JP2009114202A - ホスフォノセフェム誘導体、その製造法および用途 - Google Patents

ホスフォノセフェム誘導体、その製造法および用途 Download PDF

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智康 石川
Shohei Hashiguchi
昌平 橋口
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祐史 飯沢
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Abstract

【課題】優れた抗菌作用、安定性、経口吸収性を有する新規セフェム化合物、その製造法および剤を提供する。
【解決手段】式
Figure 2009114202

〔式中、Rはホスフォノ基またはホスフォノ基に変じうる基を、Rは水素原子または炭素原子を介して結合する基を、QおよびXはそれぞれ窒素原子はCHを、YはS、OまたはCHを示し、nは0又は1を示し、R及びRは一方が置換されていてもよいピリジニウム基を、他方が水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を示すか、あるいはRおよびRは互いに結合して4級化した窒素原子を含む置換されていてもよい複素環を示す。〕で表される化合物またはそのエステルあるいはその塩、その製造法およびそれを含んでなる医薬。
【選択図】なし

Description

本発明は広範囲のグラム陽性菌およびグラム陰性菌、特にブドウ球菌、メチシリン耐性ブドウ球菌(MRSA)およびシュードモナス属の菌などに優れた抗菌作用を有し、しかも水に対して十分な溶解性を有する新規なセフェム化合物、その製造法および医薬特に抗菌剤に関する。
特開平9−100283号公報(特許文献1)には7位に2−(5−アミノ−1,2,4−チアジアゾール−3−イル)−2(Z)−アルコキシイミノアセトアミド基を有し、3位に3または4−(ピリジニウム)チアゾール−4−イルチオ基または環構成原子としてNを含有する縮合複素環−チオ基を有する具体的なセフェム化合物が種々記載されているが、これらの化合物は水に対する溶解性が十分であるとはいえず、水に溶解する場合には溶解補助剤を用いるのが好ましいなど、製剤特に注射剤として用いる場合に十分満足できるものではない。
また、特開昭59−31791号公報(特許文献2)には、7位に2−(5−ホスフォノアミノ−1,2,4−チアジアゾール−3−イル)−2(Z)−メトキシイミノアセトアミド基を有し、3位に置換−(CH=CH)−S−とは化学構造が相違する置換−CH−のピリジニウムメチル基および1−メチルピリジニウムチオメチル基を有するセフェム誘導体が記載されている。
特開平9−100283号公報 特開昭59−31791号公報
最近開発されたメチシリン耐性ブドウ球菌(MRSA)を含む広範囲の細菌類に抗菌作用を有するセファロスポリン化合物は、十分な活性を有しているにもかかわらず、投与に必要な水または生理食塩水に対する溶解性が低く実用化に至っていない。この点を克服した新しい化合物の出現が望まれていた。
本発明者らは、上記事情に鑑み、鋭意種々研究を重ねた結果、セフェム、オキサセフェムまたはカルバセフェム骨格の3位に式:
Figure 2009114202
(式中、RおよびRは一方が置換されていてもよいピリジニウム基を、他方が水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を示すか、あるいはRおよびRは互いに結合して4級化した窒素原子を含む置換されていてもよい複素環を示し、Xは窒素原子またはCHを示し、nは0または1を示す。)で示される基を、かつ7位に式:
Figure 2009114202
〔式中、Rはホスフォノ基またはホスフォノ基に変じうる基を、Rは水素原子または炭素原子を介して結合する基を、Qは窒素原子またはCHをそれぞれ示す。〕で表される基を有することに化学構造上の特徴を有するセフェム化合物またはそのエステルあるいはその塩を初めて合成したところ、該化合物は水に対する溶解性に優れ、優れた抗菌作用等医薬として優れた性質を有することを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
(1)式:
Figure 2009114202
〔式中、Rはホスフォノ基またはホスフォノ基に変じうる基を、Rは水素原子または炭素原子を介して結合する基を、QおよびXはそれぞれ窒素原子またはCHを示し、YはS、OまたはCHを示し、nは0または1を示し、RおよびRは一方が置換されていてもよいピリジニウム基を、他方が水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を示すか、あるいはRおよびRは互いに結合して4級化した窒素原子を含む置換されていてもよい複素環を示す。〕で表される化合物またはそのエステルあるいはその塩(ただし、7β−[2(Z)−エトキシイミノ−2−(5−ホスフォノアミノ−1,2,4−チアジアゾール−3−イル)アセトアミド]−3−[4−(1−メチル−4−ピリジニオ)−2−チアゾリルチオ]−3−セフェム−4−カルボキシレートまたはその塩を除く)、
(2)式:
Figure 2009114202
〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物またはそのエステルあるいはその塩と式:
Figure 2009114202
〔式中、各記号は前記と同意義である。〕で表されるカルボン酸またはその塩もしくは反応性誘導体とを反応させ、必要に応じてRをホスフォノ基に変換することを特徴とする前記(1)記載の化合物の製造法、
(3)式:
Figure 2009114202
〔式中、R3’およびR4’は一方が置換されていてもよいピリジル基を、他方が水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を示すか、あるいはR3’およびR4’は互いに結合して窒素原子を含む置換されていてもよい複素環を示し、その他の記号は請求項1の記載と同意義を示す。〕で表される化合物またはそのエステルあるいはその塩を4級アンモニウム化反応に付し、必要によりRをホスフォノ基に変換することを特徴とする前記(1)記載の化合物の製造法、および
(4)前記(1)記載の化合物を含有する医薬、
に関するものである。
本発明のセフェム化合物は(I)はグラム陰性菌並びにブドウ球菌およびMRSAを含むグラム陽性菌に対して広範囲の抗菌スペクトルと優れた抗菌作用を有しており、これらの菌に基づく感染症に対し、有効な抗菌剤を提供することができる。本発明の化合物(I)は水に対する溶解性が比較的高く、特に注射剤などの製剤化において有利である。
本明細書におけるセフェム化合物は「ザ・ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ」第84巻,3400頁(1962年)に記載されている「セファム」に基づいて命名された化合物群であり、セフェム化合物はセファム化合物のうち3,4−位に二重結合を有する化合物を意味する。
なお、本発明の化合物は遊離型を表している式(I)の化合物またはそのエステルあるいはその塩(化合物(I)の塩または式(I)の化合物のエステルの塩)を含む。以下本願明細書においては、特別の場合を除き、遊離型を表している式(I)の化合物またはそのエステルあるいはその塩を総称して単に化合物(I)または抗菌化合物(I)と略称することもある。従って本願明細書の化合物(I)は通常、遊離型のみならずそのエステルおよびそれらの塩を含むものとする。
はホスフォノ基またはホスフォノ基に変じ得る基を示す。ホスフォノ基に変じ得る基はたとえば加水分解、置換反応により、ホスフォノ基に変換可能な基を意味し、保護されたホスフォノ基の他、たとえばジクロロホスフォリル等のジハロホスフォリルなどが挙げられる。
保護されたホスフォノ基はホスフォノ基の保護基によって保護されたものである。核酸化学の分野ではホスフォノ基の保護基は充分に研究されていてその保護法はすでに確立されており、本発明においてもホスフォノ基の保護基としてはそれら公知のものが適宜に採用されうる。保護されたホスフォノ基としてはたとえば、ジクロロホスフォリル等のジハロホスフォリル、たとえばジメトキシホスフォリル、ジエトキシホスフォリル、ジプロポキシホスフォリル等のジアルコキシホスフォリル基、たとえばO−メチルホスフォノ,O−エチルホスフォノ等のO−アルキルホスフォノ基等のようなモノ−またはジ−エステルホスフォノ基等、たとえば、ジアミノホスフォリル、(アミノ)(ヒドロキシ)ホスフォリル等のモノまたはジアミド化ホスフォノ基、たとえば、(メトキシ)(アミノ)ホスフォリル、(エトキシ)(アミノ)ホスフォリル等の(アルコキシ)(アミノ)ホスフォリル基等、たとえば、(メトキシ)(モルフォリノ)ホスフォリル、(エトキシ)(モルフォリノ)ホスフォリル等の(アルコキシ)(モルフォリノ)ホスフォリル基等のようなモノエステル化モノアミド化ホスフォノ基が挙げられる。Rとしてはホスフォノ、ジアルコキシホスフォリル、O−アルキルホスフォノ、ジアミノホスフォリル、(アミノ)(ヒドロキシ)ホスフォリル、(アルコキシ)(モルフォリノ)ホスフォリルまたはジハロホスフォリルが好ましく、特にホスフォノが好ましい。
は水素原子または炭素原子を介して結合する基を表す。
で表される「炭素原子を介して結合する基」としてはたとえば、置換されていてもよい炭化水素基(例えば、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアルキニル基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよい環状炭化水素基)、アシル基または炭素原子に結合手を有する置換されていてもよい非芳香族複素環基などが挙げられ、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよい環状炭化水素基などが好ましい。「置換されていてもよいアルキル基」の「アルキル基」としてはC1−6アルキル基などが好ましく、特にメチル,エチル,イソプロピルなどが好ましい。「置換されていてもよいアルケニル基」の「アルケニル基」としてはC2−6アルケニル基などが好ましい。
「置換されていてもよいアルキニル基」の「アルキニル基」としてはC2−6アルキニル基などが好ましい。「置換されていてもよいアラルキル基」の「アラルキル基」としてはC7−20アラルキル基などが好ましい。「置換されていてもよい環状炭化水素基」の「環状炭化水素基」としてはたとえば、シクロプロピル,シクロブチル,シクロペンチル,シクロヘキシル,シクロヘプチル,2−シクロペンテン−1−イル,3−シクロペンテン−1−イル,2−シクロヘキセン−1−イル,3−シクロヘキセン−1−イルなどの3〜7員非芳香族環状炭化水素基などが挙げられ、特にシクロブチル、シクロペンチルなどのC3−7シクロアルキル基などが好ましい。「アシル基」としては、たとえば、「置換されていてもよいC1−6アルカノイル基」,「置換されていてもよいC3−5アルケノイル基」,「置換されていてもよいC6−10アリール−カルボニル基」,「複素環カルボニル基」などが挙げられる。
