JPH0948785A - セフェム化合物、その製造法および抗菌組成物 - Google Patents

セフェム化合物、その製造法および抗菌組成物

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JPH0948785A
JPH0948785A JP13457496A JP13457496A JPH0948785A JP H0948785 A JPH0948785 A JP H0948785A JP 13457496 A JP13457496 A JP 13457496A JP 13457496 A JP13457496 A JP 13457496A JP H0948785 A JPH0948785 A JP H0948785A
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ester
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JP13457496A
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English (en)
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Keiji Kamiyama
圭司 神山
Kenji Okonogi
研二 小此木
Akio Miyake
昭夫 三宅
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】幅広く優れた抗菌活性を示す新規化合物を提供
する。 【解決手段】式 【化1】 〔式中、R1は保護されていてもよいアミノ基を、R2
フッ素で置換された低級アルキル基を、R3は置換され
ていてもよい炭化水素基を示し、A環はさらに置換基を
有していてもよい〕で表されるセフェム化合物またはそ
のエステルあるいはその塩、その製造法および医薬組成
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は広範囲のグラム陽性
菌およびグラム陰性菌、特にブドウ球菌およびメチシリ
ン耐性ブドウ球菌(MRSA)に優れた抗菌作用を有す
る新規なセフェム化合物、その製造法および抗菌組成物
に関する。
【0002】
【従来の技術】7位に2−(5−アミノ−1,2,4−チ
アジアゾール−3−イル)−2(Z)−オキシイミノアセ
トアミド基を、3位にピリジニオチオビニル基を有する
セフェム化合物が特開昭59−130292号公報およ
び特開平6−206886号公報に開示されている。し
かし、特開昭59−130292号公報には、セフェム
化合物の7位置換基として低級アルコキシイミノを有す
るアミノチアジアゾリル(低級)アルカノイルアミノが
開示されているが、その低級アルコキシがフッ素で置換
されていてもよいという記載はない。また、特開平6−
206886号公報では、セフェム化合物の7位置換基
として2−(5−アミノ−1,2,4−チアジアゾール−
3−イル)または(2−アミノチアゾール−4−イル)
−2(Z)−ヒドロキシイミノアセトアミド基が記載され
ているだけで、2−(5−アミノ−1,2,4−チアジア
ゾール−3−イル)−2(Z)−フッ素置換低級アルキル
オキシイミノアセトアミド基を有するセフェム化合物お
よびその効果については全く開示されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来のセフェム化合物
は、抗菌活性の範囲または強さの点で、とりわけ従来の
セファロスポリン化合物にブドウ球菌およびメチシリン
耐性ブドウ球菌(MRSA)などに対する抗菌作用が十
分に満足できるものではなく、この点を克服した新しい
化合物の出現が望まれていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記事情
に鑑み、鋭意種々研究を重ねた結果、セフェム骨格の3
位に式
【化6】 〔式中、R3は置換されていてもよい炭化水素基を示
し、A環はさらに置換基を有していてもよい。〕で表さ
れる基、かつ7位に式
【化7】 〔式中、R1は保護されていてもよいアミノ基を、R2
フッ素で置換された低級アルキル基を示す。〕で表され
る基を有することに化学構造上の特徴を有するセフェム
化合物またはそのエステルあるいはその塩を初めて合成
し、さらに合成された化合物が予想外にもブドウ球菌お
よびMRSAを含むグラム陽性菌およびグラム陰性菌な
どに対して幅広く優れた抗菌作用を有することを見出
し、これらに基づいて本発明を完成した。
【0005】すなわち、本発明は、(1)式〔I〕
【化8】 〔式中、R1は保護されていてもよいアミノ基を、R2
フッ素で置換された低級アルキル基を、R3は置換され
ていてもよい炭化水素基を示し、A環はさらに置換基を
有していてもよい。〕で表わされるセフェム化合物また
はそのエステルあるいはその塩、(2)式〔I−a〕
【化9】 〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表わされるセ
フェム化合物またはそのエステルあるいはその塩、
(3)式
【化10】 〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合
物またはそのエステルあるいはその塩と式
【化11】 〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表されるカル
ボン酸またはその塩もしくは反応性誘導体とを反応さ
せ、必要に応じて保護基を除去することを特徴とする前
記(1)記載の化合物の製造法、
【0006】(4)式
【化12】 〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合
物またはそのエステルあるいはその塩と、式R3−X
〔式中、Xは脱離基を、R3は前記と同意義を示す。〕
で表される化合物とを反応させ、必要に応じて保護基を
除去することを特徴とする前記(1)記載の化合物の製
造法、(5)前記(1)記載の化合物を含有する医薬組
成物、および(6)抗菌組成物である前記(5)記載の
医薬組成物などに関する。
【0007】本明細書におけるセフェム化合物は「ザ・
ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサイ
エティ」第84巻,3400頁(1962年)に記載され
ている「セファム」に基づいて命名された化合物群であ
り、セフェム化合物はセファム化合物のうち3,4−位
に二重結合を有する化合物を意味する。なお、本発明の
化合物は遊離形を表している式〔I〕の化合物またはそ
のエステルあるいはその塩(化合物〔I〕の塩または化
合物〔I〕のエステルの塩)を含む。以下本願明細書に
おいては、特別の場合を除き、遊離形を表している式
〔I〕の化合物またはそのエステルあるいはその塩を単
に、化合物〔I〕、抗菌化合物〔I〕あるいは式〔I〕で
表される化合物とのみ略称する。従って本願明細書の化
合物〔I〕は通常、遊離形のみならずそのエステルおよ
びそれらの塩を含むものとする。このことは、化合物
〔I〕のみならず、原料化合物、たとえば下記の化合物
〔I−a〕、〔I−b〕、〔II〕、〔III〕、〔V〕、
〔VI〕、〔IX〕〔X〕、〔XI〕、〔XII〕についても同様
である。R1は保護されていてもよいアミノ基を表わ
す。β−ラクタムおよびペプチドの分野ではアミノ基の
保護基は充分に研究されていてその保護法はすでに確立
されており、本発明においてもアミノ基の保護基として
はそれら公知のものが適宜に採用されうる。アミノ基の
保護基としてはたとえば、置換されていてもよいC1-6
アルカノイル基,置換されていてもよいC3-5アルケノ
イル基,置換されていてもよいC6-10アリール−カルボ
ニル基,複素環カルボニル基,置換されていてもよいC
1-10アルキルスルホニル基,置換されていてもよいC
6-10アリールスルホニル基,置換オキシカルボニル基,
置換されていてもよいカルバモイル基,置換されていて
もよいチオカルバモイル基,置換されていてもよいC
6-10アリール−メチル基,置換されていてもよいジC
6-10アリール−メチル基,置換されていてもよいトリC
6-10アリール−メチル基,置換されていてもよいC6-10
アリール−メチレン基,置換されていてもよいC6-10
リールチオ基,置換シリル基,2−C1-10アルコキシ−
カルボニル−1−メチル−1−エテニル基,式M'OC
O−〔式中、M'はアルカリ金属を示す。〕で表される
基などが用いられる。
【0008】「置換されていてもよいC1-6アルカノイ
ル基」としてはたとえば、ハロゲン,オキソ,C1-6
ルコキシ,C1-6アルカノイル,C6-10アリール,ハロ
ゲノC6-10アリール,C6-10アリールオキシ,ハロゲノ
6-10アリールオキシ,C6-10アリールチオなどから選
ばれた1〜3個の置換基で置換されていてもよいC1-6
アルカノイル基が用いられ、具体的にはたとえば、ホル
ミル,アセチル,プロピオニル,ブチリル,バレリル,
ピバロイル,サクシニル,グルタリル,モノクロロアセ
チル,ジクロロアセチル,トリクロロアセチル,モノブ
ロモアセチル,モノフルオロアセチル,ジフルオロアセ
チル,トリフルオロアセチル,モノヨードアセチル,ア
セトアセチル,3−オキソブチリル,4−クロロ−3−
オキソブチリル,フェニルアセチル,p−クロロフェニ
ルアセチル,フェノキシアセチル,p−クロロフェノキ
シアセチルなどが用いられる。「置換されていてもよい
3-5アルケノイル基」としてはたとえば、ハロゲン,
6-10アリールなどから選ばれた1〜3個の置換基で置
換されていてもよいC3-5アルケノイル基が用いられ、
具体的にはたとえば、アクリロイル,クロトノイル,マ
レオイル,シンナモイル,p−クロロシンナモイル,β
−フェニルシンナモイルなどが用いられる。「置換され
ていてもよいC6-10アリール−カルボニル基」としては
たとえば、ハロゲン,ニトロ,ヒドロキシ,C1-6アル
キル,C1-6アルコキシなどから選ばれた1〜3個の置
換基で置換されていてもよいC6-10アリール−カルボニ
ル基が用いられ、具体的にはたとえば、ベンゾイル,ナ
フトイル,フタロイル,p−トルオイル,p−tert−ブ
チルベンゾイル,p−ヒドロキシベンゾイル,p−メト
キシベンゾイル,p−tert−ブトキシベンゾイル,p−
クロロベンゾイル,p−ニトロベンゾイルなどが用いら
れる。
【0009】「複素環カルボニル基」における「複素環
基」は複素環の炭素原子に結合している水素原子を1個
とりのぞいてできる基をいい、そのような複素環はたと
えば、窒素原子(オキシド化されていてもよい),酸素
原子,硫黄原子などのヘテロ原子を1〜数個、好ましく
は1〜4個含む5〜8員環またはその縮合環をいう。こ
のような複素環基としては具体的には2−または3−ピ
ロリル;3−,4−または5−ピラゾリル;2−,4−
または5−イミダゾリル;1,2,3−または1,2,4−
トリアゾリル;1H−または2H−テトラゾリル;2−
または3−フリル;2−または3−チエニル;2−,4
−または5−オキサゾリル;3−,4−または5−イソ
キサゾリル;1,2,3−オキサジアゾール−4−イルま
たは1,2,3−オキサジアゾール−5−イル;1,2,4
−オキサジアゾール−3−イルまたは1,2,4−オキサ
ジアゾール−5−イル;1,2,5−または1,3,4−オ
キサジアゾリル;2−,4−または5−チアゾリル;3
−,4−または5−イソチアゾリル;1,2,3−チアジ
アゾール−4−イルまたは1,2,3−チアジアゾール−
5−イル;1,2,4−チアジアゾール−3−イルまたは
1,2,4−チアジアゾール−5−イル;1,2,5−また
は1,3,4−チアジアゾリル;2−または3−ピロリジ
ニル;2−,3−または4−ピリジル;2−,3−また
は4−ピリジル−N−オキシド;3−または4−ピリダ
ジニル;3−または4−ピリダジニル−N−オキシド;
2−,4−または5−ピリミジニル;2−,4−または
5−ピリミジニル−N−オキシド;ピラジニル;2−,
3−または4−ピペリジニル;ピペラジニル;3H−イ
ンドール−2−イルまたは3H−インドール−3−イ
ル;2−,3−または4−ピラニル;2−,3−または
4−チオピラニル;ベンゾピラニル;キノリル;ピリド
〔2,3−d〕ピリミジル;1,5−,1,6−,1,7
−,1,8−,2,6−または2,7−ナフチリジル;チ
エノ〔2,3−d〕ピリジル;ピリミドピリジル;ピラ
ジノキノリル;ベンゾピラニルなどが用いられる。「置
換されていてもよいC1-10アルキルスルホニル基」とし
てはたとえば、ハロゲン,C6-10アリール,C6-10アリ
ールオキシなどから選ばれた1〜3個の置換基で置換さ
れていてもよいC1-10アルキルスルホニル基が用いら
れ、具体的にはたとえばメタンスルホニル,エタンスル
ホニル,カンファースルホニルなどが用いられる。
【0010】「置換されていてもよいC6-10アリールス
ルホニル基」としてはたとえば、ハロゲン,ニトロ,C
1-6アルキル,C1-6アルコキシなどから選ばれた1〜3
個の置換基で置換されていてもよいC6-10アリールスル
ホニル基が用いられ、具体的にはたとえば、ベンゼンス
