JP2003194978A - 燃料集合体 - Google Patents

燃料集合体

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JP2003194978A
JP2003194978A JP2001391599A JP2001391599A JP2003194978A JP 2003194978 A JP2003194978 A JP 2003194978A JP 2001391599 A JP2001391599 A JP 2001391599A JP 2001391599 A JP2001391599 A JP 2001391599A JP 2003194978 A JP2003194978 A JP 2003194978A
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uranium
rods
long
rod
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JP2001391599A
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English (en)
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Takehiko Kokubu
毅彦 國分
Sadayuki Izutsu
定幸 井筒
Masaru Sasagawa
勝 笹川
Yasushi Hirano
靖 平野
Shingo Fujimaki
真吾 藤巻
Manabu Yoshida
学 吉田
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Global Nuclear Fuel Japan Co Ltd
Original Assignee
Global Nuclear Fuel Japan Co Ltd
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

Abstract

(57)【要約】 【課題】 MOX燃料集合体において、燃焼初期の軸方
向出力分布を平坦化することにより炉心の熱的特性を向
上する。同時に、制御棒価値の低下を抑制し炉停止余裕
の低下を防止しつつ、富化度分布を単純化しMOX燃料
棒の種類数を減らす。 【解決手段】 長尺燃料棒2はMOX燃料が充填された
第1長尺燃料棒11,12と、第3長尺燃料棒13と、
第2長尺燃料棒14とを備える。第3長尺燃料棒13は
可燃性吸収材を添加したウラン燃料が充填され、第2長
尺燃料棒14は可燃性吸収材を添加しないウラン燃料が
充填されている。短尺燃料棒3は、短尺ガドリニア入り
ウラン燃料棒15によって構成されている。ウラン燃料
は、天然ウランを濃縮する過程より生ずるウランであっ
て、かつウラン235の同位体存在比が天然ウランより
も低い劣化ウランを母材としている。短尺燃料棒15と
第3長尺燃料棒13は燃料集合体の最外周から1層目と
2層目において隣接した位置に配置されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は沸騰水型原子炉(B
WR;Boiling Water Reactor)に装荷される燃料集合
体に関し、特に、ウランとプルトニウムの混合酸化物で
あるMOX燃料を備えたMOX燃料集合体に用いるのに
好適な燃料集合体に関する。
【0002】
【従来の技術】沸騰水型原子炉の炉心には、四角筒型の
チャンネルボックスの内部に燃料バンドルを収納した燃
料集合体が多数配置されており、各燃料集合体の燃料バ
ンドルは、核分裂性物質を含む燃料ペレットを封入した
多数の燃料棒と、それらを上下で支持する上部タイプレ
ートおよび下部タイプレートと、燃料棒間の間隔を保持
するスペーサ等から構成されている。
【0003】燃料集合体の一例を図2(a)〜(c)を
用いて説明する。なお、同図(a)は一般的なMOX燃
料集合体を一部破断して示す正面図、同図(b)は同図
(a)におけるII(b)-II(b) 線断面図、同図
(c)は同図(a)におけるII(c)-II(c) 線断面
図である。
【0004】同図において、燃料集合体1は、燃料有効
長が相対的に長い通常の長尺燃料棒2と、この長尺燃料
棒2よりも燃料有効長が短く上部の燃料を欠如させた短
尺燃料棒3と、大径のウォータロッド6とをスペーサ8
で正方格子状に束ね、これを上部タイプレート4および
下部タイプレート5に固定して燃料棒束とし、この燃料
棒束をチャンネルボックス7で包囲することによって構
成されている。チャンネルボックス7の外部には、図示
されていない制御棒または中性子検出器計装管を配置す
るため、各燃料集合体間の間隔は、制御棒等の装置が挿
入できるだけ拡げられ、周囲は冷却水で満たされてい
る。冷却水はチャンネルボックス7内外を下方より上方
に向かって流れている。なお、長尺燃料棒2と上部タイ
プレート4との間には外部スプリング9が介装されてい
る。
【0005】原子炉の炉心は、所定の期間(=1サイク
ル)運転を実施した後に停止され、装荷されている燃料
集合体の一部が取り出されて新しい燃料集合体と交換さ
れる。交換される燃料集合体の数で炉心に装荷されてい
るすべての燃料集合体の数を除した値をバッチ数と称呼
している。また、燃料集合体の燃焼の指標として、燃焼
度というものが用いられているが、これは燃料集合体に
含まれる燃料単位重量あたり発生する熱量で定められて
いる。燃料の平均取出燃焼度はバッチ数、運転期間およ
び燃料装荷量に依存している。この交換時の新しい燃料
集合体の燃料装荷量は、原子炉を1サイクルの間臨界D
を保つために必要な核分裂性物質量が装荷されるように
設定されているが、運転期間の末期においてちょうど臨
界になるように、あらかじめ余剰に設定されている。す
なわち、運転末期以外では、原子炉は臨界を超過した状
態となる。したがって、沸騰水型原子炉の炉心では、燃
料集合体間に挿入される制御棒と、燃料中に添加される
可燃性吸収材(可燃性毒物)とによって、この余分に発
生した中性子を吸収し、これにより運転期間を通じて臨
界状態を維持している。
【0006】しかしながら、炉内へ多数の制御棒を挿入
することは軸方向の出力分布に影響を及ぼし好ましくな
いため、運転中に炉内に挿入する制御棒の数は予め定め
られており、運転時における制御棒挿入位置をコントロ
ールセルと称している。このコントロールセルには、比
較的燃焼が進んだ燃料集合体が配置されるようになって
いる。このように制御棒による反応度制御には一定の制
限が存在することから、可燃性吸収材入り燃料棒による
反応度制御が重要となる。なお、可燃性吸収材として
は、例えばガドリニア(Gd23)等、熱中性子吸収断
面積の大きな物質が用いられるが、これらは熱中性子の
吸収によって消耗し、燃焼に伴ってその効果が小さくな
っていく。このため、可燃性吸収材は、主として燃焼初
期の超過反応度(余剰反応度)を抑えるために用いられ
ている。
【0007】また、沸騰水型原子炉では、核分裂で発生
する熱を除熱する冷却材として軽水(冷却水)を用いて
いるが、この冷却水は、中性子の減速材としての役割も
果たしており、水密度の大きな方が中性子をより減速す
る性質をもっている。ここで、沸騰水型原子炉ではチャ
ンネルボックスにより軽水の流路が分けられており、チ
ャンネルボックスの中の燃料棒の間を流れる軽水は燃料
棒からの発熱により気泡を含んでおり、チャンネルボッ
クスの外を流れる軽水は気泡を含まないというような軽
水の密度差が生じる。このため、沸騰水型原子炉の燃料
集合体では、チャンネルボックスに近い外周部に比べて
中央部で熱中性子束が低くなるというような分布ができ
る。そして、一般に軽水炉の燃料は、熱中性子により核
分裂を起こし易い性質をもつ核分裂性物質であり、熱中
性子束の高い位置にある燃料棒は高い出力を出しやすい
ことから、水密度が大きいチャンネルボックスに近い外
周部では燃料棒の出力が相対的に高くなり、中央部では
燃料棒の出力が相対的に低くなるというように燃料集合
体内で出力分布が生じる。このため、通常、燃料集合体
中央部には熱中性子束の分布を改善するために、気泡を
含まない水が貫流する水ロッドを設置している場合が多
