JPH09308459A - 高度不飽和脂肪酸含有栄養組成物 - Google Patents

高度不飽和脂肪酸含有栄養組成物

Info

Publication number
JPH09308459A
JPH09308459A JP8124802A JP12480296A JPH09308459A JP H09308459 A JPH09308459 A JP H09308459A JP 8124802 A JP8124802 A JP 8124802A JP 12480296 A JP12480296 A JP 12480296A JP H09308459 A JPH09308459 A JP H09308459A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
solvent
fatty acid
phospholipids
unsaturated fatty
highly unsaturated
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8124802A
Other languages
English (en)
Inventor
Motoharu Arai
基晴 新井
Hidehiko Hibino
英彦 日比野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NOF Corp
Original Assignee
NOF Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NOF Corp filed Critical NOF Corp
Priority to JP8124802A priority Critical patent/JPH09308459A/ja
Publication of JPH09308459A publication Critical patent/JPH09308459A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ドコサヘキサエン酸等の高度不飽和脂肪酸お
よびグリセロール骨格のsn−2位の炭素に高度不飽和
脂肪酸が結合しているリン脂質を多量に含有する栄養組
成物を提供する。 【解決手段】 水産動物の卵を溶剤抽出して得られた総
脂質、総リン脂質または分画リン脂質を栄養剤成分に添
加してなる高度不飽和脂肪酸含有栄養組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水産動物の卵から
抽出したドコサヘキサエン酸等の高度不飽和脂肪酸を含
有する栄養組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ドコサヘキサエン酸(DHAと略記する
場合がある)はエイコサペンタエン酸と同様に、コレス
テロールおよび中性脂質低下作用も大きく、その生理的
重要性が認められるようになった。一方、生化学分野の
進歩によりドコサヘキサエン酸は脳や神経系の構成脂質
であるリン脂質中で何らの作用を司っていることが示唆
されている。例えば、ドコサヘキサエン酸を含有するリ
ン脂質の量と未熟児における神経運動性発達指数や知能
発達指数と正の相関が報告されている(Am. J. Clin. N
utr., vol.57, p.801 (1993))。
【0003】また、グリセロール骨格のsn−2位の炭
素にドコサヘキサエン酸を含有するリン脂質は5−リポ
キシゲナーゼのみの活性を特異的に阻害することにより
抗アレルギー作用を示すことが知られており(Prostagl
andins Leukotriens and Essential Fatty acid, vol.4
9, p.861. (1993))、アトピー症状を有する乳幼児にと
って有効な物質になる可能性が大きい。
【0004】さらに、ドコサヘキサエン酸を含有するリ
ン脂質は、高度不飽和脂肪酸を効率的に供給することが
できることおよび強力なラジカル捕捉能を有することか
ら、肝臓病および心臓病などに対する薬理効果が期待さ
れ、強い関心が集まっている。
【0005】ところで、ドコサヘキサエン酸を含有する
リン脂質が生体膜において生理的役割、例えばホルモン
作用の発現(油化学、Vol.30 p.705 (1981))を果たすに
は、リン脂質分子中のドコサヘキサエンの結合位置が重
要であり、ドコサヘキサエン酸がグリセロール骨格のs
n−2位の炭素に結合し、かつパルミチン酸やオレイン
酸のような飽和・モノエン酸がsn−1位に結合してい
る場合に、生理活性が高いことが知られている。
【0006】しかしながら、グリセロリン脂質にドコサ
ヘキサエン酸、パルミチン酸およびオレイン酸を直接化
学反応により結合することはできるが、位置選択的にこ
れらの酸を結合させることは困難である。このため生理
活性が高く、かつドコサヘキサエン酸の含有量が多いリ
ン脂質を合成することは困難である。また合成したリン
