JP2006028269A - 硬化性オルガノポリシロキサン組成物および注型成形用母型 - Google Patents
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Abstract
離型耐久性が向上されたシリコーンゴム製母型を与える硬化性オルガノポリシロキサン組成物および注型成形用母型を提供する。
【解決手段】
(A) 珪素原子に結合したアルケニル基を一分子中に少なくとも2個有するオルガノポリシロキサン: 100質量部、
(B) 珪素原子に結合した水素原子を一分子中に少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン: 組成物中に含まれる珪素原子に結合したアルケニル基1モル当たりの、該(B)成分中に含まれる珪素原子に結合した水素原子の量が、0.4〜5.0モルとなる量、
(C) 比表面積(窒素ガス吸着法)が50m2/g以上である微粉末シリカ: 5〜50質量部、
(D) その表面がパラフィン系化合物で処理された、比表面積(空気透過法)が0.5〜2.5m2/gである重質炭酸カルシウム: 0.1〜50質量部、および
(E) 白金族金属系触媒: 有効量
を含む硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【選択図】 なし
Description
そこで、上記のような特性を有する注型用樹脂を用いて複製品を製造する場合であっても、一つの母型から多数の複製品を製造することができる離型耐久性が向上されたシリコーンゴム製母型が強く望まれていた。
の主流である強度、信頼性、風合い等に優れた高物性を有するウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の注型用樹脂の複製品を多数製造することができるシリコーンゴム製母型を得るためには十分満足できるものではなかった。
(A) 珪素原子に結合したアルケニル基を一分子中に少なくとも2個有するオルガノポリシロキサン: 100質量部、
(B) 珪素原子に結合した水素原子を一分子中に少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン: 組成物中に含まれる珪素原子に結合したアルケニル基1モル当たりの、該(B)成分中に含まれる珪素原子に結合した水素原子の量が、0.4〜5.0モルとなる量、
(C) 比表面積(窒素ガス吸着法)が50m2/g以上である微粉末シリカ: 5〜50質量部、
(D) その表面がパラフィン系化合物で処理された、比表面積(空気透過法)が0.5〜2.5m2/gである重質炭酸カルシウム: 0.1〜50質量部、および
(E) 白金族金属系触媒: 有効量
を含む硬化性オルガノポリシロキサン組成物を提供する。
[(A)成分]
本発明組成物の(A)成分は、珪素原子に結合したアルケニル基を一分子中に少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンであり、本発明組成物の主剤(ベースポリマー)である。
R1 mR2 nSiO(4-m-n)/2 (1)
(式中、R1は独立に脂肪族不飽和結合を有しない非置換または置換の一価炭化水素基であり、R2は独立にアルケニル基であり、mは0.7〜2.2、好ましくは1.8〜2.1、より好ましくは1.95〜2.0の数であり、nは0.0001〜0.2、好ましくは0.0001〜0.1、より好ましくは0.01〜0.05の数であり、但し、m+nの和は0.8〜2.3、好ましくは1.9〜2.2、より好ましくは1.98〜2.05の数である。)
で表され、かつ珪素原子に結合したアルケニル基を一分子中に少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンが挙げられる。
この(A)成分のオルガノポリシロキサンは、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
本発明組成物の(B)成分は、珪素原子に結合した水素原子(SiH)を一分子中に少なくとも2個、好ましくは3個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、該成分中のSiHが公知のヒドロシリル化反応により上記(A)成分等に含まれるケイ素原子に結合したアルケニル基と付加して、実用上十分な強度を持つシリコーンゴム硬化物を与えるための架橋剤として作用する成分である。
RaHbSiO(4-a-b)/2 (2)
(式中、Rは独立に非置換または置換の一価炭化水素基であり、aは0.7〜2.1、好ましくは1.0〜2.0の数であり、bは0.001〜1.0、好ましくは0.01〜1.0の数であり、但し、a+bの和は0.8〜3.0、好ましくは1.5〜2.5の数である。)
で表され、かつ一分子中に少なくとも2個、好ましくは2〜200個、より好ましくは3〜100個のSiHを有するものが挙げられる。
また、珪素原子に結合した水素原子の結合位置は特に制限されず、分子鎖末端の珪素原子、分子鎖非末端(分子鎖途中)の珪素原子またはこれら両者の珪素原子の何れに結合していてもよい。
本発明組成物への(B)成分の配合量は、組成物中に含まれる珪素原子に結合したアルケニル基1モル当たり、特に、前記(A)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基1モル当りの、該(B)成分中に含まれるSiHの量が、0.4〜5.0モル、好ましくは0.8〜3.0モル、更に好ましくは1.0〜2.5モルになる量である。