い。
【0008】一方、原子炉の炉心に関する重要な量とし
て、燃料棒の単位長さ当たりの出力を表す線出力密度が
ある。この線出力密度は、燃料集合体全体の絶対的な出
力値である「燃料集合体出力」と、燃料集合体内の各軸
方向位置における出力の相対的分布を表す「燃料集合体
の軸方向相対出力(=軸方向出力ピーキング)」と、各
燃料棒ごとの相対的出力分布を表す「燃料棒相対出力
(=局所出力ピーキング)」の3つの量の積で表され、
この量の原子炉内での最大値が最大線出力密度となる。
この最大線出力密度が過大となり所定値を超えると、当
該燃料棒中心温度が上がり過ぎて燃料棒ペレットの熱的
健全性を確保するのが困難となる。すなわち、最大線出
力密度はなるべく小さい方が上記所定値に対し熱的に余
裕のある状態となる。
【0009】そこで、通常、燃料集合体の設計において
は、燃料棒ペレットを複数種類用意して燃料濃縮度分布
を適宜設けることにより、「燃料棒相対出力」または
「燃料集合体の軸方向相対出力」の最大値を抑制してい
る。これによって、不均一な熱中性子束分布による燃料
集合体内の出力分布の歪みを改善して最大線出力密度を
低減し、炉心としての熱的な余裕を確保し、安全な運転
ができるように図られている。
【0010】しかしながら、燃料濃縮度や可燃性吸収材
の分布を単純に調整する方法では燃料棒の種類や濃縮度
の種類が増えて複雑になり、製造コストの増加を招くお
それがある。この点を解決するために、例えば特開昭6
3−133086号公報に開示されているように、正方
格子状配列の燃料集合体において、最もウラン濃縮度の
低い燃料棒を燃料集合体の4隅位置のみに配置し、可燃
性吸収材入り燃料棒を、上記正方格子状配列の最外周に
おける4隅隣接位置と水ロッドに隣接する位置とに配置
する構成が提案されている。これにより、濃縮度の種類
が少ない燃料で燃料棒相対出力を抑えるとともに、余剰
反応度を抑えることができるようになる。
【0011】また、特に沸騰水型の原子炉における原子
炉設計上重要な因子として、ボイド反応度係数がある。
一般に、沸騰水型原子炉の炉心においては、燃料棒内の
燃料から発生する熱を除去する冷却材、および核分裂に
よって発生した高エネルギー中性子を、低エネルギー中
性子まで減速する減速材として軽水を用いている。すな
わち、燃料集合体下部から炉心へ流入した軽水は、燃料
集合体近傍を流れる間に沸騰し、燃料集合体上部から流
出する。このときの沸騰の程度をボイド率と呼び、この
ボイド率は、炉心への入口である燃料集合体下部では小
さく、炉心からの出口である燃料集合体上部では大きく
なっている。ボイド反応度係数は、体積割合で1%のボ
イドが発生した場合に投入される負の反応度を表すもの
であり、沸騰水型原子炉では常に負の値をとる。そし
て、この負のボイド反応度係数の絶対値は、燃料集合体
内における中性子の減速が促進されると小さくなる性質
がある。
【0012】すなわち、一般に沸騰水型原子炉の燃料集
合体において、水対燃料比(=燃料集合体内およびその
外側を流れる水の量と燃料棒内の燃料の量との比)と反
応度(例えば中性子増倍率)との関係を考えた場合、ま
ず、水の割合を増やしていくと減速効果が促進されて反
応度は増加する。しかし、その増加割合は一定ではな
く、水の量の増加とともに水により吸収される中性子の
量が多くなることから、増加割合は次第に減少し、反応
度の値は頭打ちとなってあるピークを迎える。このピー
クを超えてさらに水の割合を増やしていくと、水に吸収
される中性子の量の方が多くなり、反応度は次第に減少
し、その減少割合も次第に大きくなる。通常、沸騰水型
原子炉の燃料集合体は、そのピーク値以前の状態におけ
る水対燃料比の設定で設計されている。つまり、水の割
合を増やしていくと減速効果が促進されて反応度は増加
するが、その反応度増加割合は水の割合が多くなるほど
減少する。
【0013】ここで、ボイド反応度係数は、ボイドが発
生する割合に対する負の反応度の投入割合である。換言
すれば、水が減少する割合に対する反応度の減少割合に
等しい。つまり、その絶対値は、上述した水の増加割合
に対する反応度の増加割合に等しいことになる。したが
って、沸騰水型原子炉の燃料集合体では、水の割合を増
やして中性子の減速を促進するほど、水の増加割合に対
する反応度の増加割合が減少し、ボイド反応度係数の絶
対値が小さくなる。
【0014】一方、上記ボイド率およびボイド反応度係
数と燃料集合体に投入される反応度との間には、(投入
される負の反応度)=(ボイド率)×(ボイド反応度係
数)の関係がある。すなわち、ボイド率が大きければ、
投入される負の反応度が大きくなるので、燃料集合体上
部では下部よりも投入される負の反応度が大きくなる。
この投入される反応度差により、通常、沸騰水型原子炉
の燃料集合体においては、平均軸方向出力分布が下部に
歪む傾向となる。また特に、沸騰水型原子炉では、軸方
向の上方ほどボイド率が大きく、燃焼が進むにつれてプ
ルトニウムの蓄積が大きくなって軸方向出力分布が上方
に歪むようになるため、上記のような軸方向出力分布の
下部への歪みが緩和される。しかしながら、初装荷炉心
や移行炉心のように燃焼度の小さい炉心では、この軸方
向出力分布の下部への歪みが緩和されないため、特に軸
方向出力ピーキングが大きくなる傾向となる。
【0015】このような下方に歪む軸方向出力分布を制
御する技術の1つとして、例えば、特開平5−2322
73号公報に開示されているように、燃料有効長が他の
燃料棒よりも短い燃料棒(以下、短尺燃料棒という)を
設け、燃料集合体上部においてその短尺燃料棒の上方位
置に水の領域を形成することにより、燃料集合体上部に
おける水の割合を増やしてボイド反応度係数の絶対値を
小さくし、上部と下部との投入反応度差を低減して、軸
方向出力分布の歪み傾向を低減する構成が提唱されてい
る。特に、前記周知技術の燃料集合体では、短尺燃料棒
を、燃料集合体外周側の水ギャップ領域に近く中性子ス
ペクトルが軟らかい(熱中性子束の大きい)燃料バンド
ル正方格子状配列の最外周に配置することにより、実効
的な中性子減速効果をさらに向上させボイド反応度係数
絶対値のさらなる低減を図っている。
【0016】また、上述した下方に歪む軸方向出力分布
を制御する他の技術として、例えばガドリニア等の可燃
性吸収材をウラン燃料棒中に混入する構造が知られてい
る。このような可燃性吸収材による反応度抑制挙動の一
例を図3に示す。図3は、可燃性吸収材の一種であるガ
ドリニアを混入した燃料棒を含む燃料集合体の無限増倍
率の燃焼変化の一例を示したものである。横軸には燃焼
度を、縦軸には無限増倍率をとり、また比較のために、
同一燃料棒配置のまま、可燃性吸収材入り燃料棒の本数
を減らした場合の挙動を破線で示し、可燃性吸収材の濃
度を濃くした場合の挙動を一点鎖線で併せて示してい
る。
【0017】同図に示されるように、無限増倍率は、燃
焼度が進み可燃性吸収材が燃えるにしたがって緩やかに
上昇し、可燃性吸収材が燃え尽きたところでピークを迎
え、ピークを超えた後は緩やかに下降する。そして、こ
の特性は、まず、可燃性吸収材を混入する燃料棒の本数
を増減させることで制御可能である。すなわち、可燃性
吸収材を混入する燃料棒の本数を増加させると、中性子
吸収が増加する分、燃焼初期での無限増倍率が減少し、
逆に本数を減少させると、燃焼初期での無限増倍率が増
大する(破線参照)。また、混入する可燃性吸収材の濃
度の増減によっても特性の制御が可能であり、濃度を増
加させれば、可燃性吸収材の燃え尽きる時期を遅らせる
ことが可能になるため、無限増倍率の最大値を低下させ
ることができ(一点鎖線参照)、逆に濃度を減少させれ
ば、無限増倍率の最大値を増加させることができる。こ
れら可燃性吸収材入り燃料棒の本数の増減と可燃性吸収
材濃度の増減(軸方向濃度分布を含む)という2つを組
み合わせることにより、炉心の余剰反応度や軸方向出力
分布を適切に制御することが可能となる。
【0018】また、可燃性吸収材の燃焼は中性子スペク
トルに強く依存しており、中性子平均エネルギーが低く
(中性子スペクトルが軟らかく)なるほど燃焼が進行し
て中性子吸収効果が大きくなる一方、中性子スペクトル
が硬くなるほど中性子吸収効果が小さくなるという性質