ルホニル,ナフタレンスルホニル,p−トルエンスルホ
ニル,p−tert−ブチルベンゼンスルホニル,p−メト
キシベンゼンスルホニル,p−クロロベンゼンスルホニ
ル,p−ニトロベンゼンスルホニルなどが用いられる。
「置換オキシカルボニル基」としてはたとえば、C1-10
アルコキシ−カルボニル基,C3-10シクロアルキルオキ
シ−カルボニル基,C5-10架橋環式炭化水素オキシ−カ
ルボニル基,C2-10アルケニルオキシ−カルボニル基,
6-10アリールオキシ−カルボニル基またはC7-19アラ
ルキルオキシ−カルボニル基のほか、それらがさらにC
1-6アルコキシ,C1-6アルカノイル,C1-10アルカノイ
ルオキシ,C1-10アルコキシ−カルボニルオキシ,C
3-10シクロアルキルオキシ−カルボニルオキシ,置換シ
リル基(後記する置換シリル基、例、トリメチルシリ
ル,tert−ブチルジメチルシリル等),C1-6アルキル
スルホニル,ハロゲン,シアノ,C1-6アルキル,ニト
ロ等から選ばれる置換基を1〜3個有しているものも含
まれる。具体的には例えばメトキシメチルオキシカルボ
ニル,アセチルメチルオキシカルボニル,2−トリメチ
ルシリルエトキシカルボニル,2−メタンスルホニルエ
トキシカルボニル,2,2,2−トリクロロエトキシカル
ボニル,2−シアノエトキシカルボニル,アリルオキシ
カルボニル,p−メチルフエノキシカルボニル,p−メ
トキシフエノキシカルボニル,p−クロロフエノキシカ
ルボニル,m−ニトロフエノキシカルボニル,p−メチ
ルベンジルオキシカルボニル,p−メトキシベンジルオ
キシカルボニル,p−クロロベンジルオキシカルボニ
ル,p−ニトロベンジルオキシカルボニル,o−ニトロ
ベンジルオキシカルボニル,3,4−ジメトキシ−6−
ニトロベンジルオキシカルボニルなどが用いられる。
【0011】「置換されていてもよいカルバモイル基」
としてはたとえば、C1-6アルキル,C6-10アリール,
1-6アルカノイル,C6-10アリールカルボニル,C1-6
アルコキシ−フェニル基などから選ばれた1または2個
の置換基で置換されていてもよいカルバモイル基が用い
られ、具体的にはたとえば、N−メチルカルバモイル,
N−エチルカルバモイル,N,N−ジメチルカルバモイ
ル,N,N−ジエチルカルバモイル,N−フェニルカル
バモイル,N−アセチルカルバモイル,N−ベンゾイル
カルバモイル,N−(p−メトキシフェニル)カルバモ
イルなどが用いられる。「置換されていてもよいチオカ
ルバモイル基」としてはたとえば、C1-6アルキル,C
6-10アリールなどから選ばれた1または2個の置換基で
置換されていてもよいチオカルバモイル基が用いられ、
たとえば、チオカルバモイル,N−メチルチオカルバモ
イル,N−フェニルチオカルバモイルなどが用いられ
る。
【0012】「置換されていてもよいC6-10アリール−
メチル基」としてはたとえば、ハロゲン,ニトロ,C
1-6アルキル,C1-6アルコキシなどから選ばれた1〜3
個の置換基で置換されていてもよいC6-10アリール−メ
チル基が用いられ、具体的にはたとえば、ベンジル,ナ
フチルメチル,p−メチルベンジル,p−メトキシベン
ジル,p−クロロベンジル,p−ニトロベンジルなどが
用いられる。「置換されていてもよいジC6-10アリール
−メチル基」としてはたとえば、ハロゲン,ニトロ,C
1-6アルキル,C1-6アルコキシなどから選ばれた1〜3
個の置換基で置換されていてもよいジC6-10アリール−
メチル基が用いられ、具体的にはたとえば、ベンズヒド
リル,ジ(p−トリル)メチルなどが用いられる。「置
換されていてもよいトリC6-10アリール−メチル基」と
してはたとえば、ハロゲン,ニトロ,C1-6アルキル,
1-6アルコキシなどから選ばれた1〜3個の置換基で
置換されていてもよいトリC6-10アリール−メチル基が
用いられ、具体的にはたとえば、トリチル,トリ(p−
トリル)メチルなどが用いられる。「置換されていても
よいC6-10アリール−メチレン基」としてはたとえば、
ハロゲン,ニトロ,C1-6アルキル,C1-6アルコキシな
どから選ばれた1〜3個の置換基で置換されていてもよ
いC6-10アリール−メチレン基が用いられ、具体的には
たとえば、ベンジリデン,p−メチルベンジリデン,p
−クロロベンジリデンなどが用いられる。「置換されて
いてもよいC6-10アリールチオ基」としてはたとえば、
ハロゲン,ニトロ,C1-6アルキル,C1-6アルコキシな
どから選ばれた1〜3個の置換基で置換されていてもよ
いC6-10アリールチオ基が用いられ、具体的にはたとえ
ば、o−ニトロフェニルチオなどが用いられる。
【0013】「置換シリル基」は保護されるアミノ基と
あわさって式R678SiNH−,(R678Si)2
−または
【化13】 〔式中、R6,R7,R8,R9,R10,R9aおよびR10aはそれ
ぞれC1-6アルキル基またはC6-10アリール基を、Za
1-3アルキレン基(メチレン、エチレン、プロピレン
など)を示す〕で表わされるような基を形成する。「置
換シリル基」の好ましい例としてはたとえば、トリメチ
ルシリル,tert−ブチルジメチルシリル,−Si(CH3)
2CH2CH2Si(CH3)2−などが用いられる。「2−C
1-10アルコキシ−カルボニル−1−メチル−1−エテニ
ル基」として具体的にはたとえば、2−メトキシカルボ
ニル−1−メチル−1−エテニル,2−エトキシカルボ
ニル−1−メチル−1−エテニル,2−tert−ブトキシ
カルボニル−1−メチル−1−エテニル,2−シクロヘ
キシルオキシカルボニル−1−メチル−1−エテニル,
2−ノルボルニルオキシカルボニル−1−メチル−1−
エテニルなどが用いられる。M'で示される「アルカリ金
属」としてはたとえば、ナトリウム,カリウムなどが好
ましく、特にナトリウムなどが好ましい。R1は抗菌活
性からみてアミノ基が好ましい。
【0014】R2はフッ素で置換された低級アルキル基
を表す。R2で表される「フッ素で置換された低級アル
キル基」としてはたとえば、フルオロメチル、2−フル
オロエチル、1,2−ジフルオロエチル、2,2,2−
トリフルオロエチルなどであり、好ましくはフルオロメ
チル、2−フルオロエチルなどの1〜3個のフッ素で置
換されたC1-6アルキル基などが、特に好ましくはフル
オロメチルが用いられる。R3で表される「置換されて
いてもよい炭化水素基」としては、例えば、置換されて
いてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニ
ル基、置換されていてもよいアルキニル基、置換されて
いてもよいアラルキル基、置換されていてもよい環状炭
化水素基などが挙げられる。「置換されていてもよいア
ルキル基」の「アルキル基」としてはC1-6アルキル基
などが好ましく、特にメチル,エチル,イソプロピルな
どC1-3アルキルが好ましい。「置換されていてもよい
アルケニル基」の「アルケニル基」としてはC2-6アル
ケニル基などが好ましい。「置換されていてもよいアル
キニル基」の「アルキニル基」としてはC2-6アルキニ
ル基などが好ましい。「置換されていてもよいアラルキ
ル基」の「アラルキル基」としてはC7-19アラルキル基
などが好ましい。「置換されていてもよい環状炭化水素
基」の「環状炭化水素基」としてはたとえば、シクロプ
ロピル,シクロブチル,シクロペンチル,シクロヘキシ
ル,シクロヘプチル,2−シクロペンテン−1−イル,
3−シクロペンテン−1−イル,2−シクロヘキセン−
1−イル,3−シクロヘキセン−1−イルなどの3〜7
員非芳香族環状炭化水素基、たとえばフェニル、ナフチ
ルなどの炭素数6〜10のアリール基などが挙げられ
る。
【0015】前記「炭化水素基」が有していてもよい置
換基としてはたとえば、複素環基,水酸基,C3-10シク
ロアルキル基,C1-6アルコキシ基,C3-7シクロアルキ
ルオキシ基,C6-10アリールオキシ基,C7-19アラルキ
ルオキシ基,複素環オキシ基,メルカプト基,C1-6
ルキルチオ基,C3-10シクロアルキルチオ基,C6-10
リールチオ基,C7-19アラルキルチオ基,複素環チオ
基,アミノ基,モノC1-6アルキルアミノ基,ジC1-6
ルキルアミノ基,トリC1-6アルキルアンモニウム基,
3-10シクロアルキルアミノ基,C6-10アリールアミノ
基,C7-19アラルキルアミノ基,複素環アミノ基,環状
アミノ基,アジド基,ニトロ基,ハロゲン原子,シアノ
基,カルボキシル基,C1-10アルコキシ−カルボニル
基,C1-10アリールオキシ−カルボニル基,C7-19アラ
ルキルオキシ−カルボニル基,C6-10アリール−カルボ
ニル基,C1-6アルカノイル基,C3-5アルケノイル基,
6−10アリール−カルボニルオキシ基,C2−6
ルカノイルオキシ基,C3-5アルケノイルオキシ基,置
換されていてもよいカルバモイル基,置換されていても
よいチオカルバモイル基,置換されていてもよいカルバ
モイルオキシ基,フタルイミド基,C1-6アルカノイル
アミノ基,C6-10アリール−カルボニルアミノ基,C
1-10アルコキシ−カルボキサミド基,C6-10アリールオ
キシ−カルボキサミド基,C7-19アラルキルオキシ−カ
ルボキサミド基などが挙げられ、同一または異なって1
ないし4個存在していてもよい。
【0016】前記「炭化水素基」の置換基の具体例のう
ち、「置換されていてもよいカルバモイル基」としては
たとえば、C1-6アルキル基,C6-10アリール基,C1-6
アルカノイル基,C6-10アリールカルボニル基,C1-6
アルコキシ−フェニル基などから選ばれた1または2個
の置換基で置換されていてもよいカルバモイル基および
環状アミノカルボニル基などが用いられ、具体的にはた
とえば、カルバモイル,N−メチルカルバモイル,N−
エチルカルバモイル,N,N−ジメチルカルバモイル,
N,N−ジエチルカルバモイル,N−フェニルカルバモ
イル,N−アセチルカルバモイル,N−ベンゾイルカル
バモイル,N−(p−メトキシフェニル)カルバモイ
ル,ピロリジノカルボニル,ピペリジノカルボニル,ピ
ペラジノカルボニル,モルホリノカルボニルなどが用い
られる。「置換されていてもよいチオカルバモイル基」
としてはたとえば、C1-6アルキル基,C6-10アリール
基などから選ばれた1または2個の置換基で置換されて
いてもよいチオカルバモイル基が用いられ、たとえば、
チオカルバモイル,N−メチルチオカルバモイル,N−
フェニルチオカルバモイルなどが用いられる。「置換さ
れていてもよいカルバモイルオキシ基」はたとえば、C
1-6アルキル基,C6-10アリール基などから選ばれた1
または2個の置換基で置換されていてもよいカルバモイ
ルオキシ基が用いられ、具体的にはたとえば、カルバモ
イルオキシ,N−メチルカルバモイルオキシ,N,N−
ジメチルカルバモイルオキシ,N−エチルカルバモイル
オキシ,N−フェニルカルバモイルオキシなどが用いら
れる。
【0017】「炭化水素基」の置換基における複素環
基,複素環オキシ基,複素環チオ基および複素環アミノ
基の複素環基としては、R1で示される保護されていて
もよいアミノ基の保護基として述べた「複素環カルボニ
ル基」における複素環基と同様の基が用いられる。前記
「置換されていてもよいアルキル基」の「アルキル
基」、「置換されていてもよいアルケニル基」の「アル
ケニル基」、「置換されていてもよいアルキニル基」の
「アルキニル基」、「置換されていてもよいアラルキル
基」の「アラルキル基」および「置換されていてもよい
環状炭化水素基」の「環状炭化水素基」が有していても
よい置換基としては、たとえば前記「置換されていても
よい炭化水素基」の「炭化水素基」が有していてもよい
置換基と同様のものなどが用いられる。
【0018】R3で表される「置換されていてもよい炭
化水素基」でより好ましいものは、たとえば水酸基,C
3-10シクロアルキル基,C1-6アルコキシ基,C1-6アル
キルチオ基,アミノ基,ハロゲン原子,カルボキシル
基,C1-10アルコキシカルボニル基,置換されていても
よいカルバモイル基,シアノ基,アジド基,複素環基な
どから選ばれた1ないし3個の置換基で置換されていて
もよいC1-6アルキル基などであり、具体的には、シク
ロプロピルメチル,メトキシメチル,エトキシメチル,
1−メトキシエチル,2−メトキシエチル,1−エトキ
シエチル,2−ヒドロキシエチル,メチルチオメチル,
2−アミノエチル,2−フルオロエチル,2,2−ジフ
ルオロエチル,クロロメチル,2−クロロエチル,2,
2−ジクロロエチル,2,2,2−トリクロロエチル,2
−ブロモエチル,2−ヨードエチル,2,2,2−トリフ
ルオロエチル,カルボキシメチル,1−カルボキシエチ
ル,2−カルボキシエチル,2−カルボキシプロピル,
3−カルボキシプロピル,1−カルボキシブチル,シア
ノメチル,1−カルボキシ−1−メチルエチル,メトキ
シカルボニルメチル,エトキシカルボニルメチル,tert
−ブトキシカルボニルメチル,1−メトキシカルボニル
−1−メチルエチル,1−エトキシカルボニル−1−メ
チルエチル,1−tert−ブトキシカルボニル−1−メチ
ルエチル,1−ベンジルオキシカルボニル−1−メチル
エチル,1−ピバロイルオキシカルボニル−1−メチル
エチル,カルバモイルメチル,N−メチルカルバモイル