脂質を食品に添加する場合は、安全性にも問題がある。
【0007】生体組織においては、ドコサヘキサエン酸
やアラキドン酸等の高度不飽和脂肪酸は、脂肪の豊富な
脂肪組織中のトリアシルグリセロールやコレステロール
エステル中には少なく、細胞膜の主要構成成分中のリン
脂質等の極性脂質に偏在している。特に、ドコサヘキサ
エン酸に関しては脳の髄鞘等の脳神経系にエステル型の
ホスファチジルコリンやホスファチジルエタノールアミ
ンおよびエーテル型のホスファチジルコリンやホスファ
チジルエタノールアミン等のリン脂質中に多いことが知
られている。
【0008】このように、ドコサヘキサエン酸を多く含
むリン脂質は生体の特殊な部位に存在しているが、その
部位のみを特異的に採取することは難しく、またその部
位の量が少ないため、高度不飽和脂肪酸を多く含むリン
脂質を多量に得ることは困難である。
【0009】一方、鶏卵の卵黄リン脂質は容易に入手で
きるが、卵黄のホスファチジルコリンやホスファチジル
エタノールアミンのドコサヘキサエン酸の含有量は少な
く、数%しか含まれていない(東京化学同人社、生化学
実験講座3、脂質の化学p.257)。また、グリセロ
ール骨格のsn−2位の炭素にドコサヘキサエン酸が結
合したリン脂質の含有量も少ない。
【0010】このため、卵黄からリン脂質を抽出して食
品に添加することにより、高度不飽和脂肪酸およびsn
−2位に高度不飽和脂肪酸が結合したリン脂質を多量に
含有する栄養組成物を低コストで効率よく製造すること
はできない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高度
不飽和脂肪酸、およびグリセロール骨格のsn−2位の
炭素に高度不飽和脂肪酸が結合しているリン脂質を多量
に含有し、低コストで効率よく製造される栄養組成物を
提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は次の高度不飽和
脂肪酸含有栄養組成物である。 (1)水産動物の卵を原料として溶剤抽出により得られ
た総脂質、総リン脂質または分画リン脂質を、栄養剤成
分に添加してなる高度不飽和脂肪酸含有栄養組成物。 (2)栄養剤成分が、栄養補給用流動食または乳児用ミ
ルクである上記(1)記載の高度不飽和脂肪酸含有栄養
組成物。
【0013】本発明において用いる水産動物の卵は、天
然または養殖の水産動物の卵であり、魚類、甲殻類、軟
体動物の卵などがあげられる。具体的には、天然原料と
してはシャケ、ニシン等の卵、養殖原料としてはハマ
チ、コイ、ウナギ、ニジマス、クルマエビ等の卵などが
あげられる。これらの水産動物の卵は容易に、多量に、
しかも安価に入手でき、好ましく利用できる。
【0014】原料となる水産動物の卵は可能な限り新鮮
であることが好ましく、採取後直ちに冷凍、凍結乾燥ま
たは真空乾燥処理した原料を使用すると、原料中の酸価
の上昇、得られる目的物の過酸化物価の上昇による品質
低下を避けることができ、良質な目的物を得ることがで
きる。目的物中に過酸化物が存在すると生体中において
細胞障害を引起こす原因となり、高度不飽和脂肪酸の過
酸化反応は共役ジエンの生成を伴うため二重結合の移動
を生じる。これらの現象は生理的に不都合な作用を惹起
するため、原料としては上記のような新鮮なものを使用
するのが好ましい。
【0015】水産動物の卵には鶏卵などに比べてドコサ
ヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸等の高度不飽和脂
肪酸が多く含まれており、しかもグリセロール骨格のs
n−2位の炭素に高度不飽和脂肪酸が結合しているリン
脂質が多く含まれており、かつこれらの高度不飽和脂肪
酸は生体に吸収されやすい。このため、水産動物の卵か
ら総脂質、総リン脂質または分画リン脂質を得ることに
より、鶏卵などの他の原料を用いる場合に比べて、上記
のような目的とする高度不飽和脂肪酸およびリン脂質を
多量に得ることができ、しかも生体に吸収されやすいの
でより高い生理効果が得られる。
【0016】水産動物の卵から総脂質を溶剤抽出するに
は、原料に溶剤を加えて抽出することにより行うことが
できる。上記溶剤としては、メタノール、エタノール、
クロロホルム、アセトン、エーテル、ヘキサンおよびこ
れらの混合液などがあげられる。またはこれらの溶剤に
蒸留水を添加した混合液を使用することもできる。これ
らの中では、無極性溶剤と極性溶剤との混合溶剤が好ま
しい。具体的なものとしては、クロロホルムとメタノー
ルとの混合溶剤、例えば容量比で2:1の混合溶剤があ
げられる。溶剤の使用量は水産動物の卵の乾燥重1重量
部に対して5〜20重量部とするのが好ましい。
【0017】溶剤抽出は、ロウルデス・ホモジナイザ
ー、ソルバール・オムニミキサー、ワーリングブレンダ
ー、ポッター・エルベージェム・ガラスホモミキサー等
の均質機によってボモジナイズしながら行うのが好まし
い。また溶剤抽出は無酸素状態下に行うのが好ましく、