もある。このように可燃性吸収材を用いて軸方向出力分
布を制御した燃料集合体に関する周知技術としては、例
えば、特開昭58−216989号公報に開示された燃
料集合体がある。ここに開示された燃料集合体では、特
に、燃料集合体外周側の水ギャップ領域に近く中性子ス
ペクトルが軟らかい燃料バンドル正方格子状配列最外周
にガドリニア入りウラン燃料棒を配置することにより、
ガドリニアの中性子吸収効果を向上させている。
【0019】近年、原子力発電所の核燃料リサイクルを
図る観点から、再処理によって使用済み燃料から取り出
されたプルトニウムをウランと混合し、ウラン・プルト
ニウム混合酸化物燃料(以下、MOX燃料と呼ぶ)とし
て、軽水炉で利用することが提唱されている。しかし、
一般にMOX燃料では、プルトニウムによる人体への内
部被曝を防止するため燃料ペレットの成形加工を完全密
封容器(グローブボックス)内で行うため、成形加工費
はウラン燃料よりも高価になる。
【0020】通常、MOX燃料集合体の設計において
は、プルトニウム富化度の異なるMOX燃料棒を数種類
使用して燃料集合体内部に富化度分布を設けることによ
り、局所出力ピーキングの最大値を抑制している。しか
し、プルトニウム富化度種類が多くなると、燃料ペレッ
トの製造ライン数が増加するか、またはグローブボック
スの洗浄回数が増加することになる。前者は設備費を増
加させ、また、後者は設備の不稼働時間の増加となるた
め、共に成形加工費の増加要因となる。したがって、M
OX燃料では、成形加工費を低く抑えるために、炉心特
性を損なわない範囲内でできるだけ富化度分布を単純に
し、富化度種類数を減らすことが必要となる。
【0021】また、軸方向出力分布の制御については、
軸方向に富化度分布を設けることによっても可能となる
が、燃料の成形が複雑になり、加工費を増加されること
になるため、MOX燃料棒のプルトニウム富化度は軸方
向に一様とすることが望ましい。また、MOX燃料棒に
ガドリニアを混入する場合は、ガドリニア、酸化ウラ
ン、酸化プルトニウムの3種類を取扱うことになり、製
造工程、装置は一層複雑化し、高価となるので、ウラン
燃料棒にガドリニアを混入する方が成形加工費低減の観
点からは望ましい。したがって、MOX燃料集合体の軸
方向出力分布の制御は、ウラン燃料棒にガドリニアを含
有させ、必要に応じて軸方向にガドリニア濃度を分布さ
せた設計が用いられる。このような、MOX燃料集合体
でガドリニアを含有したウラン燃料棒において軸方向の
ガドリニア濃度分布を使用した燃料集合体の例として
は、特開昭63−108294号公報に記載されてい
る。
【0022】また、MOX燃料集合体の富化度設計に関
する従来技術としては、例えば特開平7−301688
号公報に開示されたものがある。同公報には、ウラン燃
料を装荷した短尺燃料棒と、可燃性吸収材入りのウラン
燃料を装荷した長尺燃料棒とを燃料集合体の最外周に配
置することにより、炉停止余裕を確保しつつ富化度種類
数を減らす技術が記載されている。また、熱的特性を改
善するために、軸方向下部のみに可燃性吸収材を添加し
たウラン燃料棒を用いて軸方向出力分布を制御する技術
も記載されている。
【0023】また近年、原子力発電の経済性向上のため
に、燃料の高燃焼度化が進められている。原子炉に装荷
される燃料の経済性を向上させるためには、できるだけ
原子炉内に装荷される期間を長くして燃焼度を増加させ
ることが必要となる。燃料集合体に含まれる核燃料物質
が多いほど、燃料集合体の燃焼度は増加することになる
ので、燃料の燃焼度を高めて経済性を向上させるために
は、燃料集合体に含まれる核分裂性物質を増加させるこ
と、すなわち、燃料物質の平均濃度を増加することが行
われてきた。高燃焼度化に伴い、燃料の核分裂性物質量
が増加すると燃料の反応度が増大するため、反応度を抑
制するために可燃性吸収材を混入する燃料棒の本数や可
燃性吸収材量が増加する傾向になる。図4は燃料集合体
平均取出燃焼度と燃料集合体におけるガドリニア入り燃
料棒の体積割合の推移の関係を示すものである。同図に
示すように、燃料集合体の核分裂性物質の平均濃縮度の
増加に伴って、燃焼初期における反応度が増加するた
め、炉停止余裕および熱的余裕を確保するために、可燃
性吸収材であるガドリニアを含有する燃料棒の装荷割合
も増加する傾向がある。
【0024】MOX燃料集合体の場合、濃縮ウラン燃料
棒にのみガドリニア等の可燃性吸収材を混入することを
考えると、可燃性吸収材を混入した燃料棒の本数が増加
するとウラン使用量が増加することになる。このため、
一燃料集合体あたりのウラン使用量を少なくする観点か
ら、ガドリニア燃料棒のウラン濃縮度はできるだけ小さ
くすることが望まれる。また、ガドリニアを含有したウ
ラン燃料棒において濃縮度分布およびガドリニア濃度分
布を軸方向に分布させることによっても燃料の成形が複
雑になるため、ガドリニアを含有したウラン燃料棒のウ
ラン濃縮度およびガドリニア濃度は軸方向に一様とする
ことが望ましい。以上のMOX燃料特有のニーズを踏ま
えて、MOX燃料集合体において、可燃性吸収材入りウ
ラン燃料棒の配置について最適化を図る必要がある。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】MOX燃料は、その核
分裂性物質であるプルトニウム239やプルトニウム2
41の熱中性子吸収断面積がウラン235より大きいこ
と、およびプルトニウム240による中性子の吸収がウ
ラン238より大きいこと等により、ウラン燃料よりも
熱中性子の割合が減少し、中性子スペクトルが硬くなる
という性質がある。このため、MOX燃料を備えたMO
X燃料集合体では、減速材である水による中性子の減速
効果が悪くなり、ボイド率が増加した時の反応度変化で
あるボイド反応度係数の負の絶対値がウラン燃料集合体
に比べて増大する。
【0026】ここで、沸騰水型原子炉の燃料集合体にお
いては、上部と下部のボイド率の差に起因して、平均的
な軸方向出力分布が下部に歪む傾向がある。すなわち、
下部の出力の方が上部の出力よりも高くなる。この傾向
は、新しい燃料集合体が装荷された後の燃焼初期に特に
顕著になる。この軸方向出力分布の歪みは、MOX燃料
集合体の方がウラン燃料集合体よりも増大する。これ
は、プルトニウムの中性子吸収断面積がウランよりも大
きいためである。このボイド反応度係数の負の絶対値の
増加によってボイド率の高い炉心上部で反応度低下量が
さらに大きくなり、軸方向出力分布がさらに下方に歪ん
で軸方向の出力ピーキングが大きくなることになる。
【0027】そこで、このような点に配慮したMOX燃
料集合体として、例えば特開平11−264884号公
報に開示された燃料集合体がある。ここに開示されたM
OX燃料集合体では、ガドリニア入りウラン燃料を充填
した短尺燃料棒を9行9列正方格子状に配列した集合体
の最外層から1層目の各辺の中央付近に配置することに
より、上述のように実効的な中性子減速効果をさらに向
上させてボイド反応度係数絶対値を低減し、かつ、ガド
リニア入りウラン燃料を充填した長尺燃料棒を、燃料集
合体の最外周から2層目で隣接する位置に配置し、ガド
リニアの中性子吸収効果を向上させている。
【0028】しかしながら、このMOX燃料集合体で
は、以下のような不都合が起きる。すなわち、短尺燃料
棒をガドリニア入り燃料棒とした場合において、短尺燃
料棒が欠如している燃料集合体上部の反応度は長尺のガ
ドリニア入り燃料棒のみで制御するため、上部の反応度
制御に必要となる長尺のガドリニア入り燃料棒を確保す
る必要がある。ここで、ウラン燃料棒にのみガドリニア
等の可燃性吸収材を混入することを考えると、上部の反
応度制御に必要となる長尺のガドリニア入り燃料棒を確
保することは、ウラン使用量を増加させることになる。
【0029】すなわち、長尺のガドリニア入り燃料棒に
より燃料集合体上部の反応度を制御しつつ、短尺のガド
リニア入り燃料棒により軸方向分布の下方への歪の低減
を行う場合、ガドリニア入り燃料棒をより中性子スペク
トルの軟らかい位置に配置し、ガドリニアの中性子吸収
効果を向上させることにより、ガドリニア入り燃料棒の
本数を低減する必要がある。一方、高燃焼度化を図るた
めには燃料の持つ反応度を高める必要があるが、このた
めにMOX燃料のプルトニウム富化度を増加させると、
