JP2002187896A - ホスホノ基を有するセフェム化合物 - Google Patents

ホスホノ基を有するセフェム化合物

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JP2002187896A
JP2002187896A JP2001314306A JP2001314306A JP2002187896A JP 2002187896 A JP2002187896 A JP 2002187896A JP 2001314306 A JP2001314306 A JP 2001314306A JP 2001314306 A JP2001314306 A JP 2001314306A JP 2002187896 A JP2002187896 A JP 2002187896A
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Tomoyasu Ishikawa
智康 石川
Shohei Hashiguchi
昌平 橋口
Yuji Iizawa
祐史 飯澤
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】吸収性、溶解性、純度、安定性、保存性、取扱
い易さ等の医薬品としての品質が優れており、医薬品と
して十分に満足できる抗菌剤を提供する。 【解決手段】一般式I

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は優れた抗菌活性を有
し、医薬として有用なホスホノセフェム化合物(特に結
晶)およびその製造法等に関する。
【0002】
【従来の技術】特開昭62−149682号公報には、
優れた抗菌活性を有する式:
【0003】
【化5】 で表される7β−〔2−(5−アミノ−1,2,4−チ
アジアゾール−3−イル)−2(Z)−メトキシイミノ
アセトアミド〕−3−(イミダゾ[1,2−b]−ピリ
ダジニウム−1−イル)メチル−3−セフェム−4−カ
ルボキシレートが記載されている。特開平3−1458
6号公報には上記式(IV)で表される化合物の水溶性
を高めた式:
【0004】
【化6】
【0005】で表される化合物が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明で用いる化合物
は、抗菌活性に加えて、吸収性、溶解性、純度、安定
性、保存性、取扱い易さ等の医薬品としての品質が優れ
ているものがよい。従って、本発明の課題は、このよう
な優れた特性を有する化合物およびその製造方法、なら
びに当該化合物の中間体を提供することである。また、
本発明の課題は、当該化合物を用いることにより、医薬
品として十分に満足できる抗菌剤を提供することであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記事情
に鑑み、鋭意種々研究を重ねた結果、式(IV)で表さ
れる化合物のアミノチアジアゾール環上の5位アミノ基
がホスホノ化された式(I)で表される化合物またはそ
の塩は、式(V)で表される化合物よりも優れた固体安
定性および高い溶液安定性を有することを見出した。さ
らに式(I)で表される化合物またはその塩は式(I
V)で表される化合物またはその塩よりも優れた抗菌活
性を示すことを見出し、これに基づき本発明を完成し
た。
【0008】すなわち、本発明は、(1)式:
【0009】
【化7】
【0010】[式中、nは0ないし5を示す]で表され
る化合物またはその塩、(2)結晶である上記(1)記
載の化合物、(3)nが2.5である上記(2)記載の
化合物、(4)粉末X線回折において回折角6.96、
16.40、18.22、19.52、23.88、2
7.74°附近にピークを有する結晶である上記(3)
記載の化合物、(5)上記(1)記載の化合物を含んで
なる医薬組成物、(6)アルカリ金属の炭酸塩およびア
ルカリ土類金属の炭酸塩からなる群から選ばれる塩基性
無機塩を含有する上記(5)記載の医薬組成物、(7)
リジン、アルギニン、オルニチン、ヒスチジンの酸付加
塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩からなる群か
ら選ばれる塩基性アミノ酸塩を含有する上記(5)記載
の医薬組成物、(8)抗菌剤である上記(5)記載の医
薬組成物、(9)式:
【0011】
【化8】
【0012】で表される化合物、および(10)式:
【0013】
【化9】
【0014】で表される化合物またはその塩と式:
【0015】
【化10】
【0016】で表される化合物とを反応させることを特
徴とする上記(1)記載の化合物の製造法に関する。
【0017】本明細書におけるセフェム化合物は「ザ・
ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサイ
エテイ」第84巻,3400頁(1962年)に記載さ
れている「セファム」に基づいて命名された化合物群で
あり、セフェム化合物はセファム化合物のうち3,4位
に二重結合を有する化合物を意味する。なお、本発明の
化合物は遊離型を表している式(I)で表される化合物
またはそのエステルあるいはそれらの塩を含む。以下本
願明細書においては、式(I)で表される化合物または
そのエステルあるいはそれらの塩を総称して単に化合物
(I)または抗菌化合物(I)と略称することもある。
【0018】前記式(I)で表される化合物において4
位の−COOの右肩に付した「−」はカルボキシル基が
カルボキシレートアニオンになったものであり、式
(I)で表される化合物の3位の(イミダゾ〔1,2−
b〕ピリダジニウム−1−イル)メチル基のイミダゾ
〔1,2−b〕ピリダジニウム環上の陽電荷と一対にな
って分子内塩を形成していることを示すが、当該イミダ
ゾ〔1,2−b〕ピリダジニウム環上の陽電荷と一対を
なす陰電荷は、ホスホノ基上もしくはカルボキシル基上
とホスホノ基上とにかけて分布していてもよい。式
(I)で表される化合物は薬理学的に許容されるエステ
ルまたは塩を形成してもよい。薬理学的に許容される塩
としては塩基性無機塩,アンモニウム塩,塩基性有機
塩,無機酸付加塩,有機酸付加塩,塩基性アミノ酸塩等
が用いられる。塩基性無機塩を生成させ得る無機塩基と
してはアルカリ金属(例えばナトリウム,カリウム
等),アルカリ土類金属(例えばカルシウム等)等が、塩
基性有機塩を生成させ得る有機塩基としては例えばプロ