例えば真空下、窒素気流下または二酸化炭素気流下に、
0〜60℃で10〜180分間ずつ数回抽出することが
好ましい。このようにして抽出した溶剤抽出液から総脂
質が得られる。
【0018】上記のようにして得た総脂質から総リン脂
質を分離する方法としては、総脂質をシリカゲルカラム
クロマトグラフィーに付し、無極性溶剤で中性脂質を除
き、極性溶剤にて総リン脂質を回収する方法;総脂質を
冷アセトン処理して総リン脂質を沈澱させてから−20
℃以下で沈澱物を濾別分離する方法などが採用できる。
【0019】上記のような方法により得た総リン脂質か
らホスファチジルコリン等のリン脂質を分画して分画リ
ン脂質を得る方法としては、総リン脂質に硫酸マグネシ
ウムを加えてマグネシウム錯体処理して濾別分離する方
法;総リン脂質をエタノール系溶媒により溶剤分別する
方法;総リン脂質をシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ーに付し、ヘキサン→クロロホルム→メタノールと溶媒
の混合比率を無極性から極性へ変化させながら分離する
方法などが採用できる。
【0020】上記のような方法により、水産動物の卵を
原料として脳・神経系の構成脂質であり、抗アレルギー
作用があるドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸
等の高度不飽和脂肪酸を高濃度で含有するリン脂質を、
特別な合成をせず、しかも天然の立体特異性を維持した
まま、高収率で得ることができる。
【0021】本発明の高度不飽和脂肪酸含有栄養組成物
は、上記のようにして水産動物の卵から得られた総脂
質、総リン脂質、分画リン脂質またはこれらの混合物
を、栄養剤成分に添加したものである。上記栄養剤成分
としては、栄養素を含有するものであって、ヒトが食す
ることができるものであれば特に制限はなく、タンパク
質、炭水化物、脂質、ミネラル、ビタミン、微量栄養元
素およびこれらの混合物などがあげられる。通常の食品
および食品原料なども栄養剤成分として使用することが
できる。
【0022】好ましい栄養剤成分としては、タンパク
質、糖質、脂質、ビタミンおよびミネラル等の混合物か
らなる栄養補給用流動食、具体的には肝臓病もしくは心
臓病患者用または高齢者用流動食等、ならびに乳児用ミ
ルクなどがあげられる。
【0023】本発明の栄養組成物の形態は特に限定され
ないが、前記のようにして得られたリン脂質は優れた乳
化作用を有しているので、乳化液またはその乾燥物の形
態とするのが好ましい。
【0024】本発明の栄養組成物の具体的なものとして
は、前記栄養補給用流動食に前記のようにして得られた
脂質を配合して乳化した乳化液からなる流動食;ならび
に乳児用ミルクに前記のようにして得られた脂質を添加
した乳児用粉末油脂組成物などがあげられる。前者の流
動食は肝臓病または心臓病患者用の流動食として、また
後者の油脂組成物は乳児の神経系や脳の発達に有効なミ
ルク、またはアトピー症状を有する乳児用のミルクとし
て好適に利用することができる。
【0025】本発明の栄養組成物は、水産動物の卵から
得られた総脂質、リン脂質を含有しているので、ドコサ
ヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸等の高度不飽和脂
肪酸の含有量が高く、またこのような高度不飽和脂肪酸
がグリセロール骨格のsn−2位の炭素に結合したリン
脂質の含有量が高い。このため、高度不飽和脂肪酸の体
内への吸収が大変によい。
【0026】
【発明の効果】本発明の高度不飽和脂肪酸含有栄養組成
物は、水産動物の卵から抽出した総脂質、総リン脂質ま
たは分画リン脂質を含有しているので、高度不飽和脂肪
酸およびグリセロール骨格のsn−2位の炭素に高度不
飽和脂肪酸が結合しているリン脂質の含有量が多く、か
つ低コストで効率よく製造される。
【0027】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施例について説明
する。 実施例1 《脂質の抽出》採卵後直ちに冷凍したサケの卵(イク
ラ)を窒素気流下で解凍した。この原料500gにクロ
ロホルム/メタノール(2/1,vol/vol)混液
2 literを加え、ホモミキサーで充分に混和した
後、濾過し、窒素気流下で残さを同混液1 liter
で2回同様の操作を行った。濾液を合わせ、水洗した
後、溶媒を留去して、真空デシケーター中で3時間乾燥
した。得られた総脂質の重量は、75.0g(対原料収
率15.0%)であった。
【0028】《栄養組成物の調製》上記で得られた総脂
質25gに、390gの大豆油、45gのサフラワー
油、および32.5gの大豆レシチン(日清製油製)を
配合し、30gのデカグリセリンモノラウレートを添加
して溶解し、配合脂質を得た。一方、39.6Kgの水
に、52.3gのヘキサメタリン酸ナトリウムを溶解さ
せ、この液に2.11Kgのカゼインナトリウム、1.