メチル,N,N−ジメチルカルバモイルメチル,2−ア
ジドエチル,2−(ピラゾリル)エチル,2−(イミダ
ゾリル)エチル,2−(2−オキソピロリジン−3−イ
ル)エチル,1−カルボキシ−1−(2,3,4−トリヒ
ドロキシフェニル)メチルなどが挙げられる。「置換さ
れていてもよい炭化水素基」のうち最も好ましいもの
は、たとえばメチル,エチル,n−プロピル,イソプロ
ピルなどの直鎖状及び分枝状のC1-3アルキル基および
2−フルオロエチル,2−クロロエチル,2−ヒドロキ
シエチル,2−メトキシエチル,シアノメチル,カルボ
キシメチル,メトキシカルボニルメチル,エトキシカル
ボニルメチル,カルバモイルメチル,N−メチルカルバ
モイルメチル,N,N−ジメチルカルバモイルメチルな
どのハロゲン,水酸基,C1-6アルコキシ基,カルボキ
シル基,C1-10アルコキシカルボニル基,シアノ基およ
びカルバモイル基から選ばれた1ないし3個の置換基で
置換されていてもよい直鎖状のC1-6アルキル基が挙げ
られ、とりわけ、C1-3アルキル基(たとえば、メチ
ル、エチルなど)などが好ましい。
【0019】A環はR3以外の置換可能な位置に好まし
くは1または2個の置換基を有していてもよい。かかる
置換基としてはたとえば、水酸基,ヒドロキシC1-6
ルキル基,C1-6アルキル基,C2-6アルケニル基,C
2-6アルキニル基,C3-10シクロアルキル基,C5-6シク
ロアルケニル基,C3-10シクロアルキルC1-6アルキル
基,C6-10アリール基,C7-12アラルキル基,複素環
基,C1-6アルコキシ基,C1-6アルコキシ−C1-6アル
キル基,アミノC1-6アルコキシ基,C3-10シクロアル
キルオキシ基,C6-10アリールオキシ基,C7-19アラル
キルオキシ基,メルカプト基,メルカプトC1-6アルキ
ル基,スルホ基,スルホC1-6アルキル基,C1-6アルキ
ルチオ基,C1-6アルキルチオC1-6アルキル基,C3-10
シクロアルキルチオ基,C6-10アリールチオ基,C7-19
アラルキルチオ基,アミノC1-6アルキルチオ基,アミ
ノ基,アミノC1-6アルキル基,モノC1-6アルキルアミ
ノ基,ジC1-6アルキルアミノ基,モノC1-6アルキルア
ミノC1-6アルキル基,ジC1-6アルキルアミノC1-6
ルキル基,C3-10シクロアルキルアミノ基,C6-10アリ
ールアミノ基,C7-19アラルキルアミノ基,環状アミノ
基,環状アミノC1-6アルキル基,環状アミノC1-6アル
キルアミノ基,アシルアミノ基,ウレイド基,C1-6
ルキルウレイド基,アジド基,ニトロ基,ハロゲン原
子,ハロゲノC1-6アルキル基,シアノ基,シアノC1-6
アルキル基,カルボキシル基,カルボキシC1-6アルキ
ル基,C1-10アルコキシ−カルボニル基,C1-10アルコ
キシ−カルボニルC1-6アルキル基,C6-10アリールオ
キシ−カルボニル基,C7-19アラルキルオキシ−カルボ
ニル基,C6-10アリール−C1-6アルカノイル基,C1-6
アルカノイル基,C2-6アルカノイルC1-6アルキル基,
3-5アルケノイル基,C6-10アリール−C1-6アルカノ
イルオキシ基,C2-6アルカノイルオキシ基,C2-6アル
カノイルオキシC1-6アルキル基,C3-5アルケノイルオ
キシ基,カルバモイルC1-6アルキル基,カルバモイル
基,チオカルバモイル基,カルバモイルオキシ基,カル
バモイルオキシC1-6アルキル基,C1-6アルカノイルア
ミノ基,C6-10アリール−C1-6アルカノイルアミノ
基,スルホンアミド基,カルボキシアミノ基,C1-10
ルコキシ−カルボキサミド基,C6-10アリールオキシ−
カルボキサミド基,C7-19アラルキルオキシ−カルボキ
サミド基などが用いられる。
【0020】前記ピリジン環上の置換基における「アシ
ルアミノ基」のアシル基としては、C1-6アルカノイル
基,C3-5アルケノイル基,C3-10シクロアルキル−カ
ルボニル基,C5-10架橋環式炭化水素−オキシカルボニ
ル基,C5-6シクロアルケニル−カルボニル基,C6-10
アリール−カルボニル基,C7-19アラルキル−カルボニ
ル基,アミノ酸残基(アミノ酸のカルボキシル基の水酸
基をとりのぞいてできるアシル基、具体的にはたとえ
ば、グリシル,ザルコシル,アラニル,バリル,ロイシ
ル,イソロイシル,セリル,スレオニル,システィニ
ル,シスチニル,メチオニル,アスパラギル,グルタミ
ル,リジル,アルギニル,フェニルグリシル,フェニル
アラニル,チロシル,ヒスチジル,トリプトファニル,
プロリルなど),アミノC1-6アルキル−カルボニル
基,モノC1-6アルキルアミノC1-6アルキル−カルボニ
ル基,ジC1-6アルキルアミノC1-6アルキル−カルボニ
ル基,環状アミノアルキルカルボニル基などが用いられ
る。前記ピリジン環上の置換基における「複素環基」と
しては、R1で示される保護されていてもよいアミノ基
の保護基として述べた「複素環カルボニル基」における
「複素環基」と同様のものが用いられる。
【0021】化合物〔I〕としては、式〔I−a〕で表
わされる化合物またはそのエステルあるいはその塩が好
ましく、式〔I−b〕
【化14】 〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合
物またはそのエステルあるいはその塩がより好ましい。
式〔I−a〕で表される化合物は、R2がフッ素で置換
された低級アルキル基かつR3がC1-6アルキル基(たと
えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルなど)
などのときが最も好ましい。
【0022】
【化15】 上の陽電荷と一対になって分子内塩を形成していること
を示す。一方、化合物〔I〕は薬理学的に受容されるエ
ステルまたは塩を形成してもよい。薬理学的に受容され
る塩としては無機塩基塩,アンモニウム塩,有機塩基
塩,無機酸付加塩,有機酸付加塩,塩基性アミノ酸塩な
どが用いられる。無機塩基塩を生成させうる無機塩基と
してはアルカリ金属(たとえばナトリウム,カリウムな
ど),アルカリ土類金属(たとえばカルシウムなど)など
が、有機塩基塩を生成させうる有機塩基としてはたとえ
ばプロカイン,2−フェニルエチルベンジルアミン,ジ
ベンジルエチレンジアミン,エタノールアミン,ジエタ
ノールアミン,トリスヒドロキシメチルアミノメタン,
ポリヒドロキシアルキルアミン,N−メチルグルコサミ
ンなどが、無機酸付加塩を生成させうる無機酸としては
たとえば塩酸,臭化水素酸,硫酸,硝酸,リン酸など
が、有機酸付加塩を生成させうる有機酸としてはたとえ
ばp−トルエンスルホン酸,メタンスルホン酸,ギ酸,
トリフルオロ酢酸,マレイン酸などが、塩基性アミノ酸
塩を生成させうる塩基性アミノ酸としてはたとえばリジ
ン,アルギニン,オルニチン,ヒスチジンなどが用いら
れる。これらの塩のうち塩基塩(すなわち無機塩基塩,
アンモニウム塩,有機塩基塩,塩基性アミノ酸塩)は化
合物〔I〕の置換基R1,R2,R3もしくは
【化16】 中にアミノ基、モノアルキルアミノ基,ジアルキルアミ
ノ基,シクロアルキルアミノ基,アリールアミノ基,ア
ラルキルアミノ基,環状アミノ基,含窒素複素環基など
の塩基性基が存在する場合に形成しうる酸付加塩を意味
する。また酸付加塩としては
【化17】 たとえばクロライドイオン,ブロマイドイオン,スルフ
ェートイオン,p−トルエンスルホネートイオン,メタ
ンスルホネートイオン,トリフルオロアセテートイオン
など〕となった塩も含まれる。化合物〔I〕のエステル
誘導体は分子中に含まれるカルボキシル基をエステル化
することにより生成されうるエステルを意味し、合成中
間体として利用できるエステルおよび代謝上不安定な無
毒のエステルである。合成中間体として利用できるエス
テルとしては置換されていてもよいC1-6アルキルエス
テル,C2-6アルケニルエステル,C3-10シクロアルキ
ルエステル,C3-10シクロアルキルC1-6アルキルエス
テル,置換されていてもよいC6-10アリールエステル,
置換されていてもよいC7-12アラルキルエステル,ジC
6 -10アリール−メチルエステル,トリC6-10アリール−
メチルエステル,置換シリルエステルなどが用いられ
る。
【0023】「置換されていてもよいC1-6アルキルエ
ステル」としては、たとえばメチル,エチル,n−プロ
ピル,イソプロピル,n−ブチル,イソブチル,sec−
ブチル,tert−ブチル,n−ペンチル,n−ヘキシル等
が用いられ、それらは例えば、ベンジルオキシ,C1-4
アルキルスルホニル(例、メチルスルホニル等),トリ
メチルシリル,ハロゲン(例、フッ素.塩素,臭素
等),アセチル,ニトロベンゾイル,メシルベンゾイ
ル,フタルイミド,サクシンイミド,ベンゼンスルホニ
ル,フェニルチオ,ジC1-4アルキルアミノ(例、ジメ
チルアミノ等),ピリジル,C1-4アルキルスルフィニ
ル(例、メチルスルフィニル等),シアノ等で1〜3個
置換されていてもよく、そのような基としては具体的に
は例えば、ベンジルオキシメチル,2ーメチルスルホニ
ルエチル,2−トリメチルシリルエチル,2,2,2−ト
リクロロエチル,2−ヨードエチル,アセチルメチル,
p−ニトロベンゾイルメチル,p−メシルベンゾイルメ
チル,フタルイミドメチル,サクシンイミドメチル,ベ
ンゼンスルホニルメチル,フェニルチオメチル,ジメチ
ルアミノエチル,ピリジン−1−オキシド−2−メチ
ル,メチルスルフィニルメチル,2−シアノ−1,1−
ジメチルエチルなどが用いられる。「C2-6アルケニル
エステル」を形成するC2-6アルケニル基としてはビニ
ル,アリル,1−プロペニル,イソプロペニル,1−ブ
テニル,2−ブテニル,3−ブテニル,メタリル,1,
1−ジメチルアリル,3−メチル−3−ブテニルなどが
用いられる。「C3-10シクロアルキルエステル」を形成
するC3-10シクロアルキル基としてはシクロプロピル,
シクロブチル,シクロペンチル,シクロヘキシル,シク
ロヘプチル,ノルボルニル,アダマンチルなどが用いら
れる。「C3-10シクロアルキルC1-6アルキルエステ
ル」を形成するC3-10シクロアルキルC1-6アルキル基
としてはシクロプロピルメチル,シクロペンチルメチ
ル,シクロヘキシルメチルなどが用いられる。「置換さ
れていてもよいC6-10アリールエステル」を形成する
「C6-10アリール基」としてはたとえばフェニル,α−
ナフチル,β−ナフチル,ビフェニリル等が用いられ、
それらは例えば、ニトロ,ハロゲン(例、フッ素,塩
素,臭素等)等で1〜3個置換されていてもよく、その
ような基として具体的には例えば、p−ニトロフェニ
ル,p−クロロフェニルなどが用いられる。
【0024】「置換されていてもよいC7-12アラルキル
エステル」を形成する「C7-12アラルキル基」としてはた
とえば、ベンジル,1−フェニルエチル,2−フェニル
エチル,フェニルプロピル,ナフチルメチル等が用いら
れ、それらは例えば、ニトロ,C1-4アルコキシ(例、
メトキシ等),C1-4アルキル(例、メチル,エチル
等),ヒドロキシで1〜3個置換されていてもよく、そ
のような基として具体的には例えば、p−ニトロベンジ
ル,p−メトキシベンジル,3,5−ジtert−ブチル−
4−ヒドロキシベンジルなどが用いられる。「ジC6-10
アリール−メチルエステル」を形成するジC6-10アリー
ル−メチル基としてはベンズヒドリルなどが、トリC
6-10アリール−メチルエステルを形成するトリC6-10
リール−メチル基としてはトリチルなどが、置換シリル
エステルを形成する置換シリル基としてはトリメチルシ
リル,tert−ブチルジメチルシリル,−Si(CH3)2
2CH2Si(CH3)2−などが用いられる。前記したエ
ステルには4位のエステルも含む。このように4位が前
記のエステル基であるも
【化18】 ような塩を形成している。
【0025】本発明は前記エステル誘導体のほかに、生
体内において化合物〔I〕に変換される薬理学的に受容
しうる化合物も包含する。
【化19】 てもよい。このようなアミノ基の置換基としては、R1
で示される保護されていてもよいアミノ基における保護
基などがそのまま用いられる。本発明の化合物〔I〕お
よび原料化合物においては、シス異性体(Z体)、トラ
ンス異性体(E体)およびシス、トランス混合物が包含
されるものとする。本発明の化合物〔I〕は、トランス
異性体(E体)が好ましい。化合物〔I〕については、
例えばシス異性体(Z体)は式〔VII〕で表わされる部
分構造を有する幾何異性体の1つを意味し、トランス異
性体は式〔VIII〕で表わされる部分構造を有する幾何異
性体を意味する。
【化20】
【0026】本願明細書において特に明記されていない
場合の各置換基の具体例は次の通りである。 ハロゲン:フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードなど; C1-6アルキル基:メチル、エチル、プロピル、イソプ
ロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、
2,2−ジメチルプロピル、ヘキシルなど; C2-6アルケニル基:ビニル、アリル、1−プロペニ
ル、イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3