「置換されていてもよいC1−6アルカノイル基」としてはたとえば、ハロゲン,オキソ,C1−6アルコキシ,C1−6アルカノイル,C6−10アリール,C6−10アリールオキシ,C6−10アリールチオなどから選ばれた1〜3個の置換基で置換されていてもよいC1−6アルカノイル基が用いられ、具体的にはたとえば、ホルミル,アセチル,プロピオニル,ブチリル,バレリル,ピバロイル,サクシニル,グルタリル,モノクロロアセチル,ジクロロアセチル,トリクロロアセチル,モノブロモアセチル,モノフルオロアセチル,ジフルオロアセチル,トリフルオロアセチル,モノヨードアセチル,アセトアセチル,3−オキソブチリル,4−クロロ−3−オキソブチリル,フェニルアセチル,p−クロロフェニルアセチル,フェノキシアセチル,p−クロロフェノキシアセチルなどが用いられる。
「置換されていてもよいC3−5アルケノイル基」としてはたとえば、ハロゲン,C6−10アリールなどから選ばれた1〜3個の置換基で置換されていてもよいC3−5アルケノイル基が用いられ、具体的にはたとえば、アクリロイル,クロトノイル,マレオイル,シンナモイル,p−クロロシンナモイル,β−フェニルシンナモイルなどが用いられる。
「置換されていてもよいC6−10アリール−カルボニル基」としてはたとえば、ハロゲン,ニトロ,ヒドロキシ,C1−6アルキル,C1−6アルコキシなどから選ばれた1〜3個の置換基で置換されていてもよいC6−10アリール−カルボニル基が用いられ、具体的にはたとえば、ベンゾイル,ナフトイル,フタロイル,p−トルオイル,p−tert−ブチルベンゾイル,p−ヒドロキシベンゾイル,p−メトキシベンゾイル,p−tert−ブトキシベンゾイル,p−クロロベンゾイル,p−ニトロベンゾイルなどが用いられる。
「複素環カルボニル基」における「複素環基」は複素環の炭素原子に結合している水素原子を1個とりのぞいてできる基をいい、そのような複素環はたとえば、窒素原子(オキシド化されていてもよい),酸素原子,硫黄原子などのヘテロ原子を1〜数個、好ましくは1〜4個含む5〜8員環またはその縮合環をいう。このような複素環基としては具体的には2−または3−ピロリル;3−,4−または5−ピラゾリル;2−,4−または5−イミダゾリル;1,2,3−または1,2,4−トリアゾリル;1H−または2H−テトラゾリル;2−または3−フリル;2−または3−チエニル;2−,4−または5−オキサゾリル;3−,4−または5−イソキサゾリル;1,2,3−オキサジアゾール−4−イルまたは1,2,3−オキサジアゾール−5−イル;1,2,4−オキサジアゾール−3−イルまたは1,2,4−オキサジアゾール−5−イル;1,2,5−または1,3,4−オキサジアゾリル;2−,4−または5−チアゾリル;3−,4−または5−イソチアゾリル;1,2,3−チアジアゾール−4−イルまたは1,2,3−チアジアゾール−5−イル;1,2,4−チアジアゾール−3−イルまたは1,2,4−チアジアゾール−5−イル;1,2,5−または1,3,4−チアジアゾリル;2−または3−ピロリジニル;2−,3−または4−ピリジル;2−,3−または4−ピリジル−N−オキシド;3−または4−ピリダジニル;3−または4−ピリダジニル−N−オキシド;2−,4−または5−ピリミジニル;2−,4−または5−ピリミジニル−N−オキシド;ピラジニル;2−,3−または4−ピペリジニル;ピペラジニル;3H−インドール−2−イルまたは3H−インドール−3−イル;2−,3−または4−ピラニル;2−,3−または4−チオピラニル;ベンゾピラニル;キノリル;ピリド〔2,3−d〕ピリミジル;1,5−,1,6−,1,7−,1,8−,2,6−または2,7−ナフチリジル;チエノ〔2,3−d〕ピリジル;ピリミドピリジル;ピラジノキノリル;ベンゾピラニルなどが用いられる。
「炭素原子に結合手を有する置換されていてもよい非芳香族複素環基」の「非芳香族複素環基」としてはたとえば、オキシラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ピロリジニル、テトラヒドロフリル、チオラニル、ピペリジル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモルホリニルなどの炭素原子以外に窒素原子,酸素原子,硫黄原子などのヘテロ原子を1または2個含む3ないし6員非芳香族複素環基などが好ましい。
前記「炭化水素基」が有していてもよい置換基としてはたとえば、複素環基,水酸基,C1−6アルコキシ基,C3−10シクロアルキル,C3−7シクロアルキルオキシ基,C6−10アリールオキシ基,C7−19アラルキルオキシ基,複素環オキシ基,メルカプト基,C1−6アルキルチオ基,C3−10シクロアルキルチオ基,C6−10アリールチオ基,C7−19アラルキルチオ基,複素環チオ基,アミノ基,モノC1−6アルキルアミノ基,ジC1−6アルキルアミノ基,トリC1−6アルキルアンモニウム基,C3−10シクロアルキルアミノ基,C6−10アリールアミノ基,C7−19アラルキルアミノ基,複素環アミノ基,環状アミノ基,アジド基,ニトロ基,ハロゲン原子,シアノ基,カルボキシル基,C1−10アルコキシ−カルボニル基,C6−10アリールオキシ−カルボニル基,C7−19アラルキルオキシ−カルボニル基,C6−10アリール−カルボニル基,C1−6アルカノイル基,C3−5アルケノイル基,C6−10アリール−カルボニルオキシ基,C2−6アルカノイルオキシ基,C3−5アルケノイルオキシ基,置換されていてもよいカルバモイル基,置換されていてもよいチオカルバモイル基,置換されていてもよいカルバモイルオキシ基,フタルイミド基,C1−6アルカノイルアミノ基,C6−10アリール−カルボニルアミノ基,C1−10アルコキシ−カルボキサミド基,C6−10アリールオキシ−カルボキサミド基,C7−10アラルキルオキシ−カルボキサミド基などが挙げられ、同一または異なって1ないし4個存在していてもよい。
前記「炭化水素基」の置換基の具体例のうち、「置換されていてもよいカルバモイル基」としてはたとえば、C1−6アルキル基,C6−10アリール基,C1−6アルカノイル基,C6−10アリールカルボニル基,C1−6アルコキシ−フェニル基などから選ばれた1または2個の置換基で置換されていてもよいカルバモイル基および環状アミノカルボニル基などが用いられ、具体的にはたとえば、カルバモイル,N−メチルカルバモイル,N−エチルカルバモイル,N,N−ジメチルカルバモイル,N,N−ジエチルカルバモイル,N−フェニルカルバモイル,N−アセチルカルバモイル,N−ベンゾイルカルバモイル,N−(p−メトキシフェニル)カルバモイル,ピロリジノカルボニル,ピペリジノカルボニル,ピペラジノカルボニル,モルホリノカルボニルなどが用いられる。「置換されていてもよいチオカルバモイル基」としてはたとえば、C1−6アルキル基,C6−10アリール基などから選ばれた1または2個の置換基で置換されていてもよいチオカルバモイル基が用いられ、たとえば、チオカルバモイル,N−メチルチオカルバモイル,N−フェニルチオカルバモイルなどが用いられる。「置換されていてもよいカルバモイルオキシ基」はたとえば、C1−6アルキル基,C6−10アリール基などから選ばれた1または2個の置換基で置換されていてもよいカルバモイルオキシ基が用いられ、具体的にはたとえば、カルバモイルオキシ,N−メチルカルバモイルオキシ,N,N−ジメチルカルバモイルオキシ,N−エチルカルバモイルオキシ,N−フェニルカルバモイルオキシなどが用いられる。
「炭化水素基」の置換基における複素環基,複素環オキシ基,複素環チオ基および複素環アミノ基の複素環基としては、前記「複素環カルボニル基」における複素環基と同様の基が用いられる。
前記「置換されていてもよいアルキル基」の「アルキル基」、「置換されていてもよいアルケニル基」の「アルケニル基」、「置換されていてもよいアラルキル基」の「アラルキル基」および「置換されていてもよい環状炭化水素基」の「環状炭化水素基」が有していてもよい置換基としては、たとえば前記「置換されていてもよい炭化水素基」の「炭化水素基」が有していてもよい置換基と同様のものなどが用いられる。
前記「炭素原子に結合手を有する置換されていてもよい非芳香族複素環基」の置換基としては、前記「置換されていてもよい炭化水素基」において例示した炭化水素基およびその置換基などがあげられる。
としては、「置換されていてもよい炭化水素基」などが好ましく、たとえば水酸基,C3−10シクロアルキル基,C1−6アルコキシ基,C1−6アルキルチオ基,アミノ基,ハロゲン原子,カルボキシル基,C1−10アルコキシカルボニル基,置換されていてもよいカルバモイル基,シアノ基,アジド基,複素環基などから選ばれた1ないし3個の置換基で置換されていてもよいC1−6アルキル基などであり、具体的には、シクロプロピルメチル,メトキシメチル,エトキシメチル,1−メトキシエチル,2−メトキシエチル,1−エトキシエチル,2−ヒドロキシエチル,メチルチオメチル,2−アミノエチル,フルオロメチル,2−フルオロエチル,2,2−ジフルオロエチル,クロロメチル,2−クロロエチル,2,2−ジクロロエチル,2,2,2−トリクロロエチル,2−ブロモエチル,2−ヨードエチル,2,2,2−トリフルオロエチル,カルボキシメチル,1−カルボキシエチル,2−カルボキシエチル,2−カルボキシプロピル,3−カルボキシプロピル,1−カルボキシブチル,シアノメチル,1−カルボキシ−1−メチルエチル,メトキシカルボニルメチル,エトキシカルボニルメチル,tert−ブトキシカルボニルメチル,1−メトキシカルボニル−1−メチルエチル,1−エトキシカルボニル−1−メチルエチル,1−tert−ブトキシカルボニル−1−メチルエチル,1−ベンジルオキシカルボニル−1−メチルエチル,1−ピバロイルオキシカルボニル−1−メチルエチル,カルバモイルメチル,N−メチルカルバモイルメチル,N,N−ジメチルカルバモイルメチル,2−アジドエチル,2−(ピラゾリル)エチル,2−(イミダゾリル)エチル,2−(2−オキソピロリジン−3−イル)エチル,1−カルボキシ−1−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メチルなどが挙げられる。Rとして最も好ましいものは、たとえばメチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,ブチル,イソブチル,sec−ブチル,フルオロメチル,2−フルオロエチル,2−クロロエチル,2−ヒドロキシエチル,2−メトキシエチル,シアノメチル,カルボキシメチル,メトキシカルボニルメチル,エトキシカルボニルメチル,カルバモイルメチル,N−メチルカルバモイルメチル,N,N−ジメチルカルバモイルメチルなどのハロゲン,水酸基,C1−6アルコキシ基,カルボキシル基,C1−10アルコキシカルボニル基,シアノ基,カルバモイル基および置換カルバモイルから選ばれた1ないし3個の置換基で置換されていてもよい直鎖状または分枝状のC1−6アルキル基、シクロプロピル,シクロブチル,シクロペンチルなどのC3−5シクロアルキル基、シクロプロピルメチルなどのC3−5シクロアルキル−C1−3アルキル基などが挙げられる。特に置換されていてもよいC1−6アルキル基およびC3−5シクロアルキル基が好ましい。
およびRは一方が置換されていてもよいピリジニウム基を、他方が水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を示すか、あるいはRおよびRは互いに結合して4級化した窒素原子を含む置換されていてもよい複素環を示す。「置換されていてもよいピリジニウム基」としては、たとえば式:
Figure 2009114202
〔式中、Rは置換されていてもよい炭化水素基を、RはC1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、アミノ、ニトロ、ハロゲンまたはカルボキシを、pは0ないし4の整数をそれぞれ示す〕で表される基などが用いられる。
およびRが互いに結合して4級化した窒素原子を含む置換されていてもよい複素環を示す場合、
Figure 2009114202
〔式中、qは0ないし3の整数を、その他の記号は前記と同意義を示す〕で表される6員不飽和複素環などが用いられる。
、RまたはRで示される「置換されていてもよい炭化水素基」としては、Rで示される「炭素原子を介して結合する基」において例示した「置換されていてもよい炭化水素基」と同様のものが用いられる。
pおよびqは、それぞれ0が好ましい。
としては、メチルなどのC1−4アルキル基などが好ましい。
およびRとしては、Rが置換されていてもよいピリジニウム基で、Rが水素原子であるか、あるいはRおよびRが互いに結合して4級化した窒素原子を含む6員不飽和複素環を形成する場合などが好ましい。
QおよびXはそれぞれ窒素原子またはCHを示す。QおよびXはそれぞれ窒素原子が好ましい。
YはS、OまたはCHを示す。YはSが好ましい。すなわち、化合物(I)としては
Figure 2009114202
〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕
で表される化合物またはそのエステルあるいはその塩が好ましい。
nは0または1を示すが、0であるのが好ましい。
前記化合物(I)において4位の−COOの右肩に付した「−」はカルボキシル基がカルボキシレートアニオンになったものであり、化合物(I)の3位の複素環(以下Aと称することがある)上の陽電荷と一対になって分子内塩を形成していることを示す。一方、化合物(I)は薬理学的に受容されるエステルまたは塩を形成してもよい。薬理学的に受容される塩としては無機塩基塩,アンモニウム塩,有機塩基塩,無機酸付加塩,有機酸付加塩,塩基性アミノ酸塩などが用いられる。無機塩基塩を生成させうる無機塩基としてはアルカリ金属(たとえばナトリウム,カリウムなど),アルカリ土類金属(たとえばカルシウムなど)などが、有機塩基塩を生成させうる有機塩基としてはたとえばプロカイン,2−フェニルエチルベンジルアミン,ジベンジルエチレンジアミン,エタノールアミン,ジエタノールアミン,トリスヒドロキシメチルアミノメタン,ポリヒドロキシアルキルアミン,N−メチルグルコサミンなどが、無機酸付加塩を生成させうる無機酸としてはたとえば塩酸,臭化水素酸,硫酸,硝酸,リン酸などが、有機酸付加塩を生成させうる有機酸としてはたとえばp−トルエンスルホン酸,メタンスルホン酸,ギ酸,トリフルオロ酢酸,マレイン酸などが、塩基性アミノ酸塩を生成させうる塩基性アミノ酸としてはたとえばリジン,アルギニン,オルニチン,ヒスチジンなどが用いられる。これらの塩のうち塩基塩(すなわち無機塩基塩,アンモニウム塩,有機塩基塩,塩基性アミノ酸塩)は化合物(I)の置換基R,R,R中にアミノ基、モノアルキルアミノ基,ジアルキルアミノ基,シクロアルキルアミノ基,アリールアミノ基,アラルキルアミノ基,環状アミノ基,含窒素複素環基などの塩基性基が存在する場合に形成しうる酸付加塩を意味する。また酸付加塩としては化合物(I)の分子内塩を形成している部分、すなわち4位のカルボキシレート(COO)と4位の複素環部分の陽電化「+」に酸が1モル付加して4位がカルボキシル基、3位が−(CH=CH)n−S−A[(式中、Z−は無機酸、有機酸からプロトンH+を取り除いてできるたとえばクロライドイオン,ブロマイドイオン,スルフェートイオン,p−トルエンスルホネートイオン,メタンスルホネートイオン,トリフルオロアセテートイオンなどのアニオンを示す〕となった塩も含まれる。化合物(I)のエステル誘導体は分子中に含まれるカルボキシル基をエステル化することにより生成されうるエステルを意味し、合成中間体として利用できるエステルおよび代謝上不安定な無毒のエステルである。合成中間体として利用できるエステルとしては置換されていてもよいC1−6アルキルエステル,C2−6アルケニルエステル,C3−10シクロアルキルエステル,C3−10シクロアルキルC1−6アルキルエステル,置換されていてもよいC6−10アリールエステル,置換されていてもよいC7−12アラルキルエステル,ジC6−10アリール−メチルエステル,トリC6−10アリール−メチルエステル,置換シリルエステル,C2−6アルカノイルオキシ−C1−6アルキルエステルなどが用いられる。
「置換されていてもよいC1−6アルキルエステル」としては、たとえばメチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,イソブチル,sec−ブチル,tert−ブチル,n−ペンチル,n−ヘキシル等が用いられ、それらは例えば、ベンジルオキシ,C1−4アルキルスルホニル(例、メチルスルホニル等),トリメチルシリル,ハロゲン(例、フッ素,塩素,臭素等),アセチル,ニトロベンゾイル,メシルベンゾイル,フタルイミド,サクシンイミド,ベンゼンスルホニル,フェニルチオ,ジC1−4アルキルアミノ(例、ジメチルアミノ等),ピリジル,C1−4アルキルスルフィニル(例、メチルスルフィニル等),シアノ等で1〜3個置換されていてもよく、そのような基としては具体的には例えば、ベンジルオキシメチル,2ーメチルスルホニルエチル,2−トリメチルシリルエチル,2,2,2−トリクロロエチル,2−ヨードエチル,アセチルメチル,p−ニトロベンゾイルメチル,p−メシルベンゾイルメチル,フタルイミドメチル,サクシンイミドメチル,ベンゼンスルホニルメチル,フェニルチオメチル,ジメチルアミノエチル,ピリジン−1−オキシド−2−メチル,メチルスルフィニルメチル,2−シアノ−1,1−ジメチルエチルなどが用いられる。
「C2−6アルケニルエステル」を形成するC2−6アルケニル基としてはビニル,アリル,1−プロペニル,イソプロペニル,1−ブテニル,2−ブテニル,3−ブテニル,メタリル,1,1−ジメチルアリル,3−メチル−3−ブテニルなどが用いられる。
「C3−10シクロアルキルエステル」を形成するC3−10シクロアルキル基としてはシクロプロピル,シクロブチル,シクロペンチル,シクロヘキシル,シクロヘプチル,ノルボルニル,アダマンチルなどが用いられる。
「C3−10シクロアルキルC1−6アルキルエステル」を形成するC3−10シクロアルキルC1−6アルキル基としてはシクロプロピルメチル,シクロペンチルメチル,シクロヘキシルメチルなどが用いられる。
「置換されていてもよいC6−10アリールエステル」を形成する「C6−10アリール基」としてはたとえばフェニル,α−ナフチル,β−ナフチル,ビフェニリル等が用いられ、それらは例えば、ニトロ,ハロゲン(例、フッ素,塩素,臭素等)等で1〜3個置換されていてもよく、そのような基として具体的には例えば、p−ニトロフェニル,p−クロロフェニルなどが用いられる。
「置換されていてもよいC7−12アラルキルエステル」を形成する「C7−12アラルキル基」としてはたとえば、ベンジル,1−フェニルエチル,2−フェニルエチル,フェニルプロピル,ナフチルメチル等が用いられ、それらは例えば、ニトロ,C1−4アルコキシ(例、メトキシ等),C1−4アルキル(例、メチル,エチル等),ヒドロキシで1〜3個置換されていてもよく、そのような基として具体的には例えば、p−ニトロベンジル,p−メトキシベンジル,3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルなどが用いられる。
「ジC6−10アリール−メチルエステル」を形成するジC6−10アリール−メチル基としてはベンズヒドリルなどが、トリC6−10アリール−メチルエステルを形成するトリC6−10アリール−メチル基としてはトリチルなどが、置換シリルエステルを形成する置換シリル基としてはトリメチルシリル,tert−ブチルジメチルシリル,−Si(CH)CHCHSi(CH)−などが、C2−6アルカノイルオキシ−C1−6アルキルエステルとしては、たとえばアセトキシメチルエステルなどが用いられる。前記したエステルには4位のエステルも含む。このように4位が前記のエステル基であるものは3位に式:
−(CH=CH)−SA+Z
〔式中の記号は前記と同意義を示す〕で表される基を有する塩を形成している。
本発明は前記エステル誘導体のほかに、生体内において化合物(I)に変換される薬理学的に受容しうる化合物も包含する。
本発明の化合物(I)および原料化合物のn=1の場合においては、シス異性体(Z体)、トランス異性体(E体)およびシス、トランス混合物が包含されるものとする。本発明の化合物(I)は、トランス異性体(E体)が好ましい。
化合物(I)については、例えばシス異性体(Z体)は式:
Figure 2009114202
で表わされる部分構造を有する幾何異性体の1つを意味し、トランス異性体は式:
Figure 2009114202
で表わされる部分構造を有する幾何異性体を意味する。
化合物(I)中、特に好ましい化合物としては、たとえば7β−[2(Z)−エトキシイミノ−2−(5−ホスフォノアミノ−1,2,4−チアジアゾール−3−イル)アセトアミド]−3−[4−(1−メチル−4−ピリジニオ)−2−チアゾリルチオ]−3−セフェム−4−カルボキシレートのエステルおよび7β−[2(Z)−フルオロメトキシイミノ−2−(5−ホスフォノアミノ−1,2,4−チアジアゾール−3−イル)アセトアミド]−3−[4−(1−メチル−4−ピリジニオ)−2−チアゾリルチオ]−3−セフェム−4−カルボキシレートまたはそのエステルあるいはその塩が挙げられる。
本願明細書において特に明記されていない場合の各置換基の具体例は次のとおりである。
ハロゲン:フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードなど;
1−4アルキル基:メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチルなど;
1−6アルキル基:上記C1−4アルキル基及びペンチル、2,2−ジメチルプロピル、ヘキシルなど;
2−6アルケニル基:ビニル、アリル、1−プロペニル、イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、メタリル、1,1−ジメチルアリルなど;
2−6アルキニル基:エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、2−ブチニル、2−ペンチニル、2−ヘキシニルなど;
3−5シクロアルキル基:シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルなど;
3−10シクロアルキル基:上記C3−5シクロアルキル基及びシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロデシルなど;
6−10アリール基:フェニル、ナフチルなど;
7−20アラルキル基:ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、フェニルプロピル、ナフチルメチル、ベンズヒドリルなど;
