JP2001002592A - 遺伝子導入用組成物 - Google Patents

遺伝子導入用組成物

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JP2001002592A JP11172176A JP17217699A JP2001002592A JP 2001002592 A JP2001002592 A JP 2001002592A JP 11172176 A JP11172176 A JP 11172176A JP 17217699 A JP17217699 A JP 17217699A JP 2001002592 A JP2001002592 A JP 2001002592A
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宏宣 柳衛
Shuichi Ando
秀一 安藤
Hiroshi Kikuchi
寛 菊池
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 外来遺伝子を細胞内に効率よく導入するため
の遺伝子導入用組成物を提供する。 【解決手段】 トランスフェリンまたはその塩およびプ
ロタミンまたはその塩を含有する遺伝子導入用組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、外来遺伝子を細胞
内に導入するための組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、外来遺伝子を細胞内に効率よく導
入するための種々の方法が開発されている。
【0003】例えば、トランスフェリンを含有したリポ
ソームを用いることにより効果的に遺伝子が細胞内に導
入されたことが知られている(HUMAN GENE THERAPY 7:2
75-282(1996))。また、硫酸プロタミンを含有したリポ
ソームを用いることにより効果的に遺伝子が細胞内に導
入されたことが知られている(Gene Therapy 4:961-968
(1997))。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明はトランスフェ
リンまたはその塩およびプロタミンまたはその塩を含有
する遺伝子導入用組成物を提供する。
【0005】
【発明を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討し
た結果、トランスフェリンまたはその塩とプロタミンま
たはその塩を同時に含有した組成物が、トランスフェリ
ンまたはその塩を含有した組成物およびプロタミンまた
はその塩を含有した組成物に比べ、非常に効果的に外来
遺伝子を細胞内に導入し得ることを見いだした。
【0006】すなわち、本発明は、トランスフェリンま
たはその塩およびプロタミンまたはその塩を含有する遺
伝子導入用組成物に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の遺伝子導入用組成物にか
かるトランスフェリンおよびプロタミンはそれぞれ公知
のタンパク質であり、これらのタンパク質は通常知られ
た塩を形成してもよい。塩としては、例えば、塩酸塩、
硫酸塩、リン酸塩、アンモニウム塩などを挙げることが
できる。
【0008】本発明の遺伝子導入用組成物におけるトラ
ンスフェリンまたはその塩、プロタミンまたはその塩の
配合量は、遺伝子を細胞内に導入するのに充分な量であ
ればよい。また、導入する遺伝子、用途、組成物の形態
等により適宜変更すればよいが、例えば、トランスフェ
リンは遺伝子1重量部に対して、0.1から1000重
量部が好ましく、0.5から100重量部がより好まし
い。また、プロタミンは遺伝子1重量部に対して、0.
1から1000重量部が好ましく、1から100重量部
がより好ましい。
【0009】本発明の組成物に適用される遺伝子として
は、オリゴヌクレオチド、DNAおよびRNAのいずれ
でもよく、特に形質転換等のイン・ビトロにおける導入
用遺伝子や、イン・ビボで発現することにより作用する
遺伝子、例えば、遺伝子治療用遺伝子、実験動物や家畜
等の産業用動物の品種改良に用いられる遺伝子が好まし
い。遺伝子治療用遺伝子としては、アンチセンスオリゴ
ヌクレオチド、アンチセンスDNA、アンチセンスRN