−ブテニル、メタリル、1,1−ジメチルアリルなど; C2-6アルキニル基:エチニル、1−プロピニル、2−
プロピニル、2−ブチニル、2−ペンチニル、2−ヘキ
シニルなど; C3-10シクロアルキル基:シクロプロピル、シクロブチ
ル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチ
ル、シクロオクチル、シクロデシルなど; C5-6シクロアルケニル基:シクロペンテニル、シクロ
ペンタジエニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエ
ニルなど; C6-10アリール基:フェニル、ナフチルなど; C7-20アラルキル基:ベンジル、1−フェニルエチル、
2−フェニルエチル、フェニルプロピル、ナフチルメチ
ル、ベンズヒドリルなど;
【0027】ハロゲノC1-6アルキル基:フルオロメチ
ル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメ
チル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、2−フルオ
ロエチル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリ
フルオロエチル、2−クロロエチル、2,2−ジクロロ
エチル、2,2,2−トリクロロエチル、2−ブロモエチ
ル、2−ヨードエチルなど; シアノC1-6アルキル基:シアノメチル、2−シアノエ
チルなど; カルボキシC1-6アルキル基:カルボキシメチル、1−
カルボキシエチル、2−カルボキシエチルなど; スルホC1-6アルキル基:スルホメチル、2−スルホエ
チルなど; ヒドロキシC1-6アルキル基:ヒドロキシメチル、1−
ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロ
キシプロピルなど; メルカプトC1-6アルキル基:メルカプトメチル、1−
メルカプトエチル、2−メルカプトエチルなど; アミノC1-6アルキル基:アミノメチル、2−アミノエ
チル、3−アミノプロピルなど; モノC1-6アルキルアミノC1-6アルキル基:メチルアミ
ノメチル、エチルアミノメチル、2−(N−メチルアミ
ノ)エチル、3−(N−メチルアミノ)プロピルなど; ジC1-6アルキルアミノC1-6アルキル基:N,N−ジメ
チルアミノメチル、N,N−ジエチルアミノメチル、2
−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、2−(N,N−ジエ
チルアミノ)エチル、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロ
ピルなど; 環状アミノC1-6アルキル基:ピロリジノメチル、ピペ
リジノメチル、ピペラジノメチル、モルホリノメチル、
2−(モルホリノ)エチルなど; C1-6アルコキシC1-6アルキル基:メトキシメチル、エ
トキシメチル、2−メトキシエチルなど; C1-6アルキルチオC1-6アルキル基:メチルチオメチ
ル、2−メチルチオエチルなど; C3-10シクロアルキルC1-6アルキル基:シクロプロピ
ルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチ
ル、シクロヘキシルメチル、シクロヘプチルメチル、シ
クロオクチルメチル、シクロデシルメチルなど; C2-6アルカノイルC1-6アルキル基:アセチルメチル、
1−アセチルエチル、2−アセチルエチルなど; C2-6アルカノイルオキシC1-6アルキル基:アセトキシ
メチル、1−アセトキシエチル、2−アセトキシエチル
など; C1-10アルコキシ−カルボニルC1-6アルキル基:メト
キシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、te
rt−ブトキシカルボニルメチルなど; カルバモイルC1-6アルキル基:カルバモイルメチル、
2−カルバモイルエチルなど; カルバモイルオキシC1-6アルキル基:カルバモイルオ
キシメチル、1−カルバモイルオキシエチルなど;
【0028】C1-6アルコキシ基:メトキシ、エトキ
シ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブト
キシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、2,2−ジメチ
ルプロピルオキシ、ヘキシルオキシなど; C3-10シクロアルキルオキシ基:シクロプロピルオキ
シ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シク
ロヘキシルオキシ、シクロヘプチルオキシ、シクロオク
チルオキシ、シクロデシルオキシなど; C6-10アリールオキシ基:フェノキシ、ナフチルオキシ
など; C7-19アラルキルオキシ基:ベンジルオキシ、1−フェ
ニルエチルオキシ、2−フェニルエチルオキシ、ベンズ
ヒドリルオキシなど; アミノC1-6アルコキシ基:アミノメトキシ、2−アミ
ノエトキシ、3−アミノプロポキシなど;
【0029】C1-6アルキルチオ基:メチルチオ、エチ
ルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ、イソブチルチオ、
t−ブチルチオ、ペンチルチオ、2,2−ジメチルプロ
ピルチオ、ヘキシルチオなど; C3-10シクロアルキルチオ基:シクロプロピルチオ、シ
クロブチルチオ、シクロペンチルチオ、シクロヘキシル
チオ、シクロヘプチルチオ、シクロオクチルチオ、シク
ロデシルチオなど; C6-10アリールチオ基:フェニルチオ、ナフチルチオな
ど; C7-19アラルキルチオ基:ベンジルチオ、フェニルエチ
ルチオ、ベンズヒドリルチオ、トリチルチオなど; アミノC1-6アルキルチオ基:アミノメチルチオ、2−
アミノエチルチオ、3−アミノプロピルチオなど; C1-6アルキルスルホニル基:メチルスルホニル、エチ
ルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスル
ホニル、ブチルスルホニル、イソブチルスルホニル、t
−ブチルスルホニル、ペンチルスルホニル、2,2−ジ
メチルプロピルスルホニル、ヘキシルスルホニルなど;
【0030】モノC1-6アルキルアミノ基:メチルアミ
ノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、n−ブチルア
ミノなど; ジC1-6アルキルアミノ基:ジメチルアミノ、ジエチル
アミノ、メチルエチルアミノ、ジ−(n−プロピル)ア
ミノ、ジ−(n−ブチル)アミノなど; トリC1-6アルキルアンモニウム基:トリメチルアンモ
ニウムなど; C3-10シクロアルキルアミノ基:シクロプロピルアミ
ノ、シクロペンチルアミノ、シクロヘキシルアミノな
ど; C6-10アリールアミノ基:アニリノ、N−メチルアニリ
ノなど; C7-19アラルキルアミノ基:ベンジルアミノ、1−フェ
ニルエチルアミノ、2−フェニルエチルアミノ、ベンズ
ヒドリルアミノなど; 環状アミノ基:ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、
モルホリノ、1−ピロリルなど; 環状アミノC1-6アルキルアミノ基:ピロリジノエチル
アミノ、ピペリジノエチルアミノ、ピペラジノエチルア
ミノ、モルホリノエチルアミノなど; C1-6アルカノイルアミノ基:アセトアミド、プロピオ
ンアミド、ブチロアミド、バレロアミド、ピバロアミド
など; C6-10アリール−カルボニルアミノ基:ベンズアミド、
ナフトイルアミド、フタルイミドなど; C6-10アリール−C1-6アルカノイルアミノ基:フェニ
ルアセチルアミノなど;
【0031】C1-6アルカノイル基:ホルミル、アセチ
ル、プロピオニル、ブチリル、バレリル、ピバロイル、
サクシニル、グルタリルなど; C2-6アルカノイルオキシ基:アセトキシ、プロピオニ
ルオキシ、ブチリルオキシ、バレリルオキシ、ピバロイ
ルオキシなど; C3-5アルケノイル基:アクリロイル、クロトノイル、
マレオイルなど; C3-5アルケノイルオキシ基:アクリロイルオキシ、ク
ロトノイルオキシ、マレオイルオキシなど; C6-10アリール−カルボニル基:ベンゾイル、ナフトイ
ル、フタロイルなど; C6-10アリール−カルボニルオキシ基:ベンゾイルオキ
シ、ナフトイルオキシなど; C3-10シクロアルキル−カルボニル基:シクロプロピル
カルボニル、シクロブチルカルボニル、シクロペンチル
カルボニル、シクロヘキシルカルボニル、シクロヘプチ
ルカルボニル、シクロオクチルカルボニル、シクロデシ
ルカルボニルなど; C5-6シクロアルケニル−カルボニル基:シクロペンテ
ニルカルボニル、シクロペンタジエニルカルボニル、シ
クロヘキセニルカルボニル、シクロヘキサジエニルカル
ボニルなど; C7-19アラルキル−カルボニル基:フェニルアセチル、
フェニルプロピオニル、α,α−ジフェニルアセチル、
α,α,α−トリフェニルアセチルなど; C6-10アリール−C1-6アルカノイル基:フェニルアセ
チルなど; C6-10アリール−C1-6アルカノイルオキシ基:フェニ
ルアセチルオキシなど;
【0032】C1-10アルコキシ−カルボニル基:メトキ
シカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボ
ニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニ
ル、イソブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニ
ル、ペンチルオキシカルボニル、2,2−ジメチルプロ
ピルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル、ヘ
プチルオキシカルボニル、デシルオキシカルボニルな
ど; C1-10アルコキシ−カルボニルオキシ基:メトキシカル
ボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、プロポキシ
カルボニルオキシ、イソプロポキシカルボニルオキシ、
ブトキシカルボニルオキシ、イソブトキシカルボニルオ
キシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、ペンチルオキシ
カルボニルオキシ、2,2−ジメチルプロピルオキシカ
ルボニルオキシ、ヘキシルオキシカルボニルオキシ、ヘ
プチルオキシカルボニルオキシ、デシルオキシカルボニ
ルオキシなど; C3-10シクロアルキルオキシ−カルボニル基:シクロプ
ロピルオキシカルボニル、シクロブチルオキシカルボニ
ル、シクロペンチルオキシカルボニル、シクロヘキシル
オキシカルボニル、シクロヘプチルオキシカルボニル、
シクロオクチルオキシカルボニル、シクロデシルオキシ
カルボニルなど; C3-10シクロアルキルオキシ−カルボニルオキシ基:シ
クロプロピルオキシカルボニルオキシ、シクロブチルオ
キシカルボニルオキシ、シクロペンチルオキシカルボニ
ルオキシ、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ、シ
クロヘプチルオキシカルボニルオキシ、シクロオクチル
オキシカルボニルオキシ、シクロデシルオキシカルボニ
ルオキシなど; C5-10架橋環式炭化水素オキシ−カルボニル基:ノルボ
ルニルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニ
ルなど; C2-10アルケニルオキシ−カルボニル基:アリルオキシ
カルボニルなど; C6-10アリールオキシ−カルボニル基:フェノキシカル
ボニル、ナフチルオキシカルボニルなど C7-19アラルキルオキシ−カルボニル基:ベンジルオキ
シカルボニル、ベンズヒドリルオキシカルボニルなど; アミノC1-6アルキル−カルボニル基:2−アミノエチ
ルカルボニル、3−アミノプロピルカルボニルなど; モノC1-6アルキルアミノC1-6アルキル−カルボニル
基:メチルアミノメチルカルボニル、2−エチルアミノ
エチルカルボニルなど; ジC1-6アルキルアミノC1-6アルキル−カルボニル基:
ジメチルアミノメチルカルボニル、ジエチルアミノメチ
ルカルボニルなど; 環状アミノアルキルカルボニル基:イミダゾリノメチ
ル、ピラゾリノエチルなど;
【0033】C1-10アルコキシ−カルボキサミド基:メ
トキシカルボキサミド(CH3OCONH−)、エトキ
シカルボキサミド、tert−ブトキシカルボキサミドな
ど; C6-10アリールオキシ−カルボキサミド基:フェノキシ
カルボキサミド(C65OCONH−)など; C7-10アラルキルオキシ−カルボキサミド基:ベンジル
オキシカルボキサミド(C65CH2OCONH−)、
ベンズヒドリルオキシカルボキサミドなど; C1-6アルキルウレイド基:メチルウレイド、エチルウ
レイド、n−プロピルウレイドなど; スルホンアミド基:メタンスルホニル、エタンスルホニ
ルなど;
【0034】本発明の化合物〔I〕の製造法を以下に詳
しく述べる。 製造法(1):たとえば式〔II〕
【化21】 〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表わされる7
