JP2008150586A - 海産および淡水産動物の組織から脂質を抽出する方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】海産および淡水産動物由来の原料をケトン溶媒にて抽出を行い、リン脂質含有脂質画分の第一の液体成分および第一の固体成分を得、該固体成分をさらにアルコールまたは酢酸エステル(好ましくは酢酸エチル)を用いる溶媒抽出に付し、残存する可溶性脂質画分の抽出を行う。尚、残った不溶性の粒子状成分は、タンパク質が富化され、有用な量の活性を有する酵素を含むのでこれも回収する。
【選択図】なし
Description
オキアミ、カラヌス、魚類、海産哺乳類などの海産および淡水産動物から得られる脂質画分は、以下のような種々の用途に適用することができる。
海産および淡水産動物から得られる脂肪油やそれを含む脂質画分は、治療効果を有する種々の物質を含む。例えば、種々の海産および淡水産動物から得られる油は抗炎症作用を示すことが報告されている。また、海産および淡水産動物から得られる油は、心血管系疾患の発生率を低下させる上で有益であるとの報告もある。さらに、海産および淡水産動物から得られる油の中には、ある種の狼瘡(lupus)や腎疾患の進行を抑えるものもあることが報告されている。また、オキアミは潰瘍や創傷の除去に関与する酵素や、食物の消化を促進する酵素の原料となりうる生物である。さらに、海産および淡水産動物から得られる油には種々の酸化防止剤が含まれており、それらは治療効果を有する可能性がある。
ω−3系脂肪酸(omega-3 fatty acids)の有益な作用を考慮すると、オキアミ、カラヌスおよび魚類から得られる油は、ヒトの食物における補助食(dietary supplements)として使用し得る。これらの脂肪酸は、脳や目の正常な発生に必須である。また、海産および淡水産動物から得られる油は、脂溶性ビタミンであるビタミンA、DおよびEや、カロテノイド類を豊富に含んでいる。
種々の海産および淡水産動物から得られる油が、モイスチャライジングクリーム(moisturizing cream)の製造に用いられている。
オキアミ、カラヌスおよび魚類から得られる油には、高濃度の20:5(エイコサペンタエン酸)や22:6(ドコサヘキサエン酸)が含まれている。これらの脂肪酸は必須栄養素であり、魚類の飼料として有益である。その上、そのような飼料を与えられて育った魚類を摂取することにより、これらの必須栄養素がヒトの食物中に取り込まれる。
ω−3系脂肪酸に富む動物用飼料を用いると、食肉中の不飽和脂肪酸レベルを向上し、且つコレステロールレベルを低下しうる。このような特性は、家禽養殖業(poultry industry)において卵の品質を向上させる目的で既に活用されている。
以降、本発明に関し詳細に説明するが、その前に、本発明は、以下に詳述する方法に対してのみ適用されるものではないと理解されねばならない。本発明は下記以外の種々の態様によって実施可能である。また、以下の記述において用いられる表現法または用語は、表記のために用いられるものであり、制限のために用いられるものではないと理解されねばならない
抽出の効率を比較するため、クロロホルムとメタノールを用いる従来の方法(フォルチら、1957)をオキアミに対して適用した。この方法を、抽出工程の効率を求める際の参照とした。また、ヘキサンを抽出溶媒として用いる方法とも比較を行った。脂質の回収率は、脂質画分を少量の元の(抽出に用いた)溶媒に懸濁させ、得られた懸濁液の一部を少量とって溶媒留去し、重量を測定することにより求めた。
中性脂質:ヘキサン:エチルエーテル:酢酸=90:10:1(v/v)
リン脂質:クロロホルム:メタノール:水=80:25:2(v/v)
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Claims (24)
- 下記の段階(a)〜(f)を含むことを特徴とする、海産および淡水産動物由来の原料から、該原料中に存在する脂質をまとめて含有する、リン脂質含有脂質画分を抽出する方法。
(a)海産または淡水産動物由来の原料をケトン溶媒中に入れて、該原料から可溶性脂質画分の抽出を行うことにより、第一の液体成分および第一の固体成分を得、
(b)該第一の液体成分を該第一の固体成分から分離し、
(c)段階(b)で分離された該第一の液体成分に含まれる該ケトン溶媒を留去することにより、油相を第一のリン脂質含有脂質画分として回収し、
(d)該第一の固体成分をアルコール、酢酸エステルおよびアセトンよりなる群から選ばれる有機溶媒中に入れて、該第一の固体成分中に残存する可溶性脂質画分の抽出を行うことにより、第二の液体成分および第二の固体成分を得、
(e)該第二の液体成分を該第二の固体成分から分離し、