A、酵素、サイトカイン等の生理活性物質をコードする
遺伝子等を挙げることができる。
【0010】本発明の組成物には、遺伝子の細胞導入効
率を向上させる目的でさらにリン脂質および/またはコ
レステロールを配合することが好ましい。リン脂質とし
ては、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファリジ
ルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノ
シトール、ホスファチジルグリセロール、カルジオリピ
ン、スフィンゴミエリン、プラスマロゲンおよびホスフ
ァチジン酸等を挙げることができ、これらは1種または
2種以上を組み合わせて用いることができる。このう
ち、ホスファチジルエタノールアミンおよびホスファリ
ジルコリンをそれぞれ単独で、または組み合わせて用い
るのが好ましい。これらのリン脂質の脂肪酸残基は、特
に限定されるべきものではないが、炭素数12から18
の飽和または不飽和の脂肪酸残基を挙げることができ、
具体的には、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミト
イル基、ステアロイル基、オレオイル基、リノレイル基
等を挙げることができる。
【0011】これらリン脂質の本発明の組成物への配合
量は、リン脂質の配合量をモル分率で0から80%が好
ましく、10から70%がより好ましく、25から70
%が特に好ましい。また、コレステロールの本発明の組
成物への配合量については、モル分率で0から70%が
好ましく、10から60%がより好ましく、20から5
0%が特に好ましい。
【0012】またリン脂質やコレステロール以外に、ビ
タミンE等の脂溶性ビタミン類やWO98/45463
号公報に記載されている第4級アンモニウム塩を配合す
ることもできる。
【0013】本発明の組成物の形態としては、トランス
フェリンまたはその塩およびプロタミンまたはその塩だ
けが存在していてもよく、トランスフェリンまたはその
塩およびプロタミンまたはその塩とリン脂質および/ま
たはコレステロールが単に混合物として存在していても
よく、トランスフェリンまたはその塩およびプロタミン
またはその塩とリン脂質および/またはコレステロール
とが組み合わさって脂質膜構造体を形成していてもよ
い。該脂質膜構造体の存在形態およびその製造方法は特
に限定されるべきものではないが、例えば、存在形態と
しては、乾燥した脂質混合物形態、水系溶媒に分散した
形態、さらにこれを乾燥させた形態や凍結させた形態等
を挙げることができる。
【0014】乾燥した脂質混合物は、例えば、使用する
脂質成分をいったんクロロホルム等の有機溶媒に溶解さ
せ、次いでエバポレータによる減圧乾固や噴霧乾燥機に
よる噴霧乾燥を行うことで製造することができる。
【0015】脂質膜構造体が水系溶媒に分散した形態と
しては、一枚膜リポソーム、多重層リポソーム、O/W
型エマルション、W/O/W型エマルション、球状ミセ
ル、ひも状ミセル、不定型の層状構造物などを挙げるこ
とができる。分散した状態の脂質膜構造体の大きさは、
特に限定されるべきものではないが、例えば、リポソー
ムやエマルションの場合には、粒子径が50nmから数
μmであり、球状ミセルの場合、粒子径が5nmから5
0nmである。ひも状ミセルや不定型の層状構造物の場
合は、その1層あたりの厚みが5nmから10nmでこ
れらが層を形成していると考えればよい。
【0016】水系溶媒(分散媒)の組成も特に限定され
るべきものではないが、水のほかに、グルコース、乳
糖、ショ糖などの糖水溶液、グリセリン、プロピレング
リコールなどの多価アルコール水溶液、リン酸緩衝液、
クエン酸緩衝液、リン酸緩衝化生理食塩液等の緩衝液、
生理食塩水、細胞培養用の培地などを挙げることができ
る。この水系溶媒に分散した脂質膜構造体を安定に長期
間保存するには、凝集などの物理的安定性の面から、水
系溶媒中の電解質を極力なくすことが重要である。ま
た、脂質の化学的安定性の面から、水系溶媒のpHを弱
酸性から中性付近(pH3.0から8.0)に設定した
り、窒素バブリングにより溶存酸素を除去することが重
要である。さらに凍結乾燥保存や噴霧乾燥保存をする場
合には、糖水溶液を、凍結保存する場合には、糖水溶液
や多価アルコール水溶液をそれぞれ用いると効果的な保
存が可能である。