1−6アルコキシ基:メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、2,2−ジメチルプロピルオキシ、ヘキシルオキシなど;
3−7シクロアルキルオキシ基:シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシなど;
6−10アリールオキシ基:フェノキシ、ナフチルオキシなど;
7−19アラルキルオキシ基:ベンジルオキシ、1−フェニルエチルオキシ、2−フェニルエチルオキシ、ベンズヒドリルオキシなど;
1−6アルキルチオ基:メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ、イソブチルチオ、t−ブチルチオ、ペンチルチオ、2,2−ジメチルプロピルチオ、ヘキシルチオなど;
3−10シクロアルキルチオ基:シクロプロピルチオ、シクロブチルチオ、シクロペンチルチオ、シクロヘキシルチオ、シクロヘプチルチオ、シクロオクチルチオ、シクロデシルチオなど;
6−10アリールチオ基:フェニルチオ、ナフチルチオなど;
7−19アラルキルチオ基:ベンジルチオ、フェニルエチルチオ、ベンズヒドリルチオ、トリチルチオなど;
1−4アルキルスルフィニル基:メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、プロピルスルフィニル、イソプロピルスルフィニル、ブチルスルフィニル、t−ブチルスルフィニルなど;
1−4アルキルスルホニル基:メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、ブチルスルホニル、イソブチルスルホニル、t−ブチルスルホニルなど;
モノC1−6アルキルアミノ基:メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、n−ブチルアミノなど;
ジC1−4アルキルアミノ基:ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルエチルアミノ、ジ−(n−プロピル)アミノ、ジ−(n−ブチル)アミノなど;
ジC1−6アルキルアミノ基:上記ジC1−4アルキルアミノ基及びジ(ペンチル)アミノ、ジ(n−ヘキシル)アミノなど;
トリC1−6アルキルアンモニウム基:トリメチルアンモニウムなど;
3−10シクロアルキルアミノ基:シクロプロピルアミノ、シクロペンチルアミノ、シクロヘキシルアミノなど;
6−10アリールアミノ基:アニリノ、N−メチルアニリノなど;
7−19アラルキルアミノ基:ベンジルアミノ、1−フェニルエチルアミノ、2−フェニルエチルアミノ、ベンズヒドリルアミノなど;
環状アミノ基:ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、1−ピロリルなど;
1−6アルカノイルアミノ基:アセトアミド、プロピオンアミド、ブチロアミド、バレロアミド、ピバロアミドなど;
6−10アリール−カルボニルアミノ基:ベンズアミド、ナフトイルアミド、フタルイミドなど;
1−6アルカノイル基:ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、バレリル、ピバロイル、サクシニル、グルタリルなど;
2−6アルカノイルオキシ基:アセトキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、バレリルオキシ、ピバロイルオキシなど;
3−5アルケノイル基:アクリロイル、クロトノイル、マレオイルなど;
3−5アルケノイルオキシ基:アクリロイルオキシ、クロトノイルオキシ、マレオイルオキシなど;
6−10アリール−カルボニル基:ベンゾイル、ナフトイル、フタロイル、フェニルアセチルなど;
6−10アリール−カルボニルオキシ基:ベンゾイルオキシ、ナフトイルオキシ、フェニルアセトキシなど;
1−6アルコキシ−フェニル基:メトキシフェニル、エトキシフェニル、プロポキシフェニル、ブトキシフェニル、t−ブトキシフェニルなど;
1−10アルコキシ−カルボニル基:メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、2,2−ジメチルプロピルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル、ヘプチルオキシカルボニル、デシルオキシカルボニルなど;
2−10アルケニルオキシ−カルボニル基:アリルオキシカルボニルなど;
6−10アリールオキシ−カルボニル基:フェノキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニルなど
7−19アラルキルオキシ−カルボニル基:ベンジルオキシカルボニル、ベンズヒドリルオキシカルボニルなど;
1−10アルコキシ−カルボキサミド基:メトキシカルボキサミド(CHOCONH−)、エトキシカルボキサミド、tert−ブトキシカルボキサミドなど;
6−10アリールオキシ−カルボキサミド基:フェノキシカルボキサミド(COCONH−)など;
本発明の化合物(I)の製造法を以下に詳しく述べる。
製造法(1):
たとえば式(II)で表される化合物またはその塩またはそのエステル(以下化合物(II)という)と式(III)で表される化合物またはその塩もしくはその反応性誘導体(以下化合物(III)という)とを反応させ、必要に応じて保護基を除去することによりRをホスフォノ基に変換して化合物(I)を合成することができる。
本法は化合物(II)を化合物(III)でアシル化する方法である。化合物(II)は遊離のまま、その塩あるいはエステルとして用いられる。化合物(II)の塩としては無機塩基塩、アンモニウム塩、有機塩基塩、無機酸付加塩、有機酸付加塩などがあげられる。無機塩基塩としてはアルカリ金属塩(たとえばナトリウム塩、カリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(たとえばカルシウム塩など)などが、有機塩基塩としてはたとえばトリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、tert−ブチルジメチルアミン塩、ジベンジルメチルアミン塩、ベンジルジメチルアミン塩、N,N−ジメチルアニリン塩、ピリジン塩、キノリン塩などが、無機酸付加塩としてはたとえば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などが、有機酸付加塩としてはギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩などがあげられる。
アミノ化合物(II)のエステルとしては化合物(I)のエステル誘導体としてすでに述べたエステルがここでもそのままあげられる。すなわちC1−6アルキルエステル、C2−6アルケニルエステル、C3−10シクロアルキルエステル、C3−10シクロアルキル−C1−6アルキルエステル、C6−10アリールエステル、C7−12アラルキルエステル、ジ−C6−10アリールメチルエステル、トリ−C6−10アリールメチルエステル、C2−6アルカノイルオキシ−C1−6アルキルエステルなどが挙げられる。
化合物(II)はたとえば、特開平9−100283号公報などに記載の方法によって製造することができる。
この方法において化合物(III)は遊離のまま、またはその塩あるいはその反応性誘導体がアミノ化合物(II)の7位アミノ基のアシル化剤として用いられる。化合物(III)の塩としては無機塩基塩、有機塩基塩が挙げられ、無機塩基塩としてはアルカリ金属塩(たとえばナトリウム塩、カリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(たとえばカルシウム塩など)などが、有機塩基塩としてはたとえばトリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、tert−ブチルジメチルアミン塩、ジベンジルメチルアミン塩、ベンジルジメチルアミン塩、N,N−ジメチルアニリン塩、ピリジン塩、キノリン塩などが挙げられる。化合物(III)のカルボン酸の反応性誘導体としてはたとえば酸ハライド、酸アジド、酸無水物、混合酸無水物、活性アミド、活性エステル、活性チオエステルなどの反応性誘導体がアシル化反応に供される。酸ハライドとしてはたとえば酸クロライド、酸ブロマイドなどが、混合酸無水物としてはモノC1−6アルキル炭酸混合酸無水物(たとえば遊離酸とモノメチル炭酸、モノエチル炭酸、モノイソプロピル炭酸、モノイソブチル炭酸、モノtert−ブチル炭酸、モノベンジル炭酸、モノ(p−ニトロベンジル)炭酸、モノアリル炭酸などとの混合酸無水物)、C1−6脂肪族カルボン酸混合酸無水物(たとえば遊離酸と酢酸、トリクロロ酢酸、シアノ酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、アセト酢酸などとの混合酸無水物)、C7−12芳香族カルボン酸混合酸無水物(たとえば遊離酸と安息香酸、p−トルイル酸、p−クロロ安息香酸などとの混合酸無水物)、有機スルホン酸混合酸無水物(たとえば遊離酸とメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などとの混合酸無水物)などが、活性アミドとしては含窒素複素環化合物とのアミド〔たとえば遊離酸とピラゾール、イミダゾール、ベンゾトリアゾールなどとの酸アミドで、これらの含窒素複素環化合物はC1−6アルキル基(例、メチル、エチル等)、C1−6アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ等)、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素等)、オキソ基、チオキソ基、C1−6アルキルチオ基(例、メチルチオ、エチルチオ等)などで置換されていてもよい。〕などがあげられる。
活性エステルとしてはβ−ラクタムおよびペプチド合成の分野でこの目的に用いられるものはすべて利用でき、たとえば有機リン酸エステル(たとえばジエトキシリン酸エステル、ジフェノキシリン酸エステルなど)のほかp−ニトロフェニルエステル、2,4−ジニトロフェニルエステル、シアノメチルエステル、ペンタクロロフェニルエステル、N−ヒドロキシサクシンイミドエステル、N−ヒドロキシフタルイミドエステル、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールエステル、6−クロロ−1−ヒドロキシベンゾトリアゾールエステル、1−ヒドロキシ−1H−2−ピリドンエステルなどがあげられる。活性チオエステルとしては芳香族複素環チオール化合物とのエステル〔たとえば2−ピリジルチオールエステル、2−ベンゾチアゾリルチオールエステルなどで、これらの複素環はC1−6アルキル基(例、メチル、エチル等)、C1−6アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ等)、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素等)、C1−6アルキルチオ基(例、メチルチオ、エチルチオ等)などで置換されていてもよい。〕が挙げられる。