16Kgのホエータンパク質、および9.7Kgのデキ
ストリンを添加して溶解させ、栄養剤成分水溶液を得
た。
【0029】上記栄養剤成分水溶液に前記配合脂質を混
合し、さらに表1に示す配合割合で配合した8.2gの
ビタミンミックス、および434.3gのミネラルミッ
クスを混合し、プロペラ式攪拌機により70℃で15分
間予備乳化させた。次にこの予備乳化液を、1段目20
0Kg/cm2、2段目50Kg/cm2の2段均質化に
より均質処理を行い、乳化液を得た。
【0030】
【表1】
【0031】得られた乳化液は1.0Kcal/mlの
濃厚流動食であり、サケの卵から抽出した脂質を添加し
ているので、DHA高含有ホスファチジルコリンを含有
しており、このため栄養摂取と同時に肝臓病および心臓
病等の治療効果も有している。
【0032】実施例2 《脂質の調整》採卵後直ちに冷凍したニジマスの卵を窒
素気流下で解凍した。この原料500gにクロロホルム
/メタノール(2/1,vol/vol)混液2 li
terを加え、ホモミキサーで充分に混和した後、濾過
し、窒素気流下で残さを同混液1 literで2回同
様の操作を行った。濾液を合わせ、水洗した後、溶媒を
留去して、真空デシケーター中で3時間乾燥した。得ら
れた総脂質の重量は、52.5g(対原料収率10.5
%)であった。
【0033】この総脂質全量に−25℃の冷アセトンを
300ml添加後、スターラーで2時間攪拌した。−2
5℃で12時間放置後吸引濾過し、アセトン不溶脂質を
回収した。濾紙およびビーカーに付着したアセトン不溶
脂質をn−ヘキサンで溶解し、溶媒を留去して、真空デ
シケーター中で3時間乾燥した。得られた総リン脂質の
重量は、18.2g(対原料収率3.6%)であった。
【0034】《栄養組成物の調製》上記で得られた総リ
ン脂質10gに、400gの大豆油、50gのサフラワ
ー油、および32.5gの大豆レシチン(日清製油製)
を配合し、30gのデカグリセリンモノラウレートを添
加して溶解し、配合リン脂質を得た。
【0035】一方、39.6Kgの水に、52.3gの
ヘキサメタリン酸ナトリウムを溶解させ、この液に2.
11Kgのカゼインナトリウム、1.16Kgのホエー
タンパク質、および9.7Kgのデキストリンを添加し
て溶解させ、栄養剤成分水溶液を得た。
【0036】上記栄養剤成分水溶液に前記配合リン脂質
を混合し、前記表1に示す配合割合で配合した8.2g
のビタミンミックス、および434.3gのミネラルミ
ックスを混合し、プロペラ式攪拌機により70℃で15
分間予備乳化させた。次に、この予備乳化液を、1段目
200Kg/cm2、2段目50Kg/cm2の2段均質
化により均質処理を行い、乳化液を得た。
【0037】得られた乳化液は1.0Kcal/mlの
濃厚流動食であり、ニジマスの卵から抽出したリン脂質
を添加しているので、DHA高含有ホスファチジルコリ
ンを含有しており、このため栄養摂取と同時に肝臓病お
よび心臓病等の治療効果も有している。
【0038】実施例3 《脂質の調製》採卵後直ちに冷凍したサケの卵(イク
ラ)を窒素気流下で解凍した。この原料500gにクロ
ロホルム/メタノール(2/1,vol/vol)混液
2 literを加え、ホモミキサーで充分に混和した
後、濾過し、窒素気流下で残さを同混液1 liter
で2回同様の操作を行った。濾液を合わせ、水洗した
後、溶媒を留去して、真空デシケーター中で3時間乾燥
した。得られた総脂質の重量は、73.5g(対原料収
率14.7%)であった。
【0039】総脂質の全量をシリカゲルカラムクロマト
グラフィー(シリカ60、和光純薬製:8φ×40cm
カラムに2 liter)に付した後、ヘキサン中にク
ロロホルムの比率を上げていく溶離液系で中性脂質を除
去した。回収された中性脂質は41gであり、組成を薄
層クロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/エチルエ
ーテル/酢酸=50/50/1,vol/vol/vo
l)分析により分析したところトリアシルグリセロール
が主体であった。
【0040】中性脂質を除いたカラムに、クロロホルム
中にメタノールの比率を上げていく溶離液系を流した。
クロロホルム:メタノールの比率が35:65〜25:
75の範囲にホスファチジルコリンを主成分とする区分
が溶出し、脱溶媒後28gのホスファチルジルコリン区
分を得た。ホスファチジル区分の判定は薄層クロマトグ
ラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール/水=
65/25/4,vol/vol/vol)で行った。
薄層クロマトグラフィー上のRf値0.20〜0.30
(ホスファチジルコリン)にシングルスポットのみが認
められる分画を集めて、窒素気流下で脱溶媒を行い、精
製ホスファチジルコリン12gを得た。
【0041】分取されたホスファチジルコリンの一部を
三フッ化ホウ素メタノール法でメチルエステル化し、キ
ャピラリーカラムクロマトグラフィー(液相:カーボワ
ックス−20M、25m、170℃)により脂肪酸組成
を測定した。その結果、全脂肪酸に占めるドコサヘキサ
エン酸の含有量は46wt%であり、パルミチン酸、ス