カイン,2−フェニルエチルベンジルアミン,ジベンジ
ルエチレンジアミン,エタノールアミン,ジエタノール
アミン,トリスヒドロキシメチルアミノメタン,ポリヒ
ドロキシアルキルアミン,N−メチルグルコサミン等
が、無機酸付加塩を生成させ得る無機酸としては例えば
塩酸,臭化水素酸,硫酸,硝酸,リン酸等が、有機酸付
加塩を生成させ得る有機酸としては例えばp−トルエン
スルホン酸,メタンスルホン酸,ギ酸,トリフルオロ酢
酸,マレイン酸等が、塩基性アミノ酸塩を生成させ得る
塩基性アミノ酸としては例えばリジン,アルギニン,オ
ルニチン,ヒスチジン等が用いられる。これらの塩のう
ち塩基塩(すなわち塩基性無機塩,アンモニウム塩、塩
基性有機塩,塩基性アミノ酸塩)はリン酸基部分と塩を
形成するが、さらに式(I)で表される化合物の3位の
基が式
【0019】
【化11】
【0020】で表される基に、また4位の基が式−CO
OM(Mは上記有機塩基、無機塩基、アンモニウム基を
示す。)で表される基にとなって塩を形成する場合もあ
る。また酸付加塩は式(I)で表される化合物の分子内
塩を形成しているプロトンH +にが1モル付加して、3
位が式
【0021】
【化12】
【0022】〔式中、Z-は無機酸、有機酸からプロト
ンH+を取り除いてできる例えばクロライドイオン,ブ
ロマイドイオン,サルフェートイオン,p−トルエンス
ルホネートイオン,メタンスルホネートイオン,トリフ
ルオロアセテートイオン等のアニオンを示す〕となった
塩を意味する。式(I)で表される化合物のエステル誘
導体とは分子中に含まれるカルボキシル基のエステルま
たはホスホノ基を公知の方法によりエステル化して得ら
れる誘導体であり、例えば合成中間体として利用できる
エステルおよび代謝上不安定な無毒のエステルが挙げら
れる。このようなエステルとしては、例えば、置換基を
有していてもよいC1−6アルキルエステル,C2−6
アルケニルエステル,C3−10シクロアルキルエステ
ル,C3−1 シクロアルキルC1−6アルキルエステ
ル,置換基を有していてもよいC6− 10アリールエス
テル,置換基を有していてもよいC7−12アラルキル
エステル,ジC6−10アリール−メチルエステル,ト
リC6−10アリール−メチルエステル,置換基を有し
ていてもよいシリルエステル,C2−6アルカノイルオ
キシ−C1−6アルキルエステル等が用いられる。
【0023】「置換基を有していてもよいC1−6アル
キルエステル」を形成するC1−6アルキル基として
は、例えばメチル,エチル,n−プロピル,イソプロピ
ル,n−ブチル,イソブチル,sec−ブチル,tert−ブ
チル,n−ペンチル,n−ヘキシル等が用いられ、それ
らは例えば、ベンジルオキシ,C1−4アルキルスルホ
ニル(例えば、メチルスルホニル等),トリメチルシリ
ル,ハロゲン(例えば、フッ素.塩素,臭素等),アセ
チル,ニトロベンゾイル,メシルベンゾイル,フタルイ
ミド,サクシンイミド,ベンゼンスルホニル,フェニル
チオ,ジC1−4アルキルアミノ(例えば、ジメチルア
ミノ等),ピリジル,C1−4アルキルスルフィニル
(例えば、メチルスルフィニル等),シアノ等の置換基
1〜3個で置換されていてもよい。このような置換基を
有していてもよいC1−6アルキルとしては、具体的に
は、例えば、ベンジルオキシメチル,2ーメチルスルホ
ニルエチル,2−トリメチルシリルエチル,2,2,2−
トリクロロエチル,2−ヨードエチル,アセチルメチ
ル,p−ニトロベンゾイルメチル,p−メシルベンゾイ
ルメチル,フタルイミドメチル,サクシンイミドメチ
ル,ベンゼンスルホニルメチル,フェニルチオメチル,
ジメチルアミノエチル,ピリジン−1−オキシド−2−
メチル,メチルスルフィニルメチル,2−シアノ−1,
1−ジメチルエチル等が用いられる。
【0024】「C2−6アルケニルエステル」を形成す
るC2−6アルケニル基としては、例えばビニル,アリ
ル,1−プロペニル,イソプロペニル,1−ブテニル,
2−ブテニル,3−ブテニル,メタリル,1,1−ジメ
チルアリル,3−メチル−3−ブテニル等が用いられ
る。
【0025】「C3−10シクロアルキルエステル」を
形成するC3−10シクロアルキル基としては、例えば
シクロプロピル,シクロブチル,シクロペンチル,シク
ロヘキシル,シクロヘプチル,ノルボルニル,アダマン
チル等が用いられる。
【0026】「C3−10シクロアルキルC1−6アル
キルエステル」を形成するC3−1 シクロアルキルC
1−6アルキル基としては、例えばシクロプロピルメチ
ル,シクロペンチルメチル,シクロヘキシルメチル等が
用いられる。
【0027】「置換基を有していてもよいC6−10
リールエステル」を形成する「C −10アリール基」
としては、例えばフェニル,α−ナフチル,β−ナフチ
ル,ビフェニリル等が用いられ、それらは例えば、ニト
ロ,ハロゲン(例えば、フッ素,塩素,臭素等)等の置
換基1〜3個で置換されていてもよい。このような置換
基を有していてもよいC6−10アリールとしては、具
体的には例えば、p−ニトロフェニル,p−クロロフェ
ニル等が用いられる。
【0028】「置換基を有していてもよいC7−12
ラルキルエステル」を形成する「C 7−12アラルキル
基」としては、例えばベンジル,1−フェニルエチル,
2−フェニルエチル,フェニルプロピル,ナフチルメチ
ル等が用いられ、それらは例えば、ニトロ,C1−4
ルコキシ(例えば、メトキシ等),C1−4アルキル
(例えば、メチル,エチル等),ヒドロキシ等の置換基
1〜3個で置換されていてもよい。このような置換基を
有していてもよいC7−12アラルキルとしては、具体
的には、例えばp−ニトロベンジル,p−メトキシベン
ジル,3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシベンジ
ル等が用いられる。
【0029】「ジC6−10アリール−メチルエステ
ル」を形成するジC6−10アリール−メチル基として
はベンズヒドリル等が、トリC6−10アリール−メチ
ルエステルを形成するトリC6−10アリール−メチル
基としてはトリチル等が、「置換基を有していてもよい
シリルエステル」を形成する置換基を有していてもよい
シリル基としては、トリメチルシリル,tert−ブチルジ
メチルシリル,−Si(CH)CHCHSi(C
)−等が、C2-6アルカノイルオキシ−C1- 6アル
キルエステルとしてはアセトキシメチルエステル等が用
いられる。このように式(I)で表される化合物のエス
テル誘導体は3位に式:
【0030】
