JPH10265488A - ホスフォノセフェム誘導体 - Google Patents

ホスフォノセフェム誘導体

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JPH10265488A
JPH10265488A JP9076234A JP7623497A JPH10265488A JP H10265488 A JPH10265488 A JP H10265488A JP 9076234 A JP9076234 A JP 9076234A JP 7623497 A JP7623497 A JP 7623497A JP H10265488 A JPH10265488 A JP H10265488A
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JP
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salt
acid
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Withdrawn
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JP9076234A
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English (en)
Inventor
Tomoyasu Ishikawa
智康 石川
Shohei Hashiguchi
昌平 橋口
Yuji Iizawa
祐史 飯沢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
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Publication date
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Publication of JPH10265488A publication Critical patent/JPH10265488A/ja
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    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/55Design of synthesis routes, e.g. reducing the use of auxiliary or protecting groups

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  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】優れた抗菌作用,安定性,経口吸収性を有する
新規セフェム化合物、その製造法および剤を提供する。 【解決手段】式: 【化1】 〔式中、R1は保護されていてもよいホスフォノ基を、
2は水素原子または炭素原子を介して結合する基を、
Xは窒素原子またはメチンを、mは0または1を、A+
は置換されていてもよい、炭素原子で結合する4級化さ
れた窒素原子を含む複素環基を示す。〕で表されるセフ
ェム化合物またはそのエステルあるいはその塩。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は広範囲のグラム陽性
菌およびグラム陰性菌、特にブドウ球菌、メチシリン耐
性ブドウ球菌(MRSA)およびシュードモナス属の菌
などに優れた抗菌作用を有し、しかも水に対して十分な
溶解性を有する新規なセフェム化合物、その製造法およ
び医薬特に抗菌剤に関する。
【0002】
【従来の技術】7位に2−(5−アミノ−1,2,4−チ
アジアゾール−3−イル)−2(Z)−アルコキシイミノ
アセトアミド基を有し、3位に環構成原子としてN+
含有する複素環または縮合複素環−チオビニル基を有す
る具体的な化合物セフェム化合物が種々報告されてい
る。特開平8−337585号公報には、3位に1−メ
チルイミダゾ〔1,2−b〕ピリダジニウム−6−イル
チオビニル基を有する化合物が、特開平9−48785
号公報には、3位に1−メチルピリジニウム−チオビニ
ル基を有する化合物が記載されているが、これらの化合
物は水に対する溶解性が十分であるとはいえず、水に溶
解する場合には溶解補助剤を用いるのが好ましいなど、
製剤特に注射剤として用いる場合に十分満足できるもの
ではない。また、特開昭59−31791号公報には、
7位に2−(5−ホスフォノアミノ−1,2,4−チアジ
アゾール−3−イル)−2(Z)−メトキシイミノアセト
アミド基を有し、3位に置換−CH=CH−とは化学構
造が相違する置換−CH2−のピリジニウムメチル基お
よび1−メチルピリジニウムチオメチル基を有するセフ
ェム誘導体が報告されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】最近開発されたメチシ
リン耐性ブドウ球菌(MRSA)を含む広範囲の細菌類
に抗菌作用を有するセファロスポリン化合物は、十分な
活性を有しているにもかかわらず、投与に必要な水また
は生理食塩水に対する溶解性が低く実用化に至っていな
い。この点を克服した新しい化合物の出現が望まれてい
た。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記事情
に鑑み、鋭意種々研究を重ねた結果、セフェム骨格の3
位に式
【化5】 (式中、mは0または1を、A+は置換されていてもよ
い、炭素原子に結合手を有する4級化された窒素原子を
含む複素環基を示す。)で示される基を、かつ7位に式
【化6】 〔式中、R1は保護されていてもよいホスフォノ基を、
2は水素原子または炭素原子を介して結合する基を示
す。〕で表される基を有することに化学構造上の特徴を
有するセフェム化合物またはそのエステルあるいはその
塩を初めて合成したところ、該化合物は水に対する溶解
性に優れ、優れた抗菌作用等医薬として優れた性質を有
することを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完
成した。
【0005】すなわち、本発明は、 (1)式〔I〕:
【化7】 〔式中、R1は保護されていてもよいホスフォノ基を、
2は水素原子または炭素原子を介して結合する基を、
Xは窒素原子またはメチンを、mは0または1を、A+
は置換されていてもよい、炭素原子に結合手を有する4
級化された窒素原子を含む複素環基を示す。〕で表され
るセフェム化合物またはそのエステルあるいはその塩、 (2)式〔II〕:
【化8】 〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合
物またはそのエステルあるいはその塩と式〔III〕:
【化9】 〔式中,R0は保護されていてもよいホスフォノ基を示
し、他の記号は前記と同意義である。〕で表されるカル
ボン酸またはその塩もしくは反応性誘導体とを反応さ
せ、必要に応じて保護基を除去することを特徴とする前
記(1)記載の化合物の製造法、および (3)前記(1)記載の化合物を含有する医薬、に関す
るものである。
【0006】本明細書におけるセフェム化合物は「ザ・
ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサイ
エティ」第84巻,3400頁(1962年)に記載され
ている「セファム」に基づいて命名された化合物群であ
り、セフェム化合物はセファム化合物のうち3,4−位
に二重結合を有する化合物を意味する。なお、本発明の
化合物は遊離型を表している式〔I〕の化合物またはそ
のエステルあるいはその塩(化合物〔I〕の塩または式
〔I〕の化合物のエステルの塩)を含む。以下本願明細
書においては、特別の場合を除き、遊離型を表している
式〔I〕の化合物またはそのエステルあるいはその塩を
総称して単に化合物〔I〕または抗菌化合物〔I〕と略称
することもある。従って本願明細書の化合物〔I〕は通
常、遊離型のみならずそのエステルおよびそれらの塩を
含むものとする。
【0007】R1は保護されていてもよいホスフォノ基
を示す。核酸化学の分野ではホスフォノ基の保護基は充
分に研究されていてその保護法はすでに確立されてお
り、本発明においてもホスフォノ基の保護基としてはそ
れら公知のものが適宜に採用されうる。保護されたホス
フォノ基としてはたとえば、ジクロロホスフォリル等の
ジハロホスフォリル、たとえばジメトキシホスフォリ
ル、ジエトキシホスフォリル、ジプロポキシホスフォリ
ル等のジアルコキシホスフォリル基、たとえばO−メチ
ルホスフォノ,O−エチルホスフォノ等のO−アルキル
ホスフォノ基等のようなモノ−またはジ−エステルホス
フォノ基等、たとえば、ジアミノホスフォリル、(アミ
ノ)(ヒドロキシ)ホスフォリル等のモノまたはジアミ
ド化ホスフォノ基、たとえば、(メトキシ)(アミノ)
ホスフォリル、(エトキシ)(アミノ)ホスフォリル等
の(アルコキシ)(アミノ)ホスフォリル基等、たとえ
ば、(メトキシ)(モルフォリノ)ホスフォリル、(エ
トキシ)(モルフォリノ)ホスフォリル等の(アルコキ
シ)(モルフォリノ)ホスフォリル基等のようなモノエ
ステル化モノアミド化ホスフォノ基が挙げられる。R1
としてはホスフォノ、ジアルコキシホスフォリル、O−
アルキルホスフォノ、ジアミノホスフォリル、(アミノ)
(ヒドロキシ)ホスフォリル、または(アルコキシ)(モル
フォリノ)ホスフォリルが好ましく、特にホスフォノが
好ましい。Xは窒素原子またはメチンを示すが、窒素原
子が好ましい。mは0または1を示すが、1が好まし
い。
【0008】R2は水素原子または炭素原子を介して結
合する基を表す。R2で表される「炭素原子を介して結
合する基」としてはたとえば、置換されていてもよい炭
化水素基(例えば、置換されていてもよいアルキル基、
置換されていてもよいアルケニル基、置換されていても
よいアルキニル基、置換されていてもよい環状炭化水素
基および置換されていてもよいアラルキル基など)およ
び炭素原子に結合手を有する置換されていてもよい非芳
香族複素環基などが好ましく、特に、置換されていても
よいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、
置換されていてもよい環状炭化水素基などが好ましい。
「置換されていてもよいアルキル基」の「アルキル基」
としてはたとえば、メチル、エチル、n−プロピル、イ
ソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t
ert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシルなどのC1-6
アルキル基が好ましく、特にメチル、エチル、イソプロ
ピルなどが好ましい。「置換されていてもよいアルケニ
ル基」の「アルケニル基」としてはたとえば、ビニル、
アリル、イソプロペニル、メタリル、1、1−ジメチル
アリル、2−ブテニル、3−ブテニルなどのC2-6アル
ケニル基などが好ましい。「置換されていてもよいアル
キニル基」の「アルキニル基」としてはたとえば、エチ
ニル、1−プロピニル、2−プロピニル、2−ブチニ
ル、2−ペンチニル、2−ヘキシニルなどのC2-6アル
キニル基などが挙げられる。「置換されていてもよい環
状炭化水素基」の「環状炭化水素基」としてはたとえ
ば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、
シクロヘキシル、シクロヘプチル、2−シクロペンテン
−1−イル、3−シクロペンテン−1−イル、2−シク
ロヘキセン−1−イル、3−シクロヘキセン−1−イル
などの3〜7員非芳香族環状炭化水素基などが好まし
く、特にシクロブチル、シクロペンチルなどのC3-7
クロアルキル基などが好ましい。「置換されていてもよ
いアラルキル基」の「アラルキル基」はたとえば、ベン
ジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、フェ
ニルプロピル、ナフチルメチル、ベンズヒドリルなどの
7-19アラルキル基が好ましい。「置換されていてもよ
い非芳香族複素環基」の「非芳香族複素環基」としては
たとえば、オキシラニル、アゼチジニル、オキセタニ
ル、チエタニル、ピロリジニル、テトラヒドロフリル、
チオラニル、ピペリジル、テトラヒドロピラニル、モル
ホリニル、チオモルホリニルなどの炭素原子以外に窒素
原子、酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を1または
2個含む3ないし6員非芳香族複素環基などが好まし
い。
【0009】前記「炭化水素基」が有していてもよい置
換基としてはたとえば、複素環基、水酸基、C1-6アル
コキシ基、C3-7シクロアルキルオキシ基、C6-10アリ
ールオキシ基、C7-19アラルキルオキシ基、複素環オキ
シ基、メルカプト基、C1-6アルキルチオ基、C3-10
クロアルキルチオ基、C6-10アリールチオ基、C7-19
ラルキルチオ基、複素環チオ基、アミノ基、モノC1-6
アルキルアミノ基、ジC1-6アルキルアミノ基、トリC
1-6アルキルアンモニウム基、C3-10シクロアルキルア
ミノ基、C6-10アリールアミノ基、C7-19アラルキルア
ミノ基、複素環アミノ基、環状アミノ基、アジド基、ニ
トロ基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、C
1-10アルコキシ−カルボニル基、C6-10アリールオキシ
−カルボニル基、C7-19アラルキルオキシ−カルボニル
基、C6-10アリール−カルボニル基、C1-6アルカノイ
ル基、C3-5アルケノイル基、C6-10アリール−カルボ
ニルオキシ基、C2-6アルカノイルオキシ基、C3-5アル
ケノイルオキシ基、置換されていてもよいカルバモイル
基、置換されていてもよいチオカルバモイル基、置換さ
れていてもよいカルバモイルオキシ基、置換されていて
もよいカルバモイルチオ基、フタルイミド基、C1-6
ルカノイルアミノ基、C6-10アリール−カルボニルアミ
ノ基、C1-10アルコキシ−カルボキサミド基、C6-10
リールオキシ−カルボキサミド基、C7-19アラルキルオ
キシ−カルボキサミド基などが挙げられ、同一または異
なって1ないし4個存在していてもよい。
【0010】「炭化水素基」の置換基の具体例として
は、「C1-6アルコキシ基」としてはたとえば、メトキ
シ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−
ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、n−