化合物(III)は公知の方法(例えば、特開昭60−231684号、特開昭62−149682号、EP0590681等に記載の方法)またはそれに準ずる方法によって容易に製造できる。化合物(III)の反応性誘導体は反応混合物から単離された物質として化合物(II)と反応させてもよいし、または単離前の化合物(III)の反応性誘導体を含有する反応混合物をそのまま化合物(II)と反応させることもできる。化合物(III)を遊離酸または塩の状態で使用する場合は適当な縮合剤を用いる。縮合剤としてはたとえばN,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミドなどのN,N'−ジ置換カルボジイミド類、たとえばN,N'−カルボニルジイミダゾール、N,N'−チオカルボニルジイミダゾ−ルなどのアゾライド類、たとえばN−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン、オキシ塩化リン、アルコキシアセチレンなどの脱水剤、たとえば2−クロロピリジニウムメチルアイオダイド、2−フルオロピリジニウムメチルアイオダイドなどの2−ハロゲノピリジニウム塩類などが用いられる。これらの縮合剤を用いた場合、反応は化合物(III)の反応性誘導体を経て進行すると考えられる。反応は一般に溶媒中で行なわれ、反応を阻害しない溶媒が適宜に選択される。このような溶媒としてはたとえばジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコール−ジメチルエーテルなどのエーテル類、たとえばギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチルなどのエステル類、たとえばジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクレン、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、たとえばn−ヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素類、たとえばホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類、たとえばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、たとえばアセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類などのほか、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ヘキサメチルホスホルアミド、水などが単独または混合溶媒として用いられる。
化合物(III)の使用量は化合物(II)1モルに対して通常約1〜5モル、好ましくは約1〜2モルである。反応は約−80〜80℃、好ましくは約−40〜50℃、最も好ましくは約−30〜30℃の温度範囲で行われる。反応時間は化合物(II)および化合物(III)の種類、溶媒の種類(混合溶媒の場合はその混合比も)、反応温度などに依存し、通常約1分〜72時間、好ましくは約15分〜3時間である。アシル化剤として酸ハライドを用いた場合は放出されるハロゲン化水素を反応系から除去する目的で脱酸剤の存在下に反応を行うことができる。このような脱酸剤としてはたとえば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウムなどの無機塩基、たとえばトリエチルアミン、トリ(n−プロピル)アミン、トリ(n−ブチル)アミン、ジイソプロピルエチルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、ピリジン、ルチジン、γ−コリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリンなどの第3級アミン、たとえばプロピレンオキシド、エピクロルヒドリンなどのアルキレンオキシドなどが挙げられる。Rが水素原子で、反応性誘導体生成時に、同時に保護されていてもよいホスフォノ基の導入が生じる場合は、Rがジハロホスフォリル基である反応混合物は、さらに水で処理することにより脱保護してRがホスフォノ基である化合物(I)として得てもよく、また同じ反応混合物をさらにたとえばメタノール、エタノール等のアルカノールのようなアルコール等で処理して、Rがエステル化されたホスフォノ基である化合物(I)を得てもよい。
製造法(2):
化合物(I)のうち式:
Figure 2009114202
(式中、各記号は前記と同意義である)で表される化合物またはその塩(以下化合物(Ia)ということもある)は、たとえば、式:
Figure 2009114202
〔式中、RおよびRは同一または異なってホスフォノ基の保護基、その他の記号は前記と同意義を示す。〕で表わされる化合物またはその塩類(以下化合物(Ib)ということもある)のホスフォノ基の保護基を脱離反応に付すことによりRをホスフォノ基に変換して製造することができる。
およびRで示されるホスフォノ基の保護基としては、たとえばハロゲン(塩素原子など)、アルコキシ(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシなど炭素数1〜3のもの)、アミノ、モルフォリノ、チオモルホリノなどが挙げられる。
本法は、たとえば、化合物(Ib)を、たとえば臭化トリメチルシリル、ヨウ化トリメチルシリル、塩化トリメチルシリル等のハロゲン化トリメチルシリル、たとえばヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、臭化ナトリウム等のハロゲン化金属、たとえばチオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム等のチオシアン酸アルカリ金属等と反応させることによって行うことができる。反応は好ましくは、塩化メチレン、ジメチルアセトアミドのような溶媒中で行われるが、反応に影響を及ぼさない有機溶媒であればいかなる溶媒中でも行うことができる。反応温度は特に限定されず、通常冷却下、常温ないしは若干加熱する程度の温和な条件下に反応が行われる。
なおこの反応において、化合物(Ib)のRとRが異なる場合には、反応条件を選択することにより、RおよびRの一方のみの保護基を除去することができ、この場合式:
Figure 2009114202
〔式中、各記号は前記と同意義である。〕で表わされる化合物またはその塩類(以下化合物(Ic)ということもある)が得られる。
製造法(3):
化合物(Ia)は、たとえば、化合物(Ic)保護基の脱離反応に付すことによりホスフォノ基の保護基を脱離させて製造することができる。
本法は、たとえば、化合物(Ic)を、酸等を用いて行うことができる。好適な酸としては、有機酸または無機酸が挙げられ、たとえばギ酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、ベンゼンスルホン酸、硝酸、P-トルエンスルホン酸、塩酸等がその例であるが、好ましい酸は、たとえば、ギ酸、トリフルオロ酢酸、塩酸等である。反応に適した酸は、加水分解すべき基の種類によって選択される。この反応は溶媒を用いて、あるいは用いる事なく行われる。好適な溶媒としては、慣用の有機溶媒、水またはそれらの混合物が挙げられる。トリフルオロ酢酸を使用する場合、アニソール存在下に反応を行うことが望ましい。
製造法(4)
式:
Figure 2009114202
〔式中、記号は前記と同意義を示す。〕で表わされる化合物またはその塩類(以下化合物(V)ということもある)をリン酸誘導体と縮合することによって化合物(I)を製造することができる。
本法は、たとえば、化合物(V)またはその塩類に対し、たとえば三塩化リン、五塩化リン等のハロゲン化リン、オキシ塩化リン等のオキシハロゲン化リン等を用いて行うことができる。反応は通常、たとえば塩化メチレン、塩化エチレン等のハロゲン化アルキレン、トルエン等の溶媒中で行われる。反応温度は限定されず、通常冷却下、常温ないし加温化に反応が行われる。この反応においては、得られた化合物(I)のRがジハロホスフォリル基である反応混合物は、さらに水で処理してRがホスフォノ基である化合物(I)として得てもよく、また同じ反応混合物をさらにたとえばメタノール、エタノール等のアルカノールのようなアルコール等で処理して、Rがエステル化されたホスフォノ基である化合物(I)を得てもよい。
前記製造法(1)〜(4)に記載した方法により製造した化合物(I)はたとえば抽出法、カラムクロマトグラフィー、沈澱法、再結晶法などの公知の処理手段によって単離精製することができる。一方、単離された化合物(I)を公知の方法により所望の生理学的に受容される塩へと変換することもできる。
原料化合物(III)の製造法を以下詳細に説明する。
Figure 2009114202
製法A
上記式中、Rは式:COによって表されるエステル化されたカルボキシル基のエステル部分を示す。
式(VI)で表される化合物またはそのカルボキシル基における反応性誘導体またはその塩類(以下化合物(VI)ということもある)をエステル化反応に付すことにより式(VII)で表される化合物またはその塩類(以下化合物(VII)ということもある)を製造することができる。
化合物(VI)の好適な塩類としては、たとえばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、たとえばカルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩のような金属塩、アンモニウム塩、たとえばトリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N′-ジベンジルアミン塩等の有機塩基との塩が挙げられる。化合物(VI)のカルボキシ基における好適な反応性誘導体としては、化合物(III)について例示したものを挙げることができる。
このエステル化反応に使用すべきエステル化剤としては、式:
(RSO,R8a−NまたはR−X
〔式中、Rは前記と同意義であり、R8aはRから水素を脱離した基、Xはヒドロキシまたはハロゲンをそれぞれ意味する。〕で示される化合物が挙げられる。好適なハロゲンとしては塩素、臭素、ヨウ素又はフッ素が挙げられる。
硫酸エステル、およびアルキルハライドをエステル化剤として用いる場合、反応は通常、水、アセトン、塩化メチレン、エタノール、エーテル、ジメチルホルムアミドのような溶媒中で行われるが、反応に影響を及ぼさない溶媒であれば、その他いかなる溶媒中でも行うことができる。反応は好ましくは、前記の無機塩基もしくは有機塩基の存在下行われる。反応温度は特に限定されず、通常は冷却下から溶媒の沸点周辺の温度までの加熱下の範囲で反応が行われる。
エステル化剤としてジアゾ化合物を用いる場合、エーテル、テトラヒドロフラン等の溶媒中行われ、反応温度は特に限定されず、通常冷却下又は常温で反応が行われる。
化合物(VII)の好適な塩類としては、たとえば酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩等の有機酸塩、または、たとえば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩のような酸付加塩等が挙げられる。
製法BおよびD