−アミノ化合物またはそのエステルあるいはその塩と式
【化22】 〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕(以下RbOH
と標記する。)で表わされるカルボン酸またはその塩あ
るいはその反応性誘導体とを反応させることにより化合
物〔I〕を合成することができる。
【0035】本法は7−アミノ化合物〔II〕をカルボン
酸RbOHまたはその塩あるいはその反応性誘導体でア
シル化する方法である。この方法においてカルボン酸R
bOHは遊離のまま、またはその塩あるいはその反応性
誘導体が7−アミノ化合物〔II〕の7位アミノ基のアシ
ル化剤として用いられる。すなわち遊離酸 RbOHまた
は遊離酸RbOHの無機塩基塩,有機塩基塩,酸ハライ
ド,酸アジド,酸無水物,混合酸無水物,活性アミド,
活性エステル,活性チオエステルなどの反応性誘導体が
アシル化反応に供される。無機塩基塩としてはアルカリ
金属塩(たとえばナトリウム塩,カリウム塩など),ア
ルカリ土類金属塩(たとえばカルシウム塩など)など
が,有機塩基塩としてはたとえばトリメチルアミン塩,
トリエチルアミン塩,tert−ブチルジメチルアミン塩,
ジベンジルメチルアミン塩,ベンジルジメチルアミン
塩,N,N−ジメチルアニリン塩,ピリジン塩,キノリ
ン塩などが,酸ハライドとしてはたとえば酸クロライ
ド,酸ブロマイドなどが,混合酸無水物としてはモノC
1-6アルキル炭酸混合酸無水物(たとえば遊離酸RbOH
とモノメチル炭酸,モノエチル炭酸,モノイソプロピル
炭酸,モノイソブチル炭酸,モノtert−ブチル炭酸,モ
ノベンジル炭酸,モノ(p−ニトロベンジル)炭酸,モ
ノアリル炭酸などとの混合酸無水物),C1-6脂肪族カ
ルボン酸混合酸無水物(たとえば遊離酸RbOHと酢
酸,トリクロロ酢酸,シアノ酢酸,プロピオン酸,酪
酸,イソ酪酸,吉草酸,イソ吉草酸,ピバル酸,トリフ
ルオロ酢酸,トリクロロ酢酸,アセト酢酸などとの混合
酸無水物),C7-12芳香族カルボン酸混合酸無水物(た
とえば遊離酸RbOHと安息香酸,p−トルイル酸,p
−クロロ安息香酸などとの混合酸無水物),有機スルホ
ン酸混合酸無水物〔たとえば遊離酸RbOHとメタンス
ルホン酸,エタンスルホン酸,ベンゼンスルホン酸,p
−トルエンスルホン酸などとの混合酸無水物)などが,
活性アミドとしては含窒素複素環化合物とのアミド(た
とえば遊離酸RbOHとピラゾール,イミダゾール,ベ
ンゾトリアゾールなどとの酸アミドで,これらの含窒素
複素環化合物はC1-6アルキル基,C1-6アルコキシ基,
ハロゲン,オキソ基,チオキソ基,C1-6アルキルチオ
基などで置換されていてもよい。〕などがあげられる。
活性エステルとしてはβ−ラクタムおよびペプチド合成
の分野でこの目的に用いられるものはすべて利用でき,
たとえば有機リン酸エステル(たとえばジエトキシリン
酸エステル,ジフェノキシリン酸エステルなど)のほか
p−ニトロフェニルエステル,2,4−ジニトロフェニ
ルエステル,シアノメチルエステル,ペンタクロロフェ
ニルエステル,N−ヒドロキシサクシンイミドエステ
ル,N−ヒドロキシフタルイミドエステル,1−ヒドロ
キシベンゾトリアゾールエステル,6−クロロ−1−ヒ
ドロキシベンゾトリアゾールエステル,1−ヒドロキシ
−1H−2−ピリドンエステルなどがあげられる。活性
チオエステルとしては芳香族複素環チオール化合物との
エステル〔たとえば2−ピリジルチオールエステル,2
−ベンゾチアゾリルチオールエステルなどで,これらの
複素環はC1-6アルキル基,C1-6アルコキシ基,ハロゲ
ン,C1-6アルキルチオ基などで置換されていてもよ
い。〕が挙げられる。一方、7−アミノ化合物〔II〕は
遊離のまま,その塩あるいはエステルとして用いられ
る。7−アミノ化合物〔II〕の塩としては無機塩基塩,
アンモニウム塩,有機塩基塩,無機酸付加塩,有機酸付
加塩などがあげられる。無機塩基塩としてはアルカリ金
属塩(たとえばナトリウム塩,カリウム塩など),アル
カリ土類金属塩(たとえばカルシウム塩など)などが、
有機塩基塩としてはたとえばトリメチルアミン塩,トリ
エチルアミン塩,tert−ブチルジメチルアミン塩,ジベ
ンジルメチルアミン塩,ベンジルジメチルアミン塩,
N,N−ジメチルアニリン塩,ピリジン塩,キノリン塩
などが、無機酸付加塩としてはたとえば塩酸塩,臭化水
素酸塩,硫酸塩,硝酸塩,リン酸塩などが、有機酸付加
塩としてはギ酸塩,酢酸塩,トリフルオロ酢酸塩,メタ
ンスルホン酸塩, p−トルエンスルホン酸塩などがあげ
られる。7−アミノ化合物〔II〕のエステルとしては化
合物〔I〕のエステル誘導体としてすでに述べたエステ
ルがここでもそのままあげられる。すなわちC1−6
ルキルエステル, C2-6アルケニルエステル, C3-10
クロアルキルエステル, C3-6シクロアルキル−C1-6
ルキルエステル, C6-10アリールエステル, C7-12アラ
ルキルエステル,ジ−C6-10アリールメチルエステル,
トリ−C6-10アリールメチルエステル,C2-6アルカノ
イルオキシ−C1-6アルキルエステルなどが挙げられ
る。原料物質RbOH、その塩及びその反応性誘導体は
公知の方法(例えば、特開昭60−231684号,特
開昭62−149682号等に記載の方法)またはそれ
に準ずる方法によって容易に製造できる。化合物Rb
Hの反応性誘導体は反応混合物から単離された物質とし
て7−アミノ化合物〔II〕と反応させてもよいし、また
は単離前の化合物RbOHの反応性誘導体を含有する反
応混合物をそのまま7−アミノ化合物〔II〕と反応させ
ることもできる。カルボン酸RbOHを遊離酸または塩
の状態で使用する場合は適当な縮合剤を用いる。縮合剤
としてはたとえばN,N′−ジシクロヘキシルカルボジ
イミドなどのN,N′−ジ置換カルボジイミド類,たとえ
ばN,N′−カルボニルジイミダゾール,N,N′−チオ
カルボニルジイミダゾ−ルなどのアゾライド類,たとえ
ばN−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジ
ヒドロキノリン,オキシ塩化リン,アルコキシアセチレ
ンなどの脱水剤,たとえば2−クロロピリジニウムメチ
ルアイオダイド,2−フルオロピリジニウムメチルアイ
オダイドなどの2−ハロゲノピリジニウム塩類などが用
いられる。これらの縮合剤を用いた場合、反応はカルボ
ン酸RbOHの反応性誘導体を経て進行すると考えられ
る。反応は一般に溶媒中で行なわれ、反応を阻害しない
溶媒が適宜に選択される。このような溶媒としてはたと
えばジオキサン,テトラヒドロフラン,ジエチルエーテ
ル,tert−ブチルメチルエーテル,ジイソプロピルエー
テル,エチレングリコール−ジメチルエーテルなどのエ
ーテル類,たとえばギ酸エチル,酢酸エチル,酢酸n−
ブチルなどのエステル類,たとえばジクロロメタン,ク
ロロホルム,四塩化炭素,トリクレン,1,2−ジクロ
ロエタンなどのハロゲン化炭化水素類,たとえばn−ヘ
キサン,ベンゼン,トルエンなどの炭化水素類,たとえ
ばホルムアミド,N,N−ジメチルホルムアミド,N,N
−ジメチルアセトアミドなどのアミド類,たとえばアセ
トン,メチルエチルケトン,メチルイソブチルケトンな
どのケトン類,たとえばアセトニトリル,プロピオニト
リルなどのニトリル類などのほか,ジメチルスルホキシ
ド,スルホラン,ヘキサメチルホスホルアミド,水など
が単独または混合溶媒として用いられる。アシル化剤
(RbOH)の使用量は7−アミノ化合物〔II〕1モルに
対して通常約1〜5モル,好ましくは約1〜2モルであ
る。反応は約−80〜80℃,好ましくは約−40〜5
0℃,最も好ましくは約−30〜30℃の温度範囲で行
われる。反応時間は7−アミノ化合物〔II〕およびカル
ボン酸RbOHの種類,溶媒の種類(混合溶媒の場合は
その混合比も),反応温度などに依存し、通常約1分〜
72時間,好ましくは約15分〜3時間である。アシル化剤
として酸ハライドを用いた場合は放出されるハロゲン化
水素を反応系から除去する目的で脱酸剤の存在下に反応
を行うことができる。このような脱酸剤としてはたとえ
ば炭酸ナトリウム,炭酸カリウム,炭酸カルシウム,炭
酸水素ナトリウムなどの無機塩基,たとえばトリエチル
アミン,トリ(n−プロピル)アミン,トリ(n−ブチ
ル)アミン,ジイソプロピルエチルアミン,シクロヘキ
シルジメチルアミン,ピリジン,ルチジン,γ−コリジ
ン,N,N−ジメチルアニリン,N−メチルピペリジ
ン,N−メチルピロリジン,N−メチルモルホリンなど
の第3級アミン,たとえばプロピレンオキシド,エピク
ロルヒドリンなどのアルキレンオキシドなどが挙げられ
る。
【0036】本反応の原料の7−アミノ化合物〔II〕も
しくはそのエステルまたはその塩はたとえば、式〔IX〕
【化23】 〔式中、R4はカルボキシル基の保護基、R5はアミノ基
の保護基、Lはハロゲン原子、低級アシルオキシ基、ま
たはスルホニルオキシ基、その他の記号は前記と同意義
を示す。〕で表わされる化合物と置換されていてもよい
式〔IV〕
【化24】 〔式中、Mは水素、アルカリ金属、その他の記号は前記
と同意義を示す。〕で表わされるピリジン化合物または
その塩とを反応させて、式〔X〕
【化25】 〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表わされる化
合物またはその塩を製造し、ついで、例えば特開昭55
−154978などに記載されている方法によりS−オ
キシドを還元して、式〔XI〕
【化26】 〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表わされる化
合物またはその塩を製造する。ついで、化合物〔XI〕に
式R3−X(Xは脱離基を示す。)で示される化合物と
を反応させ式〔XII〕
【化27】 〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合
物から保護基を除去することにより製造できる。
【0037】ここで、R4で示されるカルボキシ基の保
護基としては、前記のエステルが挙げられる。特に、ト
リメチルシリル基等のトリ(低級)アルキルシリル基、
ベンズヒドリル基、p−メトキシベンジル基、tert−ブ
チル基、p−ニトロベンジル基、フェナシル基等通常こ
の分野で用いられ、容易に除去し得るカルボキシ基の保
護基が好ましい。
【0038】R5で示されるアミノ基の保護基として
は、前記のR1で示される「保護されていてもよいアミ
ノ基」におけるアミノ基の保護基として述べたものが挙
げられる。特に、トリメチルシリル基等のトリ(低級)
アルキルシリル基、ホルミル基、トリフルオロアセチル
基、アセチル基、tert−ブトキシカルボニル基、メトキ
シアセチル基、ベンジルオキシカルボニル基、p−ニト
ロベンジルオキシカルボニル基等のアシル系保護基、ベ
ンジル基、ベンズヒドリル基、トリチル基等のアラルキ
ル基系の保護基が好ましい。Lは、クロル、ブロム、ヨ
ウ素等のハロゲン原子、アセトキシ、プロピオニルオキ
シ、ブチリルオキシ、3−オキソブチリルオキシ等炭素
数2〜4のアシルオキシ基、メタンスルホニルオキシ、
エタンスルホニルオキシ、カルファースルホニルオキシ
等のC1-10アルキルスルホニルオキシ基、ベンゼンスル
ホニルオキシ、ナフタレンスルホニルオキシ、p−トル
エンスルホニルオキシ、p−tert−ブチルベンゼンスル
ホニルオキシ、p−メトキシベンゼンスルホニルオキ
シ、p−クロロベンゼンスルホニルオキシ、p−ニトロ
ベンゼンスルホニルオキシ等のC6-10アリールスルホニ
ルオキシ基が好ましい。特にベンゼンスルホニルオキ
シ、p−トルエンスルホニルオキシ基が好ましい。Xは
脱離基を示すが、クロル、ブロム、ヨウ素等のハロゲン
原子等が好ましい。
【0039】ピリジン化合物〔IV〕は塩としても用いら
れる。化合物〔IV〕の塩としてはたとえばリチウム塩、
ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、トリエ
チルアミン、ジイソプロピルアミン等のトリアルキルア
ミンとの付加塩などがあげられる。化合物〔IX〕と化合
物〔IV〕との本求核置換反応は、通常アセトン等のケト
ン類、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン
等のハロゲン炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒ
ドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、アセトニトリ
ル等のニトリル類、メタノール、エタノール、n−プロ
パノール等のアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジ
メチルアセトアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシ
ド等のスルホキシド類などの不活性溶媒中で行なうのが
よい。求核試薬〔IV〕の使用量は化合物〔IX〕1モルに
対して通常1〜5モル、好ましくは約1〜3モルであ
る。反応温度は0℃〜100℃、好ましくは10℃〜5
