JP2008538105A - 新規リポソーム組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は,脂質含有組成物,例えば,薬剤を封入した標的化リポソーム,およびその医薬処方物,ならびに,脂質含有組成物を製造および使用する方法,例えば,標的化リポソームを癌および他の疾病の治療において使用する方法を提供する。

Description

関連出願の参照
本出願は,日本特許出願2005−67469(2005年3月10日出願,この開示の全体を本明細書の一部としてここに引用する)に基づく優先権を主張する。
過去数十年の間に,癌等の多くの疾病の治療の有効性は劇的に改良されたが,多くの治療計画は,有害な副作用,例えば,脱毛症,悪心,嘔吐,疲労感等を有する薬剤の使用を必要とする。いくつかの治療計画はまた,生理学的条件下で不安定な薬剤,例えばバイオ医薬品(例えば,遺伝子および遺伝子産物)および/または所望の治療結果を達成する前に容易に分解されるかまたは投与に際して変化し,このことによりその有効性を失う他の薬剤の使用を必要とする。このような不安定性はまた,薬剤を保存し投与用に調製することをより困難で費用がかかるものとする。
100種類近くの個別の薬剤を包含する多くの種類の抗癌剤,ならびに多くの薬剤組み合わせ療法,デリバリー方法および治療計画が存在する。抗癌剤は,いくつかの基準,例えば化合物の種類および治療する疾病の状態にしたがって分類することができる。ある種の薬剤は,癌細胞の急速な分裂を利用して,細胞サイクルの特定の期を標的として開発されており,これは別の分類法を与える。薬剤はまた,その副作用のタイプおよび重篤度またはデリバリー方法にしたがって分類することができる。しかし,非バイオ医薬品に基づく抗癌剤の最も一般的な分類は,化学化合物の種類によるものであり,これは,これらの化合物の作用のメカニズムを広く包含する。
参考にした参考文献によって,抗癌剤の分類にはわずかの相違がある。Physician’s Desk Referenceには化合物の種類が以下のように記載されている:アルカロイド;アルキル化剤;抗腫瘍抗生物質;代謝拮抗剤;ホルモンおよびホルモン類似体;免疫調節剤;感光剤;および種々の他の薬剤。
また,アルカロイドの部類の化合物は,細胞サイクルの期特異的であり,有糸分裂を阻害するか,または有糸分裂に必要な酵素を阻害するよう働くため,有糸分裂阻害剤とも称される。これらは,一般に植物アルカロイドおよび他の天然産物に由来し,細胞サイクルのM期の間に作用する。この部類の化合物はしばしば,急性リンパ芽球性白血病,ホジキンおよび非ホジキンリンパ腫;神経芽細胞腫および肺,乳および精巣の癌などの新生物の治療に用いられる。
アルキル化剤は化学療法剤の大きな部類を形成しており,それぞれが多数の個々の薬剤を示す以下のサブクラスを含む:アルキルスルホネート;アジリジン;エチレンイミンおよびメチルメラミン;ナイトロジェンマスタード;ニトロソウレア;および白金化合物等の他のもの。アルキル化剤は,細胞のDNAを直接アルキル化し,したがってDNAが複製できないようにすることにより新生物細胞を攻撃する。この部類の化合物は,一般に,慢性白血病,非ホジキンリンパ腫,ホジキンリンパ腫,多発性骨髄腫およびある種の肺,乳および卵巣癌等の種々の疾病の治療に用いられている。
ニトロソウレアはしばしばアルキル化剤として分類され,類似する作用メカニズムを有しているが,DNAを直接アルキル化するのではなく,DNA修復酵素を阻害し,複製ができないようにする。これらの化合物は,血液脳関門を超えることができ,したがって脳腫瘍の治療に用いることができるという利点を有する。
抗腫瘍抗生物質は,抗微生物活性および細胞毒性を有し,また,酵素および有糸分裂を化学的に阻害することにより,または細胞膜を変化させることによりDNAを妨害する。これらは細胞サイクル期特異的ではなく,種々の癌の治療に広く用いられている。
代謝拮抗物質の部類の抗癌剤は,DNAおよびRNAの成長を阻害し,細胞サイクルのS期に特異的である。これらは,化合物のタイプによりさらに小分類することができ,これには,葉酸類似体,プリン類似体,およびピリミジン類似体が含まれる。これらはしばしば,慢性白血病,乳,卵巣,および胃腸腫瘍の治療に用いられている。
抗癌剤として用いられているホルモンまたはホルモン類似体には2つの部類,すなわち,コルチコステロイドホルモンおよび性ホルモンがある。ある種のコルチコステロイドホルモンは,癌細胞を殺すことと,腫瘍の成長を遅らせることの両方を行うことができ,リンパ腫,白血病等の治療に用いられている。性ホルモンは,主として,乳,前立腺および子宮内膜癌の成長を遅らせるよう機能する。多数のサブクラスのホルモンおよびホルモン類似体が存在し,これには,アンドロゲン,抗副腎剤,抗アンドロゲン,抗エストロゲン,アロマターゼ阻害剤,エストロゲン,黄体ホルモン放出ホルモン(LHRH)類似体およびプロゲスチンが含まれる。
別のより小さい部類の抗癌剤は,免疫療法と分類される。これらは,免疫系を刺激してより有効に新生物(癌性)細胞を攻撃することを意図したものである。この療法はしばしば,他の療法と組み合わせて用いられている。
一般に"他の"抗癌剤にリストされ,種々の新生物の治療に用いることができる,カンポテクチンなどの多数の化合物が存在する。
抗癌剤の組み合わせも,多数の癌の治療に用いられている。例えば,Sanofi Syntholaboは,結腸直腸癌の治療用に5−フルオロウラシルおよびロイコボリンと組み合わせて用いるためのELOXATIN((登録商標)(注射用オキザリプラチン)を販売している。この薬剤の組み合わせは,しばしば,結腸直腸癌の治療において外科手術と併用して用いられている。オキザリプラチンは,DNA複製および転写の両方を阻害することにより作用すると考えられているアルキル化剤である。他の白金剤と異なり,オキザリプラチンは,耐性の発現を低下させることが示されている。オキザリプラチンは,米国特許4,169,846;5,338,874;5,298,642;5,959,133;5,420,319;5,716,988;5,290,961;およびWilkesGM."New therapeutic options in colon cancer:focus on oxaliplatin"Clin J Oncol Nurs.(2002)6:131−137にさらに記述されている。
多数の抗癌剤が存在するが,しばしば,薬剤により生ずる副作用が重篤であることがこれらの化合物の利点を上回る。この比較はしばしば,治療指数で表される。治療指数は,癌細胞の破壊を達成するのに必要な投与量と,その物質が個体にとって許容しえない毒性を有する投与量とを比較したバランスを表す。ほとんどの抗癌剤の欠点は,治療指数(すなわち,個体に許容し得ない毒性を与えずに癌細胞を破壊する狭い投与量範囲)が比較的小さいことである。この特徴は,薬剤が有用な場合には頻度および投与量を制限し,しばしば,癌を完全に根絶することができる前に副作用が耐えられないものとなる。
ほとんどの癌化学療法剤について経験される重篤な副作用は,これらの薬剤の非特異的な性質の結果である。これらの薬剤は,健康な細胞と癌性細胞とを区別せず,そのかわりに両方を破壊する。ある種の細胞サイクル特異的薬剤は,これらの影響を少なくするために,細胞サイクルの細胞複製および分裂に関与する期を標的とする。しかし,これらの薬剤は,癌性の細胞と正常な細胞分裂を行う健康な細胞とを区別しない。このようなタイプの化学療法のリスクを最も受ける細胞は,頻繁に細胞分裂を行う細胞,例えば,血液細胞,毛包細胞,および生殖および消化管の細胞である。
抗癌剤の最も一般的な副作用は悪心および嘔吐である。多数の個体は骨髄抑制,すなわち赤血球,白血球および血小板を産生する骨髄の抑制に罹患する。また,これらのおよび他の副作用は,白血球が破壊されその産生がなくなることに付随する免疫抑制により悪化し,日和見感染のリスクが伴う。
広範な範囲の抗癌剤に共通する他の副作用としては,以下のものが挙げられる:脱毛(脱毛症);食欲減少;体重減少;味覚変化;口内炎および食道炎(炎症および痛み);便秘;下痢;倦怠感;心臓障害;神経系変化;肺障害;生殖組織障害;肝臓障害;腎臓および泌尿系障害。
ほとんどの抗癌剤には広範な範囲の副作用がともなうこと,および疾病のためにすでに衰弱し,おそらくは免疫機能が低下している個体においてこれが重篤であることから,研究者達は,治療の効力を維持しながら副作用のいくつかを軽減しうるメカニズムを研究してきた。この問題に対するいくつかのアプローチが行われている。これには,複数の抗癌剤を一緒に投与する組み合わせ化学療法;抗癌剤とともに追加の薬剤を処方して抗癌剤の副作用と戦うアジュバント療法;化学療法を放射線照射および/または外科手術と組み合わせる組み合わせモダリティー治療;および抗癌剤の投与のための代替デリバリーベヒクル,例えば抗癌剤をリポソームに封入することが含まれる。
リポソームは,リン脂質およびその誘導体を水中に分散させたときに形成される。水中に分散されると,リン脂質は"リポソーム"と称される閉じたベシクルを形成し,これは水性のコアを封入した脂質二重層により特徴づけられる。種々のリポソームが,医学,薬学および生化学において用いるために,封入された治療用薬剤,例えば,薬剤,酵素および遺伝子配列の担体として用いられてきた。
リポソーム組成物の例としては,米国特許4,983,397;6,476,068;5,834,012;5,756,069;6,387,397;5,534,241;4,789,633;4,925,661;6,153,596;6,057,299;5,648,478;6,723,338;6,627218;米国特許公開2003/0224037;2004/0022842;2001/0033860;2003/0072794;2003/0082228;2003/0212031;2003/0203865;2004/0142025;2004/0071768;国際出願WO00/74646;WO96/13250;WO98/33481;Papahadjopolulos D,Allen TM,Gbizon A,et al."Sterically stabilized liposomes:Improvements in pharmacokinetics and anti−tumor therapeutic efficacy"Proc Natl Acad Sci U.S.A.(1991)88:11460−11464;Allen TM,Martin FJ."Advantages of liposomal delivery systems for anthracyclines"Semin Oncol(2004)31:5−15(suppl 13).Weissig et al.Pharm.Res.(1998)15:1552−1556が挙げられる。
リポソームの開発の初期段階においては,天然に生ずる細胞膜のリン脂質,例えば,卵黄リン脂質および大豆リン脂質が用いられた。しかし,静脈内に投与する場合には,これらのリン脂質を利用したリポソームは,肝臓または脾臓の細網内皮系に取り込まれやすく,血液滞留時間が短いため,薬剤の効力が低下するという問題を引き起こす。その後,この問題点を解決する手段として,リポソーム膜を硬くするために,リポソーム膜の構成成分として,その脂質部分が飽和結合のみを含む合成リン脂質が用いられた。
リポソームの循環半減期を長くし,細網内皮系による取り込みを回避することを目的として,研究者達は,ポリエチレングリコールまたは他の親水性ポリマーを取り込ませることにより修飾したリポソーム(例えば,構成脂質の1またはそれ以上がPEGの結合により修飾されているPEGリポソーム)を開発した。PEGで修飾されたリポソームはしばしば"シールドされた"リポソームとも称される。Doxil(商標)(ドキソルビシンHClリポソーム注射)はリポソーム中に封入されたドキソルビシンであり,付加されたポリエチレングリコール(PEG)は細網内皮系(RES)を回避し,薬剤循環時間を長くするために利用されている。Vail DM,Amantea MA,Colbern GTら,"Pegylated Liposomal Doxorubicin:Proof of Principle Using Preclinical Animal Models and Pharmacokinetic Studies."Semin Oncol.(2004)31(Suppl 13):16−35を参照。しかし,有害な影響は長期の血液滞留によっても引き起こされ(例えば,手足症候群,Doxil(登録商標)の末梢系に及ぼす有害な影響等),問題として認識されるようになった。
リポソームの例としては,米国特許4,983,397;5,013,556;6,316,024;6,056,973;5,945,122;5,891,468;6,126,966;5,593,622,5,676,971;6,586,559;および5,846,458,米国特許公開2003/0224037;2004/0022842;2003/0113262;2002/0136707;国際出願WO99/30686;WO02/41870,Aliminana et al,Prep.Biochem.Biotech.(2004)34(1):77−96が挙げられる。リポソームはまた,米国特許6,228,391;6,197,333;6,046,225;5,292,524;および米国特許公開20050271588;20040213833;20040029210;20030175205;20030162748;20030130190;20030059461;および20020034537にも記載されている。
PEGで修飾されたリポソームに加えて,研究者達は,種々の他の誘導化脂質を開発した。これらの誘導化脂質もまたリポソーム中に取り込ませることができる。例えば,国際公開WO93/01828;Park YS,Maruyama K,Huang L."Some negatively charged phospholipids derivatives prolong the liposome circulation in vivo."Biochimica et Biophysica Acta(1992)1108:257−260;Ahl et al,Biochimica Biophys.Acta(1997)1329:370−382を参照。
さらに別の脂質組成物は,米国特許6,936,272;6,897,196;6,077,834;および米国特許公開20050136064;20040234588;20030215490;20030166601;および20010038851に記載されている。
リポソームをPEGおよび他の親水性ポリマーで修飾することに加えて,研究者達はまた特定の細胞タイプ用の標的化因子(標的化リガンドとも称される)を取り込ませることにより特定の細胞タイプを特異的に標的化することを目的としたリポソームを開発した。標的化因子/リガンドの例としては,アシアロ糖蛋白質,葉酸,トランスフェリン,抗体等が挙げられる。場合によっては,構成脂質の1またはそれ以上に標的化因子を結合させることにより修飾することができる。
標的化因子を含む脂質組成物の例としては,米国特許5,049,390;5,780,052;5,786,214;6,316,024;6,056,973;6,245,427;6,524,613;6,749,863;6,177,059;6,530,944;米国特許公開2004/0022842;2003/0224037;2003/143742;2003/0228285;2002/0198164;2003/0220284;2003/0165934;2003/0027779;国際公開WO95/33841;WO95/19434;WO2001037807;WO96/33698;WO2001/49266;WO9940789;WO9925320;WO9104014;WO92/07959;EP1369132;JP2001002592;Iinuma H,Maruyama K,et al,"Intracellular targeting therapy of cisplatin−encapsulated transferin−polyethyleneglycol liposome on peritoneal dissemination of gastric cancer"Int J Cancer(2002)99130−137;Ishida O,Maruyama K,Tanahashi H,Iwatsuru M,Sasaki K,et al,"Liposome bearing polyethylene glycol−coupled transferin with intracellular targeting property to the solid tumors in vivo."Pharmaceutical Research(2001)18:1042−1048;Holmberg et al,Biochem.Biophys.Res.Comm.(1989)165(3):1272−1278;Nam et al,J.Biochem.Mol Biol(1998)31(1):95−100;Nag et al,J.Drug Target.(1999)6(6):427−438が挙げられる。
特に,Iinumaらは,リポソームの表面にトランスフェリン(Tf)を結合させたTf−PEG−リポソームを開発した。Iinumaらは,PEG−リポソームと比較してTf−PEG−リポソームについては,腫瘍細胞の表面により多い数のリポソームが結合しており,腫瘍細胞によりより多くのリポソームが取り込まれたことを示した(Inuma et al,上掲;Ishida et al,上掲)。
しかし,リポソーム組成物の使用などの,薬剤および標識された化合物のデリバリーの分野における最近の進歩にもかかわらず,治療または診断効果を達成する薬剤および標識された化合物を特定の細胞および/または組織にデリバリーするための改良されたリポソーム組成物がなお求められている。特に,癌の分野においては,正常細胞に有害な影響を与えることなく治療上の有益性を確実にするために改良された特異性および低下した毒性を有し,治療している個体にとって有害な副作用を示さない薬剤処方物が求められている。同様に,状態,特に生命を脅かす状態を初期段階で(例えば,高い特異度および/または高い感度で)検出し,さらにその状態の重篤度/程度(例えば,治療した場合または治療しない場合の進行および/または退縮)を正確にモニターすることができる標識された化合物も,療法の質および成功率を顕著に改良するであろう。
発明の概要
本発明は,任意に薬剤または標識された化合物を取り込んでいてもよく,薬剤または標識された化合物を取り込んだ処方物の製造に用いられる,新規脂質含有組成物(リポソーム(例えば,標的化リポソーム,空リポソーム),脂質混合物およびリポソーム含有組成物を含む)に関し,ここで,脂質含有組成物は,薬剤または標識された化合物からの副作用を軽減する利点を与え,および/または薬剤または標識された化合物の分解および/または失効を防止する。本発明はまた,本明細書に記載される脂質含有組成物を製造する方法および使用する方法を含む。本発明のある観点においては,脂質含有組成物は,癌(例えば,乳癌,胃癌,結腸直腸癌,結腸癌,膵臓の癌,非小細胞肺癌,小細胞肺癌,脳癌,肝臓癌,腎臓癌,前立腺癌,膀胱癌,卵巣癌,または血液悪性腫瘍(例えば,白血病,リンパ腫,多発性骨髄腫等))の治療または診断に用いることができる。
ある態様においては,1またはそれ以上のリン脂質,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン,標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン,封入された薬剤または標識された化合物,および任意に少なくとも1つの追加の脂質を含む標的化リポソームが提供され,ここで,標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンは,第2のN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンに連結された標的化リガンドを含み,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンは式1:
で表され,第2のN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンは式3:
[式中,R,R,RおよびRは,それぞれ独立してアシル基であり,mおよびpは,独立して,1−10の整数である]
で表され,リポソームは非誘導化ホスファチジルエタノールアミンまたはポリエチレングリコールを含まず,標的化リガンドは無傷の抗体ではない。
別の態様においては,1またはそれ以上のリン脂質,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン,標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン,および任意に少なくとも1つの追加の脂質を含む空リポソームが提供され,ここで,標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンは,第2のN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンに連結された標的化リガンドを含み;N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンは式1:
で表され;
第2のN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンは,存在する場合には,式3:
[式中,R,R,RおよびRは,それぞれ独立してアシル基であり,mおよびpは,独立して,1−10の整数である]
で表され;リポソームは誘導化されていないホスファチジルエタノールアミン,ポリエチレングリコール,薬剤または標識された化合物を含まず,標的化リガンドは無傷の抗体ではない。
標的化リポソームおよび空リポソームのある態様においては,R,R,RおよびRは,オレオイルまたはステアロイルであり,mおよびpは3である。ある態様においては,標的化リガンドはトランスフェリンである。特定の態様においては,1またはそれ以上のリン脂質は,DMPCまたはDSPCであり,少なくとも1つの追加の脂質が存在し,これはコレステロールである。標的化リポソームおよび空リポソームのある態様においては,R,R,RおよびRはオレオイルであり,mおよびpは3であり,1またはそれ以上のリン脂質はDMPCであり,追加の脂質はコレステロールである。
標的化リポソームおよび空リポソームのある態様においては,mおよびpは,それぞれ独立して,2−4の整数である。ある態様においては,mおよびpは等しく,2−4の整数である。特定の態様においては,mおよびpは等しく,3である。ある態様においては,R,R,RおよびRは,それぞれ独立して,オレオイル,ステアロイル,パルミトイルまたはミリストイルである。ある態様においては,RおよびRは同じであり,RおよびRは同じである。別の態様においては,R,R,RおよびRは同じである。特定の態様においては,R,R,RおよびRは,オレオイルまたはステアロイルである。ある態様においては,R,R,RおよびRはオレオイルである。
さらに別の態様においては,1またはそれ以上のリン脂質,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステル,および任意に少なくとも1つの追加の脂質の混合物を含む脂質混合物が提供され,ここで,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンは式1:
で表され,
N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルは式2:
[式中,R,R,RおよびRは,それぞれ独立してアシル基であり,mおよびnは,独立して,1−10の整数である]
で表され;
混合物は非誘導化ホスファチジルエタノールアミンまたはポリエチレングリコールを含まない。
脂質混合物のある態様においては,mおよびnは,それぞれ独立して,2−4の整数である。ある態様においては,mおよびnは等しく,2−4の整数である。特定の態様においては,mおよびnは等しく,3である。
脂質混合物のある態様においては,R,R,RおよびRは,それぞれ独立して,オレオイル,ステアロイル,パルミトイルまたはミリストイルである。ある態様においては,RおよびRは同じであり,RおよびRは同じである。特定の態様においては,R,R,RおよびRは同じである。ある態様においては,R,R,RおよびRはオレオイルまたはステアロイルである。ある態様においては,mおよびnは3であり,1またはそれ以上のリン脂質はDMPCまたはDSPCであり,少なくとも1つの追加の脂質が存在し,これはコレステロールである。脂質混合物のある態様においては,R,R,RおよびRはオレオイルであり,mおよびnは3であり,1またはそれ以上のリン脂質はDMPCであり,追加の脂質はコレステロールである。
さらに別の態様においては,1またはそれ以上のリン脂質,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン,標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン,および任意に少なくとも1つの追加の脂質の混合物を含む脂質混合物が提供され,ここで,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンは式1:
で表され,標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンは,第2のN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンに連結された標的化リガンドを含み;第2のN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンは式3:
[式中,R,R,RおよびRは,それぞれ独立してアシル基であり,mおよびpは,独立して,1−10の整数である]
で表され;混合物は非誘導化ホスファチジルエタノールアミンまたはポリエチレングリコールを含まず,標的化リガンドは無傷の抗体ではない。
標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンが存在する脂質混合物の特定の態様においては,mおよびpは,それぞれ独立して,2−4の整数である。ある態様においては,mおよびpは等しく,2−4の整数である。ある態様においては,mおよびpは等しく,3である。
標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンが存在する脂質混合物の特定の態様においては,R,R,RおよびRは,それぞれ独立して,オレオイル,ステアロイル,パルミトイルまたはミリストイルである。ある態様においては,RおよびRは同じであり,RおよびRは同じである。さらに別の態様においては,R,R,RおよびRは同じである。ある態様においては,R,R,RおよびRはオレオイルまたはステアロイルである。ある態様においては,R,R,RおよびRはオレオイルまたはステアロイルであり,mおよびpは3であり,1またはそれ以上のリン脂質はDMPCまたはDSPCであり,少なくとも1つの追加の脂質はコレステロールであり,標的化リガンドはトランスフェリンである。脂質混合物のある態様においては,R,R,RおよびRはオレオイルであり,mおよびpは3であり,1またはそれ以上のリン脂質はDMPCであり,追加の脂質はコレステロールであり,標的化リガンドはトランスフェリンである。
ある態様においては,1またはそれ以上のリン脂質,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステル,および,任意に少なくとも1つの追加の脂質を含むリポソームを含むリポソーム含有組成物が提供され,ここで,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンは式1:
で表され,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルは式2:
[式中,R,R,RおよびRは,それぞれ独立してアシル基であり,mおよびnは,独立して,1−10の整数である]
で表され,そして,組成物は非誘導化ホスファチジルエタノールアミンまたはポリエチレングリコールを含まない。
リポソーム含有組成物のある態様においては,mおよびnは,それぞれ独立して,2−4の整数である。ある態様においては,mおよびnは等しく,2−4の整数である。特定の態様においては,mおよびnは等しく,3である。
リポソーム含有組成物のある態様においては,R,R,RおよびRは,それぞれ独立して,オレオイル,ステアロイル,パルミトイルまたはミリストイルである。特定の態様においては,RおよびRは同じであり,RおよびRは同じである。ある態様においては,R,R,RおよびRは同じである。ある態様においては,R,R,RおよびRはオレオイルまたはステアロイルである。ある態様においては,R,R,RおよびRはオレオイルまたはステアロイルであり,mおよびnは3であり,1またはそれ以上のリン脂質は,DMPC,DSPC,POPCまたはDPPCである。ある態様においては,R,R,RおよびRはオレオイルであり,mおよびnは3であり,1またはそれ以上のリン脂質はDMPCであり,追加の脂質はコレステロールである。
リポソーム含有組成物のさらに別の態様においては,1またはそれ以上のリン脂質,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン,標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン,および任意に少なくとも1つの追加の脂質を含むリポソームを含むリポソーム含有組成物が提供され,ここで,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンは式1:
で表され,標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンは,第2のN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンに連結された標的化リガンドを含み;第2のN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンは式3:
[式中,R,R,RおよびRは,それぞれ独立してアシル基であり,mおよびpは,独立して,1−10の整数である]
で表され;組成物は非誘導化ホスファチジルエタノールアミンまたはポリエチレングリコールを含まず,標的化リガンドは無傷の抗体ではない。
ターゲティング因子で修飾したN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンが存在するある種のリポソーム含有組成物においては,mおよびpは,それぞれ独立して,2−4の整数である。特定の態様においては,mおよびpは等しく,2−4の整数である。ある態様においては,mおよびpは等しく,3である。
ターゲティング因子で修飾したN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンが存在するある種のリポソーム含有組成物においては,R,R,RおよびRは,それぞれ独立して,オレオイル,ステアロイル,パルミトイルまたはミリストイルである。特定の態様においては,RおよびRは同じであり,RおよびRは同じである。ある態様においては,R,R,RおよびRは同じである。ある態様においては,R,R,RおよびRはオレオイルまたはステアロイルである。特定の態様においては,R,R,RおよびRはオレオイルまたはステアロイルであり,1またはそれ以上のリン脂質はDMPCまたはDSPCであり,少なくとも1つの追加の脂質はコレステロールであり,標的化リガンドはトランスフェリンである。ある態様においては,R,R,RおよびRはオレオイルであり,mおよびpは3であり,1またはそれ以上のリン脂質はDMPCであり,追加の脂質はコレステロールであり,標的化リガンドはトランスフェリンである。
リポソーム含有組成物のさらに別の態様においては,薬剤が含まれる。ある態様においては,1またはそれ以上のリン脂質はDMPCまたはDSPCであり,R,R,および存在する場合にはRおよびRは,オレオイルまたはステアロイルであり,mおよび存在する場合にはpは3であり,少なくとも1つの追加の脂質は,存在する場合にはコレステロールであり,薬剤はオキザリプラチンであり,標的化リガンドは,存在する場合にはトランスフェリンである。ある態様においては,組成物はさらに,糖を約1−約20%パーセント糖(v/v)の濃度で含む。ある態様においては,1またはそれ以上のリン脂質はDMPCまたはDSPCであり,R,R,および存在する場合にはRおよびRはオレオイルであり,mおよび存在する場合にはpは3であり,少なくとも1つの追加の脂質が存在する場合には,これはコレステロールであり,薬剤はオキザリプラチンであり,標的化リガンドが存在する場合には,これはトランスフェリンである。
リポソーム含有組成物のさらに別の態様においては,標識された化合物が含まれる。ある態様においては,標識された化合物は放射性同位体成分を含む。
標的化リポソーム,空リポソーム,脂質混合物およびリポソーム含有組成物のある態様においては,少なくとも1つの追加の脂質が存在する。特定の態様においては,少なくとも1つの追加の脂質はコレステロールまたはコレステロール誘導体である。
標的化リポソーム,空リポソーム,脂質混合物およびリポソーム含有組成物の特定の態様においては,1またはそれ以上のリン脂質は,ホスファチジルコリン,ホスファチジン酸,ホスファチジルセリンまたはホスファチジルグリセロールである。特定の態様においては,1またはそれ以上のリン脂質は中性リン脂質である。ある態様においては,1またはそれ以上のリン脂質はホスファチジルコリンである。特定の態様においては,ホスファチジルコリンは,飽和脂肪酸の成分を含む。ある態様においては,1またはそれ以上のリン脂質は,DMPC,DSPC,POPCまたはDPPCである。これらの態様の特定のものにおいては,少なくとも1つの追加の脂質が存在する。これらのあるものにおいては,少なくとも1つの追加の脂質はコレステロールまたはコレステロール誘導体である。特定の態様においては,DMPCおよびコレステロール,DSPCおよびコレステロール,POPCおよびコレステロール,またはDPPCおよびコレステロールが取り込まれている。ある態様においては,DMPCおよびコレステロールが取り込まれている。
標的化リポソーム,空リポソーム,脂質混合物およびリポソーム含有組成物の特定の態様においては,標的化リガンドが存在する場合には,これは標的細胞に向けられている。ある態様においては,標的化リガンドは標的細胞の細胞表面レセプターに向けられている。特定の態様においては,標的化リガンドは,トランスフェリン,葉酸,ヒアルロン酸,糖鎖またはモノクローナル抗体のフラグメントである。ある態様においては,標的化リガンドは,トランスフェリン,葉酸,ヒアルロン酸または糖鎖である。別の態様においては,標的化リガンドは,トランスフェリン,葉酸,ヒアルロン酸または糖鎖である。ある態様においては,標的化リガンドはトランスフェリンである。特定の態様においては,トランスフェリンはホロ形であって,アポ形ではない。ある態様においては,トランスフェリンはホロ形である。
標的化リポソームおよび空リポソームのある態様においては,リポソームの平均直径は,約50nm−約250nmである。別の態様においては,リポソームの平均直径は約90nm−約200nmである。
標的化リポソームおよび空リポソームの特定の態様においては,リポソームのゼータ電位は負である。ある態様においては,ゼータ電位は約−75mVから約−90mVである。別の態様においては,ゼータ電位は約−80mVから約−85mVである。
リポソーム含有組成物,標的化リポソームおよび空リポソームのある態様においては,処方物はさらに溶液を含む。
標的化リポソームおよびリポソーム含有組成物の特定の態様においては,薬剤が存在する。
標的化リポソームおよびリポソーム含有組成物の特定の態様においては,薬剤はオキザリプラチンである。薬剤がオキザリプラチンであるある態様においては,標的化リガンドはトランスフェリンである。ある態様においては,少なくとも1つの追加の脂質が存在し,これはコレステロールである。
ある態様においては,薬剤は抗癌剤である。特定の態様においては,薬剤は細胞毒性薬剤である。ある態様においては,薬剤はトポイソメラーゼI阻害剤である。特定の態様においては,トポイソメラーゼI阻害剤はトポテカンまたはイリノテカンである。別の態様においては,薬剤はビンカアルカロイドである。特定の態様においては,ビンカアルカロイドはビンクリスチン,ビンブラスチン,ビンレウロシン,ビンロジシン,ビノレルビンまたはビンデシンである。ある態様においては,薬剤は核酸である。ある態様においては,核酸はアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはリボザイムである。ある態様においては,薬剤はアルキル化剤である。特定の態様においては,薬剤はタキサンである。別の態様においては,薬剤は代謝性アンタゴニストである。ある態様においては,薬剤は抗腫瘍抗生物質である。ある態様においては,薬剤はホルモン療法薬剤である。ある態様においては,薬剤は分子標的薬である。
標的化リポソームおよびリポソーム含有組成物のある態様においては,薬剤は白金化合物である。特定の態様においては,白金化合物は,ビプラチン,シスプラチン,カルボプラチン,オルマプラチン,オキザリプラチン,ゼニプラチン,エンロプラチン,ロバプラチンまたはスピロプラチンである。ある態様においては,白金化合物はオキザリプラチンである。
薬剤がオキザリプラチンであるある態様においては,R,R,RおよびRはオレオイルまたはステアロイルであり,mおよびpは3であり,標的化リガンドはトランスフェリンであり,1またはそれ以上のリン脂質はDMPCまたはDSPCであり,少なくとも1つの追加の脂質が存在し,これはコレステロールである。薬剤がオキザリプラチンであるある態様においては,R,R,RおよびRはオレオイルであり,mおよびpは3であり,標的化リガンドはトランスフェリンであり,1またはそれ以上のリン脂質はDMPCであり,少なくとも1つの追加の脂質が存在し,これはコレステロールである。特定の態様においては,標的化リポソームおよびリポソーム含有組成物は他の脂質成分を含まない。
薬剤がオキザリプラチンであるある態様においては,オキザリプラチンは,トレハロース,マルトース,スクロース,マンノース,ラクトース,マンニトール,グリセロールおよびデキストロースからなる群より選択される糖の水性溶液中に溶解されている。ある態様においては,糖は,約1−約20%パーセント糖(v/v)の濃度である。特定の態様においては,オキザリプラチンの濃度は,リポソーム中で約0.1mg/ml−約25mg/mlである。別の態様においては,オキザリプラチンの濃度は,リポソーム中で約0.5mg/ml−約10mg/mlである。さらに別の態様においては,オキザリプラチンの濃度は約0.5mg/ml−約3mg/mlである。
標的化リポソームおよびリポソーム含有組成物の特定の態様においては,標識された化合物が存在する。ある態様においては,標識された化合物は放射性同位体成分を含む。特定の態様においては,放射性同位体成分は125Iを取り込んだものである。
標的化リポソームおよびリポソーム含有組成物の特定の態様においては,リポソーム中に取り込まれている標的化リガンドの濃度は約1.0mg/ml−約3.0mg/mlである。別の態様においては,リポソーム中に取り込まれている標的化リガンドの濃度は約1.0mg/ml−約2.5mg/mlである。
薬剤が存在しこれがオキザリプラチンである,標的化リポソームおよびリポソーム含有組成物の特定の態様においては,標的化リガンドはトランスフェリンである。特定の態様においては,トランスフェリンはホロ形である。ある態様においては,鉄イオンは約0.4−約3.0μg/mlの濃度である。別の態様においては,鉄イオンは,約0.4−約1.5μg/mlの濃度である。
標的化リポソーム,空リポソーム,脂質混合物およびリポソーム含有組成物の特定の態様においては,リポソーム,脂質混合物またはリポソーム含有組成物はカチオン性脂質を含まない。特定の態様においては,リポソーム,脂質混合物またはリポソーム含有組成物はアニオン性脂質を含まない。ある態様においては,リポソーム,脂質リポソーム,脂質混合物またはリポソーム含有組成物はアニオン性脂質およびカチオン性脂質のいずれも含まない。
標的化リポソーム,空リポソーム,脂質混合物およびリポソーム含有組成物の特定の態様においては,処方物はさらに溶液を含む。ある態様においては,脂質混合物は溶液を含まない。特定の態様においては,溶液は水性溶液または水性溶液と水混和性溶媒との混合物である。
標的化リポソーム,空リポソーム,脂質混合物およびリポソーム含有組成物の特定の態様においては,処方物はさらにスクロースを含む。
本発明のさらに別の観点においては,本明細書に記載される脂質含有組成物の医薬処方物が提供される。リポソーム含有組成物,標的化リポソームおよび空リポソームの特定の態様は,本明細書に記載されるリポソーム含有組成物,標的化リポソームまたは空リポソームおよび1またはそれ以上の薬学的に許容しうる担体,賦形剤,希釈剤,安定化剤,または保存剤を含む。
本発明のさらに別の観点においては,本明細書に記載される脂質含有組成物を含むキットが提供される。リポソーム含有組成物,標的化リポソームおよび空リポソームのある態様は,本明細書に記載されるリポソーム含有組成物,標的化リポソームまたは空リポソーム,包装および使用説明書を含む。
キットのある態様においては,本明細書に記載されるリポソーム含有組成物,標的化リポソームまたは空リポソームは,第1の容器中に含まれ,1またはそれ以上の薬学的に許容しうる担体,賦形剤,希釈剤,安定化剤,または保存剤は第2の容器中に含まれる。
特定の態様においては,本明細書に記載される医薬処方物,包装および使用説明書を組み込んだキットが提供される。
本発明の別の観点においては,本明細書に希釈される脂質含有組成物を製造する方法が提供される。
特定の態様においては,本明細書に記載される標的化リポソームを製造する方法が提供され,この方法は,
a)1またはそれ以上のリン脂質,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン,標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン,および任意に少なくとも1つの追加の脂質を混合して脂質混合物を形成し;
b)薬剤または標識された化合物を工程(a)で形成された脂質混合物に加え;
c)リポソームを形成する
の各工程を含む。
この方法のさらに別の態様においては,工程(c)のリポソームを精製する工程(d)が提供される。特定の態様においては,工程(b)の薬剤は混合する前に水性溶液中に存在する。ある態様においては,工程(c)は超音波処理または撹拌を含む。ある態様においては,工程(c)は押し出しを含む。
別の態様においては,本明細書に記載される標的化リポソームを製造する方法が提供され,この方法は,
a)1またはそれ以上のリン脂質,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステル,および任意に少なくとも1つの追加の脂質を混合して脂質混合物を形成し,
ここで,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルは式2:
[式中,RおよびRは,それぞれ独立してアシル基であり,nは,独立して,1−10の整数である]
で表され;
b)薬剤または標識された化合物を工程(a)で形成された脂質混合物に加え;
c)リポソームを形成し;そして
d)標的化リガンドをN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルに連結させる
の各工程を含む。
上述の方法のある態様においては,この方法はまた,工程(d)のリポソームを精製する工程(e)を含む。
特定の態様においては,工程(b)の薬剤は混合前に水性溶液中に存在する。ある態様においては,工程(c)は超音波処理または撹拌を含む。ある態様においては,工程(c)は押し出しを含む。特定の態様においては,工程(c)は撹拌を含む。
ある態様においては,本明細書に記載される空リポソームを製造する方法が提供され,この方法は,
a)1またはそれ以上のリン脂質,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン,標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン,および任意に少なくとも1つの追加の脂質を混合して脂質混合物を形成し;そして
b)リポソームを形成する
の各工程を含む。
空リポソームを製造する方法のある態様においては,この方法はさらに,工程(b)のリポソームを精製する工程(c)を含む。