中性子スペクトルの硬化がさらに増す傾向がある。
【0030】一般に、可燃性吸収材の燃焼は中性子スペ
クトルに強く依存しており、中性子スペクトルが軟らか
くなるほど燃焼が進行して中性子吸収効果が大きくなる
一方で、中性子スペクトルが硬くなるほど燃焼が遅れ中
性子吸収効果が小さくなるという性質がある。したがっ
て、MOX燃料集合体ではウラン燃料集合体に比べて、
可燃性吸収材の反応度価値が下がるという問題が生じ
る。
【0031】そこで、この点を解決するために、特開2
001−56388号公報に開示されているように、M
OX燃料集合体において、正方格子状配列の最外周に可
燃性吸収材入り燃料棒と短尺燃料棒を配置する構成が提
案されている。この場合、可燃性吸収材入り燃料棒が正
方格子状配列最外周の制御棒挿入側に配置されることに
よって、制御棒価値が低下し炉停止余裕が低下するの
を、最外周に短尺燃料棒を設置して燃料集合体軸方向上
部に中性子の減速過剰領域を形成し、低温時の無限増倍
率を低減することにより補い、これによって炉停止余裕
の低下を防止している。
【0032】また、MOX燃料集合体では、可燃性吸収
材入り燃料棒が制御棒挿入側に配置されることで制御棒
価値が低下し炉停止余裕が低下する。この点を解決する
ために、特開2001−83271号公報記載のMOX
燃料集合体では、正方格子状配列最外周に配置される可
燃性吸収材入り燃料棒のうち制御棒挿入側とその反対側
とで可燃性吸収材入り燃料棒の本数に差を設けることに
より、制御棒価値の低下を抑制している。
【0033】しかしながら、上述した従来技術では短尺
燃料棒をMOX燃料棒としているため、短尺燃料棒のプ
ルトニウム富化度を低減することにより軸方向出力分布
の下方への歪みを低減できるものの、最適な軸方向出力
分布を得るために短尺燃料棒のプルトニウム富化度を調
整することはMOX燃料棒の富化度種類が増加すること
になる。
【0034】このように、MOX燃料の成形加工費を抑
えるためには、富化度分布をできるだけ単純化してMO
X燃料棒の種類数を減らす必要がある。例えば特開平7
−301688公報に開示された燃料集合体では、MO
X燃料集合体において、正方格子状配列の最外周に可燃
性吸収材入り燃料棒と短尺燃料棒を配置することで燃料
集合体外周部の局所出力を低減し、富化度種類数を減ら
すことを可能としている。
【0035】本発明は高燃焼度化を図ったMOX燃料集
合体特有の課題を解決するためになされたもので、燃焼
初期の軸方向出力分布を平坦化することにより炉心の熱
的特性を向上させるとともに、制御棒価値の低下を抑制
し炉停止余裕の低下を防止しつつ、富化度分布を単純化
してMOX燃料棒の種類数を減らすことができる燃料集
合体を提供することにある。
【0036】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、請求項1に係る発明は、燃料有効長が相対的に長い
長尺燃料棒と、この長尺燃料棒よりも燃料有効長が短い
短尺燃料棒とを9行9列以上の正方格子状に配列した燃
料集合体において、前記長尺燃料棒は、ウランとプルト
ニウムの混合酸化物であるMOX燃料が充填された第1
長尺燃料棒と、可燃性吸収材を添加しないウラン燃料が
充填された第2長尺燃料棒と、可燃性吸収材を添加した
ウラン燃料が充填された第3長尺燃料棒とを備え、前記
短尺燃料棒に、可燃性吸収材を添加したウラン燃料を充
填したものである。沸騰水型原子炉の燃料集合体では、
上部と下部のボイド率の差に起因して、平均的な軸方向
出力分布が下部に歪む傾向がある。この傾向は、新しい
燃料集合体が装荷された後の燃焼初期に特に顕著にな
る。この軸方向出力分布の歪みは、MOX燃料集合体の
方がウラン燃料集合体よりも増大する。これは、プルト
ニウムの中性子吸収断面積がウランよりも大きいためで
ある。そこで、請求項1に係る発明では、短尺燃料棒を
可燃性吸収材を添加したウラン燃料棒とすることによ
り、燃料集合体の下部領域において、可燃性吸収材であ
るガドリニアを添加した燃料棒の本数を、上部領域にお
けるガドリニア燃料棒の本数よりも多くした。ここで、
上部領域とは短尺燃料棒の燃料有効長の上端よりも上側
の領域のことを称し、下部領域とは短尺燃料棒の燃料有
効長の上端よりも下側の領域のことを称する。ガドリニ
ア燃料棒の数を燃料集合体の上部領域よりも下部領域で
多くしたことによる作用を図5を用いて説明する。図5
は燃料集合体の燃焼度と無限増倍率(反応度)との関係
を示す。ここでは、全ての燃料棒の燃料有効長が等しい
場合を想定している。図中、aはガドリニア燃料棒が無
い場合、bはガドリニア燃料棒が有る場合、cはbより
もガドリニア燃料棒の数を増やした場合、にそれぞれ対
応する。bとcでは、同じガドリニア濃度を想定してい
る。aでは可燃性吸収材であるガドリニアが無いので、
燃焼度の増大に伴って無限増倍率は単調減少する。bで
はガドリニアが存在するため、燃焼初期の無限増倍率は
小さく抑えられ、ガドリニアが燃焼するのに伴って無限
増倍率が増大する。ガドリニアが燃焼し尽くすと、無限
増倍率は燃焼度の増大に伴って減少する。cではbより
もガドリニア燃料棒の本数が多いため、燃焼初期の無限
増倍率はさらに小さくなる。すなわち、ガドリニア燃料
棒の本数を増やすことにより、燃焼初期の無限増倍率を
効果的に抑制できる。請求項1に係る発明においては、
短尺燃料棒をガドリニアを添加したウラン燃料棒とする
ことにより、燃焼初期におけるガドリニアの反応度抑制
効果は、上部領域よりも下部領域の方が大きくなる。こ
れに伴って、下部領域における無限増倍率は、上部領域
における無限増倍率に比べて相対的に小さくなる。した
がって、軸方向出力分布が下部に歪む傾向が著しいMO
X燃料集合体でも、燃焼初期の軸方向出力分布を十分に
平坦化できる。
【0037】また、請求項2に係る発明は、請求項1に
係る発明において、前記第2長尺燃料棒、前記第3長尺
燃料棒および前記短尺燃料棒に充填されたウラン燃料
は、天然ウランを濃縮する過程より生ずるウランであっ
て、かつウラン235の同位体存在比が天然ウランより
も低い劣化ウランを母材としたものである。
【0038】また、請求項3に係る発明は、請求項1に
係る発明において、前記第2長尺燃料棒、前記第3長尺
燃料棒および前記短尺燃料棒に充填されたウラン燃料
は、天然ウランを母材としたものである。MOX燃料集
合体の場合、成形加工を単純化するという観点からウラ
ン燃料棒にのみガドリニア等の可燃性吸収材を混入する
ことを考えると、可燃性吸収材を混入した燃料棒の本数
が増加することによりウラン使用量が増加することにな
る。請求項2または請求項3に係る発明においては、ガ
ドリニア燃料棒のウラン母材を劣化ウラン、または天然
ウランとすることにより、一燃料集合体あたりのウラン
使用量を低減できる。また、軽水冷却・軽水減速沸騰水
型原子炉で使用される濃縮ウラン燃料の製造過程では、
ウラン235を濃縮する過程で転換費、濃縮費および再
転換費が発生するが、劣化ウランの場合には転換費およ
び濃縮費が不要になり、天然ウランの場合には転換費、
濃縮費および再転換費のいずれもが不要となる。
【0039】また、請求項4に係る発明は、請求項2ま
たは3に係る発明において、前記第3長尺燃料棒および
前記短尺燃料棒に充填されたウランの濃縮度および可燃
性吸収材の濃度を、燃料棒の軸線方向において一様とし
たものである。ガドリニアを含有したウラン燃料棒のウ
ラン濃度およびガドリニア濃度を燃料棒の軸線方向に対
して一様とすることにより、燃料の成形が単純化される
から、成形加工費を低減できる。
【0040】また、請求項5に係る発明は、請求項4に
係る発明において、前記短尺燃料棒を正方格子状に配列
した集合体の外周から1層目または2層目に配置し、前
記第3長尺燃料棒を正方格子状に配列した集合体の外周
から1層目または2層目において前記短尺燃料棒に隣接
する位置に配置したものである。ガドリニア等の可燃性
吸収材の燃焼は中性子スペクトルに強く依存しており、
中性子平均エネルギーが低く(中性子スペクトルが軟ら
かく)なるほど燃焼が進行して中性子吸収効果が大きく
なる一方、中性子スペクトルが硬くなるほど中性子吸収
効果が小さくなる。請求項5に係る発明においては、ガ