【0017】これらの水系溶媒の濃度は特に限定される
べきものではないが、例えば、糖水溶液においては、2
から20%(W/V)が好ましく、5から10%(W/
V)がさらに好ましい。また、多価アルコール水溶液に
おいては、1から5%(W/V)が好ましく、2から
2.5%(W/V)がさらに好ましい。緩衝液において
は、緩衝剤の濃度が5から50mMが好ましく、10か
ら20mMがさらに好ましい。
【0018】水系溶媒中の脂質膜構造体の濃度は、特に
限定されるべきものではないが、本発明においては脂質
膜構造体として用いるリン脂質およびコレステロールの
総量の濃度は、0.001mMから100mMが好まし
く、0.01mMから20mMがさらに好ましい。
【0019】脂質膜構造体が水系溶媒に分散した形態
は、上記の乾燥した脂質混合物を水系溶媒に添加し、さ
らにホモジナイザー等の乳化機、超音波乳化機、高圧噴
射乳化機等により乳化することで製造することができ
る。また、リポソームを製造する方法としてよく知られ
ている方法、例えば逆相蒸発法などによっても製造する
こともでき、特に限定されるべきものではない。脂質膜
構造体の大きさを制御したい場合には、孔径のそろった
メンブランフィルター等を用いて、高圧下でイクストル
ージョン(押し出し濾過)を行えばよい。
【0020】また、上記の水系溶媒に分散した脂質膜構
造体をさらに乾燥させる方法としては、通常の凍結乾燥
や噴霧乾燥を挙げることができる。この時の水系溶媒と
しては、上記したように、糖水溶液、好ましくはショ糖
水溶液、乳糖水溶液を用いるとよい。ここで、水系溶媒
に分散した脂質膜構造体をいったん製造した上でさらに
乾燥すると、脂質膜構造体の長期保存が可能となるほ
か、この乾燥した脂質膜構造体に遺伝子水溶液を添加す
ると、効率よく脂質混合物が水和されるために遺伝子自
身も効率よく、脂質膜構造体に保持させることができる
といったメリットがある。
【0021】本発明の遺伝子導入用組成物に遺伝子をさ
らに添加することにより、遺伝子含有組成物とすること
ができる。したがって、本発明の組成物は遺伝子導入用
キットとして用いられるものである。
【0022】次に、遺伝子、トランスフェリンまたはそ
の塩およびプロタミンまたはその塩を含有する本発明の
遺伝子含有組成物について説明する。
【0023】遺伝子含有組成物の形態としては、遺伝
子、トランスフェリンまたはその塩およびプロタミンま
たはその塩を含有する混合物、遺伝子、トランスフェリ
ンまたはその塩およびプロタミンまたはその塩を含有す
る混合物にリン脂質および/またはコレステロールがさ
らに混合された形態、トランスフェリンまたはその塩お
よびプロタミンまたはその塩とリン脂質および/または
コレステロールとの組み合わせで形成された脂質膜構造
体と遺伝子が混合された形態、さらに該脂質膜構造体に
遺伝子が保持された形態でもよい。ここでいう保持と
は、遺伝子が脂質膜構造体の膜の中、表面、内部、脂質
層中または脂質層の表面に存在することを意味する。
【0024】遺伝子含有組成物の存在形態およびその製
造方法は、脂質膜構造体と同様に特に限定されるべきも
のでないが、例えば、存在形態としては、混合乾燥物形
態、水系溶媒に分散した形態、さらにこれを乾燥させた
形態や凍結させた形態が挙げられる。
【0025】脂質類と遺伝子との混合乾燥物は、例え
ば、使用する脂質類成分と遺伝子とをいったんクロロホ
ルム等の有機溶媒で溶解させ、次にこれをエバポレータ
による減圧乾固や噴霧乾燥機による噴霧乾燥を行うこと
により製造することができる。脂質膜構造体と遺伝子と
の混合物が水系溶媒に分散した形態としては、多重層リ
ポソーム、一枚膜リポソーム、O/W型エマルション、
W/O/W型エマルション、球状ミセル、ひも状ミセ
ル、不定形の層状構造物などを挙げることができるが、
特に限定はされるべきものではない。混合物としての大
きさ(粒子径)も、水系溶媒の組成も、特に限定される
ことはない。混合物としての水系溶媒における濃度も特
に限定はされることはない。なお、脂質膜構造体と遺伝
子との混合物が水系溶媒に分散した形態の製造方法には
いくつかの種類があり、それぞれに特徴があって、でき
あがりの脂質膜構造体と遺伝子との混合物の存在様式が
異なるので注意を要する。
【0026】第一の製造方法は、上記の脂質類と遺伝子
との混合乾燥物に水系溶媒を添加し、さらにホモジナイ