【化13】
【0031】〔式中の記号は前記と同意義を示す〕で表
される基を有する塩を形成しているか、分子内に陰電荷
が存在する場合、該陰電荷と分子内塩を形成していても
よい。
【0032】本発明の式(I)で表される化合物または
その塩の製造法を以下に詳しく述べる。
【0033】
【化14】
【0034】〔式中、nは0ないし5を示す〕 式(I)で表される化合物またはその塩は、式(II)
で示される化合物と式(III)で示される化合物また
はその塩とを反応させることにより合成することができ
る。上記製造法は、式(III)で表される化合物また
はその塩を式(II)で表される化合物でアシル化する
方法である。化合物(III)は遊離のまま、あるいは
その塩として用いられる。化合物(III)の塩として
は、例えばアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カ
リウム塩等)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウ
ム塩等)等の塩基性無機塩、アンモニウム塩、例えばト
リメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、tert−ブ
チルジメチルアミン塩、ジベンジルメチルアミン塩、ベ
ンジルジメチルアミン塩、N,N−ジメチルアニリン
塩、ピリジン塩、キノリン塩等の塩基性有機塩、例えば
塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸
塩、リン酸塩等の無機酸付加塩、例えばギ酸塩、酢酸
塩、トリフルオロ酢酸塩、メタンスルホン酸塩、p−ト
ルエンスルホン酸塩等の有機酸付加塩等が挙げられる。
付加塩の場合付加の数は1または2である。これらの中
で無機酸付加塩または有機酸付加塩が好ましく、無機酸
付加塩がより好ましく、さらにヨウ化水素酸塩等のハロ
ゲン化水素塩が特に好ましい。
【0035】反応は、通常反応に悪影響を及ぼさない溶
媒中で行われる。該溶媒としては、例えばテトラヒドロ
フラン、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン等のエー
テル類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリ
ル類、ホルムアミド、N,N―ジメチルホルムアミド等
のアミド類、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒および
これら溶媒を適宜の割合で混合した溶媒、あるいはこれ
ら溶媒または混合溶媒と水とを適宜の割合で混合した溶
媒が挙げられ、これらの中でエーテル類またはエーテル
類と水との混合溶媒が好ましく、テトラヒドロフランま
たはテトラヒドロフランと水との混合溶媒が特に好まし
い。
【0036】式(II)で表される化合物またはその塩
の使用量は式(III)で表される化合物1モルに対し
て通常約1〜5モル、好ましくは約1〜2モルである。
反応は約−80〜80℃、好ましくは約−40〜50
℃、最も好ましくは約−30〜30℃の温度範囲で行わ
れる。反応時間は化合物(II)および化合物(II
I)の種類、溶媒の種類(混合溶媒の場合はその混合比
も)、反応温度等により異なるが、通常約1分〜72時
間、好ましくは約5分〜12時間、特に好ましくは約1
5分〜3時間である。
【0037】上記反応において生成する塩化水素を反応
系から除去する目的で脱酸剤の存在下に反応を有効に進
めることができる。このような脱酸剤としては、例えば
アルカリ金属炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カ
リウム)、アルカリ土類金属炭酸塩(例えば、炭酸カル
シウム)、アルカリ金属炭酸水素塩(例えば、炭酸水素
ナトリウム、炭酸水素カリウム)等の無機塩基、例えば
酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等の有機酸のアルカリ金
属塩、例えばトリエチルアミン、トリ(n−プロピル)
アミン、トリ(n−ブチル)アミン、ジイソプロピルエ
チルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、ピリジ
ン、ルチジン、γ−コリジン、N,N−ジメチルアニリ
ン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N
−メチルモルホリン、N,N−ジメチル−4−アミノピ
リジン等の有機アミン類、例えばプロピレンオキシド、
エピクロルヒドリン等のアルキレンオキシド類等が挙げ
られる。また、無水条件下の反応においては、トリメチ
ルシリルアセトアミド等のトリメチルシリル化合物を脱
酸剤として用いて反応させることもできる。これらの中
で、アルカリ金属炭酸塩およびアルカリ金属炭酸水素
塩、有機酸のアルカリ金属塩が好ましく、炭酸水素ナト
リウムおよび酢酸ナトリウムが特に好ましい。上記反応
においては、ジクロロホスホリル基も順次加水分解され
ホスホノ基に変換される。
【0038】上記反応において用いられる原料化合物で
ある式(II)で表される化合物は新規化合物であり、
次のように製造される。
【0039】
【化15】
【0040】式(II)で表される化合物は、EP−B
−36673号記載の式(VI)で表される化合物また
はその塩を不活性溶媒存在下に、五塩化リンと反応させ
ることにより、結晶として得ることができる。不活性溶
媒としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エーテ
ル等のエーテル類、酢酸エチル等のエステル類、トルエ
ン、キシレン等の炭化水素類、アセトン、メチルエチル
ケトン等のケトン類、クロロホルム、ジクロロメタン等
のハロゲン化炭化水素類、アセトニトリル等のニトリル
類等が挙げられる。これらの溶媒は適宜の割合で2ない
し3種を混合して用いてもよい。中でもエーテル類、エ
ステル類が好ましく、特にテトラヒドロフラン、酢酸エ
チルが好ましい。式(VI)で表される化合物またはそ
の塩1モルに対して、約1ないし5モル、好ましくは約
1ないし2モルの五塩化リンを用いる。反応温度は、約
−40℃から25℃、好ましくは約−10℃から10℃
である。反応時間は、約30分から12時間、好ましく
は約1時間から6時間である。
【0041】上記反応において用いられる原料化合物で