ドリニアを含有する短尺燃料棒とガドリニアを含有する
第3長尺燃料棒を正方格子状に配列した集合体の外周か
ら1層目または2層目において隣接する位置に配置する
ことにより、短尺燃料棒が欠如している燃料集合体上部
の中性子スペクトルを軟らかくするとともに、短縮燃料
棒に隣接するガドリニアを含有する第3長尺燃料棒の反
応度価値を高めることができる。また、短尺燃料棒と、
母材を劣化ウランまたは天然ウランとした第3長尺燃料
棒を正方格子状に配列した集合体の外周から1層目また
は2層目において隣接する位置に配置することにより、
上部断面の短尺燃料棒が欠如している部分において中性
子スペクトルを軟らかくし、ボイド反応度係数の絶対値
を小さくできるから、炉停止余裕を改善できる。さら
に、燃料集合体上部において、短尺燃料棒の格子位置に
は燃料棒が存在しなくなるため、隣接する通常長さの燃
料棒の局所出力が燃料集合体上部で大きくなる傾向とな
るが、請求項5に係る発明においては、ガドリニアを含
有する第3長尺燃料棒を短尺燃料棒に隣接する格子位置
に配置することにより、MOX燃料棒を配置する場合に
比べてその隣接位置燃料棒の出力増大を抑制することが
できる。
【0041】また、請求項6に係る発明は、請求項5に
係る発明において、前記第3長尺燃料棒を正方格子状に
配列した集合体の外周から1層目に配置したものであ
る。図6に、ガドリニア入り燃料棒の配置をパラメータ
としたときのガドリニアによる反応度抑制効果(ガドリ
ニア反応度)を示す。図6において、9行9列の燃料棒
の正方格子状に配列した集合体において、ガドリニアを
外周から2層目以内に配置した場合(ケース1)、水ロ
ッド周囲の中性子スペクトルがやわらかい領域に配置し
た場合(ケース2)、最外周の中性子スペクトルがやわ
らかい領域に配置した場合(ケース3)の順にガドリニ
アの中性子吸収効果が大きくなっていることがわかる。
請求項6に係る発明では、ガドリニアを含有する第3長
尺燃料棒を、正方格子状配列最外周部分の中性子スペク
トルが軟らかい最外周部分に配置することにより、MO
X燃料化および高燃焼度化に基づく中性子スペクトル硬
化傾向を緩和でき、中性子吸収効果の減少を防止し、ガ
ドリニアを含有する燃料棒の本数を削減できることか
ら、その分、MOX燃料棒の装荷本数を増加できる。こ
のとき、特に高燃焼度化のためにプルトニウム富化度を
増加させると燃料の反応度が増大するため、ガドリニア
を混入する燃料棒の本数やガドリニア濃度を増やす必要
があり、その分、ガドリニアの燃え残りにより反応度が
低下する。しかしながら、第3長尺燃料棒を中性子吸収
効果の高い(すなわち反応度価値が高い)正方格子状配
列最外周部分に配置することによって、この燃え残りに
よる燃料集合体全体の反応度低下を防止でき、ガドリニ
ア入りウラン燃料棒のウラン濃縮度を低減できる。ま
た、母材を劣化ウランまたは天然ウランとした第3長尺
燃料棒を正方格子状配列最外周部分に配置することによ
り、低温時において燃料集合体最外周部分に中性子の減
速過剰領域(水による吸収の反応度効果が減速による反
応度効果を上回る領域)を作り、低温時の無限増倍率を
下げることにより炉停止余裕を改善できる。
【0042】また、請求項7に係る発明は、請求項5に
係る発明において、前記短尺燃料棒を正方格子状に配列
した集合体の外周から1層目に配置したものである。図
7に、短尺燃料棒の配置をパラメータとしたときのボイ
ド反応度係数を示す。図7において、9行9列の燃料棒
の正方格子状に配列した集合体において、短尺燃料棒8
本を外周から2層目に配置した場合(ケース4)に対
し、短尺燃料棒の本数を半分の4本にした場合では(ケ
ース5)ではボイド反応度係数は大きくなるが、水ギャ
ップ近傍の最外周位置に配置した場合(ケース6)では
8本の場合(ケース4)よりボイド係数が小さくなって
いることがわかる。一般に、沸騰水型原子炉の燃料集合
体においては、減速材である水に近い燃料棒ほど熱中性
子束が大きく(すなわち中性子スペクトルが軟らか
く)、逆に他の燃料棒に取り囲まれている燃料棒ほど熱
中性子束が小さく(すなわち中性子スペクトルが硬く)
なる。正方格子状配列最外周部分の燃料棒は特に中性子
スペクトルが軟らかくなる。請求項7に係る発明におい
ては、母材を劣化ウランまたは天然ウランとした短尺燃
料棒を中性子スペクトルが軟らかい正方格子状配列の最
外周部分に配置することにより、MOX燃料化および高
燃焼度化に基づく中性子スペクトル硬化傾向を緩和でき
る。したがって、ボイド反応度係数の絶対値増大を防止
できるとともに、低温時において燃料集合体上部断面に
中性子の減速過剰領域を形成し、低温時の無限増倍率を
下げることにより炉停止余裕を改善できる。また、ガド
リニアを含有する短尺燃料棒を正方格子状配列最外周部
分の中性子スペクトルが軟らかい最外周部分に配置する
ことにより、MOX燃料化および高燃焼度化に基づく中
性子スペクトル硬化傾向を緩和でき、中性子吸収効果の
減少を防止し、ガドリニアを含有する燃料棒の本数を削
減できることは上述した請求項6に係る発明と同様であ
る。
【0043】また、請求項8に係る発明は、請求項6ま
たは7に係る発明において、前記第3長尺燃料棒を制御
棒挿入側と反対側を除く正方格子状に配列した集合体の
3つの隅に配置したものである。一般に、沸騰水型原子
炉の燃料集合体においては、正方格子状配列最外周部分
の燃料棒は熱中性子束が大きくなる。その最外周の中で
も、正方格子状配列の隅になるほど大きな水ギャップ領
域が近くに存在することから、熱中性子束は、正方格子
状配列の4隅位置が最も大きく、4隅より離れて正方格
子状配列最外周部分が形成する4辺の各辺中点に向かう
にしたがって低減する傾向を示す。このような熱中性子
束の差に応じて、通常、MOX燃料集合体では、局所出
力ピーキングを減少して出力分布の平坦化を図り熱的余
裕を確保する観点から、水に近い燃料棒のプルトニウム
富化度を比較的低くし、水から遠い燃料棒のプルトニウ
ム富化度を比較的高くする等の富化度分布をつけること
が行われる。したがって、正方格子状配列の最外周で
は、上記の熱中性子束の特性に対応して、少なくとも4
隅位置のMOX燃料棒のプルトニウム富化度を最も低い
富化度とする。その一方で、正方格子状配列最外周部分
が形成する4辺の各辺中点の格子位置(または中点位置
とその隣接位置の場合もある)の燃料棒を最外周部分配
列燃料棒の中では最も高い富化度とする。さらに、正方
格子状配列最外周部分のうち残りの格子位置のMOX燃
料棒をそれらの中間の富化度とし、すなわち最外周部分
配列燃料棒として合計で少なくとも3種類のプルトニウ
ム富化度とすることが多い。可燃性吸収材入りウラン燃
料棒のウラン濃度が劣化ウランのように低い場合、燃料
集合体内の各燃料棒の反応度差が比較的大きいため、燃
料棒の出力差が大きくなり局所出力ピーキングが増大す
るため、一定の局所出力ピーキングに対応した富化度種
類数が設定される。図8に、ガドリニア入り燃料棒のウ
ラン濃縮度をパラメータとした局所出力ピーキングと富
化度種類数の関係を示す。同図において、(ア)はガド
リニア入りでウランが濃縮ウランの場合(235Uの濃
縮度が1%以上)、(イ)はガドリニア入りでウランが
天然ウランの場合(235Uの濃縮度が0.7%程
度)、(ウ)はガドリニア入りでウランが劣化ウランの
場合(235Uの濃縮度が0.3%程度以下)であり、
同程度の局所出力ピーキングを実現するのに必要なPu
富化度種類数が、(ア)の場合には2、(イ)の場合に
は3、(ウ)の場合には3以上であることを示してい
る。一方、MOX燃料集合体の場合、燃料の成形加工工
程を複雑にしないため、またはコストダウンの観点か
ら、MOX燃料棒のプルトニウム富化度の種類は極力低
減することが望まれている。そこで、請求項8に係る発
明においては、第3長尺燃料棒を制御棒挿入側の反対側
を除く正方格子状に配列した集合体の3つの隅に配置す
ることにより、この位置の局所出力ピーキングを低減で
きるとともに、上述のようにこの格子位置のために1種
類の富化度(最低富化度)が必要であったのを省略する
ことができるので、富化度種類数を1種類低減すること
ができ、例えば全体で富化度種類数を2種類以下とする
ことができる。また、ガドリニアを含有する第3長尺燃