化合物(VI)または化合物(VII)をそれぞれアミノ基へ、保護されていてもよいホスフォノ基の導入反応に付すことによって式(III)で表される化合物またはそのカルボキシル基における反応性誘導体またはその塩(以下化合物(III)という)または式(IIIa)で表される化合物またはそのカルボキシル基における反応性誘導体またはその塩(以下化合物(IIIa)という)を製造することができる。
化合物(VI)および(VII)のカルボキシ基における反応性誘導体として好適なものは、化合物(III)について例示したものが挙げられる。
この導入反応に使用すべき好適な導入剤としては、たとえば三塩化リン、五塩化リン等のハロゲン化リン、オキシ塩化リン等が挙げられる。この反応は通常、たとえば塩化メチレン、塩化エチレン等のハロゲン化アルキレン、トルエン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン等の溶媒中で行われる。この反応においては、化合物(VI)または(VII)をたとえばハロゲン化リン等の上記導入剤と反応させることによって得られた、Rがジハロホスフォリル基である反応混合物は、さらに水で処理してRがホスフォノ基である化合物(III)または(IIIa)として得てもよく、また同じ反応混合物をさらにたとえばメタノール、エタノール等のアルカノールのようなアルコール等で処理して、Rがエステル化されたホスフォノ基である化合物(III)または(IIIa)を得てもよい。Rがジハロホスフォリル基である化合物(III)または(IIIa)の反応生成物は上述の反応混合物から慣用の単離方法によって得られ、次の工程の反応に使用され得る。
化合物(IIIa)のカルボキシ基が反応中にその反応性誘導体に変化する場合も、この反応の範囲内に包含される。
製法C
化合物(IIIa)を脱エステル化反応に付すことにより化合物(III)を製造することができる。
好適な化合物(III)の塩類としては、化合物(VI)について例示したものを挙げることができる。
この反応は加水分解、還元等の常法によって行うことができる。加水分解反応は好ましくは塩基または酸の存在下に行われる。好適な塩基としては、たとえばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属、上記金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、たとえばトリメチルアミン、トリエチルアミン等のトリアルキルアミン、ピコリン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカン等のような無機塩基および有機塩基が挙げられる。好適な酸としては、たとえばギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸等の無機酸が挙げられる。トリフルオロ酢酸は、たとえばアニソール等の陽イオン捕捉剤の存在下に使用されることが望ましい。
反応は通常、水、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、たとえばメタノール、エタノール等のアルコール、またはそれらの混合物中で行われるが、反応に影響を及ぼさない溶媒であれば、その他のいかなる溶媒中でも行い得る。液体状の塩基または酸も溶媒として使用することができる。反応温度は特に限定されず、通常冷却下ないし加温下の範囲で行われる。
還元は好ましくは、4-ニトロベンジル、2-ヨウ化エチル、2,2,2-トリクロロエチル等のようなエステル部分の脱保護に適用することができる。脱エステル反応に適用され得る還元法としては、たとえば亜鉛、亜鉛アマルガム等の金属、または、たとえば塩化第一クロム、酢酸第一クロム等のクロム化合物塩と例えば酢酸、プロピオン酸、塩酸等の有機酸もしくは無機酸との組み合わせを用いる還元法、および、たとえばパラジウムー炭素等の常用の金属触媒の存在下における接触還元法が挙げられる。
原料化合物である式(IIId)で表される化合物またはその反応性誘導体またはその塩(以下化合物(IIId)という)の製法を以下に述べる。
Figure 2009114202
[式中、R0aはジハロホスフォリル基を、R1aは保護されていてもよいホスフォノ基を示す。(R1aはRと同じ定義であるが、Rとは異なっていてもよい)]
製法E
化合物(VII)をアミノ基へのジハロホスフォリル基の導入反応に付すことにより式(IIIb)で表される化合物またはその反応性誘導体またはその塩(以下化合物(IIIb)という)を製造することができる。
この反応は、製法BおよびDの方法に準じて行うことができる。
製法F
化合物(IIIb)をジハロホスフォリル基のジハロホスフォリル基以外のホスフォノ基への変換反応に付すことにより式(IIIc)で表される化合物またはその反応性誘導体またはその塩(以下化合物(IIIc)という)を製造することができる。
この変換反応は、化合物(IIIb)をエステル化および/またアミド化反応に付すことにより行うことができる。
このエステル化反応は、化合物(IIIb)をアルコールと反応させることにより行うことができる。好適なアルコールとしては、たとえばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール等が挙げられる。アミド化反応は、化合物(IIIb)をアミンと反応させることにより行うことができる。好適なアミンとしては、アンモニア、たとえばメチルアミン、エチルアミン等の第一級アミン、たとえばモルホリン、ジメチルアミン等の第二級アミン等が挙げられる。
このエステル化反応またはアミド化反応は通常、たとえば塩化メチレン、塩化エチレン等のハロゲン化アルキレン、テトラヒドロフラン、水のような溶媒中で行われるが、反応に影響を及ぼさない溶媒であればその他いかなる溶媒中でも行うことができる。
反応温度は特に限定されず、通常は冷却下または常温で反応が行われる。
製法G
化合物(IIIc)を脱エステル化反応に付すことにより化合物(IIId)を製造することができる。
この反応は、製法Cに準じて行うことができる。
前記本発明の各反応において、化合物が置換基としてアミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基を有する場合、これらの基にペプチド化学などで一般的に用いられているような保護基が導入されていてもよく、反応後に必要に応じて保護基を除去することにより目的化合物を得ることができる。
アミノ基の保護基としては、例えばホルミル基、C1−6アルキルカルボニル基(例えば、アセチル、エチルカルボニルなど)、ベンジル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、フェニルカルボニル基、C1−6アルキルオキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニルなど)、C7−10アラルキルカルボニル基(例えば、ベンジルカルボニルなど)、トリチル基、フタロイル基、N,N−ジメチルアミノメチレン基などが用いられる。これらの基は1ないし3個のハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素など)、ニトロ基などで置換されていてもよい。
カルボキシル基の保護基としては、例えばC1−6アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチルなど)、フェニル基、シリル基、ベンジル基、アリル基などが用いられる。これらの基は1ないし3個のハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素など)、ニトロ基などで置換されていてもよい。
ヒドロキシル基の保護基としては、例えばメトキシメチル基、アリル基、tert−ブチル基、C7−10アラルキル基(例えば、ベンジルなど)、ホルミル基、C1−6アルキルカルボニル基(例えば、アセチル、エチルカルボニルなど)、ベンゾイル基、C7−10アラルキルカルボニル基(例えば、ベンジルカルボニルなど)、ピラニル基、フラニル基、トリアルキルシリル基などが用いられる。これらの基は、1ないし3個のハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素など)、C1−6アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチルなど)、フェニル基、C7−10アラルキル基(例えば、ベンジルなど)、ニトロ基などで置換されていてもよい。
これらの保護基の除去方法としては、自体公知またはこれに準じる方法が用いられるが、例えば酸、塩基、還元、紫外光、ヒドラジン、フェニルヒドラジン、N−メチルジチオカルバミン酸ナトリウム、テトラブチルアンモニウムフルオリド、酢酸パラジウムなどを使用する方法などが用いられる。
前記本発明の各反応によって化合物が遊離の状態で得られる場合には、常法に従って塩に変換してもよく、また塩として得られる場合には、常法に従って遊離体またはその他の塩に変換することもできる。
かくして得られる本発明の化合物(I)は、公知の手段、例えば転溶、濃縮、溶媒抽出、分留、結晶化、再結晶、クロマトグラフィーなどにより反応溶媒から単離、精製することができる。
なお、本発明の化合物(I)がジアステレオマー、コンフォーマーなどとして存在する場合には、所望により、通常の分離、精製手段によりそれぞれを単離することができる。また、本発明の化合物(I)がラセミ体である場合には、通常の光学分割手段によりd体、l体に分離することができる。
本発明の化合物(I)は水に難溶性の対応する遊離アミノチアジアゾリル化合物(すなわち、R基がアミノ基を意味する)と比較して、水に対して大きな溶解性を有する特徴があり、かつRなる基が生理条件で切断されて対応する遊離アミノチアジアゾリル化合物を生成し得るという長所を有する点で特徴を有する。さらに、遊離アミノチアジアゾール化合物を投与した場合よりも、優れた抗菌力を有しており、また、スペクトルの広い抗菌活性を有し、毒性が低いので人および哺乳動物(例、マウス、ラット、ウサギ、犬、ネコ、牛、豚等)における病原性細菌により生ずる種々の疾病、たとえば気道感染、尿路感染の予防ならびに治療のため安全に使用されうる。抗菌性化合物(I)の抗菌スペクトルの特徴としてつぎのような点が挙げられる。
(1) 多種のグラム陰性菌に対して非常に高い活性を示す。
(2) グラム陽性菌(たとえばスタフィロコッカス・アウレウス、コリネバクテリウム・ジフテリアエ等)に対して高い活性を有している。
(3) メチシリン耐性ブドウ球菌(MRSA)に対して高い活性を有している。
(4) 多くのβーラクタマーゼ生産性グラム陰性菌(たとえばエシェリヒア属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属等)に対しても高い活性を有している。
また本発明の抗菌性化合物(I)は、優れた安定性を有するとともに、化合物(V)に比べて薬効の有効性が高いという特徴を有している。
本発明の化合物(I)は公知のペニシリン剤、セフアロスポリン剤と同様に注射剤、カプセル剤、錠剤、顆粒剤として非経口または経口的に投与できる。特に注射剤として投与するのが好ましく、この場合その投与量はたとえば前記したような病原性細菌に感染した人および動物の体重1kgあたり化合物(I)として通常0.5〜80mg/日、より好ましくは2〜40mg/日であり、通常1日2〜3回に分割して投与される。