テアリン酸、オレイン酸がそれぞれ約10wt%含まれ
ていた。
【0042】また分取されたホスファチジルコリンの一
部をホスホリパーゼA2で加水分解し、三フッ化ホウ素
メタノール法でメチルエステル化し、キャピラリーカラ
ムガスクロマトグラフィーで脂肪酸組成を測定した。そ
の結果、ドコサヘキサエン酸の含有量は58wt%であ
った。
【0043】《栄養組成物の調製》上記で得られたホス
ファチジルコリン10gに、ヤシ油390g、パーム油
700gおよびカノーラ油700gを混合し、調製脂質
1.8Kgを得た。一方、市販のカゼインナトリウム2
Kgに水18Kgを加えて攪拌し、完全溶解した。この
カゼインナトリウム水溶液の局方パンクレアチン(8
0,000IU/g)をカゼイン1g当たり1,000
IUずつ加え、これを37℃に24時間保持してカゼイ
ンナトリウム分解液19.5Kgを得た。この溶液を噴
霧乾燥することにより、抗原性の少ないカゼインナトリ
ウム分解物1.9Kgを得た。このカゼインナトリウム
の分解物1.85Kgおよびデキストリン2Kgを、水
20Kgに溶解し、栄養剤成分水溶液を得た。
【0044】上記栄養剤成分水溶液に前記調製脂質1.
8Kgを加え、予備乳化後、1段目200Kg/c
2、2段目50Kg/cm2の2段均質化により均質処
理を行った。この乳化液を噴霧乾燥することにより、乳
児用粉末油脂組成物4.68Kgを得た。
【0045】この粉末油脂組成物は、タンパク質が分解
され抗原性が減少しており、かつサケの卵から抽出した
ホスファチジルコリンを添加しているのでDHA高含有
ホスファチジルコリンを含有しており、このため栄養摂
取と同時にアトピーの治療効果も有している。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // A61K 31/20 ABF A61K 31/20 ABF 35/56 35/56

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水産動物の卵を原料として溶剤抽出によ
    り得られた総脂質、総リン脂質または分画リン脂質を、
    栄養剤成分に添加してなる高度不飽和脂肪酸含有栄養組
    成物。
  2. 【請求項2】 栄養剤成分が、栄養補給用流動食または
    乳児用ミルクである請求項1記載の高度不飽和脂肪酸含
    有栄養組成物。
JP8124802A 1996-05-20 1996-05-20 高度不飽和脂肪酸含有栄養組成物 Pending JPH09308459A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8124802A JPH09308459A (ja) 1996-05-20 1996-05-20 高度不飽和脂肪酸含有栄養組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8124802A JPH09308459A (ja) 1996-05-20 1996-05-20 高度不飽和脂肪酸含有栄養組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09308459A true JPH09308459A (ja) 1997-12-02

Family

ID=14894495

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8124802A Pending JPH09308459A (ja) 1996-05-20 1996-05-20 高度不飽和脂肪酸含有栄養組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09308459A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000060424A (ja) * 1998-08-19 2000-02-29 Meiji Milk Prod Co Ltd リン脂質及び脂肪酸組成を調整した乳児用食品組成物
JP2003519501A (ja) * 2000-01-14 2003-06-24 フジャルタソン・バルドゥル 水生生物給餌用の海洋脂質組成物
JP2006149342A (ja) * 2004-11-25 2006-06-15 Shuji Ito うなぎの卵および精子そのもの又は抽出したものを主原料及びまたは補助的に加えた食品及び栄養補助剤およびその製造方法
JP2007091654A (ja) * 2005-09-29 2007-04-12 Ehime Univ 免疫調節作用を有する化合物
JP2007091655A (ja) * 2005-09-29 2007-04-12 Ehime Univ 細胞壊死活性を有する化合物
JP2008150586A (ja) * 1998-10-21 2008-07-03 Univ De Sherbrooke 海産および淡水産動物の組織から脂質を抽出する方法