0℃である。反応は30分から24時間、好ましくは1
〜10時間で行なわれる。また、本反応は塩基や塩類を
添加することによって反応を促進させることができる。
これらの塩基、塩類としては、例えば水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等
の無機塩基、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチル
アミン等のトリアルキルアミンのような有機アミンが挙
げられる。また塩類としてはテトラブチルアンモニウム
塩のような第4級アンモニウム塩等が用いられる。
【0040】化合物〔X〕と反応させるR3Xで表わされ
る化合物としては、例えばC1-6低級アルキルハライ
ド、C2-6低級アルケニルハライド、C2-6低級アルキニ
ルハライド、ヒドロキシ低級アルキルハライド、カルボ
キシ低級アルキルハライド、カルバモイル低級アルキル
ハライド、低級アルケノイル低級アルキルハライド等が
挙げられ、上記各種ハライドとしては、クロライド、ブ
ロマイド、ヨーダイド等が挙げられる。化合物〔X〕と
3Xとの反応は通常ジクロロメタン、ジクロロエタ
ン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン炭化水素
類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素
類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサ
ン等のエーテル類、アセトニトリル等のニトリル類、メ
タノール、エタノール、n−プロパノール等のアルコー
ル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等
のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類
などの不活性溶媒中で行なうのがよい。R3Xの使用量
は1〜20モル、好ましくは5〜10モルである。反応
温度は15℃〜100℃、好ましくは15〜50℃であ
る。反応は1〜48時間、好ましくは、5〜24時間で
行なわれる。前記で得られた化合物〔XI〕から保護基を
除去するには、例えば、保護基がトリ(低級)アルキル
シリル基である場合には、水で処理することにより行な
うことができる。また、ベンズヒドリル基、トリチル
基、p−メトキシベンジル基、tert−ブチル基、tert−
ブトキシカルボニル基、ホルミル基等の保護基である場
合には、ギ酸、塩酸、トリフルオロ酢酸、酢酸、フェノ
ール、クレゾール類等で処理すれば除去できる。前記脱
保護反応により7−アミノ体〔II〕が得られる。
【0041】製造法(2):たとえば式〔III〕
【化28】 〔式中、nは0または1、その他の記号は前記と同意義
を示す。〕で表わされる化合物と式〔IV〕
【化29】 〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表わされるピ
リジン化合物とを反応させ、式〔V〕
【化30】 (式中、各記号は前記と同意義を示す。)で表わされる
化合物を製造し、ついで式:R3Xで表わされる化合物
と反応させて、式〔VI〕
【化31】 〔式中の記号は前記と同意義を示す〕で表わされる化合
物を製造し、更に保護基を除去することによる前記製造
法(1)記載の化合物の製造法。
【0042】化合物〔III〕と化合物〔IV〕の求核置換
反応は、製造法(1)の化合物〔IX〕と化合物〔IV〕と
の反応と同様の反応条件下に行うことができる。化合物
〔V〕とR3Xとの4級アンモニウム化は、製造法(1)
の化合物〔XI〕とR3Xとの反応と同様の反応条件下に
行うことができる。かくして得られた化合物〔VI〕は、
製造法(1)で示した方法により保護基の除去を行なう
ことができ、式〔I〕の本発明化合物が製造される。
【0043】製造法(3):たとえば式〔III〕
【化32】 〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表わされる化
合物と式〔XIV〕
【化33】 〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表わされるピ
リジニウム化合物とを反応させ、式〔VI〕で表わされる
化合物を製造し、更に保護基を除去することを特徴とす
る前記(1)記載の化合物の製造法。化合物〔III〕と
化合物〔XIV〕との反応は製造法(1)の化合物〔IX〕
と化合物〔IV〕との反応と同様の反応条件下に行なうこ
とができる。かくして得られた化合物〔VI〕は、製造法
(1)で示した方法により保護基の除去を行なうことが
でき、式〔I〕の本発明化合物が製造される。
【0044】本製造法における化合物〔III〕は、式〔X
III〕
【化34】 〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合
物と式
【化35】 〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表わされるカ
ルボン酸またはその塩あるいはその反応性誘導体とを製
造法(1)と同様に反応させることにより製造される。
更に、本製造法における化合物〔XIV〕は、化合物〔I
V〕とR3Xで表わされる化合物とを製造法(1)の化合
物〔XI〕の4級アンモニウム化反応と同様の反応条件下
に行うことにより製造される。前記した製造法(1)〜
(3)の反応のうち、必要であれば保護基の除去および
精製を行うことにより本発明の目的化合物〔I〕を得る
ことができる。以下に保護基の除去方法および精製法に
ついて説明する。
【0045】保護基除去法:前記した通りβ−ラクタム
およびペプチド合成の分野ではアミノ基の保護基は充分
に研究されていてその保護法及び脱保護法はすでに確立
されている。本発明においても保護基の除去は従来の技
術をそのまま利用できる。たとえばモノハロゲノアセチ
ル基(例、クロロアセチル,ブロモアセチルなど)はチ
オ尿素により,アルコキシカルボニル基(例、メトキシ
カルボニル,エトキシカルボニル,tert−ブトキシカル
ボニルなど)は酸(例、塩酸など)により,アラルキル
オキシカルボニル基(例、ベンジルオキシカルボニル,
p−メチルベンジルオキシカルボニル,p−ニトロベン
ジルオキシカルボニルなど)は接触還元により,2,2,
2−トリクロロエトキシカルボニルは亜鉛と酸(例、酢
酸など)により除去することができる。一方、合成中間
体として化合物〔I〕がエステル化されている場合もそ
れ自体公知の方法またはそれに準ずる方法によってエス
テル残基を除去することができる。たとえば2−メチル
スルホニルエチルエステルはアルカリにより,アラルキ
ルエステル(例、ベンジルエステル,ベンズヒトリルエ
ステル,p−メトキシベンジルエステル,p−ニトロベ
ンジルエステルなど)は酸(例、トリフルオロ酢酸な
ど)または接触還元により,2,2,2−トリクロロエチ
ルエステルは亜鉛と酸(例、酢酸など)により,シリル
エステル(例、トリメチルシリルエステル,tert−ブチ
ルジメチルシリルエステルなど)は水のみにより除去す
ることができる。S−オキシドの還元は、β−ラクタム
の分野で確立されている方法が用いられ、本発明におい
ても従来の技術をそのまま利用できる。たとえば、三塩
化リン,三臭化リンが用いられる。 化合物〔I〕の精製法 : 製造法(1)〜(3)に詳記した
各種製造法により、また必要であれば前記の保護基除去
法をつづいて行うことにより反応混合物中に生成した化
合物〔I〕は抽出法,カラムクロマトグラフィー,沈澱
法,再結晶法などの公知の処理手段によって単離精製す
ることができる。一方、単離された化合物〔I〕を公知
の方法により所望の生理学的に受容される塩へと変換す
ることもできる。
【0046】本発明の化合物〔I〕はスペクトルの広い
抗菌活性を有し、人および哺乳動物(例、マウス,ラッ
ト,ウサギ,犬,ネコ,牛,豚等)における病原性細菌
により生ずる種々の疾病、たとえば気道感染,尿路感染
の予防ならびに治療のため安全に使用されうる。抗菌性
化合物〔I〕の抗菌スペクトルの特徴としてつぎのよう
な点が挙げられる。 (1) 多種のグラム陰性菌に対して非常に高い活性を示
す。 (2) グラム陽性菌(たとえばスタフィロコッカス・アウ
レウス,コリネバクテリウム・ジフテリアエ等)に対し
て高い活性を有している。 (3) メチシリン耐性ブドウ球菌(MRSA)に対して高
い活性を有している。 (4) 多くのβーラクタマーゼ生産性グラム陰性菌(たと
えばエシェリヒア属,エンテロバクター属,セラチア属,
プロテウス属等)に対しても高い活性を有している。 また本発明の抗菌性化合物〔I〕は、(1)優れた安定性を
有する、(2)血中濃度が高い、(3)効果の持続時間が長
い、(4)組織移行性が顕著であるなどの特徴をも有して
いる。
【0047】本発明の化合物〔I〕は公知のペニシリン
剤,セフアロスポリン剤と同様に注射剤,カプセル剤,
錠剤,顆粒剤(特に注射剤が好ましい)として非経口ま
たは経口的に投与できる。投与量は前記したような病原
性細菌に感染した人および動物の体重1kgあたり化合物
〔I〕として0.5〜80mg/日,より好ましくは2〜4
0mg/日を1日2〜3回に分割して投与すればよい。注
射剤として用いられる場合の担体は、たとえば蒸留水,
生理食塩水などが用いられ、カプセル剤,粉剤,顆粒
剤,錠剤として用いられる場合は、公知の薬理学的に許
容される賦形剤(たとえばデンプン,乳糖,白糖,炭酸
カルシウム,リン酸カルシウム等),結合剤(たとえば
デンプン,アラビアゴム,カルボキシメチルセルロー
ス,ヒドロキシプロピルセルロース,結晶セルロース
等),滑沢剤(たとえばステアリン酸マグネシウム,タ
ルク等),破壊剤(たとえばカルボキシメチルカルシウ
ム,タルク等)と混合して用いられる。なお、本願明細
書において用いられている医薬組成物および抗菌組成物
は、化合物〔I〕の単独であってもよく、上記したよう
な担体などが含まれていてもよく、その他抗菌性化合物
等が適宜、適量含まれていてもよい。
【0048】
【発明の実施の形態】本発明はさらに下記の実施例で詳
しく説明されるが、これらの例は単なる実例であって本
発明を限定するものではなく、また本発明の範囲を逸脱
しない範囲で変化させてもよい。実施例のカラムクロマ
トグラフィーにおける溶出はTLC(Thin Layer Ch
romatography,薄層クロマトグラフィー)による観察下
に行なわれた。TLC観察においては、TLCプレート
としてメルク(Merck)社製の60F254を、展開溶媒
としてはカラムクロマトグラフィーで溶出溶媒として用
いられた溶媒を、検出法としてUV検出器を採用した。
カラム用シリカゲルは同じくメルク社製のキーゼルゲル
60(70〜230メッシュ)を用いた。“セファデッ
クス" はファルマシア・ファイン・ケミカルズ社(Pha
rmacia Fine Chemicals)製である。XAD−2樹脂
はロ−ム・アンド・ハース社製(Rohm & Haas C
o.)製である。ダイアイオンHP20は三菱化成製で
ある。NMRスペクトルは内部または外部基準としてテ
トラメチルシランを用いてGemini 200型スペクトロ
メーターで測定し、全δ値を ppm で示した。混合溶媒
において( )内に示した数値は各溶媒の容量混合比で
ある。また溶液における%は溶液100ml中のg数を表
わす。また参考例,実施例中の記号は次のような意味で
ある。 s :シングレット(singlet) d :ダブレット(doublet) t :トリプレット(triplet) q :クワルテット(quartet) ABq :AB型クワルテット(AB type quartet) dd :ダブル ダブレット(double doublet) m :マルチプレット(multiplet) bs :ブロ−ド シングレット(broad singlet) J :カップリング定数(coupling co
nstant)
【0049】
【実施例】
実施例1 7β-[2-(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2
(Z)-フルオロメトキシイミノアセタミド]-3-[(E)-2-(1-
カルバモイルメチル-4-ピリジニオ)チオ]ビニル-3-セフ
ェム-4-カルボキシレート 7β-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-[(E)-2-(4-ピリジ
ル)チオ]ビニル-3-セフェム-4-カルボン酸ベンズヒドリ
ルエステル 430mg をジメチルホルムアミド4mlに溶解
し、 ヨードアセトアミド 4.0g を加えて室温(約25℃)
で 15 時間撹拌した。 反応液にエチルエーテルを加え、
析出した油状物を分取して アニソール 4ml、 トリフル
オロ酢酸 5ml に溶かし、室温で 1.5 時間撹拌した。 反
応液にエチルエーテル 60ml を加え、 生じた沈殿を濾取
し、減圧下で乾燥すると7β-アミノ-3-[(E)-2-(1-カル
バモイルメチル-4-ピリジニオ)チオ]ビニル-3-セフェム
-4-カルボキシレート ジトリフルオロ酢酸塩 500mg が
得られた。本化合物 140mgをテトラヒドロフラン:水