特定の態様においては,工程(b)は超音波処理または撹拌を含む。ある態様においては,工程(b)は押し出しを含む。
別の態様においては,本明細書に記載される空リポソームを製造する方法が提供され,この方法は,
a)1またはそれ以上のリン脂質,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン,およびN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステル,および任意に少なくとも1つの追加の脂質を混合して脂質混合物を形成し,
ここで,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルは式2:
[式中,RおよびRは,それぞれ独立してアシル基であり,nは,独立して,1−10の整数である]
で表され;
b)リポソームを形成し;そして
c)標的化リガンドをN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルと連結させて,標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンを形成する
の各工程を含む。
空リポソームを製造する方法のあるものにおいては,この方法はさらに,工程(c)のリポソームを精製する工程(d)を含む。
特定の態様においては,工程(b)は超音波処理または撹拌を含む。ある態様においては,工程(b)は押し出しを含む。
別の態様においては,本明細書に記載される脂質含有組成物を製造する方法が提供され,この方法は,1またはそれ以上のリン脂質,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンおよびN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルを混合する工程を含む。
さらに別の態様においては,本明細書に記載される少なくとも1つの追加の脂質が存在する脂質含有組成物を製造する方法が提供され,この方法は,1またはそれ以上のリン脂質,少なくとも1つの追加の脂質,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンおよびN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルを混合する工程を含む。
別の態様においては,本明細書に記載される脂質含有組成物を製造する方法が提供され,この方法は,1またはそれ以上のリン脂質,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンおよび標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンを混合する工程を含む。
さらに別の態様においては,本明細書に記載されるように少なくとも1つの追加の脂質が存在する脂質含有組成物を製造する方法が提供され,この方法は,1またはそれ以上のリン脂質,少なくとも1つの追加の脂質,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンおよび標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンを混合する工程を含む。
また,本明細書に記載されるリポソーム含有組成物を製造する方法も提供され,この方法は,
a)1またはそれ以上のリン脂質脂質,およびN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン,および存在する場合にはN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンまたはターゲティング因子で修飾したN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステル,および任意に存在する場合には少なくとも1つの追加の脂質を混合して脂質混合物を形成し;そして
b)工程(a)で形成された脂質混合物に薬剤を加え;そして
c)リポソームを形成する
の各工程を含む。
薬剤が存在する種々の脂質含有組成物(標的化リポソーム,空リポソーム,リポソーム含有組成物)を製造する方法のある態様においては,薬剤は水性溶液中に存在する。ある態様においては,工程a)は有機溶媒の存在下で行う。ある態様においては,水性溶液はさらに糖を含む。ある態様においては,水性溶液は水混和性有機溶媒を含んでいてもよい。
別の態様においては,リポソーム含有組成物を製造する方法が提供され,この方法は,
a)1またはそれ以上のリン脂質脂質,およびN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン,および存在する場合にはN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンまたはターゲティング因子で修飾したN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステル,および任意に存在する場合には少なくとも1つの追加の脂質を混合して脂質混合物を形成し;そして
b)工程(a)で形成された脂質混合物に標識された化合物を加え;
c)リポソームを形成する
の各工程を含む。
標識された化合物が存在する種々の脂質含有組成物(標的化リポソーム,空リポソーム,リポソーム含有組成物)を製造する方法のある態様においては,標識された化合物は水性溶液中に存在する。ある態様においては,工程a)は有機溶媒の存在下で行う。ある態様においては,水性溶液は水混和性有機溶媒を含んでいてもよい。
ある態様においては,リポソーム含有組成物が標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンを含む,本明細書に記載されるリポソーム含有組成物を製造する方法も提供され,この方法は,
a)1またはそれ以上のリン脂質,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンおよび標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン,および任意に少なくとも1つの追加の脂質を混合して脂質混合物を形成し;そして
b)工程(a)で形成された混合物に溶媒を加えてリポソーム含有組成物を形成する
の各工程を含む。
特定の態様においては,混合工程(a)は,有機溶媒の存在下で行う。特定の態様においては,工程(b)の溶媒は水性溶液または水性溶液と水混和性溶媒との混合物である。
ある態様においては,工程(b)は超音波処理または撹拌を含む。ある態様においては,工程(b)は押し出しを含む。
脂質含有組成物を製造する方法の特定の態様においては,工程(a)において少なくとも1つの追加の脂質が存在する。
脂質含有組成物を製造する方法のある態様においては,工程(a)においてN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルが存在する。
脂質含有組成物を製造する方法のある態様においては,工程(a)において標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンが存在する。
本発明のさらに別の観点においては,本明細書に記載される脂質含有組成物を用いる治療または診断の方法が提供される。
特定の態様においては,癌を治療する方法が提供され,この方法は,a)治療を必要とする個体に本明細書に記載される標的化リポソームを癌を治療するのに有効な量で投与することを含み,ここで,標的化リポソームは薬剤を含み,薬剤は抗癌剤である。
治療または診断の方法のある態様においては,個体は哺乳動物である。特定の態様においては,個体はヒトである。
治療の方法のある態様においては,癌は,乳,胃,結腸,結腸直腸癌,膵臓の癌,非小細胞肺癌,小細胞肺癌,脳癌,肝臓癌,腎臓癌,前立腺癌,膀胱癌,卵巣癌,または血液悪性腫瘍である。
治療の方法のある態様においては,工程(a)は,組み合わせモダリティー癌療法の前に,同時に,または後に行われる。特定の態様においては,組み合わせモダリティー癌療法は,化学療法,放射線療法,または外科手術を含む。
治療の方法の特定の態様においては,工程(a)は,癌補助療法の前に,同時に,または後に行われる。特定の態様においては,癌補助療法は,1またはそれ以上の薬剤を投与して,脱毛,嘔吐,免疫抑制,悪心,下痢,発疹,感覚障害,貧血,倦怠感,口内炎,または手足症候群を低減することを含む。ある態様においては,工程(a)は,1またはそれ以上の別の抗癌剤の投与の前に,同時に,または後に行われる。ある態様においては,1またはそれ以上の別の抗癌剤には,5−フルオロウラシル,ロイコボリン,カペシタビン,UFT/LV(テガフール−ウラシルおよびロイコボリン),イリノテカン,抗EGFR抗体,抗VEGF抗体,チロシンキナーゼ阻害剤,またはこれらの組み合わせが含まれる。
治療の方法のある態様においては,標的化リポソームは非経口投与により投与される。特定の態様においては,非経口投与は注射または静脈内注入による。
また,診断の方法も提供され,この方法は,
a)本明細書に記載される標的化リポソームを診断を必要とする個体に,検出に有効な量で投与し,ここで,標的化リポソームは標識された化合物を含み;そして
b)標識された化合物を検出する,
の各工程を含む。
診断の方法の別の態様においては,この方法はさらに,標識された化合物の検出されたレベルと,標識された化合物の先の時点で検出された量とを比較する工程(c)を含む。
診断の方法のさらに別の態様においては,工程(b)はガンマカウンターにより検出することを含む。
本発明のさらに別の観点においては,トランスフェリンで修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンが提供され,ここで,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンは式3:
[式中,RおよびRは,それぞれ独立してアシル基であり,pは1−10の整数である]で表され,トランスフェリンはN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンに結合している。
トランスフェリンで修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのある態様においては,pは2−4の整数である。特定の態様においては,pは3である。
トランスフェリンで修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのある態様においては,RおよびRは,それぞれ独立して,オレオイル,ステアロイル,パルミトイルまたはミリストイルである。特定の態様においては,RおよびRは同じである。ある態様においては,RおよびRは,オレオイルまたはステアロイルである。ある態様においては,RおよびRはオレオイルであり,pは3である。
別の観点においては,本明細書に記載されるトランスフェリンで修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンおよび1またはそれ以上の薬学的に許容しうる担体,賦形剤,希釈剤,安定化剤,または保存剤を含む医薬処方物が提供される。
ある態様においては,少なくとも2つの異なる中性脂質,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンおよびN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルの混合物を含む脂質混合物が提供され,ここで,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンは式1:
で表され,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルは式2:
[式中,R,R,RおよびRは,それぞれ独立してアシル基であり,mおよびnは,独立して,1−10の整数である]
で表され,混合物は誘導化されていないホスファチジルエタノールアミンまたはポリエチレングリコールを含まない。
ある態様においては,少なくとも2つの異なる中性脂質,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルおよび封入された薬剤または標識された化合物を含むリポソーム含有組成物が提供され,ここで,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンは式1:
で表され,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルは式2:
[式中,R,R,RおよびRは,それぞれ独立してアシル基であり;mおよびnは,独立して,1−10の整数である]
で表され,混合物は誘導化されていないホスファチジルエタノールアミンまたはポリエチレングリコールを含まない。
リポソーム含有組成物および脂質混合物の特定の態様においては,mおよびnは,それぞれ独立して,2−4の整数である。ある態様においては,mおよびnは等しく,2−4の整数である。別の態様においては,mおよびnは等しく,3である。
リポソーム含有組成物および脂質混合物のある態様においては,R,R,RおよびRは,それぞれ独立して,オレオイル,ステアロイル,パルミトイルまたはミリストイルである。ある態様においては,RとRは同じであり,RとRは同じである。特定の態様においては,R,R,RおよびRは同じであり,ある態様においては,R,R,RおよびRはオレオイルである。
リポソーム含有組成物および脂質混合物の特定の態様においては,中性脂質:N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン:N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルのモル比は約95:4:1である。
中性脂質がDMPCおよびコレステロールであるリポソーム含有組成物および脂質混合物のある態様においては,DMPC:コレステロール:(N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン+N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン)のスクシンイミジルエステルのモル比は50:45:5である。これらの態様のあるものにおいては,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンはNG−DOPEであり,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルはNHS−NG−DOPEである。
ある態様においては,少なくとも2つの異なる中性脂質,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン,標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンおよび封入された薬剤または標識された化合物を含む標的化リポソームが提供され,ここで,標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンは,第2のN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンに連結された標的化リガンドを含み;N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンは式1:
で表され,
第2のN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンは式3:
[式中,R,R,RおよびRは,それぞれ独立してアシル基であり,mおよびpは,独立して,1−10の整数である]
で表され;
リポソームは誘導化されていないホスファチジルエタノールアミンまたはポリエチレングリコールを含まず,標的化リガンドは無傷の抗体ではない。
特定の態様においては,中性ホスファチジルコリン,コレステロールまたはコレステロール誘導体,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン,トランスフェリンで修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンおよび封入されたオキザリプラチンを含む標的化リポソームが提供され,ここで,トランスフェリンで修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンは,カルボン酸アミド結合により第2のN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンに連結されたトランスフェリンを含み;
N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンは式1:
で表され,
N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルは式2で表され,
第2のN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンは式3:
[式中,R,R,RおよびRは,それぞれ独立してアシル基であり,mおよびpは,独立して,1−10の整数である]
で表され;
リポソームは誘導化されていないホスファチジルエタノールアミンまたはポリエチレングリコール含まない。ある態様においては,標的化リポソームはEDCおよび/またはDCCを実質的に含まない。
標的化リポソームのある態様においては,mおよびpは,それぞれ独立して,2−4の整数である。ある態様においては,mおよびpは等しく,2−4の整数である。特定の態様においては,mおよびpは等しく,3である。
標的化リポソームのある態様においては,R,R,RおよびRは,それぞれ独立して,オレオイル,ステアロイル,パルミトイルまたはミリストイルである。ある態様においては,RおよびRは同じであり,RおよびRは同じである。特定の態様においては,R,R,RおよびRは同じである。ある態様においては,R,R,RおよびRは,オレオイルまたはステアロイルである。ある態様においては,R,R,RおよびRはオレオイルである。
標的化リポソームのある態様においては,標的化リガンドは標的細胞に向けられている。特定の態様においては,標的化リガンドは標的細胞の細胞表面レセプターに向けられている。ある態様においては,標的化リガンドは,トランスフェリン,葉酸,ヒアルロン酸,糖鎖またはモノクローナル抗体のフラグメントである。ある態様においては,標的化リガンドは,トランスフェリン,葉酸,ヒアルロン酸または糖鎖である。特定の態様においては,標的化リガンドはトランスフェリンである。これらの態様のあるものにおいては,トランスフェリンはホロ形であってアポ形ではない。別の態様においては,トランスフェリンはアポ形である。
脂質混合物,リポソーム含有組成物および標的化リポソームのある態様においては,処方物はアニオン性脂質を含まない。ある態様においては,処方物はカチオン性脂質を含まない。ある態様においては,処方物はカチオン性脂質またはアニオン性脂質を含まない。ある態様においては,処方物はホスファチジルグリセロールまたはその誘導体を含まない。特定の態様においては,処方物は卵ホスファチジルコリンを含まない。
脂質混合物,リポソーム含有組成物および標的化リポソームのある態様においては,少なくとも2つの異なる中性脂質は,1またはそれ以上のリン脂質およびコレステロールまたはコレステロール誘導体である。ある態様においては,少なくとも2つの異なる中性脂質の少なくとも1つはリン脂質である。脂質混合物,リポソーム含有組成物および標的化リポソームのある態様においては,少なくとも2つの異なる中性脂質は,ホスファチジルコリンおよびコレステロールである。特定の態様においては,少なくとも2つの異なる中性脂質の1つは,DMPC,DSPCまたはDPPCである態様においては,少なくとも2つの異なる中性脂質の1つはコレステロールまたはコレステロール誘導体である。特定の態様においては,少なくとも2つの異なる中性脂質は,DMPCおよびコレステロール,DSPCおよびコレステロール,またはDPPCおよびコレステロールである。特定の態様においては,少なくとも2つの異なる中性脂質はDMPCおよびコレステロールである。
標的化リポソームのある態様においては,リポソームの平均直径は約50nm−約250nmである。ある態様においては,リポソームの平均直径は,約90nm−約200nmである。特定の態様においては,リポソームの平均直径は約100nm−約140nmである。
標的化リポソームのある態様においては,リポソームのゼータ電位は負である。特定の態様においては,ゼータ電位は約−75mVから約−90mVである。ある態様においては,ゼータ電位は約−80mVから約−85mVである。
脂質混合物,リポソーム含有組成物および標的化リポソームのある態様においては,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンはNG−DOPE(ここで,NG−DOPEは,RおよびRがオレオイルでありmが3であるものと等しい)であり,存在する場合には,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルはNHS−NG−DOPE(ここで,NHS−NG−DOPEは,RおよびRがオレオイルであり,nが3であるものと等しい)であるか,または存在する場合には,ターゲティング因子で修飾したN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンはTF−NG−DOPE(ここで,TF−NG−DOPEは,RおよびRがオレオイルであり,pが3であるものと等しい)である。
リポソーム含有組成物および標的化リポソームのある態様においては,処方物はさらに溶液を含む。
標的化リポソームのある態様においては,中性脂質:N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン:標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのモル比は約95:4:1である。
標的化リポソームのある態様においては,DMPC:コレステロール:(N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン+標的因子で修飾したN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン)のモル比は50:45:5である。
リポソーム含有組成物および標的化リポソームの特定の態様においては,標識された化合物が存在する。ある態様においては,標識された化合物は放射性同位体成分を含む。特定の態様においては,標識された化合物は125Iを含む。
リポソーム含有組成物および標的化リポソームのある態様においては,薬剤が存在する。特定の態様においては,薬剤は抗癌剤である。ある態様においては,薬剤は細胞毒性剤である。ある態様においては,薬剤はトポイソメラーゼI阻害剤である。特定の態様においては,トポイソメラーゼI阻害剤は,トポテカンまたはイリノテカンである。別の態様においては,薬剤はビンカアルカロイドである。ある態様においては,ビンカアルカロイドは,ビンクリスチン,ビンブラスチン,ビンレウロシン,ビンロジシン,ビノレルビンまたはビンデシンである。別の態様においては,薬剤は核酸である。これらの態様のあるものにおいては,核酸はアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはリボザイムである。特定の態様においては,薬剤は白金化合物である。ある態様においては,白金化合物は,ビプラチン,シスプラチン,カルボプラチン,オルマプラチン,オキザリプラチン,ゼニプラチン,エンロプラチン,ロバプラチンまたはスピロプラチンである。特定の態様においては,白金化合物はオキザリプラチンである。ある態様においては,薬剤はアルキル化剤である。特定の態様においては,薬剤はタキサンである。別の態様においては,薬剤は代謝性アンタゴニストである。ある態様においては,薬剤は抗腫瘍抗生物質である。ある態様においては,薬剤はホルモン療法剤である。特定の態様においては,薬剤は分子標的薬である。
オキザリプラチンが存在する特定の態様においては,オキザリプラチンは,トレハロース,マルトース,スクロース,ラクトース,マンノース,マンニトール,グリセロールおよびデキストロースからなる群より選択される糖の水性溶液中に溶解されている。ある態様においては,糖は約1−約20%パーセント糖(v/v)の濃度である。ある態様においては,オキザリプラチンの濃度はリポソーム中で約0.1mg/ml−約25mg/mlである。別の態様においては,オキザリプラチンの濃度はリポソーム中で約0.5mg/ml−約10mg/mlである。さらに別の態様においては,オキザリプラチンの濃度は約0.5mg/ml−約3mg/mlである。
ターゲティング因子で修飾したN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンが存在する特定の態様においては,リポソーム中に取り込まれている標的化リガンドの濃度は約1.0mg/ml−約3.0mg/mlである。ある態様においては,リポソーム中に取り込まれている標的化リガンドの濃度は約1.0mg/ml−約2.5mg/mlである。
ターゲティング因子で修飾したN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンが存在するある態様においては,標的化リガンドはトランスフェリンである。ある態様においては,トランスフェリンはホロ形であってアポ形ではない。ある態様においては,トランスフェリンはホロ形である。ある態様においては,鉄イオンは約0.4−約3.0μg/mlの濃度である。別の態様においては,鉄イオンは約0.4−約1.5μg/mlの濃度である。
脂質混合物,リポソーム含有組成物および標的化リポソームのある態様においては,処方物は2つの異なる中性脂質,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンおよびターゲティング因子で修飾したN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン以外の脂質成分を含まない。特定の態様においては,処方物はホスファチジルコリン,コレステロールまたはコレステロール誘導体,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンおよびトランスフェリンで修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン以外の脂質成分を含まない。
別の観点においては,本明細書に記載される標的化リポソームまたはリポソーム含有組成物および1またはそれ以上の薬学的に許容しうる担体,賦形剤,希釈剤,安定化剤,または保存剤を含む医薬処方物が提供される。
さらに別の観点においては,本明細書に記載される脂質混合物,リポソーム含有組成物または標的化リポソーム,包装および使用説明書の1またはそれ以上を含むキットが提供される。
ある態様においては,キットは標的化リポソームを含む。特定の態様においては,標的化リポソームは第1の容器に含まれ,1またはそれ以上の薬学的に許容しうる担体,賦形剤,希釈剤,安定化剤,または保存剤は第2の容器に含まれる。
特に記載しない限り,本明細書に記載される脂質含有組成物は,本明細書に記載される治療および診断の方法に用いることが意図され,本明細書に記載される医薬処方物およびキット中に組み込まれる。本明細書に記載される脂質含有組成物(脂質混合物,リポソーム含有組成物を含む),リポソーム(標的化リポソーム,空リポソーム等を含む))は,特に記載しない限り,本明細書に記載される製造方法により製造される。
別の観点においては,本明細書に記載される脂質含有組成物を製造する方法が提供され,この方法は,少なくとも2つの異なる中性脂質,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンおよびN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルを混合する工程を含む。
ある態様においては,本明細書に記載されるリポソーム含有組成物を製造する方法が提供され,この方法は,
a)少なくとも2つの異なる中性脂質,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンおよびN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルを混合して脂質混合物を形成し;
b)工程(a)で形成された脂質混合物に薬剤を加え;そして
c)リポソームを形成する
の各工程を含む。
ある態様においては,混合工程(a)は,有機溶媒の存在下で行う。
ある態様においては,工程(b)の薬剤は,混合前に水性溶液中に存在する。
ある態様においては,工程(c)は超音波処理または撹拌を含む。特定の態様においては,工程(c)は押し出しを含む。
さらに別の態様においては,本明細書に記載される標的化リポソームを製造する方法が提供され,この方法は,
a)少なくとも2つの異なる中性脂質,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンおよびN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルを混合して脂質混合物を形成し;
b)工程(a)で形成された脂質混合物に薬剤または標識された化合物を加え;
c)リポソームを形成し;そして
d)N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルに標的化リガンドを連結させる
の各工程を含む。
上述の方法のある態様においては,この方法はさらに,工程(d)のリポソームを精製する工程(e)を含む。特定の態様においては,工程(b)の薬剤は混合前に水性溶液中にある。ある態様においては,工程(c)は超音波処理または撹拌を含む。ある態様においては,工程(c)は押し出しを含む。
また,標的化リポソームを製造する別の方法が提供され,この方法は,
a)ホスファチジルコリン,コレステロールまたはコレステロール誘導体,およびN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンを混合して脂質混合物を形成し;
b)工程(a)で形成された脂質混合物にオキザリプラチンを加え;
c)リポソームを形成し;そして
d)N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンの一部を機能化して,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルを形成し;そして
e)トランスフェリンをN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルに結合させる,
の各工程を含む。
ある態様においては,この方法はさらに,工程(e)のリポソームを精製する工程(f)を含む。
この方法の特定の態様においては,工程(b)における薬剤は混合前に水性溶液中に存在する。
この方法のある態様においては,工程(c)は超音波処理または撹拌を含む。
本発明のさらに別の観点においては,本明細書に記載される脂質含有組成物(標的化リポソームを含む)およびその処方物の,医薬品の製造,特に,本明細書に記載される状態の治療または診断において用いるための医薬品の製造における使用が提供される。さらに,本明細書に種々に説明されるその医薬処方物は,特に記載しないかぎり,本明細書に記載される方法にしたがってその状態の治療および診断において用いるための医薬品の製造における使用が意図される。
本発明のさらに別の観点においては,癌を治療する方法が提供され,この方法は,a)本明細書に記載される標的化リポソームを癌を治療するのに有効な量で,治療を必要とする個体に投与する工程を含み,ここで,薬剤は抗癌剤である。
ある態様においては,個体は哺乳動物である。特定の態様においては,個体はヒトである。
ある態様においては,癌は,乳,胃,結腸,結腸直腸癌,膵臓の癌,非小細胞肺癌,小細胞肺癌,脳癌,肝臓癌,腎臓癌,前立腺癌,膀胱癌,卵巣癌,または血液悪性腫瘍である。
治療方法のある態様においては,工程(a)は,組み合わせモダリティー癌療法の前に,同時に,または後に行われる。特定の態様においては,組み合わせモダリティー癌療法は,化学療法,放射線療法,または外科手術を含む。
治療の方法のある態様においては,工程(a)は,癌補助療法の前に,同時に,または後に行われる。特定の態様においては,癌補助療法は,1またはそれ以上の薬剤を投与して,脱毛,嘔吐,免疫抑制,悪心,下痢,発疹,感覚障害,貧血,倦怠感,口内炎,または手足症候群を低減することを含む。ある態様においては,工程(a)は,1またはそれ以上の別の抗癌剤の投与の前に,同時にまたは後に行われる。特定の態様においては,1またはそれ以上の別の抗癌剤には,5−フルオロウラシル,ロイコボリン,カペシタビン,UFT/LV(テガフール−ウラシルおよびロイコボリン),イリノテカン,抗EGFR抗体,抗VEGF抗体,チロシンキナーゼ阻害剤,またはこれらの組み合わせが含まれる。
治療の方法のある態様においては,標的化リポソームは,非経口投与により投与される。特定の態様においては,非経口投与は注射または静脈内注入による。
図面の簡単な説明
図1は,標的化リポソームの略図を示す。
図2は,標的化リポソームを用いる腫瘍細胞の活性薬剤ターゲティングの略図を示す。
図3は,オキザリプラチンを含む標的化リポソームの提唱される作用モードの略図を示す。
図4は,標的化リポソームの製造プロセスAの概略図を示す。
図5は,標的化リポソームの製造プロセスBの概略図を示す。
図6は,種々のオキザリプラチン濃度におけるオキザリプラチンのAsPC−1細胞に対する細胞毒性を示す。
図7は,正常白血球および腫瘍由来細胞株の細胞表面に存在するトランスフェリンレセプターの数を示す。
図8は,実施例6で調製し,QELSにより得たリポソーム含有混合物のサイズ分布の結果を示す。A)エントリー1,B)エントリー2,C)エントリー3,D)エントリー4,E)エントリー5,F)エントリー6。
図9は,血中のリポソームの濃度を示す。図中,(◆)は実施例6で調製したTf−PEG−リポソームを示し,(B)は実施例5で調製したTf−NG−DSPE:NG−DSPE:DSPC:CHリポソームを示し,(O)は実施例6で調製したTf/PEG−NG−DSPEリポソームを示す。
図10は,癌組織におけるリポソームの濃度を示す。図中,(◆)は実施例6で調製したTf−PEG−リポソームを示し,(■)は実施例5で調製したTf−NG−DSPE:NG−DSPE:DSPC:CHリポソームを示し,(O)は実施例6で調製したTf/PEG−NG−DSPEリポソームを示す。
図11は,実施例13に記載されるようにして製造したNG−PEリポソームの静脈内注射後の腫瘍組織における蓄積を示し,125Iで標識されたチラミニルイヌリンを封入したNGPEリポソームをColon26腫瘍担持マウスに注射した。データは平均値で示される。データは平均±SD(n=5)で示される。(□)0mol%(−);(■)1mol%(+)Tf−NG−DOPE.*0mol%(−)からの有意な相違。
図12は,腫瘍成長比対最初の治療後の日数のプロットにより,腫瘍成長に及ぼすリポソームの阻害効果を示す。図中,(◆)は実施例9において調製したTf−PEG−リポソームを示し;(■)は実施例6において調製したTfなしのPEG−リポソームを示し;(黒三角)は実施例8において調製したTf−NG−DSPE:NG−DSPE:DSPC:CHリポソームを示し;(o)は実施例8において調製したTfなしのNG−DSPE:NG−DSPE:DSPC:CHリポソームを示し;(*)は実施例9において調製したTf/PEG−NG−DSPEリポソームを示し;(●)は,実施例9において調製したTfなしのPEG−NG−DSPEリポソームを示し;(+)はl−OHP溶液を示し;(−)は処置なしを示す。
図13は,血液中で検出された薬剤用量のパーセントに及ぼすNG−PE(NG−DSPE)の種々の濃度の影響を示す。図中,NG−DSPEの濃度(総脂質含有量の%)は以下のとおりである:(◆)0%,(■)1%;(黒三角)3%;(x)6%;(○)12%。脂質は以下のとおりである:(●)MPB6%;(+)PDP6%。
図14は,種々のジカルボン酸リンカーを有し,Tfを有するかまたは有しないリポソームの血液滞留を示す。図中,(◆)Tf−NGPE,(■)Tf−NSPE;(黒三角)TF−MPB;(x)NGPE(Tfなし),(*)MPB(Tfなし)。
図15は,電気泳動によるリポソームの例示的分析を示す。レーン6(トランスフェリン−N−グルタリル−ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン−リポソーム(Tf−NG−DSPEリポソーム));レーン5(トランスフェリン−ポリエチレングリコール−ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン−リポソーム(Tf−PEG−DSPEリポソーム))。レーン1−4は,それぞれ,h−apo−Tf(240ng),h−apo−Tf(120ng),h−apo−Tf(60ng),およびh−apo−Tf(30ng)を含む。
図16は,リポソーム中に取り込まれた非NG−DSPEあり(レーン5)およびなし(レーン4)で,Tf−NG−DSPEリポソームに結合したトランスフェリンの量を示す。レーン1−3は,それぞれ,h−apo−Tf(400ng),h−apo−Tf(200ng),およびh−apo−Tf(50ng)を含む。
図17は,(■)NG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CHリポソームを5mg/kgで,(●)Tf−PEGリポソームを5mg/kgで投与した後の血中のオキザリプラチンの蓄積を示す。
図18は,(■)NG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CHリポソームを5mg/kgで,(●)Tf−PEGリポソームを5mg/kgでマウスColon26腫瘍に投与したときの,Colon26腫瘍中のオキザリプラチンの蓄積を示す。
図19は,Colon26腫瘍担持マウスにおけるG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CHリポソームの抗腫瘍効果を示す。図中,(●)はベヒクル対照(9%スクロース)を示し;(黒三角)はl−OHP溶液,5mg/kgを示し,(◆)はNG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CHリポソーム,5mg/kgを示し,(■)はTf−PEGリポソーム,5mg/kgを示す。
図20は,HCT−116ヒト結腸腫瘍異種移植片担持マウスにおけるNG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CHリポソームの抗腫瘍効果を示す。図中,(●)はベヒクル対照(300mM(10.27%)スクロース)を示し;(O)ブランク(薬剤なし)リポソームを示し,(黒三角)はl−OHP溶液,15mg/kgを示し,(◆)はNG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CHリポソーム,10mg/kgを示し,(■)はNG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CHリポソーム,15mg/kgを示す。すべてのリポソームは,正確な体重にしたがって,0.103mL/10g体重の注射量で投与した。
図21は,HT−29ヒト結腸腫瘍異種移植片担持マウスにおけるNG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CHリポソームの抗腫瘍効果を示す。図中,(●)はベヒクル対照(300mM(10.27%)スクロース)を示し,(黒三角)はNG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CHリポソーム,15mg/kgを示し,(■)はNG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CHリポソーム,10mg/kgを示し,(◆)はNG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CHリポソーム,6.7mg/kgを示す。
図22は,MKN45胃ヒト腫瘍異種移植片担持マウスにおけるNG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CHリポソームの抗腫瘍効果を示す。図中,(●)はベヒクル対照(300mM(10.27%)スクロース)を示し,(黒三角)はNG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CHリポソーム,15mg/kgを示し,(■)は,NG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CHリポソーム,10mg/kgを示し,(◆)はNG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CHリポソーム,6.7mg/kgを示す。
図23は,COLO205ヒト腫瘍異種移植片担持マウスにおけるNG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CHリポソームの抗腫瘍効果を示す。図中,(●)はベヒクル対照(9%スクロース)を示し;(黒三角)は,l−OHP溶液,5mg/kg,q4dx3(16日),10mg/kg,q2dx2(47日),2mg/kg,q2dx6(51日)を示し;(◆)はNG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CHリポソーム,5mg/kg,q4dx3(16日),10mg/kg,q2dx2(47日),2mg/kg,q2dx6(51日)を示し;(■)はNG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CHリポソーム,10mg/kg,q4dx3(16日),15mg/kg,q2dx2(47日),4mg/kg,q2dx6(51日)を示す。
図24は,2−メルカプトエタノールで還元した後のSDS−PAGEのパターンを示す。図中,レーン1は分子量マーカーであり,レーン2はホロ−トランスフェリンであり,レーン3−5はNG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CHリポソームであり,レーン6はTf−NG−DOPEである。
図25は,システムに適合した例示的HPLCクロマトグラムを示す。
発明の詳細な説明
本発明においては,脂質含有組成物(例えば,標的化リポソーム,空リポソーム,リポソーム含有組成物,脂質混合物等),および本明細書に記載される脂質含有組成物を製造し使用する方法が提供される。脂質含有組成物,特に本明細書に提供されるリポソームは,医薬処方物の製造に,および種々の状態,例えば癌の治療または診断における使用に適している。組成物,例えば医薬処方物は,個体にデリバリーされる薬剤または標識された化合物に伴う有害な影響が低減した,より有効な治療および診断計画を提供する。効力の増加および有害な影響の低減は,薬剤処方物の治療指数を上昇させ,癌などの種々の状態の首尾よい治療の機会を提供するはずであり,また,診断に伴う効力を増加させ,有害な影響を低減させるはずである。薬剤処方物の特異性が増加し,同時に有害な影響が低減することにより,治療中の個体のより多い数および範囲に治療上の有益性が与えられ,治療を必要とする個体の生存期間が長くなり,生活の質が改善されるはずである。標識された化合物の処方物の特異性が増加し,同時に有害な影響が低減することにより,正しく診断されることができる個体,診断処方物に対する許容性を有する個体の数が増加し,診断の正確性(例えば,感度等)が高まり,状態のより早期の診断および疾病の重篤度のより有効なモニタリング(例えば,治療したまたはしない場合の進行または退縮)が可能となるはずである。
本明細書に記載される組成物には,脂質含有組成物の医薬処方物が含まれる。本明細書に記載される脂質含有組成物には,限定されないが,薬剤および標識された化合物を封入し,疾病あるいは治療または診断を必要とする状態,例えば癌(例えば,乳,胃,結腸直腸または結腸癌)の治療または診断において用いることができるリポソームが含まれる。