WO2008146942A1 (ja) * 2007-05-28 2008-12-04 Umeda Jimusho Ltd. リン脂質含有機能性素材の製造方法およびプラズマローゲン型グリセロリン脂質の製造方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000060424A (ja) * 1998-08-19 2000-02-29 Meiji Milk Prod Co Ltd リン脂質及び脂肪酸組成を調整した乳児用食品組成物
JP2008150586A (ja) * 1998-10-21 2008-07-03 Univ De Sherbrooke 海産および淡水産動物の組織から脂質を抽出する方法
JP2003519501A (ja) * 2000-01-14 2003-06-24 フジャルタソン・バルドゥル 水生生物給餌用の海洋脂質組成物
JP2006149342A (ja) * 2004-11-25 2006-06-15 Shuji Ito うなぎの卵および精子そのもの又は抽出したものを主原料及びまたは補助的に加えた食品及び栄養補助剤およびその製造方法
JP2007091654A (ja) * 2005-09-29 2007-04-12 Ehime Univ 免疫調節作用を有する化合物
JP2007091655A (ja) * 2005-09-29 2007-04-12 Ehime Univ 細胞壊死活性を有する化合物
WO2008146942A1 (ja) * 2007-05-28 2008-12-04 Umeda Jimusho Ltd. リン脂質含有機能性素材の製造方法およびプラズマローゲン型グリセロリン脂質の製造方法
JP5774816B2 (ja) * 2007-05-28 2015-09-09 有限会社梅田事務所 リン脂質含有機能性素材の製造方法およびプラズマローゲン型グリセロリン脂質の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4526793A (en) Lipid composition for oral, enteral or parenteral nutrition
AU2002309856B2 (en) Production and use of a polar lipid-rich fraction containing omega-3 and/or omega-6 highly unsaturated fatty acids from microbes, genetically modified plant seeds and marine organisms
US20210338697A1 (en) Lysophosphatidylcholine compositions
JP2722229B2 (ja) オメガ‐3・中間鎖トリグリセリド混合物を利用する代替食物
EP0304819B1 (en) Animal feed supplement
CA2507243A1 (en) Marine lipid compositions
JP5997887B2 (ja) 経口投与剤
JPH10508193A (ja) リン脂質含有脂肪およびlcp脂肪酸の混合物
WO2010010364A2 (en) Process for the purification of oils
CA2406228C (en) Methods for preparing cla isomers
JP2000350563A (ja) 乳幼児用栄養組成物
JPH09308459A (ja) 高度不飽和脂肪酸含有栄養組成物
EP0519916B1 (en) Process for enrichment of fat with regard to polyunsaturated fatty acids and phospholipids, and application of such enriched fat
JP2003012520A (ja) 抗酸化剤及びそれを含有する飲食品
WO2001046115A1 (en) Unsaturated fatty acids and their uses in therapy
JP2717517B2 (ja) ドコサヘキサエン酸含有ホスファチジルコリンの製造方法
Ito et al. Inhibitory effect of cream and milk fat globule membrane substances on hypercholesterolemia in the rat
JP2814187B2 (ja) 人乳類似油脂組成物及びそれを配合した育児用粉乳
JP2009269864A (ja) リン脂質結合型アラキドン酸増加剤
JPS6049747A (ja) リン脂質組成物
EP0587787A1 (en) Brain lipid extracts and method for the production and use thereof
WO2024005199A1 (ja) エクソソームを含む組成物の製造方法及びジアシルグリセロール含有エクソソームを含む組成物
JPH0759586B2 (ja) ドコサヘキサエノイルホスファチジルコリンの製造法
JPH01175943A (ja) 腸内で脂質系の物質の吸収を促進する組成物
JP4266644B2 (ja) ホスファチジルセリンの製造方法