一般に、注型成形用母型は使用に耐える物理特性、特に強度を必要とする。また、例えば、硬化性オルガノポリシロキサン組成物から注型成形用母型を形成する際に、マスターモデル(原型)の形状によって、逆テーパー状の母型とする場合があり、硬化物(シリコーンゴム)の強度、特に引き裂き強度が高くなければ、マスターモデル(原型)を抜き取る段階で母型が損壊してしまうため、母型として使用できないことがある。また、前記逆テーパー状の母型を用いて複製品を製造する際にも、複製品を抜き出すため、シリコーンゴム製の前記母型には弾力性のみならず強度が要求される。
この(C)成分の微粉末シリカは、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
本発明組成物の(D)成分は、その表面がパラフィン系化合物で処理された、比表面積(空気透過法)が0.5〜2.5m2/gである重質炭酸カルシウムである。該(D)成分は、本発明組成物を成形および硬化して得られる注型成形用の母型を用いて強度、信頼性、風合いが優れた特性を有するウレタン樹脂等の注型用樹脂から注型成形により複製品を製造する際の母型の離型耐久性を向上させることができ、1つの母型から同一形状・品質の複製品を多数製造することを可能とする。
本発明組成物の(E)成分は白金族金属系触媒であり、ヒドロシリル化反応触媒として公知のものが全て使用できる。例えば、白金黒、ロジウム、パラジウム等の白金族金属単体;H2 PtCl4・nH2O、H2PtCl6・nH2O、NaHPtCl6・nH2 O、KHPtCl6・nH2O、Na2PtCl6・nH2O、K2 PtCl4・nH2O、PtCl4・nH2O、PtCl2、Na2 HPtCl4・nH2O(前記式中、nは0〜6の整数であり、好ましくは0または6である)等の塩化白金、塩化白金酸および塩化白金酸塩;アルコール変性塩化白金酸(米国特許第3,220,972号明細書参照);塩化白金酸とオレフィンとの錯体(米国特許第3,159,601号明細書、同第3,159,662号明細書、同第3,775,452号明細書参照);白金黒、パラジウム等の白金族金属をアルミナ、シリカ、カーボン等の担体に担持させたもの;ロジウム−オレフィン錯体;クロロトリス(トリフェニルフォスフィン)ロジウム(ウィルキンソン触媒);塩化白金、塩化白金酸または塩化白金酸塩とビニル基含有シロキサン、特にビニル基含有環状シロキサンとの錯体;等が挙げられる。これらの中では、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体、白金黒、白金トリフェニルフォスフィン錯体等の白金系触媒が望ましい。
本発明組成物に、上記(A)〜(E)成分に加えて、必要に応じ他の成分を追加して配合することができる。
本発明組成物に、更に、任意成分として、(F)三次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジンを配合することができる。この(F)成分としては、分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を含有するものであることが、本発明組成物から得られる硬化物(シリコーンゴム)の強度が高くなるので、好ましい。
(上記各式中、pは正の整数である)
等で表されるアルカリ金族シリコネートが挙げられる。
このアルカリ性物質を配合する場合、その配合量は、上記(A)成分100質量部に対して、通常、0〜5,000ppm、特に5〜5,000ppmの範囲とするのがよい。
本発明組成物は、上記(A)〜(E)成分、および場合により上記(F)成分等の所定量を均一に混合することによって調製することができる。
当業者に周知のとおりにして、マスターモデルを配置した型枠・容器内に本発明組成物を注入して満たし、硬化させた後、マスターモデルを抜き出して、マスターモデルの形状に沿ったシリコーンゴム製母型を調製することができる。硬化条件等については、特に制限されず、通常のとおりでよく、例えば、40〜80℃で10〜120分程度である。
(A)分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で停止されたジメチルポリシロキサン(23℃での粘度:約5,000mPa・s)800部と(C1)親水性微粉末シリカ:アエロジル200(商品名、日本アエロジル社製、比表面積(窒素ガス吸着法(BET法):200m2/g)200部とをニーダー中に投入し、よく撹拌混合しながらヘキサメチルジシラザン 80部および水 10部を添加し、加熱を行わずに1時間混合した。その後、150℃に昇温して引き続き2時間混合し、次いで加熱を止め放置して室温にまで降温させた。得られた混合物 500部に、(E)塩化白金酸−オクチルアルコール錯体 白金金属として得られる組成物全量に対して質量基準で30ppmとなる量を添加し、よく撹拌したのち、硬化制御剤として1-ビニル-1,3,3,5,5,7,7-ヘプタメチルシクロテトラシロキサン 0.1部と、(B)下記構造式(3):
HSi(CH3)2[OSi(CH3)2]6[OSiH(CH3)]4Si(CH3)2H (3)