本発明の医薬は化合物(I)の原末そのままであってもよいが、通常、薬学的に許容しうる担体、希釈剤および増量剤など、例えば賦形剤(例えば、炭酸カルシウム、カオリン、炭酸水素ナトリウム、乳糖、D−マンニトール、澱粉類、結晶セルロース、タルク、グラニュー糖、多孔性物質など)、結合剤(例えば、デキストリン、ゴム類、アルファ化澱粉、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、プルランなど)、増粘剤(例えば、天然ガム類、セルロース誘導体、アクリル酸誘導体など)、崩壊剤(例えば、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、部分アルファ化澱粉など)、溶剤(例えば、注射用水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油など)、分散剤(例えば、ツイーン80、HCO60、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウムなど)、溶解補助剤(例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムなど)、懸濁化剤(例えば、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシメチルセルロースなど)、無痛化剤(例えば、ベンジルアルコールなど)、等張化剤(例えば、塩化ナトリウム、グリセリンなど)、緩衝剤(例えば、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩など)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、澱粉、安息香酸ナトリウムなど)、着色剤(例えば、タール色素、カラメル、三二酸化鉄、酸化チタン、リボフラビン類など)、矯味剤(例えば、甘味類、香料など)、安定剤(例えば、亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸など)および保存剤(例えば、パラベン類、ソルビン酸など)などの中から適宜、適量用いて、常法に従って調製される。
前記薬学的に許容しうる担体、希釈剤、増量剤などを含んでいてもよい本発明の医薬は、本発明の化合物(I)を治療および予防するのに有効な量を含有する。本発明の化合物(I)の本発明製剤中の含有量は、通常、製剤全体の約0.1ないし約100重量%である。また、本発明で用いられる製剤は、本発明の化合物(I)以外の医薬成分(例えば、以下に示される抗腫瘍剤など)を含有していてもよく、これらの成分は本発明の目的が達成される限り特に限定されず、適宜適当な配合割合で含有させて合剤とすることが可能である。剤型の具体例としては、例えば錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、丸剤、カプセル剤(マイクロカプセルを含む)、顆粒剤、細粒剤、散剤、点滴剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤、注射剤、吸入剤、軟膏剤、座剤、トローチ剤、パップ剤、徐放剤などが用いられる。これらの製剤は常法(例えば、日本薬局方第12改正に記載の方法など)に従って調製される。
特に、注射剤として用いられる場合の担体は、たとえば蒸留水、生理食塩水などが用いられ、カプセル剤、粉剤、顆粒剤、錠剤として用いられる場合は、公知の薬理学的に許容される賦形剤(たとえばデンプン、乳糖、白糖、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム等)、結合剤(たとえばデンプン、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース等)、滑沢剤(たとえばステアリン酸マグネシウム、タルク等)、破壊剤(たとえばカルボキシメチルカルシウム、タルク等)と混合して用いられる。
本発明の化合物(I)は公知のペニシリン剤,セフアロスポリン剤と同様に注射剤,カプセル剤,錠剤,顆粒剤(特に注射剤が好ましい)として非経口または経口的に投与できる。投与量は前記したような病原性細菌に感染した人および動物の体重1kgあたり化合物(I)として0.5〜80mg/日,より好ましくは2〜40mg/日を1日2〜3回に分割して投与すればよい。注射剤として用いられる場合の担体は、たとえば蒸留水,生理食塩水などが用いられ、カプセル剤,粉剤,顆粒剤,錠剤として用いられる場合は、公知の薬理学的に許容される賦形剤(たとえばデンプン,乳糖,白糖,炭酸カルシウム,リン酸カルシウム等),結合剤(たとえばデンプン,アラビアゴム,カルボキシメチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロース,結晶セルロース等),滑沢剤(たとえばステアリン酸マグネシウム,タルク等),破壊剤(たとえばカルボキシメチルカルシウム,タルク等)と混合して用いられる。なお、本願明細書において用いられている医薬組成物および抗菌組成物は、化合物(I)の単独であってもよく、上記したような担体などが含まれていてもよく、その他抗菌性化合物等が適宜、適量含まれていてもよい。
本発明はさらに下記の参考例、実施例で詳しく説明されるが、これらの例は単なる実例であって本発明を限定するものではなく、また本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。
実施例のカラムクロマトグラフィーにおける溶出はTLC(Thin Layer Chromatography、 薄層クロマトグラフィー)による観察下に行なわれた。TLC観察においては、TLCプレートとしてメルク(Merck)社製の60F254を、展開溶媒としてはカラムクロマトグラフィーで溶出溶媒として用いられた溶媒を、検出法としてUV検出器を採用した。カラム用シリカゲルは同じくメルク社製のキーゼルゲル60(70〜230メッシュ)を用いた。ODS−AMはYMC株式会社製、Dowex50Wはダウケミカル社製、ダイアイオンHP−2OSSおよびSP−207は三菱化学社製である。NMRスペクトルは内部または外部基準としてテトラメチルシランを用いてGemini 200型スペクトロメーターで測定し、全δ値を ppm で示した。混合溶媒において( )内に示した数値は各溶媒の容量混合比である。また溶液における%は溶液100ml中のg数を表わす。また参考例、実施例中の記号は次のような意味である。
s :シングレット(singlet)
d :ダブレット(doublet)
t :トリプレット(triplet)
q :クワルテット(quartet)
ABq :AB型クワルテット(AB type quartet)
dd :ダブル ダブレット(double doublet)
m :マルチプレット(multiplet)
bs :ブロ−ド シングレット(broad singlet)
J :カップリング定数(coupling constant)
実施例1
7β−[2(Z)−エトキシイミノ−2−(5−ホスホノアミノ−1,2,4−チアジアゾール−3−イル)アセトアミド]−3−[4−(1−メチル−4−ピリジニオ)−2−チアゾリルチオ]−3−セフェム−4−カルボキシレート
氷冷下、7β−アミノ−3−[4−(1−メチル−4−ピリジニオ)−2−チアゾリルチオ]−3−セフェム−4−カルボキシレート塩酸塩(1.55g)をテトラヒドロフラン(50ml)と水(50ml)混合液に溶解し、0.6M炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、pHを7.4に調整した。これに2−(5−ジクロロホスホリルアミノ−1,2,4−チアジアゾール−3−イル)−2(Z)−エトキシイミノアセチルクロリド3.69gを徐々に加え、0.6M炭酸水素ナトリウム水溶液でpH7.2〜7.3を維持した。氷冷下で10分間撹拌後、酢酸ナトリウム861mgを含む水10mlを加え、室温で2.5時間撹拌した。(pH4.5以上を維持、0.6M炭酸水素ナトリウム水溶液56ml追加)1N塩酸4mlを加えて、pH3に調整後、減圧下で濃縮した。水0.8lで薄め、HP−20SSカラムクロマトグラフィー(500ml)に付した。水1.5l、10%エタノール水0.5l、20%エタノール水1.5lで溶出し、標記化合物を含む画分を集め、減圧下で濃縮した。凍結乾燥して、粗製の標記化合物を1.64g得た。
NMR(DO)δ:1.33(3H,t,J=7.2Hz),3.56,3.94(2H,ABq,J=17.2Hz),4.34(3H,s),4.35(2H,q,J=7.2Hz),5.38(1H,d,J=5Hz),5.90(1H,d,J=5Hz),8.34,8.72(each2H,d,J=6.6Hz),8.51(1H,s).IR(KBr,cm−1):3055,1778,1682,1643,1520,1385,1190,1038.
実施例2
7β−[2(Z)−エトキシイミノ−2−(5−ホスホノアミノ−1,2,4−チアジアゾール−3−イル)アセトアミド]−3−[4−(1−メチル−4−ピリジニオ)−2−チアゾリルチオ]−3−セフェム−4−カルボキシレート
実施例1で得られた凍結乾燥品1.54gを炭酸水素ナトリウム378mgを含む水16mlに溶かし、ODS−AMカラムクロマトグラフィー(450ml)に付した。1N塩酸4.5ml、水1l、5%アセトニトリル水500ml、20%アセトニトリル水250mlで溶出した。標記化合物を含む画分を集め、減圧下で濃縮した。凍結乾燥して標記化合物を431mg得た。
元素分析値:C2221PS・2.0H
計算値:C,36.66;H,3.50;N,15.55
実測値:C,36.70;H,3.94;N,15.53
実施例3
7β−[2(Z)−フルオロメトキシイミノ−2−(5−ホスホノアミノ−1,2,4−チアジアゾール−3−イル)アセトアミド]−3−[4−(1−メチル−4−ピリジニオ)−2−チアゾリルチオ]−3−セフェム−4−カルボキシレート
氷冷下、7β−アミノ−3−[4−(1−メチル−4−ピリジニオ)−2−チアゾリルチオ]−3−セフェム−4−カルボキシレート塩酸塩(1.42g)をテトラヒドロフラン(50ml)と水(50ml)混合液に溶解し、0.6M炭酸水素ナトリウム水溶液12mlを加え、pHを7.5に調整した。これに2−(5−ジクロロホスホリルアミノ−1,2,4−チアジアゾール−3−イル)−2(Z)−フルオロメトキシイミノアセチルクロリド3.41gを徐々に加え、0.6M炭酸水素ナトリウム水溶液24mlでpH7.2〜7.5を維持した。氷冷下で10分間撹拌後、酢酸ナトリウム787mgを含む水20mlを加え、室温で3時間撹拌した。1N塩酸3.4mlを加えて、pH3に調整後、減圧下で濃縮した。水0.75lで薄め、HP−20SSカラムクロマトグラフィー(500ml)に付した。水1.5l、10%エタノール水0.5l、20%エタノール水1.5lで溶出し、標記化合物を含む画分を集め、減圧下で濃縮した。凍結乾燥して、粗製の標記化合物を0.96g得た。
NMR(DO)δ:3.57,3.94(2H,ABq,J=17.4Hz),4.34(3H,s),5.40(1H,d,J=4.8Hz),5.85(2H,d,J=55Hz),5.93(1H,d,J=4.8Hz),8.34,8.72(each2H,d,J=6.4Hz),8.51(1H,s).
IR(KBr,cm−1):3055,1781,1677,1642,1523,1364,1189,1071.