ある式(III)で表される化合物またはその塩はWO
97−39002号に記載されている。
【0042】上記製造法で得られた式(I)で表される
化合物またはその塩は、水または水を含む親水性有機溶
媒に溶解した溶液から通常の単離手段を適用し結晶化す
ることができる。この結晶は、安定性、純度の観点から
優れている。ここで、本発明の化合物が「結晶である」
とは、具体的には、粉末X線回折において回折角を認め
るものであることを意味する。
【0043】上記式(I)で表される化合物の塩として
は、先に述べた薬理学的に許容される塩が挙げられる。
上記親水性溶媒としては、例えば酢酸、プロピオン酸、
乳酸、コハク酸等の有機酸類、例えばアセトニトリル等
のニトリル類、例えばアセトン、メチルエチルケトン等
のケトン類、例えばメタノール、エタノール等のアルコ
ール類、例えばジオキサン、テトラヒドロフラン等のエ
ーテル類等が挙げられる。これらの溶媒は2〜3種を適
宜の割合で混合してもよく、さらに水と適宜の割合で混
合してもよい。中でも、酢酸、プロピオン酸、アセトニ
トリル、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノー
ル、乳酸およびこれらと水との混合溶媒が好ましく、特
にアセトニトリル、メタノール、エタノール、酢酸、プ
ロピオン酸およびこれらと水の混合溶媒が好ましい。
【0044】上記式(I)で表される化合物またはその
塩の結晶を製造する場合、該化合物またはその塩を溶解
する溶媒としては、水()と親水性溶媒()とを、
ととの容量比が1:0ないし10、好ましくは1:
0ないし5、特に好ましくは1:0ないし1.5であ
る。式(I)で表される化合物またはその塩に対する溶
解溶媒の使用量は、結晶化する範囲であれば特に限定さ
れないが、通常化合物またはその塩1重量部に対し溶媒
の総量が約2ないし100重量部であり、好ましくは約
3ないし50重量部、特に好ましくは約5ないし30重
量部である。上記結晶化方法において、式(I)で表さ
れる化合物またはその塩を溶媒に溶解するには、例えば
超音波処理(超音波照射)、撹拌等を行うことが有効で
ある。溶液とすると同時に結晶が析出してくる場合もあ
るが、析出しない場合には、例えば冷却する、超音波処
理や撹拌等の刺激を与える、溶媒を蒸発させる、種結晶
を加える等により結晶を析出させてもよい。
【0045】このようにして得られた式(I)で表され
る化合物またはその塩の結晶は、次いで、通常の分離手
段(例えば、濾過、遠心分離等)により溶液から分離
し、通常の精製手段(例えば、溶媒による洗浄等)に付
すことにより単離することができる。このようにして得
られる式(I)で表される化合物またはその塩の結晶は
高純度であるため、上記結晶化方法は、式(I)で表さ
れる化合物またはその塩の精製に用いることができる。
さらに式(I)で表される化合物またはその塩の結晶は
高純度であり、固体安定性に優れているため、医薬製剤
に用いることができる。
【0046】式(I)で表される化合物またはその塩の
結晶は乾燥の程度により、水の含有量を変えることがで
きる。水の含有量(式(I)においてnで表される)は
式(I)で表される化合物またはその塩1分子に対し通
常0ないし5分子であり、好ましくは1ないし3分子で
あり、特に好ましくは2.5分子である。
【0047】式(I)で表される化合物のエステル誘導
体は、式(I)で表される化合物を公知の方法によりエ
ステル化することにより製造することができる。該エス
テル化方法としては、例えばジャーナル・オブ・アンテ
ィバイオティックス、39巻、1329ページ、1986年(J.An
tibiotics,1986,39,1986.)に記載された方法もしく
は該方法に準じた方法が用いられる。
【0048】本発明の化合物(I)は、優れた抗菌力を
有しており、また、スペクトルの広い抗菌活性を有し、
毒性が低いのでヒトおよび他の哺乳動物(例えば、マウ
ス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、サル
等)における病原性細菌により生ずる種々の疾病、例え
ば気道感染、尿路感染の予防および治療のため安全に使
用され得る。
【0049】また化合物(I)(特に結晶)は、優れた
安定性を有し、公知のペニシリン剤、セファロスポリン
剤と同様に注射剤、カプセル剤、錠剤、顆粒剤として非
経口または経口的に投与できる。非経口的に投与するこ
とが好ましく、特に注射剤として投与するのが好まし
い。化合物(I)の投与量は、例えば、前記したような
病原性細菌に感染した人および動物に投与する場合、人
および動物の体重1kgあたり化合物(I)として通常約
0.5〜80mg/日、より好ましくは約2〜40mg/日
であり、通常1日2〜3回に分割して投与される。
【0050】本発明の医薬組成物および抗菌組成物は、
化合物(I)の単独であってもよく、通常医薬製剤に用
いられる担体(例えば、溶解液、無機塩、pH調製剤、
賦形剤、滑沢剤、調味剤、保存剤等)等が含まれていて
もよい。本発明の医薬組成物は、注射剤として用いるこ
とが好ましい。注射剤として用いる場合、通常化合物
(I)と溶解液(例えば蒸留水、生理食塩水等)を別個
に包装して注射剤として提供し、用時化合物(I)を溶
解液に溶解して投与する。注射剤としては、化合物
(I)に加えて塩基性無機塩(例えば、アルカリ金属の
炭酸塩、アルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ土類金属
の酸化物等)、特にアルカリ金属またはアルカリ土類金
属の炭酸塩を含有しているものが好ましい。アルカリ土
類金属の酸化物としては、例えば酸化マグネシウム、酸
化カルシウム等が挙げられる。アルカリ金属またはアル
カリ土類金属の炭酸塩としては、例えば、炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウ
ム、炭酸水素カリウム等が挙げられる。また、注射剤と
しては、化合物(I)に加えて塩基性アミノ酸塩を含有
しているものも好ましい。塩基性アミノ酸塩としては、
例えばリジン、アルギニン、オルニチン、ヒスチジン等
の塩基性アミノ酸の酸付加塩(例、塩酸塩、酢酸塩
等)、アルカリ金属塩(例、ナトリウム塩、カリウム塩
等)、アルカリ土類金属塩(例、カルシウム塩等)等が
用いられる。
【0051】さらに化合物(I)を注射剤として提供す
る場合、化合物(I)()および塩基性無機塩または
塩基性アミノ酸塩()を溶解液()に溶解し包装し