ザー等の乳化機、超音波乳化機、高圧噴射乳化機等によ
る乳化を行う方法である。大きさ(粒子径)を制御した
い場合には、さらに孔径のそろったメンブランフィルタ
ーを用いて、高圧力下でイクストルージョン(押し出し
慮過)を行えばよい。この方法の場合には、まず脂質類
と遺伝子との混合乾燥物を作るために、遺伝子を有機溶
媒に溶解しなければならないが、遺伝子と脂質膜構造体
との相互作用を最大限に利用できるメリットがある。す
なわち、脂質膜構造体が層状構造を有する場合にも、遺
伝子は多重層の内部にまで入り込むことが可能であり、
一般的にこの製造方法を用いると遺伝子の脂質膜構造体
への保持率を高くすることができる。
【0027】第二の製造方法は、脂質類成分を有機溶媒
でいったん溶解後、有機溶媒を留去した乾燥物に、さら
に遺伝子を含む水系溶媒を添加して乳化する方法であ
る。大きさ(粒子径)を制御したい場合には、さらに孔
径のそろったメンブランフィルターを用いて、高圧力下
でイクストルージョン(押し出し慮過)を行えばよい。
有機溶媒には溶解しにくいが、水系溶媒には溶解する遺
伝子に適用できる。メリットとしては、脂質膜構造体が
リポソームの場合、内水相部分にも遺伝子を保持できる
点が挙げられる。
【0028】第三の製造方法は、水系溶媒に既に分散し
たリポソーム、エマルション、ミセル、層状構造物など
の脂質膜構造体に、さらに遺伝子を含む水系溶媒を添加
する方法である。したがって、この場合には水溶性の遺
伝子に限定される。既にできあがっている脂質膜構造体
に外部から遺伝子を添加する方法であるため、遺伝子か
高分子の場合には、遺伝子は脂質膜構造体内部には入り
込めず、脂質膜構造体の表面に結合した存在様式をと
る。脂質膜構造体としてリポソームを用いた場合、この
第三の製造方法を用いると、遺伝子がリポソーム粒子同
士の間に挟まったサンドイッチ構造(一般的には複合体
あるいはコンプレックスと呼ばれている。)をとること
が知られている。この第三の方法のメリットとしては、
一度、水系溶媒に既に分散したリポソーム、エマルショ
ン、ミセル、層状構造物などの脂質膜構造体を製造、保
管しておくことにより、一種の遺伝子ばかりでなく、共
通して他の遺伝子への適用も可能となることが挙げられ
る。また、脂質膜構造体単独の水分散液をあらかじめ製
造するため、乳化時の遺伝子の分解を考慮する必要がな
く、大きさ(粒子径)の制御もたやすいので、第一の製
造方法や第二の製造方法に比べて比較的製造が容易であ
るといえる。
【0029】第四の製造方法は、水系溶媒に分散した脂
質膜構造体をいったん製造した上でさらに乾燥させた乾
燥物に、さらに遺伝子を含む水系溶媒を添加する方法で
ある。したがって、この場合にも第三の製造方法と同様
に水溶性の遺伝子に限定されるが、上記第三の製造方法
と大きく違う点は、脂質膜構造体と遺伝子との存在様式
にある。すなわち、この第四の製造方法では、水系溶媒
に分散した脂質膜構造体をいったん製造した上でさらに
乾燥させた乾燥物を製造するために、この段階で脂質膜
構造体は脂質膜の断片として固体状態で存在する。この
脂質膜の断片として固体状態に存在させるために、前に
記したように水系溶媒として糖水溶液、好ましくはショ
糖水溶液や乳糖水溶液を用いる必要がある。ここで、遺
伝子を含む水系溶媒を添加すると、固体状態で存在して
いた脂質膜の断片は水の侵入とともに水和を速やかに始
め、脂質膜構造体を再構成することができる。この時
に、遺伝子が脂質膜構造体内部に保持された形態のもの
が製造できることになる。第三の製造方法では、遺伝子
が高分子の場合には、遺伝子は脂質膜構造体内部には入
り込めず、脂質膜構造体の表面に結合した存在様式をと
るのとこの点で大きく異なっている。この第四の製造方
法のメリットとしては、一度製造してしまえば、一つの
遺伝子ばかりでなく共通して他の遺伝子への適用も可能
となること、並びに脂質膜構造体単独の水分散液をあら
かじめ製造するため、乳化時の遺伝子の分解を考慮する
必要がなく、大きさ(粒子径)の制御もたやすいので、
第一の製造方法や第二の製造方法に比べて比較的製造が
容易であることが挙げられる。また、この他に、凍結乾
燥あるいは噴霧乾燥を行うため、製剤としての保存安定
性を保証しやすいこと、乾燥製剤を遺伝子水溶液で復水
しても大きさ(粒子径)を元にもどせること、高分子の
遺伝子の場合でも脂質膜構造体内部に遺伝子を保持させ