ヘキシルオキシなどが、「C3-10シクロアルキルオキシ
基」としてはたとえば、シクロプロピルオキシ、シクロ
ヘキシルオキシなどが、「C6-10アリールオキシ基」と
してはたとえば、フェノキシ、ナフチルオキシなどが、
「C7-19アラルキルオキシ基」としてはたとえば、ベン
ジルオキシ、1−フェニルエチルオキシ、2−フェニル
エチルオキシ、ベンズヒドリルオキシなどが、「C1-6
アルキルチオ基」としてはたとえば、メチルチオ、エチ
ルチオ、n−プロピルチオ、n−ブチルチオなどが、
「C3-10シクロアルキルチオ基」としてはたとえば、シ
クロプロピルチオ、シクロヘキシルチオなどが、「C
6-10アリールチオ基」としてはたとえば、フェニルチ
オ、ナフチルチオなどが、「C7-19アラルキルチオ基」
としてはたとえば、ベンジルチオ、フェニルエチルチ
オ、ベンズヒドリルチオなどが、「モノC1-6アルキル
アミノ基」としてはたとえば、メチルアミノ、エチルア
ミノ、n−プロピルアミノ、n−ブチルアミノなどが、
「ジC1-6アルキルアミノ基」としてはたとえば、ジメ
チルアミノ、ジエチルアミノ、メチルエチルアミノ、ジ
−(n−プロピル)アミノ、ジ−(n−ブチル)アミノ
などが、「トリC1-6アルキルアンモニウム基」として
はたとえば、トリメチルアンモニウムなどが、「C3-10
シクロアルキルアミノ基」としてはたとえば、シクロプ
ロピルアミノ、シクロペンチルアミノ、シクロヘキシル
アミノなどが、「C6-10アリールアミノ基」としてはた
とえば、アニリノ、N−メチルアニリノなどが、「C
7-19アラルキルアミノ基」としてはたとえば、ベンジル
アミノ、1−フェニルエチルアミノ、2−フェニルエチ
ルアミノ、ベンズヒドリルアミノなどが、「環状アミノ
基」としてはたとえば、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペ
ラジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、1−ピロリルな
どが、「ハロゲン原子」としてはたとえば、フッ素、塩
素、臭素、ヨウ素などが、「C1-10アルコキシ−カルボ
ニル基」としてはたとえば、メトキシカルボニル、エト
キシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、イソプロ
ポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、イソブト
キシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、シクロペ
ンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボ
ニル、ノルボルニルオキシカルボニルなどが、「C6-10
アリールオキシ−カルボニル基」としてはたとえば、フ
ェノキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニルなど
が、「C7-19アラルキルオキシ−カルボニル基」として
はたとえば、ベンジルオキシカルボニル、ベンズヒドリ
ルオキシカルボニルなどが、「C6-10アリール−カルボ
ニル基」としてはたとえば、ベンゾイル、ナフトイル、
フタロイル、フェニルアセチルなどが、「C1-6アルカ
ノイル基」としてはたとえば、ホルミル、アセチル、プ
ロピオニル、ブチリル、バレリル、ピバロイル、サクシ
ニル、グルタリルなどが、「C3-5アルケノイル基」と
してはたとえば、アクリロイル、クロトノイル、マレオ
イルなどが、「C6-10アリール−カルボニルオキシ基」
としてはたとえば、ベンゾイルオキシ、ナフトイルオキ
シ、フェニルアセトキシなどが、「C2-6アルカノイル
オキシ基」としてはたとえば、アセトキシ、プロピオニ
ルオキシ、ブチリルオキシ、バレリルオキシ、ピバロイ
ルオキシなどが、「C3-5アルケノイルオキシ基」とし
てはたとえば、アクリロイルオキシ、クロトノイルオキ
シなどがあげられる。「置換されていてもよいカルバモ
イル基」としてはたとえば、C1-4アルキル基(例、メ
チル、エチル等)、フェニル基、C1-7アシル基(例、
アセチル、プロピオニル、ベンゾイル等)、C1-4アル
コキシ−フェニル基(例、メトキシフェニル等)などか
ら選ばれた1または2個の置換基で置換されていてもよ
いカルバモイル基および環状アミノカルボニル基などが
用いられ、具体的にはたとえば、カルバモイル、N−メ
チルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N、N−
ジメチルカルバモイル、N、N−ジエチルカルバモイ
ル、N−フェニルカルバモイル、N−アセチルカルバモ
イル、N−ベンゾイルカルバモイル、N−(p−メトキ
シフェニル)カルバモイル、ピロリジノカルボニル、ピ
ペリジノカルボニル、ピペラジノカルボニル、モルホリ
ノカルボニル、チオモルホリノカルボニルなどが用いら
れる。「置換されていてもよいチオカルバモイル基」と
してはたとえば、C1-4アルキル基(例、メチル、エチ
ル等)、フェニル基などから選ばれた1または2個の置
換基で置換されていてもよいチオカルバモイル基が用い
られ、たとえば、チオカルバモイル、N−メチルチオカ
ルバモイル、N−フェニルチオカルバモイルなどが用い
られる。「置換されていてもよいカルバモイルチオ基」
はたとえば、C1-4アルキル基(例、メチル、エチル
等)、フェニル基などから選ばれた1または2個の置換
基で置換されていてもよいカルバモイルチオ基が用いら
れ、具体的にはたとえば、カルバモイルチオ、N−メチ
ルカルバモイルチオ、N、N−ジメチルカルバモイルチ
オ、N−エチルカルバモイルチオ、N−フェニルカルバ
モイルチオなどが用いられる。「置換されていてもよい
カルバモイルチオ基」はたとえば、C1-4アルキル基
(例、メチル、エチル等)、フェニル基などから選ばれ
た1または2個の置換基で置換されていてもよいカルバ
モイルチオ基が用いられ、具体的にはたとえば、カルバ
モイルチオ、N−メチルカルバモイルチオ、N、N−ジ
メチルカルバモイルチオ、N−エチルカルバモイルチ
オ、N−フェニルカルバモイルチオなどが用いられる。
また、「C1-6アルカノイルアミノ基」としてはたとえ
ば、アセトアミド、プロピオンアミド、ブチロアミド、
バレロアミド、ピバロアミドなどが、「C6-10アリール
−カルボニルアミノ基」としてはたとえば、ベンズアミ
ド、ナフトイルアミド、フタルイミドなどが、「C1-10
アルコキシ−カルボキサミド基」としてはたとえば、メ
トキシカルボキサミド(CH3OCONH−)、エトキ
シカルボキサミド、tert−ブトキシカルボキサミドなど
を、「C6-10アリールオキシ−カルボキサミド基」とし
てはたとえば、フェノキシカルボキサミド(C65OC
ONH−)などが、「C7-10アラルキルオキシ−カルボ
キサミド基」としてはたとえば、ベンジルオキシカルボ
キサミド(C65CH2OCONH−)、ベンズヒドリ
ルオキシカルボキサミドなどがあげられる。
【0011】「炭化水素基」の置換基における複素環
基、複素環オキシ基、複素環チオ基および複素環アミノ
基の複素環基は複素環の炭素原子に結合している水素原
子を1個とりのぞいてできる基を表し、そのような複素
環は、たとえば窒素原子(オキシド化されていてもよ
い)、酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を1〜数
個、好ましくは1〜4個含む5〜8員環またはその縮合
環を示す。このような複素環基としては、たとえば2−
または3−ピロリル;3−、4−または5−ピラゾリ
ル;2−、4−または5−イミダゾリル;1,2,3−
または1,2,4−トリアゾリル;1H−または2H−テ
トラゾリル;2−または3−フリル;2−または3−チ
エニル;2−、4−または5−オキサゾリル;3−、4
−または5−イソキサゾリル;1,2,3−オキサジアゾ
ール−4−イルまたは1,2,3−オキサジアゾール−5
−イル;1,2,4−オキサジアゾール−3−イルまたは
1,2,4−オキサジアゾール−5−イル;1,2,5−ま
たは1,3,4−オキサジアゾリル;2−,4−または5
−チアゾリル;3−,4−または5−イソチアゾリル;
1,2,3−チアジアゾール−4−イルまたは1,2,3−
チアジアゾール−5−イル;1,2,4−チアジアゾール
−3−イルまたは1,2,4−チアジアゾール−5−イ
ル;1,2,5−または1,3,4−チアジアゾリル;2−
または3−ピロリジニル;2−、3−または4−ピリジ
ル;2−、3−または4−ピリジル−N−オキシド;3
−または4−ピリダジニル;3−または4−ピリダジニ
ル−N−オキシド;2−、4−または5−ピリミジニ
ル;2−、4−または5−ピリミジニル−N−オキシ
ド;ピラジニル;2−、3−または4−ピペリジニル;
ピペラジニル;3H−インドール−2−イルまたは3H
−インドール−3−イル;2−、3−または4−ピラニ
ル;2−、3−または4−チオピラニル;ベンゾピラニ
ル;キノリル;ピリド〔2,3−d〕ピリミジニル;1,
5−、1,6−、1,7−、1,8−、2,6−または2,
7−ナフチリジル;チエノ〔2,3−d〕ピリジル;ピ
リミドピリジル;ピラジノキノリル;ベンゾピラニルな
どが挙げられる。
【0012】前記「置換されていてもよいアルキル基」
の「アルキル基」、「置換されていてもよいアルケニル
基」の「アルケニル基」、「置換されていてもよいアル
キニル基」の「アルキニル基」、「置換されていてもよ
い環状炭化水素基」の「環状炭化水素基」および「置換
されていてもよいアラルキル基」の「アラルキル基」が
有していてもよい置換基としては、前記「置換されてい
てもよい炭化水素基」の「炭化水素基」が有していても
よい置換基と同様のものが用いられる。前記「置換され
ていてもよい炭化水素基」の好ましいものとしては、た
とえば、水酸基、C3-7シクロアルキル基(たとえば、
前記と同様のもの)、C1-6アルコキシ基(たとえば、
前記と同様のもの)、C1-6アルキルチオ基(たとえ
ば、前記と同様のもの)、アミノ基、トリC1-6アルキ
ルアンモニウム基(たとえば、前記と同様のもの)、ハ
ロゲン原子(たとえば、前記と同様のもの)、カルボキ
シル基、C1-10アルコキシカルボニル基(たとえば、前
記と同様のもの)、置換されていてもよいカルバモイル
基、シアノ基、アジド基、複素環基(たとえば、前記と
同様のもの)などから選ばれた1ないし3個の置換基で
置換されたC1-6アルキル基(C1-6アルキル基として
は、たとえばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロ
ピルなどが用いられる)であり、それらを具体的に挙げ
ると、シクロプロピルメチル、メトキシメチル、エトキ
シメチル、1−メトキシエチル、2−メトキシエチル、
1−エトキシエチル、2−ヒドロキシエチル、メチルチ
オメチル、2−アミノエチル、2−(トリメチルアンモ
ニウム)エチル、2−(トリエチルアンモニウム)エチ
ル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロ
メチル、2−フルオロエチル、2,2−ジフルオロエチ
ル、クロロメチル、2−クロロエチル、2,2−ジクロ
ロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、2−ブロモエ
チル、2−ヨードエチル、2,2,2−トリフルオロエチ
ル、カルボキシメチル、1−カルボキシエチル、2−カ
ルボキシエチル、2−カルボキシプロピル、3−カルボ
キシプロピル、1−カルボキシブチル、シアノメチル、
1−カルボキシ−1−メチルエチル、メトキシカルボニ
ルメチル、エトキシカルボニルメチル、tert−ブトキシ
カルボニルメチル、1−メトキシカルボニル−1−メチ
ルエチル、1−エトキシカルボニル−1−メチルエチ
ル、1−tert−ブトキシカルボニル−1−メチルエチ
ル、1−ベンジルオキシカルボニル−1−メチルエチ
ル、1−ピバロイルオキシカルボニル−1−メチルエチ
ル、カルバモイルメチル、2−アジドエチル、2−(ピ
ラゾリル)エチル、2−(イミダゾリル)エチル、2−
(2−オキソピロリジン−3−イル)エチル、2−アミ
ノ−4または5−チアゾリルメチル、5−アミノ−1、
2、4−チアジアゾール−3−イルメチル、1−カルボ
キシ−1−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メチ
ル、2−オキソ−3−ピロリジニルなどが挙げられる。
前記した「炭化水素基」の置換基は1個に限定されず、
同一または異なって複数個(2ないし4個)あってもよ
い。「置換されていてもよい炭化水素基」のうち最も好
ましいものはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロ
ピルなどの直鎖状及び分枝状のC1-3アルキル基および
フルオロメチル、2−フルオロエチル、2−クロロエチ
ル、2−ヒドロキシエチル、2−メトキシエチル、シア
ノメチル、カルボキシメチル、tert−ブトキシカルボニ
ルメチル、1−カルボキシ−1−メチルエチル、1−te
rt−ブトキシカルボニル−1−メチルエチルなどのハロ
ゲン原子、水酸基、C1-6アルコキシ基、カルボキシル
基、C1-10アルコキシカルボニル基、シアノ基で置換さ
れた直鎖状又は分枝状のC1-3アルキル基およびアリル
基である。
【0013】前記「炭素原子に結合手を有する置換され
ていてもよい非芳香族複素環基」の非芳香族複素環基と
しては、たとえばオキシラニル、アゼチジニル、オキセ
タニル、チエタニル、ピロリジニル、テトラヒドロフリ
ル、チオラニル、ピペリジル、テトラヒドロピラニル、
モルホリニル、チオモルホリニルなどの炭素原子以外に
窒素原子、酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を1ま
たは2個含む3ないし6員非芳香族複素環基などが用い
られる。これらの基は炭素原子に結合手を有する。「炭
素原子に結合手を有する置換されていてもよい非芳香族
複素環基」における「非芳香族複素環基」の置換基とし
ては、前記「置換されていてもよい炭化水素基」におけ
る炭化水素基の置換基として述べたものがあげられる。
2としては、たとえば水素原子または置換されていて
もよい炭化水素基が好ましく、「置換されていてもよい
炭化水素基」における「炭化水素基」としては、たとえ
ばC1-6アルキル基(たとえば、メチル、エチル、プロ
ピル、イソプロピルなど)、C2-5アルケニル基(たと
えばビニル、アリルなど)、C3-7シクロアルキル基
(たとえば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペ
ンチル、シクロヘキシルなど)などが好ましい。また、
2としては、水素原子、C2-4アルケニル基(たとえ