たものも注射剤として提供し得る。また、およびを
同一容器に包装したもの、とを別々の容器に包装し
たものも注射剤として提供され、この場合それぞれを用
時に溶解して用いる。また、とおよびの混合物
とを、またはおよびの混合物ととを、それぞれ用
時混合して用いることも有効である。
【0052】注射剤1製剤における、化合物(I)の含
量は、約100から2000mg、好ましくは約200
から1000mgである。注射剤における溶解液の割合
は、重量比で、化合物(I)1に対し約10〜500、
好ましくは約20〜300である。塩基性無機塩または
塩基性アミノ酸塩の割合は、化合物(I)1当量に対し
約0.5〜5.0当量、好ましくは、約1.0〜3.0
当量である。
【0053】
【発明の実施の態様】本発明はさらに下記の参考例、実
施例、実験例および製剤例で詳しく説明されるが、これ
らは単なる例示であって本発明を限定するものではな
く、また本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させても
よい。以下の参考例、実施例および実験例において、室
温は10〜35℃を意味する。融点はヤナコMP-J3を用
いて測定した。1H NMRスペクトルはテトラメチルシラン
(測定溶媒:CDCl3, DMSO-d6) を内部基準として、バリ
アン社Gemini-200(200MHz)を用いて測定し、全δ値を p
pm で示した。HPLC用カラム充填剤ODSはYMC
株式会社製、SP−207は三菱化学社製である。セフ
ァデックスLH-20は、ファルマシアファインケミカルズ
社製である。イオン交換樹脂ムロマック(50Wx8,20〜5
0mesh,H型)は室町化学社製である。カラムクロマトグ
ラフィーにおける溶出はTLC(Thin Layer Chromatog
raphy、薄層クロマトグラフィー)またはHPLCによ
る観察下に行なわれた。TLC観察においては、TLC
プレートとしてメルク(Merck)社製の60F254
を、展開溶媒としてはカラムクロマトグラフィーで溶出
溶媒として用いられた溶媒を、検出法としてUV検出法
を採用した。混合溶媒において( )内に示した数値は
各溶媒の容量混合比である。また溶液における%は溶液
100ml中のg数を表わす。 s :シングレット(singlet) d :ダブレット(doublet) t :トリプレット(triplet) q :クワルテット(quartet) ABq :AB型クワルテット(AB type quartet) dd :ダブル ダブレット(double doublet) br :幅広い(broad) m :マルチプレット(multiplet) J :カップリング定数(coupling constant)
【0054】
【実施例】(実施例1)2-(5-ジクロロホスホリルアミノ-1,2,4-チアジアゾー
ル)-2(Z)-メトキシイミノアセチルクロリド 五塩化リン 15.6 g (75 mmol) を酢酸エチル 45 ml に
懸濁し、氷冷下で5分間撹拌した。氷冷撹拌下、2-(5-ア
ミノ-1,2,4-チアジアゾール)-2(Z)-メトキシイミノ酢酸
6.0 g (29.7 mmol) を一度に加え、氷冷下で1時間15分
間撹拌した。氷冷下で反応液にトルエン 180 mlを加え
た。この溶液に−5℃〜−10℃に冷却した飽和食塩水
120 ml を加え、氷冷下で5分間撹拌した。反応液を分液
ロートに移し、振り混ぜずに有機層を分取した。有機層
を硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、濾過液を減圧
下で処理し溶媒を留去した(結晶析出)。氷冷下で、ジ
イソプロピルエーテル/n-ヘキサン (1:1) 60 ml を
加えてスパーテルで結晶を粉砕した。結晶を瀘取し、ジ
イソプロピルエーテル/n-ヘキサン (1:1) 60 ml で
洗浄後、減圧下で乾燥し、表記化合物を得た。収量 7.7
8 g (78%) 融点: 172〜175℃ 元素分析値:C5H4N4O3SCl3Pとして 計算値:C 17.79, H 1.19, N 16.60, P 9.18. 測定値:C 17.90, H 1.49, N 16.51, P 9.38.1 H-NMR (CDCl3) δ: 4.21 (3H,s), 8.54 (1H,br s). IR (KBr) cm-1: 2955, 2872, 2793, 1784, 1593, 1221,
1126, 1062.
【0055】(実施例2)3-(イミダゾ[1,2-b]ピリダジニウム-1-イル)メチル-7β
-[2-(5-ホスホノアミノ-1,2,4-チアジアゾール)-2(Z)-
メトキシイミノアセトアミド]-3-セフェム-4-カルボキ
シレート 7β-アミノ-3-(イミダゾ[1,2-b]ピリダジニウム-1-イ
ル)メチル-3-セフェム-4-カルボキシレート二塩酸塩404
mg (純度41.6%, 0.416 mmol) を蒸留水 24 mlに懸濁
し、氷冷撹拌下、2M 酢酸ナトリウム水 5.0 ml を加
えた。2-(5-ジクロロホスホリルアミノ-1,2,4-チアジア
ゾール)-2(Z)-メトキシイミノアセチルクロリド337 mg
(1.0 mmol) をテトラヒドロフラン 2 ml に溶解し、上
記反応液に氷冷撹拌下で一度に加えた。室温で45分間撹
拌した。反応液に酢酸エチル 20 mlを加えて、分液し
た。水層を分取し、メンブランフィルター(0.45 μm)
で濾過した。瀘液を減圧下で約20 ml まで濃縮した。濃
縮液をSP-207カラム (150 ml)に充填した。蒸留水 300
ml、10%(v/v) エタノール水 600 ml で順次溶出
し、10%(v/v) エタノール水で溶出される表記化合物
を含む画分を集めて減圧下で濃縮した。濃縮液をイオン
交換樹脂ムロマック (10 ml, 50W×8, 20〜50 mesh)に
付し、蒸留水 100 ml で洗浄した。溶出液を減圧下で濃
縮し、凍結乾燥し、表記化合物を得た。収量 223 mg (9
1%) 元素分析値:C19H18N9O8S2P・3.0H2Oとして 計算値: C 35.13, H 3.72, N 19.41, P 4.77. 測定値:C 34.96, H 3.43, N 19.86, P 4.79.1 H-NMR (DMSO−d6) δ: 3.27, 3.51 (2H,ABq,J=18Hz),
3.86 (3H,s), 5.13 (1H,d,J=5Hz), 5.43 (2H,br s), 5.