慣用の抗癌剤(例えば細胞毒性剤)を静脈内に投与すると,身体全体が非特異的に薬剤に暴露され,その影響を受ける。その結果,多くの有害な反応が起こりうるか,癌が標的とされないか,および/または薬剤の影響が循環プロセス中に失われる。投与前にリポソーム組成物中に薬剤を封入すると,1またはそれ以上の有益性が得られる。例えば,薬剤が正常細胞に及ぼす有害な影響を低減させ,薬剤が不安定な場合には薬剤が標的病原細胞に到達するまでこれを保護し,循環系における薬剤の存在を長くして,病原細胞へのデリバリーを可能とし,および/または,薬剤を特定の標的病原細胞にデリバリーすることを容易にする。薬剤のより特異的なターゲティングおよびRESへの取り込みによる薬剤の損失の低減により,投与する必要がある薬剤の量が低下し,このことにより治療のコストが低減するという有益性,ならびに本明細書に記載される他の有益性も得られる。
同様に,多くの標識された化合物は有害な影響を有するかもしれず,および/または投与と診断(例えば,診断手法,例えば,放射性同位体検出,磁気共鳴イメージング,超音波照射等が行われる時)との間の時間に分解するかもしれない。本明細書に記載される脂質含有組成物中に標識された化合物を取り込ませることにより標識された化合物の効力が増加し,例えば,より少ない投与量の標識された化合物で検出の閾値に到達し,薬剤の有害な影響を低減させることができ,および/または診断を行うことができる時間のウインドウを長くすることができる。
脂質含有組成物はまた,標的化リガンドで修飾した脂質(例えば,標的化リポソーム,空リポソーム,リポソーム含有組成物,脂質混合物)または他の誘導化を含む。例えば,標的化因子(例えば,トランスフェリン,葉酸等)および誘導化脂質(例えば,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン)を取り込んだリポソーム組成物が開発され,血漿中の薬剤の循環時間を長くすることにより(溶液のみで投与された薬剤と比較して),および腫瘍細胞上の標的化因子特異的レセプターにより,抗癌剤(例えば,オキザリプラチン等)の安全性および効力が改善されている。この改善された生物利用性および腫瘍ターゲティングにより,安全性が改善され,抗腫瘍活性が増加し,したがって,治療を必要とする個体に有効な治療が与えられる可能性が高くなる一方で,多くの薬剤に伴う有害な影響,特にほとんどの抗癌剤に伴う重い有害な影響が低減するはずである。同様に,そのような誘導化および標的化因子はまた,標識された化合物をデリバリーするために特定の部位(例えば,腫瘍のタイプ,臓器,組織等)を効率的に標的化するためにも用いることができる。
本発明はまた,トランスフェリンで修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンを提供し,これは,本明細書に記載される脂質含有組成物およびその処方物中で用いることができる。
脂質含有組成物,例えば本明細書に記載されるリポソームは,本明細書に記載される方法,ならびに当業者に知られ,本明細書に提供される教示に基づいて明らかなリポソーム製造の方法により製造することができる。特に記載しない限り,本明細書に記載されるリポソームおよびリポソーム含有組成物は,限定されないが,本明細書に記載される医薬処方物および/またはキット,ならびに本明細書に提供される教示に基づいて当業者には明らかなものなどの医薬処方物および/またはキット中に組み込むことができる。同様に,リポソームおよびリポソーム含有組成物を組み込んだリポソームおよびリポソーム含有組成物および医薬処方物は,限定されないが,特に記載しないかぎり,本明細書の全体に提供される記載と一致し,本明細書の教示に基づいて当業者の実務にしたがう治療または診断の方法において用いることができる。
薬剤(オキザリプラチン)を取り込んだ例示的標的化リポソームの概略図を図1に示す。標的化リポソームの取り込みおよび作用モードの提唱されているメカニズムを図2および3に示す。本明細書において用いる場合,"標的化リポソーム"との用語は,一般に,少なくとも1つまたはそれ以上のリン脂質,NωPE,TF−NωPE等の成分を含み,本明細書に記載される薬剤または標識された化合物をも取り込んだリポソームを表す。本明細書の全体を通して記載されるこれらの成分のそれぞれは,限定されないが,本明細書に記載される教示に沿って,本発明の標的化リポソーム中に取り込ませることができる。空リポソーム(本明細書にさらに詳細に説明される)もまた,TFで修飾されたNωPEを取り込むことができる点において,"標的化"することができるが,一般にはこれらには薬剤または標識された化合物が取り込まれていない。
N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン
本明細書に記載される脂質含有組成物には,以下の式1:
式1
[式中,RおよびRは,独立してアシル基であり,mは1−10の整数である]
に少なくとも1つのN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンが取り込まれている。
本明細書において用いる場合,"N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン"との用語およびその同族語は,本明細書に記載される式1に包含されるN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンを表す。同様に,略号NωPEは,式1に包含されるN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンを表すために用いられ(例えば,Nω−DOPE,Nω−DSPE,NG−DOPE等),例えば,特に記載しない限り,NG−PEは式1のN−グルタリルホスファチジルエタノールアミンを表す。
本明細書に記載される脂質含有組成物(標的化リポソームを含む)中に取り込まれる唯一のホスファチジルエタノールアミンが,式1のN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン,または式2のN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステル,または式3の標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンであることが意図され,これは以下にさらに詳細に説明する。本明細書において用いる場合,"誘導化されていないホスファチジルエタノールアミン"との用語およびその同族語は,式1,式2または式3に包含されないホスファチジルエタノールアミン,半合成ホスファチジルエタノールアミン,合成ホスファチジルエタノールアミンおよび/またはその誘導体を表す。
当業者にはよく理解されるように,RおよびRで表される広範な種類のアシル基を式1において用いることができる。
ある態様においては,アシル基は,12−22個の炭素原子を有する飽和または不飽和脂肪族カルボン酸から誘導される。例示的アシル基としては,限定されないが,ラウリン酸,トリデカン酸,ミリスチン酸,ペンタデカン酸,パルミチン酸,マルガリン酸,ステアリン酸,ノナデカン酸,アラキジン酸,ヘンエイコサン酸,ベヘン酸,2−ラウロレイン酸,5−ラウロレイン酸,11−ラウロレイン酸,5−ミリストレイン酸,ミリストレイン酸,2−パルミトレイン酸,7−パルミトレイン酸,cis−9−パルミトレイン酸,trans−9−パルミトレイン酸,ペトロセリン酸,ペトロセリジン酸,オレイン酸,エライジン酸,バクセン酸,ゴンドイン酸,trans−ゴンドイン酸,エルカ酸,リノール酸,リノエライジン酸,α−エレオステアリン酸,β−エレオステアリン酸,リノレン酸,シュードエレオステアリン酸,アラキドン酸,エイコサペンタエン酸,またはドコサヘキサエン酸から誘導されるアシル基が挙げられる。
ある態様においては,アシル基は,14−18個の炭素原子を有する飽和または不飽和脂肪族カルボン酸由来である。このタイプの例示的アシル基としては,限定されないが,オレイン酸(18炭素),パルミチン酸(16炭素),ステアリン酸(18炭素),またはミリスチン酸(14炭素)に由来するものが挙げられる。当業者には理解されるように,対応するアシル基は,それぞれ,オレオイル,パルミトイル,ステアロイル,およびミリストイルである。
別の態様においては,アシル基は,14−18,14−20,14−22,16−18,16−20,16−22,18−20,18−22,12,14,16,18,20または22個の炭素を有する飽和または不飽和脂肪族カルボン酸由来である。ある態様においては,アシル基は偶数の炭素を有する飽和または不飽和脂肪族カルボン酸由来である。
ある態様においては,アシル基はオレイン酸(オレオイル),ステアリン酸(ステアロイル),パルミチン酸(パルミトイル),リノール酸(リノレオイル,18炭素),またはミリスチン酸(ミリストイル)由来である。別の態様においては,アシル基はオレイン酸(オレオイル)由来である。ある態様においては,アシル基はステアリン酸(ステアロイル)由来である。さらに別の態様においては,アシル基はパルミチン酸(パルミトイル)由来である。別の態様においては,アシル基はミリスチン酸(ミリストイル)由来である。
ある態様においては,アシル基は,飽和脂肪族カルボン酸,例えば,限定されないが,パルミチン酸(16炭素),ステアリン酸(18炭素),またはミリスチン酸(14炭素)由来である。
別の態様においては,アシル基は不飽和脂肪族カルボン酸,例えば,限定されないが,オレイン酸(オレオイル,18炭素),リノール酸(リノレオイル,18炭素)またはリノレン酸(リノレノイル,18炭素)に由来する。ある態様においては,アシル基リノール酸に由来する。
ある態様においては,mは,1,2,3,4,5,6,7,8,9,または10である。別の態様においては,mは,1−8,1−6,1−5,1−7,1−3,1−2,2−8,2−6,2−5,2−4,2−3,3−4,3−5,または3−6の整数である。ある態様においては,mは2−4の整数である。別の態様においては,mは1,2または3である。
ある態様においては,mは1−4の整数である。当業者には理解されるように,m=1は,ホスファチジルエタノールアミン(PE)のマロン酸誘導体に対応し,m=2,3,または4は,それぞれ,PEのコハク酸,グルタル酸,およびアジピン酸誘導体を表す。ある態様においては,mは3(グルタル酸)である。
ある態様においては,RおよびRは同じアシル基である。別の態様においては,RおよびRは異なるアシル基である。ある態様においては,RおよびRは,オレオイル,ステアロイル,パルミトイルまたはミリストイルである。ある態様においては,RおよびRはオレオイルである。別の態様においては,RおよびRはステアロイルである。特定の態様においては,RおよびRはパルミトイルである。別の態様においては,RおよびRはミリストイルである。
ある態様においては,式1のN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンはN−グルタリル−ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(NG−DOPE(すなわち,RおよびRはオレオイルであり,mは3である))である。別の態様においては,これはN−グルタリル−ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(NG−DSPE(すなわち,RおよびRはステアロイルであり,mは3である)である。別の態様においては,これはN−グルタリル−ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン(NG−DMPE(すなわち,RおよびRはミリストイルであり,mは3である))である。別の態様においては,これはN−グルタリル−ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(NG−DPPE(すなわち,RおよびRはパルミトイルであり,mは3である))である。別の態様においては,これはN−スクシニル−ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(NS−DSPE(すなわち,RおよびRはステアロイルであり,mは2である))である。別の態様においては,これはN−アジピニル−ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(NA−DSPE(すなわち,RおよびRはステアロイルであり,mは4である))である。ある態様においては,式1のN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンはNG−DOPEまたはNG−DSPEである。
N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンの製造
本明細書に記載されるN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンは,ホスファチジルエタノールアミンのアミノ基にジカルボン酸を結合させることにより得ることができる。
本明細書に記載される目的で使用されるリン脂質,例えばホスファチジルエタノールアミンおよびその誘導体は,高純度のものでなければならず,理想的には均一であるべきである。高純度のリン脂質を製造するための既知の方法には,バッファ溶液からの脂質の抽出およびカラムクロマトグラフィーを用いる精製が含まれる。例えば,N−スクシニルジパルミトイルホスファチジルエタノールアミンの製造方法は,国際公開WO93/01828(JPAH7−501316)および米国特許5,804,552および5,554,728(これらの内容はその全体を本明細書の一部としてここに引用する)に記載されている。これらの製造方法は,反応混合物のシリカゲル60カラムクロマトグラフィーにより反応混合物からリン脂質誘導体を精製することを含む。ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)をトリエチルアミン触媒を用いて室温で窒素ガス下で無水コハク酸と16時間反応させる。
N−(ω−カルボキシ)アシルアミド−ホスファチジルエタノールアミンリン脂質誘導体の別の製造方法は,日本特許公開JPA2001−261688に記載されており,これはpH3.5−7.5バッファ溶液を反応混合物に加えた後に液体層を分離することにより精製することを含み,その全体を本明細書の一部としてここに引用する。この場合,PEをトリエチルアミンアルカリ触媒を用いて4℃で1時間無水ジカルボン酸と反応させる。この方法はすべてのホスファチジルエタノールアミン誘導体について有効というわけではない。
また,DOPE(ジオレオイル−ホスファチジルエタノールアミン)は市販されており,または当業者に知られる方法により製造することができる。例えば,簡単には,レシチン(API出発物質)を化学的に加水分解してグリセロール−ホスホ−コリンを生成し,沈殿によりこれを単離する。次に活性化オレイン酸を用いて脂質をアシル化し,DOPC(ジオレオイル−ホスファチジルコリン)を順相カラムクロマトグラフィーにより単離し,イオン交換カラムを通して精製する。DOPEは,DOPCから,ホスホリパーゼDを用いてエタノールアミンと反応させることにより製造することができる。
N−(ω−カルボキシ)アシルアミド−ホスファチジルエタノールアミンリン脂質誘導体は,例えば,米国特許4,534,899(その全体を本明細書の一部としてここに引用する)に記載されるようにして製造することもできる。簡単には,無水ジカルボン酸をリン脂質,例えば,ホスファチジルエタノールアミンと反応させて,ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンを得る。
N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステル
本明細書に記載されるN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルは,以下の式2:
[式中,RおよびRは,独立してアシル基であり,nは1−10の整数である]
で表される。
本明細書において用いる場合,"N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステル"との用語およびその同族語は,本明細書に記載される式2に包含されるN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルを表す。同様に,略号SuccNωPEは,式2に包含されるN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルを表すために用いることができ(例えば,SuccNω−DOPE,SuccNω−DSPE,SuccNG−DOPE等),例えば,NHS−NG−PEは,特に記載しないかぎり,NHSとの反応により形成される式2のN−グルタリルホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルを表す。
およびRで表される広範な種類のアシル基を用いることができ,これは当業者にはよく理解され,RおよびRについて上述したものと同様である。本明細書において特に明記しないかぎり,式1に関してアシル基について本明細書に提供される記述(例えば,RおよびR),特に"N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン"と題する節の記載は,式2に関してアシル基についても同じく適用されることが明示的に意図される(例えば,RおよびR)。
ある態様においては,RおよびRは同じアシル基である。別の態様においては,RおよびRは異なるアシル基である。ある態様においては,RおよびRは,オレオイル,ステアロイル,パルミトイルまたはミリストイルである。ある態様においては,RおよびRはオレオイルである。別の態様においては,RおよびRはステアロイルである。ある態様においては,RおよびRはパルミトイルである。別の態様においては,RおよびRはミリストイルである。
ある態様においては,nは,1,2,3,4,5,6,7,8,9,または10である。別の態様においては,nは,1−8,1−6,1−5,1−7,1−3,1−2,2−8,2−6,2−5,2−4,2−3,3−4,3−5,または3−6の整数である。ある態様においては,nは2−4の整数である。別の態様においては,nは1,2または3である。
ある態様においては,nは1−4の整数である。当業者には理解されるように,n=1はホスファチジルエタノールアミン(PE)のマロン酸誘導体に対応し,n=2,3,または4は,それぞれ,PEのコハク酸,グルタル酸,およびアジピン酸誘導体を表す。ある態様においては,nは3(グルタル酸)である。
ある態様においては,式2のN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルは,N−グルタリル−ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(NG−DOPE)のスクシンイミジルエステルである。別の態様においては,これはN−グルタリル−ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(NG−DSPE)のスクシンイミジルエステルである。ある態様においては,式2のN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルは,NG−DOPEまたはNG−DSPEのスクシンイミジルエステルである。
ある態様においては,式2のN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルは,N−グルタリル−ジオレオイルホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステル(SuccNG−DOPE(すなわち,RおよびRはオレオイルであり,nは3である))である。別の態様においては,これはN−グルタリル−ジステアロイルホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステル(SuccNG−DSPE(すなわち,RおよびRはステアロイルであり,nは3である)である。別の態様においては,これはN−グルタリル−ジミリストイルホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステル(SuccNG−DMPE(すなわち,RおよびRはミリストイルであり,nは3である))である。別の態様においては,これはN−グルタリル−ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステル(SuccNG−DPPE(すなわち,RおよびRはパルミトイルであり,nは3である))である。別の態様においては,これはN−スクシニル−ジステアロイルホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステル(SuccNS−DSPE(すなwち,RおよびRはステアロイルであり,nは2である))である。別の態様においては,これはN−アジピニル−ジステアロイルホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステル(SuccNA−DSPE(すなわち,RおよびRはステアロイルであり,nは4である))である。ある態様においては,式2のN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルはSuccNG−DOPEまたはSuccNG−DSPEである。
ある態様においては,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンはNω−DOPEであり,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルはSuccNω−DOPEである。別の態様においては,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンはNω−DSPEであり,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルはSuccNω−DSPEである。さらに別の態様においては,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンはNω−DOPEであり,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルはSuccNω−DSPEである。ある別の態様においては,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンはNω−DSPEであり,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルはSuccNω−DOPEである。これらの態様のあるものにおいては,スクシンイミジルエステルはNHS(例えば,NHS−Nω−DOPE,NHS−Nω−DSPE等)であることができる。
ある態様においては,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンはNG−DOPEであり,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルはSuccNG−DOPEである。別の態様においては,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンはNG−DSPEであり,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルはSuccNG−DSPEである。さらに別の態様においては,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンはNG−DOPEであり,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルはSuccNG−DSPEである。ある別の態様においては,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンはNG−DSPEであり,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルはSuccNG−DOPEである。これらの態様のあるものにおいては,スクシンイミジルエステルはNHS(例えば,NHS−NG−DOPE,NHS−NG−DSPE等)であることができる。
N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルの製造
本明細書に記載されるN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルは,当該技術分野において知られ本明細書に記載されるようにして製造されるN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンを,本明細書に記載されるようにして誘導化することにより得ることができる。N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルの製造もまた,以下に,例えば実施例においてより詳細に説明されている。当業者は,本明細書に提供される教示を考慮して,本明細書に記載される方法を改変することも可能である。
本発明のN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルを製造する方法は以下のとおりである:本明細書において式2で表されるN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン1当量に,約0.7−1.3当量のNHSを加え,これを活性水素を有しない有機溶媒に溶解させる。次に混合物を約0.7−1.3当量のカルボジイミド化合物と0−50℃で約1−7日間反応させる。
例えば,活性水素を有しない有機溶媒としては,限定されないが,エステル(例えば,酢酸エチル,酢酸ブチル等),脂肪族炭化水素(例えば,ヘキサン,ヘプタン等),芳香族炭化水素(例えば,トルエン,キシレン等),ハロゲン化炭化水素(例えば,クロロホルム,ジクロロメタン,ジクロロエタン等),エーテル(例えば,THF,ジオキサン,ジエチルエーテル等),環状炭化水素(例えば,シクロヘキサン等),DMFおよびDMSOが挙げられる。有機溶媒は脱水してもよい。
化合物がカルボジイミド基(−N=C=N−)を有する限り,広範な種類のカルボジイミド化合物を用いることができる。例えば,用いることができるカルボジイミド化合物としては,限定されないが,カルボジイミド基,例えば,N,N’−ジシクロヘキシル−カルボジイミド(DCC),N,N’−ジイソプロピル−カルボジイミド,N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(EDC)等が挙げられる。ある態様においては,DCCが用いられ,別の態様においてはEDCが用いられる。
上述の反応は,副生成物の生成を最小限にするかまたは排除する条件下で行うこともできる。望ましくない副生成物としては,尿素化合物(例えば,N,N’−ジシクロヘキシルウレア,N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)ウレア等),N−アシル化尿素化合物,無水カルボン酸化合物および5−オキサゾロン化合物が挙げられる。副生成物の形成に不利なまたはこれを最小限にする条件および材料としては,1)カルボジイミド化合物を有機溶媒にゆっくり溶解させる,2)反応を0℃以下で行って反応による発熱を防止する,などが挙げられる。反応を最適化し,副生成物の生成を最小限にするための他の手段は,特に本明細書に提供される教示を考慮することにより,当業者には理解されるであろう。
カルボジイミド化合物を溶解することができる有機溶媒は,上述した活性水素を含まない有機溶媒と同じである。カルボジイミドを溶解するために用いられる溶媒と活性水素を含まない有機溶媒とは,同じであっても異なっていてもよい。
反応の進行は,薄層クロマトグラフィー(TLC)システム,高速液体クロマトグラフィー(HPLC),および/または蒸着光散乱検出器によりモニターすることができる。反応の進行をモニターするための他の方法も当業者に知られている。
精製は,シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより,クロロホルムとメタノールとの混合物を用いて行うことができる。別の精製方法は当業者に知られている。
完全に脱水した有機溶媒中では,および強酸または強アルカリがない条件では,本明細書に記載されるN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルは通常は安定である。
標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン
標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンには,第2のN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンに連結された標的化リガンドが含まれ,ここで,第2のN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンは式3:
[式中,RおよびRは,独立してアシル基であり,pは1−10の整数である]
で表される。
本明細書において用いる場合,"標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン"との用語およびその同語源の語は,式3に包含され,本明細書に説明されるように標的化因子で修飾されているN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンを表す。同様に,TF−NωPEとの略号は,標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン(例えば,TF−Nω−DOPE,TF−Nω−DSPE,TF−NG−DOPE等)を表すために用いることができ,例えば,TF−NG−PEは式3のN−グルタリルホスファチジルエタノールアミンに連結された標的化リガンドを表す。
当業者にはよく理解されるように,そしてRおよびRについて上述されるように,RおよびRにより表される広範な種類のアシル基を用いることができる。特に記載しない限り,式1に関して本明細書に提供されるアシル基(例えば,RおよびR)の説明は,特に,上述の"N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン"と題する節における説明は,式3に関するアシル基(例えば,RおよびR)にも等しく適用されることが明示的に意図される。
ある態様においては,RおよびRは同じアシル基であり,別の態様においては,RおよびRは異なるアシル基である。ある態様においては,RおよびRは,オレオイル,ステアロイル,パルミトイルまたはミリストイルである。ある態様においては,RおよびRはオレオイルである。別の態様においては,RおよびRはステアロイルである。ある態様においては,RおよびRはパルミトイルである。別の態様においては,RおよびRはミリストイルである。
ある態様においては,pは,1,2,3,4,5,6,7,8,9,または10である。別の態様においては,pは,1−8,1−6,1−5,1−7,1−3,1−2,2−8,2−6,2−5,2−4,2−3,3−4,3−5,または3−6の整数である。ある態様においては,pは2−4の整数である。別の態様においては,pは1,2,または3である。
ある態様においては,pは1−4の整数である。当業者には理解されるように,p=1はホスファチジルエタノールアミン(PE)のマロン酸誘導体に対応し,p=2,3,または4は,それぞれ,PEのコハク酸,グルタル酸,およびアジピン酸誘導体を表す。ある態様においては,pは3(グルタル酸)である。
ある態様においては,式3の標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンは,標的化因子で修飾されたN−グルタリル−ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(TF−NG−DOPE)である。別の態様においては,これは標的化因子で修飾されたN−グルタリル−ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(TF−NG−DSPE)である。ある態様においては,式3の標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンはTF−NG−DOPEまたはTF−NG−DSPEである。
ある態様においては,式3のN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンはN−グルタリル−ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(NG−DOPE(すなわち,RおよびRはオレオイルであり,pは3である))である。別の態様においては,これはN−グルタリル−ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(NG−DSPE(すなわち,RおよびRはステアロイルであり,pは3である)である。別の態様においては,これはN−グルタリル−ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン(NG−DMPE(すなwち,RおよびRはミリストイルであり,pは3である))である。別の態様においては,これはN−グルタリル−ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(NG−DPPE(すなわち,RおよびRはパルミトイルであり,pは3である))である。別の態様においては,これはN−スクシニル−ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(NS−DSPE(すなわち,RおよびRはステアロイルであり,pは2である))である。別の態様においては,これはN−アジピニル−ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(NA−DSPE(すなわち,RおよびRはステアロイルであり,pは4である))である。ある態様においては,式3のN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンはNG−DOPEまたはNG−DSPEである。
ある態様においては,標的化リガンドはトランスフェリン(Tf)であり,これは以下に詳細に説明され,トランスフェリンで修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン中に取り込まれる,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンは本明細書に記載される式3のものである。
ある態様においては,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンはNω−DOPEであり,標的化リガンドはトランスフェリン(Tf)であり,標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンはTf−Nω−DOPEである。別の態様においては,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンはNω−DSPEであり,標的化リガンドはトランスフェリン(Tf)であり,標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンはTf−Nω−DSPEである。さらに別の態様においては,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンはNω−DOPEであり,標的化リガンドはトランスフェリン(Tf)であり,標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンはTf−Nω−DSPEである。ある別の態様においては,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンはNω−DSPEであり,標的化リガンドはトランスフェリン(Tf)であり,標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンはTf−Nω−DOPEである。これらの態様のあるものにおいては,mは3であることができ,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンは式1にしたがうNG−PEである。
ある態様においては,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンはNG−DOPEであり,標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンはTF−NG−DOPEである。別の態様においては,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンはNG−DSPEであり,標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンはTF−NG−DSPEである。さらに別の態様においては,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンはNG−DOPEであり,標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンはTF−NG−DSPEである。ある別の態様においては,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンはNG−DSPEであり,標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンはTF−NG−DOPEである。
ターゲティング因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンは,SuccNωPEから,標的化リガンドおよび他の反応物との反応により製造することができ,これは本明細書にさらに詳細に記載される。TF−NωPEは,本明細書に記載される脂質含有組成物の他の脂質成分と混合する前に製造してもよく(そして任意に精製してもよく),または脂質含有組成物中に取り込まれている予め製造したSuccNωPEの反応からその場で製造してもよい。
追加の脂質成分
本明細書に記載される脂質含有組成物は,本明細書に記載されるNωPE,SuccNωPEおよび/またはTF−NωPEに加えて,1またはそれ以上の追加の脂質成分をも含む。種々の追加の脂質成分を用いることができるが,"追加の脂質成分"との用語は,式1,2または3に示されるような,誘導化されていないホスファチジルエタノールアミン(PE)またはPEの誘導体を含むことを意図しない。ある態様においては,1またはそれ以上の追加の脂質成分は,リン脂質または1またはそれ以上のリン脂質であることができる。ある態様においては,1またはそれ以上の追加の脂質成分は,少なくとも2つの中性脂質を含むことができる。別の態様においては,1またはそれ以上のリン脂質が存在していてもよく,任意に"追加の脂質"(これはリン脂質ではない)が存在していてもよい。種々の中性脂質を用いることができるが,少なくとも2つの中性脂質は式1,2または3におけるような非誘導化ホスファチジルエタノールアミン(PE)またはPEの誘導体を含まないことが意図される。本明細書において用いる場合,"リン脂質"との用語は,式1,2または3におけるようなPEまたはその誘導体を含むことは意図されない。同様に,"追加の脂質"との用語は,式1,2または3におけるようなPEまたはその誘導体を含まず,他のリン脂質も含まない。
特定の態様においては,本明細書に記載される脂質含有組成物および処方物において,リン脂質を用いることができる。例えば,1種類またはそれ以上の,少なくとも2種類の,少なくとも3種類の,少なくとも4種類のリン脂質;または,2,3,または4種類のリン脂質を用いることができる。特定の態様においては,1種類のリン脂質が存在する。ある態様においては,組成物の脂質成分は1種類のリン脂質,NωPE,およびSuccNωPE(または標的化因子との反応が行われた場合にはTFで修飾されたNωPE)に限定される。
特定の態様においては,本明細書に記載される脂質含有組成物および処方物において,2またはそれ以上の中性脂質を用いてもよい。例えば,少なくとも2種類,少なくとも3種類,少なくとも4種類の中性脂質;または,2,3,または4種類の中性脂質を用いることができる。特定の態様においては,2種類の中性脂質が存在する。ある態様においては,組成物の脂質成分は,2つの中性脂質,すなわちNωPEおよびSuccNωPE(または標的化因子との反応が行われた場合にはTFで修飾されたNωPE)に限定される。
追加の脂質成分がリン脂質を含む態様においては,リン脂質はホスファチジルコリンであってもよく,これには,天然に生ずる,半合成の,または合成のホスファチジルコリン(例えば,DSPC,DMPC等)が含まれる。ある態様においては,ホスファチジルコリンは天然に生じないホスファチジルコリンである(例えば,卵ホスファチジルコリンではない)。特定の態様においては,ホスファチジルコリンはアシルホスファチジルコリン(例えば,DMPC,DPPC,POPC,DSPC等)である。ある態様においては,リン脂質はカチオン性である。別の態様においては,リン脂質はアニオン性である。さらに別の態様においては,リン脂質は中性である。特定の態様においては,1またはそれ以上のリン脂質はアニオン性ではなく,別の態様においては,1またはそれ以上のリン脂質はカチオン性ではない。2以上のリン脂質が存在する態様においては,アニオン性および中性脂質を含めることができる。例示的リン脂質としては,限定されないが,ホスファチジルコリン(PC),ホスファチジン酸,ピロホスファチジルセリン,ホスファチジルグリセロール,等が挙げられる。ある態様においては,脂質含有組成物はホスファチジルセリンまたはホスファチジルグリセロールを含まない。
ある態様においては,少なくとも2つの中性脂質の少なくとも1つはリン脂質であることができる。ある態様においては,リン脂質はホスファチジルコリン,例えば,天然に生ずる,半合成のまたは合成のホスファチジルコリン(例えば,DSPC,DMPC等)であってもよい。ある態様においては,ホスファチジルコリンは天然に生じないホスファチジルコリンである(例えば,卵ホスファチジルコリンではない)。特定の態様においては,ホスファチジルコリンはアシルホスファチジルコリン(例えば,DMPC,DPPC5POPC,DSPC等)である。
ある態様においては,少なくとも2つの中性脂質の少なくとも1つは放射性同位体(例えば,H,14C,125I,131I等)の成分を取り込んだ,官能成分(例えば,蛍光成分等)を有するコレステロールまたはコレステロール誘導体(例えば,コレステロールプルラン,正に荷電したコレステロール(例えば,DC−Chol))であることができる。
脂質含有組成物が1またはそれ以上のリン脂質を含む態様においては,組成物はさらに,追加の中性の非リン脂質,例えば,上述のコレステロールまたはコレステロール誘導体を追加の脂質として含んでいてもよい。
本明細書に記載される脂質含有組成物中で用いるためのリン脂質(非PE)としては,合成の,半合成のおよび天然に生ずるリン脂質が挙げられる。例示的リン脂質としては,限定されないが,ホスファチジルコリン(PC),ホスファチジン酸,ホスファチジルセリン,ホスファチジルグリセロール等が挙げられる。別の態様においては,1またはそれ以上のリン脂質はホスファチジルコリン(PC)またはホスファチジン酸を含み,ホスファチジルセリンまたはホスファチジルグリセロールを含まない。
ある態様においては,リン脂質はホスファチジルコリンである。ある態様においては,ホスファチジルコリンは,例えば,ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC),ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC),ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC),パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC),卵ホスファチジルコリン(EPC),水素添加大豆ホスファチジルコリン(HSPC)等であることができる。特定の態様においては,少なくとも1つのリン脂質はホスファチジルコリンである。これらの態様のあるものにおいては,ホスファチジルコリンはDMPCである。別の態様においては,ホスファチジルコリンはDSPCである。別の態様においては,ホスファチジルコリンはDPPCである。別の態様においては,ホスファチジルコリンはPOPCである。別の態様においては,ホスファチジルコリンはEPCである。別の態様においては,ホスファチジルコリンはHSPCである。ある態様においては,1つのリン脂質が含まれ,これはDMPC,DSPC,DPPC,POPC,EPCまたはHSPCである。特定の態様においては,脂質含有組成物が単一のリン脂質(非PEリン脂質)を含む場合,リン脂質はDMPCである。別の態様においては,脂質含有組成物が単一のリン脂質(非PEリン脂質)を含む場合,リン脂質はDSPCである。別の態様においては,脂質含有組成物が単一のリン脂質(非PEリン脂質)を含む場合,リン脂質はDPPCである。別の態様においては,脂質含有組成物が単一のリン脂質(非PEリン脂質)を含む場合,リン脂質はPOPCである。別の態様においては,脂質含有組成物が単一のリン脂質(非PEリン脂質)を含む場合,リン脂質はEPCである。別の態様においては,脂質含有組成物が単一のリン脂質(非PEリン脂質)を含む場合,リン脂質はHSPCである。