料棒を制御棒挿入側の反対側を除く正方格子状に配列し
た集合体最外周の3つの隅の中性子スペクトルが軟らか
い部分に配置することにより、MOX燃料化および高燃
焼度化に基づく中性子スペクトル硬化傾向を緩和でき、
中性子吸収効果の減少を防止し、ガドリニアを含有する
燃料棒の本数を削減できる。また、母材を劣化ウランま
たは天然ウランとした第3長尺燃料棒を、最外周の3つ
の隅の中性子スペクトルが軟らかい部分に配置すること
により、低温時において燃料集合体の隅部分に中性子の
減速過剰領域を形成し、低温時の無限増倍率を下げるこ
とにより炉停止余裕を改善できることは上述した請求項
6に係る発明と同様である。
【0044】また、請求項9に係る発明は、請求項8に
係る発明において、前記第2長尺燃料棒を制御棒挿入側
と反対側の1つの隅に配置したものである。制御棒挿入
側の反対側の1隅位置は炉内計装管が近接配置される場
合があり、このような場合にはこの位置に中性子の強吸
収体である可燃性吸収材入りウラン燃料棒を配置する
と、炉内計装管の計測に影響を及ぼし、計測精度が低下
するおそれがある。そこで、本発明においては、当該1
隅位置には可燃性吸収材なしのウラン燃料棒を配置する
ことにより、炉内計装管の計測に影響を及ぼすことなく
局所出力ピーキングを低減することができる。また、母
材を劣化ウランまたは天然ウランとした第3長尺燃料棒
を、正方格子状に配列した集合体の制御棒挿入側の反対
側の1つの隅に配置することにより、低温時において燃
料集合体の当該部分に中性子の減速過剰領域を形成し、
低温時の無限増倍率を下げることにより炉停止余裕を改
善できることは上述した請求項6に係る発明と同様であ
る。
【0045】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図を
用いて説明する。 (第1の実施の形態)図1(a)は本発明に係る燃料集
合体の第1の実施の形態の構造を示す横断面図、同図
(b)は各燃料棒のPu富化度を示す図である。図2
(a)は一般的なMOX燃料集合体を一部破断して示す
正面図、同図(b)は同図(a)におけるII(b)-II
(b) 線断面図、同図(c)は同図(a)におけるII
(c)-II(c) 線断面図である。
【0046】これらの図において、燃料集合体1は、四
角筒型のチャンネルボックス7と、チャンネルボックス
7の内部に収納される燃料バンドルとから概ね構成され
ている。図2(a)において、燃料バンドルは、9行9
列の正方格子状に配列された長尺燃料棒2および短尺燃
料棒3、水ロッド6、長尺燃料棒2の上端を支持する上
部タイプレート4、長尺燃料棒2および短尺燃料棒3の
下端を支持する下部タイプレート5、燃料棒間の間隔を
保持するスペーサ8等から構成されている。2本の水ロ
ッド6,6は断面が円形で燃料棒2,3よりも径が大き
く形成され、燃料集合体1の中央部の7本の燃料棒が配
置可能な領域に、対角線上に配置されている。図1にお
いて、10は断面が略十字形の制御棒であって、平面視
において、チャネルボックス7の隣り合う2辺に近接す
るように配置されている。
【0047】長尺燃料棒2は、第1長尺燃料棒としての
長尺MOX燃料棒11および12と、第2長尺燃料棒と
しての長尺ウラン燃料棒(以下、長尺U燃料棒という)
14と、第3長尺燃料棒としてのガドリニア入りの長尺
ウラン燃料棒(以下、長尺Gd燃料棒という)13とか
らなる。短尺燃料棒3は、8本の短尺ガドリニア入りウ
ラン燃料棒(以下、短尺Gd燃料棒という)15によっ
て構成されている。長尺MOX燃料棒11および12の
Pu富化度はaおよびbで表され、a>bの関係にあ
る。
【0048】長尺Gd燃料棒13および短尺Gd燃料棒
15に充填されたウラン燃料は、天然ウランを濃縮する
過程より生ずるウランであって、かつウラン235の同
位体存在比が天然ウランよりも低い劣化ウランまたは天
然ウランを母材としている。燃料集合体1内は、図2
(a)および(b)に示すように、短尺燃料棒3の燃料
有効長の上端を境界として、上側の上部領域「B」と下
側の下部領域「C」とに分けられる。
【0049】このような構成において、この第1の実施
の形態では、短尺Gd燃料棒15が、正方格子状配列の
最外周から2層目の隅および各辺の中央に8本配置され
ている。長尺U燃料棒14は正方格子状配列最外周の反
制御棒側に1本配置されている。長尺Gd燃料棒13
は、2層目の反制御棒側を除く3つの隅に配置されてい
る短尺Gd燃料棒15に斜めに隣接する位置に3本、反
制御棒側の隅に配置されている短尺Gd燃料棒15およ
び長尺U燃料棒14に隣接する位置に2本、それぞれ正
方格子状配列の最外周に配置されている。
【0050】このように、短尺Gd燃料棒15と長尺G
d燃料棒13とを隣接させて配置したことによって、軸
方向出力分布の平坦化されるという第1の効果が得られ
る。すなわち、この第1の実施の形態では、燃料集合体
中の8本を短尺Gd燃料棒15とし、燃料集合体中の5
本を長尺Gd燃料棒13とし、燃料集合体1の下部領域
「C」におけるGd燃料棒の数を、上部領域「B」にお
けるGd燃料棒の数よりも8本多くしている。このよう
に、Gd燃料棒の本数を燃料集合体の上部領域「B」よ
りも下部領域「C」で多くしたことより、燃焼初期にお
けるガドリニアの反応度抑制効果は、上部領域「B」よ
りも下部領域「C」の方が大きくなる。これに伴って、
下部領域「C」における無限増倍率は、上部領域「B」
における無限増倍率に比べて相対的に小さくなる。この
ため、軸方向出力分布が下部に歪む傾向が著しいMOX
燃料集合体でも、燃焼初期の軸方向出力分布を十分に平
坦化できる。
【0051】また、劣化ウランまたは天然ウランを母材
とする長尺Gd燃料棒13および長尺ウラン燃料棒14
を、燃料短尺燃料棒3に隣接させ、かつ正方格子状配列
の最外周に配置したことにより、上部領域「B」におけ
るボイド反応度係数が小さくなるので、これも軸方向出
力分布の平坦化に寄与する。
【0052】また、短尺Gd燃料棒15と長尺Gd燃料
棒13とを隣接させて配置したことによってボイド反応
度係数の絶対値を低下させるという第2の効果がある。
一般に、沸騰水型原子炉の燃料集合体においては、減速
材である水に近い燃料棒ほど熱中性子束が大きく(すな
わち中性子スペクトルが軟らかく)、逆に他の燃料棒に
取り囲まれている燃料棒ほど熱中性子束が小さく(すな
わち中性子スペクトルが硬く)なる。本実施の形態にお
いては、長尺Gd燃料棒13を、上部領域「B」におけ
る中性子スペクトルが軟らかくなる短尺Gd燃料棒15
に隣接して配置することにより、MOX燃料化および高
燃焼度化に基づく中性子スペクトル硬化傾向を緩和でき
るので、ボイド反応度係数の絶対値増大を防止すること
ができる。
【0053】また、短尺Gd燃料棒15と長尺Gd燃料
棒13とを隣接させて配置することによって中性子吸収
効果の減少を防止するという第3の効果がある。一般
に、ガドリニア等の可燃性吸収材の燃焼は中性子スペク
トルに強く依存しており、中性子平均エネルギーが低く
(中性子スペクトルが軟らかく)なるほど燃焼が進行し
て中性子吸収効果が大きくなる一方、中性子スペクトル
が硬くなるほど中性子吸収効果が小さくなるという性質
がある。第1の実施の形態においては、長尺Gd燃料棒
13を上部領域「B」において中性子スペクトルが軟ら
かくなる短尺Gd燃料棒15に隣接して配置することに
より、上述したことと同様、MOX燃料化および高燃焼
度化に基づく中性子スペクトル硬化傾向を緩和できるこ
とから、中性子吸収効果の減少を防止することができ
る。
【0054】このとき、特に高燃焼度化のためにプルト
ニウム富化度を増加させると燃料の反応度が増大するた
め、可燃性吸収材を混入する燃料棒の本数や可燃性吸収
材の量を増やす必要があり、その分、可燃性吸収材の燃
え残りにより反応度が低下するが、本実施の形態では長
尺Gd燃料棒13を中性子吸収効果の高い(すなわち反
応度価値が高い)正方格子状配列最外周部分に配置する
ことにより、この燃え残りによる燃料集合体全体の反応
度低下を防止できる。
【0055】さらに、短尺Gd燃料棒15と長尺Gd燃
料棒13とを隣接させて配置することによって短尺隣接
燃料棒出力抑制という第4の効果がある。一般に、燃料
集合体1の上部において、短尺燃料棒2の格子位置には