82 (1H,dd,J=5 and 8Hz), 8.01 (2H,dd,J=5 and9Hz),
8.47 (1H,d,J=2Hz), 8.81 (1H,d,J=2Hz), 8.97 (1H,d,J
=9Hz), 9.08 (1H,d,J=5Hz), 9.40 (1H,m), 9.59 (1H,d,
J=8Hz). IR (KBr) cm-1: 3138, 1770, 1668, 1520, 1385, 1176,
1043.
【0056】(実施例3)3-(イミダゾ[1,2-b]ピリダジニウム-1-イル)メチル-7β
-[2-(5-ホスホノアミノ-1,2,4-チアジアゾール)-2(Z)-
メトキシイミノアセトアミド]-3-セフェム-4-カルボキ
シレート 7β-アミノ-3-(イミダゾ[1,2-b]ピリダジニウム-1-イ
ル)メチル-3-セフェム-4-カルボキシレート二塩酸塩4.0
4 g (純度41.6%, 4.16 mmol) を蒸留水 240 mlに懸濁
し、氷冷撹拌下、2M 酢酸ナトリウム水 27.1 ml を加え
た。2-(5-ジクロロホスホリルアミノ-1,2,4-チアジアゾ
ール)-2(Z)-メトキシイミノアセチルクロリド2.11 g
(6.25 mmol) をテトラヒドロフラン 20 ml に溶解し、
上記反応液に氷冷撹拌下で一度に加えた。室温で1時間
撹拌した。反応液に酢酸エチル 200 mlを加えて、分液
した。水層を分取し、メンブランフィルター(0.45 μm)
で濾過した。瀘液を減圧下で約150 ml まで濃縮した。
濃縮液をSP-207カラム (1.3 L)に充填した。蒸留水 3
L、5%(v/v) エタノール水 10 L で順次溶出し、5%
(v/v) エタノール水で溶出される表記化合物を含む
画分 5 L を集めて減圧下で約 50 ml まで濃縮した。濃
縮液をセファデックス LH-20 カラム (800 ml) に付
し、蒸留水で溶出した。表記化合物を含む画分 300 ml
を集めて減圧下で約 50ml まで濃縮した。濃縮液をイオ
ン交換樹脂ムロマック (50 ml, 50W×8, 20〜50mesh, H
型)に付し、蒸留水 250 ml で洗浄した。溶出液を減圧
下で約 30 ml まで濃縮した(結晶析出)。室温で30分
間、氷冷下で15分間静置した。析出結晶を瀘取し、蒸留
水 10 ml で洗浄した。モレキュラーシーブズ 3A (1/1
6) を乾燥剤として用いて、重量が一定になるまで減圧
下で乾燥し、表記化合物を得た。収量1.33 g (54%) 融点: 230〜234℃(分解) 元素分析値:C19H18N9O8S2P・2.5H2Oとして 計算値:C 35.63, H 3.62, N 19.68, P 4.84. 測定値:C 35.62, H 3.54, N 19.43, P 4.76.1 H-NMR (DMSO−d6) δ: 3.27, 3.51 (2H,ABq,J=18Hz),
3.86 (3H,s), 5.13 (1H,d,J=5Hz), 5.43 (2H,br s), 5.
82 (1H,dd,J=5&8Hz), 8.01 (2H,dd,J=5&9Hz), 8.47 (1
H,d,J=2Hz), 8.81 (1H,d,J=2Hz), 8.97 (1H,d,J=9Hz),
9.08 (1H,d,J=5Hz), 9.40 (1H,m), 9.59 (1H,d,J=8Hz). IR (KBr) cm-1: 3132, 1782, 1670, 1518, 1381, 1172,
1041. 次いで、この化合物を粉末X線回折(Cu,40kV,
50mA)に供し、スペクトルを得た。このスペクトル
は、回折角6.96、16.40、18.22、19.
52、23.88、27.74°附近にピークを有し
た。スペクトルは〔図1〕に示す。
【0057】(実験例1)Staphylococcus aureus 308A
-1をbrain heart infusion (以下BHIと略す, デイフコ
・ラボ(Difco Lab.)製)ブロスに接種して37℃で一夜静
置培養した菌液を5% mucin 液(Difco Lab.製)で10倍希
釈しStaphylococcus aureus 308A-1の感染菌液とした。
Pseudomonas aeruginosa P9をKing A broth〔2% (w/v)
Bacto pepton (Difco Lab.製) 0.14% (w/v) MgCl2, 1%
(w/v) (NH4)2SO4, 1% (w/v) glycerol〕に接種して37℃
で一夜静置培養した菌液をBHI ブロスで5x104倍希釈
後、さらに5% mucin液で10倍希釈しPseudomonas aerugi
nosa P9の感染菌液とした。それぞれの感染菌液0.5 mL
を4週齢のSlc:ICR雄マウス(日本エスエルシー株式会社)
の腹腔内に接種した。Cefozopran (CZOP)〔化合物(I
V)〕は生理食塩水に溶解し、N-phosphono-CZOP〔化合
物(I)〕は最高投薬濃度を2当量のNaHCO3とともに生
理食塩水で溶解した。薬液の希釈はいずれも生理食塩水
で行った。薬剤は菌接種直後に0.2 mLをマウス皮下に投
与した。菌接種翌日から5日後まで1日1回、各群のマウ
ス死亡数を観察し、5日後のマウス生残数をもとにReed
& Muench法(American Journal of Hygiene,27,49
3−497頁)で50%有効投与量(ED50)を求めた。その結果
を〔表1〕および〔表2〕に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】〔表1〕および〔表2〕の結果より明らか
なように、本願発明の式(I)で表される化合物(N-ph
osphono-CZOP)は、式(IV)で表される化合物(CZO
P)と比較し、より優れた抗菌活性を示す。
【0061】(製剤例1)実施例3で製造した3-(イミ
ダゾ[1,2-b]ピリダジニウム-1-イル)メチル-7β-[2-(5-
ホスホノアミノ-1,2,4-チアジアゾール)-2(Z)-メトキシ
イミノアセトアミド]-3-セフェム-4-カルボキシレート
の結晶 100 mg (0.156 mmol) と炭酸水素ナトリウム26.