ある態様においては,追加の脂質成分は,少なくとも1つのリン脂質,および任意に追加の脂質,例えばコレステロールまたはコレステロール誘導体を含むことができる。特定の態様においては,追加の脂質成分は単一のリン脂質およびコレステロールである。ある態様においては,追加の脂質成分は,少なくとも1つのホスファチジルコリンおよびコレステロールを含む。特定の態様においては,追加の脂質成分は,単一のホスファチジルコリンおよびコレステロールを含む。ある態様においては,コレステロールが含まれる場合,リン脂質は,DSPC,DMPC,DPPC,POPC,EPCまたはHSPCである。ある態様においては,追加の脂質成分は,コレステロールおよびDMPCを含む。別の態様においては,追加の脂質成分は,コレステロールおよびDSPCを含む。ある態様においては,追加の脂質成分は,コレステロールおよびDMPCまたはDSPCの1つである。ある態様においては,追加の脂質成分は,コレステロールおよびDMPCである。別の態様においては,追加の脂質成分はコレステロールおよびDSPCである。別の態様においては,追加の脂質成分は,コレステロールおよびDPPCを含む。別の態様においては,追加の脂質成分は,コレステロールおよびPOPCを含む。別の態様においては,追加の脂質成分は,コレステロールおよびEPCを含む。別の態様においては,追加の脂質成分は,コレステロールおよびHSPCを含む。ある態様においては,追加の脂質成分は,コレステロールおよびDMPC,DSPC,DPPC,POPC,EPCまたはHSPCの1つである。ある態様においては,追加の脂質成分は,コレステロールおよびDMPCである。別の態様においては,追加の脂質成分は,コレステロールおよびDSPCである。別の態様においては,追加の脂質成分は,コレステロールおよびDPPCである。別の態様においては,追加の脂質成分は,コレステロールおよびPOPCである。別の態様においては,追加の脂質成分は,コレステロールおよびEPCである。別の態様においては,追加の脂質成分は,コレステロールおよびHSPCである。
特定の態様においては,1つのリン脂質が存在し,リン脂質はHSPCまたはEPCではない。
特定の態様においては,1またはそれ以上のリン脂質が存在する。ある態様においては,1またはそれ以上のリン脂質はホスファチジルコリンを含む。特定の態様においては,1またはそれ以上のリン脂質およびコレステロール(またはコレステロール誘導体)が含まれる。ある態様においては,リン脂質はホスファチジルコリンであり,組成物はさらにコレステロール(またはコレステロール誘導体)を含む。特定の態様においては,ホスファチジルコリンは,飽和脂肪酸(例えば,DMPC,DSPCまたはDPPC)の成分を含むホスファチジルコリンである。ある態様においては,ホスファチジルコリンは卵ホスファチジルコリンではない。特定の態様においては,ホスファチジルコリンはHSPCではない。
特定の態様においては,2つの中性脂質が存在し,ある態様においては,2つの中性脂質はコレステロール(またはコレステロール誘導体)およびホスファチジルコリンである。特定の態様においては,ホスファチジルコリンは飽和脂肪酸(例えば,DMPC,DSPCまたはDPPC)の成分を含むホスファチジルコリンである。ある態様においては,ホスファチジルコリンは卵ホスファチジルコリンではない。
本明細書に記載され,当業者に知られる追加の脂質成分は,多くの供給元,例えば,Avanti Polar Lipids,Inc.(Alabaster,AK),Northern Lipid Inc.(Canada),Lipoid GmbH(Germany),NOF Corporation(Japan),Nippon Fine Chemical Co.,Ltd(Japan)から市販されている。
薬剤
広範な種類の薬剤,例えば化合物または遺伝子を本発明の脂質含有組成物に含ませることができる。ある態様においては,薬剤は,抗癌剤,例えば,リポソーム中に封入するのに適した抗癌剤であってもよい。本明細書に記載される脂質含有組成物およびその処方物に含有させるべき薬剤の量は,本明細書に提供される教示を参照し,選択された薬剤および組成物または処方物の意図される用途に応じて,薬剤および治療する個体の両方に特有の因子を考慮して,当業者が容易に決定することができ,これは本明細書にさらに詳細に記載される。
ある態様においては,薬剤は,核酸,例えば,抗癌特性を有する配列をコードする核酸であってもよい。例えば,限定されないが,アンチセンスオリゴヌクレオチド,リボザイム等が挙げられる。
ある態様においては,抗癌剤は,当業者および開業医に知られる細胞毒性薬剤であることができる。例示的抗癌剤としては,トポイソメラーゼI阻害剤,ビンカアルカロイド,アルキル化剤(白金化合物等),タキサンおよび当業者に知られる他のものが挙げられる。
ある態様においては,抗癌剤は,トポイソメラーゼI阻害剤,例えば,限定されないが,トポテカン,イリノテカン等であってもよい。
抗癌剤はまた,ビンカアルカロイド,例えば,ビンクリスチン,ビンブラスチン,ビンレウロシン,ビンロジシン,ビノレルビン,ビンデシン等であってもよい。
さらに,抗癌剤はまた白金化合物であってもよい。白金化合物の非限定的例としては,ビプラチン,シスプラチン,カルボプラチン,オルマプラチン,オキザリプラチン,ゼニプラチン,エンロプラチン,ロバプラチン,スピロプラチン等が挙げられる。
オキザリプラチン(トランス−1−1,2−ジアミノシクロヘキサンの白金(II)シス−オキサラト錯体)は,下記の式で表される構造を有する白金,より詳細には有機白金の錯体である。オキザリプラチンはまた下記のものとしても知られる:ジアミノシクロヘキサン白金,DACH−白金,およびcis−[(lR,2R)−1,2−シクロヘキサンジアミン−N,N’][オキサラト(2)−0,0’]白金(C14Pt;MW397.4g/mol)。先に記載したように,オキザリプラチンはEloxatin(商標)の活性薬理成分である。
オキザリプラチンは,シスプラチンと類似の治療活性を有し,腎毒性および催吐性(嘔吐)が比較的低いため,抗腫瘍剤として有用である。オキザリプラチンの製造方法は当該技術分野においてよく知られている(例えば,JP−A−9−40685;米国特許4,169,846,5,338,874;5,959,133;5,298,642;および5,290,961(これらの開示はその全体を本明細書の一部としてここに引用する)。オキザリプラチンは,Chaney SGら"Recognition and processing of cisplatin−and Oxaliplatin−DNA adducts."Crit Rev Oncol Hematol.(2005)53:3−11(その全体を本明細書の一部としてここに引用する)にも記載されている。
ある態様においては,リポソーム中に封入されるオキザリプラチンの濃度は約1mg/ml,例えば約0.8mg/mlである。
一般に,本発明のリポソーム組成物は,約1−約50μgのオキザリプラチン/mg脂質および約1−約150μgのTF/mg脂質,例えば,約10−約50μgのオキザリプラチン/mg脂質および10−約150μgのTF/mg脂質を含む。
ある態様においては,組成物は,約1−約45μgのオキザリプラチン/mg脂質,約1−約40μgのオキザリプラチン/mg脂質,約1−約35μgのオキザリプラチン/mg脂質,約1−約30μgのオキザリプラチン/mg脂質,約1−約25μgのオキザリプラチン/mg脂質,約1−約20μgのオキザリプラチン/mg脂質,約1−約15μgのオキザリプラチン/mg脂質,約1−約10μgのオキザリプラチン/mg脂質,約1−約5μgのオキザリプラチン/mg脂質,約5−約50μgのオキザリプラチン/mg脂質,約5−約45μgのオキザリプラチン/mg脂質,約5−約35μgのオキザリプラチン/mg脂質,約5−約25μgのオキザリプラチン/mg脂質,約5−約20μgのオキザリプラチン/mg脂質,約5−約15μgのオキザリプラチン/mg脂質,約5−約10μgのオキザリプラチン/mg脂質,約1μgのオキザリプラチン/mg脂質,約2μgのオキザリプラチン/mg脂質,約4μgのオキザリプラチン/mg脂質,約5μgのオキザリプラチン/mg脂質,約10μgのオキザリプラチン/mg脂質,約15μgのオキザリプラチン/mg脂質,約20μgのオキザリプラチン/mg脂質,約30μgのオキザリプラチン/mg脂質,約40μgのオキザリプラチン/mg脂質,または約50μgのオキザリプラチン/mg脂質を含む。
ある態様においては,組成物は,約1−約145μgのTF/mg脂質,約1−約120μgのTF/mg脂質,約1−約115μgのTF/mg脂質,約1−約100μgのTF/mg脂質,約1−約90μgのTF/mg脂質,約1−約70μgのTF/mg脂質,約1−約60μgのTF/mg脂質,約1−約50μgのTF/mg脂質,約1−約25μgのTF/mg脂質,約10−約150μgのTF/mg脂質,約10−約140μgのTF/mg脂質,約10−約125μgのTF/mg脂質,約10−約100μgのTF/mg脂質,約10−約80μgのTF/mg脂質,約10−約50μgのTF/mg脂質,約10−約25μgのTF/mg脂質,約1μgのTF/mg脂質,約5μgのTF/mg脂質,約10μgのTF/mg脂質,約25μgのTF/mg脂質,約40μgのTF/mg脂質,約50μgのTF/mg脂質,約70μgのTF/mg脂質,約100μgのTF/mg脂質,約120μgのTF/mg脂質,約140μgのTF/mg脂質,または約150μgのTF/mg脂質を含む。
ある態様においては,約0.5−約50μgのオキザリプラチン/mg脂質および約1−約150μgのTF/mg脂質である。ある態様においては,約5−約50μgのオキザリプラチン/mg脂質および約10−約100μgのTF/mgである。ある態様においては,約2−約50μgのオキザリプラチン/mg脂質および約5−約150μgのTF/mg脂質;約3−約50μgのオキザリプラチン/mg脂質および約5−約150μgのTF/mg脂質;約4−約50μgのオキザリプラチン/mg脂質および約5−約150μgのTF/mg脂質;約2−約40μgのオキザリプラチン/mg脂質および約5−約150μgのTF/mg脂質;約3−約40μgのオキザリプラチン/mg脂質および約5−約150μgのTF/mg脂質;約4−約40μgのオキザリプラチン/mg脂質および約5−約150μgのTF/mg脂質;約2−約50μgのオキザリプラチン/mg脂質および約10−約150μgのTF/mg脂質;約3−約50μgのオキザリプラチン/mg脂質および約10−約150μgのTF/mg脂質;約4−約50μgのオキザリプラチン/mg脂質および約10−約150μgのTF/mg脂質;約5−約50μgのオキザリプラチン/mg脂質および約5−約100μgのTF/mg脂質;約5−約50μgのオキザリプラチン/mg脂質および約5−約100μgのTF/mg脂質;または約0.5−約50μgのオキザリプラチン/mg脂質および約5−約100μgのTF/mg脂質である。
ある態様においては,リポソーム処方物中のオキザリプラチン濃度は0.8+/−10%mg/mlである。
ある態様においては,薬剤がオキザリプラチンである場合,オキザリプラチンは,溶液(例えば,水性溶液)に溶解することができる。ある態様においては,溶液は糖(例えば,トレハロース,マルトース,スクロース,ラクトース,マンノース,マンニトール,グリセロール,デキストロース,フルクトース等)を含む。糖の濃度は数パーセントであることができる。例えば,糖濃度(v/v)は,約0.1−12%;0.5−12%,1%−12%,2%−8%,2%−6%,2%−5%,2%−4%,2%−5%,2%−6%,2%−8%,2%−9%,2%−10%,4%−10%,4%−9%,4%−8%,4%−6%,3%−4%,約2%,約3%,約4%,約5%,約6%,約7%,約8%,約9%または約10%である。ある態様においては,溶液は糖を含み,水性である。オキザリプラチンが溶解している溶液が別の成分,例えば当業者に知られるものをも含むことが意図される。
ある態様においては,糖濃度は,約5%,約7%,約8%,約9%または約10%である。別の態様においては,糖濃度は,約5%−約10%である。ある態様においては,糖はデキストロースであり,オキザリプラチン溶液中のデキストロースの濃度は約5%である。ある態様においては,糖はデキストロースであり,オキザリプラチン溶液中のデキストロースの濃度は約9%である。ある態様においては,糖はスクロースであり,オキザリプラチン溶液中のスクロースの濃度は約9%である。ある態様においては,糖はスクロースであり,オキザリプラチン溶液中のスクロースの濃度は約10%である。
ある態様においては,溶液中の糖の濃度は,例えば,約50mg/ml−約150mg/ml,約50mg/ml−約130mg/ml,約50mg/ml−約120mg/ml,約50mg/ml−約100mg/ml,約80mg/ml−約100mg/ml,約90mg/ml−約150mg/ml,約90mg/ml−約130mg/ml,約60mg/ml,約80mg/ml,約90mg/ml,約100mg/ml,約110mg/ml,約105mg/ml,約120mg/ml,または約140mg/mlであることができる。
溶液はまた,当業者に知られる他の成分,例えば,限定されないが,塩,バッファ,糖アルコール等を含むことができる。ある態様においては,オキザリプラチンが溶解している溶液は,リン酸ナトリウム(例えば,一塩基および/または二塩基リン酸ナトリウム)を含むことができる。
ある態様においては,リン酸ナトリウムの濃度は,約5−約15mMであることができる。例えば,約5−約12mM,約5−約10mM,約5−約7mM,約7−約12mM,約7−約15mM,約9−約12mM,約5mM,約7mM,約10mM,約12mMまたは約15mMであることができる。
ある態様においては,糖溶液はさらに約1.0−約1.5mg/mlのリン酸ナトリウムを含むことができる。例えば,約1.2−約1.5mg/ml,1.0−約1.7mg/ml,1.0−約2mg/ml,1.0−約2.5mg/ml,1.0−約3mg/ml,0.5−約3.5mg/mlリン酸ナトリウムを含むことができる。
ある態様においては,溶液のpHは,約6.5−約7.5,約6.7−約7.5,約7−約7.5,約7,約7.5,約6.8,または約6.5であることができる。
ある態様においては,薬剤はオキザリプラチンであり,約9%スクロースの溶液中に含まれる。ある態様においては,薬剤はオキザリプラチンであり,約9%スクロースの溶液中に約1mg/mlのオキザリプラチン濃度で含まれる。ある態様においては,薬剤はオキザリプラチンであり,約105mg/mlスクロースの溶液中に含まれる。ある態様においては,薬剤はオキザリプラチンであり,約105mg/mlスクロースの溶液中に含まれ,リポソーム溶液中のオキザリプラチン濃度は約1mg/mlである。これらの態様のあるものにおいては,溶液はさらにリン酸ナトリウムを含む。ある態様においては,オキザリプラチンはリポソーム溶液中約0.8+/−10%mg/mlの濃度である。
標識された化合物
種々の標識された化合物もまた,本発明の脂質含有組成物に含めることができる。一般に,標識された化合物は,インビボ診断方法を実施するのに有用な薬剤である。
本明細書に記載される薬剤の取り込みおよび使用に関しては,本明細書に記載される脂質含有組成物およびその処方物中に含めるべき標識された化合物の量は,本明細書に提供される教示に基づき,選択された標識された化合物および組成物または処方物について意図される用途に応じて,標識された化合物および診断する個体の両方について特定の因子を考慮して,当業者が容易に決定することができ,これは本明細書にさらに説明される。
例示的な標識された化合物としては,例えば,放射性同位体(例えば,H,14C,67Ga,111In,125I,131I,133Xe等)を含む物質,蛍光成分(例えば,フルオレセイン,フルオレセインイソチオシアネート等)を含む物質,酵素(例えば,ペルオキシダーゼ,アルカリホスファターゼ等)を含む物質,ならびに当業者に知られる別の標識された化合物が挙げられる。
当業者には理解されるように,診断において用いられる標識された化合物および方法の選択は,調べるべき臓器(例えば,肝臓,膵臓,前立腺等),組織(例えば,悪性または非悪性または組織タイプ(例えば,乳等))によって異なる。例えば,125Iを取り込んだ脂質含有組成物(例えば,標的化リポソーム,リポソーム含有組成物等)は,ガンマカウンターによって種々の癌(例えば,乳癌,胃癌,結腸直腸癌,結腸癌等)の存在を同定し重篤度を判定するのに(例えば,初期,治療経過の間,治療後),特に有用である。
標的化因子
特に記載しない限り,"標的化因子"および"標的化リガンド"との用語は本明細書において互換的に用いられる。
本明細書に記載される脂質含有組成物は,特定の標的細胞に向けられた標的化因子で修飾したN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン(例えばTF−NωPE)を取り込んでいることを特徴とする。"標的化因子"との用語は,標的細胞の表面上に存在するレセプターまたは表面抗原に結合することができる成分を表す。ある態様においては,標的化因子は,特定の標的細胞上の細胞表面レセプターに向けられたものである。標的化因子はしばしば,脂質含有組成物の脂質成分に結合させることができる蛋白質またはペプチドである。
最も有効な場合には,標的化因子は,標的とするレセプターまたは抗原が薬剤または標識された化合物のデリバリーの標的である細胞(例えば病原細胞)にのみ存在し,正常細胞には存在しないように選択される。あるいは,標的細胞(例えば病原性細胞または疾病細胞)では非標的細胞(例えば正常細胞)と比較してより多い数のレセプターまたは抗原が発現されている。好ましくは,標的化因子を結合させるレセプターまたは抗原は,標的化因子との結合が高頻度で生じないように,正常細胞では存在しないか少ない数で存在する。すなわち,標的化因子は,本明細書に記載されるリポソーム(封入された薬剤を含む)を標的細胞(例えば,病原性細胞,不健康な細胞等)に選択的にデリバリーする必要がある。すなわち,封入された薬剤の標的細胞への選択的デリバリーは,封入された薬剤または標識された化合物が非標的(例えば,正常)細胞に及ぼす影響に起因する有害な影響を低下させ,このことにより,組成物またはその処方物が投与される個体が経験する有害な影響も低下させる。
例示的標的化因子としては,限定されないが,トランスフェリン,葉酸,葉酸塩,ヒアルロン酸,糖鎖(例えば,ガラクトース,マンノース等),モノクローナル抗体のフラグメント,アシアロ糖蛋白質等,ならびに当業者に知られる他の標的化因子が挙げられる。
特定の態様においては,標的化因子は,細胞表面レセプターに向けられた蛋白質またはペプチド(例えば,トランスフェリン,葉酸塩,葉酸,アシアロ糖蛋白質等)である。
別の態様においては,標的化因子は,抗原(例えば,モノクローナル抗体のフラグメント(例えば,Fab,Fab’,F(ab’),Fc等))に向けられている。標的化因子は無傷または全モノクローナル抗体を含まないことが意図される。本明細書において用いる場合,"全抗体"または"無傷の抗体"との用語,およびこれらの同族語は,一般に免疫グロブリンの抗体IgGを表す。モノクローナル抗体のフラグメントは,一般に,モノクローナル抗体の分解産物,例えば,ペプシン等のプロテアーゼ消化を用いることにより得られるフラグメントを表す。
ある態様においては,標的化因子は抗原に向けられたものではない(例えば,モノクローナル抗体のフラグメント,例えばFab,Fab’,F(ab’),Fc等ではない)。
ある態様においては,標的化因子はトランスフェリンである。
トランスフェリン(Tf)は,分子量80,000の鉄結合蛋白質であり,肝細胞において合成され,血液中に見いだされる。トランスフェリンは各細胞の表面上のTfレセプターを介して細胞に鉄(Fe)を供給する。トランスフェリンレセプターは一般に,腫瘍のタイプにかかわらず,腫瘍組織において正常組織より大量に発現される。腫瘍細胞膜は,細胞増殖を維持するためにトランスフェリンレセプターを過剰発現することが知られている。Shindelman JE,Ortmeyer AE,Sussman HH."Demonstration of the transferrin receptor in human breast cancer tissue. Potential marker for identifying dividing Cells."Int J Cancer.(1981)27(3):329−34;Lloyd JM,O’Dowd T,Driver M,Tee DE."Demonstration of an epitope of the transferrin receptor in human cervical epithelium−−a potentially useful cell marker."J Clin Pathol.(1984)37(2):131−5;および Habeshaw JA,Lister TA,Stansfeld AG,Greaves MF."Correlation of transferrin receptor expression with histological class and outcome in non−Hodgkin lymphoma."Lancet.(1983)1(8323):498−501を参照。したがって,治療剤をトランスフェリンに結合させることにより,トランスフェリンレセプターを介する薬剤の腫瘍細胞内への取り込みが増強されるであろう。作用メカニズムに限定されるものではないが,本明細書に記載されるトランスフェリンリポソームの取り込みの予想経路を図2および3に概説する。トランスフェリンは市販されており,または例えば,米国特許5,026,651(その全体を本明細書の一部としてここに引用する)に記載されるように組換え的に製造することができる。
理論に拘束されるものではないが,トランスフェリン(Tf)のNωPEへのコンジュゲーションは,1級アミンとNωPEとの反応により生じ,これにより脂質アンカーと蛋白質との間にカルボン酸アミド結合が形成されると考えられる。
ある態様においては,標的化リポソーム生成物中に存在する総脂質に対するTfのモル比は約0.00014:1mol/mol(Tf:総脂質)(0.015,wt/wt)である。別の態様においては,Tf:総脂質のモル比は約0.016−約0.029:約126−約158mM/mMである。
脂質含有組成物
本明細書に記載される脂質含有組成物には,誘導化脂質,追加の脂質および封入された薬剤または標識された化合物を取り込んだ標的化リポソーム,ならびに標的化リポソームを製造するために用いられる中間体,例えば本明細書に記載される脂質混合物およびリポソーム含有組成物が含まれ,ここで,脂質含有組成物(例えば標的化リポソーム)は,誘導化されていないホスファチジルエタノールアミンおよび親水性ポリマー,例えば,限定されないが,ポリエチレングリコールを含まない。脂質含有組成物はまた,TFを取り込んでいるが,薬剤または標識された化合物を含まないリポソーム(例えば,空リポソーム)を含む。
本明細書において用いる場合,"親水性ポリマー"との用語およびその同族語は,リポソームの技術分野において,リポソームの循環半減期を増加させる目的でリポソームを遮断するために用いられるポリマー,例えばポリエチレングリコール(PEG)および他のポリエトキシル化ポリマーを表す。この用語は,非共有結合的にリポソームと会合した遊離の親水性ポリマー,ならびに何らかの形でリポソームの特定の成分とコンジュゲートしているか共有結合している親水性ポリマー(例えば,PEGで修飾された脂質等)を包含することが意図される。そのような親水性ポリマーは,当該技術分野においては,"水溶性"ポリマーとも称される。さらに別の例示的親水性ポリマーとしては,限定されないが,ポリビニルアルコール,ポリ乳酸,ポリグリコール酸,ポリビニルピロリドン,ポリアクリルアミド,ポリグリセロール,ポリアクソゾリン等が挙げられる。
本明細書において用いる場合,"脂質混合物"との用語およびその同族語は,本明細書に記載される脂質成分の混合物を表し,ここで,脂質混合物は,溶液,例えば,水性溶液(例えば,水,バッファまたは水と混和性溶媒(例えば,糖(例えば,トレハロース,スクロース,ラクトース,マンノース,デキストロース,フルクトース等),糖アルコール(例えば,ソルビトール,マルチトール,ラクチトール,グリセロール,マンニトール等),アルコール(例えば,エタノール,t−ブタノール等)等))または有機溶媒との混合物)を取り込んでいない。
"リポソーム含有組成物"との用語およびその同族語は,脂質,および任意のに薬剤または標識された化合物の混合物であって,水性溶液(例えば,水,バッファ(例えば,酢酸バッファ,リン酸バッファ,クエン酸バッファ,ホウ酸バッファ,酒石酸バッファ等)または水と水混和性溶媒との混合物)が混合(例えば,撹拌,振盪等の1またはそれ以上)により取り込まれているものを表す。水性溶液はまた,追加の成分,例えば,1またはそれ以上の糖(例えば,トレハロース,マルトース,スクロース,ラクトース,マンノース,デキストロース,フルクトース等),糖アルコール(例えば,ソルビトール,マルチトール,ラクチトール,マンニトール,グリセロール等),アルコール(例えば,エタノール,t−ブタノール等)等を含んでいてもよい。水性溶液はまた,有機溶媒((例えば,エステル(例えば,酢酸エチル,酢酸ブチル等),脂肪族炭化水素(例えば,ヘキサン,ヘプタン等),芳香族炭化水素(例えば,トルエン,キシレン等),ハロゲン化炭化水素(例えば,クロロホルム,ジクロロメタン,ジクロロエタン等),エーテル(例えば,THF,ジオキサン,ジエチルエーテル,イソプロピルエーテル等),環状炭化水素(例えば,シクロヘキサン等),DMF,DMSO等)またはこれらの混合物)を含んでいてもよい。リポソーム含有組成物は,一般に,脂質,水性溶液,および約100−10,000nmの広い分布および500−2,000nmの平均直径を有するリポソームの非均一混合物を含む。例示的リポソーム含有組成物の特性決定は,実施例においてさらに説明する。
ある態様においては,脂質含有組成物は親水性ポリマーが組み込まれているものではない。特定の態様においては,脂質含有組成物はPEGが組み込まれているものではない。
ある態様においては,中間体脂質混合物は,少なくとも2つの異なる中性脂質または1またはそれ以上のリン脂質,およびN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンを含み,ここで,脂質成分は本明細書においてさらに詳細に説明されており,混合物は,誘導化されていないホスファチジルエタノールアミンおよび親水性ポリマー,例えばポリエチレングリコールを含まない。任意に,本明細書に記載される水性溶液を脂質成分と混合してリポソーム含有組成物を形成することができる。ある態様においては,脂質混合物は薬剤または標識された化合物を含まない。特定の態様においては,脂質混合物を処理して,リポソーム含有組成物またはリポソーム処方物を形成することができる。
ある態様においては,中間体脂質混合物は,少なくとも2つの異なる中性脂質または1またはそれ以上のリン脂質,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンおよび薬剤または標識された化合物を含み,ここで,脂質成分および薬剤/標識された化合物は本明細書においてさらに詳細に説明されており,混合物は誘導化されていないホスファチジルエタノールアミンおよび親水性ポリマー,例えばポリエチレングリコールを含まない。任意に,本明細書に記載される水性溶液を脂質成分と混合して,リポソーム含有組成物を形成することができ,例えば,薬剤または標識された化合物は,薬剤/標識された化合物の水性溶液として加えることができる。ある態様においては,リポソーム含有組成物は,(例えば,押し出し,サイズ排除クロマトグラフィー等または当該技術分野において知られる方法の1またはそれ以上で)処理してリポソームを形成することができる。
ある態様においては,脂質混合物は,1またはそれ以上のリン脂質または少なくとも2つの異なる中性脂質,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンおよびN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルを含み,ここで,脂質成分は,本明細書においてさらに詳細に説明されており,混合物は,誘導化されていないホスファチジルエタノールアミンおよび親水性ポリマー,例えばポリエチレングリコールを含まない。混合物はまた,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルの合成に伴う非NHS出発物質,副生成物および/または分解産物(例えば,カルボジイミド(例えば,DCC,EDC等),アシル化尿素化合物等)を実質的に含まない。任意に,本明細書に記載される水性溶液を脂質成分と混合してリポソーム含有組成物を形成することができる。
ある態様においては,中間体脂質混合物は,1またはそれ以上のリン脂質または少なくとも2つの異なる中性脂質,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンおよび標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンを含み,ここで,脂質成分は本明細書においてさらに詳細に説明されており。混合物は誘導化されていないホスファチジルエタノールアミンおよび親水性ポリマー,例えばポリエチレングリコールを含まない。混合物はまた,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルの合成に伴う非NHS出発物質,副生成物および/または分解産物(例えば,カルボジイミド(例えば,DCC,EDC等),アシル化尿素化合物等)を実質的に含まない。任意に,本明細書に記載される水性溶液を脂質成分と混合してリポソーム含有組成物を形成することができる。ある態様においては,脂質混合物は薬剤または標識された化合物を含まない。脂質混合物を処理して,リポソーム含有組成物またはリポソーム処方物を形成することができる。
ある態様においては,中間体脂質混合物は,1またはそれ以上のリン脂質または少なくとも2つの異なる中性脂質,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンおよびN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステル,および薬剤または標識された化合物を含み,ここで,脂質および薬剤/標識された化合物成分は,本明細書においてさらに詳細に説明されており,組成物は誘導化されていないホスファチジルエタノールアミンおよび親水性ポリマー,例えばポリエチレングリコールを含まない。混合物はまた,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルの合成にともなう非NHS出発物質,副生成物および/または分解産物(例えば,カルボジイミド(例えば,DCC,EDC等),アシル化尿素化合物等)を実質的に含まない。任意に,本明細書に記載される水性溶液を脂質成分と混合して,リポソーム含有組成物を形成することができる。
ある態様においては,中間体脂質含有組成物は,1またはそれ以上のリン脂質または少なくとも2つの異なる中性脂質,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンおよびN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステル,および封入された薬剤を含むリポソームを含み,ここで,脂質および薬剤成分は本明細書においてさらに詳細に説明されており,リポソームは誘導化されていないホスファチジルエタノールアミンおよび親水性ポリマー,例えばポリエチレングリコールを含まない。リポソームはまた,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルの合成にともなう非NHS出発物質,副生成物および/または分解産物(例えば,カルボジイミド(例えば,DCC,EDC等)アシル化尿素化合物等)を実質的に含まないことができる。ある態様においては,脂質混合物は薬剤または標識された化合物を含まない。脂質混合物を処理して,リポソーム含有組成物またはリポソーム処方物を形成することができる。
ある態様においては,脂質混合物は,1またはそれ以上のリン脂質または少なくとも2つの異なる中性脂質,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン,ターゲティング因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンおよび封入された薬剤または標識された化合物を含み,ここで,脂質,標的化因子および薬剤/標識された化合物成分は本明細書においてさらに詳細に説明されており,リポソームは誘導化されていないホスファチジルエタノールアミンおよび親水性ポリマー,例えばポリエチレングリコールを含まない。脂質混合物のある態様においては,リポソームは,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルの合成に伴う非NHS出発物質,副生成物または分解産物(例えば,カルボジイミド(例えば,DCC,EDC等),アシル化尿素化合物等)を実質的に含まない。特定の態様においては,脂質混合物はリポソーム含有組成物である(例えば,薬剤または標識された化合物が水性溶液として加えられる場合)。任意に,本明細書に記載される水性溶液を脂質成分と混合してリポソーム含有組成物を形成してもよい。
ある態様においては,標的化リポソームは,1またはそれ以上のリン脂質または少なくとも2つの異なる中性脂質を含むリポソーム,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンおよび標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンおよび封入された薬剤または標識された化合物を含み,ここで,脂質,標的化因子および薬剤または標識された化合物の各成分については本明細書において詳細に説明されるとおりであり,リポソームは誘導化されていないホスファチジルエタノールアミンおよび親水性ポリマー,例えば,ポリエチレングリコールを含まない。標的化リポソームのある態様においては,リポソームは,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルの製造にともなう非NHS出発物質,副生成物または分解産物(例えば,カルボジイミド(例えば,DCC,EDC等),アシル化尿素化合物等)を実質的に含まない。しかし,ある態様においては,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルが標的化リポソーム(例えば,NHS−NG−PEs(例えば,NHS−NG−DOPE,NHS−NG−DSPE等)の製造の初期段階,例えば,スクシンイミジルエステルの加水分解の前において存在してもよく,このことにより最終処方物中に例えば,NHSおよびNG−DOPEが生ずる。SuccNωPEがリポソームの内部に取り込まれていないある態様においては,TF−NωPEを予め形成して出発物質として用いた場合におけるように,リポソームまたはリポソーム含有組成物は,NHSも含まないかまたは実質的に含まない。特定の態様においては,標的化リポソームはDCCおよびEDCを実質的に含まない。ある態様においては,標的化リポソームはDCCを実質的に含まない。
さらに,本明細書に記載されるそれぞれのリポソーム含有組成物を処理して,リポソームを製造することができる。リポソームの製造は,当該技術分野においてよく知られており,さらに,本明細書に記載される方法,例えば,製造方法AおよびBについて以下により詳細に記載される方法にしたがって実施することができる。リポソーム含有組成物からのリポソームの製造方法としては,限定されないが,押し出し,超音波処理,逆相ベシクル,凍結融解,サイズ排除クロマトグラフィー,限外濾過等,およびこれらの組み合わせが挙げられる。本明細書に記載されるリポソーム含有組成物から形成されるリポソームは,薬剤または標識された化合物を取り込んでもよく,または薬剤または標識された化合物を含まなくてもよい(例えば,本明細書において"空リポソーム"とも称されるリポソームの場合)。特定の態様においては,リポソーム含有組成物,リポソーム(空リポソームを含む)および標的化リポソームは,医薬処方物として処方することができ,さらに本明細書に記載される治療または診断方法および/またはキットにおいて使用することができる。
"実質的に含まない"との用語は,当該技術分野において用いられている日常的な分析方法,例えば,HPLC(例えば,European Phmaracopoeia 5th Ed.を参照),TLC,ガスクロマトグラフィー等,ならびに当業者に知られる他の分析方法によって検出されないかまたは最小限に検出される物質のレベルを表す。
例えば,脂質含有組成物は,総脂質含量に対して,約0.1重量%未満,約0.5重量%未満,約1重量%未満,約2重量%未満,約3重量%未満,約4重量%未満,約5重量%未満,または約6重量%未満の,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルの合成に伴う特定の出発物質,副生成物または分解産物を含むことができる。特定の態様においては,組成物は,合計で約10%未満,約7%未満,約5%未満,約3%未満,約2%未満,または約1%未満の不純物(例えば,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルの合成に伴う出発物質,副生成物および分解産物の合計パーセント)を含むであろう。
ある態様においては,標的化リポソームは,ホスファチジルコリン(例えば,中性,アニオン性またはカチオン性),コレステロールまたはコレステロール誘導体,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン,標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンおよび封入された薬剤または標識された化合物を含むリポソームを含み,ここで,脂質,標的化因子および薬剤成分は本明細書においてさらに詳細に説明されており,リポソームは,誘導化されていないホスファチジルエタノールアミンおよび親水性ポリマー,例えばポリエチレングリコールを含まない。特定の態様においては,ホスファチジルコリンは中性ホスファチジルコリンである。
特定の態様においては,標的化リポソームは,ホスファチジルコリン(例えば,中性,アニオン性またはカチオン性),コレステロールまたはコレステロール誘導体,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン,トランスフェリンで修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンおよび封入された薬剤または標識された化合物を含むリポソームを含み,ここで,脂質成分および薬剤または標識された化合物は本明細書においてさらに詳細に説明されており,リポソームは誘導化されていないホスファチジルエタノールアミンおよび親水性ポリマー,例えばポリエチレングリコールを含まない。特定の態様においては,ホスファチジルコリンは中性ホスファチジルコリンである。
特定の態様においては,標的化リポソームは,ホスファチジルコリン{例えば,中性,アニオン性またはカチオン性),コレステロールまたはコレステロール誘導体,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン,トランスフェリンで修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンおよび封入されたオキザリプラチンを含むリポソームを含み,ここで,脂質成分は本明細書においてさらに詳細に説明されており,リポソームは,誘導化されていないホスファチジルエタノールアミンおよび親水性ポリマー,例えばポリエチレングリコールを含まない。特定の態様においては,ホスファチジルコリンは中性ホスファチジルコリンである。
ある態様においては,本明細書に記載される脂質含有組成物(標的化リポソームおよび空リポソームを含む),およびその処方物はさらに,ホスファチジルグリセロール,スフィンゴシン,セラミド,コレステロール誘導体等をジカルボン酸で誘導化することにより得られる脂質を含むことができる。これらのジカルボン酸−誘導体は,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンについて本明細書に記載されるように,および当業者に知られる製造方法について記載されるようにして,製造することができる。
ある態様においては,本明細書に記載される脂質含有組成物(標的化リポソームおよび空リポソームを含む),およびその処方物は,アニオン性脂質{例えば,ホスファチジルセリン,ホスファチジルイノシトール,ホスファチジルグリセロール等)またはカチオン性脂質{例えば,スフィンゴシン,DOTAP,DOTMA,DC−CHOL等)を含まない。特定の態様においては,組成物はアニオン性脂質を含まず,別の態様においては,組成物はカチオン性脂質を含まない。ある態様においては,組成物はカチオン性およびアニオン性脂質を含まない。
脂質含有組成物のある態様においては,組成物は薬剤を含む。別の態様においては,脂質含有組成物は標識された化合物を含む。
脂質含有組成物のある態様においては,薬剤はオキザリプラチンであり,標的化因子(TF)はトランスフェリン(Tf)であり,脂質成分は,DMPCまたはDSPC,およびコレステロールまたはコレステロール誘導体,およびN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン,およびトランスフェリンで修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンを含み,ここで,トランスフェリンで修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンは,カルボン酸アミド結合によりN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンに結合したトランスフェリンを含む。
ある態様においては,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンおよび標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンはNG−DOPEまたはNG−DSPEである。
特定の態様においては,脂質含有組成物の脂質成分は,DMPC,コレステロール,NG−DOPEおよびTFで修飾されたNG−DOPEである。別の態様においては,脂質成分は,DSPC,コレステロール,NG−DOPEおよびTFで修飾されたNG−DOPEである。さらに別の態様においては,脂質成分は,DMPC,コレステロール,NG−DSPE,およびTFで修飾されたNG−DSPEである。ある別の態様においては,脂質成分は,DSPC,コレステロール,NG−DSPE,およびTFで修飾されたNG−DSPEである。これらの態様のあるものにおいては,標的化因子(TF)はトランスフェリンであり,薬剤はオキザリプラチンである。
特定の態様においては,脂質成分は,DPPC,コレステロール,NG−DOPEおよびTFで修飾されたNG−DOPEである。別の態様においては,脂質成分は,POPC,コレステロール,NG−DOPEおよびTFで修飾されたNG−DOPEである。さらに別の態様においては,脂質成分は,DPPC,コレステロール,NG−DSPE,およびTFで修飾されたNG−DSPEである。ある別の態様においては,脂質成分は,POPC,コレステロール,NG−DSPE,およびTFで修飾されたNG−DSPEである。これらの態様のあるものにおいては,標的化因子(TF)はトランスフェリンであり,薬剤はオキザリプラチンである。