ば、アリルなど)、シクロペンチル、または1ないし3
個のハロゲン原子(たとえば、フッ素、塩素、臭素な
ど)で置換されていてもよいC1-4アルキル基(たとえ
ば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルなど)な
どが好ましく、フルオロC1-4アルキル基(たとえば、
フルオロメチル、2−フルオロエチルなど)などがより
好ましく、モノフルオロメチルが特に好ましい。
【0014】A+で示される「置換されていてもよい、
炭素原子で結合する4級化された窒素原子を含む複素環
基」において、「炭素原子で結合する4級化された窒素
原子を含む複素環基」は1個以上の窒素原子を環構成原
子として含む複素環基であって、該窒素原子の1個が4
級化されており、炭素原子から結合するものである。こ
の複素環基の置換基については基〔A1〕、〔A2〕、
〔A3〕の置換基として後述する。A+としては式:
【化10】 〔式中、の記号は前記と同意義である。〕で示される基
が挙げられる。基〔A1〕としては具体的にはつぎのよ
うなものが用いられる。
【化11】 基〔A2〕としては具体的にはつぎのようなものが用い
られる。
【化12】 基〔A3〕としては具体的にはつぎのようなものが用い
られる。
【化13】 前記の式〔A2〕、〔A3〕およびそれらの具体例におい
ては、
【化14】 陽電荷を1位の窒素原子にあてはめれる場合もある。ま
た1価の陽電荷がイミダゾール環に非局在化している場
合、さらに縮合環全体に非局在化している場合もある。
したがってたとえば前記の
【化15】 などのようにも表される。この陽電荷の存在位置は化合
物〔I〕の状態(固体か溶液中か)、溶媒の種類・液性、
温度、置換基の種類などによって流動的に変化するの
で、本発明は陽電荷が窒素原子に局在化した場合とイミ
ダゾール環または縮合環全体に非局在化した場合のすべ
てを包含するものとする。R3で表される「置換されて
いてもよい炭化水素基」としては、上記R2において例
示した「置換されていてもよい炭化水素基」と同様のも
のが用いられる。
【0015】R3で表される「置換されていてもよい炭
化水素基」でより好ましいものは、たとえば水酸基、C
3-7シクロアルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6アル
キルチオ基、アミノ基、ハロゲン原子、カルボキシル
基、C1-10アルコキシカルボニル基、置換されていても
よいカルバモイル基、シアノ基、アジド基、複素環基な
どから選ばれた1ないし3個の置換基で置換されていて
もよいC1-6アルキル基(C1-6アルキル基はメチル、エ
チル、n−プロピル、イソプロピルなどをいう)であ
り、それらを具体的に挙げると、シクロプロピルメチ
ル、メトキシメチル、エトキシメチル、1−メトキシエ
チル、2−メトキシエチル、1−エトキシエチル、2−
ヒドロキシエチル、メチルチオメチル、2−アミノエチ
ル、2−フルオロエチル、2、2−ジフルオロエチル、
クロロメチル、2−クロロエチル、2、2−ジクロロエ
チル、2,2,2−トリクロロエチル、2−ブロモエチ
ル、2−ヨードエチル、2,2,2−トリフルオロエチ
ル、カルボキシメチル、1−カルボキシエチル、2−カ
ルボキシエチル、2−カルボキシプロピル、3−カルボ
キシプロピル、1−カルボキシブチル、シアノメチル、
1−カルボキシ−1−メチルエチル、メトキシカルボニ
ルメチル、エトキシカルボニルメチル、tert−ブトキシ
カルボニルメチル、1−メトキシカルボニル−1−メチ
ルエチル、1−エトキシカルボニル−1−メチルエチ
ル、1−tert−ブトキシカルボニル−1−メチルエチ
ル、1−ベンジルオキシカルボニル−1−メチルエチ
ル、1−ピバロイルオキシカルボニル−1−メチルエチ
ル、カルバモイルメチル、N−メチルカルバモイルメチ
ル、N,N−ジメチルカルバモイルメチル、2−アジド
エチル、2−(ピラゾリル)エチル、2−(イミダゾリ
ル)エチル、2−(2−オキソピロリジン−3−イル)
エチル、1−カルボキシ−1−(2,3,4−トリヒドロ
キシフェニル)メチルなどが挙げられる。前記「炭化水
素基」の置換基は1個に限定されず、同一または異なっ
て複数個(2ないし4個)あってもよい。「置換されて
いてもよい炭化水素基」のうち最も好ましいものは、た
とえばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルな
どの直鎖状及び分枝状のC1-3アルキル基および2−フ
ルオロエチル、2−クロロエチル、2−ヒドロキシエチ
ル、2−メトキシエチル、シアノメチル、カルボキシメ
チル、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニル
メチル、カルバモイルメチル、N−メチルカルバモイル
メチル、N,N−ジメチルカルバモイルメチルなどのハ
ロゲン原子、水酸基、C1-6アルコキシ基、カルボキシ
ル基、C1-10アルコキシカルボニル基、シアノ基および
カルバモイル基から選ばれた1ないし3個の置換基(と
りわけ、水酸基、カルボキシル基およびカルバモイル基
が好ましい)で置換されていてもよい直鎖状のC1-6
ルキル基が挙げられる。R3としては、たとえばC1-3
ルキル基(たとえば、メチル、エチルなど)などが好ま
しい。
【0016】式〔A1〕で表される基は、R3以外にピリ
ジン環に、式〔A2〕または〔A3〕で表される基では、
3以外にそのイミダゾール環または/および環Bに好
ましくは1または2個置換基を有していてもよい。かか
る置換基としてはたとえば、C1-6アルキル基、C3-10
シクロアルキルC1-6アルキル基、C2-6アルカノイルC
1-6アルキル基、カルボキシC1-6アルキル基、C1-10
ルコキシ−カルボニルC1-6アルキル基、カルバモイル
1-6アルキル基、チオカルバモイルC1-6アルキル基、
シアノC1-6アルキル基、ヒドロキシC1-6アルキル基、
1-6アルコキシ−C1-6アルキル基、C2-6アルカノイ
ルオキシC1-6アルキル基、カルバモイルオキシC1-6
ルキル基、カルバモイルチオC1-6アルキル基、メルカ
プトC1-6アルキル基、C1-6アルキルチオC1-6アルキ
ル基、スルホC1-6アルキル基、アミノC1-6アルキル
基、モノC1-6アルキルアミノC1-6アルキル基、ジC
1-6アルキルアミノC1-6アルキル基、環状アミノC1-6
アルキル基、ハロゲノC1-6アルキル基、C2-6アルケニ
ル基、C2-6アルキニル基、C5-6シクロアルケニル基、
7-12アラルキル基、C3-10シクロアルキル基、C6-10
アリール基、C1-6アルカノイル基、C3-5アルケノイル
基、C6-10アリール−アシル基、カルボキシル基、C
1-10アルコキシ−カルボニル基、C7-19アラルキルオキ
シ−カルボニル基、C6-10アリールオキシ−カルボニル
基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、シアノ基、
複素環基、水酸基、C1-6アルコキシ基、アミノC1-6
ルコキシ基、C3-10シクロアルキルオキシ基、C6-10
リールオキシ基、C7-19アラルキルオキシ基、C2-6
ルカノイルオキシ基、C6-10アリール−アシルオキシ
基、C3-5アルケノイルオキシ基、カルバモイルオキシ
基、チオカルバモイルオキシ、カルバモイルチオ基、チ
オカルバモイルチオ、メルカプト基、C1-6アルキルチ
オ基、C3-10シクロアルキルチオ基、C6-10アリールチ
オ基、C7-19アラルキルチオ基、アミノC1-6アルキル
チオ基、スルホ基、アミノ基、モノC1-6アルキルアミ
ノ基、ジC1-6アルキルアミノ基、C3-10シクロアルキ
ルアミノ基、環状アミノC1-6アルキルアミノ基、C
7-19アラルキルアミノ基、C6-10アリールアミノ基、C
1-6アルカノイルアミノ基、C6-10アリール−アシルア
ミノ基、C1-10アルコキシ−カルボキサミド基、C7-19
アラルキルオキシ−カルボキサミド基、C6-10アリール
オキシ−カルボキサミド基、カルボキシアミノ基、スル
ホンアミド基、環状アミノ基、ウレイド基、C1-6アル
キルウレイド基、アジド基、ニトロ基、ハロゲン原子な
どが用いられる。
【0017】「C1-6アルキル基」としては、たとえば直
鎖状または分枝状の炭素数1〜6のアルキル基が好まし
く、たとえばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロ
ピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブ
チル、n−ペンチル、n−ヘキシルなどが用いられる。
「C3-10シクロアルキルC1-6アルキル基」としては、
たとえばシクロプロピルメチル、シクロプロピルエチ
ル、シクロブチルメチルなどが用いられる。「C2-6アル
カノイルC1-6アルキル基」のアルカノイル基は後記する
1-6アルカノイル基が好ましい。「C2-6アルカノイル
1-6アルキル基」としては、たとえばアセチルメチ
ル、1−アセチルエチル、2−アセチルエチルなどが用
いられる。「カルボキシC1-6アルキル基」としては、た
とえばカルボキシメチル、1−カルボキシエチル、2−
カルボキシエチルなどが用いられる。「C1-10アルコキ
シ−カルボニルC1-6アルキル基」のアルコキシカルボニ
ル基は後記するC1-10アルコキシ−カルボニル基が好ま
しい。「C1-10アルコキシ−カルボニルC1-6アルキル
基」としては、たとえばメトキシカルボニルメチル、エ
トキシカルボニルメチル、tert−ブトキシカルボニルメ
チルなどが用いられる。「カルバモイルC1-6アルキル
基」としては、たとえばカルバモイルメチル、2−カル
バモイルエチルなどが用いられる。「チオカルバモイル
1-6アルキル基」としては、たとえばチオカルバモイ
ルメチル、2−チオカルバモイルエチルなどが用いられ
る。「シアノC1-6アルキル基」としては、たとえばシア
ノメチル、2−シアノエチルなどが用いられる。「ヒド
ロキシC1-6アルキル基」としては、たとえばヒドロキシ
メチル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチ
ル、3−ヒドロキシプロピルなどが用いられる。「C1-6
アルコキシ−C1-6アルキル基」としては、たとえばメト
キシメチル、エトキシメチル、2−メトキシエチルなど
が用いられる。「C2-6アルカノイルオキシC1-6アルキ
ル基」のアルカノイルオキシ基は後記するC2-6アルカノ
イルオキシ基が好ましい。「C2-6アルカノイルオキシ
1-6アルキル基」としては、たとえばアセトキシメチ
ル、1−アセトキシエチル、2−アセトキシエチルなど
が用いられる。
【0018】「カルバモイルオキシC1-6アルキル基」と
しては、たとえばカルバモイルオキシメチルなどが用い
られる。「カルバモイルチオC1-6アルキル基」として
は、たとえばカルバモイルチオメチルなどが用いられ
る。「メルカプトC1-6アルキル基」としては、たとえば
メルカプトメチル、1−メルカプトエチル、2−メルカ
プトエチルなどが用いられる。「C1-6アルキルチオC
1-6アルキル基」としては、たとえばメチルチオメチル、
2−メチルチオエチルなどが用いられる。「スルホC1-6
アルキル基」としては、たとえばスルホメチル、2−ス
ルホエチルなどが用いられる。「アミノC1-6アルキル
基」としては、たとえばアミノメチル、2−アミノエチ
ル、3−アミノプロピルなどが用いられる。「モノC1-6
アルキルアミノC1-6アルキル基」としては、たとえばメ
チルアミノメチル、エチルアミノメチル、2−(N−メ
チルアミノ)エチル、3−(N−メチルアミノ)プロピル
などが用いられる。「ジC1-6アルキルアミノC1-6アル
キル基」としては、たとえば、N,N−ジメチルアミノメ
チル、N,N−ジエチルアミノメチル、2−(N,N−ジ
メチルアミノ)エチル、2−(N,N−ジエチルアミノ)エ
チル、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルなどが用
いられる。「環状アミノC1-6アルキル基」の環状アミノ
基は後記する環状アミノ基が好ましい。「環状アミノC
1-6アルキル基」としては、たとえばピロリジノメチル、
ピペリジノメチル、ピペラジノメチル、モルホリノメチ
ル、チオモルホリノメチル、2−(モルホリノ)エチル、
2−(チオモルホリノ)エチルなどが用いられる。「ハロ
ゲノC1-6アルキル基」としては、たとえばフルオロメチ
ル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメ
チル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、2−フルオ
ロエチル、2、2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリ
フルオロエチル、2−クロロエチル、2,2−ジクロロ
エチル、2,2,2−トリクロロエチル、2−ブロモエチ
ル、2−ヨードエチルなどが用いられる。
【0019】「C2-6アルケニル基」としては、たとえば
直鎖状または分枝状の炭素数2〜6のアルケニル基が好
ましく、たとえばビニル、アリル、1−プロペニル、イ
ソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテ
ニル、メタリル、1,1−ジメチルアリルなどが用いら
れる。「C2-6アルキニル基」としては、たとえば直鎖状
または分枝状の炭素数2〜6のアルキニル基が好まし
く、たとえばエチニル、1−プロピニル、プロパルギル
などが用いられる。「C5-6シクロアルケニル基」として
は、たとえば二重結合を有する5〜6員脂環状炭化水素
基が好ましく、たとえばシクロペンテニル、シクロペン
タジエニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル
などが用いられる。「C7-12アラルキル基」としては、た
とえばベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエ
チル、フェニルプロピル、ナフチルメチルなどが用いら
れる。「C3-10シクロアルキル基」としては、たとえば炭
素数3〜10からなる3〜7員脂環状炭化水素基が好ま
しく、たとえばシクロプロピル、シクロブチル、シクロ
ペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ノルボル
ニル、アダマンチルなどが用いられる。「C6-10アリール
基」としては、たとえばフェニル、α−ナフチル、β−
ナフチル、ビフェニリルなどが用いられる。「C1-6アル
カノイル基」としては、たとえばアセチル、プロピオニ
ル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリ
ル、ピバロイルなどが用いられる。「C3-5アルケノイル
基」としては、たとえばアクリロイル、クロトノイル、
マレオイルなどが用いられる。「C6-10アリール−アシ
ル基」としてはたとえば、フェニルアセチルなどが用い
られる。「C1-10アルコキシ−カルボニル基」のアルキ
ル基は、C1-6アルキル基(たとえば、前記と同様のも
のなど)のほか、C3-10シクロアルキル基(たとえば、
前記と同様のものなど)も含む。「C1-10アルコキシ−
カルボニル基」としては、たとえばメトキシカルボニ
ル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、
イソプロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、
イソブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、
シクロペンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキ
シカルボニル、ノルボルニルオキシカルボニルなどが用
いられる。
【0020】「C7-19アラルキルオキシ−カルボニル
基」としては、たとえばベンジルオキシカルボニル、ベ
ンズヒドリルオキシカルボニル、トリチルオキシカルボ
ニルなどが用いられる。「C6-10アリールオキシ−カル
ボニル基」としては、たとえばフェノキシカルボニル、
ナフチルオキシカルボニルなどが用いられる。「複素環
基」は複素環の炭素原子に結合している水素原子を1個
とりのぞいてできる基を表し、そのような複素環はたと
えば、窒素原子(オキシド化されていてもよい)、酸素
原子、硫黄原子などのヘテロ原子を1〜数個、好ましく
は1〜4個含む5〜8員環またはその縮合環を示す。こ
のような複素環基としては具体的には、2−または3−
ピロリル;3−、4−または5−ピラゾリル;2−、4
−または5−イミダゾリル;1,2,3−または1,2,4
−トリアゾリル;1H−または2H−テトラゾリル;2
−または3−フリル;2−または3−チエニル;2−、
4−または5−オキサゾリル;3−、4−または5−イ
ソキサゾリル;1,2,3−オキサジアゾール−4−イル
または1,2,3−オキサジアゾール−5−イル;1,2,
4−オキサジアゾール−3−イルまたは1,2,4−オキ
サジアゾール−5−イル;1,2,5−または1,3,4−
オキサジアゾリル;2−、4−または5−チアゾリル;
3−、4−または5−イソチアゾリル;1,2,3−チア
ジアゾール−4−イルまたは1,2,3−チアジアゾール
−5−イル;1,2,4−チアジアゾール−3−イルまた
は1,2,4−チアジアゾール−5−イル;1,2,5−ま
たは1,3,4−チアジアゾル;2−または3−ピロリジ
ニル;2−、3−または4−ピリジル;2−、3−また
は4−ピリジル−N−オキシド;3−または4−ピリダ
ジニル;3−または4−ピリダジニル−N−オキシド;
2−,4−または5−ピリミジニル;2−,4−または
5−ピリミジニル−N−オキシド;ピラジニル;2−,
3−または4−ピペリジニル;ピペラジニル;3H−イ
ンドール−2−イルまたは3H−インドール−3−イ
ル;2−、3−または4−ピラニル;2−、3−または
4−チオピラニル;ベンゾピラニル;キノリル;ピリド
〔2,3−d〕ピリミジル;1,5−、1,6−、1,7
−、1,8−、2,6−または2,7−ナフチリジル;チ
エノ〔2,3−d〕ピリジル;ピリミドピリジル;ピラ
ジノキノリル;ベンゾピラニルなどが用いられる。
【0021】「C1-6アルコキシ基」としては、たとえば
メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキ
シ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペンチルオキ
シ、ヘキシルオキシなどが用いられる。「アミノC1-6
アルコキシ基」としては、たとえばアミノメトキシ、2
−アミノエトキシ、3−アミノプロポキシなどが用いら
れる。「C3-10シクロアルキルオキシ基」としては、たと
えばシクロプロピルオキシ、シクロペンチルオキシ、シ
クロヘキシルオキシ、ノルボルニルオキシなどが用いら
れる。「C6-10アリールオキシ基」としては、たとえばフ
ェノキシ、ナフチルオキシなどが用いられる。「C7-19
アラルキルオキシ基」としては、たとえばベンジルオキ
シ、1−フェニルエチルオキシ、2−フェニルエチルオ
キシ、ナフチルメチルオキシ、ベンズヒドリルオキシ、
トリチルオキシなどが用いられる。「C2-6アルカノイ
ルオキシ基」としては、たとえばホルミルオキシ、アセ
チルオキシなどが用いられる。「C6-10アリール−アシ
ルオキシ基」としては、たとえばフェニルアセチルオキ
シなどが用いられる。「C3-5アルケノイルオキシ基」
としては、たとえばアクリロイルオキシ、クロトノイル
オキシ、マレオイルオキシなどが用いられる。「C1-6
ルキルチオ基」としては、たとえばメチルチオ、エチル
チオ、n−プロピルチオ、n−ブチルチオなどが用いられ
る。「C3-10シクロアルキルチオ基」としては、たとえば
シクロプロピルチオ、シクロヘキシルチオなどが用いら
れる。「C6-10アリールチオ基」としては、たとえばフェ
ニルチオ、ナフチルチオなどが用いられる。「C7-19
ラルキルチオ基」としては、たとえばベンジルチオ、フ
ェニルエチルチオ、ベンズヒドリルチオ、トリチルチオ
などが用いられる。「アミノC1-6アルキルチオ基」とし
ては、たとえばアミノメチルチオ、2−アミノエチルチ
オ、3−アミノプロピルチオなどが用いられる。
【0022】「モノC1-6アルキルアミノ基」としては、
たとえばメチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルア
ミノ、n−ブチルアミノ、tert−ブチルアミノ、n−ペン
チルアミノ、n−ヘキシルアミノなどが用いられる。「ジ
1-6アルキルアミノ基」としては、たとえばジメチルア
ミノ、ジエチルアミノ、メチルエチルアミノ、ジ−(n−
プロピル)アミノ、ジ−(n−ブチル)アミノなどが用いら
れる。「C3-10シクロアルキルアミノ基」としては、たと
えばシクロプロピルアミノ、シクロペンチルアミノ、シ
クロヘキシルアミノなどが用いられる。「環状アミノC
1-6アルキルアミノ基」の環状アミノC1-6アルキル基は
上記の環状アミノC1-6アルキル基が好ましく、「環状
アミノC1-6アルキルアミノ基」としては、たとえばピ
ロリジノエチルアミノ、ピペリジノエチルアミノ、ピペ
ラジノエチルアミノ、モルホリノエチルアミノ、チオモ
ルホリノエチルアミノなどが用いられる。「C7-19アラ
ルキルアミノ基」としては、たとえばベンジルアミノ、
1−フェニルエチルアミノ、2−フェニルエチルアミ
ノ、ベンズヒドリルアミノ、トリチルアミノなどが用い
られる。「C6-10アリールアミノ基」としては、たとえば
アニリノ、N−メチルアニリノなどが用いられる。「C
1-6アルカノイルアミノ基」としては、たとえばホルミ
ルアミノ、アセチルアミノなどが用いられる。「C6-10
アリール−アシルアミノ基」としては、たとえばフェニ
ルアセチルアミノなどが用いられる。
【0023】「C1-10アルコキシ−カルボキサミド基」
としては、たとえばメトキシカルボキサミド、エトキシ
カルボキサミドなどが用いられる。「C7-19アラルキル
オキシ−カルボキサミド基」としては、たとえばベンジ
ルオキシカルボキサミドなどが用いられる。「C6-10
リールオキシ−カルボキサミド基」としては、たとえば
フェニルオキシカルボキサミドなどが用いられる。「ス
ルホンアミド基」の置換スルホニル基としては、「C
1-6アルキルスルホニル基」が好ましく、たとえば、メ
タンスルホニル、エタンスルホニルなどが用いられる。
「環状アミノ基」は後記するような含窒素複素環またはそ
の二重結合を飽和したものの環形成窒素原子に結合して
いる水素原子を1個とりのぞいてできる基を表し、たと
えば1H−テトラゾール−1−イル、1H−ピロール−
1−イル、ピロリノ、ピロリジノ、1H−イミダゾール
−1−イル、イミダゾリノ、イミダゾリジノ、1H−ピ
ラゾール−1−イル、ピラゾリノ、ピラゾリジノ、ピペ
リジノ、ピペラジノ、モルホリノ、チオモルホリノなど
が用いられる。「C1-6アルキルウレイド基」としては
た、とえばメチルウレイド、エチルウレイド、n−プロ
ピルウレイドなどが用いられる。「ハロゲン原子」とし
ては、たとえばフッ素、塩素、臭素などが用いられる。
【0024】化合物〔I〕中A+が基〔A1〕である場
合、式
【化16】 [式中各記号は前記と同意義である。]で表される化合
物またはそのエステルあるいはその塩が好ましい。上記
式中特にR1がホスフォノ基、R2がフッ素で置換された
低級アルキル基かつR3がC1-6アルキル基(たとえば、
メチル、エチル、プロピル、イソプロピルなど)である
化合物が好ましい。化合物〔I〕中、基〔A2〕または基
〔A3〕である場合、基〔A2〕および基〔A3〕はそれ
ぞれ式
【化17】 (式中、R3'はC2-4アルケニル基(例、アリルな
ど)、または水酸基、カルボキシル基またはカルバモイ
ル基で置換されていてもよいC1-4アルキル基(例、メ
チル、エチル、プロピル、イソプロピルなど)を、
3''は水素原子、アミノ基またはカルバモイル基を示
す。)で示される基が好ましく、このとき化合物〔I〕
としては式〔I〕中、R1が前記と同意義であり、R2'
が水素原子、C2-4アルケニル基(例、アリルなど)、
シクロペンチル基、または1ないし3個のハロゲン原子
(例、フッ素、塩素、臭素など)で置換されていてもよ
いC1-4アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、
イソプロピルなど)である化合物がまたはそのエステル
あるいはその塩が好ましい。化合物〔I〕中、A+は基
〔A1〕が好ましく、基〔A1〕の中でも1−メチルピリ
ジニウム−4−イル基が特に好ましい。また基〔A2
および〔A3〕の中でもイミダゾ[1、2−b]ピリダ
ジニウム−6−イル基が好ましい。
【0025】
【化18】 シル基がカルボキシレートアニオンであって、置換基A
上の陽電荷と一対になって分子内塩を形成していること
を示す。一方、化合物〔I〕は薬理学的に受容されるエ
ステルまたは塩を形成してもよい。薬理学的に受容され
る塩としては無機塩基塩、アンモニウム塩、有機塩基
塩、無機酸付加塩、有機酸付加塩、塩基性アミノ酸塩な
どが用いられる。無機塩基塩を生成させうる無機塩基と
してはアルカリ金属(たとえばナトリウム、カリウムな
ど)、アルカリ土類金属(たとえばカルシウムなど)など
が、有機塩基塩を生成させうる有機塩基としてはたとえ
ばプロカイン、2−フェニルエチルベンジルアミン、ジ
ベンジルエチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタ
ノールアミン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、
ポリヒドロキシアルキルアミン、N−メチルグルコサミ
ンなどが、無機酸付加塩を生成させうる無機酸としては
たとえば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など
が、有機酸付加塩を生成させうる有機酸としてはたとえ
ばp−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、
トリフルオロ酢酸、マレイン酸などが、塩基性アミノ酸
塩を生成させうる塩基性アミノ酸としてはたとえばリジ
ン、アルギニン、オルニチン、ヒスチジンなどが用いら
れる。これらの塩のうち塩基塩(すなわち無機塩基塩、
アンモニウム塩、有機塩基塩、塩基性アミノ酸塩)は化
合物〔I〕の置換基R1、R2、R3もしく
【0026】
【化19】 、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、シクロ
アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アラルキルアミ
ノ基、環状アミノ基、含窒素複素環基などの塩基性基が
存在する場合に形成しうる酸付加塩を意味する。また酸
付加塩としては
【化20】 たとえばクロライドイオン、ブロマイドイオン、スルフ
ェートイオン、p−トルエンスルホネートイオン、メタ
ンスルホネートイオン、トリフルオロアセテートイオン
など〕となった塩も含まれる。化合物〔I〕のエステル
誘導体は分子中に含まれるカルボキシル基をエステル化
することにより生成されうるエステルを意味し、合成中
間体として利用できるエステルおよび代謝上不安定な無
毒のエステルである。合成中間体として利用できるエス
テルとしては置換されていてもよいC1-6アルキルエス
テル、C2-6アルケニルエステル、C3-10シクロアルキ
ルエステル、C3-10シクロアルキルC1-6アルキルエス
テル、置換されていてもよいC6-10アリールエステル、
置換されていてもよいC7-12アラルキルエステル、ジC
6 -10アリール−メチルエステル、トリC6-10アリール−
メチルエステル、置換シリルエステルなどが用いられ
る。
【0027】「置換されていてもよいC1-6アルキルエ
ステル」としては、たとえばメチル、エチル、n−プロ
ピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−
ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル等
が用いられ、それらは例えば、ベンジルオキシ、C1-4
アルキルスルホニル(例、メチルスルホニル等)、トリ
メチルシリル、ハロゲン(例、フッ素、塩素、臭素
等)、アセチル、ニトロベンゾイル、メシルベンゾイ
ル、フタルイミド、サクシンイミド、ベンゼンスルホニ
ル、フェニルチオ、ジC1-4アルキルアミノ(例、ジメ
チルアミノ等)、ピリジル、C1-4アルキルスルフィニ
ル(例、メチルスルフィニル等)、シアノ等で1〜3個
置換されていてもよく、そのような基としては具体的に
は例えば、ベンジルオキシメチル、2ーメチルスルホニ
ルエチル、2−トリメチルシリルエチル、2,2,2−ト
リクロロエチル、2−ヨードエチル、アセチルメチル、
p−ニトロベンゾイルメチル、p−メシルベンゾイルメ
チル、フタルイミドメチル、サクシンイミドメチル、ベ
ンゼンスルホニルメチル、フェニルチオメチル、ジメチ
ルアミノエチル、ピリジン−1−オキシド−2−メチ
ル、メチルスルフィニルメチル、2−シアノ−1,1−
ジメチルエチルなどが用いられる。「C2-6アルケニル
エステル」を形成するC2-6アルケニル基としてはビニ
ル、アリル、1−プロペニル、イソプロペニル、1−ブ
テニル、2−ブテニル、3−ブテニル、メタリル、1,