2 mg (0.312 mmol)をバイアルに充填し、生理食塩水0.8
74 mlを徐々に加えた。炭酸ガスを発生しながら溶解
し、澄明な溶液を得た。この溶液を生理食塩水で薄め、
2.0 mlまでメスアップして50 mg/ml濃度の注射剤を調製
した。
【0062】
【発明の効果】本発明の化合物(I)(特に結晶)は優
れた抗菌活性ならびに体内動態を有し、固体安定性が大
であり、長期間保存することが可能である等優れた抗菌
剤等の医薬組成物として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例3で得られた化合物の粉末X線回折スペ
クトル(Cu,40kV,50mA)を示す。
【手続補正書】
【提出日】平成13年12月12日(2001.12.
12)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正内容】
【0054】
【実施例】(実施例1)2-(5-ジクロロホスホリルアミノ-1,2,4-チアジアゾール
-3-イル)-2(Z)-メトキシイミノアセチルクロリド 五塩化リン 15.6 g (75 mmol) を酢酸エチル 45 ml に
懸濁し、氷冷下で5分間撹拌した。氷冷撹拌下、2-(5-ア
ミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2(Z)-メトキシイ
ミノ酢酸 6.0 g (29.7 mmol) を一度に加え、氷冷下で1
時間15分間撹拌した。氷冷下で反応液にトルエン 180 m
lを加えた。この溶液に−5℃〜−10℃に冷却した飽
和食塩水120 ml を加え、氷冷下で5分間撹拌した。反応
液を分液ロートに移し、振り混ぜずに有機層を分取し
た。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、濾
過液を減圧下で処理し溶媒を留去した(結晶析出)。氷
冷下で、ジイソプロピルエーテル/n-ヘキサン (1:
1) 60 ml を加えてスパーテルで結晶を粉砕した。結晶
を瀘取し、ジイソプロピルエーテル/n-ヘキサン (1:
1) 60 ml で洗浄後、減圧下で乾燥し、表記化合物を得
た。収量 7.78 g (78%) 融点: 172〜175℃ 元素分析値:C5H4N4O3SCl3Pとして 計算値:C 17.79, H 1.19, N 16.60, P 9.18. 測定値:C 17.90, H 1.49, N 16.51, P 9.38.1 H-NMR (CDCl3) δ: 4.21 (3H,s), 8.54 (1H,br s). IR (KBr) cm-1: 2955, 2872, 2793, 1784, 1593, 1221,
1126, 1062.
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正内容】
【0055】(実施例2)3-(イミダゾ[1,2-b]ピリダジニウム-1-イル)メチル-7β
-[2-(5-ホスホノアミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)
-2(Z)-メトキシイミノアセトアミド]-3-セフェム-4-カ
ルボキシレート 7β-アミノ-3-(イミダゾ[1,2-b]ピリダジニウム-1-イ
ル)メチル-3-セフェム-4-カルボキシレート二塩酸塩404
mg (純度41.6%, 0.416 mmol) を蒸留水 24 mlに懸濁
し、氷冷撹拌下、2M 酢酸ナトリウム水 5.0 ml を加
えた。2-(5-ジクロロホスホリルアミノ-1,2,4-チアジア
ゾール-3-イル)-2(Z)-メトキシイミノアセチルクロリド
337 mg (1.0 mmol) をテトラヒドロフラン 2 ml に溶解
し、上記反応液に氷冷撹拌下で一度に加えた。室温で45
分間撹拌した。反応液に酢酸エチル20 ml を加えて、分
液した。水層を分取し、メンブランフィルター(0.45 μ
m)で濾過した。瀘液を減圧下で約20 ml まで濃縮した。
濃縮液をSP-207カラム (150 ml)に充填した。蒸留水 3
00 ml、10%(v/v) エタノール水 600 ml で順次溶出
し、10%(v/v) エタノール水で溶出される表記化合物
を含む画分を集めて減圧下で濃縮した。濃縮液をイオン
交換樹脂ムロマック (10 ml, 50W×8, 20〜50 mesh)に
付し、蒸留水 100 ml で洗浄した。溶出液を減圧下で濃
縮し、凍結乾燥し、表記化合物を得た。収量 223 mg (9
1%) 元素分析値:C19H18N9O8S2P・3.0H2Oとして 計算値: C 35.13, H 3.72, N 19.41, P 4.77. 測定値:C 34.96, H 3.43, N 19.86, P 4.79.1 H-NMR (DMSO−d6) δ: 3.27, 3.51 (2H,ABq,J=18Hz),
3.86 (3H,s), 5.13 (1H,d,J=5Hz), 5.43 (2H,br s), 5.
82 (1H,dd,J=5 and 8Hz), 8.01 (2H,dd,J=5 and9Hz),
8.47 (1H,d,J=2Hz), 8.81 (1H,d,J=2Hz), 8.97 (1H,d,J
=9Hz), 9.08 (1H,d,J=5Hz), 9.40 (1H,m), 9.59 (1H,d,
J=8Hz). IR (KBr) cm-1: 3138, 1770, 1668, 1520, 1385, 1176,
1043.