で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン(23℃での粘度:9mPa・s)2.5部と、(D)その表面が平均分子式:CH3−(CH2)26−CH3で示されるパラフィン系化合物で処理された、重質炭酸カルシウム(MCコートP−20(丸尾カルシウム社製商品名)、比表面積(空気透過法):約2m2/g)7部とを添加・混合し、よく撹拌したのち真空下で脱泡して、硬化性オルガノポリシロキサン組成物を調製した(なお、(B)成分中のSiH/[(A)成分および1-ビニル-1,3,3,5,5,7,7-ヘプタメチルシクロテトラシロキサン中のビニル基](モル比):1.5)。これを「組成物I」とする。その粘度を測定し、表1に示した。
上記実施例1に記載の(D)成分の配合量7部を35部に変更すること以外は、実施例1と同じにして組成物を調製した。これを「組成物II」とする。その粘度を測定し、表1に示した。
上記実施例1に記載の(C1)成分に代えて、(C2)疎水性微粉末シリカ:アエロジルR−812(商品名、デグッサ社製、比表面積(窒素ガス吸着法(BET法):200m2/g)200部を用いること、および(D)成分の配合量7部を35部に変更すること以外は、実施例1と同じにして組成物を調製した。これを「組成物III」とする。その粘度を測定し、表1に示した。
上記実施例1に記載の(C1)成分に代えて、上記実施例3に記載の(C2)成分 200部を用いること、ヘキサメチルジシラザン 80部および水 10部を添加しないこと、並びに(D)成分の配合量7部を35部に変更すること以外は、実施例1と同じにして組成物を調製した。これを「組成物IV」とする。その粘度を測定し、表1に示した。
上記実施例1に記載の(C1)成分に代えて、(C3)疎水性微粉末シリカ:アエロジルR−974(商品名、デグッサ社製、比表面積(窒素ガス吸着法(BET法):200m2/g)200部を用いること、ヘキサメチルジシラザン 80部および水 10部を添加しないこと、並びに(D)成分の配合量7部を35部に変更すること以外は、実施例1と同じにして組成物を調製した。これを「組成物V」とする。その粘度を測定し、表1に示した。
上記実施例1に記載の(D)成分を配合しなかったこと以外は、実施例1と同じにして組成物を調製した。これを「組成物VI」とする。その粘度を測定し、表1に示した。
上記実施例1に記載の(C1)成分に代えて、上記実施例3に記載の(C2)成分 200部を用いること、および(D)成分を配合しなかったこと以外は、実施例1と同じにして組成物を調製した。これを「組成物VII」とする。その粘度を測定し、表1に示した。
上記実施例1に記載の(C1)成分に代えて、上記実施例3に記載の(C2)成分 200部を用いること、並びに(D)成分、ヘキサメチルジシラザン 80部および水 10部を配合しなかったこと以外は、実施例1と同じにして組成物を調製した。これを「組成物VIII」とする。その粘度を測定し、表1に示した。
上記実施例1に記載の(C1)成分に代えて、上記実施例5に記載の(C3)成分 200部を用いること、並びに(D)成分、ヘキサメチルジシラザン 80部および水 10部を配合しなかったこと以外は、実施例1と同じにして組成物を調製した。これを「組成物IX」とする。その粘度を測定し、表1に示した。
<性能評価>
上記各実施例および比較例で得られた組成物の性能を下記のとおりにして評価した。
Claims (4)
- (A) 珪素原子に結合したアルケニル基を一分子中に少なくとも2個有するオルガノポリシロキサン: 100質量部、
(B) 珪素原子に結合した水素原子を一分子中に少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン: 組成物中に含まれる珪素原子に結合したアルケニル基1モル当たりの、該(B)成分中に含まれる珪素原子に結合した水素原子の量が、0.4〜5.0モルとなる量、
(C) 比表面積(窒素ガス吸着法)が50m2/g以上である微粉末シリカ: 5〜50質量部、
(D) その表面がパラフィン系化合物で処理された、比表面積(空気透過法)が0.5〜2.5m2/gである重質炭酸カルシウム: 0.1〜50質量部、および
(E) 白金族金属系触媒: 有効量
を含む硬化性オルガノポリシロキサン組成物。 - 更に、(F)三次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジンを0〜100質量部含む請求項1記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
- (F) 成分が、珪素原子に結合したアルケニル基を有するシロキサン単位と、式:SiO4/2で表されるシロキサン単位、式:RSiO3/2(Rは、脂肪族不飽和結合を有しない非置換または置換の一価炭化水素基である)で表されるシロキサン単位、またはこれら両者のシロキサン単位、並びに任意にR3SiO1/2単位を、一分子中に有するオルガノポリシロキサンレジンである請求項2記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
- 請求項1〜3のいずれか一項記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物を成形および硬化してなる注型成形用母型。
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