1−ジメチルアリル、3−メチル−3−ブテニルなどが
用いられる。「C3-10シクロアルキルエステル」を形成
するC3-10シクロアルキル基としてはシクロプロピル、
シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シク
ロヘプチル、ノルボルニル、アダマンチルなどが用いら
れる。「C3-10シクロアルキルC1-6アルキルエステ
ル」を形成するC3-10シクロアルキルC1-6アルキル基
としてはシクロプロピルメチル、シクロペンチルメチ
ル、シクロヘキシルメチルなどが用いられる。「置換さ
れていてもよいC6-10アリールエステル」を形成する
「C6-10アリール基」としてはたとえばフェニル、α−
ナフチル、β−ナフチル、ビフェニリル等が用いられ、
それらは例えば、ニトロ、ハロゲン(例、フッ素、塩
素、臭素等)等で1〜3個置換されていてもよく、その
ような基として具体的には例えば、p−ニトロフェニ
ル、p−クロロフェニルなどが用いられる。
【0028】「置換されていてもよいC7-12アラルキル
エステル」を形成する「C7-12アラルキル基」としてはた
とえば、ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニル
エチル、フェニルプロピル、ナフチルメチル等が用いら
れ、それらは例えば、ニトロ、C1-4アルコキシ(例、
メトキシ等)、C1-4アルキル(例、メチル、エチル
等)、ヒドロキシで1〜3個置換されていてもよく、そ
のような基として具体的には例えば、p−ニトロベンジ
ル、p−メトキシベンジル、3、5−ジtert−ブチル−
4−ヒドロキシベンジルなどが用いられる。「ジC6-10
アリール−メチルエステル」を形成するジC6-10アリー
ル−メチル基としてはベンズヒドリルなどが、トリC
6-10アリール−メチルエステルを形成するトリC6-10
リール−メチル基としてはトリチルなどが、置換シリル
エステルを形成する置換シリル基としてはトリメチルシ
リル、tert−ブチルジメチルシリル、−Si(CH3)2
2CH2Si(CH3)2−などが用いられる。前記したエ
ステルには4位のエステルも含む。このように4位が前
記のエステル基であるものは3位が
【化21】 のような塩を形成している。
【0029】本発明は前記エステル誘導体のほかに、生
体内において化合物〔I〕に変換される薬理学的に受容
しうる化合物も包含する。
【化22】 場合、そのアミノ基は置換されていてもよい。このよう
なアミノ基の置換基としては、R1で示される保護され
ていてもよいアミノ基における保護基などがそのまま用
いられる。本発明の化合物〔I〕は水和物、非水和物の
いずれでもよく、また水以外の溶媒との溶媒和物であっ
てもよい。そのような溶媒和物の溶媒としては、メタノ
ール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールな
どのアルコール類、アセトンなどのケトン類、テトラヒ
ドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類などが用いら
れる。本発明の化合物〔I〕および原料化合物において
は、シス異性体(Z体)、トランス異性体(E体)およ
びシス、トランス混合物が包含されるものとする。本発
明の化合物〔I〕は、トランス異性体(E体)が好まし
い。化合物〔I〕については、例えばシス異性体(Z
体)は式〔VII〕で表わされる部分構造を有する幾何異
性体の1つを意味し、トランス異性体は式〔VIII〕で表
わされる部分構造を有する幾何異性体を意味する。
【化23】
【0030】化合物〔I〕の好ましい例としては、例え
ば (1)7β−〔2−(5−ホスフォノアミノ−1,2,4
−チアジアゾール−3−イル)−2(Z)−フルオロメト
キシイミノアセトアミド〕−3−〔(E)−2−(1−メ
チルピリジニウム−4−イル)チオ〕ビニル−3−セフ
ェム−4−カルボキシレート (2) 7β−〔2−(5−ホスフォノアミノ−1,2,4
−チアジアゾール−3−イル)−2(Z)−フルオロメチ
ルイミノアセトアミド〕−3−〔(E)−2−(1−メチ
ルイミダゾ〔1,2−b〕ピリダジニウム−6−イル)
チオ〕ビニル−3−セフェム−4−カルボキシレート (3) 7β−〔2−(5−ホスフォノアミノ−1,2,4
−チアジアゾール−3−イル)−2(Z)−シクロペンチ
ルオキシイミノアセトアミド〕−3−〔(E)−2−(1
−エチルイミダゾ〔1,2−b〕ピリダジニウム−6−
イル)チオ〕ビニル−3−セフェム−4−カルボキシレ
ート (4) 7β−〔2−(5−ホスフォノアミノ−1,2,4
−チアジアゾール−3−イル)−2(Z)−シクロペンチ
ルオキシイミノアセトアミド〕−3−〔(E)−2−(1
−カルバモイルメチルイミダゾ〔1,2−b〕ピリダジ
ニウム−6−イル)チオ〕ビニル−3−セフェム−4−
カルボキシレート (5) 7β−〔2−(5−ホスフォノアミノ−1,2,4
−チアジアゾール−3−イル)−2(Z)−シクロペンチ
ルオキシイミノアセトアミド〕−3−〔(E)−2−(1
−ヒドロキシエチルイミダゾ〔1,2−b〕ピリダジニ
ウム−6−イル)チオ〕ビニル−3−セフェム−4−カ
ルボキシレート (6) 7β−〔2−(5−ホスフォノアミノ−1,2,4
−チアジアゾール−3−イル)−2(Z)−イソプロポキ
シイミノアセトアミド〕−3−〔(E)−2−(1−メチ
ルイミダゾ〔1,2−b〕ピリダジニウム−6−イル)
チオ〕ビニル−3−セフェム−4−カルボキシレート
【0031】(7) 7β−〔2−(5−ホスフォノアミ
ノ−1,2,4−チアジアゾール−3−イル)−2(Z)−
イソプロポキシイミノアセトアミド〕−3−〔(E)−2
−(1−エチルイミダゾ〔1,2−b〕ピリダジニウム
−6−イル)チオ〕ビニル−3−セフェム−4−カルボ
キシレート (8) 7β−〔2−(5−ホスフォノアミノ−1,2,4
−チアジアゾール−3−イル)−2(Z)−イソプロポキ
シイミノアセトアミド〕−3−〔(E)−2−(1−カル
バモイルメチルイミダゾ〔1,2−b〕ピリダジニウム
−6−イル)チオ〕ビニル−3−セフェム−4−カルボ
キシレート (9) 7β−〔2−(5−ホスフォノアミノ−1,2,4
−チアジアゾール−3−イル)−2(Z)−イソプロポキ
シイミノアセトアミド〕−3−〔(E)−2−(1−ヒド
ロキシエチルイミダゾ〔1,2−b〕ピリダジニウム−
6−イル)チオ〕ビニル−3−セフェム−4−カルボキ
シレート (10) 7β−〔2−(5−ホスフォノアミノ−1,2,4
−チアジアゾール−3−イル)−2(Z)−エトキシイミ
ノアセトアミド〕−3−〔(E)−2−(1−メチルイミ
ダゾ〔1,2−b〕ピリダジニウム−6−イル)チオ〕
ビニル−3−セフェム−4−カルボキシレート (11) 7β−〔2−(5−ホスフォノアミノ−1,2,4
−チアジアゾール−3−イル)−2(Z)−エトキシイミ
ノアセトアミド〕−3−〔(E)−2−(1−エチルイミ
ダゾ〔1,2−b〕ピリダジニウム−6−イル)チオ〕
ビニル−3−セフェム−4−カルボキシレート (12) 7β−〔2−(5−ホスフォノアミノ−1,2,4
−チアジアゾール−3−イル)−2(Z)−エトキシイミ
ノアセトアミド〕−3−〔(E)−2−(1−カルバモイ
ルメチルイミダゾ〔1,2−b〕ピリダジニウム−6−
イル)チオ〕ビニル−3−セフェム−4−カルボキシレ
ート (13) 7β−〔2−(5−ホスフォノアミノ−1,2,4
−チアジアゾール−3−イル)−2(Z)−エトキシイミ
ノアセトアミド〕−3−〔(E)−2−(1−ヒドロキシ
エチルイミダゾ〔1,2−b〕ピリダジニウム−6−イ
ル)チオ〕ビニル−3−セフェム−4−カルボキシレー
【0032】(14) 7β−〔2−(5−ホスフォノアミ
ノ−1,2,4−チアジアゾール−3−イル)−2(Z)−
フルオロメトキシイミノアセトアミド〕−3−〔(E)−
2−(1−メチルイミダゾ〔1,2−b〕ピリダジニウ
ム−6−イル)チオ〕ビニル−3−セフェム−4−カル
ボキシレート (15) 7β−〔2−(5−ホスフォノアミノ−1,2,4
−チアジアゾール−3−イル)−2(Z)−フルオロメト
キシイミノアセトアミド〕−3−〔(E)−2−(1−エ
チルイミダゾ〔1,2−b〕ピリダジニウム−6−イ
ル)チオ〕ビニル−3−セフェム−4−カルボキシレー
ト (16) 7β−〔2−(5−ホスフォノアミノ−1,2,4
−チアジアゾール−3−イル)−2(Z)−フルオロメト
キシイミノアセトアミド〕−3−〔(E)−2−(1−カ
ルバモイルメチルイミダゾ〔1,2−b〕ピリダジニウ
ム−6−イル)チオ〕ビニル−3−セフェム−4−カル
ボキシレート (17) 7β−〔2−(5−ホスフォノアミノ−1,2,4
−チアジアゾール−3−イル)−2(Z)−フルオロメト
キシイミノアセトアミド〕−3−〔(E)−2−(1−ヒ
ドロキシエチルイミダゾ〔1,2−b〕ピリダジニウム
−6−イル)チオ〕ビニル−3−セフェム−4−カルボ
キシレート (18) 7β−〔2−(5−ホスフォノアミノ−1,2,4
−チアジアゾール−3−イル)−2(Z)−(2−フルオ
ロエトキシイミノ)アセトアミド〕−3−〔(E)−2−
(1−メチルイミダゾ〔1,2−b〕ピリダジニウム−
6−イル)チオ〕ビニル−3−セフェム−4−カルボキ
シレート (19) 7β−〔2−(5−ホスフォノアミノ−1,2,4
−チアジアゾール−3−イル)−2(Z)−メトキシイミ
ノアセトアミド〕−3−〔(E)−2−(1−メチルイミ
ダゾ〔1,2−b〕ピリダジニウム−6−イル)チオ〕
ビニル−3−セフェム−4−カルボキシレート (20) 7β−〔2−(5−ホスフォノアミノ−1,2,4
−チアジアゾール−3−イル)−2(Z)−メトキシイミ
ノアセトアミド〕−3−〔(E)−2−(1−カルバモイ
ルメチルイミダゾ〔1,2−b〕ピリダジニウム−6−
イル)チオ〕ビニル−3−セフェム−4−カルボキシレ
ート などが挙げられる。なかでも7β−〔2−(5−ホスフ
ォノアミノ−1,2,4−チアジアゾール−3−イル)−
2(Z)−フルオロメトキシイミノアセトアミド〕−3−
〔(E)−2−(1−メチルピリジニウム−4−イル)チ
オ〕ビニル−3−セフェム−4−カルボキシレートおよ
び7β−〔2−(5−ホスフォノアミノ−1,2,4−チ
アジアゾール−3−イル)−2(Z)−フルオロメチルイ
ミノアセトアミド〕−3−〔(E)−2−(1−メチルイ
ミダゾ〔1,2−b〕ピリダジニウム−6−イル)チ
オ〕ビニル−3−セフェム−4−カルボキシレートが好
ましい。
【0033】本発明の化合物〔I〕の製造法を以下に詳
しく述べる。 製造法(1):たとえば式〔II〕で表される化合物また
はその塩またはそのエステル(以下化合物〔II〕とい
う)と式〔III〕で表される化合物またはその塩もしく
はその反応性誘導体(以下化合物〔III〕という)とを
反応させ、必要に応じて保護基を除去することにより化
合物〔I〕を合成することができる。R0で示される保護
されていてもよいホスフォノ基としてはR1で示される
保護されていてもよいホスフォノ基の他たとえばジクロ
ロホスフォリル等のジハロホスフォリルなどが挙げられ
る。本法は化合物〔II〕を化合物〔III〕でアシル化す
る方法である。化合物〔II〕は遊離のまま、その塩ある
いはエステルとして用いられる。化合物〔II〕の塩とし
ては無機塩基塩、アンモニウム塩、有機塩基塩、無機酸
付加塩、有機酸付加塩などがあげられる。無機塩基塩と
してはアルカリ金属塩(たとえばナトリウム塩、カリウ
ム塩など)、アルカリ土類金属塩(たとえばカルシウム
塩など)などが、有機塩基塩としてはたとえばトリメチ
ルアミン塩、トリエチルアミン塩、tert−ブチルジメチ
ルアミン塩、ジベンジルメチルアミン塩、ベンジルジメ
チルアミン塩、N,N−ジメチルアニリン塩、ピリジン
塩、キノリン塩などが、無機酸付加塩としてはたとえば
塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩など
が、有機酸付加塩としてはギ酸塩、酢酸塩、トリフルオ
ロ酢酸塩、メタンスルホン酸塩、 p−トルエンスルホ
ン酸塩などがあげられる。
【0034】アミノ化合物〔II〕のエステルとしては化
合物〔I〕のエステル誘導体としてすでに述べたエステ
ルがここでもそのままあげられる。すなわちC1-6アル
キルエステル、C2-6アルケニルエステル、C3-10シク
ロアルキルエステル、C3-6シクロアルキル−C1-6アル
キルエステル、C6-10アリールエステル、C7-12アラル
キルエステル、ジ−C6-10アリールメチルエステル、ト
リ−C6-10アリールメチルエステル、C2-6アルカノイ
ルオキシ−C1-6アルキルエステルなどが挙げられる。
化合物〔II〕はたとえば、特開平8−337585、W
O96/38451などに記載の方法によって製造する
ことができる。
【0035】この方法において化合物〔III〕は遊離の
まま、またはその塩あるいはその反応性誘導体がアミノ
化合物〔II〕の7位アミノ基のアシル化剤として用いら
れる。化合物〔III〕の塩としては無機塩基塩、有機塩
基塩が挙げられ、無機塩基塩としてはアルカリ金属塩
(たとえばナトリウム塩、カリウム塩など)、アルカリ
土類金属塩(たとえばカルシウム塩など)などが、有機
塩基塩としてはたとえばトリメチルアミン塩、トリエチ
ルアミン塩、tert−ブチルジメチルアミン塩、ジベンジ
ルメチルアミン塩、ベンジルジメチルアミン塩、N,N
−ジメチルアニリン塩、ピリジン塩、キノリン塩などが
挙げられる。化合物〔III〕のカルボン酸の反応性誘導
体としてはたとえば酸ハライド、酸アジド、酸無水物、
混合酸無水物、活性アミド、活性エステル、活性チオエ
ステルなどの反応性誘導体がアシル化反応に供される。
酸ハライドとしてはたとえば酸クロライド、酸ブロマイ
ドなどが、混合酸無水物としてはモノC1-6アルキル炭
酸混合酸無水物(たとえば遊離酸とモノメチル炭酸、モ
ノエチル炭酸、モノイソプロピル炭酸、モノイソブチル
炭酸、モノtert−ブチル炭酸、モノベンジル炭酸、モノ
(p−ニトロベンジル)炭酸、モノアリル炭酸などとの
混合酸無水物)、C1-6脂肪族カルボン酸混合酸無水物
(たとえば遊離酸と酢酸、トリクロロ酢酸、シアノ酢
酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草
酸、ピバル酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ア
セト酢酸などとの混合酸無水物)、C7-12芳香族カルボ
ン酸混合酸無水物(たとえば遊離酸と安息香酸、p−ト
ルイル酸、p−クロロ安息香酸などとの混合酸無水
物)、有機スルホン酸混合酸無水物〔たとえば遊離酸と
メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホ
ン酸、p−トルエンスルホン酸などとの混合酸無水物)
