前記第2短尺燃料棒に隣接する格子位置に配置されていることを特徴とするMOX燃料集合体。
- 請求項1記載のMOX燃料集合体において、前記複数本のMOX燃料棒は、前記正方格子状配列の4隅に配置されたコーナー部燃料棒を含み、かつ、このコーナー部燃料棒は、前記複数のMOX燃料棒のうちそれ以外の燃料棒よりも核分裂性プルトニウム富化度が低くなっていることを特徴とする燃料集合体。
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