(f)段階(e)で分離された該第二の液体成分に含まれる該有機溶媒を留去することにより、油相を第二のリン脂質含有脂質画分として回収する。 - 段階(a)で行う抽出を、該原料の磨砕後に撹拌下で行うことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 段階(d)で行う抽出を、該原料の磨砕後に撹拌下で行うことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 段階(a)および(d)を不活性ガス雰囲気下で行うことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 段階(b)および(e)を濾過、遠心分離、沈降のいずれかにより行うことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
- 段階(c)および(f)を減圧下での蒸発、フラッシュ蒸発、噴霧乾燥のいずれかにより行うことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
- 段階(b)の後、段階(c)に入る前に、該第一の固体成分を該ケトン溶媒で洗浄し、得られた洗液を段階(b)で得られた該第一の液体成分に添加することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
- 段階(e)の後、段階(f)に入る前に、該第二の固体成分を、段階(d)において用いられた該有機溶媒で洗浄することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
- 段階(a)に入る前に、該原料を細分することを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
- 段階(a)および(b)を、該ケトン溶媒の温度を5℃またはそれ以下として行うことを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
- 該原料が動物プランクトンであることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
- 該動物プランクトンがオキアミであることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
- 該動物プランクトンがカラヌスであることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
- 該原料が魚類であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
- 分離した固体成分が回収され、該固体成分が活性な酵素を含有する脱水残渣からなることを特徴とする、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
- 下記の段階(a)〜(f)を含むことを特徴とする、海産および淡水産動物由来の原料から、該原料中に存在する脂質をまとめて含有する、リン脂質含有脂質画分を抽出する方法。
(a)海産または淡水産動物由来の原料をアセトン中に入れて、該原料から可溶性脂質画分の抽出を行うことにより、第一の液体成分および第一の固体成分を得、
(b)該第一の液体成分を該第一の固体成分から分離し、
(c)段階(b)で分離された該第一の液体成分に含まれる該アセトンを留去することにより、油相を第一のリン脂質含有脂質画分として回収し、
(d)該第一の固体成分をアルコール中に入れて、該第一の固体成分中に残存する可溶性脂質画分の抽出を行うことにより、第二の液体成分および第二の固体成分を得、
(e)該第二の液体成分を該第二の固体成分から分離し、
(f)段階(e)で分離された該第二の液体成分に含まれる該有機溶媒を留去することにより、油相を第二のリン脂質含有脂質画分として回収する。 - 分離した固体成分が回収され、該固体成分が活性な酵素を含有する脱水残渣からなることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
- 請求項1〜17のいずれかに記載の方法により得られる、リン脂質含有脂質抽出物。
- 医療への適用、栄養補給食品としての適用、化粧品としての適用、魚類の養殖への適用および動物用飼料としての適用よりなる群から選ばれることを特徴とする、請求項18に記載のリン脂質含有脂質抽出物の用途。
- 医薬品、栄養補給食品、化粧品、魚類養殖用製品および動物用飼料よりなる群から選ばれる製品の製造における、請求項18に記載のリン脂質含有脂質抽出物の用途。
- 該ケトン溶媒がアセトンであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 該有機溶媒がエタノール、イソプロパノール、t−ブタノールおよび酢酸エステルよりなる群から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 該有機溶媒が酢酸エチルであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 該原料を平均粒子径が5mm以下に細分することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
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