やすいことなどが挙げられる。
【0030】脂質膜構造体と遺伝子との混合物が水系溶
媒に分散した形態のその他の製造方法としては、リポソ
ームを製造する方法としてよく知られる方法、例えば逆
相蒸発法などを別途用いてもよい。大きさ(粒子径)を
制御したい場合には、さらに孔径のそろったメンブラン
フィルターを用いて、高圧力下でイクストルージョン
(押し出し慮過)を行えばよい。また、上記の脂質膜構
造体と遺伝子との混合物が水系溶媒に分散した分散液を
さらに乾燥させる方法としては、凍結乾燥や噴霧乾燥が
挙げられる。この時の水系溶媒としては、脂質膜構造体
単独の場合と同様に糖水溶液、好ましくはショ糖水溶液
や乳糖水溶液を用いるとよい。上記の脂質膜構造体と遺
伝子との混合物が水系溶媒に分散した分散液をさらに凍
結させる方法としては、通常の凍結方法が挙げられる
が、この時の水系溶媒としては、脂質膜構造体単独の場
合と同様に、糖水溶液や多価アルコール水溶液を用いる
とよい。
【0031】本発明の遺伝子含有組成物において配合し
得る脂質は、遺伝子1μgに対して、1から500nm
olが好ましく、10から200nmolがより好まし
い。
【0032】また、本発明の組成物は、遺伝子だけでな
く、脂溶性の非常に低い薬物、分子量の大きい生理活性
ペプチド類、蛋白質類などの細胞内に導入されにくい薬
物などにも適用できる。本発明の組成物を用いれば、イ
ン・ビトロ及びイン・ビボのいずれにおいても細胞内に
遺伝子を効率良く導入することができる。すなわち、イ
ン・ビトロの場合には、標的とする細胞を含む懸濁液に
本発明の遺伝子含有組成物を添加したり、本発明の遺伝
子含有組成物を含有する培地で標的とする細胞を培養す
る等の手段により、当該標的細胞に遺伝子を導入でき
る。
【0033】また、イン・ビボの場合には、本発明の遺
伝子含有組成物を宿主に投与すればよい。宿主への投与
手段としては、経口投与でも、非経口投与でもよいが、
非経口投与が好ましい。剤形としては、通常知られたも
のでよく、経口投与の剤形としては、例えば、錠剤、散
剤、顆粒剤、シロップ剤等を挙げることができる。ま
た、非経口投与の剤形としては、例えば、注射剤、点眼
剤、軟膏剤、坐剤等を挙げることができる。中でも、注
射剤が好ましく、投与方法としては、静脈注射、標的と
する細胞や臓器に対しての局所注射が好ましい。
【0034】以下に、実施例等を挙げて本発明をさらに
詳細に説明するが、本発明はこれらにのみ限定されるべ
きものではない。
【0035】
【実施例】[実施例1]遺伝子導入用組成物の調製 カチオニックリポソーム水溶液80μl(総脂質量とし
て160nmol)に9%ショ糖水溶液120μlを加
えた後、トランスフェリン水溶液200μl(Human ho
lo transferrin:256μg)を加え、トランスフェリ
ン含有カチオニックリポソーム溶液を調製した。この溶
液に、予め調製しておいた、プロタミン含有DNA溶液
400μl(DNA:pCAG−lacZ(βガラクト
シダーゼ遺伝子)8μg;硫酸プロタミン:16μg;
ショ糖36μg)を加えて十分に混合し、遺伝子導入用
組成物を調製した。なお、カチオニックリポソームの組
成を以下に示した。
【0036】
【0037】DC−3−12D(TMAG):N−(α
−トリメチルアンモニオアセチル)−ジドデシル−D−
グルタメート クロリド DLPC:ジラウロイルホスファチジルコリン DOPE:ジオレオイルホスファチジルエタノールアミ
【0038】[試験例1]遺伝子導入効果 実施例1で調製した遺伝子導入用組成物800μlに、
3.2mlのFCS(+)培地(+:血清存在下)を加
え試料溶液とした。この試料溶液400μl(DNA
0.8μg、プロタミン1.6μg、トランスフェリン
25.6μg、カチオニックリポソーム16nmol)
を、ヒト膵臓癌細胞AsPC−1細胞4×10個に加
え、37℃で5時間インキュベートした後、常法にて細
胞処理を行い、導入遺伝子由来のタンパク(βガラクト
シダーゼ)量を測定した。また、細胞内に含まれる総タ
ンパク量も同時に測定し、総タンパク量に対するβガラ
クトシダーゼの量比(unit/mg proteine)を算出した。
また、DNA単独(DNA0.8μg)、カチオニック
リポソームにDNAを添加したもの(DNA0.8μ
g、カチオニックリポソーム16nmol)、トランス