実施例4
7β−[2(Z)−フルオロメトキシイミノ−2−(5−ホスホノアミノ−1,2,4−チアジアゾール−3−イル)アセトアミド]−3−[4−(1−メチル−4−ピリジニオ)−2−チアゾリルチオ]−3−セフェム−4−カルボキシレート
実施例3で得られた凍結乾燥品0.96gを炭酸水素ナトリウム234mgを含む水15mlに溶かし、ODS−AMカラムクロマトグラフィー(450ml)に付した。1N塩酸3.06ml、水1l、20%アセトニトリル水250ml、30%アセトニトリル水600mlで溶出した。標記化合物を含む画分を集め、減圧下で濃縮した。凍結乾燥して標記化合物を600mg得た。
元素分析値:C2118FPS・2.0H
計算値:C,34.81;H,3.06;N,15.46;P,4.27
実測値:C,34.84;H,3.28;N,15.43;P,4.18
実施例5
7β−[2(Z)−エトキシイミノ−2−(5−ホスホノアミノ−1,2,4−チアジアゾール−3−イル)アセトアミド]−3−[4−(1−メチル−4−ピリジニオ)−2−チアゾリルチオ]−3−セフェム−4−カルボキシレート
氷冷下、7β−アミノ−3−[4−(1−メチル−4−ピリジニオ)−2−チアゾリルチオ]−3−セフェム−4−カルボキシレート塩酸塩(3.0g)をテトラヒドロフラン(150ml)と水(150ml)混合液に溶解し、0.6M炭酸水素ナトリウム水溶液34mlを加えた。これに2−(5−ジクロロホスホリルアミノ−1,2,4−チアジアゾール−3−イル)−2(Z)−エトキシイミノアセチルクロリド4.76g、続いて0.6M炭酸水素ナトリウム水溶液23mlを加え、氷冷下で15分間、室温で2時間撹拌した。再度氷冷した後、1N水酸化ナトリウムでpHを5.0に調整し、減圧下で濃縮した。水2.5lで薄め、1N塩酸でpHを3.0に調整し、SP−207カラムクロマトグラフィー(750ml)に付した。水4l、15%エタノール水6lで溶出し、標記化合物を含む画分を集め、減圧下で濃縮した。凍結乾燥して、粗製の標記化合物を2.6g得た。
NMR(DMSO−d)δ:1.23(3H,t,J=7Hz),3.56,3.94(2H,ABq,J=17Hz),4.17(2H,q,J=7Hz),4.33(3H,s),5.30(1H,d,J=5Hz),5.90(1H,dd,J=5Hzと8.8Hz),8.50,8.97(each2H,d,J=6.4Hz),8.98(1H,s),9.22(1H,m),9.69(1H,d,J=8.8Hz).
実施例6
7β−[2(Z)−エトキシイミノ−2−(5−ホスホノアミノ−1,2,4−チアジアゾール−3−イル)アセトアミド]−3−[4−(1−メチル−4−ピリジニオ)−2−チアゾリルチオ]−3−セフェム−4−カルボキシレート
実施例5で得られた凍結乾燥品1.24gを氷冷下1N水酸化ナトリウム3.24mlを含む水13mlに溶かし、ODS−AMカラムクロマトグラフィー(450ml)に付し、水で溶出した。標記化合物のジナトリウム塩を含む画分を集め、Dowex50×8(H型)(20〜50mesh、100ml)に付した。溶出液を減圧下で濃縮した。凍結乾燥して標記化合物を377mg得た。
元素分析値:C2221PS・3.5H
計算値:C,35.29;H,3.77;N,14.97
実測値:C,35.26;H,3.45;N,14.99
NMR(DMSO−d)δ:1.24(3H,t,J=7Hz),3.54,3.94(2H,ABq,J=17.6Hz),4.20(2H,q,J=7Hz),4.33(3H,s),5.30(1H,d,J=5.2Hz),5.89(1H,dd,J=5.2Hzと8.6Hz),8.51,8.98(each2H,d,J=5.6Hz),8.98(1H,s),9.17(1H,m),9.69(1H,d,J=8.6Hz).
実施例7
7β−[2(Z)−エトキシイミノ−2−(5−ホスホノアミノ−1,2,4−チアジアゾール−3−イル)アセトアミド]−3−[4−(1−メチル−4−ピリジニオ)−2−チアゾリルチオ]−3−セフェム−4−カルボキシレート
7β−アミノ−3−[4−(1−メチル−4−ピリジニオ)−2−チアゾリルチオ]−3−セフェム−4−カルボキシレート塩酸塩(240mg)を塩化メチレン(4ml)に懸濁し、トリメチルシリルアセトアミド919mgを加え、室温で40分間撹拌した。−15℃冷却下、2−(5−ジクロロホスホリルアミノ−1,2,4−チアジアゾール−3−イル)−2(Z)−エトキシイミノアセチルクロリド351mgを加え、−15〜−5℃で1時間撹拌した。減圧下で濃縮し、残渣に水150mlを加えた。氷冷した後、1N水酸化ナトリウムでpHを5.0に調整した。水200mlで薄め、1N塩酸でpHを2.8に調整し、SP−207カラムクロマトグラフィー(180ml)に付した。水500ml、15%エタノール水600mlで溶出し、標記化合物を含む画分を集め、減圧下で濃縮した。凍結乾燥して、粗製の標記化合物を100mg得た。
NMR(DMSO−d)δ:1.23(3H,t,J=7Hz),3.56,3.94(2H,ABq,J=17Hz),4.17(2H,q,J=7Hz),4.33(3H,s),5.30(1H,d,J=5Hz),5.90(1H,dd,J=5Hzと8.8Hz),8.50,8.97(each2H,d,J=6.4Hz),8.98(1H,s),9.22(1H,m),9.69(1H,d,J=8.8Hz).
実施例8
実施例6で得られた7β−[2(Z)−エトキシイミノ−2−(5−ホスホノアミノ−1,2,4−チアジアゾール−3−イル)アセトアミド]−3−[4−(1−メチル−4−ピリジニオ)−2−チアゾリルチオ]−3−セフェム−4−カルボキシレートの凍結乾燥品(300mg力価)に注射用生理食塩水を加え、pH6に調整し、投薬液5ml(60mg力価/ml)を得た。
実験例1
実施例6で得られた7β−[2(Z)−エトキシイミノ−2−(5−ホスホノアミノ−1,2,4−チアジアゾール−3−イル)アセトアミド]−3−[4−(1−メチル−4−ピリジニオ)−2−チアゾリルチオ]−3−セフェム−4−カルボキシレート(ホスホノアミノ体)凍結乾燥品をマウス血漿に対して、10μg力価/mlの濃度に溶解し、37℃でインキュベートし、7β−[2(Z)−エトキシイミノ−2−(5−アミノ−1,2,4−チアジアゾール−3−イル)アセトアミド]−3−[4−(1−メチル−4−ピリジニオ)−2−チアゾリルチオ]−3−セフェム−4−カルボキシレート(アミノ体)への変換量を測定した。30分後および1時間後における変換量(ホスホノアミノ体からアミノ体に変換される割合)はつぎのとおりであった。
30分後 35%
1時間後 62%

Claims (20)

  1. 式:
    Figure 2009114202
    〔式中、Rはホスフォノ基またはホスフォノ基に変じうる基を示し、Rは水素原子または炭素原子を介して結合する基を、QおよびXはそれぞれ窒素原子またはCHを示し、YはS、OまたはCH2を示し、nは0または1を示し、RおよびRは一方が置換されていてもよいピリジニウム基を、他方が水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を示すか、あるいはRおよびRは互いに結合して4級化した窒素原子を含む置換されていてもよい複素環を示す。〕で表される化合物またはそのエステルあるいはその塩(ただし、7β−[2(Z)−エトキシイミノ−2−(5−ホスフォノアミノ−1,2,4−チアジアゾール−3−イル)アセトアミド]−3−[4−(1−メチル−4−ピリジニオ)−2−チアゾリルチオ]−3−セフェム−4−カルボキシレートまたはその塩を除く)。
  2. が保護されていてもよいホスフォノ基である請求項1記載の化合物。
  3. がホスフォノ、ジアルコキシホスフォリル、O−アルキルホスフォノ、ジアミノホスフォリル、(アミノ)(ヒドロキシ)ホスフォリル、(アルコキシ)(モルフォリノ)ホスフォリルまたはジハロホスフォリルである請求項1記載の化合物。
  4. がホスフォノである請求項1記載の化合物。
  5. YがSである請求項1記載の化合物。
  6. が置換されていてもよいC1−6アルキル基またはC3−5シクロアルキル基である請求項1記載の化合物。
  7. が置換されていてもよいピリジニウム基で、Rが水素原子である請求項1記載の化合物。
  8. 式:
    Figure 2009114202
    〔式中、Rは置換されていてもよい炭化水素基を示す。〕で示される基である請求項1記載の化合物。
  9. Qが窒素原子である請求項1記載の化合物。
  10. Xが窒素原子である請求項1記載の化合物。
  11. nが0である請求項1記載の化合物。
  12. 7β−[2(Z)−エトキシイミノ−2−(5−ホスフォノアミノ−1,2,4−チアジアゾール−3−イル)アセトアミド]−3−[4−(1−メチル−4−ピリジニオ)−2−チアゾリルチオ]−3−セフェム−4−カルボキシレートのエステルである請求項1記載の化合物。
  13. 7β−[2(Z)−フルオロメトキシイミノ−2−(5−ホスフォノアミノ−1,2,4−チアジアゾール−3−イル)アセトアミド]−3−[4−(1−メチル−4−ピリジニオ)−2−チアゾリルチオ]−3−セフェム−4−カルボキシレートまたはそのエステルあるいはその塩である請求項1記載の化合物。
  14. 式:
    Figure 2009114202
    〔式中の記号は請求項1の記載と同意義を示す。〕で表される化合物またはそのエステルあるいはその塩と式:
    Figure 2009114202
    〔式中の記号は請求項1の記載と同意義を示す。〕で表されるカルボン酸またはその塩あるいは反応性誘導体とを反応させ、必要に応じてRをホスフォノ基に変換することを特徴とする請求項1記載の化合物の製造法。
  15. 式:
    Figure 2009114202
    〔式中、R3’およびR4’は一方が置換されていてもよいピリジル基を、他方が水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を示すか、あるいはR3’およびR4’は互いに結合して窒素原子を含む置換されていてもよい複素環を示し、その他の記号は請求項1の記載と同意義を示す。〕で表される化合物またはそのエステルあるいはその塩を4級アンモニウム化反応に付し、必要によりRをホスフォノ基に変換することを特徴とする請求項1記載の化合物の製造法。
  16. 請求項1記載の化合物を含有する医薬。
  17. 請求項1記載の化合物と薬理学的に許容しうる担体、希釈剤および増量剤の少なくとも1つを含有する医薬。
  18. 抗菌組成物である請求項16記載の医薬。
  19. 抗MRSA剤である請求項16記載の医薬。
  20. 注射剤である請求項16記載の医薬。
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