特定の態様においては,脂質成分は,HSPC,コレステロール,NG−DOPEおよびTFで修飾されたNG−DOPEである。別の態様においては,脂質成分は,EPC,コレステロール,NG−DOPEおよびTFで修飾されたNG−DOPEである。さらに別の態様においては,脂質成分は,HSPC,コレステロール,NG−DSPE,およびTFで修飾されたNG−DSPEである。ある別の態様においては,脂質成分は,EPC,コレステロール,NG−DSPE,およびTFで修飾されたNG−DSPEである。これらの態様のあるものにおいては,標的化因子(TF)はトランスフェリンであり,薬剤はオキザリプラチンである。
脂質成分の比率
一般に,出発物質であるNG−DOPEのモルパーセントは,総脂質含量に対して約2.5mole%−約4.5mol%であろう。さらに,出発物質であるNHS−NG−DOPEのモルパーセントは,総脂質含量と比較して約0.5mole%−約2.5mol%であろう。ある態様においては,NG−DOPE対NHS−NG−DOPEの相対的モル比は,約3.4:1である。ある態様においては,NG−DOPE対NHS−NG−DOPEの相対的モル%比は,約4:1である。中性リン脂質および中性脂質が存在する特定の態様においては,(例えば,DMPC:Chol:NG−DOPE:NHS−NG−DOPE)のモル比は,43.0:38.5:3.42:1であり,これはまた,モル%で50:45:4:1と表すことができる。
ある態様においては,追加の脂質対NωPE対SuccNωPE(例えば,少なくとも2つの中性脂質:NωPE:SuccNωPEまたは1またはそれ以上のリン脂質:NωPE:SuccNωPEまたは(1またはそれ以上のリン脂質+中性脂質(s)):NωPE:SuccNωPE)の相対的mol%は,約98mol%−約87mol%の追加の脂質:約1mol%−約12mol%のNωPE:約0.5mol%−約1%のSuccNωPEであることができ,ここで,全成分の合計mol%は100mol%である。例えば,追加の脂質:NωPE:SuccNωPEは,およそ95:4:1,90:9:1,92:7:1,93:6:1等であることができる。
特定の態様においては,追加の脂質がリン脂質および別の脂質,例えばコレステロール,コレステロール誘導体等を含む場合,各脂質成分のmol%の範囲は約30mol%−約64%であり,追加の脂質の合計は約98mol%−約87mol%である。
追加の脂質が2つの異なる中性脂質であるある態様においては,各中性脂質のmol%の範囲は,約30mol%−約64%であり,ここで,中性脂質の総量は約98mol%−約87mol%である。
1つの追加の脂質がホスファチジルコリンであり,第2の追加の脂質がコレステロールまたはコレステロール誘導体である例示的態様においては,ホスファチジルコリンのmol%は約30−約70mol%(例えば,約50−約64mol%,約40−約65mol%,約40−約60mol%,約50−約62mol%,約55−約60mol%,約35−約55mol%,約30mol%,約40mol%,約45mol%,約50mol%,約55mol%,約60mol%,約65mol%,約70mol%)であり,コレステロールまたはコレステロール誘導体のmol%は約30−約60mol%(例えば,約32−約45mol%,約32−約42mol%,約32−約40mol%,約40−約60mol%,約35−約55mol%,約35−約60mol%,約45−約60mol%,約35−約45mol%,約30mol%,約35mol%,約40mol%,約45mol%,約50mol%,約55mol%or約60mol%)である。ある態様においては,ホスファチジルコリンは,約50mol%,約52mol%,約55mol%,約58mol%,約60mol%,約62mol%であり,コレステロールまたはコレステロール誘導体は,約30mol%,約32mol%,約34mol%,約35mol%,約37mol%,約38mol%,約40mol%,約42mol%,約43mol%,約45mol%である。
特定の態様においては,NωPEのmol%は約1−約11mol%,約1−約10mol%,約1−約8mol%,約1−約6mol%,約1−約5mol%,約1−約4mol%,約1−約3mol%,約1−約2mol%,約2−約10mol%,約2−約5mol%,約1mol%,約2mol%,約3mol%,約4mol%,約5mol%,約7mol%,約8mol%,約9mol%約10mol%,約11mol%,または約12mol%である。
ある態様においては,第1の追加の脂質:第2の追加の脂質:NωPE:SuccNωPEの相対的mol%は,例えば,50:45:4:1である。ある態様においては,第1の追加の脂質はホスファチジルコリン(例えば,DMPC,DOPC,DPPC,DSPC等)であり,第2の追加の脂質はコレステロールである。ある態様においては,NωPEのPEはDOPEまたはDSPEである。特定の態様においては,NωPEはNG−DOPEまたはNG−DSPEである。ある態様においては,脂質はDMPC:Chol:NG−DOPE:NHS−NG−DOPEであり,その相対的mol%は50:45:4:1である。別の態様においては,脂質は:Chol:NG−DSPE:NHS−NG−DSPEであり,その相対的mol%は50:45:4:1である。別の態様においては,脂質は:Chol:NG−DSPE:NHS−NG−DSPEであり,その相対的mol%は62:33:4:1である。
ある態様においては,NωPEおよびTF−NωPE(NωPE+TF−NωPE)の合計mol%は,総脂質含有量に対して約2−約13mol%であり,例えば,約2−約12mol%,約2−約10mol%,約2−約8mol%,約2−約6mol%,約2−約4mol%,約2mol%,約3mol%,約4mol%,約5mol%,約6mol%,約7mol%,約8mol%,約9mol%,約10mol%,約11mol%,または約12mol%である。
一般に,TF−NωPEの合計mol%は総脂質含有量に対して約0.002−約0.2mol%である。例えば,ある態様においては,TF−NωPEの合計mol%は,約0.002−約0.15mol%であり,TF−NωPEの合計mol%は,約0.002−約0.1mol%,0.002−約0.05mol%,約0.01−約0.03mol%,約0.005−約0.2mol%,約0.007−約0.2mol%,約0.007−約0.05mol%,約0.01−約0.025mol%,約0.015−約0.025mol%,約0.01−約0.2mol%,約0.02−約0.2mol%,約0.04−約0.2mol%,約0.06−約0.2mol%,約0.08−約0.2mol%,約0.002mol%,約0.008mol%,約0.01mol%,約0.02mol%,約0.03mol%,約0.025mol%,約0.015mol%,約0.06mol%,約0.08mol%,約0.1mol%,約0.15mol%,または約0.2mol%である。
リポソームおよびリポソーム含有組成物の特徴付け
脂質含有組成物を成分の比率(例えば,脂質の比率,薬剤/標識された化合物の脂質に対する比率等)により特徴づけることに加えて,本明細書に記載されるリポソーム含有組成物は,当業者には理解されるように,標準的な分析方法を用いて,例えば,物理化学的特性等により特徴づけることができる。そのような分析方法としては,限定されないが,適当な場合には,平均直径,封入された体積,正味電荷(ゼータ電位),取り込まれた(すなわち封入された)薬剤の量,粒子サイズ,種々の条件下における安定性(例えば,保存中,投与用に調製された場合,インビトロで),浸透圧特性,コンジュゲート化した標的化因子の量等を測定することが挙げられる。そのような特徴決定のための例示的分析方法は,下記ならびに実施例に記載されており,当業者に知られる追加の方法を用いて組成物を特徴づけることができる。
当業者には理解されるように,リポソームの薬剤含有量は,HPLC分析用に確立された方法を用いて,適当な対照を用いて,当該技術分野において日常的に実施されているように,そして実施例に記載されているようにして,測定することができる。適当な対照を用いれば,封入された薬剤の種類もまた,HPLCにより,あるいはある種の薬剤(例えば,白金含有薬剤)については,当業者に実施されているように,ICP−MS(Inductively Coupled Plasma−質量分析)などの分析方法により,決定することができる。
ある態様においては,リポソームまたはリポソーム含有組成物中に封入された薬剤(例えば,オキザリプラチン等)または標識された化合物の量は,リポソーム中約0.1mg/ml−約15mg/mlでありうる。例えば,薬剤濃度は,リポソーム中,約0.5mg/ml−約15mg/ml,約0.5mg/ml−約10mg/ml,約0.1mg/ml−約10mg/ml,約0.5mg/ml−約5mg/ml;約0.5mg/ml−約3mg/ml,約0.5mg/ml−約2mg/ml,約0.5mg/ml−約1.5mg/ml,約0.8mg/ml−約3mg/ml,約0.8mg/ml−約2mg/ml,約0.8mg/ml−約1.5mg/ml,約0.7mg/ml−約3mg/ml,約0.7mg/ml−約2mg/ml,約0.7mg/ml−約1.7mg/ml,約0.7mg/ml−約1.5mg/ml,約0.7mg/ml−約1.4mg/ml,約0.7mg/ml−約1.3mg/ml,約0.5mg/ml,約0.7mg/ml,約0.8mg/ml,約0.9mg/ml,約1mg/ml,約1.1mg/ml,約1.2mg/ml,約1.3mg/ml,約1.4mg/ml,約1.5mg/ml,約1.6mg/ml,約2mg/ml,約3mg/ml,約4mg/ml,約5mg/ml,約6mg/ml,約7mg/ml,約8mg/ml,約9mg/ml,約10mg/mlまたは約15mg/mlであることができる。
リポソームの剪断面における電位はゼータ電位と称される。当業者には知られるように,リポソームのゼータ電位は,適当な装置を用いて,例えば,レーザードップラーマイクロ電気泳動法を用いるELS−6000(Otsuka Electronics,Japan)または他の装置,および当業者に利用可能なプロトコルを用いて,実験的に測定することができる。例えば,J.Colloid and Interface Sci,39,670−675(1972),nition.com/en/products/zeecom_s.htm等。
ある態様においては,本明細書に記載されるリポソーム(標的化リポソームおよびリポソーム含有組成物のリポソームを含む)は,全体として正味負のゼータ電位を示す。ある態様においては,ゼータ電位は約−10mV〜約−200mVである。例えば,約−50mV〜約−150mV,約−50mV〜約−130mV,約−60〜約−120mV,約−50〜約−100mV,約−75mV〜約−90mV,約−80mV〜約−90mV,約−80mV〜約−85mV,約−85mV〜約−90mV,約−75mV〜約−85mV,約−70mV〜約−90mV,約−75mV,約−80mV,約−85mV,約−83mV,約−90mV,約−100mV,約−120mVである。
小さなリポソームは,静脈内注射の後,肝臓類洞の小窩を通過して,急速に肝細胞と接触すると考えられている。中程度のサイズのリポソームは,血液コンパートメント中に保持され,相当な時間循環することができる。しかし,大きなリポソームは肝臓類洞をよりゆっくりと通過し,クッパー細胞に急速に取り込まれる。すなわち,リポソームのサイズはインビボでの挙動を判定するのに非常に重要である。例えば,Liuetat,Biochim.Biophys.Acta(1992)1104(l):95−101;Harashima et al,J.Drug Target.(1995)3(4):253−261;(その全体を本明細書の一部としてここに引用する)等を参照。
リポソームの粒子サイズは,光子相関分光法(PCS;動的光散乱または準弾性光散乱(QELS))を用いて,種々のアルゴリズムを用いることにより,相関関数から求めることができる。これらの手法により求められた粒子サイズは,PCSにより決定される平均直径と同程度である。PCSは,標準偏差およびχ2を用いてサイズ分布を記述する。PCSシステムにおいては,χ2はそのシステムがユニモダール(ガウス分布)であるか,マルチモダール(NICOMP分布)であるかを決定する。平均粒子サイズは,強度重み付け測定値を用いて決定することができ,χ25であればガウス分布から,χ2>5であれば,NICOMP分布の主ピークの平均から求めることができる。そのような分析は,当業者にはよく知られており,適当なハードウエア,例えば,Nicomp QELS Particle Sizer,PSS Model 380 ZLS,S/N0103301;pssnicomp.com/zetaspec.htm.もよく知られている。
リポソーム,特に本明細書に記載される標的化リポソームのある態様においては,リポソームの平均直径は,約50−約275nmである。例えば,リポソームの平均直径は,約50−約200nm,約50−約265nm,約50−約250nm,約50−約225nm,約50−約175nm,約50−約150nm,約50−約120nm,約50−約100nm,約75−約250nm,約75−約200nm,約75−約175nm,約75約150nm,約75−約120nm,約75−約100nm,約90−約100nm,約90−約120nm,約90−約150nm,約90−約200nm,約95−約100nm,約95−約120nm,約95−約125nm,約95−約130nm,約95−約150nm,約95−約175nm,約90nm,約95nm,約100nm,約120nm,約130nm,または約150nmである。特定のリポソーム組成物については,標的化リポソームの直径は同じ成分から形成されるが標的化因子が取り込まれていないリポソームよりおよそ約15−約25nm大きい。
本明細書に記載されるリポソーム(例えば,標的化リポソーム,空リポソーム,リポソーム含有組成物中のリポソーム)はまた,リポソーム中に取り込まれた標的化リガンドの濃度により特徴づけてもよい。選択された標的化リガンドによって,標的化リガンドの量を定量する種々の手段が当業者には明らかである。例えば,実施例に記載されるように,リポソームのトランスフェリン(Tf)含有量は,電気泳動の移動度(例えば,SDS−PAGEにより測定)を用いて,リポソームを適当な対照と比較することにより決定することができる。
簡単には,リポソーム中のトランスフェリン含有量の確認は,リポソームにコンジュゲート化したトランスフェリンについて,含有量および/または同一性の2つのアッセイを用いて評価することができる。まず,SDS−PAGEにより分析したリポソーム中のトランスフェリンの電気泳動の移動度を,精製したコンジュゲート化したトランスフェリン,例えば,TF−NωPEの移動パターンと比較することができる。さらに,コンジュゲート化したトランスフェリンの電気泳動の移動度を遊離トランスフェリン参照標準物質と比較することができる。リポソーム中のトランスフェリンの同一性のさらなる裏付けは,抗トランスフェリン抗体の標的化リポソームへの特異的結合を示すELISA,すなわち実験室等級の処方物を用いて得ることができる。トランスフェリン−標的化リポソームの濃度は,発色蛋白質定量アッセイ,例えばBCA(当業者によく知られるアッセイ)を用いて測定することができる。当業者はまた,本明細書の教示にしたがって,同様の方法ならびに種々の標的化因子の量を決定する当該技術分野において知られる他の方法を理解することができる。
簡単には,リポソーム中のトランスフェリンの量は,ビシンコニン酸(BCA)アッセイ試薬を用いて分析することができる。アルカリ条件下で,蛋白質により銅(II)が還元されて銅(I)となる。生成した銅(I)イオンはBCAと可溶性の強く発色した複合体を形成する。微粒子に結合した蛋白質の総量は,既知の量の微粒子懸濁液とBCA試薬との反応により測定することができる。発色が認められれば,微粒子を濾過により除去し,分光光度計で発色を測定する。
ある態様においては,リポソーム中に取り込まれた標的化リガンドの濃度は,約0.5mg/ml−約5.0mg/ml,約0.5mg/ml−約2.0mg/ml,約1.0mg/ml−約2.0mg/ml,約1.0mg/ml−約3.0mg/ml,約1.0mg/ml−約2.5mg/ml,約1.0mg/ml−約2.0mg/ml,または約1.3mg/ml−約2.5mg/mlである。
トランスフェリンの腫瘍細胞の表面への結合においては,第二鉄イオンの役割が非常に重要である。したがって,Tfを取り込んだ標的化リポソームの第二鉄イオンの含有量は,リポソームを特徴づける別の有意義な方法である。当業者には鉄イオン含有量を測定する多数の方法が知られているが,1つの方法はICP−MSである。
リポソームがトランスフェリンを含む場合,リポソームの第二鉄イオンの含有量は,例えば,約0.25μg/mL−約3μg/mL,0.4μg/mL−約3μg/mL,0.25μg/mL−約2μg/mL,0.25μg/mL−約1.5μg/mL,0.25μg/mL−約1μg/mL,0.4μg/mL−約2μg/mL,0.4μg/mL−約1.5μg/mL,0.5μg/mL−約2μg/mL,約0.5μg/mL−約1.4μg/mL,または約0.5μg/mL−約1.5μg/mLでありうる。
リポソーム(標的化リポソームおよび空リポソームを含む)はまた,所定の温度における浸透圧により特徴づけることができる。所定の温度における浸透圧は糖(スクロース)溶液のモル濃度により異なる。また,これは溶液中の総イオン密度および分子のサイズによっても異なる。通常は,浸透圧は,浸透圧を適当な圧力単位で測定する浸透圧計として知られる装置を用いて測定することができ,これは当業者には理解される。
ある態様においては,リポソーム,特に標的化リポソームおよび空リポソームの室温における浸透圧は,約310−約410mOsm/kgである。例えば,浸透圧は,室温で約約310−約400mOsm/kg,約310−約380mOsm/kg,約320−約360mOsm/kg,約315−約375mOsm/Kg,約320−約375mOsm/Kg,約315−約370mOsm/Kg,約320−約370mOsm/Kg,約360mOsm/Kg,約350mOsm/Kg,約340mOsm/Kg,約370mOsm/Kgまたは約380mOsm/Kgであることができる。
本明細書に記載される種々の条件下で(例えば,保存の条件,投与用の準備および/またはインビトロ条件),浸透圧は,本明細書に記載される種々の条件で,特定の期間にわたってモニターしたときに,約25%未満,約20%未満,約15%未満と様々であり得る。例えば,360+/−50mOsm/kgであることができる。
脂質含有組成物の製造
治療の間に個体に投与することが意図される薬剤および標識された化合物については,3つの主要な要件があり,すなわち,効力,安全性および品質の保証である。証明された効力および安全性にもかかわらず,薬剤を療法において用いることができる能力は,製造および流通の間にその品質(例えば,純度,均一性,用量の再現性,経時安定性等)を一貫して保証することができなければ低下する。薬剤または標識された化合物の製造方法が一貫して高品質の薬剤を確実にしない場合にも,薬剤を投与する個体における有害な反応の可能性が増加する。薬剤または標識された化合物の寿命の全体を通して,製造され流通される製品が,最初に規制機関の認可を受けた製品と同じ水準に合致することが重要である。すなわち,安全な薬剤または標識された化合物製品を製造するためには,高い品質の薬剤または標識された化合物を一貫して製造する能力が必要であり,日常的にかつ容易に製造し精製しうる薬剤または標識された化合物は,商業的および安全性の両方の観点から有益である。例えば,標識された化合物の効力が,特定の診断用方法と組み合わせて特定の疾病または状態の診断において有用でありうる能力を表す場合(例えば,標識された化合物の活性(例えば,ガンマカウンター等により可視化されうる能力))には,これはバッチ間でまたは保存の間に許容されないレベルで弱められない。
以下の記載は,本明細書に記載される組成物を,高品質(例えば,高純度,均一性等)の標的化リポソーム(およびその中間体)および空リポソームを一貫して製造するために用いることができる一般的方法である。これらの方法はまた,図4(製造方法A)および図5(製造方法B)に図示される。
本明細書に記載されるN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンおよびN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルは,リン脂質複合体,例えば,リポソーム,ポリマーミセル,マイクロスフェアおよびナノスフェア,エマルジョンおよび水溶性ポリマーの成分として有用である。これらのPE誘導体の製造は本明細書に記載されており,その製造方法は上述したように当該技術分野において知られている。
特に,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンおよびN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルは,本明細書に記載される脂質含有組成物の成分としても有用である。脂質含有組成物は,本明細書に記載される方法にしたがって製造することができるが,これらの方法の改変は当業者には明らかである。例えば,当業者に知られる種々の方法を用いて,脂質成分からリポソームを形成することができる(例えば,超音波処理,撹拌,押し出し,脱水等)。例えば,米国特許公開2004/0142025(その内容はその全体を本明細書の一部としてここに引用する)を参照。
標的化リポソームを製造するための,本明細書の実施例等に記載される一般的方法の使用は,本明細書に記載される他の脂質含有組成物(例えば,脂質混合物,リポソーム含有組成物,空リポソーム,および中間体リポソーム)を製造する方法も包含する。
製造方法A
製造方法Aは図4に図示される。
A:NωPE:SuccNωPE:追加の脂質混合物(中間体1)の製造
本明細書に記載されるN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステル(SuccNωPE)およびN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン(NωPE)を,追加の脂質((例えば,少なくとも1つのリン脂質(例えば,PC(例えば,DMPC,DSPC等),PI,スフィンゴミエリン,ホスファチジン酸等)および少なくとも1つの他の追加の脂質(例えば,コレステロール))と混合し,次に適当な溶媒(例えば,エタノール,t−BuOH,クロロホルム,イソプロピルエーテル等)に溶解する。溶媒の量は,一般に,1−100v/w(総脂質重量に対して)である。ある態様においては,これは2−20v/wである。
上の段落で記載されるように使用されるSuccNωPEおよびNωPEは,本明細書に記載される方法により,または当業者に知られる方法により,製造し精製することができる。SuccNωPEおよびNωPE,ならびに標的化リポソームおよびその中間体を製造するための本明細書に記載される他の成分は,最終的に,標的化リポソームを個体に投与するための規制ガイドラインを満たし,医薬品安全性試験実施基準(GLP)および医薬品適正製造基準(GMP)のガイドラインにしたがうような,十分な純度および均一性の標的化リポソームを得るのに十分な純度および均一性のものでなければならない。
追加の脂質(1またはそれ以上のリン脂質に加えて)をリン脂質と組み合わせて用いる場合には,リン脂質の他の追加の脂質に対する比率は約2:1である。SuccNoPE誘導体のリン脂質に対する混合比は,(NHS−NGPE+NGPE)対(CHOL+リン脂質)の合計濃度または比率の約1−約12%(1:99−12:88),または約3−6%(3:97−6:94)である。例えば,例示的比率としては,50:45:4:1(例えば,PC:Chol:NG−PE:NHS−NG−PE)が挙げられ,この場合には,例えば,1gの混合物中に17.5mgのNHS−NG−DOPE,63.1mgのNG−DOPE,312mgのCholおよび607mgのリン脂質が含まれる。
B:薬剤:NωPE:SuccNωPE:追加の脂質混合物(中間体2)の製造
次に,工程Aで製造したNωPE:SuccNωPE:追加の脂質混合物を,封入されるべき薬剤または標識された化合物(例えば,抗癌剤(例えば,オキザリプラチン,トポイソメラーゼI阻害剤,ビンカアルカロイド等))を含む水性溶液(例えば,バッファ等)と混合して,薬剤:NωPE:SuccNωPE:中性脂質混合物(中間体2)を得る。
薬剤がオキザリプラチン(l−OHP)である場合,オキザリプラチン溶液の濃度は,約9%スクロース溶液中約8mg/mlである。例えば,標的化リポソーム中のオキザリプラチンの濃度は約0.8mg/mL+/−10%である。
C:薬剤:NωPE:SuccNωPE:追加の脂質リポソーム(中間体3)の製造
次に,工程Bで得られた薬剤:NωPE:SuccNωPE:追加の脂質混合物(中間体2)を超音波処理するかまたは撹拌し,次に,溶媒を蒸発させて,薬剤:NωPE:SuccNωPE:追加の脂質リポソーム(中間体3)を形成する。超音波処理,撹拌および蒸発を行う方法および条件,およびこれらの工程を行うための手段は,当業者にはよく理解されており,さらに実施例にも記載される。例えば,逆相ベシクル(REV)法による製造方法,米国特許4,235,871(その全体を本明細書の一部としてここに引用する)を参照。一般的なリポソーム製造方法,例えば,当業者に知られる単純な水和法およびエタノール注入法を用いてもよい。
次に,上述のようにして形成された薬剤:NωPE:SuccNωPE:追加の脂質リポソームをサイズにより押し出し,薬剤:NωPE:SuccNωPE:追加の脂質リポソームを単離する。任意に,次に限外濾過を用いてリポソーム溶液を濃縮してもよい。
リポソームがl−OHP(薬剤),DMPC(追加の脂質/リン脂質(中性)),コレステロール(CHOL,追加の脂質/中性脂質),N−グルタリル−DOPE(NG−DOPE)およびNHS−NG−DOPEを含有する場合には,約0.2マイクロメートル(200nm)の平均直径を有するリポソームを単離することができる。同様にも,l−OHP(薬剤),DSPC(追加の脂質/リン脂質(中性),コレステロール,N−グルタリル−DSPE(NG−DSPE)およびNHS−NG−DSPEを含有するリポソームについても,サイジングされたリポソームを得ることができる。脂質成分の標的の量の例は,例えば,約40mg/mLのDMPC(追加の脂質/ホスファチジルコリン/リン脂質/中性脂質),約20mg/mLのCHOL(追加の脂質/中性脂質)および約5mg/mLのNG−DOPE(NG−PEとNHS−NG−PEを合わせた量)である。脂質成分の比率の例は,50:45:5(追加の脂質1(例えば,ホスファチジルコリン)):追加の脂質2(例えば,CHOL):NG−PE(例えば,NG−DOPE+NHS−NG−DOPE)である。
D:薬剤:NωPE:TF−NωPE:追加の脂質リポソーム(標的化リポソーム)の製造
次に,工程Cで記載されるようにして形成した薬剤:NωPE:SuccNωPE:追加の脂質リポソームを,選択された標的化因子で機能化して,薬剤:NωPE:TF−NωPE:追加の脂質リポソーム("標的化リポソーム"とも称される)を生成することができる。
標的化因子(TF)の結合(例えば,中間体リポソーム(中間体3)の標的化因子による機能化)は,スクシンイミジル成分と標的化因子との反応によって標的化因子をSuccNωPEに共有結合させることにより行うことができる。適当な反応条件で,リポソームの表面に暴露されたスクシンイミジル基(脂質二重層の外側,薬剤または標識された化合物はリポソームの内部に封入されている)を共有結合的に修飾して,標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン(TF−NωPE)を生成することができる。標的化因子のリポソームへの結合により,薬剤:NωPE:TF−NωPE:追加の脂質リポソーム(標的化リポソーム)が形成される。
より詳細には,適当な条件下で,本明細書に記載されるSuccNωPEのスクシニルカルボキシル成分を機能化する。標的化因子がアミノ基を有する場合には,標的化因子のアミノ基をスクシニルカルボキシル成分と反応させて,カルボン酸アミド結合を形成する。この反応に適した条件は,本明細書の実施例等においてさらに説明され,当業者にはよく理解されるであろう。当業者はまた,標的化因子とリポソームの特定の組み合わせについて,本明細書の教示にしたがって,反応条件を改変して過度の実験を行うことなく条件を最適化することができる。
本明細書に記載され当業者に知られる種々の標的化因子は,市販されているか,または当業者に知られる方法により製造することができる。
例えば,トランスフェリンを標的化因子として選択する場合,トランスフェリンは,精製した蛋白質として,例えば,Celliance Corp.,GA,USAから商業的に入手することができる。トランスフェリンはまた,当該技術分野においてよく知られている組換え方法を用いて(例えば,原核生物細胞(E.coli等)を用いることにより,真核生物細胞(CHO,BHK等)を用いることにより)得ることができる。よく理解されているように,トランスフェリンは,アポ形またはホロ形のいずれかで入手して標的化リポソーム中で使用することができる。あるいは,アポ−トランスフェリンを取り込ませた標的化リポソームをクエン酸第二鉄,塩化鉄(III)等の鉄化合物で処理して,ホロ−トランスフェリン誘導化リポソームを取り込んだ標的化リポソームを製造することができる。
標的化因子としてのトランスフェリンの例示的な量は,例えば,約2mg/mLトランスフェリンである。このような量は,約40mg/mLDMPC,約20mg/mLCHOLおよび約5mg/mLNG−DOPE(NG−PEおよびNHS−NG−PEを合わせた量)を含む例示的標的化リポソームに適しているであろう。
上述のようにしてリポソーム(中間体3)を標的化因子で機能化して標的化リポソームを得た後,当業者に知られる方法を用いて,例えば,本明細書に記載される精製方法,特に工程Cについて上述した方法を用いて,得られたリポソームを任意にさらに精製することができる。
リポソームがl−OHP(薬剤),DMPC,コレステロール(CHOL),N−グルタリル−DOPE(NG−DOPE)およびTf−NG−DOPEを含む場合,約0.05マイクロメートル−約0.2マイクロメートル(約50nm−約200nm)の平均直径を有するリポソームを単離することができる。同様のサイズのリポソームはまた,l−OHP(薬剤),DSPC,コレステロール,N−グルタリル−DSPE(NG−DSPE)およびNHS−NG−DSPEを含むリポソームについて取得することができる。
上述の方法(便宜のために製造方法Aと称する)による標的化リポソームの製造により,高い純度および均一性の標的化リポソームを再現性をもって製造することができる。特に,標的化リポソームは,非NHS出発物質(本明細書に記載される)およびSuccNωPEの生成にともなう副生成物(例えば,アシル化尿素化合物等)を実質的に含まない。特に,リポソーム形成の前にSuccNωPEの製造および精製を行うことにより,NωPEを機能化してSuccNωPEを形成するために用いられるカルボジイミド出発物質(例えば,DCC,EDC等)を実質的に含まないリポソーム(中間体3)および標的化リポソームを得ることができる。先に記載したように,治療または診断の経過において個体に投与することが意図される薬剤および標識された化合物,例えば薬剤または標識された化合物を取り込んだ標的化リポソームは,高い品質のものでなければならない。
任意に,Aに記載される脂質混合物(中間体1)を標的化因子で処理して,TF−NωPEを含有する脂質混合物を形成することができる。さらに,この脂質混合物を水性溶液と混合して,リポソーム含有組成物を形成することができる。最後に,リポソーム含有組成物を処理してリポソーム処方物を生成する。任意に,水性溶液は薬剤または標識された化合物を含むことができる。
別の製造方法(方法B)
製造方法Bを図5に図示する。
A.薬剤:NωPE:追加の脂質リポソームの製造
本明細書に記載される標的化リポソームはまた追加の脂質およびNωPEを適当な溶媒(例えば,エタノール,t−BuOH,クロロホルム,イソプロピルエーテル等)に溶解し,得られた溶液を,薬剤または標識された化合物を任意に含んでいてもよい水性溶液中に分散させ,次に得られた分散液を超音波処理または逆相ベシクル処理してリポソーム(薬剤:NωPE:中性脂質)を形成することにより製造することができる。リポソーム溶液を限外濾過により濃縮してもよい。
非限定的例としては,リポソームは,逆相ベシクル(REV)法(米国特許4,235,871,本明細書の一部としてここに引用する)により製造することができる。もちろん,一般的なリポソーム組成法,例えば,単純水和法およびエタノール注入法も用いることができる。
脂質二重層中にNωPEを安定に保持させるためには,NωPEを製造し精製し,次にNωPEを追加の脂質(例えば,リン脂質,コレステロール等)とともに用いて,当業者に知られる方法にしたがって,リポソームを製造する。
非限定的例として,追加の脂質(例えば,1またはそれ以上のリン脂質(例えば,DSPC,DMPC等),および任意に他の追加の脂質(例えば,コレステロール等)および少なくとも1つのNωPEを一緒に混合し,適当な有機溶媒に溶解させる。
追加の脂質がリン脂質およびコレステロールである場合,リン脂質とコレステロールとの混合比は,例えば,約1:1,例えば,約1.1:1,約1.2:1,約0.9:1(例えば,DMPCおよびコレステロール,50:45(mol%)であることができる。総脂質含量の比率としてのNωPEの含有量は,例えば,リン脂質に対して6%である。次に,得られた溶液を水性バッファ中のオキザリプラチンの溶液と混合する。NωPEは総脂質含量に対して約0.8mol%−約12mol%であることができる。例えば,約1mol%−約10mol%,約1mol%−約8mol%,約1mol%−約6mol%,約1mol%−約5mol%,約1mol%−約4mol%,約1mol%−約3mol%,約1mol%−約2mol%,約2mol%−約12mol%,約2mol%−約10mol%,約3mol%−約8mol%,約1mol%,約2mol%,約3mol%,約4mol%,約5mol%,約6mol%,約8mol%,約10mol%,または約12mol%である。
薬剤または標識された化合物の溶液中の濃度は,本明細書に記載されるとおりであることができ,特に,製造方法Aについて上述されるとおりである。同様に,薬剤または標識された化合物を含む溶液は,本明細書に記載される溶液成分を含む。
この方法により製造される,l−OHP(薬剤),DSPC,コレステロールおよびN−グルタリル−DSPE(NG−DOPE)を取り込んだリポソームを単離して,約0.2μmの平均直径を有するオキザリプラチン含有リポソームを得ることができる(例えば,ゲル濾過により,サイズ排除クロマトグラフィーにより,限外濾過により,超遠心分離により等)。
B.薬剤:SuccNωPE:NωPE:追加の脂質リポソームの製造
工程Aの後に,工程Aで製造したリポソーム(薬剤:NωPE:追加の脂質リポソーム)中に存在するNωPEの一部を機能化して,SuccNωPEを取り込んだリポソーム(すなわち,薬剤:SuccNωPE:NωPE:追加の脂質リポソーム)を取得し,次にこれを修飾してTF−NωPEを形成する。
SuccNωPEを形成するためには,NωPEの末端のカルボキシル基を改変してスクシンイミジル基を形成する。そのような機能化は,SuccNωPEの製造について記載される方法を用いて行うことができる。
例えば,カルボジイミド(例えば,EDC,DCC等)およびN−ヒドロキシスルホスクシンイミド(NHS)をリポソームの存在下で反応させて,薬剤:SuccNωPE:NωPE:追加の脂質リポソームを得る。
C.薬剤:TF−NωPE:NωPE:追加の脂質リポソームの製造
工程Bの後に,工程Bで製造した薬剤:SuccNωPE:NωPE:追加の脂質リポソームを標的化因子と反応させて,薬剤:TF−NωPE:NωPE:追加の脂質リポソームを製造する。方法および反応条件は製造方法Aの工程Dにおいて記載されるとおりである。
製造方法Bにより得られる薬剤:TF−NωPE:NωPE:追加の脂質リポソームは,本明細書に記載され,当業者に知られる方法を用いて,精製および濃縮することができる。
製造方法の比較
製造方法Aは製造方法Bよりいくつかの有利な点を有するが,いずれの方法も薬剤:TF−NωPE:NωPE:追加の脂質リポソーム(標的化リポソーム,任意に薬剤または標識された化合物を含んでいてもよい)を得るために使用することができる。最も注目すべきことには,方法Aにより得られるリポソームは,SuccNωPEの製造に関連する不純物(例えば,非NHS出発物質および/または副生成物)を含まないかまたは実質的に含まない。特に,上述したように,製造方法Aにより製造した標的化リポソームは,例えば,カルボジイミド(例えば,EDC5DCC等),およびアシル化尿素を含まないかまたは実質的に含まないであろう。ある態様においては,SuccNωPEがリポソームの内部に取り込まれていない場合,リポソームまたはリポソーム含有組成物はまた,NHSを含まないかまたは実質的に含まないことができる。さらに,反応のスケールが大きければ大きいほど,製造時間長くなる。製造方法Aの時間は製造方法Bより実質的に短い。
製造方法Bにより製造した薬剤:TF−NωPE:NωPE:追加の脂質リポソームの精製により,そのような不純物の量は減るであろうが,リポソーム(例えば,製造方法Bの工程Bで得られる薬剤:SuccNωPE:NωPE:追加の脂質リポソーム)を精製することは,脂質(例えば,製造方法Aの工程Aの前にSuccNωPEsを製造し精製する)より困難である。SuccNωPEのあるものはリポソームの内側に向いているため(例えば,スクシンイミジルエステル官能基は,脂質二重層の内部に存在し,標的化因子との反応にはアクセス可能ではない),製造方法Aにより製造した標的化リポソームは,その中に取り込まれた残留SuccNωPEをある程度有するであろう。
製造方法Aの別の利点は,製造方法Aを用いた場合には,最終的な薬剤:TF−NωPE:NωPE:追加の脂質リポソーム中のTF−NωPE対NωPEの相対的含有量をより正確に制御しうることである。これらの脂質の相対的含有量は,製造方法Aの工程Aで出発物質として用いるSuccNωPEおよびNωPEの相対的量に直接関連する。したがって,TF修飾SuccNωPEの量も,より正確に制御することができる。
製造方法Bを用いる場合には,NωPE対SuccNωPEの相対的含有量は,方法Bの工程Bの反応の効率に依存する。この反応は,リポソーム中に存在するNωPEの約10%が完了するまで進行すると考えられるが,バッチごとに実験による変動が予測される。低い反応効率は,部分的には,予め形成されたリポソームの立体障害によるものであると考えられる。SuccNωPEが単離されたNωPE(脂質のみ)から形成される場合には,立体障害がはるかに少なく,反応はさらに進んで完了する。また,SuccNωPE(脂質のみの形で)の形成の後に,得られた生成物を反応混合物から精製することができ,このことにより,未反応NωPE,カルボジイミドおよびNHS,ならびに反応の間に形成したかもしれない他の副生成物が除去される。
いずれの方法により形成されたリポソームも,PEGまたは他の親水性ポリマー,例えば,本明細書の発明の背景に記載したものを取り込んだリポソームより均一であるようである(したがって,より再現性の高い薬剤/診断用製品を製造するために用いることができる)。一般に,PEGまたは他の親水性ポリマーを用いて,リポソームの循環時間を増加させると(例えば,リポソームをRESによる取り込みから遮断する),PEGまたは親水性ポリマーそれ自体が広い分布をもつため,これらの使用により,分子サイズの分布を有するリポソームが得られる。この分布は,製造に伴う困難性(例えば,再現性および/または精製)を増加させ,臨床的効力の変動性も増加するかもしれない。方法AまたはBのいずれかにより製造した標的化リポソームは,これらの観点からみて優れているはずである。
別の製造方法
脂質混合物およびリポソーム含有組成物(これらを用いてリポソームを製造することができる)は,製造方法AおよびBの改変法により製造してもよい。例えば,ある態様においては,追加の脂質成分:NωPE:TF−NωPEまたは追加の脂質成分:NωPE:TF−NωPE:薬剤/標識された化合物(ここで,"追加の脂質成分"は,1またはそれ以上のリン脂質(例えば,1またはそれ以上の中性,1またはそれ以上のアニオン性,1またはそれ以上のカチオン性リン脂質または2またはそれ以上の上述のものの組み合わせを表す))を取り込み,さらに任意に本明細書に記載される1またはそれ以上の追加の脂質(例えば,コレステロールまたはその誘導体);または本明細書に記載される少なくとも2つの異なる中性脂質(例えば,少なくとも1つのリン脂質(例えば,PCs(例えば,DMPC,DSPC等),PI,スフィンゴミエリン,ホスファチジン酸等)および少なくとも1つの他の中性脂質(例えば,コレステロール))を含んでいてもよい脂質混合物およびリポソーム含有組成物は,以下に記載される製造方法,ならびに当業者が本明細書の教示を考慮して想定する他の改変法により製造することができる。追加の脂質,NωPE,TF−NωPE,および存在する場合には薬剤または標識された化合物の各成分は,本明細書の全体に記載されたとおりである。同様に,各成分の相対量も本明細書の全体に記載されたとおりである。
ある態様においては,製造方法Bの第1の工程で生成した脂質混合物(追加の脂質およびNωPEを適当な有機溶媒に溶解することにより製造される脂質混合物)は,NHSを取り込むように修飾し,次にTFで修飾して,追加の脂質成分:NωPE:TF−NωPE脂質混合物を生成することができる。次にこの脂質混合物を水性溶液(任意に薬剤または標識された化合物を含んでいてもよい)と混合して,リポソーム含有組成物を形成することができる。あるいは,薬剤または標識された化合物は,リポソーム含有組成物を調製した後に取り込ませてもよい。ある態様においては,水性溶液を含まない薬剤または標識された化合物をNHSおよびTFで修飾した後に形成された脂質混合物に取り込ませて,追加の脂質成分:NωPE:TF−NωPE:薬剤/標識された化合物の脂質混合物を形成することができる。この脂質混合物は,次に水性溶液と混合してリポソーム含有組成物を形成することができる。
ある態様においては,製造方法Bの第1の工程で生成した脂質混合物(追加の脂質成分およびNωPEを適当な溶媒に溶解することにより製造された脂質混合物)を水性溶液と混合して,リポソーム含有組成物(追加の脂質成分:NωPE)を形成することができる。次に,このリポソーム含有組成物を,NHSおよびTFで処理し,次に薬剤または標識された化合物と混合して追加の脂質成分:NωPE:TF−NωPE:薬剤/標識された化合物リポソーム含有組成物を形成することができる。あるいは,追加の脂質成分:NωPEリポソーム含有組成物を薬剤または標識された化合物で処理し,次にNHSで,次にTFで修飾することができる。
ある態様においては,製造方法Bの第1の工程で生成した脂質混合物(追加の脂質成分およびNωPEを適当な溶媒に溶解することにより製造された脂質混合物)を,次に薬剤または標識された化合物(任意に水性溶液を含む)と混合して,脂質混合物(この場合,薬剤または標識された化合物は水性溶液を含まない)またはリポソーム含有組成物を形成することができる。脂質混合物を形成した後,脂質混合物をNHSおよびTFで処理して,追加の脂質成分:NωPE:TF−NωPE:薬剤/標識された化合物脂質混合物を形成することができ,次にこれを水性溶液と混合してリポソーム含有組成物を形成することができる。あるいは,リポソーム含有組成物を形成した後,(例えば,薬剤または標識された化合物を水性溶液中に取り込ませたとき),次にこのリポソーム含有組成物をNHSおよびTFで処理して,この場合にも,追加の脂質成分:NωPE:TF−NωPE:薬剤/標識された化合物リポソーム含有組成物を得ることができる。
さらに別の製造方法である方法Cにおいては,個々の成分を有機溶媒中で同時に混合して,脂質混合物(C−1)(例えば,成分:追加の脂質成分;NωPE;TF−NωPEまたは成分:追加の脂質成分:NωPE:TF−NωPE:薬剤または標識された化合物)を形成し,ここで,TF−NωPEは,混合する前に製造し,任意に精製する。次に,脂質混合物C−1を水性溶液と混合して,リポソーム含有組成物C−2(追加の脂質成分:NωPE:TF−NωPE(任意に薬剤または標識された化合物を含む)を形成することができる。このようにして形成されたリポソーム含有組成物が薬剤または標識された化合物を含まない場合には,リポソーム含有組成物(C2−A)が形成された後に薬剤または標識された化合物を加えることができる。あるいは,水性溶液を含む薬剤または標識された化合物を出発成分として用いる場合には,リポソーム含有組成物は,出発成分をすべて同時に混合することにより形成することができる。