(1:1) 混合液 20ml に溶解し、 重曹水で pH を 7.5 に
調整した。 氷冷下、 重曹水で pH を 8 に調整しながら
2-(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2(Z)-フル
オロメトキシイミノアセチルクロリド塩酸塩 80mg を加
え、 0℃で15 分間撹拌した。 反応液を濃縮し、 残渣を M
CI ゲル CHP-20カラムクロマトグラフィーに付し、 10%
エタノール水で溶出した分画を集め濃縮した。 残渣を凍
結乾燥し、 41mg の標記化合物を得た。 元素分析値 : C21H19N8O6S3F・4H2O 計算値 : C, 37.83 ; H, 4.08 ; N, 16.81 実測値 : C, 37.90 ; H, 4.06 ; N, 16.71 NMR(DMSO-d6,δ) :3.68(2H,m), 5.11(1H,d,J=4.4Hz),
5.25(2H,bs), 5.66(1H,m), 5.80(2H,d,J=56Hz), 6.55
と 7.55(each 1H,d,J=16Hz), 8.01 と 8.63(each2H,d,J
=6.6Hz), 8.25(2H,bs), 9.79(1H,d,J=8.0Hz)
【0050】実施例2 7β-[2-(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2(Z)
-フルオロメトキシイミノアセタミド]-3-[(E)-2-(1-メ
チル-4-ピリジニオ)チオ]ビニル-3-セフェム-4-カルボ
キシレート 7β-アミノ-3-[(E)-2-(1-メチル-4-ピリジニオ)チオ]ビ
ニル-3-セフェム-4-カルボキシレート ジトリフルオロ
酢酸塩 199mg をテトラヒドロフラン : 水 (1: 1) 混
合液 30ml に溶解し、 重曹水で pH を 7.5 に調整した。
氷冷下、 重曹水で pH を 8 に調整しながら 2-(5-アミ
ノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2(Z)-フルオロメト
キシイミノアセチルクロリド塩酸塩 120mg を加え、 0℃
で 20 分間撹拌した。 反応液を濃縮し、 残渣を MCI ゲ
ル CHP-20 カラムクロマトグラフィーに付し、 20%エタ
ノール水で溶出した分画を集め濃縮した。 残渣を凍結乾
燥し、 111mg の標記化合物を得た。 元素分析値 : C20H18N7O5S3F・4.5H2O 計算値 : C, 37.97 ; H, 4.30 ; N, 15.50 実測値 : C, 37.93 ; H, 4.19 ; N, 15.39 NMR(DMSO-d6,δ) : 3.56 と3.79(each 1H,d,J=17.0H
z), 4.19(3H,s), 5.10(1H,d,J=5.2Hz), 5.67(1H,dd,J=
8.4Hz と 5.2Hz), 5.80(2H,d,J=54Hz), 6.50 と 7.52(e
ach 1H,d,J=15.4Hz), 7.97と8.66(each 2H,d,J=6.6Hz),
8.25(2H,bs), 9.78(1H,d,J=8.4Hz)
【0051】実施例3 7β-[2-(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2(Z)
-(2-フルオロエトキシイミノ)アセタミド]-3-[(E)-2-(1
-メチル-4-ピリジニオ)チオ]ビニル-3-セフェム-4-カル
ボキシレート 7β-アミノ-3-[(E)-2-(1-メチル-4-ピリジニオ)チオ]ビ
ニル-3-セフェム-4-カルボキシレート ジトリフルオロ
酢酸塩 204mg をテトラヒドロフラン : 水 (1: 1)混
合液 30ml に溶解し、 重曹水で pH を 7.5 に調整した。
氷冷下、 重曹水で pHを 8 に調整しながら 2-(5-アミ
ノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2(Z)-(2-フルオロエ
トキシイミノ)アセチルクロリド塩酸塩 151mg を加え、
0℃ で 20分間撹拌した。反応液を濃縮し、 残渣を MCI
ゲル CHP-20 カラムクロマトグラフィーに付し、20%エ
タノール水で溶出した分画を集め濃縮した。 残渣を凍結
乾燥し、 111mg の標記化合物を得た。 元素分析値 : C21H20N7O5S3F・4H2O 計算値 : C, 39.55 ; H, 4.43 ; N, 15.38 実測値 : C, 39.51 ; H, 4.44 ; N, 15.05 NMR(DMSO-d6,δ) : 3.55 と3.78(each 1H,d,J=17.0H
z), 4.19(3H,s), 4.39(2H,dt,J=29.2Hz と 3.6Hz), 4.6
9(2H,dt,J=47.6Hz と 3.6Hz), 5.09(1H,d,J=5.2Hz), 5.
67(1H,dd,J=8.4 と 5.2Hz), 6.51 と 7.51(each 1H,d,J
=15.4Hz), 7.97と8.66(each 2H,d,J=6.6Hz), 8.19(2H,b
s), 9.63(1H,d,J=8.4Hz)
【0052】実施例4 7β-[2-(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2(Z)
-フルオロメトキシイミノアセタミド]-3-[(E)-2-(1-メ
チル-3-ピリジニオ)チオ]ビニル-3-セフェム-4-カルボ
キシレート 7β-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-[(E)-2-(3-ピリジ
ル)チオ]ビニル-3-セフェム-4-カルボン酸ベンズヒドリ
ルエステル 450mg をジメチルホルムアミド 3.5ml に溶
解し、ヨードメタン 1.55ml を加えて室温で 13 時間撹
拌した。 反応液にエチルエーテル 50ml を加えて 30 分
間撹拌したのちエチルエーテルをデカントした。 残留物
をアニソール 4ml に溶解し、トリフルオロ酢酸 4.88ml
を加え室温で 1 時間撹拌した。 反応液に エチルエー
テル 60ml を加え、生じた沈殿を濾取した。 この沈殿を
テトラヒドロフラン-水 (1:1) 混合液 60ml に溶解し、
氷冷下炭酸水素ナトリウム 256mg と 2-(5-アミノ-1,
2,4-チアジアゾール-3-イル)-2(Z)-フルオロメトキシイ
ミノアセチルクロリド塩酸塩 233mg を加え、 0℃ で30
分間撹拌した。 反応液に水 100ml を加えて濃縮し、 残
渣をMCI ゲル HP-20カラムクロマトグラフィーに付し、
15% エタノール水の分画を集め濃縮した。残渣を凍結乾
燥し、 168mg の標記化合物を得た。 元素分析値 : C20H18N7O5S3F・3.5H2O 計算値 : C, 39.08 ; H, 4.10 ; N, 15.95 実測値 : C, 38.85 ; H, 4.16 ; N, 15.65 NMR(DMSO-d6,δ) : 3.54 (1H,d,J=16.6Hz), 3.74 (1H,
d,J=16.6Hz), 4.34 (3H,s), 5.09 (1H,d,J=5.0Hz), 5.6
6 (1H,dd,J=8.0 & 5.0Hz), 5.79 (2H,d,J=56.0Hz), 6.
46 と 7.50 (each 1H,d,J=15.0Hz), 8.00 (1H,dd,J=8.0
& 5.8Hz), 8.23(2H,bs), 8.47 (1H,d,J=8.0Hz), 8.78
(1H,d,J=5.8Hz), 8.98 (1H,s), 9.76 (1H,d,J=8.0Hz).
【0053】実施例5 7β-[2-(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2(Z)
-フルオロメトキシイミノアセタミド]-3-[(E)-2-(1-メ
チル-2-ピリジニオ)チオ]ビニル-3-セフェム-4-カルボ
キシレート 7β-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-[(E)-2-(2-ピリジ
ル)チオ]ビニル-3-セフェム-4-カルボン酸ベンズヒドリ
ルエステル 545mg をジメチルホルムアミド 4.2ml に溶
解し、ヨードメタン 1.86ml を加えて室温で 20 時間撹
拌した。 さらにヨードメタン 1.30ml を追加して室温で
20 時間撹拌した。 反応液にエチルエーテル 50ml を加
えて 30 分間撹拌したのちエチルエーテルをデカントし
た。 残留物をアニソール 4ml に溶解し、トリフルオロ酢
酸 4.88ml を加え室温で 1.5 時間撹拌した。 反応液に
エチルエーテル 60ml を加え、 生じた沈殿を濾取し、 減
圧下で乾燥すると 7β-アミノ-3-[(E)-2-(1-メチル-2-
ピリジニオ)チオ]ビニル-3-セフェム-4-カルボキシレー
ト 255mg が得られた。 本化合物をテトラヒドロフラン-
水 (1:1) 混合液 40ml に溶解し、 氷冷下炭酸水素ナト
リウム 167mg と 2-(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3
-イル)-2(Z)-フルオロメトキシイミノアセチルクロリド
塩酸塩 152mg を加え、 0℃ で 30 分間撹拌した。 反応
液に水 100ml を加えて濃縮し、 残渣をMCI ゲル HP-20
カラムクロマトグラフィーに付し、 15%エタノール水の
分画を集め濃縮した。 残渣を凍結乾燥し、 100mg の標記
化合物を得た。 元素分析値 : C20H18N7O5S3F・4.0H2O 計算値 : C, 38.52 ; H, 4.20 ; N, 15.72 実測値 : C, 38.44 ; H, 4.12 ; N, 15.51 NMR(DMSO-d6,δ) : 3.58 (1H,d,J=16.6Hz), 3.79 (1H,
d,J=16.6Hz), 4.18 (3H,s), 5.12 (1H,d,J=5.0Hz), 5.7
0 (1H,dd,J=8.4 & 5.0Hz), 5.80 (2H,d,J=56.0Hz), 6.
42 と 7.67 (each 1H,d,J=15.0Hz), 7.77 (1H,dd,J=7.0
& 5.8Hz), 8.04(1H,d,J=8.0Hz), 8.24 (2H,bs), 8.35
(1H,dd,J=8.0 & 7.0Hz), 8.94 (1H,d,J=5.8Hz), 9.78
(1H,d,J=8.4Hz).
【0054】実施例6 7β-[2-(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2(Z)
-フルオロメトキシイミノアセタミド]-3-[(E)-2-(1-カ
ルバモイルメチル-2-ピリジニオ)チオ]ビニル-3-セフェ
ム-4-カルボキシレート 7β-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-[(E)-2-(2-ピリジ
ル)チオ]ビニル-3-セフェム-4-カルボン酸ベンズヒドリ
ルエステル 183mg をジメチルホルムアミド 1.3ml に溶
解し、ヨードアセトアミド 1.69g を加えて油浴中 40oC
で 90 時間撹拌した。 反応液にエチルエーテル 26ml を
加えて 30 分間撹拌したのちエチルエーテルをデカント
した。 残留物をアニソール 1.7ml に溶解し、トリフルオ
ロ酢酸 2.1ml を加え室温で 1.5 時間撹拌した。 反応液
にエチルエーテル 25ml を加え、エチルエーテルをデカ
ントした。 残留物をテトラヒドロフラン-水 (1:1) 混
合液 30ml に溶解し、 氷冷下炭酸水素ナトリウム 87mg
と 2-(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2(Z)-
フルオロメトキシイミノアセチルクロリド塩酸塩 80.8m
g を加え、 0℃ で 30 分間撹拌した。 反応液に水 100ml
を加えて濃縮し、残渣をMCI ゲル HP-20 カラムクロマ
トグラフィーに付し、 15% エタノール水の分画を集め
濃縮した。 残渣を凍結乾燥し、 47.8mg の標記化合物を
得た。 元素分析値 : C21H19N8O6S3F・4.5H2O 計算値 : C, 37.33 ; H, 4.18 ; N, 16.58 実測値 : C, 37.35 ; H, 3.89 ; N, 16.63 NMR(DMSO-d6,δ) : 3.71 (2H,m), 5.14 (1H,d,J=5.0H
z), 5.37 (2H,bs), 5.74(1H,dd,J=8.0 & 5.0Hz), 5.80
(2H,d,J=56.0Hz), 6.51 と 7.59 (each 1H,d,J=15.0H
z), 7.82 と 8.24 (each 1H,bs), 7.86 (1H,dd,J=7.0
& 5.8Hz), 8.10 (1H,d,J=8.6Hz), 8.23 (2H,bs), 8.43
(1H,dd,J=8.6 & 7.0Hz), 8.88 (1
H,d,J=5.8Hz), 9.82 (1H,d,
J=8.0Hz).