燃料棒が存在しなくなるため、隣接する通常長さの燃料
棒2の局所出力がその燃料集合体1上部で大きくなる傾
向がある。第1の実施の形態においては、長尺Gd燃料
棒13を、上部領域「B」における中性子スペクトルが
軟らかくなる短尺Gd燃料棒15に隣接して配置するこ
とにより、MOX燃料棒を配置する場合に比べてその隣
接位置燃料棒の出力増大を抑制することができる。
【0056】次に、長尺Gd燃料棒13および長尺U燃
料棒14を、正方格子状配列の最外周の4隅に配置した
ことによる富化度種類数の低減の効果について説明す
る。一般に、沸騰水型原子炉の燃料集合体においては、
正方格子状配列最外周部分の燃料棒は熱中性子束が大き
くなる。その最外周の中でも、正方格子状配列の隅にな
るほど大きな水ギャップ領域が近くに存在することか
ら、熱中性子束は、正方格子状配列の4隅位置が最も大
きく、4隅より離れて正方格子状配列最外周部分が形成
する4辺の各辺中点に向かうにしたがって低減する傾向
を示す。
【0057】このような熱中性子束の差に応じ、通常、
MOX燃料集合体では、局所出力ピーキングを減少して
出力分布の平坦化を図り熱的余裕を確保する観点から、
水に近い燃料棒のプルトニウム富化度を比較的低くし、
水から遠い燃料棒のプルトニウム富化度を比較的高くす
る等の富化度分布をつけることが行われる。このとき、
正方格子状配列の最外周では、上記の熱中性子束の特性
に対応して、少なくとも4隅位置のMOX燃料棒のプル
トニウム富化度を最も低い富化度とする。その一方で、
正方格子状配列最外周部分が形成する4辺の各辺中点の
格子位置(または中点位置とその隣接位置の場合もあ
る)の燃料棒を最外周部分配列燃料棒の中では最も高い
富化度とする。また、正方格子状配列最外周部分のうち
残りの格子位置のMOX燃料棒をそれらの中間の富化度
とすることにより、最外周部分配列燃料棒として合計で
少なくとも3種類のプルトニウム富化度とすることが多
い。
【0058】ところで、MOX燃料集合体の場合、燃料
の成形加工工程を複雑にしないためまたはコストダウン
の観点から、MOX燃料棒のプルトニウム富化度の種類
は極力低減することが望まれている。そこで、本実施の
形態においては、長尺Gd燃料棒13および長尺U燃料
棒14を、正方格子状配列の最外周の4隅に配置するこ
とにより、この位置の局所出力を低減できる。この格子
位置のために1種類の富化度が必要であったのを省略す
ることができるので、富化度種類数を1種類低減するこ
とができ、燃料集合体全体として2種類のプルトニウム
富化度とすることができる。
【0059】また、長尺Gd燃料棒13および長尺U燃
料棒14を、正方格子状配列の最外周の4隅に配置した
ことによるMOX装荷率の増大の効果について説明す
る。上述したように、近年、経済性を向上させるという
観点から高燃焼度化が図られているが、同様に経済性向
上の観点からMOX燃料の炉心への装荷率増加が考えら
れる。ところが、高燃焼度化の際に増大した反応度を抑
制するためには、可燃性吸収材を混入するウラン燃料棒
の本数を増加させる必要があり、MOX燃料装荷率が低
減してしまう傾向となる。また、上述したようにMOX
燃料のプルトニウム富化度を増加させると中性子スペク
トルの硬化がさらに増す傾向となるため、これによって
も可燃性吸収材入りウラン燃料棒の本数を増加させる必
要が生じ、MOX燃料装荷率が低減してしまう。したが
って、MOX燃料集合体において高燃焼度化MOX燃料
装荷率増大により、経済性向上を図りつつ余剰反応度を
制御するためには、なるべく少ない数の可燃性吸収材入
り燃料棒を効果的な位置に配置する必要がある。
【0060】このように、第1の実施の形態において
は、Gd燃料棒を、中性子吸収効果が効果的に発揮され
る中性子スペクトルが軟らかい位置に配置するので、そ
の本数を必要最小限にすることができる。したがって、
例えば取り出し平均燃焼度40GWd/t以上といった
高燃焼度化を図る場合にも、可燃性吸収材入りウラン燃
料棒の本数を十分に低減し、MOX燃料装荷率を大きく
確保することができる。
【0061】さらに、正方格子状配列の4隅のうち制御
棒10に対向する3隅に長尺Gd燃料棒13を設けると
ともに、制御棒8に対向しない残りの1隅に長尺Gd燃
料棒13を配置したことにより、炉内計装管の計測精度
が確保できるという効果もある。すなわち、正方格子状
配列4隅のうち反制御棒側の1隅位置は炉内計装管が近
接配置される場合があり、このような場合にはこの位置
に中性子の強吸収体であるGd燃料棒を配置すると、炉
内計装管の計測に影響を及ぼし、その計測精度が低下す
るおそれがある。そこで、本実施の形態においては、正
方格子状配列の4隅のうち制御棒10に対向する3隅に
長尺Gd燃料棒13を設けるとともに、制御棒8に対向
しない残りの1隅には、その隣接位置に長尺Gd燃料棒
13を配置している。これにより、上記炉内計装管の計
測精度低下を防止することができる。この際、当該1隅
位置には長尺U燃料棒14を配置することにより、局所
出力ピーキングを低減するとともに、隣接する長尺Gd
燃料棒13の反応度価値を損なわないようにすることが
できる。
【0062】(第2の実施の形態)図9は本発明に係る
燃料集合体の第2の実施の形態の構造を示す横断面図で
ある。この第2の実施の形態においては、短尺Gd燃料
棒15は、正方格子状配列の最外周各辺の中央に4本、
水ロッド6に隣接する位置に2本配置されている。ま
た、長尺Gd燃料棒13は、制御棒側の最外周各辺の中
央に配置された短尺Gd燃料棒15に隣接する位置に2
本、それぞれ正方格子状配列の最外周にから2層目に配
置されている。なお、長尺Gd燃料棒13が正方格子状
配列の最外周の反制御棒側を除く3つの隅、および反制
御棒側の隅に配置されている長尺U燃料棒14に隣接す
る位置に2本、それぞれ正方格子状配列の最外周に配置
されていることは上述した第1の実施の形態と同様であ
る。
【0063】この第2の実施の形態が第1の実施の形態
と異なる点は、(イ)短尺Gd燃料棒15が、正方格子
状配列の最外周各辺の中央に4本、水ロッド6に隣接す
る位置に2本配置されていることである。すなわち、燃
料集合体最外周の水ギャップ部近傍、および水ロッド近
傍のスペクトルが軟らかい部分に配置されている。また
(ロ)長尺Gd燃料棒13が、制御棒側の最外周各辺の
中央に配置された短尺Gd燃料棒15に隣接する位置に
2本、それぞれ正方格子状配列の最外周から2層目に配
置されていることである。
【0064】この第2の実施の形態でも、第1の実施の
形態と同じ理由で、燃焼初期の軸方向出力分布を十分に
平坦化できるととともに、炉停止余裕を改善できる。ま
た、この第2の実施の形態では、(イ)のように短尺G
d燃料棒15を外周および水ロッド近傍に配置したこと
により、低温時において燃料集合体の外周部分に中性子
の減速過剰領域を形成し、低温時の無限増倍率を下げる
ことにより炉停止余裕をより改善できる。さらに、長尺
Gd燃料棒を制御棒挿入側の最外周各辺の中央に配置す
ると、制御棒価値が低下し炉停止余裕が低下するが、最
外周に短尺Gd燃料棒15を配置し、(ロ)のように制
御棒側の各辺の部分で長尺Gd燃料棒13を2層目以内
に配置することにより、制御棒価値の低下を抑制して炉
停止余裕の低下を防止できる。Gd燃料棒を外周、水ロ
ッド、短尺燃料棒近傍に配置したことにより、Gd燃料
棒の中性子吸収効果の減少を防止することができること
は第1の実施の形態と同様である。
【0065】(第3の実施の形態)図10は本発明に係
る燃料集合体の第3の実施の形態の構造を示す横断面図
である。この第3の実施の形態においては、長尺Gd燃
料棒13および長尺U燃料棒14が正方格子状配列の最
外周の隅に配置されていることは、上述した第1および
第2の実施の形態と同様である。この第3の実施の形態
が上述した第1および第2の実施の形態と異なる点は、
短尺Gd燃料棒15が、正方格子状配列の最外周の隅の
長尺Gd棒13または長尺U棒14に隣接する位置に8
本、それぞれ格子状配列の最外周に配置されている点に
ある。
【0066】この第3の実施の形態においても、第2実
施の形態と同じ効果が得られる。さらに、この第3の実
施の形態においては、正方格子状配列の最外周の4隅部