などが、活性アミドとしては含窒素複素環化合物とのア
ミド(たとえば遊離酸とピラゾール、イミダゾール、ベ
ンゾトリアゾールなどとの酸アミドで、これらの含窒素
複素環化合物はC1-6アルキル基(例、メチル、エチル
等)、C1 -6アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ
等)、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素等)、オ
キソ基、チオキソ基、C1-6アルキルチオ基(例、メチ
ルチオ、エチルチオ等)などで置換されていてもよ
い。〕などがあげられる。
【0036】活性エステルとしてはβ−ラクタムおよび
ペプチド合成の分野でこの目的に用いられるものはすべ
て利用でき、たとえば有機リン酸エステル(たとえばジ
エトキシリン酸エステル、ジフェノキシリン酸エステル
など)のほかp−ニトロフェニルエステル、2,4−ジ
ニトロフェニルエステル、シアノメチルエステル、ペン
タクロロフェニルエステル、N−ヒドロキシサクシンイ
ミドエステル、N−ヒドロキシフタルイミドエステル、
1−ヒドロキシベンゾトリアゾールエステル、6−クロ
ロ−1−ヒドロキシベンゾトリアゾールエステル、1−
ヒドロキシ−1H−2−ピリドンエステルなどがあげら
れる。活性チオエステルとしては芳香族複素環チオール
化合物とのエステル〔たとえば2−ピリジルチオールエ
ステル、2−ベンゾチアゾリルチオールエステルなど
で、これらの複素環はC1-6 アルキル基(例、メチル、
エチル等)、C1-6アルコキシ基(例、メトキシ、エト
キシ等)、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素
等)、C1-6アルキルチオ基(例、メチルチオ、エチル
チオ等)などで置換されていてもよい。〕が挙げられ
る。化合物〔III〕は公知の方法(例えば、特開昭60
−231684号、特開昭62−149682号、EP
0590681等に記載の方法)またはそれに準ずる方
法によって容易に製造できる。化合物〔III〕の反応性
誘導体は反応混合物から単離された物質として化合物
〔II〕と反応させてもよいし、または単離前の化合物
〔III〕の反応性誘導体を含有する反応混合物をそのま
ま化合物〔II〕と反応させることもできる。化合物〔II
I〕を遊離酸または塩の状態で使用する場合は適当な縮
合剤を用いる。縮合剤としてはたとえばN,N'−ジシ
クロヘキシルカルボジイミドなどのN,N'−ジ置換カ
ルボジイミド類、たとえばN,N'−カルボニルジイミ
ダゾール、N,N'−チオカルボニルジイミダゾ−ルな
どのアゾライド類、たとえばN−エトキシカルボニル−
2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン、オキシ塩化
リン、アルコキシアセチレンなどの脱水剤、たとえば2
−クロロピリジニウムメチルアイオダイド、2−フルオ
ロピリジニウムメチルアイオダイドなどの2−ハロゲノ
ピリジニウム塩類などが用いられる。これらの縮合剤を
用いた場合、反応は化合物〔III〕の反応性誘導体を経
て進行すると考えられる。反応は一般に溶媒中で行なわ
れ、反応を阻害しない溶媒が適宜に選択される。このよ
うな溶媒としてはたとえばジオキサン、テトラヒドロフ
ラン、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテ
ル、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコール−ジ
メチルエーテルなどのエーテル類、たとえばギ酸エチ
ル、酢酸エチル、酢酸n−ブチルなどのエステル類、た
とえばジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ト
リクレン、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭
化水素類、たとえばn−ヘキサン、ベンゼン、トルエン
などの炭化水素類、たとえばホルムアミド、N,N−ジ
メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドな
どのアミド類、たとえばアセトン、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、たとえば
アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類な
どのほか、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ヘキサ
メチルホスホルアミド、水などが単独または混合溶媒と
して用いられる。
【0037】化合物〔III〕の使用量は化合物〔II〕1
モルに対して通常約1〜5モル、好ましくは約1〜2モ
ルである。反応は約−80〜80℃、好ましくは約−4
0〜50℃、最も好ましくは約−30〜30℃の温度範
囲で行われる。反応時間は化合物〔II〕および化合物
〔III〕の種類、溶媒の種類(混合溶媒の場合はその混
合比も)、反応温度などに依存し、通常約1分〜72時
間、好ましくは約15分〜3時間である。アシル化剤とし
て酸ハライドを用いた場合は放出されるハロゲン化水素
を反応系から除去する目的で脱酸剤の存在下に反応を行
うことができる。このような脱酸剤としてはたとえば炭
酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水
素ナトリウムなどの無機塩基、たとえばトリエチルアミ
ン、トリ(n−プロピル)アミン、トリ(n−ブチル)
アミン、ジイソプロピルエチルアミン、シクロヘキシル
ジメチルアミン、ピリジン、ルチジン、γ−コリジン、
N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N
−メチルピロリジン、N−メチルモルホリンなどの第3
級アミン、たとえばプロピレンオキシド、エピクロルヒ
ドリンなどのアルキレンオキシドなどが挙げられる。R
0が水素原子で、反応性誘導体生成時に、同時に保護さ
れていてもよいホスフォノ基の導入が生じる場合は、R
0がジハロホスフォリル基である反応混合物は、さらに
水で処理してR1がホスフォノ基である化合物〔I〕と
して得てもよく、また同じ反応混合物をさらにたとえば
メタノール、エタノール等のアルカノールのようなアル
コール等で処理して、R1がエステル化されたホスフォ
ノ基である化合物〔I〕を得てもよい。
【0038】製造法(2): 化合物〔I〕のうち式〔Ia〕:
【化24】 (式中、各記号は前記と同意義である)で表される化合
物またはその塩(以下化合物〔Ia〕ということもある)
は、たとえば、式〔Ib〕:
【化25】 〔式中、R4およびR5は同一または異なってホスフォノ
基の保護基、その他の記号は前記と同意義を示す。〕で
表わされる化合物またはその塩類(以下化合物〔Ib〕
ということもある)のホスフォノ基の保護基を脱離反応
に付すことによって製造することができる。R4および
5で示されるホスフォノ基の保護基としては、たとえ
ばハロゲン(塩素原子など)、アルコキシ(例、メトキ
シ、エトキシ、プロポキシなど炭素数1〜3のもの)、
アミノ、モルフォリノ、チオモルホリノなどが挙げられ
る。本法は、たとえば、化合物〔Ib〕を、たとえば臭
化トメチルシリル、ヨウ化トリメチルシリル、塩化トリ
メチルシリル等のハロゲン化トリメチルシリル、たとえ
ばヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、臭化ナトリウム
等のハロゲン化金属、たとえばチオシアン酸ナトリウ
ム、チオシアン酸カリウム等のチオシアン酸アルカリ金
属等と反応させることによって行うことができる。反応
は好ましくは、塩化メチレン、ジメチルアセトアミドの
ような溶媒中で行われるが、反応に影響を及ぼさない有
機溶媒であればいかなる溶媒中でも行うことができる。
反応温度は特に限定されず、通常冷却下、常温ないしは
若干加熱する程度の温和な条件下に反応が行われる。
【0039】なおこの反応において、化合物〔Ib〕の
4とR5が異なる場合には、反応条件を選択することに
より、R4およびR5のの一方のみの保護基を除去するこ
とができ、この場合式〔Ic〕:
【化26】 〔式中、各記号は前記と同意義である。〕で表わされる
化合物またはその塩類(以下化合物〔Ic〕ということ
もある)が得られる。 製造法(3):化合物〔Ia〕は、たとえば、化合物
〔Ic〕のホスフォノ基の保護基を脱離反応に付すこと
によって製造することができる。本法は、たとえば、化
合物〔Ic〕を、酸等を用いて行うことができる。好適
な酸としては、有機酸または無機酸が挙げられ、たとえ
ばギ酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、ベンゼンスルホン
酸、硝酸、P-トルエンスルホン酸、塩酸等がその例であ
るが、好ましい酸は、たとえば、ギ酸、トリフルオロ酢
酸、塩酸等である。反応に適した酸は、加水分解すべき
基の種類によって選択される。この反応は溶媒を用い
て、あるいは用いる事なく行われる。好適な溶媒として
は、慣用の有機溶媒、水またはそれらの混合物が挙げら
れる。トリフルオロ酢酸を使用する場合、アニソール存
在下に反応を行うことが望ましい。
【0040】製造法4 式〔VI〕:
【化27】 〔式中、記号は前記と同意義を示す。〕で表わされる化
合物またはその塩類(以下化合物〔VI〕ということもあ
る)をリン酸誘導体と縮合することによって化合物〔I〕
を製造することができる。本法は、たとえば、化合物
〔VI〕またはその塩類に対し、たとえば三塩化リン、五
塩化リン等のハロゲン化リン、オキシ塩化リン等のオキ
シハロゲン化リン等を用いて行うことができる。反応は
通常、たとえば塩化メチレン、塩化エチレン等のハロゲ
ン化アルキレン、トルエン等の溶媒中で行われる。反応
温度は限定されず、通常冷却下、常温ないし加温化に反
応が行われる。この反応においては、得られた化合物
〔I〕のR1がジハロホスフォリル基である反応混合物
は、さらに水で処理してR1がホスフォノ基である化合
物〔I〕として得てもよく、また同じ反応混合物をさら
にたとえばメタノール、エタノール等のアルカノールの
ようなアルコール等で処理して、R1がエステル化され
たホスフォノ基である化合物〔I〕を得てもよい。前記
製造法(1)〜(4)に記載した方法により製造した化合物
〔I〕はたとえば抽出法、カラムクロマトグラフィー、
沈澱法、再結晶法などの公知の処理手段によって単離精
製することができる。一方、単離された化合物〔I〕を
公知の方法により所望の生理学的に受容される塩へと変
換することもできる。
【0041】原料化合物〔III〕の製造法を以下詳細に
説明する。
【化28】 製法A 上記式中、R6は式:CO26によって表されるエステ
ル化されたカルボキシル基のエステル部分を示す。式
〔IV〕で表される化合物またはそのカルボキシル基にお
ける反応性誘導体またはその塩類(以下化合物〔IV〕と
いうこともある)をエステル化反応に付すことにより式
〔V〕で表される化合物またはその塩類(以下化合物
〔V〕ということもある)を製造することができる。化
合物〔IV〕の好適な塩類としては、たとえばナトリウム
塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、たとえばカルシウ
ム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩のような
金属塩、アンモニウム塩、たとえばトリメチルアミン
塩、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、ジ
シクロヘキシルアミン塩、N,N′-ジベンジルアミン塩等
の有機塩基との塩が挙げられる。化合物〔IV〕のカルボ
キシ基における好適な反応性誘導体としては、化合物
〔III〕について例示したものを挙げることができる。
このエステル化反応に使用すべきエステル化剤として
は、式: (R62SO4, R6a−N2 または R6−X 〔式中、R6は前記と同意義であり、R6aはR6から水素
を脱離した基、Xはヒドロキシまたはハロゲンをそれぞ
れ意味する。〕で示される化合物が挙げられる。好適な
ハロゲンとしては塩素、臭素、ヨウ素又はフッ素が挙げ
られる。硫酸エステル、およびアルキルハライドをエス
テル剤として用いる場合、反応は通常、水、アセトン、
塩化メチレン、エタノール、エーテル、ジメチルホルム
アミドのような溶媒中で行われるが、反応に影響を及ぼ
さない溶媒であれば、その他いかなる溶媒中でも行うこ
とができる。反応は好ましくは、前記の無機塩基もしく
は有機塩基の存在下行われる。反応温度は特に限定され
ず、通常は冷却下から溶媒の沸点周辺の温度までの加熱
下の範囲で反応が行われる。
【0042】エステル化剤としてジアゾ化合物を用いる
場合、エーテル、テトラヒドロフラン等の溶媒中行わ
れ、反応温度は特に限定されず、通常冷却下又は常温で
反応が行われる。化合物〔V〕の好適な塩類としては、
たとえば酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、ベンゼンス
ルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩等の有機酸塩、また
は、たとえば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩
等の無機酸塩のような酸付加塩等が挙げられる。 製法BおよびD 化合物〔IV〕または化合物〔V〕をそれぞれアミノ基
へ、保護されていてもよいホスフォノ基の導入反応に付
すことによって式〔III〕で表される化合物またはその
カルボキシル基における反応性誘導体またはその塩(以
下化合物〔III〕という)または式〔IIIa〕で表される
化合物またはそのカルボキシル基における反応性誘導体
またはその塩(以下化合物〔IIIa〕という)を製造する
ことができる。化合物〔IV〕および〔V〕のカルボキシ
基における反応性誘導体として好適なものは、化合物
〔III〕について例示したものが挙げられる。この導入
反応に使用すべき好適な導入剤としては、たとえば三塩
化リン、五塩化リン等のハロゲン化リン、オキシ塩化リ
ン等が挙げられる。この反応は通常、たとえば塩化メチ
レン、塩化エチレン等のハロゲン化アルキレン、トルエ
ン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン等の溶媒中で行わ
れる。この反応においては、化合物〔IV〕または〔V〕
をたとえばハロゲン化リン等の上記導入剤と反応させる
ことによって得られた、R0がジハロホスフォリル基で
ある反応混合物は、さらに水で処理してR1がホスフォ
ノ基である化合物〔III〕または〔IIIa〕として得ても