フェリン含有カチオニックリポソームにDNAを添加し
たもの(DNA0.8μg、トランスフェリン25.6
μg、カチオニックリポソーム16nmol)、プロタ
ミン含有カチオニックリポソームにDNAを添加したも
の(DNA0.8μg、プロタミン1.6μg、カチオ
ニックリポソーム16nmol)を実施例1に準拠し、
コントロールとして調製した。これらも総タンパク量に
対するβガラクトシダーゼの量比を算出した。結果を図
1に示す。なお、AsPC−1細胞は一般に遺伝子導入
が困難な細胞であると言われている。
【0039】[結果]図1から明らかなように、本発明
の遺伝子含有組成物は、ヒト膵臓がん細胞AsPC−1
に対し、コントロール群と比較しても非常に高い遺伝子
導入効果を示した。
【0040】
【発明の効果】本発明のトランスフェリンまたはその塩
およびプロタミンまたはその塩を含有する遺伝子導入用
組成物は、トランスフェリンまたはその塩を単独に含有
する遺伝子導入用組成物、プロタミンまたはその塩を単
独に含有する遺伝子導入用組成物に比して、遺伝子導入
効率が非常に高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 試験例1の結果を示すものである。DNAは
DNA単独、DNA+Lipoはカチオニックリポソー
ムにDNAを添加したもの、DNA+Transferrinはト
ランスフェリン含有カチオニックリポソームにDNAを
添加したもの、DNA+Protamineはプロタミン含有カ
チオニックリポソームにDNAを添加したものを、DN
A+Transferrin+Protamineは実施例1の組成物を表わ
す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 38/16 A61K 37/08 37/14 (72)発明者 菊池 寛 東京都江戸川区北葛西1丁目16番13号第一 製薬株式会社東京研究開発センター内 Fターム(参考) 4C076 AA01 AA08 AA19 BB01 BB11 BB13 BB24 CC29 DD15H DD52H DD63H FF34 FF68 4C084 AA03 AA13 DC50 MA22 MA24 ZC752 4C086 AA01 AA02 EA16 MA05 MA22 MA24 NA10 NA11

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トランスフェリンまたはその塩およびプ
    ロタミンまたはその塩を含有する遺伝子導入用組成物。
  2. 【請求項2】 トランスフェリンおよび硫酸プロタミン
    を含有する遺伝子導入用組成物。
  3. 【請求項3】 さらにリン脂質および/またはコレステ
    ロールを含有するものである請求項1または2記載の組
    成物。
  4. 【請求項4】 リン脂質が、ホスファチジルエタノール
    アミン、ホスファリジルコリン、ホスファチジルセリ
    ン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリ
    セロール、カルジオリピン、スフィンゴミエリン、プラ
    スマロゲンおよびホスファチジン酸からなる群より選ば
    れる1種または2種以上の混合物である請求項3記載の
    組成物。
  5. 【請求項5】 リン脂質が、ホスファチジルエタノール
    アミンおよび/またはホスファリジルコリンである請求
    項3記載の組成物。
  6. 【請求項6】 脂質膜構造体を形成しているものである
    請求項1から5のいずれか1項記載の組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1から6のいずれか1項の組成物
    を含有する遺伝子導入用キット。
  8. 【請求項8】 請求項1から7のいずれか1項記載の組
    成物と遺伝子を含有する遺伝子含有組成物。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の遺伝子含有組成物をイン
    ・ビトロまたはイン・ビボで細胞に適用することを特徴
    とする遺伝子の細胞への導入方法。
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