分において、劣化ウランまたは天然ウランを母材とする
長尺Gd燃料棒13および長尺ウラン燃料棒14を、短
尺ウラン燃料棒15に隣接させたことにより、低温時に
おいて燃料集合体の4隅部分に中性子の減速過剰領域を
形成し、低温時の無限増倍率を下げることにより炉停止
余裕をより改善できる。Gd燃料棒を外周、水ロッド、
短尺燃料棒近傍に配置したことにより、Gd燃料棒の中
性子吸収効果の減少を防止することができることは上述
した第1の実施の形態と同様である。
【0067】なお、第1ないし第3の実施の形態におい
ては、燃料棒2を9行9列の正方格子状配列した燃料集
合体に適用した場合を例にとって説明したが、これに限
らず、10行10列以上の正方格子状に配列した燃料集
合体に適用してもよく、これらの場合も同様の効果が得
られることは明らかである。
【0068】
【発明の効果】本発明によれば、短尺燃料棒を可燃性吸
収材入り燃料棒とすることにより、高燃焼度化を図った
MOX燃料集合体の燃焼初期の軸方向出力分布を十分に
平坦化できる。また、長尺または短尺の可燃性吸収材入
り燃料棒を燃料集合体の最外周から1層目と2層目にお
いて隣接した位置に配置したことにより、燃料集合体外
周部、および短尺燃料棒に隣接する燃料棒の局所出力ピ
ーキングを低減でき、その分だけ富化度種類数を減らす
ことができる。また、水ギャップ近傍はガドリニアの反
応度価値が高いので、可燃性吸収材入り燃料棒の本数を
削減できることにより、MOX燃料棒の装荷本数を増加
できる。さらに、短尺燃料棒に劣化ウランまたは天然ウ
ランを母材とした可燃性吸収材入り長尺燃料棒を隣接さ
せることにより、ボイド反応度係数の絶対値を減少する
とともに、低温時の無限増倍率を下げ炉停止余裕を改善
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 同図(a)は本発明に係る燃料集合体の第1
の実施の形態の構造を示す横断面図、同図(b)は各燃
料棒のPu富化度を示す図である。
【図2】 同図(a)は一般的な燃料集合体を一部破断
して示す正面図、同図(b)は同図(a)におけるII
(b)-II(b) 線断面図、同図(c)は同図(a)に
おけるII(c)-II(c) 線断面図である。
【図3】 可燃性吸収材による反応度抑制挙動の一例を
示す図である。
【図4】 燃料集合体平均取出燃焼度に対する燃料集合
体におけるガドリニア燃料棒の体積割合の例を示す特性
図である。
【図5】 燃料集合体の燃焼度と無限増倍率の関係図で
ある。
【図6】 中性子吸収材を添加した燃料棒の配置と中性
子吸収効果の関係を示す特性図である。
【図7】 短尺燃料棒配置とボイド反応度係数の関係を
示す特性図である。
【図8】 局所出力ピーキングとプルトニウム富化度種
類の関係を示す特性図である。
【図9】 本発明に係る燃料集合体の第2の実施の形態
の構造を示す横断面図である。
【図10】 本発明に係る燃料集合体の第3の実施の形
態の構造を示す横断面図である。
【符号の説明】
1…燃料集合体、2…長尺燃料棒、3…短尺燃料棒、6
…ウォータロッド、7…チャネルボックス、10…制御
棒、11,12…長尺MOX燃料棒(第1長尺燃料
棒)、13…長尺Gd燃料棒(第3長尺燃料棒)、14
…長尺U燃料棒(第2長尺燃料棒)、15…短尺Gd燃
料棒。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井筒 定幸 神奈川県横須賀市内川二丁目3番1号 株 式会社グローバル・ニュークリア・フュエ ル・ジャパン内 (72)発明者 笹川 勝 神奈川県横須賀市内川二丁目3番1号 株 式会社グローバル・ニュークリア・フュエ ル・ジャパン内 (72)発明者 平野 靖 神奈川県横須賀市内川二丁目3番1号 株 式会社グローバル・ニュークリア・フュエ ル・ジャパン内 (72)発明者 藤巻 真吾 神奈川県横須賀市内川二丁目3番1号 株 式会社グローバル・ニュークリア・フュエ ル・ジャパン内 (72)発明者 吉田 学 神奈川県横須賀市内川二丁目3番1号 日 本ニユクリア・フユエル株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃料有効長が相対的に長い長尺燃料棒
    と、この長尺燃料棒よりも燃料有効長が短い短尺燃料棒
    とを9行9列以上の正方格子状に配列した燃料集合体に
    おいて、前記長尺燃料棒は、ウランとプルトニウムの混
    合酸化物であるMOX燃料が充填された第1長尺燃料棒
    と、可燃性吸収材を添加しないウラン燃料が充填された
    第2長尺燃料棒と、可燃性吸収材を添加したウラン燃料
    が充填された第3長尺燃料棒とを備え、前記短尺燃料棒
    には、可燃性吸収材を添加したウラン燃料が充填されて
    いることを特徴とする燃料集合体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の燃料集合体において、前
    記第2長尺燃料棒、前記第3長尺燃料棒および前記短尺
    燃料棒に充填されたウラン燃料は、天然ウランを濃縮す
    る過程より生ずるウランであって、かつウラン235の
    同位体存在比が天然ウランよりも低い劣化ウランを母材
    としたことを特徴とする燃料集合体。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の燃料集合体において、前
    記第2長尺燃料棒、前記第3長尺燃料棒および前記短尺
    燃料棒に充填されたウラン燃料は、天然ウランを母材と
    したことを特徴とする燃料集合体。
  4. 【請求項4】 請求項2または3記載の燃料集合体にお
    いて、前記第3長尺燃料棒および前記短尺燃料棒に充填
    されたウランの濃縮度および可燃性吸収材の濃度を、燃
    料棒の軸線方向において一様としたことを特徴とする燃
    料集合体。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の燃料集合体において、前
    記短尺燃料棒を正方格子状に配列した集合体の外周から
    1層目または2層目に配置し、前記第3長尺燃料棒を正
    方格子状に配列した集合体の外周から1層目または2層
    目において前記短尺燃料棒に隣接する位置に配置したこ
    とを特徴とする燃料集合体。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の燃料集合体において、前
    記第3長尺燃料棒を正方格子状に配列した集合体の外周
    から1層目に配置したことを特徴とする燃料集合体。
  7. 【請求項7】 請求項5記載の燃料集合体において、前
    記短尺燃料棒を正方格子状に配列した集合体の外周から
    1層目に配置したことを特徴とする燃料集合体。
  8. 【請求項8】 請求項6または7記載の燃料集合体にお
    いて、前記第3長尺燃料棒を制御棒挿入側と反対側を除
    く正方格子状に配列した集合体の3つの隅に配置したこ
    とを特徴とする燃料集合体。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の燃料集合体において、前
    記第2長尺燃料棒を制御棒挿入側と反対側の1つの隅に
    配置したことを特徴とする燃料集合体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100588234B1 (ko) * 2005-01-24 2006-06-09 주식회사 프로텍 리니어 가이드 모듈아이씨 테스트 핸들러
JP2013217678A (ja) * 2012-04-04 2013-10-24 Global Nuclear Fuel-Japan Co Ltd 燃料集合体

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KR100588234B1 (ko) * 2005-01-24 2006-06-09 주식회사 프로텍 리니어 가이드 모듈아이씨 테스트 핸들러
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