次に,C−2(任意に薬剤または標識された化合物を含む)またはC2−Aを処理して,リポソーム(C−3)を形成する。C−3が薬剤または標識された化合物を含まない場合には,上に記載されるようにリポソームは空リポソームである(例えば,追加の脂質成分:NωPE:TF−NωPEリポソーム)。C−3が薬剤または標識された化合物を含む場合には,リポソームは,本明細書に記載される標的化リポソームである。C−3が空リポソームである場合,上に記載されるように,次の工程で薬剤または標識された化合物を空リポソームに加えて,標的化リポソームを形成することができる。これは,C−3の製造の直後に行ってもよく,後に行ってもよく,この場合にはC−3空リポソームをある時間保存することが含まれる。
さらに別の製造方法である方法Dにおいては,個々の成分を有機溶媒中で同時に混合して脂質混合物(D−1)を形成する(例えば,成分:追加の脂質成分;NωPE;または成分:追加の脂質成分:NωPE:薬剤または標識された化合物)。次に,脂質混合物D−1を水性溶液と混合して,リポソーム含有組成物D−2(追加の脂質成分:NωPE:(任意に薬剤または標識された化合物を含む)を形成することができる。次に,リポソーム含有組成物D−2をTF−NωPEと混合して,リポソーム含有組成物D−3(追加の脂質成分:NωPE:TF−NωPE(任意に薬剤または標識された化合物を含む))を形成し,ここで,TF−NωPEは混合前に製造し任意に精製する。このようにして形成されたリポソーム含有組成物が薬剤または標識された化合物を含まない場合には,リポソーム含有組成物の形成後に薬剤または標識された化合物を加えることができる(D3−A)。あるいは,水性溶液を含む薬剤または標識された化合物を出発成分として用いる場合には,リポソーム含有組成物は,すべての成分を混合する際に同時に形成することができる。
次に,D−3(任意に薬剤または標識された化合物を含む)またはD3−Aを処理してリポソーム(D−4)を形成する。D−4が薬剤または標識された化合物を含まない場合には,リポソームは上で記載されるような空リポソームである(例えば,追加の脂質成分:NωPE:TF−NωPEリポソーム)。D−4が薬剤または標識された化合物を含む場合には,リポソームは本明細書に記載される標的化リポソームである。D−4が空リポソームである場合には,次の工程において,上で記載されるようにして薬剤または標識された化合物を空リポソームに加えて,標的化リポソームを形成することができる。これはD−4の製造の直後に行ってもよく,または後に行ってもよく,この場合にはD−4空リポソームをある時間保存することが含まれる。
製造方法Aにより形成された脂質混合物,リポソーム含有組成物,およびリポソーム(標的化リポソーム,空リポソーム等を含む)と同様に,製造方法Cまたは方法Dにより製造された脂質含有組成物は,出発物質(例えば,TF−NG−PE)が製造方法Cまたは方法Dの最初の工程の前にこれらの物質を実質的に含まない限り,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルの合成に伴う非NHS出発物質,副生成物および/または分解産物(例えば,カルボジイミド(例えば,DCC,EDC等),アシル化尿素化合物等)を実質的にを含まない。SuccNωPEが出発物質として含まれない(したがって,リポソームの内部に取り込まれない)場合には,TF−NωPEを予め形成して出発物質として用いる場合と同様に,リポソームまたはリポソーム含有組成物はまた,NHSを含まないかまたは実質的に含まないことができる。特定の態様においては,製造方法Cまたは方法Dにより製造される脂質含有組成物は実質的にDCCおよびEDCを含まない。ある態様においては,製造方法Cまたは方法Dにより製造される脂質含有組成物は実質的にDCCを含まない。
ある態様においては,追加の脂質成分は,1またはそれ以上のリン脂質(例えば,ホスファチジルコリン等)およびコレステロールまたはコレステロール誘導体を含む。特定の態様においては,ホスファチジルコリンは,本明細書に記載されるように,DMPC,POPC,DSPC等である。ある態様においては,ホスファチジルコリンはDMPCまたはDSPCである。特定の態様においては,追加の脂質はリン脂質およびコレステロールである。ある態様においては,リン脂質は中性リン脂質である。
ある態様においては,追加の脂質成分は少なくとも2つの異なる中性脂質を含み,これには,リン脂質(例えば,ホスファチジルコリン等)およびコレステロールまたはコレステロール誘導体が含まれる。特定の態様においては,ホスファチジルコリンは,本明細書に記載されるようにDMPC,POPC,DSPC等である。ある態様においては,ホスファチジルコリンはDMPCまたはDSPCである。特定の態様においては,少なくとも2つの異なる中性脂質はリン脂質およびコレステロールである。
ある態様においては,NωPEはNG−PEである。特定の態様においては,NωPEはNω−DOPEまたはNω−DSPEである。ある態様においては,NωPEはNG−DOPEまたはNG−DSPEである。
特定の態様においては,TFは,例えば,アシアロ糖蛋白質,葉酸,トランスフェリン等である。ある態様においては,TFはトランスフェリン(Tf)である。ある態様においては,TF−NωPEはTf−NωPE(例えば,Tf−NG−DOPEまたはTf−NG−DSPE)である。
特定の態様においては,薬剤は,例えば,抗癌剤(例えば,オキザリプラチン,トポイソメラーゼI阻害剤,ビンカアルカロイド等)である。別の態様においては,脂質混合物またはリポソーム含有組成物は,標識された化合物を含有する。ある態様においては,脂質混合物またはリポソーム含有組成物は標識された化合物または薬剤を含有しない。
先に記載したように,それぞれの脂質混合物を水性溶液と混合してリポソーム含有組成物を形成することができ,それぞれのリポソーム含有組成物を本明細書に詳細に記載されるようにして処理して,対応するリポソーム(例えば,標的化リポソーム(例えば,薬剤または標識された化合物を取り込んだもの),中間体リポソーム,空リポソーム等)を形成することができる。
本明細書に記載される製造方法の変形法に関しては,NHSによるNωPEの修飾,TFによるNHS−NωPEの修飾,脂質混合物からのリポソーム含有組成物の製造,およびリポソーム含有組成物からのリポソームの製造は,本明細書に提供される教示,特に製造方法AおよびBの詳細な説明および実施例に示される記載があれば,当業者が過度の実験なしに行うことができることが意図される。
医薬処方物
別の観点においては,本発明は,これを必要とする個体の治療または診断のための医薬処方物を提供し,これは,本明細書に記載される脂質含有組成物および1またはそれ以上の薬学的に許容しうる担体,賦形剤,希釈剤,安定化剤,保存剤,または他の不活性成分,例えば,上述したものの組み合わせを含み,これは当業者に知られており,本明細書にさらに記載される。
医薬処方物のある態様においては,脂質含有組成物は本明細書に記載される標的化リポソームである。別の態様においては,脂質含有組成物はリポソーム含有組成物である。ある態様においては,脂質含有組成物は空リポソームである。ある態様においては,組成物は薬剤を含む。別の態様においては,組成物は標識された化合物を含む。
ある態様においては,担体は,滅菌水,バッファ溶液または食塩水,希釈剤の1またはそれ以上,およびこれらの組み合わせを含むことができる。
医薬処方物はさらに,種々の塩,糖,蛋白質,デンプン,ゼラチン,植物油,ポリエチレングリコール等の1またはそれ以上,およびこれらの2またはそれ以上の組み合わせを含んでいてもよい。
本発明のさらに別の観点は,本明細書に記載される組成物およびこれらの処方物の,医薬品の製造,特に,本明細書に記載される状態の治療または診断において用いるための医薬品の製造における使用を含む。さらに,本明細書に種々に記載される活性な組成物およびその処方物はまた,特に記載しない限り本明細書に記載される方法にしたがって病気の治療または診断において用いるための薬剤の製造における使用が意図される。
組成物の使用
投与
上述したように,1つの観点においては,本明細書に記載される薬剤または標識された化合物を含有する脂質含有組成物(例えば,標的化リポソーム,薬剤−/標識された化合物含有リポソーム含有組成物)および医薬処方物を用いて,本明細書に記載される状態を治療または診断する方法が提供される。
1つの態様においては,この方法は,本明細書に記載される状態の治療に向けた治療的アプローチとして実施することができる。すなわち,特定の態様においては,薬剤を含有する脂質含有組成物または医薬処方物は,治療を必要とする個体,例えばヒトにおいて,本明細書に記載される状態を治療するために用いることができる。この方法は一般に,その状態を治療するのに有効な量の本明細書に記載される組成物または処方物を個体に投与することを含む。
別の態様においては,この方法は,本明細書に記載される状態の診断に向けた診断的アプローチとして実施することができる。すなわち,特定の態様においては,標識された化合物を含有する脂質含有組成物または医薬処方物は,診断を必要とする個体,例えばヒトにおいて,本明細書に記載される状態を診断するために用いることができる。この方法は一般に,その状態を診断するのに有効な量の本明細書に記載される組成物または処方物を個体に投与することを含む。そのような投与は一般に,その状態を検出する方法と組み合わせて行われる。
ある態様においては,個体は哺乳動物,例えば,限定されないが,ヒト,ウシ,ウマ,ネコ,イヌ,齧歯類または霊長類である。別の態様においては,個体はヒトである。
"薬学的有効量"または"治療上有効量"との用語は,特定の疾患,状態または疾病,またはその症状の1またはそれ以上を治療するのに,および/または疾病または疾患の発症を予防するのに十分な量の組成物を表す。癌に関しては,薬学的または治療上有効量は,例えば,腫瘍の縮小を引き起こすか腫瘍の成長速度が低下するのに十分な量を表す。
"診断上有効量"または"診断的有効量"または"診断に有効な量"との用語およびこれらの同族語は,特定の疾患,状態または疾病,および/またはその徴候の1またはそれ以上を診断するのに十分な量の組成物を表し,ここで,診断には,疾病の存在の同定,および/または疾病の程度または重篤度の検出が含まれる。例えば,癌に関しては,"診断的有効量"とは,例えば,1またはそれ以上の悪性細胞,腫瘍または癌の他の徴候の存在および/または濃度を検出するのに有効な量を含む。しばしば,診断は,その状態を有しない個体について観察されるベースラインまたはバックグラウンド検出レベルを参照して行われる。バックグラウンドまたはベースラインレベルより高いレベルの検出(上昇したレベルの検出)は,その状態の存在を,または場合によっては重篤度を示す。
治療方法および薬剤含有脂質含有組成物の使用に関して用いる場合,"治療を必要とする個体"とは,治療すべき状態について診断されているかまたは以前に治療している個体である。診断方法および標識された化合物含有組成物の使用に関して,"診断を必要とする個体"は,その状態を有すると疑われる個体,その状態を有するリスクを有する個体(例えば,その状態の家族歴,その状態のリスクを示すライフスタイル因子(例えば,肺癌のリスク因子としての喫煙等)),または以前にその状態であると診断された個体(例えば,診断は,疾病の重篤度(例えば,進行/退縮)の経時的モニタリング,および/または治療との組み合わせを含みうる)でありうる。
ある態様においては,治療または診断すべき状態は癌である。ある態様においては,癌は,胃,結腸,結腸直腸または乳の癌でありうる。ある態様においては,癌は結腸癌である。別の態様においては,癌は乳癌である。さらに別の態様においては,癌は胃癌である。ある態様においては,癌は,膵臓の癌,非小細胞肺癌,小細胞肺癌,脳癌,肝臓癌,腎臓癌,前立腺癌,膀胱癌,卵巣癌,または悪性血液腫瘍(例えば,白血病,リンパ腫,多発性骨髄腫等)である。
薬剤含有組成物,例えば本明細書に記載される処方物は,単独でまたは他の治療モード(例えば,癌補助療法,組み合わせモダリティー治療)と組み合わせて(例えば,前に,同時に,または後に)用いることができる。例えば,他の治療剤(例えば,本明細書に記載され当業者に知られる癌化学療法剤(例えば,アルキル化剤,タキサン,代謝性アンタゴニスト,抗腫瘍抗生物質,植物アルカロイド,ホルモン療法薬剤,分子標的薬等)),外科手術,および/または放射線療法と組み合わせることができる。治療している状態が癌である場合,本明細書に記載される組成物は,本明細書に記載され当該技術分野において知られる他の抗癌剤または細胞毒性化合物の1またはそれ以上,有害な反応および/またはその臨床的発現の発症および/または重篤度を低減する1またはそれ以上の追加の薬剤,外科手術(例えば,腫瘍またはリンパ節の除去等)または放射線照射と組み合わせて投与することができる。外科手術または放射線照射の1またはそれ以上が治療計画の一部である場合には,組成物は,放射線療法または外科手術の前に,同時に,または後に投与することができる。同様に,本明細書に記載される組成物およびその処方物は,1またはそれ以上の抗癌剤を投与する前に,同時に,または後に投与することができる。本明細書に記載される標的化リポソームおよび処方物はまた,状態または治療計画に伴う症状(例えば,嘔吐,脱毛,免疫抑制,下痢,発疹,感覚障害,貧血,倦怠感,口内炎,手足症候群等を低下させる薬剤)を軽減するための薬剤と組み合わせて(例えば,前に,同時に,または後に)投与することができる。標的化リポソームはまた,治療計画の2以上の段階(全範囲を含む)(例えば,外科手術の後,および放射線療法と同時またはその後等)で投与してもよい。
標識された化合物を含有する組成物,例えば,本明細書に記載される処方物は,単独で用いてもよく,治療モード(例えば,癌補助療法,組み合わせモダリティー治療)と組み合わせて(例えば,前に,同時に,または後に)用いてもよい。例えば,組成物は,治療の進行をモニターするために用いることができる。例えば,治療計画の前に,後に,または同時に,治療している状態が検出可能であるか否かを判定することができる(治療方法に関して上述したように)。
ある態様においては,組成物は,外科手術(例えば,腫瘍またはリンパ節の除去等)の前にまたは後に投与される。別の態様においては,組成物は,外科手術の後に,および放射線療法の前に,同時に,または後に投与される。外科手術および/または放射線療法の1またはそれ以上と本明細書に記載される組成物,および任意に追加の1またはそれ以上の化学療法剤の投与との最適な組み合わせは,個体に基づいて,特定の個体に影響を及ぼす種々の因子,例えば本明細書に記載されるものを考慮して,担当医師により決定される。
特定の態様においては,薬剤含有組成物または医薬処方物は,5−フルオロウラシルおよび/またはロイコボリンの一方または両方との組み合わせで投与することができる。別の態様においては,薬剤含有組成物または医薬処方物は,1またはそれ以上の他の抗癌剤,例えば,カペシタビン,UFT/LV(テガフール−ウラシルおよびロイコボリン),イリノテカン,抗EGFR抗体(例えば,セツキシマブ等),抗VEGF抗体(例えば,アバスチン等),チロシンキナーゼ阻害剤(例えば,エルロチニブ)等と組み合わせて投与することができる。このような投与はまた,放射線療法および/または外科手術等の治療計画と組み合わせてもよい。ある態様においては,標的化リポソーム中に封入される薬剤はオキザリプラチンである。
本明細書に記載される使用方法と併せて,本発明の脂質含有組成物または医薬処方物は非経口的に投与してもよい。非経口的投与は,ボーラス注射(IV),注入(IV),腹腔内注射,または局所注射(例えば頭蓋内注射)によって行うことができる。ある態様においては,投与はボーラス注射または連続注入により行う。
連続静脈内注入は,数分間または数時間,例えば,限定されないが,約10分間−約5時間,約15分間−約4時間;約30分間−約4時間;約45分間−約4時間,約60分間−約4時間,約45分間−約3時間,約60分間−約2時間,約90分間−約3時間,約90分間−約2時間,約10分間,約15分間,約20分間,約30分間,約45分間,約50分間,約60分間,80分間,約1.5時間,約2時間,約2.5時間,約3時間,約3.5時間,約4時間,約5時間,約12時間,約24時間,約36時間,または約48時間にわたり投与することができる。
処方物および投与量
上述したように,本明細書に記載される脂質含有組成物および医薬処方物は,本明細書に記載される使用方法と併せて,本明細書に記載される状態の治療または診断のために,これを必要とする個体に投与することができる。
本明細書に記載される脂質含有組成物,特に本明細書に記載される標的化リポソームは,一般に意図される結果を達成するのに有効な量で,例えば,治療している特定の状態を治療または予防するのに有効な量で用いられる。組成物は,治療上の利益を達成するように治療的に投与することができる。治療上の利益とは,患者が依然として基礎疾患に罹患しているとしても,患者が感覚または状態の改善を報告するように,治療している基礎疾患が根絶または改善されるか,および/または基礎疾患に伴う症状の1またはそれ以上が根絶または改善されることを意味する。治療上の利益はまた,改善が実現されるか否かにかかわらず,疾病の進行の停止または遅延をも含む。
ある態様においては,治療している状態が癌である場合,有効量は,腫瘍成長を低下させるのに十分な量である(例えば,治療の前および/または後の平均腫瘍体積の増加率により測定して)。ある態様においては,有効量は,平均腫瘍体積を減少させるのに十分な量である(例えば,治療後の平均腫瘍体積が治療前の平均腫瘍体積より減少している場合)。
有効量の封入される薬剤(例えば,オキザリプラチン)を投与するために投与される組成物の量は,種々の因子,例えば,治療している特定の状態,投与のモード,治療している状態の重篤度,および患者の年齢および体重,組成物の生物利用性,治療を受けている個体が経験する有害な影響等により異なる。有効量の判定は,本明細書に提供される教示を考慮して,十分に当業者の能力の範囲内である。
ある態様においては,特定の時点で投与される封入されたオキザリプラチンの投与量は,約1−約400mg/m/日の範囲内であることができる。例えば,約1−約350mg/m/日,1−約300mg/m/日,1−約250mg/m/日,1−約200mg/m/日,1−約150mg/m/日,1−約100mg/m/日,約5−約80mg/m/日,約5−約70mg/m/日,約5−約60mg/m/日,約5−約50mg/m/日,約5−約40mg/m/日,約5−約20mg/m/日,約10−約80mg/m/日,約10−約70mg/m/日,約10−約60mg/m/日,約10−約50mg/m/日,約10−約40mg/m/日,約10−約20mg/m/日,約20−約40mg/m/日,約20−約50mg/m/日,約20−約90mg/m/日,約30−約80mg/m/日,約40−約90mg/m/日,約40−約100mg/m/日,約80−約150mg/m/日,約80−約140mg/m/日,約80−約135mg/m/日,約80−約130mg/m/日,約80−約120mg/m/日,約85−約140mg/m/日,約85−約135mg/m/日,約85−約135mg/m/日,約85−約130mg/m/日,または約85−約120mg/m/日の範囲内であることができる。特定の時点で投与される投与量はまた,約130mg/m/日,約120mg/m/日,約100mg/m/日,約90mg/m/日,約85mg/m/日,約80mg/m/日,約70mg/m/日,約60mg/m/日,約50mg/m/日,約40mg/m/日,約30mg/m/日,約20mg/m/日,約15mg/m/日,または約10mg/m/日であってもよい。
投与される用量は,本明細書に記載される投与量の範囲より高くても低くてもよく,組成物の生物利用性,有害な副作用に対する個体の耐性,投与のモード,および上述した種々の因子を初めとする因子によって異なる。投与量および投与間隔は,担当医師の判断にしたがって,治療効果を維持するのに十分な組成物の血漿レベルを与えるように個々に調節することができる。当業者は,本明細書に提供される教示を考慮して,過度の実験を行うことなく,有効な局所投与量を最適化することができるであろう。
投与量はまた,当業者には理解されるように,インビボ動物モデルを用いて見積もることができる。
多数回投与量(例えば,連続またはボーラス)の本明細書に記載される組成物をこれを必要とする個体に,数時間,数日,数週,または数月にわたって投与してもよい。例えば,限定されないが,毎日,2日に1回,10日に1回,週に1回,月に1回,週に2回,週に3回,月に2回,月に3回,月に4回,月に5回,2ヶ月に1回,3ヶ月に1回,4ヶ月に1回等。
キット
本明細書に記載される組成物,および組成物を含む医薬処方物を投与するためのキットも提供される。
ある態様においては,キットは,1回投与量(例えば,治療または診断に用いるための)の,本明細書に記載される少なくとも1つの脂質含有組成物,またはその医薬処方物を含むことができる。キットはさらに,適当な包装および/または組成物の使用の指針を含むことができる。キットはまた,組成物,またはその医薬処方物をデリバリーするための手段,例えば,注射用シリンジまたは本明細書に記載され当業者に知られる他のデバイスを含むことができる。
ある態様においては,キットは,1回投与量(例えば,治療または診断に用いるための)の,本明細書に記載される空リポソーム,またはその医薬処方物を含むことができる。キットはさらに,適当な包装および/または組成物の使用の指針を含むことができる。キットはまた,組成物またはその医薬処方物をデリバリーするための手段,例えば,注射用シリンジまたは本明細書に記載され当業者に知られる他のデバイスを含むことができる。さらに,ある態様においては,キットは,空リポソーム中に取り込むべき薬剤または標識された化合物の別々の投与量を含むことができる。
さらに,脂質含有組成物,またはその医薬処方物は,キットの形として組み立てることができる。キットは,脂質含有組成物,またはその医薬処方物および投与用の組成物を調製するための試薬を提供する。組成物は,乾燥または凍結乾燥の形,または溶液,特に滅菌溶液中の形でありうる。組成物が乾燥形である場合,試薬は液体処方物を調製するための薬学的に許容しうる希釈剤を含むことができる。そのような希釈剤としては,当業者に知られるもの,例えば,糖溶液,例えば,デキストロース,スクロース等が挙げられる。ある態様においては,キットは,約1%−約20%,約1%−約18%,約1%−約15%,約1%−約10%,約3%−約10%,約3%−約6%,約1%,約2%,約3%,約4%,約5%,約6%,約7%,約8%,約9%,約10%,約12%,約15%,約18%,または約20%糖の糖溶液を含むことができる。ある態様においては,溶液は,デキストロース溶液(例えば,約1%,約2%,約5%デキストロース等)であることができる。ある態様においては,脂質含有組成物は,例えば,標的化リポソーム,空リポソーム,脂質混合物,またはリポソーム含有組成物(任意に薬剤または標識された化合物を含む)であることができる。
キットはまた,組成物を投与または分配するためのデバイス,例えば,限定されないが,シリンジ,ピペット,または当業者に知られる他のデバイスを含むことができる。湿った形の組成物は,アンプルまたは他の滅菌密封容器,例えば当業者に知られる容器に保存することができる。
キットは,本明細書に記載される化合物と組み合わせて用いるための他の治療用化合物を含むことができる。1つの態様においては,治療用薬剤は,他の抗癌剤である。これらの約ジアは,別々の形で提供されてもよく,または本発明の化合物と混合してもよく,ただし,そのような混合は,追加の治療用薬剤または本明細書に記載される組成物および処方物の有効性を低下させない。同様に,キットは補助療法用の追加の薬剤を含むことができる。例えば,薬剤の有害な作用を低下させる薬剤(例えば,制嘔吐剤,抗脱毛剤,免疫増強剤等)を含むことができる。
キットは,組成物の調製および投与,組成物の副作用,および他の任意の関連する情報のための適当な指針を含む。指針は,任意の適当なフォーマット,例えば,限定されないが,印刷物,ビデオテープ,コンピュータ読み取り可能なディスク,または光学的ディスクの形であることができる。
本発明の別の観点においては,本明細書に記載される状態に罹患しているかまたは罹患しやすい個体を治療するためのキットが提供され,これは,1回投与量の本明細書に記載される脂質含有組成物またはその処方物を含む第1の容器および使用の指針を含む。容器は当業者に知られ,静脈内処方物の保存および運搬に適当な任意の物であることができる。ある態様においては,キットはさらに組成物を個体に投与すべく調製するための薬学的に許容しうる担体,希釈剤,アジュバント等を含む第2の容器を含む。
キットはまた,個体に有効な治療を長期間,例えば,1週間,2週間,3,週間,4週間,6週間,8週間,3か月,4か月,5か月,6か月,7か月,8か月,9か月またはそれ以上提供するのに十分な投与量の本明細書に記載される組成物またはその処方物を含むよう提供することができる。
キットはまた,多数回投与量の脂質含有組成物またはその処方物および使用の指針を含み,薬局,例えば,医院薬局および複合薬局で保存し使用するのに十分な量で包装することができる。
本明細書において参照されるすべての特許,特許出願および刊行物は,その全体を本明細書の一部としてここに引用する。
以下の実施例を参照して本発明をさらに詳細に説明するが,これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
実施例1:オキザリプラチンの細胞毒性試験
オキザリプラチン(l−OHP)溶液は,オキザリプラチンを9%スクロース溶液(スクロース/蒸留水)に8mg/mlの濃度で溶解することにより調製した。細胞の生存率は,市販の細胞毒性アッセイキット(WST−Iキット,Wako Pure Chemical Industries,Ltd.,Japan)を用いて測定した。
AsPC−1細胞(Dr.Hironobu Yanagie,Research Center for Advanced Science and Technology,the University of Tokyo,Japanより供与)を10%FCS(ウシ胎児血清;SIGMA,USA)を補充したRPMI1640培地で培養し,種々の濃度のl−OHP溶液[200x(1/2)(0−10)nM]で,37℃で5%COで48時間処理した。次に,培地を除去し,基質(WST−I,細胞係数キット,Dojindo Laboratories,Japan)を細胞に加え,これを37℃で5%COで2時間インキュベートして,着色生成物を発色させた。発色は,Immuno Mini NJ−2300(Cosmo BioCo.,Ltd.,Japan)を用いて,450nm(参照波長:620nm)の吸収により測定した。
結果を図6に示す。l−OHPの細胞毒性はLD50>8μg/mlであった。
実施例2:細胞表面上のトランスフェリンレセプターの数の決定
実験には,ヒト正常白血球およびヒト悪性腫瘍由来細胞株(K562,MKN45PおよびHL60)を用い,以下の結果を得た。
K562:TKG0210(Cell Resource Center for Biomedical Research,Institute of Department,Aging and Cancer,Tohoku University,Japan);MKN45P(Dr.HisaeIinuma,Teikyo University School of Medicine,Japan);HL60:TKG0345(Cell Resource Center for Biomedical Research,Institute of Department,Aging and Cancer,Tohoku University,Japan)。
各細胞の細胞表面上のTf(トランスフェリン)レセプターの数は,スキャッチャード分析により求めた(Comp.Biochem.Physiol.,116B,137−160(1949),Microsoft Excelを使用)。125I−標識Tf(Na−125I(Perkin Elmer Japan Co.,Ltd.,Japan)の溶液およびh−Tf(T−4132,SIGMA,USA)werecombinedbyヨードゲン法(Biochem.Biophys.Res.Commun.,122,319−325(1984))により組み合わせて,4℃で[300x(1/2)(0−9)nM]の範囲の種々の濃度で各細胞培養物に加え,1時間インキュベートした。
125I−標識Tfの濃度は,ローリー法(J.Biol.Chem.,193,265−270(1951))を用いる蛋白質定量アッセイにより決定し,放射活性はガンマカウンター(Auto Well Gamma System ARC−300,Aloka Co.,Ltd.,Japan)を用いて測定した。簡単には,溶液を遠心分離して細胞を沈殿させ,細胞画分を氷冷PBS(180xg(重力)で3分間洗浄し,これを3回繰り返し,次に,ガンマカウンターで放射活性を測定して,細胞表面に結合したTfの濃度を決定した。細胞の数は,ローリー法(J.Biol.Chem.,193,265−270(1951))を用いる蛋白質定量アッセイにより決定した。
各データ点について,未結合Tfの濃度は,結合したTfの濃度を加えたTfの既知の濃度から差し引くことにより決定した。スキャタードプロットは,結合したTfの濃度を横軸に,結合したTfの濃度対未結合Tfの濃度の比率を縦軸にしてプロットすることにより描いた。結合したTfの数(すなわちレセプターの数)は,Proc.Natl.Acad.Sci USA,802263−2266(1983);J.Cell Physiol,132,492−500(1987);Proc.Natl.Acad.Sci USA,923318−3322(1995);J.Pharm.Sci,84,216−220(1995);Eur.J.Biochem.,186,367−373(1989);J.Biol,Chem.,258,4715−4724(1983)(その全体を本明細書の一部としてここに引用する)に記載されるようにして,グラフのx切片から求めた。
異なる細胞タイプにおける細胞表面に結合した125I−Tfの数を図7に示す。ヒト悪性腫瘍に由来する細胞株の細胞表面上のトランスフェリン(Tf)レセプターの数は,正常白血球におけるより有意に多いことが判明した。
実施例3:NHS−NG−DOPEの製造
重さ200mgのNG−DOPE(Avanti Polar Lipids,Inc.,USA)(Cat.No.870242,MW880.13))を秤量して,2口三角フラスコに入れた。このフラスコに39.2mgのNHS(Sigma,USA,MW=115.09)を加えた。次に,5mLのクロロホルム/酢酸エチル(1:1(v/v),Wako Pure Chemical Industries,Ltd.,Japan)を加え,フラスコを回してNG−DOPEおよびNHSを溶解させ始めた。わずかな濁りが観察された。
最初の混合の後,攪拌棒を加え,フラスコを設定(窒素ガスを満たした風船)して,フラスコの一方の口に窒素ガスを穏やかに吹き込み,ゴム栓で密封した。撹拌棒および撹拌プレートを用いて窒素下での撹拌を行った。他方の口を管で密封した。反応は周囲温度(20−23℃)で行った。混合物を5−10分間撹拌した。液体+NHS反応混合物の20μLのサンプルをTLC対照として取り分けておいた。
別のフラスコ中で,70mgのDCCを5mLの酢酸エチルに溶解することにより,DCC(99%,Aldrich,USA,MW:206.33g/mol)の溶液を調製した。DCCは溶媒中で急速に溶解して,透明な溶液が得られた。次に,このようにして調製したDCC溶液(約5mL)を脂質/NHS反応混合物に10−15分間かけて滴加した。DCCを加えると反応混合物はさらに濁った。
TLCは,対照(脂質/NHS)および脂質/NHS/DCCのアリコートについて,時刻0を参照として以下のようにして行った。サンプルは50μg(20mg/mLを2.5μL)をTLCプレート(アルミニウムシート−シリカゲル60F254,EM Science(Gibbstown,NJ,USA)CatNo.SP05554M)にスポットし,乾燥し,次に展開槽に入れて,ここで溶媒(70%クロロホルム,28%メタノール,2%水)を移動させた。溶媒の先端に印をつけ,次にTLCプレートをモリブデン酸アンモニウム(5%モリブデン酸アンモニウム,10%HSO中)に浸漬し,乾燥機で乾燥させた。
脂質/NHS/DCC反応混合物を窒素気流下で撹拌し,生成物の形成を経時的にモニターした(Rf0.3−0.4)。
18時間後,NHS−NG−DOPEへの変換は完全ではなく,さらにNHS(26mg,2mL酢酸エチル中)およびDCC(47mg,1mL酢酸エチル中)を加えた。反応の進行をT=20hrにTLCで再び調べた。
週末の間,窒素気流中撹拌しながら周囲温度で反応を進行させた(光から保護)。精製前にいくつかの出発物質が残っていた。
精製:反応混合物を氷上で約30分間冷却した。次に,冷却した反応混合物ををブフナー漏斗で濾過し,2x5mLクロロホルムで3回洗浄した。得られた液体をすべて回収し,回転蒸発により乾燥した。蒸発の後,半固体ペーストが得られた。次にペーストを2−3mLのクロロホルムに再懸濁した。
懸濁したペーストを精製するためのシリカゲルは,シリカ(400メッシュ)4g−クロロホルム中で水和−を用いて調製した。シリカゲルは,活栓を有する1cmx28cmカラムに充填した。床のおよそのサイズは1cmx14cmであった。カラムをクロロホルムで平衡化した(重力充填)。
サンプルを平衡化した(ただし乾燥していない)シリカゲルカラムに負荷した。10mLのクロロホルムをカラム(5x2mL)に加えた。5x2mLの画分を回収した。流速は重力の関数であったが,10−20分間で5x10mLの画分を回収し,これを画分1−5と名付けた。
次に,50mLクロロホルム/メタノール(90/10,vol/vol)をカラム(5x10mL)に加えた。5x10mLの画分を回収し,これを画分6−10と名付けた。
画分6−10を回収した後,100mLのクロロホルム/メタノール(5/1(v/v))をカラム(10x10mL)に加えた。追加の10x10mLの画分を回収し,これを画分11−15と名付けた。
画分6−15をTLCで上述したようにアッセイした(5μlのアリコート)。
画分6−15のTLC後,画分7−11をプールし,回転蒸発機を用いて乾燥して薄層とした。蒸発後に得られた最終生成物は,TLCにより判定して,未精製反応生成物に対して,130mg(収率65%)であり,NOF(Japan)から得られた標準物質(NHS−NG−DOPE)と比較した。
実施例4:NHS−NG−DOPEの製造
予め調製し精製したNG−DOPE(200mg)(NOF Corporation,Japan)およびNHS(N−ヒドロキシスルホスクシンイミド;34mg)を秤量し,5mLの2口三角フラスコに入れた。一方の口をゴム栓で密封し,他方の口から撹拌棒を入れた。
次にフラスコを減圧下に置き,窒素ガスを穏やかに流して充填した(3回繰り返し)。次に窒素風船を用いてフラスコを窒素下に保持した。
窒素下に置いた後,2.5mLの乾燥クロロホルムをフラスコに入れ,撹拌棒および撹拌プレートを用いて撹拌した。反応は周囲温度で約30分間行い,渦巻きを用いて出発物質を溶解した。脂質+NHSの20μLのサンプルを,TLC対照/反応のモニタリングにおいて用いるために取り分けた。
2.5mLの乾燥クロロホルムに溶解した61mgのDCC(1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド)の溶液(透明,急速に溶解)を調製した。DCC溶液を脂質/NHS混合物に15分間かけて滴加した。溶液はDCCを加えると濁った。
時間0で,脂質/NHSおよび脂質/NHS/DCCのTLC(70%クロロホルム,30%メタノール,5%水)を行って,50mgのクロロホルムをTLCプレートにスポットし,乾燥させ,次にこれを反応チャンバ(70%クロロホルム,30%メタノール,5%水)中に入れて移動させることにより,反応をモニターした。
反応混合物は,窒素気流下で撹拌を続け,生成物の形成(Rf0.3−0.4)を経時的にモニターした。
反応は,窒素気流および撹拌下で室温で2−3日間進行させた。
次に,反応混合物をブフナー漏斗を通して濾過し,2x5mLのクロロホルムで洗浄した。全溶液を回収し,回転蒸発機で乾燥した。半固体ペーストが得られた。
半固体ペーストを2x3mLのクロロホルムに再懸濁し,次に濾過し,乾燥した。この工程を3回繰り返した。3回の後,最後に生成物を2x3mLクロロホルムに再懸濁した。
シリカゲルカラムは,シリカをクロロホルム中で混合し,次にこれを活栓を有する1cmx28cmのカラムに充填することにより調製した。カラム床のおよそのサイズは1cmx14cmであった。カラムをクロロホルムで平衡化した(重力充填)。
サンプルを,平衡化した(ただし乾燥していない)シリカゲルカラムに負荷した。次に,100mLのクロロホルムをカラムに加え,100mL画分ごとにアリコートを回収した。流速は重力の関数であった(画分1)。
100mLのクロロホルム/メタノール(90/10,vol/vol)をカラムに加えた。100mL画分を回収した(画分2)。
200mLのクロロホルム/メタノール(50/10,vol/vol)をカラム(20x10mL)に加えた。20x10mLの画分を回収した(画分3−23)。
画分1−23を,5mLのアリコートを用いてTLCによりアッセイした。
画分9−22をプールし,回転蒸発機で乾燥して薄層とし,凍結乾燥した。これらの画分からのNHS−NG−DOPEの最終重量は61.9mg(収率27.9%)であった。
実施例5:脂質混合物(NG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CH)の製造
583mgのDMPC(NOF corporation,Japan),299mgのコレステロール(Wako Pure Chemical Industries,Ltd.,Japan)および75.7mgのNG−DOPE(NOF corporation,Japan)を混合し,45−50℃でt−BuOH(10v/wvs.脂質(10mL))に溶解した。
得られた溶液をバイアルに注加し,棚上で−40℃で約8時間凍結させた。これを約0.1mmHgまで減圧し,温度を−40℃から25℃まで段階的に上昇させながら減圧下で2日間保持した。この工程により凍結乾燥した脂質混合物が得られた。
上述で得られた凍結乾燥した脂質混合物の粉体を20mgの粉体Tf−NG−DOPE(実施例29に記載されるようにして製造)と混合し,破砕した。このようにして,脂質混合物の均一粉体が得られ,脂質比は50:45:5(DMPC:Chol:NG−DOPE+Tf−NG−DOPE)であった。
実施例6:リポソーム含有組成物の製造
液体混合物は,先の実施例にしたがって調製し,その成分の詳細は以下のとおりである。
エントリー1:DMPC/Chol/NG−DOPE(155mg/79.4mg/16.1mg)
エントリー2:DMPC/Chol/NG−DOPE(155mg/79.4mg/l6.lmg)
エントリー3:DMPC/Chol/NG−DOPE/NHS−NG−DOPE(l52mg/77.9mg/15.8mg/4.38mg)
エントリー4:DMPC/Chol/NG−DOPE/NHS−NG−DOPE(152mg/77.9mg/15.8mg/4.38mg)
エントリー5:DMPC/Chol/NG−DOPE/Tf−NG−DOPE(148mg/76.0mg/15.4mg/4.8mg)
エントリー6:DMPC/Chol/NG−DOPE/Tf−NG−DOPE(148mg/76.0mg/15.4mg/4.8mg)
エントリー1,3および5をそれぞれ水和させ,300mMの水性スクロース溶液(20v/w対脂質(5mL)(5mLのスクロース溶液(20v/w)を乾燥脂質混合物に加えて撹拌した)とともに40−45℃で30分間撹拌した。エントリー2,4および6をそれぞれ水和させ,l−OHP(300mMスクロース溶液中,8mgl−OHP/mL,20v/w対脂質(5mL))の水性溶液とともに40−45℃で30分間撹拌した。このようにして,リポソーム含有混合物を得た。
リポソームの直径をQELSにより測定し,結果を図8に示す。リポソーム含有混合物中に存在するリポソームは,500−2,000nmの平均直径を有し,約100−10,000nmの広いサイズ分布を有する。
実施例7:オキザリプラチン含有リポソーム(NG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CH)の製造
リポソームの組成は以下のとおりであった:
ジミリストイルホスファチジルコリン(1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン:DMPC)(NOF Corporation,Japan)
コレステロール(CH)(Solvay Pharmaceuticals B.V.,Netherlands)
N−グルタリル−ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(N−グルタリル−1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン,ナトリウム塩:DOPE−CO−(CH−COOH;以下,NG−DOPEと称する)(NOF Corporation,Japan)
Succ−N−グルタリル−ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(N−(スクシンイミジル−グルタリル)−1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン,ナトリウム塩:DOPE−CO−(CH−CO−OSu;以下,NHS−NG−DOPEと称する)(NOF Corporation,Japan)
DMPC:CH:NG−DOPE:NHS−NG−DOPE=50:45:4:1(m/m)。
水性相として,l−OHPの水性溶液(8mg/ml,300mMスクロース溶液中)を用いた。
DMPC,CH,NG−DOPEおよびNHS−NG−DOPEの混合物(モル比50:45:4:1)を4v/w(総脂質重量に対して)の温エタノール/t−ブタノール/水溶媒に溶解した。脂質溶液を約45℃で約8mg/mlのl−OHPを含有する300mMスクロース溶液に注入し,これにより,溶媒の濃度は約14%v/vとなった。
懸濁液を,約200−800psiの圧力下で約45℃で,5片の100nmフィルタ(Cat.No.112105,Whatmanpic,UK)で覆った押し出し機を通した。このようにして,100nm付近の平均直径を有するリポソームを得た。リポソーム直径はQELSを用いて測定した。
6Lのリン酸緩衝化食塩水(pH7.9),6Lのトランスフェリン(Cat.No.4455,Selorogicals,GA,USA)溶液(20mg/ml),および18Lのリポソーム懸濁液を混合し,30℃で15−60分間撹拌した。これにより,4mg/mlのトランスフェリンおよび20mg/mlの脂質を含む反応混合物が得られた。
トランスフェリンの定量分析は,ビシンコニン酸(BCA)アッセイにより,販売元により供給された指針にしたがって行った。
トランスフェリンを取り込んだ後の分子量の増加を,SDS−PAGE(ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動)により調べた。NG−DOPEの分析は,高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により,シリカゲルカラム(YMCPVAシリカカラム,4.6x250mm,5μm)を用いて,蒸発光スキャッタリング検出器(ELSD2000,Alltech,MD,USA)で行った。
実施例8:オキザリプラチン含有リポソーム(NG−DSPE:TF−NG−DSPE:DSPC:CH)の製造
リポソームの組成は以下のとおりである:
ジステアロイルホスファチジルコリン(1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン:DSPC)
コレステロール(CH)
N−グルタリル−ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(N−グルタリル−1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン,ナトリウム塩:DSPE−(CH−COOH;以下,NG−DSPEと称する)
DSPC:CH:NG−DSPE=2:1:0.2(mol/mol)
水性相としては,実施例1に記載されるように,l−OHPの水性溶液(8mg/ml,9%スクロース溶液中)を用いた。
DSPC(MC8080,NOF,Japan),コレステロール(038−03005,Wako Pure Chemical Industries,Ltd.,Japan)およびNG−DSPE(Dr.Kazuo Maruyama,Teikyo University,Faculty of Pharmaceutical Scierces,Japan)の2:1:0.2(m/m)の混合物をクロロホルムおよびイソプロピルエーテルに溶解した。