【0055】実施例7 7β-[2-(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2
(Z)-(2-フルオロエトキシ)イミノアセタミド]-3-[(E)-2
-(1-メチル-2-ピリジニオ)チオ]ビニル-3-セフェム-4-
カルボキシレート 7β-アミノ-3-[(E)-2-(1-メチル-2-ピリジニオ)チオ]ビ
ニル-3-セフェム-4-カルボキシレート・よう化水素酸塩
・トリフルオロ酢酸塩 250mg をテトラヒドロフラン-水
(1:1) 混合液 40ml に溶解し、 氷冷下炭酸水素ナトリ
ウム 167mg と2-(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イ
ル)-2(Z)-(2-フルオロエトキシ)イミノアセチルクロリ
ド塩酸塩 162mg を加え、 0℃ で 30 分間撹拌した。 反
応液に水 100ml を加えて濃縮し、 残渣をMCI ゲル HP-2
0 カラムクロマトグラフィーに付し、 15% エタノール
水の分画を集め濃縮した。 残渣を凍結乾燥し、 119mg の
標記化合物を得た。 元素分析値 : C21H20N7O5S3F・3.5H2O 計算値 : C, 40.12 ; H, 4.33 ; N, 15.60 実測値 : C, 39.88 ; H, 4.03 ; N, 15.38 NMR(DMSO-d6,δ) : 3.59 (1H,d,J=16.8Hz), 3.83 (1H,
d,J=16.8Hz), 4.18 (3H,s), 4.39 (2H,dt,J=29.2 & 3.
6Hz), 4.69 (2H,dt,J=47.6 & 3.6Hz), 5.13 (1H,d,J=
5.0Hz), 5.72 (1H,dd,J=8.4 & 5.0Hz), 6.50 と 7.63
(each 1H,d,J=15.0Hz), 7.78 (1H,dd,J=7.0 & 5.8Hz),
8.06 (1H,d,J=8.0Hz), 8.21 (2H,bs), 8.35 (1H,dd,J=
8.0 & 7.0Hz), 8.95 (1H,d,J=5.8Hz), 9.66 (1H,d,J=
8.4Hz).
【0056】実施例8 7β-[2-(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2(Z)
-(2-フルオロエトキシ)イミノアセタミド]-3-[(E)-2-(1
-カルバモイルメチル-2-ピリジニオ)チオ]ビニル-3-セ
フェム-4-カルボキシレート 7β-t-ブトキシカルボニルアミノ-3-[(E)-2-(2-ピリジ
ル)チオ]ビニル-3-セフェム-4-カルボン酸ベンズヒドリ
ルエステル 183mg をジメチルホルムアミド 1.3ml に溶
解し、ヨードアセトアミド 1.69g を加えて油浴中 40℃
で 90 時間撹拌した。 反応液にエチルエーテル 26ml を
加えて 30 分間撹拌したのちエチルエーテルをデカント
した。 残留物をテトラヒドロフラン-水 (1:1) 混合液
30ml に溶解し、 氷冷下炭酸水素ナトリウム 87mg と 2-
(5-アミノ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル)-2(Z)-(2-フ
ルオロエトキシ)イミノアセチルクロリド塩酸塩 84.6mg
を加え、 0℃ で 30 分間撹拌した。 反応液に水 100ml
を加えて濃縮し、 残渣をMCI ゲル HP-20 カラムクロマ
トグラフィーに付し、 15% エタノール水の分画を集め
濃縮した。 残渣を凍結乾燥し、 48.3mg の標記化合物を
得た。 元素分析値 : C22H21N8O6S3F・4.0H2O 計算値 : C, 38.82 ; H, 4.29 ; N, 16.46 実測値 : C, 38.59 ; H, 3.99 ; N, 16.68 NMR(DMSO-d6,δ) : 3.59 (1H,d,J=16.6Hz), 3.80 (1H,
d,J=16.6Hz), 4.39 (2H,dt,J=29.8 & 3.6Hz), 4.69 (2
H,dt,J=48.2 & 3.6Hz), 5.12 (1H,d,J=5.0Hz),5.37 (2
H,bs), 5.72 (1H,dd,J=8.0 & 5.0Hz), 6.49 と 7.59
(each 1H,d,J=15.0Hz), 7.82 と 8.24 (each 1H,bs),
7.86 (1H,dd,J=7.0 & 5.8Hz), 8.10 (1H,d,J=8.4Hz),
8.18 (2H,bs), 8.42 (1H,dd,J=8.4 & 7.0Hz), 8.88 (1
H,d,J=5.8Hz), 9.66 (1H,d,J=8.0Hz). 実施例の化合物の化学構造式は次の通り。
【化36】
【化37】
【0057】
【発明の効果】本発明のセフェム化合物〔I〕またはそ
のエステルあるいはその塩は、シュードモナス属の菌を
含むグラム陰性菌ならびにブドウ球菌およびMRSAを
含むグラム陽性菌などに対して広範囲の抗菌スペクトル
と優れた抗菌作用を有しており、これらの菌に基づく感
染症に対し有効な抗菌剤を提供することができる。

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式 【化1】 〔式中、R1は保護されていてもよいアミノ基を、R2
    フッ素で置換された低級アルキル基を、R3は置換され
    ていてもよい炭化水素基を示し、A環はさらに置換基を
    有していてもよい〕で表されるセフェム化合物またはそ
    のエステルあるいはその塩。
  2. 【請求項2】式 【化2】 〔式中、R1は保護されていてもよいアミノ基を、R2
    フッ素で置換された低級アルキル基を、R3は置換され
    ていてもよい炭化水素基を示し、A環はさらに置換基を
    有していてもよい〕で表されるセフェム化合物またはそ
    のエステルあるいはその塩。
  3. 【請求項3】R1がアミノ基である請求項1記載の化合
    物。
  4. 【請求項4】R2がフルオロメチルである請求項1記載
    の化合物。
  5. 【請求項5】R2が2−フルオロエチルである請求項1
    記載の化合物。
  6. 【請求項6】R3が置換されていてもよいアルキル基で
    ある請求項1記載の化合物。
  7. 【請求項7】アルキル基の置換基が複素環基,水酸基,
    3-10シクロアルキル基,C1-6アルコキシ基,C3-7
    クロアルキルオキシ基,C6-10アリールオキシ基,C
    7-19アラルキルオキシ基,複素環オキシ基,メルカプト
    基,C1-6アルキルチオ基,C3-10シクロアルキルチオ
    基,C6-10アリールチオ基,C7-19アラルキルチオ基,
    複素環チオ基,アミノ基,モノC1-6アルキルアミノ
    基,ジC1-6アルキルアミノ基,トリC1-6アルキルアン
    モニウム基,C3-10シクロアルキルアミノ基,C6-10
    リールアミノ基,C7-19アラルキルアミノ基,複素環ア
    ミノ基,環状アミノ基,アジド基,ニトロ基,ハロゲン
    原子,シアノ基,カルボキシル基,C1-10アルコキシ−
    カルボニル基,C1-10アリールオキシ−カルボニル基,
    7-19アラルキルオキシ−カルボニル基,C6-10アリー
    ル−カルボニル基,C1-6アルカノイル基,C3-5アルケ
    ノイル基,C6-10アリール−カルボニルオキシ基,C
    2-6アルカノイルオキシ基,C3-5アルケノイルオキシ
    基,置換されていてもよいカルバモイル基,置換されて
    いてもよいチオカルバモイル基,置換されていてもよい
    カルバモイルオキシ基,フタルイミド基,C1-6アルカ
    ノイルアミノ基,C6-10アリール−カルボニルアミノ
    基,C1-10アルコキシ−カルボキサミド基,C6-10アリ
    ールオキシ−カルボキサミド基またはC7-19アラルキル
    オキシ−カルボキサミド基であり、前記「置換されてい
    てもよいカルバモイル基」は、C1-6アルキル基,C
    6-10アリール基,C1-6アルカノイル基,C6-10アリー
    ルカルボニル基,C1-6アルコキシ−フェニル基から選
    ばれた1または2個の置換基で置換されていてもよいカ
    ルバモイル基および環状アミノカルボニル基であり、前
    記「置換されていてもよいチオカルバモイル基」は、C
    1-6アルキル基,C6-10アリール基から選ばれた1また
    は2個の置換基で置換されていてもよいチオカルバモイ
    ル基であり、前記「置換されていてもよいカルバモイル
    オキシ基」は、C1-6アルキル基,C6-10アリール基か
    ら選ばれた1または2個の置換基で置換されていてもよ
    いカルバモイルオキシ基であり、前記「複素環基」およ
    び「複素環オキシ基」,「複素環チオ基」および「複素
    環アミノ基」の複素環は窒素原子(オキシド化されてい
    てもよい),酸素原子,硫黄原子の1〜4個を含む5〜
    8員環またはその縮合環である請求項6記載の化合物。
  8. 【請求項8】アルキル基の置換基が、水酸基,C3-10
    クロアルキル基,C1-6アルコキシ基,C1-6アルキルチ
    オ基,アミノ基,ハロゲン原子,カルボキシル基,C
    1-10アルコキシカルボニル基,置換されていてもよいカ
    ルバモイル基,シアノ基,アジド基,複素環基から選ば
    れた1ないし3個の置換基で置換されていてもよいC
    1-6アルキル基であり、前記複素環基は窒素原子(オキ
    シド化されていてもよい),酸素原子,硫黄原子の1〜
    4個を含む5〜8員環またはその縮合環である請求項6
    記載の化合物。
  9. 【請求項9】R3がC1-3アルキル基である請求項1記載
    の化合物。
  10. 【請求項10】7−β−[2−(5−アミノ−1,2,4
    −チアジアゾール−3−イル)−2(Z)−フルオロメト
    キシイミノアセタミド]−3−[(E)−2−(1−カル
    バモイルメチル−4−ピリジニオ)チオ]ビニル−3−
    セフェム−4−カルボキシレートまたはそのエステルあ
    るいはその塩である請求項1記載の化合物。
  11. 【請求項11】7−β−[2−(5−アミノ−1,2,4
    −チアジアゾール−3−イル)−2(Z)−フルオロメト
    キシイミノアセタミド]−3−[(E)−2−(1−メチ
    ル−4−ピリジニオ)チオ]ビニル−3−セフェム−4
    −カルボキシレートまたはそのエステルあるいはその塩
    である請求項1記載の化合物。
  12. 【請求項12】7−β−[2−(5−アミノ−1,2,4
    −チアジアゾール−3−イル)−2(Z)−フルオロエト
    キシイミノアセタミド]−3−[(E)−2−(1−メチ
    ル−4−ピリジニオ)チオ]ビニル−3−セフェム−4
    −カルボキシレート。
  13. 【請求項13】式 【化3】 〔式中の記号は請求項1記載と同意義を示す。〕で表さ
    れる化合物またはそのエステルあるいはその塩と式 【化4】 〔式中の記号は請求項1記載と同意義を示す。〕で表さ
    れるカルボン酸またはその塩もしくは反応性誘導体とを
    反応させ、必要に応じて保護基を除去することを特徴と
    する請求項1記載の化合物の製造法。
  14. 【請求項14】式 【化5】 〔式中の記号は請求項1記載と同意義を示す。〕で表さ
    れる化合物またはそのエステルあるいはその塩と、式R
    3−X〔式中、Xは脱離基を、R3は請求項1記載と同意
    義を示す。〕で表される化合物を反応させ、必要に応じ
    て保護基を除去することを特徴とする請求項1記載の化
    合物の製造法。
  15. 【請求項15】請求項1記載の化合物を含有する医薬組
    成物。
  16. 【請求項16】抗菌組成物である請求項15記載の医薬
    組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO1999019330A1 (fr) * 1997-10-10 1999-04-22 Fujisawa Pharmaceutical Co., Ltd. Nouveaux composes de cephem
US8883715B2 (en) 1998-07-21 2014-11-11 Denis Barritault Biocompatible polymers, process for their preparation and compositions containing them

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WO1999019330A1 (fr) * 1997-10-10 1999-04-22 Fujisawa Pharmaceutical Co., Ltd. Nouveaux composes de cephem
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