よく、また同じ反応混合物をさらにたとえばメタノー
ル、エタノール等のアルカノールのようなアルコール等
で処理して、R0がエステル化されたホスフォノ基であ
る化合物〔III〕または〔IIIa〕を得てもよい。R0がジ
ハロホスフォリル基である化合物〔III〕または〔III
a〕の反応生成物は上述の反応混合物から慣用の単離方
法によって得られ、次の工程の反応に使用され得る。化
合物〔IIIa〕のカルボキシ基が反応中にその反応性誘導
体に変化する場合も、この反応の範囲内に包含される。
【0043】製法C 化合物〔IIIa〕を脱エステル化反応に付すことにより化
合物〔III〕を製造することができる。好適な化合物〔I
II〕の塩類としては、化合物〔IV〕について例示したも
のを挙げることができる。この反応は加水分解、還元等
の常法によって行うことができる。加水分解反応は好ま
しくは塩基または酸の存在下に行われる。好適な塩基と
しては、たとえばナトリウム、カリウム等のアルカリ金
属、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属、
上記金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、たとえばト
リメチルアミン、トリエチルアミン等のトリアルキルア
ミン、ピコリン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エ
ン、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,8-ジアザ
ビシクロ[5.4.0]ウンデカン等のような無機塩基および
有機塩基が挙げられる。好適な酸としては、たとえばギ
酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸等の有機
酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸等の無機酸が挙げられる。
トリフルオロ酢酸は、たとえばアニソール等の陽イオン
捕捉剤の存在下に使用されることが望ましい。反応は通
常、水、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、たとえば
メタノール、エタノール等のアルコール、またはそれら
の混合物中で行われるが、反応に影響を及ぼさない溶媒
であれば、その他のいかなる溶媒中でも行い得る。液体
状の塩基または酸も溶媒として使用することができる。
反応温度は特に限定されず、通常冷却下ないし加温下の
範囲で行われる。還元は好ましくは、4-ニトロベンジ
ル、2-ヨウ化エチル、2,2,2-トリクロロエチル等のよう
なエステル部分の脱保護に適用することができる。脱エ
ステル反応に適用され得る還元法としては、たとえば亜
鉛、亜鉛アマルガム等の金属、または、たとえば塩化第
一クロム、酢酸第一クロム等のクロム化合物塩と例えば
酢酸、プロピオン酸、塩酸等の有機酸もしくは無機酸と
の組み合わせを用いる還元法、および、たとえばパラジ
ウムー炭素等の常用の金属触媒の存在下における接触還
元法が挙げられる。
【0044】原料化合物である式〔IIId〕で表される化
合物またはその反応性誘導体またはその塩(以下化合物
〔IIId〕という)の製法を以下に述べる。
【化29】 [式中、R0aはジハロホスフォリル基を、R1aは保護さ
れていてもよいホスフォノ基を示す。(R1aはR1と同じ
定義であるが、R1とは異なっていてもよい)] 製法E 化合物〔V〕をアミノ基へのジハロホスフォリル基の導
入反応に付すことにより式〔IIIb〕で表される化合物ま
たはその反応性誘導体またはその塩(以下化合物〔III
b〕という)を製造することができる。この反応は、製
法BおよびDの方法に準じて行うことができる。 製法F 化合物〔IIIb〕をジハロホスフォリル基のジハロホスフ
ォリル基以外のホスフォノ基への変換反応に付すことに
より式〔IIIc〕で表される化合物またはその反応性誘導
体またはその塩(以下化合物〔IIIc〕という)を製造す
ることができる。この変換反応は、化合物〔IIIb〕をエ
ステル化および/またアミド化反応に付すことにより行
うことができる。
【0045】このエステル化反応は、化合物〔IIIb〕を
アルコールと反応させることにより行うことができる。
好適なアルコールとしては、たとえばメタノール、エタ
ノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール等が
挙げられる。アミド化反応は、化合物〔IIIb〕をアミン
と反応させることにより行うことができる。好適なアミ
ンとしては、アンモニア、たとえばメチルアミン、エチ
ルアミン等の第一級アミン、たとえばモルホリン、ジメ
チルアミン等の第二級アミン等が挙げられる。このエス
テル化反応またはアミド化反応は通常、たとえば塩化メ
チレン、塩化エチレン等のハロゲン化アルキレン、テト
ラヒドロフラン、水のような溶媒中で行われるが、反応
に影響を及ぼさない溶媒であればその他いかなる溶媒中
でも行うことができる。反応温度は特に限定されず、通
常は冷却下または常温で反応が行われる。 製法G 化合物〔IIIc〕を脱エステル化反応に付すことにより化
合物〔IIId〕を製造することができる。この反応は、製
法Cに準じて行うことができる。
【0046】前記本発明の各反応において、化合物が置
換基としてアミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基
を有する場合、これらの基にペプチド化学などで一般的
に用いられているような保護基が導入されていてもよ
く、反応後に必要に応じて保護基を除去することにより
目的化合物を得ることができる。アミノ基の保護基とし
ては、例えばホルミル基、C1-6アルキルカルボニル基
(例えば、アセチル、エチルカルボニルなど)、ベンジ
ル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、ベンジルオキ
シカルボニル基、9−フルオレニルメチルオキシカルボ
ニル基、アリルオキシカルボニル基、フェニルカルボニ
ル基、C1-6アルキルオキシカルボニル基(例えば、メ
トキシカルボニル、エトキシカルボニルなど)、C7-10
アラルキルカルボニル基(例えば、ベンジルカルボニル
など)、トリチル基、フタロイル基、N,N−ジメチル
アミノメチレン基などが用いられる。これらの基は1な
いし3個のハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素
など)、ニトロ基などで置換されていてもよい。カルボ
キシル基の保護基としては、例えばC1-6アルキル基
(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、
ブチル、tert−ブチルなど)、フェニル基、シリル基、
ベンジル基、アリル基などが用いられる。これらの基は
1ないし3個のハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、
臭素など)、ニトロ基などで置換されていてもよい。
【0047】ヒドロキシル基の保護基としては、例えば
メトキシメチル基、アリル基、tert−ブチル基、C7-10
アラルキル基(例えば、ベンジルなど)、ホルミル基、
1-6アルキルカルボニル基(例えば、アセチル、エチ
ルカルボニルなど)、ベンゾイル基、C7-10アラルキル
カルボニル基(例えば、ベンジルカルボニルなど)、ピ
ラニル基、フラニル基、トリアルキルシリル基などが用
いられる。これらの基は、1ないし3個のハロゲン原子
(例えば、フッ素、塩素、臭素など)、C1-6アルキル
基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピ
ル、ブチル、tert−ブチルなど)、フェニル基、C7-10
アラルキル基(例えば、ベンジルなど)、ニトロ基など
で置換されていてもよい。これらの保護基の除去方法と
しては、自体公知またはこれに準じる方法が用いられる
が、例えば酸、塩基、還元、紫外光、ヒドラジン、フェ
ニルヒドラジン、N−メチルジチオカルバミン酸ナトリ
ウム、テトラブチルアンモニウムフルオリド、酢酸パラ
ジウムなどを使用する方法などが用いられる。前記本発
明の各反応によって化合物が遊離の状態で得られる場合
には、常法に従って塩に変換してもよく、また塩として
得られる場合には、常法に従って遊離体またはその他の
塩に変換することもできる。かくして得られる本発明の
化合物〔I〕は、公知の手段、例えば転溶、濃縮、溶媒
抽出、分留、結晶化、再結晶、クロマトグラフィーなど
により反応溶媒から単離、精製することができる。な
お、本発明の化合物〔I〕がジアステレオマー、コンフ
ォーマーなどとして存在する場合には、所望により、通
常の分離、精製手段によりそれぞれを単離することがで
きる。また、本発明の化合物〔I〕がラセミ体である場
合には、通常の光学分割手段によりd体、l体に分離す
ることができる。
【0048】本発明の化合物〔I〕は水に難溶性の対応
する遊離アミノチアジアゾリル化合物(すなわち、R1
がアミノ基を意味する)と比較して、水に対して大きな
溶解性を有する特徴があり、かつR1なる基が生理条件
で切断されて対応する遊離アミノチアジアゾリル化合物
を生成し得るという長所を有する点で特徴を有する。さ
らに、遊離アミノチアジアゾール化合物を投与した場合
よりも、優れた抗菌力を有しており、また、スペクトル
の広い抗菌活性を有し、毒性が低いので人および哺乳動
物(例、マウス、ラット、ウサギ、犬、ネコ、牛、豚
等)における病原性細菌により生ずる種々の疾病、たと
えば気道感染、尿路感染の予防ならびに治療のため安全
に使用されうる。抗菌性化合物〔I〕の抗菌スペクトル
の特徴としてつぎのような点が挙げられる。 (1) 多種のグラム陰性菌に対して非常に高い活性を示
す。 (2) グラム陽性菌(たとえばスタフィロコッカス・アウ
レウス、コリネバクテリウム・ジフテリアエ等)に対し
て高い活性を有している。 (3) メチシリン耐性ブドウ球菌(MRSA)に対して高
い活性を有している。 (4) 通常のセファロスポリン系抗生物質による治療に感
受性でないシュードモナス・エアルギノサに対して顕著
な効果を示す。 (5) 多くのβーラクタマーゼ生産性グラム陰性菌(たと
えばエシェリヒア属、エンテロバクター属、セラチア
属、プロテウス属等)に対しても高い活性を有してい
る。 また本発明の抗菌性化合物〔I〕は、優れた安定性を有
する特徴を有している。
【0049】本発明の化合物〔I〕は公知のペニシリン
剤、セフアロスポリン剤と同様に注射剤、カプセル剤、
錠剤、顆粒剤として非経口または経口的に投与できる。
特に注射剤として投与するのが好ましく、この場合その
投与量はたとえば前記したような病原性細菌に感染した
人および動物の体重1kgあたり化合物〔I〕として通常
0.5〜80mg/日、より好ましくは2〜40mg/日で
あり、通常1日2〜3回に分割して投与される。本発明
の医薬は化合物〔I〕の原末そのままであってもよい
が、通常、医薬製剤用担体、例えば賦形剤(例えば、炭
酸カルシウム、カオリン、炭酸水素ナトリウム、乳糖、
D−マンニトール、澱粉類、結晶セルロース、タルク、
グラニュー糖、多孔性物質など)、結合剤(例えば、デ
キストリン、ゴム類、アルファ化澱粉、ゼラチン、ヒド
ロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル
セルロース、プルランなど)、増粘剤(例えば、天然ガ
ム類、セルロース誘導体、アクリル酸誘導体など)、崩
壊剤(例えば、カルボキシメチルセルロースカルシウ
ム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、部分アルファ
化澱粉など)、溶剤(例えば、注射用水、アルコール、
プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモ
ロコシ油など)、分散剤(例えば、ツイーン80、HC
O60、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセ
ルロース、アルギン酸ナトリウムなど)、溶解補助剤
(例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコ
ール、D−マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノー
ル、トリスアミノメタン、トリエタノールアミン、炭酸
ナトリウム、クエン酸ナトリウムなど)、懸濁化剤(例
えば、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸
ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、ポリビニルアルコ
ール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシメチルセルロ
ースなど)、無痛化剤(例えば、ベンジルアルコールな
ど)、等張化剤(例えば、塩化ナトリウム、グリセリン
など)、緩衝剤(例えば、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、
クエン酸塩など)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグ
ネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、澱粉、安
息香酸ナトリウムなど)、着色剤(例えば、タール色
素、カラメル、三二酸化鉄、酸化チタン、リボフラビン
類など)、矯味剤(例えば、甘味類、香料など)、安定
剤(例えば、亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸など)
および保存剤(例えば、パラベン類、ソルビン酸など)
などの中から適宜、適量用いて、常法に従って調製され
る。
【0050】前記医薬製剤用担体を含んでいてもよい本
発明の医薬組成物は、本発明の化合物〔I〕を治療およ
び予防するのに有効な量を含有する。本発明の化合物
〔I〕の本発明製剤中の含有量は、通常、製剤全体の約
0.1ないし約100重量%である。また、本発明で用
いられる製剤は、本発明の化合物〔I〕以外の医薬成分
(例えば、以下に示される抗腫瘍剤など)を含有してい
てもよく、これらの成分は本発明の目的が達成される限
り特に限定されず、適宜適当な配合割合で含有させて合
剤とすることが可能である。剤型の具体例としては、例
えば錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、
丸剤、カプセル剤(マイクロカプセルを含む)、顆粒
剤、細粒剤、散剤、点滴剤、シロップ剤、乳剤、懸濁