得られた溶液に,l−OHPの溶液(9%スクロース溶液中)を加え,得られた混合物を約15−30分間超音波処理した。次に溶液を回転蒸発機で60℃で蒸発させて溶媒を除去し,凍結/融解を5回繰り返した。懸濁液を凍結し(ドライアイス/アセトン浴に浸漬することにより),溶解した(放置しぬるま湯に浸漬することにより)。これを5回繰り返した。
次に,得られた生成物を60℃でEXTRUDERフィルタ(400nmで2回,次に100nmで5回),(Lipex(登録商標)Extruder,Model No.T−001,Northern Lipids Inc.,Canada)を用いてサイジングし,超遠心分離した(200,000xg,60分間,約4℃)。沈殿物を9%スクロース溶液またはMESバッファ(pH5.5)(MESバッファ.Cat.No.345−01625,Dojindo Laboratories,Japan)に再懸濁して,l−OHP−封入NG−DSPE:DSPC:CHリポソームを得た。
続いて,l−OHP−封入NG−DSPE:DSPC:CHリポソームをトランスフェリン(Tf)で誘導化した。このようにして得られたl−OHP−封入NG−DSPEリポソームに,1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC;Cat.No.#22980,Pierce Biotechnology,Inc.,USA)(脂質の重量に対して2.7%の量)およびN−ヒドロキシスルホスクシンイミド(S−NHS;038−0432,Wako Pure Chemical Industries,Ltd.,Japan)(脂質の重量に対して7.3%の量)を加え,混合物を室温で10分間放置した。
次に,得られた溶液に,トランスフェリン(Tf)(脂質の重量に対して20%の量;(Cat.No.T4132,SIGMA,USA)を加え,室温で3時間撹拌した。トランスフェリン(Tf)の1mMPBS(リン酸緩衝化食塩水)溶液((総反応混合物の容量に対して20%の量)および1mMPBSを加え(総反応混合物の容量に対して20%の量),得られた溶液を室温で1時間撹拌した。
このようにして得られたアポ形のTf−NG−DSPEリポソームに,10−40当量(トランスフェリンに対して)のクエン酸鉄−クエン酸ナトリウム(Wako Pure Chemical Industries,Ltd.,Japan)を懸濁液に加え,室温で15分間撹拌した。得られた溶液を上述のようにして限外濾過した。次に沈殿物を9%スクロース溶液に再懸濁し,このことによりホロ形のTf−NG−DSPEリポソームを得た。溶液を超遠心分離し(200,000xg,60分間,約4℃),次に沈殿物を9%スクロース溶液に再懸濁した。
トランスフェリンの定量的分析は,ビシンコニン酸(BCA)アッセイを用いて,供給元の指針にしたがって行った(Cat.No.23227,BCA(登録商標)蛋白質アッセイキット,Pierce Biotechnology,Inc.,USA)。
誘導化による分子量の増加は,SDS−PAGE(ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動)により調べた。NG−DSPEの分析は,高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により,蒸発光散乱検出器(ELSD2000,Alltech,MD,USA)を用い,シリカゲルカラム(YMC PVAシリカカラム,4.6x250mm,5/xm)を用いて行った。
実施例9:PEG化オキザリプラチン含有リポソームの製造
実施例8の実験プロトコルにしたがって,DSPC:コレステロール:DSPE−PEG(2K)−OMe:DSPE−PEG(3.4K)−COOHリポソーム(Tf−PEG−リポソーム)を製造した。これらのリポソーム中では,成分の比率は以下のとおりであった:DSPC:コレステロール:DSPE−PEG(2K)−OMe:DSPE−PEG(3.4K)−COOH−2:1:0.16:0.03。
このリポソームは,6モル%のPEG−脂質および1モル%のPEG−COOH−脂質を含んでおり,TfがPEG−COOHを介してリポソームに結合している。
また,実施例8の方法により,Tf/PEG−DSPEリポソーム(Tf/PEG−NG−DSPEリポソーム)を製造した。
これらのリポソームにおいては,成分の比率は以下のとおりであった:DSPC:コレステロール:DSPE−PEG(2K)−OMe:NG−DSPE=2:1:0.16:0.03。
このリポソームをPEGで誘導化し,TfをNG−DSPEを介してリポソームに結合させた。PEG誘導化リポソームは,米国特許公開2003/0224037および2004/0022842(この開示はその全体を本明細書の一部としてここに引用する)に記載される方法によっても製造することができる。
実施例10:空リポソームの調製
DMPC,Chol(Wako Pure Chemical Industries,Ltd.,Japan),NG−DOPE(NOF Corporation,Japan)およびNHS−NG−DOPE(NOF Corporation,Japan)の混合物(モル比50:45:4:1;それぞれ,410gのDMPC,211gのChol,43gのNG−DOPEおよび12gのNHS−NG−DOPE)を,4v/w(対総脂質重量)の温エタノール/t−ブタノール/水溶媒に溶解した。得られた20Lの懸濁液を撹拌しながら45℃でインキュベートし,5枚重ねたポリカーボネートの100nmフィルタ(Cat.No.112105,Whatman plc,UK)で覆った押し出し機(Stevested Machinery & Engineering Ltd.,Canada)を約200−800psiの圧力で約45℃で通した。このようにして,100nm付近の平均直径を有するリポソームを得た。リポソーム直径はQELSにより決定した。
リポソーム懸濁液,PBSバッファ(pH7.9)およびトランスフェリンのPBS溶液(Cat.No.4455,Selorogicals,GA,USA)(pH7.0)を3:1:1(v/v)で混合し,30℃で15−60分間撹拌した。このようにして約6Lの空リポソームを得た。
20g(約19mL)のリポソーム溶液をバイアルに入れ,棚上で−40℃で約8時間凍結した。これを約0.1mmHgに減圧し,温度を2日間かけて−40℃から25℃に段階的に上昇させながら,2日間減圧下に保持した。この工程が完了したとき,約3.5gの凍結乾燥空リポソームが得られた。次に,リポソームを4℃で保存した。
実施例11:予め調製した空リポソームへのオキザリプラチンの封入
l−OHPの水性溶液(8mg/mL,300mMスクロース溶液中)を約3.5gの凍結乾燥した空リポソームに加え,40℃で2時間撹拌することにより再水和させた。撹拌後,SephadexG−25(φ1x45cm)を用いて分画することによりリポソームl−OHPを遊離l−OHPから分離した。リポソームl−OHPおよび遊離l−OHPは,それぞれVIS600nmおよびUV210nmでモニターした。
l−OHPおよびコレステロールの量を測定した。l−OHP濃度は,リポソーム画分が最後に元のコレステロール濃度に凝縮された場合について計算し,リポソームのl−OHP濃度とl−OHPの仕込み濃度を比較することにより,l−OHPの収率を測定した。
リポソーム画分を元のコレステロール濃度に凝縮させた場合の総l−OHP濃度は210μg/mLであった。l−OHPの収率は2.6%であった。
このことは,凍結乾燥空リポソーム中に210μg/mLのl−OHPが封入されたことを示す。
実施例12:血液および臓器中のリポソームレベルの比較
腫瘍担持マウスにおけるl−OHPを封入したTf修飾リポソーム組成物の血液滞留および臓器における蓄積を評価するために,比較実験を行った。5週齢の雄BALB/cマウスを動物モデルとして用い,Colon26細胞(マウス結腸癌由来)を腫瘍細胞として用いた。細胞はLaboratory of Biopharmaceutics,Teikyo University School of Pharmaceutical Sciences,Japanから入手した。
インビトロで培養したColon26細胞(2x10個)をマウス背部の皮下に移植した。直径約8−10mmの腫瘍を有するマウス(平均で8−10日間成長させた後)を結腸癌をもつマウスとして用いた。実施例5および6で製造したリポソームのそれぞれの溶液またはl−OHP(8mg/ml,9%スクロース溶液中)を尾静脈に注入した。それぞれの場合について,オキザリプラチンの濃度は5mgl−OHP/kg体重に調節した。リポソームとしては,Tf−NG−DSPEリポソーム((■);実施例5),Tf/PEG−NG−DSPEリポソーム((○);実施例6)およびTf−PEG−DSPEリポソーム((◆);実施例6)を用いた。
各群について,投与後1,3,6,24,48および72時間の各時点において,3匹のマウスから血液,血漿,肝臓,脾臓,腎臓,心臓,肺および腫瘍組織を回収した。血液,各臓器および腫瘍組織中のPt濃度は原子吸光度(AA)を用いて測定し,l−OHP濃度を計算し,投与量に対する比率(%)として表した。血液中の濃度を図9に示す。
Tf−NG−DSPEリポソームは,Tf−PEG−DSPEリポソームおよびTf/PEG−NG−DSPEリポソームと比較して,投与の3時間後まで実質的に同じ血液滞留を示した。しかし,6時間後,Tf−NG−DSPEリポソームはある程度の血液滞留を示したが,PEGリポソームと比較して血液からより急速に消失した。腫瘍組織における濃度を図10に示す。Tf−NG−DSPEリポソームは,血中で長期間より低い濃度で維持されていたにもかかわらず,Tf−PEG−DSPEリポソームおよびTf/PEG−DSPEリポソームと実質的に同じ腫瘍組織蓄積を示した。
上述の結果から,マウスにおいて有意なレベルまたはそれより高いレベルの十分な濃度の薬剤を腫瘍組織にデリバリーするためには,投与後約6時間の血中での保持時間が必要でありかつ十分であることがわかった。これより長い血中での保持時間は,正常組織に対する有害な影響を引き起こす可能性を増加させかもしれないと考えられる。
実施例13:診断用リポソームの調製および腫瘍組織における 125 Iの蓄積
リポソームを実施例7と同様にして製造したが,ただし,l−OHPの代わりに[125I]−チラミニルイヌリン(PBS溶液中)を用いて,DMPC/CH/NG−DOPE/Tf−NG−DOPE/[125I]−チラミニルイヌリンリポソームを得た。脂質成分も実施例7と同様にして得た。以下に示す成分を有する2つのリポソーム処方物を調製した。リポソームを欠失したTf−NG−DOPEをリポソームの非標的化分布の対照として用いた。
標的化リポソーム:DMPC/CH/NG−DOPE/Tf−NG−DOPE(63.3/31.7/4/1(m/m))
非標的化リポソーム(対照):DMPC/CH/NG−DOPE(63.3/31.7/5(m/m))
Na−125I(Perkin Elmer Japan Co.,Ltd.,Japan)とチラミニルイヌリン(Dr.Kazuo Maruyama,Teikyo University,Faculty of Pharmaceutical Sciences,Japan)とをヨードゲン法(Biochem.Biophys.Res.Commun.,122,319−325(1984),その全体を本明細書の一部としてここに引用する)を用いて組み合わせることにより,チラミニルイヌリンに125Iを結合させた。このようにして,125I−チラミニルイヌリンを得た。次に,実施例7に記載されるようにして,125I−チラミニルイヌリン/PBS(−)溶液を約1mg/mLの濃度でリポソーム中に封入した。
100μlの各リポソーム溶液を,実施例12に記載されるネズミ結腸癌担持マウスの尾静脈に注射した。投与後1,6,24および48時間の各時点において,各群について5匹のマウスから腫瘍組織および尾部を回収した。腫瘍組織の重量を測定し,腫瘍組織および尾部中の放射活性(単位:cpm)をガンマカウンター(Aloka Auto Gamma System ARC−300,Japan)を用いて測定した。結果は,腫瘍組織における分布量(投与量の%/g腫瘍)=[(腫瘍組織におけるカウント値)−(b.g.の値)]x100/[(Std.のカウント値)−(尾部におけるカウント値)]/(腫瘍組織の重量(g))として評価した。125Iの放射活性の半減期は約60日である。
100μlの投与した溶液(標準:Std.)の放射活性を100%と定義し,空の試験管のカウント値をバックグラウンド(b.g.)の値と定義した。結果を図11に示す。図11から明らかなように,Tfで修飾されたリポソームは腫瘍組織への高い蓄積を示したが,一方,非標的化リポソームは高い蓄積を示さなかった。これらの結果は,放射活性化合物を封入したリポソームが腫瘍組織の検出に有用であることを示す。
実施例14:リポソームの抗腫瘍効果の比較
l−OHPを封入したTfで修飾されたリポソーム組成物(実施例9で製造したTf−PEG−リポソーム,実施例8で製造したTf−NG−DSPE:NG−DSPE:DSPC:CHリポソーム,実施例9で製造したTf/PEG−NG−DSPEリポソーム;各群につき9匹のマウス),およびトランスフェリンが結合していない各リポソーム組成物((−)TF;各群につき6匹のマウス)について,結腸癌Colon26担持マウスに対する抗腫瘍効果を評価するために,比較実験を行った。
腫瘍担持マウスは,実施例12と同様にして調製した。対照としては,l−OHPの溶液(8mg/ml,9%スクロース溶液中)を用いた。5mg/kgの投与量のl−OHPを投与した日を開始日とし,4日にl−OHPを5mg/kgの用量で再び投与した。0日の腫瘍のサイズを1とし,サイズをこの開始サイズに基づく比率で表した。第0,2,5,7,10,13,15,18および21日に腫瘍のサイズを測定し,生存日数を調べた。
結果を図12に示す。
図12からわかるように,トランスフェリンを結合したリポソーム組成物は,腫瘍成長に対して阻害的影響を示した。一方,トランスフェリンが結合していないリポソーム組成物は,トランスフェリンが結合しているリポソーム組成物と比較して,より弱い腫瘍成長阻害効果を有していた。図9および10に示される結果から,トランスフェリンが結合しているリポソームが腫瘍成長に及ぼす阻害効果を有し,腫瘍組織に蓄積される薬剤の濃度を有意かつ実質的に同じレベルにするためには,投与後の約6時間の血中保持時間が必要でありかつ十分であることがわかった。これより長い血中保持時間は,正常組織への有害な影響を引き起こす可能性を増大させかもしれないと考えられる。
実施例15:NG−DSPE含有量の最適化
NG−DSPEのリポソーム中の最適ブレンド比を決定するために,抗癌剤が封入されていないNG−DSPEの血液滞留を正常マウスで調べた。抗癌剤を封入していないリポソーム組成物は,実施例8と同様にして,ただし,水性相としてl−OHPの溶液の代わりに水を用いて異なる量のNG−DSPEで調製した。
リポソームを構成する総脂質成分の総モル量を100%と定義し,NG−DSPEの含有量を,NG−DSPEの総脂質成分に対する比率(モル%)で示す。さらに,6モル%のMPB脂質(MPB−DSPE)またはPDP脂質(PDP−DSPE)を構成脂質として含有するリポソームも製造した。MPBリポソームは,マレイミド−フェニルブチレート(MPB)を脂質のエタノールアミンのアミノ基に結合させることによりリポソームを形成し,MPBを介してTfをリポソームに結合させることにより得た(870013(16:0),Avanti Polar Lipids,Inc,USA)。PDP(870205(16:0,Avanti Polar Lipids,Inc,USA)リポソームは,2−ピリジルチオプロピオネート(PDP)を脂質のエタノールアミンのアミノ基に結合させることによりリポソームを形成し,PDPを介してTfをリポソームに結合させることにより得た。
この実験では,105匹のマウス(ICR雄,6週齢)(Tokyo Laboratory Animal ScienceCo.,Ltd.,Japan)を用いた。トレーサーとして,125Iをチラミニル−イヌリン,(実施例13に記載されるようにして製造)に結合させ,このイヌリン溶液を約1mg/mlの濃度でリポソーム中に封入した。各場合について回収した血液および臓器の重量を測定し,リポソームマーカーの放射活性(単位:cpm)をガンマカウンター(Aloka Auto Gamma SystemARC−300,Japan)を用いて測定した。さらに,尾静脈に投与されたそれぞれの溶液(100μl)の放射活性を測定した。投与された溶液100μlの放射活性(標準:Std.)を100%と定義し,各臓器についての値を(投与量の%)をパーセンテージとして表した。総血液量は体重の7.3%と見積もり,血液中のリポソーム量を総血液の量として表した。空の試験管の計数値をバックグラウンド値(b.g.)と定義し,これを各サンプルの計数値から差し引いた。
血液中の分布量(%)=[(血液の計数値)−(b.g.の値)]x(マウスの体重(g))x0.073x100/[(Std.の計数値)−(尾部の計数値)x(血液の重量(g))]
結果を図13に示す。6時間後の血中の濃度に関しては,NG−DSPEリポソームは脂質含有量が3モル%またはそれ以上のとき,高い血中保持率を示す。マレイミド−リポソーム(MPB6%)については,血中保持率は低かった。
実施例16:血中保持率に及ぼすTfおよびジカルボン酸の影響
リポソーム結合トランスフェリンの存在または非存在およびジカルボン酸の種類(例えば,グルタリル,スクシニル等)の影響を調べるため,抗癌剤が封入されていないトランスフェリン結合リポソームの血中保持率を正常マウスで調べた。実験方法は実施例15に記載したものと同じである。
グルタル酸のかわりにコハク酸が結合しているリン脂質を含むリポソームを調製した。
NG−DSPE(グルタル酸)は,以下のようにして調製した。暗所で窒素気流下で,DSPE(ME−8080,NOF Corporation,Japan)をDSPEの10倍容量の脱水クロロホルムに懸濁した。次に,1.3当量のトリエチルアミン(208−02643,Wako Pure Chemical Industries,Ltd.,Japan)を加え,無水グルタル酸(G0071,Tokyo Chemical Industry,Japan)の脱水クロロホルム溶液(DSPEと同じ容量の脱水クロロホルムに溶解)を室温で滴加した。完了後,溶液を撹拌しながら30℃で2時間反応させた。
次に,反応溶液を酢酸バッファ(pH4.5)で3回洗浄し,有機層を硫酸マグネシウムで脱水し,水流アスピレーターを用いる吸引濾過により濾過した。次に,濾液を減圧下で30℃で濃縮した。油状になったとき(DSPEの約2倍の体積),メタノールを加えて結晶を形成させ,次に濾過した。これを再びクロロホルムに溶解し,この工程を2回繰り返した。次に,結晶を減圧下で室温で乾燥して,目的とする生成物を白色結晶として得た。NG−DSPEリポソームは実施例8と同じ方法で製造した。
結果を図14に示す。トランスフェリンがジカルボン酸(NG−DSPE:N−グルタリル−ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン,NS−DSPE:N−スクシニル−ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン)を介して結合しているリポソームは,高い血液滞留を示す。しかし,トランスフェリンがマレイミド(MPB)によりS−S結合を介して結合しているリポソームの場合には,同じリガンドであるトランスフェリンが結合しているにもかかわらず,血液滞留が低かった。
実施例17:リポソームの電気泳動分析
リポソームを特性決定するための分析法の1つの例として,電気泳動の例を示す。リポソームを2.5%のSDSおよび5%の2−メルカプトエタノールを含むサンプルバッファに溶解し,95℃で5分間変性させた。約7.5%−10%のポリアクリルアミドゲル(Funakoshi,Easygel(II),プレキャストゲル,Japan)を用いて,5μlの各サンプルをゲルに負荷し,20mAの定電流で1−2時間電気泳動した。
電気泳動後,銀染色キット(Wako Pure Chemical Industries,Silver Staining II Kit Wako,Japan)を用いてゲルを銀染色した。以下のリポソームについての結果を図15に示す:レーン6(トランスフェリン−N−グルタリル−ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン−リポソーム(Tf−NG−DSPEリポソーム));レーン5(トランスフェリン−ポリエチレングリコール−ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン−リポソーム(Tf−PEG−DSPEリポソーム))が示されている。レーン1−4は,それぞれh−apo−Tf(240ng),h−apo−Tf(120ng),h−apo−Tf(60ng),h−apo−Tf(30ng)を含む。
比較例であるTf−PEG−DSPEリポソームの場合には,ポリエチレングリコールはある程度の分子量分布を有するため,いくつかのバンドを有する複雑な電気泳動画像が現れる。Tf−NG−DSPEリポソームの場合には,単一のバンドが現れ,これははるかに容易に分析することができ,リポソームの精製が促進される。これらの結果は,本発明にしたがうリポソーム組成物については,PEG誘導化リポソーム組成物についてよりも,分析的アッセイ法が簡単であることを示す。
実施例18:遊離PEがリポソーム組成物に及ぼす影響
リポソーム中の遊離ホスファチジルエタノールアミン(非NG−PE)の存在の影響を調べるために,Tf−NG−DSPEリポソームおよびジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)(NGは存在しない)を加えることにより調製したリポソームについてTfの結合能力を測定した。Tf−NG−DSPEリポソームはDSPC(64部),CH(32部)およびNG−DSPE(4部)から,Tf−NG−DSPE+DSPEリポソームはDSPC(64部),CH(32部),NG−DSPE(4部)およびDSPE(10部)から,実施例8と同様にして調製した。
次に,10当量のNHSおよびECD/HClおよび0.05当量のTfを用いてTfをNG−DSPEに結合させた。次に,1mgの脂質に相当する量のリポソームサンプルをSDS−PAGEにより分離し,実施例17に記載されるようにして銀染色によりバンドを可視化した。
結果を図16に示す。10%モルのDSPEを加えたNG−DSPE+DSPEリポソームの場合には,非NG−DSPEを含まないNG−DSPEリポソームと比較して,結合したTfの量は有意に少なかったことが見いだされた。これは,TfがNG−DSPEのカルボキシル基に結合する反応においてTfのアミノ基とDSPEのアミノ基とが互いに競合したためであると考えられる。
実施例19:血液および臓器におけるリポソームレベルの比較
実施例12に記載されるプロトコルを用いて,血液および腫瘍におけるNG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CH(Tf−NG−DOPE:NG−DOPE)リポソーム(実施例7と同様にして調製)およびTf−PEG−DSPEリポソーム(実施例9と同様にして調製)のレベルを比較した。結果は,血中に滞留したリポソームの量を図17に,腫瘍中で検出されたリポソームの量を図18に示す。
図17および18の結果は,Tf−NG−DOPE:NG−DOPEリポソームはTf−PEG−DSPEリポソームより血液中の蓄積が少ないが(図17),より多くの量のオキザリプラチンを腫瘍にデリバリーすることができることを示す(図18)。リポソームの血液中の蓄積が少ないことにより,オキザリプラチンの有害な全身的影響が低下すると考えられる。
実施例20:Colon26腫瘍担持マウスにおけるリポソーム抗腫瘍効果の比較
実施例14に記載されるプロトコルを用いて,NG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CHリポソーム(実施例7と同様にして調製)およびTf−PEG−DSPEリポソーム(実施例9と同様にして調製)がマウスにおけるColon26腫瘍に与える影響を比較した。結果を図19に示す。
図19に示されるように,リポソームは両方ともオキザリプラチン溶液と比較して腫瘍成長の阻害を示したが,実施例19に記載したように,NG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPCrCHの血液(血漿)中のの蓄積が少ないことは,これらのリポソームがこれを投与した個体においてより許容されることを意味すると考えられる。
実施例21:異種移植片HCT−116Colon腫瘍モデルに対するリポソームの抗腫瘍効果
皮下に移植したHCT−116ヒト結腸腫瘍異種移植片に対して投与されたときのNG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CHリポソーム(実施例7におけるようにして製造)の抗腫瘍効力を調べた。試験は,Southern Research Institute,AL,USAにおいて,雄無胸腺NCr−nuマウス(02/A/08F17T9,Frederick Cancer Research and Development Center,MD,USA;50mice)を用いて行い,溶液中のオキザリプラチンを参照化合物として用いた。NG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CHリポソームの抗腫瘍活性を図20にまとめる。
NG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CHリポソームを,4日ごとに4回,(q4dx4),15および10mg/kg/注射の容量で静脈内(i.v.)に投与した。オキザリプラチンは15mg/kg/注射の投与量で同じスケジュールで投与した。ベヒクル(約10.3%スクロース)および空リポソーム対照群も同じスケジュールで注射した。
NG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CHリポソームで4日ごとに処置した後のHCT−116結腸腫瘍モデルの平均腫瘍体積は,15mg/kg群については対照腫瘍体積の28.9%,10mg/kg群については対照腫瘍体積の35.9%であった。また,HCT−116モデルにおいてNG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CHリポソームの抗腫瘍活性を非リポソームオキザリプラチンと比較した。NG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CHリポソームは,4日ごとに(4x)15mg/kgで投与したときに,相対的腫瘍体積について,より高い効力を示した(対照腫瘍体積の28.9%)。15mg/kgで4日ごとに(4x)投与した非リポソームオキザリプラチンでは,対照腫瘍体積の39.3%であった。
実施例22:異種移植片HT−29結腸腫瘍モデルに対するリポソームの抗腫瘍効果
NG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CHリポソーム(実施例7と同様に製造)を,皮下に移植したHT−29ヒト結腸腫瘍異種移植片に対して投与したときの抗腫瘍効力を調べた。試験はPanapharm LaboratoriesCo.,Ltd.,Japanで,雌無胸腺BALB/c AJcl−nuマウス(CLEA Japan,Inc.,Japan;50マウス)で行い,結果を図21にまとめる。4匹のマウスの群に,NG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CHリポソームを,6.7,10または15mg/kgの投与量で,またはベヒクル対照を投与した。ベヒクルおよび6.7および10mg/kg処置群は,10,14および19日に注射し,15mg/kg処置群には10および14日に注射した。
NG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CHリポソームによる処置の後のHT−29結腸腫瘍モデルの平均腫瘍体積は,6.7mg/kg群では対照腫瘍体積の66.3%,10mg/kg群では対照腫瘍体積の39.5%であった(p値<0.01)。
実施例23:異種移植片MKN45胃腫瘍モデルに対するリポソームの抗腫瘍効果
皮下に移植したMKN45ヒト胃腫瘍異種移植片に対して投与したときのNG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CHリポソーム(実施例7と同様に製造)
の抗腫瘍効力を調べた。実験は,Panapharm Laboratories Co.,Ltd.,Japanで行い,雄無胸腺BALB/cAJcl−nuマウス(CLEA Japan,Inc.,Japan;50マウス)で試験し,これを図22にまとめる。
4匹のマウスの群にNG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CHリポソームを,6.7,10または15mg/kgの投与量で,またはベヒクル対照を投与した。ベヒクルおよび6.7および10mg/kg処置群には,7,12および24日に注射し,15mg/kg処置群には,7および24日に投与した。NG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CHリポソームで処置した後のMKN45胃腫瘍モデルの平均腫瘍体積は,6.7mg/kg群については対照腫瘍体積の65.4%(p値0.05),10mg/kg群については対照腫瘍体積の49.6%(p値0.01),15mg/kg群については対照腫瘍体積の48.5%(p値0.01;17日ごとにデリバリー)であった。
実施例24:異種移植片COLO205結腸腫瘍に対するリポソームの抗腫瘍効果
皮下に移植したCOLO205ヒト結腸腫瘍異種移植片に対して投与したときのNG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CHリポソーム(実施例7と同様に製造)の抗腫瘍効力を調べた。実験は,Southern Research Institute,AL,USAで行い,雄無胸腺NCr−nuマウス(01/A/09F3T8,Federic Cander Research and Development Center,MD,USA)で,参照化合物として溶液中のオキザリプラチンを用いて試験し,これを図23にまとめる。
40匹のマウスに,NG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CHリポソームを,4日ごとに3回の注射(q4dx3)で,10および5mg/kg/注射の投与量で,静脈内注射により投与した。オキザリプラチンは,5mg/kg/注射の投与量で同じスケジュールで投与した。対照群には,同じスケジュールで注射した。進行癌については,全ての群について,47日に再治療を始めた。
NG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CHリポソームを2日ごとに2回,15および10mg/kg/注射の投与量で投与し,その後,それぞれ4および2mg/kg/注射の投与量で2日ごとに6回の注射により処置した。オキザリプラチンは,同じスケジュールで,10および2mg/kg/注射の投与量で投与した。対照群は同じスケジュールで処置した。
NG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CHリポソームを最初に10および5mg/kgの投与量で投与し,続いて先に治療した腫瘍の進行癌をNG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CHリポソームで,15および10mg/kgの投与量で,続いてNG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CHリポソームを4および2mg/kgの投与量で,種々の治療スケジュールを用いて処置したときのCOLO205結腸腫瘍モデルの平均腫瘍体積は,対照腫瘍体積の53.2%−69.5%(p値0.05または0.01)であった。
実施例25:標的化リポソームへのオキザリプラチンの封入
実施例7と同様にして製造したNG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CH(Tf−NG−DOPE:NG−DOPE)リポソーム中に封入されたオキザリプラチンの比率を測定するために,以下の方法を用いた。
封入の程度は,サンプルのアリコートを3,000MWCO(分子量カットオフ)スピンカラム(30K MWCOセルロース限外濾過膜カラム,Cat.No.42410,MilliporeCorp.,USA)に通し,溶出物中のオキザリプラチン濃度をHPLCを用いて希釈リン酸水溶液(pH3.0)中1%アセトニトリルのアイソクラチック溶出で測定することにより決定した。
膜濾過後にHPLC分析でオキザリプラチンのレベルを決定して,封入されていない(遊離)薬剤のレベルを定量した。実施例7と同様に製造した3バッチの捕集効率は98%より高かった(表1を参照)。
実施例26:標的化リポソームのpH
標的化リポソームのpHは,本発明のリポソームを蒸留水に加え,標準的なpHメータで下記のようにして測定することができる。
NG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CHリポソーム(実施例7と同様に製造)のpHは,pHメーター(VWR Model8000)で,Ag/AgClゲル充填電極で測定した。4ロットのリポソームのpH値は,pH7.17−7.23の範囲であり,下記の表2に示す。
種々のpHにおけるリポソームの外観を表3にまとめる。これらの結果は,低いpHは凝集,堆積および沈殿を引き起こすことを示し,これはNG−DOPEおよびTfのプロトン化,続く二重層の凝集およびトランスフェリンの変性によるものであろう。
実施例27:コンジュゲートしたトランスフェリンの同定および標的化リポソーム中のトランスフェリンのSDS−PAGEパターン
この実験は,実施例7で製造したNG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CHリポソーム中のNG−DOPEへのトランスフェリンのコンジュゲーションを確認するために行った。トランスフェリンをNG−DOPEとコンジュゲート化すると,複合体はこの方法でコンジュゲート化してないトランスフェリンより高い分子量を示す。
リポソームを溶解し,2.5%のSDSおよび5%の2−メルカプトエタノールを含むサンプルバッファ中で95℃で5分間変性させた。次にこのサンプルを5−10%勾配ポリアクリルアミドゲルに負荷し,SDSの存在下で電気泳動した。移動した蛋白質バンドは,ブリリアントブルーG−コロイド(B2025,SIGMA5USA)を用いて可視化した。
リポソーム中のトランスフェリンはNG−DOPEとコンジュゲート化させたトランスフェリンとして検出し,これは無傷のトランスフェリンより高い分子量を示した(図24を参照)。より低い分子量を有する小さいバンドが遊離トランスフェリンとして検出された。
SDS−PAGEにおける遊離トランスフェリン対NG−DOPEとコンジュゲート化したトランスフェリンの比率(図24)は,Scion Imageソフトウエア(www.microsoft.com.DirectXで自由に入手可能)を用いてピークの面積として計算した。NG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CHリポソームの総Tf中の遊離Tfの比率は約4.7%であった。
実施例28:浸透圧の分析
所定の温度における浸透圧は,スクロースおよび塩,例えば塩化ナトリウムおよびリン酸バッファによって異なる。これは溶質には依存しないが,総イオン密度および溶液中の分子のサイズに依存する。通常は,浸透圧は,浸透圧計として知られる,適当な圧力単位で浸透圧を測定する装置を用いて測定することができる。
実施例7において調製したNG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CHリポソームの室温における浸透圧を,浸透圧計(Vapro Vapor Pressure Osmometer Model 5520,Wescor,Inc.,USA)を用いて測定した。リポソームの3つの調製物の浸透圧の値は,表4に示されるように,360−370mOsm/kgであった。
実施例29:Tf−NG−DOPEの単離
900mLのEtOHを100mLの空リポソーム(DMPC/Chol/NG−DOPE/Tf−NG−DOPE)(実施例10で製造,凍結乾燥前)に加え,完全に撹拌した。次に,混合物を遠心分離して(9,000rpm,10分間,20℃;CFl6RX,Hitachi Koki Co.,Ltd.,Japan),ペレットを得た。
次に,これに100mLのEtOHを加え,完全に撹拌した。混合物を再び遠心分離し(9,000rpm,10分間,200C;CF16RX,Hitachi Koki Co.,Ltd.,Japan),灰白色(淡橙色)ペレットを得た。この洗浄工程をさらに1回繰り返した。
上で得られたペレットをNガスで30分間乾燥させた。次に,乾燥した物質を10mLの蒸留水に溶解し,滅菌フィルタ(0.22μm)(Millipore Corp.,USA)を通した。
濾液をバイアルに入れ,棚上で−40℃で約8時間凍結した。サンプルを約0.1mmHgに減圧し,温度を−40℃から25℃まで段階的に上昇させながら2日間減圧下で保持した。このようにして,約444mgのTf−NG−DOPE(約45%のトランスフェリン含有量の空リポソーム)を得た。
実施例30:Tf−NG−DSPEの調製
200μLのNHS(Wako Pure Chemical Industries,Ltd.,Japan)水性溶液(0.1mol/L),200μLのEDC(N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩)(Tokyo Chemical IndustryCo.,Ltd.,Japan)の水性溶液(0.25mol/L)および2%(w/v)のOG(n−オクチル−D−グルコピラノシド)(Wako Pure Chemical Industries,Ltd.,Japan)を含む1mLのNG−DSPE溶液(2mmol/L)を,50mmol/LのMESバッファ(pH5.5)中で混合し,10分間撹拌した。
SephadexG−15カラム(1.5cmx20cm,50mmol/LHEPESバッファ(pH8.0)中0.1%(w/v)のOG,GE HealthcareB io−Sciences Corp.,USA)によりSurplus試薬を除去し,約1mL/チューブに分画した。
5mLの1%トランスフェリン(Sigma,USA)水性溶液を,NG−DSPEを含む画分に滴加し,4℃で20時間穏やかに撹拌した。各画分はMS判定により同定した。
次に,反応生成物をTOYOPEARL HW−55Sカラム(1.5cmx45cm,0.9%NaCl,Tosoh Bioscience LLC,USA)で約1.7mL/チューブに分画した。Tf−NG−DSPEは,質量分析(MALDI−TOF/MS)およびSDS−PAGEとCBB染色(Coomasie Brilliant Blue,Wako Pure Chemical Industries,Ltd.,Japan)により評価した。
図1は,標的化リポソームの略図を示す。 図2は,標的化リポソームを用いる腫瘍細胞の活性薬剤ターゲティングの略図を示す。 図3は,オキザリプラチンを含む標的化リポソームの提唱される作用モードの略図を示す。 図4は,標的化リポソームの製造プロセスAの概略図を示す。 図5は,標的化リポソームの製造プロセスBの概略図を示す。 図6は,種々のオキザリプラチン濃度におけるオキザリプラチンのAsPC−1細胞に対する細胞毒性を示す。 図7は,正常白血球および腫瘍由来細胞株の細胞表面に存在するトランスフェリンレセプターの数を示す。 図8Aは,リポソーム含有混合物のサイズ分布の結果を示す。 図8Bは,リポソーム含有混合物のサイズ分布の結果を示す。 図8Cは,リポソーム含有混合物のサイズ分布の結果を示す。 図8Dは,リポソーム含有混合物のサイズ分布の結果を示す。 図8Eは,リポソーム含有混合物のサイズ分布の結果を示す。 図8Fは,リポソーム含有混合物のサイズ分布の結果を示す。 図9は,血中のリポソームの濃度を示す。 図10は,癌組織におけるリポソームの濃度を示す。 図11は,NG−PEリポソームの静脈内注射後の腫瘍組織における蓄積を示す。 図12は,腫瘍成長に及ぼすリポソームの阻害効果を示す。 図13は,血液中で検出された薬剤用量のパーセントに及ぼすNG−PE(NG−DSPE)の種々の濃度の影響を示す。 図14は,リポソームの血液滞留を示す。 図15は,電気泳動によるリポソームの例示的分析を示す。 図16は,Tf−NG−DSPEリポソームに結合したトランスフェリンの量を示す。 図17は,血中のオキザリプラチンの蓄積を示す。 図18は,Colon26腫瘍中のオキザリプラチンの蓄積を示す。 図19は,Colon26腫瘍担持マウスにおけるG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CHリポソームの抗腫瘍効果を示す。 図20は,HCT−116ヒト結腸腫瘍異種移植片担持マウスにおけるNG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CHリポソームの抗腫瘍効果を示す。 図21は,HT−29ヒト結腸腫瘍異種移植片担持マウスにおけるNG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CHリポソームの抗腫瘍効果を示す。 図22は,MKN45胃ヒト腫瘍異種移植片担持マウスにおけるNG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CHリポソームの抗腫瘍効果を示す。 図23は,COLO205ヒト腫瘍異種移植片担持マウスにおけるNG−DOPE:Tf−NG−DOPE:DMPC:CHリポソームの抗腫瘍効果を示す。 図24は,2−メルカプトエタノールで還元した後のSDS−PAGEのパターンを示す。 図25は,システムに適合した例示的HPLCクロマトグラムを示す。

Claims (254)

  1. 1またはそれ以上のリン脂質,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン,標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン,封入されている薬剤または標識された化合物,および任意に少なくとも1つの追加の脂質を含む標的化リポソームであって,
    ここで,標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンは,第2のN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンに連結された標的化リガンドを含み;および
    N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンは式1:
    で表され,第2のN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンは式3:
    [式中,R,R,RおよびRは,それぞれ独立して,アシル基であり,および
    mおよびpは,独立して,1−10の整数である]
    で表され;および,
    リポソームは誘導化されていないホスファチジルエタノールアミンまたはポリエチレングリコールを含まず,かつ標的化リガンドは無傷の抗体ではない,
    ことを特徴とする標的化リポソーム。
  2. 少なくとも1つの追加の脂質が存在する,請求項1記載の標的化リポソーム。
  3. 少なくとも1つの追加の脂質が,コレステロールまたはコレステロール誘導体である,請求項2記載の標的化リポソーム。
  4. 1またはそれ以上のリン脂質は,ホスファチジルコリン,ホスファチジン酸,ホスファチジルセリンおよびホスファチジルグリセロールからなる群より選択される,請求項1記載の標的化リポソーム。
  5. 1またはそれ以上のリン脂質は中性リン脂質である,請求項1記載の標的化リポソーム。
  6. 1またはそれ以上のリン脂質はホスファチジルコリンである,請求項1記載の標的化リポソーム。
  7. ホスファチジルコリンは飽和脂肪酸の成分を含む,請求項6記載の標的化リポソーム。