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正内容】
【0056】(実施例3)3-(イミダゾ[1,2-b]ピリダジニウム-1-イル)メチル-7β
-[2-(5-ホスホノアミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)
-2(Z)-メトキシイミノアセトアミド]-3-セフェム-4-カ
ルボキシレート 7β-アミノ-3-(イミダゾ[1,2-b]ピリダジニウム-1-イ
ル)メチル-3-セフェム-4-カルボキシレート二塩酸塩4.0
4 g (純度41.6%, 4.16 mmol) を蒸留水 240 mlに懸濁
し、氷冷撹拌下、2M 酢酸ナトリウム水 27.1 ml を加え
た。2-(5-ジクロロホスホリルアミノ-1,2,4-チアジアゾ
ール-3-イル)-2(Z)-メトキシイミノアセチルクロリド2.
11 g (6.25 mmol) をテトラヒドロフラン 20 ml に溶解
し、上記反応液に氷冷撹拌下で一度に加えた。室温で1
時間撹拌した。反応液に酢酸エチル 200 mlを加えて、
分液した。水層を分取し、メンブランフィルター(0.45
μm) で濾過した。瀘液を減圧下で約150 ml まで濃縮し
た。濃縮液をSP-207カラム(1.3 L) に充填した。蒸留水
3 L、5%(v/v) エタノール水 10 L で順次溶出し、5
%(v/v) エタノール水で溶出される表記化合物を含む
画分 5 L を集めて減圧下で約 50 ml まで濃縮した。濃
縮液をセファデックス LH-20 カラム (800ml) に付し、
蒸留水で溶出した。表記化合物を含む画分 300 ml を集
めて減圧下で約 50 ml まで濃縮した。濃縮液をイオン
交換樹脂ムロマック (50 ml, 50W×8, 20〜50 mesh, H
型)に付し、蒸留水 250 ml で洗浄した。溶出液を減圧
下で約30 ml まで濃縮した(結晶析出)。室温で30分
間、氷冷下で15分間静置した。析出結晶を瀘取し、蒸留
水 10 ml で洗浄した。モレキュラーシーブズ 3A (1/1
6)を乾燥剤として用いて、重量が一定になるまで減圧下
で乾燥し、表記化合物を得た。収量1.33 g (54%) 融点: 230〜234℃(分解) 元素分析値:C19H18N9O8S2P・2.5H2Oとして 計算値:C 35.63, H 3.62, N 19.68, P 4.84. 測定値:C 35.62, H 3.54, N 19.43, P 4.76.1 H-NMR (DMSO−d6) δ: 3.27, 3.51 (2H,ABq,J=18Hz),
3.86 (3H,s), 5.13 (1H,d,J=5Hz), 5.43 (2H,br s), 5.
82 (1H,dd,J=5&8Hz), 8.01 (2H,dd,J=5&9Hz), 8.47 (1
H,d,J=2Hz), 8.81 (1H,d,J=2Hz), 8.97 (1H,d,J=9Hz),
9.08 (1H,d,J=5Hz), 9.40 (1H,m), 9.59 (1H,d,J=8Hz). IR (KBr) cm-1: 3132, 1782, 1670, 1518, 1381, 1172,
1041. 次いで、この化合物を粉末X線回折(Cu,40kV,
50mA)に供し、スペクトルを得た。このスペクトル
は、回折角6.96、16.40、18.22、19.
52、23.88、27.74°附近にピークを有し
た。スペクトルは〔図1〕に示す。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0061
【補正方法】変更
【補正内容】
【0061】(製剤例1)実施例3で製造した3-(イミ
ダゾ[1,2-b]ピリダジニウム-1-イル)メチル-7β-[2-(5-
ホスホノアミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2(Z)-
メトキシイミノアセトアミド]-3-セフェム-4-カルボキ
シレートの結晶 100 mg (0.156 mmol) と炭酸水素ナト
リウム26.2 mg (0.312 mmol)をバイアルに充填し、生理
食塩水0.874 mlを徐々に加えた。炭酸ガスを発生しなが
ら溶解し、澄明な溶液を得た。この溶液を生理食塩水で
薄め、2.0 mlまでメスアップして50 mg/ml濃度の注射剤
を調製した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C086 AA01 AA02 AA03 AA04 DA34 GA15 MA01 MA04 NA03 NA05 ZB35 4H050 AA01 AA02 AA03 AB29 AB84 AC50 WA15 WA24

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式: 【化1】 〔式中、nは0ないし5を示す〕で表される化合物また
    はその塩。
  2. 【請求項2】 結晶である請求項1記載の化合物。
  3. 【請求項3】 nが2.5である請求項2記載の化合
    物。
  4. 【請求項4】 粉末X線回折において回折角6.96、
    16.40、18.22、19.52、23.88、2
    7.74°附近にピークを有する結晶である請求項3記
    載の化合物。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の化合物を含んでなる医薬
    組成物。
  6. 【請求項6】 アルカリ金属の炭酸塩およびアルカリ土
    類金属の炭酸塩からなる群から選ばれる塩基性無機塩を
    含有する請求項5記載の医薬組成物。
  7. 【請求項7】 リジン、アルギニン、オルニチン、ヒス
    チジンの酸付加塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属
    塩からなる群から選ばれる塩基性アミノ酸塩を含有する
    請求項5記載の医薬組成物。
  8. 【請求項8】 抗菌剤である請求項5記載の医薬組成
    物。
  9. 【請求項9】 式: 【化2】 で表される化合物。
  10. 【請求項10】式: 【化3】 で表される化合物またはその塩と式: 【化4】 で表される化合物とを反応させることを特徴とする請求
    項1記載の化合物の製造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016501903A (ja) * 2012-12-20 2016-01-21 サンド・アクチエンゲゼルシヤフト 新規結晶形のセフタロリンフォサミル

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