剤、注射剤、吸入剤、軟膏剤、座剤、トローチ剤、パッ
プ剤、徐放剤などが用いられる。これらの製剤は常法
(例えば、日本薬局方第12改正に記載の方法など)に
従って調製される。特に、注射剤として用いられる場合
の担体は、たとえば蒸留水、生理食塩水などが用いら
れ、カプセル剤、粉剤、顆粒剤、錠剤として用いられる
場合は、公知の薬理学的に許容される賦形剤(たとえば
デンプン、乳糖、白糖、炭酸カルシウム、リン酸カルシ
ウム等)、結合剤(たとえばデンプン、アラビアゴム、
カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセル
ロース、結晶セルロース等)、滑沢剤(たとえばステア
リン酸マグネシウム、タルク等)、破壊剤(たとえばカ
ルボキシメチルカルシウム、タルク等)と混合して用い
られる。
【0051】本発明の医薬の主な製剤の製造法を以下に
示すが、これらに限定されるものではない。 (1)錠剤 本発明の化合物をそのまま、または賦形剤、結合剤、崩
壊剤もしくはそのほかの適当な添加剤を加えて均等に混
和したものを、適当な方法で顆粒状とした後、滑沢剤な
どを加え、圧縮成型する。次いで、必要により、味のマ
スキング、腸溶性あるいは持続性などの目的のために、
適当なコーティング剤で剤皮を施されていてもよい。 (2)注射剤 本発明の化合物の一定量を、必要により安定剤、溶解補
助剤、懸濁化剤、乳化剤、緩衝剤、保存剤などを加え
て、注射用水などに溶解、懸濁もしくは乳化して一定用
量とする。 (3)座剤 油脂性基剤、水溶性基剤またはそのほかの適当な物質を
基剤とし、必要ならば乳化剤、懸濁剤などを加え、これ
に本発明の化合物を加え、混和して均等にした後、適当
な形状とする。 (4)カプセル剤 本件の化合物および適当な賦形剤などの添加剤を均等に
混和したもの、または適当な方法で粒状としたもの、も
しくは粒状としたものに適当なコーティング剤で剤皮を
施したものを、そのまままたは軽くカプセルに充填す
る。本発明の医薬製剤は、低毒性で安全性が高く、優れ
た抗腫瘍活性作用を有するので、各種癌治療薬として有
用である。
【0052】
【発明の実施の形態】本発明はさらに下記の参考例、実
施例で詳しく説明されるが、これらの例は単なる実例で
あって本発明を限定するものではなく、また本発明の範
囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。参考例、実施
例のカラムクロマトグラフィーにおける溶出はTLC
(ThinLayer Chromatography、 薄層クロマトグラ
フィー)による観察下に行なわれた。TLC観察におい
ては、TLCプレートとしてメルク(Merck)社製の6
0F254 を、展開溶媒としてはカラムクロマトグラフィ
ーで溶出溶媒として用いられた溶媒を、検出法としてU
V検出器を採用した。カラム用シリカゲルは同じくメル
ク社製のキーゼルゲル60(70〜230メッシュ)を
用いた。“セファデックス" はファルマシア・ファイン
・ケミカルズ社(Pharmacia Fine Chemicals)製
である。XAD−2樹脂はロ−ム・アンド・ハース社製
(Rohm &Haas Co.)製である。ダイアイオンC
HP−20Pは三菱化成製である。NMRスペクトルは
内部または外部基準としてテトラメチルシランを用いて
Gemini 200型スペクトロメーターで測定し、全δ値
を ppm で示した。混合溶媒において( )内に示した
数値は各溶媒の容量混合比である。また溶液における%
は溶液100ml中のg数を表わす。また参考例、実施例
中の記号は次のような意味である。 s :シングレット(singlet) d :ダブレット(doublet) t :トリプレット(triplet) q :クワルテット(quartet) ABq :AB型クワルテット(AB type quartet) dd :ダブル ダブレット(double doublet) m :マルチプレット(multiplet) bs :ブロ−ド シングレット(broad singlet) J :カップリング定数(coupling constant)
【0053】実施例1 7β−[2(Z)−フルオロメトキシイミノ−2−(5
−ホスホノアミノ−1,2,4−チアジアゾール−3−
イル)アセトアミド]−3−[(E)−2−(1−メチ
ルイミダゾ[1,2−b]ピリダジニウム−6−イル)
チオ]ビニル−3−セフェム−4−カルボキシレート −20℃冷却下、2−(5−アミノ−1,2,4−チア
ジアゾール−3−イル)−2(Z)−フルオロメトキシ
イミノ酢酸(10g)の酢酸エチル(50ml)懸濁液
に五塩化リン(13.3g)を加え、45分間同温度で
撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、残渣をテトラヒド
ロフラン(100ml)に溶解した。別に、氷冷下、7
β−アミノ−3−[(E)−2−(1−メチルイミダゾ
[1,2−b]ピリダジニウム−6−イル)チオ]ビニ
ル−3−セフェム−4−カルボキシレートビス塩酸塩
(4.62g)をテトラヒドロフラン(150ml)と
水(150ml)混合液に溶解し、飽和酢酸ナトリウム
水溶液を加え、pHを6.9に調整した。 次いで上記
で合成した活性化誘導体のテトラヒドロフラン溶液を氷
冷撹拌下で加え、0℃で30分間撹拌した。テトラヒド
ロフランを減圧下で濃縮し、得られた懸濁液を水(50
0ml)で薄め、 三菱化学社製SP−207カラムク
ロマトグラフィー(1000ml)に付した。水4L、
5%エタノール水6L、10%エタノール水8Lで溶出
し、標記化合物を含む画分を集め、減圧下で濃縮した。
凍結乾燥して、標記化合物を2.75g得た。 元素分析値:C2 11 9FN98PS3 ・4.0H2 O 計算値:C,33.92;H,3.66;N,16.9
5 実測値:C,34.00;H,3.43;N,17.1
9 IR(KBr,cm-1):3400,1770,168
0,1520,1370,1070. NMR(DMSO−d6 )δ:3.69,3.98(2
H,ABq,J=16.2Hz),4.10(3H,
s),5.24(1H,d,J=4.8Hz),5.8
0(2H,d,J=55Hz),5.86(1H,d
d,J=4.8Hzと8.6Hz),7.18,7.3
0(each1H,d,J=15.8Hz),7.9
9,8.68(each1H,d,J=10Hz),
8.40,8.70(each1H,s),9.20
(1H,bs),9.82(1H,d,J=8.6H
z).
【0054】実施例2−1 7β−[2(Z)−フルオロメトキシイミノ−2−(5
−ホスホノアミノ−1,2,4−チアジアゾール−3−
イル)アセトアミド]−3−[(E)−2−(1−メチ
ル−4−ピリジニオ)チオ]ビニル−3−セフェム−4
−カルボキシレート −20℃冷却下、2−(5−アミノ−1,2,4−チア
ジアゾール−3−イル)−2(Z)−フルオロメトキシ
イミノ酢酸(8.8g)の酢酸エチル(44ml)懸濁
液に五塩化リン(11.7g)を加え、45分間同温度
で撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、残渣をテトラヒ
ドロフラン(50ml)に溶解した。別に、氷冷下、7
β−アミノ−3−[(E)−2−(1−メチル−4−ピ
リジニオ)チオ]ビニル−3−セフェム−4−カルボキ
シレートビス塩酸塩(5.18g)をテトラヒドロフラ
ン(200ml)と水(200ml)混合液に溶解し、
飽和酢酸ナトリウム水溶液を加え、pHを6.8に調整
した。 次いで上記で合成した活性化誘導体のテトラヒ
ドロフラン溶液を氷冷撹拌下で加え、0℃で30分間撹
拌した。テトラヒドロフランを減圧下で濃縮し、得られ
た懸濁液を水(500ml)で薄め、 三菱化学社製S
P−207カラムクロマトグラフィー(1000ml)
に付した。水6L、5%エタノール水4L、10%エタ
ノール水6Lで溶出し、標記化合物を含む画分を集め、
減圧下で濃縮した。凍結乾燥して、粗製の標記化合物を
3.5g得た。 NMR(DMSO−d6 )δ:3.68,4.16(2
H,ABq,J=19Hz),4.21(3H,s),
5.25(1H,d,J=5.2Hz),5.80(2
H,d,J=55Hz),5.88(1H,dd,J=
5.2Hzと8Hz),7.12,7.31(each
1H,d,J=15.4Hz),8.06,8.71
(each2H,d,J=6.2Hz),9.45(1
H,bs),9.85(1H,d,J=8Hz).
【0055】実施例2−2 7β−[2(Z)−フルオロメトキシイミノ−2−(5
−ホスホノアミノ−1,2,4−チアジアゾール−3−
イル)アセトアミド]−3−[(E)−2−(1−メチ
ル−4−ピリジニオ)チオ]ビニル−3−セフェム−4
−カルボキシレート 実施例2−1で得られた凍結乾燥品を水30mlに懸濁
し、重曹939mgを加えて溶かした。セファデックス
LH−20カラムクロマトグラフィー(2.5L)に付
し、水で溶出した。標記化合物のナトリウム塩を含む画
分を集めて減圧下で20mlまで濃縮した。ODSカラ
ムクロマトグラフィー(450mL)に付し、1N塩酸
30ml、水/アセトニトリル(10/1、2L)、水
/アセトニトリル(7.5/1、1.5L)で溶出し、
標記化合物を含む画分を集めて減圧下で濃縮した。凍結
乾燥して標記化合物を2.1g得た。 元素分析値:C2 01 9FN78PS3 ・2.0H2
O 計算値:C,35.98;H,3.47;N,14.6
9 実測値:C,36.09;H,3.55;N,14.7
8 IR(KBr,cm-1):3400,1770,168
0,1630,1520,1380,1110,107
0. NMR(DMSO−d6 )δ:3.67,4.13(2
H,ABq,J=18Hz),4.21(3H,s),
5.24(1H,d,J=4.8Hz),5.81(2
H,d,J=55Hz),5.87(1H,dd,J=
4.8Hzと8Hz),7.08,7.32(each
1H,d,J=15Hz),8.06,8.72(ea
ch2H,d,J=6.6Hz),9.27(1H,b
s),9.85(1H,d,J=8Hz).
【0056】
【発明の効果】本発明のセフェム化合物は〔I〕はシュ
ードモナス属の菌を含むグラム陰性菌並びにブドウ球菌
およびMRSAを含むグラム陽性菌に対して広範囲の抗
菌スペクトルと優れた抗菌作用を有しており、これらの
菌に基づく感染症に対し、有効な抗菌剤を提供すること
ができる。本発明の化合物〔I〕は水に対する溶解性が
比較的高く、特に注射剤などの製剤化において有利であ
る。

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式 【化1】 〔式中、R1は保護されていてもよいホスフォノ基を、
    2は水素原子または炭素原子を介して結合する基を、
    Xは窒素原子またはメチンを、mは0または1を、A+
    は置換されていてもよい、炭素原子に結合手を有する4
    級化された窒素原子を含む複素環基を示す。〕で表され
    るセフェム化合物またはそのエステルあるいはその塩。
  2. 【請求項2】R1がホスフォノ、ジアルコキシホスフォ
    リル、O−アルキルホスフォノ、ジアミノホスフォリ
    ル、(アミノ)(ヒドロキシ)ホスフォリル、または(アル
    コキシ)(モルフォリノ)ホスフォリルである請求項1記
    載の化合物。
  3. 【請求項3】R1がホスフォノである請求項1記載の化
    合物。
  4. 【請求項4】R2が水素原子、置換されていてもよい炭
    化水素基または置換されていてもよい、炭素原子に結合
    手を有する非芳香族複素環基である請求項1記載の化合
    物。
  5. 【請求項5】R2がモノフルオロメチルである請求項1
    記載の化合物。
  6. 【請求項6】Xが窒素原子である請求項1記載の化合
    物。
  7. 【請求項7】mが1である請求項1記載の化合物。
  8. 【請求項8】A+が置換されていてもよい、炭素原子に
    結合手を有する式 【化2】 (式中、環Bはヘテロ原子として1または2個の窒素原
    子を含む5または6員の芳香族複素環を、R3は置換さ
    れていてもよい炭化水素基を示す)で表される基である
    請求項1記載の化合物。
  9. 【請求項9】A+が置換されていてもよい1−メチルピ
    リジニウム−4−イル基である請求項1記載の化合物
  10. 【請求項10】7β−〔2(Z)−フルオロメトキシイ
    ミノ−(5−ホスフォノアミノ−1,2,4−チアジアゾ
    ール−3−イル)アセトアミド〕−3−〔(E)−2−
    (1−メチル−4−ピリジニオ)チオ〕ビニル−3−セ
    フェム−4−カルボキシレートまたはそのエステルある
    いはその塩である請求項1記載の化合物。
  11. 【請求項11】7β−〔2(Z)−フルオロメトキシイ
    ミノ−2−(5−ホスフォノアミノ−1,2,4−チアジ
    アゾール−3−イル)アセトアミド〕−3−〔(E)−2
    −(1−メチルイミダゾ[1,2−b]ピリダジニウム
    −6−イル)チオ〕ビニル−3−セフェム−4−カルボ
    キシレートまたはそのエステルあるいはその塩である請
    求項1記載の化合物。
  12. 【請求項12】式 【化3】 〔式中の記号は請求項1記載と同意義を示す。〕で表さ
    れる化合物またはそのエステルあるいはその塩と式 【化4】 〔式中,R0は保護されていてもよいホスフォノ基を示
    し、他の記号は請求項1記載と同意義である。〕で表さ
    れるカルボン酸またはその塩もしくは反応性誘導体とを
    反応させ、必要に応じて保護基を除去することを特徴と
    する請求項1記載の化合物の製造法。
  13. 【請求項13】請求項1記載の化合物を含有する医薬。
  14. 【請求項14】抗菌剤である請求項13記載の医薬。
  15. 【請求項15】抗MRSA剤である請求項13記載の医
    薬。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999019330A1 (fr) * 1997-10-10 1999-04-22 Fujisawa Pharmaceutical Co., Ltd. Nouveaux composes de cephem
EP1043327A1 (en) * 1997-12-19 2000-10-11 Takeda Chemical Industries, Ltd. Phosphonocephem derivatives, process for the preparation of the same, and use thereof

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