  8. 1またはそれ以上のリン脂質は,DMPC,DSPC,POPCまたはDPPCである,請求項6記載の標的化リポソーム。
  9. 少なくとも1つの追加の脂質が存在する,請求項7記載の標的化リポソーム。
  10. 少なくとも1つの追加の脂質は,コレステロールまたはコレステロール誘導体である,請求項9記載の標的化リポソーム。
  11. リポソームは,DMPCおよびコレステロール,DSPCおよびコレステロール,POPCおよびコレステロール,またはDPPCおよびコレステロールを含む,請求項10記載の標的化リポソーム。
  12. リポソームはDMPCおよびコレステロールを含む,請求項10記載の標的化リポソーム。
  13. 標的化リガンドは,トランスフェリン,葉酸,ヒアルロン酸,糖鎖,およびモノクローナル抗体のフラグメントからなる群より選択される,請求項1記載の標的化リポソーム。
  14. 標的化リガンドは,トランスフェリン,葉酸,ヒアルロン酸および糖鎖からなる群より選択される,請求項13記載の標的化リポソーム。
  15. 標的化リガンドはトランスフェリンである,請求項14記載の標的化リポソーム。
  16. トランスフェリンはホロ形でありアポ形ではない,請求項15記載の標的化リポソーム。
  17. リポソームの平均直径が約50nm−約250nmである,請求項1記載の標的化リポソーム。
  18. ,R,RおよびRは,オレオイルまたはステアロイルであり,およびmおよびpは3である,請求項1記載の標的化リポソーム。
  19. 1またはそれ以上のリン脂質は,DMPCまたはDSPCであり,および少なくとも1つの追加の脂質が存在し,これはコレステロールである,請求項18記載の標的化リポソーム。
  20. mおよびpはそれぞれ独立して,2−4の整数である,請求項1記載の標的化リポソーム。
  21. mおよびpは等しく,2−4の整数である,請求項1記載の標的化リポソーム。
  22. mおよびpは等しく,3である,請求項21記載の標的化リポソーム。
  23. ,R,RおよびRは,それぞれ独立して,オレオイル,ステアロイル,パルミトイルまたはミリストイルである,請求項1記載の標的化リポソーム。
  24. とRは同じであり,RとRは同じである,請求項1記載の標的化リポソーム。
  25. ,R,RおよびRは同じである,請求項1記載の標的化リポソーム。
  26. 標的化リガンドはトランスフェリンである,請求項18記載の標的化リポソーム。
  27. 薬剤が存在する,請求項26記載の標的化リポソーム。
  28. 薬剤はオキザリプラチンである,請求項27記載の標的化リポソーム。
  29. 少なくとも1つの追加の脂質が存在し,これはコレステロールである,請求項28記載の標的化リポソーム。
  30. 標識された化合物が存在する,請求項26記載の標的化リポソーム。
  31. 薬剤は抗癌剤である,請求項1記載の標的化リポソーム。
  32. 薬剤は細胞毒性薬剤である,請求項1記載の標的化リポソーム。
  33. 薬剤はトポイソメラーゼI阻害剤である,請求項1記載の標的化リポソーム。
  34. トポイソメラーゼI阻害剤はトポテカンまたはイリノテカンである,請求項33記載の標的化リポソーム。
  35. 薬剤はビンカアルカロイドである,請求項1記載の標的化リポソーム。
  36. ビンカアルカロイドは,ビンクリスチン,ビンブラスチン,ビンレウロシン,ビンロジシン,ビノレルビンまたはビンデシンである,請求項35記載の標的化リポソーム。
  37. 薬剤は核酸である,請求項1記載の標的化リポソーム。
  38. 核酸は,アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはリボザイムである,請求項37記載の標的化リポソーム。
  39. 薬剤は白金化合物である,請求項1記載の標的化リポソーム。
  40. 白金化合物は,ビプラチン,シスプラチン,カルボプラチン,オルマプラチン,オキザリプラチン,ゼニプラチン,エンロプラチン,ロバプラチンまたはスピロプラチンである,請求項39記載の標的化リポソーム。
  41. 白金化合物はオキザリプラチンである,請求項40記載の標的化リポソーム。
  42. ,R,RおよびRはオレオイルであり,mおよびpは3であり,標的化リガンドはトランスフェリンであり,1またはそれ以上のリン脂質はDMPCであり,および少なくとも1つの追加の脂質が存在しこれはコレステロールである,請求項41記載の標的化リポソーム。
  43. 薬剤はアルキル化剤である,請求項1記載の標的化リポソーム。
  44. 薬剤はタキサンである,請求項1記載の標的化リポソーム。
  45. 薬剤は代謝性アンタゴニストである,請求項1記載の標的化リポソーム。
  46. 薬剤は抗腫瘍抗生物質である,請求項1記載の標的化リポソーム。
  47. 薬剤はホルモン療法薬剤である,請求項1記載の標的化リポソーム。
  48. 薬剤は分子標的薬である,請求項1記載の標的化リポソーム。
  49. オキザリプラチンは,トレハロース,マルトース,スクロース,マンノース,ラクトース,マンニトール,グリセロールおよびデキストロースからなる群より選択される糖の水性溶液に溶解されている,請求項41記載の標的化リポソーム。
  50. 糖は,約1−約20%パーセント糖(v/v)の濃度である,請求項49記載の標的化リポソーム。
  51. リポソーム中のオキザリプラチンの濃度は,約0.1mg/ml−約25mg/mlである,請求項41記載の標的化リポソーム。
  52. トランスフェリンはホロ形である,請求項15記載の標的化リポソーム。
  53. リポソームはカチオン性脂質を含まない,請求項1記載の標的化リポソーム。
  54. リポソームはアニオン性脂質を含まない,請求項1記載の標的化リポソーム。
  55. 請求項1記載の標的化リポソームを製造する方法であって,
    a)1またはそれ以上のリン脂質,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン,標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン,および,任意に少なくとも1つの追加の脂質を混合して脂質混合物を形成し;
    b)工程(a)で形成された脂質混合物に薬剤または標識された化合物を加え;そして
    c)リポソームを形成する
    の各工程を含む方法。
  56. さらに,工程(c)のリポソームを精製する工程(d)を含む,請求項55記載の方法。
  57. 工程(b)の薬剤が混合前に水性溶液中にある,請求項55記載の方法。
  58. 工程(c)は超音波処理または撹拌を含む,請求項55記載の方法。
  59. 工程(c)は押し出しを含む,請求項55記載の方法。
  60. 請求項1記載の標的化リポソームを製造する方法であって,
    a)1またはそれ以上のリン脂質,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステル,および,任意に少なくとも1つの追加の脂質を混合して脂質混合物を形成し,
    ここで,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルは式2:
    [式中,RおよびRは,それぞれ独立して,アシル基であり,nは,独立して,1−10の整数である]
    で表され;
    b)工程(a)で形成された脂質混合物に薬剤または標識された化合物を加え;
    c)リポソームを形成し;そして
    d)N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルに標的化リガンドを連結させる,
    の各工程を含む方法。
  61. さらに工程(d)のリポソームを精製する工程(e)を含む,請求項60記載の方法。
  62. 工程(b)における薬剤は混合前に水性溶液中にある,請求項60記載の方法。
  63. 工程(c)は超音波処理または撹拌を含む,請求項60記載の方法。
  64. 工程(c)は押し出しを含む,請求項60記載の方法。
  65. 癌を治療する方法であって,
    a)請求項1記載の標的化リポソームを癌を治療するのに有効な量で治療を必要とする個体に投与することを含み,ここで,標的化リポソームは薬剤を含み,および薬剤は抗癌剤であることを特徴とする方法。
  66. 診断方法であって,
    a)請求項1記載の標的化リポソームを検出に有効な量で診断を必要とする個体に投与し,ここで,標的化リポソームは標識された化合物を含み;そして
    b)標識された化合物を検出する,
    の各工程を含む方法。
  67. 請求項1記載の標的化リポソーム,および1またはそれ以上の薬学的に許容しうる担体,賦形剤,希釈剤,安定化剤,または保存剤を含む医薬処方物。
  68. トランスフェリンで修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンであって,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンは式3:
    [式中,RおよびRは,それぞれ独立して,アシル基であり,およびpは1−10の整数である]
    で表され,
    およびトランスフェリンはN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンに連結されていることを特徴とする,トランスフェリンで修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン。
  69. pは2−4の整数である,請求項68記載のトランスフェリンで修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン。
  70. pは3である,請求項69記載のトランスフェリンで修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン。
  71. およびRは,それぞれ独立して,オレオイル,ステアロイル,パルミトイルまたはミリストイルである,請求項69記載のトランスフェリンで修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン。
  72. およびRは同じである,請求項69記載のトランスフェリンで修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン。
  73. およびRはオレオイルまたはステアロイルである,請求項69記載のトランスフェリンで修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン。
  74. およびRはオレオイルまたはステアロイルであり,pは3である,請求項69記載のトランスフェリンで修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン。
  75. 請求項69または74記載のトランスフェリンで修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン,および1またはそれ以上の薬学的に許容しうる担体,賦形剤,希釈剤,安定化剤,または保存剤を含む医薬処方物。
  76. 1またはそれ以上のリン脂質,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン,標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン,および,任意に少なくとも1つの追加の脂質を含む空リポソームであって,
    ここで,標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンは,第2のN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンに連結された標的化リガンドを含み;および
    N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンは式1:
    で表され,および
    第2のN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンは式3:
    [式中,R,R,RおよびRは,それぞれ独立してアシル基であり,mおよびpは,独立して,1−10の整数である]
    で表され;および,
    リポソームは誘導化されていないホスファチジルエタノールアミンまたはポリエチレングリコールを含まず,および標的化リガンドは無傷の抗体ではない,
    ことを特徴とする空リポソーム。
  77. 少なくとも1つの追加の脂質が存在する,請求項76記載の空リポソーム。
  78. 少なくとも1つの追加の脂質はコレステロールまたはコレステロール誘導体である,請求項77記載の空リポソーム。
  79. 1またはそれ以上のリン脂質は,ホスファチジルコリン,ホスファチジン酸,ホスファチジルセリンおよびホスファチジルグリセロールからなる群より選択される,請求項76記載の空リポソーム。
  80. 1またはそれ以上のリン脂質は中性リン脂質である,請求項76記載の空リポソーム。
  81. 1またはそれ以上のリン脂質はホスファチジルコリンである,請求項76記載の空リポソーム。
  82. ホスファチジルコリンは飽和脂肪酸の成分を含む,請求項81記載の空リポソーム。
  83. 1またはそれ以上のリン脂質はDMPC,DSPC,POPCまたはDPPCである,請求項81記載の空リポソーム。
  84. リポソームは少なくとも1つの追加の脂質を含む,請求項83記載の空リポソーム。
  85. 少なくとも1つの追加の脂質はコレステロールまたはコレステロール誘導体である,請求項84記載の空リポソーム。
  86. 混合物は,DMPCおよびコレステロール,DSPCおよびコレステロール,POPCおよびコレステロール,またはDPPCおよびコレステロールを含む,請求項85記載の空リポソーム。
  87. 混合物はDMPCおよびコレステロールを含む,請求項86記載の空リポソーム。
  88. 標的化リガンドは,トランスフェリン,葉酸,ヒアルロン酸,糖鎖,およびモノクローナル抗体のフラグメントからなる群より選択される,請求項76記載の空リポソーム。
  89. 標的化リガンドは,トランスフェリン,葉酸,ヒアルロン酸および糖鎖からなる群より選択される,請求項88記載の空リポソーム。
  90. 標的化リガンドはトランスフェリンである,請求項89記載の空リポソーム。
  91. 標的化リガンドはトランスフェリンである,請求項88記載の空リポソーム。
  92. トランスフェリンはホロ形でありアポ形ではない,請求項90記載の空リポソーム。
  93. リポソームの平均直径は約50nm−約250nmである,請求項76記載の空リポソーム。
  94. ,R,RおよびRはオレオイルまたはステアロイルであり,およびmおよびpは3である,請求項76記載の空リポソーム。
  95. 1またはそれ以上のリン脂質はDMPCまたはDSPCであり,および少なくとも1つの追加の脂質が存在しこれはコレステロールである,請求項94記載の空リポソーム。
  96. mおよびpは,それぞれ独立して,2−4の整数である,請求項76記載の空リポソーム。
  97. mおよびpは等しく,2−4の整数である,請求項76記載の空リポソーム。
  98. mおよびpは等しく,3である,請求項97記載の空リポソーム。
  99. ,R,RおよびRは,それぞれ独立して,オレオイル,ステアロイル,パルミトイルまたはミリストイルである,請求項76記載の空リポソーム。
  100. とRは同じであり,およびRとRは同じである,請求項76記載の空リポソーム。
  101. ,R,RおよびRは同じである,請求項76記載の空リポソーム。
  102. ,R,RおよびRはオレオイルである,請求項94記載の空リポソーム。
  103. 標的化リガンドはトランスフェリンである,請求項94記載の空リポソーム。
  104. トランスフェリンはホロ形である,請求項103記載の空リポソーム。
  105. リポソームはカチオン性脂質を含まない,請求項76記載の空リポソーム。
  106. リポソームはアニオン性脂質を含まない,請求項76記載の空リポソーム。
  107. 請求項76記載の空リポソームを製造する方法であって,
    a)1またはそれ以上のリン脂質,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン,標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン,および,任意に少なくとも1つの追加の脂質を混合して脂質混合物を形成し;そして
    b)リポソームを形成する,
    の各工程を含む方法。
  108. さらに,工程(b)のリポソームを精製する工程(c)を含む,請求項107記載の方法。
  109. 工程(b)は超音波処理または撹拌を含む,請求項107記載の方法。
  110. 工程(b)は押し出しを含む,請求項107記載の方法。
  111. 請求項76記載の空リポソームを製造する方法であって,
    a)1またはそれ以上のリン脂質,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン,およびN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステル,および,任意に少なくとも1つの追加の脂質を混合して脂質混合物を形成し,
    ここで,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルは式2:
    [式中,RおよびRは,それぞれ独立してアシル基であり,nは,独立して,1−10の整数である]
    で表され;
    b)リポソームを形成し;そして
    c)N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルに標的化リガンドを連結させて,標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンを形成する,
    の各工程を含む方法。
  112. さらに,工程(c)のリポソームを精製する工程(d)を含む,請求項111記載の方法。
  113. 工程(b)は超音波処理または撹拌を含む,請求項111記載の方法。
  114. 工程(b)は押し出しを含む,請求項111記載の方法。
  115. 標的化リガンドはトランスフェリンである,請求項111記載の方法。
  116. 治療用リポソームを製造する方法であって,
    a)請求項76記載の空リポソーム中に薬剤を封入する,
    の工程を含む方法。
  117. 診断用リポソームを製造する方法であって,
    a)請求項76記載の空リポソーム中に標識された化合物を封入する,
    の工程を含む方法。
  118. 治療用リポソームを製造する方法であって,
    a)請求項87記載の空リポソーム中に薬剤を封入する,
    の工程を含む方法。
  119. 診断用リポソームを製造する方法であって,
    a)請求項87記載の空リポソーム中に標識された化合物を封入する,
    の工程を含む方法。
  120. 請求項76記載の空リポソーム,および1またはそれ以上の薬学的に許容しうる担体,賦形剤,希釈剤,安定化剤,または保存剤を含む医薬処方物。
  121. 1またはそれ以上のリン脂質,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステル,および,任意に,少なくとも1つの追加の脂質の混合物を含む脂質混合物であって,
    N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンは式1:
    で表され,
    N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルは式2:
    [式中,R,R,RおよびRは,それぞれ独立して,アシル基であり,mおよびnは,独立して,1−10の整数である]
    で表され;および,
    混合物は誘導化されていないホスファチジルエタノールアミンまたはポリエチレングリコールを含まない,
    ことを特徴とする脂質混合物。
  122. 少なくとも1つの追加の脂質が存在する,請求項121記載の脂質混合物。
  123. 少なくとも1つの追加の脂質はコレステロールまたはコレステロール誘導体である,請求項122記載の脂質混合物。
  124. 1またはそれ以上のリン脂質は,ホスファチジルコリン,ホスファチジン酸,ホスファチジルセリンおよびホスファチジルグリセロールからなる群より選択される,請求項121記載の脂質混合物。
  125. 1またはそれ以上のリン脂質は中性リン脂質である,請求項121記載の脂質混合物。
  126. 1またはそれ以上のリン脂質はホスファチジルコリンである,請求項124記載の脂質混合物。
  127. 1またはそれ以上のリン脂質は,DMPC,DSPC,POPCまたはDPPCである,請求項126記載の脂質混合物。
  128. 少なくとも1つの追加の脂質が存在する,請求項126記載の脂質混合物。
  129. 少なくとも1つの追加の脂質はコレステロールまたはコレステロール誘導体である,請求項128記載の脂質混合物。
  130. 混合物は,DMPCおよびコレステロール,DSPCおよびコレステロール,POPCおよびコレステロール,またはDPPCおよびコレステロールを含む,請求項129記載の脂質混合物。
  131. 混合物はDMPCおよびコレステロールを含む,請求項130記載の脂質混合物。
  132. mおよびnは,それぞれ独立して,2−4の整数である,請求項121記載の脂質混合物。
  133. mおよびnは等しく,2−4の整数である,請求項121記載の脂質混合物。
  134. mおよびnは等しく,3である,請求項133記載の脂質混合物。
  135. ,R,RおよびRは,それぞれ独立して,オレオイル,ステアロイル,パルミトイルまたはミリストイルである,請求項121記載の脂質混合物。
  136. とRは同じであり,RとRは同じである,請求項121記載の脂質混合物。
  137. ,R,RおよびRは同じである,請求項121記載の脂質混合物。
  138. ,R,RおよびRはオレオイルまたはステアロイルである,請求項137記載の脂質混合物。
  139. mおよびnは3であり,1またはそれ以上のリン脂質はDMPCまたはDSPCであり,少なくとも1つの追加の脂質が存在しこれはコレステロールである,請求項138記載の脂質混合物。
  140. 1またはそれ以上のリン脂質,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン,標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン,および,任意に少なくとも1つの追加の脂質の混合物を含む脂質混合物であって,
    N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンは式1:
    で表され,
    標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンは第2のN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンに連結された標的化リガンドを含み;および
    第2のN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンは式3:
    [式中,R,R,RおよびRは,それぞれ独立してアシル基であり,mおよびpは,独立して,1−10の整数である]
    で表され;および,
    混合物は誘導化されていないホスファチジルエタノールアミンまたはポリエチレングリコールを含まず,および標的化リガンドは無傷の抗体ではない,
    ことを特徴とする脂質混合物。
  141. 少なくとも1つの追加の脂質が存在する,請求項140記載の脂質混合物。
  142. 少なくとも1つの追加の脂質はコレステロールまたはコレステロール誘導体である,請求項141記載の脂質混合物。
  143. 1またはそれ以上のリン脂質は,ホスファチジルコリン,ホスファチジン酸,ホスファチジルセリンおよびホスファチジルグリセロールからなる群より選択される,請求項140記載の脂質混合物。
  144. 1またはそれ以上のリン脂質は中性リン脂質である,請求項140記載の脂質混合物。
  145. 1またはそれ以上のリン脂質はホスファチジルコリンである,請求項143記載の脂質混合物。
  146. 1またはそれ以上のリン脂質は,DMPC,DSPC,POPCまたはDPPCである,請求項145記載の脂質混合物。
  147. 少なくとも1つの追加の脂質が存在する,請求項145記載の脂質混合物。
  148. 少なくとも1つの追加の脂質はコレステロールまたはコレステロール誘導体である,請求項147記載の脂質混合物。
  149. 混合物は,DMPCおよびコレステロール,DSPCおよびコレステロール,POPCおよびコレステロール,またはDPPCおよびコレステロールを含む,請求項148記載の脂質混合物。
  150. 混合物はDMPCおよびコレステロールを含む,請求項149記載の脂質混合物。
  151. mおよびpは,それぞれ独立して,2−4の整数である,請求項140記載の脂質混合物。
  152. mおよびpは等しく,2−4の整数である,請求項140記載の脂質混合物。
  153. mおよびpは等しく,3である,請求項152記載の脂質混合物。
  154. ,R,RおよびRは,それぞれ独立して,オレオイル,ステアロイル,パルミトイルまたはミリストイルである,請求項140記載の脂質混合物。
  155. とRは同じであり,RおよびRは同じである,請求項140記載の脂質混合物。
  156. ,R,RおよびRは同じである,請求項140記載の脂質混合物。
  157. ,R,RおよびRはオレオイルまたはステアロイルである,請求項156記載の脂質混合物。
  158. 標的化リガンドは,トランスフェリン,葉酸,ヒアルロン酸,糖鎖,およびモノクローナル抗体のフラグメントからなる群より選択される,請求項140記載の脂質混合物。
  159. 標的化リガンドは,トランスフェリン,葉酸,ヒアルロン酸および糖鎖からなる群より選択される,請求項158記載の脂質混合物。
  160. 標的化リガンドはトランスフェリンである,請求項159記載の脂質混合物。
  161. トランスフェリンはホロ形であってアポ形ではない,請求項160記載の脂質混合物。
  162. ,R,RおよびRはオレオイルまたはステアロイルであり,mおよびpは3であり,1またはそれ以上のリン脂質はDMPCまたはDSPCであり,少なくとも1つの追加の脂質はコレステロールであり,および標的化リガンドはトランスフェリンである,請求項141記載の脂質混合物。
  163. 請求項121記載の脂質混合物を製造する方法であって,1またはそれ以上のリン脂質,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンおよびN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルを混合する,の工程を含む方法。
  164. 請求項122記載の脂質混合物を製造する方法であって,1またはそれ以上のリン脂質,少なくとも1つの追加の脂質,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンおよびN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルを混合する,の工程を含む方法。
  165. 請求項140記載の脂質混合物を製造する方法であって,1またはそれ以上のリン脂質,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンおよび標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンを混合する,の工程を含む方法。
  166. 請求項141記載の脂質混合物を製造する方法であって,1またはそれ以上のリン脂質,少なくとも1つの追加の脂質,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンおよび標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンを混合する,の工程を含む方法。
  167. 1またはそれ以上のリン脂質,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステル,および,任意に少なくとも1つの追加の脂質を含むリポソームを含むリポソーム含有組成物であって,
    ここで,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンは式1:
    で表され,
    N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルは式2:
    [式中,R,R,RおよびRは,それぞれ独立してアシル基であり,mおよびnは,独立して,1−10の整数である]
    で表され;および,
    組成物は誘導化されていないホスファチジルエタノールアミンまたはポリエチレングリコールを含まない,
    ことを特徴とするリポソーム含有組成物。
  168. 少なくとも1つの追加の脂質が存在する,請求項167記載のリポソーム含有組成物。
  169. 少なくとも1つの追加の脂質はコレステロールまたはコレステロール誘導体である,請求項168記載のリポソーム含有組成物。
  170. 1またはそれ以上のリン脂質は,ホスファチジルコリン,ホスファチジン酸,ホスファチジルセリンおよびホスファチジルグリセロールからなる群より選択される,請求項167記載のリポソーム含有組成物。
  171. 1またはそれ以上のリン脂質は中性リン脂質である,請求項167記載のリポソーム含有組成物。
  172. 1またはそれ以上のリン脂質はホスファチジルコリンである,請求項170記載のリポソーム含有組成物。
  173. 1またはそれ以上のリン脂質は,DMPC,DSPC,POPCまたはDPPCである,請求項172記載のリポソーム含有組成物。
  174. ,R,RおよびRはオレオイルまたはステアロイルであり,およびmおよびnは3である,請求項173記載のリポソーム含有組成物。
  175. 少なくとも1つの追加の脂質が存在する,請求項173記載のリポソーム含有組成物。
  176. 少なくとも1つの追加の脂質はコレステロールまたはコレステロール誘導体である,請求項175記載のリポソーム含有組成物。
  177. リポソームは,DMPCおよびコレステロール,DSPCおよびコレステロール,POPCおよびコレステロール,またはDPPCおよびコレステロールを含む,請求項176記載のリポソーム含有組成物。
  178. リポソームはDMPCおよびコレステロールを含む,請求項177記載のリポソーム含有組成物。
  179. mおよびnは,それぞれ独立して,2−4の整数である,請求項167記載のリポソーム含有組成物。
  180. mおよびnは等しく,2−4の整数である,請求項167記載のリポソーム含有組成物。
  181. mおよびnは等しく,3である,請求項180記載のリポソーム含有組成物。
  182. ,R,RおよびRは,それぞれ独立して,オレオイル,ステアロイル,パルミトイルまたはミリストイルである,請求項167記載のリポソーム含有組成物。
  183. とRは同じであり,RとRは同じである,請求項167記載のリポソーム含有組成物。
  184. ,R,RおよびRは同じである,請求項167記載のリポソーム含有組成物。
  185. ,R,RおよびRはオレオイルまたはステアロイルである,請求項184記載のリポソーム含有組成物。
  186. さらに溶液を含む,請求項167記載のリポソーム含有組成物。
  187. 溶液は,水性溶液または水性溶液と水混和性溶媒との混合物である,請求項186記載のリポソーム含有組成物。
  188. 1またはそれ以上のリン脂質,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン,標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン,および,任意に少なくとも1つの追加の脂質を含むリポソームを含むリポソーム含有組成物であって,
    ここで,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンは式1:
    で表され,
    標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンは,第2のN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンに連結された標的化リガンドを含み;および
    第2のN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンは式3:
    [式中,R,R,RおよびRは,それぞれ独立してアシル基であり,mおよびpは,独立して,1−10の整数である]
    で表され;および,
    組成物は誘導化されていないホスファチジルエタノールアミンまたはポリエチレングリコールを含まず,および標的化リガンドは無傷の抗体ではない,
    ことを特徴とするリポソーム含有組成物。
  189. 少なくとも1つの追加の脂質が存在する,請求項188記載のリポソーム含有組成物。
  190. 少なくとも1つの追加の脂質はコレステロールまたはコレステロール誘導体である,請求項189記載のリポソーム含有組成物。
  191. 1またはそれ以上のリン脂質は,ホスファチジルコリン,ホスファチジン酸,ホスファチジルセリンおよびホスファチジルグリセロールからなる群より選択される,請求項188記載のリポソーム含有組成物。
  192. 1またはそれ以上のリン脂質は中性リン脂質である,請求項188記載のリポソーム含有組成物。
  193. 1またはそれ以上のリン脂質はホスファチジルコリンである,請求項191記載のリポソーム含有組成物。
  194. 1またはそれ以上のリン脂質はDMPC,DSPC,POPCまたはDPPCである,請求項193記載のリポソーム含有組成物。
  195. 少なくとも1つの追加の脂質が存在する,請求項193記載のリポソーム含有組成物。
  196. 少なくとも1つの追加の脂質はコレステロールまたはコレステロール誘導体である,請求項195記載のリポソーム含有組成物。
  197. リポソームは,DMPCおよびコレステロール,DSPCおよびコレステロール,POPCおよびコレステロール,またはDPPCおよびコレステロールを含む,請求項196記載のリポソーム含有組成物。
  198. リポソームはDMPCおよびコレステロールを含む,請求項197記載のリポソーム含有組成物。
  199. mおよびpは,それぞれ独立して,2−4の整数である,請求項188記載のリポソーム含有組成物。
  200. mおよびpは等しく,2−4の整数である,請求項188記載のリポソーム含有組成物。
  201. mおよびpは等しく,3である,請求項200記載のリポソーム含有組成物。
  202. ,R,RおよびRは,それぞれ独立して,オレオイル,ステアロイル,パルミトイルまたはミリストイルである,請求項188記載のリポソーム含有組成物。
  203. とRは同じであり,およびRとRは同じである,請求項188記載のリポソーム含有組成物。
  204. ,R,RおよびRは同じである,請求項188記載のリポソーム含有組成物。
  205. ,R,RおよびRはオレオイルまたはステアロイルである,請求項188記載のリポソーム含有組成物。
  206. 標的化リガンドは,トランスフェリン,葉酸,ヒアルロン酸,糖鎖,およびモノクローナル抗体のフラグメントからなる群より選択される,請求項188記載のリポソーム含有組成物。
  207. 標的化リガンドは,トランスフェリン,葉酸,ヒアルロン酸および糖鎖からなる群より選択される,請求項206記載のリポソーム含有組成物。
  208. 標的化リガンドはトランスフェリンである,請求項206記載のリポソーム含有組成物。
  209. トランスフェリンはホロ形であってアポ形ではない,請求項208記載のリポソーム含有組成物。
  210. ,R,RおよびRはオレオイルまたはステアロイルであり,少なくとも1つの追加の脂質が存在しこれはコレステロールであり,および標的化リガンドはトランスフェリンである,請求項194記載のリポソーム含有組成物。
  211. 1またはそれ以上のリン脂質はDMPCまたはDSPCである,請求項210記載のリポソーム含有組成物。
  212. さらに溶液を含む,請求項188記載のリポソーム含有組成物。
  213. 溶液は,水性溶液または水性溶液と水混和性溶媒との混合物である,請求項212記載のリポソーム含有組成物。
  214. ,R,RおよびRはオレオイルまたはステアロイルであり,1またはそれ以上のリン脂質はDMPCまたはDSPCであり,少なくとも1つの追加の脂質はコレステロールであり,および標的化リガンドはトランスフェリンである,請求項189記載のリポソーム含有組成物。
  215. さらに薬剤を含む,請求項167,168,173,188,189または194のいずれかに記載のリポソーム含有組成物。
  216. 薬剤は抗癌剤である,請求項215記載のリポソーム含有組成物。
  217. 薬剤は細胞毒性薬剤である,請求項215記載のリポソーム含有組成物。
  218. 薬剤はトポイソメラーゼI阻害剤である,請求項215記載のリポソーム含有組成物。
  219. トポイソメラーゼI阻害剤はトポテカンまたはイリノテカンである,請求項218記載のリポソーム含有組成物。
  220. 薬剤はビンカアルカロイドである,請求項215記載のリポソーム含有組成物。
  221. ビンカアルカロイドは,ビンクリスチン,ビンブラスチン,ビンレウロシン,ビンロジシン,ビノレルビンまたはビンデシンである,請求項220記載のリポソーム含有組成物。
  222. 薬剤は核酸である,請求項215記載のリポソーム含有組成物。
  223. 核酸はアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはリボザイムである,請求項222記載のリポソーム含有組成物。
  224. 薬剤は白金化合物である,請求項215記載のリポソーム含有組成物。
  225. 白金化合物は,ビプラチン,シスプラチン,カルボプラチン,オルマプラチン,オキザリプラチン,ゼニプラチン,エンロプラチン,ロバプラチンまたはスピロプラチンである,請求項224記載のリポソーム含有組成物。
  226. 白金化合物はオキザリプラチンである,請求項225記載のリポソーム含有組成物。
  227. 少なくとも1つの追加の脂質が存在する場合には,これはコレステロールまたはコレステロール誘導体である,請求項226記載のリポソーム含有組成物。
  228. 少なくとも1つまたはそれ以上のリン脂質はDMPCまたはDSPCである,請求項227記載のリポソーム含有組成物。
  229. 1またはそれ以上のリン脂質は中性リン脂質である,請求項227記載のリポソーム含有組成物。
  230. リポソームが追加の脂質を含む場合,脂質はコレステロールまたはコレステロール誘導体である,請求項229記載のリポソーム含有組成物。
  231. 1またはそれ以上のリン脂質はホスファチジルコリンである,請求項226記載のリポソーム含有組成物。
  232. リポソーム中のオキザリプラチンの濃度は約0.1mg/ml−約25mg/mlである,請求項226記載のリポソーム含有組成物。
  233. 薬剤はアルキル化剤である,請求項215記載のリポソーム含有組成物。
  234. 薬剤はタキサンである,請求項215記載のリポソーム含有組成物。
  235. 薬剤は代謝性アンタゴニストである,請求項215記載のリポソーム含有組成物。
  236. 薬剤は抗腫瘍抗生物質である,請求項215記載のリポソーム含有組成物。
  237. 薬剤はホルモン療法薬剤である,請求項215記載のリポソーム含有組成物。
  238. 薬剤は分子標的薬である,請求項215記載のリポソーム含有組成物。
  239. オキザリプラチンは,トレハロース,マルトース,スクロース,ラクトース,マンノース,マンニトール,グリセロールおよびデキストロースからなる群より選択される糖の水性溶液に溶解されている,請求項226記載のリポソーム含有組成物。
  240. 標的化リガンドが存在する場合には,これはトランスフェリンである,請求項215記載のリポソーム含有組成物。
  241. 1またはそれ以上のリン脂質はDMPCまたはDSPCであり,R,R,および存在する場合にはRおよびRは,オレオイルまたはステアロイルであり,mおよび,存在する場合にはpは3であり,少なくとも1つの追加の脂質が存在する場合にはこれはコレステロールであり,薬剤はオキザリプラチンであり,および標的化リガンドが存在する場合にはこれはトランスフェリンである,請求項215記載のリポソーム含有組成物。
  242. 糖は約1−約20%パーセント糖(v/v)の濃度である,請求項239記載のリポソーム含有組成物。
  243. さらに標識された化合物を含む,請求項167,168,173,188,189または194のいずれかに記載のリポソーム含有組成物。
  244. 標識された化合物は放射性同位体成分を含む,請求項243記載のリポソーム含有組成物。
  245. 請求項215記載のリポソーム含有組成物を製造する方法であって,
    a)1またはそれ以上のリン脂質脂質,およびN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン,および,存在する場合にはN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンまたはターゲティング因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステル,および,任意に存在する場合には少なくとも1つの追加の脂質を混合して脂質混合物を形成し;そして
    b)工程(a)で形成された脂質混合物に薬剤を加え;そして
    c)リポソーム含有組成物を形成する,
    の各工程を含む方法。
  246. 請求項243記載のリポソーム含有組成物を製造する方法であって,
    a)1またはそれ以上のリン脂質脂質,およびN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン,および,存在する場合にはN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンまたはターゲティング因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステル,および,任意に存在する場合には少なくとも1つの追加の脂質を混合して脂質混合物を形成し;そして
    b)工程(a)で形成された脂質混合物に標識された化合物を加え,
    c)リポソーム含有組成物を形成する,
    の各工程を含む方法。
  247. 請求項188記載のリポソーム含有組成物を製造する方法であって,
    a)1またはそれ以上のリン脂質,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン,および標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミン,および,任意に少なくとも1つの追加の脂質を混合して脂質混合物を形成し;そして
    b)工程(a)で形成された混合物に溶媒を加えてリポソーム含有組成物を形成する,
    の各工程を含む方法。
  248. 混合する工程(a)が有機溶媒の存在下で行われる,請求項247記載の方法。
  249. 工程(b)における溶媒が,水性溶液または水性溶液と水混和性溶媒との混合物である,請求項247記載の方法。
  250. 工程(b)は超音波処理または撹拌を含む,請求項247記載の方法。
  251. 工程(b)は押し出しを含む,請求項247記載の方法。
  252. 工程(a)において少なくとも1つの追加の脂質が存在する,請求項245記載の方法。
  253. 工程(a)において,N−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンのスクシンイミジルエステルが存在する,請求項252記載の方法。
  254. 工程(a)において,標的化因子で修飾されたN−(ω)−ジカルボン酸誘導化ホスファチジルエタノールアミンが存在する,請求項252記載の方法。

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